2011年上期の業種別部会長シンポジウム

業種別部会テーマ: 「2010年の回顧と2011年の展望」

  • 司会 近藤正樹総務委員長

    2011年上期業種別部会長シンポジュームを始めさせていただきます。本日はお忙しい中多数ご参集いただき誠にありがとうございます。今回はいつもと少し趣向を変え、講演会も兼ねております。武藤様の講演ということで、いつもより来場者がかなり多くなっております。それではまず商工会議所中山会頭よりご挨拶をいただきたいと思います。中山会頭よろしくお願いします。

     

     

     

  • 開催挨拶 中山立夫 会頭

     

    皆さんこんにちは。本日は当会議所恒例の業種別部会長シンポジュームに多数ご出席いただき誠にありがとうございます。また、大部サンパウロ総領事様にはご多用の中ご臨席たまわり御礼申し上げます。本シンポジューム終了後にご講評をいただきたく、何卒よろしくお願いいたします。

    本日は、現在大和総研の理事長をお務めの武藤敏郎様に特別基調講演をしていただくことになりました。皆様ご存知の通り、武藤理事長様は元財務省事務次官、日銀副総裁として日本の財政政策、金融政策をリードされてこられました方で、現在も開成学園理事長、東京大学教授、三井物産取締役など幅広くご活躍されており、現在の日本の知識人の最高峰の方を本シンポジュームにお招きすることができて、私どもとしても大変光栄であり、心から御礼申し上げます。

    この場をお借りして、大和証券グループと提携先のItau銀行による協業アレンジにより武藤様のご来伯が実現されましたことや、いろいろフォロー下さった長谷川永遠子様、および上原信一郎様に深く感謝いたします。

    好調な国内経済、深海油田の開発推進、2014年のワールドカップ、そして16年のオリンピック開催に向けた莫大な投資需要、および景気拡大、これらに伴うグローバル企業の進出が一層活発化して、競争激化が一段と予想されます中にありまして、各企業の皆様におかれましてはこのシンポジュームの各部会の発表、質疑応答を踏まえてですね、自社の経営戦略の立案、見直しをされる上でお役に立つことができれば幸いに存じます。

    最後にこのシンポジューム開催の担当であります総務委員会、企画戦略委員会、業種部会、および事務局の皆さんのご尽力と、各員各位のご協力に対して心から御礼を申し上げ、あいさつとさせていただきます。ありがとうございました。


    司会
    中山会頭ありがとうございました。それでは早速ではございますが、武藤理事長に講演をお願いしたいと思います。質疑応答を含めまして約1時間を予定しております。それでは武藤様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 基調講演 & 質疑応答 武藤敏郎 大和総研理事長

    基調講演「ブラジルと日本の経済関係の展望」

     

    司会
    中山会頭ありがとうございました。それでは早速ではございますが、武藤理事長に講演をお願いしたいと思います。質疑応答を含めまして約1時間を予定しております。それでは武藤様よろしくお願いいたします。

    基調講演
    武藤敏郎 大和総研理事長
    ただいまご紹介に預かりました武藤でございます。中山会頭から過分なご紹介をいただいて大変恐縮に思っております。まず、日本商工会議所におきまして、このような機会を持てましたことに、大変光栄に思っております。心から感謝を申し上げます。

    実は、私はブラジルに初めて参りましたので、見るもの聞くもの新鮮なことばかりでございますけれども、何分にもまだ初めてでございますので、ブラジルに対する理解もですね、本当にどこまで正確なのかというのは私自身分かりませんけども、それはお許しいただくとして、私なりのお話をさせていただきたいと思います。

    BRICsという言葉が、今から7、8年前でしょうか、まあゴールドマンサックスのレポートによってですね、これからの世界がこのBRICsによって主導されていくであろうということが言われてから、日本ではこのBRICsという言葉がとにかく、ちょっとした経済の本を見るとBRICs、BRICsということでございます。

    で私も、何となくBRICsということで思ってまいりましたけれども、ブラジルに来てですね、ロシアは行ったことはないんですが、まあインド、中国はちょくちょく行きますけれども、BRICsとして4つをひとまとめにするのが本当に正しい理解なのかどうかというふうに思い始めました。

    まあよく言われるように、RICsの方はですね、RICsの方はまあ大国意識の全面に出た独特な国家なんですね。その象徴が、核保有国ということであります。それぞれまあ、政治体制、中国はご承知のように共産党一党支配であり、ロシアは民主化されましたけれどもまだ共産主義時代の尻尾が残っているようなところがありますし、インドはまあ世界最大の民主主義国家と言われます。13億の民が普通選挙の投票権を持っていると。

    しかしインドにあるカーストですね、身分制度、これはかなり特殊なものでございましてですね、今後これがどのように、本当の意味で民主化されていくのかという課題が残っておるわけであります。

    で、ブラジルはですね、その点非常にソフィスティケイトされた民主主義が完全に根付いておりますし、まあ大国、もちろん大国でありますけれども、RICsが持っているような、覇権主義というんでしょうかね、そういうものはあまりないように思うんですね。加えてですね、まあロシアは資源国の一つでありますけれども、多様性を持った資源国という意味ではまあダントツであります。

    まあ中国、インドは資源国とは言い難い。その資源という意味は、別に鉱物資源ということではなくて、まあ食糧生産能力、あるいは環境資源、多様な生物が住んでいるといったような様々な意味での広義の資源大国という意味で、まあブラジルは圧倒的に最先端を走っているのではないかというふうに思います。

    こちらに来る前に、ブラジリアでですね、財務省の高官と中央銀行の副総裁と意見交換をしてまいりましたけども、財政政策と金融政策に関するですね、これらの方々のスタンスというのは私には非常に自然に耳に入ってくる、極めてグローバルなスタンダードに基づいた政策運営をされているように思いました。

    ブラジルはインフレに悩んだ歴史がありますので、金融政策の基本はインフレーションターゲッティングということでですね、4.5%プラスマイナス2%の範囲内にインフレ率をまあ管理するということであります。

    また後ほどお話しますけれども、最近ちょっとこのインフレ懸念というものが増えてきている中で、引き締め政策をとるわけですけれども、マーケットがオープンになっていればそれが色々なサイドエフェクトを持つということで、あらゆる政策は必ず副作用があるわけであります。

    財政出動をしようとすればまあ財政赤字という問題に悩むといったようなことでですね、今主要国はほとんどその問題で苦労、日夜苦労をしていると。でそのような同じ問題意識をですね、ブラジルの政策当局者がもっておられるということに、ある意味ですね、納得したといいますか、そういう印象を強く持ちました。

    そういう意味でブラジルというのはこれから大変重要な世界経済のプレーヤーになっていくであろうということをまあ確信した次第でございます。

    で日本はですね、ブラジルとはもちろん100年の交流の歴史があるわけですけども、またそれが大変重要な両国の信頼関係としてですね、あるわけでありまして、このような信頼関係を持った国は日本から見てブラジルだけだと思います。まあアメリカと日本はずっとこの戦後、安全保障を中心にですね、仲良くやって来たわけでございますけれども、何か信頼感というレベルがちょっと違うような気がするんですね。

    そういう意味でブラジルに対して日本はもっともっと色んな関係を深めていくことができるのではないか、まだその点課題はあるのかなというふうに、そういう印象をもちました。まず最初の印象を申し上げた上でですね、早速その、日本とブラジルの経済関係についてお話をさせていただきます。まず1ページ目をお願いしたいと思います。

    これが貿易関係でございます。まあこの10年ぐらいの間にですね、この輸出輸入が相当増えました。まあ2009年のリーマンショックによる悪影響は別としましてですね。それぞれ、日本からの輸入は2倍以上増加しておりますし、輸出はまあ3倍になっているということでございます。

    ただこれは実額で順調に伸びておるんですけれども、ブラジルにとっての貿易の国別シェアを見ますとですね、実は日本からの輸出、まあ対日輸入ですね、ブラジルから見た輸入というのは実はシェアが減少しております。何故かといいますと、中国、韓国のシェアが上昇した分ですね、シェアダウンしているというまず現実があると思います。

    次のページに参りまして今度は直接投資でございますが、直接投資は日本はですね、ブラジルの直接投資のうちの5%を占めておりまして、まあドイツ、フランス並みのレベルでございます。まあ一定のシェアを占めているというふうに見てよろしいかと思いますし、特にアジア諸国からはですね、断然日本の金額が大きいということでございます。

    まあこれはブラジルの全体の直接投資の金額でございます。今や日本からこのブラジルに進出してきた企業、まあ300社を超えているようなそういう状況になっているというわけでございます。

    今後の方向としてですね、これがさらに発展していくことはもう間違いないと思うわけでございますけれども、ポイントはですね、今まで日本はどちらかというとその資源大国ブラジルというイメージでまあ対応してきたわけでございますけれども、今日の日本の経済界ではブラジルが消費市場として巨大なものになっていること、グローバルな生産拠点として魅力のある国になっているというふうに理解が変わってきているというふうに思います。

    ブラジルには深海油田でありますとか、飛行機産業でありますとか、バイオエネルギーとかですね、高度な技術というものをまあ誇っておる分野があります。ブラジルの持っている潜在的なその発展の可能性というのは、最初に申し上げたブラジルの基本的なインフラに加えてですね、そういう技術面でのシーズというものを十分持っているというふうに思っておりまして、日本とブラジルの関係を今後ますます発展させていかなければならないというふうに思うわけであります。まあこれは当然のことでありますけれども。

    で、これからですね、ブラジルのこの高度成長に何らかの意味で参考になる、日本の成長、高度成長の歴史をですね、ちょっとご紹介してみたいと思います。

    まず、これが1955年からの実質成長、および名目成長率の推移でございます。4つの時期に分けることができるというふうに思います。1970年代の中ごろまでは高度成長期でございました。名目成長率は20%あるいはそれを超えるようなそういうレベルに達しました。かなりの期間に亘ってですね、高度成長を続けていたわけでございます。

    1945年、日本は第二次世界大戦の敗戦によってですね、ほとんど東京は焦土と化してしまったわけでございますけれども、それから23年後のこの1968年には、実は世界第2のGDPを達成したわけでございます。廃墟からの23年で日本の奇跡が起こったと、当時そのように言われました。

    私が実は大蔵省に入りましたのが1966年なんですけれども、その頃のですね、この日本の勢いというのは、まさに今のブラジルのようなですね、そういう印象を持っていたわけでございます。

    東京オリンピックが開かれましたのが1964年。1970年に大阪万博というのが開かれました。まあまもなくブラジルもオリンピックが開かれるわけでございますけれども、まあ万博もですね、何か手を上げるというようなお話があるようでございますけれども、今からちょうど40年ぐらい前でしょうか、に、日本はそういう経験をしたわけでございます。

    その結果ですね、ちょっと次のページに行っていただきたいんですが、これがですね、日本のこれが失業率、これが日本の中間層の割合。1965年から70年ぐらいにかけては失業率が1%となりました。

    1%の失業率というのはもうこれは奇跡的な数字でございまして、これより下がることはですね、摩擦的失業というのがありますから、まあ完全雇用が達成されていると、ゼロになることはまああり得ないわけでございますので、完全雇用が達成されているということだと思います。

    ちょうとその時とほとんど同時期にですね、自分が中流の中の中に所属していると回答した人が6割に達しました。この中流の中の中という回答はですね、ちょっと妙に思われるかもしれませんけれども、まあ上流、中の上、中の中、中の下、下という5段階に分けた時のですね、真中なんですけれども、実はその、中の上とか中の下とかと答えた、まあ一口で言えば中間層ですね、これは90数%まで上った。この頃ですね、日本はアンケートをすると100人のうち90数人がですね、自分は中産階級に所属しているというふうにまあ答えたと言われておりまして、まあ1億総中産階級というような言葉がですね、流行りました。

    前のちょっとまた8ページに戻っていただきまして、その後ですね、まあオイルショックを契機にですね、安定性長期ということで、成長率がレベルダウンいたしました。その後、プラザ合意が1985年なんですけども、円がドルに対して十分評価されていないということで、アメリカからの強い円切り上げ要請があってですね、その切り上げを行った結果輸出がスローダウンして、まあ内需拡大をしなければいけない、そのためには財政金融政策を緩和的刺激的にしなければいけないということで政策転換をした結果ですね、1985年から90年にかけてですね、いわゆるバブルが起こりました。

    後ほどお話したいと思います。でバブルが崩壊したのが1990年。その後は急激に成長率が落ち込みまして、時々まあネガティブな成長と。リーマンショック後はちょっとこれは異例な姿でございますけれども、リーマンショック前のですね、このバブル崩壊後の姿、約15年間ですね、日本は極めて成長率が低い、まあほとんどデフレ的な状態ということになりまして、まあ失われた15年、まあ最近では、さらに失われておりますので、失われた20年といったような言葉がまあ流布されているわけでございます。

    さて、これが概観でございますけれども、この高度成長の時期に話を戻しますと、この時はもう、もちろん所得もどんどん上がりましてですね、日本では1955年から65年までですね、約10年間のですね、所得倍増計画というのがありました。

    所得を倍にするという、まあ池田隼人首相の所得倍増計画なんですけれども、これがですね、期間を待たずに達成するといったようなことが起こったわけであります。で、まあ良いことずくめのように申し上げましたけれども、実はこの高度成長にはですね、色々な落とし穴があったと、高度成長の負の側面をですね、申し上げる必要があるだろうというふうに思います。

    ちょっとこの、次の、この表でございますけれども、このもう一つ次の表をお願いします。この表でございますけれども、これはですね、まず第一に、人口のですね、一次産業から三次産業への移動、まあ二次産業、三次産業への移動と言うべきかもしれませんけれども、それが起こったということでございます。

    具体的には昭和25年、1950年には半分いた一次産業従事者、まあ農業・畜産業ですね、漁業、の人たちが、この1980年、30年ぐらいの間にですね、10%ちょっとまでシェアダウンしてきました。製造業はですね、まあ20%ぐらいから大体この30%を上回るレベルまで来ました。三次産業、サービス産業は30%から50%を超え、60%に近いレベルに増えてきたということでございます。

    今日ではですね、第一次産業に所属する人は5%程度、サービス産業に所属する人は7割、製造業に所属する人が25%といったような状況になっております。ここでちょっと申し上げておきたいのはですね、実は第二次産業、製造業はもはや、40年前からですね、雇用者を吸収する産業ではなかったということでございます。

    何故こんなことが起こったのかと言えば、このころから起こっている省エネ化、機械化投資によってですね、雇用をどうやって製造業は抑えるかということが課題となりましたので、雇用吸収力というのは当然のことながら無くなる。もう一つはですね、これは近年起こっていることなんですけれども、海外生産拠点というものを増やしてですね、国内生産拠点というものを海外に移してしまう、まあこれは日本では産業の空洞化ということですね。

    空洞化とは中ががらんどうになってしまうという空洞化というような表現で言われたわけでございますけれども、これは当然雇用は海外で行うことになりますので、下がっていく原因になっているということでございます。

    でこの結果ですね、何が起こったかというと、農村部の人口が激減いたしました。もちろん農村部の方が国土面積の過半を占めておりますので、大きな国土の中でですね、広い面積の人口過疎が起こった。で一方ですね、この製造業、第三次産業というのはどうしても都会でございますので、大都市を中心として過密化が起こったと。その結果、都市の下水が大変なことになる、教育設備が不足するといったようなことがまあ起こったわけでございます。

    農村地域における高齢化というのは、農業の生産性が悪化するということを意味しますので、非効率な農業になっていると。農村に行くともう高齢者しか残っていないといったような状態、これが日本のTPP参加、今日においてですね、自由貿易に対して農村部から、この、わずかなシェアしかない人たちの反対意見が非常に強いということになっているわけでございます。

    第二は、公害。今の問題はすなわち公害の発生に結びつきました。まあ都市近郊の生産工場においてですね、水質汚染、それから大気汚染といったような問題を生じました。

    今日ではその、企業の公害問題というのは当然立地するときから課題になっておりますけれども、当時はですね、そういう認識はあまりありませんでしたので、工場立地の地域はですね、もう、スモッグっていう排出された窒素酸化物と硫黄酸化物ですね、これによって、まあ例えば呼吸器を病む人が増えるとか、そういう問題が出てきました。

    工場廃水の中には水銀とかカドミウムとかいった有害物質があって、それで汚染された水産物を、海産物水産物をですね、食べた人たちがまた病気になるといったようなことが起こりました。で今日ではそういうことに対してはもう非常にセンシティブになっておりますので、さすがに日本でもですね、そんなことは起こっておりません。

    製造業には非常に厳重な、厳格な公害防止技術を要請されておりますし、公害防止技術も非常に発達いたしました。でその結果ですね、ちょっと次のページに行きまして、これはですね、一次エネルギー消費原単位というものでございまして、どういうものかというと、一定量のGDPを生産するために原油をどのぐらい使うかという計算をしてですね、それを指数化したものがこういうものでございます。

    日本はですね、元々アメリカと比べると原油消費量の少ない国でございましたけれども、今では大幅に削減してまいりました。アメリカはエネルギー多消費型社会でございますので高いわけでございますが、それでもまあ努力をしてきて今ではまあ半分以下になっているわけでございます。

    でブラジルにつきましてはですね、ちょっと意外な数字と思われるかもしれませんけれども、上昇してきていて、エネルギー消費量はですね、GDP生産のために増えてきているわけでございますが、まあこれは高度成長期にはやむを得ない状況であります。

    日本もかつてこれがだんだん増えてきて、それを省エネ技術によってここまで下げてきたということでございます。ただ、おそらくブラジルもですね、今後長い目で見れば、どうやったらその省エネになっていくのかということが重要な課題になるだろうというふうに思います。

    さて、また前のバブルの話にまで戻っていきたいと思いますけれども、まあバブル期の前にですね、安定性長期があったということを申し上げました。その頃は何が起こったかというと、人口の高齢化が少しずつ始まりまして、それに対してコストを払わなきゃならなかったというのがまあ安定成長に至ったひとつの理由でありますが、もちろんオイルショックによって、先程の省エネ技術というものを開発するために様々な努力をしたというのも安定成長に向かっていったわけでございます。

    で今度はバブルでございますが、この次のページでですね、バブルのお話に話を進めたいと思います。これがですね、バブルになった85年、プラザ合意の年に、この、90年、89年、これは株価は89年の12月がピークなんですけれども、地価は90年の3月末がピーク、3ヶ月違いでありますので、大体この頃を100と致しまして指数化いたしますとですね、85年には20ちょっとでしかなかったと。

    90年にバブルが崩壊するとですね、90年代の後半にはここまで下がってきたということでございます。大体ざっと4倍以上に、わずかの期間にですね、5年間に4倍、資産価格が4倍になって、地価と株が4倍になって、崩壊とともに急落してですね、元に戻ったと。

    未だにこの趨勢はですね、まあ若干の上下増はありますけれども、今日のレベルはですね、このレベルとほとんど変わっていないということでございます。でその間ですね、一体政策はどうだったのかというとですね、これは消費者物価なんですけども、このバブルの期間ですね、消費者物価は極めて安定的でありました。

    インフレというものは消費者物価の上昇だというふうに定義するとですね、インフレはなかったというふうに我々は思っていたわけでございます。政策当局にいる人たちはですね。ところが、資産価格の上昇はインフレと同じ意味合いを持つんだということにですね、気がついたのはこの崩壊した後なんですね。

    で、アメリカもですね、2007年ぐらいにその、住宅バブルが崩壊したわけでございますけれども、その住宅バブルの上昇と崩壊の過程はもうこれとそっくり同じ図式を描いているわけであります。我々はこの期間、日本の新聞にですね、バブルという言葉はほとんど見当たりません。むしろ、順調に成長する経済という日本の経済に対する期待感ばかりが出ていたわけでございます。

    で、この頃のですね、新聞、雑誌を紐解くと、バブルという言葉の洪水状態になるんですね。要するに、人々はバブルの最中にバブルと気づかない。同じことがアメリカの住宅バブルで起こりました。2004、5年の頃、私が日銀にいた時にFEDの高官と、グリーンスパンさんとか副総裁と話をすると、私は日本の経験ではですね、年率20%上がる住宅価格というのはもうバブルに違いないということを申し上げると、それは全くの誤解だと。

    日本は必要のない土地をですね、将来の値上がり期待で買いあさっていたじゃないかと。アメリカの住宅はですね、全部電気がついていると、要するに実需があるんだということですね、実需があって値段が上がるというのはこれは健全な経済であるということでした。

    しかしそれから3年後に大暴落と。その結果、あのインベストメントバンクですね、ゴールドマンサックスから始まってですね、メリルリンチ、リーマンブラザーズまで、まあ5つあったわけでございますけども、今はゴールドマンサックスは再起いたしましたが、リーマンショック後は全部名前が変わってしまいました。

    リーマンブラザーズはまあ、倒産ですね。メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに買われてしまったといったようなことでですね、もう、あれほどアメリカのインベストメントバンクに続けと、世界中がですね、思っていたその姿が、誰も今はインベストメントバンクに続けなんて言う人はいなくなりました。

    ビジネスモデルそのものが消えてしまったというような状況でございます。日本はこの期間にですね、ちょうどこの97年から98年にかけてですね、マネーセンターバンクというまあ非常に大きな、預金規模で20兆から30兆近いですね、金融機関が潰れました。

    この時は大変なことが起こったわけでございますけれども、その後ですね、2000年に入ってからその償却をずーっと続けたわけでございますけども、トータルでですね、100兆円の不良資産をまあ償却したというふうに、まあ大雑把にいって理解されております。

    100兆円の不良資産というと、GDPの20%、今500兆円弱でございますね、20%以上のですね、資産が消えてなくなってしまったということでございます。その結果ですね、またもう一つ申し上げておかなければならないのはですね、物価は極めて安定していたんですが、マネーサプライ、まあ資金量ですね、市場に出ている資金量は歴史的に極めて高い水準だったんです。

    だからこれを見ると、市場に余剰の金が山ほど余っているから、資産へこの余剰資金が向かってですね、資産価格が上昇し、株価が上昇したというふうに思われますので、これをもっともっと注意深く見ておれば気がついたんじゃないかというふうに思います。

    さすがにですね、この辺りから消費者物価も上がり始め、まあ日本のこんなに高い価格レベルがいつまで維持できるのかというようなことからですね、中央銀行は史上最低の2.5%という金利からですね、6%に、わずかの間に何度も何度も切り上げました。これがバブルの崩壊の引き金を引いたと言われております。

    その後ですね、この経済の停滞とともに、中央銀行は、いまやゼロ、金利ゼロというのは、お金にはコストがないということを意味しますので、こんな馬鹿なことはちょっと考えられないですね。お金を借りてタダっていうような、まあ実際は0.1%ぐらいはついているんですけど、異常なマーケットに、マネーマーケットになったということでございます。 さて、こういうことで日本のデフレということになったわけでございますけれども、次のページにちょっと行っていただきたいと思います。

    これは日本のデフレを端的に示すCPIの、1990年以降のデータでございます。これが1998年ごろにマイナスになりまして、まあ一時プラスになりましたがまた、この期間全体はですね、マイナス基調にあった。これは例の、原油価格の急上昇ですね、2008年に起こった100ドル超え、バレルあたり100ドルを超えたその影響でございまして、エネルギーを除けばゼロ以下でございましたので、実質的にはですね、日本の消費者物価は10年以上に亘ってですね、マイナス領域にあるということでございます。

    まあ主要国はですね、皆この90年以降一斉に下がっては来ましたけれども、どこの国もですね、まあ2%程度を維持している。米国が今ちょっとデフレではないかと言われ始めたのは、米国がちょっと大幅に下がっていることでありますけれどもですね、しかし、まあ日本以外の国はですね、この間2%前後のレベルにあったのにもかかわらず、日本だけがですね、デフレ的な状況にあったというのは、これはまあ色々理由があるんですけれども、まあ日本の特殊な状況だったと思います。

    さて、このことはですね、まことに日本経済を見る上でですね、まあ将来悲観的な状況を強調しているように見られるわけでございますけれども、ちょっと次のページに進みましてですね、これが今後の予測でございます。

    大和総研、私どもが作った予測なんでございますけども、実はこの予測を作ったのはもう去年、12月に作ったわけですが、おとといですか、これは10年度じゃなくて10暦年のですね、12月までの成長率、1年間の成長率が発表されましたが、これが3.9になりました。予想以上に良かったということでございます。で、11年度はまあ1%程度の成長にいくであろうというふうに見ております。

    全体が上振れしているとすればもうちょっと良いかもしれませんけども、しかしまあ1%台の前半にあるであろうというふうに思います。物価はですね、だんだんだんだんマイナスの幅を縮小していって、11年度にはまあほぼゼロに近づくというふうに思いますので、12年度にはですね、デフレを脱却する可能性が高い。

    まあ結局、このマイナス成長が続いた結果起こっている需給ギャップというものを、プラス成長になって少しずつ埋めていってですね、やがて需給バランスがとれれば物価はゼロないしプラス領域に戻るであろうというふうにまあ見ているわけでございます。ただ仔細に言いますとですね、2010年12月期、2010年の第4四半期のGDP成長率は前期比の年率ベースでマイナス1.1ということで、マイナスになってしまいました。

    何でこれがマイナスになってしまったのかというふうに思われるかもしれませんけれども、足元ですね、日本はちょっと踊り場状態にあります。昨年の夏は極めて猛暑でありまして、猛暑による消費の増というのがありましたし、自動車を購入する人に対する補助金というその、財政政策上の消費刺激策がですね、9月に取りやめられたんですね。

    まあそういうことがあって、10月以降落ち込んだと。まあ自動車は非常に大きな影響をもちますので、それがマイナスになったんですけども、おそらくですね、1月から始まる1-3月期とかその後はですね、少しずつプラスに戻っていって年度全体としてはこういう姿になっていくだろうというふうに見ているわけでございます。

    まあブラジルのような成長から見れば、このような成長率はですね、ちょっと満足できないというふうに思われる方もいるかもしれませんけれども、しかし日本の成熟した経済が年率1%ないしは2%ぐらいで成長していくということはむしろ、まあ定常状態による安定的な成長という意味でですね、ポジティブに考えてよろしいのではないかというふうにまあ思います。

    で、次のページにまいりましてですね、先程ちょっと申し上げましたこの海外生産比率の上昇、この2%ちょっとの、企業全体でですね、昔はわずかしか海外生産しておりませんでしたけども、今はですね、この調子で行くと20%ぐらいは海外で生産するように日本企業はなっていくのではないかというふうに思われているわけでございます。

    こういうことで、この海外生産という場合には大体アジアなんですね、日本の場合には。で、アジアに生産拠点を移すということはですね、日本の失業率は上昇していかざるを得ない。先程1%からずっと、失業率が上がってですね、5%程度に今なっております。

    失業率が5%ぐらいのまま高止まりした状態が続くということはですね、失業している者と就業している者の格差が拡大していくということを意味しますので、やや、中流が90数%と申し上げましたけども、中流層が少し縮小しているような傾向にあるように思います。ブラジルはまあ中流層がだんだん増えてですね、5割を超えたというようなことを伺っておりますけれどもですね、成熟した経済においてはその、どんどん中間層が増え続けるというのは限界があるということでございます。

    さて、以上日本の過去の歴史をですね、申し上げてまいりましたけれども、ここでまあいくつか参考になるとすればですね、高度成長が持っているプラスの側面とですね、ポジティブな側面とネガティブな側面があるということをひとつ、まあ頭に置かなければいけないということとですね、あまりの高度成長、あまり景気刺激的な状態が続くとバブルが起こってですね、バブルというのは中々コントロールが難しい。いったんバブルになるとですね、その後の処理が大変だということであります。まあ90年にバブルが崩壊してから今日に至るまで、日本はデフレ的な状況にあるということですね。

    で、アメリカがですね、2008年にリーマンショックによってまあ本当の意味でバブルが崩壊したわけでございますけれども、最近ですね、アメリカ経済が少しずつ順調に回復しているんじゃないかというようなことが言われておりまして、昨年のクリスマス商戦がまあ順調であったとかですね、アメリカの消費というのはまあGDPの7割を占めておりますので、それが堅調といったようなことが伝えられておりますが、どう見てもですね、そう簡単にバブル崩壊後のバランスシート調整が進むとは私には思えません。

    日本だけが10年20年かかってですね、アメリカは2008年からもう2年ぐらいでですね、その局面を脱出できたかというと、多分まだまだ時間がかかるだろうと。ですからアメリカは、かつて日本もですね、バブル崩壊後全部成長率がダウンしたかというとそうでもないんですね。

    上昇局面もあったし、下降局面も2度ばかりありました。経済の循環的な変動というのはですね、全体の低迷の中でもあるということでございますので、私はアメリカはまだしばらくですね、大局的に見ると低迷した状態が続くのではないかというふうにまあ思っております。さて、以上日本の過去の歴史を申し上げましたが、これからですね、日本の抱えている課題について触れてみたいと思います。次のページお願いします。

    これは人口の推移でございますが、日本はですね、総人口1億2700万人を2004年ぐらいに達成いたしまして、その後減少過程にすでに入っております。このまま行くとですね、2055年ごろには9000万人を切ると。元々50年前には日本の人口は9000万人を切っておりましたので、この1世紀の間にですね、9000万人弱から1億3000万人ぐらいまで増えて、その後また元に戻ると。同様に就業人口もまあこういう形を描いているわけでございますが、ただその元に戻るといってもですね、中身を見ると様変わりでございまして、1950年ごろのですね、老年人口、65歳以上人口比率は5%以下でございましたが、2050年にはですね、40%を上回るようなそういう老年人口割合にまあなってしまう。

    年少人口というのは0歳から15歳まででございますけれども、これはですね、8%ぐらいに縮小して、倍ぐらいあったものが半分になってしまうということでございます。さて、この老年人口と就学以下の年齢、すなわち生産に参加しない人口と、生産に従事する人口がほぼ1対1という姿になってしまうと、2050年ごろにはですね、1人の人がですね、若者と老人を面倒見ると、そういう社会になってしまうということでございまして、これがどういうことを意味するのかというのはもう明白でございます。

    一つはですね、この4割を占める高齢者にある程度の幸せな社会でなければならない。だからこの人たちにどのような居心地の良い社会を作るかということが大事なことであって、それは医療とか年金とかいう社会保障をある程度確保する必要があるということでございます。

    でもう一つはですね、やっぱりこのまま若者が減っていくというですね、今2人の夫婦が産む子供の数が1.3人前後なんですね、平均しますと、やっぱり2人の夫婦が2人を産んでもらわないとですね、人口は維持できません。

    まあ笑い話ですけど、このままですね、ずーっと減っていくと最後には、800年後には日本の人口はゼロになってしまうという計算をした人がいるんですけど、これはまあ意味はありませんけども、そういう状態からですね、何とかこれは脱却する必要がありますので、出生率を引き上げるという政策がどうしても必要でございます。

    最後にですね、これだけの就業人口の減をですね、補うために、外国人労働力を受け入れざるを得ないだろうというふうに思います。そうなった時にはですね、日本の社会はまだ極めて、海外からの労働力受け入れに対してですね、慎重でございますので、ゼロではありませんけど慎重でございますので、その辺りについてもう一回考え直す必要があるだろうということでございます。

    ブラジルについて、次のページでブラジルについてちょっとついでに申し上げますとですね、ブラジルはどんどんどんどん人口はいま上昇過程にありまして、2050年ぐらいになると、40年から50年ぐらいになるとまあフラットになると。これ以上増えない。
    就業者もちょっと減少気味になる。それはすなわち、まあ高齢化が進むと。でこれがブラジル、ブルーの線がブラジルなんですけども、これで見るとですね、どんなことが言えるかといいますと、2010年、この段階でですね、日本の65歳以上人口比率が22、3%のレベルにあると。それにですね、40年後ぐらいに到達すると。現在の日本の高齢化の社会にブラジルは40年後に到達するということを意味するわけであります。

    その、現在の高齢化の社会を日本は何年かかったかというとですね、大体この、70年ごろの数字を見るとですね、ブラジルの現在の姿とほぼ同じなんですね。6%か7%ぐらいでしょうか。そこからですね、22、3%、すなわち約15%上がるのに40年かかったんですね。だから日本の過去40年の姿をブラジルは追うことになるだろうと。

    しかしまあ、日本はですね、2050年になるとさらに15%、40年の間に増えますのでね、日本の方がもっとひどいことになるわけでございますけれども、ブラジルにもそういう問題はあると。これから社会保障問題とかそういうことが、すぐには出てこないかもしれませんけれども、長期的にはあるということは頭に置く必要があるだろうというふうに思います。

    第2の長期的課題はですね、次のページに参りまして、財政赤字問題でございます。日本の財政赤字は、単年度の財政赤字はですね、10%を超えておりまして、実は主要国は皆いま超えてしまっております。超えた理由はですね、オバマさんは自分のところで起こったリーマンショック後の経済停滞を財政出動によって回復させようとしたこと。

    イギリスも同様ですね。ロンドンの金融市場は崩壊しましたので、同様でございます。ただ、政府債務残高、ストックの債務はですね、日本はこれがダントツに高い上にですね、ますます増えていって250%になってしまうと、まあ2015年には250%になってしまうというのがIMFの推計でございます。

    アメリカも増えてはいきますけれども、あるいはイギリスも増えてはいきますけれども、しかし日本の250%はダントツの状態であります。このようなことが長続きするものかどうかということについては、誰も長続きしないんじゃないかという懸念をもっているわけでありますけども、次のページに参りましてですね、今政府、地方で発行している国債残高というのは900兆を超えておりまして、まもなく、これ2009年なんですけれど、2010年にはですね、もう1000兆に近くなるのはほぼ間違いない。

    ただですね、家計の金融資産が1442兆ありますので、そのうちの大半のものが、かなりの部分がですね、国債保有に回っている。まあ日本の国債保有者構造を見ると、銀行、保険といったようなところが非常に大きな部分を占めておりますので、この金融資産が預けられた結果、この金融機関が大量に持っていると。

    海外が持っている日本国債のシェアというのは5%程度に過ぎません。95%は国内消化されていると。アメリカの国債の海外保有割合は約5割でございますので、日本のこの海外保有割合がいかに低いかということが良く分かると思います。そういうことでございますので、そう簡単にですね、日本の国債金利が暴騰する、国債価格が暴落するといった可能性は、近未来にはないかもしれません。

    しかし、つい最近ですね、ある格付け会社がですね、日本の国債の格付けをAAフラットからAAマイナスに引き下げました。1月の末でございますけれども。まあ、海外からはですね、日本の国債がひょっとすると値崩れするかもしれないという、まあサインを出したというふうに考えられますので、あまりこれを大げさに、もうまもなく日本は大変なことになると言うつもりは全くありませんし、また事実そんなことにはならないと思いますけれども、まあ国債といえどもマーケットの監視下にあるということは頭に置いておかなければならないということでございます。

    まあ日本の課題としてですね、2つを申し上げました。次はまあ、世界経済の課題ともいうべき問題を申し上げたいと思います。これはですね、先進国と新興国のGDP、世界のGDPにおけますシェアを示したものでございます。

    まあ、わずか10年前にはですね、8対2ということでありましたが、今は6対4ということに、今はというかこれは2015年の予測なんですけども、2010年で見ると大体まあ3対7ですね、さらに5年経つと4対6になっていくと。明らかにですね、この新興国のシェアが増加しているわけでございます。当然この中にはブラジルも大きく貢献しているということでございます。

    さて、次のこのページでございますけども、こういうですね、エマージング諸国の台頭というものは日本経済に非常に大きな影響を与えているということを示す図表でございまして、かつて、30年前はですね、日本の貿易相手国は2割が米国でありました。中国関係は約5%でありましたが、今日ではですね、20数%が中国であり、米国は極めて縮小してきてしまっているということでございます。

    まあ残念ながらブラジルと日本のこの関係はですね、貿易相手国という意味では、日本はまだアジアに向かってですね、取引を拡大しているということでございまして、私はもっとブラジルと日本の関係が大きくなる、今後なるのではないかというふうに期待しますけれども、現状ではこういう実態でございます。

    この世界の構造変化の中で、貿易構造が変わるということはですね、実はある意味世界秩序が変わるということを意味するわけでございます。まあ何を申し上げるかというと、世界経済のですね、主要なルール作りを、今まではG7で行ってきたわけでございますけれども、今後はG20ということにまあなるであろうということなんですね。

    新興国も参加した上でルール作りをしていかないとですね、世界は丸く収まらないという状態が出てくるであろうというふうに思います。明らかにですね、このBRICs、特にブラジルがですね、そういう中でどういう役割を演じていくかというのはまあ大変重要な課題であろうかというふうに思います。

    さて次はですね、次のページちょっとお願いしたいんですが、世界のですね、この、リーマンショック後の不況というものが何をもたらしたかというとですね、一つはですね、元々放漫財政であったギリシャ以下のですね、PIIGS諸国の財政のサステナビリティというものが非常に困難になったということでございます。

    ご承知のとおりですね、ギリシャは昨年の5月に事実上破綻いたしました。IMFとユーロ諸国が3年間に1100億ユーロ、10数兆円のですね、資金をギリシャに融通するということをまあ決定して、ギリシャの国債がデフォルトはしませんよということをまあ保証したわけでございます。その結果ですね、ギリシャの国債金利は正常化の方向に向かいました。

    この資料は国債利回りの対独スプレッドということで、ドイツの国債金利というのはまあ3%ぐらいで安定しておりますので、それを引いた、ドイツと比較した場合のPIIGS諸国の利回りはどのぐらいドイツからかけ離れているかという表でございます。一時はですね、ギリシャの国債は10数パーセントの金利になったんですね、ドイツ金利を差引いて10%近くなったわけですから、一旦は沈静化したかに見えたんですが、その後ですね、また高止まった状態にあるんですね。ですから、ギリシャに1100億ユーロ融通して、当面は凌いだけども、3年経ったらギリシャは返せるのだろうかということに対して、マーケットは危惧しているという姿を示しているわけでございます。

    昨年の11月にアイルランドがギリシャと同様にですね、財政的に行き詰まりました。アイルランドに向かっても、同じ措置がとられてですね、急騰したのが、一応それ以上は増えない、上昇しない状態になりましたけども高止まっております。

    次はポルトガル。でポルトガルはですね、まだ破綻、事実上の破綻ということは免れておりますけれども、マーケットはですね、PIIGS諸国の中の3番目のポルトガルを注目し始めているということでございます。まあスペイン、イタリアがですね、その次のPIIGS諸国でございますけれども、まあ今のところですね、スペイン、イタリアについてはまあまあ安定した状態にあると。

    万が一ですね、この、ギリシャやこの辺りの国々に本当にデフォルトが起こると何が起こるかといいますとですね、これらの国々の国債を持っているのはドイツとフランスの金融機関なんですね。したがってここが破綻するということはドイツとフランスの金融機関が不良債権をもつということになりまして、それが日本と同じようにですね、金融機関が潰れる可能性がまああるのではないかということが心配されているんですね。

    したがって、欧州発金融危機といったようなリスクをですね、今マーケットは少し頭の中に入れ始めた、入れ始めていると。私はこの、ここの国々が破綻するということは実はないと思ってはおります。何故ないかというとですね、破綻するとユーロが行き詰まるんですね。これは全てユーロ加盟国でございます。

    ユーロという単一通貨を実現したですね、16カ国の一員なんですね。でドイツとフランスはですね、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルに対してですね、ちゃんと自分で再生しろと、財政健全化を図れと、そんな助けてくれといっても助けないよということをメルケルさんもサルコジさんも主張しておりますけども、それはドイツ国民向け、フランス国民向けのまあ政治的な発言としては非常に意味があるんですけれども、本当に助けないとですね、ドイツ、フランスがおかしくなってしまうんですね。

    ユーロがおかしくなりますので。だから、もう一心同体になったですね、ユーロ16カ国は必ずこれらの国々をですね、支援せざるを得ないだろうというふうに思いますので、ここから破綻するという可能性はそんなに高くないと私は思っております。

    さて、ちょっと先を急ぎましてですね、先程その、このPIIGS諸国の問題のそもそもの原因でありますリーマンショック、それは実はアメリカで起こったことであり、そのアメリカ経済の変調はですね、ヨーロッパにまあ飛び火し、日本にも飛び火してきたわけでございます。

    金融機関の不良債権は、ブラジルも日本もですね、彼等のもっておりますサブプライムローン由来のですね、金融派生商品、デリバティブズをほとんど保有しておりませんでしたので、それによって怪我はほとんど無かったと。ブラジルも日本も同じでございます。

    しかし、景気が悪くなったことによる輸出、あるいは株価の下落を通ずる影響によってですね、大変な被害をこうむっているわけでございますが、そのアメリカもイギリスもですね、不況から立ち上がるために財政出動と、極めて金融緩和を、まあ前例のない金融緩和を実行いたしました。

    でその結果起こっているのがですね、日米金利差の縮小。アメリカの金利が下がってきておりますので、日本の金利はもうほとんどゼロですからこれ以上下がり得ない。アメリカの金利が下がってくると金利差は縮小するという形でですね、その金利差の縮小が円高を招いたということでございます。

    05年から比較すると26%、まあここから比較するとですね、この辺りから比較するとですね、26%アプリシエイトしたと。レアルにいたっては61%切り上がってしまったということでございます。日本はそれに向けてですね、日米金利差を何とか縮小しなきゃいけないというイメージでですね、アメリカと同じように金融緩和をせざるを得なくなりました。

    金融緩和ができたのはデフレ状態だからなんですね。で、ブラジルはですね、インフレ懸念が強いわけですので、外から入ってくる余剰資金に歯止めをかけなければいけません。それを理由にですね、様々なことをやっているわけでございますけども、しかし入ってきた結果インフレが起こるのを懸念すると金利を上げざるを得ないんですね。

    金利が上がればその利差を求めてより資金が流入してくるというジレンマにまあ陥っているという、非常に難しい状態にあるわけなんですね。この議論に対して、ブラジル中央銀行の方々はですね、実にきっちりと対応されているといいますが、問題意識をもっておられるということを、最初にまあ私は申し上げたわけでございます。

    さらにですね、次のページにまいりまして、これはコモディティ価格の状況でございますけれども、農産物のですね、価格が最近急騰しております。原油や銅の価格も急騰しておると。まあ原油はこの2008年に起こった急騰から見ますとですね、まだそこには至っておりませんけども、他のものはですね、例えば銅はかつての2008年をもう超えてしまっているといったような状態になっているわけでございます。

    で、これらのものを輸入する、あるいはこれらのものを輸入して製品を作るのは先進国でありますので、まあ先進国にとってはこれをどのように対応していくかということは問題なわけでございますけれども、今起こっておりますのは、先進国ではデフレという状況でございます。

    日本がデフレということは申し上げました。アメリカもですね、実はこの、さっきちょっと数字をご覧に入れましたけども、消費者物価が急落しているんですね。それで2%ぐらいがアメリカにとって望ましいインフレターゲットだというふうに思っているわけでございますけれども、それがまあ0.5%ぐらいまで下がってきてしまいましたので、バーナンキFRB議長はデフレ対策としてですね、日本のようにマイナスになる前に徹底した金融緩和によってですね、プラス領域にもっていかなきゃいけないと。

    一旦ゼロ以下になった経済をですね、プラスにもっていくのは如何に困難なのかということは、バーナンキさんは日本を見て学んでいるわけなんですね。そこで早めの大幅金融緩和をやりました。これが、新興国にまあ資金の流入の原因になっているわけなんですね。

    で、しかし、じゃあアメリカはとんでもない間違った政策をやっているのかというと、アメリカ経済が立ち直らないことには世界経済は立ち直らないという意味でですね、やはりアメリカの財政刺激、金融緩和は私は正しい選択だと思うんですね。あらゆる政策に副作用があると申し上げましたけども、その副作用によって影響を受ける円高、為替レートの変化とか、新興国のインフレ、これにどうやって対応するかということが今の世界の問題でございます。

    先進国ではデフレ、新興国ではインフレ、この2極化がですね、今世界で起こっているわけでございます。したがって先進国ではデフレ対策として緩和的な政策をとると。その結果、財政赤字は拡大し、金利は低下し、余剰資金が世界にあふれると。新興国はインフレでございますので、今言ったようなことがですね、さらにそのインフレを加速させる恐れがあるということから、じゃあどうしたらいいかということで、今様々なネゴが行われているわけでございます。まあ日本はデフレ、ブラジルはインフレ懸念といったようなですね、そういう組み合わせにまあなってしまっているわけでございます。

    以上がまあ、世界を取り巻く現状なんでございますけれども、こういう中で日本とブラジルがどのようなものに、どのような関係を築いていったらいいのかということになればですね、日本の持っている技術水準、日本の技術というのはまだ非常に評価が高いですね。

    中国の方々が電気製品を日本に来て買っていくんですね。何で同じようなものを日本へ来て買うんだと聞くとですね、品質がいいからと、こう答えるんですね。中国の女性は日本の化粧品を東京で買いあさっていくんですね。何でかっていうと、日本の化粧品は安心して使えるからだと。要するに安心とか安全とか品質ということに対して日本のブランドはですね、まあ多分ドイツと日本のブランドはですね、世界に一番通用するものと。

    で、その日本の技術とですね、ブラジルの持っている多様な資源および労働力というものが結び合うことによってですね、先進国で起こっているデフレと新興国で起こっているインフレというものを、私は、かなり大きくですね、影響を及ぼすことができるのではないかと。

    まあ細かく言えば、どの国の輸出がどうなって、どの国が増えるけどどの国が減るとかですね、ミクロで言えば様々な競争があります。まあそれは、私の立場から一つ一つの企業戦略、国の戦略をですね、あまり論ずるのは適切でないというふうに思うんですけれども、どうやったらですね、世界経済に貢献できるのかという視点から見たら、ブラジルと日本がですね、それぞれの補完的な関係をですね、生かしあっていくということによってですね、多分、まあ資源、環境、様々な問題を抱えている世界経済に貢献できるのではないかというふうに思っているわけでございます。以上、大変時間を超過いたしましたけれども、私の申し上げたいことを申し上げまして、これで終らせていただきます。ご静聴どうもありがとうございました。

    司会
    アカデミックで体系的なお話、どうもありがとうございました。またブラジル、そしてブラジルとの関係におきましてもですね、言及いただきありがとうございました。えっと、ご質問は、ないと思いますので、次に参りたいと思います。

    それではこれから部会の発表、あ、それからですね、武藤様は本日別件のご用事がありですね、3時ごろにご退席されますことをあらかじめご報告を申し上げます。それではこれから部会の発表に移ります。トップバッターは金融部会でございます。小西部会長、よろしくお願いいたします。


     

     

  • 金融部会 小西輝久部会長

    金融部会

    ご紹介いただきましてありがとうございます。小西でございます。本日一番バッターということで、かつ、私このシンポジウムに出席させていただきますのは初めて、不慣れな点からいろいろご迷惑をおかけする点があろうと思いますがどうぞよろしくお願いいたします。

    まず最初に本日の内容につきましてですけども、先日打ち合わせがありまして、いわゆるマクロ経済に関わる総括、この部分につきましては今年から金融部会の中でご説明させていただくようにということで指示をいただいております。

    従いまして本日、従来から金融部会でご報告させていただいております、いわゆる金融および保険に関わるテーマに加えまして、経済動向、GDPですとか、経常収支ですとか、といったマクロ経済に関わる部分につきましても金融部会の方から概観させていただこうと思っております。よろしくお願いいたします。それではページをお願いいたします。

    それではまず最初に2010年を振り返りまして、ブラジルのマクロ経済について簡単に振り返らせていただきたいと思います。昨年は実にブラジル経済にとりましてその強さを見事に証明した、歴史上という観点からも画期的な年であったというふうに思っております。

    すなわち、2008年、世界金融危機と申しましょうか、リーマンショックと申しましょうか、からご存知の通り早く立ち直ったわけではありますけども、それだけではなく、非常に力強い個人消費、それからこの消費に支えられた設備投資、これがさらに巡りめぐって雇用の創造、それから個人所得の増加といった好影響を与えまして、さらに好循環としてこれがクレジットの拡大、でこれがまたさらに個人消費の拡大ということ極めて好循環を生み出した画期的な年だったと思います。

    この結果としまして、GDP、これは速報値ですけども、7.6%の成長というふうに言われております。失業率も史上最低を更新しまして、昨年12月には5%台ということで、雇用環境も磐石という状態になった素晴らしい1年だったというふうに考えております。

    で一方、この下の半分に移りますが、将来への問題点、課題も浮き彫りになってきたということが言えると思います。先ほどの武藤様のご講演、それから先週のカマラの定例昼食会での鈴木孝憲様のご講演とちょっとかぶる部分ではありますけども、まずやはり高金利、でこれを誘因とするレアル高、でこれが一方、国内景気が良いものですから輸入が増加する、一方で輸出企業は競争力を失う、貿易収支それから経常収支が悪化する、この赤字部分を海外からの資金流入でまかなう。こういった状況が明らかになってまいりました。

    これに加えまして、中央政府の政策面ですけども、いわゆるボルサ・ファミリアの政策に加えまして、公務員の増員、それから公務員給与の引き上げといったいわゆる大きい政府の政策を志向する向きが強くなりまして、財政収支も悪化しております。ブラジル政府としましてはこういった状況の中で、不足感が現在強くなっておりますインフラへの投資を何とかして資金捻出していかなければならないという非常に舵取りの難しい状況にあるということが言えると思います。次のページお願いします。

    次に金利および為替などの、いわゆるマーケット動向について簡単に触れさせていただきます。まず最初にインフレならびに金利動向でございます。特に表の中段、SelicそれからIPCAのところをご参照いただければと思います。

    ご存知のとおりですが、昨年後半インフレ圧力が非常に明確になってまいりました。他方為替市場ではレアル高のトレンドが続く中、中銀としましては昨年7月以降は金利の引き上げを見送って参りました。今年1月になってようやく50bpの引き上げを行ったというのはご存知の通りでございます。

    この点をどう見るかという点なんですけども、一つの見方と致しましては、中銀の重要な使命でありますインフレファイターと言う意味ではややタイミングが遅かったのではないかという指摘を受けかねないタイミングだったかと思います。また本来自国通貨が強くなるという状況の中では輸入価格が下がりまして、これがインフレの沈静化につながるべきところでございます。

    しかしながら皆様、サンパウロ、ブラジルにお暮らしの中で、日々の生活の中でおそらくご実感いただけるかと思いますけども、輸入品のものが下がっているとは感じられません。こうした中でインフレ懸念が今後も続く、ないしはさらに強くなるという懸念、これがさらなる金利の引き上げにつながるというシナリオは否定しえないところかと思います。

    中段右端、マーケット予測のところをご参照いただければと思います。マーケットの予測では本年2011年末時点でSelic12.5%というふうに見こんでおりますが、他方でご存知の通り、ジルマ政権としては金利水準の引き下げと言うことを標榜しているわけではありますが、インフレ圧力との兼ね合いの中ではさらに金利を引き上げていくということも必要になるかと思われます。次のページお願いします。

    マーケット動向続きまして、次に為替動向でございます。2010年、すいませんちょっと見にくいグラフなんですが、2010年の年初1月から3月にかけましては、先ほどもご講演の中にありましたPIIGS、特にギリシャ債務危機、ここに問題を発しまして、いわゆるソブリンリスク問題、これからですね、レアルは一時1.9レベルまで弱含みの局面もございました。

    しかしながらトレンドとしましてはその後じりじりとレアル高に向かいまして、足元大体1.66から1.68程度の狭いレンジで推移してございます。この強含みの背景ですが、やはりその現物のキャッシュ市場におきまして直接投資または間接投資としての資金流入が続いているということが主な原因として挙げられると思います。

    その中の間接投資という意味では、日本の投資信託ですとか、それからいわゆるソブリンファンドですね、アジアですとか中東ですとか、が主なプレーヤーとして有名なわけですけども、この行き過ぎた投機的な資金流入を抑制するために、このグラフの下のほうにお書きしております政策、すなわちレアル高の防止策がいくつかとられております。

    代表的なところで申し上げますと、海外からのいわゆるFixed Incomeの投資、典型的には国債ですとか、銀行預金とかいったものになりますけども、こちらに対する金融取引税、IOFの金利が引き上げられました。さらに今年1月に入ってからですけども、いわゆる為替でのドル売りレアル買いのネットポジションに対する課税、これも同じ趣旨でございます。

    こういった流れの中で確かにその日本におけるブラジル投信への新規資金流入というのはかつてほどの勢いはなくなってきております。そういった意味では短期資金の激烈な流入を抑えるという意味では一定の成果を挙げたということが言えると思います。しかしながら為替市場をご覧いただいたそのとおりなんですけども、レアル安に誘導することができたかというと決してそういう状況にはございません。

    日本の投信ということで若干横道にそれますけども、現在日本で売られております外国投信というのは55兆円あるそうでして、そのうちの10%以上、なんと10%以上がブラジル関連ということでございます。日本の個人投資家というのはなかなか特徴がございまして、分配金が毎月支払われることを非常に好む傾向がありまして、かつこの分配金の水準が高いものを求める傾向が強くなっております。

    そういった中でIOFの課税強化を改めて考えてみたいと思うんですけども、この高い、引き上げられた関税率というのは新たに流入する部分については適用されます。ところが既存のファンドということになりますと、従来から存在する残高に対してはこの高い税率は適用されないことになります。

    従いまして、既存の残高が大きい中で新規資金流入の割合が相対的には低いことになりますので、全体の中では結果としてまあ薄まってしまうということになりますので、結果としましては例えばブラジル投信の魅力が大きく損なわれるとか、このために資金がブラジル投信から流出するとかいった現象は見られていないというところが現在の姿でございます。

    スライドの上の方をご覧いただければと思うんですが、為替動向に戻りまして2011年、本年末の予想が1.73ということで、現在の水準とあまり変わらないレベルを見込んでおります。

    今後も政府としましては、レアル高を防ぐべく新たな追加措置をとる可能性は否定できないところではありますけども、例えば先ほどのIOFとFixed Incomeだけではなくて株式投資に対しても引き上げるかというようなことをブレインストーミング的に考えてみますと、さすがにこれは株価水準への影響、悪影響を考えますとおそらくこれは逡巡せざるを得ない、まあ取りがたい選択ということになると思います。

    また一方で間接投資ばかりではありませんで、直接投資としてのブラジルへの資金流入は引続き活発になるというふうに思われますので、こういったいわゆるレアルへの実需を考えますとレアル金利は今後もさらに上がる、その結果さらに為替も強含むといった展開が充分に予想されるものと思います。

    足元のリスクを一点申し上げますと、ご存知の通りエジプトの政治危機を発端としましていわゆる新興国ファンドに対する安定性が最近指摘されているところでございます。これの影響もあってと思いますが、1月中旬以降Bovespaも軟調な推移を示しておりますけれども、では為替レートはどうかというと、引き続き堅調という現象を見ますと、まあ多少のソブリンリスク問題が出てもいまやレアルは非常に強いままだというふうに考えられます。それでは次のページお願いします。

    続きまして銀行業界についてご報告、ご説明申し上げます。ご存知の通りですが、ブラジルの内需を支えております大きな要因のひとつがクレジットでございます。スライドの3行目、4行目をご覧いただければと思うんですが、法人向けのご融資残高それから4行目、個人向けのご融資残高、それぞれ2009年から2010年にかけて大変な大幅増、法人の方が15%、個人の方は19%の増加を示しております。一方でそのさらに下の行、延滞率をご覧いただければと思うんですが、法人・個人ともに延滞率が下がっておりまして、まさに好景気というのはこういうことだという数字が並んでおります。

    今後の個人金融市場につきましてひとつ申し上げますと、所得の増加にともないまして、すでに隆盛を極めておりますクレジットカードですとか、商品の割賦販売といったもの、いわゆる小口のクレジットに加えまして、今後は住宅ローンマーケットが更に大きくなるものと思います。

    それから企業金融につきましても、ブラジル地場企業の業績を見てみますと、強い国内販売これに支えられまして一般に非常に好調な決算を示しております。そういった意味から法人・企業金融という意味でも資金に対する需要が非常に堅調です。

    他方サプライサイドから見ましても、大手地場銀行おしなべて非常に高い自己資本比率を持っておりますので、融資姿勢非常に積極的な状況です。従いまして2011年の貸し出し動向につきましても、2010年のような15%の伸びを示すかと言われるとやや難しいところもあるかもしれませんが、少なくとも10%以上、二桁の伸びは見込めるものというふうに考えております。

    一点、非常に大きいものではないものの、中期的に若干金融面で懸念材料を申し上げます。表をご覧のとおりで、現在個人の延滞率というのは12%程度まで下がっているわけですけども、この水準というのはまあ非常に低い失業率、いわゆる雇用状況が非常に良いということを反映しておりますので、かなりボトムに近い水準にあるのではないかというふうに考えております。

    従いまして今後、例えば雇用状況がちょっと変わるとか、乃至はその個人の債務残高が積み上がるとかいった状況がもし出てくるようであれば、この延滞率はもしかするといずれ上昇トレンドに転じる可能性もあるというふうに考えております。

    現実問題としまして、その地場大手行のリテール貸し出しポリシーは非常に保守的ですので、もし例えば雇用状況に変化が見られるとかいったことがありますと、典型的にはいわゆるその無担保ローンのスコアリングのハードルを引き上げるとかいった形で引き締めに転じる可能性もあると思います。

    と申しますのは今年中にそういったような状況がすぐ起こるのかと言われるとその可能性は極めて低いというふうに考えておりますが、中期的にはこの点は課題になりうるというふうに考えております。次のページお願いします。

    以上を踏まえまして2011年のブラジル経済および金融の動向につきまして簡単にまとめてみたいと思います。総論として申し上げますれば、問題点はいろいろ抱えてはいるものの、マーケットが予想しますようなGDPの成長率、4ないし5%、これは達成できるであろうと。こうした形での景気拡大は続くものというふうに考えております。

    ただし一方で、ジルマ政権が抱えます課題、すなわち財政収支の悪化、ないしは国内消費を過熱させることなく、バブルに持っていく事なく軟着陸させることができるのかどうか。ないしは為替高、またこれに伴う輸入増加、それから付加価値の高い国内産業の空洞化、こういった中期的な問題点に対してどのような政策を打ち出していけるのか、こういった点が非常に重要になってくるというふうに考えております。

    市場動向としましては、本年、2011年、金利につきましてはインフレ懸念から引き上げざるを得ず、それから為替はレンジとしましては1.65から1.75程度での高止まり、といったものを予想しております。銀行の貸し出し動向としましては、クレジットの拡大が続いて引続き景気を支える一因というふうになるものと考えております。次のページお願いします。

    それでは最後に保険業界につきましてご報告申し上げます。グラフでご覧いただけますとおり、ブラジルの保険市場は右肩上がり、文字通り右肩上がりの成長を継続しております。2010年末現在での確定した数字はまだ公表されてはおりませんが、グラフの下の方にございますとおり、保険審議会の試算によりますと前年度対比約13%の増加というふうに見込まれております。本年、2011年につきましても、その右側にお示ししましたとおり、ほぼ同じ水準の増加が見込まれておりまして、今後数年間は二桁の成長が継続するものというふうに見込まれております。

    ご参考までですけども、ブラジルの保険市場の規模はだいたい円価で申し上げますと2兆6千億円程度でして、これは日本の大手保険会社1社程度の規模に過ぎないものではございます。しかしそうは申し上げながら、特に個人分野では保険の普及率がまだまだ低いものですから、今後ますます拡大していく有望なマーケットであるというふうに考えております。次のページお願いします。

    こちらではデータ2010年11月のものを用いまして、保険種目ごとの構成比率をお示ししてございます。一番多いのが右側、自動車保険、これは半分近くを占めておりまして、その次に左上、人保険となっております。この人保険とは損害保険と生命保険を合計したものでございます。

    ブラジルでは日本と違いまして、損害保険会社と生命保険会社が分かれておりませんので、保険会社では両方の商品をあわせて販売しております。この種目、4つの種目ごとの増加率を申し上げますと、右側から順番に自動車保険が+14%、昨年1年間です、火災保険が+11%、運輸保険が+17%、人保険が+14%ということで、いずれも、どの種目で見ても二桁増ということで極めて順調な拡大を示しております。次のページお願いいたします。

    最後に保険市場に関わります最近のトピックスを一点申し上げます。これは再保険市場の規制強化の問題でございます。念のためですが、再保険とは保険会社が一旦引受けたリスクの一部をさらに他の保険会社に対して引受けてもらうという制度でございます。

    従来ブラジルには半官半民の再保険会社でありますIRBがございまして、これが再保険市場を独占しておりました。これが2008年に自由化、開放されました。それ以来海外の保険会社、ないしは再保険会社がブラジルの再保険市場に参入してまいりまして、現在では約90社の再保険会社が当局に登録しております。

    この結果としまして、まあ当然ではありますが、政府系の再保険会社であるIRBの収入は激減することになりました。こうした中で昨年12月、突然のことですが、再保険に関する規制強化の通達が出されました。これは当初予定では今年の1月から順次適用されることになっておりました。

    その規制の内容は2点ございまして、下の方でございます、まず一つは現地再保険会社への出再義務化です。もう一点はグループ間の再保険取引の禁止でございます。2008年の再保険市場の開放以来、ブラジルで事業を行う日系保険会社を含めまして、外資系保険会社の本社がブラジル当局に登録をいたしまして、当地で再保険業務を行うようになってきております。

    これによって、グループ全体、グループ会社として幅広い保険サービスがお客様に提供できるようになりまして、なってきたんですが、この規制によりまして、今後このようなサービスの提供を続けることが困難になるという状況にございます。

    こうした状況をふまえまして、ブラジル国内の保険協会ですとか、また海外でもこの規制の撤廃に向けて抗議活動が活発になりました。日本の損害保険協会からも規制適用の中断を求める要望書をブラジル当局に送っております。

    この結果といたしまして、一部規制の適用は延期こそはされたんですが、今年3月末以降順次適用が開始されることになっております。この規制によりまして懸念されますのは、例えば企業物件の巨額のリスクの引受けをすることができなくなりましたり、ないしは保険料を引き上げざるをえないといったような影響が懸念されております。ブラジルの保険業界ではこうした延期された期間を利用しまして、この規制を撤廃に向けて対応すべく議論が続いておりますので、この点につきましては注視が必要だというふうに考えております。

    以上を持ちまして金融部会からのご報告とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。何か質問等、ご意見、コメント等ございますでしょうか。それでは次に参ります。貿易部会、伊藤部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 貿易部会 伊藤友久部会長

    貿易部会

    貿易部会の部会長、伊藤です。本日恥ずかしながら、腰が痛くてですね、立ってプレゼンテーションするのがつらいもので、ちょっとこちらシルバーシートから座ってプレゼンテーションをさせていただきたいと思います。申し訳ありません。

    では貿易部会から貿易動向について説明させていただきます。最初に2010年の貿易額の総括ですけども、輸出においては2009年度の1530億ドルから32%増の2019億ドル。輸入においては2009年度の1272億ドルから42.2%増加の1816億ドルとなり、輸出入ともに過去最高額となっております。ただし黄色の折れ線グラフで記載してある貿易収支を見ていただきますと分かるとおり、輸入の増加幅が輸出よりも大きいために貿易収支は20.2%減の203億ドルという数字に落ち込んでおります。

    次に半期ごとの推移を見ていただきます。2010年度下半期の貿易額は半期ベースとして輸出入ともに過去最高額になりました。これを見ると、リーマンショック後2009年上半期をボトムにブラジルの貿易動向は順調に回復していることが見て取れると思います。

    ではこれより輸出入の取引形態ごとにそれぞれ違った角度から説明させていただきます。まずは輸出に関してですけども、2010年の輸出総額は金融危機からの回復により前年比32%増の2019億ドルとなっています。カテゴリー別で見ても、表に記載のとおり全てのカテゴリーで増加となっています。

    特に一次産品が45.3%増の900億ドル、半製品が37.6%増の282億ドルと大幅な増加となりました。なお一次産品が輸出総額に占める比率については2007年度が32.1%、08年度39.6%、09年度40.4%、そして10年度44.6%と年々増加する傾向になっています。

    次に商品別で主な項目について説明させていただきます。まずは第一次産品ですが、この表のとおり鉄鉱石、原油の輸出額が大幅に増加し、輸出額増額を牽引している一方で、大豆の輸出金額は前年度を下回る結果となっています。

    なお輸出量で見てみますと、鉄鉱石輸出は前年比16.8%増、原油輸出量は前年比16.2%増でありましたので、この2品目について言いますと価格上昇が金額増加に大きな影響を与えたことになります。なお大豆に関していいますと輸出量は1.8%の微増で価格は昨年から平均値では下落したことになるということになります。

    ちなみに大豆の生産量自体は増加しておりますが、ブラジルのロジスティックスの問題や国内での需要の伸びということもあり、輸出量そのものが伸びていないのが現状です。次に工業製品ですが、乗用車、そして精糖等は順調に増加していますが、ブラジルの輸出の主力である航空機がアメリカ向け輸出額の半減により減少に転じております。

    それでは輸出の最後に相手国別について触れてみます。輸出相手上位10カ国は表の通りでありますが、まず注目すべきは2009年度から輸出相手国第1位になった中国です。

    全体の伸び率をさらに越える伸び率となり、輸出全体の15%超となる380億ドルとなり、商品としては過去から増加している大豆に加え2010年度は原油が大幅な増加となっています。次に2位のアメリカですが、さきほどの説明の通り航空機は減少となっているものの、原油、鉄鉱石の輸出額が増加し、結果前年度比23.7%増加の193億ドルとなりました。

    3位のアルゼンチンは自動車、自動車部品の大幅な伸びにより、44.9%増加の185億ドルとなっています。また日本も67.2%の大幅な増加となっていますが、後ほど対日貿易という観点で触れさせていただきたいと思います。

    こちらのスライドは全輸出総額における地域別シェアを示しています。中国を含むアジア向けの金額が28%、EU諸国が21%、中南米・カリブが24%となり、全体の7割を占めることになります。

    この構図は昨年度から大きく変わっておりません。そして次に来るのが米国であり、ブラジルの米国への依存度の割合は高くないことが見て取れると思います。なお傾向として米国のシェアは2008年は14%であったものが現在9.6%まで減少する一方で、アジア向けは2008年の18.9%から27.9%までシェアを伸ばしております。シェアの割合は変化しているものの、ブラジルの輸出先は様々な地域に分かれており、バランスのとれた状況になっているということがこのパイグラフより分かると思います。

    次に輸入について説明させていただきます。2010年度の輸入総額は前年比42.2%という大幅な増加で、1816億ドルという数字になっています。輸出同様に全てのカテゴリーで増加を記録いたしました。また輸出の伸び率も、輸出の伸び率よりも高い伸び率を示したために貿易収支が減少するという結果になっています。カテゴリー別では資本財が22.6%増の410ドル、原料・中間財が46.2%増の839億ドル、消費財が46%増の314億ドルとなっています。

    輸入を商品別に見ますと、まず大幅な伸びを記録しているのは原料および中間財の鉱産品であり、肥料用に使用される燐酸や、ブラジルではとれない銅関連の商品が伸びております。これは国内産業が拡大傾向にあることを示しているというふうに考えられます。

    次に注目していただきたいのは大幅な増加となっている耐久消費財です。旺盛な個人消費、レアル高による輸入商品への依存により前年比60%の増加となっています。商品としては自動車や、昨年6月のワールドカップでのテレビ等の需要増加、家電製品の販売増加が寄与していると考えられています。

    次に、輸入についても相手国別に見てみたいと思います。輸入相手国上位10カ国はこの表の通りであります。全ての相手国に対して増加という結果になっています。1位は相変わらず米国でありまして、35%増の270億ドル、米国からの輸入では燃料が大幅に増加しています。

    2位も変わらず中国ですが、60.9%という大幅な増加の結果輸入額は256億ドルとなっています。その結果米国との差はわずか14億ドルとなり、年々この2国の輸入量の差が、輸入額の差が縮まっています。中国からの輸入増加の主な項目としては、携帯電話用部品、パソコン・パソコン部品等が挙げられます。

    3位のアルゼンチンは輸出と同じく、乗用車・自動車用部品の増加が牽引し、27.9%増の144億ドルとなりました。また2010年度で最も注目すべきポイントとしては、韓国からの輸入総額が74.8%の伸び率で84億ドルとなり、日本を上回って5位となったことです。要因としては韓国からの自動車、エレクトロニクス関連の商品が増加したことになります。またインドも燃料、コークス、綿等を牽引としてブラジルに対する存在感を高めております。

    こちらは輸出と同様地域別シェアのグラフです。輸入になると米国の割合は輸出に比べて5%程度増加しますが、地域別のシェア順位は輸出と変わらずアジアが一番、EUが二番、そして中南米、米国と続き、全体的に地域バランスがとれていることが示されています。ただし先ほどのスライドで説明した通り、中国や韓国からの輸入総額が大幅な増加傾向であり、アジアからの輸入シェアは、輸出まではいかないものの2008年度の27.2%から30.9%まで増加しております。

    次に今回のトピックスとして対内直接投資について説明します。左側グラフの通り、貿易総額と同様に2009年に大幅減少した直接投資も2010年度には前年度比66.1%増加の526億ドルとなりました。

    右の表で各国別の投資額を記載しておりますが、こ注意いただきたいのはこの数字は直接投資ベースになりますので、低税率国を経由した間接投資の場合等はこの経由国の投資額となり、必ずしも実態に則さない形となっています。すなわちルクセンブルグ、オランダ、スイス、オーストリア等上位の国には低税率国が多くなっています。

    まずルクセンブルグについては、間接投資もありますが、アルセロール・ミッタル社からの投資が主な要因ではないかと思われます。一方オランダ、スイス、オーストリアなどは税制優遇をねらいとしたSPCやファンド等を通した投資であることが推測されます。

    また輸入相手国として順調に伸びている韓国が投資でも大幅な増加を見せている一方、中国が上位に入っていません。これは中国も第三国経由の間接投資を行っている可能性が高く、今の中国のブラジルへの進出ぐあいから言っても実態では上位に入っているものではないかと考えます。

    こちらは直接投資の業種別の表になります。ブラジルで最も強みのある資源関連業種、農業、畜産、工業が295%増加の182億ドルとなっています。そのほかにも、工業の中の化学製品や非鉄金属製品分野も大幅の増加となりました。

    次に対日貿易という点について触れさせていただきます。2010年度の対日貿易は左側、輸出が前年比67.2%増の71億ドル、右側、輸入が30.1%増の70億ドルとなり、全体の傾向と同様に輸出入ともに増加となりました。

    また鉄鉱石や鶏肉を中心とした大幅な輸出増加があったことにより、2010年度はブラジルにとり貿易黒字となっております。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出が3.5%、輸入が3.8%で、国別のスライドでご説明の通り輸出においては順位に変動はありませんでしたが、輸入においては韓国に抜かれ前年度5位から6位に順位を落とす結果となっております。

    最後に一番下の段に直接投資額を記載しておりますが、ブラジル全体では2008年よりも2010年の金額の方が大きいにも関わらず、日本からの直接投資は2010年度の方が低い結果となっています。

    低税率国を通した間接投資とも考えられるため、一概には言えませんけども、ブラジルへの日本の企業進出の数の増加、日本人駐在員の増加はあるものの、大きな投資の話は少なかったのではないかというふうに推測されます。傾向としては、日本からの投資は依然リスクを警戒した小さな投資が多いのではないかとも考えられています。

    最後に2010年度のトピックスをまとめてみますと、2010年は輸出入ともに回復・増加をしたこと。ただし輸入増加幅が大きく貿易収支は悪化していること。新興国を中心として資源、食料の需要増加により、一次産品の輸出総額が大きく伸び、その比率が増加していること。輸入先として乗用車を中心とした韓国からの輸入総額増加により日本の順位が下落したこと。以上大きくこの4点が2010年の貿易のトピックスになるかと思います。

    また、2011年度の見通しにつきましては、これまでご説明いたしました通り、全世界の景気回復傾向や国内の旺盛な消費に支えられ、ブラジルの貿易額は順調に回復・増加しており、さらなる増加が見込まれます。しかしながら、レアル高による輸出企業の競争力低下や、オリンピック、ワールドカップに向けての国内インフラ整備のためさらなる輸入増加が見込まれ、貿易黒字減少傾向は続いていくと思われます。実際に2月4日付けの中央銀行が発表した予測では、2011年度の貿易黒字は2010年度比50%超下落の96億ドルと言われており、さらに2012年度にいたっては50億ドルと発表されております。

    最後になりますが、2008年から始まった世界での金融危機による不透明な動向の中で、翌2009年にブラジルの景気は世界に先駆け回復傾向に入り、2010年も順調に回復を続けてまいりました。

    財政赤字の拡大、レアル高、インフレリスク、中国経済の影響度拡大といった懸念事項もありますが、これまでのシンポジウムでも説明しております通り、様々な面から長期的にはブラジルの成長は続くと思っております。一方、世界が注目するブラジルゆえにその競争も激化しています。

    毎回申し上げておりますが、日本とブラジルは補完関係にある国同士であり、ブラジルの日本におけるプレゼンスを高め、逆に日本のブラジルにおけるプレゼンスも高め、さらなる関係の強化、そしてその結果の実現を切に望みつつ、貿易部会のプレゼンとさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。ご質問等ございますでしょうか。はい。それではここで武藤様がご退席されます。それでは続きましてコンサルタント部会、都築部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • コンサルタント部会 都築慎一部会長

    コンサルタント部会

    コンサルタント部会の部会長をさせていただいております、デロイト監査法人の都築と申します。よろしくお願いいたします。まず最初に、発表させていただくテーマについて一言ご説明させていただきます。

    従来からのコンサルタント部会では、シンポジウムの最初にブラジルマクロ経済の総括を発表させていただいておりましたが、先ほど金融部会長の小西様からご説明ありましたように、今後は金融部会で全体的なコメントをするということになりまして、コンサルタント部会はコンサルタント業に関連したテーマで発表を行うと。で今回2010年後期の回顧と2011年前期の展望を発表するということになりました。

    テーマにつきましては一応自由課題みたいになっておりまして、M&A、いわゆる買収でございますね、こういうものと呼ばれる企業買収の現状等を発表してほしいというようなご要望も寄せられたんでございますけども、その方面の専門家がブラジル人でございまして、シンポジウムで従来行われてきました日本語での発表が難しいということもございまして、今回部会内でも相談しまして、ジルマ政権における抜本的税制改革というテーマでコメントさせていただくことになりましたので、ご了解いただきたいと思います。ではテーマの内容に入りたいと思います。

    ジルマ政権はその公約の中で、ルーラ政権で実行することができなかった税制改革をなんとしても行いたいということを選挙期間中に何回も発表していました。税制改革はご存知のように、今に始まった話ではなくて、カルドーゾ政権の時代から国会で議論されてきた案件でございます。

    国会議員や政府から今までいくつかの改革案が出されて審議が行われてきました。ジルマ政権がこれを達成できるのか、現時点ではよく分かりませんが、このシンポジウムでは、税制改革という言葉はよく聞くが、時間もかかりそうな話なので、何を考えているのかということについてあまり知らないという方々に対して、ブラジルの税制改革について簡単にまとめてみたいというふうに思っています。

    実は1月21日のフォーリャ・デ・サンパウロ新聞にですね、政府は国会へ社会保険料の軽減案を提出と、いうニュースが載りましたが、税制改革は短期的なものではなくて抜本的な問題でございますので、中長期で考えていくテーマではあるわけです。

    そんなわけで、タイムリーな話であるかどうかはちょっと分からないんですが、今までの経緯と、何が議論されてきたのか、そしてジルマ政権はどう考えているのか、今後の紆余曲折はあるもののこういう方向で行くだろうという予想ではあるのですが、まとめてみたいと思います。

    まず最初に、歴史的にどういう形で行われてきたのかというのをちょっとご説明しますと、ルーラ政権の、PECと言われているんですけども、これは憲法の改正案、憲法の中にはブラジルの各種の税金、つまり課税権といいますか、連邦政府はどんな税金を何に対してかけていくのか、州政府はやはり同様にどういうところに課税をするのかという、そういう基本的な骨格を定めている章がございます。

    で、これを変えないとですね、タックスリフォームというのはちょっと難しいということもありまして、憲法を改正する形で案というのが国会で議論されてきました。それで、これ以外にですね、各政党であるとか、それからシンジケートであるとか、さらには国税を退職した人たちのアソシエーションからですとかですね、いろいろなところから案が出されて今まで国会の中で議論されております。

    で、ここに書いてございますのは全部政府案ということなんですけども、特に大事なのはこのPEC233という憲法改正案でございまして、この中で書いてあるのがおそらく、ジルマ政権は労働党ということで前政権と大体同じような政策であろうということでございますので、ここの出てきている案を実行に移していくのではないかというふうにまず思われます。それで、今までこの政府案の中で、どういうことが言われてきたのかということなんですけども。次のページお願いします。

    今までの改正案というのは実は、さっき申し上げましたように政府案以外にもいろいろございまして、それを全部ここで網羅してもあまり意味が無いので、簡単にその辺のところだけまとめてお話をさせていただきたいと思います。特にですね、まず最初に出てきているのが、この税制の簡素化ということなんですね。

    皆さん日本人の方々集まると、まあブラジル人の方もそうですけども、ブラジルの税金は非常に複雑で分かりにくいという話が出ます。この辺は当然、我々民間の人間だけではなくて、国税の人たちや州の人たち、財務局の方々もこの辺のことは実は前から承知しているわけなんですね。

    で特に、連邦税に関しての間接税のところは、ご承知のようにPIS、COFINSであるとか、または社会負担金と言われるCIDE-COMBUSTIVEIS、つまりガソリンに実はかなり重い税金がかかっているんですけども、これと、それからCIDE-ROYALTYと言われているロイヤリティーの送金に対するやはり10%の課税、これらはですね、複雑に全部絡み合っているということもありまして、連邦政府の間接税を一本化しようという話は前々からございます。

    それから、一番我々にとって問題であるICMS税、商品流通サービス税、この州税の制度が、一応全国的にはこういう形であろうというふうに決まっているものの、各州の間でそれぞれ誘致をしたいということもありまして、それぞれが税制恩典を出してくるということで、今度は州と州の取引の場合にこの税制恩典というのが、例えば州間の取引で物を出す州から受取る州に行くときには、いわゆる税収が、半分じゃないんですけども、分けられるわけですね。

    つまり移送元の州とそれから受け取り先の州とで、仮に18%の税率ですると考えますと、12%が元の州、それから受取る方の州、消費地にあたる州は6%というふうな配分になっているわけで、これについて、出す、つまり製造するほうの州でインセンティブを出しますと、この分について税収をですね、受取る方の州は少なくなるという問題がございまして、この辺でいろいろと問題が出てきているわけです。

    具体的には、皆さん聞いておられると思うんですけども、サンタカタリーナ州とサンパウロ州、それからエスピリト・サント州とサンパウロ州の間でいろいろな問題が起きています。で、日系企業の方々でもですね、サンパウロ州から、この辺について税務検査でですね、過大な追徴金を受けて不服申し立てをされておられるところも何社がおありになられると思います。

    いずれにしても、このICMSというのは付加価値税で、ご存知のように商品流通なんですけども、元々州税というふうにしたところが問題なのであって、それぞれの州が様々なルールを作り出してしまうという傾向がどうしてもあると。でこれを何とか直したいというのはあるんですけども、いつも議論になってくると、どういうふうに特に州間の税金を分け合うんだというところで問題が出てくるわけです。

    そして一番これに対して文句を言っているのがサンパウロ州なんですね。サンパウロ州は特に、消費地でもあるんですけども、やはり製造地としても非常に大きなところでございますので、そういう意味では、例えば州から別の州に送る時には12%がサンパウロ州に入るようになっていて、残りが送り先の方の州に入りますので、この辺を動かされると非常に税収が減ってしまうという危惧があるわけですね。

    で先ほどお話しました政府案というのは、この辺をですね、あまりにサンパウロ州に税金が集中しちゃっていると、歳入がですね、そういうこともありまして、これをもう少し別の州にも分けるようにしようと、そういうようなところがあるんですけども、長くなりますのでこの辺の細かい話はやめますけども、とにかくここのところに入りますとそれぞれロビー活動が始まってうまくいかないと。

    ただし、ここが一番の改正案のメリットであろうと。逆にここをいじると、しかし、いつまで経っても解決がつかないということが皆の今認識になっています。それから、ここはさっき申し上げましたように、社会負担金というのを一元化しようと。まあこの税法の簡素化と実はくっついた話になっているということですね。次お願いします。

    で、なぜ税制改革はうまくいかないかということなんですけども、抜本的税制改革の必要性は皆分かっているので、総論は賛成なんですけど、先ほど申し上げましたように各論になるとコンセンサスが取れないと。特に州税のところになりますと、それぞれの州が自分のところの歳入が減ることを極端に恐れますので、中々うまくいかないというところで、この辺のことがですね、いまだに解決しないということなんですね。

    で、次に、そういう状況下でジルマ政権は税制改革をどういうふうに考えているのかということなんですけども、つい最近ございました、2月3日に大統領が国会での所信表明を行いました。その中で税制改革を推進したいということはやはり述べまして、考え方として三つ考えていると。まず幅広い課税ベースの税金を増やしていきたい、つまりそういう形に変えていきたいと。

    それから税法の簡素化と合理化、それから近代的な税法にしたいと。そしてさらに最後は、経済成長を促す産業、特に投資に対する税負担の軽減を図りたいというふうな三つの考え方を示しまして、今後この政権の中で出していく政策はこれに反しないような形で出していくということが分かってきました。次お願いします。

    それで、一番大事な今日のあれなんですが、予想される税制改革のポイントなんですけども、選挙前から言っていた問題にですね、国民の、国民健康保険というのはブラジルはないので、このSUSというところで政府が薬まで全部ただでもらえるんですけども、まあ保健所みたいなのがあるわけですね、全国一律の、でこれがやはりどんどんどんどん費用がかさむということもあって、今まではこのCPMFという、いわゆる、日本人は皆さん小切手税と言っていまして、数年前まであって、要するに銀行口座からの引出しに対して0.38%、理由は何であれとにかく自動的に銀行の方で取られてしまうという税金がありまして、一応これは時限立法だったのでいろいろ政治的な問題もあって、その後恒久化しないで時限立法が終った時点で終っちゃったんですけども、これを復活してですね、なんとしても国民の健康であるとか、医療であるとかに使いたいというのが非常にあるので、これが復活するのかどうなのかと。

    ただしその場合は目的税として保健医療に充てるというふうにして出て行くんじゃないかというふうに予想しています。同時に、これを通すためにはやはり、いつも問題になるんですけども、その税金の分け方ですね、税源委譲、このへんのことを政治的におそらく議員の間で納得できるような形で分け合うという案を出す形でこれを通すのではないかというふうに予想しています。

    そしてこれは、いろいろな記事を読みますと、国会議員の間でも一度に全てをリフォームするのではなくて、問題を分けて国会でできそうな課題から成立させていくと。先ほどのICMSという税金はそう簡単に同意を得られませんので、これはまあ後にしようとか、そういう現実的な対応をとっていくだろうというふうなことは国会議員の間で言われているということが報道されております。

    それから我々にとっていいニュースなのは、この社会保険の企業負担分の削減をしようということで、これはどういうことなのかというのはこの後でちょっと説明しますけども、削減することによって起きる減少分というのは、幅広く、薄く社会全体で分担してもらうという形のこの小切手税を復活させることでこれの減少分をここでカバーしたいというふうなことを考えているみたいです。次のページお願いします。

    日本語では法廷福利と言いますけども、Encargos Sociaisとブラジルでは言っていますけども、労務費にかかるいろいろな付帯経費でございますね、これをちょっと見てみますと、まず企業負担の部分にINSSといわれる社会保険料、これは給与の総額、支払額の20%を企業を負担する、それから当然個人の給与からも差っぴかれる個人負担の分もあります。

    それからAcidente de Trabalhoという労災保険、これが平均、1~3によって、その企業の危険度に応じて違うんですけれど、まあ真中で2%平均。それからSalário de Educação、やっぱりそれも支払い給与の総額に対してかかる基礎教育振興社会負担金という、ここに強制的に払う分があります。

    それからINCRA、SENAT、SEST、SEBRAEとか言われる、農地改革院であるとか、いろいろなまあ要するに企業でいろいろ負担してほしいという、こういうような機構に対しての3.3%の分を企業は負担させられていると。それからご存知のように、いわゆる日本の退職金に近いFGTSと言われるものの8%があると。で政府案では、今回の国会に提出されるであろうと言われているのが、ここで、20%から18%にここを下げようという案を今回の国会に提出するということが言われています。

    これはルーラ政権の実は税制改革案にありまして、この部分を何とか下げたいというのがあるんですね。これはその、いろいろな企業の方からも出てまして、理由はやはりブラジルの工業製品の競争力がどんどんどんどん落ちていると。それはその、為替の問題もあり、特に輸出なんかでは非常に難しくなってきて、もう一次産品以外はだめになってくるんじゃないかというぐらい言われていますけども、そういう中でコスト削減をしていこうといった場合にあまりにこの法廷福利費が大きすぎるんじゃないかというふうな問題もあります。

    ちなみにこれ、総額になりますと今のところ35.8%の負担なんですけど、まあ2%だけ下げるというのは、段階的にもっと下げていって14%までここを下げていこうということなんですけど、とりあえず2%今年は下げようということでまあ企業負担の分はこのぐらいになるであろうということになっています。

    で、今申し上げたように人件費に占める付帯支払い額が大きいため、高コストになるとの批判があるので、ブラジル輸出製品の競争力の低下を招いているという問題で、この辺は政府も認識していてですね、ここに書いてございますようにINSSを14%まで減少していこうと、ただし初年度は18%と。これによってですね、92億レアイスですかね、税収が減るというふうに言われているんですけど、まあこの辺をさっき申し上げたようにカバーしていくと、別の税金で、そんなふうな形になるだろうということですね。

    一応、ここに今申し上げましたことは予想でですね、現実的にどういうふうになるのか分からないんですけども、とりあえずはこういう話でですね、話が進んで行くであろうと。まあ我々にとっては例の小切手税の復活というのはあまり嬉しい話ではないんですけども、まあその可能性が非常に大きいということも含めまして、まあこれはその、国民全体で負担していくんだという話でですね、この辺についてはまあ仕方がないのかというふうな見方もあるんではないかと思います。以上駆け足ですけども、税制の抜本的改革というのはどんなものなのかということのご説明をさせていただきました。ご清聴どうもありがとうございました。

    司会
    はい。それでは次の部会に参ります。自動車部会、中西部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 自動車部会 中西俊一部会長

    自動車部会

    それではですね、自動車部会を代表しまして私の方から2010年のレビューと2011年の展望につきまして説明させていただきます。次のスライドお願いします。

    四輪車のですね、まず販売台数の推移であります。表、棒グラフはですね、青の部分が乗用車、それから緑の部分が軽乗用車、それから黄色い部分がトラック・バス、それから内数として輸入車の販売推移を赤の棒グラフで示してあります。

    ご覧になっていただけますように、2010年の四輪車の販売実績は、2010年8月にANFAVEAが340万台という予測をしましたけれども、それを上回る過去最高のですね、352万台弱、前年比11.9%増ということで終りました。次お願いします。

    この表はですね、昨年の1月から12月までの販売台数の推移です。棒グラフの薄いオレンジの部分がトラック・バス、それから薄い青の部分が乗用車と軽商用車、折れ線のオレンジの部分がトラック・バスの前年同期比、それから濃い青の折れ線が乗用車・軽乗用車の前年同期比であります。

    乗用車のカテゴリーにおきましては、IPI減税が3月に終了したためにですね、需要の先食いが発生しまして、その結果、この部分ですね、5月6月の乗用車・軽乗用車の販売台数は前年同期を下回る水準となりましたけれども、まあ堅調なブラジル経済の成長に支えられまして、それ以降は前年同期を上回る推移となっております。次お願いします。

    次に自動車市場のトピックス的にですね、影響を与えると言われますIPI減税、昨今の状況をここの表によって示しております。乗用車のIPI減税は、2リッター未満のフレックス車につきましてもこの3月末で終了しまして、乗用車に関しましては完全に元の標準のIPIに戻りました。ただ商用車、軽商用車とトラック・バスにつきましては昨年末に終るとされていた減税が本年末まで延長されることになりまして、まだそういう面ではフォローの風が吹いております。次お願いいたします。

    これは四輪車の生産・輸出入の台数の推移となっております。棒グラフでですね、緑の部分が軽商用車、トラック・バスの生産台数、それから青の部分が乗用車の生産台数です。それから輸出入台数の推移も折れ線グラフで示してありまして、緑の部分がこれは輸入ですね、それから赤の部分の折れ線が輸出となっております。昨年は販売同様に生産も過去最高の363万台、前年比14%増ということで、非常に高い生産の実績でした。次お願いいたします。

    次にですね、これもまあトピックス的なあれなんですけども、乗用車の中での1リッター車の販売比率の推移です。2001年に比べましてこの1リッター車、この青の部分ですけども、まあ7割近くですね、1リッター車、乗用車の中で占めていたんですけども、昨年はこれが5割くらいになってきているということで、まあ世帯収入の増加にともない1リッター越えのこの部分が比率としては増えていると。

    ただしですね、台数としては、比率は減っていますけども1リッター自体は2001年は91万台くらいありましたけども、10年でも120万台弱ありまして、まあ3分の1ぐらいはですね、自動車市場の3分の1くらいはまだ1リッターの乗用車が占めているということで、まだまだメジャープレーヤーであることには間違いないと思います。次お願いいたします。

    これはですね、四輪車、お客様がどういう形でお金を払ってくださっているかなんですけども、上の方から現金、コンソルシオ、ローン、リースとなっております。01年からですね、このリースの比率がずっと増えてきたんですけども、ローンの金融取引税率が引き下げられたために、ここに来ましてローンとリースの金利がほぼ同一となり、一般顧客を中心にローンのここの部分が増加しております。

    まあやはりブラジル人は、私も来たばっかりでよく分かりませんけども、所有意識というんですか、それが高いので、同じお金を払うならぜひ所有ということでローンの形態としたいというところだというふうに思われます。次お願いいたします。

    これは四輪の販売と在庫の状況でございます。販売なんですけど、国産車と輸入車に分けてみました。352万台のうちですね、285万台ぐらいが国産車、前年比107.6。輸入車が66万台ありまして、前年比135%で大きく伸びております。在庫の方はですね、日数としましてはメーカー、販売店ともに2009年末の在庫より減っております。いずれにしても輸入車の伸びが顕著であると言えます。次お願いします。

    その輸入車の内訳なんですけども、皆様ご存知のようにこのHyundaiの躍進がですね、躍進というか輸入車における比率がかなり高まっておりましてですね、2007年には1万6千台弱だったんですけども昨年は8万6千台の輸入ということで約5倍以上になっているという状況であります。次お願いします。

    この韓国車、HyundaiとKIAを見てみますと、これは現地生産を含めた販売なんですけれども、やはりHyundaiは10万6千台ということで昨年は10万台越えを果たしました。KIAも5万4千台ということで前年に対して2倍以上になっているという状況で、まあ我々日本車メーカーとしてもこれまでと違った戦略を考える必要が出てきていると言えます。次お願いいたします。

    これは今年のANFAVEAの市場の予測ですけど、1月にANFAVEAが出したもので、まあ今年につきましては堅調に国内市場は成長しまして369万台と。輸出は若干落ちまして73万台。まあレアル高もあるかと思います。それから生産台数の方も堅調に伸びまして368万台ということで、基本的に今年もですね、まあ自動車市場、生産ともに安定的に右肩上がりを示すものと考えております。次お願いします。

    これは四輪メーカーの投資計画です。2014年までにこれだけやるよと発表したところについてだけ載せております。詳しくは述べませんけども、韓国、それから中国も含めまして、各社ともに積極的な投資を計画しております。次お願いいたします。

    続きまして二輪車の動向なんですけども、これは生産と販売推移ということで、各年左側が生産、右側が市場となっております。まあ二輪車市場はですね、182万台、昨年なんですけども、前年比115%。それから生産の方も177.5万台、前年比121.8%ということで、まあ回復基調に転じておりますけど未だ金融危機以前のこのレベルに比べると到達しておりません。折れ線グラフで輸出の方も示してますけど、輸出に関しましても、まあ前年よりは伸びておりますけども、金融危機前の半分の状況であります。次お願いいたします。

    これは二輪車の月別販売の推移で、各月ごとに左側が2009年、右側が2010年になっております。まあ4月を除き前年同月を上回る伸びを示しておりまして、正規雇用の拡大、与信の拡大を背景に市場が拡大基調となっております。ただ年末に出されました政府による金融引締め策の影響が今後の懸念材料です。次お願いします。

    これは二輪車の支払い形態なんですけども、上から現金、コンソルシオ、リース、ローンとなっております。ローンの活用比率が増大してきております。それが販売を押し上げてきましたけども、2008年9月末に金融危機がありまして、与信引き締めが顕著となり、市場はクレジット比率が減少し、市場の減速にもつながりました。10年はですね、与信緩和が急速に進みましたので回復はしているんですけども、先ほども言いましたような年末の金融引締めが懸念材料です。次お願いします。

    これは二輪車の地域別登録の推移です。下から北部、北東部、中西部、南東部、南部となっております。昨年は下から2番目のこの部分ですね、北東部が南東部を凌いで再量販地域となり、まあ低所得地域の市場拡大が顕著でした。今年はですね、まあ景気拡大の続くこの北東部、それからまあ景気回復が見られる南東部が牽引し、200万台、昨年の182万台弱から200万台に迫る市場というふうに見込んでおります。以上であります。それから、じゃあ次のページお願いします。

    部品業界の動向ですけども、スライド1ページ用意しました。データが1年遅れでまとまるために、最新の数字はこの2009年の数字となっておりまして、ここは輸出台数が減少したために2008年より下回っておりますけども、まあ10年につきましては、これまで述べましたように四輪、二輪ともですね、台数増加しておりますので、来年はですね、10年については売上増を予測しておりますし、来年といいますか、去年につきましては予測しておりますその報告ができると思っております。以上であります。簡単でしたけどこれで発表を終らせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それでは次に電気電子部会、松田部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 電気電子部会 松田雅信部会長

    電気電子部会

    どうも、電気電子の松田でございます。中西さんが初めて15分以内におさめていただきましたので、私も頑張って、本来ならもうコーヒーブレイクの時間ですが、もう少し我慢してよろしくお願いします。じゃあお願いします。

    まず最初の2枚でですね、現状の電気電子部会の状況を簡単に説明させていただきたいと思います。まず2010年の回顧ですが、2010年は非常に我々にとっては特異な年でありました。1点目がですね、ワールドカップの開催年であったということと、もう一つは自動車と同じですが、特に白物家電におきましてIPIの減税という需要の前倒しが起こって、それが途中で終ったというそういう年でありました。

    ただし、全体で申し上げますと、景気が非常に好調に推移しましたので、従来なら起こるはずであったワールドカップ以降の減速、あるいはIPI減税終了後の減速ということが、起こるには起こったんですが、全体としては市場の伸び基調の中でですね、ある程度おさまったと、こういった年でございました。

    特にテレビはですね、薄型化が進む中で、2009年の後半から薄型がブラウン管を上回りまして、2010年は薄型が約70%、残りの30%がブラウン管ということで、まあワールドカップの後に依然ブラウン管から薄型に置き換え需要が発生すると、こういったことも需要減速が比較的少なかったという、こういう年であったと考えられます。

    それで、特に32インチ以上のところの地デジ対応ですね、これは最後の方で説明しますが、これも非常に大きなインパクトを持って義務化がされたということです。で、まあ景気後退の後でですね、2009年非常に苦労した、まあB2Bの商売ですね、これはbuisiness to buisinessのまあシステム関連とか、こういった商売が我々にとっては非常に荒利の取れるいい商売なんですけども、この辺が完全に復調してきたと、まあこういった年でございました。

    それで、会員企業の中でですね、ほぼ全てがビジネス的には拡大できたということでございます。ただ非常に価格競争の厳しい業界でございますので、値段が下がったとかこういったところが非常にあって、まあ全体として良かった、計画どおりの中にですね、やはりしんどかったという企業もあると、こういった状況でございます。次お願いします。

    2011年の展望ですが、依然、これは他の部会と同じですが、景気の拡大は継続してまいりますので、ほぼ9割強の企業が拡大していくものという予想を立てております。ただし不安といったものも非常に我々持っていまして、まあ特に、後でちょっとマナウスについて説明しますが、マナウスが今後どうなっていくんですかとか、あるいはですね、特にロジ関係ですね、これの非常に混乱が心配していまして、まあ特に昨年度はマナウスの受けの、材料の受けが非常に悪くなったとか、あるいは近々でいいますとマナウスからサンパウロ近辺にテレビを運ぶときに非常にたくさん取られるといった治安の面とか、こういったことに悩みながらやっているということでございます。

    特に、輸出の採算の悪化もございますが、あまりにもレアル高が行き過ぎるとですね、怒涛のような中国の輸入が来ますので、この辺も価格競争力的に国内生産が継続できるのかと、まあこういった心配を抱えながらやっているというのが我々の業界でございます。次お願いします。

    あの、電気電子部会はですね、一応回顧、展望はもうこれで終わりで、今回からはですね、毎回トピックを決めて何か皆さんの知らないことをちょっとご紹介しようということで、今回の特集はマナウス、ということでマナウスの紹介をさせていただきます。次お願いします。

    マナウスは赤道直下、まあ南緯3度にあるわけですけども、人口が今284万人ございます。ここの地域は、元々マナウスに国境警備隊が配置されておりまして、これは何をやっておったかと言いますと、周りにあるコロンビアとか非常にややこしい国から国境を侵害されると、これを防ぐために警備隊を置いていたわけですけども、ここの人口をですね、警備隊だけでは増えないということで、何か振興策をやろうということでデューティーフリー、こういう自由地区を設けたということが元々の事の起こりでございます。

    これでですね、フリーゾーンをベースにしまして、マナウスの町が今現在170万人ほどの人口に膨れ上がっております。で、ご多聞に漏れずブラジルでして、ここにも日系移民の皆さんがいらっしゃって、彼等の子弟の方々が我々の企業で非常に大きな力になっていると、まあこういったことでございます。

    それとですね、マナウスは、要はマナウスで物を作ってサンパウロに運ぶという物流が2週間ほどかかります。これは東京からシアトルに物を運ぶ物流期間と一緒でございます。こういった非常に苦しい物流の位置にありながらここで生産をすると、何でそんなことをするんやというのは、もう一言で言うと税務恩典があるということでございます。次お願いします。

    税務恩典がある中で今現在、フリーゾーン1というところとフリーゾーン2というところがございまして、まあ1に我々は集結してたくさんやっているわけですけど、これが上の方にもどんどん拡大していくと、こういった流れになっております。周りにある黒いところは河であります。次お願いします。

    それで、税務恩典、いくらあるんですかというところなんですけども、一番大きいのは輸入税、これが部材の輸入に対して88%の免税を受けます。したがって、普通輸入品だいたい20%ぐらいの税金をとられるわけですけども、これが88%ということで、実際に我々が払っているのは20%の商品では2.6%というところで、ここで大きな差が出てきます。

    次にIPIですね、これがですね、実はマナウスの生産品は100%免税でございます。したがって、昨年度IPI減税とかいろいろありましたけれども、元々我々は払っておりません。こういった商品群でございまして、ここが非常にまた大きな差が出てくると。あと、次に大きいのが先ほどありましたICMSの話ですね、都築さんの話にありましたけども、ここの出入りでですね、商品によっては例えばデジカメなんかでは100%戻ってきます。

    こういった大きな税制の恩典があるということがですね、マナウスに張り付いている理由でございまして、これが今、2023年、それで今交渉の中では2033年まで継続しようという話になっております。で、これは二輪も一緒だと思いますけども、我々もですね、マナウスに税制の恩典がなかったらすぐ南に下りてきます。そういった恩典というかメリットがあるから我々もあの地でですね、生産活動をしているということでございます。次お願いします。

    それでですね、まあどういう会社が出ているかということなんですけども、元々は日系、あるいは地場、あるいは欧州系、この辺の会社でほぼ占めていたわけですけども、ご多聞に漏れずですね、LGさんとかSamsungさんも出ておりまして、失われた20年、それからブラジルも非常に苦しんだインフレの時代にですね、我々が非常に多重債務を抱えている間に韓国勢にとっていかれたというこの20年間の歴史の中でですね、我々日系はですね、今韓国勢を追いかけるという、逆にこういう立場にたって操業させていただいております。次お願いします。

    地区別の、地区のですね、どういう産業かというと、まあ大きくは電気、これは電気電子の33%と向こうの方にあります情報機器の11%、これにですね、二輪。二輪が20%強ですね、占めておりまして、二輪と電気関係で非常に大きなシェアを占めるというのが今のマナウスの状況でございます。次お願いします。

    日系企業。大きく分けますと二輪およびその部品関係、それから電気電子およびその部品、まあ部品といいましても、我々も部品まあやってたんですけども今はほとんど完成品という、そういう形になっております。これ以外にも写真関係あるいはその他、時計それから久光さんのサロンパスとかですね、こういった37社がマナウスに駐在員を送りながら綿々と生産を続けているということで、まあ企業数で27%、それから今までの外資投資総計でいうと48%、それで、総投資、国内投資も含めて考えると27%、今の売上の26%、雇用の25%を日系が占めさせていただいています。次お願いします。

    電気電子なので、今の状況ですけれども、昨年度の生産は基本的には大きく伸びました。まあブラウン管テレビが一番上で前年ダウン、これはもう仕方のないことです。それでDVDプレーヤーが前年ダウンしているというのは、先ほどのですね、中国品に取ってかわられているという構造的な大きな課題を抱えている商品という形でございます。ある程度のバリューの取れる製品はまだマナウスで成長していけると、まあそういう流れでございます。次お願いします。

    以上で大体なんですけども、最後に地デジの地方展開ということで、ここは単純に言いますとですね、現在425の市町村で人口の8950万人をカバーするまで広がったということでございます。したがいましてほぼ50%近くに広がってきたということでございます。まあ大都市を中心にしていますので、地方のローカルではですね、まだ依然として届かないということですけれども、2016年のテーハということを言われていますので、それまでに向けていかに広げていくかということが課題でございます。次お願いします。

    日本方式の国際展開ということでございますが、昨今ウルグアイが赤に転換しまして、ほぼ南米大陸はブラジル方式、まああえてブラジル方式といいますが、日本方式プラスアルファの技術を加えておりますので、ほぼ赤で埋まったかなということでございます。これ以外ですね、あとフィリピン、それから、これから全く無色で残っているアフリカですね、これに対して総務省を含めてですね、攻めていこうとしているところで、もう少し広がりが出てくるんじゃないかなと思っております。以上です。どうもありがとうございます。

    司会
    松田部会長どうもありがとうございました。それではこれにてコーヒーブレイクに入ります。15分ということですので、4時5分にまたご参集いただきたいと思います。また前半の部で何かご質問等ございましたらこちらの方でお受けいたしますので、お申し出いただきたいと思います。以上です。

     

     

     

  • 司会 鷲巣 寛 企画戦略委員長

    コーヒーブレイクでリフレッシュしていただけましたでしょうか。それでは後半の部を開始させていただきます。まず後半の部のトップバッターはですね、さらに眠気を覚ましていただける方です。機械金属部会、西岡部会長お願いします。

     

     

     

  • 機械金属部会 西岡勝樹部会長

    機械金属部会

    ただいまご紹介に預かりました機械金属部会長、日立ブラジルの西岡でございます。皆さん、恒例の一発いきます。聞えていますでしょうか?はい、それでは始めます。
    それでは機械金属部会2010年の回顧と2011年の展望。まず目次なんですが、今回ちょっと趣きを変えまして、まず機械金属部会全体の状況について説明させていただきたいと思います。

    それでですね、次に、ご存知のように機械金属部会はいろいろな業種に分かれております。まあ今回はこの3分野、プラント・プロジェクト分野、産業機械分野、精密・工具・機器分野、この3分野に分けて説明させていただきたいと思います。

    まず機械金属部会、全体像としての2010年の回顧。今回ですね、この発表で覚えていただきたいキーワードがございます。キーワードです。これは、回復でございます。その心は、まず、ほぼ全ての業種が2008年のリーマンショック前の状態に戻っています。つまり回復です。最終的には、リーマンショック以前の水準を上回るV字回復も遂げている業種もあります。

    例えば自動車販売、ご存知のように世界第4位の市場になりました。自動車関連ビジネス、回復。ペトロブラス、旺盛な設備投資に支えられた関連ビジネス、回復。しかしですね、良いことばっかりなんでしょうか。

    レアル高による輸入製品の台頭、また先ほどからいろいろ説明ありましたが、中国、韓国勢の台頭、また大型プロジェクトの延期、まあご存知だと思います、後で説明させていただきますが、そういった延期、遅れも少々目立っております。このことが日本側のブラジル市場への信頼が揺らぐ恐れがあるんじゃないかな、とはいうものの、回復いたしましたということでございます。

    次に2011年の展望です。ここでもあのキーワードを設定いたしております。それは、+10%です。もうお分かりですよね。その心は、2010年の好調を維持するでしょう。自動車販売も好調維持、また産業系分野も好調に推移、対2010年度比+10%達成の可能性の業種がほぼ全てでございます。

    中には、なんと+25%、なんとなんと+40%以上の業種もあるという報告がございました。しかししかし、また良いことばっかりなんでしょうか、いやいや、どこまで進むレアル高、どこまで上がるインフレ高、また公共支出の増加による財政悪化と、またまた世界経済の動向、欧州、中国の動向など気になる点もございますが、はあるものの概して好調は維持するでしょうという結論になっております。それでは具体的に、分野ごとに説明させていただきます。

    プラント・プロジェクト分野の2010年の回顧でございます。この分野、主に3つ、鉄鋼分野、プラント分野、プロジェクト分野、この3分野について説明させていただきましょう。

    鉄鋼分野。国内販売につきましては、2010年は過去最高だった2007年までのレベルに回復。輸出におきましては、国内優先でありましてタイトな状況が続いておりました。輸入、先ほどありましたね、大幅増でございます。

    次にプラント。紙パルプのプラント分野です。価格が回復し、設備投資が再開いたしました。またまた、石油化学プラント分野。好調な業績に支えられ、設備投資計画は意欲的でございます。また、造船プラント。造船業保護の方針もあり、業界の動きは活発でございました。そしてまあプロジェクト、プロジェクト分野ですね、これはご存知のように、まあ新幹線ですけども、高速鉄道入札、これがまあ延期になりました。また諸々の案件の延期、遅れもありました。まあこれは、去年ですね、選挙、大統領選挙の影響でしょうか。

    次に2011年の展望について。同じく3分野で、鉄鋼分野では、国内販売、これは2011年引続き堅調となるでしょう。輸出分野はタイトな状況が続きます。輸入品、これは国内価格、国際相場を意識した価格提示がなされて輸入は減少するでしょうか。ということでこの鉄鋼分野、伸びは+10%でございます。

    プラント。紙パルプのプラント。投資が活発で引き合いも多数ございます。石油科学分野。ペトロブラス社の底堅い設備投資がございます。エネルギープラントも、設備投資、非常に活発になるでしょう。

    これはもちろんワールドカップ、五輪投資に大いに期待するところです。伸びはもちろん10%アップ。プロジェクト分野。先程来申し上げていますけども、高速鉄道、これはまあ4月11日に入札延期になっております。それと都市交通、まあ特にモノレールとか地下鉄のプロジェクトも多数起こっております。ただしですね、まあ高速鉄道では、まあリスクの軽減、これが非常に重要な要素となっております。

    次に産業機械分野の2010年の回顧でございます。この分野は建設機械、圧縮機とあと農業機械の分野に分かれております。まず建設機械分野。国内総需要、2010年では前年度台数ベースで163%の伸びです。これは低金利の政策が寄与しているということでございます。

    圧縮機。食品ですね。鶏肉、鶏の肉、これは堅調な設備投資でございます。あと飲料部門も増産設備対応に追われております。これはなんと+20%ということでございます。あとはペトケミ分野。プレサルの案件が徐々に始動を始めたということでございます。また飲料業界の炭酸ガス製造設備が活況を呈しておるという報告を受けております。

    次に農業機械分野。これはエンジンとトラクター分野ですけども、エンジン分野では2009年の後半から好転し、2010年は良好な年であったということでございます。リーマンショック以前の水準を上回るV字回復を遂げております。トラクター分野におきましても小規模農家、低金利政策、右上がり成長が持続ということで、ここでも+10%ということでございました。

    それでは2011年の展望に移ります。同じく3分野ですね。建設機械分野で国内総需要、2011年度、低金利政策も延長されて旺盛な需要を見込んでおります。キーワードとして出ました+10%でしょう。また圧縮機分野、食品ですけども、鶏肉の自動化機械を導入して売上なんと50%アップを見込んでおります。

    鶏肉以外にですね、豚肉、牛肉等も復調の兆しが出ているということでございます。あとペトケミ分野でプレサルの新規計画がどんどんあります。ただし売上は来年度、12年度以降になる見込みということでございます。ここでも+10%という見込みをしております。

    あと農業機械分野。エンジン分野なんですが、好調なオーダーが持続するでしょう。ただし安価な中国製の流入、これが心配の種ということでございます。次トラクター分野。これは低金利政策が2011年10月に終了するという見込みなので、まあ少々販売減少を予想しているという状況にございます。

    次に、最後になります。精密・工具・機器分野でございます。これは数々ありまして、まず2010年の回顧なんですが、ちょっと見にくいと思いますが。精密工具の分野。これは2010年の下期、国内受注回復いたしました。が、まあトータルではほぼ横ばいということでございます。あと切削工具。自動車販売の好調に支えられ販売は実に好調に推移と。なんとこれは+40%という報告を受けております。

    次にプラスチック成型分野。なんとこれも2010年の実績は前年度の+50%でございます。次に、どんどん行きます。耐磨耗工具。これも118%と好調と。ただし競合がどんどん出てきておりまして、韓国勢の競合が出てきております。鉱山工具につきましては、なんと240%と絶好調。まあこれは世界的な需要増がありまして、生産が追いつかないという状況にあるということです。

    あと測定工具。2010年、昨年度比はなんと20%。2007年の水準もとうに回復をしております。あと軸受分野。軸受、これは産業向け分野、これは前年度比の+30%。農業向けに対しては+44%。自動車・二輪向け。自動車向け、あと二輪向けも一時回復いたしまして+15%。あとは加工油剤。2010年度。前年比の+26%でございます。これはほぼ2008年の販売量まで回復いたしております。あとチェーンなんですが、一般産業用、2009年度よりは回復いたしております。

    次に2011年の展望でございます。これも同じように説明させていただきましょう。精密工具。これは受注好転し生産が追いつかない。売れ筋モデルで欠品が発生しているということで、今後は積極的に設備投資を行うという報告を受けております。切削工具。2011年の見通し。+20~+25%。プラスチック成型。これは大型トラック、バスの部品、好調な需要があり、+20%。またコスメチック分野でも成長が見込めるということだそうです。

    耐磨耗工具。需要は好調と予想でございます。あと鉱山工具につきましては2010年、生産が追いつかなくて納期に多大なトラブルをお客様にかけたそうです。ということでまずは信頼回復が必要だというような報告も受けております。

    あと軸受。国内需要、今後も堅調に推移するだろうということでございます。加工油剤。自動車販売はまあ2010年ほど期待はできないが、まあ前年度比もちろん10%はいくでしょう。チェーン。リーマン以前レベルまでほぼ回復。そして高品質チェーンの需要増に期待しております。

    ということで、これで私の発表は終わりなんですが、最後に質問、問題がございます。機械金属部会の2010年の回顧のキーワードは何だったでしょうか。皆さん覚えていただいておりますか?1、好調。2、改善。3、回復でございます。もちろん皆さん頭の中に入っていますよね。機械金属部会、2010年は、はい、回復いたしました。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    西岡さん、どうもありがとうございました。最後の問題、本当に難しい問題で迷ってしまいましたけども、ありがとうございました。続きまして、化学品部会、大澤部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 化学品部会 大澤巌部会長

    化学品部会

    化学品部会レポート

     

    化学品部会長を務めておりますダイカラーブラジルの大澤です。それでは早速化学品部会の結果を報告させていただきます。

    19会員より15分野にわたりアンケート回答を得ました。1会員より3分野につき回答をいただきましたので、計21回答が寄せられました。筆記具分野は2会員より、それから農薬・原体分野は3会員より、商社分野からは4会員より回答を得ました。化学品部会には非常に多岐にわたる分野の会員が加入されておりますので、素材産業分野、それから消費産業分野、商社と3部門に今回分けてみました。

    素材産業分野には架橋ポリオレフィン発砲体(スポンジを連想ください)、そして樹脂用接着剤、接着剤、農薬原体、それと生松脂より精製されますロジン・テレビン油、この分野、5分野7回答が含まれております。それと消費物資分野には一般医薬品、家庭防疫薬、化粧品、飼料添加物、写真・デジカメですね、それと種の分野、種子分野、接着剤、農薬の製剤分野、筆記具、肥料、以上10分野11回答が含まれております。

    この接着剤分野は工業用接着剤と一般消費者用がございますので、この2分野にわたって接着剤は含まれております。商社からは化学品分野ということで4社から4回答いただきました。それでは次お願いいたします。

    これは全回答の集計ですが、2010年の売上につきましては、21回答中、増収18回答、不変が2回答、減収1回答で、増収と不変を合わせますと95%。利益に関しましては、増益が17回答、不変1回答、減益3回答で、増益、不変を合わせますと86%となります。

    2011年の展望でも、売上に関しましては、増収予測が17回答、不変が3回答、減収が1回答。利益に関しましては、増益予測が12回答、不変予測が5回答、減益予測が4回答ということで、増益と不変を合わせますと81%となります。次お願いいたします。

    次は先程分けました素材産業分野についてですが、この大別分野、素材産業分野7回答では、2010年売上では増収6回答、不変1回答、減収回答ゼロ。それから利益につきましても増益回答が5、不変が1、減益回答が1と、増益と不変回答合わせますと86%になります。

    2011年の展望におきましては、売上予測では増収予測4回答、不変予測2回答、減収予測1回答で、増収と不変予測合わせて86%。利益予測では増益予測3回答、不変予測2回答、減益予測2回答で、増益と不変予測合わせて71%となります。次お願いいたします。

    次に消費物資産業分野11回答についてですが、2010年売上では増収10回答、不変ゼロ回答、減収1回答。利益でも増益10回答、不変ゼロ回答、減益1回答となり、増益回答が91%となります。2011年の展望でも、売上予想では増収予測が10回答、不変予測1回答、減収予測ゼロ回答、増収と不変回答合わせて100%。利益予測では増益予測回答が6回答ですね、不変予測3回答、減益予測2回答、増益と不変予測合わせまして82%となります。次お願いいたします。

    最後に商社分野ですが、4回答得られましたが、2010年売上では増収2回答、不変2回答、減収ゼロ回答で、増収・不変回答合わせまして100%。利益では増益2回答、不変1回答、減益1回答、増益と不変合わせて75%という結果です。2011年の展望では、売上に関しましては全員が増収予測、利益につきましては3回答が増益予測、不変が1ということで、売上は100%、利益につきましても増益と不変合わせまして100%という結果になっております。

    総括といたしましては、2010年は2009年下期からのブラジル経済回復基調に乗りまして、また比較的安定なレアル高傾向がプラスに作用した分野が多く、さらには会員各社の企業努力により、素材産業分野、消費物資産業分野、商社分野、全般にわたり好調に推移した年であったと言えます。

    2011年につきましても、いくつかの不安要素はありますが、2010年の好景気が継続、概ねレアル高で安定と思われ、素材産業分野、消費物資産業分野、商社分野、全般にわたり良好な年になるであろうと予測されております。それでは次お願いいたします。

    それでは各分野からの回答を駆け足でご紹介いたします。 まず始めに写真・デジカメ分野。2010年の回顧。増収増益でした。プラス要因としてグループ会社統合効果、代理店買収による事業寄与、デジタルカメラ市場の拡大、レアル高効果があげられています。マイナス要因は、競合激化による販売価格のダウンです。

    2011年の展望。増収増益予測です。プラス要因として医療事業の伸長、デジタルカメラ市場拡大にともなう販売数量の増加、グループ会社統合によるシナジー効果が期待されております。マイナス要因としましては、競争激化による販売価格ダウン、インフレ、一律昇給の圧力、為替変動リスクによるコスト上昇の懸念が指摘されております。次お願いいたします。

    筆記具分野では2会員から回答を得ましたが、両社ともに増収、増益です。プラス要因は、ブラジルの好景気による筆記具市場の拡大と所得向上にともなう教育投資の拡大です。マイナス要因は特に報告されておりません。

    2011年の展望ですが、2会員とも増収、増益予測です。プラス要因は2010年と同じです。マイナス要因といたしまして、欧州の財政不安による成長鈍化の影響が指摘されております。次お願いいたします。

    化粧品分野です。2010年の回顧。増収、増益でした。プラス要因は、税関スト、その他トラブルがなく、スムーズな通関ができた事と、既存製品の育成策が順調に推移していることです。マイナス要因として労働裁判が指摘されております。

    2011年の展望。増収、増益予測ですが、プラス要因はWEB販売の開始、マイナス要因は為替変動、税関職員ストライキ、港湾労働者ストライキなどの外部要因への懸念があります。次お願いいたします。

    次は外用薬ですが、一般用医薬品分野。2010年の回顧。増収、増益でした。プラス要因は、市場の拡大、販促活動の強化。マイナス要因は薬事法規制の強化です。
    2011年の展望でも増収、増益予測で、プラス要因は市場の継続的成長、新製品の上市計画です。マイナス要因は、薬事法規制の一層の強化によるコストアップへの懸念です。次お願いいたします。

    家庭防疫薬分野です。2010年の回顧。増収、増益でした。プラス要因は、経済危機からの回復、顧客在庫の減少、新規顧客の開拓です。マイナス要因は、アルゼンチン経由で輸入されている中国製ジェネリック品との競合を指摘されております。

    2011年の展望。売上、利益とも横ばいの予測です。プラス要因として、新規顧客の開拓、国内生産の増加、また環境要因としましてデング熱の流行を挙げておられます。マイナス要因は、ジェネリック品との競合と在庫の増加です。次お願いいたします。

    農薬原体分野です。3会員より回答を得ましたが、3会員ともに増収、増益でした。プラス要因は、経済危機からの回復、対象作物面積の増加、農業ビジネス環境の好調さに連動した農業融資の増加です。マイナス要因は、中国製違法製品との競合が指摘されております。

    2011年の展望は、増収、増益予測が1会員、減収、減益予測が1会員、売上・利益とも横ばい予測が1会員と分かれました。プラス要因といたしましては、対象作物面積の増加、農業ビジネス環境の好調さ、販売品目の増加が挙げられております。マイナス要因としましては、気象異変による南部の作付面積の減少、主要製品の特許切れに伴うジェネリック製品の市場への参入の恐れ、そして中国製違法製品との競合を指摘されております。次お願いします。

    次は農薬の製剤販売の分野ですが、2010年の回顧、増収、減益でした。プラス要因は、作物価格の高騰、農薬市場の拡大、予算比財務収益の増加です。マイナス要因は、人件費の増加、新市場参入による代金回収リスクの増加、対前年比財務収益の減少を指摘されております。

    2011年の展望では増収、減益予測で、プラス要因は作物価格の高騰継続の見込みと新規市場の開拓ならびに新製品の上市です。マイナス要因は、人件費の増加、為替レートへの懸念、新規市場参入による売上回収リスクの拡大、競争激化による収益の圧縮を挙げておられます。

    次、肥料分野ですが、2010年の回顧は減収、増益でした。プラス要因としては、農産物生産の好調さによる需要回復、マイナス要因は、会社方針による不採算商品販売中止による売上の減少です。

    2011年の展望としましては、売上は増加、利益は横ばいの予測です。プラス要因は、需要の安定。マイナス要因は、物価上昇、原材料の価格の上昇を挙げておられます。

    次、野菜、花の種子分野です。2010年の回顧。増収、増益でした。プラス要因は、主力商品玉葱種子の安定販売、新商材の販売増加、為替安定による利益の確保です。マイナス要因は、東北伯向けメロン種子の販売が、欧州の経済低迷、レアル高により影響を受けた事と、大手顧客デルモンテ社のブラジルからの撤退を挙げておられます。

    2011年の展望ですが、増収、減益の予測です。プラス要因は、主力商品の安定生産、新規商材の上市、南部市場での販路再編効果によるシェアアップ。マイナス要因は、スタッフ増加による人件費増加、試験農場運営費用の増加、東北伯向けメロン種子の販売大幅ダウンということです。次お願いします。

    次は鶏用の飼料添加物分野ですが、2010年の回顧、増収、増益でした。プラス要因は、供給量の増加と販売価格の安定。マイナス要因は特に指摘されていません。
    2011年の展望としましては増収、増益の予測で、プラス要因は新規顧客の開拓と供給量の増加。マイナス要因は飼料穀物価格の上昇です。

    次、接着剤分野ですが、2010年の回顧、増収、増益でした。プラス要因は、経済の回復、工業製品減税策、レアル高による輸入原材料コストの低減を挙げております。マイナス要因は、レアル高による輸出の減少と物流の遅れということです。

    2011年の展望としましては、増収、利益は横ばいの予測です。プラス要因は、好景気の継続、労働者党政権継続による政権の安定、レアル高を挙げています。マイナス要因は、レアル高による輸出の減少と物流の遅れを指摘されております。

    次、樹脂用の着色剤分野です。2010年の回顧、増収、増益でした。プラス要因は、景気回復による産業全般における需要の安定、レアル高による原材料費の安定、社内コスト削減です。マイナス要因としては、競合他社の低価格戦略と顧客よりの価格引き下げ圧力、また顧客の購入計画の変更多発によるコストアップ、労働裁判が挙げられます。

    2011年の展望としましては増収、減益の予測です。プラス要因としては、政権の安定と内需の安定、新規プロジェクトへの取り組み、社内組織改革による効率化です。マイナス要因は、為替動向への懸念と競合他社の低価格戦略と顧客よりの価格引き下げ圧力、それと人件費のアップです。

    次、架橋ポリオレフィン発砲体です。2010年の回顧。増収、増益でした。プラス要因として、自動車等のブラジル市場の拡大、生産効率の改善、営業組織の拡充を挙げておられます。マイナス要因は、新規競合メーカーの参入、原料のコストアップということです。

    2011年の展望としましては増収、増益予測です。プラス要因は自動車生産台数の増加、内需の拡大、新規ビジネスの導入・拡大、マイナス要因は原料コストと人件費のアップです。次お願いいたします。

    生松脂から精製されますロジン、テレビン油の製造・販売ですが、この分野では増収、減益でした。プラス要因は、販売単価の上昇、需要増加。マイナス要因としては、原料の値上がり、同業他社との競争激化を指摘されておられます。

    2011年の展望は売上横ばい、増益の予測です。プラス要因は、需要増加、採算性の改善、本社による競合他社の買収。マイナス要因は、レアル高による輸出の不振、原材料価格の不安定さを指摘されておられます。

    最後に、商社、化学品分野ですが、2010年売上では、増収2回答、不変2回答。利益では増益2回答、不変1回答、減益1回答の結果です。プラス要因は、ブラジル市場の拡大、石油化学品市況の堅調さ、農薬ビジネスの好調さ、自動車関連ビジネスの増加、農業資材関連ビジネスの増加を挙げておられます。マイナス要因としては、人件費の増加、レアル高を指摘されておられます。

    2011年の展望。売上は、増収回答4、利益につきましては増益回答3、不変回答1の予測です。プラス要因は、ブラジル市場の拡大、化学品輸入ビジネスの増加、既存ビジネスの伸長、自動車関連ビジネスの増加、農業資材関連ビジネスの増加、新規ビジネスの開拓が挙げられています。マイナス要因は、金利負担を指摘されておられます。以上で、化学品部会からの報告を終ります。どうもありがとうございます。

    司会
    大澤部会長どうもありがとうございました。続きまして運輸サービス部会、岐部部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 運輸サービス部会 岐部ルイス部会長

    運輸サービス部会

    運輸サービス部会の岐部と申します。よろしくお願いします。発表は物流業界全般、航空業界、海運業界、ホテル旅行業界、IT・通信業界の順にそれぞれの業界の2010年の回顧と2011年の展望を発表してまいります。

    2010年度の物流業界を表す言葉は、毎年言い続けてきておりますが、またインフラが悪いです。空港、港ともに改善されていないのが実態です。航空業界のメイン空港であるグアルーリョス空港での輸入貨物は、慢性的な停滞を続けております。

    当然なことですが、グアルーリョスが一杯ならビラコッポスへ貨物は流れ、到着後の費用の割高になり、コスト高の一因になっています。港も、貨物量の増大がターミナル会社の料金にも波及、一部では300%を超える値上もあったと聞いております。

    また大豆、とうもろこし、砂糖といった一次品目の輸出増でサントス港での渋滞を引き起こしたことは新聞報道でもご承知のことと思います。ブラジルへ入ってきている貨物量の増大は、空港でもそうですが、港湾施設のキャパシティを超え、加え人材不足もあり、遅延やトラブルが発生しました。陸上運送にしても、Marginal、Rodoanelなどの改善は見られたものの、交通渋滞の悪さは依然続いており、貨物量の増大もあいまって車両不足を招き、運賃上昇につながっております。

    さて、個別の業種へと目を向けると、航空業界。特に旅客については皆様乗客の多さを肌で感じられていると思いますが、国内線は中間層の利用が拡大、国際線もレアル高の影響もあり需要が増えております。この国際線の利用増は、格安航空会社の出現がこれまでバスを利用していた人たちを航空機利用へ呼び込んでいるようです。

    客数の伸び率は、対2009年で約21%もあったようです。国内線は、同様に21%伸びています。お気づきになられた方も多いと思いますが、毎年乗客が大変混雑している12月でさえ、2009年に比べ16%伸びております。

    貨物は、リーマンショック以降貨物便は減便が続き、世界的に貨物専門航空会社が倒産したりして、絶対的な貨物スペースが足りないことから、全世界的に航空貨物運賃が高騰しました。ブラジルはリーマンショックにそれほど影響されず、輸入貨物は増大を続けてきておりますが、さらにブラジル向けのスペースはタイトになってきております。

    次はクーリエですが、クーリエ貨物は通関を早めるために新しい輸入システムが導入されましたが、このシステムが利用者によく理解されていないこともあり、一部では以前より輸入に時間がかかっている貨物が見受けられるそうです。クーリエをご使用の皆さんは、業者さんに質問されることをお勧めします。

    続きまして海運業界です。コンテナ貨物については、旺盛な内需に加えレアル高に支えられ、中国を中心とするアジアから輸入が大きく伸び、輸入貨物量は前年比大幅増となりました。一方輸出貨物については、前年比で横ばいから若干増のレベルで止まりました。鉄鉱石輸出については、中国の輸入量全体はほぼ前年横ばいだったものの、EU諸国などへの輸出の増加もあり、ブラジルから輸出量は増加しました。

    続きまして旅行・ホテル業界についてですが、航空業界のところでも述べましたが、国際線の到着客数が昨年の11%増であったことが全てを物語っておりますが、ブラジル国内で外国人が落としていったお金も前年10%以上伸びていることがブラジル中央銀行の調査で明らかになっています。

    ちなみに、外国人たちというのは、皆さんもお感じになっておられる通りビジネスマンが大半ではないかと思います。ブラジルの経済が活況を呈している一つの数字ですが、国内のレジャーを見てやはり生活レベルの向上が国内の移動にも現れてきており、地方都市を中心にホテルの部屋数も増えてきております。

    続きまして通信・IT業界についてですが、2010年12月末現在、携帯電話の加入者数は2億2千万台となり、ブラジルの人口を超えることになりました。1人1台以上の計算になります。加入者数の伸びは、2000年が約2300万台で、年間15.5%増加だったのに比べ、2010年は2900万台で年間16.7%増加となりました。

    それからスマートフォンの普及によるモバイルブロードバンドのユーザー数が増えてきています。特に昨年からiPhone購入の希望者も増え、携帯電話会社によって2ヶ月待ちの状態が続きました。IT業界では昨年末iPadの販売が開始され、アプリケーション開発も増加しました。同じくAndroidをベースにしたアプリケーション開発の検討も進められています。

    次に皆様の会社のビジネスが関係するNota Fiscal Eletronicaですが、昨年末から全業種に関して導入が義務付けられました。先程、コンサルタント部会の都築さんのお話にもありましたが、今後税制対応は皆様の会社で継続することになります。
    次は2011年の展望に移ります。ここ2年ほど同じことを発表しているように思われますが、また各業界ごとに発表をしてまいります。

    物流業界全般ですが、空港、港、道路鉄道関係のインフラが老朽化していることは皆様ご存知の通りですが、2014年、16年に向けて早く整備をお願いする次第です。好調なブラジル経済は人々の暮らしに影響を与えていますが、物流業界としては一種危機的な状況になっております。

    つまり、輸入貨物が空港、港にあふれかえっています。当然これらの貨物をさばくために多くの方たちが日夜頑張ってくれていますが、やはり去年からの傾向である料金の値上が今年も続くと見ております。加え人材不足という大きな問題は解決されず、先送りされてきておりますので、貨物事故の発生も危惧されているところです。

    それに今年は大統領が代わりました。代わった年は必ず長期ストライキが発生しております。ここ3年ほど大きなストライキが発生しておりませんので、今年はカーニバル明けごろから始まるのではないかと危惧しております。ストライキとは別問題ですが、サンパウロ市内、道路規制が行われていますが、渋滞の解消は望めないと思いますので、いろいろな工業製品だけでなく、一般消費財の社内配達が遅れることが予想されます。これに天候不順が続くといろいろ運送に影響がくると見ております。

    航空業界は昨年以上活況を呈すると見ております。国内線、国際線ともに増便が見込まれていますが、特に国際線ではアジア、オセアニアからの新規運航も見込まれています。しかし空港設備の老朽化はこれ以上のキャパシティを生まず、運航自体にも影響を及ぼしてくると見ています。

    反面、航空会社の急成長は労務や管理システムに影響を及ぼし、安全運航維持への問題として発展する可能性があるかもしれません。貨物はグアルーリョス、ビラコッポスと2つの空港での取り扱いがメインですが、ビラコッポス空港では滑走路が一本増えましたので少々改善されるかもしれません。

    海運業界ですが、コンテナ運送について言えば、引き続き堅調かつ旺盛な国内消費に支えられ、中国をはじめとするアジアからの輸入を中心に物流の増加が予想されます。増加が昨年のような大幅なものになるのかは現時点では判断が難しいところですが、少なくとも増加傾向は続くものと期待されています。

    一方ブラジルからの輸出については品目、仕向け地ごとばらつきあるものの、レアル高が続くとすれば全体的には横ばいに推移するものと思われます。鉄鉱石の輸出については昨年いったん横ばい状態となった中国からの需要は今後中長期的にはますます増加する傾向にあると思われ、それに伴い大型不定期船のマーケットも回復が期待されています。またはサントス港などの混雑は今年中も大きな改善が期待しにくい状況にもあり、荷動きが昨年以上に増えると混雑によるターミナル状況の悪化の可能性も懸念されます。

    旅行ホテル業界ですが、日系のホテルに聞きますと、観光地でのホテル建設または増室が増えるだろうと見解されています。しかし同時に、観光地へ人が集まるということは、需要と供給のバランスで諸料金が値上がりする可能性も示唆されています。さて、サッカーワールドカップ、リオのオリンピックとブラジルの将来に大きな世界的なイベントを予定しておりますので、去年もホテル旅行業界は活況を呈していましたが、今年も昨年以上に好調な経済に支えられて成長していくと見ております。

    最後に通信とIT業界ですが、今年もスマートフォンの販売の伸び率が期待されます。特にiPhone、Blackberry、Android端末経由でモバイルブロードバンドの活用が増える見込みです。IT業界ではブラジルの成長に伴ってIT投資が増えるのではないかと期待しております。

    今年もCloudo Computingという言葉が引続き聞かれるケースが多くなる。あたかも雲から何かが降ってくるかのようなイメージで、ネットワーク上にあるサーバーのサービスを活用できるというコンピューティング形態を表す言葉です。具体例としては、マイクロソフト社、グーグル社が提供するメールシステムや、セールスフォース社が提供する顧客管理システムなどがあります。

    これにより、自社でサーバー施設を用意し、必要なソフトを調達しインストールするという面倒を踏まずとも、即日から高い機能をもったソフトウェアを導入することが可能になります。その他にタブレット端末、iPadのことですが、の利用、あとSNS、ソーシャルネットワークサービスの利用、例えばFacebookといった、こういったものの活用が企業内で進むだろうと期待しています。

    先程別の業界でも人材不足について述べましたが、同じく通信・IT業界も専門家の確保が厳しくなります。以上運輸サービス部会の発表を終ります。ありがとうございました。

    司会
    岐部部会長どうもありがとうございました。続きまして繊維部会、河本部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 繊維部会 河本暢夫部会長

    繊維部会

    それでは繊維部会の報告をさせていただきます。全部会の中で唯一、暗い話をすることになりますが、ご容赦を願いたいと思います。

    昨年8月の発表資料です。下期の予想として原料は高値張付きと報告しましたが、その直後から綿花相場は急激に上昇、その後も高値を更新し続け、現在では暴騰という表現が適切な相場になっています。本日はこの原料の動きと、これによる紡績への影響を中心に報告し、その他の部分は簡単に触れる程度にとどめたいと思います。

    世界の綿花生産量と消費量のグラフです。中国、インド、パキスタンの3国で生産・消費ともほぼ世界の3分の2となります。グラフの青色の国は、綿花生産量が消費量を上回る、すなわち綿花輸出国で、アメリカ、インド、ブラジル、それにグラフに現れていませんが、オーストラリアです。赤色の国は綿花生産量が消費量を下回る、すなわち綿花輸入国で、中国、パキスタンがこれにあたります。2010年はこの輸出国、輸入国に様々なことが起こり、綿花相場が大変動しました。

    綿花の需給バランスです。真中の数字をご覧下さい。中国では綿花が不作、パキスタンでは洪水の被害により生産量が落ち込みました。一方で中国、インドは好景気が続き、綿花の需要が増加、輸出国であるインドは内需優先策をとり、綿花・綿糸とも輸出制限を設けました。

    このため期末在庫率が40%を下回る綿花不足状態となりました。2011年の予想は右側の数字です。現在市場に出回り始めた今期の米綿、アメリカの綿花は既に95%が契約済みといわれ、南半球、ブラジル、オーストラリアの綿花が市場に出るのが8月ごろです。したがって来期の米綿が出るまでは極めてタイトな需給バランスが続くと予想されます。

    ニューヨークの綿花相場の動きです。綿花不足と投機筋の相場への介入により、昨年の8月以降相場は急速に上昇を始めました。シカゴの穀物相場のとうもろこしや大豆が過去1年間に80%値上がりしたと報道されていますが、綿花相場は南北戦争以来の高値といわれており、昨年1年で2倍となりました。

    年明けになっても相場は上昇を続けており、先週には期時価ものが180セントを超え、このグラフを突き抜けてしまいました。まあいつまでこの状態が続くのか、実需だけで相場が動いているわけではなく、非常に予測が難しい状況です。

    ブラジル国内の綿花の需給バランスです。2010年は経済回復による需要増加で綿花不足となりました。政府は20万トンの綿花無税輸入枠を設定しましたが、世界的な綿花不足状況では輸入もできず、期末在庫は極端に減少しました。

    2011年は現在の綿花高を背景に、綿花は儲かるという農家の判断から、作付け面積が拡大し、生産量は大幅に増加、新綿の出回る8月ごろからは需給バランスは改善すると見られます。しかしながら、毎年国内消費の半分に見合う量の綿花が輸出に回っており、世界の需給如何によってはさらに輸出が増加し、国内の需給バランスは改善されないという懸念も残ります。

    ESALQという綿花相場の動きです。昨年8月のこの場での報告直後から綿花相場は急激に上昇、その後も上昇の一途をたどり、我々の予想とは大きくかけ離れた価格になっています。グラフの左、上弦にあるのが今年1月末の価格です。昨年7月末に163センターボ/ポンドであったものが、12月末には291、1月末には358となり、わずか半年間で2.2倍となりました。新綿の出回る8月には量的に緩和され、価格も下がることを期待していますが、予断は許しません。

    紡績糸の生産量です。2010年の統計は未発表です。原綿が非常に高くなっていますので、原綿使用を控えるために昨年末に操業停止をしたり、綿糸から合繊混紡糸への生産シフトを行っている企業も出ています。

    綿糸の相場です。原綿価格の上昇を綿糸価格に転嫁すべく徐々に値上をし、昨年1年間では35%の値上ができました。しかし、最近の原綿価格の上昇速度は異常に速く、値上が追いついていない状況です。衣料品の消費は好調なので、これをよりどころに原綿価格の上昇に見合う価格転嫁を進めていきたいと思いますが、どこまで価格転嫁ができるか、今年の最大のポイントです。

    空紡糸の生産状況です。空紡糸は前回紹介しましたように若干生産工程が異なり、主にジーンズ用の太番糸になりますが、冬物素材として使われる糸です。2010年の統計はこれも未発表ですので、2009年までの動きです。

    空紡糸の相場です。2010年の上期は原綿の値上がりを先取りし好調に推移しましたが、下期は原綿の値上がりがひどく、糸値が追従できていません。2011年は、顧客は在庫を持っていること、輸入が増加することも予想され、商売は弱含みと見られます。

    えー、これまでの話のまとめになります。上の折れ線は先程見ていただきました綿糸、コーマ30の売値です。下の折れ線は、これも先程見ていただきました綿花相場ESALQの価格に綿糸1キログラムを生産するのに必要な原綿数量を掛け合わせて算出した原綿代です。

    この折れ線の間の部分が製造経費、営業費、金利を含めた紡績の全経費と利益になります。これを紡績のスプレッドと呼ばせていただきますと、このスプレッドは昨年後半から急速に減少しています。一番右端が今年1月の状況で、経費がまかなえない状況になっています。この計算は原綿の影響のみを見ているため、昨年のSelicの上昇や、11月の賃上げは考慮していません。

    昨年の1月から6月は紡績も利益が出る状態でしたので、この1月から6月並みのスプレッドを確保しようとすれば、一番右端、今年1月の売値12.35レアルは15.6レアルであらねばなりません。26%の値上が必要です。

    現在紡績は採算割れの状況であり、極度に資金繰りが悪化しています。原綿使用量の節約や、原綿購入資金不足のため、年末に操業停止をした紡績も出ていますし、カーニバル前後に再度操業を停止するという噂もあります。

    また小規模会社の倒産のニュースも出ています。我々紡績にとってはこの原綿価格の上昇を糸値に転嫁できるかどうかは死活問題ですので、なんとしても進めていきたいと思っています。一方でそれは当然のことながら最終製品の値上にもつながり、インフレを高進することになります。

    行過ぎた原料相場の変動は、我々製造業の衰退となり、また、最終消費者にそのつけを回すことにもなります。国際的にはこうした商品相場への投機筋に対する規制や、ブラジル国内としてはインドのような輸出規制を設けることも検討すべきではないか、そう思えてならない現在の相場水準です。

    喫緊の要望としましては、資金繰り対策です。通常業界での取引は、原綿購入は出荷後8日目の支払い、糸販売は出荷後90日後の入金であり、原綿の在庫期間や糸の製造期間を考慮すると、紡績は通常5、6ヶ月の資金負担をしています。

    この資金負担の一助になっているのは農業融資です。昨年度の制度改定や全般的な農作物の値上により、農業融資の利用が難しくなっています。制度の再見直しや、融資枠の拡大、あるいは農業融資に準じるような別の低利融資制度の検討をぜひお願いしたいと思っています。

    繊維産業は生活に密着した産業ですが、流行りの先端技術を誇る産業ではないため、マスコミへの露出度も低く、実態をご存知ない方も多いと思います。今日お集りの皆さんには紡績の現状をご理解いただき、また政府関係や金融関係の方々には紡績の直面している問題に対し、早急な対応策をお願いしたい次第です。本日の発表はこれでほとんど終わりのようなものですが、以下はごく簡単に報告させていただきます。

    繊維品の貿易統計です。2006年に輸入が輸出を上回り、以降年々輸入超過が拡大しています。輸出には、先程綿花の輸出がかなりありますので、原料を除いた同じ統計です。さらに輸入超過状態が顕著になります。その中で綿糸だけを見たものです。2010年はブラジル国内の需要回復により輸入が戻ってきましたが、輸入糸も国内相場並みの価格で販売されたため市場拡大要因にはなりませんでした。2011年は中国、アジアでの需要が強く、インドは輸出規制をしていますので、輸入糸は減少するのではないかと見ています。

    織物の生産量です。2010年の統計はこれも未発表ですが、2009年が若干落ち込みましたので、この分は回復していると思われます。織物の貿易統計です。後ほどご報告しますが、製品での輸入が増えていますので、ブラジルのアパレルは輸入製品への対抗として生地のコストダウン、すなわち安価な輸入生地への切り替えを進めており輸入が増加しています。

    織物とニットをあわせて生地という表現にしています。先程の説明どおり生地での輸入が増えています。数量ベースで昨年対比、生地で57%、既製服で35%の増加となっています。全般的に好景気で消費は好調ですが、紳士服は伸び悩み、婦人服、ユニフォームは好調です。

    アパレルは売上を5%から10%ほど伸ばしています。小売も冬の母の日、夏のクリスマスセールともに好調で、衣料専門店では10%から15%ぐらい売上を伸ばしています。2011年も経済成長、国民所得の増加により、衣料品の消費はさらに伸びると予想されます。衣料品だけの輸入統計です。

    2010年は一段と輸入が増えています。オレンジ色が中国からの輸入で、過半数を占めています。それからファスナーです。ファスナーについても中国からの輸入が多く、中国からの輸入の推移のグラフです。色分けはファスナーの種類別であり、経済回復にあわせ2009年の下期から増加しています。ファスナーのユーザーの生産は経済危機前の状況に回復し、ファスナー販売は衣料、鞄、ブーツ等全分野で絶好調でした。

    婦人服での使用箇所の増加や、飾りとしてファスナーを使うサンダルの流行もあり、供給が追いつかないほど好調でした。2011年は輸入衣料や安価な輸入ファスナーの増加も懸念されますが、経済成長により消費も拡大していくと見込んでいます。

    まとめです。先程長々とご説明しましたが、異常な高値原綿に見合うだけの価格転嫁をできるかどうか、充分な転嫁が出来ない場合、紡績は耐えることが出来るのか、というのが今年の最大の焦点になります。以上です。ありがとうございました。

    司会
    河本部会長どうもありがとうございました。コモディティ価格の上昇というのはよく取り上げられているんですが、紡績業界の苦しい状況というのは初めて知ることができました。本当に参考になりました。ありがとうございました。続きまして建設不動産部会、大滝部会長代理お願いします。

     

     

     

  • 建設不動産部会 大滝守部会長代理

    建設不動産部会

    建設不動産部会レポート

    建設不動産部会のホス建設、大滝と申します。よろしくお願いいたします。
    2010年の回顧ですが、日系建設業界ではトヨタ自動車様をはじめ自動車関連企業の工場の建設工事が次々と着工されました。他の業界でも金融危機により延期されていました建設計画の再開、また新規にブラジル進出のためのスタディ、調査、計画、設計を行いまして、非常に多忙な1年でありました。

    ブラジルの建設業界は通年で11%の成長を記録しまして、総生産、PIBの15%を占めるようになり、初めての二桁成長を記録しました。急速な成長により技術者、労働者の不足が発生しまして、また価格の上昇を招いております。ゼツリオ・バルガス財団による建設コストの指数、INCC-Mは1月から11月で6.95%でありまして、同時期に労働コストは8.73%の増加をしており、いずれも同時期の公式インフレ率を大きく上回っております。

    海外からの資金流入が1000億ドルを超え、民間企業の直接投資も増大したことに加えて、大統領選挙の年の影響でブラジル全体の公共工事が増大しまして、民間建設工事への影響も大きかった1年となりました。

    表の1は建設労働者数の推移でありますが、雇用は増加しております。年末が下がっておりますのは出稼ぎで里帰りが年末で行いますので、減少します。12月末の建設労働者総数は255万人でありまして、2005年に比べますと2倍の増加となっております。労働者の賃金は、2010年5月に組合の給料改定は8.01%の発表でありましたが、エンジニア、専門職不足の影響で10~30%の給料アップを行い、人材獲得に努めているのが現実であります。次お願いします。

    表2は2010年の主な建設資材の価格の推移でありますが、建材の工業製品税、IPIの減税が2011年12月まで継続することになりましたが、ドア、金具類、ガラス、便器などの住宅関連の建材の価格上昇が高く、中でも屋根材は8ヶ月で10%を超える上昇でありました。政府の大衆住宅の持ち家政策、Minha Casa Minha Vidaによる影響が大きいと思われております。

    次の表の3ですが、建設工事量の動向を示すセメント販売量の2009年との比較であります。全地域が前年比で10%以上の伸びを示しております。上半期にはセメントの輸入が行われるなど、生産能力の増大が必要になってきており、セメント大手各社が相次いで生産設備の拡大を発表しております。次お願いします。

    表4は不動産関係、住宅建設の発売件数の2009年から2010年の比較であります。主要都市では前年を上回り増加しております。大衆住宅の持ち家政策が継続され、100万件の契約を目標としていますが、2010年までは達成率が80%に達していると聞いております。
    サンパウロ不動産協会、SECOVIによれば、サンパウロ市内のアパートの賃貸料が通年で13.4%の上昇となるなど、2009年の9.6%に続いて2年連続でインフレ率を大きく上回っております。

    オフィス等の賃貸料ですが、サンパウロ市内の空室率は6.8%であり、非常に低い水準で推移しております。賃貸オフィスの供給の不足と需要の増大が同時に発生している状況です。2010年は完成したビルが多く、安定しましたが、今後賃貸料は上昇することが予想されております。

    土地の値段につきまして、サンパウロ市内・近郊の土地値段の上昇は継続しておりまして、最近はサンパウロ市東部への開発が進んでおります。工場用地は高速道路沿いの土地は値上がりが大きく、最近ではカンピーナス市、またソロカバ市より奥地の方へ向かって土地を求める傾向で、それらは安価でありましたが、最近は非常に上昇の傾向になっております。

    最後に2011年の展望でありますが、日系の建設業界では昨年同様で自動車関連の建設工事、および新規進出企業の調査、計画設計で昨年同様多忙な1年を予測しております。ブラジル全体としましては、新大統領の大衆住宅政策、PAC2、サッカーワールドカップの競技場の建設、オリンピック関連および空港や高速鉄道計画などの実施で、建設業界は好景気のまま拡大すると考えられております。

    当部会の会員会社で、業界の問題、改善について話し合いましたが、まとめますと次のことが要点となりました。1、建設ブームにより人件費の高騰、エンジニア、建設作業員の不足および建築資材、また機材の恒常的な値上がりが続く。2、ブラジルの工事単価は世界中でも高額となっており、原料、資材や機材の安価な輸入材の導入、法的な規制の緩和、税金を含め政治の力で対策がほしい。

    3、建設ブームであるが、建物が約束を過ぎても終了しないとか、各地で質の悪いアパートや地下鉄工事などでいろいろな事故が起きておりまして、原因はエンジニアの技量不足、また建設会社の管理技術不足、安全対応能力低下が挙げられております。

    4、当部会の日系建設会社としましては、技術力、安全管理を向上させる努力を行って、また建物に求められる自然環境保全や省エネ、CO2の軽減等の取り組みを積極的に行い、設計から施工まで安心できる建物、工事を行う所存でございます。発表は以上でございます。ありがとうございました。

    司会
    大滝さんどうもありがとうございました。それでは今日の部会の発表の最後になります、食品部会、高藤部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 食品部会 高藤悦弘部会長

    食品部会

    食品部会の高藤でございます。本日最後ということで、たいへんお疲れだと思いますけども、さっくりと簡潔に説明をしていきたいというふうに思います。この部会、商工会議所の部会の中では唯一だと思いますけど、日周り品を扱っている部会であるということであります。

    扱っている食品でありますけども、乳飲料、粉末飲料、調味料、即席めん、酒類、香辛料、飼料用アミノ酸、コーヒーというようなところにわたっているわけでありますけども、まあそれぞれ1業種1会社ということで、なかなか全てを網羅的に、ブラジルの食品業界がどうなっているかと言うことは難しいわけでありますけども、それぞれ国内消費、輸出と大きく分けてご説明をしてまいりたいというふうに思います。

    最初に為替動向でありますけども、すでに金融等の部会で説明があったかというふうに思いますけども、年央からじりじりとレアル高になりまして、現在1.7をちょっと割っているところということで、軟包材あるいは原材料をUSドル建てで購入している業界、基本的に国内向けの製品を作っているところでありますけども、このところについてはフォローウィンドであったわけですけども、輸出をしている業種にとっては基本的に本年も為替動向、厳しい1年であったなというふうに言えると思います。

    続きまして商品相場でありますけども、先程繊維部会の方から綿花の相場異常な状況というご報告がありましたけども、食品についても皆さんご承知のように、まあほとんど全てのコモディティが上昇したと。特に年央からの上昇ということは非常に激しいものがあり、かつ1日の中の値動きも投機資金が、こう入ったり出たりということで、非常に荒っぽい動きをしているここ数カ月であるというふうに思います。

    すいません、ここ1点間違いがあるんですけども、コーンのところポンドとありますけども、ブッシェルの間違いです。すいません。この相場、ニューヨークとシカゴ、昨年の6月、9月、12月というところですけども、これを見ても相当上昇しているというふうにご覧になられると思いますし、昨年の3月、1年前に比較しますと砂糖は2倍半と、コーヒーについても倍以上という、特に砂糖につきましては1月、35セントを超える記録的な高値、足元30セント強でありますけども、非常に厳しい状況が続いているということであります。

    その中でということでありますけども、先程申し上げた通り国内の消費動向につきましては、各業種基本的に、売上という面で言うと順調に推移しております。特に1個あたりの価格が安い即席めん、調味料、粉末飲料、乳飲料というところにつきましては、二桁を超えているところ、あるいは二桁に満たないまでもそれに近いところで2010年度も成長してきたということであります。

    その要因、そこにいくつか書いてありますけども、やはり最大の要因は2番目、中・低所得者層の購買力の向上と。毎年、ご承知のように最低賃金が上がっているわけでありますけども、賃金が上がるということにつきましては各社それぞれG&A費あるいはプロダクションコストの上昇ということでマイナス要因でありますが、この食品部会につきましては、先程申し上げたように国内については基本的に日回り品ということで、人件費の上昇イコール購買力の向上と。

    特に食品については、大豪邸に住んでいようが、ファベーラに住んでいようが、人の食べる量というのはそう大きな差があるわけではないと。また食べる製品の質の違いというのはありますけども、基本的に食べる量は変わりがあるわけではありませんので、我々にとってはプラス材料にきいていると。

    特に北部、北東部というところのD、E層がC層の下、あるいはD層に入ってくるということで、あまり、粉末飲料でさえ買えることができなかった層の方々が粉末飲料を買えるようになったと。この粉末飲料につきましては、Ready to Useのドリンクに取って代わられてマーケットはどんどんどんどんシュリンクしていくというふうに数年前から言われていたわけでありますけども、本年につきましてもマーケットそのもの二桁に近い伸びになっているということで、最低賃金の引き上げについては、まあ我々にとってはマイナス、プラス、どちらかというとプラスサイドにきいてくるということでございます。

    2011年度につきましても、基本的に大きな政策の変更がないという前提でありますけども、購買力の上昇というのは2014年、2016年大きなイベントが先に控えている中で基本的に続くものだろうというふうに思っております。

    そうした中、各社既存の業種はもちろんのことだろうと思いますけども、積極的に商品をマーケットに出してブラジルの方々問うてみたいというような意見が多く出されております。国内の売上という観点につきましては、2011年度も、二桁行くかどうか分かりませんけども、堅調あるいは順調な推移になるものと思われます。

    最大の懸念点は、そこにありますように、商品相場、原料相場の動向でありまして、特に砂糖につきましては、砂糖を使っている、直接使っている業種、あるいは砂糖を発酵原料にして加工品を作っている業種があるわけでありますけども、今のこの30セントを超えるレベルというのはある意味殺人的な相場であります。

    飲料関係については非常に競争が厳しく、各社価格に転嫁ということは基本的に見送らざるを得ない状況であると。いろいろと、それぞれ価格を上げたいというふうに各社思っている、はずだろうと思いますが、いかんせん上げられないということで、ここが収益に大きな圧迫要因になるということでありますし、粗糖を原料としている発酵産業にとってみれば、インターナショナルのマーケットで、特に中国との競争というところで言うと、非常に厳しく、工場を作って以来の危機の年になるだろうという大きな危機感を抱いているというのが現状であります。

    輸出でありますけども、為替のところで輸出非常に厳しいというところを申し上げましたけども、コーヒーあるいは牛肉、鶏肉という分野の輸出は好調であります。コーヒーにつきましては、金額ベースでありますけども、対前年110%。08年の水準までには届いてないようですけども、明らかな回復基調にありますし、鶏肉・牛肉ともに、金額ベース、鶏肉が117%、牛肉が116%ということで、価格単価が上がっているにも関わらず非常に、特に新興国を中心とした旺盛な需要に支えられて極めて順調に推移をしております。

    2011年度についても基本的に伸びていくだろうというふうに思われておりますけども、この畜肉業界も大豆、とうもろこし、要するに餌の価格が大幅に上がっているわけでありますし、収益というところではやはりコモディティ相場の動向というのが非常な懸念材料ということになっております。以上であります。

    司会
    高藤部会長どうもありがとうございました。これにて本日の各部会からの報告、説明は終了させていただきますが、最後に大部総領事から一言ご講評をいただければと思います。よろしくお願いします。

     

     

     

  • 講評 ブラジル日本商工会議所名誉顧問 大部一秋在サンパウロ日本国総領事

    どうもこんにちは。いつもながら大変内容の豊富な分析、展望を業種別に細かくやっていただいて、しかも工夫されたプレゼンテーションで非常に有益なものと感じております。非常に、ありがとうございました。

    毎回いろいろ改善されてきているなという感じがして、特に今回は基調講演という形で武藤大和総研理事長が、ああいう日本の経験のような話をしていただいたというのはブラジルとの関係で非常に示唆的なところもあって、こういう基調演説のようなものを入れるというのも良かったのではないかと思います。

    それからコンサルタント部会で税制改革の話を、トピック的なものとして取り上げていただいたのも良かったと思いますし、電気電子部会でマナウスのフリーゾーンの話なんかも画像入りでやっていただけたのも良かったかなというふうに感じております。
    それから、全部会通じて非常にコンパクトで、工夫された内容の発表があって、非常にコンデンスされたすばらしいものだなというふうに思いました。

    全体の分析的なものというのは、まあ当然2010年7.6%の経済成長、需要が拡大している、国内市場拡大していると、直接投資も増えて資金も流入しているということですから、当然、好調、回復、拡大基調というのが出てきているということは非常にうかがえましたし、西岡さんの+10%とか回復という非常に、キーワードとして頭に残りやすい、分かりやすい表現も出てきて、さすがだなというふうに思いました。

    回復というよりも、急回復という感じかなという気もしますが、そういう全体の中で、たとえば繊維部会のような、その若干投機的なそういう動きのある、国際相場が上下することによって影響を受けている、ああいう影響を受けている部会もあるということが分かるという意味では、業種別の細かな、ミクロ的なこういうアプローチも非常に必要なんだなということを、先程のプレゼンテーションを聞いていまして、非常に、鷲見さんもおっしゃっていましたけども、実感する次第です。

    まあこれは基本的には穀物相場なり、相場が急激に変動するということは大きな問題だと思いますので、こういうふうに影響を受けているところもあるということで、好調一点張りではないというのが分かるということでも良かったんだろうと思います。

    そういう全体的な上向きの好調、回復の中にあって、やはり中長期的に見るとそろそろ問題点がいろいろ出てきているなという感じがします。一つは賃上げ、それからインフレ、この辺り、まあボトルネックになってくるような状況がやはり需要が大きくなってくれば出てくるだろうということで、建設部会の話にもありますし、各方面での賃上げなりインフレの懸念、資材の高騰といったような話が出てくる。そうすると、まあ最低賃金の値上で、今政治的にジルマさんが政治的な圧力との関係で財政支出のカット、まあ500億レアル出しましたけども、その戦いのようなものをやっていますが、まあインフレに対する懸念なり、これをどう抑えていくかというのは大きな問題に出てくるんだろうというふうに思います。

    それからもう一つ、まあ非常に、運輸サービス部会で、私もちょっとどういうふうになるかなと思って、やはり予想どおりボトルネックとしてインフラのですね、依然として弱体、弱いというのが非常に気になっていて、まあサントスにしろグアルーリョスにしろその辺のネックのところの投資なり、改善が非常に急がれるんだろうなというふうに思います。

    そういう意味では、PACの中でも、投資経費については抑制しないで消費的な経費を削減していくという方向でやっているようなので、まあ期待はしていますが、このインフラが弱い、インフラが不足しているというところが少し出てきているんだろうと思います。それからまあレアル高については非常に、大体の感じですると非常に困っているという、マクロ経済全体で見ると行き過ぎではないかなというふうに思われる方もおりますけども、他方これで利益を得ているという方もおられて、また、いやマイナスであるという方もおられて、なかなか複雑な様相が為替にはあるんだなということを感じました。

    まあ全体として、とりあえず感じた感じはそんなことで、最後にコメント的に、各業種別に11部会やられて、せっかくそれぞれ良いプレゼンテーションを行われているので、全体としてブラジル経済とか日本との関係とか外国との関係、全体として11部会まとめるとこんなような形に総括できるのではないかと、例えば売上とその収益の、化学部会でしたか、各社のアンケートを書いてありましたけども、まあ全社というわけにはいかないんでしょうけど、全体として収益と売上がアンケートをやってみた場合どのくらいの数で、何割ぐらいなのかなという数字なんかも分かればいいかなと思いますが、まあ全体としてどういうふうにまとめるのかというようなものもあればちょっといいのかなという感じはしました。

    トピック的なもの、啓発的なものも引続き入れていただけると非常に質の高い、関心の高い有益なものになるのかなという感じを、まあちょっとしましたので、簡単に述べさせていただければと思います。本当に、大変貴重なお話をありがとうございました。どうも失礼致します。

     

     

     

  • 閉会の辞 鷲巣 寛 企画戦略委員長

    大部総領事、本当にご多用の中最後までありがとうございました。また貴重なアドバイスをありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。本日は皆様長時間にわたり最後までご参加いただきまして誠にありがとうございました。

    今総領事の方からもご指摘あるいはアドバイスいただきました通り、各部会、まあ今回基調講演を初めてトライさせていただきましたけども、各部会、各部会長ともにですね、発表内容につきましては非常に工夫しながら考えてやっておりますので、ぜひ皆様またいろいろご意見をいただければと思います。

    今後も年2回このシンポジウム継続してまいりますが、より内容の濃いものにしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。本日のプレゼン資料につきましては、後日商工会議所のホームページの方に掲載いたしますので、ぜひご参考になさってください。よろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

     

     

     

 

全プレゼンテーション

 

2010年下期の業種別部会長シンポジウム

  • 司会 近藤正樹総務委員長

    定刻となりましたので2010年第二回業種別部会長シンポジウムを始めさせていただきます。本日はお忙しい中多数ご参集いただきありがとうございます。今回は静岡県の磐田信用金庫様の経済ミッションご一行様、15名の方にもご参加いただくことになっております。

    ちょっとご到着が遅れているようでございますけれども。  今回も全て日本語で行ないますが、日本語―ポルトガル語の同時通訳のサービスがございますので、ぜひご利用ください。また携帯電話のご使用はご遠慮いただきたく、よろしくお願いいたします。

    それでは各部会の発表に先立ちまして、商工会議所中山会頭よりご挨拶をいただきたいと思います。中山会頭よろしくお願いいたします。

  • 開催挨拶 中山立夫会頭

     こんにちは。本日は当会議所恒例の業種別部会長シンポジウムに多数ご出席いただき誠にありがとうございます。大部サンパウロ総領事殿にはご多用の中ご臨席を賜り、御礼かたがた、終了後に講評をいただきたく、何卒よろしくお願いいたします。また、佐久間ブラジル日本大使館書記官殿には、終了後のコメントをよろしくお願いいたします。

    当会議所は1940年5月29日に創設され、今年は70周年の節目に当たる年ですが、このシンポジウムは1976年に業種別部会長懇談会という名称で開始してから34年が経ちました。現在11の部会があり、各々の部会はシンポジウムに向け事前に懇談会を開催し、ブラジルのマクロ経済をはじめ各業種、業界を回顧、今後の動向の検討を行い、2月と8月の年2回開催しておりますが、回を重ねるたびに進化しており、大変喜ばしく思っております。

    後ほど専門的な立場から、コンサルタント部会や金融部会から発表がなされると思いますが、ブラジル経済はリーマンショックにも耐え、V字回復を遂げており、むしろ中央銀行はやや過熱気味の景気を懸念し、政策誘導金利を引き上げつつあります。

    好調な国内経済、深海油田の開発推進、2014年のワールドカップ、そして16年のリオ・オリンピックに向けた莫大な投資需要および景気拡大、これらに伴うグローバル企業の進出が一層活発化し、競争激化が予想されますが、各企業の皆様におかれましては本シンポジウムの各部会の発表、質疑応答を踏まえ、自社の経営戦略の立案、見直しをされる上でお役に立つことができれば幸いに存じます。

    最後にこのシンポジウム開催の担当であります総務委員会、業種別部会、および事務局の皆さんのご尽力と、会員各位のご協力に対して心から御礼を申し上げ、挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    中山会頭ありがとうございました。それではこれから部会の発表に移ります。ただいま中山会頭のお話にもありましたが、合計で11の部会がございます。今回の共通テーマ「2010年上期の回顧と下期の展望」ということです。ただいまお話ありましたように、ブラジルは世界の注目度が高くなっております。チャンスはありますが、競争も激しくなっております。

    まさにグローバルの市場がブラジルの中にあると言ってもよろしいかと思います。最近では韓国、そして中国のすさまじい勢いが見られます。業界により濃淡はあると思いますが、本日は競合の状態も含めですね、情報交換、状況把握していただければと存じます。

    各部会の発表時間は、質疑応答も含め約15分を予定しております。パワーポイントの画面に残り時間が表示されますので、発表者の方は時間管理方よろしくお願いいたします。それではご案内のアジェンダに従いまして進めさせていただきます。まずは自動車部会、長谷部部会長によろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

  • 自動車部会 長谷部省三部会長

    自動車部会

    ただいまご紹介に預かりました、自動車部会の部会長をしております長谷部でございます。毎年あるいは毎回この会議に出席されておられる方は、部会の発表順位という点で言えばなぜ自動車部会が一番最初かということになるかと思います。

    実は機械部会の西岡さんはいつも大きな声で発表された後、私の、こうロジカルで非常に洗練されたプレゼンテーションがうまくいきませんので、今回は最初にやらせていただくことにさせていただきます、というのは嘘でございまして、日本からの来客がございますので、最初にプレゼンテーションをさせていただきます。

    共通のタイトルであります、まずは2010年の上期のレビューと下期の展望ということで、それぞれ四輪、二輪、部品業界についてお話をさせていただきたいと存じます。

    まずは四輪についてでございます。ここに挙げているグラフが1月から6月までの自動車の総市場の推移でございます。棒グラフがボリュームを示しておりまして、折れ線グラフの橙色が商用車、それとこのブルーの色の折れ線グラフが乗用車の前年比を表しております。

    直接の比較でこれを批評、議論するのはいかがかと思いますが、まずは3月にピークが来ているということが、皆さんご存知の通りIPIの減税措置というのが乗用車については3月までであったと。

    商用車についてはいまだ引き続きIPIの恩典が残っているということで、前年比から見ますと商用車の方は前年を上回り、乗用車については3月以降前年を下回るという状況になっております。半年間で見ますと、去年が145万台、今年が158万台ということで、約9%前年から伸びておるという状況でございます。

    今申しましたIPIについて、今の状況について申し上げます。引き続きIPIの減税恩典をもっておるのがブルーで示している下の軽乗用車あるいはバス、トラックと。この2車種といいますか、2モデルについては現在のところもIPIの減税が続いていると。一応政府の今の決定では今年の12月までこのIPIが続くと。ほかのモデルについては減税措置が打ち切られた時点が若干違いますが、元のIPIの税金に戻っているということでございます。

    6月までの半期で9%前年よりも増というお話を申し上げましたが、年間で見た場合にはどうなるかというのがここに示しているグラフでございます。今のANFAVEA、自動車工業会の予測では、去年の314万台を上回る340万台という市場、販売の市場予想でございます。

    ただし、当社を含む日本メーカーの見方としましては、7-12月をもし去年と同じ台数、先ほど申し上げました通りIPIの減税が段々延長されて去年については9月-12月でピークを迎えたわけなんですけど、それと同じボリュームを売った場合は330万台という数字が出てまいりますので、若干自動車工業会の見方は上に見ているんではなかろうかというふうな見方をしております。

    下のほうに小さく赤のグラフで示しておりますのが輸入車の台数でございます。見ての通り段々2004年から増えてきているという状況でございます。後ほどこの内訳についてはお話を申し上げたいと思います。

    次のグラフが、これが生産台数でございます。市場の伸びに基づきましてといいますか、それによりまして生産台数も去年の318万台に比べまして今年は339万台という予測でございます。

    下の方のグラフで示しております輸出車、紫色でございますけども、昨年度が47万台、今年の予測としましては、元々は53万台だったんですけども、62万台の輸入車合計になるという予測でございます。次お願いします。

    ブラジルと言えばリッターカーということなんですけど、これ経年で見ますとリッターカーは今段々減ってきている、構成比が減ってきている状況にございます。台数、ボリュームとしましては、市場の伸びには追いつきませんが、増えてますが、構成比としては段々減ってきているという状況でございます。

    次に、お客様が購入する際の支払い形態についてでございますが、2008年がリースのピークでございますが、これは金融取引税の変更によりましてリースの方が有利になったということでございますけども、この金利が、今のところリースとローンがまた一緒になりましたので、リースからローンへの切り替えと、交代したということでございます。キャッシュのお客様の比率としては大体36から38でここ数年引き続きそのレベルをキープしているという状況でございます。

    今後の自動車業界の各メーカーの投資計画でございます。これは新聞記事から拾ったものでございまして、実際にプリベンテされるかというのはちょっと分かりませんが、こういう状態で、順に足し算しますと100万台くらいこれから生産ポテンシャルは増えていくということでございます。当社のところに未定と入っておりますけども、一応発表では2012年のスタート時点では7万台からスタートするという発表をさせていただいております。

    総じて今年の自動車のマーケットというのは、やはり昨年2009年に比べて上に跳ねるということでございますけども、今後の問題点といいますか、我々としてしっかり認識しておかなくちゃいけないということが二点ございます。

    まず最初がコストの問題でございまして、現在その生産用の輸入部品というのが恩典を受けまして、元々の18%という部品の輸入税に対して40%の恩典をもらっている訳ですけども、これがもはや10%ずつ減っていって今年の年末までには元の税制の18%まで戻ってしまうということになりまして、この分のコストが今後上昇していくということでございます。

    二番目に、これは皆さんの関心事項でもあろうかと思いますけども、全てのコモディティが上がっているということで、特に鉄関係についてはかなり上昇するというふうに、私どもと取引のある鉄関係の方もいらっしゃるわけなんですけど、これからどっちが勝つかと。

    我々がお客様のために安い鉄を買えるかどうかというのが、今後のコストに関しての争いになっていくかと思いますけども、まあ車というのは約1トン、1.5トンあるわけですけども、その中で鉄の占める比率というのが8割。だから1.2トンを平均としますと1トンは鉄でできておりますので、鉄が上がったら車が上がるというふうに考えていただければよかろうかと思います。

    二つ目の移転価格税制の問題でございますけども、商工会議所としてもかなりこの問題についてはディスカッションして直接政府の方にも陳情したわけなんですけども、今のところはこの議論はなされずに、延期されるということになってきておりますが、この問題についても将来非常に重石になる可能性がございます。

    先ほど市場の中でお話申し上げましたCBU、完成車の輸入でございます。特に韓国車だけ取り上げますと、ここにHYUNDAIとKIAを取り上げているわけなんですけど、ここ3年間で倍になっていると。大変お恥ずかしい話なんですけど、今年の1-6月についてはHYUNDAIは、ここでの生産台数は非常に少ないんですけど、当社の販売を上回っているという状況でございます。

    理由はいろいろございますが、やはりアグレッシブな販売を展開されておりますので、なかなか今後今までのような販売の方法あるいは戦略ではこの市場で戦えなくなる可能性はございます。

    引き続きまして二輪の方に移らせていただきます。バーグラフで示しておりますのが生産台数、折れ線グラフの赤が国内市場、販売市場でございます。それぞれ見ていただくと分かります通り、2008年がピークで2009年はやはり経済の影響あるいは他の影響によりまして台数は落ちました。今年の半期だけ見ますと、去年の生産台数の73万台に比べて86万台ということで若干上振れ、回復の基調にあるということでございます。

    月別の数字を見ましても、各月前年を上回っております。ただしその上回る率というのが段々減ってきて、これから下半期に大きく伸びるかというと、ちょっとそれは期待薄と。まあ去年よりは上回る程度で推移するのではないかというのが業界の見方でございます。

    二輪車も同様に支払い形態別に見てみますと、乗用車はかなり金利が下がったりいろんな問題でローンの比率というのが増えたりという状況にございましたけども、逆に二輪車については、金利とかは良い方に行っていますが、与信、要するに限界層のお客様が買うわけなので支払いの能力があるかと、ここがネックになってローン比率というのが伸びていない、逆に言えば減ってきているという状況でございます。

    最後に部品業界についてご報告申し上げます。Sindipecasの発表、正式発表というのは2008年までしかございません。あとは予測をしたんですけども、実は昨日私Sindipecasの夕食会に呼ばれまして彼らのプレゼンテーションを見たときに数字が出て参りましたのでご紹介しますと、2009年の実績が650億レアルということで、彼らの発表の方が正しかったです。

    それで2010年の予測が797億レアルということでほぼ我々の販売台数に比例した売り上げ金額とほぼ同額であるということなんですけども、部品業界につきましても生産台数が増えるのに伴いまして売り上げは伸びているという状況でございますが、昨日の話だとレアル高によって輸入部品との価格競争というのが非常にシビアになってくるということでかなり危惧をされているプレゼンテーションでございました。以上でもって自動車部会の発表を終わらせていただきます。

    司会
    長谷部さん、詳細なデータに基づく説明分析ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。では長谷部さんどうもありがとうございました。  続きましてコンサルタント部会、押切副部会長よろしくお願いいたします。

  • コンサルタント部会 押切フラヴィオ副部会長

    コンサルタント部会

    皆さんこんにちは。コンサルタント部会の押切です。実は本来部会長である都築さんが発表される内容だと思いますけども、今回副部会長の澤田ジェトロ所長さんも日本出張中というようなことで、私が代理で発表させていただきます。よろしくお願いします。

    最初にですね、このデータはジェトロさんが全部準備された内容で、そこにまだ案という状態になっていますけども、最終的にはジェトロさんからいただいたデータをベースにお話を進めさせていただきます。

    前回、都築部会長がブラジル経済は2008年のリーマンショック以後病院の集中治療室に入りまして、2009年やっと自宅に帰れたというようなコメントをされたことが記載されていますけども、2010年は自宅で順調に回復に向かっているということが言えるんじゃないかと。

    実は2010年の第1四半期のGDPの成長率ですが、この表に詳しく書いてますけれども、トータルでもって第1四半期は9%の伸びと。でこの中でですね、製造業関係が13.6%、土木関係17.2%、それから特に農牧畜関係が2009年はずっとマイナスだったのが2010年に入ってプラスに転じていると。これは記憶で申し訳ないんですけども、2010年の農産物の収穫量が約1億4000万トンに達するという数字を発表しています。

    従いまして、ブラジルの経済は非常に内陸部の影響を蒙るわけですけども、農村地帯の景気が良くなりますと当然都市部の景気も良くなると。で、この数字から見ますとやっぱり、農牧畜関係が好転しているということは、良い意味で全体に良い結果が期待できるんじゃないかというふうに思います。

    それから次に商業関係も15.2%、さらに個人消費支出関係、これが9.3%。細かい、例えば土木関係とかさらにサービス分野、それについては各部の方から詳細の説明があると思いますけれども、この表を見ます通り、今年度のGDPの成長は約7%前後になるんじゃないかという予想が根強いようです。

    まあまだ4ヶ月間あるわけですけども、大体7%前後の成長が期待されると。ここへ長く住んでおられる方はご承知だと思いますが、ルーラ大統領は前の政権の、FHC、フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ大統領の任期期間、1995年から2002年までの期間8年間、その期間といつも比較するんですけども、ルーラとフェルナンド・エンリッケの比較をしますと、95年から2002年までその間はブラジル経済年平均2%成長しております。

    一方ルーラ政権になりまして2003年から今年末まで、もし7%の成長としますと年平均4%に達すると。従いまして、その両者の結果を比較しますとルーラの方が分は良いというか、はるかにオーバーしているというような状況です。まあこの状況が継続するかどうかは別の問題だと思いますけれども、いずれにしましてもさっきお話しましたように、傾向としてはまあまあ回復の傾向、景気が良くなる方向に行っているということが言えるんじゃないかと。

    それでは次の次。これは工業生産指数の推移ですけども、この表にありますように2010年の1月から大体3月末まで順調に伸びていたものが、ここに来てちょっと足踏み状態になっていると。まあこの辺は金融部会の方から説明があるかもしれませんけれども、ご承知のように中央銀行はインフレの目標値としてずっと4.5%、年間4.5%という数値を設定しております。

    しかし第1四半期の状況を見ますと、過熱的な状況が反映しまして、インフレが再燃するんじゃないかという観点から、2010年にはSelicという金利ですね、これを2%アップしています。これは2009年の実績と非常に対照的な数字だと思いますが、2009年は景気を刺激するために5%ダウンしています。2009年の1月には13.6%前後だったものが8.66%前後までダウンしています。

    一方今年になりまして、もうすでに10.66%ですか、そういう金利に到達しています。従いまして今年は、やはりインフレを抑えるためにですね、中央銀行が金利をアップしておると。その影響でもって、ちょっと足踏み状態が発生しているんじゃないかというように思います。

    それから次の、これは今お話しましたインフレとSelicの関係ですけども、詳細は金融部会の方からお話があると思いますので省きます。それから小売販売指数、この推移もやはり3月をピークにしてちょっと下がりつつあると。

    それからこの表にはありませんけども、Confiança das Industriasが、その工業界のブラジル経済に対する信頼度というか、その数値はですね、やはりここ2,3ヶ月ちょっと横ばいからダウンの傾向になってきています。まあこれもやっぱり、さっきお話しました政府のインフレを抑えるための政策の影響じゃないかというように思われます。じゃあ次。

    まあ景気の動向を見るひとつの中に、やはりブラジルの失業者率ですね、まあこの統計皆さんご存知のように、ブラジルの統計、悪く言ったらどこまで信用していいか分からないというまあ多少の疑問もあるんですけれども、いずれにしても傾向としては失業率が下がりつつあると、良い傾向がここにも出ております。次のページ。

    この表も貿易部会の方から詳細が報告されると思いますけれども、やはりひとつ心配されるのは貿易収支が2008年度以降ですね、少しずつ少なくなってきていると。悪くなってきています。で、この表に書いていますように、貿易収支は2009年の年間でもってですね、プラス、日本の表現ですと243億ドルですか、24 bilhões Dolares。今年度の1月から6月までの実績が約24 bilhões。240億ドル、そういう数値になっております。

    で、一方ですね、当国の外貨準備高は2530億ドル近くなってますが、これは6月末の数値です。この数値を過去、2006年から見ますと、2006年の時点では850億ドル外貨準備金がありました。

    それが現在、一応2530億ドルですから約4倍になっておると。従いまして対外的な信用というか、貿易収支あるいは経常収支が悪くなっているという問題がありますけども、まあそれなりの外貨準備高を持っているということが言えると思います。

    それからですね、これは参考までですけれども、実はブラジルの人口が前世紀の初め、1900年当時は数字を見ますと1400万人だったんです。それが戦後、日本移民が再開する当時、約5200万人。で現在の数字がですね、もう2億近い、1億9200万から1億9400万の人間になっています。

    実はブラジルの、サッカーが有名ですけれども、1970年メキシコのワールドカップの時、ブラジルは9000万の国民がブラジルチームを応援したという、まあ応援歌も出ておったんですが、1970年ということは40年前ですよね、40年前9000万の人口が約1億人増えて1億9000万になっておると。

    従いまして、この40年の間に、まあ発展途上国としてブラジルが色々な問題を抱えておったわけなんですけども、40年間の間にアルゼンチンを3倍するような人口を抱え込んで、それでも一応国はつぶれずですね、何とか生き延びていると。そういう意味では非常に、それなりに苦労はしていますけれども、良い方向に来ていると。

    それでは全体的にですね、マクロ的には昔の30年40年前に比較したら非常に良くなっているわけですけれども、ブラジルのそれじゃあ問題点というのは、まあ皆さんもよくお話される、インフラが良くないとか、教育問題とか、色々出てきてますけれども、やっぱりブラジルの場合はまだまだ工業化の面ではですね、裾野が非常に狭いと。

    従いまして皆さんが日本で経験されるような、お客さんのニーズにあった、あるいは買い手側が要求するような条件に沿ったものをですね、品質とか納期通りにものを中々納めてくれないと。それから次に言えることは、政府関係のサービスとか、民間のサービスでも一緒ですけれども、非常に質が悪いと。約束したことを守らないという非常に大きな問題も抱えています。

    まあマクロ経済の方向としては良い方向に行っていますけれども、まあ私個人の考えとしてはですね、まだまだいろんな点を是正しないと本来の元気いっぱいのブラジル経済というのは中々達成しにくいんじゃないかというように思います。以上です。

    司会
    はいありがとうございました。ご質問、コメント等ございますでしょうか。それでは押切さん、どうもありがとうございました。続きまして金融部会、今井副部会長よろしくお願いいたします。

  • 金融部会 今井純一副部会長

    金融部会

    金融部会レポート

    ただいまご紹介に預かりました金融部会の今井と申します。よろしくお願いいたします。部会長の宮原が急遽やむをえない出張が入りましたので、私今井が代わりにご報告させていただきます。よろしくお願いいたします。

    まず2010年の上期のサマリーということをご報告させていただきますけれども、この上期の金融界を総括いたしますと、ブラジル経済がリーマンショック以降他の諸外国に比べましていち早く経済が回復して着実な成長を遂げる中、金融界も比較的安定的に推移した、という総括になろうかと思います。

    ギリシャ発の欧州ソブリンリスクの高まりにより為替、株価が振られる局面は確かにありましたけども、その影響は現在までは限定的であったと、そういうことが言えるのではないかと思います。それではまず、各種経済指標の上期の推移を見て行きたいと思います。

    このスライドは金融危機発生前から現在までの主要経済指標の推移をグラフ化したものとなります。

    まず一番最初の上の表でございますけども、為替レートの推移になっております。為替レートについては、他の新興国通貨と同様ですね、レアルは金融危機以降大きく売られました。が、2009年4月以降値を戻し、急激に値を戻しましてですね、2009年12月には、この表で分かりますように対ドル1.7から1.8のレベルで推移しております。

    2010年度に入りまして、欧州のソブリンリスクの高まりとともに1.9近くまで売られる局面はありましたが、現在の足許の推移というのは1.75前後で比較的安定している状況かと考えております。

    次、二番目の真ん中の表でございますけれども、株価指数、Bovespaの指数でございます。株価の動きというのは、上の為替の表の同じような動きと、ちょっとこの表で見るとミラーのような形になっていますけれども、為替の動きをなぞるように推移しているということが言えるかと思います。

    Bovespaの株価指数につきましては金融危機直前にはすでにピークアウトの動きを示しておりまして、5万台前半でございましたけれども、金融危機発生以後急速に売られまして、2008年10月末現在には最安値の2万9千台を記録しています。

    しかしながら2009年4月以降、まあこの表の通りですね、急速に回復して今年の初めには7万台をつけ、4月8日には71,785と2008年に付けた過去最高値である73,452の水準に達する場面もあったということです。その後は為替と同様に欧州ソブリン危機とか中国の金融引き締め発表の影響から若干弱含みになるという場面もありましたけれども、現在はこの横の数字で書いてありますように6万台後半で推移しているということでございます。

    一番下の表は外貨準備の推移ということでございますけれども、これは一本調子で、先ほどコンサルタント部会からの発表にもございましたけれども、経常収支の方は2009年2010年と調子が悪かったわけでございますけれども、証券投資、まあ短期の証券投資という資金が入り込んでいる関係もあると思いますけれども、まあ一本調子で上がっているということで、先ほどご紹介があった通り今現在2500億ドルを超える水準になっていると。まあここが海外のブラジル経済への信任の高まりを反映しているということが言えるのではないかと思います。

    続きまして経済指標の為替、株、外準以外のですね、金融指標について簡単にご説明申し上げます。まず3行目のSelicの状況でございますけれども、先ほどご説明がありましたけれども、2009年は約5%ですね、約5%の引き下げがあったということでございまして、その後1年にわたってほぼ8.75%で据え置かれましたけれども、2010年に入りましてインフレ懸念の高まりと経済の高成長を受け今年の3月以降3回にわたり累計で2%引き上げられ現在は10.75%となっております。

    ただ足許のインフレ上昇率が低下をしてきたということを受け、中銀の集計している金融機関の予測値と、予測平均値というのを中銀が出しておりますけれども、この予測値に基づきますともうほぼ上限に達して、あと0.25%の引き上げのみにとどまるのではなかろうかと、そういう意見が大勢となっており、現状・今後の予測の欄に書きました通り、2010年の末の予想というのは概ね11%になるのではないかという見方が大半を占めているという状況かと存じております。

    一方インフレ率、この表でいきますと2行目でございますけれども、インフレ率は今年前半は高い数字が出ていたと先ほどご紹介があった通りでございますけれども、足許弱含みでありまして、6月末現在の直近12月累計ではですね、4.8%にとどまっておりインフレターゲット内で収束しているという状況かと思います。あと、この表でいきますと一番最後でございますけれども、エマージングマーケットのボンド指数でございますEMBIのプラスというカントリーリスクの代表指数でございますけれども、ここは金融危機以降大きく上昇したと。

    2008年の数字は428bp、期末でなっておりますけれども、これは金融危機以降ブラジルがいち早く経済回復を遂げたということで、2009年の末には192bpまで下がり、2010年に入っても安定的に推移しているということが言えると思います。

    続きまして銀行業界の状況について簡単にご説明いたします。銀行貸出金、一番上の行でございますけれども、金融危機以降法人向け融資が一旦減少する局面はありましたけども、2009年後半に入って回復基調になっております。

    今年は、2010年に入りましてから半年間でですね、貸し出し総額については8.1%の増加を記録しています。あと法人向け融資、3行目でございますけれども、法人向け融資は2009年は年間1.2%の伸びにとどまりましたが、今年は半年でこの表の通り5.5%増加を記録しており、景気回復に伴う資金需要の増加を表しているということが言えると思います。

    その下の行の個人向け融資につきましても、引き続き順調に伸びていて、6ヶ月で7.6%と堅調に伸びているということでございます。あとその下に延滞率の数字が書いてありますけれども、個人法人とも延滞率が非常に減少しているということで、景気回復に伴う個人所得の増加、あるいは法人業績の改善を如実に反映しているということが言えるのではなかろうかと考えております。

    続きまして、これはアンケート形式に基づく金利とか為替の予想でございますけれども、当商工会議所の加盟各行あるいは各社の年末の金利、為替、株価の予想でございます。まず金利ですけれども、足許今Selic金利10.75%になっておりますけれども、一行さんだけが現状維持と。あとは0.5から0.75%の引き上げというふうに見込んでおります。

    ただこの予想をお聞きしたのは8月5日前後でございますので、その後インフレ率が思った以上に下がっているというのを受けてマーケット全体がもう少し、金利についてはそんなに上がらないんじゃないかという予想が出ているとさっき申し上げましたので、今現在アンケートを取ってみると一段ちょっと低い水準、11%程度になるのではなかろうかとも思われます。

    為替についてはですね、1.6から1.85まで若干ばらつきがあります。為替については、外貨準備とか経常収支のところをどう評価するかによって人の判断がまったく分かれると、各社の判断が分かれるということかと思います。あと当然、あまりレアルが高くなりますと、中央銀行、政府が為替介入ということもありますので、そこらへんの評価ということで若干ばらけているんではなかろうかと思います。

    あと一番下の株価指数につきましては、回答いただいた3社さんについては、まあたまたまかもしれないですけど、75000と。今の水準よりは一段高い水準を見込んでいるという状況です。これは9月のペトロブラスの公募増資というのが株式市場にfavorableな影響を与えるんではなかろうかという見方によります。

    続きまして、次は大統領選の影響でございますけれども、これは前回の発表でもご説明した通りでございますけれども、これは基本的には、前々回、ルーラ大統領の第一回目の当選前後の各種経済指標の動きでございますけれども、そこはだいぶ労働党政権が始まるということで、だいぶ動きが激しかったわけでございますけれども、前回は再選ということで大統領選が主要経済に与える影響というのはほとんどなかったと。

    そして今回も、まだ大統領選挙前の状況しか今回はもちろん分かっていませんけども、まあ比較的落ち着いた動きを示していて、結果的には選挙自体が金利、株価、為替、あと外準なんかに与える影響は軽微であろうと、そういうふうに考えております。

    最後に経済の関係で、下期の見通しですけれども、総論ではブラジルのファンダメンタルは堅調でありまして、7%とも言われる、先ほどもご紹介ありましたけど、まあ7%程度だろうというご紹介がありましたけど、7%と言われる高い経済成長率を維持して安定的な成長は持続できそうだと、そう考えております。

    金融面でも中銀の政策あるいは金融システムの健全性といったブラジル金融界全体の大きな枠組みのところは、全体的に見て大きな変化はなく、もしあるとすれば外的要因、対外的な要因の影響によるものではないかと考えております。

    特に、ヨーロッパの金融機関の問題とか、あと中国の経済の動向で影響力が大きくなっておりますので、そこで大きなマイナス要因が発生した場合は、今まで相対的な優位性から世界の短期証券投資が集まっていたブラジルが蒙る反動リスクというのは結構高いのではないかと考えております。

    あと懸念の材料は、先ほどコンサルタント部会からお話にありました、経常収支の赤字の問題とか、あと財政の面についても大きな支出が目白押しと今後なってくると思いますので、そこをいかに舵取りするかというのがポイントになってくるのかと思います。

    続きまして保険のところを簡単にご説明いたします。2010年上期の保険業界ということでございますけれども、ネットの収入を占めます正味保険料、表の左サイドでございますけれども、これは全体で13.8%と二桁の成長率を示しております。また、各種目別に見ましても軒並み二桁となっていて、全体、保険のプロダクトごとに見ても好調であったと考えております。

    あと収益性を測る基本指標であります損害率についても前年比改善しているという状況でございます。そういう意味では上期は比較的、保険業界にとってはよかったと、そういう総括ができると思います。

    続きまして、次のページで、展望ということでございますけれども、ここに書きましたように引き続き市場の拡大傾向は継続するのではなかろうかと。あと、まあ元請け市場といいますけれども、お客さんとの取引のほかに保険会社同士で取引する再保険市場というのもありますけれども、これも当然元請け市場が大きくなればこの部分の拡大も予想されるということでございます。

    あと、2009年はですね、大手銀行系保険会社を軸とした再編というのが結構大規模に行なわれたわけですけれども、今は、2010年は一段落しているという状況で、これも2010年はその面については落ち着いた動きを示すのではなかろうかと、そう考えております。以上が金融部会の発表でございます。

    司会
    今井様、どうもありがとうございました。何かご質問はございますでしょうか。はいどうぞ。

    質問(中山会頭)
    ブラジル中央銀行のフォーカスレポートというところなんですが、そこでですね、消費者物価指数の予想が、2010年末が5.19%、2011年末が4.8%と。それから政策金利が、2010年末が11%、11年末が11.63と。物価指数が下がって政策金利が上がると、にもかかわらず為替レートがですね、2010年末が1.8で2011年が1.85という、ちょっと弱含みになっているという、これはどういうことなんでしょうか。

    回答:今井副部会長
    ここはですね、先ほど申し上げましたように、あくまでもこれはブラジルの中央銀行がブラジルの金融機関、90社あまりというふうに私聞いておりますけれども、それに定期的にアンケートを行なってそれを集計していると、平均しているという数字なので、特に為替とかそういうことにつきましては色々どう振れるのかというのは、各社あるいは各人で判断が異なると思いますので、それをどう観るかと、どういうファクターを重点に置いて見るかという形にかかってくるんだろうと思いますけれども、そこは今、中山会頭がおっしゃられた、まあ若干波高があるんじゃないかという点については、まあ私の方から、ここは中銀が集計した90社の平均がたまたまこうなっているという形で、一定のこういうロジックでこうなっているというのが中々回答できないんですけれども。金融機関の方、ちょっと何か補足コメントとか出来る方いらっしゃるでしょうか?はい。

    補足(窪田敏郎氏):同じく副部会長の三井住友銀行の窪田でございます。まずですね、この数字自体は今井さんがおっしゃったように中央銀行が指名しております約90社の金融機関やコンサルタントの数字を集計したものでございます。

    ですから、ロジック的にはですね、Selicレートがインフレをある程度もう沈静化できたということで、来年以降はまあそんなに上がらず、場合によってはまた金利を、Selicレートを下げていくという方向の中で為替レートもこういった、若干同じか弱含みの水準に動いていくというのがロジックかと思うんですけれども、実際ちょっとこれを見ますとSelicレートが来年もやや上がるという結果の数字が出ているということだと思います。以上です。

    質問者
    ありがとうございました。

    司会
    はい。

    質問(押切フラヴィオ氏)
    金融機関が企業に貸し出す実効金利というのは今いくらぐらいなんですか。それがひとつ。もうひとつは、大衆が使うクレジットカード、この金利は8とか10%と、月ですね、言われていますよね。その辺の金利はどうすれば安くなるんでしょうか?

    回答:今井副部会長
    すいません、私はちょっと銀行関係ではないので、申し訳ないんですが銀行業界の方。窪田さんたびたび申し訳ございません。

    回答(窪田敏郎氏)
    実際に出している金利はですね、欧米の例えばLIBORベース、スプレッドという形をブラジルは取っておりませんので、よくマスコミで言われている数字を申し上げることしかできないんですけども、一般的には個人に対する金利というのは平均40%以上、これは年利ですね、それから企業というのは30%以上というふうに言われてきております。

    で、金利が高めになっている理由というのはまあいろいろあると思いますが、基本的にはブラジルという国自体がやはり金利を高めに設定することによって外資を呼び込んできた、そういった外貨借り入れを中心とした政策をとってきたということ、それから我々金融機関もですね、預金に対して相応の引き当てを、相当量の引き当てを積まされているということが、まあ金利を従来から引き上げている理由かと理解しております。簡単でございますが、以上です。

    司会
    よろしいでしょうか。あの、今銀行の自己資本比率は何%ぐらいなんでしょうかね?

    回答(窪田敏郎氏)
    自己資本比率はですね、ブラジルの銀行というのは、先ほど今井さんの方から金融システムは非常に健全だという話がございましたけれども、それを示しておりまして、非常に自己資本比率は高い数値を示しております。

    まず、バーゼル、世界基準では国際業務を営む銀行というのは8%以上ということになっておりまして、日本の邦銀もですね、このパーセンテージをクリアするのを結構アップアップという状況でございますけれども、ブラジルは中央銀行自体が11%以上銀行の方に課しております。

    そういう意味でもブラジルの銀行というのはですね、中銀のルールを守って業務できている銀行については健全性は他国よりも高いということでございます。ちょっと現代の3大メガバンクの自己資本比率というのはちょっと私頭にないんですが、たぶん16、7、8くらいの数字だということです。この数字を見ていただいても、今のブラジルの金融システムの健全性というのを表しているんじゃないかと思います。以上です。

    司会
    ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。それでは今井様、どうもありがとうございました。
    続きまして貿易部会、伊藤部会長よろしくお願いいたします。

    司会
    続きまして貿易部会、伊藤部会長よろしくお願いいたします。

  • 貿易部会 伊藤友久部会長

    貿易部会

    貿易部会の伊藤です。本日貿易部会よりは、2010年度上半期の貿易動向について説明させていただきます。はじめに2010年度上半期の貿易動向の取りまとめ、総括をします。開発商工省の統計によりますと、ブラジルにおける2010年度上半期の輸出総額は前年同期比27.5%増の892億ドル、輸入総額は前年同期比45.3%増の813億ドルとなっています。

    こちらのスライドを見ていただきますとお分かりの通り、2008年下期までは順調に拡大していた貿易量も、2009年度上半期には金融危機の影響を受けて大幅に減少しました。しかしその後は順調に輸出入額ともに増加し、ブラジルの貿易そして景気は徐々に回復しているということが読み取れると思います。

    次に輸出入額の差額であります貿易収支について説明します。こちらのスライドの黄色の折れ線にて記載しておりますのが、各半期ごとの貿易収支になります。2010年度上半期の貿易収支は前年同期比43.6%減の79億ドルと、100億ドルを下回る数字となりました。

    先ほどご説明しました通り、輸出入額ともに増加しているのですが、レアル高の影響等により輸入額の伸び率が輸出の伸び率を大きく上回り、結果として貿易収支は2期連続の悪化となっております。

    こちらは四半期ごとの貿易額を表したものです。2008年のリーマンショック後、貿易額は一気に下がりますが、2009年の第2四半期以降流れとして順調に回復していることが見て取れます。

    2010年の第2四半期だけを見ますと、貿易収支も回復しておりますけども、これは一半期だけの結果でありまして、現在のレアル高の影響等を考えると貿易収支が回復しているとは言いがたいところだと思います。以上が大まかな2010年度上半期のブラジルの貿易動向になります。

    ではこれから輸出輸入の取引形態ごとにそれぞれ違った角度から説明させていただきます。

    まずは輸出に関してですが、2010年度上半期の輸出総額は金融危機からの回復傾向もあり、主要輸出国向けを中心に前年同期比27.5%増の892億ドルとなりました。カテゴリー別でも、この表に記載の通り、一次産品、半製品、工業製品、すべてのカテゴリーで増加となっています。

    具体的には一次産品が31.6%増の387億ドル、半製品が40%増の124億ドル、工業製品が19.3%増の361億ドルで、2010年度上半期は新興国を中心とした資源、食料の需要増と価格上昇もあり、一次産品が大きく伸びたと言えます。一方でレアル高による競争力の低下もあり、工業製品の伸び率は一次産品の伸び率と比較して低く、総額で一次産品を下回る結果となりました。

    では商品別に主な項目について見てみます。まず一次産品ですが、表を見ていただけるとお分かりの通り、鉄鉱石、原油の輸出が増加しております。1月-6月ベースでは大豆の輸出金額を上回る結果となっております。

    なお大豆について言えば、生産量は増加していますが、輸出量が減少し、その結果輸出額の減少という結果になっています。ただ大豆の場合、中国向けについては数量、金額ともに増加しています。

    次に工業製品ですが、自動車等はアルゼンチン向けを中心に順調に数値を伸ばしていますが、輸出の主力であります航空機が減少に転じています。特にアメリカ向け航空機輸出が大幅に減少しており、この減少額は3億ドルにも上っています。

    では輸出の最後に、相手国別に説明させていただきます。輸出相手国上位10ヶ国はこの表の通りであり、まず注目すべきは昨年度から輸出相手国首位になった中国です。

    全体の伸び率よりは低いものの、依然として18.9%増の135億ドルという結果になっています。商品としては、過去から増加している大豆に加え、2010年度は原油が前年同期比で18億ドルの増加という大幅な増加になっています。

    ちなみに中国向けの鉄鉱石は前年同期比マイナスになっています。また2位のアメリカですが、先ほどの説明の通り航空機は減少しているものの、中国同様に原油の輸出量が大幅に増加しており、結果前年同期比22.2%増加の90億ドルとなりました。

    さらに大幅な増加を示しているのが3位のアルゼンチンです。乗用車、自動車部品の大幅な伸びにより、78億ドルになりました。あと、輸入のところでも触れますが、アルゼンチンにおいては輸入でも同様の動きとなっており、乗用車、自動車部品の大幅な伸びが出ています。また2010年度上半期は、インドが114%という驚異的な伸びを見せておりますが、この要因としては他国同様に原油輸出の増加が理由となっております。

    こちらの表とグラフは輸出総額における地域別シェアを示したものです。中国を含むアジア向けの金額が27%、EU諸国が22%。中南米・カリブが24%となり、この3地域で全体の7割強を占めることになります。

    米国向けは10%であり、輸出について言えば、ブラジルの米国への依存度はあまり高くないことが見て取れると思います。ブラジルの輸出はアジア、EU、中南米と、非常にバランスの取れた構成となっており、この構成は昨年度より変わっておりません。

    ではこれからは輸入について説明させていただきます。2010年度上半期の輸入総額は前年同期比45.1%増の813億ドルを記録しました。輸出同様に全てのカテゴリーで増加となっています。

    具体的には資本財が27.1%増の177億ドル、原料・中間財が47%増の381億ドル、消費財が50.6%増の138億ドル、燃料および潤滑油が66.3%増の117億ドルとなっています。2010年度上半期はブラジル経済の安定成長とレアル高が輸入増加につながったと考えられます。

    また、消費財、特に耐久消費財が増加していますが、要因といたしましては、貧困層の減少、中間層の拡大が牽引したこと、韓国やアルゼンチンからの乗用車輸入が好調だったことが挙げられます。

    また、輸出の際に説明しましたが、原油輸出が大幅に増加しているのですが、ブラジルでは精製する能力が低いために、輸入側でも燃料・潤滑油といった石油製品の輸入が大幅に増加しています。

    次に輸入の商品別で見てみます。まず、大幅な伸びを記録しているのは鉱産品であり、国内産業が回復していることを示していると思います。次に注目していただきたいのは耐久消費財です。

    旺盛な個人消費に支えられる前年同期比70.9%という大幅な増加となっています。商品としては、先ほどもご説明した乗用車や、6月のワールドカップのテレビでの需要増加により家電製品が大幅に増加したということが理由となっています。

    次に輸入相手国別について見てみたいと思います。輸入相手上位10ヶ国はこの表の通りです。全ての相手国に対して増加という結果になっています。1位は依然変わらず米国であり、24.1%増の121億ドル。米国からの輸入では燃料が大幅に増加しております。

    2位も相変わらず中国ですが、59%という大幅な増加の結果、輸入額は108億ドルとなり、米国との差は年々縮まっております。中国からの輸入増加の主な項目としては、携帯電話用部品、パソコン、パソコン部品等が挙げられます。

    3位のアルゼンチンは輸出の際に説明しましたとおり、乗用車、自動車部品の増加が牽引して34.6%増の67億ドルとなりました。また2010年度上半期で最も注目すべきポイントとしては、韓国からの輸入総額が110.9%の伸び率に達し、40億ドルとなりました。

    これは日本の32億ドルを上回って、相手国として5位になったということです。要因としては、韓国からの携帯電話部品等の輸入が順調に増加したことに加え、乗用車、完成車の輸入が大幅に増加したことによります。

    では次は輸出同様に地域別シェアについて説明します。ちょっと申し訳ないんですが、この画面およびお手元の資料では年度のところが2009年となっておりますけど、これは2010年上半期の数字でございまして、訂正をお願いいたします。申し訳ありません。

    輸入になりますと、米国の割合は輸出に比べて5%程度増加しますが、地域別のシェア・順位については輸出と変わらず、アジアが1番、EUが2番、あと中南米、米国と続き、輸入についてもブラジルは全体的にバランスが取れているということがお分かりになると思います。

    ただし先ほど触れました通り、中国や韓国からの輸入総額が大幅に増加傾向にあり、アジアからの輸入割合が増え、全体の30%を占める結果となっています。

    ここで対日貿易という点について簡単に触れさせていただきます。2010年度上半期の対日貿易は、輸出が前年比45.8%増の29億ドル、輸入が20.2%増の32億ドルとなり、全体の傾向と同様に輸出入ともに増加となりました。

    対日貿易収支という観点では、昨年同様に赤字ではございますが、輸出が伸びており、ブラジルにとっての貿易赤字額は減少しております。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出が3.2%、輸入が3.9%で、国別のスライドでご説明の通り、輸出においては順位に変動はありませんでしたが、輸入においては残念ながら韓国に抜かれ、前年5位から6位に順位を落とす結果となっています。

    また、輸出増加要因としましては、日本鉄鋼メーカーの需要増による鉄鉱石の輸出が大幅に増えたことや、原油が初めて輸出されたことが挙げられます。

    では最後に2010年度の見通しについて少し触れさせていただきます。全世界の景気がリーマンショック時よりは回復している傾向や、ブラジル国内の旺盛な消費に支えられ、ブラジルの貿易額は順調に回復しており、今後も貿易額としてはさらなる増加が見込まれると考えています。

    ギリシャを発端とした欧州危機についても、現時点では大きな影響はないと開発商工省も発表しておりますし、上半期の数字を見る限り表面化はしていません。しかしながら貿易収支という面では、今後の為替の動向にも寄りますが、レアル高による輸出企業の競争力低下や、ワールドカップ、オリンピックに向けての国内インフラ整備のためのさらなる輸入増加が見込まれること、貿易黒字の減少傾向は今後も続いていくのではないかと思われます。

    実際、中央銀行も今年度の貿易黒字額は昨年度から38%減の157億ドルになると予想しております。またこの貿易黒字回復には輸出総額の増加が必要となりますが、2010年6月に交渉再開が決定したメルコスールとEUとの自由貿易協定交渉の結果によっては輸出増加も期待は出来るものの、即座に数字に結びつくとは考えにくく、また今後欧州危機の影響がブラジルにも出てくる可能性も考えると、貿易収支は厳しい状況が続くと考えています。

    最後に本日説明させていただいた要点を、2010年度上半期のトピックスとしてサイド整理させていただきます。

    一つ、2010年上半期は輸出入額ともに増加を続けていること。二つ、輸入増加幅が大きく貿易収支は悪化していること。三つ、新興国を中心とした資源、食料の需要増加による一次産品の輸出総額の大幅な伸びとその割合の増加。四つ、乗用車を中心とした韓国からの輸入総額の大幅増加により輸入先としての日本の順位が下落したこと。以上の4点になるかと思います。

    2008年から始まった全世界の金融危機による不透明な世界動向の中で、翌2009年にブラジルの景気は世界に先駆けて回復傾向に入り、2010年も順調に回復を続けていると考えられます。財政赤字の拡大、レアル高、中国経済の影響度拡大、といったような懸念事項もありますが、様々な面から見ていけば、長期的にはブラジルの成長は止まらないと考えており、ブラジルの世界における地位はますます高まっていくと思います。

    前回も申しましたが、日本とブラジルは補完関係にある国同士でありまして、ブラジルの日本におけるプレゼンスを高め、逆に日本のブラジルにおけるプレゼンスも高め、さらなる両国の関係強化、そしてその結果の実現を切に望みつつ貿易部会のプレゼンを終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。パワーポイントの資料ならびにプレゼン内容につきましては、追って商工会議所のホームページに掲載させていただきますので、ご参照いただきたいと思います。

    それでは続きまして、機械金属部会。ちょっと元気を出していただきましょう。西岡部会長よろしくお願いいたします。

  • 機械金属部会 西岡勝樹部会長

    機械金属部会

    聞こえますでしょうか。ただいまご紹介いただきました、機械金属部会、日立製作所の西岡でございます。それでは発表させていただきます。

    機械金属部会、2010年の上期の回顧と下期の展望です。ご存知のように機械金属部会は多種多様な業種・分野に分かれております。今回はこの、1から9の業種分野別に説明させていただきます。

    まず鉄鋼・鋼板分野。2010年の上期の回顧です。概況を説明させていただきます。まず国内。上期は2009年の下期を上回る結果となっております。過去最高だった2007年の水準まで回復いたしております。輸出は40%落ちました。

    これは国内市場が好調なため、国内市場を優先させた結果でございます。輸入について、上期、09年より27%上回っております。欧米鋼材市場は順調ではなかったのですが、ブラジル市場への鋼材輸入は増えた結果でございます。

    次に2010年下期の展望でございます。概況です。まず国内。引き続き堅調に推移しております。上期並み、それ以上順調な販売です。輸出は旺盛な国内需要を反映して輸出に向けられる量は限定されております。

    上期並みにタイトな状況が続く見込みでございます。輸入ですが、上期同様、好調なブラジル市場に入り込んでくる数量は多い見込みでございます。全体的に下期は上期比10%プラスでしょうか。ということで、ここ、白い所注目してください。

    私の発表は前回はお天気で発表させていただきました。そのずっと前は矢印で好調、絶好調。今回ですね、機械金属部会すべての業界で回復という結果になっております。

    ただしどういうふうな回復?実はですね、2008年のリーマンショック後の回復速度を、今回は乗り物にたとえさせていただきました。鉄鋼分野、飛行機なんですか、新幹線でしょうか、モノレールでしょうか。はい、鉄鋼としては、自動車、自動車ぐらいの速度で回復したと。

    ちなみにですね、飛行機は時速800から900ですよね、あとご存知のように新幹線は280から300キロ出ます。モノレールは80から100、自動車は、安全運転していただきます。60キロぐらいの速度です。ということで今回、鉄鋼は自動車ぐらいの速度で順調に回復したということでございます。

    次に電力および大型プロジェクトの上期の回顧でございます。これは発電業界、石油業界、セメント業界などは、ワールドカップ・オリンピック需要を大変期待しております。また、ペトロブラスの旺盛な投資にも大きく期待しております。

    それで、大型プロジェクト。ご存知のように、モノレールプロジェクト、まあ弊社今やっているんですが。地下鉄の2号線の案件、これは地下鉄の2号線から伸ばしてチラデンテスまで行く案件がございます。

    それと今話題沸騰中の高速新幹線プロジェクト。これはとうとうというか、ようやく7月に入札公示されまして、入札の最終指名は11月末なんですが、12月の16日に入札結果が分かるような状況になっております。

    下期の展望。同じようにペトロブラスの旺盛な投資に期待はしておりますが、ちょっと不安な要因はあるかもしれません。あとモノレール案件が続々今入札の発表を待っております。それで、下期ですので、高速鉄道新幹線の結果が、日本連合はどうするのか、ということですね。

    あとエネルギー関連設備、環境関連設備などに期待を持っております。船舶の機械とか、まあ鉄鉱石のValeですね、Valeさんからの造船の発注などがあり、賑わいを見せていると。将来的には、ただしローカルコンテンツもということでちょっと難しい面があるかもしれません。

    で、2008年リーマンショック後の回復速度を乗り物にたとえるなら、新幹線の速度ですと。急激に回復したということが言えると思います。

    3、プラント。紙パルプ、石油化学、エタノール関係の2010年上期の回顧概況でございます。紙パルプ、予想より早く回復しております。設備投資も非常に再開されましたと。

    異業種、食肉業界からも新規参入、ということは投資が増えたということでございます。石油化学、これはやはりペトロブラスです。プレサルの生産を開始しておりますという意欲的な投資計画が発表されております。

    鉄鋼・非鉄分野では景気回復基調にあると判断して、明るい兆しが見えてきております。ただしエタノール業界だけがちょっと少し業界再編が進んでいるということでございます。

    下期の展望です。同じように、紙パルプ。上期に続き、設備投資今後も続くでしょうと。各社拡張工事の再開を発表しております。石油化学。ペトロブラス、相変わらず投資を継続と。他の石油会社、まあ商談は増えるだろうと見ております。

    鉄鋼・非鉄。上期の通り明るい兆し。具体的には一部不透明な部分もあるという報告は受けております。まあ、ちょっと問題はエタノールなんですけども、まあ大きな商談は見えていないと。現状ではまだ不明ということでございます。それで、リーマンショック後の回復の乗り物は、プラント業界は、モノレールなんですね。まあ80から90速度ぐらいでしょうか。

    次に行きます。建設機械。2010年上期の回顧、概況は、国内総需要2008を100とした場合、2010年のファーストクォーターはなんと166。セカンドクォーターに関しましては、128。相当回復を見せております。需要回復です。これは低金利を出すFinameが大きく寄与されているということでございました。

    生産状況といたしましても、2008年100とした場合、2010年ファーストクォーターはなんと178。セカンドクォーターにおきましては219との回復です。大幅な増産をされております。

    下期の展望、概況です。国内総需要、上期同様に大幅増の見込みです。下期は一部大統領選挙前後の需要縮小リスク、これは限定的ですと。これは政策変更のリスクということでございます。

    低金利延長もあり、好調は続くだろうと。生産の見込み、同じように2008年100とした場合、2010年、総合トータルとしては140と想定されております。ということでこの建設機械はたとえるなら、新幹線です。ただし条件があります。新幹線でものぞみではございません。こだまだそうです。

    次に産業用圧縮機についてご説明させていただきます。上期の回顧、状況といたしまして、食品飲料業界設備投資が非常に顕著でございました。国内需要が高まりまして、設備投資の補強、増強計画実施されております。牛肉業界はただし横ばい、鶏肉業界が非常に堅調さを見せております。

    ペトケミ。ペトロブラスですね。大型投資の計画を発表しております。が、まだ顕著には現れていないということでございました。それでちょっとペトロブラスの場合は、ご存知のようにメキシコ湾の事故がありましたので、ただしこれをビジネスに変えるということで安全管理とか点検サービスの事業への投資、これが見込まれるのではないかという話でございました。

    で、アルコール市場。先ほどエタノール市場でもありましたが、アルコール市場では大きな変化はないということでございます。

    下期の展望でございます。同じように、食品、鶏肉を中心に食品大手は漸く重い腰を上げようとしているということで、投資が期待されておりますと。飲料市場もですね、今年、まあ飲料市場に関しては今年は投資を終了しましたので、来年度に期待をしておりますと。ペトケミ分野も同じようにですね、プレサル、ペトロブラスのプレサルを含めた新規投資計画、ただし情報収集にあたっているということです。

    他のケミカル会社、チラーユニットの受注を期待しておりますということでございました。ということで、この分野同じようにたとえるならば、モノレールでございました。

    次に農業機械の分野。上期の回顧でございます。これはエンジンビジネスとトラクタービジネスがございまして、エンジンビジネスでは2008年上期のレベルまで回復をしております。

    前年同期比でいきますと、まあ金額ベースですが、125%。大きく上回るでございます。台数ベースでも144%の回復を見せております。トラクタービジネスでは2008年からの小規模農家への支援策、これは具体的に言いますと75馬力以下のトラクターに低金利融資政策が適用されて、その結果右上がりの好調維持をしております。

    2010年上期にいきますと、台数ベースですが129%アップということでございます。ただしここは価格の上限コントロールをされていまして採算は厳しいということでございます。

    同じように下期を見ます。エンジンビジネスではディーラー、OEM先、レンタル会社のオーダーが好調でございます。下期も堅調に推移するだろうと。2010年、まあ金額ベースでございますが、117%。台数ベースでも119%を見込んでおります。

    トラクタービジネス、同じように低金利政策の継続、上期に引き続き好調を維持しております。この分野の速度は、これもまたモノレールの速度です。

    次、各種工具、精密機械についてご説明させていただきます。切削工具、上期販売。最高新記録を更新しております。これはですね、自動車生産の回復が大きく、バス、トラック、建設機械の生産回復効果が出てまいりました。

    耐磨耗工具につきましては、ちょっと一部上期計画の70%でありました。しかし市場動向は活発であったということです。鉱山工具、上期。245%と好調です。金鉱山からの引き合いが多かったということでございます。

    精密工具。まあ好転したのは今年の3月以降で、上期はまあ7割程度です。現在受注は100%に戻りましたが、生産能力をちょっと引き下げていたため、能力が90%に落ち着いてしまったという報告を受けております。

    下期の展望について。切削工具は自動車がやはり好調なので、まあ輸出も改善しておりますと。15%の伸びを期待しておりますと。耐磨耗工具はワールドカップ、オリンピックに向けた工事の発注増に期待しております。

    鉱山工具。同じです。ワールドカップ、オリンピックに向けた土木工事に期待しております。精密工具。100%までの生産体制を強化、これを急いでおります。ということで、この分野の速度は、結果的には自動車です。この業界いろいろありますので、ある業界では自転車レベルの回復しか望めないという会社もございましたので新しく出ております。

    次に軸受けでございます。上期の回顧といたしまして、やはりこの業界、自動車向けのIPI減税の終了後、まあ高い生産を継続しているということで、売り上げが増加しております。ただし二輪に向けては横ばいということでございます。

    で一般産業向けでは鉄鋼、農機、電機、対前年同期比売り上げ増加。鉱山、各種プロジェクトも再開しております。家電、景気回復の刺激策も終了したんですが、大幅増ということだそうでございます。

    鋼材等原材料価格の高騰を懸念しておりまして、まあ生産のコストアップも懸念材料ということでございました。下期の展望といたしまして、国内需要は今後も堅調に推移するだろう。一部製造業、在庫増加の状況も見られると。在庫調整若干のゆり戻しがあるのではないかなという懸念が出ております。

    懸念材料としてはまさに中国経済成長の減速とか、欧州財務危機など不安材料はありますが、国内需要が非常に基盤としてあり、好調を維持すると予測されております。でこの業界、モノレールでございました。

    最後に潤滑油でございます。上期の回顧。2010年は世界経済の回復が期待されて始まりましたと。ブラジル経済がやはりいち早く回復傾向を示しましたと。自動車のIPI減税終了の駆け込み需要によってファーストクォーターは販売を牽引。

    その後も国内需要の堅調な伸び。上期販売数量は30%の増加でございました。下期の展望です。自動車生産、これは現状維持が続くでしょうと。二輪も徐々に回復してくるのではないでしょうか。

    2010年、前年は15から20%、2008年販売まで回復が急に。ただし原料ベースの、油ですね、価格上昇が大きく、採算性の向上が課題と言われております。でこの業界の回復の速度、これは新幹線です。これはのぞみということでございました。

    それでは最後に機械金属部会全体の概況についてご説明させていただいて終わりにさせていただきます。2010年は世界経済の回復が望まれて始まりました。政府は各種経済刺激策や政策金利の引き下げなど、矢継ぎ早に政策を打ち出しました。ブラジル経済はいち早く回復傾向を示しました。

    今年の経済成長も7%と見込まれております。ということで、今後も更なる経済成長を目指しまして、新幹線のスピードで進んで行ってほしいと機械金属部会は考えております。以上でございます。ありがとうございました。

    司会
    盛りだくさんの内容をうまくまとめていただきまして、またいつも工夫をしていただきありがとうございます。何かご質問等ございますでしょうか。それでゃ前半最後の分に行きたいと思います。電機電子部会、三好副部会長よろしくお願いいたします。

  • 電機電子部会 三好康敦副部会長

    電気電子部会

    皆さんこんにちは。コーヒーブレイク前の最後で時間も若干押してますので、早めに終わるように進めさせていただきたいと思います。

    まず電機電子の業界全体の規模の推移についてですが、このデータは一応ブラジルの電機電子工業連盟のデータで、一応2009年には2008年比で若干縮小。この業界においてはやはり継続的に伸びを、拡大を見せているのはPCとかIT関連、あと通信関係ですね、特にインフラのところでございます。

    で、2010年の統計ないし見通しはまだ出てはいませんが、冒頭の色々な説明にあったとおり、経済の全体の拡大、消費拡大で回復するものと見られます。その中でAV機器関係は単価の下落により厳しいものの、白物関係はまあ伸びていくだろうという見通しでございます。

    こちらはマナウスにおける生産の動向です。上の二行のテレビ関係、一番上のCRTがこれはブラウン管テレビで、二行目がフラットTVと称するプラズマ/LCDの生産動向ですが、前年比で上半期は大きく拡大しています。

    これはまぎれもなくワールドカップの年の影響で、ワールドカップの年に限って上半期の販売が下半期の台数を上回るという現象があります。去年参考までに370万台に対して、今年の上半期は640万台と大きく拡大しています。

    で今後下期に向けて前年比より低くなり、トータルで大体1割ぐらい、1千万台レベルに落ち着くという見通しでございます。一つ大きな特徴的なポイントは、今年の上期で初めてフラットTVの販売台数がCRTテレビ、ブラウン管テレビの販売台数を上回ったと。しかしながらまだまだブラウン管のTVの需要はあると。

    ここに出席されている皆様が通われる店、店頭では、この辺のショッピングモールですので、フラットTVだけですが、まだまだ田舎へ行くとブラウン管TVの需要がございます。

    その他伸びている領域ですと、一番下の電子レンジとかも、あと一般の家電も、ここに挙がっていませんが、住宅需要の拡大等々で白物家電も、減税措置も終わって若干在庫が残っているような状況ですが需要時代は拡大しているというところです。

    こちらはマナウスにおける輸出入、貿易収支の状況と、雇用の状況です。2009年には需要の落ち込み、生産量の落ち込みで輸入・輸出とも縮小しております。2010年度につきましては、生産拡大に伴い輸入が増えております。

    基本的に電気製品というのは地場産業はございませんので、輸入依存型の産業なので、生産拡大に伴い貿易収支は悪化するという市場でございます。で、雇用の状況につきましては、一応上半期の終わりの時点で大体2007年末の雇用数の水準になっております。9万2600人です。

    あとTVの価格状況についてですが、上の二行が先ほどからお話しましたブラウン管テレビで、価格はもう2007年からずっと横ばいで来ております。一方その下二行にある32インチと42インチの売れ筋のフラットTVにつきましてはご覧の通り激しく価格の下落が進んできております。

    今年は一応ワールドカップということで、地デジの高精細なサッカー中継を見ると、観戦されるということで薄型TVがどんどん売れたわけですが、そんな関係で品不足、生産が一部追いつかないということもございまして、値段は落ち着いていたものの、ブラジルが予選、途中で敗れて、それと同時にやはり販売も停滞、現状では市場の店頭では大きく値崩れが始まっているというような状況です。

    こちらの方で2000レアルから1600とございますけども、32インチのTVですと一部で1400レアルを割るというような状況も生じております。あと電機の量販業界、量販店関係ですが、この辺の寡占化が進んでおり、色々とマスコミでも騒がれていますが、一応Ponto FrioとCasas Bahiaの経営統合とか、Magazine Luizaが色々買収して拡大するなど流通がさらに強くなっているというような状況がございます。

    部会参加企業の上期の回顧ですが、TV関係は販売は好調、一方で他品目は販売は低調であったと。TVは薄型化が加速。白物家電は減税終了で多少低迷しているものの、絶対数ではまあ増えていると。

    あとB2Bの機材販売ですね。複写機とか色々な業務用機器は堅調と。あと通信インフラ系は、一部の投資抑制はあるものの、継続交渉をしていますが、中国勢の台頭で皆さん苦戦していらっしゃるというような状況で、売り上げの実績は73%、大半が拡大したのに対して業績の評価はまちまちと。必ずしも売り上げが拡大したものの、業績評価面では良くなかったというところもございます。

    あとまあ一部、細かい話ですが、SPEDの対応で色々苦戦されたとか、特にディストリビュイション系統とか、B2C系統で色々トランザクションをするところ、企業さんとか、申告の手間隙、内部管理にやはり悩まされたというメーカーさんがいらっしゃいました。

    あと下期に向けての展望ですが、やはり電子産業は色々優遇税制がある関係で、大統領選挙、あと州知事選後の優遇税制の変更等がまあ心配というコメントがありました。あと金利の動向、それと消費の動きにも要注意と。

    あと移転価格税制ですね、特にこの電子業界値崩れが早く、マージンの非常に取りにくい業界ですので、移転価格税制面でも非常に厳しいというようなことがございます。で、売り上げの予想については、概ねやはり拡大ということで、アンケート回答いただいた企業の全てが一応営業の強化ないし成長に向けての積極的な姿勢が見受けられたと。

    一方で値崩れが厳しい中で、色々原価対策をとらねばならないというようなことで、上期もそうでしたが、今年はいずれにしても攻めの年ということでございます。

    あと最後になりますが、地デジの地方展開の状況でございますが、現在41都市で放送が始まっております。これは人口率でいくと大体4割ぐらいカバーされるわけですが、サンパウロ市のように、今17局が放送を始めているわけですが、この41都市で全てこの17局が再放送されているわけではございませんので、一部の見方では中々普及には時間がかかるのではないかというような声も上がっています。

    いずれにしろ、今市販されているTVは全て地デジの受信機能が備えつけられていますので、今後どんどん受信機が普及していくのではないかということです。あとこれは世界地図なんですが、南米ほぼ全て、コロンビアとウルグアイを除いて一応全ての地域でこの日本の方式が採用されております。今後アフリカとかいろんな話もございますが、とりあえずまあ南米制覇は終わったとということが言えるかと思います。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。ご質問等ございますでしょうか。それではここでコーヒーブレイクといたしますが、その前にですね、磐田信用金庫の経済ミッションのご一行の皆様をご紹介させていただきます。

    高木理事長様、ありがとうございます。そして皆さん、ご一行の皆様、ありがとうございます。それではこれにてコーヒーブレイクといたします。4時5分より後半開始いたします。よろしくお願いいたします。

  • 司会 篠原一宇副委員長代理

    総務委員会の篠原です。よろしくお願いいたします。発表の前に、実は、昨年まで毎年ブラジルを訪問されておられましたブラキチの、上智大学名誉教授の堀坂教授様が今日ご出席されておられますのでご案内いたします。掘坂さん。では発表の方に移らさせていただきます。繊維部会の河本部会長、発表お願いいたします。

  • 繊維部会 河本暢夫部会長

    繊維部会

    繊維部会レポート

     

    それでは繊維部会の報告をさせていただきます。繊維産業の流れを大雑把に書きますとこのようになります。糸を製造する紡績から始まり、織布、染色加工、縫製と続きます。繊維部会のメンバーをここにプロットしてみますと、このようになります。

    したがい、紡績と紡績の製造コストの40%から50%を占める綿花の状況、さらに生地販売、副資材の動きから縫製アパレルの動きを見る内容で報告をさせていただきます。

    世界の綿花生産量と消費量のグラフです。中国のプレゼンスが大きく、生産で32%、消費で41%を占めています。中国、インド、パキスタンの3国では生産・消費ともほぼ世界の3分の2となります。ブラジルは生産で5.6%、消費で3.8%です。

    綿花の需給バランスです。上期は真ん中の数字をご覧ください。前年より生産が減少する一方、綿糸相場が堅調なため、綿花の需要は増加。このため期末在庫はさらに減少しました。下期は右側の数字です。生産は増えますが、消費も増えます。

    今期増産予想の米綿、アメリカの綿です。米綿が出回る時期までは極度にタイトな需給バランスが続くと思われます。一番下の在庫率。これは消費に対する期末在庫の割合です。40%あたりになると綿花不足になると言われており、来期はそのような水準になると予想されます。

    NYの綿花相場の動きです。2008年後半にリーマンショックの影響で相場は急落しましたが、2009年から上昇の一途を辿り、今年上期は需給バランスがタイトであることを背景に80セント超えが続きました。下期も綿花不足が懸念される中、高騰が続くと思われます。

    ブラジルの綿花生産です。地図上の綿花の大きさが生産量を表しております。年間約120万トンの生産のうち、マット・グロッソ、バイーアで81%の生産となっています。

    国内の綿花の需給バランスです。右側の数字です。上期は当初生産減の予想でしたが、その後戻しています。国内の綿糸販売は好調で、綿花の消費が増加しました。

    下期も国内消費は順調であろうこと、輸出が先物契約をしていますので、国内では綿花不足という状態になり、来年初めには輸入せざるを得なくなると予想されます。

    ESALQという綿花相場の動きです。NYの相場と同じように2008年後半には下落しましたが、2009年には徐々に上昇、今年上期には新綿の出る5月にいったん下げましたが、需給バランスがタイトなことから高値相場が続きました。下期は引き続き需要が強く、綿花不足が予想される中にあっては相場を下げる材料はなく、高値が続くと予想されます。

    紡績糸の生産量です。2009年は約140万トンの生産で、うち青色の部分が綿糸、約110万トン、81%を占めています。綿糸の内訳は、カード糸41%、コーマ糸15%、空紡糸43%となっています。

    カード糸とコーマ糸は生産工程が一部異なり、ひと手間かけた高級糸がコーマ糸です。空紡糸は糸を作る方法が異なっており、主にジーンズ用の太バンテになりますが、冬物素材としても使われます。

    綿糸の相場です。上期は衣料品の消費が好調で、綿糸の需要も好調でした。先ほどご説明しましたように、綿花価格が高騰しましたが、うまく糸値に転嫁でき、コーマ糸では2004年以来の10レアル超えとなりました。 下期も消費が好調ゆえ、綿糸需要は堅調に推移すると見られます。またレアル高により輸入糸が増える心配もありますが、相場には大きな影響はなさそうです。

    空紡糸の生産状況です。右側のグラフ、設備数ではこの5年間に11%の増加ですが、左側のグラフ、生産量では43%増加しています。生産性の高い新鋭設備が導入されていることがうかがえます。

    空紡糸の相場です。上期は過熱状態でした。昨年の冬物販売が好調で在庫がなかったこと、原綿高騰で糸不足を懸念したユーザーが先物に走ったことが要因です。

    糸値は昨年下期の5.4レアルから今年上期には7.05レアルへ約30%の上昇を見ました。下期は、7~8月が需要の端境期になるため、価格は弱含みになりそうですが、綿花相場が高値継続となるため、9月以降には回復すると見られます。  繊維品の貿易統計です。2006年に輸入が輸出を上回り、以降年々輸入超過額が拡大しています。

    綿花の輸出がかなりありますので、これを除く、減量を除いた同じ統計です。さらに輸入超過状態が顕著になります。

    その中で綿糸だけを見たものです。左側の数量ベースで見ていただきますと、2008年に輸入が大幅に増加しています。今年上期もインド糸を主体にした輸入が増加しています。下期も国内需要は衰えそうになく、これに対応した輸入が上期並みのペースで続くと思われます。

    先ほど綿糸の生産は約110万トンと申し上げました。これに対し輸入糸、7万トンであれば全体として大きなウェイトではありません。しかしローカルの大手紡績は紡績から織布、染色加工まで一貫生産するところが多く、売り糸市場には出てきません。

    逆に我々日系紡績は主にニット業界への糸売りです。売り糸市場の大きさは正確には把握していませんが、ニット業界の使用する綿糸が年間約40万トンですから、これに対し7万トンの輸入糸があると考えれば結構なウェイトになります。ちなみに日系紡績6社の生産量が約6万トンですから、これを上回る輸入があるということになります。

    綿糸輸入量と為替の関係です。右側の目盛りが為替です。グラフが上に行くほどにレアル高、すなわち輸入しやすい環境になるということです。これを見ますとほぼ連動するような動きをしております。

    織物の生産量です。2009年で138万トン。うちシャツ、ブラウス、ベッドシーツ用途となる薄地織物は48万トン。ここ数年大きな変化がありません。上期はブラジル経済が好調で、建設・インフラ関係のユニフォームが好調でした。 薄地織物は、寝装用は良かったのですが、衣料用は、後でご説明いたしますが生地・製品の輸入に押され生産は伸びていません。下期も上期同様ユニフォーム用はよさそうですが、衣料品は輸入との競合が続きそうです。

    織物の貿易統計です。先ほどの綿糸と同じく2008年に増加しています。今年の上期は特に婦人用合繊織物の輸入が増加しています。輸入は下期も同様に推移し2008年水準になると思われます。

    紳士・婦人服地です。織物とニットを合わせて生地という表現にしております。昨年上期の輸入が経済危機の影響で落ち込んだこともありますが、今年の上期は対前年同期比、生地で82%、既製服で16%の増加になっています。

    全般的に消費は増加していますが、紳士服の動きは悪く、婦人服は好不況なく伸びています。ただいま見ていただきましたように、生地・製品での輸入が増加し、価格競争が激しくなり、利益が取りにくくなっています。

    アパレルは4月まで絶好調でした。生産スペースの不足や、縫製業ではワーカーの不足もきたすほどでした。小売は4月の初めの寒さで冬物商戦のスタートが良く、母の日セールも好調で、1-5月は12%前後売り上げを伸ばしています。

    6月はワールドカップに注目が集まり、小売は一服。7月からは冬物バーゲンに入っていますが、冬物在庫は一掃できそうです。下期は選挙や、異常気象予想もあり、消費が不安定になる心配もありますが、国民所得は確実に増加しており、年末商戦は10%以上伸びると期待しています。

    冒頭にファスナーと出ていますが、間違いです。衣料品だけの輸入統計です。今年上期になり輸入が増えています。オレンジ色が中国からの輸入で、おおよそ3分の2を占めています。

    ファスナーについても中国からの輸入が多くて、中国からの輸入の推移のグラフです。色分けはファスナーの種類別であり、経済回復にあわせて昨年の下期から増加しています。

    上期はユーザーの生産は経済危機前の状態に回復し、ファスナー販売は衣料、鞄、ブーツ等全分野で絶好調でした。衣料用はニットから織物への生地流行の変化や、使用箇所の増加により、ブーツは昨年の販売が好調であったため、今年も高い生産水準が維持されたことによるものです。

    下期は一部の大手衣料スーパーで予想ほど売り上げが伸びずに、ジーンズ発注を抑える動きが出ているのが懸念材料ですが、全般的には好調な生産が維持されると予想されます。

    最後にまとめです。上期は内需が旺盛で、原料高も売値に転嫁でき、好調でした。下期は原料高が続き、どこまで売値に転嫁できるか、またレアル高による輸入品の増加も心配されますが、消費は衰えそうになく、引き続き好調に推移するものと見込んでおります。以上です。

    司会
    質問ございますか。ないようでしたら次に移らさせていただきます。では化学品部会の松尾副部会長さまに発表お願いいたします

  • 化学品部会 松尾新一郎副部会長

    化学品部会

    化学品部会レポート

    皆さんこんにちは。昨年で部会長を引き上げたつもりだったんですが、部会長が出張で今日は代打ちを頼むということを言われまして参りました。

    全般的に見ますとですね、総括で見ますと、売り上げ、ほとんどのところが増加。これは去年が悪かったということもございます。それから利益も増加。それから下期の見込みにつきましても、ほとんどのところが増加。減少なんていうところは一社もございませんでした。

    大体これが2010年上期の回顧と下期の展望総括でございます。以上でございます、と言ったら部会長に怒られますから、せっかく作っていただいたんですから続けます。

    電機電子部会でもございましたけども、デジタルカメラ。これは富士フィルムさんなんで、化学品部会に入っているわけです。戦略的な動きもございまして、売上利益ともに増加と。

    それから、電機電子のところでもありましたように、デジタルカメラが各人一個ずつ持つような傾向にございまして、市場が拡大していると。ただし、いろんな競合によりまして、価格は年々下がっていると。下期の展望ですが、まあどこでも出てくると思いますが、クリスマスシーズンを期待して売上利益ともに増加を見込んでいるということでございます。

    次、筆記具ですね。これはペンテルさんとパイロットペンさんです。売上利益ともに予想通り増加と。その原因は景気の回復が順調に進んでいると。それからレアル立てで輸入価格が、輸入のコストが減少したということが挙げられます。

    下期についてはやはり同じように、クリスマスもございますが、大体9月にある、もうすぐ始まりますフェアー。今年まではやるそうですけども、ほとんどがこれで一年の売上が決まるそうです。で、レアルの安定を期待しているし、それから好景気の継続も期待しているということでございます。

    高級化粧品、これは資生堂さんです。従来から言っていますように、重点主義でリオとサンパウロのお金持ちの女性をターゲットにしているということでございます。

    で売上も、資生堂さんがここに来られてから一遍も売上利益とも減ったことがございません。やはりリーマンショックだろうが何だろうが、やっぱり化粧品は強いものですからね、どなたがお使いになるか知りませんが。主力商品のスキンケアがシェアアップしたと。

    ただし欧米メーカーも力を入れてまいりまして、クリスチャンディオールとかそういう有名なところが積極的な投資といいますか、専門店のところに独自のカウンターを作って販売促進に力を入れているそうでございます。下期は当然の事ながら、クリスマスですから、化粧品の売上は期待しておるということでございます。

    一般用医薬品、これは久光製薬、平たく言えばサロンパスさんです。売上利益ともに増加。まあ市場の拡大と申しますか、サロンパスを貼ったり、エアゾールサロンパスを使ったりということが増えたと。

    マイナス要因として法改正による規制の強化と。これはややこしいことを言ってますけども、経口の薬ですね、胃薬でも何でも以前は一般のフロアにおいてあったそうですけども、口で飲むような経口剤は全てカウンターの裏にと。

    従いまして、そのカウンターに行って自分が買いたい胃腸薬とか買ったらそれでおしまいだと。以前は一般の売り場にございますから、見て回って胃腸薬を買う、正露丸を探すとかあって、ついでにサロンパスも見つけてこれも使おうと。

    ついで買いというのがなくなったので、これがマイナス要因であるということだそうです。下期の展望は、上期増加した分特に変わることはないと。プラスマイナス要因も上期と同様ということです。次お願いします。

    家庭防疫薬ですね。昨年はあまり蚊も出てこなかったので、流通在庫がたくさんございまして、売れなかったんですけども、今年は去年の在庫一掃ができたということで売上利益とも増加いたしました。Bombrilとか有名なところがございますけども、台所用品ですね、それの資金繰りが良くなったのでまた良く引き取ってくれるようになりました。

    マイナス要因は前から言っているように、ジェネリック品との競合が激しくなってきています。したがいまして、単価をどんどんどんどん毎年下げないといけないというような状況になっております。

    下期はですね、こんなに寒かったら蚊も出てこないわけですから、あまり売上が期待できないんですけれども、これから先温かくなっていって雨も降れば、蚊も頑張ってくれるだろうと。

    それから、まああまり良い話ではないんですけれども、プラス要因とはあまりしたくないんですが、デング熱が流行っておりますね。ということもございまして、売上利益ともに伸びると見込んでおります。次お願いします。

    農薬はですね、二通りございまして、有効成分の高濃度製品ですね、これが原体と申しますけど、原体をこちらに販売しておられる会社が3社ございます。売上もしたがいまして、変わらないというところと、増加というところがございます。

    繊維部会の河本さんのご説明の通りですね、綿の市況が良くなってきていると。綿というのは単位面積当たり農薬をようけ使うんですよ。ですから綿用の農薬というのは非常に魅力のある分野なんです。で、プラス要因にございますように、綿の作付けが増えれば自動的に、特に殺虫剤なんかが増えます。

    マイナス要因としてはやっぱり中国の、いわゆるジェネリック品ではなくて、模倣品ですね。海賊品との競合もある会社もございます。下期の展望は、これからハイシーズンに入りますから売上利益とも増加と。

    これも皆さん綿作付けを期待しております。マイナス要因としてはまったく同じですね。河本さんの説明の通りでございます。次お願いします。

    これは農薬の今度は最終製品でございますね。原体を薄めて使いやすくした最終製品です。それを水に薄めて、たいていの場合は作物にかけるわけですけども、売上はそんなに変わらなかったと。

    利益、トータルの利益としてはマイナスであったけども、これは財務収益ですね、利子収入だとかそういうのが減ったために利益は減少したということですけども、営業的には新製品の上市等による収益は増えておると。

    下期はですね、売上は増加するけども利益はそんなに変わらないだろうという見込みでございます。これから温かくなってまいりますから、蚊だけではなくて田んぼの中の虫も病気も雑草も頑張ってくれると思いますから、私どもの農薬を期待しているところでございます。次お願いします。

    肥料。肥料は、その前の段階になりますけども、逆向きに今年は発表しておりますが。肥料は売上は減少、利益は増加。これはどういうことかといいますと、不採算部門の生産の整備縮小ということで、売上は下がったけれども逆に利益は増加したと。

    下期も変わらないと、利益も変わらないと。といいますのが、シーズンの初めに肥料は使いますので、農薬が出てくる前に頑張っていただくのが肥料でございます。次お願いします。

    その前の段階、今度は種です。種の方は、これは特殊な種でございますので、京都のタキイさんです。売上は増加したけど利益は下がったと。何か品切れ商品があったそうで、需要に追いつかなかったと。それから従来の商品、特に玉ねぎなんかは優秀な会社ですけども、シェアアップしていると。

    それから東北伯向けのメロンの種子の売上減。これは東北伯でできたメロンはですね、サンパウロに持ってくるんじゃなくてほとんどがヨーロッパに出されると。

    ヨーロッパはご存知の通りああいう状況でございますから、そんな高級なメロンなんか食べることはできないだろうということで、メロンの作付けが減ったということで、自動的に種の売上も減ったと。

    それから大手顧客の事業撤退と。これはデルモンテさんがこのブラジルから撤退したということで、そこ向けに出していた種の売上が減ったと。下期は利益売上ともに変わらないと。

    玉ねぎ種子の安定販売がプラスの要因と、それから為替安定により利益の確保ができるようになったという見込みだそうです。それから新商材の販売増と。それから草花主力商品の品薄というのがありますが、トルコ桔梗とかガーベラ、ご存知かどうか分かりませんが、売れ行きがいいんだそうでございますけども種が足りないということだそうです。

    飼料添加物。これは先ほど、伊藤さんでしたかね、貿易部会でもありましたけども、鶏の輸出なんかが堅調であると。それからこれは、実際には鶏用のメチオニンという必須アミノ酸ですけども、これ売上利益とも増加しております。

    というのが去年は供給力がなかったものですから、一番遠いブラジル向けがカットされまして、中国向けにどんどん輸出されまして、私どもの会社ですけども、こっちへ玉が回ってこなかったということでございます。

    それで今年になって十分に玉が回ってくるということになりましたので、売上利益ともに増加と。それからさらに、需要期がまいりますし、供給力も十分ございますので、下期はさらにアップするであろうと見込んでおります。次お願いします。

    接着剤。売上利益とも予想通り増加したと。その要因はブラジルの堅調な景気であると。マイナス要因は特に見当たらないと。それから下期の展望は、上期増加していますからそのままその勢いでいくだろうと。プラス要因はやはり自動車産業の好調さによるところが多いと。ただしレアル高なのでブラジルから周辺南米諸国への輸出は不利であると。次お願いします。

    化学架橋ポリオレフィン発泡体。これは正式な化学名だそうですけども、これは特殊スポンジのことです。特に、ほとんど車の、ドアの方に使われるということで、自動車の需要が回復すればこの特殊スポンジの需要も伸びるということでございます。

    それから下期についても、自動車産業の堅調さに支えられまして利益売上ともに増加するであろうという見込みだそうです。次お願いします。

    樹脂用着色剤。売上利益。利益はほんの少しだそうです。といいますのが顧客からの値下げ圧力が強いので、あまり利益は出てこないと。それから小口ロットでの注文が増えるから、一個あたりの単価が高くなってコストアップにつながってあまり利益はでないと。

    それから下期の展望につきましては、プラス要因このようにございまして、あとは企業努力しかないと。社内コストカット、それから固定費のカットに引き続きまい進しなきゃいけないと、苦しいことをおっしゃっていました。次お願いします。

    商社さんですけども、これは3社ございまして、幾分は良くなったかなと。というのがやはり2009年の反動、それから扱い品目の売り上げ増加につながったと、上期は。それから、下期につきましてはですね、やはり好調な国内景気を反映しまして需要増。

    ただし、西岡さんのところでもありましたが、エタノール関連のビジネスはやっぱりちょいと不安かなと。利益は少しは出ているという会社もございました。でマイナス要因としては、どこの部会でもありますように、大統領選の結果がやはり不安定要因かなということでございました。すいません、1分14秒も過ぎました。以上でございます。

    司会
    どうもありがとうございました。質問、ございませんか。よろしいですか。では引き続きましてですね、食品部会の高藤部会長様に発表をお願いいたします。

  • 食品部会 高藤悦弘部会長

    食品部会

    食品部会長の高藤でございます。まだブラジル滞在1年と非常に短い期間しかおりませんので、不明なところもありますけれども、お許しいただきたいなというふうに思います。

    皆さんご承知のように、ブラジルは世界有数の農産大国でありまして、コーヒー、砂糖、オレンジ世界1位と。先ほど畜肉の話にも触れておりましたけども、牛が第2位、鶏肉第3位という国にありまして、この食品部会に参加している企業というところの業種でいいますと、日本酒、乳酸飲料、即席めん、

    調味料、粉末飲料、コーヒー、飼料用アミノ酸と、きわめて限られた分野しかこの商工会議所に所属する企業としては担当してなく、かつそれぞれが1社であるということでありますので、国内の消費動向と輸出ということで簡単にご説明をさせていただきたいというふうに思います。

    まず為替でありますけども、本年上期、過去のジェットコースターのような状況と比べると、ご承知のように、まあ高値ではありますけども、比較的安定をしていたと。本音を言いますと、2前後ぐらいで安定してくれますと非常に嬉しいわけでありますけども、まあ一番ありがたいことは大きく変動しないということでありまして、その観点で言うとこの上期はあまり不満を言えるようなことではないんだろうなというふうに思っております。

    金利・インフレでありますけども、これは金融部会、コンサルタント部会でありましたので、省かせていただきます。

    小売売上高推移、これも確かありましたけれども、基本的に国内においては、リーマンショックはあるものの、中所得者、低所得者層の購買力の拡大に支えられて、4月は一時的に下がってはいるものの、基本的に右肩上がりに推移しておりますし、今後もこの傾向は変わらないだろうというふうに思っております。

    関連する商品相場でありますけども、コーヒーは概ね大きな動きはなく足許高いところで推移しておりますが、砂糖がですね、この上期で言うと歴史的な動きを示したということであります。

    砂糖業界にとってみれば、相場が上がるのは良いことでありますけども、砂糖を原料としている食品会社、あるいは調味料会社にとってみれば、きわめて厳しい上半期であったというふうに言えます。この2010年の2月には歴史的な高値であるポンド30セントを超えたと。現在足許17から18セントということで動いております。

    つい先ごろロシアで小麦粉の禁輸が発表されたということで、この相場の左右されている、もちろん基本的には天候であるだとか需給、在庫動向が左右されるわけでありますけども、相場がこう動くとなると投資ファンド周りのお金が流入してきて、まったく読めないという状況が続いておりますので、小麦の動向が不透明になってきたということは、この我々砂糖を使う側にとってみれば、ありがたいことかなというふうに思っております。

    そうした中で国内の消費動向でありますけども、基本的に先ほど申し上げました乳酸飲料、即席めん、調味料、粉末飲料、絶好調という、新幹線だとか飛行機というわけには行きませんけども、その反面リーマンショックがあったとしても消費が落ち込むということはなく、このブラジルにおいては基本的に低所得者層の購買力の向上が続いておりますので、堅調に推移をしております。

    特に北東部においては、まあ所得水準の低い地域でありますけども、価格帯が安い商品ではありますけども大きな伸びを示しております。また3番目にワールドカップ特需というふうに出ておりますが、6月、酒類、特にビールとスナック食品が非常に好調に売れたというふうに聞いております。

    下半期でありますけども、基本的に今の流れが大きく変わるということはありませんで、業種によって若干のパーセントの率が違いますけども、二桁、あるいは二桁行かないところでも二桁に近いところで、この我々の食品部会に所属する企業は伸びていくというふうに見ております。

    懸念材料ですけども、これ利益面ということでありますが、7月に一斉に包材、これはダンボールメーカーでありますけども、10%を超える値上げをほぼ同時に通告してきたということで、これが少々利益を圧迫する要因になるかなというふうに思っております。

    輸出でありますけども、こちらの方はリーマンショックを受けたということであります。一番大きいのが鶏肉、コーヒーということで、畜肉で、大きく昨年は落ち込んだわけでありますが、まあ何回かすでにお話が出ておりますけども、今年に入って回復基調ということであります。

    それに伴いまして、畜肉向けに出しております飼料用アミノ酸も本年に入って世界的に大きく回復しており、ブラジルで生産している飼料用アミノ酸もブラジル国内のみならず、欧州、米国、アジアと順調に輸出を回復しております。

    下半期につきましては、大きな外部環境の変化がない限りこちらの方も現在の状況が続くのではないかというふうに見ております。簡単ではありますけども、以上です。

    司会
    質問よろしいですか。今まで質問が出ませんでしたので私が一つ質問させていただきます。食品関係で、口蹄疫とかそいういった衛生のリスクというような公算はブラジルの場合はあまりないというふうに理解してよろしいんでしょうか。

    高藤部会長
    はい。そうであります。基本的にありません。

    司会
    ありがとうございます。ほかに質問ございましたらお受けしますけど、よろしいですか。どうもありがとうございます。では運輸サービス部会の畠山部会長様に発表をお願いいたします。

  • 運輸サービス部会 畠山研治部会長

    運輸サービス部会

    運輸サービス部会の畠山です。私どもの部会も物流関係からIT通信まで幅広い業界がございますので、業界ごとに上期の回顧、下期の展望を発表させていただきたいと思います。

    まず航空業界ですが、ブラジル国内の好調な景気と、それから中間層の拡大ということで、旅客が伸びて、昨年の上期に比べまして24%増の3604万人となっております。

    航空会社ごとの構成比ではですね、TAM、GOLが若干シェアを落としておりまして、ブルージェットとかAzulとかいわゆる新興航空会社、これのシェアが伸びております。

    それから国際線の方もですね、昨年の前半リーマンショック後の落ち込みがあったんですが、その後のビジネスの、出張者の増加とか、あるいはレアル高によりまして、ブラジル人の海外旅行が増えたということで、18%増の774万人となっております。

    それから航空会社の構成比でいきましても、ブラジル国籍の航空会社が41%、若干シェアが増えております。下期の展望といたしまして、トピックとして三つ挙がっておりますけども、ブラジル発着の国際ネットワークが拡充してきていると。

    ブラジル国籍の航空会社のみならず、外国の航空会社も、増便ですとか、新規の乗り入れ、まあカタール航空ですとか大韓航空が増便したりとか、あるいは地方の空港から北米や欧州を結ぶ便が増えてきていると、こういう動きがございます。

    こうした中、先日発表されておりますけども、南米を基盤とするチリのLANとTAM、これが外国航空会社の参入によって厳しくなってくる環境で生き残っていこうということだと思いますけども、株式交換方式による合併を発表しております。

    一方、ご承知のようにJALさん、1978年からサンパウロ直行便を継続されておりましたが、残念ながら9月の末で運休されるということになっております。それから、国内・国際ともですね、旅客あるいは貨物の需要が増えておるんですけども、空港の発着枠、駐機場のスペース、旅客ターミナル、それから貨物を扱う施設、あるいは空港へのアクセス、まあここら辺がインフラの整備が遅れていると。

    まあ色々計画はあるんですけども、遅々として進んでいないというのが状況でございます。それからもう一つ、消費者、旅客ですね、飛行機が遅れたりあるいは欠航した場合旅客が受けることが出来る権利といいますか、これの基準を明確にする方向が出ております。

    航空当局から出ております。例えば、例としまして、1時間以上遅延した場合通信手段を提供するとか、2時間以上の場合は搭乗までの飲食を提供する、3時間以上の場合は休憩場所を提供する。こういった基準が明確に示されております。

    ただし、待合室でじーっと待っていても向こうから何にもしてくれないので、こういったことがあったら、航空会社が設けている相談窓口に行って相談するという必要があろうということだそうです。

    続きまして海運業界。まずコンテナ貨物の荷動きなんですが、これは上期の統計、昨年と比較したものでございますけども、まず輸入のほうでは全航路約90万TEU。TEUと申しますのはコンテナの、大きいコンテナと小さいコンテナがあるんですけど、小さい方、これは20フーターなんですが、20フーターに換算した個数、コンテナの個数という意味です。

    輸入が全航路で90万TEU。昨年比67%。特にアジアからの輸入は20万TEUから37万TEU、約85%伸びております。一方輸出の方はですね、昨年とほぼ同じ。アメリカ向けは、まあ多少アメリカの景気が回復しているということで12%伸びておりますが、欧州・地中海はほぼ変わらず。

    それからアジア向けに関しましては、たまたま昨年の上期、レアルが2.4とか2.5の時にですね、スポットカーゴで大量に化成品がアジア向けに動きましたので、そのせいもあって今年と比べますと、今年は去年と比べますと5%減に統計上はなっております。

    それから、鉄鉱石船の方ですね。ケープサイズ、15万トンから20万トンの鉄鉱石を専門に運ぶ船でございますけども、こちらの方の市況はちょうどこの資料を集めておりました6月7月、リーマンショック後の2009年1月以来の安値になっておりました。

    原因としましては中国の鉄鉱石輸入が、昨年はおよそ1ヶ月1200万トンから1500万という輸入をしておったのが、5月6月約半分になりまして、その影響をダイレクトに受けてマーケットが急激に下がったということでございます。

    下期の展望としまして、まずコンテナの方は、特にアジアからの輸入につきましてはブラジル国内の強い国内消費、需要を反映しまして堅調に続くであろうと。

    一方問題点としましては、アジア側で輸出用のコンテナが不足しておりますので中々思うようなブッキングが出来ないということがあろうかと思います。それともうひとつはブラジルの港湾ターミナルの整備の遅れ。貨物の増加に対して港湾ターミナルのインフラ整備が遅れているということで、色々オペレーション上の不都合が生じてきているということでございます。

    具体的に申し上げますと、まあ特に今冬場でございまして、アルゼンチンとかブラジルの南部のほうから悪天候で船が遅れて、サントスにやってくるとバースが中々、そのまま荷掃できない、沖待ちしなきゃいけないとかですね、そういった問題が出てきております。

    それから、ドライバルクにつきましては、先ほど中国の輸入が減ってマーケットが落ちたというお話をしましたけども、8月に入りまして中国向け若干増えておりまして、それに伴って8月以降バルク船のマーケットも回復してきております。ただし今後とも中国の輸入動向によって大きな影響を受ける、マーケットは乱高下する、中々先は読みづらいという状況でございます。

    参考までに、先ほど食品部会の方で砂糖のお話をされてたんですけども、2月ぐらいに高値だったのが5月6月に下がったということがありまして、特に中国とかインド、砂糖の不作で相場が下がったときに大量にブラジルからの買い付けが始まりまして、この赤い印がついているのが、これサントスの港外なんですけども、たまたまちょっと勘定してみますと、8月6日の11時の時点で約、この画面に出ているところだけで50隻船が滞船しております。これのほとんどは砂糖を積みとるためにブラジルにやってきた船だそうです。

    先ほど港湾ターミナルの整備不足というお話をしましたけども、ここに、これはサントスの上から見た写真なんですけども、色がついているところが既存のコンテナターミナルの増強計画とかあるいは新規のターミナル建設計画があるところなんですけども、まあ計画だけは色々あると。

    まあ一部着工しているのもありますし、計画だけのところもあるんですけども、やはり貨物の需要に中々追いついてこないというのが一番大きな問題点だと思います。

    フォワーダー業界。上期の回顧。一番上に出ておりますのが、日本発の輸出航空貨物の実績でございますけども、全世界、米州向け50%ぐらい伸びておりまして、ブラジルだけの統計はないんですけども、米州向けの中のその他という項目ですね、これがほぼブラジル向けの日本からの輸出航空貨物の数字になるんですが、前年比約33%ということになっております。

    まあ自動車、家電を中心としまして航空貨物の需要が回復しているということですね。一方貨物スペース不足、あるいは先ほどの港湾と同じでございますけども、空港の貨物処理能力の慢性的な滞貨が発生していると。

     航空貨物が着いても中々引き取れないというようなことが実際に発生しております。それから製鉄構内物流。こちらの方は鉄鋼生産の回復により構内物流も回復してきていると。

    下期の展望でございますけども、いろんな部会で色々お話出ておりましたけども、電機・自動車の増産による物流増を期待と。それから新規に進出してくる企業さんございますので、そちらの方の貨物の増加も期待していると。

    一方貨物スペースの不足や運賃の値上げは続くであろうということですね。それから製鉄構内物流。鉄鋼の生産回復に伴い構内作業量も増加してきていると。凍結されていた投資案件も再開見込み。ただし再三競争が厳しいということでございます。

    それからクーリエ関連では、昨年末からテストを開始していたクーリエの電子通関システム、HARPIAというシステムだそうでございますが、これが9月から本格稼動する予定だと。がちがちなシステムになりがちでございますので、ドキュメンテーションのミス等々あるとデリバリーが遅れるということがあるのではないかという懸念がされております。

    ホテル・観光業界。全体としてホテルの需要は増加。稼働率、宿泊料金とも上昇していると。参考までに、稼働率の増加率なんですけども、サンパウロで13.2%稼働率が増加している、リオデジャネイロで3.1%増加しているということでございます。

    それから、下期の展望ですね。2014年のワールドカップ、2016年のオリンピックに向けて外国からの視察、あるいは観光によるホテル需要が増加の見込みと。上期に続き稼働率、宿泊料金、RevPARと書いてありますがこれは稼働率×宿泊料金で、客室一つあたりの売上を示す指標だそうですけども、これも上昇していくことを期待しているということです。

    続きまして通信・IT業界。上期の回顧。通信の方では携帯電話の加入数、約1億8500万台。世界第5位。ほぼ国民一人当たりということです。若干増加率は伸びておりますが、まだのりしろはあるということですね。ただし約82%はプリペイド方式の携帯電話だそうです。

    ここに電話会社のシェアを書いておりますが、最近話題になっておりますように、VIVO、CLARO、TIM、OI、全部これ外国系でございますね。それから3G携帯、これは1390万台。携帯電話の約7.5%になります。

    固定電話加入数、これは4371万台。これはほとんど変わっておりません。それからインターネットユーザー、4698万人。ブロードバンドユーザー、今年の3月の時点で1180万台。

    政府の方ではブロードバンドを安い料金で全国に広めようという、国家ブロードバンド計画ということを策定しておりまして、2014年目標ですけども、4000万台に増やすことを目標に投資を進めております。

    IT関連では、IT産業好調ながら収支は厳しいということです。それから下期の展望といたしましては、上期に計画されていましたIT関連の投資額がまだ中々数字に出てきていないそうでございまして、その分下期の投資が増えるのではないかと、IT投資が増えるのではないかというふうに期待しております。

    それから企業内でのSNSツール、ツィッターとかですね、こういったものの活用が進むであろうと。それから、SASというのはこれは、自分でソフトウェアを開発するのではなくて、使用料を払ってソフトを使用するようなモデル。

    それからクラウドコンピューティング。まあいずれにしましても、自分で設備を持たないでコンピューターを利用すると、そういった傾向が今後とも増えていくのではないかということでございます。運輸サービス部会、以上でございます。

    司会
    畠山さんありがとうございました。質問はございませんか。では最後の発表になりますけども、建設不動産部会の大滝部会長代理に発表をお願いいたします

  • 建設不動産部会 大滝守部会長代理

    建設不動産部会

    建設不動産部会レポート

    それでは建設不動産部会、ホス建設の大滝でございます。

    2010年上半期の日系建設業界でございますが、昨年からの景気回復の影響がそのまま継続されまして、年初から日本企業の工場建設の発注をいただきました。

    また、自動車関連の企業、その他業種のブラジル進出スタディ・あるいは調査が盛んとなりまして、計画・設計の段階から参画させていただいております。

    2010年のブラジルの建設全体の回顧でございますが、政府による大衆住宅共有政策でございます「私の家、私の暮らし(minha casa minha vida)」につきましても地道に継続しておりまして、2007年から2010年までのPAC1では全体の実現率は46.1%でしたが、特に住宅と衛生に関しては69.4%と実現の率が高くなっておりまして、達成率全体33%程度でありましたインフラ整備、これは遅れておりますけども、住宅関係は大変実現が高かったと。

    また生産設備に対する投資につきましても、回復が本格的になりまして、世界各国の自動車メーカーによります設備投資が本格的に再開しておりまして、サプライヤーの設備投資また自動車産業以外の業種におきましても新規の営業拠点や向上の建設など多くの新築、増築工事が増加してまいりました。

    建設の労働者の数でございますが、この表の1で示しますように、2010年5月時点で労働者が20万人と、各年と比較しましても過去最高を記録しております。過去12ヶ月間では16.3%の増加になっておりますけれども、今後建設労働者の不足が懸念されます。

    その要因は、工業や農業が景気が良いものですから、そちらに従事する人が増えていくということで、建設の労働者が若干影響を受けております。この表1は2010年の増減数でありますけども、月平均して3万人台の増加で推移しておりまして、現在の推定では年間40万人を超えて、年末には建設関係事業の労働者は約300万人になると予想されております。

    建設の労働者の賃金につきまして、サンパウロでは毎年5月の建設労働者組合と給与改定交渉が行なわれまして、8.01%となりました。昨年の改定率の6.74%に比べましてたいへん大きな給料アップであります。

    4年連続しましてインフレ率の2倍近い上昇でありまして、これが建設価格の上昇の大きな要因となっております。今年の7月の建設労働者の平均給料ですが、888レアルと、工業やサービス業界の平均給料よりも初めて超えまして、高値を記録しております。

    次に表の2ですが、建設資材の価格でございますが、2010年の上期におきまして各資材は値上がっております。特に鉄筋は20%の値上がりがありました。次に表3なんですが、建設工事量の動向を示しますセメント販売量の昨年との比較であります。

    ブラジル北部、東北部の工事量が増大いたしまして、大きな増加率を示しております。ブラジルは世界6番目のセメントの生産量でありますが、今年は東北あるいは中西部の地方ではセメントが不足しておりまして、ブラジルの業界最大手のボトランチン社はベトナムから30万トンのセメントを輸入したそうでございます。

    次にサッシ業界ですけれども、アパート建設が増加しておりまして、受注は順調であります。アパートの件数は増加しましたけれども、工期や価格の面でたいへん厳しい条件でありまして、日系の業界では中々受注が難しいと。政府の進める大衆住宅建設に対しても、サッシにつきましてはやはり価格、品質の面で中々日本企業は取り組みに難しい状況であったと。

    次に表4でございますが、不動産、住宅建設の動向を示しております。住宅の発注件数は2009年前年比で倍以上に増加しておりまして、販売も好調に推移しております。市場の在庫は減ってきていると。

    第一四半期の建設業界の売上は過去最高を記録したおります。最大の要因は個人住宅の回復によるものでありまして、販売価格も前年比で30から40%の上昇となっているそうです。

    サンパウロの大都市圏だけでいいますと、昨年の同期の比較をしますと、約、値段が3倍になっていると、このようなデータもあります。また一番のボリュームゾーンである2寝室の物件につきましては40%以上値上がっておりまして、中間所得層の増加と住宅ローンの整備によりまして需要が急増しているということです。

    特にサンパウロ市以外の周辺都市、ABCDという都市の価格差がですね、大きくなりまして、安い周辺都市に住まれる方が増えているそうです。遠くても安いところで早く買えるという傾向が増えておりまして、今後ますます通勤ラッシュが高まっていくのではないかと心配しております。

    最低給料3倍の所得層を対象とします大衆住宅につきましては、販売価格が固定していますので、それ以外の2寝室の物件の需給バランスが乖離しています。

    しかしながら住宅の必要な世帯の95%が最低給料5倍以下の世帯でありますので、今後も低価格の住宅に対しては需要が見込まれております。ただし最近、消費者保護センターに対しまして、アパートの工期が遅れ期限が来ても入居できないという苦情が出ているということで、アパートの建設はこういった問題を抱えております。

    ブラジルの住宅建設会社、大手はですね、自分が開発して建設している企業が多くて、日本やアメリカのように専業デベロッパーから建設会社が受注するシステムは多くはないんですけど、Bovespaに上場している住宅建設企業大手の上半期の売上と純利益を見てみますと、大手のシレラという会社が売上10億レアルで純益が1.7億。MRV社が7.3億の純益が1.1億。ロッシ社が売上8.4億で純益0.6億。ガフィーザ社が10億の売上で0.6億の純益ということで、今年は純益の増加率の方がかなり大きくなっておりまして、住宅街者は利益率の改善が見られております。

    表5でございますが、住宅融資を利用した住宅購入件数の推移でございます。融資に関するトピックとしましては、住宅購入資金に退職金の積立金を取り崩すことが可能となりまして、1月から11月で30万人が退職金を取り崩して21億レアルの支払いが行なわれたそうです。

    最後になりますけれども、2010年の下期の予測と、当部会で共通のテーマにしましたワールドカップ、オリンピックのブラジル開催、あるいは高速鉄道といった大型のプロジェクトで影響を受けるかどうかについて説明させていただきます。

    下期につきましては本年全般と同様、受注や引き合い案件は増加すると考えております。住宅・アパート建設はますます増加を継続すると。市中の不動産の価格上昇の現象はこれからも続くであろうと。地方の工業用地、工場用地の値上がりにつきましては、これからも顕著になっていく。

    ワールドカップ、オリンピックなどの大型プロジェクトはブラジルの大手ゼネコンが担当する形でございますので、まあ民間相手のゼネコンにはそういった大型工事は回ってこないのではないか。

    したがいまして、この大手ゼネコンと言われるところが、民間工事、商業ビルとか工場建設までは参入してこなくなると。で、建設ブームとなりまして、建設の資材、それから機械、労働者がこれからも不足しまして、値上がりや人件費が上昇していきます。

    一般的な言い方としましては、工期が遅れがち、また品質が低下し、特に工事の安全面では、まあ様々な原因で事故が発生しやすくなっていくということを心配しております。

    当建設不動産部会としましては、このような現況の中で、ほかの建設業者との差別化をはかるため、工期、それから品質を守っていく、あるいは安全を確保する、また環境保全や省エネルギーの取り組みを行なって、設計から施工まで安心できる経営を行なっていこうと、このようなお話をさせていただきました。以上でございます。

    司会
    ありがとうございました。時間は若干オーバーしましたけども、発表は以上です。せっかくの機会ですので、私の方からですね、環境規制に関するコメントを若干、数秒ですけどもさせていただきます。

    私はパナソニックの篠原なんですが、電気関係ですね、特に電気関係の環境規制というのは今年の11月から製品回収を義務付けられているということなんですね。

    乾電池の場合は、普通の乾電池ですとごみに捨てて、ごみ処理で本当は害するものは現在のところないわけですけども、そういうことがすでに制度化されておりまして、12月から生産者あるいは輸入業者が電池を売った場合、必ず回収の義務を持つということがあります。

    と同時にですね、この8月2日にですね、ルーラ大統領がサインしまして、要するに固定産業廃棄物の国家法案というのが出まして、これは法令化されて、今までばらばらに州・市が環境規制の法令をもって実行してきたわけですけども、国家法令という形で8月1日から新しい法令が発令されております。

    内容的には、法令ですので、細則が出ないと実行に移せないわけですけども、その細則がおそらく90日以内ぐらいに出ます。そうしますと、内容的には、先ほど電池の事を申し上げましたけども、家電商品は全て、国内生産あるいは輸入に関しても回収が義務付けられるということで、要するに消費者からお店、お店から焼却工場への運搬ですね、そういったことをインポーターあるいは生産者が負担しなくちゃいけないということになっていきます。

    これが最近では非常に新しい要素ではないかなということで、ちょっとコメントさせていただきました。引き続きまして在ブラジル日本国大使館のブラジリアからお見えになっています佐久間書記官様にご発言をお願いいたします。

  • コメント 在ブラジル日本国大使館 佐久間有児書記官

     

    日本国大使館から参りました佐久間と申します。本日はお招きいただきまして誠にありがとうございました。

    私は大使館に着任してからまだ1ヵ月半しか立っておりませんが、本日の皆様のご説明は普段から私が知りたいと思っていることが非常に多くて、大変勉強になりました。

    今後の経済面における日本とブラジルのお付き合い、どのようにしていけばいいか考える上での一助にさせていただきます。また、私は移転価格税制も担当しておりまして、本日のご説明の中でも移転価格税制言及されておりました。

    今後とも移転価格税制につきまして皆様のご懸念を少しでも払拭できるように努力していきたいと思っております。本日はどうもありがとうございました。

    司会
    では今日のセミナーの講評に、いつもいつもお忙しい中お時間を割いていただいております在サンパウロ日本国総領事館の大部総領事様に講評をいただきます

  • 講評 在サンパウロ日本国総領事館 大部一秋総領事

     

    こんにちは。大部です。高いところから失礼いたします。いくつか所感というか、感じたことを述べさせていただきます。あの、皆様の方が、釈迦に説法みたいなこともあると思いますので、その辺はお許しいただきたいのですが。

    まず第一点に、私は去年の1月に着任しましたが、当時の業種別シンポジュームの様子を思い浮かべるとですね、暴風雨、曇り、雨、まあこれは西岡さんの有名な表現を使わせていただいてるんですが、ばっかりでですね、まあリーマンショック後の急激な落ち込みに、沸いたというか、沈んだというか、そういうシンポジュームで始まり、今わずか1年半でこういう、例えば機械金属部会全業種が好調とかですね、電機電子部会、繊維、化学、食品、運輸サービス皆さん好調という、まあ1年半でこうも変わるのかというぐらいなシンポジュームの状況に、非常に驚いた次第です。

    いつもながら大変貴重な資料、貴重な分析、貴重な内容の報告をしていただいて、深く御礼申し上げますし、すばらしいありがたい会合だというふうに思っております。

    本当に去年と比べて、まあ2009年マイナス0.1%でマイナス成長したと、0.1%惜しかったんですけどゼロより下がっちゃったと。それで今年7%超える成長に、2008年が5.何パーセントですかね、その5.数パーセントからマイナス0.1、7%と急激なV字カーブというのはこういうものかなというふうに感じております。

    まあ需要が落ちたので、その穴埋めで需要が伸びてそこを生産が増加するというのは、ある意味で当たり前のような話だろうとは思いますが、それにしてもすごい勢いであるなというのを最初に感じました。

    二点目として、今日のご説明を聞いていて、まあ皆さんお感じになったと思いますけれども、ブラジルの経済はリーマンショック以後の停滞を脱して、成長軌道に乗ったといえるのではないかと思います。

    今後10年ぐらいのタームで考えた場合、いわゆる成長軌道に乗った後テイクオフしたな、という感じはします。そうすると、そういうことであると、問題は持続性と安定性です。

    でどこまで持続するのか、どれほど安定的に推移するのかというところが今後の分析の関心の対象になるというふうに思います。非常に政策に敏感に反応する市場が出てくると思いますし、先ほどからのご説明でも、競争は激化するだろうと。

    まあ品質、価格の面で相当競争は激化するということはもう韓国の自動車勢の進出・輸入増でもうかがえたところですけども、そういう意味で今回、韓国なり中国なり欧州勢なりがどういう分野で投資を伸ばしているのか、どういうふうに競争の中に入ってきているのかというような分析というんでしょうか、情報なんかも今後は必要になってくるのではないかと思います。この激しい競争が展開されていく状況になっていくだろうというのを感じました。

    持続性と安定性ですが、持続性についてこれは私の感じですが、国内消費がGDPの6割、それからD層あたりが拡大して上に上ってきていますので、国内消費の拡大は引き続き続くでしょうし、大きいと思います。

    それからコモディティ。まあプレサルの石油も含めてコモディティの問題、これは非常に有利な、ブラジルにとって絶対的に有利な点でもある。それから2014年のコッパ、ワールドカップ、2016年のオリンピック、2012年にも色々会議が入るようですが、10年ぐらいについてこの国内消費、まあ人口今1億9000万ですけども、2040年ぐらいには2億2000万までいってそれから下がるという分析が出てますが、2億2000万ぐらいの市場に向けて相当大きなインパクトを有するということで、持続性についてはまあこれが落ちるとかなくなるとか、消えるとか、経済成長がポシャっちゃうというようなことは、こういう意味で無いだろうと私は思っております。

    安定性については三つぐらい今、短期的、中期的に考えなきゃいけないんだろうなと。まず第一にインフレだと思います。2009年に非常にこの、中銀がSelicを8.75にまで落として、また上げてと、非常にうまい政策運営をしていると思いますので、引き続きこういう形でインフレにかなり焦点を置いた政策が取られていくものと思います。

    まあ賃上げも含めて、土地のバブル的な上昇も含めて、需要が回復してきて生産能力の範囲内で経済が伸びている間はいいんですけれども、インフラ整備も含めて、供給が足らなくてインフレに転じていくというような様相が今後出てくるのではないかということで、まあインフレは一つの要注意な話であろうと思います。

    もう一つは為替。為替が非常に、1.7から8の間で推移していますけども、競争力の低下ということで指摘されていましたけども、確かに国内産業せっかく育ってきたんですが、輸入が増えることによって工業競争力が低下してしまうとか、コスト高という話もあるので、為替についても相当コントロールするなり、注視していく必要があるのではないかというふうに思います。

    3番目に、よく言われることですけども、経常収支の赤と。経常収支の赤を今証券投資で若干カバーしているというような面もあるんですが、貿易収支の黒で外貨を貯めて、実質的に経常収支を維持していくというような面から、金融的な面で経常収支を支えているというのは若干外の要素で影響を受ける少し心配な要素もありますので、この経常収支の赤字をどういうふうに資金手当てし、証券投資の動向がどういうふうになるのかというのも非常に注目されるというか、見ていく必要があるのかなと。この三点は安定性という意味では影響を与えていくものではないかなというふうに思います。

    最後に、そうしますと今後どういったことがポイントになるのかなというふうに思いますけども、私なりに、一つはさらに従来より増して政府のマクロ経済政策、それから税制を含めた優遇策のハンドリングというのが敏感に経済に影響を及ぼしてくるのではないかというふうに思います。

    したがって中銀なり財務省なりの、このブラジルの政府のマクロ経済政策の重さ、重要性というのが増してくるのではないかというふうに思います。二点目として、インフラの整備があると思います。

    先ほど運輸部会で畠山さんがおっしゃってましたけど、まさに心配していたのは電力、港湾、空港、こういうインフラの話が、サプライサイドの方、インフラ整備の方でそれがボトルネックになる可能性も少し出てきているのではないかなという感じがしますので、この辺が非常にポイントになると思いますが、逆にこれはまたチャンスでもあると思います。

    三番目は中国、ユーロ、まあギリシャ危機に始まったユーロの金融危機とかありますが、世界の経済環境の変化が、ブラジルの国内的な要素が強いだけに、よりこちらの方にも目配りをしていく必要があるのではないかと思います。

    総じて言うと、サンパウロの商工会議所、ブラジルの商工会議所の視点というのは、もうすでにブラジル国内だけの視点では論じられない状況に来ていると思います。ヨーロッパがどうか、アメリカがどうか、韓国中国がどうかといったことを踏まえたものの見方をしていくべきであろうと思うし、そうするほどもうブラジルの経済は大きくなっているんだというふうに感じました。

    簡単ではございますが、そういうことをちょっと感じましたので、講評として述べさせていただきました。本当に今日はありがとうございました。

    司会
    大部総領事様どうもありがとうございました。では、磐田信用金庫の高木理事長様にお言葉をいただきます。

  • 磐信ミッション団長ご挨拶 磐田信用金庫 高木昭三理事長

     

    皆さんこんにちは。磐田信用金庫の理事長の高木でございます。私どもの磐田信用金庫は、磐田市、浜松市、そして袋井市、掛川市、菊川市、そして牧の原市、静岡県のこの市を中心にして営業活動をしている地域の金融機関でございます。

    その金融機関が本日は、当行の取引をしていただいている皆さん、そしてブラジルに大変関心を持っている皆さんの経済ミッションという形で、このブラジルへやってまいりました。

    そういう点で、この先ほどからずっと聞かせていただきましたけども、業種別のシンポジューム、大変すばらしいもの、そして我々が期待して、ブラジルを知りたいこと、そのことの全てがここでお聞きすることができました。

    大変ありがたく思っております。またこういう会にお招きをいただきましたことを感謝申し上げますとともに、皆様とご一緒させていただいたこのこと、大変光栄に存じます。

    また、今回の視察におきまして、関係者の皆様には多大なるご支援やご配慮を賜りまして、視察団を代表いたしまして心からお礼を申し上げます。私どもの、この磐田市、浜松市周辺は現在約3万人ほどの日系ブラジル人の皆さんがおりまして、そして生活しているわけであります。

    そういうことから、我々この地域の者にとりましても、大変このブラジルへの関心が強くなっております。そういうことから、磐田信用金庫、地域の金融機関がなぜブラジルへというふうに思われるかもしれませんが、ましてや磐田信用金庫とカイシャ銀行、ブラジル連邦貯蓄金庫と業務提携をしておりまして、2005年の5月、そのころはちょうどブラジルの日系ブラジル人の皆さんが磐田、浜松周辺で、外国人登録をしている人たちばかりじゃなくて、それ以外の人たちも大勢おりまして、約6万人ほどいたわけでありますが、そういう皆さんが日本へ来て、いわゆる1時間でも多く、そして1000円でも多くお金をいただく、給料を取るというようなそういうことを考えた出稼ぎに来ておりました。

    そしてそのためにも、働くことが第一でありましたものですから、子供たちをほっといて、もっと言いますと2歳3歳の子供を、お菓子を置いてテレビをつけっぱなしにして外から鍵をかけて仕事に出かけるだとか、あるいはそれより上の子供たちは外へ出してしまうというような形で、いわゆる働いておりました。

    そういう状況を見ておりますと、我々みたいな地域の金融機関にとりましては、その地域をいかに良くするか、そしてそこで活性することによって我々地域金融機関としては収益を上げる、あるいはより企業としても成り立っていくということでありますから、こういう子供たちが将来3年5年10年15年とそのような状況でいた時に、これは大変な問題が起きるだろうということから、私はこういう子供たちの教育の問題を考えました。ちょうどそのときに、先ほど2005年の5月でありますけれども、カイシャ金庫の頭取のアドバイザーが当行に見えてくれました。

    でこういうお話をしたときに、それをもって当時のマトーゾ頭取でありますけれども、その頭取にお話したときに、こういうことを一緒に、何とか、海外にいるブラジル人の子供たちの教育だとか、そういうものを考えていきたい、どうか一緒にやろうよというお話がございまして、翌年の3月に業務提携という言葉で一応私ども磐田信用金庫とカイシャ金庫は提携をいたしました。

    我々の信用金庫で出来る仕事というのは、そこで働いている皆さんのブラジルへの送金の手助けをするだけでありました。もっと言いますと当時は金額によらず、一回4500円の手数料がかかっておりました。

    現在は私どもカイシャ金庫といろんな開発をいたしまして、現在ではATMでそのまま送ることができますものですから、一件あたり1000円で済むことになりました。

    手数料が1000円になりましたし、同時に時差がありますものですから、その日のうちに送金することが出来るという状況まで作り上げて現在いるわけであります。

    そういう中で今年の6月に私ども創立60周年を迎えました。その時に、現在の頭取が日本に見えまして、東京とそして浜松市で、日系のブラジル人の皆様を中心と最初は考えましたんですけども、企業の皆さんが大変ブラジルに対して関心を持っているものですから、浜松で経済講演会を開きました。地方でブラジルの経済講演会を開くというのはほとんどなかったものでありますし、それがどれくらい集まるかというふうに大変心配したんでありますけども、250人を超す皆さんがこのブラジルに関心を持って、講演に出てくれました。

    同時にその後からは私どものところ、いろんなところへ、どうやってブラジル、これからビジネスとしてやれるだろうかと、いろんな話が出てまいりましたものですから、今回こういう形で経済ミッションを連ねましてここへ来たわけであります。

    都合8日間という大変短い時間であります。同時に中小企業が中心でありますから、一週間、10日留守にするということは中々できないものですから、このブラジルへ着たいという人たちは大勢いるけれども、今回においては人的な余裕のある皆さんだけでありまして、8日間ということになったわけであります。

    そういう点で、このブラジルの経済力、そして企業、それをしっかり視察をしてまいりたいというふうに存じます。またこの視察での経験を生かして、我々は微力ながらもあらゆる面での協力を通して、両国の発展のために鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。

    我々のできることは、先ほど申し上げましたけども、子供たちの教育、ですから今日本で仕事が無い、派遣会社で働いていた人が大勢おりましたものですから、その人達は日本語を覚えるよりもお金を稼ぐことが先でありましたから、そういう点で日本語の話せない人達がまだ何人も、何十人も何万人もいるわけであります。

    そういう人達のための、いわゆる日本語の教育をする、そういうことを少しでも応援できれば、そして子供たちの応援ができればというふうに考えて、今後とも進めていきたいというふうに考えております。

    私の場合は、ここにいらっしゃる皆さん方と少し違いまして、ビジネスというよりも日本にいる日系ブラジル人の皆さんのお役に立てるようなことをやっていくと、これも地域金融機関の大事な仕事だというふうに考えておりまして、現在進めているところであります。

    また、取引の中小企業の皆さんにも、当行の取引先の皆さんは逆にブラジルでどういう仕事ができるだろうか、ビジネスができるだろうかということで考えているわけでありますが、今後ともぜひ皆様からご支援とご協力をいただきたいというふうに思っているところであります。

    どうか今後お互いの協力関係の強化とともに、皆様のますますのご発展と、そしてそれを祈念いたしまして、簡単ではございますけれどもごあいさつとさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

    司会
    高木理事長様、どうもありがとうございました。それからミッションの皆さんもご苦労様です。では閉会の辞を近藤総務委員長にお願いいたします。

  • 閉会の辞 近藤総務委員長

     

    各部会の皆様、労作どうもありがとうございました。マクロの全体の動向とあとミクロ、現場の生の動向を一度に把握・整理することができ、実り多きものであったと思います。

    ただ先ほど大部総領事からもコメントをいただきましたが、まだまだ改善すべき点は多々あると思いますので、創意工夫を重ねていきたいと思います。あらかじめ皆さんからご質問とかご要望をお聞きしてですね、またそれを反映させていくということもやっていきたいと思います。

    次回は半年後、2011年の2月ですね、予定しております。新大統領、それから新しい理事、国会議員、新しい政権が発足しております。より明るい話題が出てくることを期待しております。

    これにて閉会とさせていただきますけども、この後カクテルパーティー、約1時間でございますので、ぜひ皆さん参加していただいて情報交換そして懇親を深めていただきたいと思います。本日はどうも長時間ありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。

 

全プレゼンテーション

 

2010年上期の業種別部会長シンポジウム

  • 司会:近藤正樹総務委員長

     

    定刻となりましたので、2010年上期業種別部会長シンポジュームを始めさせていただきます。本日は108名の方にエントリーをいただいております。多数ご参集いただき誠にありがとうございます。今回も日本語・ポルトガル語の同時通訳のサービスがございますので是非ご利用ください。また携帯電話のご使用はご遠慮いただきたくよろしくお願いいたします。それでは各部会の発表に先立ちまして商工会議所中山会頭よりご挨拶をいただきたいと思います。中山会頭よろしくお願いいたします。

  • ブラジル日本商工会議所会頭 中山立夫

     

    本日はご多用のところ多数のご出席をいただき、誠にありがとうございます。また、大部サンパウロ総領事様、経済産業省通商政策局山下課長補佐様ほか、政府関係者の方々にもご臨席を賜り、この場を借りて御礼申し上げます。

    各部会の発表終了後には大部総領事様からご講評を、山下様からは日伯貿易投資促進合同委員会についてのお話を、在ブラジル日本大使館の吉村様からは大使館からの連絡事項についてお話いただきたく、何とぞよろしくお願いいたします。
    業種別部会長シンポジュームは当会議所のメインイベントの一つであり、各部会で分析、検討、整理された業績や業界動向が発表されますので、各社皆様におかれましては、自社の経営戦略の立案や策定に大いに有意義なものになると確信いたします。

    さて、本日のシンポジュームのテーマは、「2009年の回顧と2010年の展望」であり、副題は「ブラジルの景気回復は本物か?死角は?大統領選挙の影響は?」ということでありますが、議論の口火を切るという意味で、僭越ではありますが、簡単にブラジル経済とビジネスの動向、商工会議所方針について述べさせていただきたいと思います。

    今年の1月の商工会新年会の席上でも申しあげましたが、ブラジルは、債務国から債権国に、カントリーリスク国から投資適格国に転じるなど、一言で申し上げますと2009年は「大転換の年」でありました。

    今年は好調な国内経済に加え、プレソルト層油田の発見と開発の推進、2014年のワールドカップ、16年のリオデジャネイロ・オリンピックを前に、莫大な投資需要が見込まれ、景気拡大が続くものと予想されます。

    これらを背景に、各国の企業進出は益々活発化していくと同時に、競争が激化していくことは間違いありません。特に、インフラ投資など、大型案件につきましては、いずれの国も政・官・民一体となり、むしろ政治主導で取組まれ始めております。

    こうした認識の下、確かにブラジルにおけるビジネスチャンスは拡大しているわけですが、それをどうテークチャンスしていくかが、益々難しくなっております。そこで、商工会議所といたしましても、官民連携をより強化し、その支援に努め、以って日伯経済の関係強化の一助となるべく注力して参りたいと考えておりますので、引き続き、皆様のご指導とご協力をお願い申し上げる次第です。簡単ではございますが、私の挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。

    司会:中山会頭ありがとうございました。それでは部会の発表に移ります。合計で11の部会がございます。今回の共通テーマは「2009年の回顧と2010年の展望」ということですが、ブラジル全体としては景気回復基調が鮮明な中、これが本物かどうか、そして死角はないかという点、さらには今年は選挙の年でございます。

    大統領と知事、そして国会議員の3分の2の改選が10月にございます。大きな政治的な動き、思惑が出てくるものと思います。工業製品税IPI、それがどうなるかということもあるでしょうし、また取引、案件によりましては急に進むものもあればストップするものも出てくるでしょう。

    そして次期大統領の、候補ですね、候補の経済政策構想によっては為替・金融・市場が影響を受けることもあると思います。業界により濃淡はあると思いますけども、本日は是非このあたりも含めてですね、情報交換、状況把握をしていただければと思います。

    各部会の発表時間は質疑応答も含め約15分を予定しております。パワーポイントの画面に残り時間を表示しておりますので、発表者の方はタイムコントロールをよろしくお願いいたします。

    なお本日の概要ならびにプレゼン資料につきましては、明日の商工会議所のサイトに掲載いたしますので、詳細なデータに関しましては是非それをご参照いただきたいと思います。それではご案内のプログラムに従いまして進めさせていただきます。まずはコンサルタント部会、都築部会長よろしくお願いいたします。

  • コンサルタント部会 部会長 都築慎一

    コンサルタント部会発表資料

     

     

    皆様こんにちは。コンサルタント部会の都築と申します。高い所から失礼いたします。よろしくお願いいたします。コンサルタント部会では今年も慣例によりマクロ経済について昨年後半の回顧と、2010年の展望につき、これをまとめコメントさせていただきます。シンポジュームの前に部会を開催いたしまして、参加者のご意見を伺いました。いろいろなコメントをいただきましたが、時間も限られていますので、この発表は部会のコメントを集約し、私の方で肉付けしたものを発表させていただきます。

    まず2009年なんですけども、ブラジル政府の発表によれば、7月-9月の実質国内総生産率、GDPは前期比1.3%の伸びとなり、対前年同期比ではマイナスであったものの、4月から6月期に引き続き2期連続でプラスとなりました。

    10月から12月の期についてはまだ発表されていませんが、大方の予想では2009年の年間成長率はゼロに近い数字になるであろうと言われています。ここに書いてある表にありますのは中銀が発表している数値ですが、2009年は成長率が昨年比0.2%ということになっています。

    全体としましては、政府予想を下回る数値であり、成長というよりも、2009年は経済の回復が確かな基調となった年といえるかもしれません。実際に工業生産率や失業率など主な数字は特に後半にかけて回復を示す数値が統計に表れています。

    また中銀や政府の発表では、ここにもございますように、2010年は5%の成長は可能であるという予想を立てている。もしくは、うまく行けばさらに5%を超える成長は可能であろうかと、そういうふうに言われています。

    では次に、具体的に2009年がどんな数字であったのか、主な数字について見ていきたいと思います。まず主要国際収支アイテムから見た貿易や投資の推移ということなんですが、表は2009年前期と2009年後期、つまり1年間の間でどんなような、特に皆様ご存知のように後半上向いているというのが数字に表れているのかどうなのか、そのへんを注視していきたいと思います。

    報道されていますように、経常収支全体のトータルとしては非常に悪かったということが言われています。それで月ごとに見ていきますと、そこの右側の一番上ですけれども、サービス+所得収支が大幅に出超、マイナス169と。これは億ドル単位になっていますけども、非常にここが増えていると。このサービス+所得というのは、下の貿易は物の貿易でして、物以外にサービスの貿易というのもあるわけですね。

    つまり輸入輸出、特にブラジルの場合を見てみますと12月に相当な金額が出ているんですけども、まあ予想できるのは配当であるとか、それから個人が海外旅行に行って使うお金であるとか、それからトランスポーテーション、国際的なものの支払いとか、こういうものが増えたのかということなんですけども、細かいことはよく分りません。

    それから貿易収支の方は貿易部会の方から詳しいご説明があると思うんですが、そこの表にもございますように、前期と後期を比べてみますと、輸出・輸入ともそれぞれ増加しております。増加率では輸出よりもやはり輸入の方が増加していると。これは、輸出は相手の、輸出先の景気にもよること、やはりまだ中国を除いてはブラジルから輸出している先の景気は本物でないということであまり、特に昨年比もマイナスということで、それほど良くないと。

    ただし一応、後期のベースでは黒字になっております。それから直接投資なんですけども、この対外直接投資といいますのはブラジルから外に出て行く場合なんですけども、ここに書いてある83というのは逆に入ってきているお金なんですね。国際収支はプラスマイナス、出る金と入るお金で示しますので。この場合は配当であるのか、もしくは投資が減資したりして戻ってきたのか良く分りませんが、まあ金額的にはわずかですけども、そういうことで対外直接投資というのは戻ってきていると。

    で今度はブラジルに対する直接投資ということで、対内直接投資、前期と後期を見ますとそれほど伸びていないということで、2009年は、数字の上からはブラジルが注目を浴びてはいますものの、流れを見てますと急激に津波のように投資が押し寄せているという感じではまだないということが言えると思います。

    一方証券投資については、ご存知のように、ドルキャリーとか円キャリーとか言われまして海外から安い利息で資金調達してブラジルで儲けて引き上げるという投機的なお金が相当入って、今も入り続けているということですね。それから外貨準備高については前期と後期で伸びているということでございます。

    次に一番大事な工業生産指数なんですけども、このグラフを見ていただくと分りますように、昨年の12月にはどん底に陥りまして失業率も多かったんですけれども、それから右上がりの回復を示しておりまして、これは資本財だけでない全体の指数なんですけれども、12月はもちろん実働も日数も少ない、それから消費もクリスマス戦線はすでに終わっているということで少し下がっていますけども、基調としてはプラスになっていると。この基調は今年も続くのではないかということですね。それから、次のページお願いします。

    失業率ですけれども、これも非常にいい指数で、毎月にようにIBGEから発表される数字では失業率が下がっているということでございます。それからもう一つ、次お願いします。

    小売の推移を見てみますと、これも右肩曲線で、金融危機があってもですね、さほど影響を受けていないということで、これも非常に希望が見えるような数字だということでございます。それで、時間がないので急いで行きますけれども、まあ総じて言いますと2009年から2010年にかけて、たとえて言えば次のようなことではなかったのかと。

    病人の例を挙げますと、世界的に金融危機という病気で急に入院、ブラジルも信用供与が無くなって金欠病になって病院に入院したと。ところが元々体力はあったので集中治療室から早く抜け出して、一般病室に入ることができたと。それで2010年はめでたく病室から出て自宅で療養という感じではないかと思います。

    で、2009年の下期についてそこにまとめましたけれども、総じて2009年は中国やインドと同様、ブラジルは経済の回復が早い国の一つとして世界的にも評価されましたように、国際金融危機に対してすばやい対応を行った政府や中銀の経済政策が効果を発揮した年と言っても過言ではないと思われます。ブラジルはGDPの6割を個人消費が示すことから分るように、内需主導型の経済と言われています。

    金融危機以前からルーラ政権は貧困層に対して最低賃金のインフレ以上の調整を行い、これらの人々や中間所得層の購買力が増えて消費が伸びていたことは皆様ご承知の通りです。金融危機後もブラジルは特に資本資材だとか製造業の生産縮小ということが起きましたけれども、また一般工業も設備投資の先送りなどからマイナス成長というふうになりました。

    これが失業者の増大、消費の減退などを呼び、経済全体が負の方向へのスパイラルに陥るのではないかと危惧されました。しかし政府は金融危機後も融資の拡大や消費物資に対する減税などの財政政策をすばやく打ち出し、個人消費の大きな落ち込みには至らず、個人消費の拡大につながり、それが設備投資、また雇用を生み出すというプラスの方向への経済のスパイラルとなってきつつあります。というわけで2010年はブラジル経済の成長が期待される所以でもあります。次のページお願いします。

    部会でも皆さんの意見は大方、2010年は引き続き好調に推移していくであろうと。先ほどの病院の例じゃないですけども、病気からは回復してこれから元気になるために、美味しいものを食べてですね、力をつけていくという段階に入るのかと。

    ただこの好調さというのは、穏やかにいくのか、それとも力強くいくのか、この辺は見解が分かれるところだと思いますけども、全体としては引き続き好調というのが部会大多数の意見で、これは皆さんもそうではないかと想像しております。

    また、選挙の景気への影響はないと言ってよいのではないかというのも、皆さんの、まあ誰が政権を取ってもですね、経済政策はあまり変わらないのではないかというのがほとんどの皆さんの意見でございました。次のページお願いします。

    不安定要因ということについてちょっと述べさせていただきます。ブラジルはいつも、ブラジルハッピー、ブラジルは世界の将来の大国ということがあるんですけども、ここで一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、今世の中はご存知のようにグローバル経済化しているということで、ブラジル一国だけが問題ないとか、すばらしいという風には行かないんだということで、そういう外的な不安定要因ということも、我々としては透視もできないけれども、あるんだということをやはり頭に置く必要があるだろうと。

    具体的には2009年は流動的な投資マネーがブラジル証券市場に大量に流入して、為替はレアル高となり、米国や欧州の不況から輸出もあまり伸びず、エンブラエルら航空機産業や農業などの打撃となっています。さらにこれからも国内・国外からの過剰な流動資金が不動産やコモディティなどの投機的な動きをすることへの懸念もあります。

    以上のように、経済はグローバル化しているので、ブラジルの経済は好転しているとはいえ、外的な不安定要因によりブラジル経済が影響を受けるのは避けられないのは言うまでもありません。そういうわけでちょっと不安定要因を挙げてみましたけれども、石油と関連製品の国際価格、これもご存知のようにイランとかの核問題、これらですぐにまた敏感に動きます。

    それから鉱物資源と農産物の国際価格、鉱物資源も世界中で奪い合いになっていますから、中国も我々の会社にもよく来て、資源会社の買収をよくやっています。それから投資資金の流れ、これはご存知のように世界中流動資金が余っていますので、あちこちに探し回っているということですね。

    それから中国不動産バブル、12月には預金準備率を0.1%上げたらしいですけど、市場はいつ中国がこの過剰流動性を引き締めるのかということで注視している。それから長期的な米国のゼロ金利政策、またつい先月出ました現政府からの金融機関の規制ですね、これらももうすでに株式市場から資金引き上げ、それから新興国の為替は軒並み現地通貨安ということで影響が出てきていると。

    それから、これを書いた時点ではまだ出ていませんでしたけれども、ギリシャの国債の暴落、まあ今出てきていると。何か報道によりますとPIIGSと言うらしいんですけど、ポルトガル、ギリシャ、それからイタリア、スペインと、このへんの財政赤字から国債が暴落するんじゃないかということになっています。

    それから国内要因としては、先ほど、選挙の影響は出ないという風に思いますけども、常識的に見ますと公共工事が増えるというのは明らかだと思いますので、それからSELIC、基本金利が8.75で推移していった場合にやはり市場の余った金がどこに行くのか、不動産にいくのかとか、ということで、景気の過熱というのは資金が余っているということと紙一重なので、やはり中央銀行は非常に警戒していますから大丈夫だと思いますけども、やはりインフレに対する警戒と。

    で以上のことがどういうことに関係するのかということは、この後金融部会の方からもいろいろお話があると思いますけども、我々にとっては為替がどう動くのかと、それからインフレによって給与調整、いろいろな調整もどう変わっていくのか、それから輸入価格だとかそういう価格設定の問題が出てくるということです。

    まあいずれにしても、それ以外にも財政赤字の問題もありますけども、財政赤字は世界各国共通の問題でブラジルの場合は経済の基盤を揺るがすほどの大きな問題にはならないだろうという観測が、報道関係の方を読みますとよく出ています。まあ不安定要因というのを挙げましたけれども、いつの年でも不安定要因というのはあるわけで、まあ2010年は先ほどの部会員の総意でもありますように、明るい年となりそうだというのがコンサルタント部会の皆さんの総意です。

    それから最後ですけれども日本からの投資について、JETROさんの方からもいろいろデータをいただいておりますけれども、雪崩のように日本企業が進出しているということではないけれども、やはりアジア中心に動いていることは間違いありませんと。

    ただし問い合わせからすると、中国に続いて二番目に多いのがブラジルだと。まあ問い合わせるというのは投資するというのとは別と思うんですけれども、いずれにしてもこれから先ますます経済の交流が活発化することを願っております。以上です。ありがとうございました。

    司会:都築様、わかりやすくまとめていただきましてどうもありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。はい。

    質問:GDPの成長率でブラジル中銀の予測で2010年から13年まで、5.0、4.5、4.2、4.0と落ちていますけれども、中期的に落ちるという背景は、

    都築部会長:分りません。私も同じ疑問を持っているんですけども、はい。

    質問:この間マンテガが講演した時には今後4,5年はmedia5%と言っているので、ちょっと違うのかなと。大体4,5年の平均が5%ぐらいという風にマンテガの表には出ていたので、それとちょっと違うのではと。

    都築部会長:中銀は、これは中銀のサイトからデータを取っているんですけど、しょっちゅう変えるんですね。だからそれもあると思うんですけど、どなたかお答えできる人がおられたら教えてほしいですけど、下がる理由は良く分らないです。

    発言(鈴木さん):補足いたします。今の右肩下がっている数字は中央銀行が作成した予測じゃないんですね。中央銀行がフォーカスという、80社くらいの、エコノミストで80人くらいですけども、から毎月、月に2回予測を取っているんですよ。

    主にこれ全部金融機関です。それをまとめて発表しているのが一応は中銀予測、正確にはフォーカスというやつで、これはマーケットの連中がやっているものですから、先行きいろいろあって、ついこの間まではほとんど全部横に進んでたんですが、下がったのはユーロがおかしくなるんじゃないかという、国際マーケットで今非常に出ていまして、その影響だと思います。ですからあれは中央銀行が作成したんじゃなくて、中央銀行のアンケートで取った数字です。

    都築部会長:分りました。ありがとうございました。

    司会:ほかにございますでしょうか。それでは都築様どうもありがとうございました。また鈴木さんどうもありがとうございました。続きまして金融部会、宮原部会長よろしくお願いいたします。

  • 金融部会 部会長 宮原弘幸

    金融部会発表資料 (原稿)

     

     

    金融部会長の宮原です。2009年の回顧の2010年の展望について発表させていただきます。

    昨年の金融界は、2008年9月15日に起きたリーマンショックを受けたスタートとなりましたが、ブラジル金融界の1年の総括を一言で言えば“いち早く経済危機を乗り越えたブラジル金融界”と言えると思います。

    他の新興諸国と比べて、早期に金融危機を乗り越えられる可能性は高いと予想した金融アナリストは少なくありませんでしたが、実際に金融危機の金融セクター全体への影響は限定的で、非常に早いタイミングで回復を実現させたという点で、ブラジル金融界にとって画期的な年でありました。過去の経済危機と異なりまして、危機を短期間で克服出来た背景、要因を金融面にだけ絞って申し上げると以下の4点が挙げられます。

    一つは危機前に構築できていた潤沢な資金、2000億ドル超の外貨準備と金融システムの健全性。二つ目はブラジルの大手行はサブプライムの関連資産がほとんどなく、自己資本比率が国際的にもトップクラスの高い水準であったこと。三番目。これまでのインフレ抑制政策での成果をはじめとして、ブラジル中央銀行が国際金融界から高い信任を得ていること。最後に危機後もタイミングをみて市場への大量資金を投入する等、中銀の機動的な対応が奏功したということです。

    次に、金融危機発生前から現在までの主要経済指標の推移を、グラフを使って具体的に見ていきたいと思います。なお手元の資料とこのスライドの資料が、事務局に私が提出した印刷設定の誤りでちょっと違っております。こちらのスライドをご参照ください。

    このスライドは金融危機発生前から現在までの主要経済指標の推移をグラフ化したものです。まず為替レートですが、金融危機発生直前対ドル1.8台前半で推移していたレアル、金融危機以降、新興国通貨が軒並み減価していく中で急速にレアル安が進みまして、12月初めには2.5台に至りました。

    その後3月までは2.3から2.5の範囲で推移しましたが、4月中旬以降は外資の流入が進みレアルが買われ、5月には1.9台に突入、9月以降は1.7台で推移しております。年明け以降は米国政府による金融機関への投資規制強化の動きなどを受け1.8台で推移しています。

    次に株価ですが、株価の動きは、為替の動きに連動するように推移しております。BOVESPAは金融危機直前はすでにピークアウトの動きを示しており5万台前半でしたが、金融危機発生後急速に売られ、10月末に最安値2万9千台を付けました。

    その後年明け以降は急速に回復し5月に危機前のレベル5万台を回復、その後もブラジル経済の回復を受け外資の流入は進み、2010年当初は7万台を付けております。その後は、為替と同様若干売られており6万台半ばで現在推移しております。

    外貨準備にいきますと、ブラジル経済が危機以降いち早く立ち直った要因の一つが外貨準備ですが、この水準も金融危機以降は減少しましたが、国内経済の回復、海外のブラジル経済信任の高まりを受け増加傾向となり、現在は危機前を大きく上回る2400億ドルに至っております。

    続いて、為替、株価、外貨準備以外の金融指標について簡単にご説明申し上げます。まず、政策金利は7月までに5%の引き下げがありまして、その後は据え置かれています。一方、インフレ率はマクロ経済が、利下げと内需を主因に反転、堅調に推移する中で4.3%に留まり、インフレターゲット内で収束しております。

    また、カントリーリスクの代表指数であるEMBIは、金融危機以降大きく上昇しましたが、2009年末には192bpと、経済の回復を受けマーケットのブラジル信任度も戻ったことを示しております。ちなみに、ブラジルの1月末のEMBIは232、他の中南米諸国の数字は隣国アルゼンチンが739、ベネズエラは970となっています。

    続きまして銀行業界についてお話いたします。金融危機以降一旦減少した法人向け融資は年後半より増加に転じ、年間では1.2%の伸びを記録しました。また一方クレジットの回復を如実に表したのが個人向け融資の増加です。旺盛な個人消費を背景に19%以上の増加を記録しています。法人向け融資の増加幅が個人向けに比べ少ないレベルに留まったのは、金融危機以降の設備投資抑制、在庫調整の流れが内需による国内経済回復後も暫く続いたためと考えられます。

    それでは、2010年度のブラジル経済の展望についてお話いたします。消費者物価は2009年度比ではやや高まりますが、政府のターゲット内に収まる予測です。政策金利は年間で2.5%の引き上げを予測しています。また、為替は昨年末とほぼ同水準を予測する金融機関が多いようです。

    続いて当商工会議所加盟各行・各社の金利、為替レートの予測です。今年の予想は、金利・為替とも上下少しバラけたものになっています。これは、国内経済の成長に大きな意見の相違がない中で、選挙戦が金融指標にどのような影響を与えるか、世界経済の回復がどれだけ進むか、海外投資家のリスク許容度合いに変化があるのか、というシナリオにより異なる予想になっているようです。

    まず、金利ですが、足許比引き上げ方向に異論はないものの、タイミングと程度については6月末でみると9.25%から10.00%、12月末については、9.75%から11.75%の開きがあります。比較的上がらないと予想されているC行は、「世界経済回復の勢いが弱く、インフレリスクが限定的な中、選挙の影響もあり金利は予想ほど上がらない」とのシナリオに基づいていらっしゃいます。

    為替についても、年末レートでみると対ドル1.70から2.00まで開きがあります。足許のレアル安、BOVESPA指数低下をもたらしている海外投資家のリスク回避の動きが今後どの方向に動くかにより予想レートが異なってきているものと思います。

    次に過去2回の大統領選挙前後の主要経済指標の動きをごらんください。グラフの真ん中の縦線が選挙当月を指しており、その前後1年半の為替等の動向を示しています。

    ルーラ大統領が始めて政権についた2002年の選挙前後は、初の労働党政権成立の可能性が高まるにつれて為替、株とも売られました。政権成立後は比較的穏健な政策を遂行することが浸透するに連れ、為替、株とも上昇に転じています。

    一方、ルーラ大統領2選目の2006年の選挙前後は大きなトレンドの変化は生じていません。今回も現状の政策支持を指向するセーハ、ルーラ後継のジウマ何れが当選しても、それだけで金融指標に大きな影響は与えないというのが一般的な見方となっています。

    最後に今年1年の見通しですが、総論ではブラジルのファンダメンタルズは相対的に堅調であり、先進国対比高い経済成長率を維持し、安定的な成長を持続できそうです。過去数年間に、ブラジルのファンダメンタルズは著しく改善し、潤沢な外貨準備高をはじめ、かつてない蓄えを有しており、過去の経済危機を教訓に危機に対する備え、インパクトを支えるだけのクッションをこれまで対比作り上げていることは、昨年1年の成果として実証済であります。

    これに加えて、今年も中銀の政策、或いは金融システムの健全性といったブラジル金融界全体の大きな枠組みのところに大きな変化はありません。先程大統領選挙の影響については簡単に触れさせていただきましたが、大統領選挙を含め国内には金融の死角となるような要因は少なく、むしろアメリカをはじめとした先進国が懸念している景気の2番底も含め、もしあるとすれば予測しがたい国外要因の影響によるものではないでしょうか。

    ブラジルは相対的な優位性から世界の短期投資資金が大量に集まっているわけで、それだけ国際金融での異変が起こった際の反動リスクは高いと言えます。また最近では、ブラジルの経常収支赤字の大型化の懸念が表面化しており、ブラジル経済の持続的な成長に向けて、そして来るワールドカップ・オリンピックを控えて、各種インフラプロジェクトが目白押しであり、こうした資金調達を含めて政府・中銀がいかに上手く収支を舵取りするかが、例年以上に注目されます。

    そういう意味では、2010年は、金融の面でもブラジルの真の実力が問われる大切な1年になるのではないかと考えております。

    次に保険業界の2009年の回顧と10年の展望を簡単にご説明します。ブラジルの元受保険市場の収入保険料は、医療保険、運用型年金保険を除いて約2兆4千億円となって、9.2%増と堅調でした。

    種目別には、生命保険・傷害保険、火災保険・新種保険が2桁の増収。強制保険を含んだ自動車保険は4.8%増となっています。この自動車保険の伸び率が低いのは、強制保険の保険料計算基準が変更となった影響でありまして、自動車保険のみでは14%増収しております。

    貨物保険は、経済危機による物流の落ち込みを反映して3.3%減収しました。また、収入保険料に占める支払保険金の割合である損害率については、全保険種目で53.3%と前年比1.1pt悪化しており、特に、自動車保険は69.8%と2.4pt悪化しています。これは、盗難、強奪件数の増加に加え、天候不順による衝突事故件数の増加等が主要要因として挙げられます。

    2009年の業界の動きの特徴として、再編が活発に行われたことが挙げられます。イタウ-ウニバンコ銀行グループ゚とポルトセグーログループが自動車保険、住宅火災保険分野で提携、ブラジル銀行グループ゚とマフレグループの提携等により業界再編、寡占化が進みました。

    スライドを見ていただけるとお分かりのように、大手3グループのマーケットシェアは合計で55%に達しています。次に、保険業界を巡るもう一つの大きな変化である、再保険市場の自由化について簡単にお話します。

    自由化が実施されて2年が経過しますが、その間に海外の主要再保険会社が市場に参入し、自由化前に市場を独占していたIRB(ブラジル再保険院)はシェアを7割にまで落としました。再保険会社の登録は、保険法人形態のLocal6社、事務所形態のAdmitted21社、法人・事務所を設置しないOccasional49社の3形態がありますが、Local Reinsurerに認められている優先引受権が今年1月から60%から40%に引下げられることから、IRBのシェアは今年はさらに減少すると予想されます。

    2010年の展望ですが、ブラジル経済の今年度予想を踏まえると、収入保険料は、引き続き拡大傾向が続く一方、損害率の上昇に加えて、昨年政策誘導金利の大幅引き下げで影響を受けた運用益の回復が大きく期待できないことから、損害率が他種目比高い自動車保険については、保険料を引上げる傾向が続くことが予想されます。

    また、業界動向としては、ただいま申し上げたような経営環境の悪化、再保険の自由化、ソルベンシー基準、保険会社の支払い能力を表す基準の厳格化が今後も見込まれることから、業界再編、買収の動きは今年も継続することが考えられます。
    以上、発表をこれで終わります。ご清聴ありがとうございました。

    司会:宮原様どうもありがとうございました。ご質問ございますでしょうか。よろしですか。それではどうもありがとうございました。続きまして貿易部会、伊藤部会長よろしくお願いいたします。

  • 貿易部会 部会長 伊藤友久

    貿易部会発表資料

     

     

    伊藤です。貿易部会からの発表をいたします。貿易部会よりは2009年度ブラジルの貿易動向を中心に説明させていただきます。始めに2009年度の輸出入額の総括をいたします。

    開発商工省貿易局の統計データによりますと、ブラジルにおける2009年度の輸出総額は前年同期比22.7%減の1530億ドル、輸入総額は前年同期比26.25%減の1276億ドルとなりました。

    こちらの前方のスライドを見ていただくと分る通り、最近の、右肩上がりといいますか、過去最高額更新の傾向から一転いたしまして、2009年度は金融危機等の影響により輸出入ともに前年を下回る結果となりました。また輸出総額の22.7%減という減少額は開発商工省貿易局が統計の公開を始めた1950年以降で最大の下落幅となっております。

    次に輸出入額の差額である貿易収支についてお話します。こちらのスライドの黄色い折れ線が貿易収支となっております。2009年度は前年比ほぼ横ばいの254億ドルとなりました。昨年まで順調な伸びを示し、2009年に落ち込むという輸出入額とは異なり、貿易収支の方は2006年をピークに落ち込み傾向が続いているということになります。

    2009年度の前半、特に第一四半期は内需の減退により輸入額が大幅に減少したため貿易黒字は増加いたしましたが、逆に後半はレアル高等の影響により輸入商品に競争力が出たため、輸入額の増加が輸出額の増加を上回り、貿易黒字は減少しました。

    この点、次のスライドで触れさせていただきます。こちらのスライドは四半期ごとの貿易額を表したものであります。見てお分かりの通り、リーマン・ショック以降貿易額は一気に下がります。ただ、2009年の第二四半期は輸入の減少により貿易黒字が大幅に回復しております。しかしながらその後のレアル高の影響、堅調な内需により輸入総額が増加した結果、第二四半期をピークとして貿易黒字額が再び減少傾向に向かいます。

    このグラフを見て一つ言えることは、輸出入額ともに2009年第一四半期、もしくは第二四半期をボトムに増加傾向が見られ、流れとしては経済の回復基調が見られるのではないかと思います。以上が大まかな、2009年のブラジルの貿易動向になります。

    これから輸出入の取引形態ごとに説明させていただきます。まずは輸出に関してですが、2009年度の輸出総額は金融危機によるコモディティ価格の下落と主要輸出国における需要減退により前年同期比22.7%減の1530億ドルとなりました。

    カテゴリー別でも表に記載の通り、すべてのカテゴリーで減少になっております。一次産品が15.1%減の620億ドル、半製品が24.3%減の205億ドル、工業製品が28.2%減の666億ドルで、特に工業製品は前年同期比の927億ドルから666億ドルへと261億ドルの大幅な減少となりました。ただ、引き続き2009年も工業製品の輸出額が第一次産品の輸出額を上回るという過去の傾向は変わっておりません。

    簡単にカテゴリー別の詳細に触れますと、一次産品で最も減少したのが原油です。これは2009年前半の価格の下落が大きく影響を及ぼしていると思われます。一方で大豆は、前回の本会議でも説明しました通り、中国向けに大きく増加しておりまして、通年では微増となっております。

    次に最も減少幅の大きい工業製品ですが、アルゼンチン向けの乗用車、米国向けの航空機等が落ち込み、大幅な減少となりました。次に輸出相手国について説明します。輸出相手国上位10カ国は表の通りです。

    まず注目すべきは、2009年度初めて輸出相手国第一位になった中国です。中国は主要国の中で唯一輸出額が前年比増加となり、200億ドルを記録しました。中国向け商品で大幅に増加したのが、主に大豆、大豆かす、そして鉄鉱石等のコモディティとなります。

    次に注目すべきは米国です。金融危機により原油、航空機等の主要品目が大幅に減少し、156億ドルとなりました。後ほど説明いたします輸入額も減少はしているのですが、輸出額の減少の幅が大きく、米国との貿易赤字は過去最大の44億ドルとなっております。

    では相手国の中で大幅な減少となったアメリカ向けについて見てみます。米国向けの輸出について言えば、このグラフの通り輸出全体、輸出額自体は昨年までは若干ではありますが増加しております。しかしながら伸び率が低いため結果として全体に占めるシェアは2002年より毎年低下しています。

    また2009年度で言えば、ご覧の通り輸出額も減少し、さらにアメリカ向けの減少率が大きくなったため、全体でのシェアはさらに低下しております。すなわちブラジルはアメリカへの依存度割合が年々低下しており、その他の国への輸出が増えているということが見られます。

    ちなみに、08年のデータではありますけども、米国嫌いのベネズエラの場合、米国向けのシェアは輸出総額の29%に達しておりまして、ブラジルとの対比が見られます。次のスライドで、ブラジルの全世界の取引状況を見ます。この円グラフは輸出総額に占める地域別のシェアを示したものです。

    中国が大幅に輸出シェアを伸ばした結果、アジア向けの金額が26%、EU諸国が22%、中南米・カリブが23%となり、この3地域で全体の7割強を占めることになります。そして次に来るのが米国であり、先ほど説明しました通り実はブラジルの米国への依存度というのは低いことが見て取れます。

    ブラジルの輸出はアジア、欧州、中南米と相手先のバランスが取れた形となっております。輸出の説明の最後にトピックスとして、ブラジルの強みの一つになるであろうと言われているエタノールについて少し触れさせていただきます。

    スライドは2008年度と2009年度の輸出額と量になります。ブラジルのエタノール事業は順調に拡大していると思われますが、2009年度は輸出に関しては見てお分かりになります通り、米国向けの減少幅が大きく影響して、結果として輸出額は大幅に減ることになりました。

    しかしながら韓国や日本およびインド、こちらは順調に増加しておりまして、今後とも、米国の回復しだいというところもありますが、エタノールの輸出というのは増加傾向が続くということになると思います。

    ここからは輸入について説明します。2009年度の輸入総額は、前年比26.2%減の1276億ドルでした。カテゴリー別では資本財が17.4%減の297億ドル、原料・中間財が28.1%減の597億ドル、消費財が4.5%減の215億ドル、燃料および潤滑油が46.8%減の167億ドルとなり、輸出同様にすべてのカテゴリーで減少を記録しました。

    しかしながら、消費財について言えば、金利の引き下げや政府の補助金による中間層以下の購買力向上によって、微減にとどまったと言えます。また、消費ブームは続いており、ブラジルのショッピングセンター協会の発表によると、国内711のショッピングセンターのクリスマス期間の総売り上げ高は家電等の牽引により、前年比11.3%増の116億ドル。年間でも10%増の455億ドルとなっているそうです。

    次に輸入相手国について見てみたいと思います。輸入相手国上位10カ国はこの表の通りでありまして、すべての相手国に対して減少という結果になっています。米国が21.9%減の200億ドル、中国が20.6%減の159億ドルです。また3位のアルゼンチンは14.9%減の113億ドルになりますが、自動車の輸入は増加しております。

    自動車については後ほど他の点とあわせて簡単に触れさせていただきます。こちらは輸出同様に地域別シェアについて作ったものです。輸出同様に地域別のシェアの順位は変わっておりません。また輸入になると、米国の割合は輸出に比べて5%増加しますが、輸出同様にアジアが一番、EUが二番、あと中南米、米国と続き、全体的にバランスが取れているグラフとなっております。

    2009年度のトピックスとして、自動車に関して少し補足させていただきます。自動車全体は長谷部さんから後ほどプレゼンがありますので、ここでは輸出入という観点で簡単に触れさせていただきます。ご存知のようにブラジルは世界的な不況の中、国内販売台数が過去最高を更新するという結果を残しております。自動車の貿易の結果を見てみると、国内販売は台数は確かに増加しましたが、輸出総額は大幅に減少しております。

    一方でブラジルの国内販売の好調さを反映するがごとく、輸入総額は増加しています。また輸出はトップ10すべての国で金融危機の影響により需要減退が進み、減少という結果になっています。特にアルゼンチン、ドイツ、メキシコの上位3カ国で減少額の大半を占める結果となっています。一方輸入は、自動車だけにフォーカスを当てると、前年比2.3%の増加という結果になっています。流れとしては欧米からの輸入が減り、韓国、アルゼンチンからの輸入が増加するという傾向が見られます。

    次に対日貿易という点について話をさせていただきたいと思います。2009年度の対日貿易は輸出が前年比30.2%減の43億ドル、輸入が22.1%減の54億ドルとなり、全体の傾向と同様に輸出入ともに減少となりました。その結果、2009年は前年の日伯間の往復貿易額である129億ドルから大幅に減少し、100億ドルをも下回る96億ドルという結果になっています。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出が2.8%、輸入が4.2%で、国別順位では輸出入ともに前年の6位、5位から変動はありませんでした。

    また2008年に引き続き、日本の需要減少等により、対日貿易収支は赤字となっています。なお前年度のブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出で3.1%、輸入で3.9%でした。すなわちシェアとしては日本向けの輸出が減り、日本からの輸入が増えたということで、短絡的に考えると両国の金融危機からの立ち直りの度合いの差が出てくるような感じが見受けられます。

    最後に2010年度の見通しについて少し触れたいと思います。1月15日付のブラデスコ銀行の予測では2010年通年の輸出額は1699億ドル、輸入額が1602億ドル、貿易収支は96億ドルで、輸出入額ともに増加しますが、貿易収支が今年度比50%落ち込むとの見込みです。

    なお2010年1月の貿易収支は、マイナスの1億6600万ドルとブラジル政府が発表しております。この赤字額は2009年1月の赤字より少ない一方、2009年12月が21億7800万ドルの黒字であったことから、前月比ベースでは大幅な下落となっております。この点ブラジル政府も非常に気にしていると言われています。

    また、今後の為替の動向にもよりますが、レアル高による輸出企業の競争力低下、またオリンピック、ワールドカップに向けての国内インフラの整備のため、さらなる輸入増も考えられます。貿易黒字の減少傾向というのは、今後も続いていくのではないかと考えられております。

    ブラジル政府はエタノール燃料輸出促進のイベント開催等、輸出額回復のための策を検討しているとの事ですが、今年度は大統領選挙を控えていること等から即座に回復に結びつく可能性はあまり高くないと見ています。2009年度は2008年から始まった全世界での金融危機による不透明な世界動向の中で始まり、推測が非常に難しい状況でありましたが、流れとしてはブラジルの景気は世界に先駆けて回復傾向に入り、定石的な面から見ればやはりブラジルは世界の中でもさらに期待できる市場へと進化すると考えています。そんな流れを感じさせる2010年のスタートではないかと我々は思っています。

    ブラジルの強みである4つのポイント、一つ、国内市場の大きさ、二つ、豊富な鉱物資源、農業資源、エネルギー資源、三つ、金融機関が依然として健全であること、四つ、民族、宗教の対立のない、テロのない安定した国であること。これらを考えれば長期的にブラジルの成長は止まらないと信じています。本年は選挙の年であり、当面は景気刺激策と人気取り政策が継続され、本年度中の経済の冷え込みは考えにくいと考えています。

    一方で財政赤字の拡大、レアル高、インフレリスク、中国経済の影響度拡大といった懸念事項があり、これらの懸念の払拭が今後のブラジルの持続的成長のために必要な点と考えています。前回も申しましたが、日本とブラジルは補完関係にある国同士でありまして、ブラジルの日本におけるプレゼンスを高め、逆に日本のブラジルにおけるプレゼンスを高め、さらなる関係の強化、そしてその結果の実現を切に望みつつ、貿易部会のプレゼンを終わらさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

    司会:伊藤部会長どうもありがとうございました。ご質問ございますでしょうか。じゃあどうもありがとうございました。続きまして機械金属部会、西岡部会長よろしくお願いいたします。

  • 機械金属部会 部会長 西岡勝樹

    機械金属部会資料

     

     

    ただいまご紹介にあずかりました日立製作所の西岡でございます。それでは機械金属部会2009年の回顧と2010年の展望についてご説明させていただきます。聞こえますでしょうか。

    ご存知のように機械金属部会は多種多様な業種分野に分かれております。今回はこの1から10の業種分野についてご説明させていただきます。

    それではまず鉄鋼鋼板分野。前々回、昨年なんですが、この業種説明会ではお天気予想で説明させていただきました。好評につき今回もお天気で。鉄鋼分野、2009年の回顧は、曇りでございました。その概況は。国内。まず上期、マイナスの42%、ただし7月以降は順調に回復しております。

    下期は上期比でいきますとプラスの36%。ただし通年でいきますとマイナスの26%にとどまっております。輸出。国内需要減カバーのため輸出ドライブをかけた結果、プラスの41%と大幅増になりました。輸入。ミルの国内供給力アップもあり、前年比マイナス24%。例年に比べては高水準でありました。それでは2010年の展望、薄日と予想されております。これの概況ですが、国内は昨年下期より順調な販売レベル維持を期待しております。通年で15%のプラスを予想しております。

    輸出は、国内需要堅調に推移するだろうと。タイトな状況が続くと予想されております。輸入分野では昨年末のCSNのトラブルがあり、緊急輸入もあって前年比大幅増の予想をされております。

    ということで2010年の展望を、今回ちょっと色をつけまして、降水確率で表現させていただきたいと思います。では降水確率、2010年の天気は何%でしょうか。10%です。これは、傘はいりません。

    次は電力および大型プロジェクトについて。2009年の回顧、まあ天気ですけども、これは曇り時々雨。という状況でした。その概況を申しますと、まあペトロブラスの大型投資が継続されて、これが経済の牽引役で原動力、波及効果が大きかったと。

    ただし全般的には金融危機の影響があり、新規投資の見合わせなどが出ております。ただし大型プロジェクトとして続々出ておりますので、例えばモノレールのプロジェクトとか、ご存知のように新幹線のプロジェクトが起こっております。で2010年のお天気は、薄日でございます。

    この状況を言いますと、ペトロブラスの旺盛な投資にやはり期待が高まっております。モノレールの案件、入札も発表がありました。また新幹線のプロジェクト、これは進捗状況にもよりますけども、それとは違ってエネルギー関連の設備、環境関連の整備に期待が高まっております。

    まあ具体的な例として船舶機械、VALE社から造船の発注あり賑わいを見せているという報告も受けております。それでは2010年の降水確率、10%です。これも傘はいりません。

    次にプラント。紙パルプ、石油化学、エタノール等の分野です。2009年の回顧、お天気はどうだったんでしょうか。くもり時々雨でした。その概況を申し上げますと、紙パルプ、この分野は金融危機で需要が相当落ち込みました。輸出価格の下落、でいましばらくは回復は見込めずという状況でございます。

    石油化学分野ではやはり先ほどいいましたペトロブラスのみが好調な業績で、投資意欲に支えられておると。鉄鋼・非鉄分野では、後半景気回復いたしまして、投資計画などが発表。明るさが少し見えてきたと。エタノールでは需要の落ち込み、業界の再編などがあり、まあ具体的には設備投資は進まなかったという状況でございます。

    それでは2010年のお天気、展望は、薄日ですね。この状況を見ますと、紙パルプ、これはまだ世界経済の安定次第で再開は2011年ごろではなかろうかとということです。石油化学、これは依然ペトロブラスが旺盛な投資がありますので、ただしその他の石油化学分野、会社ですね、どこまで投資を具体化できるかが鍵となっております。

    鉄鋼・非鉄分野では、需要回復基調でございます。商談増に期待がかかっております。エタノール分野も、先ほども申しましたが業界再編が進展中でございますと。まあ現在はまだちょっと不明な状態ですということで、天気、降水確率は10%。これも傘は今のところいりませんという状況でございます。

    次に建設機械。これは2009年の回顧としましては薄日だそうでございます。概況といたしまして、総需要台数、2009年の3クォーターが底で、4クォーター、後半からが低利子、FINAMEという低利子の金利融資がございますが、これが寄与しまして上昇傾向にありますと。生産台数の推移も2009年2クォーターは在庫調整をしておりましたが、3クォーターから通常稼動に戻っております。

    で2010年の展望は、曇りでございます。概況といたしまして、総需要台数、2010年の上半期は上昇傾向が続くと予想されております。が、下半期、大統領選挙の前後の需要縮小リスクというものも懸念されております。生産台数でいきますと2010年は生産量は2008年と同レベルと予想されており、降水確率はちょっと20%くらいで、傘は微妙な状況だということでございます。

    5番、産業用の圧縮機。2009年の回顧でございますが、雨時々嵐でございました。その概況は、食品業界では2009年、前年比がなんとマイナスの30%ですと。全体として9月まで新規の投資がございません。ただし10月以降受注、見積もり案件が増加傾向に転じたと。

    ただし大手食品業界の統合再編などがあって、少し苦労しているという状況だそうです。あとペトケミ関係で申しますと、2009年の前半は前年比マイナス50%と、まあ陸上プラントの延期・中止とまた受注減が重なったということでございます。

    それでは2010年の展望として、これも薄日でございます。その状況は、食品業界、2010年、一応プラスの30%を予想しております。冷凍冷却設備、低金利融資の影響で回復基調を予想しておりますと。

    しかしまだまだ大きな設備投資は控え気味であるということです。で、最新の技術を使い新市場開拓への展開。またはワールドカップ、オリンピックへの設備投資を期待しております。ペトケミ関係ではまあプレサル向けのプラットフォーム、新規投資計画への動きがございます。ということで、ほぼ降水確率は20%で、傘は微妙ということでございます。

    6、電動工具。2009年の回顧、曇りでございますと。その状況は、2009年上期金融危機の影響でやはり低迷がございましたと。しかし後半にかけて徐々に回復、2008年並みの売り上げを達成できたと。地域的にはサンパウロの落ち込みは激しいが、投資が著しい北部、北東部諸州がカバーしている内容だということでございます。

    2010年、えー、薄日でございます。その状況は、2010年は大統領選挙もあり、建築、インフラが活況の見込みでございます。GDP並みの売り上げを期待していると、GDPの成長率ですよね。農業関係向けのエンジン製品ということで、修理店網を充実させ、伸びており大きな柱になりつつあるという状況だそうでございます。それで、降水確率は10%、これは傘はやはりいりません。

    7、農業機械。2009年の回顧、これは雨時々晴れ。薄日です。状況は、エンジンビジネスでいいますと、2008年末、急激に需要が冷え込みましたと。ただし2009年の2月まで低調が続き、3月から回復の兆しと。2クォーターでは対前年比一応95%まで回復したということでございます。

    トラクタービジネスでいいますと、小規模農家の支援策、例えば75馬力以下のトラクターが低金利融資政策により活況を呈していると。2008年以上だということですね。まあただし採算面では厳しいという報告を受けております。

    2010年の展望、これは晴れだそうでございます。概況は、エンジンビジネス。1月現在、好調だった2008年の水準まで回復しておりますと。2010年の販売は前年比117%を見込んでおります。トラクタービジネスでは低金利政策により小型トラクターが引き続き好調を維持すると予測しております。で、降水確率10%、傘はもちろんいりません。

    8、各種工具、精密機械。切削、耐磨工具なんですが、2009年の回顧、雨時々曇り。その概況は、切削工具、2009年2月やはり底でした。ただしゆっくり回復して、10月以降は回復の手ごたえがございましたと。これはまあ自動車生産の回復、部品メーカーが軌道に乗っていると、ただし一部には以前のレベルにはまだ戻っていない会社もございますと。

    耐磨耗工具、下期は増産基調でございますと。鉱山工具も下期に回復基調だということでございます。

    2010年の展望、薄日でございます。状況は、切削工具、2009年度下期実績の15%以上の伸びを期待しております。耐磨耗工具は鉄鋼業界の投資の動きがあり、引き合いも順調で期待ができる。鉱山工具、ワールドカップ、オリンピックに向けた土木工事に期待をしております。精密機械工具につきましてはまだまだ厳しい状況でありますが、まあ回復基調であり、10%アップを期待しております。で、降水確率でいきますと、10%、またまた傘はいりませんと。

    軸受業界、これはどうでしょうか。2009年の回顧、曇り、晴れ、雨。曇り時々晴れ、そして雨だそうです。その概況は、自動車向け軸受は対前年度比103%でした。一般産業向けも農機、家電、モーター等政府支援の産業は回復基調にございます。鉄鋼、鉱業、エタノール、工作機械はやはり需要減で、投資の延期などで低迷を迎えておりますと。まあただし現在は緩やかに回復傾向にございます。ただしレアル高の影響で、中国製品の流入で一部苦戦をしております。

    2010年の展望といたしましては、薄日でございます。その状況は、自動車、二輪、客先生産の予定の動きがあり、自動車は対前年度比で103%、二輪では対前年比116%。期待が大きい、でございます。一般産業向けでは2010年回復傾向が続くと予想されております。2008年のレベルまで回復。対前年度比では116%を期待しております。ただし、これは前期と同じなんですけども、レアル高の継続、輸出型のお客様は回復はまだじゃないかということだそうです。それで降水確率は10%、これもまあ傘はいらないでしょう。

    最後なんですが、潤滑油の市場は、2009年の回顧、雨時々曇り。その概況は、2009年、金融危機の影響をやはり大きく受けました。対前年度比ではマイナスの20から30%の販売の落ち込みでした。ただし後半、90%までは回復してきております。世界経済の冷え込み、航空機械関係の冷え込みが心配しておりますと。安価な中国機械が流入して潤滑油の需要も間接的に減少していっているという報告を受けております。

    2010年の展望としましては、曇りです。その概況は、2010年、まあ回復傾向が見込まれ、2009年を上回り2008年度の数量に近づくんではないだろうか、まあ2009年の10%増の期待はしておりますと。ただしレアルの高い水準が続くと輸出関連企業の回復は鈍いんじゃないかということで、まあ降水確率は10%、これも傘はいりませんということでございます。

    それで機械金属部会全体の2009年の回顧はどういう状況ですかと、お天気でいいますと雨時々曇りでございました。その概況は、2009年は世界金融危機、経済危機の影響を受けてスタートした年でありました。前半は厳しい見通しではありましたが、政府の自動車、家電へのすばやい減免措置で危機の影響は大きくは広がらなかったんじゃないかと思っております。

    で、2010年の展望でございますが、薄日が差すだろうと。その状況は、まあ確かに2010年は、今年の一番の焦点というのは何と言っても大統領選挙でございます。政治、経済政策の行方がどう変わっていくのか、注目したいと思います。ただし、経済の回復、発展の基調は変わらず、成長は継続していくことでしょう。で、降水確率は10%。傘は、いりません。どうもありがとうございました。

    司会:えー、内容に関係なく元気のある発表ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。はい。

    質問:大統領選挙があると需要が増えるのか減るのかということなんですが、4番目の建設機械では大統領選挙前後の需要縮小リスクありとあって、6番目の電動工具では大統領選挙もあり建築・インフラが活況の見込みとあるんですが、これはどういうふうに理解したら。

    西岡部会長:すいません、あとで聞いて発表させていただいてもいいでしょうか。業界が違うもので、申し訳ございません。

    司会:では後ほどご回答をいただくということにしたいと思います。他にございますでしょうか。それでは次に参ります。自動車部会、長谷部部会長よろしくお願いいたします。

  • 自動車部会 部会長 長谷部省三

    自動車部会資料

     

    自動車部会の長谷部でございます。タイトルは皆さんと同様で2009年のレビューと2010年の展望ということで、ここの目次に基づいて発表させていただきます。

    毎年言っているんですけども、西岡さんの後、淀川長治ばりの発表の後非常にやりにくいんですけど、大人しく、しっかりと内容を説明していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。次スライドお願いします。まずは四輪の動向についてでございます。お願いします。

    昨 年の年初にですね、日系メーカー2社の予想ということで、243万台の予想ということでお話を申し上げまして、その後自動車工業会のANFAVEAが 271万台、7月には300万台という予想をしたわけなんですけど、結果的に314万台ということで史上最高のマーケットになりました。この内容という か、バックアップした要素につきましてはIPIの減税と国内経済の回復ということが主要因だったということでございます。次お願いします。

    次に月別の状況を見てみますと、3月、6月、9月、12月にピークが来ております。これは皆さんご存知の通り、それぞれの月にIPIがいったん切れるということでございましたので、その駆け込みがございまして、かなり前年を上回った実績になっております。

    こ の駆け込みが故に、年間の台数も一昨年度を上回ったのではないかと思います。もう一つ特に注目すべきはですね、オレンジのラインで示しておりますが、これ はトラック・バスの前年比の状況でございます。年後半にかけてかなり伸びてきております。これはまあ、自動車業界だけじゃなくて、やはり経済を反映してい るのではないかというように考えております。次お願いします。

    IPIでございますが、乗用車につきましてはここの表にございます通り、 Flex車は今年の3月まで今のIPIの減税が継続いたします。商用車・ピックアップ関係およびバス・トラックに関しましては6月まで現状のIPIが続く ということで、この期間については業界としては安心かなという状況でございます。次お願いします。

    今までが販売の話でございましたが、生 産でございます。生産台数も318万台ということで一昨年から若干台数としては落ちてきております。まあここは、貿易部会から発表がございました通り、輸 入車が増えてきております。逆に輸出が減ってということが、市場が伸びているにもかかわらず生産台数が伸びなかったということになるかと思います。次お願 いします。

    販売の中身を見てみますと、1リッター未満と1リッター以上というふうに分けてみますと、2008年までは1リッター未満の車 がだんだん減ってきていたという状況でございますが、まあIPIで買いやすくなった限界層のお客さんが市場に入ってきたということで、若干でございますが 1リッター未満の車が増えたというのが昨年度でございます。次お願いします。

    支払い条件別に見てみますと、キャッシュのお客さんが増えま した。かなり金利が下がって、予想としてはクレジットおよびリースが増えたんじゃないかというようなことでございましたけども、結局金利が下がったとして も与信の条件の厳格化ということがございまして、実は買っていただいた支払いというのは現金が増えているという結果でございます。次お願いします。

    先ほど申し上げました通り、販売台数の中の国産車と輸入車の台数というのはこういう実績でございます。それとマーケットの在庫でございますが、2008年末に比べまして昨年末の在庫日数はそれぞれメーカー・販売店ともかなり減ってきております。次お願いします。

    これも貿易部会の方からございましたですが、韓国車の輸入が増えたということでございますが、ここにメーカー別に見てみますと、昨年までトップ3に入っていなかったHYUNDAIが昨年度の輸入車の中ではナンバー1ということになってきております。残念ながらKIAの数字が取れませんでした。次お願いします。

    2010年、本年度のマーケットの予想でございますが、これは自動車工業会ANFAVEAの数字を使わせていただいてますが、本年度のマーケットは340万台、前年比で言いますと8%増ということになると予測しております。生産台数も同様に約、国内マーケットと同様の約340万台前後の生産台数になるとの予想でございます。次お願いします。

    各メーカーの投資の計画でございます。これは新聞に載ったのをそのままリストアップしているだけでございまして、実際に実施するかどうかというのと投資金額については定かではございませんですが、2009年と2013年の差を足しますと100万台以上の差がございまして、このまま実現すれば各メーカーとも積極的に投資をして、この伸びるブラジル市場に備えようという意図がしっかりと見て取れると思います。次お願いします。

    引き続きまして、二輪市場についてご説明申し上げます。二輪市場は四輪とはまったく色が異なっておりまして、ここにあります通り158万台、前年比84%。生産につきましては146万台、前年比68%ということとなりまして、まだ在庫調整の局面というふうな状況でございます。輸出についてもですね、下の折れ線グラフで示しています通り、6万1千台ということでかなり減ってきております。輸出先の市場低迷が影響したのではないかということでございます。次お願いします。

    月別に見てみますと、棒グラフの推移と折れ線グラフの推移が大きく違っておりますが、一昨年度の2008年の10月以降の台数が非常に少なかったものですから、前年比としては10月以降の数字が100%を超えるということになっておりますが、実際数としましてはまだまだ本格的な回復には至っていないというふうな現状でございます。次お願いします。

    二輪のほうの支払い形態別の推移でございます。ここは四輪と同様にですね、リース・クレジットが減って、ここはコンソルシオが増えたというふうなことでございます。やはり与信基準ということが影響してリース・ファイナンスが減ったというふうな分析結果でございます。次お願いします。

    部品業界でございます。残念ながら直近のデータが取れませんので、2008年の予測ということで、まあここのグラフを見ていただきますと2008年までは順調に国内市場が伸びてきております。こういう状況でありまして、多分2009年の部品の売上高の推移としても四輪の生産台数あるいは販売台数同様の伸びを示しているんじゃないかというふうに想像されます。次お願いします。

    課題でございましたブラジル経済の動向ということでございますが、メンバーの意見を総合いたしますとブラジル市場は、自動車産業は手堅い国内需要に支えられて今後も順調に推移するだろうということでございます。ただし、マクロで見ますと、これも他の部会でも報告がございましたですけども、やはり世界経済の動向に左右される部分があるだろうと。

    まあこれはアメリカ経済の回復度合いであり、かつ中国のバブル経済の破綻があれば、ブラジル経済も影響を受けるであろうということです。2番目にやはり為替の問題で、これは輸出入だけに関わらず、経済自身に与える影響が出てくるだろうと。

    3番目に、ここではドバイの経済危機、直近ではギリシャの経済問題ということでございますけども、こういうまだ表面に出ていない部分があるんではなかろうかと。そういうことが出てきた場合については、それはやはりブラジルといえども影響を受ける可能性が高いんではなかろうかと。

    それと、自動車業界が抱えるリスクといたしましては、昨年度2009年の市場が396とIPIのおかげでというふうなことでも過言ではないような市場の動きをしたと。じゃあIPIなかりせばということは、これが一番の大きなリスクではなかろうかというふうに思います。

    特に選挙については、そのマーケットに与える影響というのは軽微であろうというのがコンセンサスでございます。後ほど移転価格税制の件についても話があると聞いておりますが、生産産業にとっては今回の新しいIPIの制度というのは、たいへん大きなインパクトとを与えて、悪いインパクトになります。

    多分これが施行された場合については、生産事業の投資意欲というのは大きく殺がれてですね、たいへんなことになるんじゃなかろうかというのが、私どもの会社もそうですし、まあもう1社さんにも聞きましたところ同様の答えでございましたし。ということでですね、一回多分会員の皆さんで100%このインパクトについて分かって、というか、ご理解いただいていない方がいらっしゃると思いますので、ぜひセミナーとかですね、そういうことを開いていただいて、特に生産関係の会社におかれましては、しっかり理解した上で対応というか、対応どうしようもないんですけど、考えられたらいかがかなと。

    ちなみにANFAVEAおよびSindipecasはすでにこの移転価格税制について反対の意向を示しておりまして、もうロビーをはじめております。ということだけをご報告させていただきます。以上でございます。

    司会:長谷部部会長ありがとうございました。先ほどの移転価格税制につきまして追って日伯法律委員会から説明がございますけども、それとは別にですね、一度整理をしてセミナーを持ちたいと思います。それでは前半最後になりますが、電気電子部会、三好部会長様よろしくお願いいたします。

     

  • 電気電子部会 副部会長 三好康敦

    電気電子部会資料

     

     

    皆様こんにちは。電気電子部会の三好です。一応コーヒーブレイク前の最終のプレゼンテーションを務めさせていただきます。よろしくお願いします。

    まず電気電子部会の構成なんですが、一応今回アンケートを回答いただいた12社のうち、3社が民生機器、家電ですね、皆さんが一般家庭で使われている機器を扱っているメーカー様。あと2社が精密事務機。あと電子部品関係も2社。そして通信、電力、楽器、時計、あと音響でそれぞれ1社ずつでした。

    そういう意味では多岐にわたって使われている電子機器の、1社のみのところもございますが、その辺の意見で全体の流れがつかめるかと思います。それでは2009年の回顧、2010年の展望についてお話させていただきます。

    まず電気電子業界の全体の規模についてです。一応電気製品の需要は経済の回復とともに2009年の後半から回復して、オーディオビジュアル、白物家電は前年比のほぼ100%を達成したというような状況でございます。また減税措置を受けた白物家電、あとパソコン、IT関連、あとFA、産業機器は前年より微増と。で、業界全体では前年比の98%、まあほぼ横ばいというような結果でした。次お願いします。

    こちらはマナウスフリーゾーンの生産動向です。まずテレビにつきましては、薄型化が進んでいますが、台数的にはまだブラウン管が多いような状況です。2010年度はたぶん薄型がCRTを追い越すということになるかと思います。あとデジカメも引き続き成長してますが、多少成長は減速化しています。

    自動車の販売は、先ほどの長谷部部会長の説明の通り好調でしたが、一方でカーオーディオは失速状態であるというようなことです。たぶん車を皆さん購入されてカーオーディオまで購入するまでお金が回らないのか、ということかと思います。あと電子レンジの生産台数も伸びてきていますが、これは低価格、ローエンドモデルが輸入に切り替わっていたものが若干マナウスの現地生産に戻っているということからです。次お願いします。

    マナウスフリーゾーンにおいての輸出入、雇用状況についてですが、一応前年比で全体の大体7割ぐらいと。このマナウスフリーゾーンはもちろん電子産業が所在しているんですが、あと二輪産業もマナウスの方ですので、まあ電子産業の若干の縮小よりかは逆に二輪の産業の落ち込みがこの数字に表れているかと思います。参考までに雇用の数についても、1万5千人減少して2006年以前のレベルまで後退しているというような状況です。次お願いします。

    テレビの価格状況です。クリスマス商戦では一応多くの販売店で前年比二桁増の実需が確認されていますが、一方でやはり小売店での競争が激化、メーカーの在庫完売対策も加わって、いったん値上げした市場価格が大きく乱れる結果となっております。

    参考までに例えば、32インチのLCDテレビですが、2009年1999レアルとありますが、年末店頭では1699まで下がっているというようなことがあります。薄型テレビは金融危機で各社生産を落として、2009年度の前半供給を絞り込んでいましたが、一応7月以降経済の回復に伴い需要が増加して、生産が追いつかないというような状況がずっと続いていましたが、年末に一応供給が追いついてその関係で価格下落になってしまったと。

    あと流通の大型再編でポン・デ・アスーカルグループがポント・フリオとカーザス・バイーアを買収しました。まだこれは独禁関係でCadeの承認待ちではありますが、今後の動向は要注意の案件だと思います。次お願いします。

    部会参加企業の2009年の回顧としまして、白物家電、あと車の減税でこれは直接需要の回帰になりました。あと、経済回復で薄型テレビも、先ほど申し上げた通り7月以降需要が逼迫して年末には供給がやっと追いついたというような状況でございます。

    あとB2Bの業務用機器・機材の販売も下期には強い回復を示したと。あと電力通信のインフラ投資も順調に進んだと。ただし一部為替とかあと競争の中で案件の取り合いで収益面が厳しかったというふうに伺っております。

    売上実績については、アンケートでは一応「成長・維持・縮小」という形で回答をいただいたんですが、まだら模様で、4社ずつと分かれた結果となりました。で、総合の評価については一応計画通りという回答が3分の2、悪かったというのが3分の1と、良かったという回答は一つもなかったというような状況です。

    やはり輸入財が多いこの電気電子分野では、大半の企業の方達はやはり為替変動に非常に悩まされたと。年初のレアル安、でレアル高、これが原価ドルベースで末端の市場もドルの連動で値下げを要求してくる一方、固定費の吸収等といろいろ厳しいというような話が部会の中で出ました。

    あと最終消費者向けの販売をしている所では、やはりそのSubstituicaoTributaria等の対応で、一部では業務の支障が生じたり、あとはこのSubstituicaoTributariaにともなう値上げ交渉で販売に悪影響を及ぼしたというようなコメントも受けました。次お願いします。

    2010年の展望についてですが、まずはこのサッカーワールドカップなどはテレビの需要引き続き、テレビの販売は好調であろうと。あと大統領・州知事選挙の経済波及効果に、まあプラスの方向に働いて行くべく期待をしていると。しかしながら金利政策、あと為替動向、あと今後の投資動向、でさらには韓国、中国勢の競合、この辺を非常に部会のメンバーは懸念されております。

    あと先ほどお話のあった移転価格税制、あと電気電子の分野で言いますと、プラグ法の変更ですね。これは今年からコンセントに差し込むプラグを全部替えなきゃいけないと。まあこの辺も懸念事項として挙がっていました。しかしながら一応予想については、大多数、11分の12が成長を見込んでおります。

    まあ縮小を予想されているメンバー様は、事業再編の中で売上が減ると。ただし全体ではプラスの方向に向かっているということでした。で、今後の課題としましては、やはりこの拡大戦略達成のための営業の強化とかが挙げられていました。一方で経費削減、収益も半数が挙げています。いずれ、まあ全体の流れから言いますと、今年は攻めの年になるというようなことです。

    最後になりますが、地デジの進展状況について手短かに報告したいと思います。一応2007年の11月に放送が開始以来、主要都市にて順調に放送が拡大しておりまして、現在28都市、総人口で40%にて地デジの視聴が可能となっております。

    この2年間で達成したカバー率は世界で最も早い投入とまで言われており、放送事業者の地デジに対する意気込みがうかがえるかと思います。一応7つの州都でまだ放送が始まっていないわけですが、これも2010年に早期に行われて、ワールドカップは皆HDで、ハイ・デフィニションで観戦したいというようなことがこの業界でよく聞く話でございます。

    基本的に日本方式を採用している中で、日本と同じくハイ・デフィニションの固定受信、それとワンセグのポータブルの受信が可能となっております。主要コンテンツで、HDコンテンツでいいますと、サッカーとか、ノベーラとか、映画がございます。

    まあこの業界に対しては一応32インチ以上のテレビは今年から地デジチューナー内蔵が義務化されておりまして、来年から26インチ以上、その次2012年からすべてのテレビに地デジチューナーが内蔵されるということになっております。また今年はデータサービスが立ち上がるというようなことが大きな話題となっております。次お願いします。

    あと、南米でも日本方式が普及しているというのが、いろいろと情報が流れているかと思いますが、一応2006年の6月にブラジルが採用以来、ブラジルと日本の両国政府レベルで南米の働きかけを進めてきて、この辺の結果が実ったのが去年からで、去年の4月にペルー、8月にアルゼンチン、9月にチリ、そして10月にベネズエラがそれぞれ日本方式を採用しております。

    南米他国でも評価がされており、日本方式の採用の可能性が高まって、非常に高いというような状況です。また、欧州方式を採用した国では試験放送すら始まってなく、日本方式への逆転の可能性もあるというような状況です。以上で電気電子部会の発表を終らせていただきます。

    司会:三好様どうもありがとうございました。えーと、少し時間の余裕がございますので、前半の内容に関しましてもしご質問ございましたら一つか二つお受けいたしますけども、もし休憩時間に私の方にお持ちいただいても結構ですのでよろしくお願いしたいと思います。それではコーヒーブレイクに入ります。約20分ということで、4時10分開始ということにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

    司会:それでは後半の部を開始させていただきます。それに先立ちまして前半にご質問いただきました大統領選挙の影響ですね、機会金属部会、西岡部会長の方から回答を申し上げます。

    西岡部会長:先ほどは失礼いたしました。回答できませんでしたので、確認して参りました。建設業界の、コマツさんからのレポートだったんですが、大統領選挙前後でどうして需要のリスクがあるのかということなんですけども、コマツさんの場合、政府関連の入札案件が結構多ございまして、それで今ですね、与党、一生懸命やっておっても、もし与野党が逆転した場合、その決まっておった入札が政党が替わる事によってまた見直しがかかると。もしくはゼロになる可能性もあると、そういったリスクということで表現させていただいたという回答でございます。

    通常は大統領選挙、公共事業とか伸びる形で、前者の方は、工具ですね、電動工具とかそういう需要がございますので、実際には大きく期待しているという状況でありますが、一部あのコマツさんの方ではそういう懸念もあるというような回答でございます。

    司会:ありがとうございます。それでは繊維部会、金原部会長よろしくお願いいたします。

  • 繊維部会 部会長 金原 彰

    繊維部会資料 (原稿)

     

     

    こんにちは。繊維部会の金原です。よろしくお願いします。では早速始めたいと思います。繊維部会部会員の2009年の回顧と2010年の展望ということでまずまとめました。

    まず2009年の回顧ですが、1番。上期は暴風雨、下期は晴れ、通期ではくもりということで、業績で申しますと、前年比では減収減益でしたけれども、各社とも利益を確保したと。

    2番目、2010年の展望ですが、先ほどから話題になってましたけど、今年はワールドカップ、大統領選挙の年でもあることから、内需の拡大を背景に好調に推移すると予想しております。では今このように判断しました理由について、原綿から説明させていただきます。

    まず国際原綿。世界綿花需給実績と予想。これは2010年1月10日米農務省発表の数字です。2008年/9年度は、綿花の年度というのはここに書いてありますけど、8月から翌年の7月なんですよね、ちょっとずれるんですけど、収穫の絡みで。生産と消費ともに減少し、在庫率が54.8%。ここの部分ですね。量的に問題ありませんでした。

    2009/10年度の生産は3年連続減少予想でタイト感。ここ段々下がっているわけですね。で、需要もちょっと増えることから在庫は2003/4年以来の低水準で、在庫率は45.2%、こういうふうにぐっと下がるということになります。ちなみに生産ですが、中国が約3割生産しまして、使う方も4割ということで、中国の動きで大きく変ります。

    国際原綿の綿花相場。ニューヨーク定期の月末の終値を3年間表にしてあります。2009年はこの赤ですね。2009年は年初ポンド40セント台。この辺りでしたが、供給不足予想等の要因により、徐々に値を上げ、段々上がりまして70セント台になったと。2010年はポンド60セントから80セント後半の値動きかと。

    この値段というのは今後の世界経済の動向、ファンド筋の投機動向、紡績段階以降の採算性、まあ高くても買えるかどうかということになるわけですが、それとか天候に影響されます。で現在、今2月の頭ですが、この辺りでして、ちょうどこの2月が上がっていますけども、これにこう行くのかなという感じです、先は分かりませんが。

    次に国内原綿。国内綿花需給実績と予想。2010年1月のCONABの発表です。2009年は前年比、作付面積が21.8%減りまして、生産量が25.5%減、121万トン。ということで大幅な季節在庫が減です。65.5から48.6になりました。2010年は昨年並みの作付け面積で、生産量も120万トン、横ばいですね。加えて消費増加が見込まれ、タイト感がある。そういうことで季節在庫はさらに減少し、39.2%になる見込みです。

    国内原綿の綿花相場。ESALQ月末の価格、これも3年とってあります。で同じように2009年は赤ですね。2009年、相場は年初来ポンド1.2レアルぐらいです。このぐらいだったわけですが、9月ごろから国内消費の回復、良質綿花不足、来年の綿花のタイト感予想によって上昇に転じ、年末には1.36レアルまで暴騰した。

    2010年の予想ですが、相場は上昇を続け、現在1.44、この辺りにいます。で、次。紡績は現在フル生産でありますし、綿花高がこの後続くのかなと予想されます。まあこういうふうにすぐ下がらないでもう少し上にあるんではないかということですね。

    次に綿糸。国内の綿糸ですが、綿糸の価格、コーマ30をグラフにしてあります。2009年上期は消費低迷により紡績は在庫増。生産調整も実施しました。相場はここ数年で最も下落、これでさっきの暴風雨ということになったわけですが、下期に入って国内消費が急回復、在庫も減りまして相場も上昇しました。2007年、08年よりも良い値段になりました。

    2010年の予想ですが、衣料品需要が伸び、輸入綿糸拡大の懸念は小さく、これについてはこの後説明します、綿花高でもあるし、綿糸相場は上昇が予想されます。糸の値段というのは、まあ原綿の価格が原料になるわけですが、我々のお客さんは綿が高くなればある程度は値上は認めてくれるんですね。

    工場コストである労務費とか、電気代のほうはあまり認めてくれないんですが、綿の高い部分はある程度認めてもらえますので、相場は上昇が予想されるということです。

    次これは、さっきはコーマでしたが、カード30、カード30というのはコーマに比べて毛羽がちょっと多い糸でして、大体これもブラジルですとキロ1レアルぐらい安い値段なんですが、全く同じような動きをしております。

    綿糸の貿易。綿糸の輸出入実績の数量をグラフにしてあります。2009年、対前年同期比、輸出輸入とも大幅に減少しています。輸出は62.4%減、輸入は45.6%減。輸出はアルゼンチンの輸入規制のため、輸入は国内消費の低迷とレアル安のために減っています。

    2010年の予想ですが、輸出は安価なインド綿糸に近隣諸国市場を抑えられ、当面復活する見込みはない。輸入は2010年1月以降の関税の引き上げ、14%から18%になったということ。それから世界需給回復による需給タイト化、まあブラジルまで糸が回ってこないというそういうことですね。それからそのための為替も1.7ぐらいであれば、2009年並みに留まるであろうということです。

    次に綿糸の輸出入実績の金額でまとめました。作っているものが一緒で、出しているもの、輸出しているもの輸入しているものが同じようなものですから、まったく同じ傾向を取っています。2008年と比べれば輸出入とも大幅に減少、2010年について言えば輸出はさらに減少か、輸入は2009年並みか微増であるだろうと。今まで2008年までは輸出が減って輸入がどんどん増えてきたのが、今度の危機で変わったということですね。

    次に織物。薄地織物です。国内生産と販売、2009年末からの在庫増加、上半期の内需減退により織物の国内生産販売も減少しました。2010年は内需拡大が予想される中、国内生産は増えるだろうと思われます。ユニフォーム用途は回復し、しかし一般衣料は生地・製品ベースでの輸入品との競争が激化するだろうと。

    その次、輸出入の実績の数量をグラフにしてあります。2009年、まあ糸と大体同じような感じで輸出入とも減少しています。10年は内需拡大が予想される中、輸出は減るけれども輸入は少し増えるんじゃないかという見方です。薄地織物の輸出入実績の金額。先ほどの数量とほぼ同じように2009年も推移しています。10年も同じように輸出は減って輸入は少し増えるのではないかという見方です。

    次は織物の紳士婦人服地。織物縫製品の輸入実績を表にしました。数量ですが、織物全体、織物は2008年と09年と比較しますと、織物と縫製品は減っていますが、既製服は増えているということですね。金額でみますと、織物全体は減っていますけど、縫製品全体と既製服は増えていると。まあ高付加価値化してかということだと思います。

    紳士婦人服地の2009年の回顧。1。上期に売上を落とし、下期で取り戻す。金融危機の影響による市場の冷え込み、寒さの遅れでの冬物商戦の惨敗、これは上期です。下期の消費は順調で、クリスマス商戦も活況であったと。2番目に、紳士物は悪く婦人物は比較的好調であった。どこの国も紳士物は悪く、婦人は良いということはありますね。3番目。生地の輸入量は上半期20%ダウンしたが、下半期は増加し年間では4%ダウンということです。

    次に2010年の展望ですが、1番。ブラジルは金融危機を克服し、市場も落着きを取り戻した。2番。今年はワールドカップの開催年でもあり、大統領選もあることから、消費は10%アップと見込むと。繊維業界もその成長に乗っていくように期待していますと。

    最後にファスナーですが、まずブラジルの衣料輸入の実績をグラフに表してあります。2005年からだんだんトータルでは増えてきているわけですが、2009年は上期、3月にがばっと増えまして32ポイント上昇。下期は前年を下回ったわけですが、通年では11ポイント増加していますというグラフです。

    ということから、2009年の回顧ですが、まず1番。ブーツ、衣料分野は堅調であった。2番目に、主力のジーンズ分野は前半は顧客の生産調整の影響を大きく受けた。後半は少し回復基調が見られたが、期待していたほどの数値までにはならなかったと。

    2010年の展望ですが、1番。衣料縫製は在庫調整の効果、2009年末の小売の好調、経済の回復を背景に回復に向かうと思われます。2番。市場在庫レベルが低下したブーツ分野の販売は引き続き好調に推移の見込みであります。

    以上ですが、今こういうふうになっているんですけども、コピーした資料では13ページから15ページまで2009年の上期だとか、変な文字が入っていますが、それは削除をお願いしたいと思います。終ります。以上です。

    司会:ご質問ございますでしょうか。じゃあ金原さんどうもありがとうございました。続きまして化学品部会、大澤部会長よろしくお願いいたします。

  • 化学品部会  部会長 大澤 巌

    化学品部会資料 (原稿)

     

    今年と来年化学品部会長を務めさせていただきます大澤といいます。それでは早速始めさせてください。

    化学品も非常に多岐にわたっておりまして、分野が非常に異なります。一つにまとめるのが難しいもので、各分野ごとにご説明したいと思います。今回15会員からアンケートをいただきましたが、住友化学さんからは3分野につき回答をいただきましたので、計17回答を得ております。これを分野別にまとめてあります。

    2009年の回顧全般としましては、売上につきましては17の回答のうち増収が6会員、横ばい3会員、利益につきましては増益が5会員、横ばいが2会員ということで、まあ総括としては2009年、前年のリーマン・ショック、金融危機以降の世界同時不況の影響がですね、昨年上半期も尾を引きまして、また前半のレアル安の影響がより化学品部会員には多く出まして、後半に回復を見せた業界もあったのですが、全般的には業績不振を余儀なくされた年と言えるかと思います。

    2010年の展望ですが、売上17回答中、増収予測が14会員、横ばいが1会員、利益に関しましては、増収予測が13会員、横ばいが2会員ということで、総括としましてはブラジルの景気回復による内需拡大、それと、ここに来て為替がレアル安に動いていますが、全体としては為替も安定するだろうという期待感、それと昨年の各社の努力によるリストラクチャリングですとか、新製品・市場開発等の努力によりまして増収、増益を見込む会員が大多数という結果です。それでは各分野ごとに駆け足でご説明して参ります。

    まず最初にですね、今回14分野ありますが、写真・デジタルカメラ分野。1社、1会員からの報告です。2009年は残念ながら減収、減益ということで、マイナス要因としましては前半の需要の停滞、それと為替ですね。為替の調整分を価格に転嫁できなかったという、こういった要因でマイナスの結果となっております。

    2010年は増収、増益を期待しております。商品ラインアップの強化、それから国内景気回復による需要の堅調。マイナス要因としては価格競争が引き続き存在するということです。次お願いします。

    次は筆記具。これは2社です。2会員からの回答ですが、2009年、これは2社分かれましたが、売上が横ばいと減少ということ、1社ずつ分かれました。マイナス要因は上期の景気悪化、それと代替税の影響ですね。それと上期のレアル安、これが利益を圧迫した。

    2010年の展望。2社とも増収増益を見込んでおります。まあ農業等の第一次産品が好調であることから、景気回復を後押しするだろうという期待、それと全般な景気回復が期待できると。それと為替もですね、レアルが安定するだろうということ、これらの要因から増収増益をこの分野では見込んでおります。次お願いします。

    3番目は高級化粧品。これは資生堂さんです。輸入販売なんですが、2009年、増収、利益もやや減少ということですが、まあ予測どおりという結果。この分野は、高級化粧品ということで、富裕層を対象とした価格設定をされておりまして、売上への経済危機の影響はほとんどなかったと。マイナス要因としては競合他社の安値戦略ですね、これに大分苦しめられたという点はあります。それと上期のやはりレアル安がですね、輸入製品ですので影響がありました。

    2010年は増収増益を見込んでおります。プラス要因としては既存品の育成が順調に行っていること、それと主要店での資生堂のシェアがアップしていること。マイナス要因としましては、まあ不安材料と言い換えられるかもしれませんが、通関ストライキの可能性ですね。これにともなう商品の入荷遅れ、また製品の発売の遅れ、こういった不安要素があるということです。次お願いします。

    一般薬品、1社ですが、これは久光さんのサロンパスですね。2009年増収増益、この背景は市場が拡大したということ、それと商品、サロンパスが非常に浸透していったということ。経済悪化の影響はなく、増収増益を記録できました。

    で、2010年も増収増益の見込みです。2009年の好調さを維持できるだろうということ。マイナス要因、まあ直接的な売上には影響ないということなんですが、いろんな作業が増えてくるということで、この厚生省による法規制の強化ということですね。これが一つマイナスというか、頭の痛い問題として指摘されております。次お願いいたします。

    家庭防疫薬、住友化学さんからの回答ですが、昨年は減収減益ということ。この原因はですね、蚊への防除なんですが、中南部ですね、この6州で売上の70%を占めるんですが、ここが大雨に見舞われまして蚊の発生が非常に少なかったということですね。それが売上に影響しました。また前年からの在庫、これもマイナスの影響が出ました。それと、喜ばしいことであるんですが、商売ということからいきますとこのデング熱の流行が少なかったということで、減収につながったということです。

    2010年の展望。これは増収増益を見込んでおります。プラス要因は新規顧客の本格参入、これは昨年行ったプラス要因として挙げております新規顧客の開拓、これが順調にいっておりまして、今年はこの顧客が本格的にマーケットに入ってくるということですね。それと中国製やアルゼンチン製からブラジルの国産に移行するということで、この原料を供給しています住化さんとすればこれは期待できる要素であると。

    それとプラスマイナス、デング熱は、まあ先ほど申した通りで、出ないことに越したことはないんですが、これのプラスマイナスがこの分野での利益には影響してまいります。それとマイナス要因としては移転価格税制、これちょっと数字が抜けましたけども、20%から35%にアップされたということで、これは非常に大きな影響と見ております。次お願いいたします。

    次は農薬ですが、農薬は今年から二つの分野に分けました。一つは原体販売、原体といいまして、高純度の有効成分、これを輸入しましてですね、国内の製造メーカーに販売して、製造メーカーが農家が使える剤形に変えて売るというそういう流れになるんですが、これはその原体だけ、有効成分だけを販売している3社の回答をまとめたものです。

    2009年は3社でちょうど分かれました。不変、横ばいという会社とですね、減少、増加。利益も横ばい、減少、増加。3社で分かれました。この背景もですね、1社の回答は経営資源が集中したことでプラス、良い結果が生れたと。マイナス要因では、対象作物ですね、農薬は何に使うかで全く分野が異なりますが、1会員の商品は対象作物が作付面積が減ったということで、マイナスの影響を受けました。

    また中国製の違法製品ですね、正式に登録を取っていない違法製品の密輸、これがマーケットに流れて、当然安く売られていますのでここでの影響が響いたという回答です。それとまあ全般には経済危機の影響ですね。

    それと2010年の展望としましては、3社やはり分かれまして、減少、増加、利益も減少、増加と二つの回答に分かれました。プラス要因は、対象作物が逆に回復するという予想、それと1会員さんは社員を増加するということで、まあマンパワーがアップするということでもプラス要因ですね。それと経済危機が回復するであろうということ。

    マイナス要因としましては昨年と同様の中国製違法製品の競合ですね。それとジェネリック製品、まあ登録は取れていますけども、高額製品ということで、非常に安くマーケットに出て参りますので、こういった製品との競合ですね。

    それと遺伝子組み替え作物の導入による散布対象面積の減少、これは一番有名なのは大豆ですけども、モンサントが開発したグリーボセットという除草剤、これは全ての植物を枯らすんですが、ある大豆にそのグリーボセットに抵抗性を持った遺伝子を植え込むことで、その大豆を植えますとグリーボセット一台を撒くことで大豆は枯れずに雑草は全て枯らせると、非常に効率よく安く上げられるというそういった技術なんですが、こういったものが入ってくることで既存の製品が、農薬製品ですね、選択性をもった剤が影響を受けるということになります。それと移転価格税制の問題。これがこの分野でもマイナス要因として挙げられています。次お願いいたします。

    もう一つ農薬分野、これは先ほど申し上げた原体をですね、農家が使える製剤というものに製造いたしまして、そして販売する分野で好けども、これはイハラブラスさんですけども、増収増益、2009年達成できました。プラス要因としては品揃えの拡充、作物価格が高く推移したということで、こういった資材、農薬が使われる環境にあったと。それと、これは自社努力の為替オペレーションがうまくいったということですね。

    マイナス要因としては不安定な為替、主力作物の作付面積が減ったこと。それと参考までに業界平均はマイナス5%から10%の売上ダウンだったと見られております。2010年の展望はですね、売上増加、利益は減少という見方です。

    プラス要因は、引き続き作物が高価格で推移するだろうということ、それと為替も比較的安定でいくと見られることですね。マイナス要因は、逆に今レアル安傾向が少し出てきたことと、まあここで安定とありますけども、変動による、逆に昨年為替オペレーションで益が取れたんですが、為替差益が出たのが今年は期待できないということから、減収を見込んでおります。では次お願いいたします。

    肥料、三井肥料さんからの回答です。昨年は減収減益、マイナス要因としましては国内需要の冷え込み、業界全般の過剰在庫、それと国際的な市況があったということですね。2010年も売上は減少ですが、利益は増加、増益とみております。

    プラス要因はコストの削減効果が現れるということ、それと需要が今年は安定してくるだろうということです。マイナス要因としては生産品目それから規模が縮小、まあせざるを得ないということが要因として挙げられています。次お願いします。

    次は、種ですね。これはタキイさんですが、昨年は増収増益となりました。プラス要因は新規商材の市場投入、それと東北伯向けメロンの種ですね、これの売上が伸びたこと、またレアル高による在庫コストを下げれたことですね。マイナス要因としましては、主力商品が品薄であったこと、世界の気候変動による生産減、これがマイナス要因として挙げられています。

    そして2010年は増収、利益は横ばいという見方です。プラス要因は新規商材の売上増、既存商品の安定販売、それと販路の再編効果が現れるということ。マイナス要因としましては、コストアップの一つとしまして、まあ自社でもった試験農場、この費用が上がるであろうということ、それと先ほどプラスであった東北伯向けメロン、これは欧州市場に依存しているということで、欧州マーケット次第でこれが影響を受けるということをマイナス要因として挙げておられます。次お願いします。

    飼料添加物、鶏用ですね。これも住友化学さんからの回答です。昨年は減収減益。マイナス要因としましては供給量が少なかったこと、畜産品の値下がりとレアル高、それと穀物飼料の値上がりで使われる添加量が減少したということ、を挙げられておられます。

    2010年は増収増益を見込んでおります。プラス要因は供給量の回復、それと鶏卵需要のアップ、これはお菓子向けとかワクチン向けで輸出が増えるという見込みと理解しております。あとマイナス要因は移転価格税制ですね。これをやはりマイナス材料として挙げておられます。次お願いします。

    次は接着剤分野、これはスリーボンドさんからの回答ですが、昨年は減収減益。マイナス要因はリーマン・ショックによる景気後退、それと原材料の生産中止による代替品の検索ということで、これがマイナス要因として挙げられております。

    2010年は売り上げ・利益横ばい。プラス要因は為替の安定ということですね。マイナス要因としては安いものがこのマーケットに入ってきているということを挙げておられます。次お願いします。

    次は、私どもの販売しております樹脂の着色剤分野ですけども、減収減益の結果でした。去年は減収減益。プラス要因としては下期にレアルが高くなったこと、それから下期の需要回復というのがあったんですが、マイナス要因、上期のレアル安による輸入原材料のコストアップ、それと上期の顧客の在庫圧縮、競争激化による同業他社の安値販売ですね、それと顧客からの値下げ圧力が非常に強かったということ。これがマイナス要因でした。

    2010年は増収増益で見ております。これは内需は拡大するであろうということ、それと車両輸送機器市場が拡大、伸びるだろうという期待、それと社内的なリストラクションによる効率化、コストダウン、これがプラスで出てくるであろうという期待ですね。まあこれも社内改革のひとつとして赤字商いの見直しということ。

    マイナス要因としましては、ここに来てのレアル安への不安が少し心配されます。それと引き続き顧客からの売価引き下げの圧力ですね、それと同業他社の低価格戦略、こういったものがマイナス要因として引き続き存在します。次お願いします。

    ハリマ化成さんですね、松脂、ロジンですけども、この分野昨年は売り上げが微増、利益は増加しました。プラス要因は原材料の安定化、これによって粗利益が工場しています。マイナス要因は競合他社が増えたこと、それによる競争の激化ですね。

    2010年は増収増益を期待しています。プラス要因は新製品の上市、原料の代替によるコストダウンが図れる見込み、マイナス要因は為替の影響による輸出の不振、それと競合他社の台頭です。次お願いします。

    最後は商社さんから一社だけ、化学品分野、三菱商事さんから回答いただきました。売り上げ利益は横ばいということですが、マイナス要因はレアル高ですね、それから需要減、在庫調整。で、今年は増収増益。プラス要因としましては、全般的な需要の回復と、あと価格上昇。ちょっと詳細はうかがってませんが価格の上昇が期待できると、こういう回答をいただいております。次お願いします。

    これが17回答のまとめですけども、冒頭申し上げた通り2009年はですね、売り上げ増加した会社が6社、不変が3社、利益も5社、不変2社ということで、全般的に非常に苦しい、業績不振の年であったと言えます。2010年は増収14社が期待、不変1社、増益が13社、不変2社ということで、全般的な景気回復を期待して今年は良い結果を出せるというふうに見ている会社が多いといえます。次お願いします。

    あとブラジルの景気回復は本物かということですけども、これはコメントをいくつかまとめて挙げております。総括的には景気回復は、課題・疑問というのもいくつかあるんですが、本物であろうという見方が化学品部会の中では主流を占めております。次お願いします。

    死角。死角もですね、先程来他の部会からも挙げておられるような点があります。あとブラジルの根本的なインフラの問題ですとか、こういったもの、あと為替がやはりどう動くかですね、これによる影響が大きいであろう。

    それと、輸出ですね。内需は良いんですけども、輸出競争力をどこまで維持できるのか。為替の問題、税制の問題、それからレアル高の影響ですね。それと中国品との価格競争。こういったものが死角として挙げられております。次お願いします。

    大統領・知事選の影響。これもですね、まあいくつかの点で不安材料はあるんですが、まとめますと基本的にはドル高とか債務救済の影響、各種選挙対策の悪影響、それによる増税、こういったものを危惧する声もあるんですが、全般としましては、過半数の会社は特に大きな影響はないだろうと、このように見ております。以上です。

    司会:大澤さんどうもありがとうございました。それじゃあ続きまして食品部会、齋藤部会長よろしくお願いいたします。

  • 食品部会 部会長 齋藤孝之

    食品部会資料 (原稿)

     

    食品部会の発表をさせていただきます、齋藤でございます。よろしくお願いいたします。

    1月22日に食品部会懇談会を実施いたしまして、09年度のレビューと10年度の展望について情報交換をいたしました。食品部会のメンバーでございますけれども、小売、業務用、外食、そういったチャネル別ですね、それから輸出、それから国内向けといった向け先別、それから調味料だとか食品添加物、飼料添加物、酒類、お酒ですね、コーヒー、飲料、麺、素材、健康食品というカテゴリ別ということで、非常に広い分野にまたがっておりまして、全てを包括してご報告するのは非常に難しいんですけれども、あえてある程度特徴が出るような形で3つの軸に分けて傾向を分析させていただきました。小売、それから外食・業務用、輸出というこの3分野で09年10年の回顧と展望を分析しました。

    まず、スーパーマーケット向けに代表されます小売チャネルでございますけれども、09年3月頃までリーマン・ショック等の影響で落ち込みが見られておったわけですが、その後回復傾向が顕著となりまして、堅調な成長を持続しております。

    従いまして09年、次お願いします、くもりのち晴れという動向でございまして、2010年度はこのまま好景気が続くだろうということで、晴天の予想をしております。

    続きまして外食・業務用に関ましてですが、09年度前半、外食産業向けなどのチャネルが、一つは経済危機それから新型インフルエンザというのが、今ではかなり話が下火になってしまいましたけども、こういったものの影響。サンパウロを中心に始まったLei Secaですね、それから禁煙条例等々の影響を受けて低迷したわけでございますけども、年度後半に入って回復が顕著となっております。

    また業務用につきましても、食肉需要の減少とか、経済危機による低コスト化などの取り組みによって、年度前半には低迷しましたが、年度の後半になってこちらの方も回復傾向ということで、くもりのち晴れと。そして2010年度はワールドカップの年にちょうど当るというようなことと、それからブラジルへのオリンピック誘致が決まったことで、それに向けた経済好転、引っ張っていってもらえるだろうという食品業界のですね、そういう中で晴れ予想ということにいたしました。

    一方輸出でございますけども、2009年度前半、特に日本、欧米向け輸出がたいへん停滞いたしまして、顧客側の資金繰りの影響、それから信用不安、それから在庫調整といったものがありまして、コーヒー、食品添加物等輸出関係は大きく影響を受けました。また、輸出採算性でございますけども、ご承知の通りのレアル高ということがございまして、採算性も2009年度は悪かったということで、輸出は2009年度総括としては雨天と、雨ということになりました。

    2010年度でございますけども、経済回復を期待して、日本向け、欧米向け、それからブラジル国内ですね、一部の農産物の豊作予想、これは大豆のことを得に言っておりますけれども、明るい要因もございます。また一方でですね、依然としてレアル高という傾向が輸出産業にはマイナスということになっておりまして、まあ10年度予想としては、ちょっと希望的観測かなというのはありますけども、くもりというような予想にさせていただきました。

    従いまして09年度から10年度にかけて、全カテゴリにおいて好転の方向であるということは総括して間違いないというふうに言えるかと思います。次お願いします。

    続きまして2009年度と10年度に特筆できるトピックスをまとめという形でこちらの方に提示させていただいております。上から1点目と2点目の景況感につきましては今、前のスライドでご説明申し上げましたので、3点目以降を簡単にご説明申し上げます。

    まず、原材料関係の動向でございますけれども、09年というのは08年と比較しますと、非常に原材料関係の市況が安定した1年であったと。ご記憶かと思いますが、09年非常に景気が良い中、リーマン・ショックまで農業関係の穀物、それから包装材料、それから燃料関係ですね、石油関係が高騰いたしまして苦しんだわけですが、一転して09年は安定して原材料価格が推移したということで、これはプラス要因であったかなというふうに思います。

    一方で、09年後半になって、粗糖などの一部の原材料でひっ迫感が出ていまして、相場が高騰しているようなこと。それから乳製品、小麦粉など近隣諸国の政治的影響や天候の影響、主にこれブラジルの場合は私どもアルゼンチンに依存しているところが多いわけでございますけども、こういったところの影響で懸念要因が出ているということでございます。

    それから小売部門でございますけども、店頭における競合ですね、それから加工部門では、まあバルクと呼ばれている部分ですが、中国・韓国をはじめとする競合が非常に強くなっている、激化しておりまして、価格転嫁をしにくい環境であるといったところが共通点かなということで、2009年度そういう状況を反映して各社とも自社のコストダウン、それから為替見込みを正確にやっていくことだとか、こういったところに注力をして、できる限り価格転嫁率を高くせずに競争力を維持していくという方針であるかなというのがあります。

    次に上げられておりますのが法制面の問題です。まず、税制面の課題で2つここに挙がっておりますけども、一つ目は輸出時に還付されるべき流通税の還付問題ということで、この制度の未完備ということでこれが企業の資金繰り圧迫要因になっているということです。

    前回のシンポジウムの時にこれは説明しましたので、あまり詳しくは申し上げません。二点目のSTというやすですね。Substituicao Tributariaの導入問題でございますけれども、サンパウロを皮切りに、ミナス・ジェライス、パラナと各州導入が進んでおりまして、動きが各州によってまちまちですけども、その分掛け目ですね、MVAといっている、掛け目の率が各州でばらばらでございまして、価格のコントロールそれから事業採算面での複雑な対応が極めて今懸念されているというような状況でございます。

    また、2009年において特異的な要件として新型インフルエンザというのがございましたが、各社では社内での発生を抑えるべく、出張者の往来制限ですとか、生産・事務現場での健康モニター、それから消毒の徹底というようなことで上期努力をしてきたわけでございますが、後半沈静化をしたということで、総括してみると業績に与える影響というのは限定的であったのかなというのが最終的なインフルエンザに関する総括かなと思います。

    あとですね、新規取り組みにおける方向性でございますけれども、二点挙げたいと思います。一点目はボルサ・ファミリアに代表されます、低所得層のおかげもありまして、中間所得層向け以下の販売が堅調に推移していること、それから高付加価値商品、それから天然志向といった大都市圏を中心とした市場が成長しているというようなことがあって、購買層、それから地域軸を勘案した製品投入の取り組みがいっそう重要になっているということです。

    二点目でございますが、ブラジルにおける事業が、各社、まあ食品私どもは11社あるんですけれども、こちらでの取り組みが奏功しているということがあって、事業拡大、新事業それから新地域への取り組みが活発化しているというようなことであります。次のスライドをお願いします。

    本日の副題としていただいております、景気回復は本物か、死角は、大統領選挙の影響は、ということで、各社へヒアリングをいたしました。私ども今申し上げたように11社ございまして、そのうち楽観・やや楽観というプラスの見込みをしているのは6社、それから不安だとか不明だとか若干プラスマイナスの中間で揺れてらっしゃる方が4社ということで、悲観してらっしゃる方も完全に悲観しているというよりはやや悲観ということで、全体から言うと食品業界、楽観的な見込みをしているということでまとめられるかなと思います。次お願いします。

    これはむしろ大統領選の影響とあと死角の部分にあたるのかなと思いますけれども、いろいろな要因、各社から出たわけですけども、主なポイントとして二点にあえて集約させていただきました。一点目は為替、そして二点目は政権交代によります社会保障制度、保障制度の変化でございます。

    為替につきましては事業により、輸出型か輸入型かというのによってプラスマイナス当然あるんですけども、急激な為替変動については各社とも懸念を示しておりまして、特に2002年のルーラショックを経験されてる企業は、そうはいっても何かあるんじゃないかということを心の中で思っているというような状況であります。

    それから政権交代のシナリオ、それからルーラのばらまき政策によって財政が悪化しているというようなことで、例えば政権交代をするとか、社会保障制度が見直されるというようなことの中で、私どもの業界は食品でございますので、中間所得層以下、特に低所得の方々への影響が出るんじゃないかというふうに懸念をしておりまして、あえてですね、いろいろなお話は出ましたけどもこちらの2点にまとめさせていただきました。その後、6から15まで飛ばしてください。

    最後のページでございますが、商工会議所へのリクエストということで、前回も出たんですけども、食品業界11社の所帯でございますが、大きな会社は駐在員が30名もいるような会社もあれば、一人駐在の会社もございましてですね、少人数に限られている企業同士でいろいろな面で情報交換をする場を作っていただければ大変ありがたいというご意見がございました。以上食品部会のご説明をさせていただきます。ありがとうございます。

    司会:ご質問ございますでしょうか。齋藤様、コンパクトでエッセンスをまとめていただきましてありがとうございました。続きまして運輸サービス部会、畠山部会長よろしくお願いいたします。

  • 運輸サービス部会 部会長  畠山研治

    運輸サービス部会資料

     

    運輸サービス部会の畠山です。私どもの部会も航空・海運からITまでですね、いろいろな業界が入っておりますが、2009年の回顧と2010年の展望を業界ごとに説明させていただきたいと思います。

    まず航空業界。2009年の回顧ということで、まず国内線。昨年の総需要5830万人。ブラジルの国内の景気が良かったこととか、3連休が多かったこと、あるいは新型インフルエンザによりまして海外から国内旅行に変えた方が多かったということで、前年比13.2%の増となっております。

    そのうち航空会社別の構成比、シェアを見ますと、まあ近年オーシャン・エアーとか、ウェブジェットですか、新しい航空会社がシェアを伸ばしておりましたが、昨年につきましては大手、TAMとかGOLとかですね、乗客の伸びに応じてチャーター便とか臨時便を飛ばしたということで、彼らのシェアのダウンを食い止めております。

    それから国際線につきましては、941万人ということで、まあ世界的な景気後退の中ではございますが、ブラジルに関しては前年比1.4%にとどまったということです。ここに書いてありますのはブラジルの航空会社だけのシェアで、外国の航空会社は入っておりませんが、ブラジルの航空会社だけのシェアを見ますとほぼ例年並みということでございます。

    それからポイントとしまして、燃油費ですね、これは私ども海運も同じなんですが、金融危機以降値下がりしたものの、昨年6月以降高止まりになっているということです。

    それからブラジル・日本間の乗客の動向のトピックスということで、08年10月以降日本を出国してブラジルに来られる方がブラジルから日本へ入国される方を大幅に上回る状況が続いているということで、具体的には日本の出入国管理統計によりますと、08年の10月から09年の10月で6万8千人という推定値が出ておりまして、まあほぼこれがいわゆるデカセギに行かれた方々の帰還状況だろうということでございます。

    それから2010年の展望ということで、2点挙げております。第一点はメジャー航空会社のサバイバルということで、先ほど申しましたような世界的な景気後退で需要減、それから燃料費の高騰ということで経営環境が厳しくなっていると。まあこれはJALさんだけでなくて他の航空会社も同じだと思います。

    そういった中でですね、航空機の代替とか、機材を小さいサイズにするとかですね、人員の効率的運用とか、あるいは不採算航路の縮小とか、そういった対策をとられて、今後ともメジャーの航空会社間でのサバイバル、生き残り競争が厳しくなっていくだろうということでございます。

    それからもう一点、日本・北米間のオープンスカイ開始ということですが、今年の10月ごろオープンスカイ協定米国との間で締結されるだろうということなんですけども、これによりまして路線を自由に設定したりですね、運賃を自由に設定したり、もちろん空港の発着枠の制限はあるんですけども、そういったこととか、あるいは独禁法適用除外になって外国の航空会社との提携が自由にできるようになるとか、まあこういったことが起こるだろうと。まあブラジルに関しましても、米国で経由される場合利便性が高まるであろうということでございます。

    それからもう一点付け加えますと、JALさんのサンパウロ便ですが、2月3月、3便から2便に減便されておりますけども、正式な発表としましては、2010年度の上期、すなわち9月末までこの2便体制を継続されるという発表をされております。

    続きまして海運の方まいります。コンテナの方とそれから鉄鉱石に分けていきたいと思うんですけど、まずコンテナの荷動きにつきましては、一番下のここですね、全航路ということでこれがブラジルから全世界に行きます輸入輸出の2009年度の数値でございます。

    私どもはTEUという単位を使うんですが、これはご承知のようにコンテナには20フーターと40フーターと大きさが2種類あるんですが、この大きい方、40フーターを20フーター2個に換算して計算した数値だと、荷動き量だということなんですけども、輸入につきましては165万TEUからおよそ132万TEU、約20%の減。

    輸出につきましては211万TEUから190万TEU、10%の減になっております。主要航路で見ますと、まあ先ほど貿易部会の方でもお話ございましたけども、もともとブラジルのメインな輸出先は米国それから欧州なんですけども、欧米の景気後退を受けていずれも、米国は23%減、欧州向けは15%減になっております。

    それからアジアにつきましては、米国欧州がどちらかというと輸出が多くて輸入が少ないという貿易の構造なんですけども、アジアにつきましては輸入が輸出よりも圧倒的に多いということなんですけども、輸入につきましては65万TEUから53万TEUに20%減、かたや輸出の方は約30万TEUから34万TEU、15%伸びております。

    まあこれは昨年の前半、レアル安だったということと、それから欧米で落ちている分を他のマーケットでカバーする、中国あるいはアジアの市場向けに多角化しているということで、ここだけ伸びております。

    それからあと鉄鉱石の方でございますけども、鉄鉱石を運びますケープサイズと、いわゆる標準的な15万トンくらい運べる船なんですけども、これも08年の秋ごろまでものすごい暴騰しておったんですが、金融危機発生後暴落。09年は底値からスタート。それから6月には逆に最高値をつけ、あと軟化し回復し軟化し回復しというちょっと乱高下の激しい傭船料の動きになっております。

    それから海運業界の10年の展望につきましては、まあ各国政府景気刺激策を取っているけれども、欧米につきましてはまだまだ荷動き回復につながっていないと。中国を中心としますアジアからの輸入につきましては、20%減という説明しましたけども、これは特に昨年の前半35%ぐらい落ちておりまして、その後後半回復したけどもまあ20%減になったということで、今年2010年につきましては昨年後半からの回復基調を維持していくだろうと。

    予想としましては、約20%増えて、2008年並みの荷動きになるんではないかと思っております。ただし懸念材料としましては、主として中国から来ます価格の安い消費財が主流でございますので、為替変動を大きく敏感に受けると。何かの都合でレアル安に振れますと敏感に荷動きに影響してくるということがございますのでそれが懸念材料でございます。

    それから鉄鉱石の方につきましては、中国ますます鉄鉱石買っておりますし、日本、欧米、韓国、粗鋼生産も回復しておりますので、基本的には需給はタイトであろうと。ただし短期的には価格とか、それから中国の購買動向等々により、2009年と同様乱高下はするだろうと。しかし基本的には堅調な推移を続けるだろうと思っております。

    それからフォワーダー業界。2009年の回顧。まずは日本発輸出航空貨物の実績でございますが、ここに書いてある数字は全世界向け、米州向けと出ておりますけども、米州向けのうち、その他米州に分類されているここのほとんどがブラジル向けだというふうに考えておりますけども、昨年は約1万2千トン。前年比35.6%減になっております。

    まあ日本発ブラジル向け航空貨物につきましては、業種により好不調が分かれていると。しかし全体として貨物増にはつながらなかったということです。一方減便あるいは機材のダウングレード等々によりスペース確保は困難であったということですね。

    それからもう一つの業界としましては製鉄構内物流というのがあるんですけども、鉄鋼業の減産により大きな影響を受けた。7月以降回復してきたけども、上期の落ち込みをカバーするまでに至らなかったと。2010年の展望につきましては、航空貨物、それから海上貨物、電気、自動車の増産による物流増を期待、それからブラジルへの進出企業の増加によります貨物増も期待ということでございます。

    それから一点懸念材料としましては、本年は大統領選挙の年ということで、大統領選挙の年には連邦公務員のストが激しくなる傾向があるということで、まあ具体的に物流関係でいいますと、港の検疫、連邦警察あるいは税関、ここらへんのストが長引きますと物流にも影響が出てくるんではないかというふうな懸念をもっております。

    それから製鉄構内物流、生産の回復に伴い構内作業も増加してきたと。それから金融危機により凍結されていました投資案件も再開しておりますけども、競争環境は厳しいということでございます。

    それからもう一点、クーリエ。これは昨年末からですね、クーリエ貨物の電子通関システム、HARPIAというシステムが稼動しておるんですが、いろいろ混乱が続いておって要注意ということです。具体的に申しますとこれは海上貨物の通関システムも同じなんですが、元々不正防止という目的で作られておりますのでいろいろフレキシビリティがないと。

    データの入力ミス等ありますと、貨物を押さえられたりですね、それから例えば5箱送ったのに4箱しか着かなかったという場合にはもう一回送り返して、4箱として手続きしたほうが早いというようなことが起こっておるそうでございます。

    それからホテル・観光業界。2009年の回顧。観光収支と数字がでておりますけども、ブラジル人の海外旅行支出、53億ドル。前年比8%減。それから外国人のブラジルでの旅行支出、109億ドル。前年比0.6%ということでこちらの方はあまり減っておりません。

    それから航空業界のところでも申し上げましたように、国内の旅行が増えておりますので、金融危機の影響なく国内旅行の方は増えていると。ホテルの方もですね、ホテルの稼働率ですか、前年60%だったのが2009年65%に増えているということもございます。

    2010年の展望につきましては、3月のインディーをはじめ多くのイベントがあり、2010年も好調を期待。また2014年のワールドカップ、2016年のオリンピックに向けたホテル投資も増加していると。まあこの情報はブルーツリーさんからいただいているんですけども、ホテル10軒、10棟ですか、投資されることも進められているというお話でございました。

    それから最後に、通信・IT業界。2009年の回顧。携帯電話加入者数、1億7400万台、世界で5位ということで、これは前年比15%の伸びでございます。この調子で行きますと、ブラジルの人口を1億9000万人としまして、今年中には、まあ数字だけの話でございますけども、一人一台を超えるということでございます。

    それから、携帯電話のうち約4%、700万台が3G携帯だと。それから、一昨年ですか、ナンバーポータビリティーもはじまっておりますけども、受付件数440万台に対して実際に移行したのが340万台。まだ100万台残っていると。それから固定電話加入数、これは4160万台、横ばいでございます。

    それからインターネットユーザー、ブロードバンドユーザー、これも13%ぐらい伸びております。まあこのブロードバンドにつきましては、ブラジル全土にアクセスできるようにするというようなことで、ブラジルの国家戦略として検討されているそうでございます。

    それからITにつきましては、IT産業全体の成長率は9.3%ながら、収益は苦しいということでございます。それから展望につきましては今年のトレンドをいくつか述べておりますけども、第一点としましてはサービス提供会社のもつソフトを使用して、経営判断に使えるようなツールであるビジネス分析とか顧客管理、CRMのシステムの利用が増えるであろうと。

    それから企業内で社会的ネットワークですか、SNSツール、まあいろんなコミュニティを作ってそこでいろいろ情報交換をするというようなツールの活用が見込まれると。

    それから仮想サーバー、クラウドコンピューティング、それからもう一点ですね、最後にデータセンターの活用ということで、日本でございましたら特に地震対策ということでデータサーバーを活用するケースが多いんですけど、まあこの間ありましたような大停電対策ということで、まあブラジルは地震はないと思いますけども、大停電対策ということでデータセンターの活用が増えていくのではないかというふうに見られております。以上でございます。ありがとうございました。

    司会:畠山様、多岐に渡りありがとうございました。それでは最後になりますが、建設不動産部会、大滝部会長代理お願いいたします。

  • 建設不動産部会 部会長代理 大滝守

    建設不動産部会発表資料  (原稿)

     

    それでは建設不動産部会の方から報告させていただきます。2009年の日系建設業界につきましては、前半は2008年の世界的不況の影響がそのまま継続されまして、工場建設などが減少して不調でありました。

    後半は日本企業の工場建設が成約できたこと、非日系の顧客の工場建設、あるいは宗教施設、学校、商業施設などの受注が増加しまして、計画値については達成はできなかったようですが、それぞれ2009年の方はがんばったと。

    で、ブラジル全体の建設の回顧についてでございますけども、ブラジル政府は2010年の大統領選挙を目指しまして「私の家、私の暮し(Minha casa Minha vida)」のスローガンで低所得者層向けの住宅供給政策、道路、学校、公共工事を増やしました。民間でも不動産物件の取引が活発化しまして、海外ファンドによる不動産投資やアパート開発が進みまして、景気を上昇させました。

    建設労働者の増減数ですが、表の1番で示しますように、2009年の前半につきまして、毎月2万人以下でありまして少なかったんですが、後半からは3万人台の増加を毎月見まして、増加率が高まっております。で、建設の労働者は、各月ごとに増えている現状でございます。2009年の最終の雇用者も2008年を上回ると、このように推定されております。

    建設労働者の給料ですけれども、建設の価格というのは多くがこの建設労働者の給料が大変影響を受けるわけでございます。昨年の12月にはブラジルの2010年度の最低給料が510レアルと発表されました。インフレの指数をはるかに上回る9.7%の増加でありまして、今年の建設業界の労使の交渉はたいへん厳しいものになることが予想されております。

    具体的には5月の建設労働者組合との給与改定交渉に昨年の実績である6.74%を上回る要望が出されることが予想されます。今年の工事価格を上昇させる大きな要因として懸念をされております。

    建設の資材価格についてですが、表の2で示しますように、2008年の高止まりのものが多くて、過去12カ月の統計では5から10%程度の上昇がありました。セメントなんかは若干下がっておりますけども、全体が次のように上っております。

    今後は建設工事の増大が予想されておりまして、エンジニアや作業員の不足とか人件費の上昇、また建設資材の品不足、また価格の上昇が懸念されております。この点については政府主導によりまして安い輸入材の導入や税金の軽減、また給料を含めました労働者規制の緩和が求められていると、まあこのようなことが部会で話されました。

    次に表の3ですが、建設の工事量を示しますセメントの販売量の動きです。2009年は2008年とほぼ同量であり、大きな落込みはありませんでした。東北部ではバイア州、中西部ではマットグロッソ州の工事量が増加しているのが良くわかります。

    東北部と中西部では増加しておりまして、全国統計でも合計でも2008年が2007年の比率で14%の増加しており、ずっと増加していることが分り、販売量は年間5000万トンのレベルを維持しております。

    サッシ業界ですが、まあ私どもはYKKさんですが、アパートの建設が増加しておりますので、業績は順調でありました。ただ今年、2010年は昨年の高級アパートが非常に順調だったので、今年はまあ建設が少なくなるということで、業績は若干落ち込むんじゃないかと。

    また、政府の進める大衆住宅に対しましては、価格の上では大変厳しい要求がありまして、また品質もそこそこでいいということで、なかなか日本企業のレベルでは取組みは難しいというお話でありました。

    事務用家具業界でありますけども、2008年は事務所の新設は少なくてですね、家具の受注は冷え込んでおります。全般的に家具メーカーは生産を控えておりまして、新しい注文を受けても納期が遅れるという状況をしめしております。

    次に不動産、住宅建設の動向でございますけども、表の4で示しますように、2009年の1月から8月のデータによりますと低調な販売でありまして、まあこれは中高級のアパート、住宅、で大衆住宅の方は引き続き堅調でございましたけども、中高級の方は低調で、新規のものが抑えられて、全体としては発売総数が減少しております。2008年比で減少しなかったのはミナス州のベロオリゾンテとアラゴアス州のマセイオの2の都市であったというデータがございます。

    表の5ですが、住宅融資を利用します住宅購入件数の推移でありますけども、これは中低所得者の方の住宅購入は増えているという現象でございます。2008年と2009年の比較で言いますと、約1・8倍増加をしておりまして、この融資を利用した方はこれからも増加は続くのではないかと、このように考えております。

    で、不動産・土地の価格について、表の6でございますけども、なかなか不動産のかかくについては正式なといいますか、価格の発表されたものはありませんので、HOSS建設、私どもで土地なんかの値段を調べておりまして、まあ2006年に比べまして相当この3年間値段が上っております。

    ただ、この示しておりますのは、特に条件の良い、高い土地の値段なので、場所によってはそれほど値上がりはしていないと。倍という値上がりをしていない土地もありますけども、土地はいったん上りますと下がるということは一切ありませんので、その上る率はそれぞれ条件によって違いますが、やはり地主の方は強気で価格を上げているという状況でございます。

    土地の選定から売買契約までは、土地の様々な調査、役所との条件交渉、あるいは所有者の土地の法的な調査などで、通常でも6カ月程度時間がかかっている現状でございますので、まあ土地を探される場合はそれだけの余裕を見て考えていただきたいなと思います。すいません、この表の6の価格という字が間違っておりまして、失礼しました。

    2010年の建設業界および大統領選挙の影響予測についてでございますが、2014年のサッカーワールドカップ、それから16年のリオのオリンピックの開催準備に対しまして、ブラジルの政府系大手ゼネコンはたいへん好況となると思います。

    一般にはまだ具体的な設計図は見えていない状況ですが、インフラ設備、道路、通信、宿泊等の整備工事が増加していく傾向は間違いないと思います。選挙前は公共工事が増加いたしますので、その分建設コストをアップするのは致し方ないと。中でもこの雨季にですね、大変雨が多く洪水の事故が発生しておりまして、この洪水対策あるいは予防工事が緊急に増えてくるのではないかと思います。

    で、2010年にはブラジルへの投資、工場建設、生産投資は緩やかに進むと考えておりますので、日系の建設関係の会社はですね、経営上の計画目標は達成できると期待しております。またブラジルにおきましては環境関連の規制強化など大変建設条件が一段と厳しくなっておりますので、この点についても他の会社に負けないように競争力を強化していくということでございます。

    で、大統領選挙につきましては、選挙前は、先ほど申し上げたようにいろんな工事が増加いたしますが、新政権、まあ新大統領になりましても、特にその政策の影響が建設業界出るかというと、これは少ないと、このように考えております。どうもご清聴ありがとうございました。

    司会:大滝様ありがとうございました。これにて業種別部会の発表をすべて終了させていただきます。ここで講評をお願いしたいと思います。在サンパウロ日本国総領事館大部総領事よろしくお願いいたします。

  • 講評  在サンパウロ日本国総領事館 大部一秋総領事

    大部でございます。たくさんの企業の方、エコノミストの方がおられる前で講評というのもおこがましい限りですが、ご指名ですのでいくつか感じたことなりを述べさせていただきます。

    非常に、いつもながら最初に思うんですが、この業種別の部会長シンポジュームは非常に有益で、役に立つというんでしょうか、商工会議所でこういう試みをされているということは、まあ今日本から経産省の方が来られておりましたけども、先ほどもコーヒーブレイクの時に非常に良いですねというふうにおっしゃっておりまして、かなり有益だということは、明日またウェブサイトの方に掲載されるということですが、ブラジルの枠を超えて広がる有益性をもっているのではないかなというふうに思います。

    4点ぐらいコメントを申し述べさせていただきます。大体2009年の回顧と2010年の展望については、大方の見方は一致していると思います。2009年は0パーセントまで落ちましたけどもV字型の回復を果たしているということ、それから2010年については好調な経済が続いていくであろうというので明るい見通しということで、先ほどの西岡さんの天気のあれで言うと、雨とかくもりとかいった天気から薄日と、ないしは晴れというようなところになっていくということは大方の方の見方として一致していたと思います。

    この点は異論はないんだろうというふうに思います。若干印象的な感じでは、もう少し晴れ渡る青空というか、結構ギラギラと太陽が輝いて、2010年はかなりの店舗で景気回復していくんじゃないかなというトーンほどではなかったなという感じがして、まあ若干やはり慎重な見方、リザーブのかかった見方がまだ依然としてあるなという感じが少ししました。

    まあいずれにしてもV字型の回復を経て好調は続いていくであろうと、その速さがどの程度なのかと、4なのか5なのか6なのか、3なのかという、5%前後の成長率の上下ということで、それぞれのニュアンスなりが出てくるんだろうというふうに感じました。

    2点目で、2009年がどういう年であったかという評価については、いろいろ今後のブラジル経済がどういう立ち直り方をしていくかによって評価が変わってくるんだろうと思います。

    ただ短期的には底をついて、V字型の回復に向かった年ということで位置付けられるんでしょうが、もう少し中長期的に見た場合に、この2009年というのは、例えば中国が輸出の第一位になった、まあ2010年については中国が日本を抜いてGNPが第二位になるというようなことも予想されていると。

    まあいろいろな世界経済の構造変化の中で、ブラジルが今までの中南米型のブラジル経済からもう少しグローバルな、国際的な影響をもろに受ける、あるいは影響を与えていくというような、もうちょっとグローバルな存在としてのブラジル経済の大きな転換点になる、なった、もしくはなっていく年ではないかなという、そういう評価も出てくるのではないかなというふうに感じました。

    3点目として、2010年の展望を先ほど申し上げましたけども、右肩上がりの非常に好調な経済が続いていくということで、昨年も感じましたけどもそれぞれの好調の、強気の材料として、依然として変わらず4点、資源・エネルギー・食料のポテンシャリティーの大きさと、国内需要の大きさと、それからペトロブラスの強気の姿勢・投資、それから中国の動向と。

    まあこの4つがあると思うんですが、依然としてこの4つの観点からの強気の材料は有効であるし、今年もそういった方向での材料がまた強く伸びていくのかなという感じがします。

    4点目として、課題として若干あるかなと思うのは、景気が過熱していきますので、まあ若干個人的に心配なのはインフラ等供給面が追いつかなくて、若干その辺がネックになっていろんな面でマイナスの影響が出てくることもあるのかなという感じで、若干その辺のインフラ整備なり公共投資なりの進捗状況をもっと早く進める必要があるのではないかなという感じがしています。

    まあいずれにしてもこういう、非常に世界からますます注目されるブラジルの経済ということになっていることはまず間違いなく、ブラジルだけでやっていける状況から、もうかなりな国際的な、経済の影響も受けるし、影響を及ぼしていくというような経済に転換していく、そういう途上にある状況だろうという風に思います。

    したがってブラジルも今までと違った観点からの改革なり、やり方なり、もっと緻密なマクロ経済といったような意味でのやり方なりの転換を迫られていくのかなという感じがします。以上簡単ではございますが私の感じたことを若干申し述べさせていただきました。本日はこのような非常に有益なすばらしい部会長シンポジュームに参加させていただきまして、ありがとうございました。

    司会:大部総領事ありがとうございました。続きまして、日伯貿易投資促進合同委員会に関し、経済産業省中南米室の山下課長補佐よりお話をいただきたいと思います。山下様よろしくお願いいたします。

  • 経済産業省通商政策局中南米室  山下浩司 課長補佐

    経済産業省より参りました山下と申します。本日はこのような機会を与えていただきまして誠にありがとうございます。商工会の方々にこの場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。

    経済産業省では平成20年7月、一昨年に甘利・前経済産業大臣がブラジルを訪問しました際に、ルーラ大統領との面談をいたしました。その時に日伯貿易投資委員会というのを設置いたしております。本日はこの日伯貿易投資委員会について現状を紹介するとともに、今後の取り組みについて我々の考え方を説明をさせていただいて、また皆様からぜひ、この場でも結構ですし、また様々な機会を通じて、この会議の今後の方向性等々についてご意見をいただければと思っております。

    今日はこの会議一体何なんだという方もいらっしゃると思いますので、委員会の設置から昨年9月の第二回の委員会、そして第3回に向けての取り組みについて、一連の流れ説明させていただこうと思います。

    平成20年の7月に設置を決めまして、第一回の会議が昨年の2月に開催されております。ここでは皆様からブラジルでのビジネス上の問題の改善要望事項、あるいはこの国で今後ポテンシャルのあるような二国間の協力、貿易投資の促進のための協力事項について、ある意味網羅的に一回目は議論を行いました。これはブラジリアでの開催でした。

    日本側から要求事項の一つの、中古資本財の輸入手続の簡素化に関しては、去年の2月の3月に、業界団体の承認の非義務化といった改善策というものを発表しまして、定の成果というのを挙げつつあります。

    第一回が終ってからも商工会議所の皆様方、あるいはJETROサンパウロセンターのご協力などを得ながら移転価格税制の問題だとか、まあ様々な投資環境上の問題について重点的に取り上げましょうということで、皆様にアンケート等お願いをさせていただいているところであります。次のページお願いします。

    第二回はですね、去年の9月に行われたんですけども、網羅的に扱った第一回から改善を要望する事項をかなり絞り込んで議論を行いました。絞り込んだ議論の例がここにありますけども、例えば移転価格税制、租税条約、あるいは技術移転の際に必要なINPIの審査の問題などについてブラジル側にインプットを行いました。

    それから二つ目として、ポテンシャルのある協力分野、高速鉄道だとか、二国間投資協定、FTAの可能性等についても議論が行われました。それから三つ目としまして現在既に協力が進展している分野、例えば知的財産権の取り組み、模倣品対策、あるいはNEXI、JBIC日本側の資金協力機関のブラジルのプロジェクトに対する協力といった、こういった協力案件について状況の確認あるいは今後のあり方について意見交換が行なわれました。次のページお願いします。

    これは去年の9月に行なわれました第2回のプログラムですけども、二日間にわたってかなり具体的な議論を行なってきております。次のページお願いします。

    出席者は、これは官民の会議ですので、日本側としましては経産省を中心に、外務省、それから日本側の民間企業側としましては経団連を中心にご出席をいただいております。それからブラジル側は日本の経済産業省のカウンターパートであります開発商工省を中心に、関係省庁にご出席をいただきました。またブラジルの民間側の代表としてはブラジル全国工業連盟からマスカレーニャス副会長にもご出席をいただきました。次のページお願いします。

    これは第2回の合同委員会の模様です。次のページお願いします。

    第2回ではですね、先ほども申し上げたように、移転価格税制といった問題、あるいは技術移転のINPIの審査の問題などを重点的に取り上げまして、日本の民間サイドから問題を提起いたしました。こういった問題に対してですね、そのまま放置するということではなくて、ブラジル側としましても開発商工省として対応可能なもの、例えばこのINPの技術移転契約の取り扱いであるとか、中古資本財の輸入手続の簡素化に関して言えば次回会合までに解決をしてもらうべく検討を進めてもらうこととしております。
    あるいは税制の問題、これに関しては開発商工省の案件ではないものの、開発商工省はビジネスの円滑化という観点で責任をもっておりますので、ブラジル連邦収税局の方はきちっと問題を指摘して改善をしてもらうということで、働きかけをしていくことで一致をしております。

    さらにこの合同委員会そのものを開催するだけではなくて、もう少し技術的な議論も必要だろうということで、実務者による小規模会合、これはいわゆる専門家会合と我々呼んでいるんですけども、専門家会合を開催して議論をより詰めていきましょうという合意もされました。その他、協力関係についても進展がありました。この第2回の会議に並行し、JETROとブラジル開発商工省が共催でブラジル投資セミナーが開催されまして、これは盛況に終了したというふうに報告を受けております。次のページお願いします。

    第3回に向けて、この第1回、第2回を踏まえて、やはり成果をきちっと出していかないといけないということで、現在三つの専門家会合を在ブラジル日本大使館の多大なるご協力の下、専門家会合を開催してきております。

    三つの専門家会合は、技術移転契約の専門家会合、それから移転価格税制PIS/COFINS含む税制問題の会合、それから中古資本財の輸入規制に関する専門家会合ということで、それぞれ開発商工省の人間を中心に、税制に関しては連邦収税局も巻き込みながら専門家会合を開催してきており、かなり技術的なところも含め、問題の改善の可能性について議論を行なっております。

    こうした専門家会合を使いながら引き続きブラジル政府との協議を継続していくとともに、この専門家会合で得た情報をですね、日本側関係者とも共有をしながら、今後日伯の貿易投資委員会、第3回目に向けてどういった取組みが必要なのかという議論を始めてゆきたいというふうに考えております。

    それから、こういったブラジルの問題を指摘していくだけではなくて、当然日本企業にとってブラジルというのは非常にポテンシャルがあり、関心の高いビジネスのフィールドだと思いますので、そういったフィールドで日本企業がビジネスをできるだけチャンスを逃さずにやっていただけるような、そういった取り組みについて、日本企業の関心もこれは踏まえながらになりますけども、官民の枠組みでの議論が適切なものについては委員会で取り上げるということも検討していきたいと考えております皆様からのぜひ、テーマのご意見等いただければありがたいと考えております。次のページお願いします。

    最後になりますけれども、実は私は、明日からブラジリアの方にまいりまして開発商工省と次回会合の可能性についていろいろ議論検討して参りたいと思っております。まだ先方との議論があるのでどうなるか分からないいいですけれども、時期的にはこの春から夏にかけてですね、できれば非常にいいんじゃないかなと個人的には考えております。従いまして、ぜひ皆様からですね、こういうアジェンダを取扱ってほしいとかですね、あるいはこういう投資環境上の問題があるのでぜひブラジル側にこの枠組みの中で伝えてほしいというご意見等がございましたら、非常にウェルカムですので、ぜひいただければ考えております。ご清聴ありがとうございました。

    司会:山下様ありがとうございました。官民連携、官民一体となってですね、ぜひ取り組んでいきたいと思います。続きまして、在ブラジル日本国大使館からの連絡事項がございます。吉村一等書記官よろしくお願いいたします。

  • 在ブラジル日本国大使館 吉村一元一等書記官

    ご紹介いただきましたブラジル大使館の吉村と申します。今日はこのように発言の機会を頂戴してどうもありがとうございました。折角の機会ですので、ブラジリアの方でどういう取り組みをしているかということを皆様方に、若干宣伝も兼ねてお話をさせていただければというふうに思っております。

    ブラジリアでは日伯貿投委に関連して、その枠組みの中でテーマ毎に専門家会合を開催し、法規制の条文に即した極めて技術的な議論を展開しております。

    先ほど話が上がりましたけども、移転価格税制の議論ですね、加えて技術移転の円滑化を図るための議論、さらに言えば大きな話としては中古品の輸入手続きと。いずれも開発商工省あるいは連邦収税局と議論しています。面白い展開としては、昨年の9月に2回目の日伯貿投委を開催した、後開発商工省から、連邦収税局に強力に働きかけを行っている点です。税制については投資を促進するためぜひとも整備をすべきであると。技術移転についてもしかりだと。

    顕著な例として、私が連邦収税局の法人所得税課長、あるいは国際課長と話をするときは、開発商工省の人が私の横に座って一緒に肩組んで要求しているというようなことを繰り返しております。こういう形で皆様から頂戴したお話、あるいはビジネス上の課題というのを少しでも解決しようというふうにブラジリアで取り組んでいます。今後ともぜひ応援をいただければと思います。

    最後に感想じみたことになってしまう、これらの話は、です。ブラジル側の制度の根本に関わる話その分難しく、皆様から情報を頂戴して条文を解釈しながらブラジル政府、あるいはリオ特許庁と議論するというのを繰り返しているが、政府との議論に集中しすぎており、現場の声があまり聞けていなかったことを反省することも必要かなというふうに思っています。今日は皆様の産業界の生の声を聞けて、正直申し上げて元気が出たというのが私の率直な感想であります。

    2010年は薄日ということで、西岡社長からの発言もあったのですが、この点大部総領事も触れられていましたけれども、私にもこのフレーズは非常に印象的でした。国内マーケットが非常に魅力的なブラジルですので、皆様正直問題を抱えながらも何とかビジネスをやりくりしていると、何とかここに商機を見出そうとしているという状況なのではないかと思います。

    大使館の方でも何とか、おこがましいんですけども、皆様のサポートをするべく、今後とも全力で取り組んでいきたいと思います。大使館の経済班の紹介もさせていただきますと、ご存知の通り私は経産省からの出向です。その他デジタルテレビ担当の総務省からの出向者。移転価格税制、資本利子課税等の税制を担当する財務省からの出向者、高速鉄道を応援する旧運輸省からの出向者、都市交通を支援する旧建設省からの出向者。食料・農業分野を担当する農水省からの出向者もおります。我々からの支援できる分野としては広いんだと思います。あとは、我々がそれぞれの分野でどこまでできるのかということを試されているんじゃないかというふうに感じております。

    官民一体として強力に戦っていこうというのが本日のテーマというか、今後のビジネスの一つの解決策というふうに感じております。中国勢、韓国勢非常に強力でありますけれども、ぜひ一丸となって取り組んでいきたいと思います。我々も前線で、伯政府との関係をがんばりますので、引き続き皆様からの応援をよろしくお願いいたしたいと思います。どうも今日はありがとうございました。

  • 日伯法律委員会 副委員長 篠原一宇

    皆さんこんにちは。篠原です。移転価格税制に関してですね、三つの部門の部会長様から移転価格の懸念事項という指摘があったというように思うんですが。この資料ですが、大使館の御協力を得て作成したチャートでございます。

    私は2006年にですね、この商工会議所で同じく移転価格に関する対策委員会というものがございまして、その当時もそのメンバーとして参加させていただいていおりました関係上、今回のこの課題について若干触れさせていただきたいというふうに思います。

    とにかくですね、昨年の12月29日に何ら予告もなくですね、長年懸念事項でありました移転価格税制の改正が発表されたわけなんですね。暫定処置令ですので、国会で60日プラス60日の期間以内に立法化される必要があるわけですけれども、まずその変更の内容について若干触れさせていただきたいというふうに思います。

    ブラジルの移転価格税制は、供給先の原価をベースとした原価基準法、これをCPLというんですけども、それが一つですね。それから第三者への販売価格をベースとした独立価格比準法、これをPICと申します。

    それから3つ目に、販売価格のマージンをベースとした再販価格比準法、PRL、がですね、計算の方式としてあったわけですね。で今回の改正でその再販価格比準法、PRLが廃止されて、販売価格比準法、PVLに変更されたわけです。

    これが一番初めの要素ですね。それから、これは数字の方に入っていくわけですが、販売価格のマージンはですね、輸入部品を用いて製品製造を行なう場合、これは60%であったわけですね。非常に高い60%であったものが一応35%に下がりましたということですね。それはいいんですけれども、逆に計算方式の選択が狭まれております。後ほどそれに関しては触れたいと思います。

    それから、完成品輸入の販売のマージン率が、20%であったわけですけれども、輸入品の場合はその率が逆に20から35%に大きく上がったということですね。ですから一部の輸入品のビジネスは成立しなくなる可能性を含めているという率の設定が行なわれたわけです。要するに60と20%であったものが、一律35%に設定されたというのが変更内容ですね。

    続きまして、この税制に関して各業界から要請事項でありました業種別のマージン設定、その必要性についてはですね、大蔵大臣が自ら業種別のマージン設定をできるようになったという改善要素が入っております。まあそれが機能するかしないかは別としてですね、そういう変更要素が入りました。

    次にですね、移転価格税の計算方式は確定申告、DIPJ、要するにDeclaracao de informacao economica fiscal da pessoa juridicaの提出時に選択した方法の報告義務が課されましたので、その申告時に計算が終了している必要があるということですね。

    次に独立価格比準法に関する新しい要素として、第三者の取引が調整を受ける取引の少なくとも10%をですね、占める必要があると。これは大変な作業を強いられることを意味するわけですね。

    荒っぽく申しますと、大きな変更要素というのはここに書かれている要素なんですが、ここにあります法律9430号による計算根拠が無くなったという意味ですけれども、各社さんでですね、まあ移転価格というのはあくまでも関連会社間の取引の適性な利益配合といったものを規制するといいますか、そういう制度でございますので、とにかくいろんな計算方式、要するに親子間の取引等を含めてですね、いろいろな計算方式が今まであったわけですけれども、今回の制度が立法化されますとですね、そういった選択ができなくなると。

    法律9430号で申告をされておられました会社の場合ですと、特にですね、この制度変更によってですね、負担がすごく増えちゃうということになるわけですね。そういった大変インパクトの多い税制変更が昨年の末に発表されてですね、今後どう対応していくかということが現実としてあるということなんですね。

    それでですね、昨日商工会議所の事務所で移転価格グループのメンバーが集まりまして、経産省の山下さん、それから大使館の吉村さん、それからサンパウロ総領事館からもご参席いただいてですね、情報のシェアをさせていただいたんですが、特に今回の改正について各企業様でどのように受け止められておられるか、その影響はどうなのか、それから本件に関する商工会議所のイニシアチブに対するご要望事項ですね、そういったものをアンケートを回しますので、ぜひいろんなご意見をですね、ご協力をお願いしたいなということでございます。

    法令が出て間もないわけですけども、暫定処置令ですね、とにかく今各メーカーさん、企業さんで、このインパクトが実際計算をしてみるとどの程度資金負担になるかというようなことを試算されてですね。要するに利益は計上されていても資金は減るというようなこともあり得るわけですね。

    といいますのはこれはあくまでも年度、一年間の取引の決算を締めてですね、税務申告をするときにその追加の税金の支払いが発生するという性質のものですので、ぜひそういう現状の、この暫定処置令のインパクトを調べられた方がいいんじゃないかなというふうに思います。

    昨日の時点では私まだ情報を入手してなかったんですけども、今日FIESPの方で、要するにこの暫定処置令に対するアプローチと申しますか、要するに改正法案の内容というものがだいたいクリアになりまして、それがすでに国会議員を通じて提出されたものか、どういったレベルかということは把握していませんけれども。その内容を若干ご案内しますとですね、先ほど申し上げました60%から35%、製造業の場合この率を、要するに生産部材のマージンに関しては30%に、また完成品のマージンを20%に戻すという内容の法案、ドラフトになっていますね。

    それから、このPICの書類による立証の手間というのはですね、書類でなく監査法人のレポートでOKとすべきだというのも一つの事項ですね。それからもう一つはですね、業種別のマージンを市場価格または類似品の、まあ第三者とのオペレーションを立証できればそれが認められるというような内容。

    それから為替の変動があった場合は、為替の変動というのは5%以上の為替の変動があれば、大蔵大臣が毎年1月に調整マージンの率を発表するというもの。それから、第三者から購入して海外でカーゴを集結して部材を購入する場合はですね、そういった第三者の生産物に関しては移転価格税制の対象外とするいう様相。それからですね、計算方式の報告義務を、先ほど申し上げましたそこに書いてある様相ですね、報告義務をフレキシブルにするといった内容の提案といいますか、法案が出ているようです。以上ですが、よろしいですか。

    司会:はい、ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。まあたくさんあると思いますけども、いずれにしてもちょっと具体的にですね、各社の方でこのインパクトを調べていただいて、まあアンケートをやりますので、その結果を踏まえてまたセミナーを開きたいと思います。

    そうですね、これにて終了ですけども、本日各部会の皆様労作どうもありがとうございました。ぎりぎりまで資料、データをアップデートしていただき、深謝申し上げます。本日はマクロからミクロまで、ほとんど全ての業種・分野に網羅されていまして、非常に頭の整理になったんではないかということで、多くのヒントがあったというふうに思います。

    先ほど、サイトに掲載するというお話をいたしましたけども、実はこのパワーポイントのプレゼン資料ですね、これにつきましては明日掲載いたします。ただ一方で各スピーカーの方の発言内容そのものですね、これにつきましては録音をしたものを起していきますので、ちょっと時間をいただきたいと思います。10日ぐらいですね。ですから2月20日くらいには全文掲載をするということでご了承いただきたいと思います。

    次回は半年後、8月となります。今回の展望の検証とともにですね、さらに明るい話題がたくさん出ますように期待しております。それから1点連絡事項です。この後カクテルパーティーを用意しております。すぐ隣の部屋でございます。

    現在52名の方にご参加いただく予定になっておりますけれども、ほとんどの発表者の方もですね、ジョインされますのでぜひ懇親を深めていただきたいと思います。予約されていない方も大歓迎です。費用は50レアルということであります。本日は長時間にわたりどうもありがとうございました。これにて閉会いたします。ありがとうございました。


 

全プレゼンテーション

 

開催日:2010年02月09日(火)

会場:ホテル インターコンチネンタル サンパウロ

時間:午後2時から6時

 

2009年下期の業種別部会長シンポジウム

  • 司会 近藤正樹総務委員長

     

    本日は多数のご来場、誠に有難う御座います。114名の皆さんの参加は今までの最高記録です。本日の司会を担当させていただきます近藤です。日本語からポルトガル語への同時通訳のサービスがあります。それでは各部会の発表に先立って商工会議所の田中会頭に開催挨拶をお願いします。

  • 開催挨拶 田中信会頭

     

    本日は当会議所のメインイベントである業種別部会長シンポジュームに、ご多忙中にもかかわらず多数ご出席頂きまことに有難うございました。特に今回はブラジリアから島内大使、サンパウロからは大部総領事をお迎えしており終了後講評を頂くことになっています。ご協力有難うございます。

    古い方達には繰り返しになり恐縮ですが、メンバーが大分入れ替わっておりますので、最初にこのシンポジュームの歴史および内容を簡単にご紹介したいと思います。このシンポジュームは一年2回、年初と年央に11の業種別部会長がそれぞれの業界の回顧と展望を行なうことになっており、今回はブラジル経済2009年上期を回顧し、下期の展望を行なうものであります。

    このシンポジュームは、私事にわたり恐縮ですが、1970年代に、初代コンサルタント部会長として「業種別部会長懇談会」という名称で開始したものであります。その後総務委員会担当として会議所全体の主要行事となり、今日まで30年以上続いている当会議所の看板行事であります。

    当初は、コンサルタント部会長が司会者となり業種別部会長が集まって、座談的にブラジル経済を論ずる文字通り懇談会でした。その後総務委員長が担当する会議所全体の行事となりました。更に2003年より「開かれた会議所」の基本方針に従い、会員には勿論のことマスコミも含め一般のブラジル社会にも開放し、日本語の理解が難しい参加者のためポルトガル語の同時通訳も用意し希望者は誰でも参加できるようにいたしました。設立以来継続してきた部会長懇談会という名称も2006年8月3日実施分より「業種別部会長シンポジューム」に変更いたしました。

    この会議では各業種別部会の代表者から生の声でそれぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長を中心に自社業績や業界動向を分析し、その結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の策定に極めて役立つものと思います。更にこのプロセスを通じてメンバー各社の親睦にも役立つものと思います。更に外部の官庁、企業、学校、研究所など外部機関にとりましてもブラジルの現状把握に役立つ、数少ない信頼すべきデーターと評価されております。

    昨年8月のこの会では、11業種全部会が史上最高の好況に沸き返るような報告でしたが、第4四半期より、世界経済は一転して、百年に一度という危機に落ち込み、暗いムードが漂い、前回の本年2月も先の見通しは極めて不透明でしたが、現在は世界的に明るい兆候が幾つか見え始め、特に他の新興国と比較してもファンダメンタルズが強化されているブラジル経済は、本年5月頃に底を打ち、緩やかながら上昇過程に入ったというのがイタウ及びブラデスコという民間2大銀行の一致した見解であります。したがって本日は、前回よりも明るい話がお聞きできるのではないかと楽しみにしております。

    最後にこのシンポジュームの担当であります総務委員会、業種別部会及び事務局の皆さんのご尽力と、会員各位のご協力に心から感謝の意を表しまして私の挨拶を終わります。ご清聴有難うございました。

    司会
    田中会頭有難うございました。それでは部会の発表に移ります。各部会の発表時間は約10分。そして質疑応答を含めて合計15分を目処としております。画面に残り時間が表示されますが、あまり気になされずに思う存分進めていただければと思います。それではご案内のアジェンダに従いまして進めさせていただきます。まずはコンサルタント部会、都築部会長よろしくお願いいたします。

  • コンサルタント部会 都築慎一 部会長

    コンサルタント部会発表資料

     

     

    皆さん今日は。コンサルタント部会の都築と申します。よろしくお願いいたします。

    コンサルタント部会は多岐にわたるサービスを行なう企業の部会で、業界の動向というものが掴みにくい面がありますので、今回もマクロ経済の概観というテーマで発表させていただきます。ただ2月のシンポジュームでは私の発表が大幅に時間超過となってしまいましたので、今回は焦点を絞りまして主要経済指数の発表、また景気は底を脱したのかという問いかけに関する部会員のコメント紹介、さらに日本からの直接投資の動向という三点について話をさせていただきます。

    途中で修正がございまして、コピーをお持ちの方とスライドがちょっと違う所があるのでご了承ください。

    まず国民総生産成長率ですが、予想の修正が時々行なわれますが、IMFなどの少し以前の予想ではマイナス0.5%となっています。金融危機前の成長率が良かったため昨年は年間で5.1%の成長率となりましたが、2009年第1四半期の成長率は市場の予想より良く、対前期比でマイナス0.83%。財務大臣の先週の発言では年間に換算して4.5%の成長ということで、現在ですね、これらをベースに試算すると年間で見た場合、プラスの成長の可能性も出てきているということです。

    次に国際収支ですが、昨年後期と今年の上期を比較しております。2008年から2009年の上期にどういう風な流れになっているか、見ていただくと分かるんですが、経常収支の赤字額が大幅に減っていると。これは貿易収支がさほど変わらず、利益配当送金が減少したこと。減少したというより昨年が非常に多かったので今年が元に戻ったということによる所得収支の減額などによるものです。

    また貿易収支では、ここで見ますように一応黒字にはなっていますが、輸出輸入とも実績は大幅に減少しています。またブラジルへの直接投資では、本年度上期では対昨年後期の数値と比較しますと50%を超える大幅な落ち込みとなっています。

    一方証券投資は海外の投資家がブラジルに戻ってきてはいますが、投機的な要素も多分に含まれており、実体経済の早い回復への期待感だけとは言えないのではないかという意見もあります。また金融危機の際の外貨の極端な流動性不足などの解消や債務の減少、証券投資などの資金の流入により外貨準備高は多少増えています。

    次のグラフはブラジルへの投資の流れを月毎に見たものですが、特に直接投資が増えてきているとは言えないことが示されております。このグラフでいきますと、水色の線が直接投資で緑の線が間接投資と、いわゆる証券投資ですね、ということになっています。

    また業種により金融危機によるダメージは様々ですが、やはり製造業全体では落ち込みが激しかったことから、回復基調にあるとはいえ、金融危機以前と比較すると依然15%くらいのダウンとなっています。

    また失業率は、6月の失業率が5月の失業率8.8%から8.1%に改善するなどの明るい兆しも見え始めています。また政府金融機関を通じた緊急消費刺激策、中小企業運転資金融資としての融資拡大が行なわれており、その効果は出ていると思われますが、一方支払い遅れも月毎に増えています。これが支払い遅れの実態を示したグラフですが、月毎に本年度増えていることがわかります。

    ただ専門家の意見では、ブラジルの過去の経験からするとまだ危険な数値ではないと、5%台ですね、一方財務大臣は、やはり先週政府系のトップ銀行がスプレッドを抑え融資を拡大させ、支払い遅れを金融機関の平均値より少なくさせることで、昨年同期を0.1%超える2009年上期40億の利益を計上したことをコメントしています。

    今後Cランクの所得者への融資が更に増えていくことが予想される中、消費の動向をどう見るのか。例えば個人消費は今後確かな足取りで更に回復していくのか、借金の返済で消費需要に陰りが出るのではないか、運転資金に苦しむ企業は今後減少いくのかなど、疑問が生じる所です。

    次に今までご紹介しました指数を元にしまして「ブラジル経済は底を脱したのか」という部会全員に対するアンケートに対する回答の紹介です。

    ここにございますように、全体としては意見が分かれております。特に「いいえ」と回答された方々は底を脱したとは言い切れないという点で一致しておりまして、実体経済の確かな歩みにはまだ不安な点が残っているということだと思います。

    ちょっと読ませていただきますと、「はい」では、基調としては、先ほど会頭が仰られましたように持ち直してきていると。ただ「いいえ」も同じようなニュアンスであるんですけども、警戒感を持っているという意見が多く、業種により回復度合いにバラツキがあると。それから実体経済の回復はまだしっかりした足取りとは言えないと。

    それから経常収支の2008年のマイナス282億ドルの落ち込みをもっと謙虚に検討すべきと。つまり直接投資はそんなに増えていないし、それから貿易も、輸出はご存知のように米国であるとか欧州であるとかその辺にもよりますので、今良いのは中国ですからそれ以外は今後どうなるのかまだ予断を許さないということだと思います。

    という訳でブラジル経済に対するコンサルタント部会での色々行ないました議論の中で、大体で行き会った結論というものについて申し上げさせていただきます。まずは今申し上げましたように、景気復調局面に入ったと言ってよいとする見方と、言葉のニュアンスであるんですがこれに対して慎重な見方という風に分かれました。

    それから、低所得者への可処分所得融資の増大とか、時限的減税政策による国内消費刺激策というのは一定の効果を上げているけれども、この先持続的な確かな回復・成長につながるのかという点で見方が分かれました。それから公共投資への資金支出や実施の遅れ等により国内経済への刺激がどのくらいの効果を生んでいるのか疑問があると。いわゆるルーラ政権の一つの柱であるPACという経済総合投資計画ですね。

    次に出てきたのが、輸出の回復は世界各国の景気回復度合いによるところが多いためまだ時間がかかりそうだと。ブラジルでは輸出はそう増えず輸入だけが今後増えていくのではないかという意見がございました。ただ全体としては実体経済が力強い足取りで回復の道を歩み始めているとはまだ言えないであろうと。

    2009年後半はまだ不安定要素があるため設備投資には慎重な企業が多いのではないだろうかと。特に製造業が危機前の水準に戻るのは2010年に持ち込まれるのではないかという意見が多かったです。

    最後に日本からの対ブラジル投資についてまとめてみます。ここの部分は特にジェトロさんからのご協力を頂いております。

    ここに示しましたのは2007年、それから2008年のブラジルへの直接投資がどの国から行なわれているのかというのを示したもので、上から大きい順に大体なっています。これを見ますと、日本は2007年は465ということで非常に直接投資は少なかったということなんですが、2008年には突如780%の増大ということで増えました。

    これはご存知の方も多いと思うんですが、具体的な企業名は別にしまして去年の末に大型投資が行なわれたことによる資金の流入があったため、一社というか企業連合によるこの投資額が非常に大きかったということで数字が増えたということです。

    それで日本からの新規投資の傾向というのをまとめますと、2009年6月現在ジェトロの調べでは20社前後が新たにブラジル市場への進出・販売強化を模索していると。それから2009年上期はどうだったのかというと、ご存知の新型インフルエンザの影響であるとか、日本・米国の本社等の金融危機による影響、それから、よく聞く話なんですが、こちらでブラジルの輸入業者としてのライセンスを取ろうとするとすごい時間がかかっていると、そういうようなことで一時的に足踏み状態となった計画が多いということが言えると思います。

    それで、傾向としてはどういう風になっているのかということなんですが、日本の産業にとって安定確保が重要となっている資源権益の獲得というのがあります。それから自動車関連を中心にした投資が今までずっと行なわれてきましたけれども、少しずつ消費財の製造やまた販売に対して色々な業種が日本から少しずつ入ってきて、これが拡大してきていると。

    その場合に、ここに書いてございますように、中小企業の進出がですね、やはり増えてきたということが言えるかと思います。これはやはり、ブラジルは遠いのでどうしてもアジアなどと比べると少ないんですけれども、日本国内の売り上げが頭打ちとなる中、アジアのみならず南米市場もターゲットとして戦略構築されているという風に考えられると思います。

    それから、まあ商社さんの中にはインフラ関係ですね、に対して非常に積極的に投資を行なっている、これは新興諸国の期待ともマッチしているということで、この方面の投資も今後増えていくのかということも言えるかと思います。以上駆け足でまとめましたけれども、ご清聴有難うございました。何かご質問があれば言ってください。有難うございました。

    司会
    都築様どうも有難うございました。ご質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。金融部会山崎部会長よろしくお願いいたします。

  • 金融部会 山崎展生 部会長

    金融部会発表資料

     

     

    皆さん今日は。金融部会、ブラデスコ銀行の山崎です。高い席から失礼いたします。

    本日は2009年上期の回顧と下期の展望ということで、初めに簡単に上期ブラジル経済の回顧、2番目に銀行業界の回顧と展望、3番目に下期ブラジル経済の展望、最後に保険業界の回顧と展望という順番で、コンサルタント部会さんとなるべく重複しないように金融、為替、融資に絞ってお話させていただきます。

    初めにブラジル経済全体についてお話します。2009年上期のブラジル経済は2007年末の13.75%から2009年7月末の8.75%まで史上初めて一桁金利に踏み込んだ大幅利下げに代表される金融政策、およびIPI現在など財政政策の効果によって、堅調な個人消費を基盤に各種経済指標は反転の兆しが見えてきています。

    特にブラジル経済の底堅さに反応した外資流入により、為替レートは2008年末の1ドル=2.337レアルから6月末には1ドル=1.951レアル、さらに本日昼時点では1ドル=1.861レアルとレアル高で推移し、BOVESPA指数は2008年末の37550から6月末には51466、さらには本日昼時点では55759とリーマン・ショック前の2008年8月の水準を超えています。次のスライドお願いします。

    次に銀行業界についてお話します。2009年上期、リーマン・ショックによる流動性枯渇という異常状態が収束し、欧米金融機関と比べデリバティブ関連での損失も少なかったブラジル銀行業界は全体として健全性を保っています。

    2009年7月の時価総額世界トップ25行の中に日本のメガバンクは2行ランクインしていますけども、ブラジルの民間地場大手行も2行ランクインしており、市場の評価も高いと言えます。しかし、世界経済危機による実体経済悪化により、不良債権比率が拡大しており、大手行は各行とも引き当てを強化してポートフォリオの健全化に努めています。

    外貨調達の面では地場大手銀行が1年ものの輸出金融資金を調達する場合、年初には4%弱のスプレッドが必要でしたが、足元0.7%程度のスプレッドまで低下してきており、世界経済危機をほぼ乗り越えたと言えると思います。

    銀行貸出総額は世界経済危機により設備投資抑制、在庫圧縮を進めた法人向け融資が2008年末の4769億レアルから2009年6月には4635億レアルに減少いたしましたが、底堅い個人消費を反映して個人向け融資が3943億レアルから4342億レアルに増加、全体では1兆2273億レアルから1兆2783億レアルに増加しました。次のスライドで推移を見てみます。

    銀行貸出総額GDP比推移です。2003年以降一貫して増加しており、2009年6月末にはGDP比43.7%になりました。世界経済危機後、堅調な個人消費に対する資金供給を行なってブラジル経済を牽引する役割を果たしたと言えると思います。では銀行業界のスライドに戻ってください。

    平均貸し出しスプレッドは流動性枯渇と異常状態から脱したこともあり、2009年6月末には法人向けでは18.3%に0.1%低下、個人向けでは35.7%に9.3%低下しています。しかし延滞債権比率は実体経済悪化の影響を受けて2009年6月末には法人向けでは昨年末の1.8%から3.4%に、個人向けでは昨年末の8.0%から8.6%へ増加しています。2枚スライドを飛ばしてください。

    まず法人向け融資の平均金利推移です。プリントには貸出スプレッドとありますけども、金利に訂正してください。貸出スプレッドの低下、それから基準金利の低下により2009年6月末で27.5%と世界経済危機前の2008年7月の水準まで低下をしています。次のスライドをお願いします。

    次に個人向け融資の平均金利推移です。こちらも平均貸出スプレッドの低下幅が法人に比べて大きかったこともあり、2009年6月末で45.6%と世界経済危機前の水準を下回っています。金利に関しては世界経済危機の影響を脱したということが言えるのではないでしょうか。次のスライドをお願いします。

    続いて法人向け融資の延滞債権比率です。こちらは2009年6月末3.4%と2001年以来の高水準に跳ね上がっています。次のスライドをお願いします。

    次に個人向け融資の延滞債権比率です。こちらも2009年6月末8.6%とやはり2001年以降最も高い水準まで上昇してきています。不良債権比率の推移は実体経済の動向もあわせて今後とも注視していく必要があります。

    ここで先ほどご説明いたしました銀行貸出総額を融資主体別に見てみます。すると2009年上期にはブラジル銀行、BNDES、CAIXAなどの公的金融機関がその融資を10.9%拡大したのに対し、民間地場金融機関は1.4%の増加に留まり、民間外資金融機関は1.9%減少させています。

    民間各行は不良債権比率の増加に伴い、慎重な融資姿勢を取りましたが、経済回復のための資金供給という政府の強い意向を受けた政府系金融機関が資金供給を拡大、政府主導で銀行貸出総額が拡大したという側面を確認することができます。次のスライドをお願いします。

    続いて下期ブラジル経済の展望についてお話します。2009年下期の経済指標予測平均はご覧の通りです。政策金利の引き下げはほぼ現状で打ち止め、為替レートは若干レアル安という見通しです。次のスライドをお願いします。

    こちらは各行の金利・為替レート予想です。金利については個人消費の底堅さなどブラジル経済の基礎体力をどう評価するかによって、さらに利下げが必要かとの見解に分かれ、為替についてはブラジル経済が回復していくと輸入ドライブがかかり、貿易収支が悪化、加えて利益配当送金が活発化することによって経常収支赤字幅が拡大、ひいてはレアル安基調となる中で、足元レアル高をもたらしている外資流入が継続するか、世界経済の行方をどう見るかによって見解が分かれると思います。

    金利については各行ともほぼ現状維持であり、基礎体力は強いと判断されていると思われます。為替レートについては世界経済がV字型、あるいは少なくともU字型で回復するという強気シナリオに立つと、世界経済の回復によって外資の投資余力が回復、足元の外資流入が今後も継続・拡大し為替レートは横ばいないしはレアル高になると考えられますが、各行ともこの強気シナリオに立っておられるという風に考えられます。

    しかしながら世界経済には二番底があるとするW型、あるいは不安定に上下するということでWWWですね、インターネット型という風に言っていますけれども、と考える弱気シナリオに立つと、世界経済の腰折れによって足元ブラジルに流入している外資も米国債などの安全資産に還流、為替レートはレアル安になることが考えられます。某大手証券会社E社がそういう見解を取っておりますので、一応ご参考にお伝えいたします。次のスライドをお願いします。

    最後に保険業界についてお話します。2009年上期は医療保険、運用型年金保険を除いた全種目の収入保険料は前年比10.2%増と2007年から2008年にかけての増収率14.3%には及ばないものの堅調でした。

    種目別には火災・新種保険18.3%増、生命・損害保険16.2%増が二桁の増収率を示したのに対し、自動車保険4%増、貨物保険2.7%減は低調でした。また収入保険料に占める支払い保険金の割合である損害率については全保険種目で53.9%と前年比1.1ポイント悪化しました。

    特に自動車保険は70.6%と2.9ポイント悪化しており、盗難件数の増加に加え、雨天が多いことにより衝突事故件数が増加していることが要因となっています。再保険自由化が開始してから1年が経過し、海外の主要再保険会社が市場に参入していますが、従来より市場を独占していたブラジル再保険院、IRBが市場の8割を占めている状況にあり、市場は大きく変化しておりません。次のスライドをお願いします。

    2009年下期は収入保険料は引き続き拡大傾向が続くと予想されますが、収支は損害率の上昇に加え、金利低下による運用益減少の影響を受け悪化していることから、損害率の高い自動車保険については保険料を引き上げる傾向が続くものと予想されます。

    経営環境が厳しくなってきていることに加え、保険会社各社は2010年末までに保険監督庁が示した保険会社の支払能力を表した基準であるソルベンシーマージン新基準を充足させなければならないため、今後とも合併・買収の動きが続くものと予想されます。以上、金融部会からの発表でした。ご清聴有難うございました。

    司会
    ご質問ございますでしょうか。それでは山崎さん、どうも有難うございました。次に参ります。貿易部会伊藤部会長よろしくお願いいたします。

  • 貿易部会 伊藤友久 部会長

    貿易部会発表資料

     

     

    貿易部会の伊藤です。よろしくお願いします。

    貿易部会よりは2009年上半期のブラジルの貿易動向を中心に発表させていただきます。まずブラジルの経済における貿易の規模感として、ブラジルの輸出額というものはGDPの12%程度に留まっております。中国が30%強、日本が約16%であることからしてもその割合は低い比率となっています。この辺は皆さんの頭の中に前提としてとどめ置いていただけたらと思います。

    初めに2009年上半期の貿易動向の総括ですけども、開発商工省貿易局の統計データーによりますと、ブラジルにおける2009年上半期の輸出総額は前年同期比22.8%減で700億ドル。輸入総額は前年同期比29.5%減の560億ドルとなり、半期単位毎の数値をグラフ化しておりますけども、見ていただければ分かる通り最近の過去最高額更新の傾向から一転しまして、金融危機等の影響により2009年上半期は急激な減少になっております。

    一方で貿易収支に関して黄色の折れ線グラフを見ていただきたいのですが、前年上半期比で23.9%の増加、それから前年下半期比で3.7%の微増ということで、140億ドルの黒字になり2年連続して増加しております。

    ではこの貿易黒字が増加した理由ですけれども、金融危機の影響を受けまして輸出額が大幅に減少しましたが、輸出額の減少以上に内需が減退したことによる輸入額の減少幅が大きかったことが要因となっております。

    月別では特に4月以降大きな増加となっています。また2008年9月のリーマン・ショック以降では、直後よりも2009年に入ってからの方が輸出額・輸入額ともに減少幅が大きくなっております。

    ではこれより輸出入の取引形態毎にそれぞれ主なトピックスを説明させていただきたいと思います。まず輸出に関してですが、2009年上半期の輸出総額は金融危機によるコモディティ価格の下落と主要輸出国の需要減退によりまして、前年同期比22.8%減の700億ドルでしたけれども、カテゴリー別に見ても、ここの表にあります通り全てのカテゴリーで減少となっております。

    一次産品が8.2%減の294億ドル。半製品が27.5%減の88億ドル、工業製品が31.1%減の303億ドルで、特に工業製品の落ち込みが非常に大きくなっております。

    次に輸出の主な品目である一次産品とそれから工業製品に関してさらに詳細を説明させていただきます。まずは一次産品に関してですけども、主な商品では大豆が27.2%増の73億ドル。鉄鉱石が5%増の66億ドル。原油が50.8%減の27億ドル。鶏肉が19.4%減の23億ドルとなっております。

    一次産品全体では8.2%の減少でしたが、主要商品である大豆は中国向けを中心に大幅に増額となっております。またグラフには記載しておりませんけども、数量ベースでも大豆の場合40.2%増で1926万トンと大幅な増加を記録しております。

    また大豆総輸出額の内59.5%が中国向けとなっておりまして、2009年度上半期も7.1%の経済成長を達成している中国にブラジルの輸出というのが救われた形となっております。また原油の輸出量は、量としては37.6%増となりまして1162万トン。ただし価格の下落が大きく影響しまして額としては減少ということになっています。輸出のハイライトとしては大豆、鉄鉱石が昨年度を上回り、それ以外は全てマイナスということになります。

    次に工業製品の主な消費について説明します。工業製品では航空機メーカーEmbraer社が輸出する航空機が26.3%減に19億ドル。ただしこの19億ドルも引き続きカテゴリーとしては1位となっております。

    輸出先は1位から米国、中国、UAE、イタリア、フランスの順になっております。2位以下の品目は乗用車が38.4%減で14億ドル。自動車部品が40.6%減で10億ドル。精製糖が23.2%増の10億ドルとなっておりまして、数量ベースでも精製糖以外は軒並み減少する結果となっております。

    また乗用車の輸出額はアルゼンチン、ドイツ、メキシコの順に多くなっておりますけども、特にアルゼンチン、メキシコ向けは金融危機の影響を受けた需要減退が顕著で、それぞれ42.2%、33.3%の大幅な減少となっております。

    次に輸出相手国別に触れさせていただきます。輸出相手国上位10カ国はこの表の通りです。唯一中国が大豆等を中心に輸出額を大幅に伸ばしております。中国以外の国については前年比で全ての国において減少になっています。

    2位の米国ですが、金融危機により原油、航空機等の主要品目が減少した結果、上位10カ国中では最も減少額が大きく、前年同期比で43.7%。56億ドルの減少となりました。その結果中国が初めて輸出相手国1位となりまして、通年ベースでも同様に最大の輸出相手国になる可能性が強くなっております。

    次に減少幅の大きいアルゼンチン、こちらは工業製品の際に少し触れましたけども、乗用車の減少が非常に大きくなっております。またそれに伴いブラジル国内のアッセンブラへの影響も大きくなっていると考えられます。アルゼンチンへの工業製品の輸出の減少の中には中国製品の進出によるマーケット・シェアーが奪われているといったことも考えられています。

    ブラジルからの輸出について取りまとめますと、一つ、ブラジルは資源頼みの国というイメージが大きいですが、工業製品が総輸出に占めるシェアーが43.3%となっており、リスクは分散されていると言えます。すなわち一次産品よりも工業製品の方が金額的に多いという事態が続いております。

    また大豆を中心としまして今上半期は大きく中国に依存する形となっておりますが、一方でアルゼンチン向けを中心とした工業製品の減少は中国品による影響で減少したと言えなくもなく、ブラジルにとって中国の影響というものが良い面でも悪い面でも出ていると言えます。

    ここから輸入について話させていただきます。2009年の輸入総額は前年比29.5%減の560億ドルでした。カテゴリー別では資本財が14.4%減で139億ドル。原料・中間財が32.9%減の258億ドル。消費財が7.7%減の92億ドル。燃料および潤滑油が51.8%減の71億ドルとなりまして、輸出と同様に全てのカテゴリーで減少を記録しています。

    では次に輸入品目の中で資本財および消費財について説明させていただきます。まず資本財ですが、工業用設備・機械が0.8%減に留まって49億ドル。オフィス・研究機関向け機械・器具が29.6%と3割近い減少で24億ドルとなりました。

    次に消費財を見ますと、資本財と同様にカテゴリーとしては減少していますが、非耐久消費財に関しては2%とわずかながらではありますが増加して45億ドル。耐久消費財は15.6%減で46億ドルとなっています。非耐久消費財の中では医薬品が7.1%増の17億ドルと増加していますが、これは新型インフルエンザの流行の影響があると考えています。

    また他にも飲料・タバコそれから衣料、ここは二桁の伸びになっています。一方で耐久消費財は乗用車が11.3%減、個人用装飾品が6.2%減となっておりまして、不景気で高価な消費財から安価な嗜好品や買い物に転じた層が増えたと考えられています。また、乗用車の輸入相手国は1位からアルゼンチン、メキシコ、韓国の順になっていますけども、メキシコ以外は前年同期比減となっております。

    次に輸入相手国について見ますと、輸入相手国上位10社は表の通りでありますが、全ての相手国に対して減少という結果になっています。まず1位の米国ですが、14.1%減で97億ドル。しかし一方で石炭や医薬品等の上位品目については米国からの輸入というものは増加傾向にあります。

    次いで輸出が1位であった中国でありますけども、主な輸入品目はコンピューター部品、プリント用回路、これらについてはブラジル国内での生産量減、それから需要減によりまして、それぞれ35.3%、53%減となりまして、全体で24.4%減の68億ドルになりました。

    続いてアルゼンチンは自動車関連で乗用車が8.4%減、自動車・トラクター部品が25%減、小麦が35.4%減となりまして、全体で20.1%減の50億ドルとなっています。またその他には6位の韓国について少し触れますと、集積回路等の電気電子部品は軒並み大幅減となっておりますけれども、1位の乗用車が微減に留まっております。これは上半期の大型セダンカテゴリーの販売台数第1位である現代自動車、アゼーラの金額等が寄与しているのではないかと思われます。

    次に対日貿易という点に焦点を絞ってみます。2009年上半期の対日貿易は輸出が前年比22.9%減で20億ドル。輸入が15.7%減の26億ドルとなりまして、全体の傾向と同様に両貿易とも減少となりました。2008年の通年の日伯間の往復貿易額というものは、129億ドルありましたが、2009年度は今のままでいきますと100億ドルを下回る可能性が出てきております。

    ブラジルの貿易額に占める日本のシェアーは、輸出で2.8%、輸入が4.7%で、国別順位では輸出入ともに昨年の6位、5位から変動はありませんでした。また2008年に引き続き、日本の需要減少等により対日貿易収支は赤字となっています。

    これは対日輸出品目別グラフですけども、鉄鉱石、鶏肉、アルミニウム、コーヒー豆が上位を占め、コーヒー以外は前年比減少となっております。数量ベースでも鉄鉱石の49.9%、鶏肉15.6%の減少となりまして、一方でアルミニウムは17.4%が増加ということになっています。

    上位品目以外で注目すべき点は、日本航空等がEmbraerより購入しました航空機がこの上半期にカウントされておりまして、対日輸出品目で初登場となっております。日本では主に工業用として使用されておりますエタノールも前年同期比で142.9%、数量ベースでも144%の大幅な増加が見られています。

    一方で対日輸入品目では引き続き自動車関連が上位品目を占めておりまして、ブラジルでの生産減の影響を大きく受け軒並み減少となっております。唯一コピー機、それから印刷機等、あとグラフに記載しておりませんが鉄道の路線の部品等は販売を伸ばしております。

    まとめとしまして2009年の下半期の見通しですが、中銀が国内の金融機関などのエコノミストにアンケートを実施してまとめたレポート、フォーカスによりますと、2009年通年の輸出額は1558億ドル、輸入額は1329億ドル、貿易収支は228億ドルとなると見込んでおります。輸出入ともに前年比で20%落ち込むというのがこれらの見方になっております。

    ただ輸出入ともに下半期の金額は上半期の額を上回ると予想されておりまして、基本的には景気の底は打ったのではないかというような見方が共通したところとなっております。実際に輸出に関して見ますと、2009年2月の96億ドルというのをボトムにしまして、直近の7月では2月比で47%増の141億ドル、輸入に関して見ますと同様に2009年2月の78億ドル比で44%増の112億ドルという、まあ回復傾向と見られるのではないかというような数字が出ております。

    また各国の金融危機からの回復に伴いファンダメンタルズが安定し、高金利で資源国でもあるブラジルへマネーが戻りつつあるということも言えています。通貨レアルはリーマン・ショック以前の最高値の水準に近づいておりますし、一方でこのレアル高の結果、軽工業を中心に輸出企業は業績を悪化させるという面も出てはおります。

    最後になりますが、2009年は2008年から始まった全世界ベースでの危機による不透明な中で始まり、推測が非常に難しい状況でありましたが、流れとしては景気は回復傾向にあり、定性的な面から考えればやはりブラジルは世界の中でも非常に期待できる市場であると考えています。

    来年の大統領選挙にからむ、いわばばら撒きと財政面の懸念はぬぐい切れませんけども、ブラジルの強みである4つの点を考えますと、このまま緩やかに回復していくのではないかと思っています。

    すなわち強みのキーワードは、一つ目、1億9000万人を抱える世界第5位の人口、そして広大な領土を持つ巨大な国内市場、二つ目は豊富な鉱物資源、食料資源、エネルギー資源、三つ目は金融機関が世界の金融危機の影響をあまり受けておらず非常に体質が健全であるということ、そして最後に民族、宗教の対立のない、テロのない安定した国であるということ。

    日本とブラジルは補完関係にあります国同士で、ブラジルの日本におけるプレゼンスを高め、逆に日本のブラジルにおけるプレゼンスも高め、更なる関係の強化、そしてその結果の実現を貿易部会としても切に望んでおります。ご清聴有難うございました。

    司会
    質問、コメント等ございますでしょうか。では伊藤部会長、どうもありがとうございました。
    次に参ります。建設不動産部会、大滝部会長代理、よろしくお願いいたします。

  • 建設不動産部会 大滝守 部会長代理

    建設不動産部会発表資料  (原稿)

     

     

    建設不動産部会、ホス建設の大滝と申します。よろしくお願いいたします。
    2009年上期の日系の建設業界は、全体としまして、工場の設備投資の中止あるいは延期という影響を受けまして不調でありました。

    一方、政府が力を入れております「私の家、私の暮らし」「Minha Casa,MinhaVida」というプロジェクトがありまして、この低所得者向けの住宅供給政策が功を奏しまして、住宅関係業界は回復しまして、これが建設の景気を上昇させています。2009年5月頃にはこの住宅専門建設業は不況の底を脱したようでありますが、主に工場建設を主体としております建設業はまだ不況の中にいると思われます。

    建設労働者数の表1で示しておりますように、2008年の不況の影響で建設業を離職する人数が増加しましたが、現状では建設業に戻ってきておりまして、全体として労働者は増えております。

    建設労働者組合の本年5月の給料調整発表は、給料ベースで6.74%の上昇でした。昨年同期の8.51%に比べ落ちてはおりますけども、この不況感とは関係なく上昇して建設の物価を押し上げております。

    建設資材ですが、表の2で示しますように2008年の建設の価格上昇後高止まりのままでしたが、政府の工業製品税IPIの免税等がありまして値下がりした資材がありました。この減税は大衆向けの建設材料の販売店にはたいへん良かったのですが、ゼネコンが取引します資材メーカー、下請業者はいまだに強気で高価格を保持しております。

    次に表の3で示します、建設の物件数の上昇を示しておりますセメント量の販売量2009年1-6月の実績でありますけども、この販売量につきましてはブラジルの北部、南東部は2008年に比べまして減量しているところがありますが、他の地域におきましてはほぼ増量しております。

    また、その建設の物件数につきましては不況の今年でも2008年同様件数を保持していることが分かると思います。2009年上期は本建設不動産部会に所属しております日系の各建設会社は目標値に対しまして20~30%の達成率で落ち込んでおりましたけれども、2009年下期の展望としましては、2008年中に計画しておりました工場建設、投資も戻りつつありますので、年々工事の受注が増加していくとは考えられます。受注率で言えば今年の目標の80%達成率に届くよう期待しております。

    このように日系建設会社は不況の底におりますけれども、ブラジルの大手ゼネコンでありますカマルゴ・コレアなどはですね、すでに今年は32%の売り上げ増を予測しておりまして、全体にブラジル系においては底は脱していると、このように考えられます。

    次にサッシ業界ですけれども、2008年に受注しました工事物件が相当有りまして、2009年上期は完工高としては好調でありました。低所得者向け、中級クラスのアパートのサッシ工事の引き合いは多くありまして、まあ価格競争、資材の値上がり等で対応は厳しいのですが、堅調でありました。またサッシに対する品質の要求が高まりまして、YKKサッシさんとしては競争力のある営業を展開することを抱負に述べておられます。

    次に事務用の家具業界でありますが、2009年は3月から急に受注が落ち込みまして、本年は各事務所のリニューアルも控えているため期待はできないようです。パーテーション、間仕切りなどの新商品を開発して販売強化を行なうと。

    次に不動産、住宅建設の動向ですけれども、2008年末からサンパウロ市の新規マンション建設は落ち込みまして、中・高級クラスの販売も低下しておりました。大手のマンション・住宅開発・販売の有名会社の株価も一時大きく下落いたしました。しかしながら政府の政策において低金利、ローンの緩和で再び住宅購入の動きが戻りまして、まあ金利が安くなりましたので不動産投資を行なう方が増えてきたということで、購買も進んでまいりました。住宅建設また販売の建設会社の株価は回復してさらに大幅に伸びたのが現状でございます。

    表の4ですが、2008年第1四半期と2009年の主要都市の住宅販売件数の比較ですけれども、サンパウロ市等は落ち込んでおりますが、他の都市では上昇しているのが分かると思います。

    次に、表5は大衆住宅の建設件数の2008年と2009年の比較でありますけれども、各月ともこの業界においては大きく増加しております。

    不動産・土地の価格の推移ですが、不況とはいいながら高止まりのままです。住宅地域は地下鉄沿線が伸びている現状で、多少離れた場所でも土地価格の上昇が起きております。また工場用地としてはサンパウロからカンピーナスにかけまして土地の値上がりがありまして、今後も上昇は止まらないと考えます。

    事務所の空室率、空き家ですね、は低くて、家賃も高止まりのまま、あるいは少々上昇しております。データーとしてBRICsの比較ですが、ロシアのモスクワでは空室率、空き家が4倍も増えておりまして、家賃も63%ほど下落しました。
    北京においては27%の空室率がありまして、かなり空き家が多いと。またインドのボンベイでは空室率が4倍やはり増えまして、家賃も44%下がったようです。サンパウロは先ほど申しましたように、空室率が若干、2.5%増えましたけれども、家賃の方は少しながら上昇しているのが現状でございます。

    マンションですけれども、家賃は、新築で高級なクラスは相当高いままで止まっておりますが、中古マンション、あるいは中クラス以下は場所にもよりますけれども家賃は下がっていると。また中古マンションは最近になって売買取引が活発になっておりまして、この方面は増加しているようです。

    今年の建設業界のトピックですが、海外のファンドがブラジルの不動産投資に戻ってきておりまして、大型の職住一体型、住むところと働くところが一体型の安全型を狙った開発が進んでおります。またこの建設不動産部会の方には日本からCGCという会社、土木の特殊な地下鉄工事、あるいは地盤改良の専門会社が進出されまして、加入されました。

    またサンパウロ州の消防法の規制が厳しくなっておりまして、避難口の確保、火災の時の排煙対策、あるいは消火設備に対応が求められております。
    で、建設中の建物の倒壊、あるいは違反建設が多くて、あるいは経費節減等で工事作業の安全をおろそかにしている、コストダウンのために安全対策をやっていないことで事故が増発しております。

    このため各役所では取り締まりを強化しております。特に環境規制においては一段と厳しくなっておりまして、建設の計画時点において色々な制限が出ているのが現状です。

    次に、世界的な省エネ、あるいはエコに配慮した建設計画が求められておりまして、ブラジルもその技術が少しずつ進んできております。あるいは最近問題になっております禁煙、あるいは対騒音、そういった社会的な悪影響に対しましても建築的な技術対応が求められておるということでございます。

    最後に、2009年下期から2010年に対しての建設業界の取り組みにおきましては、一番としまして自動車業界等の工場投資の実現あるいは景気の回復を期待して、現在まで停滞した建設計画に対応していくと。

    また日系以外の国内の優良企業及び宗教施設や学校、病院等の受注を増加させるように取り組む。現在日系建設業界は不況の底にありますけれども、すぐには脱しない現状なんですが、まあ建設業は絶えず他産業の回復に対しまして6カ月ぐらい遅れますので、不況は長引くと覚悟して、会社内の体質強化に努めていくと、そのように展望を持っております。以上でございます。ご清聴有難うございました。

    司会
    ご質問、コメント等ございますでしょうか。大滝さんどうも有難うございました。機械金属部会に参ります。内容はともかく明るいプレゼンをされる西岡さんでございます。マイクは不要かもしれませんけれども、適宜ご利用ください。

  • 機械金属部会 西岡勝樹 部会長

    機械金属部会資料

     

     

    皆さん今日は。ただいまご紹介にあずかりました日立製作所の西岡でございます。それでは、機械金属部会の2009年上期の回顧と下期の展望についてご説明させていただきます。えー、聞こえますでしょうか。

    ご存知のように機械金属部会は多種多様な業種・分野に分かれております。今回は、この1から11の分野について説明させていただきます。

    1、    鉄鋼鋼板。昨年8月、このシンポジウムでは矢印で好調・絶好調を連呼させていただきました。2月は、天気ですね。雨のち曇り、大雨、の天気予報をさせていただきました。それで今回は、昨年の8月、リーマン・ショック前を100とすれば、この2009年上期、現在8月はどのような状態なんでしょうか。1、鉄鋼鋼板は、60です。まだちょっと回復していない。ではその概況はどうでしょうか。

    2、    国内市場。金融危機の影響。昨年4クォーターに急落。本年徐々に回復しておりますが、前年同期比はまだマイナスの42%です。輸出市場。国内マーケット需要冷え込み。前年同期比マイナスの13.3%です。輸入。これも、昨年急増いたしましたが、国内供給力回復で減り始めております。粗鋼生産量。昨年1740万トンから1056万トンに減少。これはマイナス39.5%の減少です。これが上期の回顧になります。

    それでは下期の展望として、上期を100とした場合、下期は130です。底を打ったかに見えますね。この状況は、国内市場、自動車産業を中心に販売回復が見られます。上期比で23.38%と予想しております。輸出。国内需要回復の期待。輸出増を狙い、休止中の高炉6基中3基の再稼動を決定いたしました。国内需要回復のスピードは少し遅いですが、輸出大幅増を予想しております。輸入は、国内供給力が増えました。輸入は徐々に従来のレベルになると予想されております。

    次に、電力および大型プロジェクト。これも同じように昨年の8月、リーマン・ショック前を100とすれば、90です。この状況は、電力、特に変電なんですが、金融危機の影響はありましたが、その他の顧客の調整をして売り上げに影響はないと。また電機。ペトロブラス向けの圧縮の入札も多数あります。

    そして大型プロジェクト。ご存知のように新幹線プロジェクト、その入札の発表が近く予定されております。地下鉄案件も漸近で受注されました。また、モノレールの入札の案件もあるそうです。そしてデジタル放送機器。これは厳しい期間。放送局の投資先送りなどがありましたが、これは他国ですね、ペルーの採用もありました。その他オートバイ。マナウス工場を建設している会社もあります。

    それでは下期です。同じように上期を100とすれば、110。その概況は、同じように電力・変電。生産計画は詰まっております。市場ニーズ後退はない。電機。ペトロブラス向け圧縮機の入札も継続されます。同じように大型プロジェクト。新幹線入札公表、事業件者が決定されることでしょう。

    地下鉄の新規案件も旺盛な需要があります。デジタル放送機器。政府の普及政策がカギと。また更なる南米他国の採用の結果にもよるかもしれません。船舶用の機械。ペトロブラスからの発注増があり、船舶業界これは賑わいを見せているということです。

    次にプラント。紙パルプ、石油化学、エタノール等。同じように昨年の8月を100とすれば、80というレベルです。状況は、紙パルプ業界。金融危機の影響、紙パルプ需要減、輸出価格下落、設備投資見合わせ。ボイラー改造の商談はあるが、進展はない。

    石油化学業界はどうでしょう。ペトロブラスの好調な業績と投資意欲に支えられ、引き続き堅調であります。鉄鋼・非鉄業界はどうでしょうか。国際市場の価格が下落して、減産、延期、見直しが見られております。エタノール業界は、原油価格が低調。原油との価格差が小さい。そのために投資は今のところほとんどない状況だそうです。

    下期の展望。同じように上期を100とすれば、115まで盛り返します。状況は。紙パルプ業界。世界経済が安定すれば投資が再開されるでしょう。ただし再開は2011年以降と予想されます。引き続き厳しいと予想されます。石油化学業界。ペトロブラスの5カ年計画が発表されました。17兆円もの投資計画、これには大きな期待が寄せられております。

    鉄鋼・非鉄業界。需要回復傾向、本格回復、設備投資再開、ただし2010年以降でしょうか。エタノール業界はどうでしょう。新規の商談は望めず、金融危機の影響がいつまで続くか心配されるところです。この業界はペトロブラス頼みになっております。

    次に建設機械。同じように昨年8月を100とすれば、70です。その状況は。国内需要。2008年4クォーターから下がり、2009年1クォーターはマイナス30%、昨年同期比です。2009年の2クォーターも40%のマイナスです。輸出総台数も2008年、4クォーター大幅に落ち込んでおります。2009年上期は、マイナスのなんと77%です。日欧米、在庫調整はまだ終えていない。

    そして上期を100とすれば、90です。まだ底が見えていないのかもしれません。国内需要。2009年下期、低水準。2009年通期予測は、マイナスの40%です。ただしこの建設業界は例年、雨季にあたる下期は上期より販売が少ない傾向にあるので、まあ若干好転する感覚であるという報告は受けております。

    輸出総台数。中国、インド、新興国は回復基調ではありますが、ほぼ横ばいです。2009年通期予測、まだまだマイナスの70%だそうです。操業短縮、残業カット対策をしておるそうです。

    次に、5、産業用圧縮機。これも同じように見てみましょう。100とすれば、65。その概況は。食品業界。金融危機以前に投資済みです。現在設備投資の意欲、非常に低い。また大手食品会社の統合があり、設備投資の縮小が懸念されています。豚、牛肉、輸出の伸び悩み。鶏肉、やや上向いている。

    飲料産業はまずまず好調。ペトロケミカル業界。ペトロブラスです。海外との連携強化、設備投資を強化して、新規大型案件は国際化が進んでおります。アルコール業界は若干の設備投資と報告を受けております。

    同じように上期を100とすれば、110まで盛り返します。概況は。食品業界。鶏肉産業、これは比較的好調であります。2009年後半、設備投資・計画実施と。力ある会社は来るべき輸出需要増に対応しているということです。飲料業界。本年度の投資計画は終了いたしました。来年度の計画を模索中だそうです。

    ペトロケミカル業界。ペトロブラス関連。時間はかかりますが、プラットフォームの新規投資計画を期待しております。ただしペトロブラス以外のケミカル業界、これは期待薄ということです。

    次に鋳造機械。同じように昨年の8月を100とすれば、90です。概況は。鋳造業界。自動車鉄鋼の大幅生産・輸出ダウン。2009年上期、マイナスの42%。投射材市場。自動車・鉄鋼関連の影響を大きく受けております。2009年上期もマイナスの41%。石材業界は2009年上期マイナスの22%。

    では上期を100とすれば、120%。概況は。鋳造業界。回復するも2009年下期予想マイナスの20から30%です。投射材市場も同じような状況かと思います。石材業界。横ばい予想。今後の建設需要次第。回復に期待しております。

    7。各種工具・精密機械。この業界はどうでしょうか。同じように昨年8月を100とすれば、70です。概況は。切削工具。自動車の販売急激な回復はしておりますが、この切削工具自体は緩やかな回復です。数字的には2月が底。輸出は低調です。部品生産、客先に在庫が多い。販売回復はまだかと。在庫消化が年内までかかるでしょうか。

    耐磨耗工具。受注は50%と低迷です。キャンセル対応と納期調整に追われております。精密機械工具。販売実績、70%止まりです。在庫過多、投資の様子見。ただし教育・研究、これは受注は底堅いものがあります。そしてICMS税制変更の影響が大きく、販売に多大な影響が出た上期でありました。

    それでは下期を、同じように100とした場合、120。状況は。切削工具。自動車生産に牽引され、確実に回復していくでしょう。ただし、2007年のレベル止まりでしょう。耐磨耗工具は寿命による更新が数件あるのみで、新規案件は難しいかもしれません。

    精密機械工具。自動車好調なるも下期の販売にはタイムラグがあり、楽観は許されません。ただし一部代理店の在庫も減少しており、決して悲観一辺倒ではないということです。下期は上期に対し5%から10%に設定されております。経費節減。利益確保。次の成長に備え再出発を考えております。

    8。軸受業界。同じように100とすれば、70です。この概況は。鉄鋼、農業、電機等各産業分野で見ますと、輸出需要の低迷、在庫過多によるOEM、アフターサービス双方大幅な売り上げが落ち込みました。自動車分野はどうでしょうか。IPI減税の効果、内需の強さがあり、比較的好調です。トラックを除く売り上げも2クォーター以降回復に向かいつつあります。両分野との顧客のグローバル調達進展、レアル高、中国製品廉価輸入、競争激化があります。

    同じように上期を100とすれば、115。その概況は。自動車IPI減税、段階的に引き上げられます。多少販売の鈍化の懸念がありますが、自動車生産・販売は高水準と予想されます。下期は対上期でかなり改善されると期待しております。
    一般産業分野。世界的な需要の回復遅れ、レアル高、輸出の低迷が懸念されるところです。一般産業向けの回復は2009年4クォーター以降でしょうか。

    次に農業機械。同じように昨年8月を100とすれば、100。状況は。エンジンビジネス。2008年4クォーターから急激に冷え込んでおります。2009年3月回復の兆しがありました。2009年2クォーター、95%のレベルまで回復しております。金額ベースでは上期全体で90%。台数ベースでは75%まで回復しております。

    トラクタービジネス。小規模農家を支援します。政府の低金利融資政策があり、小型のトラクターは好調であります。ただし政府の価格コントロールで採算は厳しいということです。

    上期を100とすれば、110。その状況は。エンジンビジネス。OEM先、ディーラー、エンジン在庫適正レベルに戻っております。下期販売は台数ベースで90%、金額ベースでは昨年並みでしょうか。一部製品で安価な中国製流入のため落ち込みが予想されております。年間では金額ベース90%以上の達成を期待しております。トラクタービジネス。低利子政策。引き続き好調維持を期待しております。

    電動工具。同じように昨年8月を100とすれば、80。概況は。建設関連は大きな落ち込みは見られません。グラインダー等の鉄鋼関連工具は工場関連の低迷により40%近い落ち込みがあります。ただしレシーフェなど北東部は金融危機をほとんど受けず、順調に推移しております。

    同じように上期を100とすれば、120。状況は。買い控えをしていた販売店の在庫が手薄になってきました。景気回復に伴い販売もアップです。一方でドル安で中国製の安価ブランド参入され、価格競争激化が考えられます。

    最後に潤滑油。同じように100とすれば、70です。状況は。金融危機。昨年11月から顧客生産調整と。生産数量は極度に低下、2009年1クォーターでは50%近く落ち込みました。政府厳正政策、自動車生産回復。販売は現在70%まで回復しております。しかし二輪生産は依然低迷。今後とも厳しい経営環境を予想しています。

    それでは下期は、105。状況は。米国経済低迷が続いております。中国の経済回復は早い。そして下期、ブラジル経済も回復傾向にある。牽引役は農業部門です。工業部門は80%から90%の生産回復か。しかし通期でも雨が続くんでしょうか。

    最後に機械金属全体について。2009年上期の回顧。昨年8月リーマン・ショック前を100とすれば、全体としてまだ70%。それでは上期を100とすれば、どれぐらい回復しているのでしょうか。120。その概況は。2008年9月リーマン・ショック以降成長にブレーキがかかりました。しかし政府の自動車・白物家電への減税対策、その他景気刺激策、またペトロブラスの変わらぬ積極投資の恩恵もあり、各業種・産業に回復の兆しが見えてきた、薄日が差してきた、ということじゃないでしょうか。

    最後に、商工会議所の宿題、世界金融・経済危機による底は脱したか。部会参加者全員が「はい」で終わりました。以上私の報告を終わらせていただきます。

    司会
    西岡さんありがとうございました。一つ質問してよろしいでしょうか。これは会員各社の皆さまの総意と言いますか、結果だと思いますけども、ブラジル全体の機械業界としてもほぼ同じという風に了解してもよろしいでしょうか。

    西岡部会長
    そうですね。

    司会
    よろしいですか。

    西岡部会長
    特にペトロブラスとか、そういった関係の大きなものは確実に入札案件も、大きな社会インフラという投資に関しては大体回復したと思います。ただしそれぞれ業界色々ありますので、本当に薄日が差したか、先ほど報告しましたように雨のところもあると。ちょっとばらばらな状況なんですけども、全体的にはこの120という数字が表していると思います。

    司会
    はい、有難うございました。ご質問、コメント等ございますでしょうか。続きまして自動車部会、長谷部部会長よろしくお願いいたします。

  • 自動車部会 長谷部省三 部会長

    自動車部会資料

     

     

    ブラジルトヨタの長谷部と申します。ただいまから自動車部会の上半期のレビューと下半期の展望ということで、この順番で説明させていただきたいと思います。西岡さんほど元気良くないんですけども、業界は非常に元気いいと、最後に分かっていただけるかと思います。まず最初に四輪の方から説明させていただきます。

    2月に、この自動車市場はどうなるかということで、まだAnfavea、自動車工業会の数字が出てない時に自動車生産メーカー2社の平均を取った数字をご案内したのが、ここにある243万台という数字を今年のマーケットのサイズかなということでご紹介いたしました。この時には、2008年の12月にブラジル政府のIPIの減税というのが発表されておりましたが、それは2009年の3月までということでしたので、その先が見えないというということでこういう数字をご案内した訳でございます。

    それではその後、上半期の実績がどうなったかということをこの棒グラフで示しております。3月、第1四半期、やはり3月までのIPIの影響でここにピークが来ました。同じように延長された6月にもピークが来ております。この1-6月で、前年と比較いたしますと、前年が141万台、今年2009年が145万台ということで3%の増加ということになっております。

    しかし下の方のオレンジ色のグラフで示しておりますのが、トラック・バスの前年比の推移でございます。このトラック・バスもIPIのリダクションンがあった訳ですが、かなり低調に推移している状況でございます。

    6月の末にブラジル政府が今年一杯IPIの減税を維持するという発表をしました。ただし10月以降については乗用車の現在IPIの減税をしているものは来年の1月までに段階的に戻す、それと軽乗用車については現在の減税を12月まで延長、同様にバス・トラックについては12月まで延長するという発表がございました。これに基づきまして今年1年の市場の見込みをAnfaveaの方からも発表した訳でございますが、次お願いします。

    年初、といいますか4月にAnfaveaが今年の市場の予測をした訳でございますが、それが271万台でございました。いま今日現在、IPIが12月まで延長されるということを前提にした市場の見込みは300万台ということになりまして、昨年の282万台を上回る史上最高の市場、マーケットのサイズになるということでございます。

    一方今度は生産の方でございますが、昨年度が321万4千台の生産の規模でございました。IPIの延長がありまして国内市場は過去最高記録になるものの、生産台数については305万台ということで、若干減少するということでございます。

    貿易部会の方からもございましたですけども、輸出の台数、これは紫の方で示しておりますが、今年の輸出台数の見込みというのは44万台ということで、ピークの2005年の約90万台と比べますと半減ということになってまいります。一方緑のグラフで示しておりますのが輸入車でございまして、こちらの方は段々増えてきているという状況でございます。

    今年の上半期の特色というのをいくつかご案内させていただきたいと思うんですが、これも毎年1リッター未満と1リッター以上の構成比をご案内している訳ですが、この1-6月においては今まで1リッター未満の車が段々減ってきたんですが、この1-6月については若干でございますけども1リッター未満が増えたという状況でございます。部会の方でディスカッションしたところ、やはり若干、その低価格車への移行が見られるのではないかという意見がございました。

    次に乗用車の支払形態でございます。今までの部会の発表の中で金利の問題色々とご案内があったと思いますが、金利は下がったもののこの上半期の1-6月だけ見ますと、キャッシュのお客様が増えております。で、クレジットとリースのお客さんが減っているということで、金利は下がったものの現状ではキャッシュのお客さんが増えていると。ということは、まあいくつか考えられる訳なんですけども、ここに書いております通り、お客さんの方はまだ金利が下がるんじゃないかという期待感があってですね、まあキャッシュの方が多いという風な状況になっているかと考えています。

    2月の発表の時に他社、といいますか業界での投資の情報がないということで、今回つきましては新聞から拾い出しまして、ここに並べた通りでございます。まあ各社とも積極的な投資の計画を持っておりますので、これからの状況については明るい兆しになっているんではないかという風に思っております。ここにある生産台数の増加だけ見ましても100万台、ほぼ100万台の設備あるいは生産増強ということになってまいります。

    続きまして二輪の方の説明に移らせていただきます。二輪につきましてはまだ年間の予想は出ておりません。1-6の実績についてご報告させていただきます。トータルの市場は73万台ということで、昨年度の104万台、1-6月だけで比較しますと30%減という状況でございます。

    特に輸出の落ち込みが激しくて、こっちの方は半減ということになっております。ただし2輪メーカーさんのお話をうかがいますと、ここ数カ月については回復の兆しが見えているというご説明でございました。

    2輪の方の支払形態についても、同様にそれぞれの支払形態についてここにご案内している通りですが、やはりクレジット・リースというポーションがかなり縮んできております。

    この理由といたしましては、金利は下がったものの、与信審査の動向、要するにかなり所得の低い人が二輪を買うもんですから、そこに対する与信の審査、払えるかどうかという審査が非常に厳しくてこのクレジット・リースの割合が減ってきているというご説明でございました。

    次に部品業界でございます。残念ながら2009年上半期の実績はございませんので、2008年の実績までということでございます。2008年までは順調に生産台数の増加に基づきまして増えてきております。2009年についてでございますが、やはり部品業界は生産台数とほぼ一緒というように考えますと、若干売上は減るのではないかという風に見ております。

    最後に、世界経済危機の底は脱したかということで、部会の方々の意見を伺いましたところ、5社が底はもう脱したと、2社がまだ不透明であるという風な答えがございました。底を脱したということ、ここに書いてある通りですが、こういう議論もございました。

    そもそもこの自動車業界に底はあったのかという風な意見もございまして、まあ確かに去年の10月11月12月というのは全体的に落ち込んだ部分はありますが、それは非常に短期でございまして、後はIPIの減税で順調に、まあご案内した通り300万台の市場まで回復したということで、一般的には底は脱したのではないかという風に考えております。

    ただし、この300万台は何回も言っております通り、IPIの減税があって今達成されていることでございまして、来年の1月からこのIPIがなくなった時には、やはりリバウンドといいますか、若干落ち込むと、ただしそれは一時期であって年末までには2008年あるいは2009年のレベルには、あるいはそれ以上に戻るんではないかというのが部会でのディスカッションの結果でございました。以上で自動車部会からの発表を終わらせていただきます。

    司会
    ありがとうございました。質問、コメント等ございますでしょうか。長谷部部会長どうも有難うございました。ここでコーヒーブレイクにいたします。約15分から20分ですね。4時に開始いたしますのでまたご参集いただきたいと思います。

    司会
    電気電子部会、三好部会長お願いいたします。

  • 電気電子部会 三好康敦 副部会長

    電気電子部会資料

     

     

    皆さん今日は。ただ今ご紹介を受けました、電気電子部会の副部会長を務めさせていただいている三好です。

    これはブラジルにおける電気電子業界の規模推移の資料でございまして、前回も同じ資料を使わせていただきましたが、2007年から2008年と順調に成長してまいりました。2009年度の見通しにつきましては、今の所横ばいなのかなという状況でございます。

    マナウスフリーゾーンにおける電子機器の生産動向です。一応テレビ関係では薄型テレビが伸びている一方で、CRT、ブラウン管テレビは大幅に減少の傾向でございます。あとデジカメの現地の生産も継続して堅調に伸びております。

    一方でカーオーディオ、去年まで順調に伸びてきたカーオーディオですが、今年に入って大幅ダウン、失速状況です。これは多分車のIPI減税策で車は販売されている一方、多分カーオーディオの購入にお金が回っていないのではないかと推測されます。

    あと電子レンジ関係は為替の条件で、為替が大幅なレアル安に振れてマナウスでの生産が上半期は伸びてきています。この辺は欧米勢が中国産品の輸入から現地生産に一部切り替えたことからの数字であります。

    あとマナウスフリーゾーンにおける輸出入、雇用状況ですが、一応輸入輸出ともに今年の1-5月の統計で見ます限り3割以上のダウンというような状況です。これは全体のテレビその他の絶対数の生産が低下しているというような状況です。雇用につきましても、大体10万規模なんですが、一応1-5月の平均で1万3千人減っているというような状況でございます。

    あとテレビについて、テレビの価格状況についてですが、ご覧の通り上の二段のブラウン管テレビにつきましては2007年以来価格が下げ止まりに対して、LCD、プラズマテレビが大きく2008年まで価格が下がってきているというような状況です。

    上期も、上期の第1四半期なんかも家電関係ではメーカー在庫、流通在庫が増加している中で、在庫処分のための値下げ競争で中々価格が回復していませんでしたが、この直近に来て一応在庫が適正水準に戻り、消費もわずかながら活発になり始めて、さらには通常のHDからフルHDへとフルスペックに製品が変わっている中で若干価格が上昇していると。適正売価に戻りつつあるというような状況ですが、まだまだ程遠い状況だという風に伺っております。

    いずれにしても、テレビは今後薄型化が進み、特に小型テレビ、32インチとか26インチのモデルが1000レアルを割ってくるというようなことになりますと、C層以下のボリュームゾーンで市場の大きな地殻変動が起きて、特に来年度はワールドカップがありますので、時間帯も南アフリカで開催されるということで過去二回のワールドカップの夜中の鑑賞から、昼間に観れるということで大きく市場の薄型化が進むことを期待しているというのが状況です。

    部会の参加企業の方の上期の回顧についてですが、一応14社さまのアンケートご協力いただき、大きなポイントとしましてはまず一つ、一般消費者向けの製品においては為替変動の売価への転嫁が非常に困難で収益性が悪化したということと、白物家電と車の減税はこれらの製品の需要喚起になった一方で他の電気製品にマイナス影響を及ぼしたという風に見ております。

    またB2B系の機材の販売、この辺は投資抑制ということで大きく後退。あと電力通信インフラ投資の関係は順調に推移したと。これは長期投資計画なので大きな影響を受けなかったという風に伺っています。ただし現地通貨建ての入札事業でもある以上、為替の変動の吸収で収益性が悪化したという報告もありました。

    売上実績の状況ですが、ドルベースでは縮小したものの、為替、特に第1四半期レアル安でしたので、レアルベースでは維持から成長という結果になっております。で、結果的に皆さんの評価は、悪かった、ないし計画通りと。計画通りも、何とか食いつないだというようなコメントもありました。

    いずれにしても輸入材が多いこの電子電気分野では、やはり為替の変動がこの上半期の収益性に大きく影響を与えたと。あと、一部ではICMS州税の流通税のSubstituicao Tributariaの変更の関係で業務に支障が生じて、例えば売上を立てれないとかいうようなことも発生したと。もしくは値上げ、流通税の源泉徴収になりますので値上げの影響でやはりこの販売に悪影響があったというような報告がありました。

    下期の展望ですが、下期については在庫がまあ一般的に正常化している中で、あと購買意欲の回復で、どちらかというと販売が伸びるというよりかは、去年から今年の頭にかけて落ち込んだ販売減の取り戻しを期待するというような状況でございます。

    しかしながら依然と不透明感があり、消極的に部会のメンバーの皆さんは見ていらっしゃいます。売上予想は、いずれにしても前年同期比で、去年の第4四半期が非常に落ち込んだ関係もありまして、レアル・ドルで成長を見込むというのが大半の回答でした。

    2009年度下期に向けての経営課題につきましては、前回ではやはりコストダウン、キャッシュフローと守りのコメントが中心でございましたが、今回はやはり売上拡大、新しい事業の展開など、前向きな兆しが見受けられました。しかしながら、一方で制度面では、例えば9月に開始するSPEDに伴う業務系の複雑な対応、この辺の仕組みの対応ですね、この辺でまた問題が生じるのではないかというような懸念事項も挙げられました。

    以上を持ちまして部会のメンバーの上期と下期の展望ということですが、宿題である不況を脱したか、脱してないかということについては、一般的には不況をすでに脱して下期に向けていい方向に向かっているということですが、電気電子業界にとっては依然と厳しい状況が続くという風に想定されています。これは競争とか色々と外部要素多々とあり、楽観視できないというのが皆さんの回答でした。

    地デジの状況について簡単にご説明差し上げます。8月時点の状況ですが、一応ブラジル国内では21の都市、うち17の州都で地デジの放送が開始しております。Coverageで見ますと、人口の大体41%、7800万人相当の方々の所で地デジ鑑賞可能な環境が整っているということになっています。

    ただし残念ながら受信機の普及に関しましてはまだまだ程遠い状況で、この辺が2010年からは地デジのチューナーがテレビに内蔵されるなど、この辺の動きが地上デジタル放送の普及に後追いになると期待しております。

    最後になりますが、6月17日にブラジリアで、島内大使のご努力で、コスタ大臣、あとペルーの外交団、他の南米諸国、一部アフリカの外交団を招いて地デジのデモを開催させていただきました。大人数集まっていただき、非常に盛況なデモを開催することができ、ブラジル政府側も非常に満足されていたという風に伺っています。以上でございます。ご清聴有難うございました。

    司会
    ご質問等ございますか。それでは次に参ります。化学品部会松尾部会長よろしくお願いいたします。

  • 化学品部会 松尾新一郎 部会長

    化学品部会資料 (原稿)

     

    皆さん今日は。化学部会でございます。化学部会は16社14分野ございまして、色々なものがございますので、一貫して言えないのが辛い所です。

    筆記具。これはパイロットさんとペンテルさんです。上期の回顧。経済危機を脱したか、Noという返事でございます。昨年の同期に比べまして売上が減少、でも利益は増加したということですが、景気の悪化が売上減につながっていると。

    基本的に上期は年間売上の大体4割前後ということで、メインは下期の展望にかかっていると。当然のことながら、売上も増加、利益も増加。これはですね、9月に筆記具のフェアーがあって、その時に全国のディーラー、ディストリビューターが集まってきてその場で大体今年の売上が決まってしまうらしいです。それで9月以降の売上、それに1月以降の新学期を期待していると。

    次は写真材、先ほどもありましたデジカメです。これは富士フィルムさんです。上期の回顧。経済危機とは無関係である、まあほとんど関係ないという言い方ですかね。売上は7%減で、利益は大幅減と。当然のことながら予測以下でございます。

    デジカメ市場はまだまだ伸びると。それからフォトアルバム市場といいますか、これはプリント用紙だと思います。この分野が伸張していると。昨年来から値上げをやろうと思っていたのに上手いこと値上げが浸透できなかったというのと、それから需給ですね、注文があるのに物がなかったと。上手くかみ合わなかったという点で売上・利益ともに予想以下であったと。

    下期はどう見るかというと、当然のことながら増加ですね。上期と比較でございますから増加します。それから季節変動と言いますと、まあ皆さん期待でしょうけれども、クリスマスがございますからやっぱり物が出ると。そういうお祭りには必ず写真が来ますので、カラー印刷紙、それからカメラの販売が堅調だと。残念なことには、値上げが積み残しが残っているし、まあ想像つくと思いますがフィルム市場はほぼ下降の一途をたどっていると、こういうことでございます。

    次は高級化粧品。これは資生堂さんです。これも経済危機とは無関係と。まあご存知の通り安物市場ではなくて高級というのがついておりますから、富裕者層だけに絞っておると。しかもリオ・デ・ジャネイロとサンパウロのお金持ちの方々、まあ当然のことながら女性ですから、ブラジルの女性は経済危機なんか全然見向きもせずにジャンジャン買ってくれるということです。

    それから下期はですね、大幅増加というのは、実を言いますと1600%と書いてあったんです。1600%です。上期と比べてですね。当然のことながらクリスマスということでこういう高級化粧品に張り込んでくれるのを期待しているということです。

    どこの企業も同じだと思うんですけども、為替レートは大体2前後で安定してくれればというのは、商工会議所の皆さん同じ考えだと思います。

    次は一般医薬品。これは久光製薬さん、サロンパス、消炎発布剤です。これも経済危機とは無関係。昨年までサロンパスカップをやって知名度が上がったと。今年からはもうやらないそうです。前年同期比売上は増加と、利益は昨年の上期と変わらずでほぼ予想通りであると。商品カテゴリーというのは、いわゆる消炎発布剤というんですかね、その市場規模が大体年率で毎年10%ずつくらい拡大していると。

    下期はどうかというのは、これも売上・利益ともに変わらないと。市場の拡大傾向は続くと、ただAnvisaのですね、薬事法改訂による制約と。前回も言いましたけども、もう「良く効きますよ」というようなコマーシャルは禁止になったそうなんですが、さらにですね、人体を使って、例えばサロンパスを貼るとかというのがダメになったそうなんです。だから今はですね、サロンパスをマネキンに貼ると、こういう風なことしかできないと、こういう規制がされていると。

    次は家庭防疫薬。これはエアゾールの原料です。経済危機を脱したか、これは全然ダメでございます。昨年の同期と比べまして、まず気候が、雨が多くて気温が低いですから、保険じゃないですけども、雨が多かったら自動車事故が増えるというお話もございましたけども、低温ですと蚊の発生が少ないということで、蚊を退治するエアゾールの原料および製品の在庫が積み重なってきていると。それからデング熱の流行が減ったのはプラスと書いていいのかマイナスと書いていいのか分かりませんので、デング熱の発症が少ないということで、イコールこれは蚊の発生が少ないとうことです。

    下期の展望は、上期比当然のことながら売上も利益も増加といいますか、需要期にかかりますので、段々暖かくなってまいりますので増加を期待しておりますけども、残念ながら上期からの在庫品ですね、ございます。それで、あまり大増加は、大幅増加は期待できないと。これも賞味期限じゃないですけども、エアゾールは2年間の有効期限がございますので、そろそろ大売出しがあるかと思います。

    今度は農薬。上期は、昨年同期はアグロと自動車関係は化学品でも素材にせよ末端の製品にせよ快進撃でございますと言ったんですけども、農業関係はほぼ経済危機には関係ないと。前年同期比、これは増加および減少となっていますが、原体販売、これはエアゾールの有効成分も同じですが、農薬の原体というのは今、日本からドラム缶に入れて持って来る訳ですね。

    この会社が4社、それからそれをこちらで製剤しましてレディ・トゥー・ユースにして出している製剤会社というのが2社ございます。その製剤会社の方は増加、原体販売会社は減少、売上も同様でございます。その品揃えの拡大というのは、いわゆる製剤にして農家に売る会社の方は品揃えの拡大それからレアル安になったのでプラス要因と
    。それから下の方に書いてあります市場はマイナス成長。昨年度は70億ドルございましたが、今年はほぼ10億ドル近い減の63億ドルと見込まれてます。それから結構棉栽培というのは少なくなってきておりますが、後で繊維業界の方からもあると思います。

    棉業界というのはですね、虫も活躍してくれますので、非常に農薬の投下量が高いんです。この棉栽培面積が減少しますと、棉用の農薬を持っている会社が多くございまして、売上の減少に即つながっていくと。

    それからジェネリック、それから中国品というのはよく聞く、他の業界でも聞く話でございます。下期。下期は小売、いわゆる製剤・小売方面では需要期に来ますので、販売は増と。それから利益は、上期も非常に高い利益を上げておりますし、横ばいであると。

    それから原体販売につきましては、これは非需要期に当たりますので売上・利益ともに減少していくと。マイナス要因は皆、昨年度が良すぎたと。それから不安定な為替、それから作付け面積、棉栽培なんかが減ると大きな打撃を受けるということがございます。

    貿易部会の方で大豆の生産は上がっているとありましたけども、残念ながら大豆はそんなに農薬は使わないんですね。除草剤がほぼです。で、大体2200万ヘクタールありますから、日本の本州全部が大豆畑と思っていただければ、マーケットとしてはものすごくでかいということです。

    肥料。これはもう想像がつくと思います。もう全然ダメですと。もう悲鳴で、部会にも参加されませんでした。下期はですね、当然この上期の分を取り返すというのと、それから暖かくなって雨が降ってきて、作付けがされる訳でございますから、売上も利益も増加だと。当然需要期に入りますから、増加・増収を見込んでいると。

    次は種です。ついでに、昔は食料分野か何かにあったそうなんですが、農業という締めくくり、アグリという切り口で種子分野も一緒にどうですかということでこちらに入ってもらいました。経済危機もこれは無関係だと。売上は23%増加、まあ利益はそんなに上がらなかったと。

    東北伯向けメロンの販売、メロンの種ですね、このできたメロンはこっちに来なくてヨーロッパに行っているんです。輸出されています。それからパパイヤの種子、これはフェイラなんかで売っているどでかいやつがありますね、そういうのとは全然違いまして、日本で見られるような小さな丸い種だそうです。

    下期をどう見るかと。売上・利益ともに前期と同様変わらないと、これは良いという意味でございます。主力商品の玉葱ですね、タキイさんですこれは。タキイの野菜種子は有名でございますから。それからキャベツの種子のシェアーアップ。ここでも出てきます、大体2レアルプラスマイナスの為替が一番ありがたいなというのが、タキイさんも同じような意見であります。

    次は飼料添加物。これはトウモロコシ、鶏のえさの中に入れるアミノ酸です。上期の回顧。売上・利益ともに惨憺たる状況です。というのは、これは昨年度の上期が快進撃でございまして、倍倍といいますか、前は赤字だったんですけど、大黒になりまして、値上げも3倍くらいの値上げをしまして、いらんなら買わんでもよろしいと、そのぐらい行けということが上手いこと行きましたんで昨年はプラスになったんですが、それと比較しますとまあ惨憺たる状況であるということです。

    下期をどう見るか。上期がこれだでひどい目にあって、下期も同じであれば、まあ私どもの会社でございますけども、私はクビになるということで、見込みだけは売上も増収増益といかないとクビ切られます。

    それから、これはコモディティでございまして、世界中で4社あるんですけどもその会社の供給量が随分制限されてきたというのが、製造をやめているとか、中止しているとかいうのがございまして、玉の取り合いになるということがございます。ただし、これは日本からここまで持ってくる間、いかにも遠ございまして、キロあたり5ドルとか6ドルくらいの品物が船に積んできて動かすと結構手間隙、ロジスティックスの経費がかかりますので、儲けはあまりたいしたことはございません。残念ながら。

    また片っ方でですね、トウモロコシの値段が下がると、農薬業界は困る訳ですけども、この飼料添加物におきましてはプラスの追い風要因になります。というのが、トウモロコシがほとんどの鶏のえさを占める訳です。そこが安くなってくると、他に添加物を入れる余白が出てくる訳です。ですから少々高くても買って、良い卵、良い卵というのはちょっと逸れますけど殻が固い方が良いんだそうです。

    これは昔ながらですね、輸送ロジスティックスが問題ありましたし、遠くから持ってこないといけないから途中で割れたら困ると。だから殻の厚さがまず第一だと。それから二番目に黄身がぷっくりこう高いと、こういうのが良いんだそうです。バストスに行かれましたか。大部総領事は行かれましたね。あそこは住友化学カップも品評会に出しております。

    今度は素材に移りまして、プラスチック樹脂用着色剤です。これは経済危機の影響をもろに受けて、大幅にダウンと。これは、W期と言うんですか、1,2月低調3-5月上回って、また6月でダウンしたと。こういう目にあいました。それから下期の展望は、少しは良くなるであろうと。マイナス要因は別といたしまして、努力として新規顧客の開発、適正利潤の徹底化、そして人員削減もせなあかんと。

    次まいりまして、接着剤です。ここも末端用の瞬間接着剤と、それから工業製品用のねじなんかが取れないようにつける接着剤という品目だそうです。売上も利益も下がり、まあ売上が下がることは予想していたけども、利益が予想以上に悪かったと。で、電子InvoiceだとかSubstituicao税の影響というのは電気電子の方でも言われた通りです。

    下期の展望としましては、上期比やっぱり伸びてもらわないと困るというのはここも同様でございます。工業生産の復調、それからIPIの減税継続等プラス要因もあって、マイナス要因にもIPIの減少というのが挙がってますけども、皆さんお分かりいただけると思います。矛盾したことを書いておりますけども、お分かりいただけると思います。

    昨年からでしたかね、やられてます大塚化学さんのポレオルフィン発砲体、早い話スポンジだそうです。上期の回顧。経済危機を脱したか、Noだと。売上は、マイナス36%ですか、それから利益は60%アップしたと。これは生産コスト、ものすごい合理化ができたと。早い話、前がひどかったと仰ってました。

    それから原材料費の低下。下期はどう見るか。売上は50%は上がるだろうと。利益はこれだけ上期で上がっている訳ですから、変わらない。良いということです。生産性の改善と販売数量の回復を見込んでいると。

    ロジンです。これは松脂から作るシーリング剤だとか、テレピンオイルだとかそういうものを抽出されているところです。上期は、売上は減少したけども、利益は増加したと。原因はこういうことですけども。

    下期の見込みはですね、売上・利益とも10%増加だと。新製品の拡販、先ほど紙パルプの方はあまり期待できないんじゃないかということでございましたけども、シール剤というのは紙にインクが散らないように入れる薬を松脂から作るそうで、紙パルプの上昇を期待していると。あとは商社ですけども、まあ想像できると思いますが、予想通り減少であると。下期は増えてもらわなきゃ困るということです。ただ日本向けの輸出回復の見通しは立たないというのが、2社ですけど2社とも仰っていました。

    化学部会総合で、16社14分野の上期の回顧。経済危機を脱したか、Noが9分野。関係ないというのが5分野。それから売上プラスがほんの少しと、マイナスがやっぱり大きいと。

    プラスマイナス、これは農薬の部分でプラスの所があってマイナスの所もあったという意味です。利益が、下がったというのが半分ですね。で、下期の展望は、売上プラスになってもらわなきゃ困ると、最悪でもプラスマイナス変わらずという所。まあこれでマイナスになったら悲劇だと。利益も上がってもらわなきゃ、上期と比較してですから上がってもらわないと困るし、まあ横ばいでも30%、まあ下がるということは絶対あってはならないと、こういう見込みでございます。以上でございます。時間オーバーしましてすいません。

    司会
    多分野にわたりご説明いただき有難うございました。それでは次に参ります。食品部会齋藤部会長よろしくお願いいたします。

  • 食品部会 斎藤孝之 部会長

    食品部会資料 (原稿)

     

     

    食品部会の発表をさせていただきます。私7月から食品部会長を拝命いたしました斎藤でございます。食品部会は2009年度上期、人事異動等がございまして、部会長、それから副部会長が入れ替えになりまして、私が部会長を拝命しまして、それから副部会長が東山農場の岡橋社長、それから三栄源の大野社長ということで、新体制で下期から臨むということになっておりますので、何卒よろしくお願いいたします。

    7月28日に食品部会懇談会を開催いたしまして、上期のレビューと下期の展望について情報交換をいたしました。食品部会のメンバー企業でございますけども、小売、それから業務用、外食といったいわゆるチャネル別、それから輸出向けや国内向けといった向け先別、それから調味料や飼料添加物、酒、コーヒー、飲料、それから麺、食肉関係の素材とかですね、健康食品、食品添加物といった製品別カテゴリ別に色々広範囲にまたがっておりまして、全てを食品部会としてまとめて包括して申し上げることにはかなり無理があるんですが、あえてそこの無理を承知でチャネル別を軸にお天気予報とお天気マークで下期上期を表してみたというのがこの図でございます。

    まずスーパーマーケット、それから小売、まあリテールと言われている分野でございますが、小売チャネル、一番上でございますけども、上期の前半1月から3月ぐらいまで若干の落ち込みが見られた企業が多かったということでございますが、上期の後半、特に5月以降回復傾向が非常に顕著となっておりまして、上期、曇りのち晴れとなっております。で下期でございますけども、5月以降の上向きの傾向がそのまま続いていくだろうという予想をしている会社が多くございまして、下期は晴天ということを考えております。

    マーケットの傾向ですけども、今伸びている部分でいいますと、所得層でいいますと中間所得以下、まあC層以下と言われている世帯所得が1700ぐらい以下の層の消費が伸びているのが顕著でございます。

    それから、地域でいいますと北の地域、特にボルサ・ファミリアだとかそういったサラリオ・ミニモのアップ等の恩恵を受けている地域、そういう地域での消費がアップしているという傾向があります。

    それから大都市圏、サンパウロ、リオ・デ・ジャネイロはじめですけども、そういった地域によりましては高付加価値化とか、それから天然志向、こういった傾向が見られるということでございます。

    また日系企業ということで、日本食からスタートしている会社も非常に多くございますが、昨今の日本食ブームということでそういった層の拡大が見られるという傾向でございます。

    続きまして二段目の、業務用と称しておりますけども、こちらは国内外の加工食品業者向け等の、いわゆる企業相手の商売でございますけども、こちらに関しては上期、経済危機の影響を受けることによって特に日本向け、それから欧米向け輸出が停滞いたしました。ということで雨天ということに上期なっております。

    特にコーヒー、食品添加物等ですね、顧客の資金繰り悪化とか、コストダウン等々の影響を受けまして、在庫調整もあったりということがありまして、非常に上期は悪かったと。下期につきましては回復傾向を予想しておりますけども、残念ながらこの分野につきましては、今日現在の時点ではあまり明るいニュースはないということで、まあ雨から曇りを、希望的観測として持っているというような状況です。

    それから3番目、外食チャネルということでまとめておりますが、上期は業務用同様に経済危機の影響を受けまして、パーティー、宴会等の需要が減少したということで、低迷をいたしました。

    下期につきましては、まあ経済の回復とともにですね、明るくなることを多少見込んでおりまして、少し曇りから晴れ間がのぞくであろうという予想を立てておりますけども、不安要因としては昨今のLei Secaですね、飲酒運転規制の問題等々による酒類の消費ダウンとか、それからサンパウロ、続きましてリオ・デ・ジャネイロで昨今施行されております禁煙条例等々による落ち込みが非常に懸念される材料となっているということでございます。

    引き続きまして、食品業界として上期と下期に特筆できるトピックスを1枚あえてまとめておりますのでご紹介いたします。上から1段目と2段目のところにつきましては景況感ということで、先ほどの一覧表の方でご説明いたしましたので、3番目のところから少しコメントをさせていただきたいと思います。

    原材料関係のお話でございますけども、2008年度は皆様ご承知の通りですね、前半非常に原材料、燃料関係含め非常に高騰いたしましたけども、後半以降、まあ経済の減速も当然あったわけでございますけども、相場が安定してきたということで、製造コストそれから販売コストの安定に非常に寄与してまいりまして、その傾向は上期も同様に続いております。

    下期につきましてもですね、若干の流動性というか通貨供給で投機に回るんじゃないかという、原材料関係ですね、そういう不安はあるものの、楽観的な見通しを持っております。ただ、一部の原材料関係で南米における供給のひっ迫の不安があるものがございます。

    挙げられているものが、乳製品でございますね。これはアルゼンチンからのものでございますが、あと小麦粉、それから粗糖関係、それから米穀、こういった関係のものが原材料のひっ迫、まあ一つは政治的な影響、もしくは旱魃等の天候不順などの要因で不安視をされております。

    小売部門では店頭における競合、それから加工用部門では中国や韓国をはじめとした競合が激化しておりまして、コストアップが起こった場合に現在のところ価格転嫁をすることが非常に難しい状況にあるなというのが、メンバーのほぼ共通した見解でございまして、共通の問題点として挙げられました。

    下期につきましてはそうした関係から、社内の生産性のアップだとか、それからコストダウン等々によってこういった原材料の不安要因を吸収していくような方向性というのがほぼ各社の一致した方針かなということでございます。

    次に挙げられますのが、法制面の対応でございます。税制面で2点ほど指摘されている絵点がございます。1点目はですね、輸出型原材料、バルク関係の輸出企業でございますけども、流通税の輸出による還付制度の未整備によりまして、還付されるべき税金が還付されないということの中で資金繰りに影響を及ぼしているケースがあるということです。

    資本関係のある企業同士ではその、クレジットになっております流通税をやりとりができるということが法律で決まっておりまして、それを兄弟会社間でやりとりしているようなケースもあるようですけど、やはりこの面は負担になっているというのが1点目の税制のポイントでございます。

    2点目でございますが、これは国内の小売の面でございますが、流通税の先払い制度、Substituicao Tributariaの問題でございます。カテゴリー毎に色々と差異があるんですけども、サンパウロ、ミナス、それから再来月からですかね、南の方でも実施されるようでございまして、小売面の価格面での影響が一部の商品で出ているということがあります。

    特にですね、これはお酒関係ですけども、非常に厳しい掛け目のSubstituicao Tributariaを適用されておりまして、店頭価格が20%ぐらいアップしているようなケースもあると。あと一部のですね、即席めん等々では逆に掛け目率があまり高くないために、店頭価格が下がる方向に行ったりとか、各カテゴリー毎に違いがあるようですけども、この問題については引き続き下期につきましても注視していかないといけない問題ということでございます。

    その他税制面ではない法令関係面ですけども、先ほどもちょっと言いましたけども、飲酒規制のLei Secaでございますね、こちらの方におきます外食におけるアルコール消費量の減少等があります。またサンパウロ、続きましてリオでの禁煙法の施行ということもございまして、外食市場・ケータリング市場等々の成長に懸念があるというのが実態です。

    それから今年につきまして特殊な、まあ我々食品業界は特に関係が深い訳ですけども、新型インフルエンザの発生ということがトピックスでございます。食品各社、自社の中から患者を出さないように必死の取り組みを皆さんされましてですね、出張者の往来制限ですとか、生産それから事務現場でのモニタリングの徹底だとか、手の消毒だとか、そういった取組みをほぼ全ての会社がしておられます。

    数値化して評価することはちょっとできませんでしたけども、近隣諸国へのエリア拡大などの開発について、そういった往来制限をしているために取組みが遅れているような影響が出ている企業もあります。

    プラスの要因に働いたといった会社、1社だけございまして、健康食品のメーカーさんでございますけども、プロポリスが新型インフルエンザの予防に効くということで上期特需が発生したというような非常に特異なケースもございました。

    それから最後のポイントですが、各社における新規取組みの方向性でございます。主に3点挙げたいと思いますけども、一つはブラジル国内で中間所得層以下の販売が急増しておりまして、そういった層をターゲットにした商品開発・市場開発を皆さん計画されている。

    それから2点目はサンパウロ、リオといった大都市圏における高付加価値商品の投入とか、天然志向への対応だとか、安全志向への対応だとかいうことがテーマ。それから3点目はですね、新規の市場、まあ面積を広げるということでございますけども、地域軸で南米の近隣諸国へ、アルゼンチン、ウルグアイといった所への製品の導出、もしくは輸出といったような取組み、それからアフリカ等への製品供給を計画しているような会社もございます。

    今回のシンポジュームの共通の題となっております、金融経済危機の影響でございますけども、私どもは、一番下に書いておりますけども、脱したと答えた会社が6社、まだと答えた会社が3社ということで、6対3で、まあほぼ脱したと答えられた企業が多いということでございます。

    全体のまとめに、各社各カテゴリー含めて説明しておりますので、この後ろ、各カテゴリー毎のまとめをしてございますけども、説明の方からは割愛させていただきます。

    最後の商工会議所へのリクエストということでございますが、メンバーの中には30名以上の出向者を抱えているような企業もあれば、1人駐在と言うような企業もございまして、特に1人駐在されている企業の方からのご要望でございますけども、まあ生活面・業務面での情報交換の場を多く持っていただければ非常にありがたいというようなリクエストがございました。以上でございます。

    司会
    体系的にご説明頂きどうもありがとうございました。またご要望の件、了解しました。何らかの形で対応させていただきます。次に参ります。運輸サービス部会畠山部会長よろしくお願いいたします。

  • 運輸サービス部会 畠山研治 部会長

    運輸サービス部会資料

     

     

    運輸サービス部会部会長をしております、川崎汽船の畠山でございます。運輸サービス部会色んな業種が入っておりますので、業界毎に発表させていただきます。

    まず航空業界の上期の回顧。国内線につきましては総需要、2540万人ですか、前年同期に比べましてマイナス2.8%。ブラジルの主要航空会社の構成比を見ますと、そこに書いてある通りでございますが、昨年まで新規航空会社、オーシャンエアーですとかWebJet等々の新興の航空会社が伸びておりましたが、トータルの旅客数が減少するのに伴って伸びが止まっておると。

    従いましてブラジルの航空会社、国内航空会社の中でのシェアーはあまり変わっていないということでございます。それから国際線。2008年につきましては570万人、マイナス10%となっております。

    ブラジルの発着航空会社のシェアーで見ますと、ここに書いてあります通り、ブラジルの航空会社が約35%、外国の航空会社が、便数の合理化とかしている関係がございまして、ブラジル籍の航空会社の比率が約8%伸びております。

    それから燃油費について。金融危機以降値下がりしたものの、本年2月を底に値上がり傾向にあると。続きましてブラジルと日本間の旅客の動向でございますが、昨年の12月までいわゆる日本からの、日本の出国者、それから入国者の数がほぼ同じくらいでございましたけども、去年の12月から日本からブラジルへの出国者が増えておると。

    差が増えているということでございまして、まあ正式な出稼ぎ者の帰国の統計というのはないんですけども、ほぼその、日本の出国者と入国者の数の差、これが出稼ぎ者の帰国の数に相当するのではないかと見られております。具体的に言いますと、昨年の12月から6月までの累積で約4万9千人ということだそうです。

    続きまして下期の展望。トピックとしましては、ブラジル国内線・国際線運賃自由化による競争激化ということで、まあ今まで運賃を申請して承認を得るのに時間がかかっておりましたけども、一定の範囲内で申請した運賃から自由に調整ができるようになると、スピードが早くなるということでございますので、利用する立場からすると結構なことだと思います。

    それから新型インフルエンザによる影響は不透明ということで、本年後半からまた北半球でぶり返すのではないかと言われておりますが、これの影響はまだ良く分からないということですね。次に業務出張の需要については10月からの回復を期待しているということでございます。

    最後に燃油サーチャージの件でございますが、この資料を作成しました時にはまだ見込みと、復活する見込みということでございましたが、どうも10月1日から復活するようでございます。まあ金額等々詳細は今週中には発表になるだろうということでございます。

    続きまして海運業界の上期の回顧。コンテナ船とそれからドライバルク、二つに分けてご説明申し上げますが、コンテナ船につきましては、まあブラジルは全航路で見ますとここに書いてありますように、輸出が輸入より多い輸出国、コンテナ貨物に関しましては輸出国なんでございますけども、上期ブラジルの輸出が91万TEU、13%減、輸入が52万TEU、32%減。輸出の伝統的な相手先というのは、まあ貿易部会でもご説明ございましたけどもやはりアメリカ、欧州でございますが、ここは大幅に落ちておりますけども、中国、アジア、中東等ですね、いわゆる新興国向けが伸びている関係で13%減に収まっているということでございます。

    アジア航路につきましては、逆に中国等々からの輸入が多くて、輸出の方が少ないんですが、上期の実績としましては先ほど申しましたように中国・アジア向けが増えている関係で輸出が11%伸びて、輸入の方は30%減ということでございます。それからドライバルクの方でございますが、まあ鉄鉱石等々を運びますケープサイズという船の種類があるんですけども、これは前回のシンポジュームでもご報告されておりましたけども、昨年の9月までは史上空前の水準、具体的に申しますと1日あたり30万ドルに近い水準だったんですが、これが1月には約30分の1に落ちていると。

    その後中国の鉄鉱石の輸入が増加した関係がございまして、2月以降は回復基調にあるということでございます。それから下期でございますが、まあ各国政府刺激策を採っておりますが、まだ荷動き増につながっていない。

    ブラジルの国内景気回復とともに、中国あるいはアジアからの輸入の方は6月以降回復基調にございます。ただし私ども船会社にとって問題点としましては、荷動きの減に伴って海上運賃の方も下がっていったと、荷動きが若干回復しても中々運賃の方の回復には時間がかかると。

    まあこれから皆様方にどうお願いしていくかというのが一応課題でございます。ドライバルクの方も中国の鉄鉱石の輸入増だけではなくて日本や韓国のメーカーさんも減産幅を縮小しているということで、現在若干天井感はあるものの本年後半に向けて堅調に推移していくだろうなという風に見ております。

    続きましてフォワーダー業界上期の回顧。数字としましては、日本発の輸出航空貨物の実績ですが、全世界向け45%減、そのうち米州向け48%減、その他米州と言うことでこれはほとんどブラジルだと思われますけども、前年比約45%減ということになっております。

    まあやはり景気が悪くなるとコストのかかる航空貨物を避けようという動きが出ている結果だと思います。それに伴いまして日本発南米向けの集まりが悪くて、フレーターのスケジュールが不安定になってきたということがございました。

    それから製鉄構内物流。製鉄メーカーさんの中での構内物流でございますが、鉄鋼業の減産により大きな影響を受けているということでございます。下期の展望につきましては、航空貨物・海上貨物各社の在庫調整終了により、需要回復の兆しがあると。

    また一番最初にコンサルタント部会でもご報告ありましたように、ブラジルへの新規進出企業が増加しており、それに伴う貨物増も期待をしていると。製鉄構内物流につきましては、回復基調にあるが、厳しい環境が続くということでございます。

    それから一点、クーリエ業界のトピックスとしまして、今年中に収税局によるHARPIAというシステムが導入される予定になっているということなんですけども、まあクーリエ業界というのはスピードが命でございますが、ドキュメンテーション等々若干大雑把な所があってですね、厳格なシステムが導入されますと多額のペナルティですとかトラブルですとか、配送の遅延とかいうことが起きないかということを懸念しております。

    続きまして旅行業界でございますが、まず海外旅行。まあ世界的な不況あるいは南半球での新型インフルエンザの影響で海外旅行や出張を控える傾向があり、低迷と。国内旅行につきましては、大手パッケージ会社、CVC等々ですね、による国内パッケージは伸びていると。

    ただし、国内のホテル代、国内の航空料金が高い面があって、伸び悩んでいると、ブレーキがかかっているということでございます。これはスライドには入れておりませんが、ホテル業界につきましては、客室単価、これは179レアル、6.7%アップ。それから客室稼働率、これは5.3%ダウンの63%ということでございます。

    客室単価に稼働率を掛けました客室あたりの売上という指数があるんですが、これは1%アップになっておりまして、ブラジルはそれがプラスになっている数少ない国の一つだということでございます。

    続きまして下期の展望ということで、不況あるいはインフルエンザの影響により下期も旅客数は伸び悩むと。特にブラジルへの観光客につきましては、治安問題が足を引っ張っていると。国内旅行につきましては、海外旅行に代わって国内旅行が注目されていると。国内景気の回復に伴い回復することを期待していると。

    それからホテルにつきましても、下期回復を予想していると。経済危機で一番影響が大きかった部門がパーティー等々ホテルでのイベントだそうですけども、下期の回復に関してはそのイベントの回復がカギになっているということでございます。

    それから通信・IT業界。携帯電話数は昨年に比べまして20%増の1億5960万台。これは世界第5位だそうです。それから3G携帯、これも伸びております。それからナンバーポータビリティー、150万台。申請は200万台近くあったそうなんですが、実際に行なわれたのが150万台で、50万台分はまだ待っているという状況だそうです。

    それから固定電話。これは4170万台で横ばい。インターネットそれからブロードバンドユーザー数、これは3450万人、1043万台ということで約13%の伸びだそうです。続きまして通信・IT業界の下期の展望。Nota Fiscalの電子化、これが新たに79業種ですね、9月から開始されると。

    それからあと、ITトレンドということなんですけど、まあ不況のためコスト削減ということでですね、テレビ会議システムの普及だとか、それから最近クラウド・コンピューティングとかいう言葉がはやっておりますけども、自社でシステムを開発するのではなくて、サービス会社が持っているソフトを使用料を払って利用するという形態が伸びるものと予想されております。

    それから最後に運輸サービス部会のまとめでございますが、まあ先ほど機械部会では全員「はい」ということだったそうでございますけども、私ども運輸サービス部会が8月に部会を行ないまして、参加していただいた方のご意見を伺ったんですが、12社皆さん「いいえ」ということで、「はい」という答えはございませんでした。

    まあ心といたしましては、私ども運輸サービス部会というのは皆様の業界にある意味で付随しているという所がございまして、下降する時は皆さんの業界より早く影響が出るし、上昇局面では後から追いついていくと、追っかけていくという所がございますので、下期の回復を予想あるいは期待するが、今の所「脱した」とはっきり言い切れないということでございました。以上でございます。ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それでは次が最後になりますね。繊維部会金原部会長よろしくお願いいたします。

  • 繊維部会 金原彰 部会長

    繊維部会資料 (原稿)

     

    7月から繊維部会長を引き継ぎました、日清紡の金原でございます。よろしくお願いします。それでは始めさせていただきます。

    共通テーマということで2009年上期の回顧と下期の展望。まずまとめですが、繊維業界の状況ということで、ここ数年で最も厳しい上半期であった。下期は改善に向かうと思われるが、よくても前年同期並み。したがって通期では前年比大幅な減収減益になるだろうと。と言いますのが、昨年の上期がすごく良かったというのが一つの理由でもあります。

    この後、原綿、綿糸、織物、ファスナーの順で説明させていただきます。
    まず、国際原綿。綿花需給実績と予想ですが、2008/2009年度というのが上期にまで使った綿ですね。まあ在庫がありますからこの後も使うわけですが、09年10年度というのがこれから使う綿ということになります。

    生産。2009/10年度は前年比わずかな生産減。この青い部分ですね。それから大幅な消費増。これに伴う大幅な季節在庫減。約400万俵と。これ100ちょっと抜けています、申し訳ありません。

    この上下がちょっと狭いものですから、あまりたくさんに見えませんけど、ちなみにブラジルの生産量が550万俵ぐらいですから、まあ大幅な季節在庫減ということになるわけです。しかしながら40%以上在庫があれば十分あるということなので、綿は十分にあるということになります。

    次に綿の値段、NYの定期。月末の終値ですが、2007年が青、08年が黒、09年が赤です。上期は、2008年に下がりまして、急落した相場だったんですが、50セントぐらいですね、それが60セントぐらいまでに上がってきたと。

    で、下期はどうか。今申し上げましたように、綿は十分あるので、まあこの60セントぐらいであろうと。ただし、実際こういう実需よりも、投機マネー、大豆相場の動き、中国がどれだけ買い付けるかとかいうようなことで大きく影響されると思われます。

    次に国内の原綿の需給実績と予想です。こちらも同じように表を作ってありますが、2008/09年は前年比大幅な生産減のため、大幅な季末在庫減。しかし国内消費は十分まかなえる量があると。ということで次に綿花の相場ですが、ESALQ月末の価格です。

    これも同じように2007年から順にとってあります。2007年が青、こんな動きですね。2008年はだんだん下がったと。それで2009年ですが、4月、このあたりなんですけども、2005年12月以来の安値R$1.10/LBまで暴落しました。

    その後、5月に大きく上昇しまして、今綿が採れ始めているんですが、このぐらいでブラジルの綿は採れ出します。十分あるということで、相場はR$1.20/LBをちょっと割り込んだぐらいと、今がですね。この先もこのぐらいで行くのではないかという予想であります。

    次に綿糸。綿糸貿易の輸出入実績ですが、輸出が漸減ですね。どんどん減ってきました、2008年まで。輸入はどんどんどんどん増えたと、まあ為替のためですが。2009年上期はどうだったかといいますと、前年同期比輸出も輸入も両方とも大幅に減ったと。

    下期は、今1.8台になっていますけども、為替がこんなところであれば、輸出はさらに困難になる。まあしかし、輸入は昨年のような大幅増加にはならないだろうという風に見ております。ただし為替が1.7を切ってくる、なんていう話は今までなかったからいいんですけども、そうなるとまた輸入も増えてくると思われます。まあそうならないことを期待しておりますが。

    次、織物。薄地織物の輸出入実績。糸と同じように輸出は減って、輸入は増えたと。それで2009年は上期、対前年同期比輸出入とも減少、糸と同じですね。ただし糸と違うところは、各製造段階での在庫が増えたものですから、操業度が低下していると。

    下期の見通しは、消費が上がっても、今言った在庫があるために、操業度が戻るためにはもう少し時間がかかるだろうという見方です。

    次に紳士婦人服地。2009年上期の回顧ですが、寒さが遅れて冬物衣料は惨敗であったと。5月の母の日はダメだったんですけど、6月の恋人の日は寒くなり良く売れたと。

    生地の輸入量は20%減っていると。しかし既製服はドル高でも25%弱増加ということで、厳しい。2009年下期の展望は6月には寒くなったため、小売の冬物在庫は消化できたと。IPI減税の効果も出てきたし、消費が伸びるよう期待したい。景気が底をついたとは思われず十分注意が必要であると。

    最後にファスナーですが、2009年上期の回顧。衣料品在庫生産調整によって、ファスナー在庫調整が進んだと。ジャケット分野の動きが特に不調であったと。主力のジーンズ分野も、低調に推移したと。下期の展望ですが、為替の上昇、輸入衣料増、輸出商品競争力低下が想定されます。輸入衣料の浸透とともに、国内生産衣料における価格圧力も強まると。したがいまして市場環境は引き続き厳しいものと思われます。

    最後にコメントですが、底は脱したかということで、私どもの業界では8社ありまして、7社は脱したと。その理由ですが、まず1番。売値は戻らないが販売量は4月から6月には危機以前に戻り、在庫は正常になったと。後はコメントになるわけですが、売値は4月で下げ止まり、6月にはかなり戻した。

    しかし前年比ではまだ低い。先ほど申し上げた、昨年が良かったということですね。それから、底は脱したとはいえ、輸出不振でまだ在庫が多い。空紡糸なんかがこれにあたります。

    別のというか、こういう考え方があるということですけども、繊維の業界で言えば不振は危機だけの影響ではなく、構造的なものもあるのではないかと。1社は、個人消費が戻るのはまだ先だということです。以上です。有難うございました。

    司会
    有難うございました。以上で全ての部会の発表が終了いたしました。次に、講評を頂きたいと思います。在ブラジル日本国大使館島内大使よろしくお願いいたします。

  • 講評 島内憲大使

    ただ今ご紹介いただきました在ブラジル大使館の島内でございます。本日はこうしてブラジル商工会議所の各部会長、副部会長の皆様からそれぞれの業界の最新事情につきまして、臨場感ある、迫力あるお話を伺うことができて、私たいへん有難く思っております。

    今後ブラジリアで外交活動を行なう際に、本日伺った話を参考、あるいは指針にさせていただきたいと、そう思っております。

    本日皆様のお話を伺って受けた印象、と申しますか全体的な印象を申し上げますが、先ほど「薄日が差してきた」というお話がございましたけども、私は全体的にですね、もうちょっと状況は良いんじゃないかな、ということでございます。

    青空がどんどん広がってきたけれども、まだ所々雲があると、それで雨が降っている所もあると。ちょうど雨季のブラジリアの空のような感じなんじゃないかなと思います。

    それであの、ほとんど全ての業界でですね、下期は上期より顕著な改善が予想されるというお話がありましたけれども、やっぱり部会によって、あるいはその個別の業界、さらには企業によってですね、かなりニュアンスの差があるのかなという印象を持ちました。

    その辺、非常に私にとって今日いい勉強になりました。ということで、ブラジル経済、全体としてまだ斑模様の回復ということなんだろうと思いますけれども、まあ一方においてですね、中長期的な展望、まあ2010年以降の展望については非常に明るいものがあるという点については、ほぼコンセンサスがあったのではないかと思います。

    それで、西岡部会長を例外として、我々日本人はどっちかと言うと悲観的に物事を捉えるという傾向がありますので、もしかしたらですね、実態はもうちょっと良いのかなと。ブラジルの経済の実態はもうちょっといいのかなと思ったりいたしました。

    以上お気づきの点を申し上げた訳でございますが、ブラジリアはですね、最近どこかの新聞で読みましたけれども、南米の首都になりつつあるということが言われています。

    私もそうなのかなということを思うことがありますけども、やっぱりですね、ブラジリアが南米のワシントンであるとすれば、まあサンパウロは南米のニューヨークであるということで、ブラジリアの片田舎で仕事をしている私がですね、これ以上立ち入って本日の皆様のお話についてコメントするのはいかがなものかと思われますので、折角の機会ですのでちょっとお時間をいただいて、私が日頃、というか最近ブラジリアで考えていること、それから皆様のお話を伺って今日感じたことを申し上げたいと思います。

    私、今年になって2回日本に一時帰国しております。1回目は大使会議に出席するのを主目的にした業務帰国。それから2回目は、一応休暇のつもりで帰ったんですけれども、毎日のようにですね、役所の方から「どこそこに行って講演してくれ」とか、「誰それに会ってほしい」ということで、実質的には業務帰国になってしまいました。

    まあ別の言い方をすればですね、それだけブラジルに対する関心が日本国内で高まっているということでございます。それで、この2回にわたる一時帰国の機会にですね、私はブラジル情勢について政財界のトップの方々とお話したり、関係団体で講演をさせていただく機会を持ちました。

    世界金融危機とブラジル経済、というか、日伯経済関係というテーマで講演を何回かさせていただいた訳ですけれども、必ず満席になると。60人の会場に行ってやれば必ず60人プラスアルファの方が来られると。130人の会場でやれば130人プラスアルファが来られるということでですね、非常に心強く思った次第であります。

    それからもう一つはですね、この2回の一時帰国において、これまであまりブラジルと関係がなかった主要企業、関係の薄かった企業のトップの方々と意見交換をする機会を持った訳でありますけれども、こういった講演あるいは意見交換を通じてですね、ブラジルに対して確実に我が国において関心が高まっているというのみならず、その関心が広がりを持ち始めているということを感じました。

    肌で感じることができました。単にブラジルがBRICsの一角を占める国であるということでなくてですね、BRICsの中でも最有望株として日本のレーダーにしっかりと映るようになってきたのかなと、そういう感じを持っております。

    ただ、一方におきまして、まだブラジルに関する関心・知識は、表面的、総論的なレベルに留まっているのではないかなということも感じております。まだ各論、具体論が必ずしも十分行なわれていないということなのではないかなと思っております。

    まあここ1、2年ですね、日伯間の人の往来、特に日本の主要企業のトップの方々のご来訪が非常に多くなっていますので、このままでもですね、我が国における対伯関心は確実に高まっていくであろうし、さらに個別プロジェクトでも色々新しい話が、スケールの大きい話が出てきて確実に実を結ぶだろうと、そう思っております。

    それで現にですね、皆様よくご承知の通り、リオ-サンパウロ高速鉄道という両国関係に新しい時代をもたらし得るメガプロジェクトが今出てきていまして、役所サイドとしてもですね、日本企業連合のご努力を全面的にバックアップしているところでありますし、またデジタルテレビにつきましても、日伯官民のですね、緊密な協力と呼吸がぴったり合った連係プレーでですね、今南米大陸を中心に日伯方式の普及に努めているところでございますけれども、まあ皆さんご承知の通り、今年に入って、4月だったと思いますけれどもペルーが日伯方式の採用を決定したところであります。

    まあしかし、新幹線とか、このデジタルテレビでの成果がですね、というよりもこういった画期的な動きがあることが日本国内で良く知られているかというと、残念ながら必ずしもそうではありません。

    日本でもっともっと、最近のですね、日伯のプロジェクト、あるいは各分野のビジネスのポテンシャルをですね、知ってもらう必要があるということを私は感じております。そういう意味で、本日の部会長シンポジュームは現在日本で最も必要とされている情報を発信する、極めてタイムリーで有意義な場であったと私は思います。

    今日の会議の成果がですね、できる限り多くの、日本国内の企業あるいはその他の関係者によって共有されることを期待したいと思います。今後政府サイドにおける優先課題としてですね、4年間途絶えている首脳レベルの訪問外交をできるだけ早く実現し、二国間関係にさらなるモメンタムをつけることであると思っております。

    首脳レベルで最近の二国間関係の大きな進展を総括するということが非常に重要だと思いますし、さらに今後の関係のあり方について方向付けを行なうということが非常に重要になってきていると私は考えています。

    皆様にもですね、ぜひ応援団になっていただいて、本社ベース、あるいは経団連ベースでですね、声を大にして首脳外交の必要性を民間サイドからアピールしていただければと思います。よろしくお願いします。

    最後になりましたが、こういう機会を設けていただきました田中会頭、それから近藤総務委員長、平田事務局長をはじめとするブラジル日本商工会議所の皆様に心から御礼を申し上げて、私の講評に代えさせていただきたいと思います。今日はありがとうございました。

    司会
    島内大使有難うございました。続きまして在サンパウロ日本国総領事館大部総領事にご挨拶いただきたいと思います。

  • コメント 大部一秋総領事

    大部でございます。今日は部会長シンポジュームの下半期の展望に向けての分析、本当に有難うございました。島内大使の方から非常に意味のある有意義な、大事なお話も含めてございましたので、私の方からは特段申し上げることはありません。

    ただ、やはり全体としてみて、今回の分析で底を打って上向いてきているという、まあ斑模様ではありますけれども、そういう様子が伺えて非常に心強い限りでした。まあ、自動車、ペトロブラスの17兆、それから中国、それから国内の購買力の大きさと、この辺りが強気の材料になっているのだと思いますので、この辺りの先行きをよく見ていきたいという風に思っております。本日は本当に有難うございました。

  • 閉会の辞 近藤正樹総務委員長

    大部総領事どうもありがとうございました。各部会の皆様、今回ご協力、労作どうも有難うございました。正確で生きた情報が盛りだくさんで、内容の濃い、実りの多いシンポジュームであったと思います。

    次回は6カ月後、来年2月となります。カーニバル前、大体一週間ですかね、来年はカーニバルが2月中旬でございますので、おそらく2月の上旬になると思いますけども、予定しております。さらに明るく、前向きな話題がたくさん出るものと期待しております。

    さて1点連絡事項です。この後カクテルパーティーを用意しております。18時から19時、1時間ですね。お時間ある方はぜひご参加いただき、引き続き情報交換、懇親を深めていただければと存じます。予約されてない方も大歓迎です。費用は50レアルです。以上です。本日はこれにて閉会いたします。長い時間どうも有難うございました。


開催日:2009年08月18日(火)

会場:ホテル ソフィテル

時間:午後2時から6時

2009年上期業種別部会長シンポジウム

  • 司会 近藤正樹総務委員長

    司会  近藤 正樹 総務委員長

    本日は多数ご参集いただき誠にありがとうございます。本日司会を担当させていただきます総務委員の近藤でございます。企画戦略の田中委員長があいにくご出張ということで、本日は失礼させていただきました。

    平田事務局長に応援をお願いしながら議事を進行させていただきますのでよろしくお願いいたします。日本語・ポルトガル語の同時通訳のサービスがございますの で、ぜひご利用ください。また、携帯電話のご使用はご遠慮いただきたく、よろしくお願いいたします。それでは各部会の発表に先立ちまして、商工会議所田中 会頭よりごあいさついただきたいと思います。

  • 開催挨拶 田中信会頭

    開催挨拶   田中信 会頭

    皆さんこんにちは。本日は当会議所のメインイベントであります業種別部会長シンポジウムに、ご多忙中にもかかわらず多数ご出席頂きして誠にありがとうご ざいます。特に今回は日本の経済産業省から通商政策局赤星康米州課長、本間英一室長、森川純係長、宮本敏央係長、室住由加係長および大熊靖夫特許庁国際課 課長補佐にご参加をいただいております。さらにサンパウロ総領事館からは大部総領事以下経済関係領事にもご参加いただいております。

     終 了後、大部総領事には講評を賜りたく、また赤星米州課長はブラジリアでの交渉の関係で遅れて来られることになっておりますが、ごあいさつをお願いすること になっております。また、一言ここでつけ加えますと、ご記憶の方も多いと思いますが、ブラジリア大使館の経済担当公使をやっておられました大竹前公使がタ カタ・ペトリ・ブラジルの代表者として新しいお仕事を担当されるということで今日ご出席をいただいております。そういうことで、本日のご出席はおかげさま で史上最高ということになっております。

     古い方達には繰り返しになりまして恐縮でございますが、メンバーがだいぶ入れ替わっておりますので、最初にこのシンポジウムの歴史および内容を簡単にご紹介したいと思います。このシンポジウムは一年2回、年初と年央に11の業種別部会長がそれぞれの業界の回顧と展望を行なうことになっておりまして、今回はブラジル経済2008年を回顧し、2009年の展望を行うものであります。

     このシンポジウムは私事にわたり恐縮ですが、1970年代にブラジル経済の奇跡といわれた時代、当会議所に業種別部会制度が発足しまして、私が初代コンサルタント部会長として「業種別部会長懇談会」という名称で開始したものであります。その後、総務委員会、企画戦略委員会が担当として会議所全体の主要行事となり、今日まで30年以上続いている当会議所の看板行事でございます。

     当初は、コンサルタント部会長が司会者となりまして、業種別部会長が集まって座談的にブラジル経済を論ずる文字通り懇談会でありました。その後総務委員長および企画戦略委員長が担当する会議所全体の行事となりました。さらに2003年より「開かれた会議所」の基本方針に従い、会員にはもちろんのこと、一般のブラジル社会にも開放し、日本語の理解が難しい参加者のためポルトガル語の同時通訳も用意し、希望者は誰でも参加できるようにいたしました。設立以来継続してきた部会長懇談会という名称も2006年8月3日実施分より「業種別部会長シンポジウム」に変更いたしました。

     こ の会議では各業種別部会の代表者からの生の声でそれぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長を中心に自社業績や業界動向を分 析し、その結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定に極めて役立つものと思います。さらにこのプロセスを通じメンバー会社の親睦にも役立つもの と思います。さらに外部の官庁、企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ、数少ない信頼すべきデーターと評価されておりま す。

     昨年8月のこの会では、11業種全部会が史上最高の好況に沸き返るような報告でしたが、昨年第4四半期より、世界は一転して、百年に一度という経済危機に落ち込み、先の見通しは極めて不透明であります。その意味で各部会とも取りまとめに苦労されたのではないかと思います。

     最後にこのシンポジウムの担当であります総務および企画戦略両委員会、業種別部会および事務局の皆さんのご尽力と、会員各位のご協力に心から感謝の意を表しまして私のご挨拶を終わります。ありがとうございました。

       司会:田中会頭ありがとうございました。それでは部会の発表に移ります。田中会頭のお話にもありましたが合計で11の部会がございます。前回は8月でしたので、●●●苦戦しております。現状はどうなっているのか、今後どうなるのか、大変興味深い●●●地域により業界により、また個々の会社により、ぜひそのあたりも含めて情報交換、現状を把握していただけると。

     なお各部会の発表時間は約10分を予定しております。質疑応答を含めて15分をめどとしております。パワーポイントの左上の画面に残り時間が表示されますので発表者の方はよろしくお願いいたします。それではご案内のアジェンダに従いまして進めさせていただきます。まずはコンサルタント部会、都築部会長よろしくお願いいたします。

  • コンサルタント部会 都築慎一 部会長

    コンサルタント 部会


    コンサルタント部会  都築 慎一 部会長

    コンサルタント部会の都築と申します。ジェトロの佐々木さんが多忙のため部会長を辞任され、副部会長になられました。その結果部会長を今年から引き継ぐことになりまして、どうぞよろしくお願いいたします。

     コ ンサルタント部会は種々のサービスを提供する企業が属しているため、業界としての動向がまとめにくいこともありまして、毎年マクロ経済の回顧と展望につい てまとめて発表させていただいております。今年もブラジルマクロ経済の回顧と展望につき要約してコメントしたいと考えておりますが、昨年の未曾有の世界金 融危機以降、かつてないスピードで実体経済に対する大きな影響が出て世界中で景気の悪化が進行していることなどから、特に金融危機後のブラジルマクロ経済 に焦点を当ててまとめさせていただきます。

     次の4点 に分けてコメントさせていただきます。この後に続く他の部会で発表されるであろう項目についてもコメント重複はできるだけ避けたいと思いますが、仮に重複 する点があればご容赦ください。またデータを除く部分については、一般に報道されている政府関係者や専門家の意見、およびコンサルタント部会の意見交換の 会議の結果をまとめております。

     まず最初にIMFおよび政府、金融界、経済成長見通し。次にブラジル政府経済政策、どんなものが出ているのか。それからそれを分析するにあたって経済の動向を考えるにあたってのポイントを考えてみたいと。そしてコンサルタント部会の結論を申し述べたいと思っています。

     まず、国際通貨基金は1月28日に新たな経済の見通しを発表しましたが、昨年11月の2009年の経済成長見通しを当初2.2%としていたものを0.5%に下方修正し、戦後最悪の成長率と予測しております。先進国はマイナス成長、そして新興国、中国、インド、ブラジルはプラスの成長ではあるもののやはり大幅な下方修正となっております。平均では、新興国は11月時点では5.1%の経済成長率であったものが3.3%に先月修正されております。

     これを国別で見てみますと、経済成長予測は、ブラジルは3%から1.8%へ下方修正されています。一方ブラジル中銀の発表データでは、2008年の公式経済成長率はまだ最終3カ月のデータがそろわないため正式な数値は出ておりません。ただし、5ないし5.5%ぐらいであろうと予想されております。第3四半期の成長率が対前年同期比で6.8%であったことを考えると、ここに出ている2009年の数字というのは大幅なダウンとなっています。

     また、国内の2009年の経済成長予測も大方悲観的であり、次々と下方修正するようなことになっており、現在2%以下の予想数値が多いというふうに言えるかと思います。というわけで2009年はブラジルも引き続き世界金融危機の影響に翻弄される年になりそうです。ただ振り返ってみると、金融危機以降を分けて考えれば、2008年のブラジル経済は2007年の5.7%の成長率に続き成長を維持してきたと言えると思います。

     好 調であったという理由としては政府の低所得者への所得増大政策が消費を拡大し、それが工業生産の促進につながり、そして雇用の増大へと好循環に回転し、海 外からの投資も増大したこと、それからまた分割払いの期間の拡大など個人融資がさらに拡大して消費を上昇させたことも大きな理由として挙げられると思いま す。

     また国際的な資源獲得競争から鉄鉱石や大豆、さとうきびなどの農産物の資源大国としてのブラジルが見直され、これらの分野に内外の投資が増大して好調経済への追い風になったということは皆さんご承知の通りです。

     経済成長率は、グラフで表しますとかなりアップダウンがあるんですが、2007年に増えまして、2008年度、世界経済金融危機後で下がった関係で5.5%という数字ですが、ここに書いてございますようにまだ確定した数字ではないということです。次にブラジルの金融危機後の経済状況や政府の政策などについて振り返ってまとめてみたいと思います。

     昨年9月 の国際金融危機はブラジルの金融機関がダメージをあまり受けなかったことから、当初は影響も限定的ではないかとの見方も多かったんですが、為替はレアル通 貨安に大きく動き、また短期金融市場の流動性リスクが高まり、中小企業の資金融通が困難になりました。この辺は日本と似ていた、世界的に同じような傾向 だったと思います。また企業も外貨建て融資を受けるのが困難となり、中銀が市場への資金供給、外貨建て融資を行いました。この辺は金融部会からより詳しい 説明があると思います。

     その後融資の縮小などから急激に自動車販売が落ち込み、また海外の需要減から急速に輸出が落ち込んだことからブラジルの実体経済にも影響が出始め、ブラジル政府、中銀はG20の合意内容に基づき国内需要刺激の一連の措置を次々と発表しました。

     ま ず、そこに書いてございますように、金融政策では今申し上げた市場の流通性確保のため市中銀行の預金準備率の低下を図り、公的金融機関、ブラジル銀行、カ イシャ・エコノミカ、BNDESなどを通じて運転資金の融資、外貨建て融資、農業融資、自動車・建築資材などの消費者融資の拡大を行いました。

     また過熱気味の経済によるインフレに対する警戒から中銀は2008年に、先月13.75%まで上げた基準金利を世界金融危機後も当初維持してきたものの、実体経済に対する影響がはっきりと現れてくる中で12.75%に下げました。その結果、市中金利を低下方向に誘導するのが目的であるんですが、この辺どうなっていくのか、ご存知のように支払い遅れの個人・法人も多いことでその辺の実際にどのぐらいまで下がるのかというのはまだ不透明なところがあります。

     確かに不動産価格などを見てみますと、民間の研究機関の発表では、昨年1平米方あたりの住宅価格は36% も上昇したということで、バブル的なところもあったのかということで、金利を高めに備えていた中銀の政策というのはそれなりの根拠があったのだろうと考え ます。そして今、今週か来週といわれていますけれども、さらに住宅取得の融資の限度額を拡大し、それからフンド・デ・ガランチーアと呼ばれています公的管 理退職基金をその取得の一部に充てることができる、その辺の利用拡大を目的とした追加景気刺激策も発表されることになっています。

     総額では一応ブラジルは、パッケージでどのぐらいという発表をしないで、それぞれ追加政策の形で出しておりますので、報道では総額いくらの刺激策というふうには出ていないんですが、大体今までの金融政策で中銀が発表している段階では1891億レアイスというふうに言われています。

     次に財政政策ですが、公共工事への投資拡大、特にPACと呼ばれているルーラ政権の柱の一つである経済成長促進計画への融資の拡大ということが発表されています。具体的には1,420億の追加投資を行うと。ただ、このPACは遅れ気味になっていまして、実際のところ前倒しという形で資金が出て行くのかどうなのかはっきり分からないんですが、方向としてはそういうことで当初の予算にさらに1,420億ドルを追加すると、今年中ですね、というふうなことが言われています。

     それで計画の促進を、遅れ気味のPACの政策の促進を行っていくと。それから個人消費の増大を目的とする税制改正が去年●(?)●になりました。これも84●(?)●億レアイスのインパクトがあるという大蔵省からの発表があります。主に個人所得税の累進税率の累進度緩和および自動車等の工業製品税の軽減、それから融資に関わる金融取引税の軽減などにより個人消費の増大を目的として行われます。

     また今後、連邦政府段階では、新規投資への規制負担軽減などを図る措置が現在スタディーされています。さらに各州も公共投資計画の実行、ICMS税の納付期限の延長および州立銀行を通じての融資の拡大等企業救済策を発表し始めています。サンパウロ州も2日前に発表しまして、何項目かについては18%の税率を12%に下げるということをセーラ知事が発表しています。

     さらにもう一つ、現政権のもう一つの柱である社会政策の継続と。特に最低給与のインフレ以上の増額を通じての低所得者の可処分所得の増加、および失業保険期間の拡大、これはどこか、業種にもよるんですけれども、5カ 月分をさらに拡大すると。それからボルサ・ファミリアといわれる貧困家族への助成金という、この辺の刺激策、これは今後も継続するということで、特にこ の、最低給与のインフレ以上の増額はやはり今までとってきた政策がプラスに働いているということもあり、実績が出ていますけれども、さらに210億レアイスのインパクトが市場に与えられるだろうということが労働省の計算では発表されております。

     トータル、それを加えますと、正確ではないんですが、3,600億レアイス、ドルに換算しまして1,560億ドルぐらいの通過供給量の増大を目指すということで行われております。今回、総じて政府の対策は比較的すばやく行われていると言っても過言ではないと考えます。

     次 に今後のブラジル経済の行方を考えるにあたってのポイントを整理してみたいと思います。まずポジティブなファクターとしては、今申し上げた政府がとってい る個人消費刺激策。それから、それに安定した政治情勢、特にルーラ政権の人気は日本と比べると正反対で落着いているということで、労働争議なども多少起き ているようですけども、それほどそれが政治を揺るがすほどの問題には至っていないと。それから、去年もそうでしたけれども、抑制目標内で収まりそうなイン フレ率というポジティブなファクターが挙げられると思います。

     次 にネガティブファクターですけども、ネガティブファクターとしては失業者の増加が現実の話として出てきています。特にインテリオールと呼ばれる地方都市経 済は、そこに進出する工場等の生産や消費等に依存する度合いが強く、これらの工場が閉まったりするとその都市全体の経済が崩壊してしまうというふうな危険 もある訳で、失業者の増加はきわめて問題であると。

     資料1。これは労働省の中から出てきている資料なんですけれども、12月にものすごく失業者、これは新規雇用者と失業者の数字が登録されている数字を発表していますけども、これを足し算して月度で増えたか増減を表しています。そうしますと12月には65万5,000の人が職をなくしたという結果が出ておりまして、これも統計を取り始めて2カ月でこんなに落ちたのは初めてという結果が出ております。

     12月は毎年20万人を超える、いわゆる短期労働者の方のクリスマス商戦が終わったところでの解雇があるため、実際には40万ぐらいの人が職を失ったということが言えるのではないかということで、このデータは1月はまだ出てないんですけれども、さらにどういうふうな形になるのか、注視する必要があるかと思います。

     それから支払い遅延者、これはやはり景気が悪くなると当然出てきまして。支払い遅延企業の年初からの累積でもってどのくらい増えているのかというのを同時期前年と比較した数字ですけれども、12月までの分で2008年、4.8%の増加を示しておりまして、これもかなり大きな数字で、これも今後増えて行くであろうということで、やはり注視していかないといけない数値であるというふうに考えております。

     それから一番やはり話題になりました資料3、工業生産指数、これが去年の12月に前月比の12.38%の落ち込みを記録しまして、これも始まって以来の記録的な数字であると。これはIBGEというところから出ている数字ですけれども、この数字については、ゼツリオ・バルガス大学調べでは工業界の半分の業種において1月に入り製造能力使用率の多少の回復が見られ始めたと報じております。ただ、企業の在庫生産調整は続いていることから、失業者の増加はさらに増えることが危惧されているということです。

     次 に、ブラジル経済への影響がマイナスに大きく働くのか、または影響は限定的なのか、不確定である要因としては米国経済の動向であるとか、コモディティー価 格、特に農産物の国際価格が上昇に転じるのか、また経常収支赤字基調で今後推移していくのか、また輸出不振を反映して輸出大手企業の業績悪化による負の波 及効果などの懸念があるということが挙げられると思います。

     特に国際収支では金融危機後にやはり輸出が大幅にダウンしております。面白いのは直接投資が、この後お見せしますけれども、それほど減っていないんですが、1月の貿易収支だけを見ますと貿易収支では初めて約5億ドルの赤字ということで、日本経済のサンパウロ支局の壇上さんの調べでは単月ベースで8年ぶり、2001年3月以来ほぼ8年ぶりの貿易赤字転落であるというふうに書いておられます。

     世界的な景気後退を受けた鉄鋼半製品や自動車の輸出減が響いていると。1月の輸出額は前年同月比22.8%減、輸入は12.5%減で輸入の減少より輸出額の減少が多くなっているということです。ブラジル政府は貿易収支悪化を懸念しており、輸入申請許可制を発表しましたが、保護貿易の台頭を懸念するG20声明に沿い直ちに撤回をしたということがあります。

     ここにありますのが国際収支の金融危機前と金融危機後の比較です。貿易収支はそこに書いてございますように2009年 には輸入が増えています。それ以外の数字はまだ中銀から発表されておりません。そこにサービス+所得収支とありますけれども、所得収支というのは主に利益 配当です。日本では利益配当を受け取る方なんですけど、ブラジルの場合は多国籍企業が送る傾向がありますので、この数字はかなりいつも高いと。特に景気が 良かった去年は配当金額が多かったと。ただし10月から12月にはその前の第3四半期と比較すると減っているということが言えると思います。

     次に資本収支ですけれども、そこにございますように対内直接投資、外からブラジルに対する資本等で入ってくるお金ですけども、インターカンパニーローンも入るんですが、これは●●ございますように141.31から142.09とほぼ同じ金額で推移しております。さらに間接投資、間接投資というのは証券投資ですけれども、この金額が大幅に減っております。

     こ れはご承知のように金融危機後、その前から少しずつ資金の引き上げが行われていましたけども、その後はブラジル市場の株式市場であるとか、国債を買うと か、入るよりも出て行った方がこれだけ多いということです。その他為替の変動等がございますけれど時間の関係もありますし、金融部会の方からも話があると 思いますので、我々の結論を述べさせていただきたいと思います。

     結 論は、ブラジル金融機関はダメージがあまりないものの、実体経済への影響は輸出、特に工業製品・半製品の輸出落ち込みに顕著に現れてきていると。世界経済 全体の悪化から特に穀物を除き、輸出の大幅な減少は避けられないため、国内消費の回復に期待せざるをえないだろうと。というわけでブラジルは先進諸国に比 べ国内消費の落ち込みは限定的とする見方も多い。次々と打ち出される政府の金融政策、財政政策が第2半期には消費の回復につながり、雇用の悪化に一定の歯止めがかかることを期待したいと思っております。

     ま たここしばらくは企業の収益環境は悪化するであろうが、内需の低迷を背景に企業は急ピッチで生産・在庫調整を進めていることから、今後収益を生み出すよう な構造改革の成果が出るようなことを期待したいということです。次に、我々コンサルタント部会、人・物・金ということをどのようにそういう意味で守って行 けばいいのか皆さんと一緒に考えて行きたいというふうに思っています。よろしくお願いいたします。

     また、ジェトロさんの話では金融危機以降も日本からお見えになるお客さまは減っておらず、現在20社 を超える企業が進出を予定しているということです。危機こそチャンスということもありまして、ブラジル市場に積極的な姿勢がビジネスの機会をつくることも あることを忘れないでほしいというのが多くのコンサルタント部会のメッセージですと。最後に松下幸之助さんのお言葉をお送りしてコンサルタント部会の発表 を終わらせていただきます。不況もまたよし。不況の時こそ会社の問題がよく見える。どうもありがとうございました。

    司会:都築部会長、詳細かつ多くを網羅したご説明ありがとうございました。ご質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。金融部会山崎部会長よろしくお願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint コンサルタント 部会

  • 金融部会 山崎展生 部会長

    金融 部会


    金融部会  山崎 展生 部会長

    こんにちは。金融部会のブラデスコ銀行の山崎でございます。高い席から失礼いたします。よろしくお願いいたします。

    2008年の回顧と2009年 の展望ということでお話をさせていただきたいと思います。コンサルタント部会さんと非常に重複するところも多いんですけれども、一応通例に従いましてマク ロ経済の回顧、それと銀行部門の回顧、続いてマクロ経済の展望、最後に保険部門の回顧と展望という形で進めさせていただきます。なるべく早口で時間内に収 めたいと思いますのでよろしくお願いします。では1ページ目お願いします。

     まず簡単に2008年の政治面での動きについて触れさせていただきます。様々な疑惑などの政治的混乱はあったんですけれども、10月に実施された全国の市長・市議選挙では連立与党のPMDBが勝利。26州都の結果で見ますとPT、PMDBが他党を圧して同数を獲得ということで与党勢力の底堅さが確認されました。一方PT候補が敗北したサンパウロ市長選挙は2010年の大統領選挙をにらんでのPSDBのセーラ州知事の影響力が強まる結果となりました。

     一方世論調査によるルーラ大統領の支持率は3月に73%、6月に72%、9月に80%、国際金融危機後の12月においても84%と上昇傾向にあります。これは今までの福祉政策の実現に加えまして、国際金融危機に政府がよく対応しているという評価、支持率が62%だそうですが、こちらが背景かと考えられます。続いて経済面についてお話をします。

     2008年の前半は米国のサブプライム問題など国際金融危機の兆候はありましたけれども、デカップリング論に象徴されるようにブラジル、中国、インドなどの新興国を中心とした世界経済の拡大が続いて、投機マネーの動きもあって資源価格も上昇が続いていました。

     大 資源国であるブラジルは資源価格高の恩恵を受ける形で貿易収支黒字、対内直接投資の拡大などによって外貨準備を蓄積、堅実な国内経済運営の結果としてのイ ンフレ抑制とそれにともなっての金利低下による内需主導の経済成長ということで投資適格国になりました。しかしながら、9月のリーマンブラザーズ破綻に始まった国際金融危機によって、米国を起点に急速かつ大規模な信用収縮が発生しました。

     米国消費の急激な冷え込み、欧米通過の急落、資源価格の急落を通じて世界の実体経済に影響を与えまして、2008年後半には世界同時不況、新興国では資本逃避があいつぎまして十分な体力がなかったアイスランドやパキスタンはIMFの金融支援を受け、エクアドルは債務デフォルト宣言をするという形に至っています。

     ブラジルでは国外からのファイナンス縮小によって国内金融市場が縮小、内需拡大の牽引エンジンであった金融機関貸し出しの伸び率にブレーキがかかりまして、特に耐久消費財を中心とした国内消費が冷え込みまして、労働需給にも影響を及ぼす状態になっています。

     ま た世界的なファイナンスの縮小によりまして、株式市場からの外国人投資家の流出、コモディティー価格低下を経由しました輸出減を通じて為替レートも影響し まして、大幅なドル高レアル安をもたらしています。しかしながら十分に積み上げられた外貨準備と中央銀行の適切な対応によって国際金融面での混乱は回避さ れています。統計数字で確認したいと思います。

     まずGDP成長率の予測値は前年同期比、一応プラス5.6%を予測しています。世界の主要国がマイナス成長に転じました第3四半期まで個人消費、設備投資に牽引されて堅調に推移したことが理由でこの数字に着地する見込みです。インフレにつきましては、消費者物価指数(IPCA)は通年で5.9%となりました。年央には食品価格であったり、燃料価格の上昇によりまして6%を超えるという予測もありましたけれども、年後半の資源価格急落、景気後退によってインフレターゲットの範囲内に収まるという結果になりました。

      続きまして期末の政策金利、SELIC金利ですけれども、こちらは13.75%になりました。年初からの物価上昇に対応して中銀は4月以降順次金利引上げを実施しまして、9月に13.75%となり、しかしながら以降、国際金融危機にともなってインフレ懸念が後退したこともありまして年内は据え置きで推移しました。

     貿易収支は暫定値で247億ドルの黒字と前年比で37%の減少となっています。これは9月までレアル高にともないまして輸入が非常に増加したこと、それから9月以降資源価格の下落、世界同時不況による輸出の低下が要因と考えられます。貿易収支の減少と9月までのレアル高による外国企業の親会社への配当送金などによりまして経常収支は283億ドルの赤字になりました。

     国際金融危機にともなう国外からの証券投資の大量引き上げもありましたけれども、中銀は無理な介入をせず為替レートが切り下がることを容認したため、外貨準備高は2,068億ドルと対外債務に匹敵する水準に温存され国際金融面での混乱を回避する一因となっています。

     一方為替レートは年の前半好調な資本収支に支えられて8月1日にピーク、1ドル1.559レアルをつけましたけれども、国際金融危機によって急落、年末は1ドル2.337レアルとなりまして年間で31.9%の下落率となりました。またBOVESPA指数につきましては5月29日に7カ月●●●73,920。終値ベースでは5月20日に73,816という高値を記録しましたが、9月以降国際金融危機の影響で株価下落、年末では37,550となりまして年間で48.5%の下落となりました。EMBI+指数は株価●●175bps●●●●していましたけれども、年末では428bpsと前年末比93.7%●●上がったと。

     続いて金融面についてご説明いたします。2008年 の後半には米国発の国際金融危機によりまして国内銀行はドル資金調達に苦しみました。同時に国内金融市場が縮小しましたので中小金融機関を中心に生き残り のための資産売却、あるいは合併等の動きが活発化。集中化が進みまして、金融界の状況も大きく動きまして、その結果としてのイタウ、ウニバンコ両行の大型 合併もありまして、国内金融機関は国内民間系のイタウ・ウニバンコそれとブラデスコ銀行、で政府系はブラジル銀行、また外資系のサンタンデール銀行の4強が競う場面となっています。

     こちらの結果、貸出等の数字ですが、設備投資の増加にともなって法人向けの貸出増加がありました。あるいは所得向上、低金利を背景として個人ローンが増加しておりました。ということで2008年枠の銀行貸出総額は1兆2,274億レアルということで31%の拡大となっております。ちなみに2009年の予測は15%の拡大という予想でございますので、ちょうど半減するという動きと。

     貸出スプレッドにつきましては、国内金融市場の急激な縮小によって資金の需給バランスが崩れたこと、それから世界同時不況による●●の高まりを受けまして拡大しております。2008年枠の平均スプレッドは法人18.3%、個人は45.1%となっております。一方延滞債権比率ですけれども、法人は2008年は1.8%と2007年比0.2%の低下を見せています。しかしながら個人につきましては、申し訳ございません、こちらの数字が間違っておりまして、増減のところ、こちらを1.1%と直していただけましたらよろしくお願いします。

     個人の延滞債権比率8.1%ということで前年比1.1%悪化しております。世界同時不況が悪影響、雇用で悪影響を及ぼしている中で今後も上昇傾向にあるように考えられます。金融機関は貸し倒れ引当金の積み増しなどの対策によって●●●●●●。続きまして2009年の展望についてお話ししたいと思います。

     まず政治面につきましては現職のルーラ大統領が出馬しない2010年の大統領選挙を展望した次期大統領選挙戦を視野に入れた政策が行われるものと考えられます。さらに世界同時不況●●●●中央銀行による金融政策、国営銀行を通じた資金補強、減税等の財政政策を●●●市場需要の拡大策を取るものと考えられます。

     世界経済は、各国が総需要の拡大策を打ち出しておりますけれども、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という見方が大勢を占めております。ブラジル経済におきましても世界同時不況の影響を受けて低迷することは避けられず2009年のGDP成長率は1.8%の成長が見込まれています。

     成 長に大きくブレーキがかかった形になりますけれども、世界の主要国はマイナス成長であることを鑑みますとブラジル経済の底堅さを表わしているとも言えると 思います。また他国比金融セクターの痛みの少ないブラジルは最も回復の早い国のうちの一つという見解が多くあります。金融セクターについて申しますと2009年は、先ほど申しました不良債権のマネージが非常に大きな課題となると思われます。

     ほかの指標ですけれどもインフレ率は経済活動の低下、資源価格の低下を受けて引き続き低下傾向にあり、4.8%のインフレ率が見込まれています。政策金利はインフレ率が下がっていく中で総需要拡大のための金利引下げがあると考えられていまして、年末の政策金利10.8%。貿易収支につきましては資源価格の下落、同時不況の輸出減少などの影響を受けまして141億ドルの黒字。

     為替レートは、まあ一旦国際金融危機による資本流出は一段落したと考えられますが、ほぼ横ばいながら若干のレアル高ということで1ドル2.29レアルというふうに予想されています。次のページお願いします。

     今申し上げたのは主要銀行が集計している市中の各金融機関の予測数値の平均です。こちらが当部会に所属しております4つの銀行、金融機関の見通しということで、金利につきましては6月末で10.25%から11.5%のレンジ。12月末では9.5%から10.75%のレンジ。為替は6月末で2.27から2.3。12月末で2.2から2.4の範囲というふうになっております。続きまして保険業界の発表をします。

     2008年の回顧につきましては2008年12月末の保険監督当局の統計に基づいて2008年の保険業界を振り返りますと、全保険種目の収入保険料は前年比15.0%増と二桁の増率を示しています。上期に伸び悩みました任意加入の自動車保険、前年1-5月比6.6%増につきましては10月ごろまで好調であった自動車販売に支えられて通年では12.8%の増加となりました。

     しかしながら自動車保険の厳しい競争環境は続いています。自動車強制保険であるDPVATにつきましては28.3%の増加になりました。また収入保険料に占める支払い保険金の割合である損害率については、全保険種目の損害率は53.2%と前年同期比で0.3pt悪化とほぼ横ばいでした。種目別には自動車保険損害率は68.3%で2.8pt、火災・新種保険は36.5%で0.9ptの悪化、運送保険は61.1%と2.0pt悪化と、損害保険種目における悪化が目立っています。生命・傷害保険は38.3%で3.2ptの改善となりました。次のページお願します。

     2009年 の展望ですが、保険マーケットの展望としては楽観的な見方も一部には存在しますが、厳しいマーケット環境が続くものと予想されています。再保険市場の自由 化にともないまして、国際的な再保険マーケットの影響を受けやすくなっております。金融危機にともない再保険マーケットは資本強化を目指しハード化、業率 アップの傾向を示すと考えられております。

     一 方、自動車販売台数の落ち込み、オートクレジットに対する与信制限、国内経済の減速といった影響によりまして保険マーケットの実質成長の余地は限定的と予 想されています。全体的にこれまでの競争による収益性の悪化も観測されております。保険業界再編の可能性につきましては、主として銀行が規模を大きく求め る再編にともなうもの、例えばイタウ・ウニバンコの合併など銀行がひとつありまして、他に銀行が資本規制の相対的に厳しい保険業を手放すといったシナリオ は考えられますけれども、資本調達が困難な状況を鑑みますと外資の参入も含めた活発な活動が行われるとは考えにくくなっております。以上でございます。

     司 会:山崎部会長ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。ご遠慮をなさらずにもしございましたら。では私の方からひとつ。ブラジルの金融 セクターは比較的良好だと言われてますけれども、そのように評価してよろしいんでしょうかということと、あと政策金利が下がるということですけれども、実 質の貸し出し金利、これが本当に下がるのかということと、スプレッドの動向ですね、この辺につきまして説明していただければと思います。

     山崎部会長:ブラジルの金融セクターにつきましては、まず自己資本比率が、例えば14%程度ということでですね、押しなべて14% 程度ということで自己資本が厚いというところがまず一番の景気是正の下支えになっていると。それに加えまして各国で問題となりました特に不動産向けの融資 の伸びといったものが少ないというところで、やはり貸出のポートフォリオ悪化の影響が限定的であるということが言えると思います。

     二 つ、大きな要因として金融セクター自体は比較的健全というふうに言えると思います。政策金利につきましてはですね、まあ総需要を上げるということで金利引 下げが予想されています。貸出金利につきましてもですね、まあそれとスライドする形で動くのではないかというふうに予想されておりますけれども、それに反 対の圧力としましては先ほどご説明をさせていただきました不良債権比率のアップ、こちらが、やはり各行とも、ブラジル銀行等の発表ありましたけれども、貸 し倒れ引当金の積み増しを行っているというところはありますし、その分で危険率というか危険コストとしてのスプレッドが拡大して行く可能性はあると。まあ 全体が下がるので、基本的には少し下がるんではないかというふうに考えております。

     実際スプレッド自体は各セグメントが、先ほど個人と法人の差を二つ出しましたけれども、やはり個人と法人では大きな貸出スプレッドの差が存在しています。法人の平均で18.3と個人は45.1、 まあそういった意味ではセグメントに分けられて、例えば法人の中ではより細かく分けて安全な●●●、健全な企業さんに対するスプレッドは非常に●●、まあ 適性な水準で、そうでないところに対しては逆に●●といった形でセグメント化とそれに応じたスプレッドの応用というものが今後とも逆に金融機関側の課題に なるというふうに考えます。以上です。

    司会:ありがとうございました。他にご質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。貿易部会伊藤部会長お願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 金融 部会

  • 貿易部会 伊藤友久 部会長

    貿易 部会


    貿易部会  伊藤 友久 部会長

    こんにちは。貿易部会の伊藤です。貿易部会からは2008年のブラジルの貿易動向を中心に発表させていただきます。

     開発商工省貿易局の統計データによりますとブラジルの2008年の輸出総額は1,979億4,200万ドル、輸入総額は1731億9,700万ドルと過去最高を記録しました。一方で貿易黒字は黄色の折れ線グラフの通り前年400億3,200万ドル比38.2%減の247億4,500万ドルとなり2年連続で減少しております。貿易黒字の大幅な減少理由としましては、第3四半期までの旺盛な内需による輸入の増加、金融危機の深刻化による10月以降の輸出の減少が挙げられます。特に12月はレアル高で輸出が伸び悩んだ3月に続き2008年で2番目の前年同月比減となりました。

     2008年の輸出総額は前年比23.2%増の1,979億4200万ドルでしたが、カテゴリー別では一次産品が41.5%増の730億2,800万ドル、半製品が24.2%増の270億7,300万ドル、工業製品が10.4%増の926億8,300万ドルと全てのカテゴリーで最高記録を更新しました。表には記載されておりませんが数量ベースでは年前半のレアル高と後半の外需の低迷によりまして工業製品は9.8%減となっています。

     一次産品の主要輸出品目別に見ますと、鉄鉱石が56.6%増の165億3,900万ドル、原油が52.2%増の135億5,600万ドル、大豆が63.2%増の109億5,200万ドル、鶏肉が38%増の58億2,200万ドルとなっております。8月ごろまでの旺盛な外需、価格高騰が影響して金額ベースでは軒並み増加しています。

     またこれも表に出ていませんが数量ベースでは鉄鉱石では対世界では4.5%増の2億8,168万ドルと微増でしたが、特に10月以降の需要減により中国、イタリア、フランス向けなどは前年比減となりました。原油も対世界では2.8%増の微増でしたが、国別一位の米国向けは8.8%減となっています。一方米国企業の原油ターミナルがあるカリブ海のセントルシア向けは前年に続いて2位で161.4%増の大幅増です。また国別3位の中国も32.7%増で290万tとなっています。

     輸出産品の第2位となっている原油につきましてもう少し触れさせていただきます。この表は2007年末の原油埋蔵量を表わしたものです。サウジアラビアの2640億バレルが1位、以下イラン、イラク、クウェートと中東各国が占めますけども、ブラジルはわずか126億バレルに過ぎません。

     しかし最近ペトロブラスが所有するブラジル国内の確認済み埋蔵量は1,027億 バレルとして発表されました。これはプレ・サルと呼ばれる深海海底油田も加えたものですが、事実とするとクウェートと肩を並べるレベルになります。すなわ ちプレ・サルの生産については多額の設備投資を必要とするものの、この生産が実現すれば輸出産品としての原油はこれまで以上の伸びが期待されることになり ます。

     3位の大豆の輸出額も危機が深刻化する以前の国際価格の影響が大きく、数量ベースでは3.2%増の2,450万tに留まっています。国別の輸出額では中国、スペイン、オランダ、タイの順に多くなっています。鶏肉も金額では58億ドルと38%伸びていますが、数量ベースでは8.7%増と前年よりも伸び率は落としております。ちなみに鶏肉の国別輸出額では日本、サウジアラビア、香港、ベネズエラ、アラブ首長国連邦が上位を占め、日本とサウジアラビアでそのシェアは32.5%を占めています。

     次に半製品輸出にいきますと、鉄鋼半製品が71%増の40億200万ドル、パルプが29.5%増の39億100万ドル、砂糖が16.6%増の36億5,000万ドル、鋳鉄・銑鉄が68.5%増の31億4,500万ドルとなりました。数量ベースでは、上位品目は大半が微増にとどまっていますが、鉄鋼半製品は韓国、台湾、インドネシア向けなどが急増し、11.1%増となっています。

     工業製品では世界第3位の航空機メーカーであるエンブラエル社が輸出する航空機が16.5%の54億9,500万ドルで1位となりました。輸出先は1位から米国、オーストラリア、英国、中国の順で、日本航空が購入したエンブラエル170の引渡し式も11月に実施され、現在は日本の空を飛んでいます。

     2位以下の品目は乗用車が5.6%増、自動車部品が10.2%増、送受信機・同部品が8.4%増、エタノールが61.8%増と続き、数量ベースでは航空機とエタノール以外は減少しています。

     乗用車の輸出額はアルゼンチン、ドイツ、メキシコ、ベネズエラの順に多くなっています。対メキシコでは自動車協定により2007年以降完全自由化されていますが、年前半のレアル高で前年比23.7%減となったほか、ベネズエラ向けも79%の大幅減となりました。自動車部品の輸出額はアルゼンチン、米国、メキシコの順に多くなっています。

     エタノールの輸出額は各国向けに順調に伸びており、1位の米国は105.1%増で7億5,700万ドル、ついでオランダは82.4%増、ジャマイカは59.4%増、エルサルバドルは77.3%増となっています。エタノールということでちょっと脇にそれますと、米国は引き続きブラジル産エタノールにガロンあたり54セントの関税をかけています。

     一方で通称CBIと言われるカリブ海沿岸イニシアチブによりカリブ海諸国からのエタノール輸入について域外にあるブラジルの原料を利用してもカリブ海諸国で含水エタノールの脱水処理加工をした場合、米国内消費の7%までは無税となります。ブラジルからジャマイカ、エルサルバドルなどへのエタノール輸出が伸びている背景はここにあります。2008年はこのCBIにより、バージン諸島への輸出も312.5%●●●●。

     ブラジルからの輸出についてまとめますと、一つ、ブラジルは資源の輸出大国というイメージが大きいですが、実際には工業製品が総輸出に占めるシェアは5割近く、原油依存度の高いロシアなどに比べるとブラジルの輸出というのは非常に拡散されていると言えます。また金額ベースでは年前半の資源高を反映して通年でも大きな伸びが記録されたということになります。

     次に輸入について見ていきます。2008年の輸入総額は前年比43.6%増の1,731億9,700万ドルでした。カテゴリー別では資本財が43%増の359億2,900万ドル、原料・中間財が40.2%増の832億7,700万ドル、消費財が40.5%増の225億2,500万ドルと全て4割以上の伸びを記録しました。

     資本財では工業用設備・機械が49.4%増の109億9,000万ドル。事務・科学機械が28.8%増の70億8,500万ドル。工業用資本財部品が22.5%増の54億2,000万ドルとなり、いずれも3割以上かそれに近い伸びを記録しました。

     ブラジル地理統計院によると2008年11月の季節調整済みの工業生産指数は前月比で6.2%減、前年同月比では5.2%減となっています。したがって輸送機部門を中心とする9月までの好調な生産活動が資本財の輸入増につながったと見られます。

     消費財を見ますと依然として耐久消費財が伸びが非耐久消費財の伸びを上回っております。年後半は主に金融機関の融資への態度慎重化により低下しましたが、通年で見ると国民の購買力向上が示された年となりました。耐久消費財では乗用車が71.9%増、家庭用機械・装置57.7%増でした。乗用車の輸入相手国は1位からアルゼンチン、メキシコ、韓国、ドイツとなっています。

     次に貿易の相手先について見てみたいと思います。まず輸出相手国は上位から米国、アルゼンチン、中国となっており、この順位は2005年から続いています。ただ米国は一桁台の伸び率にとどまっています。米国向けの輸出について言えば、この棒グラフの通り輸出額全体は毎年微増ではありますが増加しています。ただ伸び率は非常に低く結果として全体に占めるシェアは6年連続で低下しています。

     ルーラ第一期政権開始の2003年 より脱米国市場が進む一方で、その他新興国への輸出が増えていることが分かります。脱米国市場が進んでいることは、米国のリセッションからブラジルが受け る影響の減少要因になっていますが、一方米国は依然輸出相手国の第一位であり、上位品目が原油、航空機など外貨獲得の要であることから、米国経済が一層失 速すればブラジル経済のリスクも高まると思います。

     輸出国二位のアルゼンチンでは前年比22.1%増で自動車関連や携帯電話など工業製品を中心に好調な輸出を維持しています。2008年5月にはアルゼンチンとの自動車協定交渉が決着し2014年7月からの完成車の完全自由貿易が実施されることになっています。中国向けは大豆、原油、大豆油など輸出額の大幅増益、52.6%増を記録しました。

     中国向け鉄鉱石の伸びは大豆等ソフトコモディティーに比べれば低く31.7%。ロシア向けでは牛肉が引き続き好調であるほか、タバコ、大豆油も大きく伸びて全体では24.4%増の46億5,300万ドルとなりました。しかし両国向けとも11月12月の輸出額は11月以前より大幅に減少しております。中南米域内ではメルコスールへの正式加盟が決まっているベネズエラがアルゼンチンに次いで多くなっています。

     輸入相手国について見ますと中国、韓国、インド、台湾などとアジア勢の高い比率が目立ちます。中国からの輸入では2007年と同様、集積回路、パソコン部品、液晶画面などが上位を占めているほかコークス、携帯電話の急増も目立っております。韓国は59.6%増の54億1,200万ドルとなり、品目別では前年2位の自動車が前年比141.1%増の7億4,700万ドルで1位となりました。

     2位以下の品目は電子部品、半導体、液晶画面と続いています。インドからの●●です。糸、繊維、医薬品などの輸入が伸び、64.3%増の35億6,400万ドルとなりました。対インド貿易では2004年1月のルーラ大統領初の公式訪問を契機に2005年以降急速に増加しています。現在メルコスール・インド間の特恵関税協定も発効に向けて各国で批准が進められています。

     最後に、台湾からは半導体ほかディーゼル油、電子部品が大きく伸びました。輸入額3位のアルゼンチンからは二国間の自動車協定を活用した乗用車の輸入が最も多く、44.7%増の23億8,800万ドルとなっています。ブラジルが輸入に依存する数少ない食料である小麦は、数量ベースではアルゼンチンよりは24.8%減の423万tでしたが、金額ではアルゼンチン政府による輸出税の引き上げ等により8.4%増の12億6400万ドルとなりました。2009年は旱魃によるアルゼンチン産小麦の不作が確実となっておりまして、政府は現在ロシアからの輸入に向けた交渉をはじめています。

      対日貿易。2008年の対日貿易は輸出が前年比41.5%増の61億1,500万ドル、輸入が47.7%増の68億700万ドルとなり、対日両国の貿易額は初の100億ドル突破となりました。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは輸出が3.1%、輸入が3.9%で、国別順位としては輸出が前年の8位から6位、輸入も6位から5位へと上昇しました。また2007年に入超に転じた対日貿易収支は2008年も6億9,200万ドルの赤字となっています。

     対日輸出品目では鉄鉱石、鶏肉、アルミニウム、合金、コーヒーが上位を占めています。鉄鉱石は年前半の価格高騰で輸出額は69.3%の大幅増となりましたが、数量も14.6%増で3577万トンとなりました。鶏肉も年前半の大豆・とうもろこしなど飼料価格の高騰による価格の上昇で輸出額は201.4%増となっています。

      先 ほどブラジルは工業製品の輸出も多いと申し上げましたが、こと対日輸出に関して言えばこの通り資源、食料がほとんどとなっています。輸入の上位品目は自動 車部品、自動車エンジン部品、乗用車、ベアリング・歯車など自動車関連を中心に順調に伸びています。年前半のレアル高に加え、危機の影響の顕著となった10月までの日系の二輪、四輪、部品メーカーの生産活動の拡大を反映していると思います。

     2008年の対日貿易を総括すると米国格付け会社による投資資格の投資適格への引き上げ、日本移民百周年による注目の高まりなどにより、日本企業のブラジルへの関心が非常に高まった年と言えます。金融危機により2009年は1%台後半の低成長との見方が多くなっていますが、百周年で盛り上がった日伯間の経済関係の強化と機運が今後も継続することが期待されます。その意味で日伯貿易投資促進合同委員会の活動の重要性も高まっていると。

     最後に2009年の見通しですが、まずは直近の事象について●●しなくてはいけません。2009年1月の貿易収支は欧米、アルゼンチン向け、特に自動車関連の輸出の落ち込みによって1月としては8年ぶりとなる貿易赤字5億1,800万ドルを記録しました。それに先立ち1月26日には、年初から前日までの収支が赤字となったことを受け、開発商工省は突如船積み前の輸入ライセンス必要品目の大幅拡大を発表しました。これは産業界などの強い反発もあり2日後には撤回されましたが、貿易赤字に対する政府の強いアレルギー反応が露呈した形となっています。

     中央銀行のレポートでも2009年の貿易黒字が前年比43.3%減の140億ドルになると見込まれています。昨今の金融危機下では外需が低迷しており貿易収支を悪化させる一因となっていますが、ただその一方、金融危機下においてもブラジルの内需が落ちないことも貿易収支を悪化させる一因と見られています。

     この表は2007年、各国の購買支出合計と、2002年から2007年で総消費支出がどれくらい伸びたかを示しているグラフです。ブラジルの消費支出は約8,000億ドルで、資源高により国が潤ったこともありますが、中国に次いで2位。支出の伸び率も150%超と他の新興国に比べて高くなっています。

     我々日本人の貯蓄率に対する考えとブラジル人の貯蓄率に対する考えはかなり違い、日本人に比較してブラジル人の貯蓄率は相当低いと思われ、この消費支出の伸びと貯蓄率の低さというのが内需が比較的堅調という一因となっていると思われます。

     2009年の見通しは、現在の不透明な世界動向の中で推測が非常に難しい状況ではありますが、建設的な面から考えればブラジルは世界の中でも比較的早い段階に経済が回復する国の一つになると期待しています。ブラジルの強みは、一つ、人口1億8,000万 人を抱え広大な領土を持ち国内市場が非常に大きいこと、二つ、ご承知の通り豊富な鉱物資源、食料資源、エネルギー資源を有していること、三つ、米国発のサ ブプライムローンの影響をブラジルの金融機関は受けておらずいまだに金融機関の体質は健全であること、そして最後に民族・宗教の対立のない、テロのない安 定した国であること。これらの強みが経済回復の大きな基盤になると確信します。

     残 念ながらブラジルにおいて現状、貿易、投資等経済面で我々日系企業は欧米企業に遅れをとっていると言わざるをえません。しかしながらこの危機が我々にとり 巻き返しのチャンスであるとも考えています。日本とブラジルは補完関係にある国同士で、このチャンスの時期にブラジルにおける日本のプレゼンスを高め逆に ブラジルの日本におけるプレゼンスも高め、さらなる関係の強化、そしてその結果の実現を切に望んでおります。以上です。

     司会:ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。ありがとうございました。建設不動産部会大滝部会長代理よろしくお願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 貿易 部会

  • 建設不動産部会 大滝守 部会長代理

    建設不動産 部会  (原稿)


    建設不動産部会  大滝 守 部会長代理

    皆さんこんにちは。ホス建設の大滝と申します。本日は建設不動産部会の2008年の回顧と展望ということで話させていただきます。建設業の概要から次にサッシ・セメント関係の資材メーカーさん、家具メーカーさん、そして最後に不動産関係、住宅関係の業界につきまして説明をさせていただきます。

     2008年の建設業界は、全体としまして2007年 に引き続き工事受注は好調でございまして、計画と引き合い含めましてたいへん多忙な一年でございました。主に自動車・オートバイ関連工場の施設、病院、 ショッピングセンター等の、あるいは食品関連の工場等の工事の受注がたくさんありました。しかしながら建設資材の値上がりが激しくて、作業員、資材の市場 での不足がありまして、工事完成にはたいへん苦労した一年でございます。

     表の1では労働者の増加の傾向を書いておりますけれども、建設業界で働く方が2007年に比べますと56%の増加をして、建設業に働く方が増えたという結果でございます。次に表の2ですけれども、工事の件数でいいますと、2007年に比較しますと61%も件数が増えております。それから建設労働者の組合発表によります給料の調整が毎年5月に行われるわけでございますけれども、給与発表が例年以上の8.51%の給料上昇の発表がありました。

     そのほか先ほど申しましたように、資材の値上がりがありまして、この表の3で説明しますと、ご覧の通りに約30%から50%の資材の値上がりがありまして、たいへんなコストがアップしたと。で、建設業が好景気なためにですね、作業員や技術者が不足を招きまして、新規の雇用をする場合には高い給料を要求されるなどで、たいへんに人材確保に苦労したと。

     建 設の労働者の特色としましては、食事を現場ごとにあげたり、交通費、あるいは宿泊費の負担、また、工事現場が遠いと法律的に割り増しの料金を払わなきゃい けないなど、コストを上昇させる要因が大きいものでございます。ブラジルの建設のコストなんですけれども、レアル高、また建設資材の価格は高止り、賃金の 上昇や、労働裁判所の費用の負担とかコストが異常に高くなりまして、建築主、そのお客様の納得を頂くのにたいへん苦労したということでございます。

     2008年の後半の世界的な経済の危機の影響で、2008年に新築あるいは増築の計画をしておりました、あるいは設計まで終わっていた工事の案件をですね、工場建設の見直し・延期または中止が発表されまして、建設業界では急に工事の受注ということが少なくなったわけでございます。

     2009年の建設業の展望としましては、2009年の年初全般につきましては2008年のお引き受けしました工事が継続しておりますので、まあ活気は続くようでございます。ただ受注工事のメインであります生産工場新築の計画とか増築の計画につきましては、やはり全般として動きがなくてですね、今年の5月あるいは8月にならないと具体的な工事計画までは進まないのではないかと危惧しております。

     ま た生産工場の業種によりましては、増築または改築工事の発注が期待されますので、それに取組むように考えています。商業ビルあるいは店舗、学校、集会施設 等では必要な建物もございますので、この建設は継続して行われるだろうと思います。それから最近では、ニュースにありました教会の施設の屋根が落下しまし た事故が起きておりますけれども、それにともないまして役所関係の許認可、建物の規制、安全等が一段と厳しく審査されまして、違法建築、無許可の建物に対 します罰則等が強化されると考えております。

     次に建築資材の中心になりますセメントやサッシ関係の市場動向を説明させていただきます。2008年のセメントの生産量は5,110万tでございまして、2007年に比べますと14%の増加を見ました。2008年12月だけを見ましても2007年の同月比で11%の増の390万トンの出荷量を記録しております。これはですね、世界不況が始まった昨年の12月暮れとなってもセメントの出荷量は増えておりますので、建設はストップはしてないと、継続している状況がわかると思います。

     次に地域別のセメント使用の割合でございますけれども、表の方にありますが、セメントの大半はサンパウロ州、ミナス、リオの3州が約52%使っておりまして、この3つの州でほぼ半分ぐらいの建設が行われているという状況でございます。あとは順で行きますと、様々、各方面での建設の状況がわかると思います。やはりアマゾナス州とか北の方に行きますと件数は少なくなってくるという状況でございます。

     次にサッシ関係の業界でございますけれども、特に住宅、高層アパート、商業ビルの建設の動向を知る上でわかり易いんですけれども、2008年は堅調な受注でございまして、どのサッシ会社も忙しい1年であったようです。しかし10月頃より見積引き合いが少なくなってきましたので心配を始めたと。2009年は昨年に受注した工事は継続していますが、工事の中止は今のところないみたいなんですが、ただサッシ業界は建設会社からさらに遅れて受注に影響が出てきますので2009年後半には厳しい局面を迎えるのではないかと心配しております。

     家具業界では、事務所・ホテル等に供給しておりますが、2008年は新築や改修件数が多かったので家具の注文はたいへん多かったようです。またIT関係で事務所の中が様変わりしておりますので、新しい機能をもった事務家具、あるいは古い型から新しいデザインの家具への交換が多くありました。ただ2009年は不況の影響を受けますので、後半にはたいへん心配しております。

     次に不動産、住宅建設の動向について説明申し上げます。2,008年の不動産、特に土地価格ではですね、2007年から引続き需要が大きくて上昇したまま高止まりの傾向でありました。住宅の建設件数でありますが、2008年は記録的な進展を見せまして、特に郊外では比較的土地価格の安い所で中クラスの購買層を狙いました集合アパート群の建設が増加しました。

     また環境の良い場所で一戸建住宅のコンドミニオが増加したのも特徴であります。後半からは金利上昇、それから貸付ローンの引締め、建設コストの上昇等がありまして、まあ花倍価格が上昇するわけですけれども、住宅の販売は徐々に落込みが現れてきました。

     2008年の各月別の住宅購入数を表で説明しますと、2007年に比較しまして61%購入が増加しております。ただこれは民間の住宅融資を受けた方の人数でありまして、実際は融資受けない方を含めますともっと購入した方の数は多いのではないかと、このように思います。

     2009年 の住宅の販売状況予測でございますけれども、新規のアパート建設開始や売り出しは少なくなりまして、工事の途中のアパートにつきましては完成を急いで販売 に注力して『売り急ぐ』という現象が起きております。完成して早く建物を売るという形でございます。住宅の開発不動会社の大手もですね、現在は株安などで 経営が低下しておりまして、明るい見通しが少ない業界であります。

     建設不動産業界の全体としまして2009年 の見通しと方針でありますけれども、一つは、しばらくの間は建設工事の減少に備えて各会社とも無駄をなくして、節約に努め、技術などの蓄積を図っていく年 になると。それから二番目は、まあ工場の業種によりますけれども、新規の投資や工場の拡張もありえますので、重点的に技術サービスに努めて、そちらの方を 受注できるように注力していくということでございます。

     予 測としましては、景気の落ち込みに対して、浮揚の公共工事の増加、それから工場生産のインセンチブ等が政府主導で出るためにですね、建設件数の極端な落込 みは今年中は少ないのではないかと。また建設のコスト、それから不動産価格につきましても高止まりのまま推移していきそうであります。

     しかしながらですね、建設業といいますと他の産業の回復に対しまして6カ月ほどの遅れが出ますので、実際に局面を迎えるのは2009年の半ばから2010年のところに結果が出てまいりますので、その方に向けまして建設不動産関係会社は苦境にたたされて、その回復に予断が許されない状況であると考えております。以上で建設不動産部会の説明を終わります。ありがとうございました。

     司会:大滝さんありがとうございました。何か質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。ありがとうございました。機械金属部会西岡会長お願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 建設不動産 部会  Pdf (原稿)

  • 機械金属部会 西岡勝樹 部会長

    機械金属 部会

    機械金属部会  西岡 勝樹 部会長

    皆さんこんにちは。先ほどご紹介をいただきました日立製作所の西岡でございます。それでは機械金属部会の2008年の回顧と2009年の展望についてご説明させていただきます。聞こえますでしょうか。

    ご存知のように機械金属部会は多種多様な業種に分かれております。今回はこの1から9についてご説明させていただきます。

     鉄鋼・鋼板分野。2008年の回顧。前回は矢印で好調、絶好調を連呼させていただきました。今回はちょっと趣きを変えまして、快晴のち雷雨。皆さん、ご覧いただいている通り2008年はこの天候のように急激に変化をした年であります。その概況は、鉄鋼の国内市場。10月まで好調維持、前年比はプラス8%。しかし11月以降は急激に落ちました。雷雨です。

     11月マイナス25%、12月マイナス35%。しかし通年では横ばいのプラス0.2%でございます。好調だった自動車、全産業分野が失速いたしました。輸出では10月まで国内好調・輸出減、輸入では10月までの国内需要不足でプラス59.5%という状況でありました。

      それでは2009年のお天気はどうでしょうか。雷雨のちくもりです。その概況は。国内市場、金融危機による実需減、在庫調整、買い控え。ファーストクォーターではマイナス45%の大幅減と予想されております。回復は在庫調整の終わるセカンドクォーター以降でしょう。輸出では国内減の穴埋めで輸出図りますが、やはり世界レベルで低迷いたします。輸入。国内需要減、レアル切り下げ、大幅減、という状況でございます。それでは次に移ります。

     電力および大型プロジェクト。2008の お天気は、晴れのちくもり。概況、前半は引き合い、話題も多かったです。例えばペトロブラスの案件が受注された企業もあります。HRSG、これはボイラー の一種ですけれども受注されました。各社好調に推移して参りました、ですので晴れです。しかし後半は金融危機の影響で新規投資の見合わせなど影響が出てま いりました。しかし変電関係などで会社を買収して事業拡大を図った会社もございました。

     それでは2009年のお天気は。くもりのち薄日です。その概況を見ましょう。ペトロブラス新5カ年計画の投資に期待。高速鉄道、新幹線プロジェクトに期待。省エネ、環境、発電ビジネスに期待。製鉄所向け、経営者の判断は前向きです。後半の回復に期待。期待ということでこの薄日です。

     次にプラント、紙パルプ、石油化学、エタノール等。2008年 のお天気はどうだったでしょうか。晴れのちくもりでした。その概況は、紙パルプ業界、前半やはり好調でした。後半、金融危機の影響、世界的に紙パルプの需 要が落ち込みました。石油化学業界。影響は小さいが投資に慎重になっております。鉄鋼・非鉄業界。金融危機の影響、減産・計画見直し。エタノール業界。原 油価格との差縮まり需要減。

     2009年、 どうでしょうか。くもりのち薄日、さてその概況は。紙パルプ業界。金融危機、影響がいつまで続くんでしょうか。石油化学業界。ペトロブラスの投資に期待。 鉄鋼・非鉄業界。影響はいつまでなんでしょうか。エタノール業界。新規期待できず、ただしメンテビジネスに期待。期待、期待で薄日を待っております。

     その次、4。建設機械。2008年の天気、どうでしょうか。快晴のちどしゃ降り、雷雨です。この概況はどうでしょうか。総需要台数、2008年やはり好調維持しておりました。しかし2008年、スリークォーターをピークに下降傾向。ただし前半はブラジル経済の好調を反映して良かったということです。生産台数の推移を見てみましょう。前半、好調維持。ただし後半は欧米向け輸出はブラジル市場より早く下降、下降幅も大きいということです。

     それでは2009年のお天気は、雨のちくもり。その概況は、総需要台数2009年前年度比57%のレベルまで落ち込みます。生産台数209年、前年比53%のレベルです。操業体制の見直し、人員の適正化を図っていくそうです。

      次、産業用圧縮機。2008年のお天気、晴れのち雨、極端ですね。概況を見てみましょう。やはりこの業界も前半は相対的に好調を維持しておりました。2008年年間売上げは一昨年のレベル。しかし10月以降の落ち込みが大きかった。新規投資減少している中でのサービス・パーツの販売や設備改造案件は継続しております。

      そして2009年 の天気は、くもり。さてその概況は、ペトロブラス関連では計画の変更は聞こえてきておりません。また豚・鶏肉関連ではロシア・中国向けが再開して投資が継 続しております。牛肉関連では、牛の数が少ないというのと、安価な鳥にシフトされているそうです。オレンジ関連では、生ジュース。先進国では上昇している そうです。増設の計画もあります。乳業関係では、他業界ほど深刻な話は少ない模様です。

      次に鋳造機械。2008年のお天気は、晴れのち雷雨です。その概況は、2008年9月まで機械需要は50から70%の伸びがありました。金融危機以降は大幅に減です。10月から12月、前年度同期比80%以上の下落です。それでは2009年のお天気予報。雨のちくもり。そして概況は、2009年、3月までは機械投資やはり静観の構え。市場の回復は自動車産業、部品産業、製鉄・鉄鋼、インフラ産業の回復次第です。2009年全体、前年度比はマイナス40%の予想です。

      次に各種工具・精密機器、切削工具、耐磨工具ほか。2008年のお天気はどうだったんでしょうか。晴れのち雨。そして概況は、切削工具、やはりここですね。10月まで好調な経済に支えられ、販売実績好調、利益も過去最高です。ただし11月以降販売が7%から10%のマイナスダウンです。マイナスです。原因として、レアル安、輸入コストのアップだと。耐磨耗工具、これは好調でした。前年度並み。鉱山工具、前年度比60%アップ。精密機械工具、10月までは良好でした。それで、2009年の天気。くもりです。

      概況は、切削工具、現状は様子見の状態です。計画では2007年ベースを予想しており、販売は2008年並みを目標としております。ただし設備投資は据え置かれ、経費節減に努めてまいります。耐磨耗工具。鉄鋼業界の状況、期待薄。鉱山工具、鉱山の減産。需要は減ります。精密機械工具、逆風が予想。レアル下落、輸入コスト大であります。

      次、軸受。この2008年のお天気はどうだったんでしょうか。晴れのち雷雨です。この状況、概況は、9月まで軸受需要はたいへん強かった。やはり10月、金融危機以降、軸受需要大幅に縮小いたしました。需要先の自動車、2輪車、電機、家電、鉄鋼、鉱山、製紙パルプ、エタノール、ほとんど全ての業界が生産調整に入った。

      軸受業界も一斉に生産調整。それでは2009年の天気。雨のちくもりです。概況。やはり2009年の前半は需要先、製造業も改善の見通しがない。1998年以来の不況の年でしょうか。後半。流通過程での過剰在庫の解消。生産の回復を期待しております。ブラジル政府の景気回復策の効果に期待しております。

      次に潤滑油。最後ですが、2008年のお天気。くもりのち雨。さてその概況は、2008年はやはり好況の継続により好調に推移してまいりました。しかしやはり11月以降金融危機の影響、販売低下。しかしこの業界、一年間で見れば金融危機はありましたが販売は昨年並みでした。しかし原料高の影響で減収となっております。2009年のお天気。雨であります。その概況は、金融危機の影響がどの程度か。カーニバル後の3月まで様子見が続きます。販売数量、前年80%程度を予想しております。大幅減収になると予測しております。

      最後に機械金属部会全体として2008年のお天気はどうであったんでしょうか。晴れのちくもり。その概況は、やはり2008年9月の金融危機まで、全体として好調を継続しておりました。金融危機以降、自動車、2輪車、鉄鋼、家電等の落ち込みの影響がはなはだ大きかったです。しかしインフラ部門、ペトロブラスの強気な投資計画もあったりして少しは救いもあったようです。それでは2009年、ブラジルをはじめ世界各国の金融政策に期待をいたしまして、雨のち薄日。これは期待、ほとんど願望を込めて太陽が顔を出してもらうことを期待いたしまして私の報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。

      司会:西岡さんありがとうございました。とても分かりやすい説明で、また元気のあるプレゼンどうもありがとうございました。ネガティブな内容であってもそ うでないように、この時代こそ一番大事なことだと思います。ありがとうございました。次にまいります。自動車部会、長谷部会長お願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 機械金属 部会

  • 自動車部会 長谷部省三 部会長

    自動車 部会

    自動車部会  長谷部 省三 部会長

    順番から言いまして西岡さんの後が一番やりにくいプレゼンテーションになるんですけれども、●●●●引き継ぐ訳には行きませんので原稿通りにやらせていただきます。

    自動車部会の部会長をやらせていただいております、長谷部でございます。2008年のレビューと2009年の展望につき説明させていただきます。

      まず四輪業界からはじめさせていただきます。2008年の生産台数は321万台となりました。この321万台は過去最高でございます。ANFAVEAの予測値の343万台には及びませんでしたが、前年からは8.1%増と。また、この台数は、2007年ブラジルの世界ランキングは7位でございましたが、2008年はランキングで6位ということになります。

      先ほどから各部会の発表にあります通り、9月までのレアル高の影響から輸入が伸び輸出が減少するという傾向でございます。引き続きまして販売台数でございますが、282万台となりました。2007年に比べ大きく伸長いたしました。先ほど生産台数についてランキングをお話しましたが、販売台数についても世界第6位ということで、自動車大国の一角を占める大市場となっております。

      ここに挙げましたのが排気量別の推移でございまして、リッターカーは昨年で50%まで落ち込みました。年々大排気量化が進んでおります。この背景には、まず一つ目が所得増による上級移行、二つ目がSUVなどのボディータイプの変化に伴うエンジンの大型化、三つ目に輸入車の増加が挙げられると思います。

      リーマンブラザーズの破綻に始まるレアル安、通貨流通量の低下、金利の上昇から影響が出ているというふうに言われておりますが、これにも増してやはり将来の経済の不安による購買意欲の低下から10月以降の市場が落ち込んだというふうに見ております。

     ちなみにこれが去年までの結果でございますが、1月の前年比は92%、2月の直近では108%ということで、回復の兆しを見せている自動車指標でございます。次に支払い形態別で見てみますと、現金の比率は安定して32%から35% ということですね。一般に自動車市場が伸びたのはクレジット、リースというローンがかなり支えたのではないかということでございました。このグラフを見る 限りにおいては現金の比率は変わっておりませんので、まあ全体の経済がマーケットを後押ししたというふうに見ております。ただしその中でも対応が良く、 ファイナンス、オペレーションタックスの関係から有利なクレジットが年々伸びてきております。

       先ほどご説明いたしましたが、輸入車および国産車については、輸入が大きく伸びました。ただし昨今のレアル高がこの伸びは今後鈍化するものと考えております。下の方にANFAVEAの2008年の年末在庫の数字を引用いたしましたが、全体で21万台以上、在庫日数といたしましては36日ということでございますが、これは私自身の感覚でございますが、各メーカーさんの在庫調整からしまして、この発表数字よりもマーケットにはもっと大きな数字が、台数が残っているんではないかというふうに推測いたします。

    また公式なマーケットの発表、2009年の発表というのはされておりません。部会の中のこれは2社の2009年のマーケット予想の平均でございます。2008年が282万台、2009年は243万台というふうな単純平均の数字になっております。

    引き続きまして二輪の方の発表に移らせていただきます。四輪同様販売は188万台と前年比17.4%増、生産は212万台と22.9%増と伸長しております。しかしながら10月以降は世界の金融危機の影響によりまして、減速しております。輸出に関しましては、前半はレアル高、後半は金融危機の影響で減少しております。

     次に生産販売の昨年の月別推移でございますが、10月より急激に落ち込んでいることが分かると思います。12月は環境法規対応期限ということで上昇しておりますが、厳しい状況にあることがご理解いただけると思います。二輪の支払い形態別でございます。クレジット比率が約6割を占めて、クレジット販売が市場を牽引していることが分かります。こちらも昨今の金利、インフレ等の引き締め、これが今後の市場を左右するものというふうに考えております。

     最後に部品業界でございます。こちらはSindipecas(部品製造者協会)発表の部品売上高でございます。まだ予測数値しか出ておりませんが、52社の売上げの伸び率の合計でございます。08年は767億レアルに達する見込みという●●ですが、2009年については本体の自動車生産台数、これによるわけなんですが、やはり●●●●●●●●●●●●●●。以上で自動車部会からの発表を終わらせていただきます。天気といたしましては、くもり、ということではないでしょうか。以上でございます。

     司会:長谷部部会長ありがとうございました。それではここでコーヒーブレイクといたします。15分間の休憩で後半の方は4時15分に開始いたします。よろしくお願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 自動車 部会

  • 電気電子部会 三好康敦 副部会長

    電気電子 部会


    電気電子部会  三好 康敦 副部会長

    ●●●●●●●●●●●●●●●●●(冒頭、音声なし) 去年の全体の数字としましては携帯など通信、あとパソコン、産業機器関係は二桁の成長を達成しております。一方で家電の関係、オーディオ、ビジュアル等白物の関係は金融危機の影響もあり、前年比100%に留まっています。レアルベースでは業界全体では11%増加を●●ました。一応家電・部品を除き全てのセグメントで成長が●●●。数量ベースでは家電関係は薄型テレビが大きく成長しましたが、単価の下落も大きく、金額ベースでは前年の額を維持する形で終わっております。

     先 ほど皆さまから話があった通り、ブラジル自体は豊富な資源、技術、あと安定した政治体制等々もございまして、まだ周期的に成長余力が大きいと。消費市場と してもまだまだ分野によりましては成長の余地があると。さらに家電関係ですと、例えば古い機種がまだ、家電がたくさん使われていますので、これらの買い替 え需要とか、近代化とか、まあいろいろな需要増が期待できます。

     一 方でこの整備されたインフラとか司法制度とかございますけれど、一方で昨今取り上げられております労働法の問題とか、金利の問題とかが製造業としては積み 残し課題として残っている限りです。マナウスフリーゾーンの生産動向について簡単に説明さしあげます。薄型テレビはまあ大きく伸びている一方で、ブラウン 管テレビが縮小しております。

     あとデジカメは大きく伸びておりますし、カーオーディオも特に自動車販売の好調であった関係で大きく伸びています。ただ、第4四半期には減速という結果に終わっています。電子レンジも高成長が数年、幸運にして続いていますが、輸入品の、完成品ですね、入り込んできている中で若干踊り場に達しているというような状況です。

     マ ナウスフリーゾーンの輸出入と雇用状況ですが、基本的に輸入部品に依存している産業の関係から輸入が生産とともに年々と上昇しております。特に新製品のデ ジタル家電なんかですと、やはり現地産品の比率が非常に低く、輸入が大きく伸びている一つの要因です。雇用については一応前年比2%減の結果ですが、今年に入ってからまだ生産調整、今後の需要動向も不透明な中で最終的にどうなるかというのはもう少し状況を見極めなければ結論を出せないような状況です。

     あと、これはテレビの価格と部会参加企業の概況なんですが、ご覧の通りブラウン管テレビの価格というのは二つ、上の21と29インチのところなんですけども、価格の下落は一応下げ止まりと。一方で大型テレビは年々と下落、年末のクリスマス商戦ではこの32インチのテレビなんかですと市場のお店では1,200レアルとか、1,000レアル接近と、去年の比率で行くと半額。これはまあ、8月9月までは為替の切り上げ、レアルの切り上げの関係で値下がりして来ているんですが、為替の切り下げ以降在庫が市場に出回っている関係もあって、この為替切り下げ分の売価への転嫁がまったく進んでいないというような状況です。

     こ れは競争の中で在庫消化が終わった後どこまで値上げができるのかというのはテレビメーカーさん方の大きな課題であるというふうに認識しております。この辺 の収益性とかを含めてですね、特に韓国系のメーカーさんなんかは値段を頑張っているというような話もうかがっております。

     あ と部品関係ですと、金融危機以降の納期の引き延ばし等々いろいろ調整がはいっており、受注状況も非常に不安定、先がなかなかよく見えないというような状況 が続いております。デジタルテレビ関係についてもセット側含めて大きな立ち上がりにはまだ今のところなってはおりません。

     あ と事務機器については、金融危機後大幅にダウンしてますが、一部ではまだBtoB向けの業務効率化をねらった引き合い等々がまだ入ってきているというよう な状況です。電子楽器関係は同じく金融危機までは順調に来ていたものの、レアル安の関係で売価に即転嫁、売上げが下がったというふうにうかがっておりま す。

     全体をまとめますと、2008年 については前半は好調であったが、後半に来て金融危機以降急激にダウンしたと。で、結果的に売上げ減と在庫の急増により資金繰りの悪化、資金繰りへの影響 が出てきているというような状況です。部会の会員の企業の業績評価としましては、一応まあレアルベース、ドルベース両方とも維持ないし成長というような結 果で、全体も3分の2は良かったというような結果となっております。

     2009年の展望についてですが、当面は為替の安定、あと利下げ、消費者向け金融、この辺が需要の回復に向けての最大のポイントであるという認識でおります。その中で、1月のこの貿易収支の悪化、耐久消費財の販売が鈍っているというところもございますが、特に後半に向けて在庫調整等々も終わり回復を期待しているというような状況です。

     た だし業績の評価の観点で見ますと、レアルベースで売上げが概ね半数が伸びたのに対して、ドルベースでは維持から縮小と。これは、基本的に需要が減る中でド ル建ての売上げ下がると、一方レアルの切り下げの部分である程度レアルの収益・歳入を確保できるというようなことはしているかと思います。

     あと2009年の部会会員の経営課題についてですが、複数回答の中でやはり多かったのは3分の2がやはりキャッシュフロー、資金繰り、在庫というポイントと、あと6割 ぐらいがコストダウン、合理化、ほかにもまあ商品・商流を替えだとか営業を強化する、もしく事業規模維持拡大に向けて注力していくというところも、有望な 市場を中心に注力していくというような意見も出ていましたが、まあ全般的に、天気で表わしますと、くもり、ないし霧でしょうかね。先が全く見えないという ような状況です。

     最 後に地デジ関係の動きを簡単にご説明申し上げます。これが一応、一昨年前の放送開始の計画ですが、ほぼこの計画にそって大手の放送事業者が放送を開始して おり、まあこんな感じで主要都市、計画が発表されているところですとこの緑の部分が既に放送が始まっている場所でして、黄色が今年の年内に開始すると、全 てカバーされれば人口的には5,500万人、まあ人口の3分の1近くがカバーされるということです。

     ただこれのインフラ投資につきましても、昨今のドルの切り下げの関係から投資を見合わせるという動きが出てきており、具体的には7月以降、すでに発注ずみのものは流れるとして、7月以降に結論、まあファーストクォーター中には決裁を下さないというような放送事業者が大半であるという状況です。電子電機部会の説明は以上です。ご静聴ありがとうございました。

     司会:三好さんどうもありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。ありがとうございました。化学品部会松尾部会長よろしくお願します。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 電気電子 部会

  • 化学品部会 松尾新一郎 部会長

    化学品 部会 (原稿)

    化学品部会  松尾 新一郎 部会長

    皆さんこんにちは。3年 ぶりにですね、資料を提出いただきました富士フィルムさんを最初にもってきたんですが、残念ながら、デジカメ市場、先ほどありました通り急速な伸長とか、 プリント市場の多様化などプラス要因はあったんですが、為替の急落、前期のレアル高による輸出採算悪化などで、それからフィルム市場の収縮加速というマイ ナス要因がございまして、結局売上げは減少。利益につきましては10月以降のレアル安を小売店価格に転嫁できずに残念ながら大幅に悪化して、大幅減少でございます。

    09年 度の見込みにつきましては、為替の販売価格への転嫁を浸透させ、現地生産による競争力アップ、それからデジカメ普及によるプリント市場の拡大を見込んでお りますけれども、先行き不安による設備投資見合わせ、為替の販売価格への転嫁が十分にできるかなどの懸案材料はございますけれども、一応売上げ・利益とも 増加を見込むということでございます。次お願いします。

     筆記具。これはパイロットペンさんでございます。8月までの好景気、レアル高による輸入部品のコストダウン、輸入新製品の販売拡大で絶好調だったんですが、ただ10月よりレアル安で輸入品がコストアップし若干悪化したと。トータルとしましては売上げ・利益ともに増加と。

     09年。 新製品の上市。国産品もありますが、輸入製品、昨年はオードマーカーのペン、今年はフェルトペンを新製品として上市するらしいです。テレビのコマーシャル が結構影響するみたいでございます。レアル安によって輸入価格の高騰、それから金融不安による小売店、流通業者の資金繰りの悪化がちょっと心配なんです が、09年も売上げ・利益ともに増加を見込むと。ただし状況は3月の、カルナバル明けの3月になってみないと分からないなあ、というコメント付きでございます。次お願いします。

     高級化粧品、これは資生堂さんです。マーケティングはまあお金持ち相手でございますので、サンパウロとリオの高級店に集中して富裕層を対象とした価格体系でありますから、10月からの世界不況の影響はほとんどなし。ただしレアル安による商品コスト、輸入商品コストがアップしたと。またあいかわらず税関のストによる輸入品入荷遅れにともなう新製品発売時のずれが生じたりしましたけれども、売上げ・利益ともに増加と。

     09年、引き続きですね、富裕層対象のために、女性向けですから、男性向けは若干影響あるかもしれませんが女性向ですので、不況の影響がないと思われる層ですが、先ほどの筆記具同様3月までは状況を見ないと何とも言えないと。不安材料はやっぱりですね、レアル安によるコストアップ、それから通関トラブルなんですが、売上げ・利益ともに増加を見込むと。次お願します。

     一般用医薬品。これは湿布剤、久光製薬さんです。テレビコマーシャル、もちろんサロンパスカップというバレーボールもございますが、新製品が伸長したと。10月以降のレアル安による輸入原材料のアップと為替の差損、それから医薬品卸、ドラッグチェーンの資金繰りの悪化、在庫圧縮などマイナス要因はあるんでございますが、売上げは増加した。ただし利益は減少したというのが08年の回顧でございます。

     09年、 広告投資は継続するが、レアル安、それから広告規制の強化、これはどうもですね、有名人を使って“よく効きますよ”とか“サロンパスをここに張ったり”と か、こういうよく効きますとかいうのをやっちゃいけないそうなんです。これが急に決まったので、いろいろ高いお金を使ってコマーシャルフィルムを作ってた らそれが使えなくなったと、えらいこっちゃと、こういうことでございました。売上げは増加しますが、ことほど左様に利益は減少するであろうと見込まれてい ます。もう一点ございますね。次お願いします。

     家庭用防疫薬。一般消費財、コンシューマープロダクト、最後でございますけれども、08年は生活レベルの向上と言いますか給料のアップですね、それからデング熱だとか黄熱病が出たとかマラリア汚染地区でのボルサ・ファミリアで殺虫剤を買うというようなこともございましたので、売上げ・利益ともに大躍進でございました。

     09年は残念ながら、皆さん感じておられる通り、夏時間は終わったんですけども全然暑くなりませんでした。蚊はですね、やはり25℃ 以上ないと活躍してくれないんです。従いまして、南の方はラニーニャ現象といいますが、低温で雨が多いということで蚊の発生が少ない。発生してもがんばっ てくれないと、こういうことでしてね。皆さんお使いになっていないんです。従って在庫がございまして、今年の売上げ・利益ともに減少するであろうと思って おります。ここまではコンシューマープロダクト。次お願いします。

     次は農薬です。農薬はですね、たくさん使う棉栽培は残念ながら作付け面積が減少したり、それから製造コスト増があったんですが、年初の、穀物の国際価格が高かったと、それから貿易部会でも出ておりましたけれども、大豆が絶好調であるということで07年実績の53億ドルからですね、70億ドルまで30%いきなりジャンプアップ。それで部会に加入されている会社の方々4社ございますが、全部売上げ・利益ともに増加したと。

     ただし10月以降ですね、結構注文のキャンセルがあったと、それから支払い遅延が一気に発生してきたと。この農薬の場合ですね、1年間の有残数●(?)●なんです。要するに収穫払いということですね。それでもさらに作物を売ったお金で支払ってくるということで、1年後またどうなるかというのはもうクロスシンガー●(?)●しかないということです。

     09年はですね、原体メーカーといいますか、有効成分を輸出している会社は在庫が残って減少と見られますけども、製剤したり最終製品にして売る販売会社は増加を見込んでおります。市場規模は63億ドルぐらいまで下がるであろうと見積もっています。残念ながら日本の企業のシェア、例えば63億ドルの中で大体10%には達しておりません。次お願いします。

     この農業分野で農薬はまだまだ元気はいいんですが、肥料につきましてはですね、9月までは製品価格は上昇したんですけれども10月からのレアル安で利益は減少したと。売上げ増加、利益減少というのが08年の回顧で、09年にいたりましては農産物価格の低下と、やはりですね、農家の銀行融資の引き締めで先行きが暗いということもございまして、売上げ・利益ともに減少を見込んでおられます。次お願いします。

     新しい分野ですけれども、ついでに農業を言うんなら、農薬・肥料とくれば次は種にしようということで種の会社さんも化学品部会に強引に引っ張り込みまして、状況を伺ってまいりました。10月以降ですね、やはりどの会社も同じですが、利益は為替差損で圧迫されたけれども、欧州向けメロンの種の販売が大幅増、それから新規商品の投入の成功もプラス要因になりまして、売上げ・利益ともに増加したと。

     09年 の見通しにつきましては、やはり欧州向けがちょっと不安だなということもあるし、それからサンパウロ州での玉ねぎの作付けがどうも減ったみたいで、という 状況はありますけれども、野菜の種子はやはり大型のロークロップと申しますか、大豆、棉、とうもろこしなんかと違いまして、フレッシュ野菜の市場でござい ますから、そんなに大幅に変動はしないということで、売上げ・利益ともに増加を見込んでおります。

     次に農業からちょっと離れまして、次お願いします。飼料添加物、これは鶏用のえさに混ぜるやつですけども、貿易部会でもありしたように鶏肉が絶好調であると。で私どももですね、これは住友化学が売っているんですが、原価がですね2倍以上に跳ね上がったという状況にあったんですが、玉不足、鶏の数も増えたということで値上げを強行しまして、それ2007年2008年と大幅に上げました。8月までの為替差損が差益があったんですけども、残念ながら9月以降で全部はき出してしまいましたけども、売上げ・利益ともに増加と。

     09年 の見通しにつきましては、レアル安も輸入価格アップにつながるが、まだ供給がタイトでございますので、タイトでございますけれども、やはりここまで値上げ したらそれ以上やったらそっぽを向かれるなということで、前年度並みといたしましたので、今年は売上げ・利益ともに変わらないであろうというふうに見込ん でおります。ここまでが農業関係で、次お願いします。

     ここからはですね、皆さん関連があるんですが、輸送機器、まあ自動車と二輪関連になりますと。10月まではもう絶好調であったと。11月からはもう、説明するまでもないんですが、自動車部品それからネジなんかに使う需要ががくんと落ちたということで、前期の貯金を合わせて売上げも利益もやや増えたという状況でございます。

     2009年 も何とか微増を期待したいということでございますが、一般大衆の生活といいますか、最低給料が上がったということもございますけれども、やはり接着剤とい うのは、前回も言いましたけれども、景気が良くなると接着剤は使わないと。修理しないで新しいものを買うと。ところが景気が悪くなると、ちょっと壊れると やっぱり修理して使おうかということでですね、瞬間接着剤は増えるであろうと。それからレアル安でございますから、輸出が増加するであろうということで、 売上げ・利益ともに変わらないと見込んでおられます。次お願いします。

     これはプラスチック用着色剤。これもですね、車関連向けでございますので、販売の急減、それから急激なレアル安による為替差損が生じてしまい売上げ・利益ともに減少したと。09年の展望につきましては、売上げはあいかわらず減少するであろうと。ただしこの時期にリストラを敢行すると、10%ぐらいのクビ切りを行うというふうにおっしゃって、利益は微増してくるであろうと。全般的にやはり、この会社は回復までにはまだ時間がかかりそうだと。もう一点まいりますのが、債権回収の不安が出てきたなと、こういうことでございます。次お願いします。

     これはポリオレフィン、いわゆるスポンジです。スポンジで、自動車生産の拡大にともなって9月までは快進撃であったと。で結局年間を通しては微増、それから利益につきましては大幅減少したと。品質・生産性というのは内部の状況で、外部的要因ではございません。09年は内部問題を解決して、売上げも微増。利益も増加するというふうに見ておられますが、自動車産業への販売比率が高いので、やはり心配かなということでございます。次お願いします。

     ロ ジン。これは前回はアグロと車に関するのは絶好調で、唯一ロジンですね、松脂を原料としたロジンとかテレビンオイルにつきましては減少だったんですが、下 半期より徐々に売上げも低下し、製造コストも上がり、販売価格が低下し競争激化というトリレンマに陥り、売上げ・利益ともに大幅減と。それから09年はさらに減少するでありましょうということです。次お願いします。

     化学部会に属される商社の方ですが、取り扱い品目、商権等によってですね、売上げ・利益増加のところもあれば横ばいのところもあると。皆さん異口同音におっしゃっているのは国内需要好調で、それから農業関係の快進撃と。ただし10月以降の急激落ち込みとエタノール向けの輸出減がありました。

     09年の展望は、変わらないか、まあ良くはならないだろう、減少するであろうと。一つ良くなるであろうと見られているのは逆に、アジアが不景気になったのでアジアに回っている玉がこちらに回ってきて自社の売上げに寄与するかなというふうにおっしゃってました。次お願いします。

     08年の全般ですが、前半はほとんどの分野で好調に推移しました。10月以降はですね、消費関連物質、それから農薬などは景気の悪化の影響は顕著ではないんですが、素材産業なかでも輸送機器に関する業種は急速に業績悪化したと。

     それから09年はですね、これまでのアグロと運送業はまあ快進撃であったんですけども、増加がだいぶ分かれましてですね、09年は売上げ・利益ともにプラスになるのは半分以下であるというふうに、快調であった化学部会もちょっと静かにしとかなきゃいけないなというふうなところでございます。ありがとうございました。

     司会:えー分野ごとにきめ細かな分析をされ、売上げだけでなくて利益までご説明いただきましてまことにありがとうございます。続きまして食品部会尾崎部会長お願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 化学品 部会 Pdf (原稿)

  • 食品部会 尾崎英之 部会長

    食品 部会


    食品部会  尾崎 英之 部会長

    どうも皆さんこんにちは。2007年7月より食品部会の部会長をやっております、東山農産加工キリンビールの尾崎と申します。今日はよろしくお願いいたします。

     食品部会は全部で登録が39社、そのうち主要メンバーが17社あります。主要メンバーの中からホテルや通信関係の方を除きますと、実際に食料品の製造販売をしている会社は14社ありまして、今回は9社、9業界について発表させていただきます。

     持ち時間が10分、質疑応答を含めて15分いただいているんですが、9業 界ということでそれなりに各社を報告させていただきますとかなり短くなりまして、また食品部会はいつも時間が超過の常連と言われておりますので、今日は ちょっとスピードを上げて上の左の数字を見ながら、目標としては黄色から赤になる前に終わりたいという思っておりますが、こう言っているいる間にもう1分 半経ってしまいました。まずは全体のまとめから発表させていただきます。次お願いします。

     簡単に申しますと08年 ではですね、前半と後半で大きく変化いたしました。特に後半の国際金融危機以降ですね、業界は減速状態に入っておりますが、ただあの食品ということで、口 に入るものと。不況でも食べたり飲まなくちゃいけないということで、他の業界に比べると影響は少ないようです。今回は天気予報が流行っていますので、食品 業界も言わせていただくと、雨が降り始めてちょっと先行き西の方に雲が出てきたと、そういう感じだと思っております。

     生活必需品の乳製品の免税や即席めん業界等でですね、低所得者向けの製品が好調で、いい業界がある反面私たちの酒類業界等には大幅な増税があったり、また後半のレアル安による輸入原材料アップ等で利益減に苦しんでいる業界もございます。

     2009年度につきましては、まあ不透明な景気感からですね、業界は伸び悩みを予想しておりますが、レアル安による輸入コスト増等や一般食品の増税懸念、これのちほど報告させていただきますが、一般食品が来月の3月から増税がサンパウロ州で予定されています。

     ま た国内会社との競争激化なども予想されておりまして、一段のコスト削減を各社で図って、限界利益を上げる一方、一方食品業界も成熟してきておりますので、 高付加価値を投入したりですね、国内に持っている強みのある商品を南米市場の方へ輸出をすると。レアル安を利用して輸出を強化する会社も出てきておりま す。次お願いいたします。

     乳酸飲料でございます。会社はヤクルトさんであります。08年につきましては前年同期比で10%以上の売上高を計上されております。あと同社の特有な訪問販売の効果、また健康食品に対するブラジルでの志向が強まったということで10%増の成長と。なおかつPIS/COFINS、免税サンパウロ州でされたということで販売増とその免税効果によってコストの増や人件費増を相殺しまして、さらに利益は30%増と非常に好調な業績であったようです。

     09年度につきましては先ほど申し上げました一般食品への課税懸念、3月から開始されますICMSへのSubistituicao Tributaria制度、これは輸入元や製造会社がその後発生するICMS税への過程にあるものを、代替というんでしょうか、立替をする納税制度です。これの課税標準額、税率とかどれくらいになるかが懸念されております。09年度きましてはコストを吸収した上で5%の販売増を目標としております。次お願いいたします。

     国内家庭用食品、これは味の素さんでございます。調味料として業界の下期は市場が減速をしております。他業界に比べて食品業界については影響は少ないと見ております。売上高につきましても金額ベースで前年比9%増、109%の達成ということで、調味料はプラス4%。これは金額ベースでございます。

     外食事業は好調でプラスの36。南米市場への輸出は絶好調で57%と、08年はこのような状況でございました。09年につきましては、まあ不景気や失業率の上昇から市場の伸び悩みを予想しております。

     レ アル安等による輸入原材料価格からコストダウン、製造原価や経費等へのコストダウンの取り組み、さらにコストをどういう形でいつ価格調整として組み込んで いくか、消費者ニーズを見きわめながら価格調整を考えていきたいということです。またレアル安を利用しました南米市場への積極進出を図っていくということ でございます。次お願いします。

     素材用食品。これは同じく味の素さんの飼料用のリジン等やバルクの調味料、MSGでございます。08年につきましては、下の矢印の3点ございますが、価格の転嫁が実施できたということ、また9月以降のレアル安、さらに下期になりまして原料・輸送コストの増加がですね、落ち着きを見せたと、この3点から事業関係が好転しまして採算が大幅に改善されたということでございます。

     本年度につきましては世界経済の情勢の悪化から市場の縮小と価格、国内、海外含めて価格の競争の激化を見ておりまして、現状で為替安を利用した現状の市場ポジションを維持していくということになっております。次お願いいたします。

     冷凍果汁はニチレイさんでございます。果実全般としては、マンゴーとブドウがここに書いてありますが、これは輸出ベースで行きまして2008年度は30%ほど減少したということでございます。で、ニチレイさんがやってらっしゃるアセロラの栽培数量ですね、2007年が1.9万tから2万tと。93年ベースでいきますと93年から2008年まで15年間ですが、0.4万tから2万tということで5倍以上増えております。

     アセロラは年間に、サンフランシスコ川流域では年に8回収穫できると、アマゾンでは3回から4回ということで、これは2009年の展望にもあるんですがアセロラの数量増が今後も期待できると。その結果、戻りますが、2008年ですが、売上げがプラスの22と。利益改善が、まあ最終的な当期利益が若干赤字ではあるんですが、営業利益ではプラスを確保し当期利益ベースでは93%を確保していると。

     2009年度につきましては欧州を中心にアセロラの需要の拡大が続くだろうと。で、ドルベースで値上げの合意を30%されておりまして、また2006年から2008年にかけて濃縮ラインの設備を導入されたということで製造歩留まりの向上と。ということで、売上げ原価の歩留まり向上ということで2009年度はさらなる大きな利益改善を計画されております。次お願いいたします。

     輸入調味料。これは日本の醤油メーカーのキッコーマンでございます。2008年度につきましては、2008年3月に日本産の価格の値上げが17年 ぶりにあったということ、それと、リベルダージで皆さんご覧になっていると思いますが、並行輸入品が増えているということでキッコーマンさんがシンガポー ルで作ってらっしゃる、作ってこちらに持ってきていらっしゃる正規輸入品に対して、日本産の価格が値上がりしたということと並行輸入品が増加ということで 大きな影響があったと。

     具体的には並行輸入品の方が正規輸入品よりも安いと、またシンガポール産より日本産の方が商社が好むということで2008年度につきましては厳しい状況であったということです。で、Oriental市 場、これはブラジルの醤油のメーカーの市場なんですが、現地の会社、法人のサクラ社ですが、まあ寡占状況が続いていることで、キッコーマンさんとしては西 洋市場に対して現在開拓中と。まあ限られた経営資源の中で特定の市場のエリアマーケティングや口コミ等で販売の増加を図っているというところでございま す。

     2009年度につきましては、シンガポール、USA産 の値上げがあるということで、ターゲットを絞って、ブラジルの富裕層をターゲットすると。また経営資源の限られた中で全てにマーケティング投資をできない ので、富裕層を中心にマーケティングを行いまして、富裕層からのシャワー効果等を期待をしていらっしゃいます。偽造品・模造品につきましては、オリンピッ ク前にリベルダージでいくつか、まったく同じような製品が見られたということですが、オリンピック後は減少しているということでございます。次お願いしま す。

     食品添加物。これは三栄源さんです。08年につきましては日本の食品偽装問題があるということで海外のトレーサビリティーを強化されているということです。また日本の、こちらから出す原材料の輸出ですが、景気の悪化や日本の志向がオレンジからグレープフルーツへ変わっているというところが2008年の特徴でありました。

     ま たブラジル国内におきましては健康の志向から着色料のニーズが合成着色料から天然着色料に変わってきているということでございます。来年度の展望につきま しては、ブラジルの消費者の志向の変化、まあ健康、ライト、本物志向やダイエット関連の販売を強化していくということでございます。

     ただ、天然色素のニーズは拡大しているんですが、ANVISA等からまだ許可されていない色素もあるということで、輸入障壁がまだまだブラジルにあるということですが、今後の市場が拡大されますので、天然着色料については力を入れていきたいということでございます。次お願いいたします。

     健康食品。健康食品は輸入健食と輸出健食、輸入につきましては日本から持ってきていらっしゃるサンクロレラ社、輸出につきましてはMNプロポリス、アガリクス、プロポリスを販売されております。全体で言いますと輸入健食についてはレアル安がコスト高になるんですが、ダイレクトメールを中心にやった結果、売上高20%強。

     輸出健食につきましてはアガリクス、プロポリス日本向けの輸出が不調で、米国向けのアサイ、アマゾンにあるアサイなんですが、これが昨年度1万1千トンということで57%増ということで大きく成長しております。来年度の展望につきましては、輸入健食は他業界に比べて健康食品への影響は小幅と見ておりまして、不況期こそ体が資本だということで長期スパンの中での販売増の計画を考えていらっしゃいます。

     輸出健食につきましてはレアル安で追い風ではあるんですが、アガリクス、プロポリスが不調という事で国内販売にシフトと。化粧品業界向けのオーガニックアルコールが絶好調だということでございます。次お願いいたします。

     即席めん。これは2社、味の素さんであります。昨年度の10月までは4%の成長で即席めん市場は伸びていたんですが、11月12月は1%に減少しまして、トータルで見ると3%という拡大でございます。他の小麦製品に比べますと、小麦粉がマイナス6.8%、ビスケットがマイナス1.4%ということで、他の小麦製品に比べれば高い伸びを示したということであります。

     売上げにつきましては二桁増、北東部や所得層の下のC層以下の消費が拡大している、まあ具体的にはボルサ・ファミリア等の影響があるというふうに考えております。また第4四半期以降のですね、レアル安等もありまして、今製造原価等が大幅に上昇して来ていると。

     2009年の展望につきましては、ほぼ今年同様の4%の継続を見ております。懸念材料としては食料品の立替制度、サンパウロ州におけるICMSの立替制度が3月から始まりますので、それが懸念材料。また原材料の価格上昇も懸念材料ということであります。もう一点につきましては、競合他社による値引きが開始されており、こういったことも懸念材料の一つになっております。次お願いいたします。

     コーヒーです。コーヒーは一般的な情報なんですが、昨年度のブラジルの輸出が2,930万俵ですか、4.4%、金額ベースでいくと22%の増と。世界消費としてはプラスの1.1%で1億2800万俵と。ブラジルの国内を見ますと9月までは絶好調だったんですが、9月以降大幅に客先の信用収縮や在庫が圧縮し、契約のキャンセルや船便の遅延が起きていると。

     今年の展望につきましては、ブラジルの天候不順等の影響もありまして18%減の3,900万俵と。市場は、ただし下期以降安定するのではないかと、一つはレアル安による輸出の追い風、また市中の在庫も下期には解消するだろうというふうに見ております。次お願いします。

     酒類でございます。酒類は当社でございますが、日本食の業務市場は穏やかに昨年度は成長しました。ただ6月にレイ・セッカによるアルコールの飲酒運転の厳罰化による需要減、地域によってはレストランでは40%ぐらい落ちたところもありました。また食料品に先立って昨年度の2月から酒類に関してサンパウロのICMSの増税があり、また原料米の高騰等がありましてですね、国際価格が3倍くらい、日本米についてはそれ以上のコストがアップしております。

     またそれに追い打ちをかけるようにレアル安が始まりましたので、製造原価がかなり増えてきております。一方ですね、唯一プラスとしては大手スーパー向けがたいへん好調に推移しましたので、昨年については一桁の成長を遂げることができました。

     今年度につきましては、まあ業務用の市場の減速、レストラン向けなんですが、ICMS、IPIの 増税がどの程度あるか、また原料の米相場やそのほかの輸入原材料のコスト増をどういうふうにして製品に転嫁していくかを今年がテーマになっております。ま た南米諸国への輸出ですね、酒類についてはブラジル国内のみなんですが、南米諸国、ブラジル以外のアルゼンチンやチリにですね、輸出をして外貨を稼ぎたい なとそういうふうに考えております。次お願いいたします。

     これは、昨年度も同じようなリクエストだったんですが、日伯EPAの実現の可能性について探索していただきたいと。まあブラジルの外務省の情報収集等ですね、多国間の交渉のブラジルの基本の方針がどうなっているのか、今後の行動計画づくりや、経済団体、FIESP、CNI等への積極的な要請などを商工会議所を通じて働きかけていきたいという要望が当社のメンバーからございました。以上でございます。2分20秒オーバーしてしまいました。すいませんでした。

     司会:尾崎さん、盛りだくさんな内容ありがとうございました。ご質問は、ございませんね。それでは次に参ります。運輸サービス部会和田会長お願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 食品 部会

  • 運輸サービス部会 和田亮 部会長

    運輸サービス 部会


    運輸サービス部会  和田 亮 部会長

    運輸サービス部会の和田でございます。ご存知のように運輸サービス業界というのは皆さまのいわゆる好調さに支えられた上で成り立っている業界であるということで、皆さんが2008年非常に絶好調の時期もそれに乗ってたいへん儲けさせていただいた所とそうでない所、非常に苦労した所といろいろございます。その辺りを中心にちょっとお話させていただきたいと思います。

     まず、運輸サービス業界は、航空業界、海運業界、フォワーダー業界、旅行ホテル業界、そして通信IT業界、この5つの業界でお話させていただきます。

     まず航空業界の2008年の回顧。飛行機がずーっと上まで上がりましたように、非常に国内線、総需要5.9%伸びをしていると。この国内線なんですが、以前は2007年まで二桁でずっと伸長してたんですね。それがやはり国内線が5.9%と一桁になったと。

     この大きな原因としましては、やはり国際的な金融危機の影響なんですかね、10月11月と対前年を大きく下回っています。その影響で全体的に5.9%しか伸びなかったというような状況です。ご存知のようにTAMとGOL、GOLの場合Varigが買収しておりますのでその2社で見てもらっただけで94%のシェアがございます。その他の6%というのはオーシャン・エアー、ウェブ、そして最近出てきましたアズールですね、この3社で分けております。

     続きまして国際線、総需要。これも同じように4.7%伸びております。しかしここはですね、先ほど国内線のところで10月11月が対前で落ちているといいましたけれども、国際線はちょっと遅れまして、1カ月遅れまして11月12月と対前度落としています。その結果4.7%という、この伸長率が高いのかどうかというのは分かりませんけれども、それほど伸びていないと。特に11月は対前度から見ますと94%、12月にいたっては25%、だから75%ですね対前度、それくらい落ちております。

     続きまして航空業界の話題としましては、燃料費の問題を避けて通ることはできないと思います。ご存知のように、前回もお話させていただきましたが、シンガポールケロシンの1バレルあたりが去年の7月には166.5ドルしておりました。これがやっと落着いて12月にはなんと58.6ドルまで落ちました。

     ですので非常に金融危機以降急降下しているんですが、これが来年以降どういうような状況が出てくるかというのはまた2009年の展望のところでお話させていただきたいと思います。それともう一つは、日本発ブラジル向け渡航者の動向としまして、やはり百周年の記念事業がございましたので、6月7月が日本発としてはピークだったそうです。で9月以降はやはり皆さんご存知のように、在日ブラジル人の帰国が増えているみたいです。次お願いします。

     2009年の展望。飛行機ちょっと上がっているんですね。JALさんによると下がるんじゃないか言われていたんですけど、やはり縁起悪いんでちょっと上げてみました。国内線、国際線需要ともに不透明であると。特にこちらの航空局のANACはですね、需要想定を下方修正しています。7%伸びるかなと言っていたやつを3%に下げております。

     加 えて、状況的にはどういう状況になっているかというと、やはり航空会社は抜本的な改革をかなり迫られているみたいです。就航路線を減らしたり、路線数、ま あ人員削減などちょっと暗いニュースが今後続くんじゃないかと言われております。特に皆さんご利用に最近なられると思いますが、あのエミレーツ航空も名古 屋―ドバイ線の運休を発表しておりますので、こういったところにいろいろな影響が出てくるんじゃないかと思います。

     プラス日本市場では、先ほども言いましたようにブラジル人失業者の帰還が2009年前半まで継続すると想定されております。先ほど抜本的な改革というところでお話すべきだったんですけれども、先ほどシンガポールケロシンの価格が166ドルから58ドルまで下がったということなんですが、当然のことながら燃油が下がると非常に経営上良くなるかと思うんですが、この燃油は先物買いされているそうなので、この効果が出てくるというのがかなり先の話だそうです。

     166ドルで予約していたやつが未だにあるのかどうかは分かりませんけれども、かなりその時の費用増というのが各航空会社とも非常に経営を圧迫しているということだそうです。次お願いします。

     続きまして海運業界。2008年の回顧。1/2と入っておりますね。なぜ1/2としましたかというと、第3四半期と第4四半期がころっと変わってしまうんですね。第3四半期までは皆さんの経済状況と同じように絶好調でしたので、絶好調というのはその経営が絶好調というのではなくて、荷物を運ぶということについては非常にタイトな状態で動いておりました。

     特 にレアル通貨が強かったので、輸入が非常に絶好調で動いておりました。その結果かなりトレードのインバランスを加速しまして、運賃もちょっとおかしくなっ たというところはございます。特に不定期船市況が高騰、これは鉄鉱石ですね、鉄鉱石の不定期船市況が非常に高騰いたしました。

     加 えて、まあ先ほどにも言いましたが、燃料費の価格が暴騰しておりましたのでこれが運賃に非常に転嫁せざるを得ないという苦しい状況が続いておりました。プ ラスインフラ未整備で各船社スケジュールの維持に苦慮ということなんですが、これは、インフラ未整備が正しいかどうか分かりませんが、一番大きいのはやは り税関のストライキのところで、やはりスケジュールを上手くオペレーションできなかったというのが大きく響いているそうです。次お願いします。

     それが第4四半期、10月以降どうなってきたかというと、不定期船、鉄鉱石が急減しました。特にケーブサイズバルカー、これはいわゆる18から30万tクラスの傭船なんですが、これが一日あたり、これ極端な例なんですけども、一日あたりUSドル27万ドルを超えていたのがドル1万以下になったと。これはあくまで一例です。

     それだけドンと落ちたという意味合いで、実際1万ドル以下で動いたことがあるそうなので一応書かせていただきました。それだけ非常に落ちたということです。インフラ未整備も幾分解消ということなんですが、船の行き来が少なくなったのでそれほど影響が出なかったということぐらいです。その他としまして、やはり11月のサンタかタリーナ州の水害、特にイタジャイ港において大型船が入港できない甚大な影響が出ていたそうです。次お願いします。

     では2009年 の展望、海運業界というのはどうなるのかいうと、やはりこの実運送業者というのは皆さまどうしても受身の立場なもので、皆さまのいわゆる経営状態が好況不 況によって大きく左右されます。ですのでここに書いてあります通り、各産業の動向にかかると。せめて雨からくもりに変わってくれたらいいなというところで す。

     た だ鉄鉱石に関してですね、一時の底打ちから若干、やはり中国の需要も上がってきましたので回復しているみたいです。今後海運各社の動向としましては、やは り老齢船のスクラップの促進、古くなった船ですね、スクラップにしてしまう。で、新造船投資の見直し、各定期船サービス網の見直し・調整をしていかない と。やはりかなり物流的にですね、動く量が減るだろうと見ておりますので、こういった調整が必要だということです。

     続きましてフォワーダー業界。2008年の回顧。毎回いっているんですが、日本発ブラジル向けの航空貨物の動向はどうだったんだろうといいますと、25%増。やはり絶好調という感じで動いておりました。ただしかし、11月よりは減少。11月12月の対前月25%ずつ減少しております。フォワーダー業界のトピックスとして、やはり税関ストライキ、これによって非常に混乱がいたしました。

     皆さんも非常にこれに迷惑を蒙ったかと思います。その後、SISCARGA導入で遅延発生。初めてですね、これは通関を早くするための制度なんですが、やはり完全に準備をしないままに導入したものですから、かなり当初は遅延が発生いたしました。現在はかなり安定化しております。

     ロジスティック関係から見ますと、製鉄構内物流もまあ10月まで、前回の8月のこの会では3年先まで受注があるというふうに申し上げていましたけども、それも立ち消えしまして、減産で作業量は30%ほど減になっております。

     あと、原油価格高騰は航空貨物の運賃を押し上げてしまい、それとプラス、サンパウロ市のトラック走行規制が始まりました。これは7月から、午後の9時から午前の5時まで、いわゆるマージナルの中ですね、ここの中にトラックが入ってこれないというのが。これはですね、それほどあまり影響はなくて、運送業界としてはほっとしております。加えて一時期サンパウロの市内が交通量が減ったと皆さんが喜ばれていた通りでございます。

     2009年 の展望としましては、先ほど航空業界のところでも述べましたように、航空各社の便数が減って、また機材が大型から小型化されるということで、ブラジルに 入ってくる飛行機、また出て行く飛行機ともスペースの減が見込まれて、ひょっとするとまた運賃が値上がりするんじゃないかと危惧しております。

     加えて、先ほどからの皆さんの業界のとおりなんですが、やはり設備輸入が減少傾向にあると見ております。ロジスティックは企業の減産で大幅に受注源になるというふうに見ておりまして、フォワーダー業界としまして2009年の展望はかなり厳しいというふうに見ております。

     次に旅行ホテル業界です。2008年の回顧としまして、やはり海外旅行はレアル高の時は非常に良かったんですが、それがだんだんレアル安で航空運賃が高騰していきました。国内旅行に関しましてはやはり金融危機以降、大手パッケージ会社も苦戦するようになっております。

     ただ、ホテル客室稼働率は、これは11月までの統計なんだそうですが、67%から68.5%へ若干前度を上回る規模になりました。特にメジャー地のホテル稼働率アップ。特にリオ・デ・ジャネイロから北伯地方にかけて70%の稼働率を示しております。これは2009年の回顧の方でちょっと述べますので。

     あ と、どういうふうに見ているかといいますと、まあカーニバルまでは例年通りだろうと。ただローシーズン以降はちょっと見通しができない状況であると。国内 リゾート地の稼動は伸長と、クエスチョンマークがついてますね。で、ブラジル人も安近短とこうクエスチョンマークが続いています。これは何かといいます と、やはりこれまでレアル高によって海外へ行っておられた方が国内に、国内も長く遠くへ行かれていた方も近く、そして安くいう、日本でも流行りました安近 短という言葉がそのまま旅行ホテル業界にあてはまるようになるんじゃないかと見ております。

     今 後としましては都市型ホテル、まあサンパウロを中心としたこういう都市型のホテルですね、やはり日帰り出張とかインターネット会議の増加によって非常に利 用が減っております。ですのでホテル独自として勉強会とかコンベンションでの利用を増加させようといろいろ仕掛けをしていく時に来ているという状態だそう です。

     続きまして通信IT業界なんですが、これは毎年言っているんですが、携帯の電話加入者数が1億5,064万台、世界第5位。最近3G携帯というのが出てきましたですね。これが281万で市場の1.5%を占めるようになってきています。あと、ナンバーポータビリティーとか固定電話加入者数とかずーっと書いてありますけども、やはり国内のPCの販売台数が1,200万台を超えまして、対前度20%増えたと、これが特筆すべきところじゃないかと見ております。

     あと最近徐々に増えてきていますのがノッタ・フィスカルの電子化、ICMS税ですね。これも順調に伸びて、多いかどうかちょっと分からないですが、ここに書いてありますように9,365万枚発行を実現していると。今後これは非常に加速されるんじゃないかと見ております。

     今後通信IT業界はどうなっていくんだと、2009年の展望としまして、ちょっと話題性がないなということだったんですが、やはり環境に配慮してCO2の削減。グリーンITと書いておりますが、まあ簡単に言いますと、コンピューターの皆さんのモデムのところでブーンとモーターが回って熱い空気が出ますね、これはCO2を発生しているそうなんですね。これをいろんな形でなくしていこうというような今動きがかなり出ているそうです。それとやはり3G携帯の利用が増大すると、そういうふうに見ております。以上でございます。どうもありがとうございました。

     司会:和田部会長ありがとうございました。続きまして、最後になります。繊維部会本間部会長よろしくお願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 運輸サービス 部会

  • 繊維部会 本間昭一郎 部会長

    繊維 部会 (原稿)


    繊維部会 本間昭一郎 部会長

    繊維部会の本間です。あと10分から15分ご辛抱いただきたいと思います。

    昨年8月の発表の時に私、先ほどから皆さんが言う通り天候のことを、繊維業界の上半期を評して天気に例えたら、晴れのち曇りと発表させてもらったんですけど、後半は非常に各業界皆さんと一緒で、天気に例えると、曇りのち嵐というふうに表現したいと思います。

     それでは、いつものように綿花、綿糸、合繊、薄地織物、紳士婦人服地、ファスナーの順で発表させてもらいます。

     昨年のNY綿花相場は年初、大豆、トウモロコシの高騰に引きずられて、3月見ていただいたら分かりますように、90セントをオーバーするような高値が出ておりますけれども、それがリーマン・ショック以降の金融危機到来で、昨年11月には40セントを下回る相場が出たという一年でたいへんに大きな変動の相場の年となりました。

     今年の世界綿花相場の予想を見てみますと、今年の1月12日にアメリカの農務省から発表された数字と、昨年の7月の数字の比較で見ていただきますと、大きな生産減と投資減、輸出入減による季末在庫増という数字が現れております。季末在庫率で見ますと昨年の7月に42.3%と発表していたやつが、今年の1月の発表では51.6%まで在庫が増えたという形になっております。

     国内綿花。2008年の国内綿花の生産は史上最高と言われる160万tを記録しました。綿作地は10年前まではパラナ、サンパウロがメインでしたが現在はマット・グロッソとバイアが中心で、この2州で約83%の綿が作られています。2008年の品質は問題含みでしたが、価格は政府が決めた最低価格以下のいい安定の価格で推移しております。今日現在も、ここに書いてありますように1.15レアルということで、政府が決めた最低価格以下となっております。

     国内綿糸。2008年は好調な国内経済に後押しされてまずまずの成績が残せました上半期に比べ、下半期は10月 より急速に悪化、在庫増、売値の低下、生産調整等を強いられる紡績が続出しております。この主な原因としては、秋冬物衣料マーケットの不調、輸入衣料、輸 入綿糸の急増、異素材の増加。先ほどもありましたけれどもサンタカタリーナ州、繊維も一緒ですけれども、繊維の一大産地でありますサンタカタリーナ州の大 洪水の影響が挙げられます。

     2009年の展望としては、消費不況のあおりで国内の荷動きは今ひとつ活気がなく、当面、輸出も視野に入れての我慢の年となると見ております。

     綿糸貿易。2008年はレアル高に伴い、輸入は急増、輸出は急減、綿糸貿易は2007年以降、貿易収支は赤字となっております。輸入綿糸の約8割はインド品となっております。ただし、9月以降のレアル安で輸入は急減、新規成約は進んでおりません。

     2009年の展望としては、現在の為替水準、約2.3レアルが持続すれば、輸入綿糸は国内綿糸と比較して価格競争力がないことで、輸入は減少しなくても、増加はしないであろうと見ております。

     合繊と化繊。これもドル安レアル高の影響で輸出は価格競争力を失い、輸入は増加。国内生産は合繊は昨対微増、化繊、これはビスコースですけれども、40%の大幅減産となっております。2009年の展望としては、為替の関係で輸出入とも減少、国内生産は合繊は昨年と同水準,化繊はさらに減少すると見ております。

     薄 地織物。織物全体としては、これも一緒ですけれども、レアル高の影響で輸出減・輸入増でありました。綿織物は価格競争力をなくした輸出は減少、輸入は天然 繊維志向もあり大幅に増加、国内生産・販売ともに好調であった前半と比較して、金融危機以降、大型店の引取り遅延やキャンセルが出たこともあって年末の在 庫は増加しました。2009年の展望としては、輸出は相手国の景気が悪く減少、輸入も合繊の需要減で減少と見ております。

     紳士婦人服地。上半期の母の日、下半期のクリスマス商戦ともに好調でした。小売、アパレルともに10%から15%増になった模様です。リーマンショック以降為替が40%ほど上昇ししたために、輸入品の価格上昇を小売りの方に転嫁できなくて、たいへん苦労しているというのが現状のようです。

     ファスナー。これも前半は、第3四半期までは好調に推移しましたが、第4四半期より急速に悪化。通年では前年並みというふうになったということです。2009年の展望としては、繊維輸入が、現在の為替であれば輸入が減るということで、輸出の再開も期待できることから、上半期はかなり厳しいものの下半期の市況は回復するというふうに予測しております。

     繊維業界のまとめとして、為替と原綿コストアップ、繊維製品の国内消費というこの4つのキーワードを挙げてまとめとしました。為替動向で中国からの繊維製品やインドからの綿糸などの輸入が抑制されます。今まで価格競争力のなかった綿糸・衣料品のヨーロッパや近隣諸国への輸出が再開できると。

     原綿については、紡績コストの約60%を占める原綿の作柄、品質がちょっと懸念されております。それと20%を超える減産がこれから我々にどう影響してくるか。コストアップ。インフレにスライドして上がる電気代、労務費、荷造り材料費等の採算悪化への対応をどうするか。

     最後に国内消費。先ほど皆さんの中にもありましたけれども、給与は繊維業界8%去年の11月に上がっております。最低賃金のアップ、ボルサ・ファミリアの継続、1億9千万人のブラジル国民の楽観的性格で消費が減速しないことに期待しております。以上で繊維部会の発表に換えさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

     司会:本間部会長ありがとうございました。これにて全ての部会の発表が終了いたしました。講評をいただきたいと思います。在サンパウロ日本国総領事館総領事、大部一秋様よろしくお願いいたします。

     

    プレゼンテーション資料: Powerpoint 繊維 部会 Pdf (原稿)

  • 講評 大部一秋総領事

    サンパウロ総領事館  大部 一秋 総領事

    総領事の大部でございます。今日は非常にこういう活発な部会長シンポジウムということに出席させていただきましてありがとうございました。データといいプレ ゼンといい、すばらしいの一言に尽きると思います。全ての方の関心は今の金融危機が実体経済にどう影響を与えて、その実体経済、総需要が減っていると、そ の総需要をどういうふうに回復していくか。いつ底を打って、いつ反転に向かうのかというのが、おそらく万人の共通の関心事項だと思います。

     そ ういう意味で、マクロとミクロ、両方を見て行く必要があるという趣旨でも、今回のこの部会長シンポジウムの趣旨は全くすばらしいものだと思いますし、おそ らくこういうような形でブラジルの経済、まあ日本とブラジルとの経済を見ておられる所というのはないんだろうと思いまして、私の同僚なんかにもぜひこうい うデータ、理論、プレゼンの資料を渡したいと、知らせたいという思いを強くしております。

     大先輩方で、私も来て1カ月しか経っておりませんので、気の利いたコメントもできないし、これからいろいろ教えを乞うていくという立場でございますので、感想めいたような話をいくつかさせていただければというふうに思っております。

     お聞きしていますと、全体として2008年は晴れであったと。まあ快晴ないし晴れというのが、お天気でいうとそういう評価になって、その後2009年 の見通しについては、まあ雷雨、嵐、くもり、薄日というようなことで評価されておりまして、雷雨・嵐がものすごく多いかなと思っていたんですが、それほど 多くはなくて、まあいくつかはもちろん雷雨・嵐ということですが、また大体くもり、雨、部会によっては薄日といったような感じが少し強かったのかなという 感じがしております。

     一つ目として私が感じたのは、この2008年までの経済の上昇ぶりというのがすごかったんだなということを、輸出にしても20%、輸入にしても40%の上昇。経済成長も5.7、2008年は5.6ぐらいという事で、2割3割ぐらいの生産の増、まあ建設業にしても雇用者、労働者の増、それから件数、戸数の増というその増加幅が3割4割を超えているということで、非常にこれが印象深いもの、印象を受けました。ひょっとしたら、若干過熱気味になりかけていたんではないかなという感じをもちました。

     にもかかわらず消費者物価の指数が2007年で4.5、2005年からいくと5.7、3.1、4.5、2008年5.9% と、よくこれだけの低さに、中南米を見ますと、収まっているなと。私がアルゼンチンにいたせいかも知れませんが、インフレ、中南米の場合二桁超える可能性 も出ていますし、おそらく金利が高いのもインフレを念頭に置いた構造的なものかなというふうに思うんですが、よくこれだけの生産の需要の拡大の下で消費者 物価を一桁の段階に押さえてきているなということで。

     ま あこの辺は結構、マクロマネージメントというのが上手くいっているんではないかなという感じをもちました。若干、このまま景気がこの傾向で行った場合には バブリーな感じになっていたのかなというふうに思うと、まあ若干調整の時期のような要素もあるのかなという感じがちょっとしました。

     それから二点目で、10月以降、リーマンショックがあって実体経済が落ち込んだ、数字的にも落ち込んでいますし、かなりのパーセンテージで落ち込んでいる、日本もマイナス12.7%で10、11、12の四半期は35年 ぶりというたいへんな落ち込みをしましたけれども、それから比べればブラジルの落ち込みというのはまだプラスの範囲に留まっているわけで、非常にあの、軽 症とは言えないのかもしれませんけれども、比較的軽く影響を受けているというのは当たっているのかなというふうに思います。

     ま あどこまで、いつまでこれが続くのかということで、全体の今日の部会長シンポジウムのトーンですと、上半期は落ち込むでしょうけど、下半期には期待したい という意味での反転、もしくは底打ちといったものの期待感が出ているし、その裏づけとなる国内のマーケットが大きい、金融システムが健全であると、それか ら楽観的な予想が結構信頼感を支えているといったようなことで、そういうような見通しになっていくんだろうと思うんですけれども。

     いろいろな議論の中で出ていました強気の材料の一つとして、例えばペトロブラスの、クウェートに匹敵するような確認埋蔵量で1,000億バレルを超えるというような話が、これは私もサウジアラビアにいましたので、まあサウジは世界一の確認埋蔵量で2,500億バレル、もう2,600になっているんでしょうけども、1兆バレルの4分の1ぐらいの確認埋蔵量がありますけども、ブラジルが1000億バレルを超えるということになると、たいへんな衝撃的というか大きな話で、そのための必要な投資、そのために必要なマンパワーなり機器というのは相当なレベルに上がると思いますし、ペトロブラスが強気の姿勢でそういったインフラ投資というものを5カ年計画なりで進めて行くということであれば、そういうのは強気の材料の一つとしてあるのかなというふうに思います。

     それからエンブラエルの、航空機産業ですけれども、世界第3位ですけれども、この前JALが買って、また近く日本からもまた買うということなんですが、聞き及ぶところによるとかなりの、20億ドル近くの受注の、まだ作っていない注文が入っていて、相当これから先も売れて行くというような話もある。まあ強気の材料かなと。

     ま た希望的には高速鉄道の話もあるし、いろいろなインフラ整備の話も出てくるしということで、強気の材料といったような意味では、元々資源・エネルギー・食 料といった意味で潜在性が高いことがあると思いますが、そういった強気の材料が全体としてブラジル経済の先行きを少しこう支えているのかな、という感じが しました。

     お そらく、ブラジルが個人的には見ていく必要があるのかなと思うのは、政府がこれから行って行く財政政策、金融政策の効果がいつ行われて、その効果がどこま であって、いつごろ効果が出てくるのかということと、その辺りが非常に大きな要素になるのかなということで、まあブラジル政府が取る財政金融政策の中身と 効果がどこまで出るのか、いつごろになって出てくるのかというのが、結構大きなポイントになるのではないかなと思います。

     金 融システムで不良債権がたくさんあって、そもそも実体経済を支える金融の面でお金が出すにも出せないという状況にある、まあかつての日本のバブル崩壊後の 話とか、今の住宅の債務のアメリカのような話、ヨーロッパの話、金融債券、不良債権自体で身動きができないという状況にブラジルがあるわけではないでしょ うから、実体経済の総需要を上げていくためのお金の流れ、資金の融通という意味では、不良債権の問題がそんなに深くあるわけではないんだと思いますので、 他の国とはちょっと違う要素があるのではないかなというふうに思っています。

     二番目としておそらく、消費の動向が、国内マーケットが大きいから今後まあ底打ちも早いし反転に転じるだろうという根拠になっている国内消費、GDPの6割 が消費支出だということで、非常に大きな期待がかけられるし、外需依存型、どの程度外需に依存という事になるのかは私自身もうちょっと勉強する必要がある と思うんですが、かなりの部分国内に消費が伸びると、継続するということに経済はかかってきている部分もあるかなと思います。

     外需の代替としての内需の拡大、その内需の拡大を支える金融面での処置といったものが上手く有効に働いていけば、反転して上向いて行くことになるのではないかなというふうに思います。

     それから2,000億ドル、外準が2,000億ドル近くもあって、これも538から858、1,803、2,068という急激に外準が増えて、まあ2,000億ドルで対外債務と同じくらいの外準があるということですので、5億ドル程度の貿易の赤字が1月に出ても全体として予想では140-150億ドルの黒ということも出てますので、それほどその貿易の赤字で外貨が流出して外準が崩されてなくなって混乱するというようなかつての、まあアルゼンチンもそうでしたけども、ブラジルのような話にはならないだろうし、その辺の底固さもあるという気がします。

     そ ういう意味で非常に私自身としては、いろいろ見ていくポイントが、コモディティーの価格もそうだと思いますけども、ポイントがあると思いますけども、今日 その部会長シンポジウムのお話を聞いていた限りにおいては、もちろんミクロで見て厳しい状況に置かれたところも当然あると思いますが、やはりブラジルの持 つ潜在力、持てる国と持たざる国という昔の分け方がありますけども、資源・食料・エネルギーをもっている国と資源・食料・エネルギーをもっていない国との 潜在力の差が今の経済の影響をどの程度受けるのか、どの程度回復力が早いのかということに対して、かなり依存してきているのではないかと。

     そ ういう意味でブラジルの持つ潜在性、ポテンシャリティの高さが、結構この国に対するクレディビリティ、信頼感につながっていて、それほど落ち込まないで反 転していくのではないかなという感じをもちました。全く素人的なあれで恐縮でございますけれども、とりあえず感じたこととして、こういうことを述べさせて いただきました。

     非常にすばらしい、こういうプレゼン、データ、分析、見方がありますので、ぜひこういう、今日のこの場のプレゼンなり分析なりお話を我々の方でも活用させていただければというふうに思っております。本日は本当にありがとうございました。

     司会:大部総領事ありがとうございました。続きまして、経済産業省通商政策局米州課長の赤星康様にごあいさつをいただければと存じます。よろしくお願いいたします。

  • コメント 赤星康米州課長

    経済産業省通商政策局 赤星 康 米州課長

    ただいまご紹介いただきました経済産業省米州課長をやっております赤星と申します。今日はたいへん貴重なお話をいろいろ伺えて勉強になりました。どうも本当にありがとうございました。前回、私は7月に米州課長に着任しまして、前回こちらにうかがいました9月15日でちょうどリーマンショックがあった日でございました。それでその時の夕食会でも非常にたいへんなことになったねという話で非常に一色であったのを今も覚えております。

     今日も何人かのその時に会った方にうかがうと「ああリーマンの時に来ましたよね」という、ちょっと妙な覚え方をされたりもしたんですけども、また今日何かあったらもう来るなと言われそうなあれだったんですが、まあちょっと日本のGDPとか若干暗いニュースはあるにせよ、まあ世界的にここまでブラジルまでに大きな波紋を及ぼすものでもないのかなというふうに思っております。

     そ の時いろいろうかがった話は、少なくともその時まではブラジルは絶好調でイケイケドンドンということだった訳ですけれども、今日いろいろうかがっています と、快晴のち雷雨というようなお話もありましたけれども、ちょうどうかがった日が転機になったんだなと若干感慨を覚えるものもありますが、今の大部総領事 のお話にもありましたように、そうは言いつつ、いろいろ今うかがっていると2009年そう暗いばかりでもなくて、むしろ、まさにおっしゃった通りブラジルの持つ潜在力を発揮してまた回復して行くということを期待させていただきたいと思います。

     この場をお借りしまして一言、今回私ども同僚数人と参っておりますのは、19日、20日、今週の木曜日と金曜日でございますが、第1回、初めての日伯貿易投資促進委員会というのをブラジリアで開催することになっているために来て、ちょうどこういう機会があったのでお邪魔をいたしております。こちらの田中会頭以下商工会議所の幹部の方数人および島内大使とかにもご参加いただくことにもなっております。

     先 ほど触れていただいた方もいらっしゃった訳でございますけれども、これは甘利前経済産業大臣とこちらの開発商工大臣との間で去年の夏に決まりました、まあ ビジネス環境改善を中心とした、目的としたそれぞれの国の政府と民間での協力の枠組みでございます。したがいまして、私どもとしてはぜひ皆さまのお役に立 つように、ブラジルの、変な制度と言っちゃうとちょっと問題あるかもしれませんけども、そういうものの改善を、ちょっと今回初めてということなので一朝一 夕という訳にはいかないのかもしれませんけれども、図っていきたいと思っております。

     他 方、貿易投資促進ということなので、これは当然双方向ということでございまして、ブラジル側からもいろんな協力要請みたいなものが、例えば特許の協力とか ですね、そういうのが寄せられておりまして、ちょっとした交渉のようなことになる訳でございます。私はブラジルの方を相手に交渉を、交渉というほどのこと もないんですけれども、そういうものをするのは初めてなんですが、非常にタフなネゴシエーターで次から次といろんな話をされるので中々非常に手ごわいなと 思いまして、ここでビジネスをやっていらっしゃる方々も非常に苦労されておられるのじゃないかなと拝察したりする次第でございます。

     いずれにしても1回目なので、この委員会を今後動かして、どういうふうに動かすとどういうふうに上手い成果が上がっていくかというのは1回目を開いてみて見ていかなくちゃ、いってはいけないところもあるわけでございますが、ブラジル側も非常に熱心で、まあ今回2月にやって10月には東京で第2回をやろうと。

     本来1年1回なんですが、ちょっと今回延期して1月になっていることもありまして、もう10月 には東京でというようなこともオファーがありまして、まあブラジル側も熱心ということでございます。先ほど申し上げましたように今回やってみた結果も踏ま えて皆さんのお役に立てるようなものにしていただきたいと思いますので、ぜひ皆さまからの、今回もいろいろいただいているんですけれども、インプットを引 き続きいただければと思っております。以上、ちょっと簡単ですがごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願い します。

     司会:赤星様ありがとうございました。官民一体、さらにはオールジャパンとしてできることはかなりあると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。今日ですね、2月17日、何もないと思うんですけども、実はアメリカではGMとクライスラーの再生計画の提出期限ですね、これがちょうどブラジル時間の7時、あと1時間に迫っております。ちょうど非常な注目が集まり気になるところではございます。

  • 閉会の辞 近藤正樹総務委員長

    閉会の辞 近藤 正樹 総務委員長

    世界の金融経済危機ですね、ブラジルも決して例外ではないということでありますが、ただブラジルはどこかが違うと、何かが違うということをですね、皆さん感 じておられることと思います。そういった意味でですね、今回のシンポジウムが何かを説明できる、そういったヒントがあったんじゃないかと、そういうふうに 思います。

     各部会の皆さま、盛りだくさんな内容でコンパクトにエッセンスをまとめていただきありがとうございました。次回のシンポジウム、6カ月後、8月18日を予定しております。明るい話題がたくさん出ますよう期待しております。

     一点連絡事項です。この後カクテルパーテイーを用意しております。会場を出られてすぐ隣の会場でございます。6時から7時までやっております。お時間ある方はぜひご参加いただき、引き続き情報交換、懇親を深めていただければと存じます。予約されてない方も大歓迎です。費用は50レアルです。本日は長時間どうもありがとうございました。これにて閉会いたします。ありがとうございました。

 

開催日:2009年02月17日(火)

会場:ホテル ソフィテル

時間:午後2時から6時

2008年下期業種別部会長シンポジウム

総務/企画戦略委員会共催

  • 司会の言葉 松田雅信総務委員長

    司会 田中一男企画戦略委員長(後半)松田雅信総務委員長(前半)

       2時になりましたので、定刻でございますんで、あのー、これから始めさせていただきます。本日は、あー、総務委員会、企画戦略委員会共催の業種別部会長シ ンポジュームに、えー、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。私は、司会進行を務めさせていただきます、総務員長の松田と申します。そし て、あのー、隣りにおりますのが、企画戦略委員の田中と申します。この2人で本日はシンポジュームを進行させてまいりたいと思いますんで、みなさまのご協 力をお願い致します。

      まず、最初にちょっと、あのー、発表者の方々にですね、あのー、ほぼ皆さんご存知だと思いますが、お一人の発表は10分間、これに質疑応答を加えまして、 合計15分ということで、今回も時間厳守を、あのー、お願いしたいと思います。あのー、色々、時間が近づくと、色々な仕掛けでお知らせしたいと思いますの で、よろしくお願いします。

      では、まず、スタートにあたりまして、えー、ブラジル日本商工会議所会頭、田中の方から挨拶していただきたいと思います。申し遅れました、本日は、ブラジ リアの日本国大使館から宮下匡之総務参事官、サンパウロの総領事館からは、丸橋首席領事にご参加いただいております。どうもありがとうございます。

      みなさんこんにちは。本日はお忙しいなかを、多数御出席いただいて、まことにありがとうございます。特に今回は在ブラジリア日本大使館から宮下匡之総務参 事官及びサンパウロ総領事館から丸橋首席領事以下、あー、ご参加いただいております。終了後公表を頂くことになっています。

  • 開催挨拶 田中信会頭

    田中信会頭

       また、同じ話しかと恐縮ですが、古い方たちには繰り返しで恐縮ですが、メンバーが大分入れ替わっておりますので、最初にこのシンポジュームの歴史を簡単に ご紹介したいと思います。このシンポジュームは1年2回、年初と年央に11の業種別部会長が夫々の業界の回顧と展望を行うことになっておりまして、今回は 2008年上期を回顧し、下期の展望を行うものです。

     こ のシンポジュームは、私事にわたりまことに恐縮ですが、1970年代に、初代コンサルタント部会長として『業種別部会長懇談会』という名称で開始したもの であります。その後、総務委員会、企画戦略委員会が担当として会議所全体の主要行事となり、今日まで30年以上続いております当会議所の看板行事でありま す。当初参加者は部会長に限られていましたが、2002年より「開かれた会議所」の基本方針に従い、会員には勿論のこと、一般のブラジル社会にも開放し、 日本語の理解が難しい参加者のため、ポルトガル語の同時通訳も用意し希望者は誰でも参加出来るようにいたしました。

       設立以来継続してきた部会長懇談会という名称も一昨年8月3日実施ぶんより『業種別部会長シンポジューム』に変更いたしました。この会議では各業種の部 会の代表者から生の声でそれぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長を中心に自社業績や業界動向を分析し、その結果を検討整 理されますので、各社の経営戦略の決定に極めて役立つものと思います。更にこのプロセスを通じてメンバー各社の親睦にも役立つものと思います。更に外部の 企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ、数少ない信頼すべきデーターというふうに評価されております。

       日伯経済関係は二十一世紀入りと前後しまして再活性化が始まり、内容的にも従来の資源確保の投資や伝統的産品の取り扱いなどの域を脱して多様化し、高度 化しています。従来商工会議所は日本進出企業の親睦会、仲良しクラブ的性格の方が濃厚でしたが、これからは、FIESP(サンパウロ州工業連盟)、 CNI(ブラジル工業連盟)、諸外国の商工会議所などとの連係の強化、両国政府に対する積極的提案などにより、会員企業の具体的なニーズに対応する活動の 強化が要請されるようになっております。

       当会議所は2005年『移転価格税制委員会』を設置し、昨年までブラジル政府との交渉を続けてまいりました。当会議所の活動としてはすべてやり尽くした 感じで、後は、政府間交渉に期待する段階だと思われます。本年は最初から日本政府とJETROのご協力を得て、日本企業の関心の高まっている知的財産所有 権問題への取り組みを開始しております。

     更に以前から宿題になっております社会保険料二重払いの問題もあります。当会議所は進出企業に対し昨年までに2回の調査を実施し、ブラジルの日本企業の二重払い額が世界で3番目に多いことを指摘し、経団連に報告して、改善要求を依頼中であります。

     官 民合同会議の宿題のフォローアップ窓口であるサンパウロ総領事館とは昨年四回の会合を行い、解決に協力いただきましたが、本年はこの窓口を在ブラジリア大 使館とし、より一段とフォローアップ体制を強化して頂くことになっております。最後にこのシンポジュームの担当であります総務及び企画戦略委員会、業種別 部会及び事務局の皆さんのご尽力と、会員各位のご協力に心から感謝の意を表し私の挨拶を終わりたいと思います。ご静聴有難うございました。

       田中会頭どうもありがとうございました。それでは、あー、各部会の発表に移りたいと思います。まず、最初はコンサルタント部会佐々木部会長からよろしくお願いします。

  • コンサルタント部会 佐々木光 部会長


    佐々木光部会長

       みなさまこんにちは、コンサルタント部会の佐々木です。よろしくお願いいたします。あのー、今回のテーマなんですけど、みなさまのブラジルの統括だけでは なくてですね、中南米を統括も兼ねてらっしゃるケースが多いと、おー、いうふうに思いまして、ブラジルを含めて進出企業が比較的多い、中南米の主要国の経 済見通し、ということを中心にテーマを考えておりました。ただ、つけてみますが、パワーポイントの資料が非常に多くなりましたので、えー、いくつかのテー マ、ページはちょっと割愛して、ご許しいただければと思います。資料は、会議の後、商議所のホームページに掲載されますので、それをごらんいただければ と、いうふうに思います。

       平田事務局長から、コンサルタント部会は時間の管理が一番悪いと、というお叱りを受けているので、なるべく今日は時間を守ろうと思っています。それか ら、本当は上半期のレビューと下半期の見通しということでしたが、タイムスパンについては、厳密なものを設定はできませんので、この点もお許しいただけれ ばと、いうふうに思います。では、あの、よろしくお願いします。

       中南米主要国の経済状況をレビューしたものでございます。GDPの成長率だけでございますけれど、勝手ながら、ジェトロのある9カ国、ブラジルを含めて 9カ国を選定させていただきました。これ、ご覧になって分かると思うんですが、えー、ブラジル含めて、えー、状況が悪い国ってのは、今の中南米ではほとん どないわけです。

     た だ、ここにはでておりませんけどもCPI、消費者物価ですけども、各国共通、まぁ、高めであります、ということです。ブラジルはもちろん、インフレ傾向を 言われておりますが、ベネズエラも20パーセント台ですし、えー、アルゼンチンも、おー、民間計測では30パーセント台はいくとのデータがあります。これ に米国の経済動向、それから世界傾向の見通しを加えると、国連、JPモルガンがともにですね、来年、09年は非常に低くなっているのが、厳しくなってい る、というのが実数だと思います。次お願します。

      これ一人あたりのGDPを、ちょっと、主な国だけ選んでみてみたものです。割と所得の高いところ選ばさせていただきました。まぁ、経済状況良好だということで、各国とも1,500ドルづつアップしてるわけです。チリにいたっては1万ドルクラブの仲間入り、ということです。ここでは、ちょっと、データがないんですが、ベネズエラあたりも、もう8,500ドルぐらいにいっています。まぁ、ブラジルなんですけど、これ、えー、去年のGDPを仮に今のレートで割ると、まぁ、1兆5,000億ドルぐらいにと名目はなるわけで割り算すると、8,000ドルぐらいにジャンプアップします。次お願します。

       まぁ、所得上がったというのは、為替レートが高くなった面も非常に大きいわけです。ちょっと為替見てみたんですが、えーっとですね、これ、あまり良い表 ではないけど、04年を100として指数化して、割り算して逆スケールを取ったということでございます。まぁ、隔年の伸びではないですが、ここ2,3年、 中南米で為替が下がっている国があまり、実はないとのことです。小国を含めて、非常に高い伸びを示しているというのが実態だと思います。

     ア ルゼンチンはちょっと下がっている。メキシコも穏やかですけど、これは、介入を重荷にしている。輸出の手取りを確保している。輸出を確保している、と。相 当な介入をしている。その結果、外準が、非常に、いずれも増えてることですね。えー、あのー、まぁ、為替については金融部会さんの方から、ご報告、といま すか、毎回、恒例となっている予測がでますんで、それを私も楽しみにしております。

     こ のレートが続きますと、あのー、非常に、まあ、ドル-円等で考えると物価が高いわけですね。マクドナルド指数ってのが、ビックマック指数っていうんですか ね、20年前からありますけど。あれ、ここで食べると900円ですね、今のレートで。日本で500円、アメリカで400円、世界一物価の高いモスクワで 950円ということですから、恐らく、世界で二番目に高いマクドナルドを食べている、ということになります。これ、仮にレートが2.5になったとしても、 600数十円になっても、まだ高いということになります。

     ブラジル企業にアンケートでいくらぐらいが、適正かと訪ねてみるんですか、勿論業種によって違うんですけど、輸出は低いほうが良い、輸入は高いほうが多い。まぁ、2.2から2.5という答えが非常に多かった、ということが印象的です。次お願します。

       これ、各国の外貨準備高、経済好調、為替介入しているということです。各国とも外準が溜まっているわけです。ブラジルのことについては、御存知の通り、 報道されてますけど、2千億ドル、円で20兆円ぐらい溜まっているわけですね。まぁ、債務残高が上昇しているケースもありますが、いずれの国も最低4ヶ月 から12ヶ月、輸入の12ヶ月分ぐらいは確保しているということで、まぁこの中でもちろんデファルトの心配があるとのことです。

     まぁ、 メキシコが、このように、一番低くて、輸入の4ヶ月分ということです。パリクラブの危険性値というのは、3ヶ月ぐらいから出てきますけれど、まぁ、4ヶ 月、うー、今のところ心配ないと思います。まぁ、ベネズエラはちょっとこう、減少しています。これはあの、一時、あの、昨年、石油価格が落ち着きましたこ とが影響しているのだと思います。次お願します。

       対外直接投資ですけれども、これもいずれも、国情繁栄して好調です。国よって特定分野が激減した例もあります。例えばアルゼンチンは、輸出税を去年1回 上げています。2回目の上げに失敗しましたね。その影響で食品分野、あるいは、工業分野での投資が激減したとの実績があります。おおむね順調に上げていま す。チリが13億ドルと非常に小さくでていますが、これ実は500万円以上のものだけを計算してしまうとこういうことになるわけです。ただ、一件500万 円以下を含めますと、73億ドル、7,300ぐらいにアップします。そのレベルなら、まぁまぁ順当ということです。

     ちなみ昨年の世界各国合計の対外投資は、出す方も入れる方も同じと考えた場合、約2兆ドルです。約200兆円。で、この中で、ランク10位のロシアですけど、これが、だいたい約500億ドル、5兆円ぐらいです。ブラジルは350億ドル、まぁ3兆5,000億万円ですから、推定ランク、推定ですけど、12から、14位ぐらいじゃないかと思います。ちょっと私、10位までしか入手できなかったので分かりません。いずれにしても、非常に相当な額だということだろうということです。

     ち なみもうひとつ、ブラジルは世界貿易、世界の輸出、世界の輸入を合計したなかで、えー、占めるとき、輸出産業では、シェアは、1.2パーセント。輸入では 0.8パーセントぐらいになります。順位としては30位ぐらいですね。世界の中では。したがって、投資の方が優位性があるとのことが分かります。次お願い します。

      ちょっと分かりにくい表がでたんですけど、実は、こうした状況を、日本の会社からみて、中南米って、良いわけでですが、どういう状況ですかというのを、アンケートでみた結果です。これ、JETROの東京の方で、今年の一月、2,600 社にアンケートして700社から回収できたということです。今後3年ぐらいでですね、海外で事業計画する、拡大させたい国はどこなんですか、ということな んですが、これがですね、例えばですね、ブラジルが、これ、すいません、ちょっとプリンター分からないんですが、表の左の上の方ですね、ここにメキシコと ブラジルが見受けられると思いますが、ブラジルが去年よりワンポイントアップして13位ぐらいになっています。

     えー、今年の5月にですね、再度同じアンケートですね、ちょっと、貿易白書を書くとして、東京のほうで、実施して3,500社で900社回収。この時、ブラジルのランクは10位に上昇しています、逆にメキシコは20位に下がっています。次お願いします。

       これ、あの、JETRO内 部資料で大変恐縮なんですけど、貿易の相談が、海外と、東京、日本でどれぐらいありましたかというランクでございます。成績表のようなもので、下がると気 分はよくないんですけど、この中で、色づけした新興国の順位が、どんどんあがっているのがお分かりになるかと思います。ブラジルについては、去年は、えー と、7か8位ですか、今年上半期6月までは6位にジャンプアップしていると。それほど、日本企業さんは、あー、ブラジルに着目していることがお分かりにな るかというふうに思います。はい、次お願いします。

      あのー、これここ1年、2年といいますか、去年、今と去年の日系企業を把握してみたもんです。対象は、中南米全国33カ国でございます。日系企業がないところははずしております。これはJETROの事 務所の管轄に頼んで集計してもらったものです。大変もうしわけないんですが、ブラジルとメキシコは非常に把握がしにくい。まぁ多いとのことで、全く正確で はありません。おおむね目安としてください。3位のチリ以下は、まぁまぁ実態を表しているんじゃないかと思います。いずれにしてもここ1年で25社増えて いると、現在93社ということで、まぁまぁの伸びを示しているんじゃないかというふうに思います。

     まぁ、 中南米の事務所、2002年から2005年かけては全く動かない、もしくは、減少ということなんですけど、ここになってようやく増えてきた、のがこれでお 分かりになるかと思います。製造業は急に増えないんですけど、段々増えているとの報告もあります。例えば、ブラジルですけど、今、我々の事務所で把握して いるのは、発表されたもの、発表される前のもの、製造拠点で新たに12拠点、今後設置との情報があります。それから支店、お店ですね。駐在員事務所、物を 作らないところでは、新たに5社が進出予定でございます。おそらくこれだけ、17社が一国で増えるということは日墨FTAがあった、05年ですか、 2005年にメキシコでそういう現象が起きましたけど、それ以来のことだと思います。次お願いします。

       実はかれこれですね、ブラジルを除いて、日系企業の多い、4ヶ国のですね、経済動向をレビューということを考えておりましたけど、時間の関係でとてもや りきれませんので、えー、4ヶ国メキシコ、ベネズエラ、チリ、アルゼンチンの経済動向についてはちょっと、カットさせていただきます。あの、資料のほう は、ホームページのほうにありますので、後でご覧いただければというふうに思います。申し訳ありません。

      で、あの、ブラジルの経済動向です。まぁ、あのー、この指標、中銀等から発表されているものですから、みなさまよくご存知かと思います。ちょっと次のページお願いします。えーと、これもちょっと省いてください。はい、すいません。

      まず、あの、景気なんですけれども、この国のGDPの特徴点、あのー、内中が非常に高い。逆にいうと、対外が非常に低いってのが特徴点。輸出の比率ってのがGDPに対して、12パーセントぐらいしかありません、輸入に至っては10パーセントか9パーセントです、メキシコの場合なんかは35パーセント、チリの場合ですと40パーセントとの比率です。いかに、まぁ、内中、大国か分かると思います。

     まぁ、あの今のいずれにしても、景気は消費からもたらされていることは皆様、よく御承知だと思います。まぁあの、GDPの 伸びからだけを単純にとるとですね、去年個人消費が6.5パーセントしか伸びていない。それに対して、設備投資が13パーセント伸びている。設備投資の依 存が高い。伸びが高かったが、60パーセント占める個人消費だということです。まぁ、賃金も上がっています、ボルサ・ファミリアも制度が確立されていま す。

     本 来、あれは、フードスタンプですね、アメリカでいうところの。食品に使うんですけど、これでオートバイのローンを払っている人もいると聞きました。クレ ジットも拡大してますということで、物がどんどん売れているとのことです。自動車は今年は300万台を超えるという、レベルが予想されておりまして、けれ ども、日本で今、車は370万台ぐらいしか売れないんですね、軽四輪が200万台で、570万台ということですから、いかにこれが、大きいかがわかると思 います。

     それからパソコン1,000万台。日本でこれが、パソコンは1,400万台ぐらいですか、売れているのは。凄い数ですね。テレビ1,000万台、日本も同じく1,000万台ということなんで、この国の消費がいかに大きいかというのがお分かりになる。この消費いつまで続くんですか、人によっては楽観、悲観両方あります。

     まぁ、あのGDP全 体でみますと08年今年下半期、年を通しては、4から4.8パーセントの伸びというのが、大方の予想ではないかと思います。モルガンは悲観的でありまし て、加熱してますよと、おー、引き締めがはじまりますよということで、来年の3パーセントというふうに非常に厳しい伸びとなっております。えー、貿易につ きましては、部会でコメントがあると思いますので、これちょっと、省略させていただきます。

      ちょっと、あの、消費について触れさせていただきます。残念ながらパワーポイントですね、食費の入ったデータが後にございましたので、パワーポイントが用意できませんでした。口頭の情報でちょっと御了承願います。個人消費07年でだいたいドルに直すと9,000億ドルぐらいだろうと思います。過去5年、2002年からみますと、名目ですけど、3.5倍に伸びてます。ちなみにメキシコの個人消費額が6,500億ドルですけど、5年間で40パーセントしか伸びてません。もちろんドル換算なので、為替が変るとドンとあがりますんで、その要素を考慮しても確実に上昇しているということが分かります。

     それから、次に所得階層の件、まぁ、あのー、一昨日、昨日、今日と新聞にも掲載されていますけども、あのー、ブラジルの消費が高まっているのは、上の人、真中の人が買うかによるとのことなんですが、さっき言いましたが、Eクラスの人でもボルサをですね、オートバイに使ってりして、商品が下がっている説もありますが、いずれにしても中間層の拡大ってのは、事実だと思います。

     ここのデータではないんですが、ロンドンにある、ここのデータではないんですが、ロンドンベースのユーロ・モニターで、実は東京本社は今年、新興国のデータを買って、貿易白書で新興国の投資ということでまとめた報告があります。これによるとブラジルは三段階にわけましょう、と。

     最上位クラスは、年収3万5,000ドル以上にわけるとした場合ですね、2002年では2パーセントしかいなかった、これが今は10パーセントぐらいだというデータがあります。これはBRICsの他の国とくらべると一番高い比率です。ロシアでもこの最上位の階層が3パーセントぐらいだろうといわれてます。

     一番大事な中間層、年収が5,000から3万5,000なんですけども、これは2002年で35パーセントぐらい、今は60パーセントという伸びをしめしている。この比率は、他のBRICsで見ますとロシアと全く、ほぼ同様ということです。実は中国は多そうなんですが、このレベルの中間層は以外に少なくて20パーセントしかいないんですね。ブラジルの購買力が上昇したのはあきらかだろうと思います。

     年齢のことについてのべますが、先進国と比較してもしかたないんですけどだいたい40歳以下の比率は、先進国は50パーセントなんですが、BRICs、ブラジル単独ではとれなかったですが、BEICsで65パーセントが平均ということです。どういう風に分配されているかというと40歳以下で38パーセント、BRICsで58パーセント、これにクレジットと両親の支援が繋がると、比較的に若年層、若年とは言いませんが、40歳以下がキーポイントになって消費が拡大しているとうのが分かるデータです。

     クレジットの問題がこれ、色々なデータが出ていますが、どんどん拡大していますよと、ユーロ・モ ニターのデータによりますと、この4年間、過去4年間、クレジットカードの決算額は、2.2倍になっているそうです。実は、加熱ということがよくいわれま すが、メキシコは、同じ時期の3倍にふえている。ロシアは11倍に増えています。そういう比較、もちろん国情も違いますし、からー、あのー、為替レート換 算の問題もありますから、一概に言いませんが、決してブラジルはですね加熱しすぎではないだろうと思います。もっともっと使っている国がたくさんあります ということです。

       最後にちょっと、耐久消費者の消費率をちょっと触れます。表にすればよかったのですが、間に合わなかったので、お許しください。あの、主な5品目をあげ ますが、これ、まだまだ低い、要するに可能性がまだまだ高いということが言える。デジカメなんですが16.5パーセント、比較になるようにメキシコを上げ ます。27.9パーセントです。携帯は66パーセント、これはメキシコは全く同じ。車35パーセント、メキシコ40パーセント。パソコン22パーセント、 メキシコは24パーセント。ゲーム機7パーセント、これは、メキシコが13パーセントということで、色んなことから考えると、消費はまだまだ伸びる可能性 があるというふうに考えて間違いないというふうに思います。次お願いします。

      対外直接投資です。えー、まぁこれ、あの、2002年にあった投資の例なんですけども、ちょっと次お願いします。えー、額としては、さっきほどもちょっとふれましたが、円にして3兆5,000億ぐらい、前年で8割ちょっとということで、全部で伸張している。もう、ブラジルでは一番の儲け口だと、報道等ですでに御存知だと思います。自動車メーカーさんにとって、本国、中国、ブラジルというのは三大市場になっているわけです。

     ウオールマートやカレフールのようなスーパーも、それから金融もきている。そのウオールマートさんは、アメリカを除いて、カナダから下のアルゼンチンまで、2,000 店があるそうですが、その350をブラジルに確保していると、買収で確保していると。カレフール、これは、北米含めて、255店があります、そのうち 110がブラジルにありますと、いうことで、ブラジル口銭を賭けている。シティーバンクは、報道ですけど、3分1はブラジルから持っててますよというよう なことで、いずれにせよ好調ということです。

     私、 2007年の下半期のデータしかもってないんですけど、20パーセント増と前年と比べて、20パーセント増と今年もレアルが高いとのこともあって、えー、 大変失礼ですが、レアル高で不利にはなりますけど、コストとしては、投資適格もあがりましたし、また増えるんではないかとのいう見通しだと思います。

     それから、あー、えー、今度最後、下の方なんですけども、対外投資ですが、外に出す投資なんですけども、まぁ、去年、7,000 億円ぐらいありまして、まぁ、レアル高で、今年もどんどん投資が増えていくんじゃないかと思います。主な投資は、すでに報道等ですでにご存知だと思います ので、あえてふれませんけど、この中で、日本への進出はですね、まぁ、もうすでに進出されている金融機関さん、それから食品さん、南西石油さんありますけ ど、あらたに金融機関2社が、JETROを通じてフェースを行っているところです。えー、今後進出の可能性が充分にあるのではないかと思います。えーっと、だいぶ時間をオーバーしているんですね。もう、2分だけいただきます。

      実は、この後中南米共通するものを、次お願いします。トピックスということを三点用意したのですが、時間がありませんので、一点だけふれさせてもらいます。まぁ、一点目はPTの影響ってどれぐらいあるんですか、と、まあ、左派政権の影響は、聞きなれたと思いますが、古くなっている。去年の今頃は随分話題になっている、これその後どうなったんですか、ということに、3つ目は、WTO頓挫しましたけど、EPAとはどんな関係ですかと、三点用意したんですが、WTOの件だけ簡単にふれさせて終了させていただければと思います。

       まぁ、あの頓挫したとのことです。今、ルーラさんは北京で右手でしこんでいるという話も聞きましたが、結果はまだわかりませんが、まぁ、もちろん選択肢 としては今後、しばらくバイで行こうとの可能性があるのが、すでに報道されていることです。ただこれが行く、行かないかは別にして、バイであるからと、簡 単にあるのかというはなしなんですが、それは産油国の足並みがますます揃わない。

     WTOの方が、ある意味では崩しやすい、圧力、強制っていますかね。やらなきゃいかんとの意味では、簡単なところでバイの場合は自我と自我で、こちらはメルコスールで、向こうはEU複 数でまとまりがつかない、かえって複雑になっている気がします。まして、チャベスさんがメルコスールのメンバーとして、正式にテーブルに座るとなると、ま た、スペイン国王と喧嘩したり、いうようなことも考えられない。したがってそんな簡単でじゃないだろうと。もともと、96年から2006年までEUでやって、7年間やったので、すぐ合意できるとはとても思えないというところです。じゃ、日本企業さんにとってEPAメリットってあるんですかっての話をします。次お願いします。

      メキシコの例でアンケートを取らしていただきました。これ、去年のアンケートなんですが、メキシコは05年にEPAを発効しています。これメリットあったのですか、という質問に対して、製造業はやはり低い答え。これは予想通りの答え。非製造業は予想通りと。製造業は御存知の通り、メキシコの場合、アメリカ市場を意識している。NAFTAのほうがより重要なわけです。NAFTAがなければ彼らも非常に苦しい。まぁ、日本を見ているというより、むしろアメリカを見ているということが、むしろこれは直接、物を入れられる。ものを出し入れできる、非製造、商社さんをはじめ、サービス業にメリットがあるということです。これは当然のことです。

     次 にどんなメリットがあったのですかと、関税の撤廃はもちろん当然のこと。製造業と非製造業の違いがありますが、法制度の環境整備が違っていますよね。どう いうことかというと、メキシコの場合、公共入札に関しては制限があったんですね。あの、メキシコの会社は入札した場合と日本の会社が入札した場合と、日本 の入札が、仮に、すいません、入札価格が同じだった場合、自動的にメキシコの入札価格に0.9パーセントかけたものが評価価格ということです。外国企業は10パーセントが自動的に不利になる仕組みだったんです。これが無くなったりしたことは、サービス業にとって非常に大きかったといようなことです。

     実際にEPAが 発効してから大型の公共入札、落札をした企業さんが大手にいます。価格のハンデがないということです。発効の辺から、実際に、その、あったんですか、変化 はあったのですか、と。やはり製造業は予想通りあまりなかった。それから、非製造業は、やはり予想された通り完成品の輸入面で非常に便利になった。まぁ一 部部材も調達できることになった、と。まぁ、繰り返しになりますが、メキシコの場合その製造業があるということでNAFTA向きのことなんですが、日本のEPAでのメリットあるのは、仮にブラジルと、メルコスールと結んだ場合、ブラジルの方に分がある。

     ブ ラジルというのは、ブラジルにいらしている日本企業さんのほうが、利益を手にいれる可能性は、メキシコよりはるかに高い。さっき、日系企業の表なんです が、メキシコの場合、300のうち、180が製造業、ここの300のうち、100が製造業。すくなとも、200社にはメリットがあるというふうに思いま す。

     逆に、EPAを結んでいる国より、はるかに不利になる。オーストラリアの例が典型的です。オーストラリアに04年の日本車のシェアが、60パーセント、今は45パーセントしかありません、これは、EPAを結んだ国にシェアを奪われた結果です。逆の例もあります。メキシコはさきほどちょっと触れましたが、えー、自動車のシェアは3年前まではEPAの締結前ですね、05年で25パーセント下が、今、34パーセントに増えています。従って、EPAがないと不利で、逆にEPAがあれば有利というのが一目瞭然ということです。

     今、世界で148組のEPAが発効されています。日本の場合はご存知の通り、7カ国です。7月にインドネシアと発効されています。これが最後、直近のもでございます。日本が今結んでいるEPA国との貿易取引は、全体でみると、34パーセントまで上っている。従って、EPAを前提にものを考えるのが、もうあたりまえのようになっている。

     輸出については20パーセントですが、輸入はもはや45パーセントがEPA締 結国からの輸入になっています。これアジアが多い結果です。色々な意味からでも、おー、早くですね、日伯というか、メルコスールになるんでしょうけども、 メルコスールと提携していただければ、有利になるということを申し上げまして、終わりとさせていただきます。時間オーバーやっぱりしました。申し訳ござい ません。ありがとうございました。

      佐々木さんどうもありがとうございます。非常に内容の濃い、あの、時間はかかりましが、非常に内容がありがたかったと思います。それでは次、金融部会の須田副部会長さんお願いします。よろしくお願いします。

     

    Pdf レポート – コンサルタント部会

  • 金融部会 須田一夫 副部会長


    須田一夫副部会長

      金融部会の副部会長をさせて頂いております須田でございます。あのー、部会長がちょっと日本に急遽行っているもんですから、代わりに今日は発表させていただきたいと思います。

    まず、2008年度上期の回顧ということでございますが、簡単にバックラウンドになります認識といたしまして、政治面での動きについて触れさせていただきます。昨年末CPMF税の4年間延長法案が上院で否決され、政府は2008年度の予算調整に手間取りましたけども、歳出カットあるいはIOF税の増税、金融機関向けのCSLL、社会貢献税の税率アップ等を組み込んだ形で、今年の3月に国会で08年度の予算は承認を得ております。

    今申し上げましたCPMFの 否決、それからクレジットカードを利用した政府高官による公金横領疑惑ですとか、その他色々な政治的混乱がございましたが、世論調査によるルーラ大統領の 支持率は、3月でも73パーセント、6月で72パーセントと高い水準を維持しております。これは、バックグラウンドとしてあるマクロ経済のもとで、実質賃 金、最低給料、年金等の増額が行われていること。低所得者向けの援助策の実施などが、背景にあると考えられます。

    続きまして、経済面について少しお話したいと思います。えー、この表は2007年までの実績と2008年6月末、一部、第一・四半期の数字です。第一・四半期のGDP成 長率は、前年比で、5.8パーセントとなっております。これは、実質賃金の上昇ですとか、銀行貸出し残高の増加などに裏打ちされた、さきほど佐々木さんの 方からお話しがございましが、消費の増加、前年同比で見ますと6.6パーセントの増加になっております。また、顕著な需要で企業の設備投資の増加などが主 要因と考えられます。

    えー、二番目の行にございますインフレにつきましては、今年の1月から6月末までで、3.64パーセントとなっております。えー、食品価格、ガソリンな ど、燃料価格の高騰を背景にインフレが進んでいますし、年末には6パーセントを超える見通しも出ています。これら、昨年の物価上昇に対応するために、7月 以降、中央銀行は基準金利、いわゆるSelic金利を順次引き上げております。

    2007年12月末までの11.25パーセントから、右の枠の中、6月末時点でございますので、12.25パーセント。みなさま御承知の通り、先月の通貨審議会で はさらに0.75パーセント上がって、現在13パーセントとういところまで引き上げが進んでいます。しかしながら、インフレ懸念はまだ払拭されておらず、 中銀はさらなる値上げを示唆しております。また、銀行融資金利は、個人、法人ともに上昇傾向を見せておりますことから、今年後半から成長の鈍化が予測され ております。

    次に貿易収支と対外収支についてお話しさせていただきます。まだ貿易収支は今年の1-6月で114億ドルの黒字ということですので、前年比44.7パーセ ントの減少と大きく減少しております。これはレアル高による輸出の増加、それから小売価格高騰による輸出の増加。輸入の増加が、輸出の増加を上まわったと いう単純の話でございますが、この貿易収支の減少と、レアル高による外国企業による配当送金などにより経常収支は5月末までのベースで、147億ドルの赤 字となっております。

    対外直接投資、それから内外金利差に着目した国外からのブラジル国債への短期投資、株式投資などの外資流入が続き、外貨準備高は6月末で2,000億ドルを突破して、2,008 億ドルにまで達している。これらの外貨流入により為替レートは、07年度末対比でさらに上昇しておりまして、6月、この数字は6月末時点でございますが、 99年以来となる1ドル、1.60を割って、1.59まできております。直近では、すでに皆様ご存知の通り、1.56とか1.57とかをいったりきたりし ている状況でございます。

    マクロ経済の顕著な回復を背景にいたしまして、4月にはスタンダード&プアーズが、それから5月にはフィッチがそれぞれブラジルの外貨立てのソブリン価格を投資適格にBBBマイナスですが、に引き上げています。株式のボベスパ指数は、これらの格上げをばねにして5月29日にはザラ場で最高値、7万3,920、ONBSでも5月20日は7万3,560を記録してますが、その後再び、米国の景気減速懸念、食料価格、燃料価格の高騰化で、株価は下落しておりまして、6月末時点でここに書いております、6万5,018まで戻っております。また、この表の最後のEMBI指数は株価と同様な動きを見せておりますが、175まで今年度途中低下しましたが、6月末では、228ベースポイントと前年比末と同じような水準になっております。

    続きまして、金融面についてご説明いたします。年初から5月まで設備投資増加に伴う個人投資の貸出しの増加、この表ですと、法人向けで14パーセント、3 つ目の段ですね。それから所得の向上と低金利を背景にした個人ローンの増加。11.8パーセント、4行目の段です。貸し出し総額は、史上初めて1兆レアル を突破し、5月末における銀行の貸し出し総額1兆446億レアルまで達しております。

    貸 し出しスプレッドにつきましては、サブプライムローン問題に伴う欧米金利金融機関のアセットの縮小ですとか、国内のレアル資金市場が高まったこと、また、 4月以降に中銀によるSelicの利上げなどから、個人・法人ともに上昇してきております。さきほどお話をしましたけど、下期はさらなる利上げが見込まれ ていますので、貸し出しの伸びはこの先鈍化していくものと予想しております。

    一方で、1、2、3、4、5行目にございます、延滞債権比率につきましては、法人で、いずれも5月データですが1.8パーセントと昨年末と比べて0.2 パーセント、これはよくなっていますが、逆にその次の個人の部分で見ますと、7.3パーセントと年度末と比べて、0.3パーセントの悪化傾向で御座いま す。この個人のデファルト部分の増加傾向は、今後注意していくべきとみております。次お願いします。

    続きまして、今年度下期の展望についてお話させていただきます。まず、政治面に関しては、10月に市長、市議会選挙が行われます。この選挙は2010年の 知事・国会選挙の選挙地盤なり、いわば前哨戦となります。ルーラ政権としては、選挙戦を視野に入れた政策を取りますし、緊縮財政を取る見込みはすくないと 見ています。

    こ のため中銀はインフレの抑制との目標あわせて、高金利政策を採用せざるえない。一方これに伴いまして、内外金利差に着目した海外からの国債への短期投資を ねらった、外貨流入が伴う。それにともなう、レアル高値安定および、貿易黒字の貿易縮小など上半期にみられた傾向がしばらくは続くという可能性が高いとみ られております。

    こうした中でGDP成 長率につきましては、中銀の高金利政策によって、購買意欲の減退も見込まれているため、年度の後半には、成長の速度が鈍ることが予想されます。現段階とし ては、08年全体としては、4.8パーセントとという成長が見込まれています。また、インフレに関しましてはエネルギー、クオリティー価格は高値で推して いること、食品価格の上昇が顕著にみられること、また、今後選挙戦を見込んだ歳出増加が見込まれているために、中銀の高金利政策を持っても、大きく抑制す ることは難しく、市場では6.4パーセントというところを見込んでいます。

    この辺から、みなさまの気になるところでありますが、Selic金利に関しましては、14.25と書いてますが、直近の7月には、0.75の利上げがあっ たことなどから、金融部会の主要4行さんに年度末の予測をお願いしたところ、1行さんは14.25これと同じ数字、残り3行さんは14.75の予測してい らっしゃいます。ブラジルの地場の銀行を含めたマーケットの見込みといたしましても、予測に関しても、だいたい、その辺に並んでいるとのことです。

    ま た、貿易収支につきまして、レアル高に反映した輸入増加にともなう、貿易黒字縮小傾向は変わらず、08年度の貿易収支の予測としては、ここに書いておりま すが、230億ドルとの数値を予測しております。それから、為替レートにつきましては、対外直接投資をはじめ、高金利政策を背景とした、繰り返しになりま すが、海外からのブラジル国債に対する短期取引による外貨流入は引き続き継続されることにより、レアルの高値安定は続くものとみております。

    こ の表では、1.65というふうに12月末を予測しておりますが、この後、また、各社さんの、各行さんのご意見を集めましたところ、一番低く、レアル高を予 測しているところで、1.55。一番レアル安を予測してらっしゃるとのことで、1.65。残り2行さんは1.60ということでございましたので、4行さん の平均予測としては1.60の数字を想定しております。

    続きまして、今度は、保険業界のほうの話に移らせていただきます。この表にございますのは、保険業界の売上にあたりまして収入保険料、左側でございます ね、それと、収入保険の内から保険金としてお支払いをする額、割合、私たちの言葉で、損害率と申しますが、その上半期、実際には5月末までの数字でござい ますが、示しております。

    一 番下の全種目の合計ベースで見ますと、収入保健料は前年比で11.5パーセント増ですので、インフレをかなり上回る成長を、伸びをしめしております。さら に、種目別にご覧いただきますと、この中で伸びが高いのは、自動車保険と生命保険の分野でございます。自動車保険の中で、みなさま個人の想定されますと、 保険料は高いと感じておられますが、保険業界では、すでに一年半ほどまえから、自動車保険につきましては競走がかなり激しくなっておりまして、その結果、 低位安定状態になっております。

    一 方、対象となる自動車のほうは、これもみなさまご存知の通り、2007年、2008年と新車販売数絶好調とのことなので、15パーセントアップということ は、保険料は低位安定しているが、自動車販売台車の増加に伴なって、伸びがでてきたということでございます。前回、あるいは前々回のこのシンポジュームの なかでは、自動車の売上増にもかかわらず、自動車保険が伸びていないとご説明させていただいていたものと思いますが、ようやく保険料の方は底上状態で、車 の販売台数にリンクしているとのことです。

    一方で右側の表にございます損害率でございますが、赤字で書いておりますところが、種目の損害率が悪化しているところを示しております。この中で、全体では下にございますように1.8ポイントほど改善していますので、業界としては喜ばしいことですが、中でも最大品目を占めます自動車保険につきましては損害率が悪化傾向であります。これはお話させていただいた流れと一致する傾向でございまして、えー、業界各社間の競走が激化しておりまして、保険が低い水準で留まっていること、そのために支払いの割合が高くなってきていることを示しております。

    次に下期の展望と若干、2番、3番に書いてございます、今年度と保健業界における特徴点でございます。さきほど、スライドでご覧いただいたように収入保険 料は顕著な国内経済を反映して、下期も拡大傾向が続くというふうに予測されておりますが、特に自動車保険では、過度な値引き競争による損害率の悪化といっ たことが、業界としては、懸念される材料でございます。

    一方、2番目にある再保険の自由化というのが今年の業界のトピックスでございます。ブラジルでは再保険はIRBという半官営再保険会社が一手に独占している状態が長らく続いております。もう10年近く前から自由化は出ては消え、出ては消えしていたのですが、ようやく今年の4月17日に自由化ということが、発行いたしました。

    た だし、まだ当面は2、3年の間は暫定期間、猶予期間がありますので、一気に他の欧米の国と同様な再保険が自由になるということではございませんが、すでに 内外を含めた主として欧米の専門のプレーヤーをはじめとして、ブラジルで再保険会社の設立登記、あるいはブラジル国外から引き受けるための手続きを完了し ているところもございました。徐々にこの分野では国際市場の影響を受けるようになってくると思います。従いまして、特に企業のリスクを引き受ける保険の分 野では、今後,利益がさらに拡がっていくものというふうに想定しております

    最 後はソルベンシーマージンというんですが、銀行の自己資本比率に似た概念で、保険会社は常に不確定のリスクの引き受けをしているもんですから、引き受けリ スク規模に応じた資本を持っている必要があるというような考え方です。これの計算方法、ロジックは、従来はブラジルはやや古いタイプでしたが、これもほぼEU共通バージョンと考え方に準拠した、昨年の12月、ごめんなさい、今年の1月から新ルールが発行されています。

    当 初、監督官庁から提示されたルールは、かなり厳格な内容だったために、業界で大きな再編成が懸念されましたが、最後の最後の段階になって、少し緩和されて ござまして、ここに書いているとおりに今のところ大きな動きはでておりません。現段階はいくつかあるリスク要因のリスクの一部しか導入されておりませんの で、今後の監督官庁の新しいルールの発表、あるいは適用によっては、流動的な要素が入っている状況でございます。若干オーバーしましたが、一応金融部会と しては以上で御座います。

    須田さんどうもありがとうございます。それでは、質問ございましたら、受付けたいと思いますが、よろしいでしょうか。はい、どうもありがとうございまし た。それでは、次に貿易部会の三分一副部会長さんからよろしくお願いします。なお、あのー、レーザーポインターが演題の上にセットされてますので、それを ご使用ください。

     

    Pdf レポート – 金融部会

  • 貿易部会 三分一克則 副部会長


    三分一克則副部会長

      では、あのー、貿易部会より2008年上期の貿易動向ならびに、通年の見通しについて、あのー話したいと思います。あのー,本来であれば、部会長である三 菱商事、佐々木さんが発表されるんですけど、出張中とのことで、副部会長である私が、三分一が代わりに発表します。資料のほうは例年どおりJETRO大岩さんに全面的に協力していただいた資料をベースにお話させていただきます。

    数字について、あのー、数字については、あのー、パーセンテージを中心に説明します。金額のほうはパワーポイントの方に書いておりますのでそちらを見てく ださい。まず、2008年上半期の貿易予想化しますと貿易黒字は前年度比45パーセント減の113億ドルとなりました。輸出額は上半期として過去最高を記 録しておりますが、貿易黒字としては黒字が始まった2003年上期の水準が落ち込んでいます。

    2008年第1・四半期の実質GDPの 成長率は、5.8パーセントを記録しております。インフレ率は上昇傾向にありますが、消費は引き続き好調で、内需の拡大基調が続いております。これにレア ル高が加わって、上半期の輸入は、前年比で、51パーセントの増加の伸びを示しております。他方、輸出の、えー、輸出なんですけど、国際価格の高騰によ り、一次産品の輸出額が4割程度、4割以上伸びをしめしている。その一方で、数量ベースでは9.7パーセント増に留まっています。全体でも24パーセント 前後に留まっています。結果として2007年上半期と同じく輸入の伸びが、輸出の伸びを上回る結果となっております。

    こ ちら、あのー、グラフで表したものですが、非常に顕著に現れているんですけど、2007年と2008年。2008年は約半分の貿易黒字になっております。 ブラジルの主要商品の商品別輸出なんですけど、2008年上半期の輸出は、一次産品が前年度比43パーセント増、半製品が20パーセント増、工業製品が 12パーセント増、全てのカテゴリーで最高の記録を更新しております。これを数量でみますと、主にレアル高の影響半製品は4.6パーセントの増加、工業製 品は8.3パーセントの減少を記録しております。

    で、 一次産品の輸出を品目別に見ますと、鉄鉱石は30パーセントの増、大豆は70パーセントの増、原油は57パーセントの増、鶏肉は46パーセントの増を記録 しております。鉄鉱石は数量ベースで13パーセントの増で、輸出額は、中国、日本、ドイツの順になっています。で、原油のほうは、数量ベースでは19パー セントの減。輸出額は、米国、セントルシア、チリの順になっております。セントルシアはカリブ海の小国で、米国のヘッシャというところが原油の基地として ターミナルを持っております。ベネズエラもここを利用しております。

    大 豆の輸出額の増加、国際価格の影響が多く、数量ベースでは7.9パーセントの増加に留まっております。国別で輸出額を見ますと中国は50パーセントを占め て、その後オランダ、スペイン、イタリアと続いております。鶏肉については数量ベースでも14パーセントの増加と好調で、輸出額では日本、サウジアラビ ア、韓国、香港、UAEが上位をしめております。

    穀 物のトウモロコシですけど、主要生産地での不作やエタノールの需要増によって、米国産の輸出減少が影響して、2007年は輸出量としては最高、過去最高を 記録しました。今期なんですけど、7.5パーセントの増で295万トンに留まっています。トウモロコシ価格の高騰は、国内でも飼料コストの上昇を招いてい まして、2008年2月、養鶏農家が政府に対して、輸出制限を要請しましたけど、現時点では政府の方は、なんら輸出処置をとる様子はございません。

    半製品なんですけど、上位からセルロース28、27パーセント増、鉄鋼・半製品46パーセント増、粗糖が8.9パーセント減、鋳鉄・銑鉄が46パーセント増、数量ベースで見ますと4品目の粗糖、鋳鉄・銑鉄、これらを除いて微増か減少にとどまっております。

    工 業製品ですけど、世界第三位の航空機メーカーであるエンブラエルが輸出する航空機が47パーセント増で1位になっております。輸出先では、米国、オースト リア、英国、カナダが上位をしめておりまして、コロンビアに対しては、2007年からは、軍用の訓練機ですね、これの輸出が始まっておりす。2以下の品目 では乗用車が8.9パーセント増、自動車・トラクター部品が15パーセント増、燃料が3パーセント増と数量ベースでは、航空機以外は軒並み微増か減少と なっております。

    輸 入品目の中身ですけど、2008年上期は前年同期比51パーセント増、前年度、上半期から伸びてる率は95年以降最大を記録しております。商品別では資本 財が47パーセント増、原料・中間材が45パーセント増、消費財が43パーセント増。全てのカテゴリーで4割以上の伸びを示しています。

    輸 入を品目別に見ますと、まず資本財ですけど、1位は工業用機械が55パーセント増を記録していまして、以下、オフィス、研究機関向け機械、器具、産業用付 属品と続いて、いずれも3割以上の伸び率を示しております。消費財なんですけど、非耐久消費財24パーセント増、耐久消費財が62パーセントの増となって おります。購買力の拡大をしめしております。

    耐 久消費財では、乗用車が103パーセントの増、家庭用品が53パーセントの増、乗用車の輸入相手国ではアルゼンチン、韓国、メキシコとなっております。輸 出を相手国別に見ますと、上位から米国、アルゼンチン、中国となっております。米国向けは一桁台の伸び率。全体に占めるシェアも年々低下しております。前 年同期では16パーセントから14パーセント落ちております。

    ア ルゼンチン向けなんですけど、36パーセントの増で、自動車関連、固定電話など工業製品を中心に好調な伸びを示しております。今年5月ですけど、アルゼン チンとの自動車協定交渉が決着し、2014年7月から完成車の完全自由貿易が実現します。また、新興国では、ブラジル産コモデティの需要が拡大しておりま す。

    中 国向け原油、大豆油が伸びておりまして、51パーセント増を示しております。ロシア向けでは、牛肉、鶏肉、大豆が大幅に伸びておりまして、37パーセント の増加となっております。中東ではサウジアラビア向けを中心に食肉、大豆、トウモロコシの輸出が好調で、前年比で15パーセント増です。

    アフリカ向けでは7.6パーセント増で、自動車関連、食肉、大豆が上位品目を示しております。国別では、アンゴラが伸びております。南アを含む南部アフリカ関税同盟が、今年6月、ブラジルを含むメルコスールとの特恵貿易協定の締結の承認をしました。約1,000品目が対象になって、関税率削減幅、10から100パーセントとなる予定です。

    こ この中で米国の占める率が非常に低くなっておりますけど、サブプライム問題でブラジルに対する影響がどうなるかと、ちょっと貿易部会のなかで討議されたん ですけど、ここまで低くなったらサブプライムの問題が直接ブラジルに影響してくるのはないんではないかと。むしろ、中国が伸びてますんで、米国の影響が中 国にいって、その影響でブラジル及ぼす影響があるのではないかという論議がされました。

    は い。輸入を相手国別に見ますと、中国が72パーセントの増、続いて、アルゼンチン、ドイツと前年度同期、米国に継ぐ輸入相手国となっております。中国から の輸入の中心は、集積回路、パソコン部品、液晶パネルが上位を占めてまして、コークス、携帯電話も急増しております。米国からの輸入については、航空機用 エンジン、石炭、燃料が中心になっております。で、総額に占める米国の割合も下がっておりまして、2ポイント昨年より下がっています。

    ア ルゼンチンからの輸入なんですけど二国間の自動車協定によりまして、活用した乗用車の輸入が非常に多く、84パーセントの増を記録しております。ブラジル が輸入に依存する数少ない食料品なんですけど、小麦ですけど、数量ベースでは95パーセントの減となってますけど、金額では12パーセントの増を記録して おります。これは、あのー、アルゼンチン政府による輸出税の引き上げが影響しております。

    韓 国についてですけど、輸入が72パーセントの増となっております。で、主要品目では、土木機械、携帯電話、乗用車、乗用車は、357パーセントの増となっ ております。で、あのー韓国については米国の景気が悪くなったんで、その品物をブラジルに持って来ているのではないかとの見方もでておりました。ドイツな んですけど、自動車用部品、医療機器、ナイジェリアは原油、イタリアは自動車部品の輸入額が伸びております。

    対日貿易についてですけど、2008年の上期、輸出が前年度比で23パーセント増となっております。輸入が50パーセント増、85年ブラジルの民政移管後 では往復貿易額が初めて100億ドルを越えるベースで推移しております。ブラジルの貿易額に占める日本の割合シェアは輸出が2.8パーセント、輸入が4 パーセント、国別順位では、輸出が前年の7位から6位に上昇しておりますけど、輸入は変わっておりません。5位のまんまです。

    あのー、2005年、2006年とブラジルの輸出超でしたけど、2007年は2億8,000 万ドルのブラジルの輸入超となっております。今期上半期では前期の約二倍の輸入超額となっております。対日の輸出品目ですけど鉄鉱石、アルミニウム、鶏 肉、合金、大豆が中心で、鶏肉ですけど輸出額は約2倍になっております。数量ベースでも、えー、数量ベースは20パーセントの伸び率になっておりまして、 鶏肉の値段が上がっていることが分かります。

    次に対日の輸入なんですけど、上位品目は自動車部品、乗用車、自動車用エンジン部品、ベアリング、歯車などです。これらは順調に伸びております。レアル高 に加えて日系二輪、四輪、生産活動の拡大が反映しているものと思われます。米国の格付け会社によるブラジルの投資適格の引き上げ、日本移民百周年などに よって、日本企業のブラジルへの感心が高まっております。

    今年度、6月ですけど甘利経済大臣が現役閣僚として24年ぶりにブラジルを訪れ、ルーラ大統領、政府要人と会談したほか、あのー、貿易投資促進官民合同委員会の設置に合意しました。今後、日本ブラジルで、EPAの論議・議論など日伯間の経済関係強化の気運が高まって、今後とも継続していくものだと思われます。

    最 後ですけど、今年度の見通しなんですけど、通期での見通しなんですけどブラジル貿易界の2008年の通年の7月末の予測では、2008年の通年での貿易黒 字は230億から250億ドルになると言われております。中央銀行なんですけど、236億としておりまして、通年では2007年の水準400億ドルを下回 るのは間違いないとみられております。ブラジルの開発商工省なんですけど、貿易黒字の減少は資本財や原材料の輸入の増加による、これは国内経済の活性化を 意味しており、政府としてはレアル高是正のため、なんらかの介入を行うことはなんら考えていないと、こういうようなコメントを大臣が出しております。

    貿 易部会としては、今年度旺盛な内需が続くものとみていますけど、貿易黒字の減少を経済閣僚は容認した格好となっております。一方、資本財や部品など輸入に 頼らず、国産化するための投資奨励施策の欠如、今後の原油価格の低下によって輸出額の減少が続き、ブラジルのリスクが、ブラジルのリスクを指摘する声も増 えてきているというふうに貿易部会ではみております。以上です。

    三分一さんありがとうございます。えーと、質問ございましたら受付けたいとおもいますが。よろしいでしょうか。それでは先に進めさせていただきます。引き続きまして、次に化学部会の松尾部会長さまより願いします。

    どうぞ始めてください。お願いします。

     

    Pdf レポート – 貿易部会

  • 化学品部会 松尾新一郎 部会長

     松尾新一郎部会長

    今 年はですね、前年は10分野でしたが、今年は新たに2分野が増えまして、全体で12分野を説明いたします。最初に完成品のほうですが、これはパイロットさ んです。見てもらったら分かりますように、こっち景気が良いせいですか、やっぱり筆記具が伸びている。それからテレビでコマーシャルやっても伸びるそうで すが、もうひとつ、一番効き目があるのは、ベージャですね。これ、宣伝料が高いらしいけど、ホームページかなんかのっけてるんで、アドレスのっけてるん で、これにアクセスしたら結構でてくると、だから,皆さんもやってみてはいかがでしょうか。

    そ れからですね、輸入新製品本格的に売上げに貢献というのは、ディティールがついてるホワイトボードマーカー、パナボードでしたっけ。パナボードに使うやつ でして。ディティールがついておりまして、私どもも使用しております。さきほどから出ている、レアル高の影響で輸入製品は非常に好調に推移しておることで す。次お願いします。

    高級化粧品です。資生堂さんです。やっぱり収入が増えてきた影響でしょうか、やっぱり高級化粧品を使う人が増えてきて、サンパウロとリオに集中して投資を集中したところ、今年の下期は二桁成長を見込むと、強気で御座います。次お願いします。

    次は一般用薬品です。これは久光製薬さんです。サロンパスさんです。サロンパスさんも、テレビコマーシャルでずいぶん伸びていった。ご存知の通り、サロン パスカップですね、これは、いわゆる、名前が通りやすくなった。ただし、ブラジル人やっぱ、毛が濃いんでしょうね、貼り薬はどうも引っ剥がす時にいたいん ですね。塗るのとか、スプレーが良いと、当然ですよね。毛深いですからね。えーと、一番意味深なブラジル経済の動向がクエスチョンマークだとこういうこと だと。伸びていれば、余裕が出てきて、運動もすれば、あちこち肩も凝ったりするからということで、所謂、経済が上向けば、上向くほど伸びるだそうです。次 お願いします

    薬から家庭の一般のエアーゾルだとかマットなどの原料です。プラス要因、マイナス要因どっちとも書きにくいんですが、クエスチョンマークにしてますが、デ ング熱ですね。熱帯縞蚊で伝播しますけど、政府が言ってますけども、ソースリダクション、発生源対策をしなさいと、水溜りを減らしなさいと言ってるんです が、新生児もしくは、ボウフラですね、ウイルスを伝播する力は全くないんです。本当にウイルスを伝播してしまうのは経産蚊、卵産んだ雌の蚊だけなんです。 患者から吸いますね、体内でウイルスを培養しまして、次に刺す時に唾液と一緒に伝搬すると。こういうことなんです。良いんですけどね、デング熱流行すると なると、エアゾール、マットなんかがよく売れて、増加、増加と。年末までの商売決まっています。次お願いします。

    これからですね、アグロですね、絶好調なのは、農薬のその通りでして、毎年10億ドルづつぐらいの販売増でございます。それから、私が説明するまでもなく 貿易部会からでてまいりましたけども、アグリカルチャー・コモデティの国際相場上がっていると。私ども、ともかくなことを言ってるんですが、市場の拡大に 追いつかない供給力ってのはですね、注文もらっても物がないんです。という具合ででして、以前はギュウギュウ押し込みの仕事を私は、9年前に来た時は3月 の期末はギュウギュウ押し込んでやってましたんですが、出してくれと言っても足りないぐらい。従いまして、これから、需要期になりますので、下期の展望も 明るいと、いうことです。次お願いします。

    肥料は申すまでもございません。これはですね、えーと、ペーパー・パティステーションでございまして、わざわざアンケートをもらわなくても分かる、という 状況でございますが、農薬と違いましてこれは3ヵ月ぐらい早めにまいりますので上期がピーク、下期は需要期を外れるということで、下期はあんまり望めない とのことです。次お願いします。

    えー、先ほど鶏肉の話が出ておりましたけども、千葉県の会社がなんか給食用の鶏肉をブラジル産を岩手県産というのが確か、一カ月ぐらい前にニュースで流れ てましたが、ブラジルのブロイラーの方がよっぽど健康的なんですよ。当国はですね、2006年からえーと、抗生物質の使用が禁止されています。で、状況環 境も明るいところで、風通しのいいところで育っております。従いまして、ブラジル産の鶏肉の方が、絶対、日本産より良いんです。だからですね、あのー、鶏 肉の輸出先は、さきほど、三分一さんのお話しでもサウジアラビアと出てましたが、ブロイラーの工場行きますと、かならずメッカの方向いて、そこでこれやる んですね。イスラム教のですね、牧師さんもきてちゃんとお祈りあげるんだそうです。カスタマーサービス徹底しております。次お願いします。

    これから、いわゆる素材産業のほうですが、プラスチック樹脂用の着色剤。アグロと並んでさきほどから出てますが、車両用のですね、なんですか、プラスチッ ク材、あのー、いわゆるテールランプのカバーだとか、なんですかやっぱり、車両で好調があれば、その素材産業も好調であると。やっぱり、自動車業界厳しい らしくて、あんまり利益を望めないと。微増にしかできませんと、こういうことです。次お願いします。

    同じく半分は大衆用のですね瞬間接着剤ありますね、あれもしくは自動車用のビスですね、それが絶対外れないように接着剤を処理するらしんですが、これも自 動車、二輪関係の販売増で下期も増加を見込んでいる、と。えーと、あの、先ほどから申し上げておりますけども、みんなの、ですね、みんなの生活が、給料が よくなって、収入が増えてくると、となってくると接着剤の売上が減るんだそうです。なんでか分かります? 新しいもん買うんです。修理しなくなるんです よ。だそうです。ですから生活があがれば、大衆接着剤は売上が下がると、面白いお話を伺いました。次お願いします。

    これは、また新たに来られた大塚化学さんです。ポルフィン発光体。なんやよう分からんのやけど、ようはスポンジです。スポンジで、車に使われるのが約50 パーセント。後は、靴の中敷ですか、あれに使われるんだそうです。従いまして、工場はこちらにございませんで、リオ・グランデ・ド・スールにあるんだそう です。次お願いします。

    唯一化学部品会で涙をのんでおられるのは、ブラジルでロジンを、松脂ですね、それを採取して輸出を目論んでおられる播磨化学製薬ですね。ここはですね、 やっぱり、輸出激減で、大幅減、大幅減、下期も全く望めないとのことです。部会に出てくるまでもなくサティスペーションです。次お願いします。

    商社の方もメンバーで入っておられるんですけど、化学品担当のかたに多数集まっていただきまして、これも全く他のところと同じで、自動車及び、アグロです ね、あの、プラス要因と。一社だけ、下期はですね、個人向けのそういうクレジットカード等の話しがございましたが、このまま、快調に進むんであろうか。そ のうちずっこけるんであろうかとの心配があるようです。やっぱりバイオにエタノールに調査班の勝手やけど、ここんところに集中しているようです。で、次お 願いします。

    全部あわせますと、私が言いましたようにロジン、松脂に採取されてそれをテレピン油だとか作っておられる播磨化学さん以外は、みなさんプラス、プラスとき ております。下期の展望も、ほぼ12分野中10社がほぼ微増もしくは増加していくという見込みでございます。以上でございます。えーと時間内に終わりまし たね、今年は時間内に終わりましたね。

    松尾さんありがとうございます。初めて時間内に終わりましたね。あの、えーと、あの、質問ございましたら、時間が余ってますんで、よろしいでしょうか。それでは、次の機械金属部会のほうに進ませていただきます、西岡部会長にお願いします。

     

    Pdf レポート – 化学品部会

  • 機械金属部会 西岡勝樹 部会長

    西岡勝樹部会長

       これかな。えー、日立製作所、機械金属部会長の西岡でございます。えーと、どれだっけ。これか。あ、こっちか。あれ。これか。こちら。こっちのほうがいい ですね。はい、機械金属部会2008年の上期の回顧と下期の展望を発表させていただきます。まず機械金属部会は多種多様な業種分野に分かれております。今 回は、1から9の業種について、ご説明させていただきます。聞こえます?すいません。

    すいません、1番、鉄鋼鋼板分野です。上期の回顧の傾向はどうでしょうか。ぼん、ぼん。好調で推移いたしました。その要因をプラス要因、マイナス要因に分 析いたしております。自動車、自動車部品、建設備品が好調で国内市場も同期比12パーセント増の状況です。国内供給不足の状況で輸入も同期比の50パーセ ント増。国内へのシフトのため、輸出が同期比43パーセントとなるマイナス要因が発生しました。

    で は、下期の要因はどうでしょうか。ぼん、ぼん。やや好調という結果となりました。そのプラス要因は、どん。国内市場は好調継続、新記録も確実の状況です。 ほぼ全ての、あ、すいません、ほぼ全ての産業部門が好調、ということです。マイナス要因として、輸入が国際価格の高騰で横ばい傾向、輸出も製造能力が生産 限界にあり、低レベルにあるだろうと予想されます。まぁ増産が待ち望まれます。

    はい、次、2番、電力大型プロジェクト案件。上期の回顧の状況はどうでしょうか。ぼん、ぼん。好調です。そのプラス要因は、はい、大型プロジェクトが目白押しです。好調な高炉、製鉄高炉向けの自家発電。ペトロブラスの旺盛な投資。民間企業のIPP案件など好調な要因がありました。マイナス要因は、一応ないようですが、大型プロジェクトでは、どのように資金を調達するのか、いったいいくらぐらいかかるのでしょうか、ということです。

    で は、下期の展望はどうでしょうか、ぼん、ぼん、ぼん。好調とでました。同じように大型プロジェクト、ぼん、が目白押になっております。新幹線プロジェクト もあり、相変わらず、旺盛なペトロブラスや中南米他国の石炭案件など好調な案件があります。同様にマイナス要因としては、今のところ、まぁ、あまり見当た らないという状況だそうです。

    ぼん、3。プラント。紙・パルプ、石油価格、エタノールはどうでしょうか。上期の回顧、ぼん、ぼん、ぼん。絶好調と出ました。その絶好調のプラス要因はな んでしょうか。ぼん、はい。紙・パルプ企業の市況が好調です。ボイラーの新設。容量アップ増が多々あります。また、化学、石油化学の設備投資が旺盛であ り、特にペトロブラスの大型投資があります。また、鉄鋼、非鉄業界も設備投資旺盛で、自家発熱交換器新設の受注があります。また、エタノール業界はプラン ト建設ラッシュで、バガス炊きボイラーも受注されたそうです。

    下 期のぼん、ぼん、ぼん。これもまた絶好調です。上期と同じような状況が継続されるとのことでしょう。紙・パルプ業界の増産意欲が継続します。石油化学業界 ペトロブラスの大型投資が一層旺盛になります。鉄鋼・非鉄業界設備投資旺盛が継続する。エタノール業界建設ラッシュが続く、現在、ボイラーの商談中だそう です。マイナス要因今のところ、この業界も見当たりません。

    次、建設機械。上期の回帰は、ぼん、ぼん。これもまた絶好調です。それでは、その要因はなんでしょうか。ぼん。ブラジル経済の好調を繁栄し、また、PACの影響で、国内販売同期比なんと35パーセント増でした。輸入機の大幅増もありまして、183パーセントの記録しております。輸出はほぼ横ばいだそうです。マイナス要因として、輸入需要増度で、国内製造業で、頭が痛い状況だったそうです。

    では下期はどうでしょうか。ぼん、ぼん。絶好調です。はい、これもまた絶好調です。国内販売、どん。はい、同期比20パーセント増を見込んでいる。これはPACの需要増を見込んでいるそうです。また、マイナス要因として輸出が米国の不調に続いて、欧州の落ち込みを予想。レアル高の影響を懸念しているといわれております。

    次に、5番、産業用圧縮機。この上期の回顧はどういう傾向なんでしょうか。好調と出ました。要因は、先ほどのプラント分野でもありましたが、化学業界の市 況が好調だった。これはペトロブラスの投資です。ブロイラー業界も好調です。輸出が継続して好調。牛肉価格が高騰して、販売が伸びた。大手食品やビール業 界が投資を増大させている状況です。マイナス要因としては、牛が減少しましたので、価格高騰の影響が牛肉業界を直撃した、ということです。

    で は、下期は、ぼん、ぼん、ぼん。これも好調に推移すると予測しております。要因は上期同様に石油化学業界の市況が好調を維持すると予想しております。ま た、ペトロブラスの投資が旺盛であるということですね。ブロイラー業界が好調を維持しております。マイナス要因として、一部業界で飽和を受けているとの報 告を受けております。

    次に鋳造機械の上期の回顧はどうなんでしょうか。ぼん、ぼん、ぼん。これも好調ということです。ぼん、プラス要因として自動車業界の成長により同期比 10.3パーセントの伸びを記録しております。国内需要が旺盛という結果です。一部マイナス要因として、輸出トン数、昨年の同期比5パーセント減という傾 向があったそうです。では、下期はどうでしょうか。ぼん、うん。これも好調、好調ということです。プラス要因として下期も成長が継続して、2008年記録 更新、350万トンを見込んでいるということです。マイナス要因はありません、だそうです。

    続きに、各種工具、製作工具、耐磨工具、切削工具、これの上期の回顧を見てみましょう。ぼん、ぼん、ぼん。やや好調ということになりました。その要因は、 ぼん、はい。自動車向け切削工具の販売が増加した結果です。また耐摩工具の販売も好調で、同期比12パーセント増ということです。ただし、ここにきて、マ イナス要因もあげられております。一部のメーカーからレアル高、鋼材価格の高騰により、販売減もいわれはじめております。鉱山用工具は旺盛でありますが、 現地生産の他社との価格競争もあるとの報告です。

    で は、下期、これもやや好調、やや好調となりました。継続して、自動車産業は好調と予測されます。対上期20パーセントアップの販売をめざしております。鉄 鋼業の投資に期待をしております。マイナス要因として、さきほども申しましたがレアル高によるということ、それと中国輸入品との競合、インフレ、鋼材価格 の高騰など、要因も懸念されるところです。

    次、8。軸受。この上期の回顧はどうでしょう。好調となりました。自動車、自動二輪、農業機械、鉱山等などの顧客生産の拡大で、需要が活発。軸受輸入も対 前年、36パーセントでした。マイナス要因も出始めております。現地生産品、材料の値上げ、輸入品とのコスト競走など。

    で は、下期の展望はどうでしょうか。やや好調ということですね。要因は鉱山、鉄鋼、エタノール、インフラ整備は好調です。大型軸受も拡大傾向、中国向け風力 案件、大型軸受はタイトな状況です。しかし、マイナス要因も影響してきているようです。2008年の後半は、値上げの影響、過度の金融締め付けによる個人 消費の悪化などがでてくるのではないかということです。

    最後に油・潤滑油。上期の回顧はどうでしょうか。やや好調ということです。その要因は、はい、内需が牽引しており、昨年よりも好調が継続しております。そ のため高い販売でありました。ただし、マイナス要因もあり、昨年来の原油高騰による潤滑油成分価格のアップが影響して減収傾向であったということです。

    で は、下期の展望はどうでしょうか。あー、初めて出ました、堅持するとのことです。自動車、すいません、ぼん、自動車産業の順調な推移を見込み、ほぼ上期同 様の販売を見込んでいるとのことです。マイナス要因といたしましては、再三申し上げていますが、原料価格の上昇が採算性に問題が出てき始めているというこ とです。

    それでは本当に最後です。ぼん。機械金属部会全体についてその傾向はどうだったんでしょうか。まずは、上期の回顧を纏めたものを出します。どん、だんだん だんだん、好調ということです。はい、原油、材料コストの高騰、レアル高のマイナス要因があるものの、順調なブラジル経済、特に自動車、自動二輪、石油化 学産業、電力案件などのプラス要因があり、好調ということになりました。では、最後です。下期の展望はいかに。だんだん。好調持続ということになります。 以上機械金属部会の発表を終わらせていただきます。お粗末さまでした。

    西岡さんどうもありがとうございました。あのー、パワーポイントの技術を使われた、はじめての方だと思います。何か質問ございませんか。では、前半最後の自動車部会の方に進めせていただきたいと思います。峯川部会長お願いします。

     

    Pdf レポート – 機械金属部会

  • 自動車部会 峯川尚 部会長

    峯川尚部会長

    自動車部会の方を担当させてもらっていただいております峯川でございます。はい。それでは報告のほうに移らせていただきます。いつものようにですね、四輪車、二輪車の販売状況等を説明させていただきます。はい。まず四輪業界の動向です。

    は い。こちらのグラフは、今年の前半1月から6月までの販売を示したものです。棒グラフは今年の1月から6月まで毎月の累計の販売を示しております。赤線の 折れ線グラフの方はですね、累計の前年比の伸び率を示しております。最終の着地点の6月を見ますと133万台ということで累計133万台、前年度比で 131パーセントと今年の前半一環した基調で前年度比で130パーセント前後上回るというところで推移をしております。

    はい。このような前提で下期を見ますと、下期の予測の中で、我々の参考になりますのが、オートデータ値のですね、セミナーでございます。これは、今年の6 月に行われまして四輪業界の専門雑誌であるオートデータで毎年行っているものであります。これは5月までの実績を参考にですね、下期を読んだものでございますが、最終の着地点とございましては、若干見えにくいかと思いますが、生産の方で340万台、販売の方で約300万台という読み方になっておりまして、これは前半の伸びに対しまして、下期は若干減速するという見方になっております。

    こ の背景になっております、この右側にあります、さきほどから話題になっておりますローンの、若干の引き締めがあるのではないかというふうに思われておりま す。実際に今、金利が上がっております。また自動車業界前半ですね、特に60回ローン、72回ローンとまた、頭金なしなどという、非常にこう、かなりこう 需要を刺激するような施策をうってまいりました。その一方で、自動車ローンの不払い率の若干上昇傾向ということもございまして、現状審査の厳しめになって おります。このような引締めがですね、かなり顕在化してきましたので、下期は若干マイナスするであろう、伸びが鈍るであろうとのそういう見方で、オート データ値は340万台ぐらいになっております。

    はい、こちらがですね、まぁ、過去の推移と四輪の自工会であります、アンファービア(Anfavea)の予測をしたものでございます。こちらは2000年 からの推移を示しておりますが、すいません、ちょっとあれですね、あ、すいません、ちょっとポインターあれなんで、2000年から推移を示しておりますけ ど、2007年に大きく伸びて246万台ということで、今年の、前回のですね、時に2008年の予測としては、アンファービアの290万台というものをご 紹介いたしましたけれども、これは前年比に対しまして、118パーセントということでございましたが、まぁこのような前半の好調前提にしますと、やはり後 半は若干伸びが落ちるということでも、通年してですね前年比の124パーセント、306万台ということで、自工会であるアンファービアのほうの情報を修正 しております。

    はい。こちらが、四輪台数の生産と輸出台数でございます。こちらの棒グラフのほうがですね、商用車、乗用車の生産台数の推移でございます。また、こちらの 折れ線グラフのほうが、紫のほうが輸出、この黄緑のほうが輸入の台数を示したものでございます。全体に今の販売模様を受けて、これ、輸出も引き続き、こち らを見ましてもお分かりになりますように、レアル高の中でありますけれども、アルゼンチン向け、メキシコ向け等が顕著に推移しておりますので、ほぼ前年並 みの推移をする。それから若干輸入のほうも少し増える傾向ありますと。今年の前半の最初に申し上げました08年の予測台数の324万台を上回る343万台 とのいうのが前半を踏まえたうえで、自工会アンファービアの予想でございます。

    はい。そしてその中でですね、こちらは1リッター車の販売比率の推移を示しております。2001年でここのブラジルの特産品であります1リッター車がです ね、ほぼ市場の7割を占めておりました。しかし、これがですね、市場の拡大とともにまた経済の成長ととも、需要の多様化がしておりまして、かなり色々な商 品が売れるようになってまいりまして、現在では台数的には増えおりますが、市場の占有率というところではこの特産品である1リッター車は約半分51.5 パーセントとなっております。今後もこのような傾向は継続されるものと考えられております。

    はい。好調な販売を支える方のお金の方でございます。こちらは、自動車の購入をどういうものを通じて行なわれたかと。一番上が現金、2番目がブラジル固有 のコンソルシオ、クレジット、リースでございます。この数年を見ると、非常に顕著なのが、このリース、クレジットを足したこの線が非常に上昇傾向にある と。また、この中でもリースが非常に伸びているように見受けられます。昨年の税制の改定に伴ないまして、個人の融資に対して課税がされるようになりまし て、嫌うようになりまして、個人がクレジットで買ってたものがリースに流れている、従って基本的な構造は変わっておりません。ただし、若干、リースに移る 傾向がございまして、今後どうなるのか、注目すべきところです。はい。

    それからこれは四輪各社、積極的に投資を展開しております、特にブラジルで通称言われるビックフォー、アメリカの2社、欧州の2社、こちらは非常に積極的な能力拡大をしております。また最近では、トヨタさんの新工場が記憶に新しいことだと思います。

    はい。次に二輪車の業界動向でございます。はい。こちらは生産でみたものでございます、二輪車のほう今年の1-6月でですね、前年比132パーセント、非 常に四輪車と同じような形になっておりますけど、132パーセントの伸びでございます。市場は全体伸びておりまして、ブラジルの通算でいうと126パーセ ントの伸びということです。まぁ、今年の市場予測としては、おそらく182万台というところでですね、180万台前後で着地するのではないかというふうに 見ております。

    国 内市場は非常に好調でございますけれども、輸出の方ですね、特に私共の例で言いますと、ブラジルで作っている、ブラジルでしか作っていないのであり、他所 の国が仕方がなくて買っているというものが、こういうものだけが売れているというような状況でして。輸出では全くコストのない状態でございます。

    はい。次にこれ、あの、二輪車の支払い形態でございます。二輪車はやはり所得の低い方が買われることが非常にクレジットの与信組めない。無信のコンセルシ オでして、みなさんでお金を出して買われるという形態が、非常に伝統的に強うございます。しかし、近年のこの伸びを大きく支えているのはクレジットの伸び でございます。

    や はり、経済の成長とともに所得が上がりそして、与信をクレジットの与信をもらえる方々が増えてきて、ここに如実に現われています。07年、08年のこの傾 向は変わっておりません。また、一方でコンソルシオですが比率としては減っておりますが、数的なものでのみますと、一定した形になっております。従ってク レジット、現金で買う比率、コンソルシオで買う比率はあまり変わりはないんですが、販売を大きく支えているこのクレジットの伸びということで、今後のクレ ジットの引き締め等で若干市場を左右する要因になっております。

    はい。次に部品の業界動向でございます。はい。これは、部品製造業界のシンジペッサス(Sindpeças)の 業界の52社の数字を表したものであります。07年、08年の予測でございます。完成車の国内販売拡大に伴いまして、全体として売上が増加している傾向は 見て取れると思います。保有台数とも増加しておりますので、08年も引き続き重要は拡大、安定する見通しということが、自動車部会の見方でございます。

    はい。最後に懸念事項でございます。はい。我々業界において、大きく影響する法案が二件すでに決まり、来年から施行されようとされています。一つはこの四 輪のディーゼル車への排気ガス、ユーロフォー、世界で一番進んだ規制がかかろうとしています。来年の1月からです。もう一つはですね、車両自体をGPS衛星によって追跡する。そしてさらにリモートで燃料を遮断して車を動かないようにする盗難防止ですね。こういう装置をですね、全ての車両に付けなさい、と、これが2009年8月からということです。

    ど ちらも法律としてすでに決まっているものでございますけれども、若干の問題がございまして、例えば、ディーゼルの方の規制でありますと、これは技術的な車 の方の技術として対応ができても、燃料の品質、例えばここの軽油で言いますと硫黄分が多いと、そういうものがありますと規制をかけてもですね、思ったほど の効果がみられない。つまりインフラの未整備等がありまして、今実施しても難しいと、思ったような効果を得るのは難しいという現状でございます。

    こ ちら二輪車、追尾装置、盗難装置、最近になって技術の詳細等が解ってきた状況でございまして、とても2009年8月から全ての対応するというのは業界とし ては不可能でございます。また、特にこの追跡装置のほうはコスト的にも高額でして、特に二輪車ユーザーの場合ですね、その、数百レアルするデバイスをつけ て、さらに毎月、追跡用のGPSの費用を払う。こういう費用を払ってまでお買い求めになるかと、若干需要に水がかかるのではないかと、そういう懸念がされるとことです。はい。自動車部会としては以上でございます。

    峯川さんどうもありがとうございました。質問等ございますでしょうか。それでは、只今から約15分間休憩に入りたいと思います。ちょっと5分前を超えてますけど、とりあえず4時10分を目標に着席完了をお願いします。

    かなり拳の入った発表もありましたけど、後半も引続き期待感たっぷりのブラジル経済ほか、各業界のことを発表いただきますので、こうご期待です。それでは、後半戦のトップバッター新谷副部会長のほうから発表いただきます。

     

    Pdf レポート – 自動車部会

  • 食品部会 新谷道治 部会長


    新谷道治副部会長

      皆さんこんにちは。食品部会の報告をさせて頂きます。本日、尾崎部会長が業務出張中のため、副部会長の私から報告させていただきます。それでは上半期の回 顧の纏めでございますが、食品部会全体の纏めといたしましては項目を上半期を回顧、下半期展望というふうに纏めましたら、3つのポイントとしていえます。

    1 つは全体の国内食品飲料、穏やかな成長。非常に国内は順調なんですが、為替により輸出採算が悪化しておりまして、原材料価格上昇でコストアップしておりま す。下半期についても、引続き原料価格の上昇が継続されております。これらの項目3つに纏めますとインフレ等によって不安定感が広がりつつあると。ただ、 下半期もですね、概ね今の状況が続くとの予想で全体のコースをみております。

    それから、為替でございますが、色んな状況を加味してもレアル高ってのは、簡 単に変わるのはどうも非常にむずかしそうです。食品部会におきましては、国内と国内マーケットを中心にした企業と輸出の企業の差が顕著に現われてます。特 に輸出関係ですが、輸出採算は非常に苦しいまま現状を年内も続きそうというのが、今の現状でございます。3点目。食品部会に特にございますのが、原材料の コストアップ、特にアルゼンチンの小麦をはじめまして、スーパー等でも、すでに食品価格の値上げが進んでおりますように、えー、個々の値段、原料の小麦、 トウモロコシ等の価格の上昇、それから、生産関係で出てくる、酸、アルカリ等の原料、エネルギー関係。これらに基づいて食品部会としての製品コストは、今 後コスト削減等々やっても相当なコストアップになるという状況になっております。はい。ポイントした3つでございます。個々の会社、業界別に続けて説明さ せていただきます。

    乳酸飲料関係でございます。成長継続という中で、前年比8パーセント増と好調でございます。飲料関係でございますが、1リッターパックというのは非常に順 調でして、ジュースを含みまして、ミックスジュース等のパックが好調に推移しております。競合、その他も厳しい状況ですが、若干、徐々にコストが上がって いる状態でございます。下半期で見てみますと、コスト吸収、特にですね原油等値上がりからくるですね、包材関係のコストアップが下半期の課題になっている と思われております。はい、次お願いします。

    国内家庭商品でございます。全体として、市場そのものは、スーパー等々の売上も含めまして具体的な数字はございませんが、だいたい5パーセントぐらいの成 長をしているだろうというふうに思われます。ただこのスピードはインフレ等、若干減速に向うのではないかと思われます。個人消費そのものは、ボルサ・ファ ミリアもあって非常に順調です。したがって、この辺の読みが非常に難しいのが、食品の特徴です。

    調味料の分野だけに限っていいますと、数量ベースでは全体が5パーセント、4.5パーセントぐらい落ちてますが、2月だいたい2月終わりから3月ぐらいに各社さん一斉に値上げがありまして、金額ベースではだいたい4パーセント増とほぼ横ばいでございます。

    粉末飲料でございますけども、ストレート飲料、特に炭酸ジュース、フルーツのストレート飲料、健康食品をイメージした豆乳入りのジュースが非常に好調でし て、飲料全体の中で粉末ジュースは横ばいから若干ダウンと見ております。既存購入じたいは、大きくアップしております。こういう中でですね、調味料の取り 組みとしましては、一般の家庭向けの家庭用を市場を網羅したノウハウを元にですね、業務用の使用にある程度うってでないと、ボリュームが吐けない形であり まして、外食市場への展開を進めております。えー、また、これブラジル国内の食品で現在は為替等々で非常にアゲインストでございますが、南米各地への展 開っていうのをやっていかないと、継続的に成長は難しい状況として読まれております。はい次。

    その次は素材用食品でございます。これはあの、私どもの味の素もMSEのバルクと主流のアミノ酸のことですが、輸出ベースの事業でございまして、為替、原 料高ともに非常に難しい状態にあります。為替、原料、原油、3つのアゲインスト材料がございまして、特にですね、マーケット維持用とやっておりますが、原 料アップに伴うものの値上げを製品転嫁というのを一生懸命やっております。

    そ れからコモデティー商品でございますので、原料アップ分につきましては値上げってのは通るんですが、為替、レアルが強くなった部分までの転嫁、ようするに ドルベースの予想が若干困難でございまして、従って採算も難しい状況が続いております。下半期の展望でございますが、引き続き需要を採算改善ということで 価格調整をやっておりますが、現在の為替動向と原料高の高騰が続いておりまして、特に主原料の粗糖につきましては、今後も高値安定のほうで推移しそうだと いうことで、輸出ベースのところは、先行き非常に見通しが暗い状態でございます。

    冷凍果汁でございます。原料のアセロラの栽培というものは非常に順調に増えております。作付面積、収穫量ともに順調でござまいすが、想定された入荷量等 々、設備稼働率が想定されたところまで達しておりませんので、若干、苦戦をしております。当然為替高から輸出がござまいすので、採算的にも苦労している状 況でございます。

    まぁ、先行きのところにつきましては、これからの見通しという形で、特に、利用拡大継続というのは、順調に進んでおりまして、年間1万5,000トンから2万トンぐらいまでの処理数量を稼ぐとのいうことで、全体のビジネス設計がされております。2009年後半ぐらいにはですね、相当な採算ベースにのっているという期待値をもってやっております。以上です。次です。

    輸入調味料関係です。これは、あの醤油の輸入販売というベースでございますが、シンガポールから醤油を輸入しておりますが、為替メリット、非常にレアル高 から、輸入は順調でございます。ただ、販売チャンネルその他の市場分析を行っている段階でして、実績として、これから大きな市場に浸透していくのはこれか らだろうと思います。ここでもですね、日本のマーケットでございますが、日本が17年ぶりに原料高という形で、お醤油の値上げをしました。

    現在商社さん、輸入商店、リベルダーデの商店街もあるんですけど、低級輸入品として安く売られているんですが、こういうもの値段が段々、通常のコストに戻ってくる、という形で輸入ビジネスとしてはさらに伸びるだろうと、期待されております。下期の展望としては、輸入の醤油のマーケッティング活動をさらに続けていきまして、将来の投資チャンスを拡大すると展開するという感じで進められております。

    はい。えー、食品添加物、ちょっと非常に混乱するんですが、これは各種の香料、色素等を扱っているビジネスでございます。主なビジネスとしましては、日本 向けの原料調達の輸出というふうなグラフでございますが、為替高及び、原料高が非常にアップしてまして、輸出採算は非常に苦しいということが上半期の回顧 でございます。景気安定消費者ニーズ、ブラジル国内の需要は非常に大きいものがありまして、また消費の多様化、ニーズの多様化が進んでおりまして、日本製 品を輸入して拡販するということが、今、注目がされております。

    現在の日本からの輸入をシフトして、国内の販売を拡大していくと国内営業の積極展開していくとのことで、下半期の展望を開こうというふにしております。

    はい。健康食品でございます。健康食品につきましては、非常に業績のほうが好業績等が分かれるビジネスでございますが、輸入健食サンクロレラさんなんです が、上半期は売上げ高15パーセント増、昨年比15パーセント増を達成されております。さらに、レアル高からクロスしてコストメリット、為替メリットによ るコスト減。

    ま た、新たにですね、大手出版社さんとのダイレクトメール、共同広告によるダイレクトメールコストが大幅減して、ここが絶好調と。国内マーケットに向っても 絶好調。逆に輸出健食さん、プロポリス、アガリスクを実施のビジネスでございますが、為替高というものが引き続きありまして、日本への輸出は非常に苦しん でおります。これは輸入、輸出なり、貿易のマナーというんですか、そういうところだと思うんですが、日本からのアガリスクの需要激減という形で、急に契約 の打ち切り等々ということが現実に行われておりまして、生産農家さんが非常に苦しい状態になっていることが現実の問題でございます。

    為 替その他で、一気に採算需要買い付けの打ち切り等々、段々健在化して問題化するべきところが起っています。下期の展望につきまして、この為替高での輸出と いうのはほぼ、非常に困難な状況でございますので、国内販売へシフトし、直販、あるいはアルコール製品の販売という形のもの、受託分析等手広く持っている 事業を展開した、事業展開をしておられます。

    乾燥麺でございます。即席麺事業でございますが、ここの麺事業は市場がブラジルでございまして、非常に上半期も順調の伸びております。販売新記録が、毎月 続いているような状態と聞いております。成長として二桁成長確保していると。特にですね、ノルデスチ、北東部、市場成長というのがございますが、ルーラ政 権がやっておられますボルサ・ファミリアそれから、投誘の設置や北東部の設置に集中しておりまして、この地区の従来でいえば、D層、C層の購買力がついておりまして、これらの伸びが非常に著しいものでございます。

    原 材料価格に関しましてはアルゼンチンの小麦がメインでございまして、上半期の上がりつつあります。値上げ幅をできるだけ、値上げ幅を金額でやってパーセン トで抑えてということを展開として、トップシェアを維持していこうという状態でございます。下半期につきまして、国内の成長が継続されると思われます。特 に北東部に今後も需要が伸びるというふうに予測しておりますが、懸念しておりますのが原材料価格特に、小麦の価格の動向についての今後の見通しが良く分か りません。ただ、それから、包材関係につきましては、重油とのアップ等の跳ね返りとの形として、下半期ぐらいには、包材価格の交渉には応じざるえない見通 しを持っております。

    は い。コーヒーでございます。上半期につきましては、価格は高値安定傾向ってことですが、原料で買っているコーヒーの価格が高値で安定しているということ で、採算的には非常に苦しい状態になっております。当然為替高でございますから輸出ビジネスとしては苦しく、国内の消費が好調なので、国内の市場販売に協 力するというのを下半期の展望としております。ブラジルの見通しとしましては、通年にない豊作というふうに予測されていますが、価格として軟化するのはあ まり期待できないというふうに聞いております。

    酒類でございます。日本酒ビジネスという形でございます。上半期は日本酒の業務用製造は穏やかな成長という形です。今回も税制制度の変更で代替納税制度で 実際の売渡し価格が見かけ上、総額で増えました。それによる影響が若干出始めております。また、ICMSの大幅増税、原材料、国際相場でのお米の価格相場 の高騰しております。これらのコスト大幅増とありますが、上期全体としては順調な売上という形で売上、採算とも確保できています。

    下 半期につきましては市場が若干減速するのではないかとの不安がありますが、特に当然禁酒、飲酒運転禁止ですね、ということがありまして、評価がありまし て、一部のレストランでは20パーセント以上売上げが落ちたという話も聞きますし、業務用の利用が減速的な不安は残っております。またセロ義務化という形 で、若干、拡販に対してはマイナス要因ですが、全体としては前年並みをキープできるだろうという形で取り組んでおられます。はい。

    えー、今回、あのー、報告として以上なんですが、食品部会の中でですね、今後の展開につきましてという形でありまして、やはりEPA実現というようなことも、今後のテーマとして実現していきたい、とのことでよろしくお願いいたします。以上でございます。

    ありがとうございました。あのー、食品部会の場合はですね、輸出入だとか商品群によって、業績に好不調のばらつきがありますように見受けられましたが、何かご質問ございませんでしょうか。

    (田中信会頭)今の、あの、解答についてお願いいたします。はい、あの、お願いいたします。あのー、おー、只今食品部会の方から商工会議所へのリクエストということで日伯EPA実 現のための働きかけをお願いしたいというご要望がありました。これにつきましてはですね、毎年行われております、日伯経済合同委員会、これの、まぁ、我 々、我々と申しますのは、まぁあのー、経団連、それから当商工会議所及びブラジル側の工業連盟と。我々が毎年この政府、両国政府に対してですね、EPAの早期締結実現の、してほしいと、いうことをお願いをしております。

    た だ、政府側としては、あー、まぁ、ブラジル側の政府のほうも、あんまり積極的でもございませんし、それから日本政府のほうとしましてもですね、これ、2、 3年前の官民合同会議の席上でですね、ブラジルの順位は必ずしも上のほうではないと、まぁ、色々な基準があるようですけど、貿易量とか投資とか、色々な基 準があるようですが、そのような基準に照らして、一番緊急なものはアジアの関係、わけですけれども、まぁそういうことでですね、残念ながらブラジル側の順 位は、おー、下の方だということでして、近いうちに実現する可能性というのは少ないんじゃないかと。ちょっとその辺をちょうど、宮下参事官も見えておりま して、官の方からのご説明をお願いします。

    (宮下匡之総務参事官)すいません。最後にまとめて喋ろうと思いまして、ポジショニングが悪かったもので。今、会頭が説明いただきましたように、そのー、EPAやFTAは日本政府としては積極的にするという方針になってます。ご案内の通り今のところアジアですとか、南米ではメキシコ、チリにすでにやっていると。今日も、あの、JETROの佐々木所長はじめ、何人の方にEPAを 積極的にやることを積極的に検討したらどうかと、今の話し含めてご話がございましたけど、いくつかのこの日本とブラジルのEPA、FTAが難しいのは、ひ とつは、メルコスールというものをどういうふうに考えるかと、ブラジルでさしで、一対一で見比べるより困難なファクターがあるのではないかと思います。

    先 ほど、ヴェネズエラの大統領じゃない、ヴェネズエラが加入したことによってメルコスールはある程度変説的なこともあって、どういうふうに考えていくかと考 えなきゃいけないと。まぁ、日本側の問題をさておいてですね、ブラジル側のほうの、貿易交渉におけるプライオリティーといえば、WTOが頓挫しましたので、これから少し変ってくるかもしれないですけど。どうしてもWTOの大きな国、主要な貿易パートナーをアメリカ、EUとそれぞれ頓挫した経験があるので、それ以上に手をださないで、むしろWTOを一生懸命やっていこうと、小国、まぁ、小国と言ったら失礼ですが、小さな国とはブラジルも少しずつやるようになってきたけど。そうした経緯があって、なかなか、まぁ、あのー、EPAに向けて、進めて、日伯双方でなかなか出てこなかったのが実態だとおもいます。

    ただ、ご案内の通りWTOが ずいぶん、当面難しいのじゃないかと、ブラジルも噂によれば、2国間思考に切り替わる可能性も取りざたされているのでそういう中で、日本としてもブラジ ル、メルコスールの関係をどういう風に考えで、もう一回議論しても良いのではないかと個人的には思いますけど、ただプライオリティー、政府全体としてプラ イオリティーですとか、色々そのー、リソース、どれぐらい政府全体の避ける割合がどのくらいあるか等、考えていかなければございません。すいません、コン プリセンシブ説明でありませんけど。

    どうも、田中会頭、宮下参事官どうもありがとうございました。新谷部会長、今のご解答でよろしいでしょうか。よくわかりました。それでは食品部会に関す る、何かご質問ございませんでしょうか。もしございませんでしたら、次に移らさせて頂きたいと思います。次に電気電子部会の松田部会長のほうから発表をい ただきます。

     

    Pdf レポート – 食品部会

  • 電気電子部会 松田雅信 部会長


    松田雅信部会長

    電気電子部会の松田です。本日は非常に順調に進んでおりますので、あまり焦らずにやらしていただくということで、まぁ、長くやるつもりはありませんが、まぁ、普段よりちょっとゆっくりめでやらしていただきたいと思います。次お願いします。次お願いします。

    まずですね、ブラジルにおける、電子・電気業界における、規模の推移をこれ、社内的に使った資料ですが、ドル転して、それをまた円転してみせております。 それで、伸び率につきまして、レアルベースの伸び率を別途入れておりますので、通常の発展途上国に似たですね、あのー、毎年10パーセント前後のですね、 健全な成長を2007年度までしておりまして、これからその2009年に向けてですね、同じような成長が繰り替えされるのかなというとこころです。

    ただし、為替の高騰がございますので、ドル転円転してですね、日本の経営者に見せるとですね、これは有望だということになるわけですね。それで、あのー、いずれにせよですね、レアルベースで順調な成長をしているのがベースなんですけれども、あのー、先ほど、GDPの国家の規模という話、1人あたりのGDPという話しがございましたが、この為替の中で、日々大きく見え始めているということをみなさんに理解していただけてるのではないかと思っております。

    色 んな、あのー、分野が、我々の電気・電子の中にございますが、基本的には、あのー、まぁ、それぞれの分野がですね、それぞれにおいて、あのー、順調な成長 をしていると、ただし、自動車さんとかですね、30、40パーセントとかね、こういった成長ではないけれども、まぁそれなりの成長を示しているというのが 我々の業界でございます。次お願いします。

    我々も色々考えているんですけれども、先ほどの中でも、色んな話の中でも話ございましたが、1億8,000万人あるいは1億9,000 万人という人口の中の構成が非常に大きく変わっているということはですね、色々な商品が、テイクオフしていくと、こういったことに繋がっています。特にで すね、かつて、我々が、70年、80年代に最初にブラジルに来た時は、恐らく、まぁ最低給与の最低水準の人が5割、或いはそれ以上いたと思うんですね。

    2005年から2007年までの僅か2年間を見たとしてもC、DからB以 上に跳ね上がってくる層、いわゆる中産階級層というのが劇的に増えているのが、特に小物商品の需要拡大に大きな要因になっているのではなかろうかと思って ます。それで富裕層の比率というのは、さきほど色々な尺度があるので、10パーセントになったり15パーセントになったりするんですけども、それなりに一 定した比率でございます。

    これに対していわゆる働く層ですね、この辺でですね、ボルサ・ファミリアございますけれども、いわゆる低所得者層から中産階級層にこの2年間でも約2,000万人移動したというこういう現象がでてきてます。従って、今現在で6割以上の人口が中産階級以上の生活を送っており、我々ブラジルは中進国に確実に入ったのではないか、これが消費を引き上げている大きな要因になっているのではないかと思います。次お願いします。

    それでは、足元の我々電気関係のですね、商品、特にマナウス生産の増減を見ていただきます。2007年までは年間の数字、2008年はですね、6月までの 数字を取りたかったんですけれども、残念ながら5月の数字までしかございませんでした。一番大きなところは薄型テレビが伸びていると、まぁ構成で言うと LCDテレビが激増してまして、プラズマテレビは微増でございます。まぁメーカー数が少ないとのこともございます。

    そ れ以外に伸びているところを見ますと、カーオーディオさん、失礼、カーオーディオはですね、これはやはり自動車産業に応じて、やはり、伸びに応じた伸びを 示している。それからセルラホン、これがまた、これはちょっと波が非常にあるんですけども、今年はですね、上半期、5ヶ月で1,000万台越えているというようなことで、これもまあ爆発しているような状況です。ほかですね、デジタルカメラが非常に伸びている。これは、恐らく、C、Dの顧客階層が買い始めるんじゃないかと思います。

    こ れに反映しまして、既存のカテゴリー、所謂、ブラウン管テレビ、これはまぁ薄型が伸びれば、押していくんですが、まぁ押していくと。オーディオ関連、全世 界的傾向ですが非常な不振になっている。白物はですね南の生産の冷蔵庫なんかを含めまして、高成長をずっとこのところ数年やってきたんですが、ちょっと止 まり始めているんかな、ということもございます。さきほど為替の悪戯で輸入品が激増してましてですね、いわゆる我々のブラジル生産、コストが高い中、ある 価格を期待値にして、輸入したほうが安いというような商品群もでてきてまして、それの大きな影響を受けているのが、マナウスの電子レンジかなとそんな状況 でございます。次お願いします。

    それでこれ毎回出してるんですけども、マナウスの輸出と輸入の差なんですね。青が輸出、赤が輸入。それで、あのー、商品がデジタル化しますと材料のほぼ 95パーセントは輸入材料になっていします。特にブラウンから薄型への移行は国産のブラウン管からですねアジア生産のパネル発注といったこういったとが大 きく影響してくる。

    こ れが電気ですね、あと、二輪車さんが非常に伸びているとか、マナウス全体は非常に伸びているので、輸入材料の発注が非常に発注が増えているというのが 2008年に見えてとれます。輸出商売は、限定的な商売に、みなさん縮小しておりますんで、輸出は困難な状況になっている状況でございます。それで、電 気・電子関連の雇用数ですね、一旦2007年に踊り場にきました、これはですね、非常にあのセル生産といった、あのー、生産効率化を各社非常に目指したと いこともありまして、若干2007年上期は、若干微減したところもあったんですが、ここに来て、生産数量が全体的に増え始めてますんで、再度ですね雇用数 の増加が見られ始めてるというのが、今の足元の状況でございます。次お願いします。

    まぁ、これはいつも、当たり前の話なんですけど、不思議なことにブラウン管テレビというのは需要が減り始めて、価格が逆に安定化してきています。特に鋼材 の価格、或いはガラスの価格が非常に上がりましてですね、原材料価格が上がっているということもですね、なんの技術革新のない料金になりましたんで、その まま材料価格に響いてまして、レアルベースの価格もですね、引き止めているのが現状です。

    逆 に薄型テレビにつきましてはですね、この数年まだまだですね、パネル価格が下がってますし、技術革新がまだ進むかなと思っていますんで、これにですね我々 の場合、95パーセント輸入材料の為替メリットを、あのー、材料費にぶち打ち込みましてですね、毎年のように価格を下げていってます。このカテゴリーはで すね、我々業界自信を持って、為替メリットは全て価格に反映しておりますので、安心してお買いただければと思います。

    そ れで、あのー、各、あのー、セグメントの状況なんですけど、あのー、家電関連はですね、さきほど申し上げましたデジタル関連ですね、テレビ、カメラ、カー オーディなどを中心に顕著に伸びております。ただ、母の日セールで、白物全般で需要の読み違いを起こしてまして、若干足元はですね、生産調整を皆でやって いるかなというところでございます。基本的にですね、10パーセントほどの前年比アップは続けてまして、これを2、3割伸びる業界と流通ですね、これは ちょっと異常な値上げをして、ちょっと生産調整をやっている。まぁ、ただ順調に伸びているというふうにご理解いただければいいかなと思います。

    部品系ですが、ここ数年厳しい状況を皆さん続けておられたんですけど、ほぼ、私どもを含めまして、あのー、ブラジルでの部品生産っていうのは、ほぼサスペ ンションに入ったということで、ほぼ輸入の商売にかわってます。色々な面でですね、今年、あのー、明るい材料が出始めましてまして、絶対経済が非常に安定 しているってこともありまして、上期としては前年を上回る好調な状況です。

    た だ唯一の懸念材料、これはセット側も悪いんですけど、デジタルテレビ関連に関しては、まだ立ち上がりができていない、と。都市も限られてる、それで、サン パウロの中でも、受信状況が不安定だとかいった、報道がでたりしながらですね、きてますんで、我々としましては、ブラジリアとかですね周辺都市にも広がっ ていきますんで、もう少し時間を見ながらですね、立ち上げをサポートしていきたいと思っています。

    事務機器系はですね、非常に経済の持続的な伸張が功を奏してまして、いわゆるオフィス事業、こういったところが顕著に推移しておりまして、過去数年間はで すね、今年も含めて二桁成長をしているということでございます。通信系もですね、あのー、特にですね、民間の通信インフラの需要増とか、或いはオペレー ター系のモバイル、ブロードバンドの設備ですね、この辺の設備需要がありましてですね、非常に好調に推移している状況でございます。次お願いします。

    全体としまして、上期の回顧ですけど、まぁ、米国経済の減速、不安を非常に感じておりましたが、当国ブラジルにおきましては基本的には順調にいったのかと 思ってます。為替がどんどん進んでる中、我々家電あるいは、電気電化全般ですけれども、やはり輸入商売が伸張しておりまして、国内製造、こちらに加速がか からないというですね、ジレンマをかかえています。

    特 に輸入のパーツあるいは輸入商売をベースにしてまして、あのー、税関ストライキは非常に応えました。あのー、いろんなところで生産が止まった或いは輸入が 止まった、という状況になりました。で、まぁ、4番目は一緒なんですけどインフレ、利上げこのへんを懸念してますが、このへん、今のところ、まぁまぁなん とか行ってると思います。

    次、 下期への展望ですけど。全般的に下期もこの調子が続くのかなと。まぁ、あえて言うならば、米国経済がまだどないなるかわからへんということと、中国のこの オリンピック後ですね、これ政情も色々ありますんで、この辺がどう動くのかなっていうところが気になるところです。それで、あと、まぁ中銀が非常に頑張っ て抑えようとしているのでインフレのさらなる加熱がないのかなというふうになところがあるんですが、利上げは確実に来ますんで、これが消費にどのような影 響を与えるのか。

    まぁ レアル高が続いているんで、貿易部会ございましたけど、特に人材面で言いますと、人が集まらないと。あのー、それなりのこのスキルのある人を求めたいと 思ってもですね、それを採用するまで長いスパンがかかるところがですね、非常に懸念状況です。その他懸念状況がちょっと下にずれてますけどなかなかです ね、インフレがきますと、社内の経費、固定費、この辺がどんどんあがっていくことが非常に大きな懸念でございます。以上、どうもありがとうございます。

    どうもありがとうございました松田さん。あの、輸入部材ですね完成メリット、全て消費者に還元しているお話しは印象的でした。それでは、電気・電気部会に ご質問等ございましたら、ございませんか。はい、それでは次に進ませてもらいます。引き続きまして、建設不動産部会の阿部部会長のほうから発表いただきます。

     

    Pdf レポート – 電気電子部会

  • 建設不動産部会 阿部勇 部会長


    阿部勇部会長

     建設不動産部会の阿部でございます。えー、じゃ早速まいります。お願いします。はい、次。まず、あの、いつものように業界全体の表をご説明いたします。お願 いします。これも相変わらずなんですけど、セメントの販売量これが一番我々の動向を現しておりまして、2007年までしか統計ございません。昨年17パー セントアップとうことですね。直近のですね、これは、シンスコのところを、あれを、調べたところ、間違いなく今年の上半期でも二桁成長、10数パーセント はセメントの販売は伸びているという情報を貰っております。はい、次です。

    こちら、不動産のほうですね。あくまでもサンパウロ市ということなんですけど、全体ではないんですが、サンパウロ市では、実は2006年まで私の発表した ところ、不動産好調だ好調だという割には、サンパウロ市の販売件数は伸びてなかったんですけど、昨年は凄いですね、昨年は51パーセントアップということ で、みなさんご存知の通り、まだまだ不動産は好調です。はい。

    雇用者数ですね。ブラジル全体昨年2007年度末で12.7パーセント。で、これは直近の資料がございまして4月なんですけど、今年の。昨年に比べて、16.7パーセント雇用者数も伸びております。次お願いします。

    さらにこれサンパウロ州だけに限っていますと、さっきほどの数字覚えらっしゃるか分からないですけど、さらにサンパウロ州のほうが伸びてます。で、これも ですね、表の中で出てますけど、工業製品も全て含めて販売量もサンパウロ州でのアップ率が非常に高いということで、建設業界も今サンパウロ州に限って言え ば、自国平均より高いということです。はい、次お願いします。

    ピブですが、これは全体的な数字の流れで2005年から今年の第1・四半期なんですけど、建設業だけ捕らえますと、2006年が非常に好調だったんですけ ど、2007年全体の平均より下がっているんですね。ところが今年の第1・四半期は、突然8.82パーセントと非常に、昨年のこの数字が、本当にこうだっ たのかと疑問を持ってるんですけども、もっと高かったような気がするんですけども、その分今年の数字に表れているような感じします。はい、次お願いしま す。

    これは建設業全体ですね、全国の売上高、これ2006年までの統計しかございませんでした。えー、前年に比べて7.2パーセントアップで総額で言いますと、これ、あれ、これ単位なんだっけ100万だ。1,308億レアルですか、まぁこれがどれぐらいっちゅうのが、ちょっとなんともいい難いですけど、これぐらいございまして、はい、次お願いします。

    これちょっと、住宅だけの資料引き続きまして、こんな傾向が分かったってことなんですけども、ブラジル全体の住宅不足件数が800万件、低所得者向けの 79パーセント、約80パーセントありますということですね。過去二年間私も繰り返して今の住宅ローンというのは、あのー、PAC政 策ですか、ルーラの二期目の目玉ということで、住宅ローン、特に低所得者、低中所得者用の住宅取得を推進しようということで、もう貸出し枠を非常に増やし たということ、貸出し金利も減らしたこと、それとローンの長期化、あと、固定金利ですね、この国では中々なかった固定金利。こういったもの組み合わせて、 これ、あの、まだ、あの、近辺の高級アパートじゃなくて、中低所得者用のアパートが伸びています、ということですね。これがやはり傾向としてあります。 次、お願いします。

    その住宅のほうの件数なんですけど、これがですね、30万件以上の資料をちょっとピックアップしたんですけど、全体の800万件のうち、サンパウロ州が1 番、150万件と大きいんですけど、その他、リオ・デ・ジャネイロの75万件ですか、それ以外に東北伯が非常に多いですね、マラニヨン、パラー、セア ラー、ペルナンブッコ、バイーアってのは不足してまして、こちらのほうで、サンパウロより北の方へ住宅の供給の傾向が増えているということも言われていま す。はい、次お願いします。

    これは全体の傾向の話ですね。建設業、労働者が非常に不足しております。2005年から現在までと余りよく分からないですけど、すいません。この3年半で すか、その間に33パーセントの平均アップ、労働者の賃金アップしてるんですが、ちなみに、組合と政府との話し合いで、今年は8.51パーセント上がっ た。昨年は5パーセントぐらいですね。それからしますと非常に実質賃金は10パーセント近くあがっている毎年平均で、という傾向がございます。それとサン パウロ市内の求人件数ですか、4万5,000ですか、これだけだと比較になりません、申し訳ございません。はい、次お願いします。

    これはちょっとだけ、そのことについて、サンパウロ市内の住宅建設会社、こんなかで皆さんよ くご存知のですね、ホージとか、ガフィーザとか、カンパニーとか、フィゲーラとかこれよくこの近辺でアパートを作ってい住宅専門の会社なんですけども、 2004年から現在まで、やはりかなり大きく伸びている会社があるですね、全体でも3年間で136パーセントアップしているということで、やっぱ住宅産業 もどこが損するか、非常に多い傾向がわかると思います。はい、次お願いします。

    それで、これから先は共通テーマなんですけど回顧と展望なんですけど。はい、次お願いします。今回は残念ながら3社さんしか部会に参加されなくて、1社さ んは、あの、アンケート頂戴しましたんで、建築と、あと不動産、建材と大きく分けまして、一般建築をやっているところの回顧なんですが見積もりの引き上げ が非常に多い状況です。建設資材の値上がりが激しく収益を圧迫しております。これは別途紹介いたしますでので、また、後ほど説明させていただきます。これ なんで、収益を圧迫しているかと言いますと、あの、契約した後に資材関係が値上がりしたものは、前、昔のハイパーインフレの影響で実は契約上、契約書の中 にですね、建設資材の価格は1年間FIXするという項目が実は含まれてるんですね。

    最 近はそれを是非外していただきいってことで、お客様にも個別にもお願いしてるんですけど、一応、そういったことが、以前、ハイパーインフレ頃から引き継い だ状況がございますので、一度契約してしまいますと、資材が値上がりしますと、それを自分の分で負担しなければならない部分があるということで収益が圧迫 している今、現状がございます。

    そ れから労働者不足、さきほども述べましたが労働者、建設の雇用者数増えていて、今年のベア-8.51にこれだけではなかなか人が集まらないと。賃金の上乗 せ、多少遠隔地に行ったりしますと、宿泊施設だとか食事代、交通費ってのですが以前は我々多重構造になっておりまして、下請けさんと契約するわけですね、 契約にこういうものが含まれていたんですけど、最近は外してくれと、別途請求というかたちの契約せざる状況に追い込まれています。

    それから建設機械の不足ということで、PC杭は、実は地下水路が高くて、安い杭の候補が使えない時は、だいたいこのPC杭を使うんですけど。この当社の今年の4、5月頃に契約さしていただいた新規のあれで、PC杭は62しか機械が手に入らないとかですね。そういう状況が今現在も実は続いております。それだけ、非常に建設機械、ごく一部の特殊な機械なんですけども非常に手当てが難しくなってきております。はい、次お願いします。

    世界一高建設コストって実はキャッチコピーじゃないんですけど、ある日本から来られた日本人の方が、思わずおっしゃった言葉を私がパクリまして、今回ぱっ とこう、いれたんですけど。なんでこれを世界高い建設コストになっているかといいますと、間違いなくレアル高なんですね。我々建設業界自身は実は、あまり 為替の影響うけません。地場産業です。国内の資材を使って、地盤の人たちを雇って、商売をやっていますので、あまりこの為替っていうのは、普段考えたこと がないんですね。やはり各企業さん施設投資される場合はレアルで投資される自己資金あるかたは、あんまり影響がうけないんですけど、日本からあるいは、ド ルで支局もちでなるかたは、まともに大きな状況なんで。そこで我々が初めて、あっそうなんだと思ったのが、このへんなんですけど。それだけではなくて、国 内の建材価格がどんどんあがっております。

    今 年から、すいません、今月8月からは鉄骨・鉄筋が上がっているんですけども、これも先月実は、事前に手当てしようとしたんですけど、20日以降は売ってく れないんですね。だから今月の値上がりを知ってるんですね、値上がりしてから売ります、ということで、非常にこうメーカーの価格に振り回されている状況で す。そしてさきほど申しました賃金の上昇。あとは低い作業効率ですか、作業効率が低いです。高い税率、こんないわゆるブラジルコストといわれるものがあい まって、こんなコピーが生まれるのかなってちょっと感じたもんですから紹介しました。次お願いします。

    これがですね、具体的な数字としてちょっと申し上げたいんですが、昨年の5月をゼロです、昨年の5月がゼロなんですね、今年の6月までの間に、ドルの為替の下落それとIGP-Mっていう総合消費者物価指数ですか、それが青いやつで、ピンクがPINI指 数です。これがグラフで表せるぐらい為替の影響を非常に受けてますよということを言いたかったんですが、それを具体的な建材で国内価格がどれだけ上がって いるか。それをドル換算した時にどういう現われをするか作ってみたんですけど、セメントです、昨年の5月から国内価格で、だいたい18パーセント上がって います。ドルに換算しますと45パーセントぐらい上がっちゃうんですね。次お願いします。

    こ れはコンクリートです、これも同じように国内価格で12パーセントぐらいですか。ドル換算しますと37パーセントぐらいです。アッソというのは鉄筋です。 鉄筋の約12ミリぐらいの太さです。これはそれほど極端、同じか、すいません。12パーセントぐらいですね。同じようなものですね。はい、次お願いしま す。

    これは鉄骨です。鉄骨も10パーセントぐらいですかね、それからドルですと36ぐらい、同じぐらいです。ブロック、コンクリートブロックですね、これも同じようなもんですね。これもうちょっとドル換算すると高くあがっていますね。はい、次お願いします。

    こ れがケーブルです。電気のケーブルやなんかですね。銅線ですね。これはかなり凄いですね、27、8パーセント、ドル換算で52、3、4パーセントですか。 これは4インチの白のエンビカー、えー、20数パーセント国内価格、でドル価格50パーセント。まぁこのように国内価格も主要な建設機材がこれほど上がっ ているという状況が、今でもING継続して起こっております。はい、次お願いします。

    建築の業界の下期の展望ですけど、今のところ、この引き換え件数は上期同様顕著ではないかと。で、ただし、仮に受注させていただいて、人、機械の確保が非 常に難しい状況に陥っています。価格競争は危惧した状況かと、先ほど、じゃ、建設資材のインフレ分をどのぐらい見込んで良いかと、本当に見込んだら仕事と れるのかという内部的な綱引きがございまして、けして全てを転嫁するわけにはいかないと、価格競争は厳しさを増しとります。

    そ れともう一つ、サンパウロ市内へのトラック乗り入れですね、州都内部へ、非常に厳しい。当社も実は今、援護協会さんのあれを今リベルダーデでひとつやるん ですが、コストアップがどれぐらいになるか分からないんですね。最悪夜中ですから、資材の受入夜中ですから、人を頼んでやると割増運賃、非常に大きいです ね、土日かけても当然ですから、これが、非常にボディーブローで影響してくるんじゃないかということで非常に心配しております。はい、次お願いします。

    次に、回顧のほうで不動産建材のほうですが、一戸建てアパート販売引き続き活況しております。建材の受注販売も好調です。この辺はYKKさんですね。特に中級の大型コンドミニアム、低層集合住宅プラス一戸建てが混在した、だいたい3,000から5,000個のひとつのまとまった開発ですけど、これが非常に郊外型の開発として増加していると。この辺のキーワードとして、延伸しているかというと、健康、環境安全、家族とこれもさきほどの話のなかで中クラスが増えたということで、少し、今は食べるだけで必死だったのが、余裕を持った生活をしたいということで人気があるとのことです。はい、次です。

    下期の展望、アパートの販売は、特に中低所得者向けは好況を持続するのかとのことなんですけど、いつまで続くか。これも各部会さんのお話しもあるんですけ ど、マイナス要因としてはインフレ率アップ、金利アップ、建設コストアップ。特に金利アップでローンが組みずらくなってきていると、今後どういった形で推 移するか、大きな注目するところですね。ちょっとだけオーバーしてますけど、最後に部会の個別テーマを、これ毎年やっているんですけど、10月、11月に 家具の製造工業を見学会する予定で今計画中です。また、具体的なお話しになりましたら、ご連絡いたします。以上でございます。

    どうもありがとうございました。普段の生活に非常に密着した説明で、非常に分かりやすかったと思います。えーと、それでは、ご質問等ございましたら。ござ いませんか。それでは先を急がしていただきます。引き続きまして運輸サービス部会和田部会長の方からご説明をいただきます。

     

    Pdf レポート – 建設不動産部会

  • 運輸サービス部会 和田亮 部会長


    和田亮部会長

      運輸サービス部会の和田でございます。ちょっと時間がおしているようなので、ちょっと早口で喋らせていただきます。運輸サービス部会というのは、航空業 界、海運業界、フォワーダー業界、旅行・ホテル、で通信業界こういった業界を中心としたいわゆる人が動く、物が動く、そして情報が動く、と動くものを扱っ ている、生業とした企業の集まりです。それでは、このお話しの中で、今回、2つのキーワードがでてきます。えー、皆さんこれまでお話しになっておらるレア ル高という言葉ともう一つ原油高がたびたびでてきますので、そのキーワードを是非、今日は頭の中にしっかりと入れていただいてお帰りいただいたらありがた いと思います。それではお願いいたします。

    まず航空業界、2008年上期の回顧なんですけど、やはり、えー、ブラジル国内ですね、経済の架橋で、国内は対前年比10.2パーセント、海外に動かれて いる方が、13.5パーセントと非常に国内、国際ともに非常に動いておられます。特にですね北米、ヨーロッパ方面は178万人。対前年比11.6パーセン ト。これはやはり、レアル高、いわゆるドル安ですね。これを反映して、対前年比11.6パーセントと非常に大きな結果になっております。こういったことを 踏まえて、国内線の場合は皆様ご存知だと思いますが、オーシャンエアーという新興の航空会社もでてきました。バリグがゴールと一緒になる国内線市場のマー ケットが非常に劣化しきているのが、2008年上期の大きな特徴でございます。次お願いします。

    それでは航空業界は2008年はどうなっていくのかと。燃油費のさらなる高騰。皆様ご存知の通り2007年度の平均では、約87ドル、いまや170から 180ドルまで上がっております。やはりこれはですね、国際線の燃料、特に国内線の場合は燃料サーチャージという名目でお客さんに転嫁しております。これ が段々段々こう値上がりしていく。これによってやはり人が動く時のですね、異常な経費の高騰に繋がっておるのではないかと、かなり危惧しております。この 燃料サーチャージに関して言いますと、まださらに上がる傾向にあるんじゃないかというふうに見てます。

    その次にインフレ傾向は航空事業に影響とクエスチョンマークをつけておりますが、まぁ、航空業界の特徴としてインフレがこうちょっと進んでくると、こういっ た傾向がでてくるらしいので、まぁちょっと書いてみました。それと、皆さん、前回これ、お話しいただいているんですが、グアルーリョス空港の駐機料の値上 げがくすぶっておりますので、もし、なにも考えずにですね、政府のほうがOKだしてしまうと、JALさ んでいうとだいたい年間で100億円、アメリカンでいうとだいたい6億円のコスト増になってしまい、さらなる価格の上昇に入っていくとみられてます。ただ 現在のところでは、あのー、非常にエアーラインともに在伯の色んな大使館の方がプレッシャーのために棚上げされた状態でありますので、すぐ影響するという ことはないと思いますけど、こういった問題を抱えていることをご紹介させていただきます。

    次に海運業界なんですが、海運業界の一つのポイントと言いますのは、やはり強いレアルの通貨によって非常に大きなトレンド・インバランスを起こしている、 と。みなさん輸入品をたくさんこの国へ輸入、特にアジアから輸入されていると思うんですが、やはり、時間通りに着かない、というようなスペースタイト感を 非常にもっておられると思います。

    じゃ、海運業界としてたくさん配船すれば良いじゃないかとあるんですが、やはりこちら側から皆さんおっしゃったように、こちらからの輸出がほとんどございませ ん。今非常に悪くなっております。配船を増やしたとしても、帰りの荷物がないというような借船というな状態で、これがまた一種のスペースタイト。物がス ムーズに動かない状況を生んでおります。それに加えて不定期船の市況の高騰でございます。これは何かと言いますと、鉄鉱石やエタノールを運ぶ船ですね。こ れはですね、さきほどからずっとあるようにレアル高に関わらず非常に活況が続いています。

    特に鉄鉱石のバラ積みというのは、クラスが運船料がですね、27万ドルとまぁ価値はわからないんですが、何を言いたいかと言うと、史上最高の値段を今現在、 更新中という状況になっております。次の燃料価格の高騰ですね。去年360ドルだったのが、700ドルになってる。この結果ですね片荷ということもあり、 北米東岸と南米東岸トレードで、サービス、いわゆる配船を止めている。特にあのー、材木関係は、これで大きな打撃を被っている話しがあります。

    そ れと次の配船スケジュール維持に苦労と。これは、長年ずっと言われていることなんですけど、サントス港はじめとして、南部諸港での慢性的に今、船が非常に 混んでおります。それで、ご存知のように、値上げ効率も非常に悪いということもあり、加えて先ほども話しましたが税関、検疫官等のいわゆるストライキ。最 近はトラック業者もストライキをやりますので、非常混乱が続いている状況のためスケジュール維持に苦労したというのが上期の実態です。

    あのー、新関税システム、シースカルガ(SYSCARGA)。これが導入されました。これはですねフォアーダー業 界で詳しく述べますけど、本年3月31日から導入開始になったシースカルガ。いわゆる、ようは非常にスムーズに通関しましょうというために導入したシステ ムなんですが、まぁ予想通り、導入開始からですね非常に混乱を生じましてですね、貨物の通関及び荷揚げの遅延、これとですね税関のストライキが重なりまし て、今回の上期の非常に大きな話題になりました輸入貨物の滞留。みなさまの工場ラインをとめてしまっている大きな原因だったのはの、これでございます。

    じゃ、海運業界下期はどうなっていくかと言いますと、トレードのインバランスはまだ続く。皆さん、あのー、お話しになっている通りでございます。加えて同 じく、スペースもタイト感がそのまま継続する模様です。不定期船市況、おー、いわゆる鉄鉱石とこういったものを高水準を維持するということです。で、燃料 費もまだまだ上昇すると。このように非常にこれだけ見ますと、たくさんのもの輸入されている皆様にとって暗い話題になってしまうんですけども、これが実態 だというふうに、ちょっとご協力いただければと思います。

    引き続きまして、フォアーダー業界。これ毎回言ってるんですけど、日本からどれぐらいの荷物ここブラジルに来てるのかという比較するための数字でございま す。まず、日本から全世界に向けて出ている貨物が対前年比0.7パーセント。ちょっとやはり航空業界も陰がでてきています。ましてや、米州アメリカ大陸向 けの方はですね、対前年度比約8パーセント落ちております。しかしですね、その他の米州、まぁカッコして主にブラジルと書いてますが、対前年比25パーセ ントの伸びを示しています。

    や はり日本から見たブラジルという国がですね、非常に価格協定をしているというのが、この貨物の動きの中で現われているという数字が出てきてます。で、フォ アーダー業界にとってまぁ税関ストライキ、まぁ先ほど松田部会長のほうもおっしゃられたように、これは非常に空港も港湾も大混乱も起こして、その結果、皆 さまはご存知だと思いますけども、通関ができないがために、歩合量が非常に高くなったと。そうしたことで所謂ブラジルコストといわれるもの以上のですね、 コスト増を招く結果になっております。

    シー スカルガの導入で、遅延発生。これも、シースカルガの前はキャリア、まぁ船会社さんですね。それと所謂、通関業者、それとお客さん。所謂輸入に関わる方、 すべてが、きっちりとした情報を提供しないとうまくいかないシステムで、ワンアイテム、間違うとワンアイテムあたりだいたい、5,000レアルから2万5,000レアルあたりの罰金を課せられることになっております。このあまりにも高額の罰金ですので、これは産業界全体として、もういちど税関等、または当局に対していわゆるこういうことを削除してもらうよう、産業階レベルで対応していく必要があるのじゃないかと思います。

    フォアーダー業界としましてもう一つ、構内物流というのも、是非とも、取り扱っている業者さんございます。これは、あの、鉄鋼業界の方で、構内物流を行っ てらっしゃるんですけど、非常に好調ですね。鉄鋼業界好調ですね。構内作業も順調に推移していて、ここに書いておりますように、3年先まで成約済みという ふうに非常に景気の良い話しを聞いております。で後、クーリエ部門、書類とか小さな貨物ですね。輸入の微増ですが、これに関してはちょっと小さなものとい うことで非常に手軽に送れるということで10パーセント増という結果に出てきています。

    じゃ下期はどうなるかというと、やはりブラジル経済好調に支えられていて、輸出入とも好調と予想しております。これはあの、金のところで輸出はインバラン スじゃないかと申し上げましたけども、フォアーダー業界としては特に航空貨物のですね、輸出入とも好調と予測しております。阿部部会長から言われましたけ ど、サンパウロのトラックの走行規制。所謂、夜中しかトラックはですね、サンパウロ市内走れませんので、これに関わるコスト増というのが非常に懸念されて います。

    ち なみに私どもで申し上げますと、サントスから上げてきた貨物を、私どもの、ヴェラ・ビスタにあるんですけど、ここで荷物降ろすとき、9時以降になるんです ね、夜の9時以降。そうなってくると町のど真ん中でやっているので、フォークリフトの音がピーピー鳴る、もう周りの住民から苦情がすぐきまして、こういっ た住民対策もしていかないといけない。プラス、その従業員を残さないといけない、で交代制にしないといけない。どこの業者も非常に今コスト増の問題をかか えております。

    次 の原油価格の高騰。この航空貨物のは燃料サーチャージと言いまして、通常のキロ当たりの運賃プラス、なんですか、燃料サーチャージというのをお客さんの方 からもらってるんですが、これ以上もう高くなっていきますと、航空貨物のベースレート自体がどんどん上がっていくと、というような、物を動かす人たちに とっては、非常に危機的な状況がつい目の前にきてるというふうに考えております。

    先 ほど言いましたシースカルガは、罰金に関しては産業界全体で取り組む必要があるとみております。それとあのー、港内物流は非常に活発な生産活動に引続き順 調に推移すると書いておりますが、いろんな業界で今でているように、労働市場は非常に深刻化しております。というのは労働市場、いい人材が集まらない、良 い人材を得ようとすると非常にお金が掛かる。教育するために長い時間がかかるという問題を抱えております。じゃ、次。

    で後、次、旅行、ホテル業界。2008年上期の回顧。ここもやはり、ドル高それと及び、国内経済の非常な好調とですね、いい結果になっているみたいです。 ただですね、海外旅行に関しては、人が行くんですが業界としては、ここに書いていますように、あのー、逆に旅行業界、航空業界厳しい状況になっておりま す。何かといいますと、運賃がドル立てなんでね。ドルをレアルに変えると非常に割安感はあるんですけど、売上が落ちてしまっている。今現在は取り扱う人た ちは増えることによって、その目減り分をカバーしているのが実態です。

    国 内旅行はそれに引換え、ここに書いているようにパッケージ旅行を中心として非常に大きな伸びを得ている、という結果になっております。それと同じようにホ テル業界もまぁ、ちょっと私この数字を見て、あれっと思ったんですけど、ブラジルを訪れる外国人が3.4パーセントアップしていると、レアル高なのになで たくさん来てるのかと、質問しましたら、海外から、旅行者ではなくて、所謂企業の方ですね、出張者が非常に多く今現在来られているそうです。そら、日本人 だけでなく、諸外国からかなりの数の人たちが来ているというふうにおっしゃってます。でー、国内旅行の3.6パーセントアップで、ホテル業界は非常に好調 と。所謂レアル高、経済の好調によって非常に好調に推移しております。はい。

    で、下期の展望となってきますと、ここにちょっと書いているおりますように、レアル高続いている現状に伸び続ける傾向にあると。後、伸び悩みとしまして は、治安、物価高この辺が、今後影響を及ぼすのではないかとみております。国内旅行は、やはり、さきほど言ってますように、経済の好調によってですね、非 常に、まぁ活況を呈すると思われてるんですが、各都市での観光事業の環境整備、空港施設の整備、こういったものがまだいまいち揃っていないとのこと整備し ていく必要があると。

    ホテル業界は、非常に活況を呈して、また新たに、132のホテルがオープンしたと。これによって1万5,000人雇用されたと景気の良い話にはなっています。旅行・ホテル業界にとって空港問題と。空港問題というのはやはり、えー、空港施設の整備、並びに所謂駐車場、それと治安の問題、きっちり整備してもらわないと、ホテル業界、いわゆる旅行業界もある程度のところで打ち止めになってしまう危険を含んでいるとのことです。はい、次。

    最後になりましたけど、通信業界。えー、これも毎年、毎回言ってることなんですけど、携帯電話の加入者世界第5位です。81パーセントがプリペイド方式、で、ここに書いておりますように、VIVO、TIM、えー、CLAROこういったところが非常に大きなシェアを持っております。2008年上期の特徴としまして、IT企業では、ノッタ・フィスカルの電子化、これを2,000万枚を実現したと。で、タバコ産業、石油用品は電子発行を義務付けられていますと。インターネットはブラジル人口の22.5パーセントがアクセスし、ユーザー数で言うと、これ非常に新しい数字なんですけど、2008年6月で、2,290万人がアクセスしていると。まぁそれでけ非常にインターネットというのが、ポピュラーな存在になってきたということです。はい。

    まぁ下期の展望としまして。下期の展望と言いますか、まぁ3次対応のiPhone、アップル社、日本でも非常に話題になりましたけども、それを今度CRALOは販売する予定であると。あと旧テレマールのOiがブラジルテレコムを販売予定。合併が成立すると非常に大きな電話会社が誕生すると。これはどうかなというものがまだあるんですけけど。次に、今非常に話題になっているインターネットの回線。これでまあ、非常に大きな皆さ まの記憶に新しいとこで、非常に大きな回線の不具合がでた時ありましたけど、このバックアップの整備や今後加速していって、所謂業界としてもそういう需要 が増えているとみております。ちょっと時間がかなりオーバーしてしまいましたが、これで終わります。どうもありがとうございました。

    どうもありがとうございました。あの、燃料高の問題ですね、これ非常に深刻だと思いますね。昨日のニッケイ新聞ですか、一面にですねJALとANAが 燃料高の煽りを受けてですね、確か日本国内の航路の廃止、一部廃止、便数の削減をこれをやると。国内だけかと思ったら、海外の航路についても一部廃止、並 び便数を削減すると。同時に、えーと、海外の新聞によると米国を中心とした欧米でもですね、同様の処置をとりつつあるとのことで、非常に僕は心配だと思い ます。この動きが、日伯間のビジネスに影響を及ぼさないようにですね、切に祈りたいと思っております。

      何かご質問ございませんでしょうか。運輸・サービス部会に対する質問でございます。はい。それでは時間かなり迫っていますので、引き続きまして、本日の部会説明のラストバッター、本間部会長のほうから繊維部会に関してご説明いただきます。

     

    Pdf レポート – 運輸サービス部会

  • 繊維部会 本間昭一郎 部会長


    本間昭一郎部会長

       最後になりましたけど、繊維部会の本間です。繊維も多岐にわたっておりますので、朗読にかえさせしていただきます。繊維部会2008年の上期の回顧と下期 の展望。えー、上期の繊維業界は天気に例えれば、「晴れのち曇り」でしょうかと。2008年1、3は2007年下期から続いた好調な消費を背景に荷動きが 活発で良いスタートとなりました。しかし、4、6は極端なドル安から大量で廉価の輸入製品や輸入綿糸が市場に出回り、大きく需給バランスが崩れたことで非 常に厳しい状況になりましたが、業界としてはまずまずの上期となりました。

    では、先ず綿紡績のコストの60パーセントを占める原綿の状況から説明いたします。今季2007年、08年度の世界綿花生産は約2,610万トンで、中国、インド、アメリカで、この3カ国で世界の生産の67パーセントを占めています。次、世界綿花消費は2,706 万トンで、中国、インドでこの2カ国で世界綿花消費の57パーセントを占めています。因みにブラジルは生産で6パーセント、消費で4パーセントとなってい ます。国際綿花の2008年上期の回顧。上期のニューヨーク定期の先物相場はかつてない荒れた様相を呈しました。原油、エタノール、トウモロコシが起因し て、大豆が高騰したことから、一時綿花も連動した動きとなり、そこにアメリカの景気動向やファンドなどの投機筋が加わり、実需とは全く関係ない動きが現出 しました。

    そ の後綿花は実需を反映した動きになり、価格的には昨年より20セントほど高い、70セント前後での相場となっております。下期の展望。2008年7月、米 農務省より、2008、09年度の世界綿花需給予想が発表されました。これによりますと今季比、大幅な生産減、消費増、これに伴う大幅な季末在庫減が大き な特徴になっております。季末在庫率、今期の49.3から42.3パーセントへと大幅にタイト感が強まっていることから綿花市場を押し上げることが想定され、現状の70セント相場水準から80セント相場水準となる可能性があります。

    次に、国内綿花。えー、上期の回顧。紡績は昨年の後半から好調を持続。年が明けてもフル生産が続き、綿花買い付けは活発であった。天候不順で新綿の入荷が 7月後半にずれ込むことが確実視され、また、それまで良質不足が懸念されたことで、相場は高値が続きました。一方、ドル安を追い風に、大量で廉価の輸入綿 糸が市場にあふれ、国内紡績は生産調整や必要量のみ、原綿購入をよぎなくされましたが、綿花相場は昨年のような下がり方はしない展開となりました。

    下期の展望。7月政府から今年の綿花生産量は155万トンと発表されました。この内、すでに67パーセントは既に成約済みで、輸出向けが70パーセントを占めています。国内2大綿作地であるマット・グ ロッソ州、バイーア州共に寒さのためつぼみの開花が遅れ、収穫が半月から1ヶ月遅れとなっています。現在、大きな問題になっているのは、倍近く値上がりし た肥料代の値上がりで綿花栽培収益が大幅に下落していることから多くの綿作者はより収益の取れる大豆、大豆等の他の農産物への転作を決めております。来年 のブラジル綿作は130万トン台へ大幅原産になると言われています。

    次に、あの、糸。国内綿糸、上半期の回顧。1、3月は非常に好調であったが、その後徐々に勢いを失いました。総じて言えば、原綿相場はほぼ昨年と同水準な がら、えー、綿糸販売価格は、昨年対比で平均7パーセント程度向上した結果、各紡績各社は売上げ・採算共にプラスで上期を終えることができました。下期に 入り、これからの春夏衣料むけ綿糸の本格的需要期を迎えることから、アパレル・小売業者の春夏シーズンに向けての購入意欲が戻ることを期待したい。特に空 紡糸は1.100万人と言われる、ボルサ・ファミリアの8パーセント増額や今年選挙の年であることでの需要増が期待されています。

    綿糸貿易、2008年上期の回顧。2008年の綿糸輸出は2,735トンで前年比で46パーセント下回り、半減しました。一方、綿糸輸入は2万8,031トンで前年同期比の149.5パーセント増、約2.5 倍へと急増しました。綿糸貿易は2007年以降大幅な赤字となり、赤字幅は拡大傾向にあります。輸出の主な相手国はアルゼンチン、輸入の大半はインドで す。下期の展望。綿糸の輸入急増は国内紡績は国内にとって脅威でありますが、インドの綿糸コストの上昇で綿糸輸入価格も上がり、ブラジル国内紡績との価格 差が縮小してきております。為替次第ではありますが、今後は大幅な輸入増加とはならないと予想されます。

    えー、合繊。ファイバーと糸ですね。昨年同期比、総量では輸入が増加しました。ポリエステルが増加し、人気に陰りが見えるビスコースが減少。ビスコースは 国内生産も減少しております。下期の展望。輸入の増加が続きますが、原油高騰によるコストアップと輸入増加の影響で国内生産の縮小も続きます。

    次織物。薄着織物。上期の回顧。昨年同期比、織物総合計の輸入は増加、当期の輸出入収支は大きく入超となっております。中でもベット、シーツなどの用途に 向けられる綿布の輸入が大幅に増加しております。下期の展望。輸入では低価格ゆえにベット、シーツ等の寝装用の増加は継続、国内購買力の増加に期待した い。えー、次。

    紳士、婦人服。上期の回顧。昨年、えー、冬物販売が小売り、アパレル共に良かった為、在庫もなく、冬物の仕入れる、うー、仕入れに力の入るスタートになり ました。寒さも順調に到来し、5月の春の日、母の日商戦も非常に良かったと。小売り業界は冬物が好調で15から20パーセント売上を伸ばしたものです。ア パレルは小売りに牽引された形で、牽引され売上を伸ばしましたが、輸入製品との価格競争で利益が圧迫されています。企画力の強いところは好調ですが、弱い ところは淘汰されつつあります。輸入業界は一層のドル安でコストダウンとなりましたが、一方で輸入税があがり、また、中国を始め、アジア地域の工賃の上 昇、原油の高騰でのコストアップで利益が圧迫しました。下期の展望。下期の傾向。インフレ傾向が気がかりですが、消費増加が続くことを期待します。

    ファスナー業界。2008年上期の回顧。この2、3年の傾向である輸入衣料の増加、国内生産衣料の減少も継続、ファスナー市場の数量的な縮小傾向は継続し ています。国内のアパレルメーカーは輸入品との競合を避け、付加価値の高い差別化衣料を生産する傾向が一段と顕著になってます。この上期は比較的早めに寒 波がきたためにジャケット、ブーツ向けが好調であったが、輸入品増加傾向に歯止めがかからない。

    えー、 最大の輸出国は、輸出国っていうか入ってくるところですか、中国で全体の50パーセントを占めています。ジャケット類、婦人服の輸入が大半ですが、ジーン ズの輸入も増加傾向にあります。下期の展望。国内衣料業界の輸入衣料との競争激化は続き、市場淘汰も進む。業界全体としては、市場構造の変化への対応も進 んでおり、この下期も昨年以上の販売を期待しています。

    最後に纏めとして、現在我々繊維業界が抱えている問題点として、3つ挙げてみました。まず為替。大きくドル安レアル高にふれた為替に起因する輸入製品の驚 異的な拡大、えー、正規輸入だけでなく密輸を含めての対応。次は綿作。原油・穀物相場の高騰に起因する棉作の大幅懸念、大幅原産懸念。最後にコスト。イン フレにあわせての電気代、労務費のコスト増、えー、などなど懸念材料は抱えていますが、私ども紡績業にとってブラジルは豊富な綿花、優秀な労働力そして大 きな国内市場があり、まだまだ戦っていけると確信しております。ということで纏めてみました。

    どうも本間さん、今日の部会説明の最後を締めくくっていただきましてありがとうございました。それではご質問ございましたら。ございませんか。それでは次 にまいらせていただきたいと思います。恒例になっております、来賓による今日の部会説明に対するですね、総評でございますが、えー、まずブラジル日本国大 使館宮下参事官のほうからお願いしたいと思います。

     

    Pdf レポート – 繊維部会

  • 講評 宮下匡之総務参事官

     宮下匡之総務参事官

        あのブラジルの大使館で総務参事官、と経済参事官を担当しております宮下でございます。本日はお招きいただきありがとうございました。まぁあの、来賓として の講評というようなお言葉でしたが、講評は、私の後にですね控えていただいている丸橋首席のほうに基本的におまかせさせていただいて、あのー、せっかくな ので、お時間いただいたので、最近、あのー、最近大使館、日本政府がですね、色々どんなことをやってきたかということを、少し簡単にご説明させていただき たいと思います。

    前 回2月にですね、このシンポジュームにですね、伺わせて頂いたと時にですね大使館の問題意識として、今年は100周年ということもあって、日伯経済上向き のところも活用して、様々な仕掛けを作って、色んな成果を生み出していきたい、ということを一つ、もう一つ、他方100周年で浮かれるだけでなくてです ね、今後も役立つ、今後の次の10年なり20年に役立つ様々な枠組みを作っていいくような、地道な努力をしていきたい。三番目として、まぁ、あの、それだ けに留まらずですね、個別の企業の皆さまから色々ご要望とかを受け賜るとか、こちらのほうからきめ細かく情報提供をするというようなことにも気をつけたい と申し上げたと確か記憶しておりますけど、そうした問題意識を踏まえながら、我々が何をやってきたか、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。

    で、あのー、大使館がですね主要な課題として思って、経済分野でですね、いくつか抱えて、思ってやっていることがございまして、一つ目は、その、まぁ、先 ほどはいくつかのご説明の中にありましたが、リオとサンパウロの高速鉄道話しが盛り上がっていますが、そんなシンボリックな案件を日伯関係の中で作ってい きたいと考えております。まぁ、ご案内の通りにすでにデジタルテレビという案件がございますけれども、大使館としては、この高速鉄道というのをなんとか二 匹目の泥鰌じゃございませんが、2つ目の、あのー、主要な案件として日伯間で作っていきたいということにまぁ努力していきたいと思っております。

    もう一つは、他方、それ以外に、重要な日伯関係の件案、件案の言い方が正しいのかどうか分かりませんが、よくあげられるのがエタノールと半導体で、この2 つについてはここ1年か2年ぐらいで、まぁいろいろとマスコミ等を通じて色々と言われることがあったので、こうした日伯間であるフラストレーションを少し でも解消していきたいとちょっと思ってます。

    3 番目にですね、今日冒頭で田中会頭からも色々とご紹介いただきましたけれどもビジネス環境整備の問題、あのー、移転価格税制ですとか、えー、知的財産権、 知的所有権の問題ですとか、あと社会保険の問題ですとか、そのほか、色々あると思いますが、そうした問題についても枠組みをつくるために取り組んでいきた い。

    最 後には繰り返しになりますけど、個別の色んな相談にも応じるとともに、様々な情報提供をしたい、今大使館としては主要な考えとしてやっていこうと思ってま す。で、簡単に、じゃそれぞれの分野でどういうふうにですね案件が動いているか、間単にご説明していきたいと思います。

    デ ジタルテレビで、ですね、まぁ、なんて言います。二国間の象徴的な案件であるテジタルテレビ、とまぁ後は高速鉄道。一般的に、あのー、日伯間で日本側がブ ラジル側に対して積極的な働きかけをやっていくなかで、これをより大きな日伯関係を支えるプロジェクトとして育てていきたいと考えております。

    で、 デジタルテレビについてですが、ブラジルの中で、その、去年の12月にサンパウロで放送が始まりまして、リオ、ベロリゾンテ、でまもなくブラジリアという ふうにどんどん、あのー、放送可能な地域が増えていくと思うんですが、それに加えてですね、是非南米全域で、まぁ日伯方式ですか、いわれる方式を是非普遍 化していきたいというふうに思っています。

    昨 年の、昨年の段階では、あまりこうアメリカ、ヨーロッパ勢に比べて、日本・ブラジル方式の旗色がそんなに良かったわけじゃないんですけども、まぁ、昨年の 秋から今年の春にかけてはですね、その南米諸国でも、まぁ、徐々に我々の分析では、徐々に我々日本側、ブラジル側の技術力を特に評価してくれるような立場 の人たちが増えつつあるように我々としては思ってまして、少し前の時点から比べれば随分と状況が好転しているのだというふうに思います。

    特 に日本政府、ブラジル政府官民あげて、さらに南米諸国に対して働きかけをやっていきたいと。これは特に、まぁ、日本では特に総務省さんが非常に熱心にやっ ておりまして、総務審議官とか、そうしたかなりハイレベルの人たち、また特に技術者の方々を各国に派遣して、ワークショップをしたり、説明したりというの を色々とですね、日本とか、あとブラジルの場合はコスタ通信大臣はじめ、通信省から、技術省から、統合省までといった、役所の人たちが一緒にやってるとい う段階でございます。

    その二点目の高速鉄道の件ですけれども、今大使館が、大使が非常に一生懸命やっている案件でございまして、大使が乗り物が好きだということも、個人的に関 係しているかもしれませんけど、非常にしっかりやっております。正直なところ昨年の段階、今年の1月、2月ぐらいまでの段階ではですね、その、例えば韓国 ですとか、ヨーロッパ勢、トイツ、フランスといったところに比べますと若干、こう、出遅れ感みたいなもんが漂っていて、ブラジル政府からもやる気があるな ら早くしなさいとですね、色々と叩かれたりもしたんですけども、3月以降ようやく東京のほうで、オールジャパン、政府及びJRを 含めてですね、官民あげて一生懸命やっていこうというような体制がようやく整いましてですね、3月にですね、柴田国土交通審議官という方をヘッドにして、 まぁ官民あげて、あのー、デレゲーションをやってきましてですね、それ以降ですね、急速にこの、あのー、日本側のまぁ働きがけ、ブラジル側も日本側も新幹 線に対するですね、感心っていうのが高まっていることを非常に感じております。

    例 えば4月にあのー、実務の官房長官がですね、日本側の百周年記念の式典に行った時に、まぁ彼女が実際的に本件に対する政策決定者だと思うんですけれども、 新幹線に乗っていただいて、非常に感触を得た。例えば、5月には運輸次官ですとか、あのー、官房長官の下の高速鉄道担当の補佐官がですね、ブラジルから日 本に訪問してまぁ色々試乗したり、色んな意見交換をした。

    まぁ 日本側からもですね松島大臣が6月にいらしたり、今日もブラジリアに、あのー、官民合同の秘書の方々がいらしておりますけども、人々の往来を通じてです ね、日本側も有利、特に技術面における優位性、というのを理解が浸透してきているのじゃないかと思っております。でまぁ、技術とですね、そういう意味で悪 いんですが、技術力とあと真面目な働きかけという点では、他の国を凌駕しつつあるんじゃないかと、我々は思ってますけど、まぁまだそれには、用地買収、技 術移転とか、環境とか資金とかですね、そうした面で色々ギャップがあるんですけど、こうした働きかけを通じて、是非これを日伯間の大きなプロジェクトの柱 としてもってきたいというふうに大使館と思っております。

     他 方、あのー、この1、2年間に日伯間で懸案化していた半導体とですね、エタノールについてはですね、今年の前半、特に4月の、1月、2月ぐらいは特に半導 体、エタノール等について、ブラジル政府の首脳の方から、激しい発言が相次いでですね、日伯間のイメージの悪化、100周年であるのにも関わらず、うまく いかない象徴的なもんになりかかってたものがあったんですけれども、幸いにしてですね、あのー、ブラジル側、日本側、特に企業の関係者の方々に色々とご努 力をしていただいたおかげで、ブラジル側のフラストレーションに解消に成功しつつあるのではないかと我々は思っております。

    半 導体についてはですね、特にその色々と半導体産業の育成というのをブラジル側の関心事項でありますけれども、これに関して日本側としてどういゆうようなア プローチで協力していくかと、人材育成ですとか、まぁデザインハウスの設立ですとか、そうした環境が整った後も、協力の可能性に明示したロードマップをで すね、日本側とブラジルの間でまぁ合意して、6月にデジタルテレビの作業部会があったと申しまして、まぁそれを踏まえてですね、6月に、7月に甘利経済大 臣がこちらにやってきた時にですね、まぁ大統領と、まぁ官房長官と等々関係閣僚を訪問、説明した結果、彼らから非常に高い評価と好感触を得てですね、今ま で若干半導体についてフラスト、半導体、電気産業の育成についてフラストレーションがあったのが、随分と解消されたのではないかと思っております。

    さらにもう一点。エタノールについてもですね、これもまぁ、ここ1、2年、うーんっと、日伯関係、日本ではある意味では皆様と我々の間でフラストレーションの一つのソースでもあったわけですけども、これもですね甘利経済大臣が7月に訪問した際にですね、4本のですね、MOUと いうのを、日本とブラジル側で結ばせていただいて、セルロース系次世代のバイオ燃料の協力を日本側とリオ・デ・ジャネイロ大学の間で締結した。まぁあとは 1年間20万キロリットルを5年間輸入するという長期購入計画を日本側とブラジル側の間で結んだり、他にですね、民間企業の方々とペトロブラスの間で様々 な出資ですとか、今後の情報、協力可能性を目指した情報交換をするというMOUに締結したということもありまして、非常にですね、ブラジル側の高い評価を得たと思います。

    まぁ たまたま最近ご案内の通りに、エタノールがその食料高騰化の関係で、また叩かれてですね、ルーラ大統領があらゆる国際会議で弁明する立場に追い込まれたこ ともあってたまたまその、戦略的にやったわけじゃですけど、7月に甘利経済大臣が、そういうエタノールに対する逆風が広がる中でですね、そしたオファーを 日本から出せたということはですね、非常にブラジル側に対してありがたく受け取られていると思っています。そういう意味で難しいところだった半導体とエタ ノールの2点についもですね、非常に環境が好転しつつあると。そう意味ではある意味、棘が抜けているのではないかと、まぁいつまでずっと抜けてるのか分か りませんが、当面棘は抜けているのではないかと思っています。

    で、3番目のですね、あの我々非常に問題視しておりますビジネス環境の整備。これはまさに商工会議所の皆様とも関係でわりかし宿題を頂いておるところです けど、これについては、4月にですね、前回の2月のこのシンポジュームの後に、4月にあの、まぁ第一回目官民会合会議のフォローアップという会合を開かせ ていただいて、知的財産権と移転価格税制について、率直に色々と厳しいご意見もいただきましたけれども、まぁ意見交換させていただいて、まぁ我々として、 どんなことをやっていこうというガイドラインみたいなものをいただいたと思っております。

    本 来であれば7月の下旬にもう一回やりかった、ちょっとうまく日程がつきませんでですね、もし可能であれば、10月の初めぐらいにですね、皆様との間でです ね、やらしていただきたいとも思うんですけども、その間ですね知的財産分野については、ブラジリアにおける大使館、後、ブラジル政府、後、日本東京と、 後、ブラジリアの関係者、政府との関係者の、関係者のネットワーキングを一生懸命やっておりまして、センターもこちらの経済班の担当官が東京からお邪魔し て、何年間の方にお世話になりましたけど、ネットワーキングを通じてですね、問題点の洗い出しと働きかけをやっていきたいと思っております。

    移 転価格税制についてはですね、先般、あの商工会議所を通じて、大使館からのアンケートをお願いしまして、かなりの方からこう率直な意見を頂いて感謝してお ります。で、あのー、そうした結果を踏まえたうえで、我々のほうでも、色々なレベルでですね、ブラジル側に働きかけというのを行いたいと思うます。例え ば、先般訪問していただきました甘利経済大臣から、ジウマ長官、あとあのー、ミゲル教授から商工会議所に対してまぁ移転価格税制、知的所有権の問題という のが、日本側の企業から問題点としてあがっている、ビジネス環境の整備にあたっては是非充実してほしいということを伝えたり、うちの大使からですね、例え ば外交委員会の人々を呼んで、色々の中にですね、日本側の改善要望点としてまぁ指摘するというですね、まだ非常に小さな一歩ではありますが、そうしたこと を最近始めております。

    さ きほどの貿易部会の副部会長の三分一さんのほうからご指摘がありました通り、日伯あの、貿易投資促進、貿易投資促進合同委員会というですね、甘利経済大臣 が、あのー、訪伯した7月の始めにブラジル側の間で立ち上げることに合意して、そうしたですね、知的財産権、移転価格税制、それに留まらず、両方、両国が 合意すれば、なんでも議論できるということになっておりますので、様々な論点をこの委員会で扱って、日伯間で協議する、所謂ネットワークを作りましたの で、今後こういうところにですね、色々と議論していきたいというふうに思っています。

    一 応今のところ最低年に一回、日本側は経産省、ブラジル側は開発産業省の次官級が減ったということになってですね、あのー官に留まらずにですね、企業の方々 の代表の方々、特にサンパウロとか東京、双方からですねご参加いただいてですね、意見交換したいというふうに思って思いますので、もし可能であれば、時期 はいつやるか決まっておりませんので、可能であれば、年内にやりたいというふうに思っておりますので、ぜひとも今後協力させていただければと思っていま す。

    あと、社会保障についてはですね、この作った新しく作った委員会で常に議論しておるんですけど、第二回の作業部会を10月の頭に、ブラジリアでやることに なっております。目覚まし進展が今のところ見られてるわけではございませんが、こうした地道な努力でも続けていきたいと思っています。最後のですね、きめ 細かなサービスを提供するという、この点はどの程度皆様との関係でどれぐらいできているのか、はなはだ心もとないところでもございますが、先ほどご紹介い ただいた、駐機料の引き上げに対しても、大使館が何かやっているとのことを、大使館としても、ささやかな努力をされている、それ以外にも企業の方から、個 別の相談を受けてですね、特にですね対政府ですとか、対地方行政の間で抱えている経営案に関していくつかご相談を受けておりまして、そんな方にもですねな るべく前向きに解決の方向で対処させていただいているつもりでございます。

    い くつかですね、例えば15年ぐらい、ブラジル政府の間で形相されている案件が片付きそうであるとかですね、まぁ、とある地方行政府の間で永遠とやっていた 代金の支払いの問題とか解決しそうだと。そうした少しずつ、我々やったからとは言いませんが、我々としてもお手伝いした部分で多少なりとも成果があがって いる部分もございますので、ご遠慮なくご相談できればと思います。最後に、大使館からの情報提供ということで、前回もこちらでお尋ねして、コメントした、 大使館情報というものをですを、つたないものですが、今年の2月ぐらいからですね経済班の同僚達が作ったものをですね、みなさまはイーメールを通じて、商 工会議所から配布させていただいております。あのー、どの程度、実際役に立っているか分かりませんが、あのー、コメント、ご意見等々を歓迎いたしますの で、あのー、何かあればですね、もっとこうしたほしいとか、もっとこうしたものを載せてほしいとか、もう少し面白くしてほしいとかなんもで結構ですので、 いただければと思いますので、よろしくお願いします。

    えー と、まぁ、私もなんだかんだで今年、前半皇太子殿下がいらして、忙しかったせいもありまして、あの、サンパウロに来るのも3ヶ月、4ヶ月ぶりなんですけ ど、なるべく大使館になるべくみなさんのほうにお邪魔したいと思いますし、逆に皆様のほうもですねお話を伺っている限り非常にお仕事がお忙しくて、田舎の ブラジリアなんぞにやってくる暇などないと思いますけども、もし機会でもあればですね、政府の方と会うとかですね、ご相談があるとか機会があれば、大使館 の方ですね訪れていただければ、我々都会の風に飢えてますので、あのー、いつでも喜んでお会いさしていただきますので、是非是非大使館のほうを訪れていた だければと思います。どうもありがとうございました。

    どうも宮下さんありがとうございました。日伯間の詳細なる大使館のご説明非常に参考になりました。それではですね、引き続きまして在サンパウロ日本国総領事館丸橋首席領事の方からお言葉を賜りたいと思います。

  • 講評 丸橋次郎首席領事

    丸橋次郎首席領事

      総領事館の丸橋でございます。本日は本来であればですね、西林総領事が出席させていただく予定でございましたが、ちょっと残念ながら、郊外の出張が入った関 係で不在となりましたので、私が今回ピンチヒッターとして出席させていただきました。実はこの会議で私も何度かいわゆるピンチヒッターとしてお邪魔してお りまして、確か前回はですねほぼ一年ほど前ですかね、この会議に出席させていただきました。

     こ の会議ご承知のように冒頭田中会頭のほうからご説明がございましたように、11業種のかたから詳細のご説明をいただいた、本当に私どもにとりまして、再度 ブラジルのマクロ、ミクロというんですかね、その経済の現状むしろ生の声を直にお聞きするいい機会で、ありがたく思っています。なんか、最後トリなので好 評ということで、それほど大それたことをさせていただけませんので、本当もう、時間も迫ってますので、間単に感想を全く個人的な感想をということでご勘弁 いただければと思います。

    全体的な感じとして、申すまでもなく、ブラジル経済が本当におそらく歴史ないほどと言って良いんでしょうけど好調だと。私自身ですね、ブラジル勤務は通算 しますと15年ぐらいになるんです。非常に長くて。ですからそんなものからしますと、こういう好調は本当だろうかというぐらい、まだ怪奇心をいだきなが ら、懐疑心が強くなりすぎましてですね、信じたいんですけど、本当に信じて良いんかどうかというぐらいの気持ちで日々眺めているのが実は正直な気持ちでし て、ただ、率直に申しまして、今の本当にマクロあるいは、みなさまの各業種の業績等ですね、拝聴する限り、本当に少なくとも少なくとも、私がこのブラジル に関わり出してから、限り言えば、ようやくまぁ安定して、ブラジルも以前から言われている未来の大国というんですが、その未来の部分がようやく取れたのか なというそいう感じがしておるわけでございます。

    個 々の業種のご報告を拝見したところ、全体的には好調、中には絶好調というそういう言葉も聞かれたんですが、特に為替ですよね、それと原油高、というコスト 面、為替面で当然なかなかご苦労されている分野も当然あるということでございます。この為替につきましては仕事ビジネスもそうなんですが、おそらくここに おられる皆さんの大半もそうだと思うんです、私的な生活面に非常に我々危機感を持っておりまして、まぁ、今日、金融部会のレートをお伺いしましたところ、 一応1.55から1.65ということで、まぁなんかこれ以上進んでも1.55止まりかなと。実は個人的には、やや安堵と、これで良いとは決して思わないん ですけども、まぁ少なくともこれ以上ならないとニュースを聞いて、やや、本当少しばかり安堵させていただいたところがございます。

    そ れから、今日のご発表の中には、関して詳細がございませんでしたが、ご承知のように日本からですね直接投資と言いますか、本当に最近頻繁にございまして、 まぉ総領事のほうもあちこちの色々な企業の工場の開所式あるとかですね、そういったものに頻繁に顔を出させていただくという非常に嬉しいニュースが多々あ るということでごさいます。

    ま た、日本からの来訪者、今年は得に交流年ということで、去る6月の皇太子殿下はじめ甘利経済大臣とか若林農水大臣当時ですね、ということで本当に来訪者の 方も多くなっていると。また、各企業のトップの方の来訪が顕著増えていることを嬉しく思っていまして、全く参考まででございますが、当総領事館がですね毎 年、所謂その来客ですね、日本から、正しくは日本だけには限りませんが、仕事上で通常我々便宜と呼んでおりますが、数も、実は今年度これ、4月から6月ま での第一・四半期の数が、昨年度のその3分2ぐらいですね、数をきておりまして、今年は6月、先ほども申し上げましたが、特別な事情もあると思いますが、 非常に日本からの来訪者も多いということで、日本とブラジルとのビジネス関係非常に顕著になって、非常に喜ばしいことと思ってます。

    ただ、ブラジルご承知のようにそのBRICsと いうことで、もちろん日本のみならず全世界から注目されておりますので、今日のお話はもちろん日本の各業界のご報告でございますが、より外に目を向ければ ブラジルに対して全世界が注目しておりまして、日本の各業界のブラジルのですね市場のみならず、全世界がブラジルの市場を狙っているということでございま すので、今後益々この日本とブラジルの関係が緊密化がある意味では、国益増ですね増進に繋がるというわけですが、先ほど宮下参事官からもお話しもございま したようにですね、オールジャパン、出来るところはオールジャパンでやっていく必要があるように認識を新たにしたわけでございます。

    それであの、今回のお話しではですね、コスト高、もちろんブラジルの中でも従来から言われておられます、ブラジルコストですね、これまぁ、通常のやつはお話 しするまでもないんですけど、例えば、むしろブラジルより、サンパウロ点コスト的にトラックの規制ですとかですね、あるいはオートバイ、あるいはそのGPS装着。もちろんそう目的は良い訳ですが、他方そういったコストがあるということで、新たなブラジルコスト的なものがまだまだあると。それから人材不足ですね、好調になってくるからこそ、人が不足してくるという、そういう状況がでてきました。

    こういった好調の陰に隠れたブラジル・コストが現前としてあるということだと思いますので、これはブラジルの識者も実際、こういって、調子の時、所謂天気の いい時に雨漏りを直す必要があるというように皆様理解をされているようですが、実際にそれが進むのかというのは、より中、長期的なですね、観点からすれば 非常にブラジルのですね、本当の、本当に真の大国になるかという観点がすれば大きな問題になるかな、と感じがいたしました。

    あまり長くなったらあれなんですけど、一言で申し上げれば、実はその一年半ほど前にここで、一つのドライブに例えれば、当時は恐らく例えば制限速度が100 キロだとすればまぁ70、80キロで順調にこう速度を上げつつある、今日は恐らく制限速度いっぱい、やや越えた辺りで一応ドライブしていると。それで時々 制限速度の標識が出てきたんでですね、時々ブレーキを踏まなければいけないのかなというそいう感じで、これは全く個人的な感想なんですけど、そういった状 況、想像しながらお話しを伺わせていただきました。

    それで最後にですね、ご承知のとおり移住百周年、それから日伯交流年ということで、色々盛んに人の往来とかですね行事がおこなわれておりまして、それでまぁ その、去る6月にですね、皇太子殿下のご来訪とか、記念行事、本当に恙無く、みなさまのご協力をえて、終了することができました。本当に商工会議所の皆さ ま各位におかれましてもですね、色んな面でご支援、ご協力を頂きましたこを、この場をお借りして、心から御礼を申し上げたいと存じます。ということで、こ ういった今回のですね好調ぜひともが続くようにと、各皆様のですね、商工会議所各位の企業のご発展を、まぉ、お祈り申し上げました、ちょっと簡単でござい ますが、好評に変えさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

    どうも、丸橋様ありがとうございました。日系進出企業のですね、企業活動を鼓舞するお言葉を頂戴しまして、本当にあの勇気づけられました。ありがとうござ いました。それでは、あのー、最後に閉会の辞ということで、総務委員長の松田様の方からお言葉を頂戴したいと思います。

  • 閉会の辞 松田雅信総務委員長

     松田雅信総務委員長

    みなさんどうもありがとうございました。時間も迫っておりますんで、本当に間単に済ましたいと思います。あのー、パワーポイントも定着して、技も入りまし て、非常に聞きやすいですねシンポジュームになってきたんかなと思います。これをですねさらに発展させまして、来年度、再来年度とますます、あの、活躍す る商工会議所という方向にですね、みんなで持っていきたいとおもいますんで今後ともよろしくお願いします。また、今日はご参加どうもありがとうごさいまし た。それで、えーっとですね、カクテルパーティーをですね、この廊下の突き当たりの辺りでですね、只今から行なわせていただきたいと思いますのでご参加の 方は、ご参集願いたいと思います。どうもありがとうございます。

 

開催日:2008年8月07日(木)

会場:ホテルインターコンチネンタル

時間:午後2時から6時

2008年上期業種別部会長シンポジウム

総務/企画戦略委員会共催

 

 

  • 司会の言葉 松田雅信総務委員長 宮田次郎企画戦略委員長

    司会  松田雅信総務委員長  宮田次郎企画戦略委員長

    それでは今年上期の業種別部会長シンポジウムを始めさせていただきます。司会を担当いたします総務委員会の松田と隣が宮田次郎企画戦略委員長です。今回は西林万寿夫総領事の他に経済産業省の三田紀之通商政策局米州課長、本間英一通商政策局米州中南米室長が参加いただいておりますので、ご紹介させていただきます。それでは西林総領事(拍手)、三田米州課長(拍手)、それから本間南米室長(拍手)。

    シンポジウムでの発表は質疑応答時間を含めましてそれぞれ十五分ということで、まあ大体十分強をめどに各部会から発表いただきたいと思いますけれども、あそこに、去年もそうでしたけれども、14.59という時間が出ておりますけれども、十分を過ぎますと色が変わるということですので。まあほとんど昨年のケースですと無視されている方もおられましたし、一方とても気にされて画面をしょっちゅう見ておられる方もいらしたんですけども、全体で今日六時まで予定させていただいておりますので、全体で六時までに必ず終われればと思っておりますので、短い時間でまとめるのはたいへんだと思うんですけども、是非ご協力のほどよろしくお願いしたいと思います。

    それから、失礼いたしました、もう一人今日ブラジル日本国大使館の方から宮下総務参事官にも参加いただいておりますが、それからもう一人吉村書記官にも参加いただいておりますので、ご紹介させていただきたいと思います。それでは宮下参事官。(拍手)それから吉村書記官ですね。(拍手)あとさきになりまして申し訳ございません。それではこのシンポジウムの最初に商工会議所を代表いたしまして田中会頭より一言お願いしたいと思います。

    よろしくお願いします。

  • 開催挨拶 田中信会頭

    田中信 会頭

    皆さんこんにちは。本日は当会議所のメインイベントであります業種別部会長シンポジウムに、ご多忙中にもかかわらず多数ご出席いただきまことにありがとうございました。特に毎回ご出席たまわり、最後に講評をいただく西林万寿夫総領事以下サンパウロ総領事館の皆様に加え、今回は在ブラジリア日本国大使館から宮下匡之総務参事官および吉村一元一等書記官、さらに日本から経済産業省三田紀之通商政策局米州課長および本間英一同局米州中南米室長にもご参加をいただいております。ただいまご紹介のあった通りであります。

    このシンポジウムは一年二回、年初と年央に十一の業種別部会長がそれぞれの業界の回顧と展望を行うことになっており、今回は2007年を回顧し、2008年の展望を行うものであります。このシンポジウムは1970年代にコンサルタント部会が「業種別部会長懇談会」として開始したものですが、その後総務委員会、企画戦略委員会が担当として会議所全体の主要行事となり、今日まで三十年以上続いている当会議所の看板行事であります。

    当初参加者は部会長に限られておりましたが、2003年より「開かれた会議所」の基本方針に従い、会員にはもちろんのこと一般のブラジル社会にも開放し、日本語の理解が難しい参加者のためポルトガル語の同時通訳も用意し希望者は誰でも参加できるようにしました。設立以来継続してきた部会長懇談会という名用も一昨年8月8日実施分より「業種別部会長シンポジューム」に変更いたしました。

    この会議では各業種別部会の代表者から生の声でそれぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長を中心に自社業績や業界動向を分析し、その結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定にきわめて役立つものと思います。さらにこのプロセスを通じてメンバー各社の親睦にも役立つものと思います。さらに外部の企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ数少ない信頼すべきデータと評価されております。

    日伯経済関係は二十一世紀入りと前後しまして再活性化が始まり、内容的にも従来の資源確保の投資や伝統的産品の取り扱いの域を脱し自動車生産およびその関連産業、エタノール、CDM(温暖化ガス排出権取引)、デジタルテレビ、航空機、シームレスパイプ一貫生産など世界経済のグローバル化とブラジル産業構造の高度化に対応して大きく変化しつつあります。これに伴いブラジルに要求する投資環境整備も従来の道路、鉄道、港湾、空港などの単純なインフラの整備改善にとどまらず、最近当会議所の重点指向は移転価格税制の改善、社会保険料二重払いの防止、知的財産所有権保護などに向けられております。

    当会議所は2005年、「移転価格税制委員会」を設置し、ブラジル税務当局との折衝を開始、昨年三月に行われた日伯経済合同委員会でもブラジル大蔵省を訪問、OECDのルールに従うよう要請しました。平行して日本、米国、ドイツなど有力なブラジル投資国十二カ国の商工会議所メンバーで組織されているGIE(外国投資家グループ)に共同歩調をとるよう呼びかけました。

    その結果、GIE構成メンバーのコンセンサスを獲得し、ジョエル・コーン議長の名前で大蔵大臣あてに改善要請を提出することができました。去る六月、当会議所は定例昼食会にジョエル・コーン議長を招き講演を依頼したことは記憶に新しいところであります。

    社会保険料二重払いは2006年九月、進出企業会員に対し二回目の調査を実施し、ブラジルの日本企業の二重払い額が世界で三番目に多いことが判明。経団連に報告し改善を依頼中であります。

    知的財産所有権の問題は最近特に会議所会員日本企業の関心が高まっておりますので、ジェトロさんの協力を得て活動開始しております。この三つは当会議所の目下の重点課題であり、日本政府当局のご理解と強力なご支援をお願いする次第です。

    官民合同会議の宿題のフォローアップ窓口であるサンパウロ総領事館とは昨年四回の会合を行い、解決に協力いただきましたが、本年はこの窓口を在ブラジリア大使館とし、より一段とフォローアップ体制を強化していただくことになりました。

    従来、商工会議所は日本進出企業の内輪の親睦会、仲良しクラブ的性格の方が濃厚でしたが、これからはサンパウロ工業連盟、ブラジル工業連盟、諸外国の商工会議所などとの連携の強化、両国政府に対する積極的支援などにより会員企業の具体的ニーズに対応する活動の強化が要請されるようになっております。このような情勢変化を控え、当会議所は2002年定款改正を含む組織の大改革を行い、2003年より今日のような戦う会議所の体制をスタートさせたことは皆様ご高承の通りであります。

    当会議所活動評価の一環であるホームページへの年間アクセス件数は、2005年3万3千件から2006年7万7千件と2.3倍に増加しましたが、2007年は76万件と十倍の増加となっております。最後にこのシンポジウムの担当であります総務および企画戦略委員会、業種別部会および事務局の皆さんのご尽力と会員各位のご協力に心から感謝の意を表しまして私のあいさつを終わります。ご静聴ありがとうございました。

    司会:
    田中会頭ありがとうございます。それでは本日これからの進行を担当させていただきます総務委員長の松田でございます。よろしくお願いします。それでは部会の報告に先立ちまして在サンパウロ日本国総領事の西林総領事にごあいさつをお願いします。

  • 挨拶 西林万寿夫総領事

    西林万寿夫 総領事

    皆様こんにちは。業種別部会長シンポジウムの開催にあたり一言だけごあいさつ申し上げます。

    いつもこのシンポジウム、私講評しているんですが、今日は豪華キャストというかゲストが四人おります。先ほど紹介がありました通りでございまして、その中で三田課長と宮下参事官に終了時にご講評いただくということであります。ブラジルの経済であるとか、日本ブラジルの経済関係について、マクロ面ミクロ面両方から知っていただく非常に良い機会ではないかと思います。よろしくお願いいたします。

    さて今年は、言うまでもなく移民百周年、日伯交流年という年にあたりまして、早速一月前、一月半ばなんですが、数多くの大きな行事がございました。中でも商工会議所と日本経済新聞、エスタード紙の共催によりまして経済シンポジウムが開催されましたが、大成功を収めまして、この場をお借りいたしましてお祝い申し上げたいと思います。

    なおこの模様は今週、確か二月十四日だと思うんですけれども、日本経済新聞に特集として記事になるというようにうかがっておりますので、ぜひともお読みいただければと思います。また、こういった記事が出ることは本当にありがたいことだと思うんですが、というのも私ども実は昨日、カーニバルの休暇を利用して日本から戻ってきたばかりなんですけども、日本にいますとどうしてもブラジルについてのニュースというものは非常に限られている、乏しいと。

    この二週間ほど日本にいたのですが、テレビを見たり新聞を読んでもせいぜいちょっとしたカーニバルの記事であるとか、逃亡犯罪人が捕まったとか、その程度で済んでいて。やはりBRICsの中でどうしてもチャイナが圧倒的に存在感が大きいと。言うまでもなく毒入りギョーザ問題がありまして、毎日そのニュースで大騒ぎになっているので否が応でも中国のニュースばかり見ているような感じなんですが、それに比べるとブラジルについてのニュースが非常に限られているといった感じで、ちょっと残念な感じなんですけれども、一方当地では、皆さんもうお気づきだと思うんですけども、百周年ということで昨年来数多くの特集が新聞や雑誌で組まれまして、まあ先日のカーニバルでは百周年の山車も出たということで、ブラジルの一般の国民の間での日本への関心とか理解が深まっているんではないかと思います。

    そして言うまでもなく経済面でも日伯関係があらゆる分野で強化され再活性化されているという、そういう時期にあたるんじゃないかと思うんですけれども、皆様方におかれましてはこの百周年、そして交流年のムードというものを是非ともご利用いただきたい、大いに活用していただきたいと思う次第であります。

    本日は事情があって私このあいさつの後退席することになっており、たいへん申し訳なく思うんですけれども、先ほど言いました通り豪華ゲストの方々が講評をしていただくということでございますので、安心して退席することができるという訳でありまして、最後にシンポジウムの開催にあたりまして努力された関係者の皆様に御礼申し上げるとともに、今回も毎回のように有意義なシンポジウムとなることを祈念いたしまして私の冒頭のごあいさつといたします。どうも失礼しました。

    司会:
    西林総領事どうもありがとうございました。それでは各部会からの発表に入らせていただきます。まずはトップバッターはコンサルタント部会、高山部会長代理からお願いします。

  • コンサルタント部会 部会長代理:高山直巳

    ジャパンデスクの高山でございます。渡邉部会長の突然の帰国で急遽ピンチヒッターに指名されましたが、野球に例えますと、観客のつもりでスタンドにいきましたら、いきなりバッターボックスに入ってくれと言われたような気分でございます。しかもトップバッターということで、非常に戸惑っておりますが、ここでイチローのように先頭打者ホームランということになれば、劇的なのですが。まあ、せいぜい三球三振にならないよう、一生懸命に務めさせていただきます。よろしくお願いします。

    それではシートをお願いします。さて、私が頂いておりますテーマが「ブラジル政治経済、2007年の回顧と2008年の展望」ということでございますが、まず政治面と経済面に分け、さらに経済は国内経済と対外勘定に分けて、お話を進めさせていただきます。また、展望につきましては、現在皆さんが最もご関心あると思われます「アメリカのサブプライム問題とブラジル経済への影響」についてコメントさせていただきます。

    それでは次、政治面から。2007年の政治面の動きは、前半は国会の上院議長の政治スキャンダルが巻き起こったことで停滞いたしました。ルーラ第一次政権下ではメンサロンなどの不正疑惑問題に揺れた国会は、第二次政権になってまたもや政治スキャンダルで始まったわけでございます。最終的には昨年12月、レナン・カリェイロス上院議長の辞任ということで幕引きとなりました。

    今年も実は、今カーニバルが終わったばかりで国会が再開しようとした矢先に、政府が支払いを保証しているクレジットカード、Cartao Corporativoと言いますが、これを閣僚や政府関係者が私的に流用していたというスキャンダルが暴露されております。これによりましてCPI、議会内査問委員会が設置され、これで今年の前半は国会審議はまた滞り、後半は市長選挙によって、議員さんたちがまた地元に奔走するということで、国会での構造改革法案などの進展はまた望み薄ということになっております。

    話は戻りまして、昨年の後半の国会は、DRUとCPMFの継続を巡る法案審議が中心となりました。DRUとはDesvinclacao de Receita da Uniaoと、「歳入の20%を特定の公共支出に縛り付けるという規定を解除する」というものですが、この法律を政府は継続しようとしていたわけです。こちらの方は上下両院で可決されましたが、銀行小切手税であるCPMFの継続法案というのは上院で否決され、廃案となりました。

    これによって2008年以降の財政予算に狂いが生じた政府は、今年早々に財政パッケージを打ち出して、CPMFで失いました400億レアルもの補填を試みていると。すなわちIOF、金融取引税や企業利益に対する社会負担金の増税、加えて公共支出の削減、さらに経済成長によります増税効果、これらによりまして帳尻を合わせようとしているわけです。

    2007年の政治の動きを一言で表すならば「構造改革などの目立った成果はなかったものの、経済の邪魔もしなかった」ということではないかと思います。このため2007年の経済は、現時点での推定値では5.2%~5.4%という順調な成長が予想されております。経済につきましては後ほどまた述べさせていただきます。

    また、2007年の政治で重要なことはルーラ政権に対する国民支持が高水準で安定推移した点だと思います。第一次政権においても第二次政権においても政治スキャンダルの種は尽きることなく、政治基盤は必ずしも磐石とは言えませんでしたが、にもかかわらず国民支持は崩れることはありませんでした。

    世論調査では、国民の半数がルーラ政権に対して「最高」または「良好」と評価して、「普通」という評価を含めますと85%に達する国民が政権に対して「ノー」という拒否反応は示していないわけでございます。この高支持率の理由は、政府主導によってとられた社会政策、ボルサファミリアですとか最低賃金の大幅引き上げ、公務員給与の引き上げ、小農家への支援プログラムなど、さらにこれに加えて国内経済の順調な成長ということがあってこの高支持率という結果になっているわけです。

    このようなルーラ政権への高い国民支持をもって、今年は10月に控える全国市長市議選挙を迎えるわけです。今年の選挙は2010年に控える大統領選、州知事、国会議員、州議員を含む総選挙の前哨戦とも言えるものとなります。それにあたってPTルーラ政権が高い国民支持を得ているということは、反対政党が安易に政府攻撃をできない状況にあるということでもあります。この点でもルーラ政府には選挙に対して有利に展開していくことが予想されます。

    もう一つ最後に政治面で付け加えますと2005年から2006年にかけまして南米各国では大統領選が行なわれましたが、その当時、次々と各国で左翼政権が誕生しまして、「南米の左傾化」という問題が警戒されました。しかし、今やそのようなことを言う人は誰もいません。南米各国が連携して左旋回の政治が行われるのではないかと言うことが単なる危惧であったということが証明されております。続きまして経済面、お願いします。

    国内経済について申し上げます。2007年のGDP成長率はまだ公式発表はありませんが、現時点での市場の推定値は5.2%~5.4%の成長ということになっております。2007年、去年の年明けにルーラ大統領自らが「経済成長加速化計画」、PACというのを発表しまして、これを起爆剤として5%の成長を遂げるということを発表しましたが、そのPACはほとんど目立った実績も示さないまま今年に持ち越されています。

    政府のPACの思惑は外れましたが、結果的には目標以上の成長が達成されたわけです。これは民間の活力に他なりません。昨年の経済環境はレアル高による輸出産業の伸び悩みが懸念されたり、下半期はサブプライム問題が表面化したりで、必ずしも順調ではありませんでした。しかし結果としては予想以上の成長を遂げたわけです。これはとりもなおさず、ブラジル経済の懐の深さ、底力を見せつけたことになりました。

    では、その成長要因がどこにあったかと申し上げますと、まず国内需要が経済を牽引したということが挙げられます。つまり世帯消費や個人消費の増強が国民の実質購買力を増大させた。この背景には社会政策による大衆の所得の底上げ、雇用の改善、信用取引の拡大、この信用取引の拡大の背景にはSelic金利の低下、ローンの長期化というものがありました。

    さらにインフレの安定、この背景にはレアル高の状況下で輸入が増大したことがインフレ抑制効果となった。こういったことが国内の購買力増強に拍車をかけることになりました。工業稼働率も高水準を維持しまして、昨年は平均で82~83%、四半期平均ベースでも記録的な水準に達しております。稼働率が限界に近づいているということで設備投資も増大しております。

    従いまして2007年は大半の業種において好調な結果が残されております。一次産業では国際価格の高騰を受けて、鉄鉱石をはじめとする鉱業、マイニングですね、アグリビジネスが好調に推移して予想を上回る輸出となりました。インダストリーでは鉄鋼、スチールですね、自動車産業、全ての車両つまり乗用車、トラック、バス、二輪、トラクターなど、さらに家電通信・情報機器、紙パルプなどいずれも過去最高の実績を残しております。

    さらに不動産建設ブーム、サービス部門では金融や商業がやはり記録的な増収増益ということになっております。中にはレアル高で輸出が苦戦を強いられた業種もありますが、これだけブラジル国内需要が増大したということで、救われた結果となっております。

    従いまして、2007年は、この国内経済の順調な伸びのお陰で、ルーラ政権内では2004年の5.7%に次ぐ高い成長率が実現する運びとなっております。2008年もこの勢いを持続させ、4~4.5%の成長というのが今のマーケットの予想でございます。

    続きまして対外勘定。対外勘定は順調なブラジル経済を反映する象徴的な部門の一つでもございます。2002年からスタートしたルーラ政権におきまして外貨事情は一貫して順調な推移を辿ってきております。その意味では2007年も例外ではございません。貿易収支、対外債務の大幅圧縮、外貨準備高の増強、外国直接投資の拡大など、いろいろな対外勘定の指標が好転しております。ブラジルは格付け機関における評価を改善して、早ければ年内にも「投資適合国」の取得の可能性もあります。また近年の特徴としてブラジル企業の海外進出というのも急増しております。

    対外勘定の項目をこれから一つずつ述べていきますと時間が足りませんので、この部分はもう全面的に貿易部会さんにお願いして次に参りたいと思います。よろしいでしょうか。

    それでは展望ということで、2008年の展望、サブプライム問題とブラジル経済への影響、実はこれが今日の本題でございまして、これからさらに十分くらいかかるんではないかと思います。

    サブプライムローンの問題そのものについては、世界中のエコノミストやメディアによりまして分析、論議されておりますので、ここではあくまでもブラジル経済への影響、あるいはブラジル経済との関係という点に絞ってコメントさせていただきます。

    アメリカは世界全体の25%のGDPシェアを占めている経済大国でございます。今回はそのアメリカが震源地となって世界経済を揺さぶっている訳ですから、各国への影響も少なくありません。IMFも米国を始めとする主要各国、さらに世界経済の下方修正を発表しております。

    サブプライム問題の衝撃波は、まずニューヨークを中心に世界につながっております証券市場、金融市場を直撃いたしております。これが今度は貿易に支障が出はじめてくると思われます。すなわち、アメリカの輸入の減少、その波紋が全世界に及んでくる。さらにアメリカ企業が世界各国に投資しております企業や産業にも影響が出てくると思われます。それは投資の減少に留まらず、場合によっては資本の引揚げにも波及してくる可能性も含まれております。

    アナリストの論調の中にはアメリカ経済は減速しても高成長を遂げる、新興諸国は左右されないという、いわゆる「デカップリング」という考え方もありますが、ブラジルのように貿易も投資も、さらには文化的要素まで、アメリカに強い影響を受けている国にとっては無傷でいることはまず考えられません。問題はその度合いということになりますが、次に項目別にそれをコメントしてみたいと思います。

    まず、貿易。2006年のブラジルの貿易黒字は、2006年ですね、一昨年です、460億ドル。2007年が400億ドル、これが2008年は250億から300億ドルまで減少すると予想されております。その第一の理由は対アメリカ貿易が減速すること、また長期化しているレアル高によってブラジルの、特に工業製品の競争力が落ち始めていることなどが挙げられます。ただし、その一方で、ブラジルの主要輸出産品であります鉄鉱石をはじめとする資源、また農業コモディティへの需要、国際需要は堅調だという予想がございます。

    次に投資でございますが、対ブラジル投資についても極端に減少するということは考えられません。昨年の対伯外国直接投資は過去最高の346億ドルでしたが、今年は世界経済の減速を反映して200億~250億ドルへ収縮するというふうに予想されております。

    今日のグローバル経済におきまして、アメリカの親会社の不振を海外の子会社が助けるという構造は日常化しております。フォードやGMのアメリカ本国での不振を海外子会社が助ける、あるいは本社よりも海外拠点での生産販売が大きいというような光景は、いろいろな企業や業種で見受けられております。その意味でも安定成長するブラジルからアメリカ企業が資本を引き上げるということは考えにくい。

    また証券や金融市場においてもアメリカでの損失を補填する意味で、特に昨年末から本年始めにかけてブラジルから資金の流出が続いています、しかしそれはブラジルでの企業の好決算による利潤送金であったり、アメリカの損失をブラジルで上げた利益でカバーすると、または現在のレアル高がドルの為替交換率を有利にしていることなどにより、対外送金に拍車がかかっているわけで、ブラジルのカントリーリスク悪化によって資本が逃避しているということではありません。

     マネーの流れ。金融市場の投資の流れも変化して来るでしょう。リスク感が高まれば、投資家は世界でより安全なアメリカの国債(トレジャリーボンド)への投資を優先し、世界の金融市場に分散していた投資金がアメリカに還流してくるということも考えられます。

    しかし一方で、その反対の現象も起きている。一つはドル離れ、すなわち、ドル不安・ドル不信によって金、ゴールドやユーロ、あるいは他の実体資産へシフトする動きが見られております。

    もう一つは、ブラジルのような高金利市場を目指した裁定取引、Arbitragemの増大。現在ブラジルの金利(Selic)は11.25%、これに対してアメリカの金利は今年2回の利下げで3%に低下し、さらなる追加利下げも示唆されています。このような利ざやを狙った金融投資が現在増えておりますし、これからも増えていくという予想もございます。

    まあいずれにしても、今後も米経済の指標や金融機関の損失などが発表されるたびに、マーケットは乱高下は続き、マネーの動きはきわめて流動的になるということが予想されます。

    さてここで、ブラジルにとって新興諸国はアメリカの代わりになり得るかということについてちょっとコメントいたします。新興諸国の台頭によって世界経済の勢力図が大きく変貌し、アメリカ経済の集中度が分散している、こういうような状況下で今回のサブプライム問題に関しましてもそのショックは限定的であるという、いわゆる「デカップリング論」という考え方があります。

    しかしブラジルの立場から考えた場合、例えばブラジル貿易において新興諸国がアメリカの代わりができるかというと、まだまだ力不足の感があります。新興諸国はブラジルとの経済交流の歴史は浅く、その規模もまだまだ小さい。

    例えば、二桁成長を続ける中国は今年の北京オリンピックを弾みにさらなる成長が期待され、ブラジルとの貿易量もあっという間に対日貿易を追い抜き、いまや日本との貿易量の2、3倍にまで加速していると。しかし2007年のブラジルの対米貿易、対アメリカ貿易は65億ドルの貿易黒字である時に対中国貿易は19億ドルの赤字でございます。したがいまして外貨獲得の観点からすれば、中国はとてもアメリカの代わりができるような状況ではありません。もちろんロシアやインドに至っても、貿易量も投資においてもさらに小規模でございます。

    また米国経済が不況に陥れば、中国も対米貿易の減少分を他の国々によってカバーするというように、通商政策をますます積極的な通商政策をとってくることが予想されます。それはほかの世界各国も同じようなことです。つまりそうなれば国際市場での輸出競争がますます激化してくると、こういうような状況で既に対中国貿易で赤字構造にあるブラジルが黒字転換するどころか、赤字幅がさらに拡大するという可能性も出てくるわけでございます。

    次に、サブプライム問題はブラジル経済に限定的であると予想される理由につきましてコメントいたします。これまでやや慎重論を申し上げてきましたが、少なくとも2007年に限って言いますと、サブプライムショックのブラジル経済に対する影響は限定的でありました。それを可能ならしめたのはブラジルの内需であり、ファンダメンタルズの大幅な改善でございました。

    それは基本的には2008年に入っても勢いを失うことなく継続いたしております。ここでサブプライム問題が短期的に、年内に収拾の兆しが見えてくるようであれば、現在のブラジルはこれを乗り切るだけの条件を備えていると思われます。それは次のような理由からでございます。

    第一に、ブラジルの経済に占める輸出比率は13%でございます。また対米輸出はその中で15%程度、金額にして250億ドル。このことはブラジル経済が国内市場に依存していることを示しております。今年も安定成長は続き、所得や雇用、低インフレ、信用取引の拡大、これが継続しております。さらに今年は選挙の年であり、「選挙の年に不況なし」というジンクスの通り、官民の投資意欲も高まってくると思います。

    第二に、ブラジル経済のファンダメンタルズが堅固であるということから、いろいろな経済指標が出ておりますが、中でも外貨準備高に象徴される対外勘定の安定は大きな安心材料になっております。その外貨準備高は今年1月に入ってからも増大の勢いを弱めておりません。1月だけで既に75億ドルの外貨を積み上げております。

    これは、現在1875億ドルの外貨準備、1880億ドルを超えていますが、これは対外債務をほぼ全額をカバーしている金額です。また1月に入ってからの直接投資1月だけで40億ドル。したがって海外からの衝撃波に耐え得るだけの基盤を有しているということができるかと思います。

    さらに第三として、ブラジルの金融機関はアメリカのサブプライムローンに対するエクスポージャーを持っておりません。したがいまして直接的な損失を被っていない。したがってブラジルの信用取引市場はアメリカの市場の問題を抱えていないと、むしろ信用取引は非常に拡大している。今年に入ってからブラデスコやイタウー、大手銀行の決算が発表されておりますが、非常に好決算であり、金融システムは極めて健全な状態にあります。

    第四に、ブラジルの主要産品である、輸出産品であります鉱物資源や農業コモディティの需要は非常に堅調であると。農産物はいまや食料だけでなく、エネルギー原料としても世界的な需要が増大していると。

    最後に五番目として、安定しているブラジルの為替。サブプライム問題で本年1月世界の金融市場に緊張感が走り、ブラジル市場も動揺いたしましたが、1月を終えた時点で顧みると為替はきわめて安定しており、ブラジルの経済基盤が堅固であるということが立証されております。

    すなわち株式市場の乱高下や大手金融機関の巨額損失、アメリカ経済の景気減速への悲観的な見通しの中でもブラジルの為替レートは一月中、1.7レアル台を保って大きな動揺はありませんでした。為替のレアル安は、昨年8月、やはりサブプライム問題が表面化した時、ピークでは2.11までに達しました。ところが今年のサブプライムショックというのはもっと強度であったにもかかわらず、為替は安定しているわけでございます。

    最後に結びに代えまして、今後の見通し。この決め手になるのは、やはりアメリカ経済の趨勢であります。現在巻き起こっております収縮サイクル、これが一巡しないうちはマーケットの乱高下は継続すると思われます。したがいまして、ここしばらく静観するしかないという状況だと思います。IMFではアメリカの経済成長を2007年の1.9%から2008年は1.5%に下方修正しております。世界経済は4.9から4.1ということでございます。

    アメリカ経済の上半期は場合によってはマイナス成長の可能性もあるということですが、後半に盛り返すということがIMF予測にも示唆している。昨日ですか、ブッシュ政権で発表されたのは通貨政策や財政支援策によって3%の成長を維持するというようなことも発表しております。この範囲内で収まるとすれば、ブラジルも4~4.5%の成長の可能性が見えてくると。その意味でも今年の上半期、特に第一・第二四半期)の結果を見る、見極めるということが重要になってきます。

    サブプライム問題のブラジル経済への反応を見きわめるには、まず為替動向が重要なバロメーターとなります。すなわちリスクが大きくなれば、外資の流出が増大してドル買いが増える、反対にリスクが下火になると見れば外資の流入はこれまで通り増大して行くと。それは金融マーケットのみならず、貿易、投資、実体経済にまで及んでくることになります。したがいまして、毎日の為替の動向をバロメーターとして、今後の傾向を皆さんと共に注視して参りたいというように思います。以上でございます。

    司会:どうもありがとうございました。少々長かったですが、非常にサブプライムに対するいろいろな考察ができたんじゃないかと思います。それでは次、金融部会の方から藤井部会長様、よろしくお願いします。あと十バッターあるわけですが、みんなでちょっと頑張って減らして行きましょう。

    コンサルタント部会レポート

  • 金融部会 部会長 藤井良治

    金融部会の藤井でございます。東京海上でございます。はじめに銀行業界、その後保険業界の順でお話をさせていただきます。先ほどのコンサルタント部会からサブプライムローン問題について詳しくご説明がありましたので、私の方からは要点をかいつまんで説明させていただきます。重複する部分もあるかと思いますが、ご容赦お願いいたします。

    まず2007年の政治経済全般をながめてみますと、二期目のルーラ政権は航空問題、リオ州の治安悪化、一連のスキャンダル等、政治面の問題が多い一年でありました。一方経済面は着実な改善が継続し、投資適格国への仲間入りが現実味を帯びてきたと言えます。ただし年末のCPMF延長法案の敗北は議会での求心力低下を象徴しており、今後も予断を許さない状況であると考えられます。主要経済指標につきましては、スライドにまとめた通りであります。まず為替、株価、貿易収支、外貨準備高について、この上から三行目から六行目をご覧ください。

    まず貿易収支は、レアル高や好調な内需にともなう大幅な輸入増加により、貿易黒字の大幅な縮小が懸念されましたが、引き続き高値ゾーンで推移しているコモディティ価格が輸出価格を底上げしたため、輸出は前年比16.6%増加し、過去最高額を記録。この結果貿易黒字は400億ドルを確保し、前年比13.8%減の縮小にとどまりました。

    次にその上の株価ですが、ボベスパ指数は二月の中国を発端とした株価下落や、八月の米国サブプライム問題を発端とした株価下落の影響で、一時的な調整局面もありましたが、問題収拾に向けた一連の対応策を受けて米国株価が回復に向かうとボベスパ指数も上昇に転じ、前年末比46%増の63886ポイントで年末を迎えました。

    為替につきましては、株式市場への資金流入や、過去最高に上った海外からの直接投資額を背景としたレアル需要に対し中銀はドル買い介入を継続、外貨準備高は六行目の通り前年末比110%増の1803億ドルにも達しましたが、介入の効果は限定的でレアル高基調は変わらず、結果、年初1ドル=2.14レアルで寄り付いた為替相場は1.77レアルのレアル高水準で越年しました。

    好調な経済、貿易収支、過去最高水準の外貨準備高、財政状況の改善もあり、下から二番目のカントリーリスク指標、EMBI+はいったん130ベーシスポイント台へ低下しましたが、米国サブプライム問題の余波で上昇に転じ、前年末比約30ベーシスポイント上昇となる221ベーシスポイントで年末を迎えました。
    政策誘導金利、Selicは、スライド最下段ですが、これまでの金融緩和政策の維持により、上期には1.25%引き下げられましたが、食品価格の上昇等を背景にインフレ圧力が高まったことから、下期には利下げペースは0.75%に鈍化し、11.25%で年末を迎えました。

    以上のようなマクロ経済指標、財政改善等を受け、五月にはFitchとS&Pが外貨建債務の格付を投資適格目前のBB+に格上げ、S&PもPositiveとしました。

    次のスライドに入ります。銀行業界に関しましては、個人ローンと自動車ローンが引き続き伸びており、年末には金融システムの総貸付残高が、一番上の通り、9233億レアル、06年末対比27.3%増に達しております。一方、中段以下の延滞債権比率は好調な国内経済にも支えられ、法人取引で2%、個人取引で7%と低位で推移しております。地場銀行を中心とした個人取引を中核業務とする銀行の好調な業績が継続しております。

    次に2008年の展望について述べます。まず概況ですが、米国のリセッション、中国経済、原油価格の推移等の外部要因や、ルーラ大統領の政策運営、エネルギー問題などの内部要因に注目する必要があると考えられます。ただし、歴史的水準にある外貨準備高や底固い貿易収支などに支えられ、問題が生じた際の抵抗力が増していることから、堅調な情勢が継続すると予想されます。

    中銀が集計している各種指標の見通しをこのスライドにまとめました。上から順に説明いたします。インフレに関しましては原油その他コモディティの高値推移、内需拡大にともなう価格上昇などが懸念されますが、慎重な政策金利の運営により、消費者物価指数(IPCA)は昨年の4.46%より若干低い4.29%程度が予想されております。

    政策誘導金利のSELIC金利は、前述の通りインフレ懸念や、これまでの利下げ効果を見極める観測期間として利下げが中断されております。引き続きファンダメンタルズが良好水準を維持することが見込まれていることもあり、昨年末11.25%であったSELIC金利は年内の据え置きが予想されております。GDP、経済成長率は、米国のリセッションや政策金利の据え置きの影響もあり、昨年の5.19%より低い4.5%程度の成長が予想されています。

    貿易収支に関しましては、継続するレアル高、好調な内需の影響もあり、二年連続の減少が予想されていますが、引き続き300億ドル超の黒字が見込まれております。貿易収支の縮小にともない経常収支の赤字転落の可能性は否定できませんが、引き続き高水準の海外直接投資が予想されるため、総合収支は黒字を確保すると予想されております。

    年末のレアルの対ドル為替相場は好調な内需やレアル高などにともなう貿易収支の鈍化、内外金利差を狙った投資継続、加えてブラジル企業の海外投資も予想され、現状比若干のレアル安となる1.8レアル程度が予想されております。

    なお政治面では、十月に予定されている地方選挙は二年後の大統領選挙を占う上でも重要であり、各党の立候補者、他党との連立状況、当選結果など注目する必要があると思われます。

    銀行業界でのトピックスとしては、昨年末の小切手税、CPMFの廃止、年初の金融取引税IOF、社会負担金CSLLの増税、9から15%、などの制度変更が大きなポイントであります。特にCSLLに関しては銀行利益の大幅な圧迫要因であり、かかる変更に異論を唱えている銀行協会と政府の議論の行方が注目されます。以上銀行業界についての2007年の回顧と2008年の見通しについて簡単に述べましたが、ここで恒例となっております、当地銀行四行の今年六月末時点での金利・為替予想を披露します。

    四行はおなじみのブラデスコ銀行、ウニバンコ、ブラジル三菱東京UFJ銀行、ブラジル住友三井銀行の四行であります。ご覧の通り、SELICは各行とも11.25%と、昨年末時点と同水準の予想となっております。先ほど申し上げた通り、四行ともインフレ懸念により、当面の金利の据え置き、中には引き上げもありうると見ている銀行もあります。

    また為替につきましては、二行は昨年末1.77より若干のレアル高、1.75の予想ですが、全般的にレアル高による貿易収支の鈍化、ブラジル企業の海外投資の拡大等によりレアル下げ圧力基調と見ており、また昨今の米国サブプライムローン問題で損失を受けた欧米系金融機関によるブラジル市場への資金流入が今後減少する懸念もあり、これによるレアル安要因も見逃せないとしております。

    これらにより為替はフラクチュエイトの状況にあるとはしていますが、1ドル=2レアルを超えるような大きな変動までは当面予想はしておりません。ご参考いただければ幸いです。

    それでは次に保険業界について述べます。まず2007年の回顧でありますが、保険監督当局の統計に基づき2007年の保険業界を振り返って見ますと、全保険種目合計の収入保険料は表の左側下段の通り前年同期比10.4%増と二桁の増率を示しております。

    種目別に見てみますと、最も特徴的なものは自動車保険であります。他の保険種目が10~16%程度の増率を示している中で、自動車保険は6.6%増と低い伸び率となっており、その内訳ですが、表にはありませんが、強制加入の保険は26.9%の増率を示しているものの任意加入の自動車保険は1.6%ときわめて低い増率となっております。自動車販売は校長ではありましたが、任意加入の自動車保険につきましては競争の激化、料率の低下が大きく影響しているものと考えられます。

    また、収入保険料に占める支払い保険金の割合であります損害率につきましては、表の右側最下段ですが、全保険種目の損害率は53.3%と前年同期比で2.3ポイント収益改善しております。種目別に見ますと、自動車保険、火災新種保険、生命障害保険は改善しているものの、運送保険は悪化しております。

    次に2008年の展望について三点述べます。第一点目ですが、総論では堅調な国内経済を反映し収入保険料は2008年も拡大傾向が続くと予想されておりますが、自動車保険のマーケット動向が与える影響は大きく過剰な値引き競争による損害率の悪化が依然懸念されております。

    二点目の再保険の自由化に関しましては、2007年12月に取り扱い細則を定める保険審議会規則が交付され、いまだ不明点は残っているものの、現時点では2008年に具体的なオペレーションが開始される可能性がきわめて高くなっております。各保険会社の対応、マーケット動向等、注目されるところであります。

    最後、三点目ですが、既に決定しておりました新しいソルベンシーマージン指数、銀行の自己資本比率に相当するものですが、その計算規定が2007年12月に内容が大幅に緩和・変更されました。当初の計算規定で懸念されていた業界の再編の可能性はかなり後退したとの見方もありますが、この点も引き続き今後の動向が注目されます。以上でありますが、金融部会からの報告とさせていただきます。以上でございます。

    司会:
    藤井部会長どうもありがとうございました。それでは先ほどちょっとキャンセルしましたけれども、質疑応答を入れたいと思います。何か質問ございましたら、よろしいでしょうか。それでは先に進ませていただきたいと思います。次に貿易部会、佐々木部会長の方からよろしくお願いします。

    金融部会(レポート)


  • 貿易部会 佐々木部会長

    どうも、貿易部会長の佐々木でございます。三菱商事です。先ほどコンサルタント部会の高山さんの方から貿易の対外勘定の詳細については貿易部会ということで振られてしまいまして、これをやる前に自分でリハーサルをやって、どうやったって17、8分かかるんですけれども、あれまで入ると多分20分かと。
    ですから、常に貿易部会というのは数字の説明が非常に長くなるのでその辺をちょっと割愛しながらさせていただきたいと思います。

    それではお願いします。インデックスがなくて誠に恐縮なんですが、自分でインデックスを書いたんですけど、このスライドに落とし込むのを忘れまして。流れとしましては、通年の輸出入実績から入りまして、ブラジルの主要商品別の輸出、それと主要国・地域別の輸出、同じくその輸入ですね。あと対日主要品目の貿易、輸出輸入と、それに2008年の予測というふうな流れになっております。

    まず一枚目の紙からご説明いたします。通年の輸出入の実績ですけれども、まず収支からいきますと、開発商工省貿易局によりますと2007年の貿易黒字は前年に記録した465億ドルから13.8%減少いたしまして、400億ドルになっております。貿易黒字が前年を下回るのは、実に十一年ぶりということです。輸出入でいきますと、2007年の実質GDP、成長率は5%を超えまして、内需が非常に好調だった結果、ついに輸入は1000億ドルを超えたということで、前年比約32%増ですね

    。一方輸出は16.6%増えたんですけども、同じく輸入の方の伸びが大きかったということで465億ドルの実績、2006年の実績が2007年は400億ドルということになっております。下にちょっと書いてありますけども、一次産品の輸出は伸びていますけれどもレアル高の影響で輸出全体のペースが下がっているということが全般的な総論として言えると思います。次のページを。

    これはブラジルの主要商品別の輸出ですけれども、このパワーポイントの中で2007年の輸出は一次産品が28%増の516億ドル、半製品が約12%増えて218億ドル。工業製品は12%増の839億ドルということで、全てのカテゴリーで過去最高を記録しております。これを輸出量で見ますと、一次産品は11%増でございますけれども、例えば半製品は0.2%減ということでやはり全体としては量の微増をレアル高で補っているということが言えると思います。

    次のページですけれども、もう少し詳細に入りますと、一次産品としましては鉄鉱石が18%増の106億ドルでトップ、原油が続きまして、大豆が19%増えております、これは67億ドルですね。鉄鉱石は中国向け、原油は米国・オランダ向けが大きく伸びているのが特徴でございます。鶏肉はですね、アジアの鳥インフルによる世界的な市場の落ち込みから回復して参りまして、特にブラジルの場合には丸鶏を中心とした中東向けが順調に伸びているということで、前年比44%増、42億ドルを記録しております。

    このほか、表の中にございませんけれども、トウモロコシは前年比実に319%増ということで、20億ドル。数字としてはそれほど大きくありませんけれども伸び率としては319%ということで輸出量も過去最高の1090万トンとなっております。一方で、トウモロコシの輸出が増えたことによって国内の飼料の価格が非常に上がりまして牛肉のインフレが二桁に達している地域もあって、これはブラジル人にとっては厳しいということだと思います。

    次に半製品ですけれども、半製品では粗糖は減っておりまして21%減で31億ドル。セルロースは増えて30億ドル等々となっております。工業製品を見ますと航空機、エンブラエルですけれども、前年比46%増で47億ドルで一位。同じく47億ドルだと思います、乗用車も増えております。

    ほかにはですね、自動車の部品が7.9%増えたり、自動車のエンジンが8.4%減ということで、特に自動車部品の輸出を見ますとやはりレアル高が継続しているということで前年並みを維持するのがやっとというのが現状でございます。まあ工業製品、皆様ご存知だと思いますけれども、ブラジルで工業製品というとですね、カテゴリー上でオレンジジュースですとか、燃料・工業用のエタノールですとか、木材、大豆油、こういうのが全部含まれていますので、一概に工業製品を額面どおりに受け取るのは必ずしも正しくないというふうに思います。では次のページお願いします。

    相手国別ですけれども、この中で特徴的なのは、米国・アルゼンチン・中国とここは順番になっているんですが、米国向けは非常に微増にとどまっているのに対してアルゼンチン向けは23%も増えていると。中国向けも同様で28%の増加を記録しております。

    さらに近年、これは六番目にありますけども、ベネズエラへの輸出というのが急増しておりまして、自動車あるいは自動車の部品、携帯電話、鶏肉などが主要な輸出品目になっております。この表には出ておりませんけども、国という枠組みではなくてですね、中東向けということで言いますと、前年比11%増の64億ドルということで中東向けも順調に増えております。次お願いします。

    今度は輸入ですけども、まず主要商品別の輸入から入らせていただきます。2007年度は輸入は全体で、先ほどご紹介いたしましたけども、1206億ドルということで32%増でございます。資本財は33%増の251億ドル。原料・中間財は31%等々、軒並み30%を超えております。次のページお願いします。

    資本財を見ますと、やはり農業機械用部品・付属品と工業用機械がともに前年比二倍以上の伸びを記録しているということです。この要因としましては、先ほどから皆様の話でありますけども、国内需要が非常に好調だということで企業が投資を拡大する意欲をまだ引き続き見せているということで、2007年の第3四半期より農業部門の生産活動が急速に伸びた点などが挙げられると思います。

    次に消費財ですけども、消費財は、前のページにもありましたけども、非耐久消費財が32%、耐久消費財が36%。大幅に増えております。これはブラジルにおける、やはり中間層の拡大というのを非常に明示していると思いますけども、特に耐久消費財など家庭用品ですとか、乗用車を例にとりますと前年比60%以上伸びておりまして、ブラジルの自動車製造業界協会によると、2007年の輸入車の販売台数、全体の9%を占めるに至ったということで約22万4,000台で、前年比で見ますと68%増と非常に大きな拡大を示しております。次お願いします。

    相手国別に見ますと、この中で増加が顕著なのは58%増えている中国でございます。前年同様、アメリカに次いで二位の輸入相手国になっております。表にはございませんけども、中国からの輸入では2006年も上位品目であった液晶パネルですとかコークスに加えまして自動車の部品だとか携帯電話が前年の実績ゼロから2007年は急増しているということが言えます。

    あと、珍しいところと言っては何ですが、ナイジェリアからの輸入も35%と非常に増えております。これは従来からの原油等に加えて液化ブタンですとか、液化プロパンの急増が大きく寄与しております。次お願いします。

    対日貿易ですけれども、全体の輸出・輸入というのが、平均しますと輸出で16.6、これは全部ですね、で輸入で32%増えている中で、やはり対日で見ますと輸出は11%増、43億ドルで、輸入は20%増の46%で、全体の伸び率より低いんですけれども、両方とも40億ドルを超えたというのは今までで初めてということで、堅実に伸びているとは言えると思います。まず輸出の品目なんですけれども、
    ●●●●●中断●●●

    ・・・・十八日に工場を停止するというような状況に追い込まれております。オレンジジュースですけども、60数パーセント伸びているんですが量としましては非常に微増でして、やはりレアル高による価格の要因が大きいと思います。次お願いします。

    輸入の品目ですけれども、個別アイテムを見ている時間はほとんどありませんけど、やはり30%の増を記録している自動車の部品ですとか、28%の航空部品ですね、などはいずれも非常に順調に伸びていると。これはレアル高に加えまして日系の二輪・四輪・部品メーカーの生産活動の拡大を反映しているというふうに言えると思います。

    総括しますと2007年の日伯の貿易構造ですけども、日本から付加価値の高い工業製品を輸入しまして一次資源を輸出するという構造に大きな変化はございません。ただ日本企業のブラジルへの関心が再び高まっているということもありまして、往復で100億ドルにようやく迫る勢いを示していると。ブラジル側も、ガソリンへの直接混合用ではなくて、さとうきびのエタノールを原料としたEPPEの対日輸出を検討し始める等、新たな可能性に目が向けられつつあって今後の伸びが非常に期待されると思います。次お願いします。

    2008年の予測です。今までコンサルタント部会と金融部会、高山さんと藤井さんからいろんなお話があって、数字がちょっと違ったりしてるんですが、これは、ここでご紹介するのはウニバンコの予測ということで、まあそういった今までご発表いただいた数字とこの数字の間のレンジのどこかでこう収束していくんだろうなと思います。

    この中で見ますと、輸出額は前年比16%増の1865億ドル。輸入はやはりもっと増えまして24%増で1495億ドルですから、貿易黒字は7.5%減の370億ドル。先ほどから250とか300という数字がございますので、これも一つの参考というふうに捉えていただければと思います。やはり原油価格の高騰ですとか、好調な内需を受けまして今後も一次産品を中心にブラジルの輸出は増加していくというのが一般的な見方だと思いますが、やはりレアル高が継続しますと輸入の増加が今後さらに続くと。ですから輸入の方がさらに大きくなるということだと思います。

    輸入をブラジル国内の市場という観点から見ますと、2008年もですね、雇用情勢も改善していますし、最低賃金の上昇とか金利の低下、まあ金利が低下するかどうかは先ほどのお話でちょっと分かりませんけども、金利の水準というのは維持されるというふうに見るとですね、引き続き消費財ですとか資本財を中心に好調を維持するのではないかと見られております。

    インフレの加熱を懸念事項として挙げている向きもございますけども、ウニバンコの予想では2007年の実質GDPの成長率は5.3%、2008年の経済成長は4.8、インフレ4.6と。さほど問題視されていないということだと思います。次お願いします。

    以上を持ちましてブラジルの貿易動向の話を終了しますけれども、コンサルタント部会、金融部会とお話のあったサブプライムローン関連の話をですね、三番バッターでしやすいんですけども、まあいろんな見方があるというふうにとっていただければと思います。

    2008年の米国のリセッションは確実視されているようですけども、世界のGDPの三割以上を占める米国がリセッションをするとですね、中国をはじめとする世界各国にも影響があることは確実であろうとは言えると思います。そうなると農産品などのコモディティ価格が低下してブラジルの輸出にも影響を与えることは避けられないではあろうと。

    ただしブラジル経済に占める輸出比率、先ほどもありましたけども、アメリカへの輸出比率、まあ15%未満、実質は13%ということで、ブラジルの経済成長はむしろ国内事情に依存しているというふうに言えると思います。この国内事情を見ても所得の増加ですとかローン販売の増加を受けて個人消費が非常に堅調に維持されておりますので、さらに金利もこのまま維持されるということであれば、投資は好成長を保っていけるというふうに思われます。

    すなわち、多少輸出が落ち込んだところでブラジル経済の好調は維持されるであろうというふうに見られます。金融サイドで見ますとレアル高もありまして、それまで特にポートフォリオ投資が増加していたブラジルの状況を考えますと、多少のキャピタルフライトは避けられないであろうと。つまりブラジル金融情勢は依然として海外情勢の動きにそれなりに引っ張られる面というのはあると思いますけども、やはり足元のブラジル経済のファンダメンタルズは非常に安定しているということで、金融市場の動揺はあっても限定的であって、さらに実体経済への影響は限定的にとどまるであろうと言う見方をするのが自然だと思われます。

    最後に、先ほどのお話にもちょっとありましたけれども、ローン販売がですね、例えば返済期間が今99ヶ月に延びたりしております。こういった中で、ちょっとさっきの数字とは違うんですが、2007年で焦げ付きが、ある時点をとりますと11%発生している。ということは、やはり返済が所得に占める割合が五割六割というケースも相当見られますので、足元の数字をこうやって見ていきますと健全性が若干失われつつあるようにも見られます。

    で今は消費押し上げの要因になっておりますけども、一転してリスク要因になりかねないこともあるのではないかというふうに思われます。以上で私のリポートを終わりますけれども、これを作成するにあたりましてはジェトロの方々の多大な協力、特に大岩さんには非常に助けていただきまして、この場をお借りして御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

    司会:
    佐々木部会長どうもありがとうございました。何か質問ございましたら。はいどうぞ。
    質問:
    お話、分かりやすかったです。ありがとうございます。このところ非常に一時注目を浴びてきたエタノールがあまり元気がないというふうな感じを受けるんですが、こと貿易面から、輸出面から見たエタノールの展望、そういったものを少しお伺いしたいと思います。

    佐々木:
    貿易部会長としてというか、なかなか難しいんですけども、エタノールと言いますと何と言っても、皆さんご承知の通りですね、公にされているプロジェクトというか、やるということで例えば三井物産さんですとか、まあ貿易部会委員ですけども、あるいは丸紅さんですとか伊藤忠さんですとかいう名前は非常によく出てきますけれども、私三菱商事でまったく名前が出てこないということで、エタノールどうなる?と今赤嶺さんから直接聞かれるとですね、いやうちの会社は全然やっていませんという話になっちゃんですけど。

    やはり長い目で見ますと、当然伸びてくるんであろうと。ただやはり我々日本の企業、日系企業ということで特に日本向けということだけを頭にして考えていくと、日本にもなかなか難しい点があり、この席の中でも前列に座っておられる方々もおりますので私もあまりうかつなことは言えませんので、ただ全般的にはですね、やはりエタノールは長期的に見れば輸出品目としては非常に成長力があるのではないかというふうに思っております。

    司会:
    ほかに質問どうでしょうか。では佐々木部会長どうもありがとうございました。

    引き続きまして化学部会の方から松尾部会長によろしくお願いします。

    貿易部会(レポート)


  • 化学部会 部会長 松尾新一郎

    こんにちは。えー、最初の三つの部会はですね、いろいろと大風呂敷と申しますかスケールが非常に大きく、千何百億ドルとかですね、黒字が300億ドルとかですね、すばらしい数字なんですが、急に化学部会となりますと化け物部会でございまして、いろいろな分野に分かれております。したがいまして話が細かくなるんですが、どうぞ。

    これはプラスチック樹脂用着色剤ということでございまして、だいたいが素材でございます。プラスチックの色つきですね、例えば車の後ろについている赤いプラスチック材だとか、それから化粧品の、きれいなビンだとかですね。ということで、まあ売上は毎度毎度のことですが、だいたい微増で、利益もそこそこ、それからまあこの辺は予測どおりかなと。で、特に自動車が好調ということでそういう自動車の部品だとか、ライトだとかそういうところでの分。

    それから化粧品ですね、化粧品の容器なんかにずいぶん売上が増したということで全体として予測どおりにそこそこ行ったかなと。それから今年の展望につきましても、相変わらずコンサーバティブとは申しませんけども、微増、微増という予想とのことでございます。一番下に、根拠はどういうことかと、米国経済、サブプライムローンだとかいろいろ言われてますが、化学品部会として一応我々もそういうグローバルな話をしようではないかとやったんですが、これがプラス要因なのかマイナス要因なのか、要は分からんというのが化学品部会の結論でございました。次お願いします。

    次、接着剤です。これは瞬間接着剤および、ねじを締めた時に緩まないようにするような輸送機器向けシール剤ということで、まあ微増、微増というのは前のプラスチック着色剤と同じなんですが、だいたい横ばいかなと思っていたところに、ちょっと増えたんで、予測以上と。というのが、いわゆるレアル高、リストラ、値上げなんかで非常に大変だった。

    ところが農業が、他の話にもありましたように農業がずいぶん好調になってきた。でこれがですね、農業機械が2007年2006年は最悪の事態でございましたけれども、トラクター用のねじを締めるシール剤がうまくいったということでございました。それから今年の展望も、まあ増加、増加でいくと。あいかわらず自動車、輸送機器関連が順調ということで、今年も増加を見込んでいるということでございます。

    ただし、これが有名税というわけかどうかしりませんけども、大体、ガンと瞬間接着剤なんかが売れ始めますとですね、中国品が偽物として、同じものとしてラベルから全部コピーして入ってくるんだそうです。だから売上伸びるのも良し悪しだというのが、そういう細かな瞬間接着剤、2グラム3グラムのパッケージなんですけども、そういうのがでてくると。ということは順調に行っているのかな、ということでございました。次お願いします。

    医薬です。これは医薬といっても湿布、消炎剤でサロンパスさんです。売上は伸びたと。なんとなれば、まあ積極的な広告投資ですね、これは皆さんご存知なようにサロンパスカップで大体ブランドイメージを確立できたかなということでございます。それから段々と、コンテナで物流コスト増ということはですね、やはりそういうふうにブランドイメージが獲得できますと、これも有名税でしょうか、盗まれてですね、闇市でさばかれると。まあさばくだけの市場ができたということでしょうかね。

    それから今年の展望ですが、相変わらずやはり積極的な、今年もサロンパスカップをやるそうですから、広告投資、非常に高いお金らしくて、久光製薬ブラジルではカバーできないで本社からの全面的な援助に頼っていますとこういうことでございますが、やっぱりブランドイメージを確立すると、少々高くても売れると。ブラジルでもそうらしいです。次お願いします。

    高級化粧品で、これも完全にブランドイメージでございます。資生堂さんです。レアル高でプラス要因になっているそうですけども、これは資生堂さんは最終製品を輸入しておられるらしくて、その点こちらのはリセールということですね。売上は微増で、それから利益はなんとか黒字に転換できたんで、今のところは何とかハッピーだと。ただし、2008年に向けて大体の素地はそろったんで、今年は大化けできるかなという展望らしいです。

    それから、最初に申し上げましたように、プラスチック原料の着色剤のところでもあったんですが、化粧品用のパッケージが売れているということがございましたけども、なんとブラジルは金額で言いますと世界三位の化粧品のマーケットらしいです。アメリカ、日本に次いで、フランスを追い抜いて世界三位らしいです。次お願いします。

    筆記具、これはパイロットペンさんです。テレビコマーシャルを去年はずいぶん高いお金を出してやった成果が出て、ブランドイメージが向上したためか、これも中国製品に比べて十倍近く高いらしいですけども、売上利益ともに増えていったと。それから今年の展望につきましても、ブラジルの好景気を期待しまして昨年どおり売上利益ともにプラスの方に向かっていくという展望だそうです。次お願いします。

    ロジン、テレビン油。これは松脂から作るものですけども、売上利益ともに増加したけども、残念ながら増加の程度が足らんと、年度計画に行き着かなかったので予測以下だそうです。生松脂の値段が年初から30%下がったんで、非常に助かったということだそうですけども、レアル高のためにやはり四割ほど輸出は減ったと。

    まあ建築工事の遅れというのはこの国ではよくあるそうで、戸田建設さんに頼まなかったから遅れたのかなと思いましてですね、ということで、いわゆるこれまではバッチ生産でやっていたところを連続生産で製品が出てくるというような製造システムに変えたんで、変える工事が遅れたのでうまくいかなかった。今年に至ってはそれが完成するので、今までのバッチ生産から連続生産に移行できるので、売上利益ともに倍加すると見ている。次お願いします。

    農薬。農業生産が順調だと。昨年は四十年来の最悪の年であったわけです。結局売上利益ともに大幅に増加したんですが、どうってことない、例年並およびちょこっとプラスに移ったくらいかなと。一昨年がですね、39億ドル、農薬のマーケットが39億ドルくらいまで落ちたんですが、昨年は50億ドルにまた戻ってきたと。50億ドルです。これが精一杯でございます。

    それでもブラジルはアメリカ、日本を追い抜いたんではないでしょうか、二位か三位の農薬の市場でございます。大豆、トウモロコシが非常に、他の、メタノールにせよエタノールの話にせよ、大豆、中国向けに快進撃だというのは農薬の世界でも同じでございます。それから08年につきましてはそんなに、50億ドルから増えるという見通しはんまったくございませんで、せいぜい50億ドルの横ばいがいいところではないかというのが農薬五社の見通しでございます。次お願いします。

    えー、トウモロコシの値段がエタノール景気で上がっていますね、こうなりますと鶏さんの餌がものすごく高くなってくるんです。私ども住友化学がやっております鶏用の飼料添加物、これがですね、もう全然あきまへん。大幅値上げするんですけども、とにかく、あまり大きな声では言えないんですけども、ドルにリンクした小売価格なんですね。いわゆる卵の値段、鶏の値段はドルリンクでやられますから、いわゆるそういうアミノ酸でございますね、キロ当たり5ドルになれば、為替レートが3レアルであれば15レアルの手取りがあるんですが、最近は5ドルで売っても、ご存知の通り10レアルにも至らないわけです。

    一方こっちの経費は全部レアルですね。今度はドル換算にするとガンと上がります。それでようやく黒字になるのが精一杯でございます。で今年の展望につきましても、油の値段が上がってますから、合成アミノ酸の値段が上がります。そして穀類の価格が高騰していると、もうマイナス要因ばかりでございまして、売上も落ちる、利益も落ちるでありましょう。せっかく水面上まで来たんですが、今年はまた沈むかなと、暗い気持ちでございます。次お願いします。

    家庭防疫薬。あまり大きな声では言えませんが、デング熱、それからイエローフィーバーですね、これがございまして、皆さん蚊の退治をやりましょうということがございまして、売上利益ともに増加いたしました。ただし価格面ではやはりジェネリック品が入ってまいります。中国、インドからの製品がございまして、引きずられまして値下げは強制されると。

    今年の展望につきましては、売上利益ともに伸びるだろうという期待をしております。ひとつにはデング熱、黄熱病が相変わらず下火にならないということで、エアゾールの消化が増えるんではないかと。次お願いします。

    商社さん。佐々木さんが先ほどおっしゃいましたので深くは申しませんが、各商社さんですね、三社入っておられまして、扱い、商圏の分野によってプラスマイナスはなはだしいんです。これを一緒に微増であり減少であり、予測以上であり以下であり、もう何のことやらさっぱり分からんというのが商社さんでございます。次お願いします。

    昨年までは十分野でおしまいでしたけども、今年からは一応食品分野に入っておられます高砂香料さん、これ作っているのは化学品ではございませんかということで、ペーパーパーティシペーションという格好で入っていただきまして、2007年2008年の展望についてお伺いしまして、我々化学部会の資料として、日系企業のブラジルでの動向について一つの参考になればということで出しました。売上増加して、同じようにようやく黒字にできたかなと。大改善とおっしゃっていました。

    これですね、人員削減して、2008年人員強化というのは、要はですね、フレーバーリストというんですか、非常にクオリティの高い人間をしっかり確保しないと、とにかく人海戦術でやってもいかんらしいんですね、個々の分野は、難しいところがございまして、要するにトイレッタリーみたいな分野と食品分野と二つの大きなのがあって、食品分野というのは非常に難しいと。

    チューインガムとかですね、一つのプロジェクトで当たったらもう全世界的なブランドですから、ものすごく大きくなるらしいんですけども、それは非常に難しいですねと。だからしかるべき人員は強化したいと、ただしたくさんの人間、人海戦術でやってもうまくいくものではないという分野らしいです。次お願いします。

    見ての通りですね、07年の回顧はだいたい横ばい・増加で11分の10。利益も11分の11。まあそこそこうまいこといったなというのが2007年。2008年はご覧の通りです。以上でございます。ちょうど10秒オーバーしました。お粗末でございました。

    司会:
    松尾さんどうもありがとうございます。15分は質疑応答を入れての15分ですので、よろしくお願いします。質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それではどうもありがとうございます。
    引き続きまして機械金属部会、嶋末部会長からよろしくお願いします。

    化学品部会(レポート)

  • 機械金属部会 嶋末繁 部会長

    CBCの嶋末でございます。機械金属部会につきましてご報告させていただきます。機械金属部会はここにございます八種類の業種について報告させていただきます。総括いたしますと各社、活況を呈しているという状況でございまして、設備投資をして生産能力を拡大しているというメーカーが多数あります。ただ先ほどから話がでておりますが、サブプライムローン問題で後半クエスチョンマークだなというふうなメーカーも数社ございました。

    それではまず鉄鋼関係。これは鋼板のマーケットの状況でございますけども、生産につきましてはアルセロールミッタル、ツバロンの高炉が操業を開始しまして増加しております。国内需要につきましては、好調な自動車生産、それから好景気、PAC等の影響で、ここにありますように前年比18%の新記録の増加となっております。今年の展望といたしましては、国内につきましては需要はその後も堅調に推移、したがって9%程度の伸びが予想されておりまして、記録を更新することは確実になっております。

    一方輸出に関しましては、板の製造能力増はいまのところ予定されておりませんので、国内需要が順調に伸びれば輸出量の大幅削減は避けられないという状況になっております。こういう環境の中で、好調な自動車生産を背景にしまして、需要の急増する表面処理鋼板および厚板の逼迫感が強くなっておりまして、これを補うために鋼材輸入はさらに増える見込みとなっております

    続きまして電力プラントのうちの電力でございます。このように建設中、計画中の案件が多数ございますけども、2011年には電力危機の見通しが言われております。政府はこの対策としてPROINFA、代替エネルギー振興プログラムあるいはマデイラ川水力発電所の入札、アングラ第三原子力発電所の計画、こういうものを発表しておりますが、例によって実現まではまだまだ曲折が予想されております。

    こういう中でバイオマス等の自家発電設備、これは活況を呈しております。ここにございますけども、バイオマス発電が全体の3.6%を占めるまでになっております。特にエタノール工場のさとうきびかすの発電、これが2.6%にまでなっております。ただ先ほども話がありましたように、エタノール関係、今まではそれいけどんどんで急激な伸びをしておりましたけども、ここにきて少しクエスチョンマークが出ているようではございます。

    続きまして石油化学関係でございます。2006年に石油の自給できるだけの生産量を可能にしましたペトロブラスは2008年から五年間で1,124億ドルの投資をしまして生産量を1.5倍にするという計画を発表いたしております。この結果、リファイナリー、プラットフォーム、タンカー、パイプライン、こういうものの関連設備の受注が活況を呈しております。この活況はしばらく続くものと思われます。

    続きましてパルプ関係。パルプの国際価格はトンあたり600~700ドル。これに対して欧米の生産コストは大体500ドル。ブラジルは半分の250ドルといわれております。したがいまして、競争力は非常にありまして、各メーカーとも投資意欲旺盛で毎年6~8%程度の生産の伸びが続いております。またこの業界は2007年から六年間で109億ドル投資するということで、やはりパルプ工場向けの設備は活況を呈しております。

    続きまして農業機械関係。2007年はアルコールブームから穀物相場が全面的に高くなりまして、農家の購買意欲が旺盛となりまして、国内輸出とも大幅に2006年に比べて伸びております。2005年2006年はレイオフをするような状態でございましたが、現在は3直体制に移っております。今年の展望は穀物の需給関係はタイトな状況が続くと見られております。

    またここにありますように、高価な収穫機等が売れ出して市況は底堅いものと見られております。したがいまして、今年はさらに20%アップして過去最高の2004年を超える見通しという報告を受けております。
    ●●●中断●●●
    ・・・・・欧州にシフト中。輸入は増加し、販売構成が変わってきているといずれにしましても需要増がございますので、工場を増築し対応しているということでございます。販社につきましては需要が旺盛で供給不足のところはありますが、人員増、販売網整備につとめまして一昨年比40%アップとなっております。

    今年の展望でございますが、状況は2007年と同様。したがいましてメーカーは10~15%程度の増を見込み、アルゼンチンに子会社を設立するなどチャンスと見て積極的に投資をしているという報告がありました。販社につきましては人員増、販売網整備につとめ更なる成長を目指すとの報告がございました。

    続きまして精密測定機器。ノギス、マイクロメーター、そのほか大型の測定器等でございます。自動車部品メーカーを中心に好調であることと、品質管理マインドの向上がありまして追い風となって好調が続いております。ただし報告のございました企業は日本の本社の外為法違反問題で輸入することができなくなって20%のダウン。2007年はコンプライアンスや内部統制の充実を図る年となったとの報告を受けております。また、2008年、今年につきましては、輸入が再開できますので、2006年と同レベルに戻すことを目標にしておりますと。また工場の新型計測機開発で拡販につとめるとの報告をもらっております。

    続きまして軸受け関係。軸受け関係は世界的な品不足感が続いている、こういう中で車は拡大、農機が開腹、それから鉱山、エタノールなどの大型機械の補修市場は好調である。こういう中で生産はフル操業を続けております。またレアル高で輸入品への切り替えが発生しているという報告を受けております。

    なおこの業界でも中国品がどっと、45%急増という形でどっと入ってきておりまして、税関の協力も得て偽ブランド品の対応をしているという報告がありました。今年の展望でございますが、市場はさらに拡大し、量産のみならず大型機械向けも増加、供給不足も深刻化されると見ておりまして、設備を増強中であります。

    潤滑油。このピンク、これは自動車生産台数。黒は自社の潤滑油の生産量でございます。ご覧のように自動車生産とほぼ平行して生産数量が増えております。2007年の回顧としましては、利益率の悪い鉄鋼向けが半減しまして、車・家電向けは大幅増。こういうことで好調に推移し106%の増収という報告を受けております。今年の展望につきましては、一部の顧客で販売量が低下していると。ただ昨年と同レベルに維持できるようにつとめるということでございます。

    最後に産業用冷凍機の状況でございます。2007年2008年とも新規設備の建設ラッシュが見込まれております。食品業界、これは国内、輸出ともに増加しておりまして、最近の特徴としては中小企業においても投資を増やすところが出てきていると。また従来南部に、ブラジル南部にあった物流センター、これが東北地方にも移りまして、こちらで物流センターが増えているという報告が来ております。

    また、ビール飲料も消費増大、またH2Oなどという特定の清涼飲料水、こういうものの投資も増えているようでございます。そのほか食品ではヨーグルト、冷凍野菜などが拡大中でありまして、冷凍機業界はしばらく業容拡大が続くということで、現在新工場、PLゴルフの入り口辺りに作っておりまして三月に稼動開始するという報告が来ております。以上が機械金属部会の報告でございます。

    司会:
    どうも嶋末さんありがとうございます。それではちょっと質疑応答に入りたいと思いますが、質問ございませんでしょうか。それでは先に進ませていただきたいと思います。前半の最後ですが、自動車部会、峯川部会長の方からよろしくお願いします。

    機械金属部会(レポート)

  • 自動車部会 峯川尚 部会長

    自動車部会を担当させていただいておりますホンダの峯川でございます。よろしくお願いいたします。本日は四輪車の業界、二輪車の業界を中心に2007年レビューをふまえ2008年の展望についてご紹介をさせていただきます。それでは四輪車の方から始めさせていただきます。

    昨年の国内生産は自工会の当初予測である271万台を大きく上回る形で前年14%増の297万台を超える年間生産となりました。乗用車のみでも239万台にいたる規模となり、生産量の最高記録を更新する実績となっております。近年のレアル高もあり、輸出台数が伸び悩む中で、好調な国内需要に支えられたものだと言えます。また、全体に占める割合は低いものの輸入車は顕著な伸びを示していることにも注目されます。

    こちらは国内販売でございます。国内販売についてですが、こちらは208万台という自工会の予測を大幅に上回る246万台という実績となり前年比については約28%増という結果となりました。トラック、バスの販売は横ばいながら、乗用車、ライトトラックが順調に伸びております。またこの数字は1997年に記録した194万台の販売という記録を大きく上回る年間販売台数の最高記録となるものでございます。

    次に乗用車の販売状況でございます。好調な乗用車販売についてですが、ブラジルにおいて特長的なリッターカーの販売比率、リッターカーと言いますとあの小型のですね、だいたい1リッターから1.2リッターぐらいの車で、この場合は1.0で分けておりますが、リッターカーですが、この販売比率が2001年以降漸減傾向にあります、近年は55%前後で安定してきておりますが、このカテゴリーでは106万台を超える販売となっております。

    次に支払い形態別の四輪車販売でございます。これは指標で概観してみたいと思います。グラフはメーカー系のファイナンス会社の協会による指標をもとにした試算でございますが、金利低減の中でリース販売の伸びが市場を牽引していることが見て取れます。

    次に四輪の小売販売、それから在庫状況でございます。先ほど触れました通り、昨年の国内販売は246万台を超えるものとなりましたが、内訳を見ますと輸入車の伸びが顕著になってきていることも確認できます。また年末の在庫水準はメーカー在庫で四日、店頭在庫でも十三日ということで、品不足感すら感じられる低水準な在庫となっていることがうかがわれます。

    次に各社の能力拡大に関する投資の件でございます。これは乗用車についてでございます。今申し上げたような状況を受けまして、ご覧いただけるように各社の生産能力拡大計画が加速してきております。これからの三年間で70万台を超える生産能力が追加されることになり、ブラジルにおける供給量は380万台を超える規模となってまいります。これらに加えてインドのタタ、中国のキズイ奇瑞(きずい)自動車、通称ブランドでチェリーという名前で知られておりますが、この中国のキズイ自動車等も参入を表明しており、好調な市場を背景にしつつ、競合が熾烈なものになっていくと予想されます。

    次に2008年の四輪車の販売予測でございます。国内においては前年比17.5%増の289万5,000台の販売予測となっており、引き続き輸入車販売の顕著な伸びも続き、38万台を超える規模になると見ております。輸出はレアル高もあって引き続き苦戦を強いられるという予測ながらも、国内生産は324万台まで伸びていくと予想しております。各社ともにやや減速感はあるものの好調な経済を背景に、今年もさらなる市場の伸びを期待しているということが言えると思います。

    次に、今度は変わりまして二輪車業界の動向でございます。二輪車の生産販売の推移でございます。当初は145万台、その後の見直しで151万台までいたると見込まれていた業界予想をですね、さらに大きく上回り、昨年の二輪車販売は前年比26%増の160万台という結果になっております。また輸出は、やはりレアル高のため大きく落ち込んだものの、国内の旺盛な需要に支えられて173万台を超える生産を達成しております。

    またこれを二輪の方も支払い形態別に見たものでございます。二輪販売についても、近年の成長を支払いの切り口で見ますと明らかにクレジット販売の拡大が市場の伸びに連動していることが把握できます。現在の経済シナリオが継続する前提であれば、二輪需要はまだまだ喚起されると見込まれますが、保有増にともなう事故の増加等により、規制強化などの社会的圧力の強まりが懸念されるところでもあります。こちらのグラフで見てお分かりになりますように、クレジットの領域が非常に大きく伸びております。

    またブラジルで伝統的な金融の方式でございますコンソルシオ、無尽でございます。この真中の部分でございますが、ここはあまり量に変化はないんですけれども、伸びは完全に頭打ち状態になっていると。このような状況でございます。

    次に2008年の業界予測でございます。引き続き輸出環境は厳しいものの、国内需要は182万台まで進展するとの予測であります。生産量は194万台規模にいたると見込んでおります。多くの新規参入メーカー、特に中国メーカーが何社か今年も参入を予定しておりますが、そのような参入メーカーも入れ、さらに輸入車の増加もあり、市場での競合が激化していくものと予想しております。
    二輪の方の各社の能力拡大でございます。

    こちらの表がそれをまとめたものでございますが、近年の急激な市場進展と大衆層の二輪消費への参入加速もあり、既存各社が生産能力を引き上げており、数年以内に80万台分の供給能力が増えるということが考えられます。この総計で320万台を超えてくる計算となりますが、加えて中国メーカーを供給元とする新たな工場建設の認可、さきほど申し上げたような例でございますけれども、認可申請がすでに提出されておりまして一気に100万台近い生産能力の拡大が実現する見通しでございます。二輪車業界といたしましては生産関連法規の整備や管理管轄体制の強化などが急務であると考えております。

    最後に部品業界の動向でございます。こちらのグラフはSindipecas、部品製造社協会さんから発行されたデータを元にしたものでございます。この左のグラフはレアルで表示された部品売上でございます。これは同協会加盟企業のうち、代表52社の売上、伸び率データであるため、必ずしも自動車関連部品製造企業を代表しないものでございますけれども、2007年については、堅調な完成車国内販売の増加にともなって引き続き売上が増加し、11月までの実績と12月の最終見込みを反映した最終予測数値ながら過去最高を記録、前年比8%増の700億レアルに達する見込みであります。

    輸出入に関しましては、輸出が前年比1.6%増の89億レアルにとどまった一方で、輸入は約33%増の90億レアルに達し、為替相場の影響は国産部品からコストの安い輸入部品に代替されたことにより、輸出輸入のバランスが2006年の黒字大幅増から2007年には一気に赤字になっているというのが部品業界の実態でございます。以上で自動車部会の報告を終わらせていただきます。ありがとうございます。

    司会:
    峯川さんどうもありがとうございました。質問等ございましたら、どうでしょうか。それではちょっと最後に巻き返していただけまして、ただいまちょうど16時になるころでございます。今から15分をめどに休憩させていただきたいと思います。16時15分に再開ということで、よろしくお願いします。どうもご苦労さまでした。

    (休憩)コーヒーブレーク

    司会:
    若干まだおそろいになっていない方がいらっしゃるんですが、時間も押してますので始めさせていただきたいと思います。後半のトップバッターは食品部会、尾崎部会長様の方からよろしくお願いします。

    自動車部会(レポート)


  • 食品部会 尾崎英之 部会長

    皆さんこんにちは、食品部会長をやっております尾崎と申します。会社は東山農産加工、キリンビールでございます。今年初めて発表した時に、上の数字が黄色から赤になりまして、さらに赤も超えて20分近く話してしまいましたので、今回は、もうカウントダウンが始まってますが、白い数字のうちに終われるように頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。じゃお願いいたします。

    食品部会は全部で23社ございます。そのうち食品の製造販売している会社が15会社ございまして、今回は食品部会まとめて一つという形での報告ができませんので、まず全体的に去年の回顧と2008年の展望につきまして全体を最初に述べさせていただいた後に、それぞれ各、十の業界について簡単に述べさせていただきます。お願いします。

    2007年度のポイントととしましては、全体として四点ございます。国内食品・飲料市場は安定的な成長を遂げまして、大体業界の平均で成長率が5%から、成長率の高い業界では10数%の成長を遂げました。背景としましては、5%を超える経済成長やインフレ背景だというふうに考えております。

    二番目のポイントとしては、低所得者層向けの低価格商品が好調に推移しまして、これが今までの発表の中にもありましたが、政府のボルサファミリアやプログラム・フォーミ・ゼロですか、ああいった救済策が寄与しているものと考えております。

    三点目としましては、世界的なコモディティの需要増からですね、原材料のコストアップ、またスーパー、アタカードを買収したCarrefur等の流通再編成が起こったことによって流通からの要求の増加が増えまして、全体的に販売は好調なんですが、低価格商品が増えたということ、また流通からの要求も増えたということで全体的に利益率は低下傾向を示しております。四番目のポイントとしましては、為替高により輸出採算の悪化が続いているということがございます。

    2008年の展望について述べますと、ポイントとしては五点ほどございます。一つは、景気・インフレ等に安定傾向が続き昨年同様の成長を期待しております。二番目としましては、為替高、これは今後も続きまして、輸出企業を中心に厳しい状況が継続するものというふうに判断をしております。

    三番目としましては、輸出が厳しいということで国内販売へのシフトや業界の再編成、M&A等の動きも活発化が予想されております。四番目としましては、国内各社がコスト削減、物流費や管理費用等の削減に取り組む一方でですね、また、新しい動きなんですが、安定的に成長するブラジルに対してグループ全体で積極的な投資を行って、シェアを奪取するという、そういう成長戦略をとる企業も2008年度は見られました。続きまして、各業界について発表させていただきます。

    乳酸飲料です。2007年度の回顧につきましては、対前年比数量ベースで5%増と穏やかな成長を遂げております。ドル安レアル高でスーパーでは輸入品があふれておりますが、乳製品は従来通り国産品が主流で、その競合が激しくなっております。乳酸飲料の中で特に原料の脱脂粉乳がオーストラリアの旱魃やアルゼンチンの水害、中国の使用量増加等により高騰しておりまして、1トンあたり昨年度に比べて2倍の5000ドルということで、原料の確保が課題になってきているということでございます。

    一方で、下にちょっと書いておりますけれども、PIS.COFFINSが2007年度免税になったということ、また二年前の2005年にサンパウロの州政府によってICMが18%から7%に引き下げされたこと、こういった減税や免税の措置があったことによってある程度の原材料価格の高騰を吸収していると言う報告がございました。

    2008年度につきましても市場は穏やかな成長を期待しております。競争の激化や原材料の高騰は今後も続くことが予想され、原料の安定確保のために現在75%の国産化、脱脂粉乳の比率を100%にするということを検討中というご報告がございました。

    国内家庭用食品です。昨年度の回顧につきましては全体で約7%の成長を遂げたということです。政府の貧困救済策であるボルサファミリア等が市場の裾野を広げたことによって、調味料、粉末飲料、また個食用のスープが全体で8%以上の増加を遂げたという報告がありました。2008年度につきましても安定した経済成長の下にですね、引き続き前年並みかそれ以上の成長を期待をしております。国内の競合が激しくなり、またスーパー等の流通要求が高まってきており、ブランドの差別化やきめ細かいエリアマーケティング等をこれから導入していくということのご報告がありました。次お願いいたします。

    素材用食品。素材用食品とは具体的にはMSGバルクと飼料用のアミノ酸でございます。2007年度、昨年度につきましては粗糖価格が落ち着いたのですが、為替高によって輸出採算が悪化で厳しい事業環境が継続しているということです。中国製品の低価格構成が続いているんですが、中国政府が付加価値税のリファンドを廃止したということによって、末端の製品価格が上昇が見られるということです。

    また国内ではピラシカーバ市で韓国系のメーカーが飼料用のアミノ酸の生産を開始しまして、国内の競争激化が予想されております。2008年度につきましては、中国製品の輸出攻勢や国内での競争激化が続くものと、また原料高、原油高、輸送費上昇の厳しい事業環境であるものの、ブラジルは世界的に供給拠点の重要な役割を担っていくというご報告がございました。

    冷凍果汁。2007年度は主力のアセロラ果汁飲料がたいへん好調だと、まあ背景には世界的な健康志向があるというふうなことです。ただ原料不足から買い付け競争となりまして、アセロラ自体の価格が高騰化していると。また日本でのポジティブリストの対応のために、農薬管理体制を構築しまして、これがコストに大きくインパクトを与えているということです。

    また、引き続きレアル高の継続から輸出採算が厳しく、全体的に販売数量は好調であるものの、為替高によって売上高は前年並み、コスト高、設備投資の償却増によってこの業界でも利益は厳しい方向にあるという報告がございました。2008年度につきましても、まあ背景として健康志向が継続するだろうということで、アセロラ需要の引き続き拡大を考えております。

    また農薬について、徹底的な農薬管理をした原料確保が求められているということです。国外市場につきましては、製品の差別化や品質向上と同時に輸出先との価格交渉がこれから必要になってくるという報告です。また、国内市場につきましては、ビタミンCを添加または農薬コントロールを若干軽減したコストコンシャスな製品をもって市場開拓をするということが今年の課題になっております。次お願いいたします。

    香料です。2007年度につきましてはC・Dクラス向けの低価格品の食品や飲料の販売が増加しております。ただ数量面での増加はあるものの、競争が激しく、販売価格は低下傾向と。したがいまして全体的に増収であるものの、原料高から採算は悪化傾向を示しているということです。為替高につきましては、輸入原料安となり若干原価高を相殺する効果があったということです。

    2008年度につきましては、国内食料・飲料市場の安定した成長を期待しているということで、業界再編等のですね、まあM&A等による業界再編の活発化も予想されております。また、ブラジルの成長する市場に対して今年は積極的な設備投資を行いまして、製菓、飲料分野において市場シェアを奪取するという成長戦略を今年は採用するという報告がございました。次お願いいたします。

    食品添加物。2007年度はこの業界もC・Dクラス向けの食品、飲料の新製品投入がラッシュということで販売は好調でございました。ただ、C・Dクラス向け商品のためにですね、価格志向が強く、日本からの輸入製品の購入までには至っていないということです。

    ブラジルでも食の世界もですね、量や価格から質への動きがあって、日本や米国で許可されている天然着色料に対するブラジルでの引き合いが増えているということなんですが、ブラジルの法規、アンビダではまだ未許可ということで、これからこういった問題を解決していかなければならないという報告がございました。

    また、為替高から主力のオレンジオイルやコーヒーエキスの輸出採算はたいへん厳しくなっており、また日本国内の最近の偽装や農薬問題から、当地にて完全なトレーサビリティーを備えた原料確保が条件となってきており、この点でのコスト高も頭の痛いところだというところです。

    2008年度につきましては、輸出は為替高が続くことによりまして厳しい状況が続きまして、輸出に関しては高付加価値商品、健康性や機能性をもった商品へシフトする一方、輸入は為替高を利用しまして日本製品の天然着色料等ブラジルにない素材をこちらに輸入し、販売を拡大していきたいというご報告がございました。次お願いいたします。

    健康食品。健康食品につきましては輸入健食と輸出健食、この二つに分けて報告させていただきます。輸入健食につきましては為替高によりましてコスト減となり、また背景として健康に関する関心が増えたということもあって、それとまあ日本からの輸入健食品ということで高付加価値イメージが背景にありまして非常に好調に推移したということでございます。

    一方輸出健食、アガリクス、プロポリスはですね、数年前の中国産のアガリクスの問題、それと為替高によりまして市場は縮小傾向を示しております。ただしアガリクス、プロポリスの中でもオーガニック製品や日本のポジティブリストに適合した商品等の高品質商品につきましての販売は上昇傾向を示しているということです。

    2008年度につきましては、輸入健食は追い風、まあ為替高が続くということで追い風が吹いておりまして、中間所得層の増加や高齢化社会に向かいつつある中、健食への関心は増加していくものだろうという風に考えております。一方の輸出健食につきましては厳しい状況が続くことが予想されまして、今後は高付加価値や品質の差別化、さらに顧客との対面販売、まあ直接販売や、周辺技術を生かしたアルコール飲料の開発、また受託製造等に活路を見出すというご報告がありました。次お願いいたします。

    乾燥麺。2007年度はこちらも政府のボルサファミリア等が寄与いたしまして低所得者層の多い北部、北東部市場においてたいへん好調な販売を続け、全体として二桁台の成長を遂げたということです。ただ市場はプレーヤーが増加したことによる競争の激化、また小麦粉、パワー麦●●という、昨年度の後半に主要原材料価格が高騰しまして、コストアップが響いてきていると。

    また、流通再編成、Carrefurがアタカードを買収しましてPao de Acucarグループを抜いてナンバーワンになったと。また流通の要求が非常に多くなりまして、販売費やいろいろな協賛金への要求が非常に高まっているということです。また低所得者層の多い北部、北東部市場において販売が好調ということは、物流費が必然的に増加いたしまして、この地域での収益は販売は好調なんですが収益としては悪化を示しているというご報告がありました。2

    008年度につきましても市場は成長は継続、特にCDクラス層については販売は好調が継続するというふうに考えております。国際的に穀物相場が上昇しておりまして、今年につきましては製品価格へは転嫁はやむを得ないというふうに判断しております。一般的な情報なんですけども、ブラジルの乾燥麺、一人当たり八食だそうです。日本は年間五十食と、まあ単純に比較をする意味はないかもしれませんが、まだまだブラジルでは乾燥麺●●●
    ●●●中断●●●
    ・・では消費の増加、まあ流通再編にともなう要求増加等から国内の競争プレーヤーが増加し、競争が激化しております。

    2008年度のサフラにつきましてはブラジルは豊作、表年で、豊作の見込みで、対前年比が20%~30%増のまあ4000万袋以上のコーヒーの生産が見込まれております。一方ブラジル国内においては、消費が多様化、コーヒーが家庭から外で飲む飲用機会の外部化や、品質向上、パッケージの多様化等からですね、まあブラジルは従来の生産国、コーヒー等の生産国の顔から消費国の顔を持つようになると、二面の顔を持つようになるというふうなご報告がございました。

    最後に酒類です。主に清酒類なんですが、2007年度の外食・フードサービス業界も昨年度二桁近い安定した成長を遂げております。為替高により輸入品が増加しまして、国産品は低価格戦略をとってきまして競争がたいへん激化しております。また安易に国内の原材料価格の上昇を販売価格に転嫁できませんで、限界利益率は低下の一途をたどっております。

    2008年度は、日本食は低カロリーや健康志向、高付加価値からここブラジル、特にサンパウロでは300店から400店ほど日本食レストランがあると言われてまして、確実に日本食が定着化してきております。一方で国内外品との競争激化や、原材料のコスト上昇、またサンパウロ州において二月一日からsubstituicao tributariaと申しましてICM税の前払い一括制度が始まりまして、競争環境がたいへん厳しくなってきております。ただ今年は日系移民百周年ということで、日本文化としての日本食をアピールしていく絶好の機会というふうに捉えております。ちょっと、また赤になってしまってすいませんでした。

    司会:
    はい尾崎さんどうもありがとうございます。それでは質問、どうぞございませんでしょうか。それではどうもありがとうございました。続きまして電気電子部会の方から、私の方からここで時間セーブのためやらせていただきます。次お願いします。

    食品部会(レポート)

  • 電気電子部会 部会長

    まずですね、Abineeのデータということで、電気電子業界の販売ペースですね、1ミリオンというのが単位でございますが、この数字をちょっと今回拾ってみました。2002年を基軸として書いてるんですが、全体としましては2002年以降毎年10%を超える堅調な販売が実施されているというのが我々電気電子業界の実情かなと思われます。

    その中でも、特に産業系ですね、一番目のラインのところ、Industrial Automation、それから三番目のIndustrial Equipment、それからその次のGeneration,Transmission and Distribution on energy、まあ電力系ですね、それから一つおいて電材系Electrical Material for Installations、この辺は非常に堅調な動きを示してまして、この過去二年というのは10%あるいは場合によっては2-30%を越える成長を示しているということになります。

    その中でPC系あるいは通信系での伸びというのが若干、金額で見ると鈍化し始めていると。ただですね、コンピュータ系では1,000万台需要を超えたというふうな昨年度の発表も出てます。まあそうした中で単価の下落とか、あるいは携帯電話の若干、単価ダウン、その辺が効いているのかなと、そういうふうなところ思っています。

    一方最後の二つのLinha Brancaというのが白物、最後から二つ目ですね、Linha MarronというのがAv系という家電でございます。ここも順調には来ているんですけども。Linha Marronの方が2007年明けてみると数量は確実に増えています。ただ単価が非常に下落してまして、レアルベースでの数字というのが驚くなかれ前年比ダウンとして出てきたということにですね、ちょっと私としてもショックを覚えているとそういう状況でございます。次お願いいたします。

    一方我々の生産拠点であるマナウス、これがどういう状況になっているかということで、テレビに関しましては着実にブラウン管からいわゆる薄型テレビへの移行というのが、まあ先進国に比べて数年遅れという状況ではありますが進んでおります。それで我々の業界の中では薄型が10%をいつ超えるんやというのが、各国で非常に大きな関心になるんですが、ちょうど2007年に1,000万台強の、1,100万台強の生産の中の約100万台が薄型だったということで、2007年度の第2四半期には確実に薄型の売りが10%を超えたなという実感を我々持っております。

    ただ、ここもご多分にもれず非常に浮き沈みの激しいところがございまして、四つ目のホームオーディオですね、ステレオ関係ですけども、これの需要ダウンが非常に顕著に出てます。まあ原因としてはいろいろあるんでしょうが、PC系の伸びとか、あるいはiPodとかいう半導体オーディオ、こういうポータブル系に置き換わっているのかなと、そういうようなところ思っております。

    それから先ほど、前半の最後にありました車関係の非常に大きな伸びに支えられてカーオーディオは非常に顕著な伸びを示しているという状況です。あと、電子レンジが唯一北の方で、エアコンもあるんですけども、北の白物としては電子レンジが一番大きなものなんですが、これも非常に大きな伸びを示しておりまして、特にC、D、この辺の需要層ですね、ここに浸透しているのかなと思っております。

    残念ながら為替高によって輸出環境が非常に悪化しておりまして、特に一番顕著なのが携帯電話の生産でございまして、2005年の3,800万台をピークにこの二年連続して1,000万台ずつ生産台数を落としているというのが今のマナウスの状況でございます。それ以外にもDVDであったり、いろいろな商品で価格が、単価がある一定以下に落ちちゃうとマナウスで生産しても割に合わないというふうな状況に落ちていってましてですね、まあ輸入の洪水が続いているというのが現状じゃないかなと思っております。次お願いします。

    ここにありますのが、マナウスフリーゾーンでの輸出・輸入の状況なんですが、緑の輸出というのはもうご存知の通りどんどん減っていきます。それで逆に薄型テレビというのは、パネルがアジア生産ですので、薄型にいけばいくほどマナウスの輸入が増えるという、こういう状況になります。マナウスフリーゾーンでの雇用状況も、携帯が一番大きいのかなと思うんですが、2006年度ピークを迎え、以降ですね、雇用を減少させるというちょっと残念な結果になっているのが今の現状でございます。次お願いします。

    先ほどのLinha Marronの金額の低下というところなんですが、テレビの価格、順調に単価下落を進めさせておりまして、まだ進んでおります。これをどこで止めるのかというのが我々業界の大きな課題になるのかなと。まあ完成品の方でこれを進めさせるとですね、部品業界さんにも影響を与えるというふうなこともありますので、いつかどこかで止めないかん価格というふうには認識しております。

    その中でですね、部会参加企業の概況ですが、家電関連ではテレビ、それからよく伸びているのがデジカメ、それからカーオーディオ関連、この辺が非常に順調に伸びておりまして、それで南の白物産業も含めて白物については過去二年は非常に堅調な動きを示しているのかなと思っております。しかしながら、先ほど言いました価格破壊の進行に悩まされているというところでございます。

    前回もずっと述べているんですが、部品生産事業というのがですね、ブラジル国内生産を継続することが量的あるいは税制的に非常に困難な状況に陥ってまして、私どもパナソニックも部品事業については昨年度撤退させていただきまして、そういう状況が今後さらに続いていくのかなという状況になっております。通信につきましては、固定系は非常に不振ということを聞いておりますが、一方でブロードバンド系は好調、それからこれからデジタルテレビ系というところにつながっていくんじゃないかなと思ってます。それから地上波デジタルなんですが、昨年十二月にサンパウロ市内で放送が開始されました。それで、グランジ・サンパウロというところですね、補足される人口というのは約1,000万人ぐらいかなというのが今のデジタルテレビを受けられる人口層でございます。これが来年度以降ですね、ちょっと次お願いします。

    こういう形で2008年の頭くらいからベロ・オリゾンテ、ブラジリア、リオデジャネイロ、サルバドール、フォルタレーザという地方の中心都市で試験放送ないしスタート。それ以降2016年がテーハ、アナログのテーハという流れの中で順次広がっていきます。

    今のところ我々もそれなりにデジタルテレビへの傾注を始めていますが、まだサンパウロに限られているということで、我々の商売の需要に爆発的に力を注ぎきるほどのファクターにはまだなっていないのかもしれませんが、確実に今後数年の流れの中でこの動きが入ってきますので、まあ部品系ですとチューナーの販売あるいはNECさんのような送信系の販売、あるいは完成品として我々のデジタルテレビチューナー同梱されたテレビの販売というふうなところを今後期待していきたいところです。

    それとともに各、周辺国ですね、動きも始まっておりまして、アルゼンチン、チリ等々ですね、いろいろな動きが出ていますのをですね、我々も注意しながらできる限りブラジルかというふうなところを日本勢としては目標にしながら動いてまいりたいと思います。すいません一枚戻してください。

    我々部会参加企業の2008年への期待と不安ということなんですが、基本的には、先ほどからございます経済的には安定するなということと、我々が一番望む為替の安定が、まあ1.75付近だったらそれでいいんですが、とにかく為替が安定してほしいというのが我々の思いでございます。

    不安としてはやはり米国経済、サブプライムの影響、それから特にさらなる価格下落ですね、あとほとんど不能になってしまった輸出環境がさらに悪化していくのかなと。まあ今はまだ少しは残っている輸出なんですけれども、これも非常にしんどいのかなと思っております。

    それと、原材料が非常に高騰しておりまして、コストダウンのネタに非常に汲々とするような状況になってきております。それであと移転価格であったり、スト関係であったり、それから給料アップのプレッシャーであったり、レアルの売りが伸びなければ非常に厳しいというのが我々の状況です。それであと中国製品の動き、これは知的財産権等々の問題も含めてですね、やはり非常に気にしているところでございます。以上でございます。

    司会:
    松田さんどうもありがとうございます。松田さんに対しまして何かご質問がありましたらどうぞお願いします。特にないようでしたら次に行きたいと思います。
    それでは、三分短縮しましたので、次は建設不動産部会からですね、阿部部会長、さらに四、五分お願いします。

    電気電子部会(レポート)

  • 建設不動産部会 阿部勇 部会長

    建設不動産部会を担当しております、戸田建設の阿部でございます。いつも建設不動産部会は短時間で終わるので、特徴がございますので、今日もさっさと参りたいと思います。

    一応全体の指標からまずご説明します。これも毎回申し上げております、セメントの販売量が我々の業界の動向を非常に的確にあらわしているということで、ただ残念ながら昨年の九月までの統計しかございません。対前年比、一月から九月末の九ヶ月間の販売総数での対前年比が16%アップということですね。一昨年の十月から十二月に約1万(1,000万●●)トンの販売量がありますので。次お願いします。

    これは一番右側の2007年が下がってますから、あれから1万(1000万●●)トン上がりますと、4,300万トンまで上がるということで、非常にやはり2004年から急激にセメント販売量は伸びているのがグラフで分かるかと思います。次お願いします。

    これがサンパウロの不動産販売件数。確か一年前のあれですと、不動産が非常に伸びてると言っても数字で言うとほとんど変わりませんということを実は申し上げたんですけども、今年のこれ十月までですね、十ヶ月間の販売件数が前年比で61.5%、非常にやはり皆さんがご覧になっているサンパウロ近郊の住宅の販売件数のいうのが本当に素晴らしく伸びております。次お願いします。

    これはグラフなんですけども、グラフだけで見ちゃうとあまり大したことないみたいなんですけど、一昨年、二年前ですか、そこがほとんど変わっていないのが昨年はやはりぐっと伸びているというのが分かるかと存じます。その次お願いします。

    これが建設業の雇用者数。ブラジル全体で見ますと、これも九月までの総数で対前年比9.5%です。次お願いします。

    これもグラフなんですけども、一番下の赤いところが2003年ですね、最近で一番不況だった時。それに比べますと、どんどんどんどん伸びて、2007年はこれ統計値九月末なんですが、まだ上がっている感じがしますね。非常に活況です。次お願いします。

    これはサンパウロ州だけですね。ブラジル全体のものに比べるとどうなんですかといいますと、同じ九月までで15.6%。先ほどが国全体で9.5ですから、やはりサンパウロ州が建設業も引っ張っているという傾向があるというのがお分かりになると思います。次お願いします。

    これも同じようなグラフですけども、2007年の折れ線グラフは非常に、九月以降も伸びていそうな傾向にございます。次お願いします。

    これはPIBですけども、建設業、実は2006年の方が高い伸びを示しておりました。2007年第1四半期は逆に2.27でちょっと低かったんですけども、第2第3ですか、少しずつ回復してきて今に至っているということだと思います。次お願いします。

    建設業全体の売上額ですね。100万レアル(単位)ですが、これも順調に伸びているということですね。次お願いします。

    これも去年お見せしたんですが、日本とブラジルの年間の完成工事高ということで、ブラジルは少しずつやはり伸びていますが、日本は少しずつ下がっていると。統計が2005年と古い数字で申し訳ないんですけども最近のがまだ出ておりませんでした。これが大体全体的な指標になります。次お願いします。

    共通テーマの2007年の回顧と2008年の展望なんですけども、建設業界、これも毎回お話しているように、分母になる企業数が非常に少なくて、建築、不動産、建材、それと家具ですね、この四つに分けてご説明させていただいてます。次お願いします。

    建築の2007年の回顧ということですが、これはアンケートいただいたのは3社です。3社さんの大体最大公約数的なところを表示してございますけども、全体的に見積もりの引き合いは好調に推移しております。傾向としましては、大型案件の割合が増加している、それと生産設備への投資が増加しているということが特徴的に挙げられます。

    それから、入札から発注までの期間短縮の傾向がございます。ご計画されてから実際に工事着工まで非常に早い、短時間で進んでいるということですね。それとさらに工事期間が短縮化、最近インフレは、一般的な世の中ではあれなんですけど、建築資材はかなり上がった時期がございまして、工事金額も当然それにつられて上がっているんですけども、金額が大きくなっても逆に工期は短縮傾向にあるということで我々業界にとっては非常に厳しい状況が今ございます。で、その下にございますように技術者、労働者の不足というのが顕著になっておりまして、その結果どうなるかと申しますと、人の奪い合い、賃金上昇ということが現れております。

    それと建築資材価格の多くが上昇ということで、今日ちょっとグラフにはできなかったんですけども、ピニーという、これ建設物価指数というのが毎月発表されているんですが、昨年の四月にがくっと上がっていますね。まあ上がっているというのは建材の全体のあれですから、パーセントで言うと3%、3.5%程度なんですけども、ものによっては20%上がった建材もございます。ある程度年の後半は落ち着いたんですけども、年の暮れから今年にかけてまた再び上昇傾向にある資材関係もございます。ということで今、労賃と建材、材料費と両方ダブルパンチで上がっているということでございます。次お願いします。

    建築部門の今年の展望ですが、引き合い案件は昨年同様非常に堅調に推移するであろうということは、我々の業界、部会は我々以外の部会の皆様の動向にリンクしているということで、大体堅調に、皆様のお話伺っているあれからしても、今年も引き合いの方は増えるのではないかというふうに思っております。

    それと人材、建設機械の確保が重要課題ということなんですが、お仕事を頂戴しても人・機械・物が順調に入らなければ工事が順調に進まないんですが、例えばの話としてカッコ書きにしてありますが、一月から工事着工しようと思ったところ実際に使う基礎工事の杭がですね、杭を打つ機械が二ヶ月待ちということになります。これはまずいということで、お客様と話して杭の種類を変えてもっと早期に着工できるようにしたんですけども、中々それもうまくいかないと。ただ最近の雨で造成工事が遅れたために、どちらかというとたどり着いて同じ杭でもできるかなということで今そういう話もあるんですけども、非常にそういう意味では人・物、それから機械ですね、建設の工事をするための機械の需要が逼迫してまして、手に入れにくい環境にございます。今後、今年もこの傾向が続くんではないかと思います。

    それから建設資材の価格が上昇傾向ということで、主だったところではセメント、鉄筋、屋根材、防水材、そういったところがかなり顕著に上がっております。ただし、そうは言っても価格の競争は厳しさが常態化しておりまして、決して上がった分だけ転嫁して受注できるという環境にございません。グロス●●でいくらという、そういう世界の競争ですので非常に厳しい競争を強いられております。

    それから毎年五月に、いわゆる人件費の問題ですね、シンジカット●●(不明)●●の話し合いで決まるんですけども、世の中の物価指数4.5ぐらいですか、今年見られているのは、それで収まるとはとても行かないだろうと。下手すると二桁、10%以上工賃が上がるんではないかなということで心配をしております。次お願いします。

    次に不動産の方なんですが、これもよく新聞などでも出ておりますけども、住宅ですね、戸建て・アパートを問わず住宅の方が非常に活発です。特に中低所得者向けの住宅が増加しているということで、販売してから非常に短期で完売する案件もあると聞いております。それから、まあ大都市圏、サンパウロとかリオデジャネイロあるいはサルバドールといった大都市圏からどんどん地方へ、地方の方へ住宅開発が延びていると。

    それもサンパウロ近郊であった話なんですが、一案件の規模が大型化ということで、3,000戸、日本でもある一時期から500戸とか600、あるいは1000戸という大型の案件が一つのマンションであったんですけど、こちらでも最近そういう傾向が見えると。それも3,000戸というのはかなり大きいんですけども、そういった傾向が見られますということです。それとアパート販売価格が上昇傾向にあってデベロッパーの収益は向上傾向にあるということで、ただここでも資材・労務が不足傾向にあって、思ったように計画通りに行くかどうか心配であったということですね。次お願いします。

    今年の展望の方なんですが、アパート販売は引き続き好調に持続するであろうと。ただサンパウロの中心部の高級アパートはもうそろそろか?というクエスチョンマークなんですけども、これも確か二年ほど前から私同じようなことを言っていると思うんですけどね。いまかいまかと言われていながら、まだ続いているというのが現状なんですけれども、まあ業界の方から伺うと、まあ本音のところはもう本当にそろそろかなという部分があるそうです。

    ただ大手デベロッパーは今まだ強気の投資を継続しております。ということで今後どうなるか、ちょっと先行き分からないんですけども、大手デベロッパーが中小の地方のデベロッパーを買収してそういう業界再編というのもあるようです。それともう一つ、新規参入者による価格競争が激化して労務不足が問題であると、これも継続してございます。次お願いします。

    次、建材です。建材に関しましては、昨年の回顧として住宅向けアルミサッシの需要増大、これは今のそのままですね。あと、材料材、アルミ地金、これはある一時、数年前たいへん急激に高騰したんですけども、今は高いまま高止まりで安定をしているということで、まあ為替と同じなんですけども、安定していればそれをベースにいろいろ価格設定ができるということで、まあそういう傾向にあるということですね。

    それから工事管理エンジニアの質の低下ということは、先ほど言っている人の不足が、これのお話はですね、自社のエンジニアが質の低下じゃなくて、お客様の方の管理する側のエンジニアの質が低下した結果、思い通りの工事が進められなくて、余分な経費を使わされたという、そういう相手からの影響を受けたというお話がありました。次お願いします。

    建材の今年の展望なんですが、やはり住宅建設が好調に伸びるということなんですけども、ただ中高所得者向けの住宅に関しては少し伸び悩むのではないかなということが考えられております。あと新規参入業者による安値競争と労務不足が重なり受注環境は激化するということですね、同じことです。次お願いします。

    最後に家具ですけども、昨年の回顧。これは一社さんだけのあれなので、一社さんの特徴ということなんですけども、好調な経済成長と活発な不動産投資の影響で売上は32%アップしましたと。ただ原材料、鉄、プラスチック、鋼板が値上がりで収益の方はかなり厳しかったということですね。それとここもやはり新規参入ということで、競争が非常に激化したということですね。次お願いします。

    今年の展望なんですが、アメリカのサブプライム、これも先ほどから皆様おっしゃってる、その影響がどういうふうに出るか分からないということで、この会社さんは実は今年の五月ぐらいから新規設備投資、工場の新築をされるご予定があったそうですけども、来年そこで開業できるかどうか今非常に悩ましい状況であると。やはりサブプライムのことが気になるということですね。それから低価格販売の競争相手が出現しているため価格競争は激化と、これもまったく同じ環境でございます。

    ということで四業種の話を終わりまして、最後に個別の部会テーマということで、これも毎年同じようなお話で恐縮なんですけども、毎年下半期に見学会あるいはセミナーを開催しております。ここ二年はずっと見学会になってしまったんですけども、今年はどういう形になるか分かりませんけども、決まり次第ご連絡いたしたいと思います。以上でございます。

    司会:
    はいどうもありがとうございました。何か質問ございましたら、よろしいでしょうか。それでは次に進ませていただきます。次は運輸サービス部会、森田副部会長様よろしくお願いします。

    建設不動産部会(レポート)

  • 運輸サービス部会 森田透 副部会長

    寺本部会長がちょっと出張で出席されませんので、私が代理として発表させていただきます。サンキューの森田と申します。じゃあお願いします。

    まず最初、我々の業界はですね、航空業界、それと海運業界、それとフォアーダー、旅行サービス、そして通信という形で非常に多岐にわたっておりまして、非常に分かりにくいかと思いますけども、まず航空業界から言わせていただきます。

    まず2007年の回顧ですけども、旅客需要として国内が対前年比約8%増と。これは七月のTAMの事故などによって一時需要が落ちたということですけども、その後回復を図っていると。国際間につきましては対前年比約1.2%の微増ですね。こういう状況であると。それと2006年のGOLの事故、それと2007年に起こりましたTAMの事故、これをきっかけに航空管制およびインフラの問題ですね、これが非常にクローズアップされ、便の発着等について非常に混乱をきたしたということがありました。それと最後にBRA社ですね、これが倒産したということですね。次お願いします。

    2008年ですけども、まず好調なブラジル経済を反映してブラジル=アジア・ヨーロッパ間の貨客の動きが活発化するであろうと。そのため運航便の増加が考えられると。具体的にはAIR CHINA、EMIRETESの増便、KE、KOREAN AIRLINEですね、VARIGの運航等の再開が計画されていると。それとあと、ラテンアメリカおよびヨーロッパ行き運賃自由化と燃料サーチャージですね、この徴収自由化が実施される見込みであると。

    国内線のマーケットシェア争い、これがまあ激化するであろうということで、まあここに書いてありますけども、現行シェアとしてTAMが約49%、GOLが約40%、あとはVARIG3%、その他8%ということですけども、今後これがどのような傾向を表していくかですね。次お願いします。

    それとあと、これは●●●
    ●●●●中断●●●●
    (ガルーリョス空港駐機料の破滅的値上げ通告。空港当局はGRU空港混雑の解決策として、三時間を超えて駐機する航空機の一時間あたり駐機料を三月中旬より5,200%値上げ)

    ●●すると昨年末に通告されております。で現在、IATA、これは国際運送協会ですね、これとエアラインと当局間にて今鋭意折衝中と。あと、まあこれは各国政府および在伯大使館等も本件を重視して、エアラインとともに積極的に協力して交渉する姿勢であると。

    ちなみにこの5020%という駐機料の値上げになりますと、JALは年間15億円、アメリカンエアラインで約100億円のコスト増になるということですね。まあJALさんとかは一晩飛行機が寝るわけですからこれは非常にコスト増になることはいたしかたないと。これは今、現在調整中であるということで、そのうち結果が出るかと思いますけども、ちょっと異常な数字です。次お願いします。

    次に海運業界ですけども、2007年の回顧といたしまして、強いレアル通過を背景に、まあこれまでの皆様の発表の中でもありましたように、非常に好調であると。特に極東から前年対約30%増と非常に貨物の動きは増加していると。輸出につきましてはやはりレアル高の傾向で、まあありますけども輸入ほどの伸びはないが、順調に推移ということで、特に極東向けが10%増と。あとチキンと肉類を中心とした冷凍貨ですね、これが14%増していると。あとアルゼンチン向け輸出が活発化ということで、25%以上の伸びを示しているということです。次お願いします。

    2008年の展望ですけども、輸入につきましてはブラジル、アルゼンチンの経済好調により中国とアジアからの荷動きが好調を維持するということを今期待していると。輸出につきましても南米東岸ですね、食料供給基地としての役割が年々重要度を増しているということで、今後とも冷凍貨を中心とした伸びを予想していると。まあこれは毎年言われていることなんですけども、港湾、陸上輸送、通関、こういったバックグラウンドとしての一番基本的なところのインフラですね、これの改善が遅々として進んでいないということで、非常にこの辺の改善が望まれるということです。次お願いします。

    次にフォワーダー業界ですけども、まず2007年の回顧としまして日本発の航空貨物の実績ということで、全世界向け、これは日本発のデータとしてのものですけど、日本発のデータで全世界向けで131万,6000トンで対前年比約0.4%ダウンと。米州向けが303千トン(30万3,000トン●)ですね、対前年マイナス4.4%と、減少傾向にありますけど、その他米州、主にブラジルということでこれが1,600万トン(1万6,000トン●)ですね、対前年比23%という形の大幅な増加になっております。

    特にこれまでも発表の中でございましたように、自動車関係、その他それに準じて機械類ですね、こういったものが非常に増加している傾向でうまくいった結果になっているということです。あと、ちょっと外れまして鉄鋼構内物流ということで、鉄鋼構内に関しましても鉄の順調な伸び、これに支えられまして構内作業、構内での製品のハンドリング等ですけども、こういったものも順調に推移と。で上期のある一部の製鉄所の中での構内作業の他社のスト等によっての業務停止があったんですけども、まあこういったものもありましたけども何とかその損失を収益でカバーできる程度のボリュームで年度計画は達成したということですね。それと最後にクーリエ部門。これは輸出入物件が若干減少したと、輸出物件は微増ということですね。次お願いします。

    2008年の展望ですけども、レアル高が続くと工業製品の輸出にブレーキがかかることが危惧される反面、輸入貨物が期待されるということですね。特にまあ、これは全体的な傾向ですけども、中国から輸入が引き続き大きく伸びるであろうという予想ですね。あと鉄鋼構内に関しましても、ご存知のように鉄の活発な生産活動によって引き続き順調に推移すると。

    一方、いま建設の方でもございましたけども人件費、これがやはり非常に高騰傾向ということで、人材の確保、こういったものに非常にこれから懸念が考えられます。あと特に税関関係でですね。三月三十一日からSISCARGAといいます港湾局と税関を結んだ新しい、税関内部のコントロールをするためのシステムなんですけども、これが導入されるということで、これは直接その通関とかそれには関連はないんですけども、これがある程度足を引っ張って遅延につながる可能性もあるというものなんですけども、この辺で船会社、輸出入、まあシッパーさん、コンセイゲン●●(不明)●●さん、それとまあ乙仲との連携と相互理解ですね、この辺で密な情報交換をしていってスムーズに輸入貨物、輸出貨物の処理をしていく必要があるという、こういったものが今懸念材料としてございます。次お願いします。

    次に旅行ホテル業界ですけども、2007 年、海外旅行はやはり航空運賃がドル建てということで、まあ海外旅行が増えたということで、国際線は順調、海外旅行は順調な伸びを示していると。ただ一方、先ほどあったような航空混乱の影響で、旅行中止、先送りが出てきたこともあったということですね。あと国内旅行に関しましてもやはり全体的に好調であるということで、国内パッケージ商品が順調な伸びを示したと。

    ホテルですけど、これはサンパウロを中心としまして、サンパウロ全体の宿泊稼働率は約67%ということで体前年比2%増ということですね。部屋数4万2000室に対して2万8000室が稼動ということで、平均レートが162レアルということらしいです。で、対前年度17%アップということで、値段も上がっているということですね。次お願いします。

    2008年ですけども、引き続きレアル高ということで今後も海外旅行は伸びるであろうと予想されております。ブラジル訪問客に関しましてやはりブラジルの治安の問題、あとこちらでの物価高があるので伸び悩みじゃないかと。ただし移民百周年での日本からの来訪客ですね、これが増加に期待をしているということです。あと国内旅行につきましては、経済好調により需要拡大を予測しているということですね。

    あとホテルに関しましても、200以上のホテルが新規オープンして直接雇用1万人増加していると、間接要員3万人の労働市場発生を予測しているということですね。やはりここでも最終的にはインフラの問題、空港の問題ですね。これが大きく、これからの課題であろうということです。

    通信業界ですけども、2007年の回顧。携帯電話の加入数ですけども、これが1億2,100万台ということで、約80%がプリペイド方式であると。ここにありますようにVIVOが約30%、TIMが26%、CLAROが25%ですね、その他21%というシェア割になっていると。パソコン市場に関しましても大幅な伸びを示している。特にノートブック、これが税制が変わったおかげで価格が下がってますけども、この影響で非常に伸びて100%の伸びということですね。

    あと昨年12月2日に開始されましたデジタル放送、現在グローボ、SBTその他が配信中ですけども、変換装置の販売が今遅れ気味ということらしいです。次お願いします。

    あと2008年の展望としまして、旧TelemarのOiがBrasilTelecomを買収ということで、この合併が成立しますとブラジル資本の巨大電話会社、これが誕生するということで、スペイン系のTelefonicaとメキシコ系のEmbratelこれが対抗することになると。まあモノポリ化が進んでサービスがどうなるかですね、これから。今年はあと、こういったIT関係を支えるものとして停電のリスク、または節電の可能性があると報道されているので、企業は通信設備とかサーバー類ですね、これをデータセンターに移行することを検討するであろうということです。以上これで終わります。

    司会:
    はいどうも森田さんありがとうございます。何か質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは最後になります、繊維部会の須賀部会長さんからよろしくお願いします。

    運輸サービス部会(レポート)

  • 繊維部会 須賀治 部会長

    それでは繊維部会から発表いたします。私、倉敷紡績の須賀と申します。
    まず昨年の繊維業界の状況を一言で申し上げますと、「一月、二月の薄日から、雨が降りまして、のち晴れ」。八月ごろから急速に晴れ間が広がっております。半年前のシンポジウムで確か私は、雨がずっと続く最悪の年だと申し上げましたけれども、サンパウロの気候と同じく急に晴れ間が広がったという状況でございます。状況を申し上げますと、年央まではレアル通貨高に起因まして、輸出が減り、輸入が増え、3年連続の暖冬などで国内マーケットは低調でしたけれども、低中所得者層の消費の拡大から需給バランスは急速に改善され、閉めてみましたら繊維産業にとりましてまずまずの年となりました。

    2008年も、輸入品のラッシュはあるものの消費の拡大が続いていきますと、業界全体は大きく落ち込むことは無いと思います。それでは紡績にとりましててコスト、品質の大きな決め手となります原料事情からまずご説明いたしまして、そのあと糸、繊維製品、ファスナーの順に話を進めていきたいと思います。
    まず国際原綿。ご覧の通り、世界の綿花生産は中国が29%と最大です。続いてインド、アメリカの順でございます。ブラジルは5位で6%。

    次に綿花の消費でございますけれども、圧倒的に中国が42%、これを占めております。ブラジルはわずか4%。中国の消費は年々1割ほどアップしておりまして、綿花の需給、相場は中国の動向次第ということが顕著でございまして、年々中国のウエイトが増しております。

    次にブラジルの国内原綿の状況です。綿花生産は前期比で47%増の、去年は152万トン採りました。輸出も10万トン増となりました。綿花の質はばらつきが多く、この数年間では非常に悪い方でございました。今年の生産量はですね、5%増ですね、160万トンと予想されておりまして、先物契約もかなりできておりまして、六月の新綿収穫までは相場は高値が予想されております。

    続きまして国内の綿糸の状況です。ちなみにこのグラフは私どもクラボウの販売価格であります。想定される一般的な糸価格ということでご理解いただけたらと思います。前半はレアル高によりまして非常に輸出が不振で、輸入急増となりました。通常私ども綿糸の輸出は2割から3割しておるんですけれども、昨年の輸出比率は1.7%まで落ち込んでおります。前半非常に苦戦を強いられましたけれども、先ほど申しました通り、八月頃より市況が急速に改善しまして、需要に生産が追いつかない状況となりまして現在もその状況が続いております。

    これは何回も申すまでもなく、所得が伸びて衣料の需給が増えたと、それから世界的な合成繊維やビスコース原料の高騰によりまして綿原料へ、綿糸への回帰が影響しているのではないかと思っております。2008年もまずまずの年になると予定しております。

    空紡糸でございます。空紡糸と言いますと一般に太い糸で、タオルとかTシャツ用途が多いんですけども、空気圧で糸を紡いでいる糸でございます。で非常に経済性のある糸ということですけども、空紡糸も綿糸同様の動きでございます。

    では綿糸の貿易についてご説明いたします。綿糸の輸出は約1万1,000トンで、2006年の実績を5割強下回りました。一方、綿糸の輸入は約2万1,000トンで、前年より4割増えております。2006年まで黒字だった綿糸の貿易は一挙に大幅な赤字となりまして、ブラジルの綿糸は国際綿糸市場で完全に価格競争力を失っております。我々の最大の競合相手はインド、パキスタンの糸でございます。

    次に繊維製品の貿易について申し上げます。昨年十月に衣料関税が大幅に引き上げられました。20%から35%でございますけれども、引き上げられたにも関わらず、輸入増加にまだまだ歯止めはかかっておりません。この表の通り、中国から非常にたくさん増えております。実に5割、これチャイナですけれども、半分以上が中国ということで、ものすごいカーブで中国の製品が伸びております。また密輸品も非常に増えているということでございます。今までジャケットとか婦人服の入用が大半だったんですけども、最近ではブラジルの得意とするジーンズの輸入も見られております。

    次に合繊糸です。簡単に申しますと、総量では輸出・輸入とも前年対比で伸びております。ビスコ-ス、これは光沢のある軽いつるつるした糸なんですけども、この人気は継続しておりますけども、在庫がちょっと増えておりまして、今年ビスコースが減りましてポリエステルの増加が見込まれております。

    次に薄地織物。シャツ地でございますけれども、昨年は輸入増、輸出減の傾向、これは継続しております。輸入では合繊がさらに増えております。おそらく今年も輸入増、輸出減の傾向が続くと思われます。

    では次に、ブラジル国内の紳士服地・小売り販売市場についてご説明いたします。先ほどの糸とまったく同じで、輸入増加の逆風が吹きましたけども、全体的には消費に引っ張られ、小売り、アパレル、輸入業界ともに、売上高は前年比1割から1割5分ほど増加になっております。市場はカジュアル化が進み、天然素材が好調です。小売業界は2大商戦と言われます母の日とクリスマス商戦、これがともに1割から1割5分増加しております。

    冬物在庫もまったくなくなり、まあ80%以上消化しておりまして、夏物も消化がよく、これからはじまる冬物の仕入れに期待できそうです。アパレルは輸入製品との競争が激しくなり苦戦した面はありますけれども、小売りの売り上げ増に引っ張られて、年末の品揃え受注で下半期は非常に好調でした。スーツ、スラックスメーカーも年末まで生産がフル稼働の状況でございます。

    輸入業界はドル安でコストダウンとなりましたけれども、逆に輸入税が上がりました。それから中国をはじめとする工賃の上昇で仕入値が10%から20%上がったと。で、利益を圧迫しているという報告を受けております。

    最後になりましたけども、ファスナー。完成品がどんどん入ってきていると。で、衣料国内生産が若干減っているということで、ファスナー市場の縮小傾向が続いております。輸入品ファスナーとの競争激化で数量的にはダウンしたものの、ジーンズ分野を中心に付加価値商品の販売が伸びております。若干時間が残っておりますので、ここで生産設備と生産量について簡単に触れておきます。

    紡績でございます。ご覧の通り紡績もほぼ横ばいの設備で、微増する生産量でございます。減ってはおりません。これを見ても、綿の比率が非常に高いということですね。ブラジルは綿製品を好むという国民性が伺われると思います。設備もさほど変化はございません。
    次、織物。織物もほぼ横ばいの生産量でございます。生産設備もさほど変わっておりません。はい、次。

    メリヤス。これもほぼ横ばい。若干増えておりますけども、上期は増えておりますけれども、生産量はまあ若干増えている。ここでも綿のウェイトが非常に高い、そういった特徴があろうかと思います。まああの、これを見ましても、紡績、織物、糸とも設備は減っていない、生産量も減っていないと。ブラジル繊維産業の力強さを感じております。

    終りに、まあここに書いてます通り、非常に密輸品が横行しております。繊維製品の輸入の相当量の密輸品でございます。これらの密輸品の取り締まりにつきまして、引き続き当局にお願いしたいものでございます。

    ブラジルの繊維産業は輸入増の逆風はあるものの、消費は確実に伸びております。大いにブラジルのパワーを感じております。昨年八月、日本でブラジルファッションを紹介するイベントが開かれましたけれども、中身のモデルの関心でなく、ブラジルファッションに対する関心が日本で非常に高まっております。

    日本の繊維産業の差別化商品を生産するノウハウ、それとブラジル女性のファッションセンス、美意識、これを生かして市場を創造する場が増えることを我々大いに期待しております。モデルは既に一流、ファッションもブラジルは一流になりつつあります。では最後に、皆様方にぜひブラジル産の繊維製品をご愛顧いただくことをお願い申し上げまして、私共の発表といたします。半年前は五分ほどオーバーしたので、ちょっと端折りました。よろしくお願します。以上です。

    司会:
    どうもありがとうございました。それでは質問ございませんでしょうか。それでは司会の方を宮田さんにバトンタッチさせていただきます。

    宮田:
    それでは以上で十一部会の発表が終了したわけですけども、時間いろいろ迫っている中でたいへんな準備をしていただいて貴重な発表をいただきどうもありがとうございました。それでは、このシンポジウムの最初にご紹介させていただきましたゲストの方に講評をお願いしたいと思います。初めに経済産業省通商政策局、三田米州課長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
    ちなみにカマラ、商工会議所の案内書に通商政策支局と案内されておりまして、新聞社じゃないんで何かおかしいなと思ったんですけど私冒頭それをそのまま読み上げまして失礼いたしました。

    繊維部会(レポート)

     

    繊維部会 - 発表原稿

    繊維部会 2007年の回顧と2008年の展望

    2007年の回顧と2008年の展望(1)

    0.            繊維業界の状況一言で申し上げると「薄日から雨、のち晴れ」
    年央まではレアル通貨高に起因し、輸出減、輸入超過、3年連続の暖冬などで、国内マーケットは低調だったが、低中所得者層の消費の拡大等から、需給バランスは急速に改善され、繊維産業にとってまずまずの年となった。
    2008年も、輸入品のラッシュはあるものの消費の拡大が続けば、業界全体が大きく落ち込むことは無いと推定されるし、昨年からの流れでまずまず良いスタートが切れた。原料から製品の流れに沿って説明します。
    まず、紡績にとってコスト、品質の大きな決め手となる原料事情から説明します。

    1.原綿(綿花)
    1-1.国際原綿 世界の綿花・生産量(2)
    世界の綿花生産(118百万俵)は中国が29%(35百万俵)と最大で、次いでインド(25%)アメリカ(19%)の順である。ブラジルは5位で6%である。
    世界の綿花・国内消費(3)
    綿花の消費(128百万俵)は中国が43%を占める。ブラジルは4%である。中国の消費は年々1割ほどアップしている。
    綿花の需給、相場は中国の動向次第であることが顕著であり、年々そのウエイトが増している。 

    1)            2007年の回顧
    国際綿花相場(5)
    5月半ばに46.90¢の底値をつけたが、その後、中国綿の在庫が激減しているとの確認が取れたことや投機筋も入り、綿花相場は上昇し続け70¢超となった。 

    2)2008年の展望米国農家の綿作離れ、世界経済の景気後退懸念で綿花の消費が冷え込むことも想定されるが、大豆、トウモロコシに始まったコモデテイー人気が綿花に波及しており、今後、実需筋からの買により年末には90¢相場の到来すらありうると予測する。   

    繊維原料・綿花相場(7)
    1-2.国内原綿
    1)2007年の回顧
    綿花生産は前期比47%増の152万㌧、輸出も10万㌧増となった。
    綿花相場は、R$1.15迄下落し、安値が11月末まで続いたが、綿糸の市況回復により年末はR$1.29まで急騰し、年明け後も値上がりが継続している。
    綿花の質は、バラツキが多くこの数年間では悪い方であった。

    2)            2008年の展望
    繊維原料・国内綿花(6)
    生産量は5%増と予想。先物契約が既に80万㌧(内輸出が62万㌧)
    6月の新綿収穫まで相場は高値が予想される。
    遺伝子組み換えの種については、品質の評価が定まらず普及が遅れている。 

    1.            綿糸

    国内綿糸(8)
    2-1.国内綿糸
    1)            2007年の回顧
    レアル高による輸出失調と、3年連続の暖冬で秋冬物マーケットの低調から慢性的な綿糸供給過多となり、非常に苦戦を強いられたが、8月頃より急速に回復し、需要に生産が追いつかない状況となった。
    これは景気の拡大による中低所得者層を中心とした衣料需要増大、世界的な合成繊維やビスコース原料の高騰に対する綿原料への回帰が影響している。
    綿花安=低コストのまま販売価格が上がった為、採算面は大幅に改善したため、まずまずの年となった。

    2)            2008年の展望
    クリスマス商戦において春夏物衣料品は顕著な伸びをみせ、また綿花高による綿糸先高感から、綿糸需要が高まっており良いスタートが切れた。
    ただレアル高の進行で中国からの製品輸入やインド、パキスタン、インドネシア等のアジア諸国からの輸入糸が増加しており、国内の需給バランスを悪化しかねない要因が多い。

    安価で良質な原料が確保できるか否か、めりはりのある季節が到来するのか否か。

    税制(輸入税)の動き等、変動要素が多く不安材料があるが、国内消費が確実に拡大すると見込まれる。

    国内綿糸・空紡(12)
    2-3.空紡
    1)2007年の回顧
    レアル高による輸出減、綿糸全般の価格低下による空紡糸の経済性が薄れたことで、前半は苦戦したが、好調な冬物商戦、輸入繊維品の抑制(関税の上昇と厳格な検査体制)などで市況は回復した。
    2)2008年の展望
    冬物在庫払底による太番手需要の増大、移民100年祭向けTシャツ需要拡大、地方選挙によるポジテイブな経済発展により、消費拡大に期待大。 

    国際綿糸(9)
    2-2.国際綿糸
    1)2007年の回顧 
    綿糸輸出は、10,620㌧で、2006年の実績を5割強下回った。
    一方、綿糸輸入は、21,365㌧で、前年より4割強増加した。
    2006年までは黒字だった綿糸貿易は一挙に大幅赤字となった。
    レアル高基調により、ブラジル産綿糸は国際綿糸市場で価格競争力を失った。
    輸出比率の高かった東北部のブラジル紡績(3割から5割の輸出比率)も輸出を減らし国威顧客向けにシフトした為、国内綿糸市場の供給過剰と価格下落を招いた。
    競合相手はインド綿糸で、ブラジル大手アパレルもコーマ定番糸の輸入を拡大した。
    下半期になり、国内の綿糸需要が拡大し供給過剰は解消した。

    繊維製品の輸出入(10)
    2007年の繊維製品(原料、原糸、綿織物、縫製品)の貿易はあらゆるアイテムで輸入が増加し大幅な貿易赤字となった。(644百万U$の赤字) 

    2)2008年の展望
    為替が現状のまま推移した場合、綿糸輸出は赤字採算の為、輸出を更に減らし国内向けにシフトすると考えられる。
    一方輸入はインドの定番コーマ綿糸を中心に高水準に推移されると予想される。
    輸入は、綿糸に止まらず、織編物や縫製品も増加し、国内繊維工業の操業や販売に悪影響を及ぼす可能性が高い。
    台頭する中国からの衣料輸入(11) 
    年後半より、衣料関税が上がるが、輸入増加に歯止めがかからない。近年中国からの増加が著しく、輸入衣料品の50%以上をしめる。ジャケット類、婦人服の輸入が大半だが、最近ではジーンズの輸入も見られる。 

    合繊ファイバー/糸(13)
    2-4.合 繊 [ ファイバ-/糸 ]
    1)2007年の回顧総量では輸出・輸入とも前年対比で増加となった。
    ビスコ-ス人気は継続(セルロース:柔らかくて軽い、光沢のある長い絹状の繊維)。 

    2)2008年の展望
    国内生産の規模は前年並みに推移すると見られる。ビスコースは、在庫増加の傾向があり鈍化し、ポリエステルの増加が見込まれる。
    薄地織物(14)
    3.織物
    3-1.薄地織物
    1)2007年の回顧
    輸入増、輸出減の傾向は継続した。
    輸入では合繊(婦人/紳士用)が更に増加した。 

    2)2008年の展望
    輸入増、輸出減の傾向は変わらない。
    消費の伸びで、合繊の輸入は増加する見込み。
    国内生産は、ほぼ前年並みに推移する見込み。 

    紳士服地・小口販売市場(15)
    3-2.紳士服地小口販売市場 
    1)2007年の回顧
    暖冬の連続、繊維製品の輸入増など、逆風が吹いたが、全体的にはブラジルの消費に引っ張られ、小売りをはじめ、アパレル、輸入業界ともに、売上高は前年比10%から15%増加になった。
    市場は、カジュアル化が進み、天然素材が好調で、合繊素材離れが続く。
    【小売業界】
    小売りの2大商戦(母の日とクリスマス商戦)がともに10%から15%増加。冬物在庫も7月の寒さで80%以上消化した。
    夏物も消化がよく、これからはじまる冬物の仕入れに期待ができそうである。
    【アパレル】
    輸入製品との競争が激しくなり苦戦した面があるが、小売りの売り上げ増に引っ張られ、年末の品揃え受注で下半期は好調。
    スーツ、スラックスメーカーも年末まで生産がフル稼働。 
    【輸入業界】
    ドル安でコストダウンとなったが、一方で輸入税(縫製品で20%が35%、生地が18%~26%)が上がった。
    また中国をはじめアジア地域の工賃の上昇、原油の高騰によるコストアップ等で仕入値が10%から20%上がり、利益を圧迫した。 

    2)2008年の展望
    ブラジル経済の成長と共に消費が伸びることに期待したい。

    ファスナー(16)
    4.ファスナー
    1)2007年の回顧
    レアル高から衣料完成品輸入が急増、衣料国内生産の減少が続きファスナー市場の縮小傾向が続く。輸入品ファスナーとの競争激化で数量的にはダウンしたが、ジーンズ分野を中心に付加価値商品の販売が伸びた。 

    2)2008年の展望
    通貨高による衣料全般、靴などの完成品輸入及びファスナー輸入は継続していくと見られ、市場を取り巻く環境は楽観できない。
    付加価値の高い商品の需要が増加するものと期待したい。 

    終わりに(20) 
    密輸品が横行しており、繊維製品の輸入の相当量が密輸品。
    これらの取り締まりを、引き続き当局にお願いしたい。 

    輸入増の逆風はあるが、消費は確実に拡大しており、ブラジルのパワーを感じる。
    昨年、日本でブラジルファッションを紹介するイベントが開かれ、日本で関心が高まっている。 

    日本の繊維産業の差別化商品を生産するノウハウと、ブラジル女性のファッションセンス、美意識を生かして、市場を創造する場が増えることを大いに期待したい。

  • 講評 三田米州課長

    ご紹介いただきました、経済産業省の通商政策局米州課長をしております三田と申します。本日はたいへんこのような貴重でかつ有益な機会に出席させていただき、本当に有益な話をたくさん聞かせていただきまして誠にありがとうございました。講評というようなお話ではございますが、多分あまり講評という資格がなくて、むしろ本当に勉強させていただいたと、こういうのが正直なところではあるのですけども、せっかくの機会なのでいくつかお話をさせていただきたいと思います。

    今回私、経済産業省の東京の本省から中南米室長の本間とともにこちらにうかがったわけでありますけれども、これは、当省の中でも、今後のブラジルとの経済関係を今年強化していきたい、という強い方針だということでございます。確かにここ数年間で例えば二十一世紀委員会とか賢人会議とかいろいろなご提言をいただき、かつ一番大切なのは実際のご企業の方の活動であり、それを今日うかがっても思ったのですが、次第に活性化というのか再活性化してきているということだと思いますけれども、特に私ども政策的には、日本政府として移民百年というこの機会にさらに大きな活性化した流れを作っていきたい、こういう風に考えております。

    こういう観点からどういう風に進めればいいのか是非現地の皆様の声をうかがい、あとまたブラジルの政府の担当者と昨日一日かけて話をしてきたんですが、こうやって議論して少しでも今後の検討をするために今回うかがった次第であります。そういう意味では、経済動向というのは我々東京にいて色々読んだりしてもなかなか分からないのですが、そういうことではなく、今日、まさにその現場のビジネスの本当にビビッドなお話をうかがえてたいへん印象的であったということでございます。その上でいくつか気づいた点を申し上げさせていただきたいと思います。

    まず一つは、今日最初に三つの部会から全体の経済、そしてその後で八つの部会から個別のお話がございましたが、やはり非常に安定して今成長を続けているブラジルの非常な活況ぶり、さらに言えばそのポテンシャルというのを再度認識させていただいたということでございます。今日お話のあったようにマクロ的にも、レアル高というのはあるかもしれませんけれども、かなり政治的にも安定した部分があります。

    また、私ども今東京にいるとデカップリングがどうだとかいろいろな議論になるのですけども、その影響もアジアに比べると多分限定されたという感じで今日お話にあったと思います。そういった意味で言って安定した環境がうかがえるということと、今日各部会にあって私が感じたのは、消費市場といいますか、その市場の質というのが政府の政策もあいまって非常に良くなっている。私どもいつもアジアで中国とかインドとか比較するのですが、一人あたりのGDPとか比べても大分違いがあるわけで、そういった意味でも、市場の質という意味でも非常に期待できる市場ではないかということです。

    その辺りこちらにおられる皆様は十分認識されて、むしろその中でどういう風に競争していくかというのを考えておられるということだと思いますけども、その点を我々もっと再認識してブラジルとの政策を進めていく必要があると思っております。次に、今日の議論ではあまりなかったのですが、我々ブラジルについては、これから伸びていく良質な市場という意味とともに、資源大国、これはエネルギーであったり鉱物であったり、場合によっては農業であると思いますが、まあそういった点があろうかと思います。

    さらに言うと将来的にブラジル企業とのアライアンスを組んだ形でのビジネス拠点というのですか、例えばアフリカや欧州への進出、あるいは南米市場の統合を踏まえた発展という点があろうかと思います。あるいは逆に、今私どもアジアの統合というのは一つの大きな我々の通商政策の課題になっていますけれども、そこに逆にブラジルの企業と組んでやっていくというこういうビジネスチャンスもあるのではないかと、まあ個人的には思っています。そういうことも含めてブラジルのポテンシャルというのを十分我々がまず認識することが大事かと思います。

    一方で、二番目に思ったのはまだまだ日本でそういうことが認識されていないなと。私も東京におりますと、大分最近は関心が高まってきております。さきほど総領事の話にもシンポジウムの話などありましたけれども、そういった中で関心がかなり、大分増えてきた。とはいえまだ関心があってもですね、そのビジネスチャンスなり具体的な機会につないでいないというところも十分あるのではないかと思います。

    もちろんここにおられる皆様方はむしろそういう中で出てこられて長い間歴史を作られているということであると思いますけれども、さらに日本とブラジルの間全体をつないでいくためのいろんな政策というのを進めていく必要が非常にあるなと。まさにこれは我々政府として、まあ東京とこちらの現地の両方をつなげていく政策というのを進めていきたいと、こういうように思っております。今年の一年、日系移民の百周年ということもあって様々なハイレベルの往来というのがあると思います。そういう中でもそういった認識を高め、よりビジネスの機会を増やしていくような取り組みというのをしていきたいと思ったということです。

    三番目に、もう一方で非常に感じたのは、そういった活気がある中でも非常に厳しい競争というのがあるということ。それは例えばレアル高の中での輸出ということがいろんな各業界の中でお話があったと思います。また、経済が好調な中でむしろ逆にコストが高くなっていった。あるいは国内での競争が激しくなる、あるいは輸入品との競合と、こういった様々な競争、厳しい競争の中でやっておられるのだなというのを非常に感じた次第でございます。

    その中で、もちろん基本的な市場の競争とは別に、やはりその、俗にブラジルコストと言われている、いろんなコストあるいはビジネス活動を妨げる要因があろうかと思います。今日のお話の中でも例えば税制、移転価格税制、知的財産権、社会保障、あるいは中国からの密輸の問題、通関、インフラと様々な問題点が出てきました。今回まさに移転価格税制ではかなり一生懸命されたというお話が最初に会頭のお話でもありました。

    こういう問題について、我々東京の日本政府そして現地の大使館なりそういった政府関係者、そしてあと皆様方が一緒になり、相手方のブラジルの政府に対してどう働きかけていくかという、そういう仕組みを考える必要があると思います。それは大きな仕組みとともに今度は個別の案件ごとにどういうふうに働きかけていくか、多分各論と両方あると思いますが、そういうことを考えていく必要があるんだなと言う風に思っております。現在、いくつか今私ども、個別あるいは総論で考えているものがございますので、ぜひそれを進めていきたいと、こういう風に思っている次第でございます

    これが、大きく気づいた点三つでございます。最後に多分もう一つ、それだけいろいろと前向きなことを言う中でですね、先ほどお話が出ていたエタノールの話はこちらから一言申し上げないとですね、ここで真正面に取り組んでいないというお話もあると思うので申し上げます。今回ブラジル政府関係者と会う中でも色々とお話がありましたし、ブラジル側の日本、日本の市場に対する期待の高さを伺い知ることができました。ただ、正直に申し上げれば、日本国内の関係者にも様々な思いや意見があり、もちろん私にとって理解できるものもそうでないものもありますが、いずれにしても、現時点で私が威勢よく元気なことを言えるという状況ではありません。

    とはいえ、このエタノールの話だけのために、このブラジルとの関係強化を止めていくわけにはいかなくて、むしろこういう流れがいろいろとできていく中で、より強くしていく中で少しでもこういった問題への解決というのができるように一歩一歩努力していきたいというのが今の正直な状況でございます。以上、あまり個別の話というよりは多分ちょっと大きな、抽象的な話になりましたけれども、今回このようなたいへん、四時間も、正直言って東京でもこんなに勉強できる機会というのはなくて本当にありがたく思っております。今後も引き続きよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

    司会:
    三田課長どうもありがとうございます。非常に前向きかつ率直なコメントをたいへんありがとうございます。それでは続きまして在ブラジル日本国大使館宮下参事官に講評をお願いしたいと思います。

  • 講評 宮下参事官

    ブラジル大使館での総務参事官をしております宮下と申します。本日はありがとうございました。参事官としてご紹介されることが多いんですけども、実は去年の夏、秋くらいから経済担当の参事官も兼任しておりますので、経済班長ということでも皆様とこれからいろいろとやっていきたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。先ほど三田課長の方からも申し上げましたけれども、本日このような有益な機会を設けていただきまして、非常に包括的かつ詳細にわたってブラジル経済の現状、各企業の方々が抱えていらっしゃるような悩み、そうしたものをこのように勉強させていただく機会をいただいたことに非常に感謝しております。今回の会合をオーガナイズしていただいた方々、オペレーションしていただいた方々、準備にあたっていただいた方々にお礼を申し上げます。

    先ほど三田課長の方が、基本的に講評という趣旨の中身のお話を申し上げたと思いますので、私ども大使館がですね、今年一年間こんなことを考えていて、こんなことを皆様と一緒にやりたいということをこの場で簡単にご披露申し上げてお願い方々ご説明させていただければと思います。
    言うまでもなく今年2008年は日伯交流年、移民百周年ということでブラジルに対する関心が非常に日本で高まっている時であります。余談ではございますけれども私年末年始日本に帰りまして、十年前に私のポストに携わっていた人と会ったんですけれども、その人が言うには、「いいね君はたくさんやることがあって、僕の頃はあまりやることがなくてね」というようなことを言っていてですね、羨ましがられたのかどうなのか良く分かりませんけれども複雑な思いで受け止めたんですけれども、ことほど左様に非常にたくさん今年はやることがございます。

    六月には皇太子殿下がご訪伯されるのをはじめとしてですね、今年さまざま一年間かけて様々な形の要人の訪問、往来というのが、既に決まっているのもありますし、これから徐々に決まっていくものもあろうかと思います。今の日伯関係、日伯経済関係はこのように、比較的好調かつ堅調なきざしを見せておりますけれども、こうしたものの一端になったのは、今から思えば2004年の小泉総理の訪伯と05年のルーラ大統領の日本への訪問というのが一つの、一つのきっかけとなったことは、まあ否めないことだと思います。

    私ども外務省、特に大使館、日本政府としてはですね、この2008年という得がたい機会を使って様々な形で要人の訪問をはじめとする仕掛けを作って日本からブラジルへの関心、また逆にブラジルから日本への関心を高めていきたいという風に考えております。そうしたものが今後どのような形で具体化していくか分かりませんけれども、そうしたものが具体化したあかつきには皆様方のいろいろご協力をいただくこともあろうかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

    他方、2008年はですね、確かに日伯交流年で様々なイベントが一年間かけてここサンパウロをはじめブラジル全土で企画されていますけれども、私ども大使館としては今年の、2008年を一過性のお祭り、まあ多少お祭りがあってもいいと思うんですけれども、お祭りだけに終わらせることなくですね、今後十年、二十年なりの日伯関係、日伯経済関係の足場づくりみたいなものをですね、しっかりこの機会に固めていきたいと。まあ多少先ほど申し上げたような高いレベルの交流等を通じてモメンタムを作るということもありますけども、それだけに留まらず着実に、今までどちらかというとなおざりにされてきたような、しっかり、地道な仕事というのを大使館としてやっていきたいという風に思っております。

    昨年の官民合同会議の場でもご出席された方々はご記憶かと思いますが、大使の島内の方から大使館としても今後商工会議所、各企業の皆様、総領事館等々関係機関の方々と協力していくつかの課題に取り組んでいきたいとして、知的所有権の問題と移転価格税制の問題についてはワーキンググループを作って皆様と一緒に今年から取り組んでいきたいというような意向を表明したということを覚えていらっしゃると思いますけれども、大使館としてもですね、当のコミットメントを果たすべく今様々に準備しております。

    既に何人かの関係者の方にはご案内差し上げていろいろとお知恵を拝借していると思いますけども、ほど遠くない将来にそうした会合をまず立ち上げて、移転価格税制、知的所有権またはそれ以外の問題についても皆様からご要望のあった問題については一緒に取り組んで、政府、相手国政府への働きかけ等も含めて、しっかりとそうした地道な作業もやっていきたいという風に考えております。大使館も2008年に入りましてですね、まあささやかながらその質も強化しまして、特に経済分野の担当官の数も増えたりしてですね、多少なりとも陣容を強化させていただいているつもりでございますので、大使館にぜひ足をお運びいただく機会があればと思います。

    ブラジリアはですね、東京ほど遠くはないですけど、サンパウロからすれば多少遠くて、特にブラジリアからサンパウロを見ると、たまに田舎から出てくると非常にまばゆい思いがしてですね、何ともいたたまれない気持ちになることが時々あるんですけれども、距離の壁というのは、東京ほどではないけれどもブラジリアにもございますけれども、ブラジリアにお立ちよりの機会があれば是非私ども大使館を訪れて、躊躇することなく訪れていただければと思います。

    私経済班長の宮下です。今日また来ております経済担当の経産省から出向している吉村書記官等がですね、皆様方の窓口として務めさせていただくつもりでございますのでよろしくお願いします。冒頭田中会頭から「開かれた商工会議所」というごあいさつがありましたけれども、大使館も開かれた大使館を目指して参りたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。拙いですけれども、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

    司会:
    宮下参事官どうもありがとうございます。商工会議所としましても是非引き続き大使館と緊密な連絡を取っていろいろとご相談をさせていただけたらなと思っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。それでは、プログラムの方ではですね、特にご案内してなかったんですけれども、ブラジル日本移民百周年協会松尾執行委員長の方からですね、是非一言お話をということですので、松尾委員長に一言お願いしたいと思います。

  • 松尾治 百周年記念協会執行委員長

    皆さんこんにちは。ただいま紹介にあずかりました、百周年記念協会の執行委員長を務めています松尾治と申します。私はこの百周年協会に行く前には文協、県連におりまして、このたびは百周年に全力投球するということで一応県人会、県連から離れるようにしております。そして今年2008年、もう百周年の年に入りましたので、たいへん遅れていると、百周年事業の用意が遅れている、資金活動の行動もたいへん遅れているというふうに感じています。本日はこの、今日の部会長の勉強会に参加させていただきまして、たいへん勉強させていただきました。そしてこの15日の昼食会にも出席させていただいて、商工会議所の会員の皆様方のご協力を仰ぐようになると思いますのでよろしくお願いいたします。簡単ですが、これであいさつに代えさせていただきます。

    司会:松尾委員長どうもありがとうございます。それではプログラムの最後ですけれども、今回のシンポジウムを主催してもらった松田総務委員長に最後のあいさつをしていただきたいと思います。松田さんお願いします。

  • 閉会の挨拶 松田総務委員長

    どうも皆様長い間ご苦労様でした。実はですね、今日始まる前に平田さんから17時35分終了目標でやってくれと言われまして。今ちょうど17時45分ということで、終わってみればご講評の三田課長と宮下参事官に非常に協力をいただいたなという、我々が見ていた時間からしまして非常に簡潔に力強い発言をいただいたというのが今回のシンポジウムの一番大きな特徴であったかと思います。それで、今までのシンポジウムから、ブラジリアあるいは東京からですね、遠いところをお越しいただいたということに対しまして改めて感謝の拍手を贈りたいと思います。どうもありがとうございました。それではですね、これでお開きとさせていただきますが、この後ここの一階の方で懇親カクテルパーティーということで若干場を設定させていただいておりますので時間の許す限りよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

 

開催日:2008年2月12日(火)

会場:ソフィテルホテル

時間:午後2時から6時

 

 

 

 

2007年下期業種別部会長シンポジウム

総務/企画戦略委員会共催

 

  • 司会の言葉

    松田雅信総務委員長          司会  宮田次郎企画戦略委員長

     

    めさせていただきたいと思います。 本日は業種別部会長シンポジウムに大勢参加いただきまして、ありがとうございます。私、本日司会を担当させていただきます、カマラにおきまして企画戦略委員長を務めさせていただいております住友商事の宮田でございます。

    もう一人、私の隣、総務委員長をしていただいているパナソニックの松田社長とともに、この会を進行させていただきたいと思っております。それでは本日、各 部会でですね、準備をいただきまして、後ほど発表いただきますが、この会の最初にまず田中会頭の方から一言ご挨拶をお願いしたいと思います。

  • 開催挨拶 田中信会頭


    ブラジル日本商工会議所会頭 田中信

     

    皆さんこんにちは。本日は当会議所のメインイベントであります業種別部会長シンポジウムに、ご多忙中にもかかわらず多数ご出席いただきまして誠にありがと うございました。特に西林総領事以下、サンパウロ総領事館の皆様には厚く御礼を申し上げます。西林総領事には最後に講評をいただくことになっておりますの で何卒宜しくお願いいたします。 

    このシンポジウムは一年二回、年初と年央に11の業種別部会長がそれぞれの業界の回顧と展望を行うことになっており、今回は2007年上期を回顧し、下期の展望を行うものであります。このシンポジウムは1970年代にコンサルタント部会が業種別部会長懇談会として開始したものですが、その後、総務委員会、企画戦略委員会が担当として会議所全体の主要行事となり、今日まで30年以上続いている当会議所の看板行事であります。2003年より「開かれた会議所」の基本方針に従い、会員にはもちろんのこと、一般のブラジル社会にも開放し、日本語の理解が難しい参加者のため、ポルトガル語の同時通訳も用意して希望者は誰でも参加できるようにしました。設立以来、継続してきた部会長懇談会という名称も、昨年8月3日実施分より業種別部会長シンポジウムに変更いたしました。 

    この会議では各業種別部会の代表者から生の声で、それぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は、部会長を中心に、自社業績や業界動向を分析し、その結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定にきわめて役立つものと思います。 

    さらにこのプロセスを通じまして、メンバー各社の親睦にも役立つものと思います。さらに外部の企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ、数少ない信頼できるデータとして評価されております。

    個別業界情勢に加えて、今回はシンポジウムの共通テーマとして移転価格税制の問題を取り上げております。2004年以来、日本企業の海外所得に関し、日本の税務当局との見解相違による巨額の追徴課税を受けるケースが急増しております。当会議所は会員企業のニーズに対応すべくいち早く移転価格税制委員会を設置し、ブラジル税務当局との折衝を開始しました。本年3月に行われました日伯経済合同委員会でもブラジル大蔵省を訪問。OECDのルールに従うよう要請いたしました。並行しまして米国、ドイツなど有力なブラジル投資国12カ国の商工会議所メンバーで組織されておるGIE、外国投資家グループに共同歩調を取るよう呼びかけました。その結果、本年に入ってからようやくGIE構成メンバーのコンセンサスを獲得し、ジョエル・コーン議長の名前で大蔵大臣宛て改善要請を提出することができました。去る6月、商工会議所は定例昼食会にジョエル・コーン議長を招待して講演してもらったことは記憶に新しいところであります。

    いまや日伯経済関係は「失われた20年」 を終わり、日本企業進出第三の波を迎えております。日系商工会議所は従来、日本進出企業の内輪の親睦会、仲良しクラブ的性格の方が濃厚でしたが、これから は諸外国の商工会議所との連携の強化、ブラジル政府に対する積極的提案などにより、会員企業の具体的ニーズに対応する活動の強化が要請されるようになって おります。このような情勢の変化を予見し、当会議所は2002年、定款改正を含む組織の大改革を行い、2003年より今日の体制をスタートさせたことをご記憶の向きも多いと思います。

    当会議所活動評価の一指標であります、ホームページへの年間アクセス件数は昨年、一昨年の33,000件から、昨年は77,000件と2.3倍に増加しましたが、本年は上半期の半年だけで156,000件と、昨年比約4倍のペースで増加しております。 
    最後にこのシンポジウムの担当であります総務および企画戦略両委員会、業種別部会および事務局の皆さんのご尽力と会員各位のご協力に心から感謝の意を表し、私のあいさつを終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。 

    司会:田中会頭ありがとうございました。それではこれから11部会によりますプレゼンテーションを、2007年上半期の回顧と下半期の展望という題で発表してもらいます。11部会の後、移転価格税制に関しましてホンダの鍋島さんからもプレゼンテーションがございます。本日ですね、各部会からの発表は原則10分、まあ質疑応答がその後5分ということで、それぞれ15分を割り当てられておりまして、今日このパワーポイントの左上に時間が出ますので、あそこに刻々と時間が表示されて10分経つますと、黄色になるんですか、色が変わるようですから、どうぞ時間厳守のほどをお願い申し上げます。最初に発表いただくコンサルタント部会のジェトロの渡邉所長だけが、10分じゃどうにもならないということで特別に15分。きっとためになるいい話をしていただけるという期待を込めまして15分になっておりますけれども、それでは渡邉所長よろしくお願いいたします。

  • コンサルタント部会 渡邉裕司 部会長


    コンサルタント部会 渡邉裕司 部会長

     

    皆さんこんにちは。渡邉でございます。今15分と宮田委員長おっしゃいましたけど、まあ半分冗談だと思います。

    新幹線のプロジェクトの構想がブラジル政府から出てきたというふうに聞いております。これはあの、やはり大変な工事だなと思いましてですね。私実は、ちょっと面白半分にですね、1903年に建設開始されて14年に出来上がったパナマ運河がどうだったかというのを色々調べたら、10年かけて3億5,000万ドルのお金がかかったというんですね。当時の100年前の3億5,000万ドルというのはどのくらいか、アメリカのインフレ率を見ても中々データが出て来ないんですけど、大体、おおざっぱに30倍から40倍インフレになっているんじゃないか。

    つまり米ドルの価値30から40分の1くらいに下がっているんじゃないかということで、仮に30倍かけるとすると105億ドルなんですよね。そうすると、新幹線のプロジェクトは91億ドルと言っていますので大体同じくらい。まあパナマ運河は掘ったのは80キロくらいですから。こちらは420キロのトンネルが3分の1ですか、やっぱりその、それくらい大変なプロジェクトになるんじゃないかなというふうに思いました。

    あまり無駄話ばかりしていると時間がなくなりますので。先般、この4月 でしたか、サンパウロで世界エタノールサミットというのがありまして、ジョージ・ソロスさんなんかも来たんですよね。元大統領とかいろいろ大変な人が来た んですけど、ジョージ・ソロスがそこで面白いことをおっしゃいました。自分はこのブラジルにですね、億ドル単位の金を投じてエタノールの生産に乗り出すん だけど、これはきわめて投機的だと言ったんですね。自分でお金を投じておいて投機的というのはどういうことかなと私思ったんですが。まあ投機的という言葉 は、金融界では格付けする時、俗に言う投資不適格、トリプルB未満ですね、要するに極めて危ない債権だよというそういう時のラ ンク付けするもので。だから自分の投資が投機的だと言ったのは、要するに物事は非常に不確実だというのをあの人は身上にしているんだそうですが、まあそう いうことで経済の流れも非常に不確実に満ち満ちていると思います。

    それで私は能力もないので、ここにセンセーショナルなテーマを掲げましたけども、いつまで景気が持続するか、何が危ないのかということを私言う能力もござ いませんので、ただ考えられ得るような、場合によってはやばいんじゃないかというようないくつかの、コンティンジェンシアといいますか、そういうものを述 べてみたいと思います。次お願いします。

    今世界経済、それからブラジル経済、申し分ない状況で推移していると思います。世界は大体4%くらいの成長をするだろうと。それからインフレも、3%くらいですか。非常にいい調子で行っている。ブラジルもそうですね。ブラジルも4%、場合によっては5%くらい成長するんじゃないか。インフレは今年、今ですと、2007年は年率で4%ペースくらいで進んでいます。非常にいい具合で物事は進んでいて、例えばその、ブラジルひとつ取りますと資本の流入というのは非常に活発です。

    これをちょっと見てください。今年の上半期の資本流入、資本収支ですね、資本流入プラス前年同期10倍くらいに増えているんですね。金が入ってくると。直接投資もそうですね。直接投資も8倍くらい。でこの株とか債権投資の間接投資、ここはマイナスですから。マイナス7億から240何億ドルに来たということですから、要するに直接投資より増えているということですよね、債権投資とか株式投資が。これだけ金がどんどんブラジルに入ってくると。で総合収支では7倍、前年同期比7倍の金が入って、中銀がせっせせっせと毎日為替介入して、入ってくる外貨準備に積み上がっていく。まあこれはレアル高くなるわけだなと。次に行ってください。

    それでですね、非常に世の中景気いいんでございますけども、先般東洋経済を読んでいたら三菱商事の小島社長が面白いことを言っていました。実は私たちも悩 んでいると、こんなにいつまでも好景気が続くんだろうかと。例えば資源を高値掴みしてないか、誰と組めばいいのか、もうプロジェクトの話は山と降ってくる んだけども、我々実は悩んでいると。それから住友商事の岡社長もちょっと似たようなことをおっしゃってましたですね。あまりにも調子良過ぎて、早くこの資 源高終わらないかな、なんて半分冗談でおっしゃるくらいですね、非常に景気良くて。本当に、もちろんこのまま続いてくれればいいんですけども、まあ色々な 人が色々な事を言ってます。

    私は基本的にはこのシナリオ1、つまり世界がインフレに陥ってですね、各国中央銀行がガッと引き締めをやって過剰流動性が終焉してですね、経済が一挙に シュリンクするようなことは、私は中期的にはないと思うんだけども。理由はですね、冷戦構造が崩壊して経済がグローバル化して地球規模の大競争が起きて、 そんな悪いものを作って高く物を売ったり賃金をボコボコ上げるようなこと今できませんよね。そういう構造変化になってますので中々インフレというのは起き にくいというのが一つあると思います。ただし今原料が滅茶苦茶上がってますよね、コモディティを中心に。 

     

    この間日本郵船の社長が面白いことを言ってました。オーストラリアのニューカッスルという所に原料炭を積みに行く貨物船は一ヶ月間沖待ちしているんだそうで すね。これはあの、皆積みに行くから順番待ちで混んでいるというだけじゃなくて、インフレ、鉄道とか港湾のインフラがそれに追いついていないから、次から 次へと船が行っても待つだけだと。ところが中国はボコボコと船を造る、で各海運会社もものすごい船を注文している。インフラが伸び悩むのに船ばっかりやた ら増えると沖待ちが増えるんですけど、要するに設備稼働率が落ちるということですよね。つまりコストが上がると。だから人件費とかそういうものは上がって いないんだけども、原料高というところでちょっとそういう心配なものがあるんじゃないかと。

     

    まあそういうことで、このシナリオ1ということはあまり心配しなくてもいいと思うんですけど、アメリカの最近ちょっと有名になったエコノミストは、今世界 経済は擬似バブルだと言っていますね。擬似バブル。実際のバブルじゃないんだけども非常にバブルに似ている状況があると。で5年このまま続けば深刻な事態になるという人もいるんですよね。だからそういう状況が続いて異常にコストが上がるようになればということでしょうけど、まあこれは中々起きにくいことだと思います。

    それからシナリオ2。これは私一番気になっている、要するに中国のバブルですね。中国は擬似バブルじゃなくて、一部ですよ一部、明らかなバブルです。例えば株を見ますと、ここに私資料を持っていますけど、債務超過企業つまり赤字の企業がですね、今年だけでですよ、株価が4倍とか3倍になっているんですよ。株価が。

    で中国人というのはそういう、まあ資本主義にまだ慣れてないせいか、株しか知らないというんですね。利殖。まあ不動産の方は庶民なんかはそうできませんから、一般の人は株。要するにこれは明らかなバブルだと。不動産もそうですね。それから鉄、鉄鋼の生産。中国は今4億2,000万トンくらい粗鋼生産能力がありますけど、毎年新日鉄の3,200万トンずつくらいボコボコ増えて、もうちょっとで6億トンくらい行くというんですね。もちろん内陸の開発がこれからなんで鉄はいくらでも確かにいるんでしょう。しかしそれは順調に物事が進んでいった時の話であって、何かちょっとつまずくとですね。

     

    造船もそうですね。異常な拡大をしているんです、造船業。船はどんどん作る、鉄はボコボコ増える。何かちょっとしたつまずきでですね、それが余って外に出て行って市況を悪化させる、海運市況も下がる。そういうことは絶対ないとは言えない。次。

      それでですね。今新興国の株価、バブルじゃないかと今私申しましたけども、例えばブラジルなんかは金融の人に言わせると、確かにPER、一株あたり利益率、去年なんかは20%。要するに20倍を超えて割高、そういうところはあるけど、今年の予想を見ると20倍を超えているのは中国くらいですよね。ブラジルはまだ10倍くらい。これ20倍を超えるとちょっと割高だというんですね。だけども上場企業の利益成長率に対する比率で言うと、まあたいしたことない。要するに1倍以下は割安で、2倍を超えると割高だというんですね。2倍を超えているところというと、エジプトと韓国ぐらいですよね。ブラジルなんかは0.5くらい。だからブラジルはまだまだ株式投資をやっても大丈夫だということかもしれませんけど。まあしかしこういう安心材料はあるんでございますけども、次。

    中国なんかは一般投資家は慣れてないから、ちょっと何かあったら狼狽売りしたりパニック状態になったり。それから中国はですね、旧国営企業の株をまだ政府 が握っていて、市場に流通していないのがものすごくあるんだけど、それを自由化してぽんと出ると需給が緩んで暴落する。まあそういうようなことで、2月27日に上海の株が暴落して、ここもものすごく下げましたけど、そういうその、世界同時株安ですね。それによるコモディティの市況の暴落、そういうものが、あるとしたらちょっと怖いなと。

    で昨日、佐々木貿易部会長が出席されて貿易部会がございましたけども、ブラジルももちろん1,500億 ドルの輸出があるんですけども、やっぱりそのコモディティ、全部コモディティとは言いませんけども、アグロインドゥストリー的なもの、そういうものが非常 に多くて、やっぱり市況とかそういうものにものすごく影響してくるんで、そういう世界的な市況の暴落があると相当影響をこうむるんじゃないかというふうに 考えられます。

      あとシナリオ3。石油の専門家に言わせますと、石油の需給から見て石油価格というのは4、50ドルが妥当だと。これ石油の専門家がそう言っているんですね。で今の78ドルとかというのは明らかなバブルで、これがもし何かのきっかけで100ドルいくと、今度こそこれは世界経済を直撃するというのが専門家のよく言う言葉ですよね。お隣のチャベス大統領は100ドル行くなんて言ってますけど、これは行くかどうかそれはわかりませんけども、例えばアメリカがイランを攻撃するとか、中東和平がまた暗礁に乗り上げて第5次中東戦争が起きるようなことになったりすると、これは100ドルなんて簡単に行くでしょうね。

     

    イランのことについてはあまりいい加減なことは申し上げられませんけども、私はイランをアメリカが叩く可能性、絶対ないとも言えないと思うんですね。何故 かというと、原子力発電所を攻撃するというのはピンポイントでやればいいだけの話で、地上兵力を投入して泥沼化する必要なんかないですよね。しかも一般市 民はあまり犠牲がないと。で、世間の、世の中の反発も、ヨーロッパなんかの反発もあまりないんじゃないかと。まあアメリカがもしそう読むとしたら、これは 大変なことが絶対起きないとも限らないというような。これは別に深い分析をして申し上げているわけじゃありませんけども、こういう要因も実際に世の中にあ るということは申し上げておきたいと思います。以上でございます。

     

    司会:時間通りに丁度終えていただきまして、ご協力ありがとうございます。それでは質問、お願いいたします。どうぞ。

     

    リマ・カルバーリョ(HLC):中国では過去5年間で鉄の需要が大きく伸び、輸入国から故工業製品の輸出国に変わりつつある。将来、鉄の生産が6億トンになれば輸出もするようになるだろう。ブラジルにも中国製の自動車が入りつつある。こうした中国の立場の変化は世界貿易にどのような影響を及ぼすだろうか。

     

    渡 邉:中国の鉄の需要が増えて、ブラジルに自動車がとうとう入ってくるようになると。そういう変化がどういう影響かということでしょうけど、まあブラジルに ついて申し上げればですね、中国を恐れる必要はないと思うんですね。中国とやっぱり手を組む。日本はそうだったんです。ブラジルの人はまだ中国を怖がって いるようですけど、中国の、これから賃金も上がっていくからどうなるか分かりませんけども、中国とどうやってパルセリーアを組むか。まあ現にペトロブラス とか行っておりますけど、中国と戦ったってあまり意味ないんですよね。中国とどうやってパルセリーアを組むか、これはやっぱり一つの、ブラジルのこれから 生きる道だと思います。

     

      こ のレアル高もそうですね。靴屋さんでも繊維でも中国に行き始めているところもあります。生きるためにね。座して死を待つか、中国と組むか。それが一つ生き る道。それともう一つ忘れていけないのは、実はあまり中国ばかり目立ってもらいたくないんですね。実は中国、東アジアを支えているのは日本の技術と資本が 大きいんです。だけ、とはいいませんけど。日本の技術と資本。

     

    今中国に日本企業2万社行っているんですね。2万社。それとこれから中国はちゃんと真面目にやるためには、日本の省エネルギー技術、環境保全技術、これがないと中国はスステンタビリダージはありません。壁にぶつかって経済が立ち行かなくなる。で、日本のビジネスチャンスなんだけども、そういうことだと思いますね。

    食糧ガブガブ食べて世界中の食糧上がるのもちょっと困りますけども、まあ、どうでしょうかね。お隣に日本という非常にインテリジェンチな国がありますからね。またブラジルもですね、中国とパルセリーアを組むということが大事だと思いますね。

    司会:よろしいですか。それでは時間になりましたので、渡邉さんありがとうございました。続きまして金融部会の方に移らせていただきます。米倉さん、お願いたします。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

  • 金融部会 米倉立二郎 部会長


    金融部会 米倉立二郎 部会長

    金融部会、南米安田保険の米倉でございます。金融部会の方から報告させていただきます。

    私どもの方は銀行業界と保険業界に分けまして、それぞれ上期の回顧と下期の展望という形にさせていただきます。まず銀行業界なんですが、はじめにブラジルのマクロの経済指標をベースにブラジル経済全般についてざっと上期を振り返りたいと思います。

    2期目のルーラ政権は、まあご存知の通り、政治面ではあまり良くない話題ばかり出たわけなんですけども、経済面では着実な改善を継続しております。具体的にはここの表にある通り、GDPこれにつきましては第1クオーターなんですけども、4.3%成長。消費者物価指数も2.1%とまずまずの数字。それから、レアル高が継続する一方コモディティ価格も非常に高水準を保っておりますので、貿易黒字も6カ月で206億ドルとかなりのレベルに達していると。

    株価につきましてもサンパウロの株式市場は2月末に例の中国発の株価の世界的下落、これの洗礼を受けたわけなんですが、影響は一時的でして、6月末は結局過去最高の54392ポイント、Bovespa指数ですね、相当いい数字になって6月 末を終えていると。そういう状況ですね。こうした結果から色々、先程来渡邉さんの話にもありましたけども、ブラジルには相当資金が流入しているということ で、レアルは相当高くなっていると。まあ中銀はずっとドルの買い支えをしているわけなんですが、その結果として外貨準備高も1,461億ドルと相当積み上がってきていると。

    しかしながら結局のところレアル高を抑えることはできなかったと。ここに為替レートがございますけども、今年の1月は1ドル2.14レアルでスタートしたわけなんですが、6月末の時点では1.93。その途中では1.8台に突っ込んでいるわけなんですけど、一応6月末で1.93で終わっていると、まあそういう状況です。 

    外貨準備が過去最高水準と、それから財政状況も改善しているということもございまして、カントリーリスク指標ですね、エマージング・マーケット・ボンド・インデックス、これにつきましても一時は130ベーシスポイント台まで低下していると。まあ若干6月に揺り戻しがございまして、ここに書いてあります通り6月末で161ベーシスというレベルまで来ております。

    こうしたレアル高による輸入コストの低下により、インフレはかなり落ち着きを見せているということもありまして、SELIC(政策誘導金利)は予想を上回るペースで上期は引き下げが進められてきました。で、結局ですね、上期末で12%という状況です。もちろんこれでも、実際の数字を見るとまだ非常に高いということは言えると思いますが、一応12%まで来ている。実際すでに7月に下がっているんですけども、一応上期末では12。

    以上のようなマクロ経済の情勢それからブラジルの財政改善、これを受けまして5月には格付け会社のFitchそれからS&P、ここが両方ともブラジルの外貨建て債務の格付けをBB+まで格上げしております。これは投資適格まであと1ノッチというレベルに来ておりますので、いよいよ来年あたりはブラジルも投資適格国入りかというのがかなり視野に入ってきているという状況かと思います。

    実際銀行業界ですが、こうした全般的に好調な国内経済に支えられますので、総じて好調な業績を上げているということが言えます。金融システム全体での総貸出し残高なんですが、ここにある通り、一番上ですね、6月末で7,992億レアルと対前年で9.1%の伸びを見せております。この中で特に目立つのが個人向けですね、これが14.7%増ということでかなり目立っていると。これは個人ローンそれから自動車ローン、このあたりの伸びが非常にこれを牽引していると、こういう状況ですね。

    一方不良債権比率なんですが、これは法人も個人も両方とも低下傾向、増減でマイナス傾向になっておりますけども、低下傾向ですね。この結果ですね、法人個 人とも貸し出しのスプレットこれも低下しております。こうした好循環もありましてさらに貸し出し総額を伸ばすというようなことにつながっていますので、特 に個人取引を中心とする地場の銀行、金融機関、このあたりは非常に上期も好業績が続いているという状況でございます。以上が大体上期の回顧ですね。次お願 いします。

    引き続き下期の展望なんですけども、現状では先程来渡邉さんから話がございましたけども、色々な世界的な状況、米国のサブプライム・ローン問題、あるいは 中国の経済の持続性、あるいは原油価格の推移、色々マクロ面で見ていかなきゃいけない要因は多いんですけども、現状ではですね、あまり大きな波乱というの も予想しにくいということもありまして、ブラジルのマクロ経済の状況はこの下期もですね、上期同様ある程度好調に推移していくのかなというのが一般的な見 方だと考えられております。

    中銀が集計しております各種経済指標の見通しが、この表の通りなんですけども、インフレに関しましてはコモディティ価格は高値継続と。それから内需拡大に伴う物価上昇などが予想されますので、消費者物価指数は昨年以上の水準にはなると思われますが、年初の予想の3.97よりは若干低い3.7%程度でとどまるんじゃないかというふうに見込まれています。あくまでも市場予測の平均値がですね。

    それからSELICなんですけども、昨年末に13.25だっ たわけですけども、これもですね、さっき説明した通り上半期予想を上回るペースで下げられたということもありまして、ここに来てちょっとこれまでの利下げ の効果を見極めたいというような慎重ムード、これが若干支配的になっているということもありまして、今後引き下げのペースは鈍化するだろうというふうに言 われております。したがいまして年末時点では10.75%程度というのが市場の平均の予測値ということでございます。

    それから経済成長率ですが、3月に実施された計算方法の見直しですとか、それから金利引下げ効果、これもございますので、年初の3.5%成長予想から一応今度は4.5%成長、これは若干引き上げられているという状況ですね。

    貿易収支ですが、レアル高もありますので、昨年のような461億ドルといったような黒字には及ばないんですが、年初予想、これは390億ドルと予想されたんですけども、現時点では436億 ドルまでいくのかなというふうに黒字が予想されております。それから年末の為替相場なんですが、あいかわらず大幅なレアル安になるような材料というのは見 当たりません。そうかといいまして、若干でもレアル高を押しとどめる要素、これはいくつかあります。具体的には貿易黒字の縮小鈍化ですね。

    それとあとブラジルと日米欧との金利差、これの縮小、いわゆる内外金利差の縮小ですね。それからまあブラジル企業の海外投資の増加、それから、エマージン グ諸国に比較してまだやっぱりブラジルの経済成長率は低いということもありますので、若干海外からの資金流入のペースが鈍るのかなというような予測もござ います。したがいまして、そういった諸点を考慮しまして、年末時点では若干のレアル安、1.90程度で越年するんじゃないかというのが市場の平均予測でございます。次お願いします。

    これは金融部会所属の4銀行による本年末のSELICとレアルの対ドルレート予想です。SELICにつきましては10.5から11%の範囲、二行さんが10.75%の予想。それから為替ですが、1.8から1.9の幅ですね。まあ二行さんが1.90と予想。まあこれは市場の平均値と同様ということになります。現時点でのマーケットに見えている材料をベースに予測すると概ねこのあたりに落ち着くというふうにご理解いただければと思います。

    引き続き保険業界に行きたいと思います。上期の保険業界なんですが、この表は監督官庁発表の5月末の数字ベースのものでございますが、全種目の保険料は、この表の真中の下にございますけど、108.1ですか、8.1%増。これまで業界は二桁成長に大体近いものを続けてきましたので若干落ちてきているというふうに言えます。で、その要因は明らかでして、最大種目の自動車保険、これは一番上の列ですけども、これの伸びがですね、103.3、3.3%しか伸びてないと。これが原因になって全体の足を引っ張っているという状況です。 

    皆さんご存知の通りブラジルの自動車自体は、販売自体は非常に好調ということで本来25%くらい伸びているはずなんですが、保険料の方は一向に伸びないと。これはひとえに業界内のレート競争に拠るですね、まあ競争が激しくて料率が低下しているということに起因するものでございますね。

    上期末時点では、この右の方の損害率というのを見ていただいても分かる通り、自動車保険でも、それから一番下の合計でもまだ対前年で損害率が改善している という状況なんですね。したがってここ当分は業界全体がかなり激しい競争にさらされて、保険会社としては儲けが出しにくい世界になりつつあるというふうに 若干危惧をしていると。これからまあ、損害率が悪くなっていくのかないうような状況だと考えております。次行ってください。

    次は下半期ですが、先程来申し上げている通りですね、国内経済は非常に堅調でございますので、保険料もそれなりには伸びるはずです。しかしながらそれ以上 に自動車保険を中心に業界内の競争が激しくなるということで、まあ過剰な値引きというものも出てくるでしょうし、業界全体の損害率の悪化というものにつな がるんでなかろうかという懸念が相当強くなっているというのが下期の展望でございます。

    それから2番目の再保険自由化動向でございますけども、これは本年1月に再保険市場の自由化というのが議会で承認されているんですけど、その時点では下期に具体的な取り扱い規則が検討され2008年から実施ということだけは決まったんですけど、あいかわらず監督当局からいわゆる施行細則、これが全く出てきません。

    したがいまして保険会社としましてもどう対応するかというのは非常に難しい状況でございます。何とか9月ごろには何か出てきてほしいなというふうに思っているところで、このあたり何か有力な情報がまた出ましたら改めて皆様方にご案内する機会を設けたいというふうに考えております。

    それから、3番目のソルベンシーマージンの改定動向というのがございます。ソルベンシーマージンというのはまあ銀行さんの自己資本比率と同様なものでして、保険会社の財務の健全性を高めるということで、ブラジルでも2010年 までに今まで以上に厳しいソルベンシーマージン規定を作ろうという動きが既にもう出ております。仮にこれが実施されるということになりますと、ブラジルの 多くの保険会社は資本が足りないということで、かなりの増資が必要になってきます。あるいは引き受けを大幅に制限する、絞るということが必要になってきま すので、場合によっては新たな業界再編、これにつながる可能性が非常に強いということで、今後動向を注目していく必要があろうかというふうに考えておりま す。以上で金融部会の報告を終わります。ありがとうございました。 

    司会:ありがとうございます。それでは質問ありましたらお願いいたします。よろしいですか。特にないようですから次に移らせていただきたいと思います。それでは貿易部会の佐々木さん、お願いいたします。

     

     

     

     

     

     

     

     

  • 貿易部会 佐々木修 部会長


    貿易部会 佐々木修 部会長

     

    今年の5月から丸紅の中村さんの後を受けまして貿易部会の部会長をやっております佐々木でございます。

    えっと、概略ですね、ブラジルの今年の上半期の貿易の輸出入のバランスの話を最初に差し上げて、それから輸出、輸入、日伯の貿易の関連ですね。最後に展望ということでお話させていただきます。

    ここにございます通り、先程からもお話ありますけれども、ブラジルの貿易は引き続き好調ということで、輸入の増が輸出を上回っていますけれども、上半期の数字だけを取りますと、史上初めて200億ドル超の貿易収支の黒字を達成しているということでございます。貿易黒字に貢献した鉄鉱石、石油、原油、大豆、鶏肉などですね。

    一方で一次産品は国際価格が高騰してコモディティの輸出能力がこれも上昇しているということで、これが貢献の方の大きなポイントになっております。通貨レ アルが高くなっておりますので、一部産品につきましては輸出が非常に難しくなってくるということはございますけれども、傾向としてはこの傾向が下期も続く であろうというふうに考えております。次お願いします。

    このページはですね、だいたい押しなべて輸出に関しましては一次産品、半製品、工業製品それぞれ伸び率がかなりのものをいっていると。平均しますと約20%でございます。次お願いします。

    これがそれぞれの内訳ですけども、一次産品に関していいますと、数字の多い順ですね、鉄鉱石、原油、大豆、これらが約20%、30% 伸びております。半製品ですけども、これは粗糖、パルプこの伸びが大きいですね。あと鉄鋼半製品が伸びておりますね。工業製品ですけども、自動車、これは 若干減っております。これはレアル高ということだと思いますけども、あと航空機、これはかなり増えております。あと自動車部品等ですね。次お願いします。

    次は輸出相手国別ですけども、これはご覧いただいたら分かる通り中国がやはり圧倒的に伸びていると。米国は非常に微増ということでございます。アルゼンチンは非常に増えていると。中国向けでいきますと鉄鉱石が60%の伸びを示しておりまして16億ドル。牛革、牛の皮も約60%の伸びといったことで、輸出増が大幅ということで34%強の伸びを示しております。次お願いします。

    今度は輸入ですけれども、これは主要産品別に見た輸入の内訳ですが、前年比トータルで26.6% 増えているということで、ブラジルの購買力がかなり上がっているということが言えると思います。資本材ですけども、主要品目は工業用の機械あるいは事務用 の機器ともに好調な伸びを示しております。これについては好調な国内市場を背景に、企業がやはり投資にかなり積極的だということ。レアル高で投資する場合 の輸入産品の購入も非常に、まあ廉価で購入できるということで、設備投資が増えていることによって資本財の伸び率が高まっているというふうに言えると思い ます。

    消 費財ですけども、耐久消費の伸びが非耐久消費をやや下回っておりますけれども、これも伸びは非常に順調と。やはり経済の安定成長により中間層、いわゆる消 費の拡大がここにも見て取れると思います。特に乗用車ですけども、乗用車に輸入につきましては非常に顕著でして前年同期比53.7%増、約11億ドルを記録しております。ブラジルの自動車製造業界、業者協会によりますと、輸入車が全体の販売に占めているシェアは2006年が7.7%、2007年上半期は8.2%と引き続き高い水準で推移しております。次のページお願いします。 

    輸入相手国別に見ますと、ここでもやはり中国の輸入増が顕著でございます。また去年に引き続きましてアルゼンチンはドイツを抑えて第2位のポジションを確保していると。中国からの輸入ですけども、従来からの集積回路あるいは液晶ディスプレイなどに加えて、電話、ファックス部品、プリンターなど去年の小額から非常に大きな伸びを示している項目がございます。次お願いします。 

    対日ですけども、これを見ていただきますと対日貿易は輸出が前年同月比14.8%の伸びということ。輸入は10.1%ということになっておりまして、輸出が前年同期比の伸びを上回っていますけども輸入は下回る結果になっております。ブラジルの貿易に占める日本のシェアですけども、輸出ではわずか2.8%。輸入で4%ということで、国別の順位でいいますと7位と5位ということでございます。

    ここで品目別に見てみますけども、鉄鉱石は20%伸びていると。これは全般的な傾向ですから、さっき中国は60%というふうに申しましたけども、まあ日本の場合には20%。あとアルミ、鶏肉、コーヒー、これらが上を占めていると。鳥に関しましては輸出は全般、全世界的にいうとブラジルはかなり増えていますけれども、日本向けはやはり減っていると。 

    今 後もやはり丸鳥、鳥をそのまま出す、特に中東向けというのは、中東は大体丸のまま買いますので手間のかからない形で出せるし、人手もそれほどかからない と。ですからそういった方がかなり伸びてくるんだろうなと。日本の場合にはかなり要求も厳しいですから人手もかかるということで、なかなか、日本向けの伸 びがこれから期待できるかというと、在庫もございますのでちょっと難しいのかなというふうに見ております。 

    あとオレンジジュースですね。これも大きく上回っています。オレンジジュースも伸びているんですけども、巷間ですね、オレンジジュースが非常に高くなっ て、なぜ高くなっているのかというとオレンジの栽培畑が全部エタノールというかサトウキビ畑に回されているというような話がございますけども、これはブラ ジルに関しましては全くの事実誤認でありまして。アメリカのフロリダが台風でやられたと。あそこでオレンジを栽培していた農家が、オレンジというのは成木 になるまで約5年かかるんですね、ですから5年待っている間にまた台風が来るというのではたまら ん、というのであそこでオレンジをやめたことが大きな原因ですので、ブラジルは引き続きオレンジの栽培面積はほとんど変わっておりませんし、価格が上がっ ているのはあくまでも供給が細ったからということだと思います。次お願いします。 

    輸入につきましては、上位品目、プリンター、航空機部品、自動車などが上の方にあります。ここはこれぐらいで、時間が迫っていますのでこれで割愛させていただきます。最後の見通しですけれども、2007年の通期予想ですね。輸出が約1,520億ドル、ただですね、これは実は8月1日、一昨日の貿易部会の中でお話させていただいた時の数字だったんですが、今日ですね、1日の午後かな、また新しい数字が出まして1,550億ドルに修正ということで若干上方修正が既にかかっております。引き続きコモディティ価格、コモディティ商品が安定的な価格上昇傾向にあるということで、ブラジル企業のグローバル化もかなり進んでおりますので、これが非常に輸出に貢献してくるだろうということです。 

    輸 入ですけれども、やはりさっき少し申し上げましたけど、消費が上がっていると。要するに中間層が非常に、賃金の上昇等もあり、あるいは経済がいいというこ とで、中間層がかなり増大しており輸入購買意欲がかなり高いということで、輸出に比べて輸入の方が増加率は高いだろうと。差し引きまして、収支として貿易 は約420億ドル、これは先程、米倉さんだったかな、が出された数字とちょっと違いますけども大体400億ドルを超える数字ということで見ております。 

    最後なんですけども、さっき渡邉さんの方からですね、弊社の小島のコメントということで、どこに何をやっていいかよく分からないと、プロジェクトは一杯出 てくるんだけどと。どこまで世界経済続くんだというお話がありましたけども、私が会社に言っているのは、ブラジルだけは続きますと。ですからブラジルのプ ロジェクトはちゃんとよく見てくださいというように言っておりまして。何故かと申しますとブラジルは天然資源だけでなくて農産物、あるいは森林資源、植林 ですね、全て非常に大きなポテンシャルを持っていると。 

    特に農産物について言いますと、今耕作されている面積は6,000万ヘクタール。さらに、低く見積もってもですね、1億ヘクタールの耕作が可能であるといわれているということ。あと、世界のフレッシュウォーター、陸水の20% がブラジルにあること。こういったことからもですね、ブラジルの供給余力というのはまだまだ高いと。世界の台所と私は言ってまして、ブラジルが世界の台所 と、で中国をはじめとするインド、中国、東アジアを世界の胃袋と言いまして、胃袋にものを放り込めるのはブラジルだけということで、貿易部会というよりも 個人的にブラジルの経済は今後も伸びるであろうというふうに思います。これで私のプレゼンテーションを終わります。 

    司会:佐々木さんどうもありがとうございます。それでは佐々木さんのプレゼンに対しまして何か質問ございましたらお願いいたします。それでは質問がないようですので、佐々木さん良かったですね。続きまして化学部会の板垣さん、お願いいたします。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

  • 化学品部会 板垣義実 部会長代理


    化学品部会 板垣義実 部会長代理

     

    化学品部会の板垣と申します。本日松尾部会長それから2名の副部会長がやむにやまれぬ事情がありまして出席できないものですから、私が急遽ピンチヒッターで発表させていただきます。

    正確には化学品部会という形で、ケミカル品を使って製品を作っているという会社の集まりです。色々な分野の会社の集まりでして、一まとめにするということ が非常に難しいということで、今回部会長の方で作られた資料は各業界というよりも各会社、企業の結果という形で発表させていただきます。 

    まず一番目なんですが、プラスチック樹脂の着色剤メーカーです。これは最終ユーザーさんが包装材料、あるいは化粧品のボトルであるとか、あるいはおもちゃ であるとか日用雑貨であるとか、大衆向けのプラスチック製品、これに着色するもの。あるいは工業用として、例えば自動車であるとかオートバイであるとか、 電化製品、こういったものに使われているプラスチックに着色する、そういう着色剤を成型メーカーさん等に納めている会社です。こちらの方の会社は売上、利 益とも微増と書いてございますが、二桁進展はしていませんが昨年同期比で一桁進展しているという形です。 

    背 景としましてはやはりこのレアル高、ドル安がずっと続いている中でも自動車メーカーさん、二輪メーカーさん、それから包装材料メーカーさん等が非常に好調 な業績を続けているということで、中国からの安い製品が直接、この着色剤を使う成型メーカーさんの方に打撃を与えたとしても、上期は非常にいい結果が得ら れているということです。本年の下期の展望にいたしましても、この好調がですね、小売業界の好調さ、それから工業界の好調さが継続するであろうと。それか らクリスマス商戦、これによって消費が拡大するということ等で下期も売上、利益とも伸びていくというふうに予想しています。 

    続きましては工業用の接着剤あるいは大衆用の接着剤メーカーです。こちらの最終ユーザーも先程のプラスチック着色剤メーカーさんと同じ分野、まあ似通った 分野に販売しております。上期は小売がやはり良かったということ、それから色々なイベント、母の日であるとか恋人の日、イースター、そういった商戦でかな り小売が活発化していると。 

    それからもう一つは、通常1月から3月の小売があまり良くない、理由はカーニバルがありまして、カーニバルが終わるまではなかなか商業的には活発化しない、まああまり働かないといいますか、そういったことがあるんですけども、今年の場合カーニバルが2月で終わったということもありますし、昨年末からの小売が好調になっているということがあって、接着剤、まあ瞬間接着剤を中心とした大衆向けの接着剤の販売が非常に好調であったと。 

    そ れから自動車、自動車部品、二輪、こういったものがですね、こういった分野への工業用接着剤、シール材が非常に好調であったということで、全体的には売 上、利益とも予想以上に増加しております。下期におきましてもこの好調さを持続できるということで、あと自動車がですね、かなり各社伸びておりまして、今 まで私どもの製品をご提供していなかった部位、そういった部位にも製品展開していって新しいテーマを結実していただくという形で下期も伸びていくであろう というふうに判断しております。 

    次はロジンというものを作っているところなんですけども、この部会でも何度もロジンという名称はお知らせしているものですから、かなり知られているとは思 いますが、もう一回ご説明いたしますと、ロジンというのは松脂から作られている一種の樹脂でございます。ロジンの生産国で一番大きいのはやはり中国。それ からアメリカ、ブラジルが挙げられます。 

    ア メリカの場合はパルプ会社さんがパルプを生産する過程で副生成物としてできてくるんですけど、ブラジル・中国の場合は松脂ですね。松を傷つけて、ゴムの木 からゴムの樹液を取るような感じで松脂を集めると。その集めたものを生成してロジンにするという形で、当部会の中で唯一、化学プラントといいますか、そう いったものを持っている企業です。 

    主 な使われ方なんですが、身近な分野ではバイオリンを弾く時の弓、弦に塗りまして抵抗を高めて音が出るようにするものであるとか、あとシーズ剤といわれる紙 の滲み防止剤であるとか、それから塗料とかインクの中に使うとかですね。そういった用途がございます。上期の結果なんですけど、昨年大統領選挙がありまし て、大統領選でおそらく道路の白線引きがかなり増加するだろうということでかなり期待していた部分がありますが、期待はずれだったということがございまし たが、それが本年上期におきまして非常に需要が増したと。それから製紙会社さんの方の需要が非常に増したということで、売上、利益とも非常に良好でござい ました。下期におきましてもこの状況は続くであろうというふうに見ております。 

    次は大衆薬、平たく言いますとサロンパスさんなんですけれども、上期の状況は新製品の販売を開始したこととか、製品の価格を値上げしたということ等がござ いまして、販売の方は増加をしたと。しかしながら広告販売費等をかなりお使いになっておりまして、その辺の影響で利益の方は前年同期比とあまり変わってい ないということです。 

    サ ロンパスさん、今薬屋さんに行きますと大体レジのところに置いてあったりですね、あるいはサロンパスカップの開催をされておりますので、ブラジル人の方に もかなり今知名度が広がってきていると思いますけれども、ブラジルの場合は値上げ幅というのはある程度政府の方にコントロールされておりまして、勝手に中 々たくさんは値上げできないということがあって、そういうところが利益を中々思ったように上げられないところの一つのようです。 

    次は資生堂さんの化粧品です。現在ブラジルの化粧品の生産高というのは、今現在世界第4位にあるそうです。一人あたりの使用額というのが、数年前のデータですと、第1位がアメリカだと思ったんですけど、実はスイスで、2位が日本、3位は忘れましたけども4位がアメリカ、でずっと下の25位あたりにブラジルが載ってましたけれども、今現在ブラジルの化粧品の生産高というのは非常に伸びておりまして、2005年で約60億ドルの生産額があります。 

    で2010年には95億ドルから100億 ドルぐらいの市場に発展するだろうといわれておりまして、これはマクロ経済が好調さを続けているということと、それから女性の社会的地位が向上しているこ とであるとか、それからお化粧をする年齢層が段々広がっていると。低年齢層にも広がってますし、お年を召した方にも広がっているということで、需要が増え ているという形です。 

    た だブラジルの場合は増えている部分というのは、中級、高級に対して中級と言っていいんでしょうか、中級ブランドの部分が非常に広がってまして、資生堂さん の場合にはまあ高級ブランドで売ってますので、特化していますので、やや今苦戦をしているところだとは思いますが、見ての通り上期の結果はかなり経営努力 をされたということで売上、利益ともかなり伸びております。この内部改革、経営管理ですね、こういったものを後半も続けていって下期も売上を倍増、それか ら利益は30倍くらいまで伸ばしたいという自信をのぞかせております。 

    次は筆記具なんですけども、筆記具と化学品部会との兼ね合いというのはボールペンの中のインクであるとか、フェルトペン、マジックなんですけども、マジッ クと言いますとパイロットさんに失礼になってしまうのでフェルトペンと言わせていただきますけど、フェルトペンの中のインクあるいは溶剤、こういったもの が化学品と関連しているということで当部会に所属されております。昨年2006年は大統領選がありましたので、大統領選の年は筆記具が売れるというジンクスがありまして、昨年の後半は非常に良かったということなんですが、今年の上期はさらにその好調さを持続するために新たにテレビのコマーシャルを取り入れたと。 

    そ れからレアル高が続いていますので、原材料が日本からの輸入が多いものですからコストが下がったという形で、中国製の非常に強い攻勢は受けておりますけど も売上、利益とも二桁進展をしたということです。それから下期ですけど、このテレビコマーシャルの効果が非常に大きかったということがありまして、新しい テレビコマーシャルを下期にも打つと、で値上げもして利益、売上ともまた二桁進展を狙っているということでございます。 

    次は農薬の部門です。当部会の中で農薬に関連する企業さんの割合というのは大体4割近くあると思うんですけど、まあ一番大きな勢力です。で、2006年、昨年は農業というのは非常に不振で、農業関係者の方に言わせると過去40年間で最悪の年だったということで売上も利益も大幅にダウンした年だったそうなんですが、今年の上期はですね、まあ収穫期になるわけなんですけども、昨年の上期に比べると売上、利益とも増加しております。 

    こ の背景にあるのは、やはり農業環境というのが好転してきておりまして、南部でサビ病が発生したりとか、それからバイオエタノール等の関係でサトウキビが非 常にたくさん植えられたりでですね、そういった形で除草剤等が使われたという形で、それと穀物相場も高くなっているということで、売上、利益とも増加して おります。 

    下 期は今度、これは根拠のところにシーズンインと書いておりますけども、実際に作物を植えたり育てたりする時期に入ってきますので、この時期にかなり高い穀 物相場ですとか、作付け面積が増加するというようなことを受けて利益、売上ともかなり増加するだろうというふうに考えています。心配なのは中国製の安い ジェネリック品ですね、こういったものが直接顧客の方に渡ってしまうということが一つ心配されるのと、それから昨年最悪の状況で終わっておりますので支払 いをされてない顧客がたくさんあるんですが、これがさらに回収が遅れていくお客さんもいるということで、その辺がちょっと心配の材料です。 

    次は飼料添加物でございます。飼料添加物は、先程来ずっと話題になってますけども、原油高が非常に効いておりまして、日本から輸入している原料というのは 日本の原料原価が非常に高騰しているという形で輸入価格が非常に高いと。そこへ持ってきてみなし税を取られたり、移転価格税があったりとかですね、非常に 利幅を小さくしている。

     で まあ、本当は値上げはしたくないんですけど、値上げをせざるを得ないという形で値上げをしました。その結果やはり売上は減少すると。まあ利益は値上げした ことがあって増加していますけども、これはまあ赤字を減らしたに過ぎないという形で非常に厳しい状況です。下期もトウモロコシの価格が現在上がっておりま して、トウモロコシの値段が上がりますと養鶏業者さんが古くなった、まあ年取った鶏をつぶすことをやめまして、本来であれば小さなヒヨコにしてたくさん食 べさせて大きくしていくということを図っていくんですけど、トウモロコシの価格がアップしたことによって鳥を古いまま温存すると。したがって餌をあまり食 べない、飼料添加物もしたがってあまり使わないという、そういう悪循環になってしまうということで、あまり期待はされていません。 

    次は家庭の防疫薬、いわゆる防虫剤あるいは殺虫剤なんですけども、上期はレアル高がございまして、やはり輸入原料が非常に下がったと。それからデング熱、 これが流行いたしまして、まああの人体には非常に良くないんですが、健康には良くないんですけれども、会社の商売として見るとデング熱のおかげで販売が増 えたということで、まあジェネリック品の圧力はあったんですけども売上、利益とも大幅に増加しております。下期もやはりデング熱がまだ流行しているという ことで同じように売上、利益とも増加するというふうに見ております。 

    最後に商社さんなんですけども、商社さんの中の化学品に関わっていらっしゃるところなんですが、一番大きいのはやはりレアル高、ドル安が効いておりまし て、これはまあどちらにもプラスに働くしマイナスにも働くという形で、輸出入にかなり影響がありまして売上、利益ともあまり良くなかったと。まあ化学品に 関してはあまり良くなかったと。それから利幅があまり大きくないところに持ってきて、人件費、これはドルベースですから、この人件費の高騰というのが非常 に効いているということで利益を押し下げた原因になっているということです。下期におきましてもこの人件費の上昇、それからレアル高による影響で売上、利 益は上期に対しまして、変わらないか減少傾向にあるんではないかというふうに見ております。以上です。 

    司 会:板垣さんどうもありがとうございます。ちょっと時間がオーバーしましたが、化学品部会はこうやって聞いておりましてもいろんな会社が属しているという ことで、どうしても長くなってしまうんだろうなと思います。質問何かございますでしょうか。特になければそれでは次に移らせていただきたいと思います。今 プレゼンをずっと聞いていて、パワーポイント、同時通訳を用意しているんですけどパワーポイントの資料は全部日本語でですね、日本語の読めない方にはとっ ても申し訳ないなと思って見ておりまして、まあ次の機会には多少何か改善の方法を考えたいなと思った次第です。次は機会金属の嶋末さんお願いします。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

  • 機械金属部会 嶋末繁 部会長


    機械金属部会 嶋末繁 部会長

     

    機械金属部会の嶋末でございます。 

    機械金属部会はいろんな業種の会員が集まっております。従いましてここにありますように9つの部門に分けてご説明させていただきます。 

    まず鉄鋼関係。このグラフは鋼板の販売量を示したものでございます。上期につきましては造船、農業機械、パイプラインなどが大幅に増加。自動車も好調であ りまして、国内販売は記録的な販売増となっております。ミルはフル操業しておりまして、国内に優先して供給するために輸出は大幅に減っているという状況で ございます。下期の展望ですが、下期も好調を持続して1140万トンという年間売上の記録樹立は確実と見ております。ミルは上工程、下工程の能力拡大のために投資を実施中でありまして、特に粗鋼につきましては3200万トンから5000万トンに増やすということで投資が進められております。

    次、電力プラント関係のうちの電力。ブラジルの発電能力は108ギガワット。このうち水力が71%、火力が19%、その他となっております。この中でですね、ここにサトウキビバガスの発電が2.6%あるということ。これは最近のエタノールブームを反映してバガス焚きの発電プラントが増えているという状況でございます。2011年にはこういう状況でありますが、電力危機がありうるという話があります。

    今ここにありますように開発計画が、いろんな開発計画がございますが、これらの建設中のものは実現するんですが、計画ですね。これがどう動くか、クエス チョンマークがつきますので、電力危機どうなるかわかりません。変電送電事業投資は活況を呈しております。それから最近のニュースではマデイラ水力発電プ ロジェクト、これの環境の仮許可が下りたというということで、これは750万キロワットという大型の水力発電プロジェクトですが、これが進むことが期待されております。 

    次、石油化学関係ですが、2006年に石油自給できるだけの生産量を確保できました。それでペトロブラスは10年間で生産を倍増するということで、石油化学工業関係は巨大な投資が続いております。リファイナリー、プラットフォーム、タンカー、パイプライン、こういう方面に投資が続いておりまして、関連企業は関連設備の受注活況を呈しております。 

    続きましてパルプ関係。パルプの国際価格はトンあたり600から700ドルあたりです。これに対して生産コスト、欧米は大体500ドルレベル、ブラジルは半分くらいで生産できますので競争力があり、投資意欲旺盛で毎年生産が伸びております。関連企業はこの投資の、増産関係の設備を受注して活況であります。 

    次は農機。先程からも話がありましたように、昨年は最低でございましたけども、今年はエタノールブーム、それにともなう穀物相場の上昇で国内は前年比42%。ただし輸出はレアル高で横ばいとなっております。下期の展望でございますが、穀物相場のピークは過ぎたようですが高値が維持されており好調が続き、前年比20%増の見通しだということでございます。 

    続きまして建設機械。建設機械は道路、農地整備、鉱山事業が好調で国内につきましては前年同期比20%増。ここで特徴的なのは輸入が42%増えております。これは韓国とか中国製、これが半額で入ってきておるそうで、非常に脅威になっているという報告がございました。で、輸出についてはレアル高で競争力が失われておりまして、横ばいと見ております。下期につきましても同様で、国内は20%から25%増の見通し、国外は北米が低下傾向、欧州およびアジア、これは08年までは好況が維持できるだろうと見ておりますものの、輸出は横ばいと見込んでおります。 

    続きまして各種工具。これはですね、二輪車を含めた車、鉱山、農機、建設機械、こういうものが好況でありまして、工具メーカーは上期14%増で予算を超過達成。ただし輸出は厳しくて北米から欧州にシフト、それで輸入をどんどん減らして拡販していくという戦略をとっております。販売会社につきましては、人員増、あるいは販売網の整備に努めて2割から3割のアップとなっております。下期につきましても状況は上期と同様でありまして、メーカーにつきましては工場を拡張しましたのでこの効果が期待できると。それから新製品の輸入拡販に努めるということで20%増を見込んでおります。販社につきましては上期と同様、20%の増販を見込んでおります。 

    精密測定機器ですが、自動車部品メーカーを中心に好調。それから品質管理マインドの変化も追い風で、商談は好調であります。ただし日本本社が外国為替法違 反で輸出禁止ということになっておりまして、今年は日本から入ってこないということで、非常に苦戦を強いられておるということでございます。それからノギ スとかマイクロメータというハンドツールはこちらで作っておりますが、中国品などの輸入が拡大してこれも脅威になっているという報告が入っております。 

    軸受けでございます。軸受けは車が拡大した、それから農機が回復してきている、それから製鉄所とか鉱山、パルプ、アルコール、こういう市場が活況を呈して おりまして、補修用のマーケットは好調。世界的に今、ベアリングの品不足感があるそうです。こういう状況で生産は過去最高。ただ、レアル高で輸入品への切 り替えが発生しておりまして、輸入は前年比20%増えているという報告でございます。下期につきましてもブラジル市場はさらに拡大。レアル高は深刻化という状況でありますが、10%売上増を目指しているという報告でございます。 

    潤滑油。二輪車を含む車、部品製造が好調で、加工油は増販。鋼板もフル稼働で防錆油の需要はあるんですが、残念ながらネゴがうまくいかずに納入が止まったという状態。したがって販売は昨年並み。しかし赤字販売がなくなったので20%儲かったという報告でした。それから下期の展望。下期も車は好調が継続。それから鋼板につきましては缶、缶詰用の鋼板、これがですね、輸入に押されて減産、防錆油は納入減ということで販売量は横ばいであろうと見込んでおります。 

    それから産業用冷凍機。これはですね、今新規設備建設のラッシュだそうです。上期下期とも同様。各業界の動向ですが、食肉は国内輸出ともに増加しておりま して、物流センターが増えるということで冷凍機は増えると。それからビール、飲料、これはボルサ・ファミリアの影響ではないかと思われますが、消費が増え て、ここもやはり冷蔵関係の設備が増えておる。 

    そ れからフルーツ。リンゴが豊作とかですね、ブドウとかマンゴー、アセロラなどが欧州への輸出が増えておるそうです。したがって冷蔵倉庫の需要が増えてお る。それからチリでは鮭、アルゼンチンでは牛肉、こういうところの市場が好調で冷凍機の輸出が増えておると、こういう状況でですね、冷凍機メーカー、工場 を新設して来年稼動するということでフル操業で好調を維持しておるという報告でした。以上で説明を終わらせていただきます。 

    司会:嶋末さんありがとうございます。それでは質問ございますでしょうか。ちょっと時間が押しておりますので、それじゃあ。すいません、どうぞ質問があるようです。 

    質問:電力・エネルギー危機の可能性について
    専門家は現存の発電施設の近代化により10%のエネルギー増産が可能と試算しているが、こうした市場の可能性についてどのように見ているか。 

    嶋末:エネルギーの問題に関しましては、2002年でしたか、電力危機がありまして。政府が49地 点の火力発電所の増設をぶち上げて、進むのかなと思いましたけど、あれは水不足で水力発電能力が落ちたためにそういう状態になったんですが、その後です ね、雨が降ったらその話はパタっと消えましてですね、確か計画の一割も実現しなかったと思います。したがって、先程見ていただきましたように、計画はたく さんあります。しかしそれがどういうふうに実現されていくか、それが非常に問題だと思います。この部分ですね、例えばマデイラ水力プロジェクト、こういう ものも750万キロワットという非常に大きな計画なんですが、環境仮許可が下りたにしてもまだ何かモヤモヤと議論されておると いう状態で、これが本当に計画通りすっと実現できるかどうか、その辺非常に疑問をもっております。したがって今のままの経済成長が続きますと、電力需要が 大きくなりまして、いずれまた電力危機が訪れるのではないかなと心配しているところでございます。以上でございます。 

    司会:ありがとうございます。それでは前半の最後ですけれども、繊維部会の須賀さんからお願いしたいと思います。この後コーヒーブレイクを取らせていただきたいと思います。

  • 繊維部会 須賀治 部会長


    繊維部会 須賀治 部会長

     

    繊維部会のクラシキ・ド・ブラジルの須賀でございます。 

    我々の業界、一言で申し上げますと、天候でたとえますと曇りのち雨ということで、非常に厳しい状態でございます。レアルの通貨高、これに起因しまして国際競争力が非常に低下していると。輸出はほとんどできなくなりまして、輸入品はどんどん入ってくると。また、3年連続の暖冬による秋・冬物マーケットの低調から需給バランスが非常に崩れておりまして、慢性的な供給過多となりまして、国内マーケットを巡り値下げ競争、これが非常に厳しくなっておると。まあ下期も同じような状況が続く見込みでございます。 

    それでは原料から製品の流れに沿ってご説明いたします。まず原料事情でございますけれども、国際綿花。世界の綿花生産1億1600万俵ほどありますけれども、中国が29%、約3割を占めております。続きましてインド、アメリカの順でございます。ブラジルは6位で5%。中国、インド、パキスタンのアジア諸国で約6割を占めております。続きまして綿花の消費でございます。 

    綿花の消費は1億2700万俵ありますけれども、これは中国が42%を占めておりまして、続いてインド、パキスタンと、まあブラジルは3%ということですね。同じく中国、インド、パキスタンのアジア勢で世界のなんと7割を占めております。で中国の消費は年々1割ほど増えておりまして、綿花の需給、綿花の相場、これも中国の動向次第ということで、そのウェイトが年々増しております。続きまして綿花の相場でございます。 

    年初は米綿に対しまして中国の買いがほとんどありませんで、ずっと非常に低調でございました。で5月の14日に46セント92をつけましてこれが底値ですね。このあたりから中国の綿が非常に、中国の在庫が減っているという観測が流れまして、綿花相場は上昇を続けております。 

    続きまして需給でございますけれども、去年が47%、今年は在庫率が40%ということで在庫が非常に減っていると。2007年の展望につきましても大幅な生産減と、それと消費が増えていると、で期末在庫が減っているというのが大きな特徴でございます。 

    国別の大きな特徴は、図のようにアメリカの生産が減って中国の消費が増えているということが言えると思います。アメリカは3割ほど減っておりますが、これは綿花相場の下落と、バイオ燃料作物ですね、そちらの方に転作したということが言えようかと思います。 

    続きまして綿花の相場、国内相場でございます。ご覧のように1月末をピークにどんどん下がっております。年明けには原綿不足が言われましてすこし上がったんですけれども、生産者、5月に入りまして綿花の生産量がどんどん増える、国内で過去最高の140万トンを超えるということが確実になりまして、先程の国際綿花は上がっているにも関わらず、国内の綿花相場はどんどん下がっていると。7月25日現在で114センターボ/ポンドということで、今現在も114センターボの推移でどんどん減っていると。2割ほど下落しております。この下落は我々紡績にとって非常に面白くないということですね。原綿安は即糸値安につながりますし、農家にとりましても来期の生産減につながるんじゃないかと、まあ生産意欲を無くするということですね。 

    続きまして国内の綿花でございますけれども、まあ先程のように非常に生産量は増えております。145万トン、過去最高ですね。でこのうち7割はすでに成約済み、内訳は輸出が6割、国内向けが4割でございます。今のところ収穫は非常に順調に進んでおります。これからがどんどん収穫時期を迎えるんですけども、まあ需給バランスが崩れた中でさらに7月末後半というか8月頃からですね、一段安が懸念されております。まあ以上でございます。 

    続きまして綿糸でございます。ご覧のように先程の原綿と同じく綿糸の相場も下がっております。やはりレアル高によって物がどんどん入ってくるということと、暖冬の影響、慢性的な綿糸のだぶ付きということだと思いますけれども。3月頃まではまあ綿花がないということで、ちょっと上がりかけたんですけれども、輸出が全くできずに、弊社も輸出は2割3割過去あったんですけれども、今ほとんど輸出はできておりません。輸入品、輸入糸の増加、小売不調によりまして需給バランスが崩れてどんどん相場が下落しているという図がありますね。約2割ほどやっぱり綿糸は下がっております。 

    続きまして下期の展望でございますけれども、下期これから春・夏物の需要期を迎えますけれども、例年になく盛り上がりは欠けておりまして、大幅な消費好転 は期待できないということ。でこれ以上レアル高が進みますと中国からの製品あるいはインド・パキスタンからの綿糸の輸入が増加しておりまして、ますます国 内の需給バランスを悪化させるんじゃないかなと懸念しております。 

    続きまして国際綿糸でございますけれども、国際綿糸。上半期綿糸の輸出は数量で4300トン。2006年の上半期を5割強下回っております。輸出は減っております。2003年をピークに輸出は減少を続けていると。一方輸入の方ですけれども、前年同期に比べまして9000ト ン強でほぼ倍に輸入糸は増えております。昨年まで黒字だったんですけども、綿糸の貿易は一挙に大幅赤字となっております。ご覧のように赤字となっていると いうことですね。それから一部のブラジルの大手のアパレルもですね、コーマス糸といいますか輸入糸を使い出したということで、これも非常に厳しい状況でご ざいますね。 

    続きまして繊維製品でございますけど、これも同じ傾向です。急増する輸入、減少する輸出ということで、まあこの表の通りでございます。輸出はどんどん増え て輸入はもたもたとしているということですね。繊維製品の貿易はあらゆるアイテムで輸入が増えて大幅に貿易赤字となっております。下期につきましても、為 替が1.9前後で推移した場合、綿糸の輸出は赤字採算のため、輸入比率の高かったブラジル紡績、これがさらに輸出を減らして国内向けにシフトすることがあり得るかと思っています。

      続きまして繊維製品の輸出入の品目でございますけれども、ブラジルの化繊協会の発表によりますと、輸出額は前年6%減少しております。輸出の内訳はナイトウェアなどの単価の低い商品が全体の15%を占めております。それから国別でいいますと米国が23%を占めております。それから一方、輸入の方でございますけれども、前年比41%増えております。3ドル/キロ以下の低価格品が全体の6割7割ということで、非常に安いものがやはりはいっていると。特徴的なのは、中国が2004年にはじめてアメリカを上回って、非常に増えていると。2004年に輸入国第1位となった。シェアは24%まで拡大しております。
    これ以外に我々が頭を悩ましております、密輸品でございますね。その辺が相当量入っているんじゃないかと推測されております。 

    続きまして、国内綿糸の空紡でございます。上期の回顧。輸入増、輸出減で需給バランスが崩れております。同じく綿糸価格は減っておりまして、低価格の空紡 糸の経済性が薄れているということです。空紡糸を使うんだったら、まあ一格上のカード糸を使おうというようなことでですね、空紡の経済性が薄れていると。 上期は表シーズンですけれども、これにかかわらず非常に厳しい上期だったということが言えると思います。下期につきましても上期の要因の改善がない限り厳 しい状況が続くということが言えようと思います。 

    空紡でちょっと特徴的なことはですね、生産量の設備推移で見ていただくとお分かりのように、これが紡績の設備なんですけど、錘数ほぼ横ばいなんですけれども、空紡、この部分だけかなり増えております。30万9000が32万7000ドラム。設備は増えているということですね。 

    続きまして合繊ファイバー。昨年同様輸出が減っております。ビスコース糸の人気は続いております。ビスコースといいましたらセルロース、軽くてやわらかい 絹状の繊維でございますけれども、これの人気は継続しているということです。下期でございますが、上半期とほぼ同じ水準で推移する見込みでございます。ビ スコースはいまだに高値圏にありまして量的にはそろそろ低下する気配がありますけれども、すでに価格競争に入っております。以上でございます。 

    続きまして薄地織物でございますが、ここも同じく輸入が増えて輸出が減っていると。国内生産は寝装、自動車関連、子供用途が増えているんじゃないかと推測 されます。下期につきましては、輸入増、輸出減の傾向は変わりませんけれども、合繊の輸入の消費量の伸びが収まっていることから伸び率は鈍化するんじゃな いかと見られております。 

    続きまして紳士服地小売販売でございます。2007年 の上期でございますけれども、中間物、これはオールシーズン使えるものなんですけれども、これは堅調でした。素材的にいいますと綿などの天然素材、スパン デックス、伸びる繊維でございますけど、でチェック柄が比較的好調でした。暖冬の影響というものが出たんですけど、小売につきましてはまずまずの上期だっ たということが言えるかと思います。 

    で冬物はそこそこ売れましたので、在庫負担が軽減したと。したがいまして、資金繰りが良くなりますので、春夏物の仕入れに期待が持てるということでございます。小売業界につきましては、冬物の消化率は仕入れを控えたこともあって70%以上と。で母の日の商戦がまずまずだったということで、まあ何回も言いますけど、春夏物に期待ができると。 

    アパレルにつきましては小売の不振の影響で値下げ競争やら輸入製品との競合がありまして、紳士アパレル業界は大苦戦。直営店を増やして製造直販に力を入れるところが増えました。ユニフォームにつきましては堅調でございました。下期につきましては、縫製品の輸入関税が今20%なんですけれども、それを35%に上がることが決まれば、かなり縫製業者にはプラスになると。また年末にかけてのブラジル経済の成長とともに消費が伸びることに期待をしているということでございます。 

    続きましてファスナーでございます。ファスナーはここに書いていますように、市場は、やはり製品がどんどん入ってきておりますので縮小しました。特に中国 からの安値品が非常に増えております。メイン市場のジーンズ分野がきわめて不振だったということで、例年にない厳しい上期となったということですね。下期 につきましても引き続き完成品の輸入が増えているということ、それから安物でなくて付加価値化に進んでいる。まあ二極化しているということですね、付加価 値化と安値品との二極化が進むというのが業界の傾向でございます。 

    続きまして、生産量と設備につきまして若干ご報告しておきます。ほぼ横ばいの紡績錘数と微増する生産量。悪いにもかかわらず生産量は増えております。次に 織物でございます。織物も糸と同様の傾向です。特徴的なのは、合成繊維が非常に伸びているということ。それからメリヤス。メリヤスも、ほぼ横ばいとありま すけど、やはり増えてますね、だんたん。設備は増えている、で生産量も増えていると。まあレアル通貨高が続きまして輸入製品増、輸入品がどんどん増えてい る中でですね、国内の設備は増えているということで、今後の生産量、設備の推移に注視したいということです。 

    それから、終わりですけど、レアル高によりまして輸入が増えて輸出採算難、天候異変が重なって市況は低迷が厳しく、ただブラジルにはですね、豊富な原材 料、まあ綿花ですけど、それから労働力。それから何のかんのといっても拡大しております消費市場があります。来期といいますか、来年に向けより一層のコス トダウンをして戦略を練り業容拡大を進めたいと。 

    まあ我々の業界はやはり2004年が非常に良かったんですね。2004年、2005年は非常に良かったです。2006年がやや下りで、2007年 にきましてやはりレアル高がどんと進んだということで非常に悪くなっていると。でもまだまだ魅力ある市場だということは言えると思っています。で要望でご ざいますけれども、やはりあの、正規な輸入でなくてかなり密輸が増えております。これに対する取締り強化をぜひとも当局に働きかけていただきたいなという ことをお願いしまして、私どもの報告と変えさせていただきます。以上でございます。 

    司会:須賀さんどうもありがとうございました。それでは質問はありますでしょうか。ちょっと時間が押してまして、前半の終了は3時45分を予定しておりましたけども、約12分遅れましたが、これからコーヒーブレイクにさせてもらいます。4時15分までコーヒーブレイクとさせていただきます。ホテル入り口の右のバーガにコーヒーが用意されておりますので、そちらでコーヒーをお取りください。後半は、今須賀さんですと黄色を越えて赤になっておりますけども、黄色が出たらあせってください。なるべく10分でですね、終了させていただけるようお願いします。それでは休憩にさせていただきます。

  • 食品部会 尾崎英之 部会長

    070803 尾崎英之食品部会長
    食品部会 尾崎英之 部会長

     

    こんにちは。食品部会、東山農産加工、キリンビールの尾崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。先月に味の素の酒井社長がご帰国されまして、その代わりに先月から部会長をつとめさせていただいております。どうぞよろしくお願いします。 

    食品部会はですね、全部で合計22社のメンバーがいます。そのうち主要のメンバー、食品の製造販売会社が15社、それにサブメンバーとして商社、マスコミ、銀行の方7社ありまして全部で22社が活動しております。今回はその内、ご報告をいただいた15社のうち11社につきまして報告させていただきたいと思っております。 

    食品部会につきましては各種いろんな業界がございますので、報告のやり方としましてまず最初に全体のまとめを報告させていただいて、その後に11社、それぞれの会社の業界や企業の上期の状況や下期の展望について発表させていただきたいと思っております。 

    それではまず簡単に11社、今日発表するメンバー11社、まあサッカーではありませんけどイレブンはですね、乳酸飲料、国内家庭用食品、素材用食品、冷凍果汁、香料、食品添加物、健康食品、乾燥麺、コーヒー、酒類、で最後に種苗と、この11業種について説明させていただきます。 

    全体のまとめとして、上期の回顧と下期の展望をこのように書いております。食品業界の今年の上期はですね、年初に3.5%と予測されました経済成長もですね、現段階では4.5%成長と上方修正されておりまして、景気の安定やインフレの低下もあって国内向けの食品飲料はおおむね好調に推移しております。生産を含めた国内食品の市場は今年の上期で約103.6%、まあインフレが2%程度ですので、実質には101.5%程度の成長を示しております。 

    た だ一方、輸出企業の中心はですね、為替高による影響を受けまして採算が大幅に悪化、厳しい状況が続いております。また世界的なコモディティや原材料コスト の上昇から国内中心の企業も調達コストが上昇し、利益は増収ははかっているんですが、原材料調達コストの上昇からですね、利益は減少傾向というのがまあ全 般的な傾向です。 

    下期の展望に関しましては、傾向は継続するだろうと。まあ景気、インフレともに安定的な傾向が続くことが予想されております。レアル高は輸出企業を中心に厳しい状況が続いておりまして、輸出から国内販売へのシフト、また業界の再編成やM&A等も下期は活発になるということが予想されております。 

    国 内食品や飲料につきましては、これまでの発表にも出ておりましたが、政府の貧困層の対応策であるボルサ・ファミリア等がですね、国内消費増への追い風と なっております。世界的なコモディティの価格の上昇から原料の小麦やトウモロコシなどの価格が上昇しまして、製造コストの上昇、限界利益が減少ということ になっておりまして、国内各社は物流費、管理費等の削減に取り組んでより筋肉体質の会社をめざしていると、そういうふうな会社が多く見られます。では次に 個別の業界について説明します。 

    まず1番目。国内家庭用食品につきましては、先程も申しました通り国内市場は101.4%、インフレを入れれば103.5%程度に成長しております。これは政府の貧困救済策であるボルサ・ファミリアとかですね、プログラム・フォーミ・ゼロでしたか、そういった施策によって市場の裾野が広がっておりまして、調味料や粉末飲料、また個食用のスープが非常に好調というふうに聞いております。 

    上期の販売は、この業界におきましては国内食品市場の成長率103.6を超えまして110%以上の成長をしております。中でも、そこにも書いておりますが、粉末スープが大変好調ということで若者や核家族を中心に順調に販売を伸ばして生産が需要に追いつかないと、非常に大変うらやましい状況になっていらっしゃいます。 

    下 期の展望につきましては、基本的には市場、国内家庭用食品のマーケットは成長が継続するということで、ただし競合他社の攻勢が強まっておりまして、また国 内調達コストも上昇しているということでブランドの強化、エリア対応等行うことによって下期も市場平均成長以上の成長を期待しているということでございま す。 

    素材用食品。素材用食品とは具体的にはMSGの バルクと飼料用のアミノ酸でございます。ここにも書いてますが、粗糖の価格に非常に影響される業界ということで、昨年度に上昇しました粗糖の価格は今年の 上期については落ち着きが見られておりますが、輸出中心の事業ということで為替高の影響から採算が大変悪化しているということです。また新工場の稼動開始 にともなって生産を継続せざるを得ない状況になっているということをよく伺います。

    下期の展望に関しましては、この業界もやはり中国製品が低価格攻勢を続けておりまして、世界の市況を荒らしつづけていると。ただ中国政府が自国の貿易黒字 の急増を受けて付加価値税のリファンドを廃止したという背景がありまして、今後世界市況に影響する可能性が出てきたということでございます。また国内の情 報としましては、ピラシカーバ市で韓国系のメーカーが飼料用アミノ酸の生産を開始したということで、今後は海外に関わらず国内でも競争激化を予想されてい るということでございます。 

    冷凍果汁。冷凍果汁につきましては、ここに書いてますが、国内の冷凍果汁は堅調に推移しておられるということです。消費者向けのパッケージ飲料がですね、 堅調に伸びておりまして、フルーツを絞ったりまたは冷凍ピューレを解凍してジュースを作って飲むスタイルから、既に出来上がっているパッケージ飲料とか、RTDの果汁飲料が日常化してきているということでございます。 

    た だし為替高によって輸出は苦戦していらっしゃるということで、またこの業界非常に成長が著しいということで、大手の世界的な飲料メーカーがブラジルの果汁 飲料メーカーを買収するなど、成長を続ける市場に大手の参入が続いているということです。下期の展望としては、ブラジル国内においても消費者の健康や安 全、安心の意識が向上しておりまして、この分野での国内大手飲料や乳業メーカーへの販売を強化されるということでございます。 

    香料業界。香料業界なんですが、この業界につきましては、基本的に業界は増加基調でいらっしゃるということです。まあ景気が進展、金利低下やクレジット増 加等によりまして小売が拡大しており、特に食品飲料の消費が増加しております。この結果、香料業界につきましても前年比プラスで推移しておられます。 

    国 内の原料高および、今回の飲料や食品の消費の拡大を支えている低所得者層に引っ張られる形で、スーパーを中心に飲料食品の価格も一部低下、その結果業界と しては販売数量は増えているんですが、価格を、販売価格に原料の調達価格の上昇を転嫁できないということで、この業界でも増収減益傾向が見られておりま す。 

    輸入原料につきましては、逆に為替高のメリットを受けまして、原材料コストの増大にこの分野ではブレーキがかかっているということでございます。下期の展望につきましては、ここに書いてある通り世界的に香料業界のM&Aが 進んでおりまして、トップ3が著しく入れ替わっているという状況です。今後も業界の再編成や、有力得意先をめぐって競争が激化する見込みであります。香 料、まあこの会社はですね、世界的に工場を展開しておりますので、グループ力を使ってグローバルサプライヤーの地位を確保し、このトップ3との競争に勝ち抜いていきたいと、そのようなことでございました。 

    食品添加物につきましては肥料や農薬等の農業資材の高騰がございまして、あと為替高から主力の輸出商品にあるオレンジオイルやコーヒーエキス等の採算が大 変厳しくなってきているということです。日本から素材のリクエストが大変ブラジルに対して多いということなんですが、日本においても食に対する安全性とい うものが高まっておりまして、ブラジルで完全にトレーサビリティーを備わった原料を確保してこれから原料輸出を検討したいということでございます。 

    下 期の展望につきましては、レアル高は今後も続くということが見込まれていますので、輸出は不振と。そのかわり商品の内容につきましてより高付加価値の商 品、健康、機能性へとシフトしていきたいというふうなことでございます。またレアル高を逆に利用して日本製品、日本からの食品添加物の輸入を検討している んですが、ブラジルの高い税負担、まだまだ市場が未成熟であること、それと煩雑な手続きがあるということで、まだ実現には至っていないということでござい ます。

    健康食品。食品業界はいろんな業種があるんですが、健康食品につきましては皆様ご存知の通りMNプロポリスさんとサンクロレラさんがメンバーに入ってらっしゃいます。そのサンクロレラさんとMNプ ロポリスさんが全く対照的な上期の回顧でございました。輸入健康食品は好調と。一方輸出健食、アガリクス、プロポリス等は市場が大幅に縮小しております。 輸入健食は為替高によって輸入原価が大幅に下がったということもあるんですが、輸出健食の方は、一昨年ですか、日本でアガリクスの騒動がありまして、これ はキリンビールの子会社が少しからんでいたんですけども、アガリクス、まあこれは中国産だったんですが、それによってアガリクスの市場が大変縮小しまし た。 

    その結果、ブラジルでもですね、アガリクス、プロポリスの生産数量は昨年に比べて半分から3分の2減少して3分の1ま でに輸出健食の市場は縮小したということでございます。またトピックとしては、今サンパウロで野外広告等が禁止されている影響もあって、健康食品につきま しては広告の媒体が野外広告からチラシ、雑誌、あとメトロの構内への広告と、そういうふうな形に媒体が変わっているということです。またあの、3月にテレビ放映で健康食品が特集されたプログラムがあったらしくて、その後販売が急増したということで、健康食品につきましては広告宣伝が非常に大事だというふうな認識を持っていらっしゃいます。 

    下期の展望につきましては、基本的に輸入健食はそのまま為替高継続で販売に追い風だと。一方輸出健食につきましては、状況は厳しくてですね、輸出が9割だったのを今は7割に下げて、それを今度は5割に下げるということで国内販売へ徐々にシフトされていらっしゃいます。あと中国製品の品質問題がございまして、これは世界的にクローズアップされておりますので、ブラジルにおいてもAnvisaの規制強化、また消費者の選択が強まってくることが予想されています。輸出健康食品につきましては、国内への販売シフトと同時により付加価値の高い製品をこれから導入していくということを下期の目標としております。 

    乾燥麺。乾燥麺につきましては、上期の回顧、国内市場は堅調に推移とあります。これは小麦粉や食用油脂など基礎的な原材料価格の上昇はあるんですが、即席 麺をはじめトマトソース、マヨネーズ等の加工食品、これは競争が激化したこともあって、末端では価格が横ばいから下落傾向を示しております。 

    そ れとプラス政府の貧困救済策、何度も申し上げておりますが、ボルサ・ファミリア等が導入されてその効果が高い北東部エリアの販売が非常に好調であるという ことがあります。また今年はサンパウロ、リオ、南部の大都市圏で、こういった高所得者都市ですか、高所得地域の市場が例年にない寒さということでこちらも 販売増に対して追い風になったということでございます。 

    た だし一方で、世界的な原材料、エネルギーコストの上昇が製造費用を圧迫しておりまして、また即席麺業界全体としては小麦粉とパーム油の顕著なコストの上昇 が業界に大きく影響を与えておりまして、即席麺を本業としない、兼業している競合他社の中には事業展開意欲を失って撤退するところもそろそろ見られている と、そういうことでございます。 

    下 期の展望については、基本的に北東部を中心に国内市場は成長を継続すると。で末端価格では競合等から末端の販売価格は横ばいから下落傾向は続くものという ことですが、国内の原料高また逆に為替高を利用して先物予約や国産から輸入原材料への切り替え、物流コストの削減をはかってより利益の出る会社にしていく と、そういうことでございます。 

    コーヒー。コーヒーにつきましては、ここに書いてある通りでございますね。価格の上昇傾向、これは2006年のクロップの生産が好調であったこともございまして、年初からコーヒーの相場価格急騰からですね、ブラジルのコーヒーの生豆輸出、これは4ポイント目に書いておりますけども、堅調で118%と好調でありました。ただし今年2007年はコーヒーの生産裏年にあたりまして、減産となりますので、この影響は上期以降に出てくるものと思われております。国際コーヒー相場の急騰に加えましてブラジルの国内の消費が増えておりまして、国内のコーヒー末端価格は上昇傾向を示しております。 

    下期の展望につきましては、ブラジルの国内市場は上期同様に堅調に推移するものと思われますが、ただし為替高の影響と2007年生産の裏年にあたることから、下期につきましては輸出は前年を下回る見込みというふうに見ております。またブラジルは世界のコーヒーの3分の1を生産する最大の供給地ということですが、今年の裏年にあたる減産にともなって国内相場の上昇も想定されるんですが、国内焙煎業者にとっては非常に厳しい状況が続いて業界再編が加速されるというふうに見込んでおります。 

    10番目の酒類。酒類につきましてはポイントとしては3つありまして、外食関連市場は安定的に成長。外食特にフードサービス業界につきましては今年の上期も2% に近い安定的な成長が続いております。経済の安定成長やインフレの低下、株式市場の好調から小金が入っているとか、あとクレジット増といったことが影響し て外食機会が増加しているというふうに見ております。ただ一方では為替高によって輸入品も増加しておりまして、国産品の中では低価格の戦略を取ることも あって競争は激しくなってきております。また国内の調達の原材料価格が上昇しまして、コストに与える影響が大きくて限界利益は低下の一途をたどっていま す。 

    下期の展望につきましては、日本食のブームは定着しておりますが、ここサンパウロでは毎月2、3店 ほど新規の開店もございまして、日本食は確実に定着に向かいつつあるのでは、というふうに思っております。今後も外食や中食、昼食のですね、増加を期待し たいんですが、好調な自動車販売からローン等の支払いとですね、そういったことから飲食関連の支出が減るのではないかというのが懸念材料としてございま す。 

    最後に11番目の種苗です。種苗につきましては、ブラジルの国内の市場規模は約6000万 ドルというふうに想定しています。今年の上期は野菜種子市場も末端価格が堅調に推移した結果、輸入種子を取り扱っている農家、企業等は利幅が大幅に拡大し たということです。ただ世界的なプレーヤーであるモンサント等の巨大農業メーカーが種苗会社を買収して耐性のある種子を農家に販売することによって差別化 をはかり販売を増やしているというのが上期の状況でございます。 

    下 期につきましては基本的に国内の花き・野菜市場ともに堅調に推移するというふうに予測しております。まあメロンの輸出農家という特定の分野なんですが、こ れはレアル高に苦しみつつも作付け面積を拡大傾向ということでございます。ブラジルの市場に対して世界各国から種苗会社の現地法人の参入が続いておりまし て、競争が激化しているということでございます。以上です。 

    司会:尾崎さんどうもありがとうございました。ちょっと時間がオーバーしましたけれども、質問はございますでしょうか。それでは次に移らせていただきます。尾崎さんありがとうございました。電気電子部会の松田さんの方にお願いいたします。

  • 電気電子部会 松田雅信 部会長


    電気電子部会 松田雅信 部会長

     

    こんにちは、松田です。総務委員長の立場として取り戻させていただきます。

    先週ですね、これは副会頭の立場として田中会頭の代わりに、マナウスで行われた商工会議所6カ 所の合同会議に参加させていただきました。その時にですね、電気電子部会としては今年マナウスの商工会議所と交流会をやるという目標を立ててましてです ね、それが自動的に転がり込んできましたんで、本日はマナウスの電気電子という数字を見ながらちょっとブラジルの全体を話してみたいと思います。 

    ここにありますのは、2004年から2006年までの主要、マナウスのフリーゾーンで生産している数量ですね。これに2007年の1-6が間に合えば良かったんですが、残念ながら5月までです。これでちょっと色々な事象を説明したいと思います。まずですね、既存の商品というのがCRTと書いているのがいわゆるブラウン管のテレビです。これが2006年業界で1200万台生産してしまいましてですね、実際の需要は1000万台だったんで、非常に苦労しました。これがですね、2007年はかなり減退傾向にありまして、おそらく1-6で前年の半分も行かないのかなと、そういう状況になってます。 

    一方薄型のテレビが立ち上がってきまして、2006年2007年とほぼ倍以上のペースで動くのかなと。それでここでですね、南で作っているいわゆるコンピューターですね、これが非常に今年上昇傾向にありまして、今年初めてですね、テレビの総数すなわち、今年は900万台くらいかなと見ているんですけども、それを上回る生産そして需要、1000万台くらい行くのかなというふうなことがございます。 

    それでですね、次に一番下の方の、ちょっと青が見えなくて申し訳ないんですけども、マイクロウェーブ・オーブンと書いてます。電子レンジそれから最後のエアコン、この2品目がマナウスで作っている白物なんですけれども、これが非常に堅調に行っています。それと同期して南で生産されている冷蔵庫、こういった白物機器ですね、これが非常に堅調に前年を行っていると。こういうのが状況でございます。 

    それで、部品事業を言う前にですね、セルラーフォンのところを見ていただきたいんですが、2004年2005年と爆発的に増加しまして、これが2006年2007年 と北欧系のメーカーさんがメキシコに撤退したというふうなこともあって激減しているというのがマナウスでの状況です。こうした中でやはり部品さんがです ね、こうした動きに非常に影響を受けているというのが今の現状かなと思います。それからあと、我々の電機メーカーで言うならば、デジタルカメラ、下から3番目ですね、これが立ち上がってきているというこういうのが状況です。次お願いします。 

    これはですね、マナウスでの輸出輸入の棒グラフで、上の方がもちろん輸入なんですが、ここで2つございましてね。従来テレビ事業というのはブラウン管が国内生産でまかなえましたんで、部品の国産比率というのが非常に高かったんですね。これが一気に薄型に突入したと同時に95% は輸入というようなことになっています。それで一方、これはどの業種でも一緒なんですけども、輸出環境は非常に悪くなってまして、従来中南米の供給基地と してマナウスは機能していた面もあったんですが、これが徐々に他地域に移っていると、他の国に移っているという状況です。 

    そ れでこういう輸入の増大の中でですね、やはり資金的に非常にしんどくなっているというのが我々の業界でですね。トータルの物流コーディネートとかですね、 あるいはマナウス実踏とかこういう商売が提案いただければ非常に面白いというふうなことになってきたということです。それで、フリーゾーンでの雇用状況も ですね、残念ながらデジタル関連が伸びているんですけども、輸出が減っているとか、あるいは輸入部材が非常に多くなっているとか、あるいはセルラーが逃げ ていったという感じでですね、残念ながら雇用的には電気電子部門では支えきれなくなったこの1年かなというふうな状況です。次お願いします。 

    それで特にですね、価格破壊が、これは毎回出させていただいているんですけども、非常に進んでいまして、一般のブラウン管テレビはそこそこ落ち着いてきた んですけれども、薄型はまだまだ我々の企業努力も含めて、一気に価格を下げて需要を喚起していると。まあ台数ベースで伸びませんので、単価の高い薄型に移 管させたいという、そういう業界の思いもあるかと思います。 

    部会参加企業のですね、現在の状況なんですけれども、家電関連は薄型、それからデジカメ、カーオーディオ、白物が伸びてます。しかしながらですね、価格破壊は当然のごとく進んでいると。それで部品事業につきましては、やはり先程もありましたPIS/COFINSの不公平課題も解決が全然されていないということ、それから既存AVの 不振、これは特にブラウン管テレビとかです。それからセルラーの国外流出なんかの影響を非常に大きく受けて非常にしんどかったという状況です。ただです ね、今後デジタルテレビ、最後に出てきますけれども、これが立ち上がりますのでそれに対する期待、あるいは通信では固定系は非常に不振なんですけど、ブ ロードバンド系がこれからどんどん増えていきますのでその辺に期待しているというのが我々の業界です。次お願いします。 

    下期への期待と不安ですけれども、あまり変わらないないうことなんですけれども、経済の安定それから為替の安定がやはり、高くなるにせよ安くなるにせよ安定してほしいというところですね。不安としては価格下落、それから輸出環境の悪化、原材料の高騰、それで移転価格2度書いたつもりはないんですけど、非常に気になっていたと思われます。移転価格。それとスト関係、こういうところが不安なところでございます。次お願いします。 

    それで、マナウスの商工会議所の皆さんと意見交換した流れをですね、まあ大体同じようなことを書いているんですけれども、やはり心配されていることがです ね、特に中国産品を代表するパラレルインポートの商品が拡大しているとか。あるいは最初のページにも出ましたけれども、価格の低い商品はこの為替高の中 で、もうマナウスで作る必然性がなくなっているということで、DVDプレーヤーとかこういった商品は過去の10%20%の生産実績になっています。 

    そういったことを非常に心配されているということ。それからあと、生産形態がどんどん変わってきまして、日系企業はですね、主にやはり内製から含めて自らの製品を自らの技術で作ると、こういう流れで来ていますけれども、このブラジルにはですね、いわゆるEMS系 の企業さんが非常に、続々と入ってこられましてですね、まあそういったところが非常に脅威かなというふうなところを持っております。それで、まあ我々とし ましてはやはり、人材を育成するということが不可欠でですね、特にマナウスでの人材不足、特に技術系こういったところを心配しながら動いているというふう なところでございます。 

    い ろんな面白い提案が出てくるんですけれども、昨今では日本の方で雇用しているデカセギの労働者ですね、これを逆にこちらに持ってくると、持ってきて働いて いただくというふうな、非常に優秀な日系人のですね、日本での活躍をブラジルの工場に持って帰るというふうなところをやっている企業さんもあるというふう なことでございます。あとやはりマナウスにつきましては、先程からございますけれども、インフラ系での非常に弱さですね、これを感じております。 

    マナウスからサンパウロの物流は今もってですね、ベレンまで下ろしてそこから陸送するか、あるいはサントスまで持っていくかというふうなところでですね、2週 間ほどの物流時間がございます。こういったところとか、あと電気。それからマナウスに行かれて非常に驚かれるのは、我々の会社の中でもインターネットの速 度が非常に遅いというふうな問題がございます。まあこういったところですね。インフラに対する強化というのをしてほしいなというふうなところでございま す。 

    で、間もなく10分 経過します。最後にですけれども、今現在デジタルテレビがどういう状況にあるかということなんですけれども、グローボさんはですね、パウリスタからぼんぼ んとテスト波をすでに飛ばしておられます。その他の放送局さんもですね、多い少ないありますけれどもテスト波を流しております。これが一気に第4クオーターといいますか12月 にですね、商用化放送を開始するというふうなところになっています。ただまだ若干スペックの最終化というところがですね、まだ結論づいていないところもあ りまして、商品化するのがいつなのかなというのはプリモテックの三好さんらと色々言っているんですけれども、間もなく来ると思います。非常に画質が良くな ると思いますので、その節はまた薄型をお願いします。以上でございます。 

    司 会:松田さんどうもありがとうございます。総務委員長が時間遅れるとですね、司会がやりにくくなるだろうと思いまして、私が司会を買って出ましたけども、 その心配がないくらいぴったりと終えていただきましてありがとうございます。それではご質問がございましたらお願いいたします。それではないようなので、 次に移らせていただきたいと思います。それでは建設不動産部会の阿部さん、お願いいたします。

  • 建設不動産部会 阿部勇 部会長


    建設不動産部会 阿部勇 部会長

     

    建設不動産部会の阿部でございます。よろしくお願いします。

    最初にちょっとお断りいたしますが、名前が建設不動産部会なんですが、実は不動産を専門にご商売をされている部会の方が今年1社 退会されまして、実質的に活動を行っている部会員の方の中に今ちょっと不動産の専門会社さんがいらっしゃらない。今回まとめるにあたって悩みまして、素人 がどこまで書けるかなと思ったんですが、ただ一つの一般的なまとめという形で一応不動産もですね、この資料の中に入れさせていただきました。ということを ご了解願いたいと思います。 

    前段で大体建設業界の指標ですね、それをご説明した後、建設の方はいわゆる建築をやっているところと、それに今言いました不動産、それと建材、あと家具ですね。この4つに分かれた部門のご説明をさせていただきます。 

    まず全体の指標なんですが、これもいつもご説明しておりますセメント販売。建設業は非常に統計が出るのが遅くてですね、まだ4月エンドまでしか出ておりません。でとりあえず昨年2006年度に関しては2005年度に比べまして販売量が8.2%アップしております。ちなみに今年の4月エンドまでの総量が昨年の4カ月に比べて5.7%と、これだけ比べますと昨年のアップ率よりか若干落ち着いているということなんですが、これも月間によって多少ばらつきがございますので、今後1年間どういう形になるかはまだ未定でございます。次お願いします。 

    これが今のを棒グラフで表したんですけども、2003年、ルーラ大統領の1期目がスタートした時は本当に落ち込みました。設備投資ががくっと落ちて建設業界だいぶ苦しんだんですけども、それが順調に回復してきて、これ2006年までなんですけども、間違いなく2007年もアップするだろうということですね。次お願いします。 

    これが不動産販売。これも前回もご説明したんですが、これも4月までしかございません。2006年、これは2005年に比べて0.4%、ほぼ横ばいなんですね。ですから皆様が今この近辺でアパート一杯建ってる、すごいなとおっしゃられても、販売件数で言うと一昨年に比べて昨年それほど増えてなかった。ところが今年は4月エンドまでで、昨年に比べて65.7%。今年やはり非常に増えるだろうという見通しがございます。 

    それの、まあ一つの大きなポイントなんですが、いわゆるこの辺まではですね、どちらかというと高級アパート、こちらのハイライズの建物が多かったんですけども、昨年から今年にかけて、政府のPACございますよね、あれで貸し出しの融資額を増やしたということと、今年入ってIPIが建材に関しては大分税金を下げました。かなりの部分が、0% というのも出てきておりまして、半数以上の建材に関しては間違いなく税金が安くなった、それが追い風になって今年は中低所得者用の住宅が伸びているという のが最大の原因だと思います。この今のグラフですね、まあ横ばいになって今年がくっと上がるだろうという予想になっております。次お願いします。 

    これがですね、建設業雇用者。これはブラジル全体、後ほどサンパウロ州のやつが出てくるんですが、雇用者数がですね。これも2006年が2005年に対して6.7%。その前の年が13%アップしたんですね。これも堅調に2003年に比べますと堅調に伸びていると。で今年が4月エンドまでで7.6%ですね。ということで雇用者数増えてきているということですね。次お願いします。 

    これが年度別の雇用者数の動きなんですが、2002年がこの黒ポイントですね。03年がピンク、一番落ち込んでいます。04年がちょっと上がって05年からかなり大きく伸びていると。07年もここまで来ていますですね。次参りましょう。 

    これがサンパウロ州ですね。やはり新聞なんかでも読みますけど、工業製品の指数なんかもサンパウロが一番国内で牽引しているというふうな表現の仕方がされてますけども、やはりほとんど数字としては変わってないんですけども、若干全国よりもサンパウロ州の方が今年なんかは10.5%ということで、数字的にはサンパウロ州がやっぱり大きく伸びているということでございます。次お願いします。 

    これも全く同じグラフです。サンパウロ州のグラフですね。次お願いします。これはPIBですね。建設業のPIBで言いますと、2004年の後半が大分大きく伸びて、2005年は少し引っかかった。で2006年にまたぐっと伸びてきて、2007年の第一四半期は若干落ち着き気味という、そんな感じです。次お願いします。 

    これが建設業全体の売上です。ブラジル全体ですね。2002年、まあ売上からいくと先程のセメントのあれに比べると極端に落ちておりません。で若干落ちた、それから2004年2005年、これが残念ながら05年までしかまだ数字が出ておりませんでした。これが、単位が100万レアルですから、これでいうと1億レアルを越したところということですね。次お願いします。 

    ちなみに日本の場合はどうなんだというのを調べてみました。私もあまり調べたことなかったんですけど、極端ですね。ご存知のように公共投資が抑えられてですね、それがはっきり形になって現れているということで。次お願いします。 

    これが実は日本とブラジルの、赤い方がブラジルでこれが日本の、勝手に、年度ごとの為替レートではなくて今の65円というのをぶっこんじゃって、でたらめな比較になっちゃうかもしれませんけど、今の現状で言うとこれくらい開きがある。これが今、1兆円ですね。日本が90兆円ですね、でこちらが6兆くらいだったですかね。約13倍の開きがあるんですけども、実はGDPは4倍しか開きがない。ということは、何が言えるか私にもわからないんですけども、ブラジルはGDPの割には建設投資が少ないということなんですかね。だからまだまだ伸びる可能性があるんではないかなという、ちょっとこんなグラフを作ってみました。 

    これからが個別の部門の上期の回顧、下期の展望ということなんですが、お願いします。まず建築です。全体的に見積もりの引き合いが増加傾向にあります。で案件、1案 件に関して大型化しております。今までの他の部会のお話のように、差はあったにしても非常に設備投資多くされてるんですね。ところが製造業さんだけじゃな くて、学校とか病院、こういった施設の引き合いもずいぶん今年は増えたという傾向にございます。例えば学校なんかは、この辺でいうとUNIPみたいなある程度のマンモス学校は一つの拠点だけじゃなくて、あちこち、まああそこフランチャイズ制をやっているという話も聞いてますので多分その傾向だと思いますけども、一つの学校があちこちの施設の増築をはかっているという傾向がございます。 

    あ と病院さんに関しては改修工事、増床。入院施設を増やすという増床ですとか、そういったことで設備投資をされております。それからあと、傾向としては入札 から発注までの期間が短縮傾向。いわゆる、もうすぐに施設を増設されたいという傾向があります。こういったことの結果として、今少し、そんなに顕著ではな いんですが、傾向として労働者不足が見えるかなと。特にあの、リオの方で仕事をされた方は分かると思うんですけど、パンアメリカンオリンピックですか、あ れですごい取られまして、非常にある時期逼迫した時期があります。まあそれはそれで終わったんですけども、全体的に工事量が増えているということで、これ から労働者不足が顕著になるんではないかなということは危惧されております。次お願いします。 

    下期の展望。まあ今言ったようなことも含めて、人材・機械の確保が重要課題になってくるだろうということなんですけども。引き合い件数は今後半年間も上期 同様堅調に推移するだろうと。それと価格競争の厳しさが常態化という、これはもう本当にここ何年も同じなんですけども、ということでここでお客様から抑え られて、ここで下から突き上げられて、ますます建設業界利益確保が難しくなるのかなということが今心配されます。 

    不動産。不動産は先程から言いましたように戸建て、アパートとも非常に販売が好調ですということですね。特に中低所得者用の住宅が増加していますと。それは融資枠ですとか、建材のIPIが 減額されたということですね。それと、ひとつですね、これ部会の方が実際に現地でご覧になったんだそうですけども、東北部の海岸、ナタルとかフォルタレー ザ、ああいうところで戸建てやアパートがすごく高級なやつを販売していると。これは北欧からツアー組んで見学会があると。で販売店はすべて北欧の会社、資 金も全部北欧から出して。販売そのものも北欧でしかやってない。国内ではやってない、こういう物件が増えているという話を実際見てこられたそうですね。デ ベロッパーも販売も欧州だけでやっているということですね。ちなみにですね、80平米くらいの内装なし、50万レアルしたそうです。次お願いします。 

    下期の展望。アパート販売は好調を持続するだろう。で、サンパウロ、この辺ですね、サンパウロの高級アパートはって私今年になって3人 の日本人に真剣に聞かれました。安部さん今買って大丈夫かなって。私分かりませんと言ったんですね。私素人ですから。ただこれもですね、今年辞められた小 林住宅さんがおっしゃったんですけども、やはりさっきのあれじゃないですけど、いつまでも続くはずがない。実需じゃないっていう。こっちは実需です。間違 いなく実の需要ですけど、これはやっぱり投資ですから、転売目的だといつまで続くかなということですね。本当の金持ちは抱えちゃってしばらく離さないです から、10年でも15年でも。それは全然問題ないんですけども、転売目的はいつまでかなというのは、分からない、クエスチョンマークです。 

    そ れから日本からの投資をされる動きが最近ちょっと見られるかなというのも小耳にはさんでおります。まあそういうことで、ここの、今のブラジルは不動産投 資っていうのはヨーロッパ、アメリカからですね、特にこういうアパートに関する投資が増えてますので、今後も当然日本からの投資もあってもおかしくないと いうことで、この辺は不動産に関しては今後クエスチョンマーク。私も素人ですのでこの辺で終わらせていただきます。次に行きます。 

    建材の方ですね。これはアルミサッシを扱っておられる企業さんですけども、需要が増大。それは住宅向けですということですね。ただ材料が非常に高止まり、最初はここ4年くらい前でしたかね、1500ドル/トンだったのが3000、倍になって今は2500ドルくらいでずっと変わらないそうですね。非常にだから原材料が高いということで。それと、これがですね、販売価格競争が非常に激化されているために規格外、いわゆる見積もりスペックよりも下げた値段で出して安値受注している業者さんが増えていますということですね。展望としては、引き合いは昨年並み。競争はさらに厳しくなるということですね。次お願いします。 

    家具。家具これ一社さんだけなんで、これが全部この世界をあらわしているかどうか分かりません。その一社さんのお話ですけど、自社新規開発の販売が好調で 非常に販売が増えたということですね。で、業界の一つの傾向として、最近高級品または大型製品を扱っていた会社の閉鎖が2、3社あったそうです。理由はと聞きましたら、やはりお客様のニーズに対応できない、売る側の論理でやってたからお客さんが減ったよというようなお話でした。あと、鉄パルプ等の原材料が値上がり傾向にありますということですね。 

    下期の展望。新規の事務所や改修案件、これは増えているそうです。今後も増えるでしょうということですね。低価格販売で競争相手が出現しているため価格競争は激化と、まあこれは業界の価格競争が激しくなっていますということで。で最後にもう一つ。 

    部会の個別テーマ、これ10月または11月にということで、高級所得者向け病院と中低所得者向け学校、どうしてこの組み合わせになったか分かりませんが、今両方二人で段取りしていますので、また詳しい話わかりましたらお知らせしたいと思います。以上でございます。 

    司会:阿部さんどうもありがとうございます。ご質問何かありますでしょうか。特になければ、それでは次に進ませていただきます。運輸サービス部会の寺本さんの方からお願いいたします。

  • 運輸サービス部会 寺本久男 部会長


    運輸サービス部会 寺本久男 部会長

     

    この4月から運輸サービス部会の部会長を務めさせていただいてます日本航空の寺本です。どうぞよろしくお願いします。 

    それでは6つ の業界について、上期の回顧と下期の展望についてご報告させていただきます。まず我が航空業界ですが、好調なブラジル経済と強い通貨、レアル高によってで すね、国内線国際線ともに旺盛な需要があったということで、とりわけ国内線につきましては海外への乗り継ぎの需要も含めまして前年同期比二桁、約14% 増となっております。国際線につきましては南北米あるいはヨーロッパ等の路線が好調で、TAMが色々路線を拡大したり、あるいは外国エアラインの増便等々 もあって、それなりに活気を呈したんですが、まあなんと言ってもバリグが破綻しましたので、その肩代わりでTAMが路線をしてますが、必ずしもそれをカ バーしきれてないということで。需要は旺盛にあるんですが供給が中々追いついていないということで、旅客数全体としては国際線についてはほぼ前年並みかな というふうになっております。 

    次に国内線につきましては、これは参考までに書かせていただきましたが、それぞれの会社のシェアはそちらに書いてある通りになっておりまして、TAMが約半数の50%。GOLが45%。あとBRAが3%のオーシャンエアーが2%、まあこれは丸い数字にさせてもらっていただいていますが、こんな感じで。GOLにつきましては、新しいバリグを買収しましたので、バリグがやっていた国内線も含めての話でございます。 

    あと上期としましては、昨年の9月 にGOLとレガシーの航空事故以降、ブラジルの航空管制問題が惹起しまして、管制塔の機器が非常に老朽化していると、まあそれによって故障しているという ような理由であったり、あるいは管制官のサボタージュ、あるいはストライキということでですね、現在に至っても非常に便の発着遅延が発生していると。特に 上期においては、3月30日だったと思いますが、管制官の大規模ストライキがありまして、特に北米に行く便についてはほとんど出られなかったと。我がJAL便も24時間ディレイを余儀なくされたというようなことが起こっております。 

    下 期の展望につきましては、需要につきましては国内線については需要そのものは好調を持続するだろうと。ただし先般TAMの航空機事故がありましたので、か なり現在も空が混乱しているということと、やや航空機旅行が若干嫌われて、特に近距離国内線については例えばバスに切り替える等々があってですね、旅客数 については若干の影響は否めないかなと。まあどの程度の影響が出るかは私自身、現時点では不明ということです。 

    国際線につきましては、先程言いましたように需要そのものは旺盛ですので、色々な会社がですね、新規乗り入れあるいは機材の大型化等を計画しているようですが、その中でちょっと変わったところではアラブ首長国連邦のエミレーツ、これが10月 からドバイ―サンパウロをデイリーで新規開設するというふうなことを聞いております。あと一方では、逆にレアル高の影響でですね、外人客のブラジル、訪伯 旅行がやや落ちているというのがありまして、特にヨーロッパから、まあリゾート地として東北伯の海岸保養地へのお客様が結構多いんですが、この辺のところ がむしろ中米のカリブ方面にデスティニーチェンジしているという傾向があると。 

    あとは下期としましては、先程申しましたように航空管制の問題と今回のコンゴーニャスにおける事故にともなう国内線の空港問題ですね、等々、これが今我々航空業界としては喫緊の課題となっておりまして、この早期解決をお願いしたいということでございます。 

    では続きまして海運業界。海運業界は同じようにレアル高ということで輸入につきましては引き続き堅調な伸びを示していると。特に中国からの輸入貨物が非常に伸びているということで、ここにありますように43% くらい伸びているということで。物としましては機械とか自動車部品、あるいは一般消費財というのが伸びているそうです。輸出につきましては、レアル高があ りますが、思ったほどの大きな落ち込みもなく、全体的に、品目によってばらつきがありますが、まずまずということです。 

    あ と上期の回顧としましては、スペースに関しましては輸入貨物の伸びがスペースの増加を上回っているためややタイト感があるということです。下期の展望につ きましては輸入は引き続き順調と、輸出につきましてはやや不調かなと、こういう見通しです。あとは課題としましては、こちらにありますように貧弱な港湾イ ンフラによる運行スケジュールの混乱と原油価格の高騰が懸念材料ということでございます。 

    それでは続きましてフォワーダー業界に行きたいと思います。上期回顧ですが、日本発の輸出貨物は全体的には対前年同期比マイナス4.7%。その中で南米向けが非常に好調で17%増と、まあこういう数字が出ております。構内物流に関しましては、主要の顧客の鉄鋼業が非常に好調だということで、これに支えられて順調に推移したということで対前年同期比17%増と、こういうふうになっております。 

    クー リエ部門につきましては、バリグが破綻したことによって一時激減しましたが、最近は他社等が便数増を行いましたのでかなり改善していると、こういう結果が 出ております。下期の回顧。さきほどもありましたが、コンゴーニャス空港問題により貨物便の利用空港変更、あるいは発着便数制限等が懸念材料として挙げら れると。構内物流につきましてはウジミナスの新規投資にともなう作業増に期待すると。あとは税関の入庫システム、SISCARGAというんですが、これが9月末に導入される予定ですが、これの導入に先立って色々情報が錯綜していて、やや現在混乱をきたしているということがあると。あとは、クーリエ関係ですが、リオに新クーリエターミナル建設の動きがあるという情報があります。次お願いします。 

    次は旅行、ホテル業界ですが、旅行の場合は先程お話しました航空業界にやや似てるところがあるんですが、上期につきましては海外旅行が順調であったと。ただしヨーロッパ行きについてはやや控えめであったと。国内旅行ですが、こちらはTAMとかGOLと かその他国内の航空会社が相当競争が激化しているということで運賃が非常に多様化していると。お客さんによっては予約した時点で案内された運賃と、実際に その後発券した時の運賃が違ってですね、色々トラブルがあったり等々で。まあお客様としてはどっちかというと大手ホールセラーが作るパッケージ商品が買う 傾向があって、こちらの方が非常に順調に伸びていると。 

    あと、ホテルの方は、サンパウロ全体のホテルの稼働率は68%ということで前年同期比8% 増ということでございます。下期展望ですが、国内旅行需要は拡大を予想していると。引き続きパッケージ商品に人気があるだろうと。海外はまあ上期並み。あ とは課題としましては観光事業の環境整備、まあホテル、車両、レストラン、セキュリティ等々や空港施設の整備が今後の課題ということが言われております。 次お願いします。 

    最後になりますが通信業界。こちらの方は、まず携帯電話の加入者数、これは本年6月現在ですが、1億666万台。これは世界で5位だそうです。ちなみに1位は中国だそうです。2位がロシアと、で5位がブラジルと。これは私自身ちょっと驚いたんですが、その内約8割がプリペイド方式を使っていると。各社の台数はそこにあります。VIVOが3024、TIMが2750、等々でこのVIVOとTIMで約過半数の54%強のシェアがあると。 

    それと上期としてはノッタ・フィスカルを電子化したということで、84万枚のノッタ・フィスカルの電子発行を実現したということで、今後国税局はですね、脱税が非常に懸念されるタバコとか石油関連の業種を来年の4月から電子化する予定だそうです。下期展望ですが、IT全体の2007年の成長率は3年連続で二桁を示しているということで、ラテンアメリカ全体のIT市場の46%を占めるだろうと。あとは、先程松田さんの発表にもありましたが、デジタルテレビ放送の開始はサンパウロは12月2日、リオが来年中旬を予定しているということでございます。私の方からは一応報告は以上でございます。 

    司会:寺本さんどうもありがとうございます。それでは寺本さんのプレゼンに関しましてご質問はございますでしょうか。それでは特にないようですので次に移らせていただきます。それでは自動車部会の長谷部さんお願いします。

  • 自動車部会 長谷部省三 部会長


    自動車部会 長谷部省三 部会長

     

    本年の6月から自動車部会の部会長をおおせつかりましたトヨタの長谷部でございます。

    ご覧の通りの順番で本日の自動車部会からの報告をさせていただきます。4輪、2輪、それと部品業界と、こういう順番で説明に移らせていただきます。 

    最初に4輪でございます。昨年度の実績が260万台ということでございまして、これは過去最高でございました。本年の上半期、下の方のグラフで130万台でございますが、上半期は138万台の生産でございます。年間に置き換えますと去年を上回る287万台というのが今年の見込みになっております。ただし折れ線グラフで書いております輸出についてでございますが、各部会からの報告にもありました通りレアル高の影響によりまして07年の上半期は減少ということになっております。この傾向は後半も続きましてですね、輸出については今後も減っていくということかというように予測しております。次お願いします。 

    このグラフは国内の販売状況でございます。2007年の販売の前半、これ書いておりませんが、去年に比較しまして約24%1-6月で国内販売は増加しております。この勢いは後半も続きまして、235万台という予想をANFAVEAの方が出しております。この235万台というのは、ここのグラフにございませんが1997年、194万台というのが過去のブラジル国内の最高でございました。ここまで市場が伸びる背景といたしましては、まあ当然のことながら経済が支えてきたということが最大の理由でございますが、それに加えまして金利がかなり下がってきたと 。

    食品の方からカーローンのために食品の売上が落ちるとかいうことがございましたが、決してそうじゃないんじゃないかというふうに思います。それと金利の低 下だけではなくて、ファイナンスの、長期のローンというのが大分多くなってきております。これも一つ販売を押し上げている理由かと考えております。次お願 いします。 

    乗用車内のセグメントを見てみますと多少の変化が見られます。ここで見ていただきます通り、ポピュラーといわれる白のほとんど、構成比としては変わっておりません。ただし、台数が24%全体伸びているわけですから、これを伸ばしていきますと台数はそれぞれのセグメントで全部伸びております。構成比としましては上から2つめにあります横バー、プレミアムコンパクトというセグメント、ここが伸びているという状況でございます。次お願いします。 

    当社も4月からフレックスを導入したわけなんですけど、右側のグラフにあります通り現在のマーケットでのフレックス車の比率は86%ということで、輸入完成車ほかを除きますと国産車についてはほとんどフレックスであるという状況でございます。言わずもがなですけど、左側のガソリンとアルコールの価格を見ていただきましたら分かります通り、一般に燃費差が1対0.7というふうに言われておりますので、それよりもエタノールが安ければお客さんはエタノールを買うというメリットがございます。まあこういう状況がありまして今後もエタノール車の販売がどんどん伸びていくと言うふうに考えております。次お願いします。 

    このような国内の好調な市場を背景にいたしまして、現在発表されている投資計画をここにまとめてみましたが、既存のメーカーだけでなく韓国、中国、イン ド、こういう国からもブラジルに投資をするというふうな情報が新聞紙上をにぎわしておりまして、実際に我々が聞くところによるといろんな活動を始めてると も聞いております。次お願いします。 

    引き続きまして2輪の状況についてお話を申し上げます。2輪も4輪と同様にですね、2007年の上半期はインフレの抑制、金利の低下、最低賃金の大幅引き上げ、選挙前の公共投資、こういうことに支えられまして、2輪の購入層でありますCD所得、この層の消費活動が活性化しまして、2輪の市場を押し上げたというふうに聞いております。後半につきましてもこの状況は引き続き継続し、165万 台ということで、ここも史上最高だと思います。こういう生産、販売の状況になるかというふうに予測しております。ただし輸出につきましては、例にもれずレ アル高と、それとブラジルから出ている輸入国に流れてくる中国製品、これとの競争ということで、かなり厳しい輸出の状況になるかというふうに聞いておりま す。次お願いします。 

    3番目が部品業界でございます。このグラフはSindipecas発行のものでして、同協会の加盟企業の中の代表52社の売上を示したものでございます。2輪4輪の堅調な伸びにともないまして部品業界も今のところ堅調に伸びております。今後とも07年通じましてこの傾向が続くというふうに考えております。 

    多少補足の話をさせていただきますと、やはり中国部品というのは部品業界にも影響がございまして、特に標準ベアリング、あるいはタイヤ、あるいは自動車 メーカーの純正パーツ、これらの分野に関しましては中国からかなり安い部品が入ってきておりまして、市販ベースでは、完成車の生産ベースのサプライは非常 に好調なんですけれど、市販ベースではかなり苦戦を強いられるというふうに会のメンバーの方から報告をいただいております。次お願いします。 

    最後に本年の部会のテーマといたしまして、昨年度から健全な2輪業界の育成に向けた自主監視体制強化というのを自動車部会の個別テーマとして取り上げて活動しております。2輪 業界におきましてはここ数年、新規参入するメーカーが増えてきておりまして、ご覧のように中国製品を取り扱うメーカーの販売の伸びが顕著な中、新規参入に よるお客様に誤解を与える販売手法、あるいは脱税、為替取引き違反、特許権侵害などの違法行為がなされているというふうな状況でございます。この事態が続 きますと、業界に対する信頼を失うという恐れが高い懸念がございます。次お願いします。 

    その中で、知的財産侵害の例をとりますと、例えばこのような特許、意匠侵害と思われるケースが発生しております。ごらんの通り外観がそっくりなもの、特許 権を侵害しているものなどがございます。これらの多くは中国製品でございます。こういう製品がブラジル市場に急速に流入してきております。一方でこれらの 中国製品が果たしてブラジルの経済に貢献しているかという点を見ますと、日系企業の中には現場立地がもはや90%を越えているところがございます。多くの中国製品は単に中国から部品を輸入して組み立てているだけに過ぎないわけです。 

    こ のような中国製品の多くは独自に開発されたものではなく、他人の成果を盗用したものです。研究開発に投資しない分だけのコストが抑えられまして、あらたな 技術やデザイン等の知的財産権を生み出さず、その点においてもブラジル社会に何らの貢献をしておりません。この、研究開発が行われないばかりか、中国製品 は知財権を平然と侵害しているものがございます。このような状況を放置すれば、多くの中国企業がブラジルでは知財権の侵害するリスクは低いと認識するよう になってしまいます。そうなりますと、盗用や侵害は助長され、中国企業が真面目に研究開発を行うインセンティブがますますなくなってしまうという結果を導 き出します。 

    そ こで中国製品に対しましては各社ごとにそれぞれの知財権を用いて司法手段をとることが必要になってきております。ブラジルは知財権の侵害が認められないの だということを中国メーカーが認識するようになれば、自ずと自社開発をせざるを得なくなり、そして研究開発の成果である知財と相互に尊重する気運が醸成さ れ、そうなりますと健全な技術競争が進み、ひいてはお客様の利益、産業の発展へとつながると考えております。 

    一 方裁判となりますと、一般的に長期間争わなければなりません。訴訟の費用としても高額になりますし、したがって各社司法手段に訴えるのと並行しまして行政 として何らかの制度、措置を講じるべきではないかということを業界として訴えていく必要があります。これの具体的な活動といたしましては、3月に開催されました日伯経済委員会の席上におきまして前任の岩村元部会長の方からこの知的財産権の保護の必要につきまして、日伯両国の政府に対し強く訴求をしたという活動が上半期の活動でございます。以上で自動車部会の発表を終わらせていただきます。 

    司会:長谷部さんどうもありがとうございます。それでは長谷部さんに何か質問ございますでしょうか。はいどうぞ。渡邉さんお願いします。 

    渡邉ジェトロ所長:先月ミゲル・ジョルジ商工開発大臣が、ブラジルの自動車生産、いつごろとは言っていませんでしたが、500万 台行くだろうというようなことをおっしゃいました。私はその数字を見て勝手に、多分日本車はその半分くらい将来長期的にくるんじゃないだろうかというふう に考えているんですけど、部会長はどのようにご判断されているのでしょうか。それから先程の各社の投資計画の中でトヨタ山が入っていま選でしたが、その辺 はいかがでしょうか。 

    長谷部部会長:えー、かなり意地悪な質問だというふうに思うんですけれども。とりあえず、当社の話をします。部会としてのディスカッションは全くしておりません。今我々が見込みとして、というか必ず達成される台数としては、国内販売が300万台。必ず近未来に達成される台数といたしましてですね。で、いまさっきの大臣がおっしゃったのは、ひょっとすると輸出も入って全てのことかもしれませんが、その300万台のベースというのはそんなに遠くない将来に発生するだろうなというふうに考えております。 

    ただし、グラフでもご紹介しました、去年に比べて22%あるいは20% を超える成長が続くとは思っておりません。やっぱり、リバウンドではないですけれどもどこかでカーブは緩やかになるんではなかろうかというふうには思って おります。二番目のご質問なんですけど、新聞発表を拾ったものでございまして、当社はまだ発表して、まだじゃなしに当社は発表しておりません。よろしゅう ございますでしょうか。 

    司会:ありがとうございます。ほかに質問ありますでしょうか。それでは、ないようでしたら次に移らせていただきます。長谷部さんどうもありがとうございました。それでは11部会の発表が終わりまして、最後にですね、移転価格税制に関しまして鍋島さんにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

     

  • 移転価格税制 鍋島直裕コーディネイター

    移転価格税制 鍋島直裕コーディネイター

     

    皆さんこんにちは。移転価格税制委員会の、ホンダの鍋島と申します。よろしくお願いいたします。

    2時から11部会の、並み居る部会長さんたちのご報告、フルメニューの報告のあとに、ちょっと毛色の変わった形の報告ということなりますけれども、移転価格税制委員会からの報告ということで話をさせていただきます。 

    このフルコースのメインディッシュの後にこういう形の話をするというのは場違いな感じがしないでもないんですけれども、今回移転価格税制委員会というのは2005年 にできたんですが、色々な活動をやってきました。まあ部会活動とは直接のリンクはないとしてもですね、商工会議所のメインといいますか、非常に多くの企業 の方々が直面している、悩んでいる、困っている問題の一つということで。これ委員会活動で活動して何とか突破口を開いていきたいということで発足をしまし て、活動してきました。 

    2年 間の活動を簡単に振り返ることと、それから、まあ移転価格については非常に詳しい方がたくさんいらっしゃると思うんですけど、中にはひょっとしたら何ぞや と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単に冒頭に移転価格税制というのを説明した上で、どのような委員会の活動をしてきたかということをご報 告して、この委員会の活動が今後めざしていく方向みたいなことを皆さんとできましたら共有させていただいて。ということでお話をさせていただきます。 

    今日のメニューなんですけど、2つ です。まず移転価格税制の問題概要ということで、まず移転価格とはどんなことかというのを説明します。その次に、ブラジルの移転価格税制というのは世界的 に見るとちょっと特徴的な部分がございまして、それが問題そのものに直結している部分があるもんですから、これを簡単にご紹介します。その次に、この移転 価格税制をですね、まあブラジル移転価格税制を理解した上で、委員会活動、まあ商工会議所の活動として取り組んで何をめざすのかということを皆さんに知っ ていただくために、今までどんなことを活動してきたかということをご紹介して、今後の方向性ということでお話をします。じゃお願いします。 

    最初に移転価格税制とはということなんですけど。ここにちょっと図式を書いております。この移転価格税制というのは、税制と聞いただけで頭が痛くなってしまう方が多いんじゃないかと。私もその1人なんですけども、簡単に理解していただく必要があります。いろんな説明のされ方があるんですが、本当に簡単に説明しますと、こんな1枚 ですということで。実はこの後説明します中身というのは、この商工会議所のホームページに移転価格税制の改善要望というタイトルで掲示をさせていただいて おります。ディテールについてはそこをご覧いただければ、よりよく理解していただけるんじゃないかと思いますが、今日はその資料も抜粋しながらご説明をし たいと思っております。 

    まず移転価格税制なんですけども、基本的には2国間で発生し得る問題です。2国 間といっても、一言でグループ企業ですね。例えばホンダといってもいいんですけども、ホンダの場合日本に本社がございます。ブラジルに現法がございます。 他の業界でもそういったパターンでグループとしての企業活動をされているところがたくさんあると思うんですが、この取引において移転価格の問題が発生する 可能性があるということです。 

    下にちょっと摸式を出してるんですけれども。簡単な例として出していますのは、例えばA国からB国へ物を出すという場合、例えば国によって税率が違いますので法人所得に対する法人税率が40%の国から、仮にですけども、20%の国に品物を出すと、こうするとどういうことになりますかというと、輸出価格というのは企業が独自に決めていくわけですけども、例えばこんなパターンがあります、という例が出ています。 

    これは購入ということで材料費というふうに単純に考えていただければいいんですが、これを100で作ったものを150で売ると。そうすると例えばB国、これをブラジルとしてもいいですけども、B国では150でそれを買うということになります。でブラジルではこれを、150で買ったものを200で販売するというようなパターンがあります。これはまあ、価格の設定というのは企業が独自に決めるものですから、例えば同じように原材料費が100だとしても、これを120で売ると。でこれをブラジルで色々加工したり付加価値を高めて200でブラジルで販売するというケースが2つ。まあ色々なパターンが考えられますが、例えばこういう2つのパターンを考えてみましょう。 

    この場合ですね、税率そのものはそれぞれの国の税率に従いますので、ここからここ、例えば100の原材料費のものを150で売ると、単純にいいますと50の利益、付加価値をつけたと。これに対してA国では40%の税金ですので50かける40%と。それに対して輸入したB国では150で受け取ったものを付加価値を高めて200で売るということですので、こちらも50の利益に対して20%の税率がかかると。そうしますとこちらは30ということになります。トータルでこの企業として払わなきゃいけない法人税の金額というのは30ということになります。 

    ところがこの下のパターンでいきますと、税率は同じようにしますけども、価格の設定が違うということで、トータルで負担しなければいけない税額というのは24と いうことになります。で、どちらがグループとしていいかとすれば、こちらの下のパターンの方がいいわけですけども、これは基本的に企業が自分たちで金額を 設定して取引するということですから、これ自体は何ら問題はないわけです。ただし、こういったことが過剰に行われるようになってしまうと、各国のですね、 課税権を侵害することにつながると。 

    例えばこの上と下のパターンでいきますと、このA国で納税する法人税の金額というのはこの上のパターンの場合に比べて小さくなるわけですね。そうしますとこのA国、 まあ例えば日本としますが、この国では税収が減るということになります。その分こちらで増えるというような形。まあいろんなパターンがあるんですけども、 基本的にはこの課税権の侵害というのはですね、双方の国はやはり税収に対して非常に敏感でございますので、そういったものが不適当に操作されているんじゃ ないか、ということを抑えるために移転価格税制というのがそれぞれの国で存在します。 

    移転価格税制というのは色々な考え方、といいますが計算根拠みたいなものがあるんですが、代表的なものをここにあります再販価格比準法、独立価格比準法、原価基準法とこういう3つ の代表的なものがあるんですけども。世界にはいろんな計算の仕方がこれ以外にもあります。まあ代表的なものはこのような計算の仕方があります。今日は ちょっとこの詳細に入りますと時間がなくなりますので、ここは割愛しますけども、ここだけ頭に入れていただきます。移転価格税制というのはこういった基本 的な構造があるものです、ということです。 

    で、これを頭に入れていただいた前提で、次にじゃあブラジルの移転価格税制というのはどんな特徴があるのかということをご説明します。細かいことを言い始 めると色々たくさんあるんですけども、考え方としてはこんなことです。問題概要とありますけども、ブラジルはですね、世界的に適用されている移転価格税制 というのは一つはOECDのガイドラインというのがございまして、基本的にOECDの加盟国は同じようなコンセプトに基づく税制を使っています。 

    それに対してブラジルは独自の移転価格税制を採用している関係で、当該取引会社間、先程見ていただきましたA国B国 のグループ会社間の所得に対して二重課税が発生する余地が非常に大きいというのが問題になります。それから、実際に二重課税を課せられているケースを含め て多くの企業にとってブラジルの事業展開に非常に大きな影響を及ぼすケースがございます。なおかつ、その結果としてですね、投資を阻害する可能性がある、 要因になっているというふうに認識しております。 

    そもそも移転価格税制というのは、売主買主、先程のページで見ていただきましたA国から出してB国で買うということですね。売主買主間での利益の正当な配分を実現させるべきものであって、両当事国間での二重課税が発生する余地というのを極力少なくする法整備が必要なものですね。OECDの制度に準拠していれば基本的にそういったリスクは非常に少なくなるんですけども、ブラジルの場合はそのOECDのガイドラインに沿わない中身を持っているものですから、そういった問題が発生するということです。そして業種、やはり製品による特殊性に考慮して、かつ世界的な移転価格法の概念・制度、つまりOECDの考え方を筆頭とするような代表的な概念を取り入れた、世界に受け入れられる移転価格税法というものを確立する必要があるというのが基本的な認識でございます。次お願いします。 

    で、今申し上げたOECDの ガイドラインというのがあるんですが、それに対して比較表で簡単に分かりやすくしたのがこの表なんですが、いくつかの基本的な特徴というか、移転価格税制 が持つべき項目というか、考え方があります。それに対してそれぞれどういう考え方を適用しているかというのがここにございまして。まあざっと見ていただけ ればお分かりいただけると思うんですけど、OECD、OECD加盟国および日本も含めて基本的には同じような考え方を持っています。 

    この基本3法というのは先程のページで申し上げました3つの基本3法ということですけども、例えばOECDで あればそういったものを使いますけどもそれだけに限定せずフレキシブルな体制を持っていると。それに対してブラジルは、適用するんですけども、マージン固 定であるとか非常にちょっとストリクトなルールを持っています。というような形でですね、ブラジルはちょっと特異な運用をするような法制を持っているとい うことです。お願いします。 

    こちらはさらに細かくなりますので今日は省きますが、この資料が先程申しましたホームページの方に掲載して説明も付け加えさせていただいておりますので、ご興味のある方はぜひホームページをめくっていただければと思います。先程お話しました3法 ですね、原価基準法、独立価格比準法、それから再販価格比準法と、基本的なコンセプトがどういうことであるかということと、どういったメリットデメリット があるのかと、それからどういった企業に対する影響があるかということがここに書かれています。これは一応ご参考でお見せします。今日はちょっとご説明す る時間がありませんので後で見ていただければと思います。 

    こういった税制を前に多くの企業が非常に困っているというものに対してアクションを取ろうというのが、委員会の活動の方向でございました。この日本商工会議所として活動するにあたって、大きく4つのポイントを改善要求という形でまとめて活動してきております。 

    1つ 目は、業界ごとに異なるマージン比率パーセンテージの適用と。これはどういうことかと言いますと、先程もちらっと出てたんですけど、マージン比率というの は税制の計算にあたって非常にキーポイントになるんですけども、これがブラジルの場合は業界ごとのいろんな特殊性があるんですね。マージンがどれくらい取 れるか、要するに利益幅がどれくらい取れるかと、大体業界のある程度トレンドがあるわけなんですけども、そういったものを結果的に一切無視せざるを得ない ような固定的なマージン比率が設定されていると。OECDの加盟国の法律であればその辺はある程度フレキシビリティを持っているんですけれども、きめつけ的なマージン比率が設定されている、これはやっぱり問題だということで、これは何とかしてほしいというのが1点目。 

    2点 目はですね、製品一点ごとの税率計算から製品群・グループごとでの計算への変更と。ちょっと言葉では分かりにくいですけども、簡単に言いますとブラジルの この移転価格税法はですね、部品一点一点、例えば自動車でもテレビでもいいんですが、部品一点一点のコストを、コストなり販売の取引の情報というのを全て 積み上げて報告しなければこの部品は移転価格に抵触していないということが証明できないというようなシステムになっています。 

    OECDの 加盟国の基準であればですね、ある程度パッケージで、例えばこの部品群、このアッシーであるとか、この缶製品とかいうところで計算ができるんですが、一点 一点を全て証明しなければいけない。これは当然手間もかかりますし、それからその一点一点のうち一点、二点がですね、抵触しているということになれば、そ れは移転価格に抵触するということでその分余計に税金を払わなければいけないということになってしまいます。そういったことが非常に難しさとしてあります ということです。 

    3つ 目は、為替変動に対する対応ができないということで、実際取引の場合は契約を結んだ時の取引価格と、実際に物が入ってきた時の為替レートを適用した価格が あるわけですけども、そういった為替相場の変化、当然変化があるわけですけど、そこに対応できないと。契約時点の為替を適用しなければいけないようなルー ルになっているということです。 

    それから4つ目。これは実際には一番大きな部分になりますけれども、事前承認制度(APA)といいますが、これがブラジルの移転価格税制にはありません。何が問題になるかといいますと、税制はもちろん法律として決まっているわけですけれども、いろんなグレーゾーンを含めていろんな判断に迷うところがあるわけですね。OECDの加盟国であれば事前にそういった部分に対して、この法律の解釈をどうしたらいいかということを事前に税務当局に相談して確認を取ることができます。 

    つ まり、これは移転価格に引っかかるか引っかからないかということですね、事前に申請すれば判断を受けることができるんですね。ところがブラジルの場合、そ の制度自体がありませんので、やってみなければ分からないと。後から指摘を受けて多大な移転価格法人税を取られるというようなことが起こり得ると、非常に リスキーな形になっています。この4つの項目をメインの活動のターゲットとして活動してまいりました。次お願いします。 

    実際何をやってきたかということなんですけれども、冒頭話しましたように2国 間でそういうことが起きるわけですけれども、企業としては個別に戦わなきゃならないというのが現実です。もちろん各企業の責任としてやっていかなければな らないわけですが、ブラジルに関してはこういった非常に特異な税制体系をもっているものですから、一社一社は当然戦わなければいけないんですけれども、 やっぱり限界があるということで。 

    日本商工会議所におきましてはそういった各企業が個々に困っているというものを移転価格税制委員会を2005年に設立することによって、それを束ねてですね、各部会に入っている困っている企業さんの力、悩みを合わせて、皆の知恵を合わせて活動していこうということでスタートしました。 

    目指すところとしては、このOECDガイドラインに準拠した法整備、運用というものを政府に対して要望するということ。で、結果的にですね、2国間での協議というのを通じて二重課税を防止していく、まあ解除していくということをターゲットに活動しようということで動きました。 

    商工会議所はこの税制委員会だけでなくて、法律委員会であるとか、後で出てきますがGIEとかですね、関連の委員会のパワーを合わせてこの活動を推進してきました。あと当然のことながら、民間企業のバックアップということで、ジェトロさんはじめ総領事館、日本大使館のバックアップをいただきながら活動を開始しました。 

    2005年の初っ端にやったことは、ちょうどこの会場だったと記憶しているんですけれども、トランスファープライスのセミナーというのを開催しました。まず内に向かって移転価格の問題というのを理解を深めて、一緒に活動していこうということでやりました。
    それと、実際にトランスファープライスの理解を深めていただくためにいろんな冊子を作るということで、これは実際にホームページに掲載されている中身です。 

    外に対するアクションとしてやりましたことで最初のことはFIESP、サンパウロ工業連盟を通じてアクションを取ろうということでした。ここでやりましたことと言うのは、実際FIESPとコンタクトして一緒に活動を始めた段階でFIESP自体が税務当局に対して色々具体的なアプローチをやっておりました。それに乗っかって色々な活動をいたしました。代表的なところでいいますと、2001年に実はこの移転価格税制というのを改善したいということで法案の提出がございましたけれども、2001年以降全然動いていないというようなことがございまして、それを加速するというようなアプローチでした。 

    この活動のほかにやりましたことは、下院の外交防衛委員会を通じてこの問題を訴える、日本商工会議所として訴えるという形。また今年ありました日伯の経済合同委員会でこういった困り事ということで、CNIそれから日本経団連を通じて各国政府に訴えるチャンスということでPRをさせていただきました。 

    それからGIEの活動に一緒になって陳情するという活動をいたしました。このGIEのところをクリックしてください。これは今年の初めにGIEの委員長名でマンテガ蔵相宛に出したTPの改善要望のレターでございます。実際GIEというのは外国企業投資家連合で、各国の商工会議所の連合体でありますけども、そこの名前を使って、そこの会社の名前を使って陳情をするというアクションをやりました。 

    実際にこの中身は日本商工会議所のチーム、移転価格の委員会で作ったものをGIEの名前を使ってといいますか、GIEに も連動していただいて蔵相宛に訴えたというアクションです。この端っこを押してください。ということでですね、一応こういう形でいろんな活動をやってまい りました。やれる事はかなりやってきたという感じがしております。ただ実際に状況自体は、一部為替の適用についての変更、改善が見られたんですけども、ま だまだハードルは高いというふうに認識しています。 

    ということで今後の展開のアプローチなんですけども、こういう形でいろんな活動をやってきました。ただ非常に大きなヤマというふうに思っておりますので、 今後もあらゆるルートを通じて改善を訴え続けていくことが何よりも必要だろうということで。実際この場でこういう話をさせていただくということも、今まで やることは色々やってきたんだけども、こういうシンポジウムの場を使ってもですね、皆さんにこの辺の状況を理解していただいて。幸いこちらは、今日は皆さ ん各企業、団体の代表者の方が集まっていただいていますので、政府に対するコンタクト、接触の機会が色々あるんじゃないかというふうに思っております。 

    そ ういった機会を通じてですね、この活動を通じて今悩んでいること、課題として認識していることを是非ですね、訴えていただきたいというふうに考えておりま して、是非ですね、商工会議所のパワーを合わせて活動していくということで皆さんのご協力をお願いしたいというふうに考えております。ちょっと時間オー バーしてしまっていると思いますけど、申し訳ありませんでした。以上です。ありがとうございました。 

    司会:鍋島さんどうもありがとうございます。何かご質問はありますでしょうか。特にないようでしたら次に進ませていただきたいと思います。これで12人の方全ての発表を終わらせていただきます。11部 会に加えて今回移転価格税制についての発表も加えてみたのはですね、このシンポジウムにちょっと新たな試みとしまして、皆さんに関心のあるであろうテーマ も加えたらということで移転価格税制についての発表を鍋島さんにお願いしたわけですけども、こういう形でこの会も少しずつ皆さんの意見もいただいた上で改 善できたらと思っております。それでは次に西林総領事の方から、講評というか、お言葉をいただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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  • 講評 西林万寿夫総領事


    在サンパウロ日本国総領事館 西林万寿夫 総領事

     

    もう時間の方も押し迫っているようなので、15分しゃべろうかと思ったんですけど3分ぐらいお時間をいただくことにして。本日は皆さん、2時間お疲れ様でした。いくつか、講評ということですが、感想を数点述べさせていただきます。 

    まずマクロのブラジルの経済ですけれども、これ非常に好調ということで、近々投資適格国になるのではないかという話も米倉さんの方からございました。非常 に心強い限りなんですが、同時にブラジルというのはマクロ的に見ますとやはり色々な問題を抱えていると。これはもう言うまでもないことですが、とりわけ私 ども感じますのは、やっぱりインフラ面の不足と社会資本が十分整備されていないというところが非常に大きいのかなと。

    今日の議論でも、例えば物流の問題ですよね。港湾のインフラが非常に貧弱であるとか、それからあと電力の問題も2011年にまた電力危機が来るんじゃないかなんていうような、そういうネガティブな話もございました。 そ れから先日の航空機事故なんかも言ってみれば航空の分野におけるインフラの不足と、こういったものが如実に表れたというか、起こるべくして起こった事故で はないかということが一般に認識されているわけです。こういったインフラの不整備という点が、やはり落とし穴なのかなという感じも今日あらためて認識した 次第でございます。 

    それからもう1点 は、レアル高の話についてずいぶんいろんなご議論がございましたが、これはその業界によって悲喜こもごもで、レアル高がいい風を吹かせる方もあれば、そう でもないところもあるという状況じゃないかと思います。今後どのぐらいの見通しになるかということは、まあ必ずしも議論がなかったような感じもするんです けども、まあ1.80ぐらいじゃないかという話もありましたが、もっと、1.5ぐらいまで行くんじゃないかという、そういう悲観的な見通し。

     こ れはちょっとトゥーマッチで、誇張し過ぎじゃないかと思うんですけど、そういうことも言われておると。この前サンパウロにブラジリアから来られて最後に離 任のあいさつをされた大竹公使の話によれば、彼にも聞いてみたんですけれども、今後の展開どこらへんまでレアル高が進むかについては、やっぱり一般的に答 えにくい質問であると。ただレアル安にふれる材料は全くないというのが、とにかく結論だったみたいな感じがするんですが、いずれにしろレアル高の方向、神 のみぞ知るということなのかなという感じがします。

      それからもう1点のファクターとしては、中国ファクター。これは私どもも、前回の懇談会は私欠席しましたが、昨年2回 出ましてそこでも感じたことなんですけれども、皆さんやはり中国ファクターというものは多かれ少なかれ持っておるということで。それは低価格製品の流入と いうことのみならず、品質であるとか、模造品の問題であるとか、こういった問題が非常にやはり大きいわけでございまして、まあ今中国は食品をめぐって世界 的なイメージがダウンしているわけでありますけれども、そういった問題がどういう影響ブラジルの方あるのか知りませんが、いずれにしろ現実としていろんな 安くて質の悪い模造品が一般的には出てるんじゃないかなと。

     そ の中で知財権の保護の問題なんかが出てくるわけでありますが、こういったものは政府間で色々申し入れをしないといけない話でございまして、引き続き我々も ブラジル政府に対してプッシュしていくと。それからクラボウの須賀さんから密輸に関する取締り強化をお願いしたいという話もございましたが、これもまあ引 き続きブラジリアの方で、私も報告いたしますので、引き続き大使館の方からも解決に向けてプッシュするように働きかけたいと思います。

       それから、若干マイナーというか、全業界に関することではないんですが、次のファクターというのは気候のファクターと言うのが私ちょっとクエスチョンマー クなんですが、暖冬なのか寒冬なのかよく分からないわけで、アパレル業界なんかは暖冬で調子が悪いっていうんですけども、食品業界の方はラーメンが売れる という、これは寒いからということで、この数日見ればずいぶん寒くなったわけで。その点はアパレル繊維業界としてもホクホクとしておられるんじゃないかな と思うんですけれども。どの時点で考えればいいのかそれも良く分からないんですけれども、気候のファクターというのも一部監視されたということで興味深 かったかと思います。

      最後に移転価格税制について、非常に詳しい、コンプリエンシードな包括的なお話がございました。これもまた、先日こちらに来られた大竹公使、まあ7月31日付けで退職されて民間のある会社、まあブラジルとも関係している会社に、タカタさんの方に8月からいらっしゃってるわけなんですが、その大竹公使が7月のはじめにこちらに来られた時、この移転価格税制の話、彼自身も一生懸命やったけれどもブラジル政府なかなか当局に話してもたらい回しされるだけであると。一般的なルールだとか制度を作らせる、また変えさせるというのは非常に難しいということを言っておられました。

     また一方でOECDに入ろうなんて動きはほとんどないというか全くないと。入ってメリットもないということで、メキシコのようにOECDに 入ってくれればいいのになという、そういう感想であります。それでまあ、大竹公使いわく、現時点ではそういう状態なので個別に、産品ごとにプッシュして働 きかけてほしいということなんですが、同時にまた我々としても引き続き総領事館、大使館の方で色々とブラジル政府に対してアプローチしていきたいと思って おります。今日お話があった点、非常に参考になりましたし、私どもブラジリアの方にしかるべく報告して、引き続きこの問題皆さんで取り組んでいきたい、そ ういうふうに思っております。

      最後になりますけど、あと2点ほどありまして。今年に入って商工会議所と総領事館の方で定期的に懇談会を開かせていただいていると。まあ商工会議所の方のイニシアチブがございまして、1月以来3回ほど、まあ昨年の11月の官民合同会議のフォローアップという形で議論させていただいて、非常に有益、有意義な議論が行われてきたと。宮田企画戦略委員長、一生懸命オーガナイズしていただいているんですが、引き続きこれを続けていきたいと。で今年も11月の終わりに、たぶん官民合同会議が当地で開かれると思いますので、またその前にどういった議論を官民合同会議ですべきかについて、多分9月の終わりとか10月の初めぐらいにまた会議を開きたいと思っております。

      それから本当の最後になりますけども、今月は実は8月の後半、非常に多くの日本からのお客様が来られます。閣僚レベルが2人。麻生外務大臣もその中に入っておりますが、あとデジタルTVの関係で菅総務大臣と。まだ正式に発表されておりませんが、この2閣僚がほとんど同時期にやって来られると。それからその時期に衆議院のミッションも一件、それから国会議員も1人プラスアルファで来られます。河村建夫先生。日伯友好議連の幹事長をやられている方ですね。それから県知事が3人ほど来られると。千葉、山口、静岡ですね。ということで私ども今その準備に追われているわけなんですが、ほとんどこの方々が10日間あまりの間に当地サンパウロにご滞在になります。

     私 どもその機会を利用いたしまして、いろいろとブラジルのいい事を伝えていくと。もちろん悪い話も伝えないといけないわけなんですが、冒頭佐々木さんが言わ れた通り、ブラジルだけは大丈夫、ブラジルだけは続くということを大いに強調して、まあ世界の台所であるという話を大いに宣伝することにしたいと思いま す。

     そ ういう意味でも今日のこのシンポジウム、私にとってそういう方々へのアプローチする上で非常に参考になりました。来年は言うまでもなく移民百周年というこ とで、この年を日伯交流年に指定しております。日本の人たちにブラジルの真の姿を知ってもらう、そういう貴重なチャンスでありまして、皆様方にもいろいろ ご協力賜りたいと。その第一弾として来年1月に当地で日本経済新聞社が主催する大きなセミナーが開かれる予定で、今のところ準備中でございますが、この商工会議所も協力していただくということで準備がなされております。

     なんとかしてこのセミナー、来年の日伯交流年のキックオフ行事として盛り上げて、その結果というのは言うまでもなく発行部数200万 部の日本経済新聞、日本のトップエグゼクティブが皆見ているこの新聞にブラジル特集として掲載されるということになると思いますので、ぜひとも商工会議所 の協力も得ながら日伯交流年のキックオフ行事として成功させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。私の方は以上でございます。 どうも本当に今日はありがとうございました。

     訂正します。今の日本経済新聞とのセミナーは日本経済新聞社とブラジル日本商工会議所の共催ということで、今田中会頭の方から訂正の意見がございましたので、私の方訂正させていただきます。大変失礼いたしました。 

    司会:西林総領事どうもありがとうございます。それでは最後に、松田総務委員長の方から閉会のあいさつをさせていただきます。

  • 閉会の辞


    松田総務委員長

     

    西林総領事、どうも貴重なコメントをありがとうございました。また本日ご参加いただいた皆様、お忙しい中本当に最後まで、ちょっと遅れましたけれどもどう もありがとうございました。これ終了後ですね、カクテルパーティーを準備しておりますので、ご参加希望の方はどうぞふるってご参加ください。では本日のこ の会議、閉会とさせていただきます。どうもありがとうございます。 

    どうもありがとうございます。カクテルパーティ、先程コーヒーを召し上がっていただいた場所ですので、そちらの方によろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

     

 

開催日:2007年8月3日(金)

会場:クラウンプラザホテル

時間:午後2時から6時

2007年上期業種別部会長シンポジウム

総務/企画戦略委員会共催

 

  • 司会の言葉


    篠原一宇副総務委員長

     

    皆さんこんにちは。時間となりましたので、ブラジル日本商工会議所総務・企画戦略委員会共催の業種別部会長シンポジウムを開催いたします。私は進行役をつとめさせていただきます総務委員会の篠原です。よろしくお願いします。

    今日のシンポジウムは2時から5時半までとなっておりますので、スケジュールに沿った運営となりますよう、皆さまのご協力をお願いいたします。まずはじめに田中会頭からごあいさつをいただきます。よろしくお願いします。

  • 挨拶 田中信会頭


    田中信会頭

     

    皆さんこんにちは。本日は当商工会議所のメインイベントであります業種別部会長シンポジュームに、ご多忙中にもかかわらず多数ご出席を頂きまことにありが とうございました。特に本日は、大使会議に参加され日本から今朝早く到着された島内大使も、長旅でお疲れにもかかわらず、特別にご参加をいただいておりま す。また本日は、西林総領事がご帰国中で、代わりにご多忙中にもかかわらず丸橋首席領事以下サンパウロ総領事館の皆様にいつも通りご参加いただいておりま す。特に丸橋首席領事には最後に講評をいただくことになっております。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

    このシンポジュームは一年2回、年初と年央にブラジル経済の回顧と展望を行うことになっており、今回は2006年を回顧し2007年の展望を行うものであります。
    古い方には繰り返しになり恐縮ですが、新しい方が大分増えられましたので、最初に、シンポジュームの簡単な歴史をご紹介しておきたいと思います。

    現在の皆さんには想像されるのが難しいと思いますが、今から30年前、1970年代初め「ブラジル経済の奇跡」といわれた時代、欧米企業に伍して日本企業 も怒涛のようにブラジルに進出しました。まさに殺到するという表現がふさわしい状況でありました。当会議所もそれに呼応して組織改革を行い、業種別に10 部会が創られ、会員はいずれかの部会に所属することが定められました。

    私事にわたり恐縮 ですが、その時ここに居られる山田監事会議長と私がコンサルタント部会創立に参画、私が初代コンサルタント部会長に選任されました。我々はコンサルタント 部会の行事として、コンサルタント部会長が司会役となり、10部会長が年2回、年初および年央に集まって、ブラジル経済の回顧と展望をめぐって文字通り懇 談する業種別部会長懇談会を立ち上げました。出席者は10部会の部会長だけでしたが、懇談内容は会議所会報に掲載され、会員の参考に供されました。その後 会議所の組織に総務委員会が新設され、同委員長が司会して各部会長がそれぞれの業界の動向を発表し、討論する会議所の全体行事となりました。出席者も総務 委員会メンバーや常任理事が参加することになりました。さらに最近は総務および企画戦略両委員会の共催となっております。

    前世紀末のトヨタ、ホンダ両社の乗用車生産開始にともなう自動車関連企業の増加に対応して、2003年、機械金属部会より自動車部会が独立して現在11部会となっております。

    同じく2003年より、「開かれた会議所」の基本方針に従い、部会長懇談会を会員全員はもちろんのこと、一般のブラジル社会にも開放し、日本語の理解が難 しい参加者のため、ポルトガル語の同時通訳も用意し、希望者は誰でも参加できるようにいたしました。設立以来継続してきた部会長懇談会という名称も前回の 昨年8月3日の会より「業種別部会長シンポジューム」に変更されました。

    このように当シンポジュームは、30年以上の歴史を有する行事であります。変化の激しいグローバル化の時代ですが、会議所に現存する個別の現象、それぞれが歴史的背景を持っていることをご理解いただければ幸いに存じます。

    この会議では各業種別部会の代表者から生の声で、それぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長さんを中心に、自社業績や業界 動向を分析し、その結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定に極めて役立つものと思います。さらこのプロセスを通じてメンバー各社の親睦にも役 立つものと思います。さらに外部の企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ、数少ない信頼すべき生のデータと評価されており ます。

    最後にこのシンポジュームの担当である総務および企画戦略委員会、業種別部会および事務局の皆さんのご尽力と、会員各位のご協力に心から感謝の意を表しまして私のあいさつを終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会:田中会頭ありがとうございました。島内大使様からごあいさつを頂戴いたしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

  • 挨拶 島内憲大使


    島内憲大使

     

    島内でございます。ただいまの田中会頭のお話にもございましたように、私、今朝サンパウロに着いたところでございます。私ですね、東京に持っていった背 広、全部冬服だったんですね。それで、全部東京に置いてきました。ということで、ゴルフのコンペから直行してきたようなこういう服装で失礼します。

    私、1月の下旬に東京で中南米大使会議がございまして、引き続き1カ月間の休暇をいただきました。私はその間、政界、経済界、マスコミ関係の方々と懇談あ るいは、意見交換をする機会を持ったわけでございますけれども、全体としてですね、中南米とりわけブラジルに対する日本国内の関心が、確実に高まっている なということを確信しまして、たいへん勇気づけられて帰ってきたところでございます。

    ま あ、マスコミの関心は何かというと、中南米についていえばやっぱり左傾化現象、反米政権の出現ということだろうと思います。それからブラジルについてはや はり代理処罰の問題だろうと思いますが、少なくともですね、日本のブラジルに関心のある方々、あるいは有識者の間ではですね、ブラジルがBricsの一員 と位置付けられることと関係あると思うんですけど、ブラジルを等身大に見る傾向が非常に強くなってきたということが言えるんではないかと思います。

    私、先週ですね、再来週日伯経済合同委員会が当地で開かれるということもございまして、槍田委員長のところ、それから経団連にですね、打ち合わせを兼ねて ごあいさつに行って参りましたけれども、今年は例年になくですね、日本側の参加希望者が多いということでございます。これもまたたいへん心強いお話でござ います。ということで、こういう日伯経済関係の活性化の動き、それから来年の日本移民百周年、日伯交流年との間の相乗効果が期待できるような状況に現在 なっているのではないかと思います。

    そういう意味でですね、私は非常に日伯関係はいい状 況になってきているなということを日頃の仕事を通じて感じているところでございます。そういう意味でもですね、本日の部会別シンポジウム、非常に伝統ある 行事というふうにうかがってますけれども、今年のシンポジウムは非常に、特別に時宜にかなっていると。特別の意義をもった会合になるのではないかと思って おります。

    私はですね、各部会長さんのお話をうかがって、個人的にもいろいろ勉強させて いただきたいと思います。今日はこういう飛び入りの形で参加させていただいて、本当にありがとうございます。本日のシンポジウムが実り多いものになること をお祈りして私のあいさつとさせていただきます。

    司会:大使ありがとうございました。発表に入る前に、時間のコントロールの方ですけれども。時間はですね、何分残っているということではなくて何分経過したという表示ですね。よろしくお願いします。では、コンサルタント部会渡邉部会長さんにお願いいたします。

  • コンサルタント部会


    渡邊裕司コンサルタント部会長

     

    皆さんこんにちは。ジェトロの渡邉でございます。10分しか時間がないので本論に入りたいのですが、その前に一言ですね、昨日たいへんあの、日伯のビジネ ス関係を展望する上でたいへん嬉しいニュースがございました。エンブラエルが日本への航空機の売り込みに成功したと。関係の日本企業の方々の努力の結果だ と思います。

    ここに、たいへん嬉しいという気持とですね、たいへん日伯には良いことだと いうことを言いたいと思います。何故良いことかといいますと、日本ではブラジルは意外と真実の姿を知られておりませんで、やはりその、農業国、資源、まあ サンバだとかカーニバルだとか、サッカーのことしか知らない人が多い。

    多分ブラジルが航 空機の輸出国だということを知っている日本人は人口1億2,000万人のうち多分数百人とか数千名単位、ブラジルと関係のある仕事をした人しか知らないん じゃないかと思うんですね。そこが非常に、ビジネスが本来あるべき水準に達していない要因の一つではなかろうかと私かねがね思っておりまして、まあジェト ロといたしましてもブラジルの正しい姿をどうやったら日本に効果的に発信できるかということを常に考えて参りました。

    しかしこういうニュースが日本に広まりますと、私もこの良いニュースをずいぶん日本の友達にEメールで流しましたら、早速返事がありまして、え、知らな かった、知らなかった、知らなかったと。ある神戸の中小企業の経営者はですね、この間オーストラリアとロシアにビジネスで行ったけど、あの国は格好いいけ ど中身見るとコモディティで食っているような国でしたけど、まさかブラジルが航空機を輸出しているとは知らなかったと。

    そういう反応でございました。従いまして、来年百周年を迎えますけども、百周年の節目に日伯がビジネスの面で距離を縮めるにはやはりこういう視点、視点というか軸というか、共通テーマをですね、我々認識しておかなければならないんじゃないかというふうに思います。

    それからもう一つ、ドルの下落が続いておりまして、薄給の中で我々もたいへん厳しい生活をしているんでございますけれども、これはその、ブラジルの産業構 造にですね、いい面でのインパクトも多分与えるんじゃないかと思うんですね。まあ悪い面もございます。守りに徹している軽工業の部門とかたいへん困ってい るわけですけども、しかし、今日のシンポジウムの最後に触れたいと思うんですけど、アジアの時代に向かって日伯がどういうことをアジアで連携できるか、そ ういうことにもつながってくると思います。

    こういう場所でこういうことを言っちゃいけな いかもしれませんけど、中央銀行というのは、やるべきことをやっていない面も大分あるように思います。まあ金利水準もそうですね、政策金利も本当に13% なんていうレベル。あるいはその、強制預託金、これその53%というちょっと信じられないような預金を凍結して使わせないという、こういう締める、通貨を 締める政策、本当に正しいのかどうか。

    一方その、マネーベースをぐっと緩めておいてです ね、出口の方を塞ぐとかね、どうもその一貫性がないような感じがします。為替管理もそうですね。入口を広げておいて出口をちょっと絞るようなことをすれ ば、それはドルが入ってきて出られませんからね。だから、やるべきことをやっていないようなところも若干あるんですけども、しかし、このドルの下落、レア ルのこの強い通貨というのがですね、ブラジルの産業構造にいい面も与えるんじゃないかというふうに思っております。

    今日はあの、我々はアジアの時代を迎えているということをやっぱり基本認識すべきじゃないかと思います。これは今日の話の中身でございます。今も将来も やっぱりアジアの時代だろうと、21世紀は。私はそう思います。でそのアジアの中で、日本とブラジルというのはどういうことができるのか。皆さん企業は今 地球規模の戦略で物事を考えておられますので、私みたいな評論家きどりの人間がこんなところでこんなことを喋ると笑われそうなんでございますけども、若干 触れたいと思います。残り時間まだ7分くらいですか。

    それで、まず結論から言いますと、 中国の、東アジアといってもいいかもしれませんけど、中国の持続的な発展というのは世界経済にとっても不可欠。あのへんが今崩れるとですね、アメリカも EUも日本もガタガタになると思うんですね。まあその逆もそうでしょうけども。それくらい今、アジアのサステイナビリティー、中国のサステイナビリティー というのは非常に世界にとってクルジアンな問題になっている。

    で、ここが問題だと思うん ですが、中国がやたら今目立ってますね。で日本は霞んでます。よくブラジル人に言われるんですが、俺は去年中国に5回行ったけど日本には1回しか行ってな いと。これは僕まずいなと思いましてね。よく考えてみると、実はその東アジアとか中国を支えているのは、やっぱり日本の資本と技術という部分が多いんです よ、ものすごく。だけ、とは言いませんけど、ここをやっぱりついて、我々がPRしなきゃならないところがですね。そうじゃないと、何だか外から見てて日本 は何もしていないように思われても困る。それからアジアにおける日伯の商機、ビジネスチャンス、これはあると思います。これが結論でございます。

    それでその、今なぜアジアかというその理由ですね。世界経済の機関車だと。これは、これを見てもらえば分かります。東アジアの成長率、ずっとこう書いてあ りますが、その寄与度、その成長にどれだけこの地域が寄与しているか。これを見て下さい。2002年度36.9%ですよね、寄与度。まあ Brics49.5%と書いてあるけど、これは中国を入れての話ですね。32.4%、26.8%、30.3%。世界の、やっぱり一番大きいんです。世界経 済を引っ張る機関車の役割をしていると。

    それからもう一つは、日本経済が復活した。こ の、日本経済が復活したという理由は、まあ3つの過剰を改修したことでしょう。企業努力でですね、過剰設備、過剰雇用、過剰債務。それから、それとともに ですね、中国と日本の経済交流が拡大した。それから政府の努力もございましたね、小泉政権。金融システムの不良債権を処理した。で「民は官に頼るな」とい うメッセージを小泉総理が発したんですよね。

    小泉政権で民営化といったって何やったとい うと、民営化なんか2010年から始まるんじゃないかというふうにアレしますけど、まあしかし、「もう官に頼ってくれるな」というメッセージはあったと思 います。政府の財政改革の強い決意。で民営化が大きな目玉が動き出したと。

    それから対内 直接投資ですね。今ジェトロは外国企業の日本への誘致をやっています。これはあの、2003年に小泉総理が、向こう5年間で対内直接投資残高を倍増します ということを施政方針演説で言って、そのための内閣の中に対日投資会議という内閣総理大臣を議長とするものを作りましてですね。そしてその中心的な作業を ジェトロに命じたと。ジェトロ一元的にこれをやれと、日本で仕事する外国企業のいろいろなクレームを集めて、各省庁をまとめるから対日投資会議に上げてく れと。そういうようなことでございました。

    それから、東アジアにやっぱり直接投資が流れている。この流れがずっと続いているということですね。東アジアに2005年を見ると1,520億ドル、伸び率24.3%、シェアー15.8%で、まあEUより劣りますけども、アメリカをしのいでますね。
    そ れから世界輸出の20%が東アジアに行っている。これはまあ、数字をいちいち申し上げるまでもございません。世界貿易の20%以上が今東アジアに、この東 アジアというのはASEAN10カ国プラス日中韓でございます。これが占めている。それから、ここが非常に大事なところであります。

    今、東アジア自由貿易協定をやろうやろうと言ってやってますけども、実は事実上の貿易統合、経済統合は進んでいるんですね。それはどういうことかという と、過去19年間を見ると、世界貿易というのは4.8倍伸びたんです。ところが東アジアの域内貿易というのは、域内貿易ですよ。これは9.7倍のスピード で増えているんですよ。世界貿易のスピードの二倍近いスピードで超えているんですね。

    こ れはEU、NAFTA超えているんですよ。域内の貿易ですね。ですから事実上の生産分業、貿易統合は進んでいると。事実上の市場統合が進んでいると。これ はデファクト統合と言うんですけど。それで、域内貿易の比率もこういうことで、NAFTAを超えたと。東アジアはNAFTAを超えた、まあEUにはさすが に及びませんけども、そういうことで事実上の統合が進んでいますよということですね。

    で、将来もなぜアジアかと。将来、本当?と。なぜかというと、実はジェトロの見るところ、2015年ごろにですね、東アジア自由貿易協定というのがたぶん 成立するだろうというふうに読んでます。今、その流れに向かって、ASEANと日本、ASEAN・韓国、ASEAN・中国、ASEAN・インド、それから ASEAN・豪州ニュージーランド。これがそれぞれ自由貿易協定を結んで最後はいっしょくたに、16カ国いっしょくたになろうという流れで進んでいます。

    ただちょっと正確に言いますとですね、このASEAN10プラス日中韓プラス3、ASEAN プラス3にプラス3、インド、豪州、ニュージーランドを加えるというのは政府のひとつの方針ではございますけども、これASEANとか中国があまりいい顔 をまだしてません。あの、ちゃんとまとまっていない。これはですね、インドやオーストラリアが置いてきぼりになるのが嫌でそういう事を言っているというの もありますけど、やはり、アメリカという国もあるんですよね、

    アジア太平洋国家として。 アメリカがこの、流れを見てですね、ひょっとしてこれ置いていかれるんじゃないかと思って、アメリカが最近、去年言い出したのは、APECをFTA化して くださいと。APEC、環太平洋経済協力体というのがございますよね。あれを自由貿易圏にしろと。自分達が入ってますから、カナダ、ペルーも入ってますか ら、チリも入っておりますね。で、これあの、すぐそういう流れになるかどうかは分かりませんけど、まあアメリカそういう牽制球を投げてきているというとこ ろでございます。

    でちょっとここでですね、ああもう時間来たんですね。結論行かなきゃだめですね。
    あの、アジアでですね、日伯関係どういうこと考えられるかというと、ブラジルと中国の例えばですね、ビジネスが拡大すると、ここにいる日本企業のビジネスチャンスも増えるんですよね。もう増えている兆しがあります。

    で、それだけじゃなくて、例えばの話ですが、先ほど私、レアル高の話しましたけども、今あのブラジルの工業製品というのはちょっと守りの姿勢です。いやあ の、レアルが高いとかなんか言って文句ばっかり言ってます。しかしこれですね、生き延びるためには文句ばっかり言っていられないですよね。

    いつ攻めに転じるか、その時例えばですね、靴でも繊維でも家具でも、いま困っている業種は、付加価値化に行かざるをえないと思うんですよ。なおかつ生産拠点を東アジアに移すかもしれない。もうペトロブラスとかエンブラエルは行ってますよね。

    その時に日本も、当然東アジアという土俵の中に日本はいるわけですから、日伯の連携の可能性というのはものすごく高まるんですよね。ブラジルはまだ幸いに してこういう豊かな国ですから、アジアの方にはあまり目が向いてないけど、これは当然そういう流れになってくるだろうという話でございます。以上です。ど うも、時間ちょっとオーバーしちゃって、13分ですね。

    司会:あの質問ございますか。じゃあありがとうございました。続きまして、金融部会の米倉部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

  • 金融部会


    米倉立二郎金融部会長

     

    皆さんこんにちは。金融部会の南米安田保険、米倉でございます。時間の関係もございますんで、前置きなしで始めさせていただきたいと思います。2006年 の回顧と2007年の展望ということでお話しますが、金融経済情勢一般と銀行業界、それと保険業界。二つに分けてご説明させていただきます。

    まず金融経済一般情勢と銀行業界の回顧でございますが、2006年はここ2年ほど順調に、経済規模を拡大してきたブラジルの経済がですね、国際経済の変動 という試練を経験しつも、いわゆる安定性といいますか、経済の底堅さ、これを実証した年だというふうに言えると思います。ここで主な経済指標、これを出し ておりますのでそっちを見ていきたいと思いますが、インフレ率ですね。これは堅実な金融政策もございまして、まあ3.14%と、中銀の目標値4.5%を大 幅に下回っています。一方、高金利、レアル高ということもございます。

    それから経済成長に必要なインフラ整備、このへんの遅れから、GDPの成長率、これはまあワールドカップや選挙というかなり大きなイベントがあったんですが、結果としては政府の目標を相当下回る2.7%程度、ここに留まったと。

    それから為替と株でございますが、昨年の中間期におきましてブラジル経済ふくめまして世界経済に対する懸念材料がいくつかありまして、具体的には原油価格の高騰によるインフレリスク、それから米国の高金利ならびに米国の経済の減速感ですね。

    それと三つ目が過剰流動性の供給基地であった日本の金融政策の動向ですね。このあたりがかなりのリスクだったわけですが、結果的にはまあ比較的穏便に収 まったと、収まる形だったんで、まあ世界経済の大きなネガティブインパクト、これは避けられたということです。このブラジルでもですね、途中では対ドル レートでレアルが一時2.4台、それから株式のボベスパ指数でいきますと32,000ポイント台まで落ちたんですが、年末にはそれぞれここにございますよ うに2.14、4,4473ポイントと、かなり回復しているという状況です。

    それからま あ、貿易収支につきましては、高金利レアル高にもかかわらず、輸出についてはブラジルからのコモディティ輸出が非常に好調でございまして、貿易黒字は 461億ドル、それから外貨準備も対前年60%あまり増加しまして、858億ドルまで積みあがっているという状況ですね。それからカントリーリスクを示す エマージング・マーケット・ボンド・インデックス。この指数もですね、前年末の306bp、これが昨年末は192。で昨日見てみますと175ポイントまで 落ちてますので、相当カントリーリスクは下がっていると、こういう状況ですね。

    で、 Selicの金利でございますが、まあインフレ率の低下の結果、中銀も段階的に政策金利を引き下げておりまして、年初これ18%あったんですが、年度末は 13.25まで低下しています。それでもまだ、これを見てお分かりの通り実質金利は依然非常に高い水準ということで、経済成長の阻害要因のひとつというこ とは間違いないということでございますね。これが大体の去年の状況でございます。

    で、銀 行業界を見ますとですね、特筆すべきは貸し出し総額の大幅な増加でございまして、一番上に書いてあります通り、全体で20.7%増えてます。7,328億 レアルまで達しております。このうち法人向けがですね、17.6%の増。個人向けがなんと23.6%増えておると。特に不動産ならびに自動車購入ローンで すね、この伸びが非常に顕著ですので、これは使う銀行の好決算に非常に寄与しておると、こういう状況でございます。

    一方で急速な貸し出しの伸びということはですね、支払いの遅延、いわゆる不良債権ですね、この増加にもつながっておりまして、法人ではここにありますよう に2.7%、それから個人で7.6%という比較的高い数字になっておりますが、これはまだまだ銀行の貸し出し金利が高水準にとどまっているという一つの要 因かというふうにも思われます。

    引き続き2007年の展望でございますが、今年の最大の 注目点、これは当然二期目のルーラ政権の経済運営ということになります。目玉としましては、1月に発表された例の成長促進プログラムのですね、まあここに ありますように、より大きな投資を通じてGDPの成長、これを刺激するという目的があるわけでございますが、まあ一般的に言われていることは減税措置への 失望感、それからシナリオの実現性ですね。

    これの疑問が非常に出ておると、財源はどうす るんだということで、必ずしも市場の評価はそれほど高くなっていないと。したがって今年の金融経済動向としましては、このプログラムの動向をもちろん見て いかなきゃいけないのですが、引き続き外部要因、いわゆる米国経済の状況あるいは中国の経済成長の持続性、こういった外部要因を十分ウオッチしていかない といかんという状況だと思います。

    続きまして中銀の集計によります今年の各種指標それか ら数値予測、これをここに載せております。でまあ、インフレにつきましては堅調な経済にもとづく内需拡大、これが予想されますので、消費者物価指数、これ も昨年の1・4%から上昇が見込まれていまして、ただし政策金利の方はですね、昨年より慎重に引き下げられるという見込みですので、本年は結果としては、 ここに、3・97%ですか、というインフレ予測が出ているということでございます。

    それ からSelicの金利、昨年末は13.25だったわけですけども、引き続きもちろん引き下げ傾向でございますが、まあインフレ抑制とこれが強くでておりま すので、やや緩やかなものになるという見込みで、年末時点では11・5%、これを見込むと。それから経済成長率でございますが、金利引下げ効果もございま すので、昨年の2・7%台、これよりは当然行くだろうということですが、当初の政府のシナリオ、4.5%ですか、これはとても無理で、まあ3.5%程度と そういう予測でございます。

    それから貿易収支でございますが、輸入は当然レアル高が続き ますので、まあ20%以上の伸びが予想されますが、一方輸出もですね、引き続きましてコモディティ価格、これは高止まりという状況でございますので、金額 ベースでは10%程度伸びるだろうということで、昨年にはおよばないものの、390億ドルくらいの貿易黒字、これが出るだろうということですね。

    それから直接投資につきましても、引き続き相応の伸びが期待されるということで、まあここにある通り170億ドルの予想。それからレアルの対ドル為替相場 でございますが、まあ先程来申し上げているようにカントリーリスクはどんどん低下傾向と。それから金利につきましても、13.あるいは11.5。いずれに しろ、まだまだ高い水準にございますので、ブラジルへの資金流入ですね、これは続くでしょうということで、まあこの資金流入が、レアル高を下支えしてしま うということもありますので、大幅なレアル安ということはよほどのことがない限り考えづらいということで、年末時点では2.18レアルというのが予想とし て出ております。これはあくまでも中銀集計の市場の予測でございます。

    でまあ、07年、 銀行業界、ちょっと書いてございませんけども、金利は低下予想されるもののですね、堅調な経済動向、それから個人所得の改善、こういうものもございますの で、まあ預金は増加して貸し出しも期間の長期化ということで、総額では引き続き増えていくだろうということ。さらに不良債権の比率、これもですね、昨年相 当高くなったんですけども、今年は若干縮小するだろうという見込みでございますので、大手銀行にとっては引き続き、ある程度favorableな環境かな というふうには見ております。

    これだけで終わってはおもしろくないので、一応金融部会に 属する銀行さん4行さんにお願いして、今年 6月末時点でのSelicとレアルの対ドルレート、これを予想してもらいました。一応匿名ベースでございますけども、結果はこのシートの通りでございまし て、おおむねSelicは12.25から12.5、12.25というのが一番多いですね。それから為替レートは2.0から2.15、まあこのあたりにおさ まるのかなと。数値としてはそれほどサプライズがある数字ではございませんが、一応皆様のご参考に供したいと思います。

    引き続き保険業界の方に移って参りたいと思いますが、2006年の業界の統計数値を見てみますと、この表の通りでございまして、全種目の収入保険料、これ は収入保険料の一番下のほうの合計を見ていただきますと113.2%、つまり13.2%増加しております。つまり市場全体は非常に拡大傾向にあるというこ とでございます。

    まあこのうちなんといっても大きいのが、一番上の自動車保険でございま すね。収入保険料の絶対量でも、それから伸び率これも15.4伸びておりますけども、これで見ても、やはりダントツに自動車保険が大きいと。それから右側 の損害率という方を見て頂いても、自動車保険の65.3%ということで、他種目を圧倒して悪いということでございますので、したがってブラジルで保険の商 売をするにあたりましては、自動車保険をどうするかというのが、一番の保険会社の大きなテーマでございます。ここで失敗すると大赤字をくらうと。でまあう まくやれば儲けのチャンスも大きいと、こういうような種目でございますね。

    それから表の 一番右下を見ていただきたいんですが、損害率ですね。これが合計で3.4ポイント改善というふうに出ております。これはどういうことかといいますと、まあ ある程度保険料率が妥当な方向に矯正されつつあると、改善されつつあるということを示しています。じゃ具体的にはどういうことかといいますと、リスクの高 い契約には、それなりの高い保険料を取るようになりつつあるということでございます。

    た だしこれは裏を返すと、本当にリスクの低いものは、すごく保険料が安くなっているかというとまだそのレベルまでなっておりません。高いものはなるべく高く 保険料を取りましょうということですので、まあ皆さんの中にもですね、俺の自動車保険は、全然事故もないのになんでこんなに毎年毎年高いんだというご不満 もあるかと思いますが、残念ながらブラジルの保険マーケットはですね、まあ欧米あるいは日本のように、きめ細かく保険料率体系というのは出来てきておりま せん。

    いわゆるその、リスク細分型といいますか、そういう保険料体系にまだなっておりま せんので、でもちろん保険会社各社ともですね、できるだけやっぱり悪いものには高い保険料、それからいいリスクについては、どんどん安くという方向で努力 はしているんですが、まだまだこれからということでございますので、まあもうしばらく、そのあたりご辛抱いただければというふうに考えております。

    2007年の展望でございますが、今年も引き続き市場は拡大傾向にございます。さきほど申し上げました通り、リスクの大小によりまして、保険料率の格差も 拡大していくと考えられます。また、もう一つですね、大きなインパクトになりますのが、ブラジルの再保険市場の自由化という問題がございます。再保険とい いますのは、私ども保険会社が、さらにリスクヘッジするためにかける保険でして、まあロンドンやスイス、ミュンヘン、このあたりの大手の専門会社が有名な んですが、ここのブラジルではですね、半官半民のブラジル再保険公社と、イルビと呼んでおりますが、ここの一社独占になっております。

    で、従来からですね、債券市場を自由化して競争原理を導入して、結果的に元受保険市場の引受け条件の拡大、あるいは両立競争、もっと自由にすべきだと、こういう議論があったわけでございますが、これがようやく今年1月になって動き出したということでございます。

    まあただし、これまでに決まったことはですね、スライドにあるようにですね、とりあえずイルビの独占をやめましょうと、それからただし6年間はイルビに一 定の既得権益を確保しましょうということだけでございます。であと、いつから、どのようにとかですね、具体的なスケジュール、あるいはその施行細則です か、こういったものは全くこれからの状況でございます。

    したがって、これから国内に何社 くらい再保険会社ができるかとかですね、海外の大手がどのくらい出てくるかと、こういったことはまだ見えません。で、まあ再保険につきましては、一般の方 にはあまり馴染みがないというふうに思いますので、まあ自由化によってどのような変化がもたらされるかということを、ここにちょっとスライドにまとめてみ ました。

    上の方がこれまでということで、まあイルビが独占していた。これからは下の方 に、ちょっとばらばらになりますよということなんですけども、独占が崩れてブラジルで再保険の競争がはじまりますと、これは確実に元受の保険業界にも影響 が出てきます。つまり再保険料率というのはですね、特に大規模の企業物件ではですね、ある意味その元受会社にとっては、仕入れ価格みたいなものなんです ね。

    ここの再保険会社から仕入れる価格、これが競争によって安くなりますと、当然元受の 契約者に対する売値、つまり保険料ですね、これも変わってくるということですので、かなり影響が出てきます。ただし先程来言っている通り、いつからどれく らいというのが甚だ不透明というのが現状でございます。まあ今年の後半になればもう少しはっきり見えてくるのかなというふうには思っております。

    実際の元受料率への反映ということになりますと、まだまだちょっと先かなと。少なくとも今年中はまだ無理かなと、まあ来年以降ということになると思います が、少なくとも企業分野の大規模物件、大きな工場の火災保険ですとか賠償責任、あるいはプロジェクトものですね。こうした数百億単位のものについては徐々 に欧米なみの保険カバー、あるいは引受けレートですね、こういったものが適用される可能性も出てきます。

    そしてそれがまあ、さらなる保険市場の競争促進という方向につながるということはもう、間違いない事実だというふうに考えておりますので、今後もこの動向につきましては、できるだけタイムリーに皆様方のほうに、情報発信をしていきたいというふうに考えております。
    以上で金融部会の報告を終わらせていただきます。

    司会:質疑応答、ご質問ございましたらどうぞ。お受けいたしますので。じゃあ、ありがとうございました。

    続きまして貿易部会中村部会長様、お願いいたします。

     

     

  • 貿易部会


    中村純一貿易部会長

     

    貿易部会の中村でございます。それではブラジルの貿易に関する2006年の回顧と2007年の展望についてご報告いたします。 本資料はジェトロサンパウロセンターのご協力の下にブラジル商工省のデータをベースにして作成いたしました。

    まず貿易収支全般でございますが、2006年の貿易収支は、460億ドル7400万ドルの黒字となり、2003年以降4年連続で過去最高を更新しました。 レアル高にもかかわらず、旺盛な外需により輸出は1,374億ドルを記録し、一方輸入はレアル高で輸入しやすい環境に加えてブラジル内需拡大で913億ド ルと大幅に増加しました。

    次に輸出についてですが、輸出額の伸び率は2006年は 16.2%となり、2004年の32%増をピークに低下しています。また数量ベースでは伸び率は6.9%。にとどまっており、輸出の増加ペースは減少傾向 にあるといえます。品目カテゴリー別に見ますと、一次産品の輸出額に占めるシェアは29.3%。半製品のシェアは14.2%。完成品のシェアは54.3% となっています。

    まず輸出品目で個別の品目を見ますと、鉄鉱石および原油の輸出増加が顕 著です。数量ベースで見ますと、鉄鉱石が8.2%増にとどまっているのに対し、原油は34.1%増と、価格だけではなく実質的に輸出量の増加が見られま す。原油の輸出先としましては、上位三カ国、すなわち米国向け、チリ向け、それから中国向けが大幅な増加を示しています。

    半製品の輸出では粗鋼、パルプなど資源関連品目の輸出増加が目立ちます。その他では鉄鋼の半製品およびアルミニウムが目立っております。輸出額の半分以上 を占める完成品の中で、最も大きいのは乗用車の輸出です。乗用車は好調な国内市場の一方で、主にレアル高が輸出に響いてきたと見られます。乗用車の主要輸 出先はアルゼンチン、メキシコ、ドイツ、ベネズエラの順となっています。その他の品目では航空機および自動車部品および携帯電話が主要な品目としてありま す。

    輸出主要相手国別では米国、アルゼンチン、中国、オランダと続いております。各国向 け輸出品目の特徴を見ますと、米国では原油およびエタノールなどの資源関連の輸出が増加しました。アルゼンチン向けは乗用車、携帯電話、自動車部品など工 業製品が増加。中国向けは鉄鉱石、大豆、原油などの資源関連が好調です。

    輸出シェアを地域別に見ますとALADI向け、アフリカ向け、それから中東向けのシェアが増加している一方、米国、EU、アジアなどの主要地域が減少しております。
    次に輸入でございますが、国内市場が予想を上回るペースで拡大し、レアル高も手伝ったことを受けて、2006年の輸入は輸出と同様中銀の予想を大きく上回りました。カテゴリー別に見ますと消費財の伸びが特に顕著です。

    輸入全体の伸びに比べて、消費財の伸びが上回る一方、原材料、中間財の伸びが下回った点は、国内製造業の競争力不足であるというふうに考えられます。品目 別に見ますと、資本財では主要品目の工業用設備機械およびパソコンなどの事務・科学機器が、それぞれ高い伸びを示しました。原材料、中間財では化学・医薬 品、鉱物品、それから中間製品が増加しています。

    高い伸びを記録した耐久消費財では乗用車および家電製品である家庭用機械・装置がそれぞれ著しい増加を示しております。非耐久消費財ではとりわけ医療・繊維製品が大きく増加しております。

    輸入相手国別に見ますと、主要相手国は軒並み増加しております。上位は米国、アルゼンチン、中国と続きます。中国からの輸入は依然として電気・電子関連品目で増加が著しく、いまや輸入相手国第二位のアルゼンチンを追い抜く勢いです。
    輸入シェアを地域別に見ますとEU、米国がシェアを減少させる一方、ALADIおよびアジアがシェアを増加させております。

    次に対日貿易ですが、2006年における対日貿易は、輸出は38億8,400万ドル。輸入が38億 3,900万ドルと、輸出入ともに増加しました。ブラジルにとって対日貿易収支は4,500万ドルの黒字となっております。日本の国別シェアは、輸出が 2.8%、輸入が4.2%となっており、輸出としては第8位、輸入では第6位となっております。

    品目別に見ますと、輸出では鉄鉱石、アルミニウムなど鉱物資源の輸出が増加する一方、ここ数年アジアで鳥インフルエンザの影響もあり、増加を続けてきた鶏 肉は29.2%の減少を記録しました。鶏肉の輸出は全体でも減少しております。輸入では上位から順に自動車部品、ベアリング歯車、それから自動車用エンジ ンと続いております。顕著な増加を示したのは、自動データ処理装置それから航空機の部品などであります。

    最後に2007年の展望ですが、ブラジルの中央銀行が2006年の12月に発表した見通しでは、 2007年の貿易黒字は約350億ドルと予想しております。2006年に数量ベースでは,輸出の伸び率の減少傾向が鮮明になったものの、資源を中心に国際 的な価格は高水準を維持しており大幅な輸出減少は見込まれていません。しかしながらレアル高は自動車など一部の工業品輸出に徐々に影響を与えており、 2007年度はさらにその影響を増すと思われます。 輸入については引き続き国内市場の拡大とレアル高で20%以上の増加が見込まれております。以上でご ざいます。

    司会:ありがとうございました。ないようでしたら、中村さんありがとうございました。

    続きまして、化学部会の松尾部会長様にお願いいたします。

     

     

  • 化学品部会


    松尾新一郎化学部会長

     

    皆さんこんにちは。初っ端から,ずっと大きな話ばっかりでございまして、急に細かな分野に入ってまいります。貿易部会ではほんの、その他大勢の部会でございます。大体がですね、10社、9社の現業と商社さんを全部まとめまして十分の一です。ですから一枚一分間ですね。

    このプラスチック樹脂用着色剤、これはですね、輸送機向けと申しますか、自動車用が増大したと。それから原料高の価格への転換がうまくいったと。ただしマ イナス要因としては、過去にさかのぼって追徴があったと。それでも2006年の回顧としては売上利益とも予想以上に進展したと。それから今年の展望です が、売上利益とも進展すると。その根拠はですね、新製品のリリース、それから主に、自動車向けの好調さの維持拡大ですね、マイナス要因としましては、特別 にここの原材料供給ではないんですが、ここから、こちらで作って供給する、再加工する方が特にアジアからの製品との競合で、日用雑貨等の客先のところへの 供給がマイナス要因であろうと。全体としましては売上利益ともに進展するとこういう見込みでございます。

    二つ目、瞬間接着剤もしくはシール剤、これも主に自動車用のシール剤がうまく、好調であったというのがプラス要因。それから工業用もしくは小売用の瞬間接 着剤、これは大体横ばいであったと。プラス要因になったのは、レアル高、原料を輸入しておりますからレアル高と、それから値上げ努力、それからリストラが 寄与しまして進展したと。ただし中国品の攻勢は強まってきたと。今年の展望としましては、売上利益ともに進展すると。相変わらず自動車向けをメインとしま した好調さの維持拡大。それから最低給料も上がりましたし、大衆向けの瞬間接着剤の消費が増えるんではないかと。

    で、引き続きレアル高が続き、しかも値上げでき、それからリストラに励んでいけば進展するという根拠三つがあるわけですが、やはりここも中国品の増大が脅威になっていると、そういう業界でございます。

    次はロジン。あまり馴染みはないかもしれませんが、プロ野球のピッチャーが投げる時ロジンバッグって使いますね。あの滑り止めらしいです。これは松ヤニか ら作るらしいです。何するんですかって聞いたら何かどうも、高級な紙に混ぜますとインクがにじまないと。それから道路のセンターラインなんかを引くときの 塗料に使うと、こういうことだそうです。

    販売量は減ったんだそうですけども、売上は少し 増えたと。利益は10%以上ですけども、残念ながら予想した以上に上がらなかった。というのがですね、去年の展望の中には、選挙があると道路工事が増える と、道路工事が増えれば、あそこ今、マジナル・チエテでやってますけども、いっぺんアスファルトをきれいにしまして後、またセンターラインを引きますよ ね。あの部分の需要が多くてまかないきれないほどの好景気を予想していたんですけども、残念ながら予想以下であったと。

    この原料が50%近く値上がりしたんですけども、そういう高付加価値への品物への転化がうまくいって、原料値上がりにも関わらず、売上利益ともに伸長した と。今年の展望はですね、売上は進展すると。これで利益は変わらないというふうに見込んでおられるのは、まああまり多くない会社でございます。

    といいますのは、設備投資したそのコストアップのつけが回ってくるので利益がそんなに当てに出来ないであろうと。それから進展する根拠としましては、紙の 消費量が増えていくからマーケットが増えると。それから塗料および接着剤は成長基調にあるからという見込みでございます。

    4番目。医薬でございますけど、これ普通私どもが飲んだりする薬ではございませんで、これは医薬部外品といいますか、サロンパスさん、久光製薬さんです。 で、売上は大いに進展したけども利益は変わらないと。というのはやっぱり、こういう大衆薬ですとやっぱり販売促進用にものすごくお金がかかると。まあ、バ レーボールやってますけども、サロンパスカップは本社直轄だそうで、ブラジルにおっかぶせられたら、とんでもない大赤字になるんでそれは本社直轄だそうで す。

    市場規模は増えてて、それから大手チェーンへの進出、それから卸売り業界もその、 ちっちゃな薬局でなく、大きなドロガリアが増えてきていると。その分だけ商売をやりやすくなってきているんですけども、いわゆるイヤーエンドのリベートだ とか、販管費用がものすごく高くつくということで、一番下のマイナス要因、これが一番のネックですと。販売促進用の費用がものすごく増えてきたと。

    で、今年の展望についても、売上は進展するであろうと、ですが残念ながら利益は変わらないだろうと。いくら新製品を導入しても広告宣伝費ですね、それから販売促進費用のさらなる増大という経費増で利益はとんとんかなという見込みだそうです。

    高級化粧品。何か、わざわざ高級化粧品と言ってこられました。資生堂さんです。
    高 級化粧品と銘打ってですね、売上利益とも進展したけども予想以下であったと。販売政策を改善してうまくいったんですけども、税関ストでですね、物が着かず に、ノンデリと申しますか、引き合いはあるんですけども物が着かなかったと。こういうことで、実際にはもっと売れて、もっともうかったのに、予測以下で あったと。

    で、07年につきましては、売上利益ともに進展すると、ただし、その販売政策上うまくいけば、それからロジスティックスですね、その方向がうまく行けば進展するであろうと。ただし為替が不安定さがちょっと懸案事項だなとこういうことです。

    6本目。筆記具。これはパイロットペンさんです。売上利益とも予想通りに進展したと。これはも去年も繰り返しおっしゃってましたが、大統領選挙があるとな ぜか筆記具が売れるんだそうです。で、レアル高ですから原材料輸入費が安くついたと。ただし激安中国品、なんか十分の一の値段ぐらいらしいです。それに、 やっぱり売上が頭打ちになるところもあると。07年の展望につきましては売上利益ともに進展する。新製品の上市、それからレアル高で原材料が安く手に入 る。ただし激安中国品の攻勢はさらに強まるであろうという展望でございます。

    7番目。農 薬なんでございますが、この部会のメンバーで一番多い、イハラブラスさん、アリスタさん、クミアイ化学さん、日本ソーダさん、それと私どもの住友化学、5 社。だいたい化学品部会の四割以上を占める会社なんですけども、売上が減少しまして、利益は大激減と。過去40年来で最悪でした。

    農産物の値段が安いと、それから農薬市況も約20%ダウンしたと。レアル高というのはですね、これはカマン・プラクティスなんですが、ドルを基調にしまし て、その時のレアルの値段で伝票を切ると、それから三百日もしくは三百六十日後にデューデイトが来た時のレアルとドルの値段で、例えば百ドルで今2・1だ からじゃあ210レアルですよと伝票を切ります。

    で来年の三月から五月にデューデイトが 来た時にですね、これがですね、例えば1.5になってたら 150レアルしか入金してこないとこういうことです。それから滞留債権の農民救済政策、去年ございまして大統領選挙の前に。払わないんですね、収穫払いで ございますが普通、払ってくれないんですよ。

    で、あの、政府からの援助があるからという ことで銀行からの貸し出しを受けて、メーカー側に払ってくると、こういうことがございまして、これをあてにするもんですからデューデイトが来ても払わない と、で滞留債権が非常に多かった。もうこれ以上に、のけぞるようなこともあったんですが、今回は割愛します。今年の展望については、昨年ほど悪いことはな いだろうということで、両方ともに進展すると。

    G品と書いてありますが、ジェネリック品 ですね。これはオフパテントのミートゥー品と申しますが、これの圧力がさらに上がってくるだろうと。で安くなりますので。それから、レアルの安定を希望す るというのが・・もう十分ですか。えっと、もっと悲惨な。先ほど中村さんがおっしゃいましたように、鶏肉の輸出が三割ちかく減っておると。飼料添加物、鶏 用なんですが、売上は増えたんですが、これも利益は大幅真っ赤っ赤でございます。この背景についてはマイナス要因ばっかりと。

    07年の展望につきましては、売上を横ばいにすると、あまり出さない。で、マーケットの方も生産調整にあたっています。でまあ、利益は、進展しない限り は、まあこれ私どもの商売ですけども、こんな、進展しなかったらクビですな。で、輸入価格の改定に今、本社とせっせとネゴしております。次、これも私ども ですけども、あまり大きな声では言えないんですけども、一応去年は進展して予想以上であったと。ここのG品もやはりジェネリック品でございます。天候、雨 が多くてじめじめしていて蚊が多かったというのは私どもにとってはプラス要因でございます。

    今年の展望はですね。ともに進展すると。まあ新製品の新規登録というのはあるんですけれども、デング熱ですね。デング熱が出ると、住友化学がもうかるとい うのがありましてですね。蚊ががんばってくれると退治のためにですね、エアゾールもあるし、幼虫防除のためのリオデジャネイロ、今年はどうも7月にパンア メリカンオリンピックがあるらしくて、リオデジャネイロのムニシパリティーががんばって、蚊の幼虫防除がんばってくれるそうなんです。

    で、ということは私どもにとっては商売のチャンスがまた増えるであろうと。それからエルニーニョで、今年皆さんも経験ございますでしょうけど、じめじめし てますですね、あの、ということは、水溜りが多ければよく出ると。それからそこに古タイヤなんかがありますと、熱帯シマ蚊がたくさん発生しましてですね、 さらにデング熱が広がると。こういうことでですね、あまり大きな声では言いたくないんですが、こういう人間生活にマイナス要因がございますと、住友化学の 家庭防疫薬、これは小さなマーケットでございます。三百万ドルから五百万ドル程度でございますけれども、これがプラスに傾くということでございます。

    えっと、10番目がですね、商社さんのですね。今までは、9社はセグメントごとの現業を申し上げましたが、商社さんの化学品の貿易につきましては進展して 予想通りですけども、利益は変わらないと。で、背景のプラス要因とマイナス要因がございます。07年の展望につきましては、商社の皆さんでございますか ら、進展しないなんていうと、社長どもに起られますので皆、進展しますよ、とこう言っております。新規取引の拡大と、まあ商社の方々ですからFTAの脅威 につきましては、テイクノートお願いしますということでした。

    それで、トータルとしまし て、化学品部の総合といたしましてですね、売上進展したのが90%。減少したのは一社だけです。大幅減少、利益が大幅減少したのは農薬会社でございます。 それから飼料添加物でございますね。この二つが大幅減少でございます。で、予想以上というのが少なくて、まあ予想以下であったというのが半分です。今年の 展望についてはですね、ほとんどが進展すると、まあ展望しなきゃ今年一年やっていけないというのが皆さんの正直なところではないかと思います。以上でござ います。

    質問:ジャパンデスク・高山
    ジャパンデスクの高山と申します。発表の 内容に関する質問というわけではないんですが、昨今ブラジル経済界の中で、非常にまあ世界から注目されているバイオ、バイオエネルギーとか、まあエタノー ルとか環境ビジネス等々についての、その分野に関してですね、これ業種の中から言うと、やはり化学部会の守備範囲になると思うんですが、今発表いただいた ようにカマラの会員会社にはバイオをやっている、化学部会の中にはいらっしゃらないということで、そのレポートが中々上がってこないんですけども、まあそ の、これだけブラジル国内でも注目されているし、日本とブラジルの経済関係から言っても、これが今核になろうとしているという現状を見ますとですね、この 部会長シンポジウムの中でやはりバイオというもの、あるいは資源、CDMも含めまして、環境ビジネスに関しての発表というのがないとですね、何か片手落ち なような印象があるんですけども。

    まあこれは化学部会への注文というよりも、カマラ全体 あるいは総務委員会さんへの要望というようなことになると思うんですが、カマラの会員の中でもですね、フレックスをやっておられる自動車関係、それから総 合商社さん、それからCDM関係では銀行さんと、等々その、直接間接に資源に関して関わっていらっしゃる会員たくさんいらっしゃると思うんですが、そう いった方々の情報なりご経験なりを結集してですね、ぜひこのシンポジウムの中でも今後ぜひ取り上げていっていただきたいというふうに思うんですが、いかが でしょうか。

    松尾:化学品部会ではございませんね、これ。どちらかといえば、貿易部会に なるのかなという。私どものところは、ひとつひとつの分野が細かすぎますので、農薬、サトウキビ用の農薬を売ったところで、それは化学品ではありますけど も、その先は砂糖になって食料品になるのか、エタノールになってどう行くのかは。それからトウモロコシも、飼料用になってくれば、私どものところになりま すけども、アルコールになってくれば化学品部会ではないと思います。おそらく貿易部会じゃないかと思います。よろしくお願いします。

    宮田:それは私の方から。企画戦略委員会を担当しております、住友商事の宮田でございます。あの今のようなお話のご要望に関しましては、内部で話している 時にもですね、この、部会ベースで括っていくともれてしまうところがあるなということは、そういう話は出ておりまして、あの、まあ来年以降何とかそういう 分野も、カバーできるような形をですね、考えたいと思います。今回に関しましては、その部分カバーされておりませんでまことに申し訳ないんですけども、来 年以降、必ずとは申し上げられないんですけど、極力改善するようにいたします、ということでお許し願えればと思います。

    司会:よろしいですか。機械金属部会嶋末部会長さんにプレゼンをお願いいたします。

     

     

  • 機械金属部会


    嶋末繁機械金属部会長

     

    前半の最後を承ります、嶋末と申します。それでは機械金属部会の報告をさせていただきます。総括しますとですね、好調な企業あり、不調な企業あり、悲喜こ もごもといったところでございます。いろんな分野の企業が入っておりますけども、今日は7分野の説明をさせていただきます。

    まず、製鉄と鋼材販売関係でございます。こちらのグラフが粗鋼生産量。こちらが鋼板の販売量でございます。2004年は最高を記録した年でございます。 2005年、2006年は下がっております。で、2006年の回顧でありますが、製鉄所、ミルはフル操業をしております。ただし、CSNの高炉が半年にわ たって事故で、停止したということもありまして、生産量は落ちております。

    それから、板 の販売ですが、好調なのは自動車、電気電子、建設等が好調。そして減ったところは容器、缶、それから農業機械、こういうところが減っております。なお 2010年までにこの粗鋼生産量を5000万トンまで増やすという目標で現在各メーカーとも増産の投資中であります。また今世界中で鉄鋼の再編が盛んに行 われておりまして、目が離せない状況であります。

    今年の展望でございますが、CSTとか Gerdau、ここが高炉を稼動させますので、粗鋼の生産は2割近く増えることが予想されております。板の販売に関しましては、自動車、あるいはガスパイ プライン、こういうところが好調でありまして、それに加えて、政府が発表しましたPAC、経済促進法案ですか、これが出ましたので需要増が期待できるんで はないかなと。ただしクエスチョンマークであります。まあこういう状況で国内は増えると見ております。それから板の生産量は限られておりますので、国内が 増えれば輸出は非常にタイトになるのかなという見方でございます。

    続きまして電力プラン トのうちの電力。大体ブラジルの発電量は百ギガワット、日本の半分くらいでございます。ブラジルの特徴はですね、水力発電が7割を占めておるという状況で ございます。で、現時点で好調なのは、全国に送電網を張り巡らして、融通をうまくやっていこうということで、変電送電事業は活況でございます。

    しかし、この電力の需給は2008年までは、バランスがとれるということが予想されておりますが、それ以降、電力不足が見込まれております。それで、先程 のPACの中には、発電案件が大小500案件くらい含まれてはおりますけども、実現性はクエスチョンマークでありまして、実際問題として現時点で発電案件 はほとんど動いておりません。

    続きまして石油化学プラント関係。このグラフはペトロブラ スの生産量の推移と計画であります。 2006年は原油につきましては自給100%を達成しております。ペトロブラスは、10年後の2015年には原油を、これ1.8倍くらいになります。ガス は2.6倍くらい増産するという計画がございまして、現在巨大な投資を継続中であります。部会のプラントメーカーにはですね、リファイナリー向けのボイ ラー、あるいは加工機等の引き合いがたくさん来ておりまして、活況を呈しております。

    次 がパルププラント関係でございます。ブラジルのパルプ生産コストは、欧米のですね、大体半分くらいといわれております。したがって競争力がありますので、 各メーカーとも投資意欲が旺盛でですね、毎年6-8%の生産の伸びがございます。現在も新しいパルプ工場の商談が進んでおりまして、プラントメーカーはそ れに対応中で、同じく活況を呈しております。

    次が農業機械でございます。これはブラジル の農業機械の販売推移でございます。業界全体で2006年は2005年の13%ダウン。2004年の33%ダウンとなっております。これはですね、大豆の 国際価格が下落して、またレアル高で農家の採算が悪化して、農機の購買意欲が減少してしまったと。で、さらにメーカーはレアル高で、輸出競争力が低下して このような状況になっております。なお2005年の輸出は、メーカーが輸出ドライブをかけてがんばったんですが、2006年はレアル高で息切れしまして、 続けきれていないという状況でございます。

    今年の展望でございますが、ごらんのように農 産物の値段が現在上がっております。一年前に比べて、大豆で23、サトウキビで34、トウモロコシが42%の値上がりとなっております。これは今アルコー ルブームでありまして、ブラジルはサトウキビが高くなる、アメリカはトウモロコシからアルコールを作っておりますのでトウモロコシが高くなる。

    それからオーストラリアは、旱魃でやはりトウモロコシが生産が減ってやはり高くなる。こういうことで、アメリカの大豆の生産が、大豆の作付けがトウモロコ シに変わっていっておるということから、大豆の品薄感があって大豆も上昇する。で、穀物メジャーは思惑買い、青田買いをして、農家にお金がいくと。そうす ると農業資材、農業機械の方にお金が回っていくということで、今年はですね、大体20%、国内で20%、輸出はレアル高で10%アップくらいにとどまり、 合計では、総合では15%くらいかなというふうに見られております。

    ただですね、今もう すでにこういうふうに値上がりしてるんですが、農家にお金が入るとですね、最初は種を買うんだそうです。次が農薬、その次が肥料。逆ですか、肥料、農薬で すか。で農業機械は最後だそうです。そういうことで半年くらい時間はかかるということではありますけども、増えていくであろうというふうに思っておりま す。

    続きまして各種バイトを含めた工具類です。今年はメーカーの方はですね、2005年 の横ばいながら、稼働率は大体80%くらい。今の懸念事項はレアル高で、輸出競争力が低下しておるということでございます。で販売会社は車の部品産業、車 の部品のですね、輸出が減って輸入が増えていると、これはレアル高の影響でございますけども。そういうことで国内の生産は減っておりますので、販社の中に はもうかっているところもありますけども、前年割れのところが多いという報告でございました。今年の展望でございますが、工具メーカーは国内需要対応のた めの増産投資をしまして、今年は10%増を目標にしておると。で、販社はレアル高が続き前年並みであろうと予測いたしております。

    軸受につきましては、国内生産は若干増えたものの販売は前年比横ばい。現在輸入が増えておりますけども、中国、アルゼンチン、こういうところが安値構成で 増えてきておるという報告でございます。今年の展望ですが、内需、自動車とか二輪、鉱山機械、こういうものが拡大すると。それから農機、電気、家電、これ が下げ止まりという状況で回復の兆しがあると。ただし、この為替で景気が続行するかどうか、それからPACの影響がどうなるか、このあたりでどうも後半 は、慎重に見ざるを得ないだろうという報告でございます。

    次が潤滑油関係ですね。自動車 は活況、部品業界は好不況の二極化。それから主要顧客である鉄鋼の一部が、生産減になったということではありましたけども、経済が順調に推移して、前年比 15%の伸びとなっております。今年は外部要因のアメリカとか中国は、縮小傾向にあるんではなかろうかと。で内需は自動車以外はあまり期待できないという ことで、2006年の横ばいを見込んでおります。

    最後に建設機械でございます。2006 年は、この部分が国内でございますが、横ばい。ただしこの油圧ショベルが伸びてきておるとのことです。この輸出の部分に関しましては2004年からブーム で、この2006年はピークとなっております。で、今年の展望は国内は横ばい。ただしPACがあれば、うまくいけば5-10%くらいの伸びが期待できるん ではないかということでありますが、これはまだクエスチョンマークでございます。それから輸出に関しては北米にかげりが見えるということで、減少を予想し ております。

    以上、7業種の状況をご報告いたします。以上で終わります。

    司会:ありがとうございます。質疑応答に入ります。どうぞご質問ください。ございません?じゃあどうもありがとうございました。前半の発表が終わりました ので、コーヒーブレイクに入りますが、味の素の酒井さんの方からご提供で、新製品のVONO、お味見をコーヒーブレイクの時にどうぞエンジョイしてくださ い。えっと、時間はちょっとオーバーしたんですかね、じゃ一応ですね、予定通りの3時45分に再開させていただきますのでよろしくお願いします。

    (15分間のコーヒーブレイク)

    司会:第二部、後半を始めさせていただきます。繊維部会の今西部会長さんよろしくお願いいたします。

     

     

  • 繊維部会


    今西暉夫部会長

     

    それではただ今から繊維部会の発表を行います。まず、繊維業界の全般像ですが、この輸出入統計を見ますと、繊維のほぼ全部の段階で輸出減、あと、この部分 ですね、ほとんどマイナスになっています。そして輸入増という形、2005年と2006年を比較しますとなっております。

    昨年の国内消費の伸びを考慮いたしましても、国内生産が減っているか、もしくは輸入増加によりまして、流通量増で値下げ競争を余儀なくされているという状 況で、非常に厳しい状況になってきております。そういったことがこの表からお分かり願えると思います。まず段階を順番に説明していきます。

    まず原綿から。原綿。綿花ですが、国際原綿の状況は、こちらが綿花の生産です。その中で中国が一番多くて、その次にアメリカ、インドといった順序になって ます。そしてそれぞれの国の国内消費、こちらですね、こちらでいきますと、やはり中国が一番大きくて41%。次いでインド、パキスタンという順序になって おります。

    2006年の回顧。世界原綿は昨年は高水準の生産を維持いたしました。特に中 国の大幅増産、大幅消費増が目立ちまして、増加の大半が、中国一国でなされております。しかも中国は、中国産の綿花でまかなわれたということで、国際相場 へのインパクトが、非常に小さくなりました。ニューヨーク定期、リバプールインデックスともに安定した相場で終始した一年となりました。

    2007年の展望。生産面では中国がさらに増産、米国も高水準の生産が予測されております。消費面ではその40%以上が、中国に集中するという偏った構造になっております。中国次第という国際綿花相場の傾向にさらに拍車がかかるというふうに思われます。

    国内綿花、2006年の回顧。綿花の安値相場が続いたため、作付面積が減り、前年度比20%の減産というふうに、2006年度はなりました。収穫時の雨、 寒波でボールの開花が遅れる等、品質が悪くなりました。さらに上級棉が輸出に回ったことによりまして、国内市場は下級綿中心となり、6番タイプの原綿不足 をきたすことになりました。綿花相場は前年比14%アップとなりましたが、過去五年間では二番目に安い状況でした。

    2007年の展望。ブラジル綿花の国際的評価、安定した国内消費量、米国の綿花の作付面積の縮小等の影響で、2007年は史上最高の138万トンの生産予 想になりました。遺伝子組み替え種子の使用による経費削減、生産性の向上で、レアル高にもかかわらず、すでに2010年まで一部先物の輸出契約をしている という状況であります。綿花相場は6月の新綿が出てくる収穫期までは、相場はやや高めになるというふうに予測されてます。

    次に綿糸。2006年の回顧。上期は1-3月の原綿高を受け仮需要も起こり、価格転嫁が進み、全般に好調に推移いたしました。この部分ですね、2006 年。下期は衣料マーケットの不調と紡績の在庫過多に起因する販売価格の低下、この後半の部分です。で、かなりの苦戦をしいられました。前半期の秋冬衣料 マーケットの不調は、下期に需要最盛期を迎えるコーマ―糸にも低価格をおよぼしました。5月頃よりインド、パキスタンを中心とする輸入綿糸の急増と、ブラ ジルからの輸出の不調はついに10月上旬頃より、急激に在庫増となりまして、年末にかけての綿糸販売価格を低下させました。国内紡績の中では、40日以上 の操業休止をしいられた企業もあったというふうに聞いております。

    2007年の展望。 12月下旬より国内綿花相場は上昇しておりますが、綿糸販売価格は回復を見せておりません。来秋冬物に向けての需要が若干早めに動き出したのか、年始より カード糸のタイト感が出てきておりまして、最悪期は脱しつつある感がいたします。年初からの原綿高を受けまして、価格転嫁により1-3月は採算的に期待が 持てる。そして早い時期の寒波到来に期待いたしたいといったところであります。

    国際綿 糸。2006年の回顧。2006年の綿糸輸出は、数量ベースで2005年を14.5%下回りました。一方綿糸輸入は前年実績から95.9%と急激に増加い たしました。レアル高基調によりまして、ブラジル産の綿糸は国際綿糸市場で価格競争力を失っております。主な競合相手はインド綿糸。ブラジル大手アパレル も、コーマ定番糸の輸入を拡大しております。

    2007年の展望。為替が1ドル2.1から 2.2レアル前後で推移した場合、昨年同様採算の悪い綿糸輸出は、減少すると予想されます。またインド糸を中心に綿糸輸入はさらに増加が予想されます。輸 入はですね、綿糸にとどまらず、これは繊維全体ですけども、織編物や縫製品も増加し、国内繊維工業の操業や販売に悪影響をおよぼす可能性が非常に高いと いった状況です。

    次に空気精紡機。空紡糸です。2006年の回顧。前年比好況の予想が外れ、厳しい状況となりました。これはドル安による輸入増加、暖冬による冬物商戦の不調、期待していた選挙需要の消失、設備増加による供給過多で、値崩れしたことが大きな原因であります。

    2007年の展望。総括的には厳しい状況に好転材料は少なく、苦戦を余儀なくされそうです。レアル高による輸入の増加基調、輸出環境の悪化、地球温暖化による冬物衣料販売への悪影響。空紡設備の新設増加による供給過多などが挙げられます。

    次に合繊。ファイバー、合繊糸についてですが。2006年の回顧。ファイバーにつきましては、国内生産が一社独占体制でありまして、原油高を背景に価格は 高止まっていました。輸入は、低価格、レアル高により増加。中でもビスコースはファッショントレンドでして、大幅に増加しております。2007年の見通 し。ビスコースは当面続きそうでありますが、すでに価格競争に入っております。低価格、レアル高による輸入の増加は続く見込みであります。

    次に織物。まず薄地織物。2006年の回顧。薄地織物全体の生産は減少気味であります。ここの部分ですね。2003年、2004年、2005年と、このよ うに減少してきております。薄地織物の分野では綿の減少、合繊の増加傾向にあり、ことに婦人衣料の分野で、合繊が綿を食っております。輸出は採算が悪化 し、輸出玉が国内市場に還流。国内では価格競争が激化しております。

    2007年の展望。ジーンズ等厚地織物の一部は薄地織物分野とバッティングする、ユニフォーム用生地への品種転換をしているといったこと、それからレアル高継続による、さらなる輸入の増加も予想され、一段の価格競争が強まるものと思われます。

    次に紳士服地、小口販売市場。2006年の回顧。上半期は暖冬、ワールドカップ、PCC暴動などの影響で、消費が落ちました。下半期はエルニーニョの影響 で雨の日が多く、気温が上がらず涼しい日が続いたために、春夏物のスタートが遅れました。一年を通して非常に厳しい年でありました。マーケットの方はカ ジュアル化が一段と進み、綿スーツ、パンツは好調で、冬物のコールテン素材は好調で今年の冬も続きそうです。素材的には合繊が落ち込み、毛、綿、ポリエス テル、レーヨンが好調で、竹素材といったものも出てきました。

    小売業界は11月まで動き が悪かったが、年末商戦は良かったところが多い。製品単価を下げるために、小売自身が生地を買い付け工賃で作らせるところが、増えてきております。紳士ア パレル業界は大苦戦。直営店などを増やし製造直売に力を入れるところが増えました。ユニフォームは堅調でした。輸入業界では、生地輸入は値下げ競争となり ました。製品輸入はスーツ輸入をはじめるところも出てきて増加する一方でございました。

    2007年の展望。2年続けて冬物が不振だったのですが、1月末のグラマードでの、2007年冬物展示会は予想外の大盛況でありました。在庫調整が一巡した繊維業界の成長に期待したいところです。

    ファスナー。2006年の回顧。2006年は市場の消費減退と完成衣料品の輸入増加が大きく影響しまして、たいへん厳しい一年となりました。販売は前年比 85%にとどまりました。メインであるジーンズ分野では、消費減退により各メーカーとも厳しいコストダウンに迫られました。また輸入品比率の増大と天候不 順で、上物衣料向けファスナーの販売は大きく落ち込みました。レアル高によりブラジル製ブーツは中国製品との競争に敗れ、北米でのシェアを失っておりま す。欧州向け輸出と国内でのブーツ販売はまずまずでしたが、北米の輸出の損失をカバーするにはいたっていません。

    2007年の展望。現在、各メーカーともに年初の動きは鈍く本格的な生産はカーニバル休暇明けになる見込みです。レアル高によりファスナー、完成品衣料の 輸入増加は、継続していくと見られており、市場を取り巻く環境は今年も楽観視できません。価格一辺倒であった06年からいたしますと、徐々にではあります が、付加価値品を作っていこうという傾向が見られます。上期は111%の販売増を期待しております。

    最後に繊維業界として、政府による経済活性化策、PACとか金利引下げ等です、および最低賃金の上昇や好調な農業部門による消費増加、そういったものを期待したい、というところであります。以上で発表を終わります。どうもありがとうございました。

    司会:ありがとうございました。質問お受けしますけども、どうぞ。時間はちょっと挽回しましたんで、質問よろしかったらどうぞ。ございませんか。じゃあどうもありがとうございました。引き続きまして食品部会の酒井部会長さんにお願いいたします。

     

     

  • 食品部会


    酒井芳彦食品部会長

     

    食品部会の味の素の酒井です。よろしくお願いいたします。今日は、なかなか食品部会のメンバーの方を紹介できませんので、簡単に紹介させていただきます と、製造会社、弊社とイグアスカフェさん、DECエンタープライズさん、東山さん、キッコーマンさん、三井アリメントスさん、MNプロポリスさん、それと ニチレイさんですね。それとあと、弊社の合弁事業をやっております日清味の素。サクラ醤油さん、三栄源さん、サンクロレラさん、タカサゴさん、タキイ・ ド・ブラジルさん、それとヤクルトさん。ということで、製造販売会社は合計15社。

    それ と協賛というような形になりますが、商社金融の方からBTM―UFJ、住友三井銀行さん、伊藤忠さん、丸紅さん、三菱さん、それと大和コメルシアルさんと いうようなことで、大和さんは輸入販売になっておりますので、こちらに入れさせていただきます。それとあと、マスコミの方は時事通信というようなことで、 計22社のメンバーを抱えた部隊となっております。

    これはですね、下にありますが、 ABIAと申しまして、ブラジル全国食品連合会の統計から抜粋したものでございますが、2006年度、これは実績的には1月から11月までの実績と12月 の予想を入れた、この緑色の線が我々使っておりますけどもリテール商品、奥様あるいは女中さんが、日頃スーパーあるいは小売店等に行って買います加工食 品、全体の推移でございまして、例えばスーパーでも、衣料品とかトイレタリー商品とか靴とかいろいろ買います、これは入りません。

    というようなことで、我々商売用語で申しますと一般加工用、家庭用商品、これをリテールと申します。それと、皆さんが日本レストランあるいはカラオケ バー、あるいはバールで食べる、そこでのマーケットの呼び方を業名あるいはフードサービスと申しますが、そういうことでこのフードサービスが赤い棒グラフ になっています。

    で、こちらの縦の線が総額の金額になりますが、ビリオンレアルになりま すので、例えば2006年度のリテール、家庭用商品の総額が1,030億レアルということになります。これは対前年に対して2%しか伸びてないと。でこの 10年のトレンドで捉えますと、この数年が急激に伸びてきているものの全体のパイが伸びてないと。

    一方この加工食品の方でございますが、フードサービスですが、この数年二桁成長してきていると。一つには去年ワールドカップがあったというようなことで, 外食あるいは中食が伸びたというようなことが言えると思いますし、あるいはこの先程のですね、データじゃございませんが、株式市場が非常にいいもんですか ら、小金ができてきたというようなことで、まあ家族そろって、あるいは男同士、あるいは女性同士、外食を楽しむというような機会も増え、なおかつ金額も増 えてきたということで、この1,030億と430億レアルを足しますと、1,460億レアルになるわけですね。

    で第二次ルーラ大統領がPACを発表いたしましたが、これは4年間で約5,000億増やすということですから、年間のいわゆるインフラ整備のための投資額 以上にですね、まあ人間の口に入る食品合計の金額がここに表わされております。ということで、全体のパイが伸びていないという理由の一つとしては、最近の 携帯電話の普及でもって、家庭の支出がですね、どうしてもやっぱり電話代の方に行ってしまうと。

    あるいは家庭での消費が減って、外にみんな食べに行っちゃうということで、これをこの、例えば2006年で見ますと、430億レアルに対して、総額が 1,460億レアルになりますので、約30%のいわゆる金額ベースの消費が外食で費やされていると。30%というと、どのくらいのレベルまで行っているか と言いますと、アメリカは50%です。もちろん全体のパイはもっと大きいですが、いわゆる家庭で使う金と、外で使う金は50・50ということで、まあアメ リカ人は食文化ありませんので、みんなファーストフードに行ってですね、ハンバーガー食って終わりと。こちらはまだエンジョイしてると。

    で、じゃあブラジルの中で言いますと、サンパウロがですね、32%です。ですからあの、ご承知のとおりいろいろなレストランがございますし、まあ楽しむ場 所が多いと。また民度的にもですね、金の持っている人が多いと。でミナス・ジェライスですと、ガクンと落ちまして、たった20%。いわゆる8割の方は、あ るいは8割の金額ベースですが、まあ家庭で料理を作って楽しんでいるというようなことになります。

    そういう全体の状況の中で、我々非常にいろんな分野の会社を抱えているわけでございますが、コーヒーでございます。まあ2006年度の回顧としますと、国 内のコーヒー消費は堅調ということで、ブラジルコーヒー協会の発表では、マーケットの伸びが1-2%であったということも言われております。

    しかしながら先程一部報告もありましたけども、特に中西部の農村地帯では大豆の価格低落、あるいはそれによる収入の減、あるいは政府から借りている農業融 資の資金の返済等々で、消費する金が減ってしまったというようなことから、コーヒーが一部的にですね、売れなくて減少したと、または影響を受けたというよ うな声もあります。

    また一方、急激に投機の対象になったと思うんですが、国際相場が上昇 して、ブラジル国内の売価も引き上げざるをえなかったと。約25-30%引き上げ交渉を成功したところもありますし、約1カ月前の食品部会の会合では、ま だ一部大手、CBBグループとはまだ商談がですね、決まっていないということで、非常に急激な値段の引き上げというようなことで、難しい局面を迎えておっ たということも言えます。あるいは、まあ輸出については為替高というようなことでの収入減、あるいは国際競争力減、あるいは欧州におきましては昨年の1月 から9%の関税アップで輸出もですね、非常に難しくなってきたというようなことがあります。

    一方2007年度の展望としては、国内消費は順調に伸びるだろうと、多少回復するだろうというようなことで、5%を期待しているようでございます。また、 生産の面においては、数年おきに来ますブラジルコーヒーの裏年になりまして、約15-20%くらい減産していくだろうというような中で、国際市況あるいは 国内市況においてもタイト感が出てくるというようなことで、価格はさらにアップする可能性もあるだろうというようなことです。

    あと、日常の業務あるいは輸出におきましては、あいかわらず、どこでも同じでございますが、サントスのインフラの問題、まあ部分ストライキ、山猫的なストライキ等々で業務の、輸出業務の遅滞等の支障もリスクとしては有りうるんではないかなということが言えます。

    一方あの、この即席麺でございますが、現在ブラジル国内のトータル消費量はですね、14億食と言われてまして、年率3%くらい伸びてます。で、国民一人当 たり6食、というようなことでございますが、日本の場合は約50食でございます。まあ大体そういう比較で、捉えていただければ結構なんですが、まだまだ伸 びる余地があるものの、競合メーカーが参入してたいへんな、熾烈な争いとなっております。

    現在で64社。1年前はたったの39で、この間に8割くらいのですね、いろんな新規参入を含めた即席麺メーカーが、出てきたというようなことで、まあたい へんに厳しいシェア争いをしているという状況でございますが、展望としましては、この1年間、オーストラリアあるいはブラジル、アルゼンチン等の小麦粉の 減産でもって、小麦粉も投機対象とした面もあるんですが、ともかく価格が上がっているということで、3割上がっている。

    という中においてさらに3割くらい上がるんではないかなというような見通しを考えております。マーケットにおいてはさらに同じような状況がですね、続きまして、いろんなブランド、いろんなメーカーが競争し合う厳しい年になるんではないかなとそう捉えております。

    一方乳酸飲料、まあ具体的にどこかというのは、すぐお分かりだと思いますが、そのブランドは捨てましてですね、乳酸品製品全体の市場は伸びてると。しかし ながら非常に大手にスイス系のメーカーとか、フランス系のメーカー等が、同じような類似商品を出してますので、競争は熾烈化しているということでございま す。で、嬉しいニュースとしては、前アルキミン州知事が、この製品を生活必需品目にしたというようなことから、通常のICM18%が7%に減率されたとい うことで、お客さんあるいは消費者にとってはより買いやすい商品になったと。大衆的にも普及しているということでございます。

    で、今年の展望としては、そういう大手食品メーカーとの競争は続くわけですが、販売に集中化してですね、より一層のシェアアップをしていくという方針があ るようでございます。製造コストについては、レアル高というようなことで輸入原料自体は下がっているものの、やはりトータルの総人件費あるいは工程費等 が、上がっている中においては、たいへんに厳しいということが言えます。

    食品関係、これ は食品種類いろいろ入りますけども、国内市場は先程申し上げましたように、全体としては2.24%の伸び。しかしながら部分的には、いろいろな伸び方がご ざいますけども、まあ皆さん関係する我がメンバーの中においては、国内リテール市場は順調に伸びてると。しかしながら、過去、まあ10カ月くらい前になり ますけども、チリのサーモンの問題、大腸菌の問題がありまして、特にそういう生の魚を使うところのレストラン、特に日本食レストランの売上が落ちたという ようなことから、自然に酒類、あるいは飲料等が伸び悩んだと、というようなマイナスの現象もございました。

    それとまあ、うちに関係するところなんでございますが、特に粗糖、ブラジルの場合、ニューヨークの粗糖相場で動きます。非常にブラジルもグローバリゼー ション化してきてまして、今までブラジル国内の需給で価格が決まるわけじゃなくて、国際相場で動きますが、約、去年は一昨年の5割アップしたというような 状況で、まあ粗糖あるいはエネルギー等の高騰でもって、採算は悪化しているという状況です。

    それと、あとで松田社長の方からご案内があるとは思いますけども、プロポリスさんの松田社長の方でこの一年半以上にかけて、キャッサバですね、を原料とし たオーガニックの焼酎を製造開始していると。長い間政府に掛け合ってきたんですけども、幸い、その許可が一カ月前に取れたということで後で皆さんにお披露 目するそうです。

    というようなことで、この展望につきましては、国内市場は堅調に推移す るだろうと。まあ2-3%くらいの伸びは、期待できるだろうというような中においては、やはり外食産業が、二桁成長しているという状況においては、やはり 戦略的にですね、料飲店あるいは業務用の市場への攻撃、あるいは戦略も考えていく必要があるんではないかなと考えます。それとあと輸出市場につきまして は、中国製品の台頭ということで、特に輸出の欧州、あるいはアメリカ、中南米の一部の地域でございますけども、やはり、繊維等々を含めましてですね、たい へんに安値の中国品との競争が、今後も続くだろうというようなことでございます。

    それと あと、まあ為替高、これは輸出を中心とする企業においては、大きな課題ではないかなと。あとアガリクス問題というのはですね、去年ブラジルから出しました 日本のアガリクス、これが一部マスコミ等々でたたかれまして、その余波がまだ残っているし、為替高の中において日本向けの輸出が厳しい局面を迎えていると いうことになります。

    あと香料関係でございますが、コスト高で、リストラあるいは経費削 減ということで、いろいろ努力しているものの、やはり全体的にはコストアップ、あるいは為替高というようなことで、事業的に見ますと、たいへん厳しいとい うようなことが言えると思います。一方世界第2位のジバダンがですね、これは5位のケストを買収したとか、カーギル社が、いわゆるレグッサの一部の香料部 門を買収したとか、国際的なM&Aが進んでいるというようなことがあります。

    一方 2007年の展望としましては、そういう基調の中におきましても、ブラジルの健康に対する感度が、高まってきてるというような中において、食の安心と安全 あるいは、顧客への満足感を与えるというような事業に取り組んでいきたいというようなことでございます。ということでもう時間が15分になっちゃいまし て、5分ほどオーバーしましたので、ここで割愛させていただきますけども、まああのいろいろと、食品部会、まあ皆さんのですね、協賛メーカーの協力も得ま して今年は各社の工場訪問あるいはセミナー等々を積極的に企画したいと考えています。現在5社の関連メンバーの企業の方から、その協力をいただけるという ことになっておりまして、また別の機会にご紹介したいと思います。ありがとうございました。

    司会:食品に関するご質問、ございましたらどうぞ。ございませんか。じゃあどうもありがとうございました。次はですね、電気電子部会の盤若副部会長さんにお願いいたします。

     

     

  • 電気電子部会

    070223 盤若幸男電気電子副部会長
    盤若幸男電気電子副部会長

     

    本日はですね、部会長のパナソニックの松田社長がご出張のため、代理でNECの盤若から説明させていただきます。電気電子部会はですね、家電、電子部品、あとIT、通信、精密機械、だいたいこの分野が所属しております。

    まずですね、06年の、昨年度の回顧についてご説明申し上げますが、順番はですね、Abineeのデータ、これでマクロの全体を見ていただきまして、あと部会参加企業の概況および主だった業種の市場動向をご説明させていただきます。

    まずですね、Abineeのデータ。Abineeは電子電気工業会でございますが、05年、06年は伸長です。全体では昨年度14%伸びております。今回 部会参加企業のですね、分野ごとでどれだけ伸びているかという数字なんですが、IT分野がダントツで22%。部品、電子部品、通信が各々7%。家電が5% でございました。それで、部会に参加されました各社さんの概況ですが、業績、売上の伸びというのはですね、業績の方で比較いたしました。全体が9社でござ います。良かったのが3社、計画通りが2社、悪かったが4社。この中にはたいへん悪かったというのも2社ありました。

    それで、特にですね、この、そういう意味では、全体ではどちらかとは言えない結果と思われます。まだら模様であったと。ちょうど1年前、私がまた代理でご 説明した時はですね、06年の展望といたしまして、売上伸長率が今年の予想で100%以上が、10社中8社だったんですね。ということは、この業界はです ね、予想に反して非常に、その結果から言えば悪かった年になっちゃったということが言えると思います。

    それで、業界ごとの動向についてご説明申し上げますと、最初は家電でございます。家電はですね、別なスライドがございますので。これは家電製品の主要な商 品の、これはシップメントベースの量でございます。金額でなくて量の前年度比較でございますが、もちろんご承知のように、ワールドカップで生産の中でも、 特にテレビは19%で伸長してますし、新しい製品のデジタル家電、デジタルカメラおよび携帯、電子レンジ等は伸びてます。特にですね、テレビにつきまして はワールドカップ効果で、上期は非常によかったわけですけども、やはり生産過剰で、その後の流通在庫がはけずにですね、昨年度の下期足を引っ張っちゃった と。今だに一部のメーカーさんでは、その流通在庫がはけずに苦労されているというふうに聞いております。

    それと、あと白物。白物が非常に好調であり、これはいい話でありますけども、いずれにせよ、テレビの関係はですね、今年も非常に苦しいんじゃないかと。た だ、今後デジタルテレビのオンエアが、サンパウロで12月以降始まりますけども、その中に先鞭をつける意味でも、薄型テレビが少しずつ入ってきていると。 全体のパイは全体でも、まだ3%相当でございますけども、これも少しずつ増えてきているのは、いい話だと思います。

    それと、我々弊社がやっております通信の分野でございますが、トータル的にはですね、過去約1.5年ですね、投資が非常に増加いたしまして、特に携帯事業 者さんではですね、ネットワークのそこらへんのインフラ投資が、非常に大きく伸びました。それで昨年度の二交代以降ですね、ビタっと止まっちゃったと。

    それとあと固定事業者さんはですね、逆にこの、景気とか技術の動向とはかかかわらずの話なん ですが、事業者さん同士の事業の再編とかですね、メキシコ系の投資しましたTelmexico系のエンブラテルとか、クラーロという携帯事業者さんですけ ども、そこらへんは逆に投資を過去やり過ぎたがため、一旦お掃除をしなきゃいかんと、そんな感じで一旦投資がお休みになりました。

    そういう意味でですね、昨年度通信に関わる事業ではですね、非常に投資は抑制されたと。ただ我々から言えば、一時的なものと見ておりますので、今年のおそ らくセカンドクオーターからですね、再開されるというふうに見ております。一方、どういう分野に投資してるかということなんですが、一般の通信のインフ ラ、いわゆる電話サービスからですね、ブロードバンドサービスへのもちろんシフトしているわけなんですけども、そのサービスの拡充およびお客様を、さらに 高所得者を囲い込むためのIPTVとかですね、いわゆる戦略的な新規サービス。これのサービスのまずパイロットを始めております。

    そういう意味では今年のですね、おそらくブラジルテレコムで、まあ弊社がパートナー化として納めた設備なんですけども、おそらくセカンドクオーターから、 そういうサービスを始めてくるということで、我々から言えば、そういう新しい戦略投資分野によりシフトして人員をそろえようというふうに考えております。

    あと電子部品でございますが、状況は家電分野と同じでございます。ただマナウス域内のですねPIS/Cofinsの課税問題が未解決のままで、これが今ネックになっております。

    最後に総論として申し上げますとですね、まあ過去この家電電子の分野ではですね、売上の伸びイコール収益の増加という過去の図式があったわけですが、これ はあくまで過去の図式となりましてですね、非常に収益面でひっ迫しております。今回9社の中でもですね、売上が10%以上伸びたところが確かにあったんで すけども、収益面では過去より落ちているということで、その背景には経済の安定による競争激化および、いずれの分野でも進出しておりますけども韓国、中国 勢の台頭、これによる競争激化ですね。それとあと、レアルコスト高が影響していると考えられます。

    次にですね、06年のトピックとして、その前にこれがあります。これはちょっと参考までなんですけども、家電のプライスエロージョン、価格ダウンですね。 これを見ていただければいいように、まあテレビの分野でも、特に真中にありますプラズマですね、このあたりの価格が約半値になっていると。まあこういうテ クノロジーの進んでいる分野では特にこういう形でですね、エロージョンが進んでおります。

    それともう一つがですね、これは新聞情報でございますけども、アルゼンチンの輸入テレビのうちブラジル製がですね、まあほぼ90%相当あったのが、今や中 国勢にどんどん取られちゃって、35%まで落ちていると。まあそういうことでですね、この分野、特に、まあ韓国のみならず中国勢の台頭も非常に激しくなっ てきていると。

    それとあと、トピック的なんですけども、ご承知かと思いますが、まあカマ ラでも特別セミナー、デジタルテレビの決定に伴いまして、どういうビジネスチャンスがあるかという説明会をやったわけなんですけど、昨年6月29日に日本 方式をベースとする、厳密に言えば、日伯共同スタンダード、あくまで日本方式が決定したわけじゃなくて、基礎とするスタンダードが正式発表されました。

    それで日本方式の特徴というのは、特にヨーロッパ勢と最後競ったわけですけども、彼等に対し て高品質な映像・音声サービス。ポルトゲースでホブストと言いますけども、いわゆる頑強なそういうサービス、妨害に強いそういうサービスが可能であるとい うこと、それと昨年日本でも始まりました移動体通信ですね。携帯電話でテレビを受信可能と、こういうスペックが盛り込まれている日本スタンダードをベース に決定されております。

    その後ですね、これについては日伯共同でワーキンググループが、 5つの分野ですか、ファイナンス、こういう技術スペックとか、人材育成、あと半導体、生産推進とかですね、そういう分野で共同部会が開始されておりまし て、今のところですね、昨年度12月末までには、一番の課題でありましたスペックが決定する予定でしたが、いまだされておりません。まあ近々とは言ってお りますけども。

    ただ決定されて、じゃあ今のところ政府の決定では今年の12月にサンパウ ロからオンエアされますけども、その時点ではですね、やはり、インフラが整ってて、じゃあ受信機側は何を使うかと言ったら、テレビ内蔵型のものじゃなく て、セットトップボックスを使ったサービスが最初の段階で、アベイラブルになるというふうになると見ております。

    で最後になりますけども、07年の展望でございます。各社さんのアンケート調査結果ではですね、ほぼ9社中ほとんどの会社が100%キープ、売上でござい ますけども、100%キープ、またはそれ以下ということで非常に厳しい結果でございました。主要課題はまちまちではありますが、一つ二つ共通課題とすると ころはですね、やはりコストダウンおよび固定費削減、これに集約されているなというふうに思いました。ということは昨年度下期の課題が積み残しをされ、こ れがさらに今年の課題としてもフォローされなきゃいかんというふうに理解しております。

    それと、あと最後になりますけども、政府、市場への期待ですね。まあ政府が発表しました成長路線への転換というのは、もちろん期待すると同時に、その実行 を期待するということと、ドルレートの安定化継続。願わくば、ゆるやかなレアル安へと。それとあと一部、電子分野では使われています。石油、銅、亜鉛等の 原材料価格の正常化が望まれるということを家電メーカーさんから回答としてありました。以上でございます。ご質問あれば。

    司会:ご質問どうですか。ございませんか?では盤若さんありがとうございました。

    次は建設不動産部会の阿部部会長、御願いします。

     

     

  • 建設不動産部会


    阿部勇部建設不動産部会長

    建設不動産部会の阿部です。で、ちょっとご説明いたします。これも毎年ご披露させていただいている、全体の市場動向をはかる上で、セメントの販売量という のが、一番分かりやすいなということなんですが、残念ながら、昨年の12月度はまだ統計が出ておりませんので、合計が、これは実は、2005年なんですけ ど1年間、2006年が11月までなんですね。で、ほぼ同量が出てるんですけども、ということは、昨年の1年間は12月分が上乗せされるだろうということ で、1月から11月までだけで比較しますと前年同期比で9.0%。これは我々建設業界にとってかなり大きな伸びと感じております。

    これはグラフなんですけども、一月ぐらいが下がってあとは相対的に、ピンク色が2006年ですけども、ずっと好調に販売されていると。あと、特に今、建設 不動産部会ということなんですけども、皆様のお耳に達したりあるいは目に映るのは、不動産の販売関係、あるいは街中でもずい分不動産が建っているなという ことで、ご理解されてると思うんですが、これはサンパウロ市の不動産の販売件数なんですけども、こちらは2006年の1年間でております。こちらはです ね、実はそれほど増加していないんですね。逆に言うと、2004年以前に対して、2005年が非常に多かったとご理解願えればよろしいかと思います。 2006年度も2005年度の好調さを引き続いているということだと思います。

    これもグラフですね。これ私も初めて知ったんですけど、年末にかけて非常に販売件数が増えるんだそうですね。こういう傾向が大体毎年あるということを聞きました。

    あとですね、建設業の雇用者。ブラジル全体で見ますと、これ過去5年間なんですけども、これも残念ながら12月の統計値、抜けておりますので、2006年は、2005年との比較、11月時点ですね、この比較で言いますと7.3%雇用者が増えております。

    これもグラフなんですが、実はこれ2002年から2006年にかけて、下からほぼ、これが2002年、2003年、黄色が2004年ですね。それに比べま すと、2005年が途中からかなり増えてる。それを上回って2006年というのは、本当に大幅に雇用増ということなんですね。これはブラジル全体です。ち なみにサンパウロ州だけで見ましても、ほぼ、全体と同じように11月時点で、対前年比で7.6%の増加。グラフに関しましてもほぼ同様の、まあサンパウロ 州も同じだということですね。

    あとこれは、PIBですね。建設業は、業態によって農業、 建設業、サービス業というふうに分かれておりますけども、2003年がマイナス成長で非常に悪かったものが、2004年後半にかけて非常に伸びたと。平均 に伸びるよりも大きく伸びました。ただ2005年は若干落ち込んでですね、2006年に入ってから最初の第一四半期が6.97、、あと4.72、4.99 ということで、かなり伸びが大きくなっております。

    あとこれは、建設業の売上額ですね。 これはブラジル全体の建設業なんですけども、これは統計古い、2004年までしか出ておりませんですけども、約8000万レアルを若干超したあたりという ことですね。すいません、7000です。7000万レアル超したくらいが、業界全体の売上額ということですね。ちなみに日本は、約これの、日本全体でいう と8倍から9倍くらいですかね、日本はあります。

    次にですね、まあ我々部会はいくつか部 門に分かれておりまして、建築をやっている部門、それと不動産、建材の製作販売、それとあと家具ですね。今回家具のメーカーさん、製造販売されている方、 4つお越し願っていろいろお話うかがったんで、その各分野ごとにですね、分けて4つごとにご説明したいと思います。

    まず建築、まあ建設業と言われているところなんですけども、目立ったのが、設備投資が、製造業の設備投資が、だいぶあって引き合いも多かったんですけど も、発注の延期、いわゆる入札はしますが、発注はなかなかされないという企業さんも目立ってありました。この原因が大統領選挙があったことで一時期様子を 見たということと、あとレアル高ですか、やはり外資の方はドル建てで資金調達ということが多いのでなかなかふん切れなかったということもあったんではない かということですね。

    それから2番目に、日系企業さんの案件が増加しております。で、そ こでひとつポイントとして、ご指摘いただいたのが、これは我々の方のちょっと言い訳っぽいあれかもしれませんですけども、日本との比較で、建設コストが高 いんじゃないかというお話をいくつかお客様からうかがっているんですけども、互いにこうやっぱりレアル高の問題があると。

    私が参りました2002年の時には、1レアル40円換算で社内でやってたんですけども、今年から55円換算ということなんですね。もうたいへんな、建設コ ストをその円ベースで換算いたしますと、非常に建設コストが高いと、ご批判をいただくことがあるということなんですけども、まあそういったこともありまし た。

    それとあと、全体的にやはり業界として上向き傾向だということは、逆に言うとまあ参入業者が多くなってきてですね、競争が激化になって安値受注が続いているというのが現状だということなんですね。

    次に不動産の方ですが、こちらも皆様よくご存知のように、アパートの販売が非常によろしいと。で、これも大きなポイントとしましては、まあ金利がもちろん 低下したということはあるんですけども、今までになかった定額返済ですか、これが可能になってきた。いわゆる貸し出す側の方も定額で返済してもリスクが少 ないだろうということで、逆に借りる側も安心して借りられるといったこと。それとあと優遇税制が、これはIPIですか、あれが特にルーラ政権の方の方針と して、建材関係の税金を安くして、住宅の供給をはかろうという政策も寄与しております。

    それから特徴としては、株式を上場した企業が、今もう15社あるということなんですけども、もともとのブラジルの国内業者さんだけでなく、今非常に海外か らの投資が活発であると。そこから資金提供を得て、なおかつ上場して、市場からも資金調達して不動産開発をするということで、非常にいろんな意味で資金が あちらこちらから入ってきて、非常に活況を呈しているということが考えられております。

    それとですね、これはまあクエスチョンマークがあるんですけども、よくこれも皆様からご質問がある、あれだけ建って本当に売れているんですか?というお話 がよく耳にします。これに関しては、実際にやはり売れていると言い切れない部分があるんだそうです。当初やはり買った人が後で、これは当初実際に買った人 が後で再販ということは、値上がりを見越して、待って売るという再販と、あとキャンセルということが結構出てきていると。買ったけども、まあ買う契約まで 行かないうちにですね、やっぱりやめとこうということで、それをかなり建築が進んで完成したころに、もう一度販売するというというようなことで、決して建 てれば売れるというだけではないということがあるそうです。

    次に建材の方ですね。建材は まあアルミの方の建材なんですが、アルミの材料の地金の方は、これは相変わらず高値で推移していますと。で、これは先程も話もずっと出てますけども、中国 の動向ですね。こちらの方で、非常にもう価格が決められてしまうということで、ずっと高値で推移しているということで、実際に国内でそういった建材の販売 をするときに、まあ売るために価格競争は当然あるんですけども、いわゆる規格外、高層マンションなんかというのは当然風が強いということで、それなりの強 度を持ったサッシを使わなければならないんですけども、中にはそういったものを使わない、もっと安物を、薄いものとかですね、そういったものを使って競争 に勝っているというようなところも出てきているという業界の裏の話もございました。

    あ と、こちらの建材メーカーさんの方は選別受注の徹底で計画値を確保されたということをおっしゃってました。それと最近の傾向としてアルミ箔ですか、これの 需要が非常に増えてきていると。CBAですか、大手のアルミのメーカーさん、国内メーカーですけども、増産計画は最近は、型材なんかの厚いものじゃなく て、アルミ箔、そういったものが、いろいろな分野で増加しているというお話でした。

    それ と、これは家具なんですけども、家具メーカーさんが1社さん、これは非常にですね、昨年業績が倍増しましたということで、どんなところで伸びたんですかと いうお話を聞きましたら、まあ過去3年間くらい、ずっと業界全体が上昇傾向なんだそうですけども、既存の事務所のですね、リノベーションということで、そ ちらの方での家具の需要が非常に増えているとおっしゃっていらっしゃいました。

    それから 2007年の展望。これも各部門別で言いますと、建築の方はですね、今年も工場の設備投資の引き合いの案件が、順調にあるのではないだろうかということ は、まあこれは我々としての希望的観測なんですけども、先程来、他の部会の方からお聞きしていても、まあ落ち込むという方向ではないだろうということなの で、たぶんこういう形になると思います。

    それと、あと受注環境に関しましては、これも ずっとここ数年続いております価格競争の激化で、非常に厳しい状況が継続されるであろうと。それに対応して人件費、建設資材の上昇、これが今年は昨年以上 に影響が出てくるんではないだろうかという予想をしております。それとあと、PAC、これに関してはですね、少なくともこの商工会議所に属している部会の 方に対しての恩恵というのはほとんどないだろうと。で、全国的にも建設業界にとっては、かなり限定的な波及効果しかないんじゃないだろうかなという感想を 持っております。

    不動産。こちらの方はですね、アパートの方が、引き続き販売が好調を持 続するでありましょうということですね。それと最近の傾向として、仕様アップですね。いろいろ内装を、外装も含めてなんですけども、建設の仕様をアップに して、グレードがアップしたために、コストが上昇してますと。まあ昔はベランダもついてなかったような安物が多かったんだそうですけども、最近はこういう のが当たり前についてきたということですね。

    で、昨年までは3LDK中心、70万から 80万レアルの物件が多かったんですけど、今年は小さなもの、1LDK、2LDK、10万から20万レアルなんかも増えてくる傾向があるということです ね。ただ、今後の課題としましては、工期を短縮して、これもやっぱり立替を少なくするための工期の短縮。それと工事単価の低減ということで、これは競争に 勝つためということです。こういった課題はございます。

    あと、ここにないんですが、不動 産関係ではですね、いわゆるそのビンチトレスの入り口、この近くにありますけども、ひとつの敷地の中に何棟かまとめて建つ物件が、いくつか出てきているそ うです。それまでは敷地の中に1棟だけということなんですけども、この辺のメリットとしてはコンドミニオを下げる、で販売をしやすくするということで、逆 に大型化していって、棟を分けてコストを下げるという考え方があるそうです。

    建材の方で すね。こちらの方は政府の住宅施策のてこ入れにより、住宅産業が活性化ということは、もう先程からも話があるので、まあ伸びるであろうということなんです けども、なかなか一本調子ではいかないだろうということで、まだまだ市場動向を見ないといかんということですね。

    家具。こちらはたいへん強気でですね、まあ1社さんだけの話だったんですけども、今年も引き続き100%売上アップと。利益もアップという見通しだというお話をされてました。

    あと個別テーマなんですけども、これはまあ2年前からやっております、年1回、最低1回セミナーまたは見学会ということを、今年も10月から11月ごろに向けて計画たてたいと。また詳しいことが分かりましたら皆様にご案内したいと思います。以上でございます。

    司会:ありがとうございました。質問ございましたらどうぞ。じゃあ、ありがとうございました。続きまして運輸サービス部会の丸山部会長様にお願いいたします。

     

     

  • 運輸サービス部会


    丸山亘部会長

     

    運輸サービス部会からご報告させていただきます。業界、業種がいくつか、7つほどございますので、ちょっと駆け足でやらせていただきます。

    まず航空でございます。昨年下期でございますが、原油価格の高騰がございました。これは大きな経済的インパクトがございましたが、全体的には需要は世界的 に堅調で拡大傾向にございました。ブラジルにおきましては、航空需要は非常に旺盛でございました。その中でTAM、GOLのほかオーシャンエアー、BRA 等新興キャリアが、混乱の中から台頭して参りました。VarigがVarigLog等に買われまして新Varigとなりましたが、数機の機体と路線を活用 して運行を継続しております。

    2007年上期の展望でございますが、航空需要の拡大基調 は継続する見込みでございます。それに多くの新規機材、飛行機でございますね、投入いたしまして、増便それから新航路開設が、行なわれる年になると期待さ れております。例でございますが、TAMが3月からミラノ線を開設。ロンドン線の毎日2便化と。中東から2社がブラジルに乗り入れてきております。CAこ れチャイナエアーだと思いますが、1月から週2便での運行を開始いたしました。2月からは大型の機体に変更される予定でございますと。次をお願いします。

    海運でございますが、2006年、こちらは輸入が堅調な伸びを示しました。主に中国出し、先 程から皆さんのご報告にございますけれども、中国出しが旺盛に入ってきております。輸出に関しましては、これも皆様のご報告にございましたが、下落傾向か ら脱しておりません。需要、これは潜伏需要でございますが、アジアからの輸入スペースは輸入の堅調さを反映いたしまして、スペースは非常にタイトでござい ます。

    輸出に関しましても、現在はちょっとスラックシーズンではございましたが、船を減 らす、減船を実施する会社等もございまして、全体的に輸出輸入とも、スペースはタイトでございました。船の運航面ではストライキ、昨年大統領選挙にからみ まして、ストライキが結構頻発してございましたが、こちらは現状は少なくなっております。

    しかし慢性的な船混み、荷役効率、こちらは変わらずに各社ともスケジュール維持に非常に苦労しております。それと、航空業界と同じでございますけども、燃料価格が非常に大きく影響いたしました。次お願いします。

    2007年でございますが、回復がこれから早いというふうに我々は見ております。主要輸入貨は引き続き堅調。輸出は、まあ今までの通りでございますが、為 替高の影響が大きく、伸びはちょっと期待できないかというふうに思っております。スペース的には安定しておりますが、港湾インフラ、これが非常に立ち遅れ ておりまして、スケジュールが混乱すると、ひいてはスペースの供給が少なくなるというようなことが予想されております。

    荷動き増、これがここのところずっと続いておりますが、港湾料金の値上げ、これ実際に激しく最近高くなってきております。燃料価格も船社経済を圧迫しておりまして、運賃全体としては若干上がり傾向というふうに予想されております。次お願いします。

    フォワーダーの皆さんの報告です。下期でございますが、輸入はレアル高を背景に好調でございました。輸出に関しましては、これは逆にレアル高を背景に、輸 出に陰りが出ております。大統領選後でございますが、若干落ち込むかというふうに昨年は見られておりましたが、景気、為替とも大きな変動はなく、物量減は ございませんでした。通関システムの導入がアナウンスされておりますが、まあこれはブラジル特有でございましょうか、関係部署の準備が整わず、繰り延べさ れております。2月納入というような話もございましたが、現在まだ実施されておりません。導入時期は不明でございます。次お願いします。

    2007年の展望ですが、輸入が増えていくということで、輸出ができなくなりつつあるということでですね、これまた一回りいたしまして資材の輸入が減るん ではないかということが、不安材料として挙げられております。輸出に関しましては、これはもう今までどおりでございますが、価格競争力に影響を与え、輸出 減が危惧されております。

    自動車関連の物資は引き続き堅調に動くであろうと見られており ます。さらに、これ米国で現在あの、保安強化策が実施されつつありますけども、全量検品とかですね、いう動きがございますけども、こちらはリードタイムの 伸び、コスト増というものを招き、結果的にはルート変更を引き起こすのではないかというような予想が出ております。次お願いします。

    構内物流でございます、これは鉄鋼メーカーさんの構内物流でございますが、年初に発生しましたCSNの、昨年年初ですね、2006年の第三高炉の事故から 粗鋼生産が、3,090万トンにとどまりました。CSN自体は32.5%減のために整備作業は大幅に減りました。その他、レアル高を要因に、輸出を主体と しておりました肥料、製紙関連の顧客での作業の縮小あるいは撤退を余儀なくされております。自動車関連は昨年より好調でございまして、ボリュームは増加傾 向にございます。これは先程の船会社のところでも出てまいりましたが、サントス港のインフラが貨物増加に追いついておりません。次お願いします。

    2007年の展望でございますが、粗鋼生産は12.8%増。懸念材料は中国製品との競合でございます。各社とも生産能力の増強計画を立てておりまして、 2010年までに150億ドルの設備投資で、粗鋼生産能力を5,000万トンに拡大する計画がございます。インフラ整備が本格的に進めば7,000万トン の粗鋼需要が見込まれるとの試算もございます。

    自動車関連の伸びをベースといたしまし て、部品メーカーさんが進出が計画されております。設備の輸入、それからハンドリングが増加するものと予想されております。希望でございますが、港湾イン フラの整備が必要でございます。それに明けまして2月に、既に空港で税関のストが実施されました。今後もこういった件に関しましては注意が必要でございま す。次お願いします。

    通信でございます。2006年度下期でございますが、携帯電話の加 入者数が9,999万台、世界5位になりました。ブロードバンドユーザーが504万台。インターネットユーザー3,500万人ということでございます。そ れから昨年ノッタ・フィスカルの電子化が実施されました。20万枚のNF、ノッタ・フィスカル発行を実現いたしました。それにサンパウロ市税に関するノッ タ・フィスカルの電子化プロジェクトもスタートしております。2006年度にはEコマースの売上が4.4ビリオンレアルと、76%増と驚異的な増加を示し ております。次お願いします。

    2007年度上期でございますが、携帯電話に関しましては まあ2006年度並み、1億台前後で落ち着くであろうと言われています。通信庁は,最後のライセンスをオークションにかける見込みでございます。サンパウ ロで4番目の携帯電話業者が誕生する見込みです。通信に関しましてはWiMAX規格の仕様が標準化され、ネットワークを仕様としたブロードバンドアクセス が期待されております。これは無線通信の規格というふうに,私は聞いておりますが。それからITに関しましてはWindowsVistaへの移行が開始。 これはまあブラジルだけではございません。世界的に開始されております。そのほか高額PC、ノートブックに関してはPISとCOFINSの免除を受けると いうのが1月からスタートしていると報告されております。次お願いします。

    それからクー リエでございます。こちらは1枚に06年下期と07年上期両方1枚にまとめましたが、為替高の中で、中小雑貨輸出業者は輸出を断念しております。メンバー の方の実績で、クーリエ輸入は8%減。輸出物件は5%の増でございました。上期の展望でございますが、組閣を含めて新政権の動きがまだ不明でございます。 為替がこれからどうなるか、これが大きな転機になると思われます。現行の為替では、中小の輸出業者はほとんど輸出を中止せざるを得ないんではないかという 見込みでございます。次お願いします。

    ホテルでございます。これは昨年の実績ですが、観 光その他の目的地の順位にブラジルが5位に入っております。米国、中国、モロッコ、アルゼンチン、ブラジルと。ちょっと私には複雑なあれですが、モロッ コ、アルゼンチンが上に来るというのは、よく理由がわかりませんが、いずれにせよ5番目に入っております。

    それから2006年、世界全体では8億4,200万人の観光客が旅行されました。05年度比4.5%アップ。企業はビジネストリップで、ブラジルに155 億レアル使いました。ホテル、航空、レンタカーの66.21%にあたります。それからこれも部会員の方のご報告でございますが、韓国、アルゼンチン、チ リ、メキシコからの外国旅行者が増加いたしました。運輸サービス業界からは以上でございます。

    司会:ありがとうございました。質問はいかかでしょうか。ございませんか。時間はアンダーコントロールですのでどうぞ。

    質問:BTHというのは何ですか?

    丸山部会長:これは私どもの運輸サービス部会のメンバーの方でブルートゥリーホテルでございます。

    司会:では最後の発表になりますけれども、自動車部会の長瀬副部会長さん、よろしくお願いいたします。

     

     

  • 自動車部会


    長瀬周治自動車副部会長

     

    ただいまから自動車部会の発表をさせていただきます。本来であれば、岩村部会長が報告するところでございますけれども、あいにく出張中なものですから、副部会長をつとめさせていただいております長瀬から報告させていただきます。

    自動車部会は自動車、つまり4輪とあと2輪および部品、この3つのメンバーから主としてなっております。それではまず2006年の回顧と2007年の展望について、4輪からはじめさせていただきます。

    これは4輪の生産を年別に棒グラフに示したもので、2000年から2007年の予想まで含んでいます。2004年から国内販売および輸出の好調で大幅に生 産が伸びておりますが、2005年の252万台から昨年の2006年は、260万6,000台ということで約3%成長しました。で、これは乗用車だけでな くて商用車も含んだ全体の数字であります。

    ただ2006年は、皆さん他の業界と同じよう に輸出台数が減少を示しております。これもやはり為替の影響ということであります。2007年につきましては、引き続き国内販売好調ということで、輸出の 減少傾向は続きますけれども、約4%の伸びで271万台という生産予想が自動車工業連盟のANFAVEAの予想でございます。

    これは国内の自動車販売の数字を示したものであります。で、昨年は国内が順調でございまして、193万台と2005年比約12%伸びました。ただし、ここ に出ておりませんけども、1997年には194万台という記録がありますので、まだ過去最高を更新しておりませんけども、今年2007年の国内販売予想 は、200万台を超えまして208万台ということで、まず確実に過去最高記録に達するだろうというのが予想でございます。

    その中で乗用車のセグメント別の販売状況を見てみますと、2006年はリッターカーといわれるものは、ほぼ順調に伸びておりますが、それ以上の次の小型の セダンタイプのシェアがどんどん落ちてまして、一段上のプレミアムコンパクトというところが伸びる傾向があります。2007年につきましては各社、各セグ メントで新車の投入予定があるということから、引き続き、先程申し上げましたように、販売台数は伸びますけれども、やはりBセグメント、ここの部分の減少 傾向は続いてくるというの全体の構成比率の予想でございます。

    続きまして、これは話題の フレックス車についての統計でございます。左側はガソリンとアルコールの価格比較、右側はフレックス車とガソリン車の構成比率のグラフでございます。 2005年にガソリン車とフレックス車の販売が均衡して逆転しました。昨年は一時エタノールの世界的な需要タイトで、アルコール価格が上がったということ で、比較優位が若干疑問視されたために、一時フレックス車の売上が停滞するということがありましたけども、その後需給緩和および石油価格の高止まりという こともありまして、再びフレックス車の売上が比率が伸びているということで、昨年末に80%に達しまして1月では82.7%がフレックス車という状況に なっております。

    これは今まで日本の日系の自動車メーカーさんは、このフレックス車お持ち合わせではありませんでしたけど、販売計画というのができあがっておりますので、ますますフレックス車の比率は、増えてくるというふうに予想されます。

    これはあの、まあ好調といわれている自動車業界の全体の動向を示す投資計画、これはあくまでも公表された数字だけでございますので、水面下で動いている部 分というのは全く捉えておりませんが、2011年までに、公表されているだけで約120億レアルの投資計画が、あるということでございます。

    さらに新規参入で韓国、インド、中国系の自動車メーカーさんが新規参入を表明されております。また2007年、今年につきましても、先程申し上げましたよ うに、非常に販売計画が順調ということで、逆に生産能力の不足ということが懸念されておりまして、各社さん設備投資および人員の増加、第三シフトの導入等 でこの不足を補うべく前向き、積極的な動きを示されております。以上が自動車関係でございます。次に2輪関係についてご説明申し上げます。

    これは2輪の年間生産・販売推移でございますが、棒グラフがトータルの生産、折れ線グラフのブルーのものが国内販売、それから赤の折れ線が輸出でございま す。2輪関係につきましては、やはり金利の低下ということで、中低所得者層が非常に買いやすくなっているということもありまして、国内がきわめて順調で、 昨年は141万台という記録を達成しております。

    一方輸出の方は、これもあいかわらず皆 さん他の業界と同じように、減少傾向にあります。一つは為替の問題、もう一つは輸出相手国における中国製品との競合関係で若干侵食されているということ で、輸出は減少しております。今年の2007年につきましては、引き続き国内は順調ということで、約160万台の生産を計画しております。ただし輸出は引 き続き減少を予想しております。

    これはブラジルの2輪の販売状況、市場の状況でございま す。9割が199cc以下の小型でございます。地域的には今まで、従来は比較的所得水準の高い南東部、南部が大半を占めておりましたけども、ここにきまし て東北部、これはまあ最低賃金の引き上げ、あるいは金利の低下等で、交通インフラの未熟な東北部が堅調に伸びているというのが特徴的でございます。

    続いて自動車部品業界、簡単にご説明します。これは業界のSindipecasのいわゆる対前年同期比の各月の伸びを示したグラフでございますが、 2005年は2004年に比べてかなり高い伸びを示しましたが、2006年は最終的には1.4%程度の伸びということで、若干イメージと違った数字には なってます。ただしこれは単純に52社のメンバー会社の売上を集計したものでございますので、必ずしも全体の業界動向を示しているものではございません。

    それからあとは、場合によっては為替の問題がありますので、輸入部品なんかの価格はレアル比 で落ちているというようなことも影響しているかと思いますが、いずれにしてもプラスの伸びであることには間違いありません。まあ個別にはいろいろ、中国品 に押されているとか、輸出が低調だとかありますけれども、全体的に自動車業界の好調さに支えられて、まあまあの推移を示していると思います。

    ちょっと他の業界さんは部会テーマというのはあまり説明されなかったんですが、時間の関係もあるんですけども、我々自動車部会は今年は2輪関係のですね、 特に中国からの進出企業の問題について、取組みたいということで掲げておりますので、ちょっと簡単にご説明させていただきます。

    まああの、ちょっと歪曲的な言い方かもしれませんけども、悪い現象だけを捉えて簡単に申し上げるとですね、開発費をかけないでコピー品を中国からの部品を 持って来て、組み立てて口巧みに販売するということで、業界として抱えている意味はですね、こういうことが横行するとブラジルの将来の市場にとっても良く ないということで。知財権のコピー問題、これは各社さんが個別に対応されるということですけども、あと生産工程の問題で進出の時に得た許可条件どおりに 作っているのかというようなことはSuframaによく見てもらおうと。

    あるいは排気ガ スという規制に対してもちゃんとやっているのかということで、監督機関のセテスビ(CETESB)に、まあ予算の問題もあるでしょうけど、しっかり監督し てもらいたいというようなことで、健全な業界の発展に向けて取組みを続けていきたいというのが、今年の部会のテーマでございます。以上で発表を終わらせて いただきます。ご質問があれば。

    司会:じゃあ長瀬さんありがとうございました。えっとですね、講評をいただく前にですね、全体的なことでも結構ですし、部会長さんへの質問でも結構ですし、それからシンポジウムの運営に関してのですね、ご要望なり、何でもお受けいたしますけれども、どうぞ。田中会頭。

    田中会頭:渡邉コンサルタント部会長にちょっとご質問があるんですけれども、非常に興味深いお話で、ただ時間切れになってですね、最後のいいところが、あ んまりお聞きすることができなくて残念なんですけども、それについて一つお尋ねしたいんですけども、最後の結論的な部分に「アジアの中の日伯関係」という テーマがありましたが、このアジアの中の日伯関係というか、アジアとブラジルとの関係の中で日本がどういうふうに絡んでいくのかと、そのへんのところのお 話をお聞きできればと思うんですけども。

    渡邉:あまり偉そうなことは申し上げられないん ですけども、東アジアで日本企業は、東アジアの日本、ASEAN、中国、この地域でですね、最適調達、最適生産体制というネットワークを築いて、そして収 益構造を構築したと言われているんですよね。それでまあ、日本は少子高齢化社会、貯蓄低下する中にあって、そういう収益構造を構築して、日本は伸びていく んだということなんでしょうけども、この東アジアの今後、自由貿易圏みたいにして拡大していくとですね、ブラジルみたいな伸びる国は、当然そちらに目を向 けていくはずです。先程申しましたように、個別な話でいうと、まあレアル高。

    レアル高で 世界戦略を考えて生き延びざるを得ない、まあそういった靴だとか、繊維だとかですね、軽工業部門。こういうところも付加価値をつけて、じゃあ生産体制をど こに持っていくかと。ブラジル国内でレアルが高い、レアルが高いと文句言ってたって、多分生き延びれないと思うんですよね。で潰れるところは潰れるんで しょうけど、グローバル戦略を作っていくところは、やはり東アジアみたいなところにも、生産拠点を展開するんではないか。

    そういう中にあって、当然その東アジアの中にネットワークを持っている日本企業とのビジネスアライアンスというか、連携の可能性というのは当然出てくる。もうすでにそういうことが見られますですよね、まあブラジルの得意なエネルギー、資源。

    それから先程申し上げました航空機、ブラジルは中国に、エンブラエルの組立工場をもう作ってますね。そういう東アジアの中で、例えば日本の企業と、ここでもやってますけども、エンブラエルとのビジネスアライアンスあります。翼を作るとか。

    ペトロブラスもそうですね。今世界の石油企業というのは、ただ外に行って掘るだけじゃなくて、掘って、アジアならアジアで掘って、エチレン作ったり、製品 まで作るというそういう流れになっているそうです。まあ日本はまだそこまでになってないんだけど。ペトロブラスなんかは中国にも拠点もってますし、世界で 石油を掘っているし。

    そういう資源、エネルギー、まあ航空機。私が先程言いました軽工業 の分野でもですね、当然世界に目を向けていくだろうと。そういう中でビジネスアライアンスの、日伯のビジネスアライアンスの可能性は十分に拡大していくだ ろうということでございます。あの、世界戦略を持ってやられている企業の方たくさんいらっしゃいますんで、そういう方々に、実際的な意見いただければいい んでしょうけど、まあ私の意見なんかっていうのはちょっと表面的で。そういうことだと思いますけど。はい。

    田中会頭:それに関連しまして、追加になるんですけども、まあ若干、若干というか、かなり心配なのは、そういうブラジルがアジアとの関係を増加していく中 にあって、果して日本が、それに参加する可能性があるのかどうかという、そのへんのところがちょっと心配になるんですけども。といいますのは、中国がこれ ほど発展しなかった段階では、ブラジルがアジアと交流をしていくためには、やはり日本が間に入るとか、何らかの役割を果たす必要性があるんじゃないかとい うことが言われたんですけども、中国もブラジルも大きく成長していくとですね、日本はあまりいらないというふうな、そういうことにならないかどうか、その へんのところをちょっとお聞かせいただければと思います。

    渡邉:チャンスはあると思いま すね。というのは東アジアに、私先程申し上げましたように、製造業を中心に、日本はアジアにネットワークを張って、これは日本で作る、これはASEANだ と、これはインドだと。まあインドは東アジアじゃありませんが。中国だというふうに、最適調達、最適生産体制というのをはりめぐらしていますから、中国だ けで例えば日本企業、今2万社いるんですよね。上海だけで5,500社。ここに300社近い日本企業おりますけども、そういう時代でございますんで、ブラ ジル企業と関係の深い日本企業だけじゃなくて、そこに行けば、もう日本企業が中国でやっているわけですから。まあ中国だけじゃなくてASEANもそうです ね。これからインドもそうでしょうし、そのチャンスというか可能性というのは大きいと思いますよね。

    田中会頭:ありがとうございました。

    司会:渡邉さんありがとうございました。時間となりましたので、丸橋首席領事様の方から講評をいただきたいと思います。

     

     

  • 講評 丸橋次郎首席領事

    丸橋次郎首席領事

     

    総領事館の丸橋でございます。冒頭ご紹介いただきましたように、本日、西林総領事一時帰国で、日本におりまして、不在でございますので、総領事にかわりま して講評ということで。しかも本日は島内大使も出ておられるんですが、その前で講評というのは非常に差し出がましいという感じはいたしますが、まあご指名 でございますので、簡単にですね、個人的な感想ということでご勘弁いただければと存じます。

    実は私自身、この会議、といいますかシンポジウム。以前は懇談会ですね。と呼ばれていましたが、一昨年の会議に確か、一度出席させていただきました。その 際はですね、実は、まあ中身というよりむしろやり方なんですが、皆さんそれぞれですね、詳細な報告書をお読みになってというような、そういう報告会の形式 でございまして、今回のようにですね。本当に全てこの、すばらしいパワーポイントのプレゼンテーションというのは、私今回はじめて出席させていただきまし て、まああの平田事務局長の特に強いお勧めがあったようにうかがっておりますけども、非常にわかりやすい説明を拝聴いたしました。本当にありがとうござい ました。

    それでまあ、一言でですね、全体の講評というより、今まで11部会ですか、おう かがいいたしまして、私どもですね、いわゆる日本とブラジルの関係緊密化に微力ながら携わらせていただくものにとって、非常に明るいというか、勇気付けら れるお話をうかがえたのかなという感じはしております。

    もちろん、細部を見渡しますと、 たとえばレアル高によって輸出環境非常にもちろん厳しいですとか、あと中国、韓国のですね、そういう競争の台頭。また中小分野においては、それなりに非常 に国内での競争も含めてですね、非常に厳しい状況にあられるというのは、まったくそれは、その通りとは存じますけども、まあ一般的に非常におおざっぱに拝 見したところ、そういう意味じゃ非常にいい、明るい方向にあるのかなという感じがいたしました。

    実は私自身ですね、これまで2回ブラジルに在勤をさせていただきまして、最初は80年代のはじめから中ごろ、2度目は90年代のちょうど、はじめからほぼ 中ごろということで、まあ今回が3回目なんですけれども。最初の2回というのは、皆さんブラジル、ご経験のある方はすでに、ご承知のことでございますけど も、どちらも基本的にはハイパーインフレを経験しまして。そもそも、ドルのレートが毎日上がるというのは、個人的には、それを楽しみといっては語弊がある んですけども、そういうような状況でございまして。今日のように、そもそもドルが大幅に下がって、しかもそれが逆に全然上がらないというような状況という のは本当にはじめて経験しておるわけでございます。

    それで今回の第3回目の勤務は、いわ ゆる2002年と言いますか、ルーラ大統領がちょうど当選した、そしてルーラ政権になったところにですね、まあ私、サンパウロの前はリオにおりましたけど も、リオに赴任させていただいたわけでございます。それでまあ、皆さんご承知のようにルーラ政権ですね。そういう意味ではうれしい誤算といいますか、経済 政策もですね、当初の見通しとは逆に、非常に堅調になったということで、もちろん外部的な要因も当然あるんだろうと思うんですけど、基本的に現在のブラジ ルのこういった経済的な好調さというのはやはり、ルーラ政権がそれなりにしっかりしたというか、前政権から引き継いだオーソドックスなというか、そういう 経済政策を継いだということにも大きな理由があるのかなという気がしております。

    冒頭島 内大使の方からもお話がございましたけれども、日本でもだいぶん中南米、特にブラジルへの関心が高まっているということで、まあこれは、皆さんご案内のと おりだと存じますけれども、日本からブラジルにお越しになる要人の方、特に領事館の場合ですと、政治家の方が多いんですけれども、非常にたくさんこちらに 見えまして。

    その方のほとんど、10人中10人までですね、例えば全く初めて、ブラジル にお越しになった方、あるいはもうすでに、何度かお越しになった方も含めて、現在のこのブラジルの状況をご覧になって、おお、さすがに良くなったな、とい うそういった非常にポジティブ、前向きな評価をいただいているわけでございます。

    他方、 皆さんの場合は若干異なるかもしれませんが、やはり初めてといいますか、特に実際にビジネスに携わっておられない方は、まあ非常に確かにすばらしいポテン シャリティーがあると、すごい国だというふうにおっしゃるんですが、最後はやはり、日本から遠いねという話がまいりまして、どうしてもそこが大きなハード ルになって少なくとも一般の人にとってはそこが大きなハードルになっているというのが、実は現状かなと。

    ただ、いまやビジネスの観点からしますと、先程ジェトロの渡邉所長等もお話ございましたけども、まさしくグローバル戦略の中でですね、あるいは例えば、日 本とブラジルというのは遠いけれども、他方地球を一つの世界に考えた場合、ちょうど対蹠点にあるわけでして、地球を南北二つに割った場合、それぞれの半球 ごとに日本とブラジル、ブラジルを例えば、日本の第2の拠点として考えれば、それなりの世界的なビジネスの場になる、あるいは基地になるのかなという感じ もしまして。まあまったくこれは個人的な、若干受け売りもございますけれども、日本から来られた方にお話をさせていただいて、とにかく少しでもブラジルに 目を向けていただきたい。

    アジアオンリーじゃございませんよ、ということでいろいろな方 にまあそういう意味では宣伝をさせていただいたという訳でございます。そういった意味からも、本日のこの皆様の発表、具体的な数字の裏付けのある発表をう かがいまして、本当にうれしく思っている次第でございます。

    他方まあブラジルですね、ま だまだ、例えば、まあすでにお話ございましたブラジルコストですとか、インフラですか。この今の経済成長がどこまで続くかというのは、インフラの整備も大 切だということもございますけども。ですから、本当にどこまでこれが順調に続くかというのは、率直に申して私自身よく分からないんですが、少なくとも個人 的にはぜひとも続いてほしいなという気がいたします。

    ただ唯一、まあこれは皆様おそらく ご同意いただけるんだろうと思いますが、ブラジルの潜在性。特にまあBricsという4つの中にあって、少なくとも現時点で見れば、ブラジルというのは、 客観的にはですね、一番日本にとってというか、世界にとって魅力のある国ではないかなというふうに思いますので、まあ皆さん各社におかれては、本当に、ご 苦労ある国というか市場かと思いますけども、やりがいのあるところだろうと思いますので、ぜひとも2007年の、だいたい皆さんの見通しとして非常に前向 き、良くなるだろうという見通しでございますので、ぜひともそれが各業界において実現されることをお祈りしたいと思います。

    それで最後にですね、これはもうすでに最近言われておりますけれども、いわゆる在外公館の日本企業支援ということでですね、まあ大使館あるいは総領事館、 ぜひともそれぞれ各国の民間企業の皆様のお役に立ちたいということで、いろいろやっておりますので。特に当館はすでに前回の官民合同会議のフォローアップ ということで、今回はじめて領事館とこちらの商工会議所の方で、会合の場をこの前初めて設けさせていただきました。今後ともですね、これを続けて参りたい と思いますので、ぜひともいろいろ今後ともございましたら、ご遠慮なく領事館の方にお声をかけていただければと思います。本日はどうもありがとうございま した。

    司会:丸橋首席領事ありがとうございます。本日はお忙しい中、3時間半という長時 間にわたりまして業種別部会長シンポジウムに参加いただきまして、まことにありがとうございました。特に島内大使におかれましては、日本からご帰国直後の 非常にお疲れのところ、最後までお付き合いいただきまして、まことにありがとうございました。

    ただいま丸橋首席領事からお話がありましたように、全般としましては、今年は去年より多少明るくなっていくんではないかなと。もちろん為替の問題、その他 いろいろ楽観できない部分はありますけども、ぜひですね、来年のこの場で2007年はいい年であったと、回顧できるようになればいいなと願っております。 また最後にですね、各部会におかれましては、今首席領事からもお褒めいただきましたように、非常に分かりやすい簡潔な発表をしていただきましてまことにあ りがとうございました。

     

  • 閉会の辞


    宮田次郎企画戦略委員長

     

    いつも昼食会で平田事務局長に、時間内に終わらなきゃだめですということでですね、文句ばかり言わせていただいておりますので、今日時間も決まってたんで すが、まあ何とか3,4分のオーバーということで終わるようでほっとしております。本日はどうもご協力ありがとうございました。

    司会:ご案内ですけれども、MNプロポリス様からですね、ブラジル製焼酎小瓶を全参加者に用意させていただいておりますので、お持ち帰りください。これは「伯魂」ですね。ブランドの登録が正式認可されたお祝いを含めてというようなことですので、よろしくお願いします。
    閉会します。ありがとうございました。

    この後カクテルパーティーがこの下の2階で行なわれますので、参加申し込みされている方は2階の方に移動ください。

     

 

開催日:2007年2月23日(木)

会場:ソフィテルホテル

時間:午後2時から5時30分