年金ファンドの赤字総額は840億レアルか

2015年末の年金ファンドの赤字総額は770億レアルであったにも関わらず、僅か半年後の今年6月末には、70億レアル増加の840億レアルに達しているとブラジル民間非公開年金協会(Abrapp)は発表している。

Abrapp協会加盟の年金ファンドでは、ファンド加入者への年金支払いを確保するために今年の最低目標収益率を15.19%に設定しているにも関わらず、今年上半期の収益率は目標収益率8.5%を下回る8.44%に留まった。

現在の政策誘導金利(Selic)は14.25% 、年末のSelic金利は13.75%を予想しており、今年の加盟の年金ファンドの平均収益率は16.14%に達するとブラジル民間非公開年金協会(Abrapp)では予想している。

今年上半期末の年金ファンドの預金残高は、前年同期比13.3%増加の7,630億レアルを記録して過去4年間では最高の収益率を記録、年金ファンドの投資金の確定金利付き投資比率は72%に達している。

ブラジル民間非公開年金協会(Abrapp)の調査では、2014年の年金ファンドの投資策として確定金利付き投資は56%であったが、昨年はSelic金利の上昇に伴って68%に上昇、今年はSelic金利の高止まりで72%に引き上げて収益率が上昇している。

しかしSelic金利が一桁台まで減少していた3年前の多くの年金ファンドは、確定金利付き投資比率を下げてハイリスクハイリターンの投資比率を引き上げていた経緯があった。

ペトロブラスが資本参加をしてプレソルトの原油・天然ガス開発向け28隻のプラットフォームFPSO建造する目的で2011年に設立されたSete Brasil社に大型投資を行っていた連邦貯蓄金庫年金基金(Funcef)並びにブラジル銀行年金ファンド(Previ)は大きな赤字計上を余儀なくされていた。

Abrapp協会による製造業を中心とした113社対象の年金ファンド投資調査では、投資先として確定金利付き投資に85%を振り分けており、収益率は低いにも関わらず、加入者への確実な年金配当確保のために安全な投資先を優先している。

先週、連邦警察は公社職員の年金ファンドを巡る不正容疑を摘発するグリーンフィールド作戦を展開して8州で、容疑者に対して一斉に家宅捜査を行って物件押収や強制連行、事情聴取による一時逮捕などを敢行している。

不正が行われていたと考えられる年金ファンドは、連邦貯蓄銀行の年金ファンド(Funcef)、ペトロブラスの年金ファンド(Petros)、ブラジル銀行の年金ファンド(Previ)と郵便局の年金ファンド(Postalis)で損害総額は80億レアルに達すると予想されている。(2016年9月13日付けエスタード紙)

 

 

徳倉建設株式会社の桜井敏浩特別顧問が訪問

ラテンアメリカ協会常務理事、海外日系人協会理事を兼任の徳倉建設株式会社の桜井敏浩特別顧問と徳倉建設サンパウロ事務所の田中ジョージ技師が2016年9月13日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と中南米におけるの政治経済の動向や建設業界現状、激動中のブラジルの政治経済などについて意見交換した。

徳倉建設は40年前から中南米地域を中心に海外進出を積極的に推進、各国のインフラ整備に寄与、港湾工事、下水道、大学・病院建設など数々のプロジェクトを完遂している。ラテンアメリカ地域のエキスパートの桜井敏浩特別顧問が常務理事を務めるラテンアメリカ協会では、ラテンアメリカ時報を発行してラテンアメリカ地域の政治経済動向などについて最新情報を会員に提供している。

Fujiyoshi Hirata, Jogi Tanaka e Toshihiro Sakurai

 

【ラヴァ・ジャット作戦の影響で中堅建設会社にビジネスチャンス】

国内大手ゼネコン15社の内9社まで汚職スキャンダルに関与していたことで、中堅建設会社が建設業界の勢力図を塗り替える可能性が出てきた。ただし、その一部は設立間もない企業であるが既に違法献金や贈賄にも関与したと告発されている。

大手ゼネコンのアンドラーデ・グティエレスとリオ・グランデ・ド・スル州のトニオロ・ブスネロの間には、売上で50億レアルの差が開いている。このことは、いかに業界が恒常的に一部の大手に集中、支配されてきたかを示すものだ。だが現在、これらの数字の違いは、それぞれの企業の現実を示すパラメータと言えなくなっている。過去2年、業界大手の一角を占めるアンドラーデ・グティエレスがラヴァ・ジャット作戦により日ごとにその帝国を縮小させている一方で、トニオロ・ブスネロはまるで中国のような勢いでシェアを拡大、成長している。

2015年に、同社の収入は前年比18%増の7億2,000万レアルに達し、建設会社のランキングで9位に浮上した。1945年に設立された同社は、その前年のランキングでは21位、また建築会社を除外した場合のランキングでは14位だった。同社創業者の2代目の1人、ウンベルト・セーザル・ブスネロ取締役は、「今後数年で寡占が状態が弱まる大きなチャンスが我々に到来している」と現状を分析する。

同取締役は、ラヴァ・ジャット作戦に関係しているゼネコンの弱体化にフォーカスして営業攻勢をかけている。2014年に国内大手15社の内9社は、この時点まで国内の主要インフラ事業やコンセッション事業の中核を占めていたが、汚職スキャンダルへの関与が明らかになった。それ以降、これらの企業の多くが民事再生、工事の放棄といった事態に陥るなど、財務面だけでなく倫理面からも、新たな工事を請け負えない状態に置かれている。

分かりやすく言えば、ラヴァ・ジャット作戦が始まる前の2013年、オ・エンプレテイロ誌の業界ランキングによると、大手15社の売上は総額511億レアルだった。その翌年、この金額は304億レアルに減少した。過去10年にわたり業界で圧倒的な王者として君臨してきたオーデブレヒト、更に民事再生中のOASは、このランキング調査への参加を希望しなかった。

このように業界の大手が戦線を離脱する中、「中層グループ」と呼ばれる中堅が、戦略的な位置を確保し、建設業界の新たな勢力図を形成しつつある。「大手も市場にとどまるだろうが、そのシェアは大きく縮小する」と、KPMGの経営パートナーで政府投資とインフラ投資の専門家、マウリシオ・エンドウ氏は言う。

建設業界の巨人が去った後に生まれる空白を埋める候補者には事欠かない。候補者リストには、国民の大部分にはなじみのない名前だろうが、売上が数十億レアル規模に達するセルヴィング=シルヴィザンやARGといった企業がいるのだ。そのARGですら、メンサロン(買収工作費)スキャンダルで名前が挙がったほどの企業である。その他にも、過去に違法献金や贈賄容疑が掛けられたアルテレステのような企業が名を連ねている。同社は、高架橋や橋梁の建設を対象にした場合、連邦政府の資金の受け皿としては、2016年に第2位の規模の企業である。業界の状況などについて同社は、ノーコメントだとしている。

潜在的な可能性

ブラジル建設工業会議所(Cbic)のジョゼー・カルロス・マルチンス会頭は、ある金融機関の要請を受け、国内の重要な建設工事を担当する能力を持つ建設会社を30社選定した。その中の1社に、パウリテックがある。同社は2015年、2億4,900万レアルの売上を計上して2015年の建設会社ランキングで、前年の77位から17ランク上昇し60位となった。パウリテックのマルシオ・パウリケヴィス・ドス・サントス代表取締役は、「従来ならゼネコンが請け負っていたような大規模工事を受注している」と話す。なお、同社のポートフォリオでは公共工事がほぼ100%を占める。(2016年9月12日付けエスタード紙)
 

 

【中堅建設会社が民営化に照準】

中堅建設会社が、工事の受注だけでなく、高速道路と空港、港湾のコンセッション入札で大手ゼネコンが「退場」した後に空いたスペースの確保に向けて動き出している。

建設業界の国盗り合戦で、大手ゼネコンがこれまで担ってきたインフラ分野の投資家としての地位を奪おうと中堅建設会社が狙っている。これらの企業は、建設工事の受注にとどまらず、高速道路と空港、港湾のコンセッション入札、更に基礎公衆衛生事業における官民パートナーシップ投資計画(PPP)でも、参入の機会をうかがっているのだ。

だが、これらの事業で中堅建設会社による下克上が成功するには、連邦政府が規模の小さい企業が参入できるよう障壁を緩和する必要がある。第1に、事業そのものの規模を縮小する必要がある。コンサルティング会社KPMGのマウリシオ・エンドウ氏に言わせると、高速道路の事業認可区間を細分化して中堅建設会社が扱うキャッシュの規模に収まるようにするのだ。この場合、コンセッション事業はよりシンプルになり、高速道路や空港などでは地下鉄事業以上に、これまで以上に小規模のグループに受注のチャンスが拡大すると同氏は言う。

建設会社バルボーザ・メーロの持ち株会社のブルーノ・セナ社長は、「当社は技量を備えてはいるが、現在の民営化モデルで求められるような極めて大きな投資を進めるだけの会社規模を持たない」と話す。同社は、ラヴァ・ジャット作戦が始まる前の2013年、コンセッションとPPPの事業入札に応札しようと、建設事業部門を立ち上げた。

2015年、ベロ・オリゾンテ市役所と交わしたのが最初の契約だ。同社は今後20年で、コンソーシアムへの参加企業として、5億レアルを投資してミナス・ジェライス州の州都で、街灯のメインテナンス事業を推進する。さらに同社は、国内最大のボトルネックの1つと位置付けられる高速道路と空港、港湾、下水処理事業も有望だと受け止め機会をうかがっている。「市場は現在、浮き沈みの激しい状況。そして、市場がやせ細った状況だからこそ、バルボーザ・メーロのような保守的な企業が頭ひとつ抜けていくことができる」とセナ氏は言う。

このように強い関心を寄せているにも関わらず、中堅建設会社の経営陣は、連邦政府の投資計画の進め方は明瞭さを欠いていると不満を述べる。その上、ラヴァ・ジャット作戦の捜査対象となったゼネコンだけでなく、業界全体に対する信頼性も失われている状態だ。「良く練られていない計画を、私は一切信じない」とトニオロ・ブスネロのウンベルト・セーザル・ブスネロ取締役は話す。同社は過去に、サンパウロ州とパラナ州、リオ・グランデ・ド・スル州の高速道路事業入札に参加した経験がある。

こうした状況下で、将来予定されている事業入札でパートナーを組むべく、外資系企業による建設会社の調査も行われている。今のところ、これらはすべて、対話段階にとどまる。「より深い分析は、入札図書が公示されてからになるだろう。その時になって、事業入札に応札できる条件が備わっているかどうかが判明するだろう」。

照準

 ただし、一部の建設会社は事業内容を多様化するのではなく、建設工事の受注拡大に照準を合わせている。SAパウリスタの公共工事の専門家、ジャイメ・ジュラスゼキ氏は、「当社のビジネスは飽くまで建設事業だ」と話す。同社は2016年、高速道路と鉄道の建設工事において、連邦政府の受注額で第3位に入った。

SAパウリスタとは逆に、ドイツのホッホティーフのDNAには、公共工事の文字はない。ブラジル経済の奇跡と呼ばれた60年代にブラジルに進出して以降、同社は、民間部門からの受注ンに中心にしてきた。それ以降、様々な浮き沈みを経験し、2009年には業界の寡占傾向が強まったことで、ブラジルから撤退する瀬戸際まで追い込まれた。だが同社は、自社の立ち位置を確保するためには適切な時節の到来まで辛抱することを知っていた。

同社のデトレフ・ドラレ社長によると、2015年に大手ゼネコンが市場から姿を消したことで、ホッホティーフは総額13億レアルの工事を受注し、国内第14位の建設会社へと浮上した。「2015年は、当社の歴史上最高の1年だった」。同社長は、ブラジルでは投資を進めていくのに小規模の企業と足並みを揃えていく必要があると受け止めている。だが、中小の建設会社には限界がある。BMAの経営パートナー、エドゥアルド・カヴァリャエス氏は、大規模な工事には、小規模の建設会社が備えていない事業能力が求められると言う。このような場合、プロジェクトを細分化することも選択肢のひとつと指摘した。(2016年9月12日付けエスタード紙)
 

特許庁総務部国際協力課の松下公一地域協力室長が訪問

特許庁総務部国際協力課の松下公一地域協力室長並びに特許庁審査第四部映像システムの岡本正紀審査官、ジェトロサンパウロ事務所の二宮康史次長が2016年9月12日に商工会議所を訪問、平田藤義事務局長並びに天谷浩之アドバイザーと両国の特許などについて意見交換を行った。

Fujiyoshi Hirata, Hiroyuki Amaya, Yasushi Ninomiya, Masaki Okamoto e Koichi Matushit

Foto: Rubens Ito / CCIJB

ラヴァ・ジャット作戦汚職関連の大手ゼネコン撤退で中小ゼネコンが浮上

連邦警察の特別捜査「ラヴァ・ジャット作戦」汚職疑惑によるペトロブラス石油公社や大手ゼネコンの相次ぐ経営陣幹部の逮捕者続出、コンセッション入札参加禁止、米国格付け会社によるゼネコン企業の格下げ、株価の大幅下落、商業銀行からのクレジット停止などの要因で、大手ゼネコンは軒並み売上減少並びに経営危機に直面している。

南部地域のインフレ整備関連公共事業請負では、飛びぬけた存在であったAndarade Gutierrez社の売上は過去2年間で大幅な減少、しかし南大河州に本社を構える中堅ゼネコンToniolo Busnello社の2015年の売上は、反比例するように前年比18%増加の7億2,000万レアルを記録している。

2015年のゼネコン対象の売上ランキングでは、Toniolo Busnello社は21位に急上昇、今後数年間以内にブラジルのゼネコン業界の公共事業分野では、過去の寡占状態からの開放が進むと同社のウンベルト・セザール社長は予想している。

ラヴァ・ジャット作戦汚職問題が発覚する前の2013年のブラジル大手ゼネコン15社の売上総額は511億レアルに達していたにも関わらず、2015年には304億レアルまで減少、長年業界最大手のOdebrecht社並びにOAS社では企業更生法の申請を余儀なくされている。

ブラジル国内のゼネコン30社は、大型公共事業を請け負える能力を擁しているとブラジル建設工業会議所(Cbic)のジョゼ・カルロス・マルティンス会長は説明している。

2013年の建設業界の企業売上ランキングではOdebrecht社がトップであったが、 2015年はトップ15社から圏外に転落、前記同様に2位のAndarade Gutierrez社は逆に業界トップに上昇している。

前記同様に3位のOAS社は圏外、4位の Camargo Correa社は3位に上昇、5位の Queiros Galvão社は3位に上昇、 6位のGalvao Engenharia社は圏外、 7位のConstrucap社は7位を維持、 8位のMRV社は4位に上昇、9位の Racional社は圏外、 10位のARG社は13位に下落となっている。

11位のCarioca社は6位に上昇、 12位のDirecional社は5位に上昇、 13位のMendes社は圏外、 14位のMetodo社は9位に上昇、15位の Barbosa Mello社は圏外に下がっている。(2016年9月12日付けエスタード紙)

ブラジル市場縮小でGM及びフォードがラテンアメリカ市場で赤字計上

過去2年半で米国資本GM社及びフォード社は、ラテンアメリカ市場で39億ドルの赤字を計上、ラテンアメリカ市場の60%を占めるブラジルでの販売不振が牽引して、大幅な赤字計上を余儀なくされている。

2014年のフィアット社のラテンアメリカ市場での決算収支は、2億1,400万ドルの黒字を計上したにも関わらず、2015年は一転して7,800万ドルの赤字に転落、今年上半期は1,000万ドルの黒字を計上している。

しかし今年上半期のフォード社のラテンアメリカ市場での決算収支は、前年同期比40%増加の5億2,100万ドルの赤字を計上、GM社も1億8,800万ドルの赤字を計上しているが、前年同期の3億5,800万ドルの赤字から改善している。

ブラジル国内市場の年間自動車生産能力は、過去数年間の新規参入組による自動車工場建設が相次いだ要因で、年間530万台に達しているにも関わらず、各自動車メーカーの平均設備稼働率は50%を割っており、集団休暇やレイオフ、希望退職制度導入などでコスト削減を迫られている。

しかしブラジルの自動車メーカーでは、レアル通貨に対するドル高の為替で自動車輸出が赤字軽減に寄与しており、2015年の自動車輸出は前年比25%増加の41万7,000台を記録している。

今年のブラジルの自動車輸出は、大半がラテンアメリカ市場向けで50万台を上回ると予想されているが、ラテンアメリカ市場は規模が小さく、輸出は為替に左右されているのが現状であり、ラテンアメリカ市場以外の開拓が急務となっている。

ブラジル国内の自動車市場では3万台のロボットが稼働しているに過ぎないが、世界平均に達するには20万台のロボットを導入する必要がある。またブラジルのモデル別の平均自動車生産は年間3万台に留まっているものの、米国は11万台、メキシコでも9万台、ドイツは8万台となっている。

モデル別の平均自動車生産がわずかに3万台のために、新モデルに対する投資額がコンペティターを大幅に上回って競争力を削がれており、自動車部品業界の受注減によるパーツ供給問題も発生して、更にコスト上昇で価格競争力が減少している。(2016年9月12日付けエスタード紙)

 

コラム記事【ジウマが戻るなら?】

セルソ・ミンギ

まずは、ジウマ大統領が統治のためにどのように政治基盤を糾合するのか、考えて見る必要がある。

可能性としては極めて低いものながら、次の質問には重要性がある。すなわち、ジウマ大統領が上院で最低限の票を集めて共和国大統領に復帰していれば、今後2年と少々の経済政策はどのようなものになりえただろうか?

8月31日に上院の弾劾裁判で最終弁論に立ちミシェル・テーメル暫定大統領の経済政策に対して痛烈な批判を浴びせたジウマ大統領。これは、彼女が復帰した場合、異端的な経済運営モデルを採用するであろうことを示唆している。

それがどのようなものになるのかは、示すことはできない。何から何まで失敗に帰した後で、人為的な消費と公債の肥大をベースにした新マクロ経済マトリックスなるものをジウマ大統領が再び持ち出すことを想像するなど無意味なはずだ。しかしながら、彼女の供述によると、自身の新しいメニューには、今後20年にわたって歳出を過去のインフレ率に制限するという内容で国会に提出される憲法修正案(PEC)は存在しない。彼女の政策が何かは知らないが、公会計はどのような状態に置かれるだろうか?

テーメル政権が検討を進めている年金制度改革と労働制度改革を批判するからには、新生ジウマ政権では、これらの改革はできる限り先送りされるのだろう。

むしろ、最も重要な問題はマクロ経済の方向性を単純に選択するより外の部分にある。まずは、ジウマ大統領が統治のためにどのように政治基盤を糾合するのか、考えて見る必要がある。一連の経緯から、彼女は、今では敵となったミシェル・テーメル大統領が率いるPMDBを、従来のように期待できない。ブラジル民主社会党(PSDB)と民主党(DEM)も同様に、期待できないだろう。

さらに労働者党(PT)ですら、既に2通の通達(2月の未来は改革により取り戻す、および、5月の包括問題に対する解決策)において、同党の分析として、ジョアキン・レヴィー財務大臣とネルソン・バルボーザ企画大臣が推す経済政策は「不労所得者の要請に屈した」もので、過度に新自由主義に傾き受け入れられないと評価されている。

最低限の信頼回復に対して政治的に深刻な障害を抱えていることが想定されることから、ジウマは、事前に、新たな共和国大統領の前倒し選挙のための国民投票の実施と、統治に関する国民との約束を確立すると訴えた。だがそうした計画ですら、弾劾プロセスを通じた広範囲に及ぶ消耗戦を展開した後に敵と味方を糾合する必要があるという、多難な政治的状況が予想されるのである。

理由は他でもない。連邦政府の政策条件を整えるには実に多くの困難が伴うために、ジウマ大統領が復帰する場合、それもアメリカの利上げに伴う国際市場のドル高とラヴァ・ジャット作戦の新たな告発が伴うことになれば、パーフェクトストリームを生み出しかねないということにあったのだ。

それに、2018年の選挙対策に問題を生じさせかねないため、彼女が所属するPTですら、彼女の政権を構想するのを拒んだという状態だ。

確認しよう

失業率は上昇し続けており、低下する兆しは見えない。継続的全国家庭サンプル調査(Pnad Continua)によると、2016年7月までの3か月間の失業率は11.6%、失業者数は1,180万人に達した。明るい話題は、労働者が得る実質収入が2月までの3か月間と比較して、横ばいで推移していることだ。それでも景気が反発し始めたと見える兆候はどこにもない。状況は引き続き、負の連鎖が根強い状況にある。すなわち、失業が消費を減らし、これが生産を縮小し、その結果として失業を生み出している。(2016年8月31日付けエスタード紙)
 

 

論評【沈没した年金ファンド】

スエリー・カルダス

ここに至って、国内4大年金ファンドはしかるべき扱いを受けるようになった。すなわち、警察による捜査だ。しかも今回の容疑は、ラヴァ・ジャット作戦のセルジオ・モーロ判事の不当捜査などと不満を表明できるようなものではなく、ブラジリア裁判所の措置であり、嫌疑が掛けられた80億レアルの凍結も認められている。この金額は告発済みだ。連邦警察によるグリーンフィールド汚職捜査で最も印象的なことは、巨額の資金が動いていただけでなく、その不正がおよそ10年という長期にわたり、かつ、その間にも監督機関がそれを見抜いて責任者を処罰できなかったということだ。年金ファンドの事業に対する政府の介入と、投資として贈賄する企業、制度に対して敬意の片鱗もない政治家と組合関係者、脆弱な審査体制、政府の思惑を優先する事大主義といったもろもろが積み重なり、長年にわたり絶望的な金額の損失を生じさせ、ここへ来てようやく連邦警察の捜査の手がかけられた。

過去数年、ブラジル銀行員年金ファンド(Previ)とペトロブラス従業員年金ファンド(Petros)、連邦貯蓄銀行員年金ファンド(Funcef)、郵便公社従業員年金ファンド(Postalis)は、総額で530億レアルにも達する信じ難い累積損失を計上してきた。これら国内4大年金ファンドには31万5,000人が加入しており、FuncefとPostalisの場合、連邦貯蓄銀行と郵便公社の従業員と年金受給者が、損失を補填するために給与あるいは給付額が減額されている。次は、ペトロスで同様の措置が講じられるだろう。その経緯に目を転じれば、これは、直接的に監査に責任を負い社会保障院総裁直属の国家民間年金庁(Previc)だけが責任を負うというものではなく、金融取引を監督する証券委員会(CVM)も不正行為に見向きもしなかったかこれを見落としていたのだ。中央組合とこれらの企業の労組は、街頭に出て年金ファンド理事会に対して抗議しファンドの権利を要求し、関係者を追い出すべく説得すべきだ。なぜそう言えるのか?

単純に、彼らが損害に関係し、かつ利害関係者であり、責任者であるという理由だ。現在の規定に基づけば、ファンド・マネージャーの理事会の半数はファンド支援企業が指名し、残り半数を公社社員を代表する組合が指名する。そのため労組幹部も、グリーンフィールド汚職捜査でこれから何人かが逮捕されるような不正行為に対して、同じく責任がある。リスクに気づかなかったという主張はできないはずだ。なぜなら、彼らが金融取引を行った時点でその債券は既に虫食い状態だった。ベネズエラの国債、完全に不履行状態のアルゼンチンの国債、あるいは、取引直後に廃校し多数の学生を卒業証書を持たせずキャンバスから放逐したガマ・フィーリョ大学の無担保社債。PetrosとFuncef、Previは、ペトロブラス向けのリグ船を供給するはずだったが民事再生に至ったセッテ・ブラジルに対する投機で、33億レアルを失った。

ルーラ政権が発足した2003年の時点で既に、捜査対象になっている4大年金ファンドの内3団体が、労働者党(PT)の党員である労組関係者と、ラヴァ・ジャット作戦で逮捕された別の労働者党員ジョアン・バカーリ・ネット被告が当時理事を務めていたサンパウロ銀行労組出身者の手に移された。すなわち、9月第2週に連邦警察に証言したセルジオ・ローザ容疑者がPrevi理事長となり、Funcef理事長は、同様に数日前にエスピリト・サント州で逮捕されたギリェルメ・ラセルダ容疑者、Petros理事長にはワグネル・ピニェイロ氏が就任したのだ。この3人は、行動の足並みを揃え、ファンドの資金を使ってPTを支援する活動を考え出した。それは結果的には推進はされなかったが、バカーリ・ネット容疑者が理事長を務めた銀行協同組合をモデルに、当時はPTに所属していたマルタ・スプリシー・サンパウロ市長が率いるサンパウロ市に関連した住宅組合を設立するというアイデアなどだった。

民間年金ファンドの管理運営を金融資産運用の専門家に任せ、理事会に政治家や労組理事の指名を難しくさせようとする法案は、上院で可決済みだ。だが中央労組は、審議を下院に差し戻すことに成功した。同法案は進歩と言えるが、しかし、査察の厳重化という面では敗北を喫した。誠意に欠ける理事たちを抑制するには、インターネット上にそれぞれの年金ファンドの業績掲載するのをPrevicに義務付け、それらの企業の労働者と年金受給者に対して彼らの資産の運用を監査する機会を与えることが効果的だろう。(2016年9月11日付けエスタード紙)

スエリー・カルダス ジャーナリスト、リオ・カトリック大学(PUC-RIO)教授
 

CIATE国際シンポジューム―コラボラドレス会議、文協で開催 (2016年9月10日)

国際就労者情報援護センター(CIATE)の二宮正人理事長は10日(土)田中克之海外日系人協会理事長、ブラジル外務省および労働雇用省の担当官等を招いて日伯文化福祉協会(文協)貴賓室において「日本で働く日系ブラジル人労働者のこれから~新たな展望~」と題し国際シンポジュームを開催した。

二宮理事長が開会挨拶、日本への出稼ぎ者は2007年の30万人余をピークにリーマンショック時から激減、現在約17万5千人が日本に在住している。2~3世等日本に永住あるいは長期の滞在者の定住組は日本に子供が居て日本の大学を卒業している時代になった。日本政府は日系人の定義を拡大していただき、特に在留資格について、4世以降の日系人についても日系3世と同様な取り扱いの配慮が必要だと言及した。

ブラジル外務省や労働雇用省の担当官等が日本在住の出稼ぎ者の国籍および男女構成比、就労動態、定住者の比率、犯罪者数、日伯社会保障協定に基づく厚生年金加入者、中小零細企(起)業支援政策、子弟教育等々についての実態報告。

また田中理事長から公益財団の海外日系人協会の沿革の説明後、アンケート調査を基に日本の地域別永住あるいは長期滞在者、住宅所持者、健康保険や年金制度の加入状況、不安定な雇用関係、一番懸念課題とされる子弟教育、地域の市民社会との関係等々についてレクチャーを行い参加者から大きな反響を呼んだ。会議所から平田事務局長が参加した。