ゲルダウ社は負債削減で資産売却を業界で率先

中国経済が低迷する中で世界的な鉄鋼需要低迷で、世界の各鉄鋼メーカーは一斉に生産調整を余儀なくされており、またブラジルの鉄鋼メーカーも更なるドル高の為替で早急な負債削減を余儀なくされている。

ブラジル鉄鋼メーカーでも負債総額が大きいゲルダウ社は、2006年から傘下に置いているスペイン国内の特殊鋼生産の製鉄所売却を発表しており、他の鉄鋼メーカーと比較して負債削減計画では先行している。

ナショナル製鉄所(CSN)並びにウジミナス製鉄所でも負債削減で自社資産の放出を余儀なくされているが、特にナショナル製鉄所(CSN)の負債総額は266億レアルに達しており、資本参加している水力発電所や港湾ターミナルや傘下の製缶メーカーの持ち株売却が有力視されている。

また負債削減のためにウジミナス製鉄所は10億レアルに達する増資、資本財のウジミナス・メカニカ社の売却でスイスクレジット銀行と契約、ゲルダウ社はスペインのSIDENOR社の売却では、負債総額6億1,500万レアルを含めて1億5,500万ユーロでの売却を予定している。(2016年5月23日付けヴァロール紙)

 

5月の懇親昼食会に200人が参加して開催

5月の懇親昼食会は、2016年5月20日正午から午後2時までチボリホテルに200人が参加して開催、進行役は平田藤義事務局長が務め、初めに特別ゲストの福嶌 教輝 在アルゼンチン日本国大使館特命全権大使を紹介した。

初めに村田俊典会頭は、4月25日にブラジリアで開催されたメルコスール大使会議に平田事務長と共に出席、メルコスール諸国大使と流動的な域内政治経済の諸問題について意見交換、また日伯交流委員会活動報告として、8月10日の日本対スエーデンのオリンピックサッカー試合のパブリックビューや広告バナー、定価170レアルで予約開始した「現代ブラジル事典」、第4回政策対話委員会とブラジル商工省とのブラジル自動車サプライヤー育成並びにドローバック制度改善、6月の下院公聴会への出席予定などについて説明した。

商工会議所の顧問弁護士である佐伯ジョージ弁護士は、佐伯弁護士事務所の住所移転について説明、市川利雄 県連副会長は、県連主催の『第19回日本祭り』出展ブースの紹介、呉屋晴美 文協会長は、文協主催の『第10回文化祭り』の紹介、ベッチ・ポンテ NEOJIBAディレクターはブラジル三井物産基金支援プロジェクト『NEOJIBA』について、音楽活動を通した社会貢献プログラムとして、ブラジル北東部バイーア州における青少年の音楽教育プログラムで、貧困層の子どもたちが参加できる子どもオーケストラを設立、その活動を通して子どもたちの自己実現の場の拡充推進などについて説明した。

佐藤 卓夫 在サンパウロ日本国領事は、外国青年招致事業JET(The Japan Exchange and Teaching Programme)について、外務省並びに文部科学省,総務省の協力のもと,地方公共団体が諸外国の若者を特別職の地方公務員として任用し,日本全国の小学校,中学校や高校で外国語やスポーツなどを教えたり,地方公共団体で国際交流のために働いたりする機会を提供する事業であり、過去20年間で100人が研修、サンパウロ管内から24人が研修していることなどを紹介、OB 会長のCristina Izumi Sagara 女史は、都市開発計画を岩手県盛岡市で研修、ポルトガル語および日本語が流暢に話せるOB 採用を要請、またClécio Donizete Lima OBは、東京大学で博士号を取得、日本に13年間生活後にブラジルで通信教育の会社を設立したことなどを紹介した。

トヨタのエジソン・ナリマツ セールスプランニング ジェネラルマネージャーは「メリット満載で購入が容易となったハイブリッド車」について、IPVA税が50%減税される特典、ラインナップの整ったハイブリッド車、サンパウロ市内の店舗ネットワーク、日本語・ポルトガル語・英語による窓口相談などについて説明、ジェトロサンパウロ事務所の大久保敦所長は、7月12日から15日にかけてアルゼンチン・インフラミッションについて、マクリ新政権のもと、今まで投資停滞による老朽化したインフラ設備更新政策を掲げているアルゼンチン政府の事業展開向けミッションは、マクリ大統領や政府高官との意見交換会への参加を説明した。

着任挨拶で伊藤忠ブラジルの今井重利氏は4月11日に着任、中南米ブロック担当、商工会議所では貿易部会長に就任、バックグランドとして鉄鉱石などの資源でオーストラリアのパースに駐在していたと説明、丸紅ブラジルの藏掛 忠明氏は5月10日に着任、日伯法律委員長を担当、長年、航空関係のビジネスに従事していたと説明、JAPAN BANK FOR INTERNATIONAL COOPERATION (JBIC)の櫛引 智雄 首席駐在員は、ブラジルは通算3回目の勤務で前回は2005年から2008年までリオ勤務していたと説明した。

日本光電の栗田秀一社長はブラジルには4年間勤務、国家衛生監督庁(Anvisa)問題などビジネス障害で困惑していたが、メディカル分科会設立で多くのビジネス障害が除去できたとお礼を述べたい、特に平田事務局長の尽力にお礼を述べた。後任の市川幸太郎社長は栗田前社長のおかげで順調に営業ができていると説明、平田事務局長は2013年10月にメディカル分科会を立ち上げ、いろいろな問題を解決、400人が参加したメディカルセミナー開催で修好120周年を祝うことができた。メディカル分科会設立の立役者の一人である栗田社長に拍手をお願いしますと参加者の要請、最後に新入会員紹介ではT. IWAYAMA CONSULTORIA EMPRESARIAL EIRELLI-EPP の岩山 明朗社長は、日本生まれでブラジル育ち、ブラジルに58年住んでいる。41年間のサラリーマン人生の大半はインフラ関連事業に従事、退職後の3か月間は魚釣り三昧、家では料理シェフ、今後はコンサルタント会社を設立してブラジルのインフラ案件をサポートしたいと述べ、村田会頭から会員証が贈られた。

村田会頭が特別ゲストの福嶌 教輝 在アルゼンチン日本国大使館特命全権大使の略歴、サンパウロ総領事館の総領事時代には日系コロニア関連の153カ所を訪問、2015年からアルゼンチンに大使として着任していると紹介、福嶌 大使は「アルゼンチンの現状と見通し 新政権発足と今後の課題」と題して、最近のアルゼンチン情勢として、マクリ大統領の政権発足前後の内政、外交、経済の比較、新政権は他勢力と関係構築で一応「統治」可能、議会勢力図、州知事との関係、最近の議会を巡る情勢、ホールドアウト債権者への支払いを可能にする法案等可決の審議、最近のアルゼンチン外交情勢として、外交の脱イデオロギー化外交のリバランス・全方位外交の展開、より開放的なメルコスールを通じて他の経済圏との関係強化、オバマ米大統領のアルゼンチン訪問によるアルゼンチンと米国の通商と投資に関する枠組み合意、4月初めに核セキュリティ・サミット出席のためワシントンを訪問した安倍総理大臣は、マクリ・アルゼンチン大統領と首脳会談を実施、短期的には矢継ぎ早の経済改革で足枷除去に成功、中長期的にはマクロ不均衡是正と投資呼び込みが鍵、長年アルゼンチンを苦しめてきたホールドアウト問題が解決、ホールドアウト後のカントリーリスクや外貨準備高、ドル・ペソ為替レート、金融指標の推移、今後の海外投資家からの対内直接投資、原子力発電所や風力発電所、都市交通関連などの最近の中国からの投融資案件、アルゼンチンのマクロ経済政策の過去と現在・未来などについて講演、村田会頭から記念プレートが渡された。

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福嶌大使プレゼン資料  アルゼンチンの現状と見通し(サンパウロ)20150518(ダウンロードに多少時間がかかります)

講演中の福嶌 教輝 在アルゼンチン日本国大使館特命全権大使

福嶌 教輝 在アルゼンチン日本国大使館特命全権大使の講演の様子

「会頭挨拶」で会議所活動を報告する村田会頭

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

5月の労働問題研究会に30人が参加して開催

企業経営・地場企業推進委員会(鈴木ワグネル委員長)の労働問題研究会は、2016年5月19 日午後4時から6時過ぎまで30人が参加して開催、司会はリカルド佐々木副委員長が務め、Abe, Guimarães e Rocha Neto Advogadosのプリシーラ・モレイラ シニア弁護士は、「新法令13271号/2016-企業内における従業員に対する個人(所有物)検査の禁止」と題して、所持品検査が適法であるためには
①所持品検査を必要とする合理的理由があること
②検査の方法が一般的に妥当な方法と程度で行なわれること
③制度として従業員に対して画一的に実施されること
④就業規則他、明示の根拠に基づいて行なわれること
とされており、これらを満たしていれば所持品検査は一概に違法ではないが、裁判所ではは従業員の基本的人権の侵害を重視しているので、一般的にはメリットよりもデメリットの方が大きいので実施しない方が無難なことなどを説明した。

BDO RCS Auditores Independentes S.S.)のアドリアノ・コレア パートナーは、「サイバーセキュリティーについて」と題して、サイバーセキュリティー攻撃は、知的財産権や機密情報を狙いすました攻撃、抗議・デモを目的としたWebの書換えなどで攻撃目的は多様であり、Webサーバやネットワークやアプリケーションなどの脆弱性を狙うものもしくは、“なりすまし”で隙を狙うものなど、攻撃手法も様々で次から次へと形をかえて高度化しており、企業・組織においてサイバー攻撃への対策範囲はより広範囲となる一方で攻撃被害が発生すると法人企業の「機密情報」もしくは「信用」などが奪われ、業務停止や売上減少などの損失に結び付くために、それに対する多層防御対策について説明した。

Abe, Guimarães e Rocha Neto Advogadosのプリシーラ・モレイラ シニア弁護士 「新法令13271号/2016-企業内における従業員に対する個人(所有物)検査の禁止」

BDO RCS Auditores Independentes S.S.)のアドリアノ・コレア パートナー 「サイバーセキュリティーについて」

Ricardo Sasaki (Ajinomoto do Brasil), Priscila Soeiro Moreira (Abe, Guimarães e Rocha Neto Advogados), Adriano Corrêa (BDO Brazil) e Fernando Seiji Mihara (Stüssi-Neves Advogados) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

 

RI / CCIJB

メイレーレス財務・社会保障相は、年金改革では現役にも痛みを伴う可能性を示唆

僅か就任後1週間しか経過していないエンリケ・メイレーレス財務・社会保障相に対して、早急な財政改革を柱となる年金改革の早急な詳細発表が催促されている。

すでに年金・恩給受給者は年金改革の対象外であり、年金受給最低年齢として男性は65歳、女性は60歳、年金納付期間は男性35年間、女性30年間で年金改革が実施されるとの風潮が国民の大勢を占めている。

今後労働市場に参入する若年層対象の年金改革では、効果が表れるのは今後数十年後であるために、既得権利を擁している年金・恩給受給者にも影響が及ぶ可能性をエンリケ・メイレーレス財務・社会保障相は明確には否定していない。

エンリケ・メイレーレス財務・社会保障相はSBT放送局とのインタビューで、最低年金受給年齢が男女とも65歳は、国家財政の破たんを防ぐためには、多くに先進諸国で採用を余儀なくされていると説明している。

またメイレーレス財務・社会保障相は30日以内に新しい年金改革の詳細発表を予定しているが、国民に痛みを伴わない年金改革は存在しない上に、次期大統領にとってインパクトが非常に大きく、ブラジルが財政危機を脱出するためには、年金改革や構造改革に大ナタを振るわなければならないと国民の理解を求めている。

しかし中央統一労組(CUT/SP)のジョアン・カイレス事務局長は、メイレーレス財務・社会保障相が否定しない現役労働者にも影響が及ぶ年金改革に対して、年少児から労働を余儀なくされた貧困層へのダメージが最も大きいと反対している。

罷免による180日間の停職中のジウマ・ロウセフ大統領が発表していた個人所得税の税率変更並びにボルサ・ファミリアの調整、公務員のサラリー調整、通称「銀行小切手税」と呼ばれる金融取引暫定納付金(CPMF)の徴収再開などは、何も決定していないとメイレーレス財務・社会保障相は説明している。

またレアル通貨に対するドル為替の変動は、豊富な外貨準備金で充分対応が可能であり、今週ペトロブラスは67億5,000万ドルの社債発行では大きな需要があったために、更なる増資は必要ないとメイレーレス財務・社会保障相は説明している。(2016年5月19日付けエスタード紙)

 

ペトロブラス総裁にペドロ・パレンテ氏を指名か

ミッシェル・テーメル暫定政権下でエンリケ・メイレーレス財務・社会保障相を中心に経済再建を図るために人選を進めているが、ラヴァ・ジャット作戦関連汚職問題発生源のペトロブラス石油公社の総裁に、ペドロ・パレンテ氏が最有力候補に挙げられている。

ペトロブラス石油公社の総裁任命には、有価証券取引委員会(CVM)の規定でペトロブラス経営審議委員会が任命を行うために時間を要するが、アルデミール・ベンジーニ総裁が自ら辞任を申し入れればペドロ・パレンテ総裁誕生が即座に実現できる。

ミッシェル・テーメル暫定政権誕生時にペトロブラス石油公社の総裁にはモレイラ・フランコ氏の名前が挙げられたが、テメル氏の側近でウリセス・ギマリャンエス財団の会長、大統領府航空庁長官だった同氏のペトロブラス石油公社総裁就任に批判が集中していた経緯があった。

カルドーゾ政権で電力の配給制度を強行して電力危機回避で実力が評価されたペドロ・パレンテ元官房長官の総裁就任に対して、アルデミール・ベンジーニ総裁は非常に協力的であり、アルデミール・ベンジーニ総裁は辞任すると予想されている。

ペトロブラスは1,260億レアルに達する短期負債軽減のために、年内の100億ドルに相当する自社資産売却を計画、また1万2,000人に達する希望退職者を募っているが、すでに3,500人が希望退職制度に応じている。(2016年5月19日付けエスタード紙)

【論評】正鵠を射たテーメル大統領の貿易施策

タチアナ・パレルモ (Tatiana Palermo)

景気の回復という観点で、最も手早い手段は、輸出の拡大だ。

ビジネスの世界では、あなたは、自身に値するはずのものを受け取るのではなく、取引した対価を受け取る。交渉術のインストラクターでアメリカ人のチェスター・カーラス氏のこの至言は、国際貿易でブラジルのシェアが低い理由を的確に言い表している。

ブラジルは、ラテンアメリカと南部アフリカの国々、エジプト、イスラエルという、合わせてもわずか12か国に限って貿易協定を締結している。この貿易相手国の市場は、世界貿易のわずか5%なのだ。一方、チリは、貿易協定を通じて世界貿易の86%を占める国々の市場にアクセスしている。世銀のデータによると、国際的な平均水準でも40%を上回る。

農業生産で非常に競争力を持つブラジルだが、例えば、1,000%に達する輸入税を支払わされていたり、(食肉や砂糖など)特定の品目で輸入割当制度が適用されるなどしている。それ以外にも、ややもすれば、差別的で科学的根拠に乏しいような、規制と、煩雑な手続き、衛生基準、植物検疫基準といった多くの障害に直面している。こうした障壁は、中小企業ほど対応に苦慮させられる。

政界が信頼を取り戻した今、景気をより迅速に回復させる鍵は、輸出の拡大だ。市場の開放と拡大は、工業分野と農業分野、サービス分野の様々な業種で、最も基本的な対応だろう。

レアル安の為替相場を追い風に、輸出企業の業績は堅調で、より多くの需要家がいる市場へのアクセスを可能にしている。このことは、国内市場が依然として冷え切っている現状では、一層重要だ。輸出の拡大は、新規雇用を生み出して所得を上昇させる。これまで以上に国際競争にさらされることで、国内企業は、新たな潮流をつかみ、より革新的になる。

アメリカと環太平洋の11か国がまとまる自由貿易協定、すなわち環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を支持するアメリカのバラク・オバマ大統領が、これ以上にない適切なコメントをしている。すなわち、「競争を恐れて鎖国するために塀を築けば、世界中で発生している巨大なチャンスから国を遠ざけてしまう」。TPPは、1万8,000品目に対してアメリカ国民が支払っている関税を撤廃すると推算されている。

貿易の自由化は、グローバル・バリュー・チェーンへの参画と外国直接投資を呼び込む魅力の拡大につながる。2つの好例が、ベトナムとメキシコだ。両国ともTPPの参加国だ。ベトナムの輸出は、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国との協定を中心に、過去10年で4倍となり、2015年には1,620億ドルに達した。メキシコの場合、現時点で44か国と自由貿易協定を締結しており、昨年は3,810億ドルを輸出した。1,910億ドルを輸出したブラジルの、ほぼ2倍だ。

貿易協定を締結すると、市場競争がよりバランスの取れた条件になり得る。私たちは、我が国の競争力と効率、市場の補足能力を示すことができる。国際相場の低価格化と中国の需要後退により、関税を縮小させ非関税障壁を撤廃させる交渉は、これまで以上に緊急性を帯び、かつ、精力的に行われるだろう。

ブラジルの国際貿易に関する交渉はこれまで、ばらばらの方向を向いていた。大臣諮問機関として貿易交渉の方針を決定する貿易協議所(Camex)を率いた商工開発省(MDIC)は、外交政策に責任を負う外務省の方針と競合する関係にあった。

それだけでなく、MDIC内部でも、タコツボ化し対立していた。工業政策に傾倒する余り、国際的な競争から工業部門を保護する戦略を追及した。この戦略を貿易の自由化と調和させるのは困難だった。恐らくはそのために、ブラジルは、一部の業界あるいは特定の問題など限定的な例外を除き、2010年からこの方、貿易協定を締結してこなかったのだ。

この戦略の中で、アグリビジネス分野は無視された。農畜産品に対する国際的な関税率は、工業製品のそれを5倍も上回る。大きな市場を持つ国や地域と進められた様々な交渉は、いずれも、アメリカとその他の米州諸国が目指したアメリカ自由貿易圏(FTAA)のように立ち消えになったか、あるいは、メルコスルと欧州連合(EU)の貿易協定のように数10年にわたって因循してきた。経済ブロックとして交渉に当たるメルコスルの戦略は、多くのケースで、他の加盟国が方針に従わないと非難することによって、協定を締結しないための方便として利用されてきた。

一方で農牧食料供給省(MAPA)の場合、衛生植物検疫措置(SPS)と呼ばれる交渉を独自に仕切る権限が与えられている。貿易交渉と異なり、SPSに関してMAPAは、多省との調整に煩わされない。

2015年1月から2016年5月にかけてMAPAは、年間19億ドル規模で農畜産物を輸出できる可能性のある国々とSPS交渉で合意しただけでなく、24億ドル規模の輸出につながる可能性のある国々との交渉も開始した。その結果、2016年に輸出が再び上向いた。4月だけを見ても、アグリビジネス関連の輸出額は、前年同月比で14.3%増加してブラジルの総輸出額の52.5%を占めた。

同じような俊敏さを、貿易交渉にも持ち込む必要がある。その意味で、大統領がCamex総裁職を兼任するというミシェル・テーメル暫定大統領の判断は、正鵠を射たものだ。

だが、さらにその先に進む必要がある。つまり、Camexのトップを掌握するだけでなく、農業部門と工業部門、サービス部門のあらゆる業界を俯瞰した上で貿易交渉への取り組みを実際に集約化するということ。特定の業界に紐づけられる省とは無関係の、単一の機関が交渉を推進することが重要だ。その機関が責任をもって様々な業界から意見を集めて優先順位をつけることで、我が国の経済に一層生産的な形で交渉を展開できるだろう。

ブラジルは、自身に値するはずのものではなく取引したものから利益を得る。そしてそれは、取引をより大きく、より良くするのに値する。私たちは、こうすることによってのみ輸出を拡大し、経済危機を克服するのだ。(2016年5月17日付けバロール紙)

タチアナ・パレルモ 2015年1月から2016年5月にかけて農牧食料供給省国際関係担当局長を務めた。

AGIR第4回日伯政策対話

AGIR第4回日伯政策対話

日時: 2016年5月18日 (水) 午後3時~6時

場所: MICS – Ministério da Indústria, Comércio e Serviços (Esplanada dos Ministérios, Bloco J, Sala 622, Brasília – DF)

出席者
ブラジル側:MDIC/Margarete Gandini (SDP, Automotivo, Diretor), Renato Agostinho da Silva (SECEX, DECEX, Diretor), Luiz Miguel B. Falcão (SDP, Coordenador-geral), Maria Cristina Milani (SDP, Analista de Comércio Exterior), Ricardo Debiazi Zomer (SDP, Automotivo, Analista de Comércio Exterior), Pedro Henrique de A. Reckziegel (SDP, Automotivo, Analista de Comércio Exterior), Nazar Raad (SDP, Automotivo), Jomara de Carvalho Ribeiro (SDP, Analista de Comércio Exterior), Temístocles Lisandro Sena Loiola (SDP, Analista de Comércio Exterior), SEMPE/Flavio Martins Pimentel, ABDI/Simone Uderman (Especialista em Economia), APEX/Karina Bazuchi (Coordenador), SENAI/Mateus Simões de Freitas (Instituto de Inovação, Gerente), Tatiane S. Guimarães (Instituto de Inovação, Especialista), SINDIPECAS/Delile Guerra de Macedo Jr. (Assessor de Relações Governamentais)

日本側:在ブラジル日本大使館/小林和昭参事官、ブラジル日本商工会議所/パウロ・タケウチ産業競争力強化・中小企業育成WGグループ長(ホンダサウスアメリカ)、東崇徳労働WG副グループ長(ブラジルトヨタ)、広瀬大輔自動車部会副部会長代理(ブラジルトヨタ)、浜本香織副部会長代理(ブラジルトヨタ)、平野秀幸産業競争力強化・中小企業育成WG委員(ブラジルデンソー)、石丸卓産業競争力強化・中小企業育成WG委員(ジャイカブラジル)、栗原環産業競争力強化・中小企業育成WG委員(ジェトロサンパウロ)、天谷浩之アドバイザー、吉田章則調査員

 ブラジル側の開会挨拶を務めたルイス・ミゲル・ファルコン開発商工省自動車部門ダイレクター代理は、ブラジルの産業競争力強化と国内産業保護の兼ね合いについて、ブラジル政府が、国際的に競争力のある農務省や農業政策に比べて、開発商工省の産業政策に力を入れていないことは懸念していると述べた。また、ブラジルの裾野産業を国際競争力のある輸出企業に育てていくには、国内産業保護もあるが外資系企業からサポートは不可欠であるとした。そして、世界の経済大国と新しく貿易協定を結び、輸入関税の障壁を取り除くよう進めていきたいとした。また、AGIR提言にあるような制度の簡易化を含めたビジネス環境を整備していくことも、開発商工省の役目であると認識していると語った。

 日本側の代表を務めたパウロ・グループ長は、本日議論されるテーマは、民間企業が日々事業を行なう上で直面している課題を指摘しながら改善提案を行なっていると述べた。産業競争力強化には、官民で協力し、更なる制度改善にむけた継続した活動の重要性を伝えた。産業保護より、いかに産業競争力を強化していけるかという観点で、将来の展望を見据えながら、どう技術を伸ばしていけるのか、一緒に議論しながら問題解決に努めていきたいとした。また、全ての製品や産業機械を自由に貿易ということではなく、Ex-tarifarioリストのように、製品や機械を選びながら少しずつ規制緩和をしていくことも議題の一つになっていると語った。

 先ず始めにドローバック制度の議論が行なわれ、カマラより、部品の多い自動車は輸出をする際にどの部品を輸出したかを紐付けするのが難しく、制度を活用するためのシステム化を導入しても、この制度の事務処理だけに7-8人の従業員を要していると説明した。ドローバック制度の簡素化は、コスト削減や輸出拡大に繋がっていくと訴えた。また、ドローバック制度のオリエンテーションや説明会など、もっと制度の周知をしていくことも提案した。最後に、①企業登録制の導入、②輸出証明について一括申告方式の導入、③同一商品同一量の要件撤廃を提案した。これらの提案に関し、ブラジル自動車部品工業会(Sindipecas)代表者の賛同も得た。

 これに対し、レナト・ダイレクターは、ドローバック制度は、2008年以来簡易化の制度改善が進んでいると説明した。特に2014年~2015年にかけて、システム化が進み、管理の時間短縮が実現している。その一つとして、技術鑑定書(Laudo Técnico)の提出において、受託書(Ato Consecionario)毎ではなく、全く同じものを生産し輸出するのであれば、同じ技術鑑定書が何度も使えるように簡易化されているとした。また、輸入製品と輸出製品の製品毎の完全紐付けの緩和も行なわれ、まとめて申請できる融合性ドローバックが活用できるようになっており、輸入製品の代替が可能となり、在庫を分ける必要がなくなったと説明した。今後も制度改善を進めていくが、管理は今までどおり厳重にしていくのが政府の方針であると伝えた。また統計上、自動車部品産業のドローバックの活用率が低いことから、SINDIPECASとカマラと一緒に、融合性ドローバックや中間ドローバックに関する説明会等のイベントを開催することを提案した。

 次の議題である中古機械輸入規制に関しても、同じくレナト・ダイレクターより説明が行なわれた。この規制の目的は、海外からの中古輸入品と国内製造品の不適切な競争を除くこと。もう一つは、環境に関する点で、中古機械がゴミ捨て場としてブラジルに輸入されないようにしていると述べた。特に中古機械設備の輸入許可に関しては、不適切な競争を防ぐ為に、国内で製造していないかどうかを診断することが条件となっているとした。その手続きとしては、Consulta Publica(国民の意見聴取)を30日間行い、仕様書やカタログなどを提出することで、国内の製造業が国内生産類似品の声明をできるようになっている。その際の技術スペック診断は、ケースバイケースになっている。技術スタッフが全ての技術を把握できないので、輸入申請者が、いかにブラジルで製造できない中古機械設備であるかという証明をすることが影響すると説明した。生産ライン一式を輸入する場合は、プロジェクトの提出、一部製品の国内調達条件、ABIMAQなどの経済団体との合意が要求される。また、Ex-tarifarioリストにある設備の輸入に関しては、関税の恩典は得られないが、国内生産類似品の診断なしで輸入ができ、ある特定の設備に関しては、規制が緩和されている。また、中古機械輸入規制法令Portaria DECEX 8/91(DECEX法令規則第8号)が古く、法改正を検討する専門家チームが設立され、調査を始めているのでAGIRの様々な改善提案もこの調査の中に取り入れていきたいと述べた。

 カマラからは、中古機械や設備を輸入手続きの制度改善がはかられれば、ブラジルへの投資の機会が増えるとし、今後もブラジル政府と一緒に中古機械輸入制度の改善活動を続けていきたいと伝えた。

 次に、SENAIのマテウス・マネージャーからブラジル生産性向上計画(Brasil Mais Produtivo)についての説明が行なわれた。ブラジル全土で同じ品質を保ち、生産性を上げるため、特定の産業、特定の地域で活動していく計画で、400人の講師が120時間現場を訪問して、リーン生産方式の導入をはかり、生産性向上を目指す。最大の成果をあげるため、4つの地域集約型の産業(機械金属産業、食品飲料産業、繊維産業、家具産業)が選ばれ、地域経済効果も分析することになっている。この計画の中には、自動車部品産業に関わる機械金属産業が含まれており、サンパウロ州、サンタカタリナ州、リオグランデスル州他で、Sindipecasの会員企業も活用できる。また、中小で従業員数が11-200人の企業が優先で、参加費用は、コスト全体のR$18,000のうち、企業負担はR$3,000となっている。目標は、2017年までに3000社を訪問、各社20%の生産性向上を目指している。Brasil Mais Produtivoは、MDICがコーディネートし、ABDI、APEX、BNDES、SEBRAEなどからの支援のもと、生産性向上という一つの目標のためお互いに協力しながら活動している。

 この計画に関し、今後機械金属産業以外の自動車部品関連事業も含められるよう幅広く活用できることを期待していると伝えた。また、実際に成果の上がった企業の情報を共有してもらうことで、日本企業から問い合わせがある供給先紹介にも活用できるとした。また、JICAからは、自動車部品産業の講師の方に、日本のモノ作りを知ってもらう内容の人材育成研修プログラムをデザインしている段階だとの説明が行なわれた。特定の技術分野の育成より、品質管理や生産管理が中心で、日本の自動車メーカーのこだわりといった、日本の文化や心など、どちらかというとマネジメント人材の育成になる。そして研修から帰国した講師陣には、日本企業と取引のある企業や日本企業と取引したい企業を優先に対応できる仕組みが構築できれば良いと述べた。また、カマラの委員から、日本とブラジルの中小企業の違いについてのコメントがあった。リーン生産方式とは、ムリムダを突き詰めて省いていって生産性を上げることで、ジャストインタイムという言葉で表現されることもある。在庫を最小限に絞るので、何か問題が起きたときに、すぐに立ちなおしをしなければいけない。その際、それぞれの技術分野が独立して機能するのではなく、連携して協力していかなければ、現場での早期問題解決は難しいと語った。個別の技術レベルを向上させスペシャリストを育てると同時に、技術分野をまとめるマネジメント人材の育成も必要であるとした。企業哲学や日本文化にも関わるが、ブラジルでも皆で助け合っていく姿勢が現場で向上すれば、リーン生産方式も根付いていくとの議論が交わされた。

 Simples Nacionalについてカマラより、①利用対象企業の拡大、②法人所得税の還付制度の導入、③利用対象外の企業との税率格差の緩和、④他の税優遇措置の利用を可能にする併用条件の設定を提案した。それに対し、中小企業省のフラビオ氏は、現在下院を通過し、上院で議論されている改定補足法案第125/2015号が国会を通過することで幾つかの課題が改善されると説明した。この改定法案では、Simples Nacionalを適用できる売上額上限が、零細企業においては36万レアルから90万レアルまで、そして小規模企業の場合は360万レアルから1440万レアルまで引き上げられ、自動車部品サプライヤーの利用対象企業が拡大すると説明した。ただし、360万レアルの上限を超えると、ICMS税は計算式から外れることになる。ブラジルの零細企業の会計管理の現状より、法人所得税の還付制度を含めることは困難であるとの意見が得られた。また、改定法案では「成長を恐れない制度」という目標のもと税率表が設定され、急激な増税がなくなり税率格差は緩和されるとした。また、通関の特別優遇税制と輸出優遇措置の活用はできるよう、ドローバックやRECAPは活用できるようになるとの説明があった。AGIR活動で中小企業庁のテーマが議論される場合は、協力していきたいと述べた。

 最後に、自動車裾野産業育成策として、ブラジルで育成していく分野と、今から頑張っても勝てない分野、海外から持ってくる分野を分けて考えることが議論された。パウロ・グループ長は、ブラジルでは、鍛造や塗装分野などの技術が発展してきており、これは、人材育成や税優遇策などを通じて努力してきた結果だと述べた。その反面、トランスミッションやエンジンなどグローバルスタンダードに達していない分野も存在するとした。中小企業育成で早く産業が発展する分野もあるが、時間をかけて産業育成をしていかなければならない分野もある。技術不足で必要な部品が調達できない現状があり、すべての技術分野を同じように開発していくのではなく、技術分野別の産業施策を考えていく必要があると訴えた。

 これに対し、ルイス氏は、技術分野別の産業施策に対する民間のイニシアティブに期待していると述べた。最後に、今回議論できなかったBNDESのFINAME制度を含め、今後も自動車裾野産業育成事業や制度改善等に関し、継続的な政策対話をカマラと一緒に行っていくことが重要であると語った。

Fotos: Akinori Yoshida / CCIJB

三井物産戦略研究所国際情報部北米・中南米室の片野修主任研究員が訪問

三井物産戦略研究所国際情報部北米・中南米室の片野修主任研究員並びにブラジル三井物産業務部の齊藤洋佳取締役が2016年5月18日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長とブラジルの政治経済について意見交換を行った。

Fujiyoshi Hirata, Hiroyoshi Saito e Osamu Katano

Foto: Rubens Ito / CCIJB

テーメル暫定政権経済班メンバー選考は市場から歓迎される

ミッシェル・テーメル暫定政権のエンリケ・メイレーレス財務・社会保障相による経済班メンバー選考は金融市場関係者から歓迎されている一方で、早急な経済活性化政策や財政再建政策の発表が日増しに強くなっている。

昨日、エンリケ・メイレーレス財務・社会保障相は、中銀総裁にイラン・ゴールドファジン氏を指名、経済政策チームとして経済監視局長にマンスエト・アルメイダ氏、経済政策局長にカルロス・アミルトン氏を任命、社会保障局長にマルセロ・カエターノ氏をそれぞれ任命している。

社会保障局長に任命されたマルセロ・カエターノ氏は、応用経済研究院(IPEA)で長年に亘って社会保障を担当しており、年金制度改革では最適任者であると連邦経済審議会(Cofecon)のルイス・パグヌサト氏は説明している。

経済政策局長に任命されたカルロス・アミルトン氏は、メイレーレス財務相が最高顧問をしていたJBSグループ傘下のJ&F社の元取締役、また元中銀の取締役で2010年~2015年に経済政策を担当しており、マクロ経済政策に精通している。

財務省事務次官に任命されたタルシジオ・ゴドイ氏は、ジョアキン・レヴィ財務相の時にも財務省事務次官を務め、2006年~2007年に連邦国税局長、元ブラデスコ保険取締役を歴任、またジョルジ・ラシッド連邦国税局長並びにオターヴィオ・ラデイラ財務局長は留任する。

ローゼンベルグ・アソシアードス社エコノミストのタイス・ザラ氏は、政治危機で経済政策などが等閑にされていたために、経済班による早急な経済政策発表を市場関係者は首を長くして待っているとコメントしている。

ゲッダル・ヴィエイラ・リマ総務相は、我々は早急な経済活性化政策を練っているにも関わらず、前政権の失策が大きすぎるために慎重に思慮深く進めざるを得ないと説明している。(2016年5月18日付けエスタード紙)