ロベルト・フェント
戦略問題局(SAE)のロベルト・マンガベイーラ・ウンジェル局長が最近のインタビューで、ブラジルの外交政策をゼロから見直すよう提案した。同局長によると、まずメルコスルから見直しに着手し、ブラジルが一方的に、第三国と二国間貿易協定を締結できる道を開くことになる。同局長は、「ブラジルにとって次第に重要性を増している貿易協定締結の道が、アルゼンチンの経済問題が原因で閉ざされている」と断じた。
このような発言をするのは、何も同局長だけにとどまらない。大統領レベルにおいても、ウルグアイのペペ・ムヒカ大統領が、「1960年代のスタイルで時代遅れのアルゼンチンの内政モデルが、メルコスルの発展の足かせになっている」と話す。それだけではない。同大統領は、「アルゼンチンには極めて閉鎖的な思惑があり、周辺地域も影響を被っている」と、さらに畳みかけた。
同じようにウルグアイのルドルフォ・ニン・ノボア外務大臣も5月12日、「妥当な基準に達するまでは加盟国がそれぞれ許容できる範囲で個別に異なるテンポとペース」で交渉を進めるよう、メルコスルの貿易交渉の規定に柔軟性を持たせることが望ましいとの認識を示した。この道は、メルコスル閣僚決議第32/2000号に柔軟性を持たせることで開ける。この決議は、域外の国あるいは経済ブロックと何らかの協定に向けて交渉する場合は必ず、加盟国の代表が全会一致で承認することを義務付けた条項である。
従って関税同盟は、市場を開放して加盟国間で貿易を自由化する手段としては冗長に過ぎ、機能不全に陥っていると受け止められている。さらに悪いことには、国際的なバリュー・チェーンに対して加盟国の企業はいずれも、適切に参加することすらできないのだ。
このバリュー・チェーンは、世界経済の成長をよりダイナミックにすべく構築されており、そのために、国際貿易の半分以上を占めているのだ。この生産チェーンに競争力を携えて参加することこそ、経済成長のエンジンとして貿易を活用する鍵であり、まさに中国が、鄧小平の経済改革以降にやってきたことなのだ。
では、何をなすべきだろうか? メルコスルが貿易面のダイナミズムを失いつつあるとの懸念から、マンガベイーラ・ウンジェル局長は、アスンシオン条約で想定され1995年1月に施行されたメルコスル対外共通関税(TEC)を一時的に停止することを支持している。同局長によると、メルコスルは、過渡期においては関税同盟としての活動を停止すべきだと言う。そこで「必要とされるだけの」期間を通じて、加盟国は、南米諸国を含めた域外の国と単独で二国間条約の締結を進めるのだ。
同様にルーベンス・バルボーザ局長はメルコスルそのものの停滞も懸念しており、「域外諸国との協定に向けた交渉は統一的見解をもって判断する」という決議の撤回を支持する考えを示し、メルコスル閣僚決議第32/2000号を弾力的に適用することを示唆した。
貿易協定の交渉が足踏みしているのを克服するには、メルコスル閣僚決議第32/2000号の適用を中断するだけで十分だろうか? あるいは、過渡期にはTECを中断すべきだろうか?
これらを単独で対応することで問題を解決できるのかという疑問もある。実は、メルコスル閣僚決議第32/2000号を失効させるだけでは、不十分なはずだ。アスンシオン条約第5条追記(a)は、加盟国が互恵待遇することを定めており、さらに追記(c)では、第三国からの輸入に対して域外共通関税を導入することを前提にしている。TECを棚上げすれば、加盟国の互恵待遇も廃止することになる。
それだけにとどまらず、メルコスル閣僚決議第32/2000号は、メルコスルの発足後5年が経過した2000年になってようやく施行された条文である。従って、加盟国が第三国と何らかの協定締結を阻止しているのは、この決議だけではない。
結局、「妥当な基準に達するまでは加盟国がそれぞれ許容できる範囲で個別に異なるテンポとペースで二国間貿易協定を推進できるような仕組み」を導入するために、加盟国の合意に基づく政治的決断によって、アスンシオン条約第5条の規定を緩和し、メルコスル閣僚決議第32/2000号を失効できるかどうかに左右されるのだ。言うは易し、行うは難しだ。(2015年5月24日付けエスタード紙)
ロベルト・フェント ブラジル国際関係センター(CEBRI)事務局長