中国への報復

米国の上院が現在、北京の中国政府が自国通貨をおよそ30%も人為的に安値に保つ為替操作を行っていると断定したうえで、中国に対して通商上の報復措置を導入することについて協議している。この不当な為替相場の操作については米国の2大政党の国会議員が双方とも主張しており、中国製品が安価に出回ることで、中国市場また米国市場におけるアメリカ製品販売におおきな損害を受けていると指摘する。(中国市場と自国市場で販売されている製品が、中国が採用している為替メカニズムのために平均すれば中国市場のほうが相当安価になっていると指摘する。)

米国内の失業者は現在では1,400万人以上(労働人口の9.1%)に達しており、これは少なくとも20年以上にわたる為替制度を利用したダンピングの影響とのことだ。

一方、ギド・マンテガ財務大臣は、WTOの枠組みの中でも現実として通貨戦争が存在するという告発をする準備している。これは、人為的に自国通貨安に誘導する国々に対し通商上の報復措置を採用することができるよう認定を得ることが目的だ。(通商上の報復措置を採用することができるように、人為的に自国通貨安に誘導し続けている国々を認定することが目的だ。)

この状況が皮肉なことは、マンテガ財務大臣が追及するアメリカの操作は(訴える相手が)、アメリカが追及する中国のそれと同等のものであるという点だ。(訴えようとしている米国を提訴するという点だ。)ブラジル側は、連邦準備銀行(FRB)が自国通貨の強い値下がり圧を生むことになる、莫大な通貨発行を望んでいるとの主張する。

2週間前にゼツリオ・バルガス財団の第8回経済フォーラムで提出された研究で、WTOのブラジルチームスタッフであるヴェラ・トルステンセン教授は、通貨戦争が世界各地に拡大するなら、貿易協定で認められた関税による保護は無意味なものになることを示した。この想定外の無秩序は、同教授によれば、国際貿易の貞節を守るという機能を担うWTO自体の目的を危うくする。(の目的そのものが原因)。「ジュネーブ、問題が発生した」と、1970年4月13日のアポロ13号の宇宙飛行士の有名なセリフ「ヒューストン、問題が発生した」をもじって同教授は警告した(ジュネーブにはWTOの本部があるのだ)。

ひずみは明白であり、それは否定できない。問題は、このひずみを正そうとするところにある。一方的報復、まさに米国上院が中国に対して講じることを検討しているこの措置は、自らの足に向かって銃弾を発射するようなもの。中国(相手側)には、ゼネラル・エレクトリック、ゼネラルモーターズ、デュポン、プロクター・アンド・ギャンブル、そしてあらゆる米国企業がひしめいている。言い換えるなら、中国を処罰することは米国の大手多国籍企業にペナルティーを与えることを意味する。

為替の行き違いは、国際経済システムと現在の経済危機の混乱の結果として生じた。通商上の報復措置によって根本的な問題が解決されるものではない。トルステンセン教授は、新たなブレトン・ウッズ協定が解決の糸口にならないだろうかと問いかける。ブレトン・ウッズ協定は1946年にスタートした国際秩序で、国際通貨基金と世界銀行を設立した。

恐らく、そうだろう。ただし、どのように新しいブレトン・ウッズ協定を構築するかという課題が残る。1998年、当時のビル・クリントン米大統領(任期:1993年―2001年)が国際経済の新たな枠組み構築を求めたが、各国首脳たちをまとめられなかったのではなかったか?

セルソ・ミンギ (2011年10月6日付けエスタード紙)

近藤正樹会頭が第2回国際協力フォーラムへ参加

サンパウロ州政府(ジェラルド・アウキミン知事)主催の「第2回国際協力フォーラム」が2011年10月6日午後にバンデイランテス宮にて開催、ブラジル日本商工会議所から近藤正樹会頭が参加した。ジェラルド・アウキミン州知事及びブルーノ・コバス環境局長はフォーラムの中で、「生物多様性=バイオディバーシティ」に関するコミッションまた環境保護区プロジェクトの発足を発表。アウキミン知事は発足の条令に署名を行った。またオープニングにはエジソン・ジリボーニ衛生・水資源局長も参加。

コミッションは17のメンバーで構成され、その内訳はサンパウロ州環境局代表者、連邦検察庁、各環境団体や大学。2010年、愛知で行われた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において定められた目標値を目指し取り組むことが目的。

「生物多様性」はフォーラムのメインテーマであり、サンパウロ州の教育/環境保全/環境再生における功労者へジュオン・ペドロ・カルドーゾ賞が授与された。


近藤正樹会頭(Foto: Rubens Ito / CCIJB)


ジェラルド・アウキミン知事(Foto: Ciete Silvério / Governo do Estado de SP)


「生物多様性」は本フォーラムのメインテーマであり、今後国際機関と連携しサンパウロ州またサンパウロ市政策を進めていく方針。 (Foto: Ciete Silvério / Governo do Estado de SP)

国内産業は税負担に耐え切れない

工業生産は7月にそれまでの数カ月と比較しても回復に転じて0.3%の伸びを示したものの、8月には再び0.2%減と反落し、最終的には年明け以降の累積が、平凡な1.4%の伸びにとどまった。

政府の対応は、ブラジル拡大計画(PBM:Plano Brasil Maior)を通じた工業振興策の模索で、残念なことに、税負担を軽くする代わりに保護貿易政策を強化するという、複雑でこれに対応する企業の経営負担が重くなるという対策がベースだ。国内産業の課題は、輸入品への対策が無力であることであって、それは、革新的技術の欠如であり、諸外国と比較して割高な価格にあるのであって、このところレアル安の流れが緩やかになった為替相場だけにあるのではない。この観点から8月の工業生産を産業別に見ると、耐久消費財が最大の落ち込み(2.9%)を記録したこと、中でも、電子部品と通信機器が5.9%の落ち込み、電気部品が3.2%落ち込んだことに留意する必要がある。これらには深刻な需要があり、しかも輸入に支えられている。

反対に生産が拡大したのは資本財の0.9%増で、ライン生産品は10.5%、受注生産品は9.8%増加した。この数字が示しているのは、一見凡庸なパフォーマンスにとどまるブラジルの国内産業が、魅力的な為替相場を利用して近代化を進めたということだ。

8月に車両生産を1%引き上げたブラジルは、引き続き、無視することのできない自動車生産国であり続ける。しかしここで忘れてならないのは、この生産が、政府が上限を設定しようとしても、40%という大きな水準にある輸入コンポーネントの生産の一環だという点。この結果、中間財の生産が0.2%の落ち込みにつながったわけだ。

鉱業及び採石業の生産が横ばい(0.1%増)なことで資源に対する需要が引き続き堅調だと想像できるが、基礎食料品の生産が落ち込み、さらにこれらの品目の輸出が減少するということはなぜだろう。ブラジルの輸出が基本的に未加工品をベースにしているにしても、だ。

実際のところ、工業生産に関する一連の結果からは、経済がダイナミックに推移しているという印象を受けることができない。ブラジルは技術革新で大きく後れを取っており、現在の高い税負担で息切れしている工業部門の真のニーズを、コモディティーの価格高騰がある程度、覆い隠してしまうのだ。(2011年10月5日付けエスタード紙)

経済産業省(METI)管轄「クール・ジャパン」プロジェクト関係者が訪問

経済産業省管轄の「クール・ジャパン」プロジェクト関係者が2011年10月4日会議所を訪問。同プロジェクトにおいてブラジルでの日本商材の普及に関する受託を受けることとなった日本の旅行業大手 JTB Corp. からは営業開発局の松岡 徹局長、同局の石川智康チーフマネージャー、営業第一課の市川 恒法人営業マネージャー並びにブラジルに赴任しているグローバル事業本部調査役の鈴木徹氏、またビジネスプロデューサーの藤村京子氏((株)藤村京子事務所)、現地プロデューサーの細川多美子氏(BUMBA)も加わり、平田藤義事務局長と情報交換を行った。 

「クール・ジャパン」は日本の文化産業(=クリエイティブ産業:デザイン、アニメ、ファッション、映画など)の海外進出促進、国内外への発信や人材育成等を行い、欧米、アジア等で様々なプロジェクトを手掛けており、ブラジルではホテル、レストラン等で日本の地域産品の紹介を企画している。

左から細川現地プロデューサー / 藤村ビジネスプロデューサー / 石川チーフマネージャー / 松岡局長 / 市川マネージャー / 鈴木調査役 / 平田事務局長 (Foto: Rubens Ito / CCIJB)

政府が中国製靴の輸入にブレーキ

中国製靴の輸入に、発行までに最長60日を必要とする事前の輸入許可証の取得を義務付け。
開発商工省(MDIC)によると不正取引の可能性が疑われる捜査に伴う措置で、捜査は最長で9カ月にわたり実施される。

靴とソール、アッパーの輸入に対して、4日から、政府から事前に許可を受けることが義務付けられた。申請から輸入許可証が発行されるまで、最長で60日間かかる。 同日付連邦官報により、これらの製品に対する許可証の自動発行が停止されたことに伴う措置。

開発商工省貿易局の通達によると、中国からブラジルへ不正に靴が輸出されている可能性があり、最大で9カ月に及ぶ捜査を実施することが今回の決定につながった。

ある商品が生産国の価格を下回ってブラジル国内で販売される場合、「ダンピング」と呼ばれる行為とみなされる。

この場合、この行為によって不利益を被った国は、不正な競争を回避するために追徴関税を課すことができる。中国製靴のケースでは、ブラジル政府は2010年3月にダンピングと認定して中国から輸入される靴1足あたり13.85ドルの追徴課税を課すことを決定した。

政府が疑っているのは、この追徴課税を逃れるために第3国を経由する三角貿易の存在。靴のコンポーネントが中国からインドネシアとベトナムに輸出され、そこで組み立てられてブラジルに輸出されるという構図だ。

タチアナ・プラゼーレス貿易局局長は、「もし、こうした製品の流れが実証された場合、アンチダンピング措置を拡大適用することになる」とコメント。

同局長によれば政府は、中国から完成品を受け取りブラジルに輸出する中継国と疑われるマレーシアを捜査することを検討している。

もう1つ、中国がブラジルに直接、靴のコンポーネントを輸出して国内で生産している疑いも持たれている。この場合も、同様に追徴課税を回避する手法とみなされる。

ブラジル製靴工業協会のエイトール・クレイン専務は、「この捜査の要請は、年明けに申請していたものだ」とコメント。

MDICによると、(追徴課税が導入された)2010年3月から2011年8月にかけて、中国はブラジルに対して1億4,410万ドルの靴を輸出。 2008年3月から2009年8月にかけて中国の輸出は、3億3,050万ドルだった。同様の比較をインドネシアに対して行った場合、1億2,970万ドルだったものが3億0,900万ドルに拡大している。

ベトナムの場合には、6,900万ドルから2億4,140万ドルに急増した。(2011年10月5日付けフォーリャ紙)

通商-合法性と正当性、有効性

ブラジルの貿易政策の運営には、2つの柱がある。1つは、通商の保護が及ぶ範囲を拡大させること。もう1つは、工業政策の中核を担う道具としての、貿易政策の活用だ。どちらも保護貿易主義的色彩を強めるが、その合法性と正当性、有効性から照らして評価を受ける必要がある。通商の保護について言えば、中核となる3つの特徴を持っているように思われる。第1に、この問題が大統領府が取り扱う課題としてレベルが引き上げられたこと。第2に、「違法」あるいは「不正」とみなすあらゆる行為への対策を取り込んで、この保護メカニズムが及ぶ範囲を政府が拡大させたこと。そして第3に、通商の保護のための伝統的手法のマネジメントが、アンチダンピングに対する権利の行使にとどまらず、よりアグレッシブになったこと。一般的にこれらの施策は合法的で、言い換えれば、その適用にあたっては世界貿易機関(WTO)の多国間協定で成文化されたルールと矛盾しない。同様にその運用も、かつてブラジルの輸出対策のために利用されたルールを採用すればブラジルの立場に矛盾が生じはするが、いずれにしても正当性がある。しかしながら有効性については制限を受ける。このような施策は競争に困難を来しているいくつかの業界や製品にとって暫定的な改善には有効だが、中国と競争を演じるために「卸売市場」で解決を与えてくれる力はない。

工業政策の枠組みで貿易政策が行使されることに関して言えば、さらに3つの特徴がある。1つ目は、新しい工業政策を策定するにあたって、政府が貿易政策を優先したということ。恐らく、為替政策と財政政策、憲法改正といった手段を講じることは経済的、あるいは政治的に実現不可能と判断したのだろう。2つ目は、新たな施策では広範囲に助成・支援をサポートするが、技術的障壁と差別的な課税をも含んでいる。3つ目は、その策定において、ブラジルの貿易政策の正式な制定プロセスを軽視したことが指摘できる。

通商の保護とは異なり、これらの施策の大部分は、違法とされる可能性がある。輸出に関係しない助成と、現地調達品の使用に関する助成については、適用する特定のケースによっては偶発的には違法とみなされることにもなる。一方、差別的な課税と現地調達品の使用に関した助成、現在の自動車業界の新制度については、その違法性は甚だしい。

これら一連の違法行為は、交渉の場がWTOだろうがG20だろうが、中国と米国、アルゼンチンというブラジルの主要な貿易パートナーが導入した障壁を批判する我が国の正当性を傷つけかねない。

最終的に、これらの施策の有効性も、同様に疑わしい。(合法的な)助成制度を使用することは、原則論として、国境において障壁を導入するよりは経済的には優れている。というのも、ブラジルの国内工業の競争力の問題の解決に向けて必要とされる判断を下すことが容易だからだ。しかしながら、それは国庫のキャパシティーという制限を受けるので、実際のところ、「ブラジル・コスト」の構造的問題を解決できない。

こうした様々な問題に加えて今回の工業政策の発表は、広範囲な議論と貿易審議会(Camex)によってこれらの施策を採用することが必要という貿易政策の策定プロセスの手続きを、政府、とりわけ財務省が、適切に踏んでいないように思われる。

このエピソードは、Camexから大統領府に権限が移されたという点だけでなく、機能の点でも関心の点でも、そして伝統という点からもこの国が導入する貿易施策の合法性と正当性、有効性に対して強い関心を払っている機関としての開発商工省と外務省によって貿易政策を運用されるという点からも、一連の手続きには改善の必要性があることを明確に示した。

ジエゴ・Z・ボノモ ブラジル・アメリカ・ビジネス協議会公共政策担当理事 (2011年10月5日付けエスタード紙)

通商-合法性と正当性、有効性(2011年10月5日付けエスタード紙掲載コラム)

ブラジルの貿易政策の運営には、2つの柱がある。1つは、通商の保護が及ぶ範囲を拡大させること。もう1つは、工業政策の中核を担う道具としての、貿易政策の活用だ。どちらも保護貿易主義的色彩を強めるが、その合法性と正当性、有効性から照らして評価を受ける必要がある。通商の保護について言えば、中核となる3つの特徴を持っているように思われる。第1に、この問題が大統領府が取り扱う課題としてレベルが引き上げられたこと。第2に、「違法」あるいは「不正」とみなすあらゆる行為への対策を取り込んで、この保護メカニズムが及ぶ範囲を政府が拡大させたこと。そして第3に、通商の保護のための伝統的手法のマネジメントが、アンチダンピングに対する権利の行使にとどまらず、よりアグレッシブになったこと。一般的にこれらの施策は合法的で、言い換えれば、その適用にあたっては世界貿易機関(WTO)の多国間協定で成文化されたルールと矛盾しない。同様にその運用も、かつてブラジルの輸出対策のために利用されたルールを採用すればブラジルの立場に矛盾が生じはするが、いずれにしても正当性がある。しかしながら有効性については制限を受ける。このような施策は競争に困難を来しているいくつかの業界や製品にとって暫定的な改善には有効だが、中国と競争を演じるために「卸売市場」で解決を与えてくれる力はない。

工業政策の枠組みで貿易政策が行使されることに関して言えば、さらに3つの特徴がある。1つ目は、新しい工業政策を策定するにあたって、政府が貿易政策を優先したということ。恐らく、為替政策と財政政策、憲法改正といった手段を講じることは経済的、あるいは政治的に実現不可能と判断したのだろう。2つ目は、新たな施策では広範囲に助成・支援をサポートするが、技術的障壁と差別的な課税をも含んでいる。3つ目は、その策定において、ブラジルの貿易政策の正式な制定プロセスを軽視したことが指摘できる。

通商の保護とは異なり、これらの施策の大部分は、違法とされる可能性がある。輸出に関係しない助成と、現地調達品の使用に関する助成については、適用する特定のケースによっては偶発的には違法とみなされることにもなる。一方、差別的な課税と現地調達品の使用に関した助成、現在の自動車業界の新制度については、その違法性は甚だしい。

これら一連の違法行為は、交渉の場がWTOだろうがG20だろうが、中国と米国、アルゼンチンというブラジルの主要な貿易パートナーが導入した障壁を批判する我が国の正当性を傷つけかねない。

最終的に、これらの施策の有効性も、同様に疑わしい。(合法的な)助成制度を使用することは、原則論として、国境において障壁を導入するよりは経済的には優れている。というのも、ブラジルの国内工業の競争力の問題の解決に向けて必要とされる判断を下すことが容易だからだ。しかしながら、それは国庫のキャパシティーという制限を受けるので、実際のところ、「ブラジル・コスト」の構造的問題を解決できない。

こうした様々な問題に加えて今回の工業政策の発表は、広範囲な議論と貿易審議会(Camex)によってこれらの施策を採用することが必要という貿易政策の策定プロセスの手続きを、政府、とりわけ財務省が、適切に踏んでいないように思われる。

このエピソードは、Camexから大統領府に権限が移されたという点だけでなく、機能の点でも関心の点でも、そして伝統という点からもこの国が導入する貿易施策の合法性と正当性、有効性に対して強い関心を払っている機関としての開発商工省と外務省によって貿易政策を運用されるという点からも、一連の手続きには改善の必要性があることを明確に示した。

ジエゴ・Z・ボノモ ブラジル・アメリカ・ビジネス協議会公共政策担当理事 (2011年10月5日付けエスタード紙)

中銀司令官となったジルマ・ロウセフ

ジルマ・ロウセフ大統領が公式に、ブラジル中央銀行の指揮権を掌握した。政府は2012年、基本金利を9%に引き下げる意向で、これについて大統領府のジルベルト・カルバーリョ事務局長はエスタード紙に対して、新たな利下げのための「余地がまだある」と説明した。この会見には行政府から別に高官2人が出席。ここで、明確な方針が示されたことで、種々の疑問が氷解した。つまり、大統領府に腹案があり、最終決定は大統領が下す、ということ。利下げペースの確保について同事務局長は、「慎重に」決定するとしており、主要な数値に関しては一切変更しない。中銀の事実上の独立性は90年代に採用され、ルーラ政権下でも第1次政権と第2次政権を通じて維持された。現在、連邦政府内部ではだれも明確に認めようとはしないが、この試みが終了したことになる。事務局長の表明に関して、それどころか8月最後の週以降に行われてきたロウセフ大統領とギド・マンテガ財務大臣の発言も含め、それ以外に解釈の仕様がない。

この一連の発言は、通貨政策委員会(Copom)が採用した利下げ発表の直後から始まった。一見すると、この判断は5対2の表決であり中銀の独立性が維持されていると解釈できないこともない。しかしわずか後、大臣と大統領の発言から、逆の解釈をすべきだということが確認された。彼らはひたすら、利下げが中銀の進むべき道だと力説し続けた。そして、9月30日には、大統領は国際的な経済危機の悪化への対策として利下げ容認の発言を行い、予想された以上に明確に、この事実を裏付けた。「今回は」と、大統領は口火を切って、「ブラジルは国外の状況に対する判断を誤ってはならない。蹉跌は容認されない」と発言しつつ、世界が不況とデフレに陥るリスクを考慮することを示した。これは、単なる願望を表明するようなトーンではなく、むしろ、中央銀行を政府の経済政策の武器のひとつに加えた人の発言だ。

財務大臣は3日、国際的な経済状況が悪化した場合に採用可能な対策に関して話をぶり返し、新たな利下げと銀行の法定準備預金の預金率の引き下げに言及した。彼がここで選んだ主語は「我々」だったわけだが、中銀と行政府の指揮権の分離に関しては一切無視していた。

利下げを指示するだけでなく、連邦の大統領はさらに、あらゆる状況証拠からして、インフレ・ターゲットの体制の緩和も実施する。中銀はこの事実について、先週発表した四半期報告書の中で別の表現を用いて認めている。発表された予測に基づけば、12カ月間の累積インフレ率がターゲットの中核(4.5%)に回復するのは2013年第3四半期(7―9月期)であり、しかもこの想定は提示された3つのケースの中で最も楽観的な場合だ。

インフレ対策の緩和は、大盤振る舞いの公約に加えて、効果的な緊縮財政、財源無き大幅な給与の引き上げとともに、市長・市議会議員選挙が実施される時期に導入されるだろう。同時に行政府は、国内のいくつかの業界でより競争力を高めるという無様な張りぼての口実で正当化した保護貿易政策を立ち上げる。競争力の促進にとって有効な施策は、きわめて粗末な公約や計画の中に埋もれてしまう。

先進国の経済危機の悪化に伴い、より良い通貨政策を求める質の良い議論が、間もなく起こるはずだ。第1ステップは、クレジットを拡大するために法定準備預金を縮小することだ。2008年と同様にドルを売ることで、外貨だての融資が払底した場合に補完策となり得るであろう。中銀は3年前、大規模な経済危機の初期にこれらの対策を緊急措置として講じており、大統領府が策定したバージョンと異なって財務省の対策よりも極めて効果的だった。

ところが政府は、迅速に対応することを優先した。中銀にリスクの高い対応を命じ、インフレの期待感をあおり、インフレ・ターゲット制度と通貨当局の信頼性を失墜させることを厭わずに。このような後退はブラジルに、きわめて高い代償をもたらすだろう。(2011年10月4日付けエスタード紙)