【元IMF財政局長がブラジル経済に「落胆」】

国際通貨基金(IMF)で財務局長を務めたテレサ・テルミナシアン氏は、「操作的会計(contabilidade criativa)」が公会計のバランスシートを空虚なものにしたと指摘。

「操作的会計」を利用することで、ブラジルのプライマリー収支は「空虚なもの」になり、財政政策が経済成長に対してどれほど貢献したかを反映しなくなったと、元IMF財政局長でコンサルタントのテレサ・テルミナシアン氏は受け止めている。

90年代にブラジルに対する金融支援計画に関連してIMFを代表して交渉に当たったテレサ氏は、ブラジル経済の推移について「落胆している」とコメント。手ぬるい財政に対する政府の認識不足に加え、「連邦政府による確固とした方向性」が欠落しているため、中国経済の成長の鈍化とアメリカの経済活動の拡大に対する先行きの不透明感という、はるか彼方で既に発生している問題にブラジルが巻き込まれると指摘する。

「プライマリー収支の結果が拡張主義的な財政政策がどれほど経済を盛んにさせたかと表す指標であるというコンセプトは衰退してきている」と、同氏は言う。「個人的な見解を述べるならば政府は次のようなコメントをすべきだった。すなわち、『我が国は総需要が下落している状態にある』、『税収の増加ペースが落ち込んでおり、そのため、プライマリー収支目標を引き下げる。これが操作的会計を利用しない合理的なアプローチである。』とね」。

さらに同氏は、財政政策に対して政府は懸念があると受け止めている。しかしその戦略に誤りがあることを示唆する。税収の増加のペースが落ち込んでいるにもかかわらず政府は、GDP比3.1%というプライマリー収支黒字の目標に手を付けようとせず、この目標を達成するために「創造的な」財源を利用する。これと並行して国庫管理局は、州政府と市役所のと財政目標を緩和し、適正な運用を求める連邦政府の権限も縮小した。

経済ブログ「Vox-Lacea」のコラムで、テレサ氏は、プライマリー収支の計算において国庫管理局が使用する創造的財源を3つのグループに分け、いずれも不適切だと指摘した。第1に、公社のペトロブラスとエレトロブラスが公共部門の定義から除外された。さらに成長加速プログラム(PAC)に対する公共投資と、税制優遇措置が公会計から除外された。

第2のグループは、連邦公社と連邦銀行の配当、プレソルト(岩塩層下)の石油開発権益の売却益を前倒しして算入したこと。繰延支払金―適切な会計年度において政府が支出として計上しない経費―が、政府勘定から落算させられた。第3のグループは、社会経済開発銀行(BNDES)と連邦貯蓄銀行(CEF)に対して国庫管理局が2009年から、消費と投資の振興を目的に実施している融資である。これらの融資は、勘定項目とみなされていない。

テレサ氏は、経済活動の活性化の手段として実施された財政面のインセンティブが公会計上省略されたのみならず、期待されたような結果につながらなかったことに警告を発する。同氏の判断では、この他にも評価の誤りが存在する。インフラと労働市場のボトルネックは今も先行きを不透明なものにし、競争力を低下させているが、政府による対策は講じられていない。

デモ問題について。無数の群衆が抗議行動を繰り広げることが合法的と位置付けられたが、「投資が勢いを失っており」、「強固で安定した」政策がなく、財界に対して政府がコロコロと異なるサインを与え続けている状況にあって、このデモの多発という現象はブラジル経済にとって何ら益することがないとIMF元局長は受け止めている。テレサ氏は、一連のデモがブラジルの経済状況を悪化させるだけだと受け止める。しかも政府が弾圧を強めるならば、あらゆる状況が、さらに悪化しかねない。

「実質経済の側にいる投資家は、連邦政府から明確なサインを受け取っていない。今日は減税対象だが明日は違う。基本金利を今日は引き下げたが明日は利上げ。民営化の内部収益率(IRR)を引き下げたが、投資が集まらないと引き上げる。不幸なことだが、今回のデモでさらに状況は悪化する。この様なことで、誰がブラジルに投資するというのだろうか?」(2013年6月24日付けエスタード紙)

労働問題研究会に35人が参加して開催

企業経営委員会(黒子多加志委員長)の労働問題研究会が2013年6月27日午後4時から6時まで35人が参加して開催、初めにPinheiro Neto Advogadosのテレーザ・クリスティーナ・カルネイロ・シルヴァ・シニア弁護士は、「職場におけるモラルハラスメント」について、モラルハラスメントの概念とは、加害者は嫌味、皮肉、口調、態度など、ひとつひとつを取ってみればとりたてて問題にするほどのことではないと思えるようなささいな事柄ややり方によって、被害者の 考えや行動を支配・コントロールしようと試み、この段階では、加害者は被害者に罪悪感を、周囲には被害者が悪いと思わせ、被害者へ精神的な苦痛を与え職場において損害をもたらす行為を繰り返し行うことであり、モラルハラスメントは職場の品位を下げるばかりでなく、被害者へストレスによる病気をもたらすなど結果として、職務の生産性を下げることにつながり、モラルハラスメントに対する損害賠償金を求めた訴訟ケースは、昨今増加傾向にあることなど例を取り上げて説明した。

TozziniFreire Advogadosのアンジェロ・アントニオ・カブラウ労働問題弁護士は、「職場における健康管理と安全: これまでの経緯と憲法、法的観点から。民事責任における論点など」について、定期健康診断の導入、深夜業等に従事する労働者や有害物を取り扱う労働者については、特別な健康診断を実施する必要性の徹底、事故の未然防止や再発防止についての安全衛生推進組織・体制の強化、企業の中に安全を最優先する「安全文化」を根付かせ、自律的に安全衛生対策が推進される仕組みの確立を図る労働安全衛生マネジメントシステムの導入などについて設明した。

Pinheiro Neto Advogadosのテレーザ・クリスティーナ・カルネイロ・シルヴァ・シニア弁護士「職場におけるモラルハラスメント」

Pinheiro Neto Advogadosのテレーザ・クリスティーナ・カルネイロ・シルヴァ・シニア弁護士「職場におけるあだ名の禁止」

Pinheiro Neto Advogadosのテレーザ・クリスティーナ・カルネイロ・シルヴァ・シニア弁護士「職場におけるモラルハラスメントの増加」

TozziniFreire Advogadosのアンジェロ・アントニオ・カブラウ労働問題弁護士「職場における健康管理と安全: これまでの経緯と憲法、法的観点から。民事責任における論点など」

左からPinheiro Neto Advogadosのテレーザ・クリスティーナ・カルネイロ・シルヴァ・シニア弁護士/司会の山内正直副委員長/TozziniFreire Advogadosのアンジェロ・アントニオ・カブラウ労働問題弁護士

35人が参加した講演会の様子

35人が参加した講演会の様子

全国各地での抗議デモは自動車販売に悪影響を及ぼす

全国自動車工業会(Anfavea)のルイス・モアン会長は、「全国各地での抗議デモがなければ自動車販売が好調に推移するとみていたが、今後もデモが継続すれは自動車販売に悪影響を及ぼす」と憂慮しており、今後の全国各地で広がっている抗議デモの行方を見守るとコメントしている。

今月25日までのトラックやバスを含む自動車販売は、前年同月比3.9%増加の26万6,000台、前年同月比では13.9%減少、1日当たりの平均自動車販売は3.9%増加の1万5,704台となっている。

しかしLCA Consultores社のエコノミストのロドリゴ・ニシダ氏は、抗議デモが全国に広がった今月17日以降の1日当たりの平均自動車販売は、今月3日から14日までと比較して12%減少していると抗議ストの影響を指摘している。

今年5カ月間のバスやトラックを含む自動車販売は前年同期比8.6%増加、バスやトラックを除く自動車の新車登録は7.3%増加の165万3,000台、自動車セクターのGDP比率は製造業部門の23%、またブラジル全体のGDPの5.0%、国庫庁の歳入の13%をそれぞれ占めている。

全国に広がっている抗議デモに便乗した少数の暴力的なグループによる店舗略奪や政府施設の破壊なども発生しており、デモの終息が不透明なため今後の消費者の景気動向に大きな影響を与える可能性がある。(2013年6月27日付けエスタード紙)

 

今年のブラジルへの国際民間資本流入は1374億ドルに減少か

世界のトップクラスの銀行が加盟する国際金融協会(IIF)の発表によると、対内直接投資以外に、株式市場に対する外資や銀行間の資本流動も含まれるブラジルへの国際民間資本フローは、前回予想の1,449億ドルから1,374億ドルに下方修正している。

また2014年のブラジルへの国際民間資本フローも前回予想の1,480億ドルから1340億ドルと大幅に下方修正されたにも関わらず、2012年の1,259億ドルを上回るとIIF協会では予想している。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、記者会見で米国経済がFRBの予測通り改善するなら、年内に量的緩和策の縮小に踏み切り、来年半ばに終了する可能性があると発表していた。

このバーナンキ議長の発言を受けて、世界で最も安全な米国債の金利上昇に伴って、今後の世界の民間資本の流れが米国に向くと予想されているために、新興国への民間資本フローは減少すると予想されている。

IIF協会では、今年のブラジルのGDP伸び率を2.5%、2014年のGDP伸び率を3.2%とそれぞれ下方修正、また新興国のGDP伸び率も軒並み下方修正しているために、今年の新興国への民間資本フローは、昨年を360億ドル下回る1兆1,450億ドルと予想、唯一、トルコへの今年の民間資本フローは680億ドルに増加すると予想している。

国連貿易開発会議(UNCTAD)の2013年ワールド インベスティメント レポートによると、2012年のブラジルへの対内直接投資額は、米国、中国、香港に次いで2011年の5位から4位に上昇している。

2012年に最も対内直接投資を受けた米国は1676億ドル、中国は前年の6位から2位に上昇して1,211億ドル、香港は746億ドル、ブラジルは653億ドル、海外への直接投資額が最も多いのは米国、2位は日本、中国は前年の6位から3位に上昇している。(2013年6月27日付けエスタード紙)


 

野党議員の批判にさらされてもマンテガ財務相は財政再建を約束

昨日、定員にも足りないほどの金融財政委員会に出席したギド・マンテガ財務相は、野党議員の罵倒に近い批判にさらされても、今後数年以内に財政支出の削減並びに名目財政プライマリー収支の好転を約束、あまりにも現実離れした楽観的な見方に批判が集中したにも関わらず,マンテガ財務相は馬耳東風 を決め込んでいた。

初めに口火を切ったロドリゴ・マイア議員(DEM-RJ)は、「定員にも足りない財務相との公聴会は、財務相はよほど人気がないのか、それとも議員がすでに帰ってしまったのか」という兆発にも関わらず、マンテガ財務相は、「過去3年間、一般消費者、投資家並びに企業経営者に対して、最も低い金利の新マクロ経済政策を導入、また昨年は17%のレアル安の為替に導いて製造業の価格競争力を強化した」と経済シナリオについて説明を繰り返した。

野党議員にとってマンテガ財務相の経済シナリオのプレゼンテーションは余りにも楽観的であり、マイア議員は、「財務相のプレゼンテーションを信じることは不可能であり、プレゼンテーションのテーマはギド・マンテガと経済班の信用危機である」と苦言を述べ、DEM党の他の議員はマンテガ財務相の辞任のうわさに触れた。

これに対してマンテガ財務相は、「私が財務省を去るのは陰口であり、それを信用するのは想像できない」と述べたのに対して、メンドンサ・フィーリョ議員(DEM-PE)は、マンテガ財務相は強い精神錯乱に陥っていると反論している。

またルイス・エンリケ・マンデッタ議員(DEM-MS)は、「我々は新しいクルザードプランに生きなければならないのか? 連邦政府は厳格な財政政策導入のために大統領選挙まで待つのか? 連邦政府は街頭デモが何を要求しているのか耳を傾けなければならない」と怒り心頭であった。

ロナルド・カイアド議員(DEM)は、連邦政府が社会経済開発銀行(BNDES)を通して農畜産部門のJBS社のような大企業グループを支援しており、ブラジルにはカルテルや連邦政府の気に入っている独占企業が存在する」と連邦政府を批判している。

ヅアルテ・ノゲイラ議員(PSDB-SP)は、「生存できない国を次世代に引き渡そうとしている烏合の衆の集まりだ」と痛烈な批判を浴びたにも関わらず、マンテガ財務相は、「インフレはエンリケ・カルドーゾ政権時よりもコントロールされており、過去10年間の経済成長率は1990年代よりも高い、またBNDES銀行のクレジットを使わずに野党が薦めている経済活性化政策を採用すれば、ブラジルは難破してしまう」と反論している。

またマンテガ財務相は、「マイア議員は空想の世界に生きている。連邦政府が野党の言うことを実施すれば、インフレをコントロールするために高い失業率を容認することになる」と野党に反論している。(2013年6月27日付けエスタード紙)



 

6月27日異業種交流会開催

異業種交流委員会では山下日彬氏をお招きし講演会を行いました。
同氏は1959年にブラジルに移住、マッケンジー大学をご卒業後1976年にヤコン・コンサルタント社を設立され現在もブラジル経済界でご活躍中です。
今回は飯田流陰陽自然学「2014年からブラジルが変わる。チョット変わった見地からの予想」と題して非常に興味深いご講演を頂きました。
2014年から世界は大きく変わり、ブラジル政治経済も大きく変わりそうです。
当日28名と多くの方に参加頂き講演後の懇親会と合わせ盛会の内に終了しました。

講演中の山下日彬氏

熱心に講演者の山下日彬氏の話に耳を傾ける28人の参加者

講演後の懇親会の様子

格付け会社フィッチは7月末までにブラジルの格付けを見直しか

格付け会社フィッチはブラジルの外貨建ておよび自国通貨建て国債の格付けを「BBB」、見通しを「安定的」としていたが、同社のラテンアメリカ担当のスエリ・シェティ取締約は7月末までに格付けの見直しを行うと説明している。

またフィッチが今週末までに今年のブラジルのGDP伸び率を前回予想の3.0%から2.5%前後の伸び率に下方修正すると予想されており、連邦政府やサッカー・ワールドカップに反発する抗議デモが継続しており、公共投資や公共支出へのインパクトがいまだに不透明であるために、連邦政府の正式な発表を待って判断の目安とする。

フィッチはブラジル以外にもBRICを構成するロシア、中国並びにインドのGDP伸び率を下方修正する予想されており、新興国の経済成長のシナリオが深刻化してきている。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、今後も継続してブラジル国債の格付けを「Baa2」に据え置くが、昨年11月に据え置いた見通し「ポジティブ」については、9月までに見直す可能性がある。

スタンダード&プアーズは、過去数年のブラジルのGDPの低い伸び率の継続、公共支出の拡大、経常収支赤字の拡大、経済政策に対する信頼性の低下が国際経済市場のボラティリティに対応する能力を低下させる可能性があると指摘して、今月初めにブラジルの長期格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げていた。(2013年6月26日付けエスタード紙)


 

7月までにEBX社傘下のグループ企業の負債削減で再編

実業家エイケ・バチスタ氏が率いるグループ企業の石油・天然ガス開発会社OGX社が原油開発 をしているカンポス海盆ツバロン・アズール鉱区の原油生産が予想を大幅に下回った影響で、更に金融市場関係者のグループ企業に対する不信が拡大した影響で、グループ企業の株価が軒並み下落して、負債の増加並びに資金繰りに困難をきたしている。

バチスタ氏のホールディング会社EBX社傘下のグループ各社の負債が増加の一途のために、負債削減のためにグループ企業の編成を迫られており、7月の第2週目までには、どのグループ企業の放出やグループ企業以外の資本参加の受け入れなどが判明すると業界関係者は予想している。

バチスタ氏の主要グループ企業で鉱業関連企業MMX社の放出や資本の受入が有力と見られており、オランダ資本のTrafigura社、スイス資本のGlencore社、 BTG パクツアル銀行からの資本参加の可能性があり、ゲルダウ社はMMX社の資産を査定している。

Glencore社はMMX社が利用するSudeste港の買収案を提示、業界関係者はSudeste港の資産を20億レアル、MMX社を含めた資産は50億レアルに達すると予想している。

MMX社の買収案件の噂が金融市場に流れた影響で、昨日のMMX社の株価は17.06%高騰、また放出が見込まれているCCX社の株価は12.05%、 OGX社は6.41%、 LLX社は1.01%とそれぞれ上昇した。

今年の第1四半期のグループ企業の主商業銀行並びに会計上の明記されている負債総額は100億レアル、グループ企業の数社は社会経済開発銀行(BNDES)に対して負債を抱えており、またBNDES銀行はいくつかのグループ企業に資本参加している。

EBX社のグループ会社の負債増加に対するプロセスが非常に不透明であり、金融業界から不信感が増加してきており、バチスタ氏がEBX社の経営から退く可能性も否定できない(2013年6月26日付けエスタード紙)

 

 

【低成長の罠】

央銀行の元総裁アフォンソ・セルソ・パストーレ氏は、低調な成長にとどまる国内総生産(GDP)とインフレの昂進というブラジルが置かれている状況は、生産能力に対する投資不足に由来すると分析する。

ブラジル経済は今後数か月にわたってさらに厳しい状況に置かれるだろう。現在の国際情勢ではブラジルが従来と同じように大幅に輸出を拡大させることはなく、通貨レアルはドルに対して価値を失うことになる。これと同時に、国内市場は頓挫する。とりわけ工業部門は、生産コストの上昇とマージンの縮小により、風当たりが強いものになる。利益が減少し、投資は拡大しない。元中銀総裁でエコノミストのアフォンソ・セルソ・パストーレ氏(74)は、「我々は低成長の罠にはまり込んでいる」と言う。厳格で尊敬を集める学者・コンサルタントパストーレ氏によると、公共支出のコントロールと投資への振興に経済政策を指向するだけで、潜在成長率を高めることができるという。

記者質問:物価の上昇の大部分が気候的要因と不作に伴う食料品価格の上昇で説明できます。この状況において、ブラジルにおけるインフレの昂進は、単なる一時的な影響と言えませんか?

(回答)インフレ率は高い水準で推移している。価格の上昇も広範囲にわたる。教育と保健、商業などのサービス業界では年間8%以上でインフレが推移している。これは、深刻な状態だ。もし電気料金と自動車、家電への減税が行われず、しかもガソリン価格に対する助成もなかったとした場合、インフレ率は政府の公式目標の上限である6.5%を大幅に突破していることだろう。

記者質問:物価の上昇圧力になっている最大の要因とは何でしょうか?

(回答)本質的な理由は、供給の拡大を上回る需要の圧力だ。中銀自身が、既にインフレが過剰な内需によるものだと認識している。その影響は、低い失業率の恩恵をとりわけ強く受けている業界、サービス業界の価格調整において明白だ。ブラジル国内で、サービス業の需要は堅調だ。我が国は今、完全雇用下にある。それは、まぎれもなく素晴らしいことであるが、同時に、課題も生じる。会社は、従業員の確保に努めるために、より高い賃金を支払うという条件を受け入れる。この附帯的費用が必然的に、少なくとも部分的に、価格に転嫁される。

記者質問:ドル為替相場の上昇は、インフレ圧力にとって新たな台風の目になっています。政府は、米ドルのより大幅な値上がりを回避するため、外国為替市場で介入すべきでしょうか?

(回答)ドル為替相場の上昇は主に国外情勢に由来するものであり、一時的な現象ではない。アメリカ経済が成長軌道に復帰し通貨政策が変更されることで同国通貨が強くなるだろうし、それは、長期に及ぶだろう。しかも、数年にわたってレアル高が放置されていた。それに(ブラジルの対外取引の収支である)経常収支赤字が拡大し資本の流れが縮小していることで、こうした傾向に歯止めをかけるような理由は存在しない。なすべきことは、ボラティリティーを減らすことだ。レアル安がインフレにこれ以上の打撃を与えないためにも、政府は、支出の拡大を減らす、つまり、緊縮財政政策を実施すべきだ。さもなくばインフレの抑制は、過度の利上げに依存することになる。

記者質問:中銀はブラジル経済基本金利(Selic)の利上げという対処法を強化する判断を下しました。その作用は公式インフレ目標の中間値である4.5%に収斂させるのに十分でしょうか?

(回答)重要なことは、前回の中銀の会議でSelicがどれだけ引き上げられたかではなく、むしろ、利上げサイクルを通じてどれだけ引き上げられるかだ。ブラジルは従来ほど高い金利を設定する必要はないが、インフレが強力である上に、中銀は、附帯的に2つの課題に直面している。その1つは、財政政策で、これは拡張主義的であり続けている。これが見直されるという兆候は全くない。2つ目は、国際情勢の変化が原因となった、為替相場に関する新たな現実だ。アメリカ経済の回復と、ブラジルのコモディティー輸出に影響する中国経済の成長鈍化は、通貨レアルの下落を引き起こす2つの力だ。問題は、必要とされる利率の調整を実施するために中銀が十分な水準で独立性を確保しているのかという点だ。

記者質問:インフレが公式目標の上限を超え続けることが経済に与える影響とはどのようなものでしょう?

(回答)もし中銀の反応が遅れれば、将来のインフレに関する見通しは自動的に上昇する。それは見通しの乖離プロセスと言えるものだ。企業と労働者、そして一般の人たちが、公式インフレ目標を信じなくなる。もしこのプロセスを阻止できなければ、我々は昂進するインフレの渦中に置かれることになる。このリスクに対処するには、中銀が金利を引き上げ、信頼性を取り戻さなければならない。政府が支出を削減した場合には利上げの幅が小さくすむ可能性はあるが、もし財政政策の後押しがなければ、金利は再び2桁に逆戻りすることになる。

記者質問:大臣と経済スタッフの顧問らは、ブラジルには5%程度の構造的インフレがあるため、この水準を下回るようにしてまで利上げをする必要はないと主張しています。

(回答)その判断には根拠が微塵もない。基本的な部分でインフレが存在するという物語は、インフレを退治する意欲に欠けていることを正当化する以外には何の意味もなさない。

記者質問:工業部門に対して政府は、減税と助成など、一連のインセンティブを導入しました。にもかかわらず、生産はやや停滞した状態です。なぜでしょうか?

(回答)2008年まで、工業生産は国内消費の増大と足並みをそろえて拡大してきた。2008年に国際金融危機が発生し、そこで工業生産が後退した。ほどなくそこから回復する。だが2010年以降、工業部門は後れをとって、成長が停滞し、商業部門が記録した販売の伸びと乖離した。工業部門は競争力を失い、輸入が拡大した。工業部門がなぜ競争力を失ったかを理解することが鍵になる。その答えは、単位労働コストの上昇とレアル高だ。もし賃金が10%上昇して労働者1人当たりの総生産量が10%拡大するなら、コスト増にはつながらない。賃金と生産性が歩調を合わせて上昇するからだ。だが、もし賃金が10%上昇する一方で生産性が上昇しないのであれば、コストは10%上昇する。2010年以降、実質単位労働コストが15%上昇した。サービス業と異なり工業部門は輸入品との競争にさらされている上に為替相場でレアル高が進んだことで、コストの上昇を製品価格に転嫁することが難しかった。

記者質問:政府による支援では、工業部門が競争力を高めるには不十分ということでしょうか?

(回答)わずかな例外はあるが、こうした対策は失われたマージンを補填するには不十分だ。ブラジルはレアル高だった時期を利用して、インフラ投資の拡大と生産部門への資本の呼び込み、工業部門の競争力の向上に生かすべきだった。だが、そうしたことは、実施されなかった。レアル高はさらにマージンを絞り尽くした。政府は昨年、為替の切り下げを強行してこの問題を鎮静化させようとした。だがその試みは、インフレの加速に終わった。この状況で、工業部門が低い利益率から脱却するのは困難だろう。将来の利益の見通しがないために、企業は、投資を縮小したのだ。

記者質問:政府は、自動車と家電への減税など、一連の消費振興策を実施しました。需要の拡大は、投資へのインセンティブになりませんか?

(回答)それが政府の判断の根拠になっている。大統領と政府経済スタッフの分析では、投資が低迷しているのは需要が弱いからで、工業部門の利益率が落ち込んだからではない。政府の経済モデルでは、さらに消費にインセンティブを与える必要すらある。需要を喚起するために政府が振興策をさらに実施するほど、低下するのは失業率で、上昇するのは所得と政府の支持率なのだが、工業部門の利益も落ち込むだろう。もし、工業部門が利益の落ち込みを認識したなら、投資をしない。こうして、我々は年間3%に満たない経済成長を受け入れなければならなくなる。我々は、低成長の罠に落ち込んでいるのだ。

記者質問:ブラジルにおける投資向けの重要な融資元である国立経済社会開発銀行(BNDES)では、信用供与の承認額が記録を更新しています。ところが、投資は拡大せず、ブラジルの経済成長はわずかです。これは、パラドックスではありませんか?

(回答)この問題については、マサチューセッツ工科大学のエコノミスト、ダロン・アシモグル氏とハーバード大学のエコノミスト、ジェームズ・ロビンソン氏の著書、「国家はなぜ衰退するのか:権力・繁栄・貧困の起源」に照らしてみる価値はある。ある国家が繁栄するには、革新と創造の精神が必要だ。個人は、彼自身の革新性によって利益を受ける権利を持っている必要がある。革新性に対して恩恵を与える法体系が存在し、利益を確保するための市場機能を保証すべきだ。繁栄する社会の秘訣は、経済制度と政策にある。革新性を発揮して生産性の拡大で利益を得る個人が報われるという、アシモグル氏とロビンソン氏が包括的な社会と定義するものが存在する。一方で、収奪的社会がある。こちら社会では、あなたが知っている人に価値があるのであって、あなたが知っていることに価値があるのではない。実業家は、技術革新を模索することに努力を集中する代わりに、特権を得ることに努力を集中する。ブラジルのケースでは、その努力は、保護貿易主義的措置と助成金、BNDESによる融資の後を追ってブラジリアに詣でることだ。この種の恩典を与える政府というのは、収奪主義的な制度を太らせる。

記者質問:我が国は、退潮の危機に直面しているのではありませんか?

(回答)ブラジルは最近まで、保護貿易と市場の保護、価格の統制を行って、収奪主義的だった。ブラジルは既に、この段階を超えて成長した。だが私は、生産性と利益を追求するよりもアドバンテージを探し出す方が大きなチャンスがあるという社会に、改めて逆行しているのではないかと危惧している。政府が40もの省を設立するというのは、収奪主義的制度太らせる十分な土壌だ。制度の進むべき方向が、発展とは反対の方向にずれ始めている。収奪主義ではより多くの特権を与えることが自身の強い権限となって跳ね返ってくるために、生産性の向上を伴わずに特権と便宜の付与が拡大していく。このためブラジルは、低成長の罠にさらに強く囚われることになる。

記者質問:ではどのようにして、低成長の罠から脱出し、インフレを伴うことなく成長できるのでしょう?

(回答)第1に、(レオネル・デ・モウラ・ブリゾーラ氏らが中心として進めた)ブリゾリスタ的な国家資本主義を放棄することだ。財政政策としては緊縮すべきで、公共支出を削減する一方で所得の再分配に向けた政策は堅持、これにより緩やかにだが為替相場を引き下げる余地が生まれる。国際情勢の変化がこうした歩みに有利に機能する。長期的には、ブラジル国内で生産性を向上させなければならず、他の選択肢は存在しない。人的資本の向上と、労働者への教育と彼らの育成が必要だ。最高級の物的資本をもたらし、インフラを拡充し、業界監督庁を回復させることが必要だ。例えば、港湾におけるトラックの行列は、生産性の莫大な浪費を表している。同じことが、大都市の交通事情にも当てはまる。人々は、自宅を出て職場に向かうために、数時間を浪費する。これらは全て生産性の浪費であり、つまり1日の終わりにはこの国はもっと貧しくなっているのだ。もし公共部門がこれらの投資にリソースを配分しない、あるいは統治する能力がないのであれば、民間部門がプロジェクトを引き継ぐべきだ。

記者質問:ここ数日、政府はインフレ対策を強化し、また経済に対して干渉の度合いを縮小する意向を示しています。経済政策の変化あるいは金融政策の後退を反映した兆候でしょうか?

(回答)状況は悪化しており、政府は対策を講じなければならない。経済政策の新奇な部分を放棄し、伝統的経済政策をより大きく適用させることが合理的と言える。ただし政府がこうした方向に向かうサインを示したとしても、2つの障害がある。1つは、イデオロギーである。つまりジウマ・ロウセフ大統領と彼女が率いる閣僚たちは、単純に言って、伝統的な対処を信用していない。2つ目は、政治が持つ性質だ。経済に対する伝統的な処方箋を適用したとしても、その効果が現れるのは彼らが政治的に展望できる地平線のさらに先だということを政治家は知っている。成長が確認される前に、選挙が到来するのだ。何ら抜本的な改革が行われることなく、修辞的な変化に終わりかねないことこそ、リスクだ。(2013年6月19日付けベージャ誌 アフォンソ・セルソ・パストーレ氏インタビュー記事)

SENAIのRicardo Figueiredo Terra技術理事他、関係者が会議所を訪問

全国工業訓練サービス機関(SENAI:※1)のTerra理事(3月の当所定例昼食会講師)は同機関のJoão Ricardo Santa Rosa教育部長および愛知県名古屋市に所在する日伯学園(Colégio BRASIL JAPÃO:2012年の法整備に従いブラジル教育省の認定校)の篠田カルロス校長(※2)と伴に2013年6月26日会議所を訪問、同校にポル語によるSENAIコースを併設すれば、将来その修了証書はそのままブラジルでも通用する事や今後の計画について応対した平田事務局長に説明、具体化すればブラジルの帰国子弟・子女にとっても就職活動に貢献する一方、特にブラジル日本進出企業に対する人材強化や社会貢献に繋がる事等について意見交換した。
 
平田事務局長は「国境なき科学」も非常に重要だが、ドイツの職業教育、マイスターやデュアル制度を引き合いにブラジルの産業競争力の視点から、むしろ現場の職工クラスの養成はさらに重要かつ喫緊課題との認識を表明した。(当所の会員企業3社が昨年末に造船分科会を立ち上げ、将来溶接工の養成や人材強化等に苦心している現状から昨日、ブラジル・ドイツ会議所副会頭のトーマス・チン氏と職業教育制度について意見交換したばかり。来所の3人に「国境なきSENAI」のネーミングを提案した)

(※1)色々な分野における職業教育訓練を目的とする全国的な組織、代表的なものとしてSENAI、SENAC(全国商業訓練練サービス機関)がある。SENAI は工業連盟に加盟する企業により従業員給与総額の一定割合を徴収し運営され各州毎に分権化された民間機関。

(※2)2010年6月15日、法令7214号で発効したブラジル連邦共和国大統領設立機関の在外ブラジル人代表者評議会(CRB:Conselho de Representantes de Brasileiros no Exterior)の議長を2年間歴任

左から平田藤義事務局長/日伯学園(Colégio BRASIL JAPÃO)の篠田カルロス校長/SENAI-SPのリカルド・テーハ技術部長/ジョアン・リカルド・サンタ・ローザ教育部長