2015年下期の業種別部会長シンポジウム

2015年下期業種別部会長シンポジウム(2015年8月20日、Hotel Maksoud Plaza)

テーマ:「2015年上期の回顧と2015年下期の展望」 副題: 必ず復活!ブラジル経済 ~日系企業はどう立ち向かうか~

 

  • 司会 相原良彦 総務委員長


    (写真右側が相原総務委員長)

    2015年下期業種別部会長シンポジウムを開催させていただきますけども、その前にブラジル日本商工会議所の方からカタログができたということで、そのご紹介を渉外広報委員会の東様からちょっとお願いしたいと思います。

     

  • 渉外広報委員会 東崇徳 副委員長

    皆様こんにちは。渉外広報委員会の東です。よろしくお願いします。お手元にパンフレットの方をお配りさせていただいております。ポルトガル語と日本語、2種類ございます。今日、委員長の近藤が欠席させていただいておりますので、代理で私、東がご紹介させていただきます。

    3月にですね、平田事務局長から、今年何とかしてパンフレットを改定したいというご指示がございまして、それ以降6回、ほぼ休眠していた渉外広報委員会を開催しまして、パンフレットを議論して参りました。最終的にはコンペを開催させていただきまして、非常に見やすい形で今回パンフレットを改訂させていただきました。

    ゴールとしては、8月の下旬にございます経済セミナーでお配りさせていただくということで、短期間で6回議論させていただいて、作って参りました。ぜひ皆様、お知り合いの方とかでまだ商工会議所に加入されていない会社様等ございましたらですね、ぜひこれを使いながらご紹介いただければと思いますので、よろしくお願いします。以上でございます。

    司会
    どうもありがとうございました。それではただ今から始めたいと思いますが、私は本日前半の司会をさせていただきます、三菱重工の相原と申します。よろしくお願いします。何分不慣れな司会業ということで、何かと不都合もあるかと思いますけども、ご容赦のほどお願いいたします。そして後半の方は隣におられます、ジェトロの石田様にお願いします。

     

  • 石田靖博 企画戦略委員長


    (写真左側が石田企画戦略委員長)

    ジェトロの石田でございます。企画戦略委員長を仰せつかっておりまして、このたび後半の司会を担当させていただきます。皆様ご協力よろしくお願いいたします。

    司会
    どうもありがとうございました。それでは皆様、特に発表者の方々にはよろしくお願いしたいと思います。なお本日の会場には日本国大使館から小林参事官に来ていただいております。ありがとうございます。後ほど、予定が合えば在サンパウロ日本国総領事館の中前総領事も来て下さるということになっております。なお、御二方には最後の方に講評とコメントをいただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

    なお本日は約180名を超える方々にご来場いただいておりますが、いつものことなんですけども、ここに来ていただいて、居眠りしなかったら、5時間でブラジル経済の動向が簡単に分かるということでですね、ぜひ眠気を我慢していただいてしっかり聴いていただければと思います。

    なお本日の副題ですが、「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか」ということで、ちょっと悲壮感も漂っているんですけども。ちなみに1年半前の副題が「どうしたブラジル経済」、1年前が「どうする日伯関係」、そして半年前が「再生目指すブラジル経済、どう頑張る日系ビジネス」ということで、ずっとこの1年半以上、2年近く、頑張れ、どうなる、という話だったんですけども、今回は「必ず復活」ということで、ある意味やっと底が見えていよいよ復活するぞという期待感も込められているのではないかと思っております。

    この副題を胸にですね、各発表者が熱い気持ちを持って発表されるということを心から期待しておりますけども、あまりにも熱い気持ちで時間を時々超える方がおられますので、その時は我々司会の方で合図しますので、ぜひ発表者の方はよろしくお願いしたいと思います。

    それでは発表の前にまず村田会頭の方から一言ご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

     

    ブラジル日本商工会議所 会頭 村田俊典

    会頭の村田でございます。今日はたくさんの皆様にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。ご存知の通りですね、いわゆる部会長シンポジウムというのは商工会議所の恒例の、しかも目玉のイベントでございます。年2回行なっております。11の部会の皆様がそれぞれ事前に集まって議論をしていただいて、そしてお手元にある資料のように非常に中身の濃い発表を準備していただいております。大変ありがとうございます。先程相原さんからもお話ありましたように、非常に役に立つシンポジウムでございますので、長丁場ではございますが皆様どうぞじっくりと発表者の意見に耳を傾けていただきたいと思います。

    今日は大使館から小林和昭参事官もいらっしゃっておりまして、ご講評を最後にいただくことになっております。基調講演とかをやっていた年もありますけども、今日はそれもなしで、時間もございますので、ストレートに発表の方に入らさせていただきます。

    非常にですね、厳しいブラジルの経済の環境だとは思いますが、それぞれの部会がどのようにこのクライシスを乗り切るかということで発表があると思います。皆さんよろしくお願いいたします。それでは私の挨拶と代えさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    どうもありがとうございました。それではトップバッターですけども、金融部会の深井様にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

     

  • 金融部会 深井泰雄 部会長

    Pdf金融部会

    皆様こんにちは。金融部会部会長の、みずほ銀行の深井です。本日は、金融部会より2015年上期の回顧と2015年下期の展望というテーマで、マクロ経済、銀行業界、保険業界について発表させていただきます。

    先程相原委員長からですね、「必ず復活ブラジル経済!~日系企業はどう立ち向かうか~」ということで、前向きな発表ということを期待されているのかとは思っておりますが、残念ながらですね、まあ皆さんご存知の通りに足元、特に上期の各種マクロ指標については良い数字はほとんど出ていないという状況です。ただ、将来に向けて足元を見つめるということからも、一旦上期について回顧させていただいて、その後今年末にかけての金融部会としての見方、予測等を簡単に触れさせていただきたいと思います。それではまず上期の回顧ということで、最初のスライドをご覧ください

    2015年上期を振り返ってみますと、昨年10月の大統領選挙で薄氷の勝利を収めたルセフ大統領の第2次政権が1月にスタートしました。しかしながら、早くも3月には支持率が急落、議会内の求心力も大幅に低下しております。最近ではですね、弾劾や辞任の可能性も否定できないという状況になってきています。またレビ財務大臣をはじめとした新経済スタッフもですね、財政再建策を積極的に進めておりますが、景気低迷や議会の反対等により足元十分な成果は上げられていないと。この結果、財務目標の下方修正を余儀なくされております。

    まず経済全般について、インフレ、高金利が進む中、上期はマイナス成長となる見込みで、この流れは下期も継続する見込みです。

    GDPについては、個人消費の落ち込み、工業生産の低迷等からマイナス成長、今マイナス0.6と言われています。それからインフレについては、今年に入って公共料金の引き上げ、食料品・輸入品等の値上げ、それから財政政策に伴う税制恩恵や補助金廃止等により急上昇しております。このインフレを抑制すべく中銀は政策目標金利、いわゆるSELICですけども、上期だけで4回、合計で2%引き上げを行なっております。この結果、6月末時点では13.75%。これ下期に入りますけども、7月にはさらに0.5%の追加利上げを余儀なくされております。

    為替につきましては、ファンダメンタルの弱さがありますし、レアル安で推移しております。3月には2000年代初頭の通貨危機以来12年ぶりの安値を記録。その後若干落ち着きは取り戻しておりますけども、7月また、中国株式の急落、S&Pの格付け見通し等でレアル安が進行と。本日もマーケット開けたところでまた3.5を切ると、また今3.4で戻していると思いますけども、3.5を超える水準にまで達しているという状況です。

    財政はやはり経済の減速による税収減、財政再建策の成果が上がらずということで、プライマリー収支黒字目標を当初のGDP比1.1%から0.15%へ下方修正を行なっています。
    失業率は、昨年は歴史的な低水準で推移していたのですが、今年に入り景気減速に伴い急速に上昇、今8%、9%になっております。

    経常収支も同様にですね、過去最悪の赤字を記録した2014年から大きな改善は見られないという状況です。

    これはですね、過去3年、2012年からデータとしてまとめております。内容につきましては今お話した通りなんですけど、データの一部補足ですけども、ちょっと小さいんですが2015/12予測値というのは、年末の値をですね、中銀Forecast、経営機関のエコノミストが発表しているデータをまとめたものですけども、それを入れております。内容については今お話しした通り、GDP成長率については年末にかけてやはりマイナスという予測をForecastの方は出しております。それから経常収支につきましては、これは6月時点ですけども、すでに660億ドルのマイナスという状況になっております。他につきましてはこの後個別にご説明をさせていただきます。

    それでは個別にご説明させていただきます。まずGDP成長率と工業生産の伸びです。棒グラフが四半期ごとのGDPの前年同期比の伸びです。2013年の後半から成長率の低下傾向が継続しており、2014年はゼロ成長、2015年ではついにマイナス成長となっております。

    折れ線グラフが工業生産の伸び率で、右軸で読みますが、これも2013年後半から前年比伸びが急低下。2015年はマイナス成長になっております。企業および消費者のマインドの悪化に歯止めがかからず、生産販売の落ち込みは業種を問わずほぼ全ての部門に拡大しております。

    続きまして小売の売上高です。これはいわゆる個人消費を表しているものですけど、こちらの推移を見ていただきますと、ここ数年ずっと伸びは鈍化しております。昨年からさらに急降下しているのが分かります。原因としては、やはり食料等の物価上昇による実質購買力の低下、それから景気減退による雇用・所得への影響。それから高インフレ、高金利における金融機関、小売販売等によるクレジット供与、オートローンとか銀行の各種ローンですね、これが引き締められている、ということから消費全体が減退させられていると考えられております。

    続きまして、インフレです。代表的なインフレ指数として拡大消費者物価指数、いわゆるIPCA、こちらは赤い太字になります。従来中銀のターゲットというのは、上限が6.5%ということになりまして、昨年はほぼ上限に張り付いておりました。ただし今年に入ってこの上限を突破して、上期では8.89%、足下9.56%となっております。

    従来ですと、この紫の線のサービスセクターがですね、インフレをある意味牽引していたところがありますが、今年に入りまして、この青い折れ線グラフ、こちらの方がガソリンとか電気代ですね、こちらの政府統制価格、いわゆるRegulated Price、これが年明けから急騰していると。これが大きな要因となってIPCAは6月末で8.89、今足下9%というような状況になっています。

    続きまして金利、為替の推移です。こちらの赤線が金利になります。いわゆる政策金利、SELICというところですけども、先ほど申し上げましたように、2015年に入ってインフレの高騰を受け、政府としては4回、合計で2%の利上げを行なっております。昨年末が11.75%、これが6月時点で2%上げて13.75%になりました。

    下期に入って、7月29日ですけども、通貨政策審議会いわゆるCOPOMでもってさらに0.5%上げまして、足元いま14.25%ということで、このデータが2008年から取ってあるんですけども、その中でも一番高い状態ということになっております。7月29日のCOPOMの会議の後、一応これ以上の年内の利上げはないのではないかというようなことが示唆されており、マーケットでも年内はおそらく14.25%で続くのではないかというふうに足元言われております。

    それから、為替の方です。こちらのブルーのラインですけども、こちらも年初からレアル安がずっと続いております。背景には、米国の利上げ観測、資源価格の下落による新興国通貨の売り、それからブラジルの財政赤字・経常赤字、こちらの状態が良くないということで、マーケットからかなりレアル安の動きに圧力がかかったということがあります。

    で、一旦3.3から3.4ぐらいになって、その後ちょっと落ち着いたところはあったんですけど、その後ですね、やはり政治的不安定要素が拡大していると。それから中国株式が急落、S&Pが格付けを見直しといった悪材料が出て、足元さらにまたレアル安が進んでいると。ここに出ているのは8月の17日の終値ですけども、3.47と。これは今日時点で一旦3.5を切っているという状況です。

    次は財政です。プライマリー収支。こちらもですね、新聞等でよく報道されておりますけども、政府が目標を下げております。昨年、大統領選挙前、減税を行なったり公共事業の実施等により財政がそもそも悪化している中、第2次ジルマ政権になり、各種財政再建策を打ち出しております。ただし残念ながら経済そのものが減速しているということで、税収が大幅に減っていると。それから一方で財政再建策がなかなか、議会の反対にも遭い、実施に移らないということで、これは下期に入ってですけども、7月22日に2015年のプライマリー収支の黒字目標、こちらをGDP比1.1%から0.5%へと大幅に下げております。ちなみに2016年、2017年の目標につきましても、当初2%を設定しておりましたが、それぞれ0.7%、1.3%へと引き下げております。

    こちらも、財政とも関係しますが、政府債務です。こちらもご覧いただくと分かる通り、この赤い太線が政府の総債務ですね、こちらになっております。昨年以降まだまだ増加している状況で、こちらの方もプライマリー収支目標だけでなく、対GDP比の政府債務目標というのがありますが、こちらの方もですね、こちらは比率ですが、上向きに修正しております。元々は対GDP比64.1%という目標を設定していたのですが、現在では64.7%。来年以降も上方修正しております。

    この青とピンクの棒グラフのこの面積のところですけども、こちらの方はですね、BNDESを中心とする公的金融機関の貸出残高ということになっております。これも従来から言われています通り、BNDESが政府財政を補填してきたというところがありまして、まだ足元では増加傾向に歯止めがかかっていないと。これは3月までですので、直近のデータはまだ分からないんですけども、まだまだ引き続き高水準にあるということが見て取れます。

    こちらはソブリン格付です。これも最近マスコミ等でもう毎日のように報道されているので、皆さん馴染みがあるかと思いますけども、これは1986年からのデータを取っております。大手格付け機関、S&P、フィッチ、ムーディーズですね。この3つの格付け機関の推移を取っております。

    S&Pは2014年に投資適格の一番下であるBBBマイナスに早々と格下げをしております。昨年末に下げております。ただその時は見通し、いわゆるOutlookというのは安定的ということにしておりました。一方でムーディーズは、昨年はまだ投資適格の一番下のもう一つ上のBBB、ムーディーズの場合はBaa2ですね、こちらの方を維持して、加えて見通しは安定的ということで2014年を終えております。

    これが今年に入りまして、これも上期というよりは最近の話ですけども、7月29日にS&Pが見通しを安定的からネガティブというふうに変えております。こうなりますと、もうこれ以上下がないという、S&Pについて言うともうこの下がないと。この下はもう投資適格から外れてしまうという状況になっております。

    ムーディーズにつきましては、7月から評価を行ないまして、先日、8月11日に格付けの見直しを行ないまして、BBB、Baa2から一つ下げてBaa3、BBBマイナスに下げております。当初マーケットではBBBマイナスのさらにネガティブというのが想定されていたんですけども、結果としてはムーディーズはBBBマイナス、Baa3の安定的、Stableといったところで留まりました。これはマーケットの予想よりは良かったという状況になっております。ただS&Pの方がですね、すでに一番下のところに来ておりますので、今後、半年から9ヶ月ですね、改めて見直しが行われた場合には、S&Pについて言うと投資適格を外れるという可能性は否定できません。

    格付けによる影響いろいろとあると思うんですけど、一つは海外の機関投資家がブラジルに投資を行う際、やはり格付け、特に投資適格、格付け機関2つ以上の投資適格というのを条件としているケースが多いというふうに聞いておりますので、S&Pプラスもう一つが仮に落ちた場合には大きな影響が出て来るのかなということで考えております。

    続きましてこちらもマーケットの情報です。株価と、それからCDSというデータを取っております。株価の方は皆さんご存知のようにBOVESPAの指数を取っております。昨年末は50000ポイントで終わりまして、6月末にかけては株価は上昇して53000ポイントということで6.1%上昇しています。

    この株価上昇の上期の要因としては、好業績銘柄による牽引と。それからあと、ペトロブラスが決算発表できずにいたんですけども、今年1月に昨年7-9の決算を発表できたということで、まあ上場廃止の危機を脱したということから資本市場に少しお金が戻ったということが言われております。

    ただし下期に入ると、これは7月ですけども、再び下落傾向ということで、8月17日現在では今47000ポイントと昨年末の値を下回っているという状況です。このあと年後半にかけては、まあ色んな要因はあると思いますけども、一つは景気悪化から銀行の不良債権が増加、銀行株の下落が指数を押し下げるというようなことも言われております。

    それから、こちらのCDSです。こちらはちょっと馴染みがない指標かもしれませんけども、Credit Default Swapの略です。国債や社債などのポリティカルリスクをですね、ヘッジするデリバティブ契約の一つです。ブラジルのCDSといえば、いわばブラジルのソブリンリスクに対する一つのリスク料ということでお考えいただけたらと思います。

    これは3年物のCDSになります。グラフを見ていただくと分かります通り、この2008年ですね、これはちょうどリーマンショックの時、これはブラジルに限らずエマージング・マーケット全体が大きく揺れた、先進国もそうですけども、揺れた時です。この時点ではピークは350ベーシスポイント、これを上回っております。その後は比較的安定して、まあ大体80から150ベーシスポイントぐらいで過去推移しておりました。

    それが今年に入りまして200ベーシスを上回る水準ということです。足元では、今週ですかね、確認したところ255ベーシスポイントということで、リーマンの時ほどではないですけどもかなり値が上がってきていると。これの意図するところとしては、やはり海外の投資家を中心にブラジルのカントリーリスクについてヘッジする動きが活発化してきているということかと思います。

    続きまして失業率です。こちらの方も先程ご説明した通り、2008年からデータを取っていますけども、昨年、年間で4.8%ということで、ブラジルの歴史上最も低い水準まで下がった状態が続いています。ただ今年に入ってですね、やはり企業の雇用調整が本格化してきたということもあり、急速に上昇してきております。

    こちらは外貨準備高です。2012年以降ですね、ほぼ同じ水準、まあ3500億ドル、3600億ドルを超えた状態と。足元、まだデータがアップデートされてないんですけども、3700億ドル程度ということで、外貨準備については今のところまだ大規模な減少というのは起きていません。今後も、外準が大きく毀損するということは今のところは想定していないという状況かと思います。

    以上が上期のおさらいということになります。続きまして下期の展望ということで、次に2枚スライドを用意させていただいております。前回2月に発表させていただいたのと同じ、金融部会所属の各銀行による下期の予測を、メインシナリオとリスクシナリオという形で分けております。各行が独自に想定するシナリオに基づく予測を集計しておりますので、金融部会としての統一見解と言うよりは各行見通しの最大公約数ということで考えていただけたらと思います。

    このデータの集計時点は一応7月末ということですので、また8月に入ってマーケットが大きく動いておりますので、おそらく各行さんまた見通しを変えている可能性はありますが、その点はご容赦いただきたいと思います。それからこちらのカッコ内の数字ですね、これは2月のシンポジウムで同じ形で発表させていただいておりますが、その時に予測した年末の数値ということです。それぞれメインシナリオとリスクシナリオということで用意しております。

    メインシナリオを見ていただいても分かります通り、2月に予測したデータから、わずか6ヶ月間ではありますけども、経済状況が大きく下振れしていずれの数値も悪化しているというのがご覧いただけるかと思います。

    それでは個別に、まずGDP、景気についてですけども、景況感は家計・企業ともさらに悪化。第3四半期以降も景気減速は続くのではないかということで、GDPの成長率の予測値はマイナス1.7%からマイナス2.2%。2月の時点では今年はマイナス0.4からマイナス0.5ぐらいというのを予想していたんですけども、足元では大きくそれを下回っております。
    インフレにつきましても、これも上期と同じですけども、食品・輸入品を中心とした物価上昇圧力が引き続き強く、年末にかけては9%台になるということを各銀行とも予測しております。

    それから為替については、足元、財政目標の引き下げ、それからS&Pの格下げ、見通しの変更ですね、それから中国の人民元の基準値の切り下げ、それから逆に米国金利の引き上げ等ですね、色々な内外の要因が出ておりまして、引き続きボラティリティの高い状況が続くというふうに予測しています。7月末時点の各銀行の予測としては、年末にかけては3.2から3.5というレンジで決着するのではないかということで予測をしております。

    それから金利につきましては、これも先程来ご説明していますが、現在SELIC、政策目標金利が14.25%になっておりますが、これについては年末まではこれが維持されるのではないかというのが、ここは各行とも同じ意見を出しております。

    次がリスクシナリオになります。GDP成長率はマイナス2%からマイナス3%。インフレ率は8%から10.3%。為替は3.7から4.2。年末政策目標金利、SELICは12から15と、かなり幅があります。

    リスクシナリオで皆さんがコメントしたのはこの内容なんですけども、色々と想定されるシナリオはあると思いますけども、一つはジルマ大統領が弾劾あるいは辞任といった形で政権を離れると。それに加えてレビ財務大臣も離任してしまうということで、ブラジルに対する信任が大幅にさらに低下すると。加えて、S&Pになるのかもしれませんが、格付けをBBBマイナスからBBと、投資適格を失うというような、まあかなり悲観的なシナリオではありますけども、そういったことを一応リスクシナリオとしては書いております。

    この中においてはですね、レアルは、メインシナリオでは足元の3.5からどちらかと言うとレアル高という予測をしていたんですけども、リスクシナリオになりますと3.7からさらに4を切るような水準を予測している銀行もあります。状況としてはやはり政治的な混乱とか、高金利、高インフレがさらに継続、それから資本流失も起こるというような、まあいわゆる負のスパイラルが発生するというのを最悪のシナリオということで考えております。最悪じゃないですね、リスクシナリオとして考えております。

    以上が各銀行からのアンケートを基にした下期の予測ということですけども、まあ今回のシンポジウム、タイトルは少し前向きに「必ず復活!ブラジル経済」ということですので、先日金融部会で会合を開いた時に前向きな話は何かないかというのを少し議論させていただきました。それを少しまとめたのがこちらになります。

    まず、最初にですね、ここちょっと紙には全部書いていないんですけども、2016年のシナリオというのも簡単にヒアリングをさせていただいています。2016年については、メインシナリオですけども、GDPはマイナス0.7からゼロ。残念ながらプラスにはならないという状況ですけども、今年がマイナス2%程度ということが見込まれていますので、それよりは若干改善するかなということです。それから雇用環境については、引き続き悪化がやはり続くのではないかと。失業率は高水準で推移と。

    ただしインフレについては、今年9%、場合によっては10%と言われておりますので、そこからすると来年は5%台前半、5、6%に収斂していくのではないかというような見方をしております。

    為替については、先程のリスクシナリオでは3.7から4という話をさせていただいていますけども、これもまあ、財政再建の進捗等によっては今年のベースシナリオの3.5から3.5程度で推移するということも、そういう見方も出ております。

    それから金利については、これは今年いま14.25ということですけども、インフレがまあ5%台に低下して来るということで金利の引き下げ余地も出て来るということから、来年については11%から13%台ということで、今年よりは引き下げができるのではないかという見方をしているのが各行の見方です。

    それからここにちょっと書かせていただいていますけど、先程のリスクシナリオではルセフ大統領の罷免あるいは辞任ということプラス、レビ財務大臣の辞任というのを書かせていただいたんですけども、こちらでは、大統領は罷免あるいは辞任するものの、レビ財務大臣は残るというような状況において、まあ一時的に政治的な混乱は起こるものの、経営者とか消費者、投資家のマインドが前向きに変わってですね、景気、為替、株価とも底打ち、反転するのではないかというような意見も出ております。

    それから、これは金融部会のコメントではないんですけども、先日発表されたVEJA誌なんかでは、まあこちらも同じようにシナリオを3つ書いておりますけども、楽観シナリオとしては、2016年以降ですけども、経済成長はプラスに転じるというようなことを書いております。ただその前提条件としては、財政再建策が政治的合意の下、議会で承認され、円滑に推進されるということが大前提ということは書いてあります。もちろんリスクシナリオも書いておりますので、もしご興味のある方はご覧ください。

    それからあと、これはブラジルの強みの一つではないかということで金融部会で話した内容ですけども、安定した金融システムということで、後ほど銀行部門の説明でも触れますけども、ブラジル経済の強みとしては金融システムの安定があるのではないかと。ご存知の通り大手4行、5行でマーケットシェアの70%を占めるという、寡占状態ではあるんですけども、これらの大手銀行の収益力、それから自己資本比率ですね、Capital ratio等は引き続き強く、ここに来て不良債権比率は当然ながら上がってきてはいるものの、引き続き財務内容もしくは収益力等を考えると金融システムそのものに影響を与えるような、銀行の経営不振等というのは予想されていないと。昔日本では、銀行が不良債権問題から非常に大変な状況になって、結果的に経済全体が混乱してしまったという事態もありましたけど、ブラジルにおいては、まあ金融については、少なくとも大手行については非常に強い、財務的にも収益性も強いという状況が続いておりますので、これはブラジルが今後復活する上では重要なファクターになってくるのではないかと考えております。

    最後はですね、M&Aや直接投資に期待ということで書かせていただきました。これはですね、為替については先程来お話させていただいている通りレアル安にずっと振れておりますが、海外の投資家にしてみるとですね、今の3.5、さらにこれからまたレアル安傾向になった場合には投資のタイミングとしては非常に魅力的になってくるのではないかと考えております。

    先日もオイルメジャーのシェルが50億ドルの投資を発表しておりますし、足元ではペトロブラスの資産売却ということが大きく動いておりまして、外資、日系企業を含めですね、外資の方で戦略的な投資を考えている方、この方たちというのは今後投資機会はさらに増えて来るのではないかということで考えております。これはまあ当然直接投資ということになりますので、ブラジルの経済にとってはですね、まあプラス材料ということで考えております。

    続きまして銀行業界についてお話させていただきます。まず貸出残高ですけども、こちらは2015年上期は全体としては10%ということで、前年2014年とほぼ同じ伸びをしております。ただし、内訳を見てみますと、個人向けの貸出、これは2014年の6月のデータと比べてプラス5%となっています。

    それ以外については、2014年6月の同時期のデータと比べてマイナス22%。伸びてはいるんですけども、その前のデータですね、2014年の12月期と2013年の12月期、ここら辺を比べたデータと比べると軒並み貸出金は伸び率が減っていると。これはマイナスということではなくて、伸び率が前年もしくは過去のデータと比べて上がっているか下がっているかということです。貸出自体は当然伸びてはいるんですけども、伸び率が個人部門を除いては軒並み下がっているという状況になっております。

    あと銀行のところは少し飛ばさせていただきまして、こちらは延滞率ですね。これも先程お話し申し上げましたけども、各部門、法人向け、個人向けとも延滞率は上がってきております。これはまだ上昇傾向にはあるかなとは思っておりますが、銀行全体としては大手行を中心に非常に財務力は強いということで、懸念する材料はないかなと思っております。

    最後になります。保険市場です。種目別に見ますと特に企業を対象とした火災・新種保険について成長が鈍化傾向にあります。こちらのスライドですけども、ブラジルの保険監督庁であるSUSEPの統計データによりますと、直近の2015年1月から5月の前年同期比での保険料収入の伸び率は3.6%。二桁成長が続いた2013年度までと比較すると、昨年、今年とも経済成長が低迷する中で保険マーケットも成長が鈍化してきているという状況です。

    それから損害率についてですが、こちらもSUSEPの統計データによりますと全体としては悪化。その要因としては、企業を対象とした火災・新種保険、運送保険において損害率が10%を超えて悪化していることにあります。当地の保険業界は保険会社数が多いことも相まって競争が激しく、保険事業の低い収益性を運用収益によりカバーしているのが実態です。

    それから、これが最後ですけども、今後の保険市場の将来性についてということで、ブラジル経済の不透明さ、自動車新車販売の落ち込み等、個人消費の停滞により保険業界を巡る環境の先行きは厳しい状況が続いております。しかし、大手再保険会社スイス・リーの調査によりますと、国民1人当たりの保険料水準は日米の10分の1程度ということで、中長期的には貧困層の富裕化により今後も成長が見込まれているということが保険業界のコメントでございます。

    すいません、時間オーバーしまして。以上駆け足でしたけれども金融部会の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    どうもありがとうございました。ちょっと時間が押していますので、質問ある方、一つぐらいあれば。なければ、後でまとめてしていただいて結構です。では次に行かせてもらいます。2番目は貿易部会の方ですが、富島様にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

     

  • 貿易部会 富島寛 部会長

    Pdf貿易部会

    貿易部会長の住友商事富島でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。それでは早速ですけれども、2015年上期のブラジルの貿易動向について説明いたします。

    まず貿易額の推移でございます。グラフをご覧ください。これは半期ごとの貿易額の推移を示したものであります。紺色の棒グラフが輸出額、緑色の棒グラフが輸入額で、折れ線グラフは貿易収支を表しております。また、赤線は貿易収支の黒字ラインを表しております。

    折れ線グラフの2013年上半期をご覧ください。ブラジルは2001年以降、鉄鉱石や穀物などの一次産品の輸出が好調だったために貿易収支は黒字を継続してきましたが、2013年上半期には中国経済の減速や資源価格の下落などの影響によりまして赤字に転落しております。同年下半期には56億ドルの黒字となりまして通期では黒字を維持しましたが、翌年2014年には上半期、下半期ともに赤字となり、2000年以降14年ぶりに39億ドルの通期赤字となっております。2015年上半期は22億ドルの黒字となっておりますが、グラフでお分かりの通り前年同期比で輸出は14.7%、輸入は18.5%それぞれ減少しておりまして、貿易規模全体が大幅に減少しております。

    輸出が輸入を上回ったのは、ブラジル経済の不振や米国の利上げ観測などにより、資料の右下に記載しました通りレアル安が進んだことが原因として挙げられます。
    次のスライドでは2015年上半期の輸出入について、前年同期と比べながらより詳細にご説明いたします。

    まず輸出動向について商品別にご説明します。輸出商品を一次産品、半製品、工業製品の三つに大別しておりますが、それぞれの数量を見ていただきますと一次産品の輸出が断トツで多く、ブラジルは圧倒的な一次産品国であることが見て取れます。

    一次産品の黄色で囲んだ増減率をご覧ください。数量ベースでは9.9%増加しているにもかかわらず金額ベースではマイナス21.6%と大幅に減っております。これは穀物や鉱物の市場価格の大幅な下落によるものです。特に赤い四角で囲んである鉄鉱石につきましては、2014年上半期の市場価格が1トン当たり111.5ドルであったのが2015年上半期では60.5ドルとなりまして、数量は増えたものの取引金額が減少しております。

    次にその下の原油を見ていただきますと、数量ベースでは82.4%増加したものの、原油価格の下落によりまして金額ベースでは6.1%減少しております。原油の輸出数量が80%以上増加した主な要因は中国への原油輸出が前年同期比で3倍の540万トンになったことが挙げられます。これはサウジアラビアが中国を含むアジア向けの原油輸出価格を引き上げたことによりまして、ブラジル産原油への一部シフトが起きたものであります。

    続きましてブラジルの輸出相手国について説明いたします。左の表は輸出相手先上位10ヶ国、右の円グラフは地域別の構成比率を表しています。左の表の赤枠をご覧ください。中国向けの輸出は前年同期比で22.6%減少しておりますが、それでも2009年来の1位の座をキープしております。ブラジルの輸出品目で大豆と鉄鉱石が全体の20%を占めますが、いずれも中国向けが1位ですので、ブラジルの輸出にとっての中国の存在は非常に大きいものがございます。

    一方、2位のアメリカ向けも取引額を減少させていますが、減少率はマイナス6.3%と一桁台にとどまり、1位の中国向けや3位のアルゼンチンなどと比べてアメリカ経済が堅調であることを示しております。

    3位のアルゼンチン向けは12.7%輸出額が減少しています。主な原因は鉄鉱石および乗用車の輸出であります。昨今のアルゼンチン国内の経済不振によるものです。

    日本への輸出ですけれども、黄色で囲んだ増減率を見ていただきますと32%減少しておりまして、上位10ヶ国の中で減少率が最も大きくなっています。後ほど詳細説明しますが、これは日本向けの鉄鉱石輸出額が大幅に減少したことによります。

    右側の地域別構成比率を表したグラフを見て下さい。中国を含むアジアで34%、次に中南米で20%、EU向けで18%となっておりまして、地域による偏りがほとんどございません。これはブラジルの経済が特定地域の景況に大きな影響を受けるリスクが低いことを示しております。

    続いて輸入についてご説明いたします。輸入につきましても金額ベースでは一次産品と工業製品が大幅に減少しております。その中でも赤で囲っております原油は金額で55.8%、数量で23.4%と大きく減少しております。これはブラジル国内の景気低迷による輸入数量減に加えまして、国際原油価格の下落の相乗効果によるものと思われます。

    次に工業製品のうち液化天然ガスに目を移していただきますと、他の製品と異なりまして数量が121.3%、金額は42.3%と大幅に増加しております。ブラジルは電力の約7割を水力発電に依存しておりますが、昨今の水不足で水力発電による電力が不足しておりまして、これを天然ガスによる火力発電で補うため輸入が増加したものであります。

    次にブラジルの輸入相手国を見ます。左の表を見ていただきますと輸出相手国同様に輸入相手国も中国がトップとなっております。中国は2012年以降、それまでのトップでありました米国に代わり輸入相手国1位の座をキープしております。

    中国からの輸入額は9.2%減少しておりますが、米国、アルゼンチンなどその他の国からの輸入が軒並み二桁台のマイナスであることに比べますと、ブラジル国内の経済不振にも関わらず通信機器をはじめとする中国からの輸入は比較的安定していると言えます。

    2位のアメリカからの輸入につきましては、原油と天然ガスが伸びましたが、燃料油の輸入が大幅に減少したことから全体で17.9%減となっております。3位のアルゼンチンについては、原油の輸入がなくなり、自動車関連部品につきましても減少した結果、全体では21%減となりました。日本は昨年の9位から6位に順位を上げておりまして、詳細は次のスライドでご説明します。

    スライド右側の円グラフを見ていただきますと、ブラジルは輸出と同様に輸入相手国先の地域による偏りはあまり見られませんで、特定の国や地域に依存しない貿易体制が構築されていると言えます。

    次に日本との貿易について見て行きます。まず日本への輸出ですが、左の表の黄色で囲った輸出金額の伸び率をご覧ください。昨年同期比でマイナス32%と大きく減少しています。商品別に見ますと鉄鉱石と大豆の輸出が前年比50%以上の減少となっています。それぞれの原因を見ますと、鉄鉱石は数量こそ前年同期の1430万トンから1360万トンと微減でありますが、対日FOB価格がトン当たり93ドルから46ドルと半減したため、大きな金額の減少となっています。

    一方で大豆は日本への輸出数量が昨年上半期の31万トンに対し今期では18万トンとなって42%減少しました上に、輸出単価につきましても前年平均507ドルであったものが390ドルとなりまして、23%減少したという相乗効果によるものであります。

    次に右側の日本からの輸入をご覧ください。全体では前年同期比でマイナス11.3%の26億ドルとなりました。商品別に見ますと、全体が減少した中で緑で囲んだ鉄道関連製品と鋼管が大幅に減少しております。鋼管は在庫調整が一段落しまして、新規買い付けにより増加したものと見られております。

    続きましてブラジルへの直接投資についてご説明します。左のグラフですが、2011年度の695億ドルをピークとしまして、2012年、13年と減少傾向が続き、2014年は若干持ち直したものの、2015年上半期は前年同期比でマイナス12.8%となっております。ブラジル経済の不振や先行きの不透明感によりまして、海外からの投資が控えられたものとみられます。

    一方で右側の表で国別に見ますと、1位のスペインが大きく伸びております。これはスペインの通信大手テレフォニカによりますブラジルのフランス系メディア企業の買収が大きく影響しています。この表には中国の記載がありませんけども、中国は主にルクセンブルグやオランダを経由した間接投資が多いことからランキングの上位に現れて来ないものであります。

    一方、本年5月、李克強首相が来伯した際、中国は総額で530億ドルに上る投資プランを発表しております。実行性には問題があるという声が多いものの、中国が対内投資におきましても大きなインパクトを持つことは間違いないものと思われます。

    次のスライドは投資額を業種別に示したものであります。一次産品では64.7%増加しておりますが、全体の構成比で約60%を占めますサービス業への投資がマイナス19.7%と大きく減少したため、全体ではマイナス12.8%となりました。

    一次産品の中で石油天然ガス分野が100%の増加率を示しておりますけれども、これはロイヤルダッチシェルによるブリティッシュガスの買収が主な原因と考えられます。
    最後でございます。2015年通期の展望を見ます。

    ブラジル中銀は2015年の通期の貿易収支が80億ドルの黒字となる予想をこの8月14日に発表しております。しかし、冒頭に申しました通り、上半期では22億ドルの黒字でありますので、下半期で58億ドルに近い黒字ということになりまして、ブラジルの国内経済の不振、先行きの不透明感、コモディティ価格の下落などがしばらく継続する模様であることを考えますと、本当に下期でそこまでの黒字になるのか疑問符がつくところであります。

    ご存知の通りジルマ政権は史上最低の支持率となり、どこまで政治のリーダーシップが期待できるか分かりませんが、政府は国家輸出計画を発表しまして市場へのアクセスの改善、貿易手続きの合理化、簡素化、あるいは輸出取引への融資と保証の拡大、税制の改善などを通じてブラジルからの輸出を増やす姿勢を明確にしております。また、ブラジル経済のボトルネックであります不十分なインフラを改善すべく、総額約8兆円におよぶインフラ投資計画も先日発表しております。

    これらの計画が本当に実行されれば、中長期的には本日のシンポジウムのサブタイトルであります「必ず復活!ブラジル経済」の実現に大きく貢献しますので、その成否が注目されるところであります。

    以上で貿易部会からの発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    どうもありがとうございました。皆さんの方から何かご質問がございましたらよろしくお願いします。ちょっと私の方から一つ、先程中国からの投資が中国という名前で出なくてルクセンブルグとかオランダの国として上がっている理由がちょっと分からなかったので、もし分かれば教えていただけますか。

    富島部会長
    理由についてはつまびらかにされておりませんけれども、税制の問題なのか何か政策の問題なのか、その部分はちょっと詰め切れておりませんが、事実としてはそういうことでございます。

    司会
    ほかに皆さんの方から何かありますか。ではないようでしたら、どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、機械金属部会の方につきまして渡辺様からお願いしたいと思います。

     

  • 機械金属部会 渡辺健司 部会長

    Pdf機械金属部会

    機械金属部会の渡辺です。よろしくお願いします。私はブラジルに来ましてもうすでに3年ほど過ぎております。もう4年目に入っているんですけれども。このシンポジウムももう6回ぐらい出ているんですけれども、残念ながら傾向としましてはずっと下方に振れている、一向に上昇機運が見えないという非常に残念な状況にございます。

    この3年間何が一番違うかというと、石油をはじめとしまして、農産物、第一次産品の市況が非常に悪くなっている。それとブラジルの物価がですね、インフレ、1年前までは大体6%ぐらいで来たんですけども今年は9%ぐらい行きそうだと。まあこれは石油とかガスとか、電気とか水の価格が、補助金が取られまして、正直な姿に帰ってきているんじゃないかなというふうに思うんですが、これが今のブラジルの実力なのかなと。それと、今まで、去年からLava Jato問題、非常に表立ってきておりますが、今まではずっと水面下に隠れてあまり出て来なかったと。それがようやく出始めて、これもブラジルの正常化につながっているのかなという気はしております。

    それでは機械金属部会のセグメント別のレポートをご紹介するのと、今日は造船業界でやっておりますブラジル政府関連の組織とのタスクフォース会議の推移について簡単に説明させていただきたいと思っています。

    セグメント別では、鉄鋼業。2番目に発電・社会インフラ業。3番目としましてプラント機械・船舶業。4つ目、建設機械業。5番目、農業機械業。6番目としまして工作・計測機械業ということで、各1ページにまとめておりますのでご報告申し上げます。なお全体概況、共通につきましては既に金融部会および貿易部会の方で同じことも説明されておりますので、このページは割愛させていただきます。

    1番目、鉄鋼業。2015年上期の回顧。2013年、2014年ですね、2640万トンから2460万トンと前年比7%ほど減っております。2015年も2260万トン程度ということで、前年比8%ぐらいのダウンと。これは毎年200万トンぐらいずつ減っているという傾向がございます。ただ粗鋼生産量に関しましてはですね、3420万トンが3390万トンということで1%の下落に終わっています。そういうことで、内需が減っているということでございますが、粗鋼生産量は大きく落ちていないと。国内の落ち込みを輸出でカバーしてきたという状況にございます。

    今年は大手のUsiminas製鉄所の高炉2本が休止を発表しております。そういう意味で2015年は、粗鋼生産量も150万トンぐらい下がるというふうに予想されておりまして、輸出の方も減りつつあるという状況です。背景としましては、自動車製造台数の上期は前年同期比18.5%下がっています。造船、ペトロブラスの関連も大幅減になっているということで、鉄鋼の生産量が下降気味にあるという状況です。

    2015年下期の展望としましては、ブラジルの経済概況の好転にはかなりの時間を要するという厳しい見方です。鉄鉱石の市況は中国市場の需要に大きく左右されていますが、その反転回復はですね、中国経済の回復時期を考えると2018年以降というふうに鉄鋼業界に関しましては厳しい見方になっています。レアル安を背景に国内の減少を輸出で補ってきたが、ブラジルの鉄鋼業にコスト競争力があるということではなく、鉄鋼不況の恒常化が懸念されております。

    次、発電・社会インフラ部門。発電に関しましては、2015年上期の回顧としましては、水不足が背景にありまして電力代金の高騰。電源の多様化ニーズを拡大させていました。小型水力、風車、火力の発電案件が実際ありました。先の電力オークションでもバイオマス・ガス大型火力の計画が具体化しつつありまして、ファイナンスとガス安定供給の確保が案件成立の懸念材料となってはいるものの、まあ案件としては具体化しつつあると。まあまだ明るい分野だというふうに言えると思います。

    紙・パルプ業界の設備投資意欲は依然高いと。回収ボイラーなどの商談が継続しております。また石油・ガス・石化・製鉄向けの新規案件は凍結あるいは繰り延べということで、一般の売電用というかですね、自家発ではなくて公共用のユーティリティー関係の電気の需要が高まりつつあるという状況です。

    交通インフラ案件。サンパウロ地下鉄6号線をですね、昨年正式に契約しまして、プロジェクトの立上げを今現在行なっていると。2020年完工を目指し、現在設計工事を遂行中。サンパウロ市向けに検討している案件はその他数プロジェクトあるというふうに聞いておりまして、期待は持てるものの現在ちょっと商談はほぼ止まっている状況です。

    2015年下期の展望としましては、引き続き深刻な水不足により電気代が高騰する様子がございます。電源の多様化が加速される可能性が高いと。そういう意味で再生エネルギー、風力、バイオマス発電案件の増加を見込んでいる。ガス焚大型火力の引合いも期待できます。それと電力事情の悪化を背景に、小型・分散型発電セットの需要増が見込まれると。天然ガス焚ガスエンジンの引合いも出始めています。それと工場関連ですが、電気代が高騰しておりまして、省エネ発電投資の検討も再開されていると。若干明るいニュースです。

    それと交通インフラ案件ですが、大都市を中心に都市交通インフラ改善のニーズは依然高いです。複数の都市で地下鉄等の建設計画は有するものの、施主となる州・市政府もですね、新政権発足直後であり、これ新政権発足直後というのは誤りですね、もう1年前になっております。商談プロセスは現在遅れ気味にあります。
    プラント機械・造船分野です。2015年上期の回顧としましては、製鉄は需要の減少で新規投資案件は見合わせ。高炉休止・生産調整などもあり、上半期の実績は非常に厳しいものでした。

    石油ガス。ペトロブラスの業績不振は改善されておりません。新規投資案件は実質凍結の状態。油井管の引合いも停止状態。石油化学。新規投資活動は鈍化した状況で継続したまま。

    製紙パルプ。世界的パルプ需要は以前高く、各社設備投資を検討しております。本分野でのブラジルのコスト競争力は世界的にあるということです。

    造船関連。ペトロブラス疑惑の影響でですね、傭船会社、SETE BRASILからの入金が滞っておりまして、事業継続に支障をきたしております。FPSO・プラットフォーム案件も商談の凍結状態にあると。

    産業機械。景気減速によりましてブラジルのセメント各社は設備新増設計画を延期しております。また客先のプロジェクトは進捗していない状況で、新規案件の成約には至っておりません。設備既納の客先からは安定的にスペアパーツの受注を獲得していると。

    下期に関しましては、大体似たような状況ですが、資源価格の下落、市場縮小で明るい材料が乏しいというのが製鉄。石油・ガスに関連しましては、各種案件の資金調達に支障が生じておりまして、大型プロジェクトの計画は凍結もしくは大幅な遅れと。

    製紙パルプにつきましては好調継続を見込む。造船はですね、造船会社の資金難を回避できる融資、出資スキームの構築を早期に行えるかがキーポイントと。ペトロブラスの投資計画見直しで契約納期などは大幅に修正が必要になっています。

    産業機械に関しましては、南米全体のセメント消費は拡大する方向にあるということですが、ブラジルでは設備投資は低迷。ローカルマニュファクチャリングも視野にスペアパーツの受注を図っていきたいという報告でございました。

    建設機械。上期の回顧としましては、2014年度の建設機械は15000台あまりと。前年に比べまして0.4%の微増ということでしたが、2014年は大統領選挙の年でもありまして、景気対策の一環として農業開発省向けテンダーがあったということで、2015年は上期3863台と50%超受注が減っております。その特別なテンダーの分を除きましても35%受注台数が減っておるということで、落ち込みが顕著になっております。

    政府の予算不足とか、Lava Jato事件に起因しまして、プロジェクトのサスペンドがありました。景気の先行き不透明感によって建設会社、レンタル会社の投資見送りが原因と言われております。小型建機ビジネスに関しましては、2014年の輸入統計全体では前年比135%伸長しており好調であったと。

    続きまして下期の展望ですが、中長期の新インフラプロジェクトが発表されたが、実需につながるのは2016年後半以降と見通しをしております。ペトロブラス収賄事件に関与したとされる大手建設会社は、当面インフラプロジェクトに入札できない状況が続けば、その推移を注意していく必要があります。小型建機に関しましては、労働賃金の上昇ということで、小型建機の増加トレンドは中期的には変わらないと考えておりますが、2015年度中は需要の低迷が継続と推測しております。

    農業機械、小型ディーゼルエンジンビジネス。2014年の小型ディーゼルエンジンの販売は全般に前年並みでありました。2015年上期の発電機セット、農耕車両向けのエンジン販売は台数・金額ベースとも約20%アップということで好調を見込んでおります。トラクタービジネスに関しましては、これはちょっと低調に留まっておりまして、前年比78%に留まりました。

    下期の展望ですが、小型ディーゼルエンジンビジネスは上期好調の反動で受注ペースは鈍るというふうに予想しております。年間で2014年度を10%上回る程度という見通しです。トラクター需要全体は昨年度比20%減ということで推測しておりますが、新機種を投入することで販売低下を回避したいということを言われています。

    各種工作・計測関係ですけども、2015年上期実績はブラジル経済のマイナス成長、特に自動車産業の生産台数が20%超の大幅な落ち込みということで、その中で特にトラックは45%減と深刻な状況でありました。同事業向けの工作・切削・計測機械の売上は大幅に落ちている状況です。

    さらに2月以降の50%近くに及ぶ急激なレアル安ということで、輸入金額の上昇となりまして経営を圧迫している。通貨の大幅な変動に対応するため、日本本社との間の決済通貨をレアル建てにしたという会社もございます。それによってレアルの変動リスクを回避するということですね。

    それと下期の展望としましては、長引くブラジル経済の低迷と先行きの不透明感から消費者の新車購入意欲改善は当面見込めないと。ブラジル自動車工業会の2015年の見通しでは販売17.8%減、生産20.6%減となっています。景気回復時期については2016年半ば以降であろうと。政権交代までは回復しないという意見もかなり、部会の中ではございました。

    対策としましては、自動車業界低迷の中トヨタさん、ホンダさんがシェアを伸ばしております。そういう意味で日本系の自動車企業を中心に事業を伸ばしたいというところと、それ以外に順調な航空機、医療、食品、あまり変動を受けない農業分野ですね、への取り組みを同様にシェアアップを図りたいと。それと新規需要の回復スピードは非常に遅いと。アフターサービス市場の掘り起し、コストダウンが重要という意見もございました。それと工場の人員削減・生産調整などを実施しながら操業利益を確保したいと。それと電気代が非常に高騰しているということで、高性能・省エネ製品の投入で市場開拓していきたいという意見もございます。次のページをお願いします。

    これは前回のシンポジウムの時にも書いたものです。ペトロブラス疑惑、Lava Jatoの機械金属部会企業への影響ということで簡単にまとめたページです。これは既に説明させていただきましたので、その後ですね、その影響もございまして、日本の造船会社が出資しております3社、造船会社があるんですけれども、いずれも入金の遅れとかございまして、事業が立ち行かなくなっていると。そういう背景もあって、今年の5月14日、ジルマ大統領、ブラジル政府機関と造船3社、三菱重工さん、IHIさん、それと川崎重工の代表者の面談がございました。

    ブラジル側の出席者は鉱山エネルギー省、財務省、ペトロブラス、バーレ、ブラジル開発銀行、BNDESですね、それとブラジル銀行、それとCAIXAも出ていたと思います。

    日本側の方から申し入れた点は4つございます。一つが合弁造船所への支援の確認。日伯造船協力枠組みの堅持。SETE BRASILドリルシップ建造資金不払いの早期の解消。それとBNDES他によります必要資金の注入という4つをお願いしました。

    それに基づきまして大統領の方から、タスクフォースチームを作って個別に打ち合わせを進めたらどうかということになりまして、第1回のタスクフォース会議が5月26日に行なわれました。その時から日本国政府ということで梅田大使、それと国土交通省の坂下審議官にも参加していただきまして、話し合いを続けております。7月20日に2回目を行ないました。

    現状ですね、ペトロブラス・SETE BRASIL再建計画に沿って、ブラジル開発銀行に代わってブラジル銀行およびCAIXAが主導権をとって支払いないしは融資計画を検討しているということです。

    他方、LAVA JATO捜査がですね、経済界・政界に広がりまして終息する見通しがないということです。明確なまだ方向性が出ておりませんが、会議は継続していると、そういう状況にございます。以上です。

    司会
    どうもありがとうございました。何かご質問がございましたらお願いいたします。ないようでしたら次に進ませていただきます。ありがとうございました。次に自動車部会の方につきまして溝口様にお願いしたいと思います。

     

  • 自動車部会 溝口イサオ 副部会長

    Pdf自動車部会

    皆様こんにちは。それでは自動車部会から報告させていただきます。本日はトヨタブラジルの近藤社長に代わりまして、私より説明させていただきます。今回は「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか~」と題しまして、まずトピックとして今年5月に開かれました日伯賢人会議に触れ、その後四輪業界、二輪業界のそれぞれの動向をご説明させていただきます。

    今年5月、リオデジャネイロで第5回目となる日伯賢人会議が開催されました。日伯の産業界の代表が両国にとっての共通課題をまとめた提言書を作成し、後日両国政府に報告いたしました。日本の自動車産業界からはトヨタ自動車の内山田会長が出席し、ブラジル政府およびブラジルにおける日系メーカーの取り組みについて紹介し、課題の改善についても言及しました。ご覧の5項目がブラジル政府への具体的な提言です。

    簡単にご紹介いたしますと、新技術導入を促進する適切な自動車政策、自由貿易政策、輸出促進政策、人材育成・協調的な労使関係、人的交流の5項目となっております。

    提言書の両政府への報告では、バルボーザ企画予算大臣より自動車政策における新技術導入の促進、および人材育成への優先的な取り組みへの意思表明をいただき、安倍首相からはブラジルは日本にとって重要な国、日伯賢人会議の活動も継続してほしいとコメントをいただくことができ、今後の両国の課題解決に一定の期待が持てる報告となりました。
    それでは次に上期の振り返りについてご説明させていただきます。

    まず販売台数の推移です。上期の販売実績は約132万台。年率は前年比約80%となる286万台と3年連続で前年を下回る結果となりました。インフレ抑制政策による金利引き上げや、失業率の上昇で景況感が悪化していることが要因として考えられます。輸入車比率も16%と4年連続で低下傾向にあります。

    こちらは販売台数を月別に見たものです。1月2月はIPI税率引き上げにより販売が大きく落ち込んでいます。販売不調により、オレンジの文字で表した在庫月数が1.6~1.7ヶ月と高いレベルで推移していることが分かります。

    こちらは月別のフリート、つまり法人向け販売比率の推移です。赤色で示した業界平均は昨年よりもさらに高水準で推移しております。中でも今年6月、Fiatは42%、ルノーについては55%となっており、今年も各社台数を維持するために苦しい対応を迫られている状態が続いていることが窺えます。

    次に生産・輸出の推移です。15年上期の総生産台数は前年同期比77.3%となる約128万台、年率は276.4万台となっております。在庫調整のため一部メーカーは集団休暇、レイオフ、希望退職、解雇などで生産調整を実施しております。なお輸出はレアル安の影響で前年同期比117%増加となっています。上段左は先程の輸出台数を車両のカテゴリー別に見たもの、右は輸出相手国別に輸出金額をまとめたものです。カテゴリー別では昨今のレアル安を受け、ライトトラックが前年同期比38%の伸びとなっているほか、その他全てのカテゴリーでプラスとなっております。しかし国内販売の激しい落ち込みをカバーするには決して十分と言えない状況となっております。

    輸出相手国別に見るとメキシコが約58%の伸びとなっておりますが、最大の輸出先であるアルゼンチンが2割以上のマイナスとなっています。なお下段は中南米の国々の車両輸入先をランキングにしたものです。今回はパラグアイ、ウルグアイのデータが取れたのでご紹介します。

    パラグアイは上から韓国、ブラジル、中国、アルゼンチン、日本。ウルグアイは中国、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、韓国、いずれもブラジルは2位の位置を占めておりますが、東アジア諸国のコスト競争力の高い輸入車との厳しい競争にさらされていることがお分かりになるかと思います。

    それではここから下期の展望に入っていきたいと思います。
    こちらはブラジル経済指数の推移をまとめたものです。経済成長率の見通しは15年がマイナス1.76%、来年は改善するものの、わずか0.2%。為替は足元はさらに高く出ておりますが、今年が3.25、来年はさらに上昇する見込みです。また公共料金の値上げによりインフレが進行。金利もご覧の通り今年、来年と高水準で推移しています。レアル安の進行は輸入部品の価格上昇につながり、各社の収益を圧迫する大きな要因となっております。

    こちらは景況感を示す製造業信頼度、消費者信頼度の1年分の推移です。製造業信頼度は昨年同期比で9.2ポイントのマイナスとなっております。7月には過去最低レベルとなる37.2ポイントとなりました。消費者信頼度も4ヶ月連続で減少し、こちらも過去最低レベルとなる82ポイントを記録しました。

    こちらはブラジル市場、輸出・生産の15年当初予測と修正予測です。ANFAVEAと自動車部会の予測を比較しております。ANFAVEAは当初、販売予測を前年実績と同じ350万台と見ていましたが、6月には前年比約20%のマイナスとなる280万台に下方修正しています。部会予想はもう少し厳しく見ており、260万台としております。

    生産台数は在庫調整により昨年より減少する見込みで、ANFAVEA、部会ともに前年比約20%マイナスの285.5万台と見ております。

    これまでご説明の通り、見通しは引き続き暗いと言わざるを得ませんが、ポジティブな見通しとして自動車総市場の推移をご紹介いたします。ご覧の通り青色で示した中古車市場は年々拡大傾向にあり、2014年には過去最高の1005万台を記録しました。緑色の総市場も右肩上がりの傾向にあり、ブラジル市場のポテンシャルの高さは今後も変わらないと見ています。

    それではここから、昨今の不況が自動車産業に与えた影響をご説明いたします。こちらは自動車販売店およびメーカーへの影響を表したものです。まず販売店への影響ですが、上期には国内で492店舗が閉鎖し、250の販売店が新たに開業しました。差し引きすると国内7900の販売店の約3%にあたる242店舗が減少し、既に12000人が解雇されたそうです。

    販売店協会予測では、年末までにさらに約150店が閉鎖され、解雇も20000人に達する見込みでおります。メーカーへの影響としては、過去12ヶ月で雇用者数が全体の9.4%に相当する約15000人減となっています。レイオフ休暇、集団休暇の総数は約36000人となっております。

    このような厳しい状況を受けブラジル政府はPPE、Employment Protection Programを公表しました。16年末まで労働時間短縮に伴う賃金カットが最大30%可能となりました。従来いかなる理由でも賃金カットが許されなかったブラジルの労働法制にとって非常に大きな意味を持つ出来事となりました。

    こちらは部品産業への影響をまとめたものです。売上は11年の913億レアルをピークに、15年は11年比で25.5%のマイナスとなる680億レアルの見込みとなっています。また従業員数も11年の23万人をピークに、15年は11年比で23%マイナスとなる17.7万人となっております。なお今年に入り20社以上の部品メーカーが倒産したとのデータもあります。
    これまでご説明いたしました通り、自動車業界は依然として厳しい状況が続いております。しかしその中でも健闘が目立つのが日系メーカーです。ここからはその健闘の要因と各社の取り組みをご紹介させていただきます。

    まず始めに、こちらが2013年からの販売実績です。上位3ブランドがいずれもシェアを落とす中、日系メーカーはシェアを拡大していることがお分かりになるかと思います。
    こちらはその日系メーカーの好調を表す新聞やネットの記事です。また日系メーカーの健闘の要因を部会では次のように考えました。

    独自の商品戦略と、質の高い販売店網構築によるブランド力の形成、さらに生産性の向上とコスト削減。これらを通じて持続可能なビジネスモデル構築に取り組んできたことが要因ではないかと思います。

    ここからは、スライドに示した1~3に該当する取り組みをご紹介いたします。
    まず、日本ブランド支持の背景を簡単にご説明差し上げます。日本ブランドは独自の商品戦略と質の高い販売店網により、高いブランドイメージとリセールバリューを実現し、お客様の信頼と根強い支持を得てきました。また最近では、景気が悪いからこそ安心できる買い物がしたいという日本車特有のお客様からの支持のさらなる拡大、広まりも見られます。

    こちらは日本ブランド支持の背景の一つである、独自の商品戦略に関する例です。ブラジル市場は価格帯の低い小型から中型サイズにかけての車がボリュームゾーンを占めておりますが、日本ブランドは高い商品力と品質をベースに中~高価格帯で独自の商品ポジショニングを実現しています。

    つまりボリュームゾーンで起きている熾烈な価格・装備競争から一線を画し、さらに透明性の高い販売施策なども相まってリセールバリューや信頼の向上につなげています。結果、お客様に価格を超える価値を提供していると考えます。

    次に、2点目の質の高い販売店網についての取り組みです。質の高い販売店作りには販売店の高いモチベーションが重要な要素となります。左にありますように、まずは適切な設備、作業標準、研修体系などをベースとして、一店舗ずつカスタマイズされた最適な目標を設定します。その上で販売店と一緒にPDCAをまわし、達成した場合にはインセンチーボにつながるという改善サイクルで販売店のモチベーションを促しています。このようにお客様やメーカーだけではなく、販売店網も売上増や顧客維持などの利益が得られるウィンウィンの関係を構築することにより質の高い販売店網を構築し、お客様からの信頼をいただいていると考えます。

    3つ目の生産性向上とコスト低減の例としてトヨタさんの取り組みを紹介させていただきます。トヨタさんの生産性向上活動の基本的な考え方は、生産性の向上によりコスト増を相殺するというものです。右側のグラフがそのイメージ図となりますが、生産増に伴うコスト増を車両1台当たりの作業時間を減らすことで相殺します。その活動として、不良品割合の低減による稼働率の向上、工場間の生産性向上の取り組みを研究し合う技術研究活動を通じタクトアップを実現しています。

    最後に総括としてブラジル政府への提言を再度お伝えして、四輪業界の締めくくりとしたいと思います。

    今後我々がすべきことは、これまで紹介してきた取り組みを通じて地道にものづくりに励むことと共に、業界一丸となって、商工会議所、大使館、領事館と連携したり、首脳会議、賢人会議の場を活用して是正・提言を粘り強く続けて行くことだと考えます。どうか皆様ご協力賜わりますようよろしくお願いいたします。

    続きまして二輪業界について概況をご説明いたします。
    まず生産販売の動向です。インフレ、レアル安、解雇増等の経済環境悪化により厳しい市場環境が続いており、2014年上期の国内卸販売実績は66万台、前年比92%と4年連続で前年割れとなりました。また低調な販売状況を反映し、生産は67万台、前年比87%となりました。

    こちらは登録ベースの月別販売推移です。コンソルシオ需要の高まる3月を除いて前年割れが続き、15年上期累計は前年比90%となりました。環境規制であるPromot 4対応の新モデル上市が続きましたが、負債の増加、金利高止まりにより下期も厳しい市場環境が予想されます。

    最後に二輪販売の支払い形態別推移です。2011年後半以降支払い不履行が急上昇したことから、ファイナンスの審査が厳しくなりました。その結果ファイナンス販売が伸び悩み、ファイナンス比率は急速に減少しました。このファイナンス審査の厳しさについては2015年も変化はされないと思いますし、3月までの実績ではありますが全販売におけるローン比率の減少は続いております。
    以上で自動車部会の報告とさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    どうもありがとうございました。何かご質問がありましたらお願いします。どうぞ。

    質問
    すいません。司会のジェトロの石田ですけども、溝口社長にちょっとご質問させていただきたいんですけどもよろしいでしょうか。

    10月の20日前後にですね、ジェトロが経済産業省さんと協力して、日本から自動車部品メーカーさんを20社ぐらいブラジルに連れてきまして、視察・商談をサンパウロとポルト・アレグレですけども、するという計画を今していまして、その関係でちょっと色々と教えていただきたいんですけども。ブラジル側がですね、自動車に期待する新技術、それからそれに伴う部品の供給、これはですね、具体的にどんなものを期待されているのか。

    例えば、まあ素人感覚で考えると、燃費向上とかですね、衝突安全性能とか、それからもっと卑近な例で言うと、坂道でよく後ろにずり下がっている車がいますけども、ああいうずり下がりをですね、防止する装置とか。それから、後はですね、今アイドリングストップが付いている車って日本ではずいぶん増えてきましたけども、ブラジルにはまだそうないと思うんですね。そういうこととかですね、まあそういうちょっと具体的な話をもしご存知でしたら、現場で、お聞きしたいなという質問でございます。

    溝口 副部会長
    まあ間違いなく、まず、第一優先は安全技術だと思いますね。自動車、交通安全に貢献できる技術だと思います。その次は環境ですね。特に最近皆様、新聞とかテレビで見られると思いますけれども、サンパウロでスピード規制が厳しくなってきます。

    Marginalとかかなりスピードを落とすようになりましたね。今年、自動車関係の国際会議があるそうなんですね、ブラジルで。サンパウロだそうなんですけども、それでブラジル政府としてはここ数年間約束したことを何もやっていないそうで、急きょ慌ててスピードを落とさせたり、色んな事をやっているんですけども。例えば、我々の商品にも直接影響してくるんですけども、例えば二輪で言いますとブレーキの規制が厳しくなります。

    ということで、ABSというブレーキですね。それから四輪でいいますと、2017年か18年ぐらいにはBASAという自動車の、コーナーとかでコントロールをうまくできる制御装置なんですけども、そういう安全ですね。もしくは環境、環境で言えばエミッション規制ですけども、どんどん厳しくなってきます。

    それから衝突要件も、NCAPってありますね、ラテンNCAPといってこれは南米独自の衝突要件とかが決まりまして、どんどん採用していくことになると思いますので、まあ最初の質問になりますけども、安全と環境に関する技術をブラジル政府が法律で縛るというような動きをしております。だから日本のサプライヤーさんの色んな技術をブラジルで採用できることになると思います。

    司会
    ありがとうございました。それでは他にご質問がなければ、では前半の最終になります、コンサルタント部会の方につきまして関根様にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

     

  • コンサルタント部会 関根実 副部会長

    Pdfコンサルタント部会

    コンサルタント部会からはブラジルの現在の状況をちょっと整理いたしまして、それに対する対応策ということで、皆様の会社経営のまあヒントになるようなお話をさせていただければありがたいと思っております。

    まずコンサルタント部会のメンバーの上期の回顧と下期の展望ということなんですけども、直接単独の日本からの投資案件はストップしております。日本からの投資を控えて、とりあえずはブラジルでの代理店を活かそうというような動きになっております。日本からご出張されてくる方の数は減っておりますけれども、一部に市場調査を継続中の企業がございます。

    税務アドバイザリー業務につきましては、引き続き一般的な相談、調査依頼はありますけども、まあ具体的に踏み込んで、例えば税務訴訟に至るというようなところまでは至っておりません。

    次にリクルート業務ですけれども、ディレクタークラスのリクルートは止まりました。その下のマネージャー、ジェレンチクラスのリクルートが今継続しておりまして、まあ高い給与からその下のレベルへ入れ替えるという作業が進んでおります。このジェレンチクラスのリクルートで我々が再認識したことですけども、当地ブラジルには優秀な信頼性のある日系2世、3世の方が大勢おられるということで、これは中国とか他の新興国にはない非常な、有利な良い点であるということを認識いたしました。

    職種別には引き続き、IT、システムエンジニア、このニーズが強いことが続いております。ブラジルの全般的な今の状況ですけども、優秀なブラジルの人材が今、欧米、オーストラリア、カナダ、日本に流出しております。まあ現在のブラジルの政治経済の環境に希望を持てないということで、残念ながら優秀な人材が出ているという嘆かわしい状況にございます。

    次に証券アドバイザリー業務ですけれども、今年に入りましてカントリーリスクが上がってきたということで、外国人投資家が出ておりまして、出来高が減少してきております。しかしまあブラジルの証券市場も欧米並みにシステムトレーディング化しておりまして、コンピュータにあらかじめ株価の買値、売値をインプットしておいて、激しく短期売買を繰り返すというようなプロの市場になりつつあります。

    ここからブラジルの全般的な状況をまず整理してみたいと思うんですけれども、最初に、現在と、これから35年先の2050年の時点でのGDPの国別ランキングを示したグラフなんですけども、今年の3月にアメリカの経済雑誌エコノミストが出した予想です。

    中国が2050年時点ではアメリカを上回ってナンバーワンに出ると。日本、ドイツがそれぞれ3位、4位にいますけれども、これが5位、6位に下がって、3番目、4番目にインド、インドネシアが入って来る。人口の大きい、市場の大きい国がやがて、経済的には上回るであろうという予想を出しております。

    この予想の前提は、現在の経済成長が各国それぞれ続いていくだろうという前提です。中国については6.6%の平均成長で見込んでいます。アメリカは4%。インドは10%です。日本は2.5%。ブラジルについては4%。ここで我々が認識しなきゃいけないのは、ブラジルは低成長ではあるけれども、2050年の時点でも引き続き世界のランキングで7位を占める、大きな重要なマーケットであるというのがエコノミスト誌からの予想として出ております。まずこれを念頭に置きたいと思います。

    このグラフは国別のGDPの推移を示しています。一番上がアメリカで順調に伸びてきていますけども、下から2番目の青い所が中国で著しくシェアが伸びているわけですね。この中でブラジルは真ん中の茶色いところですけれども、まあ緩やかな伸びではあるけれどもそこそこブラジルも経済規模を拡大してきているということが言えます。

    この棒グラフは国別のGDPの内訳を示したものです。左から3番目がブラジルですけども、個人消費が61%を占めております。政府支出が21%。投資、固定資本形成が18%ということで、まあ中国なんかと比べますと投資がまだ少ないというところですね。貿易部門につきましては、データが2010年でちょっと古いんですけども、若干マイナスという構成になっております。

    この経済規模の構成を他国と比較してみますと、右の方のイギリス、フランスとほぼ同様のパターンを形成しています。共に個人消費が60%前後を占めて、政府支出が20%台、資本は比較的少なくて10%台。貿易部門、輸出マイナス輸入は若干マイナスと。ここで言えますことは、イギリスとかフランスとか先進国で既に国内に資本が蓄積されている国はよろしいんですけども、ブラジルはまだ国内貯蓄が不足して、外貨流入がないとやっていけない国な訳ですよね。にもかかわらず先進国なみの消費主導の経済であるということは、まあ悪い表現で言えば分不相応の消費経済であると。外資が入って来なければ回らないと、これが流出し始めると困るという減少が今始まった訳です。

    このグラフはコンサルタント部会のメンバーの今井さんが作成されたグラフでして、ブラジルのカントリーリスクの推移を示しております。EMBIといいますのは、Emerging Market Bond Index、ブラジルの国債の既発債市場における価格を指数化したものです。真ん中の2002年9月に2436と急に跳ね上がりましたのは、ルーラ大統領が選出される直前、2002年の選挙の前後ですけども、ブラジルが共産化されるのではないかという大変な、まあ今よりもっとすごいリスク危機感がありましてですね、一時的に飛び上がった時です。

    この表の見方は、アメリカの国債に比べまして24.36%高い金利を付けなければブラジル国債が売れなかったという時期です。実際にルーラ大統領が就任しますとそれほど激しいことはやらないということが分かりまして、急速にこれが下がりました。2008年のリーマンショックで一時的に688まで上がりましたけども、以後順調に下がって来まして、今年に入ってからこれがまた少しずつ上昇し始めたというカントリーリスクです。

    このグラフは3月にブラジル中央銀行が発表したものです。青い線が今見ましたブラジルのカントリーリスクのBond Indexです。赤がドルとレアルの為替レート。ご覧の通り債券市場は比較的緩やかな上昇に留まっているのに対して、為替の方は今過剰反応しまして、急速に今年上がっていると。3.5レベルのところまで来ております。Bond Indexの方は昨日現在で326。ドル金利よりも3%程度高いところでまあ比較的安定しております。

    このグラフがブラジルの国債、ドル建ての分ですね、とアメリカの国債との利回りの差を示したものです。黄色く塗りつぶしてあるところがその利回りのスプレッドなんですけども、まあ平均して見ますとブラジルはアメリカの国債に比べまして2~3%高い金利で、まあ比較的安定的に推移しているということが分かります。

    現在のブラジルの状況、スタグフレーションといいますか、経済的にはスタグネーション、後退しまして、同時にインフレーションが進んでいるということで、まあ合成語でスタグフレーションと言われますけれども、対外的には今ブラジルは4重苦といいますか、4つの要素で苦しんでおります。

    まずはコモディティ価格が下がってきたということ。これに伴って、ブラジルの主要輸出産品は鉄鉱石、大豆ですので、輸出額が減っているということですね。それからカントリーリスクが深まって資本流出が始まったということ。それから今月中国が元の切り下げをやりましたけども、それに伴ってアジア諸国も自国通貨を切り下げて輸出条件の良化に努めておりますけども、ブラジルもこの世界的な通貨安競争、これに巻き込まれて切り下げが進んでいくというところです。

    ブラジルは1985年に軍政から民政に移管されました。ちょうど30年経ったところですけども、振り返ってみますと、およそ8年周期で大きな動きがあります。

    まず85年から93年の8年間。これは民政移管後の大混乱で、ハイパーインフレーションが起きた時代ですね。その大混乱を過ぎまして、94年にカルドーゾ政権がレアル・プランというのを導入して正常化した。インフレを下げて財政を立て直した訳です。

    2003年から12年まで、この10年強はルーラ政権およびジルマ政権の初期ですけども、ちょうど世界的なグローバリゼーションの波、BRICSブームというのが起きまして、それにうまく乗れたと。マイルソンという前の財務大臣がいらっしゃいますけども、マイルソン前財務大臣の表現を借りますと、カルドーゾ政権が植えた木をルーラ政権が皆伐採してしまったと。木を伐採したらばまた種を植えて苗木を育てて行かなきゃいけないんだけども、それを全然しなかったと。それが故に今苦しんでいるんだというのがマイルソン蔵相の表現ですけども、まさにそれが今当てはまると思います。

    2003年からBRICSブームというのが始まりましたけども、ちょうど10年で2013年の5月にアメリカがリーマンブラザーズの危機の後に緩めた金融緩和を徐々に縮小するということを発表した時点で、BRICSブームというのは実態的に終わった訳ですね。1年半前この場で私も、もうBRICSブームは終わったと、EasyMoneyはブラジルにはもう入らないということを申し上げましたですけども、まあ実際に今そうなっていると思います。

    2013年の時点でBRICSブームの後の対応をブラジルとしては採らなきゃいけなかったんですけども、ちょうど昨年選挙の年だったがために、ジルマ政権はBRICSブームの後の対応というのをやらずに、まあ引き続き消費を刺激して、電力料金、石油商品の価格をまあ凍結して、上げなかったと。選挙が終わって再選されたら、今年になっていっぺんに公共料金を上げたということでインフレが起きている訳ですね。ですからブラジルの現在のインフレは、消費が強すぎる、いわゆるデマンドプルのインフレではなくて、コストが上がっているが故のコストプッシュのインフレだということが特徴です。

    85年の民政移管の後、9年間で7回の大きなエコノミック・プランというのがありました。時間的制約から詳しいご説明はできないんですけれども、クルザード・プランとか、ブレッセル・プランというのがありまして、特徴的には価格凍結したということなんですけども、価格凍結すると生産者は生産をストップして出荷しないと、まあ非常に困った時代です。

    今のインフレの10%とは比べものにならない、まあ当地に古くからいる私どもの感じでは当時は、まあ毎週10%のインフレというような感じでした。スーパーマーケットに行きますと毎週10%前後の値上げがあったと、で、物は次第になくなっていくという時代から比べますと、今の10%程度のインフレはあまり気にするほどのレベルでもないんではないかと思います。

    その後サマー・プランとか、コーロル・プラン、ありました。デノミネーションを、1000分の1にするのを3回やっています。中にはコーロル・プランで預金凍結というのもありました。94年にレアル・プランが導入されて、1000クルゼイロを1レアルにして、当初は1レアル=1ドルでスタートして、まあようやく狂乱物価が終了した訳です。

    今回、民政移管後最大の政治危機とか言われていますけども、まあ経済的には今申し上げた通り、当時の大混乱と比べまして落ち着いていると思います。従ってドラスティックな大きなエコノミック・プランというのは予想できません。なぜかと申しますと、80年代90年代と比べまして、一応現在は財政収支のコントロールができていると。対GDPでプライマリー収支黒字目標というのがありますけども、インフレの度合は、今のインフレは当時とは比べものにならないほどまだ落ち着いているということですね。

    それから対外的には、債務国だったのが債権国になっている。ここで?マークを付けましたけども、本当に今ブラジルが対外債権国なのかということは、これは実際は良く分かりません。ブラジルの外貨準備、3700億ドル台で安定推移していますけども、2013年から最近2年間はスワップ取引で先物のドルを中央銀行が売っております。これが故に3700億台の外貨準備が保たれていると。これをなくせば当然減っていく訳ですけれども、まあこういう若干のお化粧をブラジル政府は今行なっているということは割り引いて考えないといけないと思います。

    それから、為替相場が今は変動相場制になっていると。かつてのような1度に30%とかいう大きな為替変動というのは発生しなくなってきております。

    それから最後に、何と言ってもブラジルの地位が80年代90年代からは向上していると。当時G7の世界でしたけども、今やG20で、BRICSの主要国でもあるブラジルがその中の重要な地位を占めている。国際的にもブラジルが孤立するようなことはなくなってきております。

    で、このスタグフレーションということなんですけども、現在レビ財務相が行っていますのは財政緊縮、消費抑制の、インフレを高進させないがために金利を上げるということをやっていますけども、まあ金利を上げれば消費を抑制すると同時に投資も当然後退しますので、景気が停滞すると。インフレーションとスタグネーションの同時進行が起きている訳ですね。

    世界的に見ますと同様な状況が今、ギリシャです。ギリシャはEUに言われて財政緊縮、金融引き締めをやっております。これに対しまして今日本が採っている政策はまるっきり逆のことであります。消費を刺激して、インフレを何とか2%台に上げようということで、金融緩和、財政拡張、それから民間投資の促進と、いわゆるアベノミクスをやっている訳ですね。

    こういう、国が採っている政策がブラジルと日本では正反対であるということをまず皆様のご本社に理解していただいて、まあおそらく本社から今期も売上高および利益についてきつい事業計画の指示が来ているかと思いますけども、これをいかにディフェンドしていくかということなんですけども、こういう、経営環境がまるっきり逆であるということをよく本社に理解してもらう必要があるかと思います。

    このスタグフレーションへの対応策としまして、まあ経済学の教科書的には、消費を抑制すると同時に投資を促進しないと効果は現れないと言われております。具体的には投資減税、設備機器の税金を下げて行くと。で、企業の償却負担を軽くするために償却の期間を長くすると。加えて規制緩和で生産性を上げるということですね。これらの投資サイドの促進策はブラジルはまだそこまで入って行けませんで、最初の段階の消費抑制というところに留まっております。

    これから、各企業の対応策としては何をすべきかということなんですけども、まあ当面は我慢の時で、リストラをするべきかなというふうに思われます。金利が上がって来ましたのでキャッシュフローの管理を強化すること。インフレが上がって来ましたので、在庫を極力圧縮すること。それから固定費的になっております人件費を抑えるために人員削減、人の入れ替えを行なっていくということ。それから、無理な事業計画は立てないと。ブラジルは市場が大きいですから、製品を売ろうと思えば売れる訳ですけども、問題はその販売代金がちゃんと回収できるかというところにリスクがあります。不渡り率も高まってきておりますので、無理な押し込みの販売は行わないということをお勧めしたいと思います。

    今年は12月決算を締めると、経常利益段階で、営業利益は出ていても営業外の金融費用で、為替差損でやられて、当期を締めると赤字という会社が増えると思います。これの対策としては、まあ一番早いのは、親子ローンとか、あるいは輸入の買掛金があるかと思いますけども、これを資本に切り替えてもらうということで、為替リスクを今現地法人が取っている訳ですけども、それを親会社にリスク負担してもらうと。

    このためには相当ブラジルの現地法人から説得が必要かと思いますけども、最初に申し上げた、長期的にブラジルは重要なマーケットであるということ、今行なわれている経済政策が日本とブラジルとは逆であるということをよく理解してもらって、増資による資本増強というのが一番早い解決策だと思います。チャンスがあればM&Aのチャンスと。

    日本企業は従来ブラジルに、ブラジルの景気の良い時に投資されて、ブラジルが落ち込んだ時には何もしないと、あるいは撤退するということもありますけども、まあ一度撤退された企業がブラジルのマーケットの重要性を再認識して再進出されたというケースもございます。ですから長い目で見て今がチャンス。ブラジルの優良企業があれば資本参加、M&Aで行うということも考えられると思います。

    今後我々が注意して行かなければならない事柄としましては、まず国内的には雇用情勢です。9月から業界別のベースアップの交渉が始まると思いますけども、労働組合がストライキ、デモを頻発に行なうようになると思います。あと、政治危機ですね。与野党の対立が激しくなっておりますけども、与党の中でも連立与党の中でPTとPMDBの対立が起きています。で、同じPMDBの中でも、ミシェル・テメル副大統領派、クーニャ下院議長派、レナン・カリェイロス上院議長派、三者三様でそれぞれ勝手なことを言っているという、今、政治的な混乱が起きております。

    3番目にImpeachmentの市民運動。16日の日曜日にデモがありましたけども、翌17日の英国のFinacial Timesの新聞にこのデモについて記事が出ました。非常に批判的な厳しい記事です。内容はですね、Impeachmentでたとえジルマ大統領が代わっても、今のこの連立与党がやる限りは何も変わらないであろうと。次の選挙、2018年にPSDBが選出されない限りブラジルは良くならないという、非常に厳しい記事です。PSDB、具体的にアエシオ・ネベス候補の名前は出しませんでしたけども、国際的にも常識的なPSDBに代わらないとブラジルは良くならないであろうというまあ悲観的な記事です。

    ブラジルの現在の状況をですね、ブラジルの識者から色んなコメントがでていますけども、まあ一番楽観的なコメントとして見ましたのはブレッセル元財務大臣で、来年からブラジルは良くなると。日曜日のエスタード・デ・サンパウロに一面でインタビュー記事が出ています。エスタード・デ・サンパウロの新聞記者がなぜ来年から良くなるんですかと。

    今やっているレアルの切り下げ効果が出て来るからであると、超楽観的なことを言っていますけども。一方で非常に悲観的なことを言われている識者は元中央銀行の総裁のアルミニオ・フラガさんです。彼は、長い不況の始まりに過ぎないということを言っています。アルミニオ・フラガさんはアエシオ・ネベスさんの経済ブレーンなので、かなり政治的なコメントとして割り引かなきゃいけないんですけども、Financial Timesが予想するような、たとえImpeachmentが成立しても経済政策の大きな変更というのは当面期待できないというふうに見ておいた方が安全かと思います。

    最後に、中国の経済が減速してきたこと。もはや7%を望めないということで、まあ先程からご紹介ある通りブラジルの最大の貿易パートナー中国ですから、この減速にブラジルも影響を被るということです。

    まあ現在のブラジルの政治経済、非常に悪いですけども、まあ循環的なもので、必ずこれは復活するということは間違いないかと思います。よく、経済的に景気の波論というのがありますけども、波のように上がったり下がったりすると。あるいは山と谷という言い方もありますけども、今回ブラジルの情勢は深い谷の中に入りつつあると言う方もいらっしゃいます。また振り子にたとえて、振り子は必ず戻って来るので、ブラジルも復活すると。ただ振り子の振幅が今回はちょっと長いかなという感じだと思います。

    私は、風向き論といいますか、風にたとえてみると一番分かりやすいかと思います。今は強烈な逆風が吹いてきた時であると。船にたとえてみれば、逆風の時にあえて船を出すということは止めてですね、風が止むのを待ってから出て、やがて順風になったらば高速で積極攻勢に出るというのが良いんだと思っております。

    最後に、現在の状況に対してどうしようかということなんですが、これはコンサルタント部会のメンバーの山下さんの意見ですけども、我々何のためにブラジルに来たのかと。どうしてブラジルに投資したのかを改めて考えてみようと。長期的な目的でもってブラジルから原材料を確保するためだと。あるいは自社製品を全世界的に展開するために中南米の中心であるブラジルに来たと。こういう会社は比較的長期的な観点から捉えられると思うんですけども、まあ短期的に、BRICSブームに乗り遅れないためにブラジルに来たと、利益追求が第一であると、こういう会社は今非常に困ると思います。利益第一ならばブラジルよりもむしろもっと勢いの良い、インドとかインドネシア、メキシコの方に焦点を当てた方が良いのではないかというふうに思います。

    以上、マクロ的なお話ばかりしましたけども、各社の状況によって対応策はおのずと違ってくると思います。コンサルタント部会の中には監査法人とか、経営コンサルタントがおりますので、具体的にどのようにしたらいいかというようなご相談がありましたら、ぜひ我々に声を掛けていただければありがたく思います。Ánimo!ということで、元気を持ってこの困難を乗り越えて行きたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それでは何かご質問がありましたらお願いします。ないようでしたら、今からコーヒーブレイクということで、15分ぐらいということで、再開は3時40分ぐらいにさせてもらいます。よろしくお願いします。

    (コーヒーブレイク)

     

  • 後半司会 石田靖博 企画戦略委員長


    (写真左側が石田企画戦略委員長)

    後半の部を始めさせていただきます。後半の司会はジェトロの私石田が務めさせていただきます。どうぞ皆様ご協力よろしくお願いいたします。

    後半の部の先頭バッターにご登壇いただく前に、インフラワーキンググループからカマラ・ジャパン・インフラサミットについてのご案内をしていただくということでございますので、3分ほどで恐縮でございますが、JICAの那須所長の方からよろしくお願いいたします。

     

  • インフラワーキンググループ 那須隆一 グループ長

    すみません、皆様、インフラワーキングループ長を務めさせていただいております、JICA事務所の那須です。インフラワーキンググループではこのたび、先般ブラジル政府から発表されました新ロジスティックプログラム、PIL 2ですね、についての説明会を8月の28日、金曜日の2時から6時までWorld Trade Center Sao Pauloで開催することにしております。

    これはご存知のように空港、港湾、鉄道、道路の4分野にわたる1984億レアルのインフラ整備計画についてそれぞれの各省庁の担当されている方から講演をいただくとともに、第2部では日本企業の方からの質問を、BNDESとか、あるいは予算企画省の担当の方も含めましてパネルディスカッションという形でより理解を深めるというふうな形式をとる予定にしております。

    ぜひ、こういった形で、皆様関心が強いインフラの部門でブラジル政府と直接対話ができる良い機会でもありますので、インフラサプライヤーの方も含めましてですね、ぜひ積極的にご参加いただければと思います。参加の申し込みは事務局の方までお願いいたします。当日は同時通訳も用意しております。以上、インフラワーキンググループからです。よろしくお願いいたします。

    司会
    那須所長ありがとうございました。それでは早速でございますが、電気電子部会の千野部会長の方からご報告をお願いいたします。

     

  • 電気電子部会 千野浩毅 部会長

    Pdf電気電子部会

    こんにちは。電気電子部会、ソニーの千野と申します。よろしくお願いいたします。では2015年上期の回顧と15年の展望ということでご報告差し上げたいと思います。

    まず電気電子関連の事業環境についてお話をしたいと思います。これはいくつか新聞等々の記事をそのまま持って来たんですけれども、ここに色々書いてあることなんですけれども、6月以降事業環境が急激に悪化してきたということがまず最初にあります。

    元々、去年ワールドカップがあって、その時に短期的にテレビの需要が非常に盛り上がったというのがあった反動というのは、まあテレビが今年は悪いよねというのは織り込み済みだったんですが、それ以外、これまで好調であった白物家電であるとか、ずっと倍々ゲームで伸びてきたスマートフォンみたいな、そういったカテゴリー、まあこういったところも一気に雲行きが悪くなってきたということです。

    ここにも書いてありますけれども、白物家電でいうと上期の6ヶ月の状況として10%以上のダウン。それから下の方にある携帯電話の方、スマートフォンですね、これも業界の予測値として言うと、それまで本当に二桁成長、あるいは倍々ゲームぐらいで伸びてきた業界というのが一桁成長に留まるであろうというふうな予測が出たのが6月の9日ぐらいですね。ただ実際これは6月の販売の実績というのが締まってみると、実は6月に前年を割ってしまったというふうな状況にございます。次お願いします。

    これはテレビについてです。グラフで見ていただきたいのは、赤いライン、これが2014年、それから白いラインが2015年ということで、まあ前年に比べるとかなりテレビの台数というのは大幅に落っこちているんですけれども、ここに書いてありますように去年はワールドカップがありましたということでかなり特殊な需要があった訳ですけれども、ではこれを差し引いてその前の年、前々年と比較するとどうなるかというのが次のチャートになります。

    これ、右側の方のチャートで前々年と比較した時にテレビが、台数ベースですけれどもどういう状況にあったかと言いますと、去年の年末ぐらいまではそれでも、2年前に比較すると3割ぐらい伸びていたと。それが今年の1月に入ってマイナスに転じ、6月にはマイナス26%ということで3割ぐらい落ちると。2段階にわたってガンガンと落ちてきたというふうなのがテレビの状況になっています。

    これは2013年から15年の3年間でマナウスの、こういった家電製品、それぞれのカテゴリーの生産台数の推移を表したものになります。液晶テレビ、デジカメ、オーディオ、携帯電話、それから白物家電として電子レンジ、エアコン、こういったものを並べてありますけれども、実はこれ1月から5月の5ヶ月間の数字になっています。

    今回Suframaのスト等の影響でですね、6ヶ月分のデータがとれなかったということで5ヶ月分になっていますけれども。ここで見ていただいても液晶テレビ、それから携帯電話、電子レンジといったところは前半の5ヶ月で前年よりもかなり顕著に落っこちてきているというのが見て取れます。一方、エアコンだけが、非常に好調に見えるんですけど、一部業界筋の話ではエアコンも現在の時点で言うとかなり在庫が積み上がっているというふうなことも聞いております。

    消費の状況をここに、ちょっと一杯字が書いてあって申し訳ないんですけれども、下線を引いたところだけフォーカスをして見ていただきますと、これは8月5日時点での報道なんですけれども、わずか4ヶ月の間で消費者の予想というのが大きく悪化しています。

    それから消費者の47.7%、半分ぐらいですね、これが必需品ではない製品の消費を止めるよ、というふうに考えている。Aクラス、Bクラスで6割ぐらいの人ですね、それが贅沢品の消費を止めると。A、BのみならずCクラス、Dクラス、そういった所得層に関しても、ここでは割賦での購買というのが非常に主流になる訳ですけれども、こういった耐久消費財の消費、割賦の購入が非常にしづらい状況になっているということで、まあそうしたことができなくなってきている状況。また、今まで、良いものならば高い値段を出してもいいなと思っていた消費者も、1ランク2ランク下のランクのもので、安いもので我慢すると、そういったような回答というのが増えてきているというような状況がございます。

    これは、2つ、家電関係の小売業の状況についての報道ですけれども。上にあるのがVia Varejo。これが家電の量販店でいうとCasas BahiaですとかPontofrioという名前でこのサンパウロの中でもよく見かけるお店だと思うんですけれども、その2つのお店を持っているVia Varejoグループというところ、これが4月から6月の3ヶ月間、ついに赤字に転落しました。

    それからもう一つ、これもやっぱり家電の量販店ですけれども、マガジニ・ルイーザ。ここも去年と比べると、もう利益がほとんどなくなったと、88.6%減ですから10分の1に利益が落ちたというふうな状況がレポートされています。

    こうした中でですね、流通業の収益が悪化して、過剰在庫になって、それゆえに資金繰りが悪化して。こういったこともあって、昨今の状況で言いますと、7月8月ぐらいは流通業から我々こういった製造業に対しての仕入れが非常に低調に推移しているというふうな状況がございますのと、あとはまあ我々の立場から見ると、こういった流通業が非常に厳しい状況になってくると売った分の売掛金の回収はちゃんとできるのかなというふうな懸念もかなり出てきているという状況でございます。

    まとめてみますと、先程コンサルタント部会の方から非常に論理的な説明があったので、非常に恐縮なんですけれども、リセッション、その割にインフレと。スタグフレーションというような状態。で、レアル安があって、政治危機があって、ということで、まあ我々のようなところの耐久消費財、それもConsumer向けだけでなくてBtoBの需要、あるいは公共事業に関連したところ、こういったものが軒並みインパクトを受けているというのが昨今の状況というように理解しております。

    こうした中で、15年の上期、販売の状況は前年と比べてどうでしょうかというふうなことを電気電子部会の中でアンケートをとりましたところ、14社から回答をいただきまして、これで見ていただきますと、改善あるいは維持と答えられた企業が大半で、去年よりも悪化していますというところは実は2社だけに留まっております。

    これ、状況が悪い中で、この数字だけ見るとそんなに悪くないじゃないかというふうに見えるんですけれども、中身を色々話を聞いてみますと、どちらかというと電気電子という領域においてはむしろ経営環境の悪化というのが2012年の後半ぐらいから、かなり、為替の悪化ですとか景気の減速だとかいうのが見られたような時期から始まっていて、ある意味2013年ぐらいがボトムであったという中で、各社色んな形での事業構造の転換を図ってきましたと。

    既存の領域のセグメント、こういったものを見直したり、規模を縮小したり、あるいは新規領域を開拓したりと。そういった色んな努力を重ねて来た結果として、まあ今何とかわずかながらでも改善できている、あるいは維持できているというふうな会社が多いというふうな状況でございます。

    ここに例が書いてありますけれども、例えば高付加価値商品へのシフト、新規市場の開拓、サービス事業の拡大、あるいは輸出の拡大、あるいは新規領域に入っていくに当たっての企業買収といった、そういった色んな取り組みをしながら何とかこう業績を維持させているというふうな状況でございます。ただ、一番下に書いてありますけれども、14年と比べて改善あるいは維持できてはいるんだけれども、決して当初予定していた、計画していたようなレベルにはございませんということで、まあ期待には届いていないんですという非常に厳しい状況かと思います。

    15年の下期への展望ということなんですけれども、ここでも改善・維持とお答えになった会社が8割、9割に近い。悪化するよと答えたのはわずか2社にとどまっていますけれども、ただこれ上期から下期にかけてというところで見ますと、悪化するという回答は増えてはいないんですけれども、まあ改善から維持というふうにやっぱりペースダウンしていったり、あるいは改善率の低下と書いてありますけれども、これは売上の成長率というのが明らかに上期よりも下期の方が鈍化するというふうに答えられた会社というのが非常に目立っております。

    さらには、この回答に付け加えてなんですけど、今の状況がさらにリセッションが深化していったり、深まっていったり、為替の状況がさらに悪化する、それがコストアップの要因。コストアップをすれば当然値上げせざるを得ないと、そうすると売上が減ると。こういった悪循環に陥るリスク。それから、取引先の会社の経営状況によっては資金回収のリスクというのも増えて来るということで、ここにある以上にどちらかと言うとさらに悪化する懸念というのが大きいだろうというのが電気電子部会でのコンセンサスになっております。まあこうした中で、とにかく守りを固めていく、その中でも投資等々一切止めてしまうのではなくて、投資は厳選して将来を見据えた投資を何とか継続していこうというふうなことになっております。

    これは副題にもあった「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか~」ということについてなんですけれども。まあ皆さん、これは繰り返すまでもないと思いますけど、ブラジルという国自体の中長期的なポテンシャルというのはきわめて高いだろうと。

    また、既に各社色んな形で取り組みをされているんですけれども、これから新規に取り組む価値のある事業領域、これも色々マーケットの中を見渡すと色んなものがあるということで、そういった新たな投資領域というのもどんどんどんどん発掘していくという、そういうオポチュニティーがあるマーケットだと。

    それから3番目にですね、過去のクライシスに比べれば今は景気循環の一局面じゃないかと。先程80年代90年代大変でしたという話もあったと思うんですけれども、過去に比べればまあこんなのは大丈夫なんだと。20年30年、それ以上事業を続けられている方々から見るとですね、こんなことでへこたれてどうするんだということだと思うんですけれども。それから、今は守りを固めて、リセッションの出口、まあ必ずリセッションというのは終わりが来ますので、その出口に向けて今やるべきことをしっかりやる。

    で、最後になりますけれども、これはむしろ今のレアル安というのは、特に国の外からお金を持って来る場合ですね、こちらのレアル安というのはどちらかと言うとメリットに働くだろうということで。レアル安が悪いばっかりではなくて、むしろ投資をするんであれば好機とも言えなくもないだろうということで、先程投資の厳選ということもあったんですけれども、まあそういったところポジティブに色々ものを見て行こうということだと思います。

    最後になりますけれども、ブラジル政府への要望ということで、これ実は電気電子部会始まって、過去3回ぐらい資料見たんですけど、ずっと同じことが書いてあるんですけども、為替の安定、消費の活性化、公共事業の正常化、それから税制改革。それから4つ目の、税金を支払わない輸入に対する厳格な取締り。これは特に、昔で言うとブラジルとパラグアイの国境あたりで税金を払わないものが馬の背に乗って色々入ってくるみたいな、そういう話が多かったんですけれども、昨今はですね、国際インターネット通販みたいなもの、これでですね、結構国際小包のそういった通関のシステムというのが何かパンクしているという話があって、中々こう適正に税金を払わないで、それでどんどん税金を払わないものが入ってきてしまうことが新たに起きているようで、そういったところも含めてですね、こういったところをしっかりやってほしいなというのがここに書いてあります。それから治安の改善ということになります。

    これ、全部含めて言いますとですね、一番上に書いてある、やっぱりブラジルという国が魅力のあるマーケットであるんだという、そういうふうな評価を回復させるといったことをですね、ぜひぜひブラジルの政府には努力をしていただきたいところじゃないかというふうに総括できるかと思います。

    まあ過去は色々、複雑な税制ですとか、税金が高いとか、障壁が非常に高いとか、色々文句は言いながらも非常に経済成長の成長率が高いということで、それで外資を一杯引き付けてきたところがあるかと思うんですけれども、いまやそんな高度成長を期待できないような中ですので、やっぱりブラジルという国のマーケットのインフラストラクチャーというのをしっかり魅力あるものに作って行っていただくというふうなことをですね、ぜひぜひやっていただけたらなというのが総括になるかと思います。電気電子部会からの発表は以上です。ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。ご質問をお受けいたします。ご質問ございませんでしょうか。では私から一つだけよろしいですか。来年のオリンピックのことに関しては特にコメントはなかったんですけど、オリンピック景気にかける期待みたいなもの、御社の立場でも結構でございますので。

    回答
    一般消費という意味では、オリンピックに対する期待というのを述べられた会社というのはありませんでした。一部、オリンピックのインフラ関係ですね、放送関係ですとか通信関係、そういったところでいくつかの需要がありますというふうなことを述べられていた会社がありました。

    が、まあ全般的に言うと、ワールドカップも盛り上がらなかったというのもあるし、今の環境が非常に悪い中で、あまり、オリンピックに期待するんじゃなくて、むしろ浮ついたことをせずにやっぱり守りを固めるのが大事だよねというのが大方の意見だったというふうに理解しております。

    司会
    はい、ありがとうございます。他にございませんか。なければ次に移らさせていただきます。食品部会の発表を藤江部会長の方からお願いいたします。

     

  • 食品部会 藤江太郎 部会長

    Pdf食品部会

    皆さんこんにちは。食品部会、味の素の藤江でございます。6月に転勤して参りまして、勉強中でありますけれども、しっかりとご報告申し上げたいと思います。また若干時間も押しているということですので、ポイントをなるべく絞って簡潔にご報告をさせていただきます。

    本日はですね、この3点を中心にご説明をさせていただきたいと思います。
    まず、はじめに2015年上半期の食品市場の概況ですけれども、2014年度の下半期から始まりましたレアル安に加えまして、インフレ率の一段の上昇、金利の上昇、また雇用状況の悪化などの経済情勢が消費マインドに大きな影響を与えております。食品市場は内食、外食市場とも非常に厳しい時期となっております。

    また、昨年の同時期はワールドカップの効果によって市場の拡大も、食品市場につきましてはありましたものですから、多くの分野で数量が前年比では減少したというふうに見ております。また、低価格志向が強まっておりまして、嗜好品への支出を特に抑制する傾向も共通して指摘されているところでございます。これらの環境下におきまして、低価格のファストフード、またコーヒー、日本食材は売上を伸ばしております。輸入食材の販売に関しましてはレアル安による輸入価格の上昇が小売価格の上昇につながっておりまして、厳しい逆風の状況にもなっております。

    2015年の上半期の業界の動向。食品部会の各社の業界動向について簡単に触れておきたいと思います。まず飲料ですが、発酵乳飲料、本数ベースで98%と前年割れでございますけれども、果汁飲料は108%ということで好調に推移をしました。また粉末ジュース市場は7%増で推移をしております。

    続いてブラジルの調味料市場ですけれども、金額ベースで8%増。値上げも加味しますと数量ベースではほぼ前年並みであったというふうに見ております。ちなみに弊社、味の素の食品事業は前年比2%増でございます。他社との競争が厳しくなっていますけれども、4、5月は特に厳しかったんですが、6月に入りましてやや好転の兆し、7月につきましてもその好転が継続をしているという状況でございます。

    コーヒーにつきましては、国内消費は3%程度上昇したというふうに考えられますけれども、高価格品の売上が落ち込みまして、安売り業態での売上が大きく伸びるという市場の変化が見られております。

    低価格が魅力の即席めんですけれども、数量ベースでは3、4%減少したというふうに見ております。これまでの市場の伸びをけん引してきた北部、また東北部、各州の内陸部など、中低所得者が多い地域での落ち込みが特に顕著になっております。

    JT社によるタバコにつきましては価格の据え置きなどの施策が功を奏しておりまして、低価格志向の消費者の獲得につながって、順調な成長を確保しております。
    日本食材は全体としては伸びておりますけれども、昨年度までは好調でありました輸入販売については、先程申しましたレアル安の影響で価格がどうしても上昇するということで、大きく前年を下回っております。

    続いて、BtoB向けの食品の業界動向をご報告申し上げますが、2年近く高止まりしておりましたココアバターの価格低下によりまして、代用油脂の売上および価格が減少しております。香料は飲料向けが不調でしたけれども、香粧品向けが順調で、全体として成長を確保をしております。

    種苗につきましてはF1ハイブリッドといった付加価値商品の需要がさらに伸びておりまして、部会企業でありますタキイブラジル社の販売も順調に伸長しております。
    食肉や濃縮果汁の輸出に関しましてはレアル安の影響で好調であります。食肉では日本での鶏肉、豚肉の一時的な不足にもよりまして日本向けが好調に推移をしております。

    外食産業ですけれども、ゼンショー社による「すきや」が所属するファストフード業界は好調に推移をして、前年比プラスで推移しています。今後も低価格帯のレストランやファストフード、これは引き続き堅調に推移するというふうに見ております。「すきや」も上半期に新店舗を1店オープンしております。

    一方で、中価格帯、また高価格帯のレストランはどうしても消費マインドの低下の影響を受けまして、これらのレストランに食材を販売する日本企業におきましてもターゲットを絞った販売施策によって何とか販売の維持を目指して取り組んでいるというところであります。

    利益面では輸入原材料の値上がりによる影響を大きく受けている事業においては減益の傾向。原材料の国際価格の低下による恩恵を受けている事業においては利益を堅調に伸ばしているということで、また食品業界にとりましても電気代に代表されるようなエネルギーコストの上昇、また人件費などの固定費の上昇は収益にとって大きな影響要因となっております。

    続いて原燃料動向であります。食品の原料は国際的に順調な生産動向を受けまして、国際相場は安値傾向になっております。いくつかの市場についてご説明をいたします。
    まずご覧の砂糖ですけれども、順調なサトウキビ生産に支えられまして安値安定の国際相場でありした。しかし国内相場はレアル安の影響でむしろ上昇傾向にあります。

    続いて乳相場でありますけれども、2009年以来の安値相場になっております。一方でブラジルの閉鎖的な市場という特殊要因によりまして、国内相場は大きな変化は生じておりません。

    続いてコーヒーのニューヨーク先物市場でありますけれども、ブラジルの水不足への懸念から一時200セントを超える高値圏となっておりましたけれども、15年明け以降順調な降雨が観測されるとともに値を下げまして、現在は120から125セントというところで落ち着いております。

    続いて燃料につきましては、サンパウロ州の渇水の影響を受けて電気スポット価格がですね、ご覧の通りなりましたけれども、15年に入って300レアル台に落ち着いてきていると。しかしながら各社の電気代コストは前年を大きく上回っておりまして、収益への影響が大きくなっております。サンパウロにおける渇水問題は若干の落ち着きを見せておりますけれども、貯水量につきましては昨年同時期を下回っているというデータもございますので、抜本的な解決策が打たれてないことから、雨季の開始の遅れなど予想外の事態による問題の再燃、これは懸念をしているところでございます。

    最後でございますが、15年下期の展望と日系企業の取り組みというところで、3点ございます。
    1点目。経済、雇用環境の変動に由来する消費マインドの低迷は当面継続するというふうに予想をしております。正常に戻るには時間が要すると考えられて、各社は新製品の発売による新しい市場の開拓、買収・提携などによる将来の成長への布石を打つことに取り組んでおります。

    2点目。輸入に頼る事業はもちろん、国内生産販売の事業におきましてもレアル安、輸入原料およびエネルギーコスト上昇、人件費上昇によりコストが確実に上昇しておりますけれども、市場動向が厳しい中で販売価格への転嫁が困難な状況にもあります。短期的に収益の悪化が予想されるわけであります。

    続いて3点目。最後でありますけれども、このような環境におきまして食品部会の各社は低価格指向や健康志向、また日本食への関心など消費者の動向および社会的な変化を的確にとらえまして、この変化の時期を構造改革、また体質強化のチャンスと見て、ブラジル人の食文化や生活の向上に取り組んでいきたいということでございます。

    以上、簡単でありますけれども、食品部会からの報告でございます。ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。ご質問をお受けいたします。はい、どうぞ。

    質問
    食品の即席めんのところのコメントでちょっと意外だったのは、中低価格のところというのはもう少し下げが遅いのかなというふうに思っていたんですけど。ノルデステだとか他の地方都市というのはまだまだ堅調なのではないかというふうな予測をしていたのが、まあ実際には販売が落ちているということだったと思いますが、これは食品部会の読みでは今後もまだ厳しく落ち込むというふうに見ていらっしゃるのか。

    それから全体、即席めんというかそういう低価格の食品のところというのはノルデステとかそういうところでも全体的に下がっているのか、ここら辺を少し、もし分かれば教えていただきたいと思います。

    回答
    中期的にはですね、即席めん事業も、それほど大きな伸びではないですが安定的には伸びて行くのではないかというような想定はしております。ただ厳しい雇用情勢等々もありまして、収入も落ちていますから、金額ベースが特にですね、今まで1レアルで買っていたものが0.8のものに移ったり、そういう価格の低下というものはありますし、また、より安い主食に移っているというような傾向もあるのではないかということで想定をしております。ただ中長期的に見るとですね、二桁の伸びというほどではないと思いますが、安定成長は見込める市場でもあるというふうな見方をしております。

    質問者
    ありがとうございました。

    司会
    他にございますか。それではないようでございますので、藤江部会長ありがとうございました。続きまして運輸サービス部会のご報告を細谷部会長の方からお願いいたします。

     

  • 運輸サービス部会 細谷浩司 部会長

    Pdf運輸サービス部会

    運輸サービス部会の日本通運の細谷です。よろしくお願いします。今食品部会で好調という言葉を久々に聞きましたので、一種の清涼感がありましたけども、我々のこの運輸サービス部会、物流、鉄鋼業界内の構内物流、あと海運、航空貨物、航空旅客、旅行、ホテル、通信、ITなど多岐にわたっています。好不調、色々説明の中で出てきますので、それぞれの業界別のシートを分けてありますので、それに沿って説明いたします。
     
    まずは物流業界。上期回顧からですが、昨年上期より、大体ワールドカップの前ぐらいですかね、輸出入の物量が実際減っておりました。それと比べても今年も上向くことなく上半期が終わってしまっています。またトピックスとしては、10年間凍結していたサントス港の港湾料金、これが31.7%ほど5月に値上げしております。

    下期の展望としましては、3年前に半年にも及ぶ税関ストライキ、皆さん覚えていますでしょうか、それが現在の経済状況を背景に、今後同様なことが起きるかどうかが懸念材料としてあります。実際昨日より、各全国の税関のストライキが始まっております。また、港湾諸料金や燃料費、様々なコストが値上げされていることから、この状況下で国内物流費は徐々に値上がりしていくのかなというふうに思われます。

    あとは、データとしてこの下に赤青で入れたんですが、世界各都市の引越荷物の到着からお客様へのデリバリーの日数の比較をちょっと取ってみました。これは日通の社内独自の資料なんですけども、サンパウロが一番下にあるんですが、赤が航空、青が船便です。航空便で来た荷物、およそ16日後にデリバリーと。東京と比べると、エアーも船便も3倍ほどかかっているということになります。これでも若干、徐々に良くなってきている状態ですね。

    次に鉄鋼業界の説明です。上期の回顧としては、機械金属部会さんで説明された粗鋼生産量とか販売量、まあ芳しくなく動いているんですが、その状況下で鉄鋼業界は需要の減少に伴い、一部製鉄所での高炉の休止などの施策を行うとともに、外注業務の内製化による余剰人員の吸収など、検討を実施しています。

    下期の展望としましては、引き続き業界に対しては厳しいコストダウン要求が継続するものと思われ、この中でどのように生き延びていくか、合理化投資がどこまでできるか、非常に難しい状況が続くものと予想しています。鉄鋼業界内の協力業者として設備投資による要員合理化策を実施するためにも、客先との外注契約の長期化の交渉を強力に進める必要があると考えています。

    次に海運業界です。上期の回顧から。コンテナ船はレアル安の影響で前年同期比にて輸入が1%減少、輸出が6%増加となりました。輸入ではアジアトレードは横ばい。欧米からが6%減少。輸出は顕著なのが米国向けの輸出で、8%増加しています。が、輸入超過の構図は変わらず、輸出入全体で前年同期比2%増となっています。不定期船、いわゆるバラ積み船というものですけど、中国の鉄鉱石輸入が前年比で0.9%減となり、鉄鉱石を運ぶ大きな、ケープサイズという船の傭船料市況は低迷しています。

    下期の展望です。コンテナ船の輸入の停滞傾向は続く見込みです。不定期船は通常下期は鉄鉱石輸出の繁忙期を迎えるために、中国による購買次第では市況回復が期待できるかなというふうにここに書いてあるんですけど、昨今の中国の経済状況ではそれも懸念されるところです。

    海運業界のまとめとしてですが、ブラジルの経済の停滞と船型の大型化の影響で運賃環境は厳しく、15年下期も業界全体としては厳しい状況が続くのではと思われています。

    次に航空貨物業界の説明です。上期ですが、日系企業が使う主要な空港、3都市なんですが、サンパウロ、マナウス、クリチバの貨物量の合計を比較してみました。輸入量は12.8%減、輸出は4.9%の減。各メーカーの部材や製品の輸入に現在の為替状況が大きくインパクトを与えていると思われます。

    下期の展望ですが、輸入は当面停滞傾向が続くと思われます。その半面、レアル安により今までは国内向けだった商品のうち新たな輸出品目が生まれて来るのではないかなという可能性に期待しています。また、オリンピック特需、日伯修好120周年記念関係での荷動きの活発化に期待したいところです。

    下は主要3都市の航空輸出入の取扱量のデータを記載しました。2013年から15年、3年間の上期の数字を取ったんですが、徐々に取扱物量が下がっており、輸入は20%の減、輸出は6%の減少というふうな形で暗い数字になっております。

    次に航空旅客ですが、まずは国内線ですが、国内線景気が良いんですよ。座席の拡大以上に旅客の利用が多い非常に良い実績となりました、というコメントです。国際線は、データはブラジルの航空会社のみしか取れないので、その合計となりますが、利用率は0.4ポイント低下しているものの、座席数の拡大に応じて旅客の利用が10%以上伸びています。あわせて外国航空会社の運航規模も増大していることを勘案すると、旺盛な需要傾向が続いたと言えます。

    下期なんですが、国内線は引き続き堅調な伸びが続くと思われます。しかし先日、TAM航空の発表があったんですが、TAM航空がブラジル国内線を10%カットすることを発表したことに伴い、規模減による利用客の減少が懸念されるところです。国際線はブラジルからの出国者数が為替動向の影響で減少するかなと。もしくは停滞するというふうに予測されております。

    下、この特記・周知事項、トピックスなんですが、皆様に関係あると思います。エチオピア航空が4月下旬にアジスアベバ=成田線に新規就航し、週2便でサンパウロ=成田間が乗継可能となっております。また全日空が6月12日から成田=ヒューストン線に新規就航しまして、ヒューストン=サンパウロ・リオデジャネイロ線でユナイテッド航空とのコードシェアを開始しました。

    その全日空が所属しているスターアライアンスにアビアンカブラジルが7月22日から正式に加盟しております。ちょっと使いやすくなるんですかね。一方、ワンワールドでは10月中旬頃にアメリカン航空がサンパウロ=ロサンゼルス線にボーイングの787という、ドリームライナーという最新鋭機材ですね、を投入予定です。それに合わせてグアルーリョス空港のターミナル3に新たなラウンジがオープンするそうです。

    次に旅行業界いきます。まず上期は、業界の統計によると国内線も国際線も前年同期と比べ航空券発券枚数、売上額において増加が見られております。国内線は発券枚数12.8%増と伸びた一方で、売上額では1.5%の微増に終わっております。

    これらの数字から国内の旅行は近場への旅行が増え、かつ一回の旅行での滞在日数は減ったものと分析いたします。また国際線はレアル安にも関わらず発券枚数が14.8%の伸びを示しています。その一因は航空会社各社が運賃の格安キャンペーンを頻繁に実施したことだというふうに推測しております。

    下期の見込みですが、レアル安における海外旅行客の減が予想されます。一方で、海外旅行をあきらめ、国内旅行に変更する人も多く出ることが想定できますので、国内旅行の需要の伸びを期待したいと思います。

    今後の課題としましては、日伯修好120周年にもなるのに、まだ日伯間にはビザ免除協定が締結されていません。それを実現化することで日伯間の観光の往来が活発になることを期待したいと思います。またオリンピック関連では、一部視察団などの来伯が始まっており、今後の来伯グループの先行受注も増加見込みとなっております。

    次にホテル業界です。上半期のホテル業界は部屋使用率は60.75%でした。この60.75%というのは大体、業界では70%行くとすごく良いということですかね、というバーがあるらしいんですが、60.75%。および平均宿泊料金は18.7%のダウンの315レアイスでした。しかし、直近の6月度の部屋使用率は前年同期比8.6%のアップを記録しており、現在の経済および政治面の微妙な局面にもかかわらず、ドル高騰は国内観光および外国人来伯の促進を促していると見ております。

    下期には各ホテル業者が独自のアイデア、コストダウン対策など頑張りが必要となる時期となります。ドル高により国内観光のチャンスも見出せますが、観光シーズン以外のパッケージ企画商品に関して大きな提案力、販売促進策、サービスなどの開発が要求されることとなります。業界の調査に基づくと、サンパウロ市内のホテルを除いてサンパウロ首都圏のホテルは2015年度累積で2.7%の適度な部屋使用率上昇を記録していく見込みだということです。

    次は通信業界に行きます。通信業界は2つありまして、携帯モバイルと固定といわれるテレコム関係ございます。まずは携帯モバイルから。上期状況ですが、スマートフォンの普及ペースが鈍化しています。端末市場においてはサムスン、LG、アップルなどに加えて廉価版スマホを提供する中国シャオミ社が6月にマーケットに進出しております。

    現在の加入件数は2億8245万、普及率は138%、世界第5位です。そのうち、2G、いわゆるガラケーと言われるのはシェアがまだずいぶんありまして32%。3G、これがシェアが57%。4G、これは前年比75%の伸長しているんですが、まだ4%となっています。

    下期の展望ですが、4Gの普及拡大に伴ってさらにデータ通信サービスが増加。一方で音声サービスは徐々に低下する見込みです。オリンピック関連ですが、特に開催地であるリオの通信品質の向上については携帯各社の基地局の増強が図られる見込みでございます。

    次に固定といわれているテレコム関係ですね。上期時点ではブロードバンドのマーケットシェアはNETが32%、Vivoが29%、Oiが26%となっております。ブロードバンドユーザは2400万9000人を突破しております。

    インターネット普及率は約57%で、これはまだ世界70位。ここにグラフがあるんですが、すごい右肩上がりで普及率は来ております。Windows10のアップグレードなどアプリケーションの提供がクラウド型へシフトし、グーグル、アマゾンを含めて大手ITサービス企業を中心に国内のデータセンターを使う需要が急速に高まっています。

    下期展望としましては、まだまだ通信インフラ基盤の安定化がなされていないため、この安定化、低価格化が期待され、今後家庭、事務所までの光ファイバー敷設が普及し、利用が増加する見込みです。インターネットを基盤化する中で大都市中心部以外、例えばカンピーナスとかジュンジアイなどの郊外の工業団地などで高速化・安定化・低価格化が求められています。一方で継続的な技術者の不足、人件費の高騰で、IT専門家の確保の困難さが慢性化しており、その対応策が求められているところです。

    次はIT業界ですね。上期回顧ですが、2015年度の当初に予定されていたITの企業の投資予想額、これはGartner社というのが発表しているんですが、それが125USビリオンから現在では116USビリオンに下方修正されております。7~8%減になっていると思います。その状況も踏まえてお客様からのITコスト削減要求が厳しく、その対応には苦慮しております。また新規の日系企業の進出に関わる案件も減少傾向にあります。

    一方では、やはりコスト削減を目的とした意味でのIT活用、具体的にはアウトソーシング系の需要は比較的旺盛と言えます。またブラジルですと、SPEDという、公共簿記システムのシステム導入への対応が引き続き増加しております。

    下期展望ですが、引き続きIT投資額はさらに削減される傾向にあるというふうに見ております。ITコスト削減のためクラウドサービスやデータセンターなど、ITのインフラ部分の需要自体は増加していき、その流れを受けたITインフラの価格削減が期待されます。あとは、いわゆるSPEDという公共システム等、eSocialですね。eSocialへの対応は各企業が確実に対応しなければならないのでこの需要増加も期待されるところです。

    中々ITコストは見える化が進みづらい所ですが、全体最適化と標準化の観点からITにおける保守・運用業務のコストの削減がお客様からさらに求められ、一方でIT技術者の不足に加え、急速に高度化するIT技術に人材育成が追いついておらず、優秀な人材の育成や確保は今後も大きな課題というふうに捉えております。

    この下の表、2013年の市場規模のデータですが、1位はアメリカで、2位は日本。日本は何と前年対比16.2%の減というふうになっています。ブラジルは世界8位の市場規模で、中国・インドといった新興国よりも市場規模が大きく、先進国に引けをとらない状況でございます。

    最後に副題になります。「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか~」という副題に対して、各企業、我々色んな企業が集まっていますので、様々な意見が出されました。順に行きますと、
    日系物流業者としてのアドバンテージのない国内業界に参入し、日本品質で地場企業と戦っていく。
    コスト競争力を高めるための社内技術開発により、合理化、機械化、技術力を高めるための体制作りと実施。

    日伯間の観光ビザ相互免除協定の締結推進により、さらなる来伯客の誘致を導く。
    ブラジルおよび欧米系の航空会社との連携を強化し、ブラジル=日本間の路線網の拡大と乗継ぎの利便性を向上し促進する。

    当地旅行会社との協業にてブラジル人の訪日旅行者数を増やす旅行商品を作成し、販売の強化を図る。 需要を待つのではなく創造することが大事。決して業界独自の内容ではなく、他業界にも通じるところがある方向性であると思います。

    最後に、ここで連絡となりますが、今年も運輸サービス部会主催の視察旅行を計画しております。決まり次第商工会議所経由で連絡させていただきますので、大勢の方の参加をよろしくお願いいたします。これをもって運輸サービス部会の発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    はい。ご質問をお受けいたします。挙手を願います。

    質問
    ちょっといいですか。最後に細谷さんが言われました視察旅行ですけども、大体どの辺を考えておられるか。

    回答
    過去2年間はサントス港の視察をバス1台でやっておりました。今年はですね、やはりトピックとして考えられるのは、リオのオリンピック直前ということで、我々旅行業界、通信業界、運輸業界、色々混ざっている部会ですので、リオに飛びまして、リオの空港を見たり、あとマラカナン競技場、開会式・閉会式があるんですが、それの視察をしたり、メイン会場であるバーハ地区の今の、政府が言っている、82%建設が終わっているというふうに言われているところを、本当なのかなというのを見たり。

    それに付随して、今プレ・オリンピックと言われるプレ大会が結構来ておりますので、もし日にちが合えばそれの応援もしてきたいなということで考えているところですが、まだ決まっておりません。決まりましたら報告差し上げます。

    司会
    ありがとうございました。ただ今中前総領事にご来場いただきましたけれども、引き続き部会報告を進めさせていただきます。次は化学品部会のご報告を高橋部会長からお願いいたします。

     

  • 化学品部会 高橋智 部会長

    Pdf化学品部会

    化学品部会、K-Iケミカルの高橋でございます。K-Iケミカルというのは日本のクミアイ化学で、農薬会社でございます。では次お願いします。

    部会のアンケートをベースに説明を進めたいと思いますが、部会のメンバー、大体56、57団体あるんですけども、企業じゃない団体さんもありますものですから、企業の数で言うと55ぐらい。アンケートで回答下さった会社と回答の数が違うのは複数業種にまたがっているからでございます。次お願いします。

    会員会社さん。緑色が回答くださったところですね。それでは次お願いします。
    こちらですね、前回も出したんですけども、昔からブラジルに進出されているところと、比較的この最近進出されたところと、大体二つあると。次お願いします。

    回答の事業分野で見て行きますと、非常に多岐の事業分野にわたる業界にですね、化学品を供給しているということが分かります。では次お願いします。

    これは会社さんですね。では次に行きまして、回顧と展望の方に行きたいと思いますが。明るい色で書いているところは増加している、それからグレーというか黒っぽいところは減少している。明るければ良くて、暗ければ暗いと、そういう見方でございます。これで見ますと、化学品部会全体の合計としては、上期はまあ良かった訳ですね。その下を見ると、利益の方は売上ほどではなかったと。下期についてはこれはぐっと明るい色が減りまして、それほど良くないだろうと、利益の方も厳しいであろうと。これが全般的な見方でございます。次に事業分野別に見ますので、次お願いします。

    工業材料ですけれども、こちらの方はやはり同じような傾向で、上期売上は良かったけれども利益はそこまで良くはなかったと。下期の展望で行くと、これは両方とも非常に厳しいと、大体同じですね。

    続いて消費財製品の方に移っていきますと、こちらの方はですね、上期の方は工業材料よりも全般的に明るい色が多くなってございまして、まあ上期良かったし、それほど儲からなかったけれども。下期の方もですね、比較的明るい見方が割合なされているという傾向です。では次お願いします。

    農業畜産関係ですけども、上期の売上、まあまあ良かったと。売れたけども利益の方はそれほどは儲かっていなかったと。下期がどうなるかと言うと、下期が売上・利益とも色つやが良いんですけども、これは一つには農薬というのは季節商売でございまして、ブラジルの場合は年に二作三作作物を作るんですけれども、一番のメインはまあ10月ごろから始まって次の年の2月3月ぐらいまでのその時期がメインですから、大体下期に買ってもらえる訳なんですね。ですからこれは季節商売のずれということでございます。次お願いします。

    石油製品ですけれども、こちらの方は非常に色具合が良くてですね、これは、2社いらっしゃるんですけども、どちらかと言えば比較的最近進出された企業さんで、かなり新規開拓等どんどんなされているところで、まあ明るい状態になっていると。

    これまでのまとめ方ですと、消費財とか工業材料とかとても大雑把なので、今度はちょっと見方を変えて、最終製品がどういった業界、どういった事業に属するかと、そういう見方の方で見ますと、この表の見方ですけど、下の方がちょっと見えるか分かりませんが、奥の方に最終製品が自動車・二輪とか、電気・電子工作機器とか、食品・医薬というふうに、最終製品となって出て来る業界、事業分野が示されていまして、それを先程と同じような、増加であるとか、不変、減少という形で出ています。

    これは上期の回顧の売上の部分ですけども、上期まではそれほど悪いことはなくて、特にこの食品関連のところとか、化粧品のところとかはかなり良かったことが窺い知れますね。次お願いします。

    その上期の利益ですけども、利益はまあ全体的には、最初の方にも出て来ましたけど、売上ほどには利益は上がったというところは多くなかったんですけど、若干やっぱり全体に下がっていまして、それでも上期については食品等々、それから化粧品のところまで非常にこの三つはそこそこ良かったと。ここから下期の方に移ります。次お願いします。

    下期になりますとこの明るい色がぐっと下の方に下がって参りまして、やはり増加するというふうに見ているところは、先程の農業のところを除けば、化粧品がありますが、かなり少なくなって来るという傾向にあります。次、利益の方ですけども、この利益もですね、それでも結構増加するとか、不変というところが割と多くなっていると思うんですけども、これは部会の中で話し合いの中では、まあ実際にそうなるという見方よりも、そういうふうに持って行こうという目標的な、そういう考え方で一応アンケートには協力しましたという会社さんがいくつかありました。どっちにしましても、利益も、こちらにあります通り、落ちて来るという、こういう状況だと思います。

    次に、今までの全体の傾向の要因の解析の方に行きたいと思います。プラス要因とマイナス要因がありまして、めぼしい所をトピック的に行きたいと思いますが。まずは工業材料ですね。販売対象で見た場合の工業材料ですけども、プラス要因としては、設備投資の効果が上がったとか、新規分野とか新規顧客さんの開発ができたというところがあります。マイナスでは、顧客の資金繰りが悪いとか、銀行さんがあまり貸してくれないとか、そういうことがありました。次お願いします。

    次、消費財ですけれども、まずこのプラス要因の一番上。平均生活水準向上による需要増大。これがやっぱり基本的な流れではあると思われるんですね。あと、自助努力された、新しい販売チャンネル、地域拡大、それから直販等、これは開拓されたというところがプラスの貢献であると。また、新しいサービス、ソリューション等の提案をしてそれが成功しているというような報告がいくつかございました。

    マイナスですけど、マイナスは今まで色んなプレゼンターの方が発表されてきたような状況が色々あるわけですけれども、まあ化学品部会の中で目を引くのは、デジタル化によって化学品・化成品の需要が減っている部分があるとかですね、こういうところは化学品独特かなと。それから予算削減で公共病院の投資も入らなかった。それから印刷関係で、中国製の印刷物が増えていると。なぜかというと中国製の印刷物はどういう訳だか輸入関税がほとんどかからないのではないかとか。

    それ以外のところとしては、輸入品の安全性テストが時間がかかったり、検査機関で色々違いがあるんだよというようなのもありましたが。これはブラジルの国の認証とか登録、それから検査、そういったサービスを行う機関がいくつかあるんですけど、化学品部会に関係するところは三つぐらいあるんですが、それが一部やっぱり阻害要因になっているというところが時々指摘されております。では次お願いします。

    次は農業畜産ですけども、プラスの要因ですね。プラスの要因としては、サトウキビ関連産業がですね、石油の値段、ガソリンの値段が上がるとエタノールがつられて上がりますので、それのおかげで、砂糖の値段は良くないんですけど、そういうことでちょっと復調の兆しがあると。それからデング熱の発生が増えたのでプラスになったと。

    マイナスの方はですね、やはり顧客の与信力の低下とか、在庫過剰とか、色々あるんですけども。大豆で、芋虫みたいな、Helicoverpaというのがいるんですが、これが去年一昨年すごく出て殺虫剤がたくさん売れたんですね。今年になるとこれがばったり出なくなったということで。基本的には農薬の場合は雨が降ると虫が一杯出るので殺菌剤がたくさん売れて、乾燥すると殺虫剤が売れるという、まあ季節商売なところがあるんですが、ブラジルの場合には他の国、周りの国とかよりもそれがかなりドラスティックに変わるという傾向がありますね。

    それから綿とかもですね、石油が安いもんですから化学繊維が、ポリエステルと競合していたんですけど、ポリエステルが安くなっちゃうと綿の値段にやっぱり影響してくるということとか。今度またコットンボールウィーブ゙ルという、綿の玉を刺して吸うゾウムシみたいなのがいるんですけど、それが発生してきて、これが1シーズンで20回ぐらい殺虫剤を撒いてものすごくお金がかかるんです。綿栽培が経済的に、これが原因であわなくなってきているという傾向とかがあります。

    あともう一つ、ちょっと構造的な問題なんですけれども、ジェネリック品の参入ですとか、中国品との競合というのがあるんですけど。農薬というのは一つ開発するのにほどほど時間がかかるんですけど、特許で守られているんですが、特許って20年しかなくて、開発して色々な試験を終わるまで、登録を取るまでに10年かかっちゃうんですね。そうすると実際に売ってお金を稼ぐ時間というのは10年ぐらいしかなくて、その後、本当に良い薬だとすぐジェネリックが中国からどんどん出て来る訳です。そうするとどんどん美味しいところは持っていかれる訳ですね。まあジェネリックが出なければいいんですけど、ジェネリックが出ないぐらいの薬というのは、成功とも言えるし、まあ、という程度で、良い薬になれば必ず出ますので、それとどう戦うかというのがやはり構造的に難しいところなんです。

    そのジェネリック以前にですね、ブラジルとか南米の特徴としてコントラバンドというのがありまして、違法品がウルグアイとかパラグアイとかそういうところからどんどん来てしまうんですね。そうするとそれが、取り締まってくれればいいんですが中々、完全に陸続きで取り締まりもできないので、それがまた市場価値と全体の価値を下げられてしまうというようなことがあります。次お願いします。

    次、石油ですけども、石油関係はですね、自社ブランドを確立されて、BtoCとか、価格改定を適宜に行なってそれが奏功しているとか、そういったことが挙げられておりました。次お願いします。

    ここからはまた、最終製品となる業界の方という、その見方で見ているんですけども、大体これまでの皆様のご発表でカバーされている内容でして、大体同じようなことがありますけど、プラス要因で日系メーカーさんが新工場を設立された効果があるとか、そういったことがあります。では次、食品、化粧品の方をお願いします。

    食品・化粧品ですけども、受注とか稼働率が向上したとか、まあ食品の方はこちらの方は低価格の粉末飲料に行くとかいうのもありまして。また化粧品は全般に化学品の中で特に調子良いんですけど、半期で見た場合には23年ぶりに前期割れしたというようなこともありまして、化粧品といえどもやっぱり今回の不況の影響というのは現れていると。それからまたもう一つ、化粧品材料の認可が遅いというのがありまして、先程も出ましたがやはりこの許認可とか登録とかやるところがちょっとリスクになっているところがあると。次お願いします。

    医薬関係ですけど、これはちょっと先程と逆で、ANVISAという医薬・農薬の安全性評価登録を下さるところがあるんですが、この審査をやってくれるANVISAですね。これは大体、ANVISAは審査する人が非常に人数が少ないので、審査がすごいいつも遅れて中々登録取れないということで色々出るんですが、今回の場合はちょっと違いまして、今回医薬品の場合は値上げOKということで許可がしてもらえたので、これがプラスに働いたというところがあります。

    それでは最後に、色々話して参りましたが、日系企業はどう立ち向かうかというところを、これについてちょっと突っ込んでいきたいと思います。
    まず、ブラジルの場合は高性能であっても価格と両立しなければならないので、これをどう理解してもらうか。

    それから周辺国とのシナジー、ブラジルと主要国含めたシナジーを狙いたいんだけれども、メルコスールとパシフィックの国とでかなり事業環境が違うと。何が違うのかというと、関税等が違って、どうもメルコスールの中はやりにくいという意見がございました。
    それからインフレ、高金利、人件費の上昇とか。この、インフレで自動的に上昇する賃金制度ですね、これがやっぱり競争力を下げているんだと。そうすると企業側としてはレイオフするしかないから、社員を継続雇用するには障害となっていると。労働分野が一番厳しいと。

    この下ちょっと労働のことがならんでいますけども、まあ化学品部会でですね、ブラジルでのビジネス環境の中で課税、通関、労働、インフラ。産業競争力その他色々ある中で何が気になるか、複数回答で出してみますと、課税が一番多かったんですけど、労働がやっぱり2番目に来るんですね。労働に関して結構意見がありまして。まあ労働裁判が増えていると。コスト競争力を上げる仕組み、これがなければ根本的に変わらないと。労働力の底上げするためには結局教育をやらなきゃいけないんだというところで、この辺がありました。

    しばらく景気低迷するけれども、次の成長ステージへの体制強化を今やる時期なんだよということで、労働面でも人材確保ということを考えれば、これまで採用困難だったようなそういった人材へのアプローチが容易になるんだから、そういうふうにポジティブに捉えたいというような意見がありました。

    あとはちょっと精神論的なものになってしまうんですが、ブラジルとはこういうものだという理解が重要なんだと。ブラジルのマーケットに対するこだわりが重要だと。今は短期の不況なんであって、中長期にはまた良くなるんだから、これをどうつなげていくかであるということで、まず絶対撤退しないと、次の成長期を見据えたマーケティング調査等を継続するとかですね、そういったことをやっていくべきではないかというような議論を化学品部会では交わされまして、化学品部会員は会員同士で励まし合ってですね、立ち向かっているというところを報告させていただきました。以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    はい、ありがとうございます。ご質問をお受けいたします。
    先程ANVISAの話が出て参りましたけども、来月10日にジェトロとANVISA、それから厚生労働省の関連の団体のPMTAという日本の団体、この3者共催でジェトロ東京本部でセミナーを開催する予定でございます。

    そこにはブラジルANVISAのバルボーザ長官もですね、ご来場いただけるご予定になっておりますので、皆様にも今ご報告をしておきます。
    質問はございますでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。部会報告を続けさせていただきます。

    先程中前総領事にお出でいただいたというご報告をさせていただきました。通常でございますと、部会報告が終わって小林参事官の講評の前にコメントという形でお話をいただくということになっておりますので、ご準備のほどお願いしたいんでございますが。よろしいですか。途中からお入りになったということで全ての講評は無理だと思いますが、ご挨拶をいただくということでご了解いただけますでしょうか。はい、ありがとうございます。

    それでは部会報告を続けさせていただきます。建設不動産部会の藤井部会長、よろしくお願いいたします。

     

  • 建設不動産部会 藤井健 部会長

    Pdf建設不動産部会

    建設不動産部会、ケミカル・グラウトの藤井でございます。それでは建設業界の話をいたします。最初に、ペトロブラスの汚職、財政削減、非常に上期は厳しく、この景気は来年いっぱい続くということは危惧しております。その中で当建設不動産部会員が現在取り組んでいることを発表いたします。

    最初に部会メンバーの上期の回顧と通期の展望を話し、具体的に業界ごとの状況を報告いたします。

    これはアンケート結果です。各業界の上期の回顧と通期の展望。最初はゼネコン業界です。上期は日本企業のブラジル進出の激減。それと日本からの問い合わせがなくなる。しかし非日系企業の工場拡張が堅調だったということです。また労務費や材料費の高騰、ブラジル企業との差別化でその辺の生産性の向上を上げまして、対応したということです。

    下期。一つは非日系企業の営業強化をしたいということです。現在各社60%程度がシェアですので、それをさらに比率を上げていきたいと。二つ目は、ブラジルの建設会社ができない施工、工法と提案力、および高コストに対応し、さらに生産性の向上を上げたいということです。

    次は不動産業界。ちょうど1年前に始まった売買の鈍化がそのまま継続され、現在は土地が動かず、マンションが売れ残りだしております。今ではマンションの価格の下落が始まりそうです。

    次はプレハブ業界。大型工事の延期や中止がありましたが、小規模工事が非常に堅調でした。この工法の特徴であります、短い工期で品質が高く、まして移設増設が非常に容易であることがブラジル人に認知され、下期はさらにその辺を増やして開拓したいということです。

    特殊技術は、インフラ工事が政府の財政削減のためサンパウロが止まりました。しかしオリンピック関連の下水道工事が1年間の中断を経て再開しています。リオデジャネイロの地下鉄工事、まあオデブレヒトさんがやっているんですけども、その辺のコンサルさんからも信頼を受けまして、現在他社が失敗しました問題の部分の補修を担当しております。下期はブラジルのトンネル学会から特別講演の依頼を受けました。次お願いします。

    それでは具体的な取り組みです。最初にゼネコン業界です。日本の企業の進出はおろか、設備投資も二の足を踏む企業が増えてまして、工事の規模がどんどん小さくなっています。サンパウロの建設業界の4月の予想では、今年の産業別GDP、建設業界は5.5%落ち込む。解雇者30万人に達する見込みと。

    そのような中ゼネコン業界が取り組んでいることは、まず最初は戸田さんですね。サンパウロの周辺の工場建設から、学校や病院といった案件に注力しております。そして5月にはクリチバ営業所を開設しています。クリチバというのは日系企業が多く、昔からお客さんが多いということがあるので、注目しています。

    また注目しているということは、スマートシティーに適した土地であるということです。2月のシンポジウムでも紹介いたしましたが、環境配慮技術、これをブラジルでエコ技術としまして普及にイニシアチヴを発揮しているということです。5月中旬にはクリチバ市内の大学で開かれましたスマートシティ・ビジネス・アメリカの会議にスポンサーおよび後援企業として参加しまして展示ブースを出したということです。次お願いします。

    これが発表した内容です。2020年の実用化を目指しています。ZEBネットゼロエネルギービルということです。建物の省エネ、再生可能エネルギーの利用で建物の一次エネルギー消費者を概ねゼロに近づけるという建物だそうです。既に導入されているものの中では、照明が、LED照明よりも30%削減できているという状況です。ブラジルではこのような環境技術を展開するべくスタディーを現在始めておりまして、サンパウロ州にある大学をフィールドに環境配慮技術を導入できないかということです。こうしたセミナーでの発表機会をできるだけ増やしていきたいと言っておりました。次お願いします。

    次はHOSS建設さんの取り組みです。これは日本式安全活動での差別化です。これは日本の方は当たり前の光景で、ブラジルの建設業界では非常に珍しいことなんです。

    私もブラジルに来て3年経ちますが、ブラジルの建設現場にはラジオ体操、安全朝礼、小規模ミーティング、TBMと言いますけども、そういうものがありません。現場はいつの間にか仕事をする人が集まって来まして、仕事をする人だけが仕事をして、帰ります。仕事をしない人も帰ります。統制のない現場というのは、工期が守れない原因の一つです。HOSSさんは日本式の安全活動を取り入れまして、これによって一日の重要部分、危険部分、その辺を全員で把握しまして、安全に生産性の向上を上げて行きたいということです。

    ちなみにブラジルの現場での安全対策というのはどういうことをやっているのかと言いますと、安全担当が現場の中をうろうろします。で、自分の仕事を肯定するために、法律上違反となる、些細なことで工事を止めます。度々こういう、担当のエンジニアと現場で議論になっています。これが計画性のないやり方。工事の遅延の一つです。次お願いします。

    次は不動産業界です。マンションの賃料と販売の価格の推移です。ちょっと薄いかもしれないんですけど、左が賃貸、右が販売です。2008年からのアップ率、上昇率を示しています。左の賃貸は2008年から100%の上昇です。赤がリオデジャネイロ、青がサンパウロです。しかし不動産の売買が止まりました昨年の8月から家賃の上昇が止まっています。

    右側の販売価格は2008年から200%以上、これは伸びておりますが、今年に入ってから鈍化が始まりました。6月の時点では上昇が止まりました。賃料に比べて販売価格は上昇率が2倍以上、下落がいつ始まるかが懸念されています。これによりまして今年は、購入よりは賃貸と、スターツさんが言っていました。次に、この中でリオデジャネイロの販売価格というのは、250%の伸び率です。今は高止まりしている状態ですが、オリンピック後に大幅な下落が懸念されています。次お願いします。

    これはサンパウロ近郊の工場用地の価格です。これも1年前とまるで変わっておりません。2年前には上昇率60%、していたものがですね、現在止まっております。不動産業者によりますと、最近の土地は全く売れない、過去12ヶ月横ばい。今後の見通しは、今年一杯はこのまま。来年は下がる可能性もあるが、しばらくは様子見という状況です。次お願いします。

    そのような中で、商工会議所会員の不動産会社が頑張っております。これはジャグアリウナに工場団地を持っています。サンパウロから120キロ、カンピーナスから15キロ。全体62万平米、現在80%外資系の会社が入っております。プラスチック生産、金属部品メーカー、製薬薬品、自動車部品、データセンター、テレビサテライト運営会社。あと20%残っています。多分、すぐご提供できるそうです。次お願いします。

    これは工場の賃貸物件です。これはお客様のカスタマイズド、要するにお客さんのオーダーで新築したものをそのままお貸しできるということです。インフラの整備、全てそろっております。お値段は別途交渉です。安いと思います。次お願いします。

    次はプレハブ業界です。上期は大型工事が延期や中止が相次ぎ、しかし低価格な小規模工事で需要が堅調だったということです。安定した品質と施工の早さ、移設・増設が簡単にできるということがブラジル人が分かり始めております。現在非日系企業、100%、が受注主です。注目されるのは日本で当たり前の、写真のものです。しかしレンガ造りが主流のブラジル人は知らないことが多いですね。工場内の検査室、これもすぐです。工場内の間仕切りもすぐです。屋外工事もわずか2週間で本設建設物が建造できます。次お願いします。

    次は特殊技術です。オリンピックの社会資本整備は急ピッチです。あと1年、非常に疑問です。その中で、リオデジャネイロの地下鉄工事、ちょうどここの部分ですね、この部分は全区間16キロのオデブレヒト区間の中でイパネマ=レブロン地区、ここの部分が砂の非常に厳しい難工事区間です。写真のように駅部の水没、換気塔の水没、これは一つ一つ土嚢袋ですね、積んでおります。非常に苦慮しております。

    現場ではあらゆることをして、結果修復できない時点で日本企業が呼ばれました。簡単に問題点を解消し、現在進んでおります。現在も他の依頼を受けております。この対策工事、日本人技術者を派遣せず、サンパウロからの遠隔操作で現地化したメンバーで対応しています。元請けのオデブレヒト社は非常に高い評価をしていただきまして、論文発表を行いたいという話です。

    現在、一昨年ですかね、5Kmにわたり高速道路が爆破された部分があります。それは現在地下化工事をやっておりますが、そこの部分にも問題解消の今後お手伝いに行きます。次お願いします。

    これはブラジルのトンネル学会からの招待です。ブラジルのトンネル学会から、日本の話が聞きたいと、初めて講演依頼をいただきました。ブラジルの知識人というのは欧米式やブラジル式が最良と考えられているため、日本の土木技術には興味を持っていただけませんでした。しかしブラジルでの実績が多くなってやっと聞く耳を持っていただいたようです。この話ができるまで7年かかりました。日本では古く、青函トンネルの異常出水等止めてきました会社ですので。高倉健の映画にも出演したことがあります。今から何を話してあげようかと考えております。次お願いします。

    次は道路に穴があくかの第二弾。なぜ川が臭いかです。これは実は下水がないからです。
    左の写真は川の脇で下水工事をしている状況です。奥には第二のパウリスタを目指している地区がありますが、十分な下水道がありません。全て川です。右側は有名なショッピングセンターの前です。下水工事をしています。ここにも下水がありません。下の写真は汚い川にいるカピバラ親子です。もうちょっときれいな所だと。この状況で、財政削減計画のため今年6月11日にSABESPは下水道工事を一斉中止いたしました。自転車道は作っています。

    実は今年の初めにSABESPに呼ばれまして、実は検討依頼を受けたものがあります。20年前に完成し、現在使用していない、川に沿った全長3Kmの大型トンネルの補修工事です。大金をかけて作ったものと分かりましたが、20年間使われておりません。トンネルの先は新政権がプロジェクトを中断したそうです。

    日本では最も汚い川であった玉川が、今は100%の下水道が完備されまして、日本で有数のアユの生息地です。社会資本整備、これを政治の遊びにしなければですね、いつかはチエテ川もきれいになると思います。次お願いします。

    最後、まとめです。経済の低迷で、ブラジルの建設業界が直面している問題は負の要因だらけです。しかしこの中で設備投資を行う会社があります。失業者が多い今、人材の獲得ができる時期でもあります。生産性の向上を図る教育時期でもあります。この機会を有効に使い、日本で当たり前のことを行う建設不動産部会のビジネスチャンスと考えております。以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございます。質問をお受けいたします。それでは、大変面白いお話、藤井部会長ありがとうございました。それでは最後の部会別発表になります。繊維部会、田中部会長よろしくお願いいたします。

     

  • 繊維部会 田中雅春 部会長

    Pdf繊維部会

    皆様こんにちは。ただ今ご紹介いただきました繊維部会、日清紡の田中です。最後の発表となります。皆様お疲れのこととは思いますが、簡潔に努めますのでよろしくお願いします。

    繊維部会の発表は3部構成ということで、2015年上期の回顧、それから下期の展望、それからサブテーマの順番でご説明します。次お願いします。

    2015年上期の回顧につきましては、まず原材料である原綿の動向、それからそこから作られる綿糸の動向、それから合成繊維の動向、それから繊維の輸出入の動向、アパレルの小売の動向という順番でご説明します。

    まず原綿動向ということで、このスライドでは国際原綿の需給バランスについてまとめたものです。表が二つありますが、まず左側の表は世界の原綿生産、それから消費を2011年から15年の5年間に分けて、生産、消費、生産、消費ということで国別に書いたものです。右側はその結果、各季末にどうなるかと、在庫はどうなっているかという数字を表したものです。

    これを見ていただきますとお分かりのように、2011年から2015年にかけての5年間で在庫は増加傾向にあるということです。その在庫水準ですが、この左側の消費とほぼ同じぐらいになっていると。これ、我々業界では在庫率と言っていますが、在庫率はほぼ100%に近いということで、まあ非常に需給バランスは世界的には緩いという状態です。

    ただこの季末在庫の内訳を見ていただきますと、これ色別に国別なんですけど、青の中国およびオレンジ色のインドの数字が多いことが見て取れると思います。要は中国、インドが自国の農業を守るために、綿花の流出、他の国に出ることを止めているという統制施策を採っていることによって相場の暴落を抑止しているということになっております。ですので、このスライドの結論としましては、世界の需給バランスは緩いけれども、中国、インドが統制施策を採ることによって相場の暴落を抑制していると。で、綿花相場、原綿相場はこの在庫が多い状態にも関わらず、下落せずに安定的に推移しているというのがこの世界的な結論です。次お願いします。

    次も原綿動向ですが、これはブラジルでとれる原綿の相場について表したものです。先程世界の原綿相場は安定していると申し上げましたが、ブラジルの中で見るとそうではありません。左側が国内原綿の需給予想ということなんですが、ご注目いただきたいのはブラジル国内で生産される数量のうち半分がブラジル国内で消費されるんですが、半分が輸出に回っているということです。要はブラジルの原綿は国際競争および国際価格に左右されているということで、下に下線で引いていますが、レアル安になると原綿輸出が増加して国内バランスはタイトになり、原綿価格は上昇するという構造になっています。

    右側がその相場の推移を、2014年度初めから2015年の半ばでまとめたものなんですけど、ちょっと色々グラフの線がありますが、一番上のグレーがニューヨーク相場、要は世界の相場ですね。一番下の濃い青と黄色が混ざったような線がブラジルの国内の相場です。

    この左側から真ん中ぐらいまでは、このグレーの相場が下がるに従ってこの青の相場も下がっているということなんですが、この為替、オレンジが2014年の終わりからこちらの右端の2015年7月ごろまでレアルが安くなるに伴ってブラジルの相場は上がっているということです。従ってブラジルの原綿相場は、世界の相場が安定しているにもかかわらずレアル安の影響で上昇しているということがここから見て取れます。次お願いします。

    次は、ブラジルの原綿相場が上がっていることによって国内の綿糸市況にどう影響しているかということをまとめたものです。まずこの表なんですが、今申し上げましたブラジルの原綿相場につきましてはこの濃い青色で表しています。軸は右側です。綿糸価格につきましては、色んな綿糸の種類があるんですが、この水色とオレンジ色と点線の緑色、この一応3種類の綿糸の価格を表したもので、軸は左側です。

    昨年の10月から3月中旬ごろまでは市場の需給バランスも取れていて、しかも原綿のコストも安かったこともあって順調に推移しておりました。ただし3月後半以降、消費不振が本格化し、各段階の在庫が増大し、綿糸発注が減少したと。これに合わせまして、たまたま同じ時期で先程申し上げた原綿代がアップして来ているということで、原料代がアップする以上は、まあ紡績としましては値上げしたいんですけども、逆に市況が悪くなって在庫が過多になって、値崩れを起こしているという非常に厳しい状態になっているのが今の状況です。次お願いします。

    次は合成繊維についてご報告します。合成繊維は主にファッション衣料や機能性衣料に使われることが多く、ブラジルではここ数年需要も旺盛だったんですが、今年はブラジル経済低迷の影響を受けてここ数年旺盛だった合繊需要も減少しているということです。この右側の表で見ていただきますと、グレーが国内生産、上が2014年で下が2015年、ちょっと減っています。それからオレンジが輸入、これも減っています。この青、ほとんどないんですが、これは輸出なんですけども、レアル安の状況なんですが、2014年から2015年にかけて輸出も減っています。従ってここでは合繊においてもブラジルの国際競争力が低下しているということを示していると思います。次お願いします。

    ここから3枚のスライドでは、繊維製品の輸出入動向についてご説明します。上のグループが綿糸、真ん中のグループが薄地織物、一番下が合繊織物の輸出入についてで、輸出が青色、輸入がオレンジ色です。一目でお分かりいただけますように、青色の輸出がほとんどなく、輸入のオレンジ色がほとんどという状態になっています。ただ2014年と2015年の輸入を比べますと、このオレンジの輸入が若干2014年から2015年にかけて減っているということがあります。これはレアル安とブラジル国内の市況が低迷していることにより輸入が減っているということで、輸出入収支は前年比で改善はしているということです。次お願いします。

    この表は、織物全体、ちょっと大雑把ですが織物全体と、それから縫製品全体ということで、輸入動向に絞ってまとめたものです。同じく2014年と2015年の比較なんですが、2014年については濃いオレンジ色、2015年については薄いオレンジ色ということで上半期で見たものです。
    上の織物全体の方で見ますと、レアル安の影響を反映しまして、それぞれ若干輸入が減少しているということが見て取れるんですけども、下側の製品輸入に移りますと、レアル安にもかかわらず輸入量が減らず、若干増えているということで、ここからは小売店の海外製品依存度が上昇しているということが見て取れます。次お願いします。

    こちらも輸入動向についてまとめたものなんですが、左側の表は衣料の輸入相手国別にまとめたものです。このグリーンが中国です。ずっと過去から50%以上、大体60%ぐらいがブラジルに入って来る衣料のうち中国品が占めているという状態が続いております。

    ただこの2014年と2015年、1月から6月の比較ですね、左側の表の右側の端ですけど、見ていただきますと、中国からの伸び率は鈍化しています。その代わり、その下のオレンジの、これはバングラディシュとかベトナムとかインドといった他のアジア諸国の伸び率が増加しています。ここから、縫製の中国からアジアの他の国へのシフトが加速しているということが見て取れます。

    右側の表は中国からのファスナー輸入の動向を示したものです。2014年から15年を比較しますと、まあ若干増えたように見えますが、これは資料をいただいたメンバーのYKKさんによると年末年始のでこぼこによるということで、ほとんど実質的には前年横ばいということです。次お願いします。

    上期の回顧の最後としましては、アパレル、小売の市況について簡単にご報告します。まずアパレルの生産ですけども、先程から申し上げますように、市況が悪いということと、それから輸入が多いということで、上半期の国内衣料生産は昨年比で18%ほど減少しています。内訳で申し上げますと、ブラジルで比較的元気だったジーンズも製品在庫が高止まりしていて、生産調整を実施していると。婦人服は、製品輸入がレアル安でも増加していることと、販売不振で生産を抑制している。それから靴分野につきましては、小売低迷と輸出減少で国内生産が低迷しているという状況です。

    下側の小売全体で見ましては、GDPの3分の2を占める家計消費が2003年以来初めてマイナスになっているという状況が繊維にも反映しておりまして、例えば書き入れ時である5月の母の日、6月の恋人の日も前年割れと不発で、小売店の中では前年比10%20%ダウンしているというところがたくさんある状態です。次お願いします。

    次は下期の展望ということで申し上げます。残念ながら下期につきましても上期のこの厳しい状況が大きく変わるというふうには見ておりません。まず世界の原綿需給ですが、先程申し上げた状況、すなわち世界的にバランスが緩んでいるが中国、インドの抑制政策により国際相場に大きな変動はなさそうだと思っています。

    次にレアル安の影響ですが、原綿相場が上昇するということを懸念するという側面と、一方では製品輸入が歯止めがかかるんじゃないかという期待があるという側面、相反するプラスマイナスの要因があって、各社この間でのかじ取りになっていくと思います。

    ただ、綿糸、織物の輸出入については大きな変化はないと思っております。その理由としましては、まず輸入についてはブラジルの国内の経済、市況が悪くて中々輸入がないということ。それから輸出につきましては、多少レアル安になってもブラジルの国際競争力が低いことからすぐに伸びるとは思えないということです。それから市況につきましては、景気回復の材料が見当たらないと。金利高やインフレも続くでしょうし、材料がないということでさらに厳しい状況もあり得るかなというふうに思っております。

    まとめとしましては、市況自体の急回復が望めない中、レアル安によって輸入に歯止めがかかることと、国産品への需要改善に期待したいということです。次お願いします。

    サブテーマについてご報告します。「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか~」についてなんですけども、繊維部会でまず出ました話としましては、中長期的なブラジル経済のあり方を想定して長期の目線で戦略を策定、実行するということです。

    先程ブラジルのポテンシャルは高いと発表された部会もありましたけども、現状が厳しい状態なだけに、今のところを見るだけではなくて、中長期的なブラジルの経済、社会がどうなるかということを調査・分析・想定して、今からどのようなことをやっていくかということを戦略を立てて行くということです。

    それに関連しまして、今の枠にとらわれることなく、同業他社や他業種とも協業して用途開発、市場開拓を優先していくと、そういうことを調査もしていくという意見が出ました。

    これらのことでやはり目指したいところは、高付加価値品、独自製品へのシフトをすることにより、今の価格競争からの脱却を提起していきたいということです。これらのことを実現するのは、具体的にはどうするのかということは、各社まあ事情が違いますので、一概にここで申し上げることはできないんですけども、ただ今回のテーマが日系企業はどう立ち向かうかということですので、やはり日本的な良さ、きめ細かさや誠実さといった過去の先輩方が築かれて皆様がそれを受け継がれているこういった財産は継続して市場・顧客の信頼を勝ち取っていくということが必要なことだろうと思っております。

    最後、繊維部会からブラジル政府や関係の方への提言ということでまとめさせていただきました。現在の政治的・経済的に混乱した状況で国民が前向きになれない状況では消費の回復は望めないと思っています。そのためにも徹底した経済政策の推進を進めていただくことによって経済への信用の回復、それから汚職の追放により国際社会の信用回復やそれから国民が誇りを持てる国にしていただきたいなと思っております。

    それから、以前の発表でも申し上げていることですが、ブラジルコストの改善を改めて必要だと思います。我々製造に関わる者としましては、やはりブラジルの国際競争力がないことにはどうしようもないと思っておりまして、例えばそのためには複雑な税制の整理・撤廃や減税。それからこれもずっと言われておりますが、旧態依然たる労働法の見直し。それから色々問題のあるインフラの改善。といったことをぜひ進めていただきたいなと思います。

    それから繊維部会として最後に申し上げたいのは、繊維産業の重要性ということを改めて再認識をお願いしたいなということです。

    ブラジルという国は、自分の国で原綿を生産して、かつ伸長する大衆消費層を有するという非常に恵まれた国だと思っております。要は入口とそれから出口がしっかりと存在していて、真ん中に160万人という結構たくさんの人数が従事しているという繊維産業なんですけども、先程申し上げましたように、その入口の部分の原料は輸出され、最後の製品が輸入されているという状態で、その真ん中にある産業が疲弊しているというのが現状です。

    この状態を認識していただき、単純に保護していただきたいという意味じゃなくて、その産業を強くする政策、例えば上のブラジルコストの改善もそうですし、あと他の部会の方もおっしゃっておられました、教育の充実により労働力の質の向上もそうですし、繊維業界に限ってみましたら繊維産業に関係する教育機関の充実ですとか、例えばブラジルファッションを追求していくとか、そういったことをお願いしたいなということを最後に申し上げまして、繊維部会の発表とさせていただきます。皆様ご清聴ありがとうございました。

    司会
    はい、ご質問をお受けいたします。今の発表を聞いていて、鉄鋼業も同じようにやはり原料はとられて、製品は中国からの安い製品で、国内の産業が疲弊しているというようなコメントを、相方の相原社長から今うかがったんですけど、何かそういう共通点をご覧になって繊維産業としてブラジル側にご提言されることとかというのは今何かございますか。

    回答
    すいません、最後の部分がちょっと。

    司会
    鉄鋼業もそうですし、生産業も同じように原料がとれて、製品が外から入ってきて、国内産業が疲弊するという構造になっているんですけども、何かこれを解決するためのご提言みたいなのはお考えでいらっしゃいますか。

    回答
    具体的なところまではまだ部会で話し切れてなかったんですけども、やはり先程申し上げたことと繰り返しになる部分もありますが、もちろん自助努力は必要なんですけども、ブラジルコスト、特に労働費がどんどん上がっていくというような問題もありますし、そういったことについては全体的に、税制の部分とか、労働部分とかいうことはやはり解決していく必要があるのかなと。産業全体に関わってくることだとは思うんですけども、そういうことは日々の業務を通じて、何とかならないかな、じゃいけないんですけど、まあ常に実感しているところです。

    司会
    ありがとうございます。他にご質問お受けいたします。それではないようでございますので。どうもありがとうございました。

    それでは続きまして、恐縮ではございますが、中前総領事からご挨拶、コメントをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

     

  • コメント 中前隆博 在サンパウロ日本国総領事館総領事

    皆さんこんにちは。ただ今ご紹介いただきました、総領事の中前でございます。今日は大変申し訳ございませんでした。出席させていただくというふうに申し上げておったところなんですけれども、急にサンパウロの市議会が、日本とブラジルの120周年の事業を行う特別委員会を作るので20日の3時に来いと1週間前に言ってきてですね。それで非常に悩みまして、平田事務局長にもご相談して、大変申し訳ございません、遅刻させていただきますというふうに申し上げ、お許しをいただいたところでございます。そういうことで、途中からの参加になりましたことを改めてお詫び申し上げます。

    私、運輸サービス部会さんの途中からお話をうかがうことができました。後で小林参事官から講評を差し上げるので、私の方からあまりおこがましいことを申し上げるのは控えさせていただきますけれども、若干の感想と私なりの、私どもがそういう中で何ができるんだろうかということを考えながらお話を伺った、その感想めいたものを申し上げさせていただければと思います。

    伺った限りではいずれの業界におかれましても、現状についての厳しい認識、それから政治および経済における将来に向けての不透明感というものが共有されているんだろうと思います。そういう中で、お話の中からうかがい知ることができましたのは、いずれも中長期的な視点から戦略的にものを考えて手を打っていくという意識であったろうかと思いますし、それは極めて正しいことだろうと思います。同時に、私どもも同じような視点で活動をしていかなければいけないかなと思いながら伺っておりました。

    ちょっと振り返りますれば、去年の今頃確かに私どもも、これから先ちょっと経済きついよなということは言っていた訳でございます。これから1年半、2年はちょっと、これはブラジルの経済は良くないぞということはある意味共通していた観測であったんだと思いますけれども、おそらくそれに加えて政治的なスキャンダルという要因が加わって、その不透明感が高まり、経済活動の状況に輪をかけて悪い要因となったということだろうかと思いますが。これは裏を返せば、そういう政治的な要因が、まあどのようになるかというのはともかくとして、政治的要因が何らかの形で解決した時にはそれは経済にとって非常に良い要素となり得るということがいつ起こり得るかも知れないということはあるのかなと思っております。

    それに加えて、ブラジルの本来持つポテンシャリティを鑑みて、どなたかがおっしゃっておられましたが、本社の関心をつなぎとめるというお考えがあったこと、ちょっと私もなるほどなと思いながら伺っておりました。日本でもそうだったかと思いますけれども、やはり危機に直面した時はある意味改革のチャンスであるということでありましょうから、そこに日本が皆様の企業活動において、それから私どもが政府との関係などにおいて何ができるかということを考えるのかなと。

    今日のシンポジウムのテーマが「必ず復活」というふうなものと承知しておりますけれども、その「必ず復活」ということを前提とするならば、戦略的な視点の形成の強化というのが今の時期というふうなお考えを提示しておられたのは、これはまさに正しいことだろうと思います。その中で私どもも、大使館や総領事館が何ができるかということもそこに通ずるところがあるんだろうと思います。

    ブラジルの対日認識の一層の向上、これはこういう時期にあって安易な資金源に走る誘惑は強いと思いますけれども、その中でやはり日本、これは単にジェネラスな日本に対する期待ではなくて、正しい方向に向けた協力、協調というものが期待されるような日本を打ち出していく。ブラジルの弱みをひたすらかこつのではなく、その強みを活かしながら、そこで日本人のあり方とか、日本人の職業倫理であるとか、ジャパン・クォリティと言われるものであるとか、そういうものを周知していき、そういうものを武器としながら、私どもから報道対策を行なっていく。

    それから、来年度末までに発足を目指しておりますジャパンハウス、こういうところもお役に立てる一つの場になるんではないかなというふうに思いながら伺いました。その場合、日本の売るものはクォリティでありますから、その競合相手は欧米を含めて全世界にわたる訳でございまして、その中で幸せなのは、ブラジルにおいてはですね、日本に対する評価が非常に高い、その中で日系社会の存在、その歴史が築いてきた資産、そういうもののアドバンテージがあるということを認識しながら、それと連携をしていくということ。

    それから、ご指摘のありました産業人材の育成という課題について、JICAさんとも協力をしながら、何が課題で、どこに手を打てばいいのかと。資源も限られておる中でどう効果的に手を打っていくかということのご相談をビジネスの皆様方と意見交換、対話をしながら進めて行くということが重要であるんだろうというふうに考えつつ伺ったところでございます。

    安倍総理が昨年、ちょうど1年ほど前にブラジルに訪問した時に、このサンパウロで講演した時のテーマが「Juntos」、共に、ということであります。ブラジルと共に発展し、共に啓発し、共にリードしていくというメッセージを総理は残していかれましたけれども、それをまさに今、具体的な施策を考えて、実施していくというのが今の私どもに課せられた課題、まさにこういう時期であればこそそういう姿勢が重要なのかなと思って伺った次第でございます。

    非常に雑駁で抽象的な感想で申し訳ございませんけれども、思ったところを述べさせていただきました。どうもありがとうございます。

    司会
    どうもありがとうございました。それでは講評に移らさせていただきます。ブラジリアからお出でいただいている、在ブラジル日本国大使館参事官の小林和昭様にお願いをいたします。

     

  • 講評 小林和昭 在ブラジル日本国大使館参事官

    本日は2015年下半期業種別部会長シンポジウムに参加させていただきまして、本当にありがとうございました。今回各業種の状況を聞くことができ非常に勉強になりました。私は普段ブラジリアにいますが、ブラジリアという土地柄、そんなに今のところ失業者も出ておらず、高給取りの方は高給取りのままで、まったく不景気を感じることがなく、そういった中で仕事をしているので、こういった形でサンパウロの皆様、ビジネスに直面されている方の貴重なお話が聞けるということは非常に勉強になります。

    今回皆様の話は、私が普段ブラジリアで新聞で見ているように、厳しい話がたくさんございました。その中でも一部の業界の方、ビジネスに成功されている方もいらっしゃいました。この難しい状況の中で、「必ず復活」というかなり難しいテーマで今回シンポジウムを開催された訳ですけれども、各業種の方が「必ず復活」のためにはこうしたら良いという、自ら処方箋を考えられて、またそれを実行に移していこうとされていることをお聞きしまして、非常に心強い感じがしました。

    さて、2月のシンポジウムの際私から、ジルマ政権は対話路線に変更し、ブラジリア政府は改革の必要性を感じているので、今がまさにチャンスだということを申し上げたと思います。このスタンスというのは今も変わっておりませんが、私がここ半年間で感じたことは、改革を考えるといってもやはりブラジルテンポなんだなというところが非常に大きく感じました。

    やはり期待が大きかったので、失望も少しあったのですが、まあブラジルでやはり一番気をつけなければいけないのは、勝手に自分でその方に期待して、その期待に対して実現しなかったからといって失望するというのを自分の中でやってしまうのが一番いけないことだろうということで、これからも、ブラジルは今姿勢が変わっていますので、テンポは遅いかもしれませんけれども、その中で着実に一歩一歩、皆様が要望されているような事項、そういったものを実現させるために、大使館としても支援していきたいと思っております。

    ブラジル日本商工会議所におかれましては、AGIR(多大な投資実現に向けた行動計画)をまとめられまして、今ブラジルのブラジルコストに関する色々な改革を取り組まれておりますが、大使館としても最大限支援していきますが、このブラジル政府が変わろうとしているこの姿勢を一つ一つ積み上げて、一つ一つ実現していくという形でやっていきたいと考えております。その他、個別案件についてももし問題を感じることがあれば、大使館にも情報をいただければと思います。

    「必ず復活」の話の中で、中長期的には魅力的な市場であるとのコメントが多かったと思います。大使館としてもまさにその通りだと思っています。ブラジルは自由主義、民主主義、人権の尊重、そういったところで日本をはじめとした先進国と多くの価値観を共有する立場にございます。またブラジルの中には民族対立、宗教対立といったものは顕在化しておりませんので、そういった意味においてもブラジルというのは、今後人口も増加傾向にあるということで、必ず安定的に、持続的に成長することが見込まれていると思います。

    今回ペトロブラス汚職をはじめとして、政治分野でもかなり大きな問題となっておりますが、これも近代化のステップの一つと考えて、しっかりと見守ることが必要だと思います。これらのことについては必ずやりきるということがおそらく一番ポイントになると思いますので、そういったところを、まあ経済対策にしても汚職問題にしてもブラジルにはやりきってほしいというところを期待しているところでございます。

    最後に、今年は120周年事業であり、要人の往来も今後も発生するものと思われます。さらに年末にはルセフ大統領の訪日も計画されていると聞いており、来年にはリオ・オリンピックが開かれ、さらに要人の往来が予定されております。

    今後日本とブラジルの二国間関係という意味においては、小さな力かもしれませんが、追い風も吹いてくる時期になっておりますので、今後、ブラジルに関する問題、あとブラジルの中の改革というところに日本政府としてもそこを支援していきたいと思っております。ブラジルで活躍される日系企業、今後増えて行く皆様がこの危機を耐えて、次のステップに行くことを祈念しまして、私の講評、コメントとさせていただきます。

    司会
    小林参事官ありがとうございました。それでは最後に閉会の辞を述べさせていただきます。相原総務委員長、よろしくお願いいたします。

     

  • 閉会の辞 相原良彦 総務委員長


    (写真右側が相原総務委員長)

    本日は長い時間本当にありがとうございました。特に発表者の方々、そしてその資料を準備された部会のメンバーの方々、本当に今日はありがとうございました。

    拙い司会だったんですけども、お陰様で10分も時間が余っているということで、別段長引かす気はないんですけども。今日、自画自賛ではないんですけども、カマラの常任理事会のメンバーで今回のサブテーマ、何をしようかということで考えたんですけども、皆で決めた「必ず復活!ブラジル経済~日本企業はどう立ち向かうか」というテーマにした訳なんですけども、本当に、日本企業はどう立ち向かうかという言葉に対して各発表者の中から、先程もちょっと話が出ましたけども、例えば同業他社、多業種とも連携して用途開発、市場開拓を優先するとか、あと日本的な良さ、きめ細かさ、誠実さを継続して市場・顧客の信頼を勝ち取るとか、そういう非常に前向き、本当に復活を信じて、あるいは復活を成し遂げるぞ、というような言葉がありました。

    さらに電気電子部会でも、ブラジルというのはやはり中長期的なポテンシャルは高いんだと、それを信じてやろうとか、あと新規に取り組む事業領域もありますよとか、あと過去に比べたらまだましじゃないかと、まだまだ頑張ろうと、頑張れるぞ、へこたれるなとかですね。あとレアル安、不動産価格の下落というのは逆にピンチだけどもチャンスなんだということはまさにそうだと思いますので、そういうポジティブな思考とかですね。

    あともう一つ、まず撤退しないこと、これだと思うんですね。次の成長期を待って頑張ろうと、こういう非常に勇気づけられる言葉があったかと思いますので、ぜひ皆様方、そういう言葉とか前向きな気持ちをですね、持って帰っていただいて、今後に向けて頑張っていただいたらなということでお願いしたいと思います。

    それから今日の開催にあたりまして、色々と準備運営に協力していただいた皆様にも協力ありがとうということで締めのあいさつとしたいんですけども、まだちょっと時間がありまして、石田さんも一言おっしゃりたいと言うので、よろしくお願いします。

    石田靖博 企画戦略委員長
    皆様のご協力のおかげでタイムマネージメントうまくいきました。ありがとうございました。この後懇親会が、先程コーヒーブレイクをしました会場であるそうでございます。

    参加費は70レアルでございます。払っていらっしゃる方はもう結構でございます。まだお支払いになっていない方は受付で払っていただいて、ぜひ参加をしていただければというふうに存じます。本日はどうもありがとうございました。

    相原良彦 総務委員長
    それではこれでお開きとさせていただきます。どうもありがとうございました。

     

Pdf全プレゼンテーション

2015年上期の業種別部会長シンポジウム

テーマ: 「2014年の回顧と2015年の展望」
副題  :  再生目指すブラジル経済! どう頑張る日系ビジネス

 

日時:   2015年2月24日(火)
        13時~18時 シンポジューム(途中コーヒーブレイクが入ります)
        18時~19時 懇親会(カクテルパーティー)

会 場: ホテル マクスードプラザ

前半の司会: 相原 良彦 (あいはら よしひこ) 総務委員長           

13:00~13:05    開会挨拶     村田俊典(むらた としふみ)   会頭    
          
13:05~13:30     1金融部会    加藤清已(かとう きよみ)    部会長      (みずほ銀行)    
13:30~13:55     2コンサルタント部会    関根実(せきね みのる)    部会長    (個人会員)    
13:55~14:15     3貿易部会    寺本将人(てらもと まさひと)    副部会長    (住友商事)    
14:15~14:40     4自動車部会    近藤剛史(こんどう こうじ)    部会長    (トヨタ自動車)     
14:40~15:05     5電気電子部会 千野浩毅(ちの ひろき)    副部会長    (ソニー)    
                    
xxxxxxxxx コーヒーブレイク (15分) xxxxxxxxxxxx        

後半の司会: 寺本 将人(てらもと まさひと)企画戦略委員会 副委員長    

15:20~15:55     講演  イヴァン・ラマーリョ開発商工省 事務次官(副大臣)
                        2015年の展望/「2015年ミラノ万博」について                 

15:55~16:20     6 機械金属部会     渡辺健司(わたなべ けんじ)    部会長    (川崎重工)     
16:20~16:35     7食品部会     岡崎徹(おかざき とおる)    副部会長    (日清味の素)    
16:35~16:55     8運輸サービス部会     森田透(もりた とおる)    部会長     (山九)    
16:55~17:15     9化学品部会     高橋智(たかはし さとる)    部会長    (K-I ケミカル)    
17:15~17:30     10建設不動産部会 藤井健(ふじい たけし)    部会長    (CGCケミカルグラウト)    
17:30~17:45     11繊維部会     横山眞一(よこやま しんいち)    部会長     (オーミ)    

17:45~17:50      講評    佐野浩明(さの ひろあき)       在サンパウロ日本国首席領事    
17:50~17:55     コメント    小林和昭(こばやし かずあき)    在ブラジル日本国大使館 参事官              
17:55~18:00      閉会の辞    相原良彦 総務委員長                

 

  • 前半司会 相原良彦 総務委員長

     皆さんこんにちは。時間が来ましたので、ちょっと全員まだそろっていないようなんですけれども、始めさせてもらいたいと思います。

     本日は皆さんお忙しい中、この業種別部会長シンポジウムにご参加いただきまして誠にありがとうございます。お陰さまで約160名ぐらいの方が出席するということで、非常に嬉しく思っております。本日、前半の司会をする三菱重工の相原です。私、1月1日から総務委員長をさせてもらっていまして、総務委員長はこのシンポジウムの司会をするということになっておりまして、前司会者の上野様がおられるんですけれども、私今朝帰って来たばかりなので、ちょっとぼけていますので、色々不手際もあるかと思うんですけれども、とにかく寝ないようにするために今回上の台に上がらされているので。寺本さん、紹介しますけれども、後半の司会をしていただく住友商事の寺本さんです。

    寺本将人 企画戦略委員会副委員長

     住友商事の寺本と申します。企画戦略委員長の岡がですね、本日不在ですので、副委員長としまして私が後半の司会をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

    司会

     それでは本日のご来賓をご紹介いたします。在サンパウロ日本国首席領事の佐野浩明様にご出席いただいております。佐野様には部会発表終了後ご講評をいただく予定にしております。また、在ブラジル日本国大使館から参事官の小林和昭様にもご参加いただいております。小林参事官殿にはプログラムの最後にまたコメントをいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

     それでは始めに、このたび会頭に就任されました村田会頭よりご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

     

  • 開催挨拶 村田俊典 会頭

     ただ今紹介にあずかりました村田でございます。このたび前藤井会頭の帰任に伴いまして、新会頭に就任いたしました。これから約2年弱の任期となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

     就任にあたりましての所信表明は3月の総会の場で述べる予定にしておりますが、一言で簡単に申し上げますと、これまでのCamaraの歴史や、それから藤井会頭が築かれた素晴らしい活動を継続し、より一層会員の皆様のお役に立つ商工会議所活動にしていきたいと思っております。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

     さて本日は、恒例でもあり、会議所の大切な行事であります業種別部会長シンポジウムでございます。本日サンパウロ総領事館より佐野首席領事、大使館から小林参事官にお越しいただいております。改めまして、ご出席いただきまして御礼申し上げます。また、今回も会場一杯の聴講参加をいただきまして、誠にありがとうございます。

     昨年後半は次期大統領選挙の話題で持ち切りとなりましたが、結果としましてジルマ・ルセフ大統領が再選、第2次ジルマ政権が今年誕生しました。年明け早々からペトロブラス汚職問題など大きな変動に始まった年でもあります。景気回復に向け市場が期待するジョアキン・レヴィ財務大臣の下、経済の基礎的条件を整える調整の年であると言われております。シンポジウムの課題「再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネス」にあります通り、再生に向けてブラジル経済を安定的な成長軌道に導くことができるかが問われる今年、日本企業からの目線でブラジル市場を分析、11あります各部会の部会長に業界の動向と今年の展望を発表いただきます。

     また、コーヒーブレイクの後、イヴァン・ラマーリョ開発商工省副大臣およびAPEX、輸出振興庁のビニシオス・エストレーラ・2015年ミラノ万博担当もご到着され、特別講演をいただく予定になっておりますので、楽しみにされて下さい。ブラジル経済、および2015年ミラノ万博についてご講演をいただきますが、現役開発商工省副大臣のご解説をはさむことで、より一層意義深いシンポジウムになることは間違いありません。

    簡単にイヴァン氏の経歴を紹介申し上げますと、2005年から2010年まで開発商工省の副大臣を務められて、幾度となく大臣の代行を果たされました。その間、BNDESPar、社会経済開発銀行出資会社の経営審議会メンバー、COFIC、輸出融資保証審議会会長、Secex商業所経営エグゼクティブ審議会メンバー、伯亜および伯日を含む各国貿易監視委員コーディネーター、対中国国際交渉コーディネーターなどを歴任されました。2009年2月から、原則毎年1回ブラジルと東京の交互の開催で行われる日本ブラジル経済合同委員会および日伯貿易投資促進産業協力合同委員会のブラジル側議長を2010年まで務められ、日伯貿易投資の促進に大きく貢献されました。その後メルコスール事務局本部の事務総長を経て今年再び開発商工省副大臣に就任。豊富なご経験とその見地から鋭くブラジル経済を分析いただけるのではないかと楽しみにしております。

     最後になりますが、シンポジウムに先立ち各部会懇談会を開催、特に部会長に当たりましては発表資料をご多忙の中ご用意いただき誠にありがとうございます。長丁場となりますが、各業種を網羅した大変貴重な発表でございますので、最後までお付き合いいただければと思います。それではどうぞよろしくお願いいたします。

    司会

     村田会頭、どうもありがとうございました。今日のテーマですけれども、今ありましたけれども、「2014年の回顧と2015年の展望」、あと副題としましては「再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネス」ということでございます。各部会長ならびに部会員の皆様にはこのテーマに沿って部会懇談会を何回か開いていただいて活発な討議もされて本日の発表に備えられたというふうに思っております。各部会長、部会員の皆様のご尽力、ご協力につきまして厚く御礼申し上げます。

     本日は11の部会より発表していただきます。ほとんどの業種を網羅しておりまして、ここに参加するだけでブラジルビジネスの最前線の様子や課題が見えて来るというふうに思っております。部会長の皆さんも張り切ってスタンバイされておられます。途中コーヒーブレイクとラマ―リョ次官殿の講演をしまして、6時までということで非常に長いんですけれども、どうか最後までお聞きいただけたらと思っております。それではトップバッターである金融部会の加藤様から発表をお願いします。よろしくお願いします。

  • 金融部会   加藤清巳 部会長

    Pdf金融部会

     皆さんこんにちは、金融部会、みずほ銀行の加藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。先頭を切りましてですね、金融部会より2014年の回顧、15年の展望ということで、マクロ経済、銀行業界、保険業界について発表させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

      それでは早速、最初のスライドをお願いします。2014年を振り返ってみますと、景気の停滞と高インフレが同時進行した一年でした。過去数年ですね、ルセフ政権は低所得層向けの所得再分配政策、こういったものを重視して、手厚い社会保障政策で個人の購買力を高め、個人消費によって経済成長を牽引すると、そういった形のモデルで運営してきたわけですけれども、どうやらそのモデルが機能しなくってきているといった年なのかなと思います。また、史上まれに見る結果となりました、大接戦となりました大統領選挙ですけれども、これを経済の観点から評価すればルセフ政権の経済・財政運営について修正を求める声が国民の半数にも達したと、そういう厳しい審判だったのかなという評価ができるのかなというふうに思っています。

    下の方にちょっと小文字でですね、総括を経済項目について簡単にまとめていますので、赤字のところを読んでいただければいいと思いますけれども、GDP、これはマイナス成長に終わりました。インフレは政府のターゲット上限でずっと高止まりと。このインフレを抑えんとして中銀は金融の引き締めを実施し、それゆえに景気回復が一層遠いものとなりました。

     為替は経常収支や政府財政の悪化、あるいは資源価格の暴落を受けてレアル安で推移し、政府の財政は選挙前の拡張的な政府支出もあり、プライマリーバランスは赤字と。不思議なことに、景気の停滞にもかかわらず失業率だけは歴史的な低水準を維持しましたが、国の経常収支も貿易赤字を主因として大幅な赤字になったと。まああまり良いことはなかった1年だったなという回顧になるかと思います。次お願いします。

     若干重複しますけれども、データを過去数年並べて追ってみたいと思います。

     1番目ですけれども、GDPの成長率、まだ確定値ではありませんけれども、ここ数年低成長傾向だったんですが、とうとうマイナス成長に終わるのではないかという見込みになっています。

     いくつか下にいきまして、貿易収支、2000年以降初となる赤字となりました。主な輸出である中国、あるいはアルゼンチンといったところの景気減速、こういった影響もあり、主要輸出産品である鉄鉱石、大豆、自動車等々の輸出が落ち込んだ結果です。また貿易収支の赤字により、経常収支の赤字も909億ドルと非常に大きな、過去最悪の水準に終わりました。

     プライマリーバランス、いわゆる基礎的財政収支ですが、こちらも大統領選挙前の減税や公共事業の実施等により一段と悪化し、赤字に転落しました。

     政策目標金利SELICですけれども、景気低迷にもかかわらずインフレ圧力が強いため、追加利上げを余儀なくされ、2014年末時点では11.75、今年に入っても追加利上げを実施し、12.25%とそういう状況にあります。次お願いします。

     いくつか個別に見ていきたいと思います。まずGDPです。棒グラフ、四半期ごとのGDP、前年同期比の伸びになりますけれども、2014年は2四半期連続でマイナスを記録し、通期でも、いましがたお話した通りマイナス0.1%に終わるという見込みになっています。

     折れ線のグラフが工業生産で、右軸で読みますけれども、これも2014年の6月、9月と前年比マイナス成長となっております。企業マインド、消費者マインド悪化に歯止めがかからず、また販売不振で生産調整も進んでいる、例えば自動車等の製造業の低迷が顕著であり、2013年のプラス成長からマイナス成長に落ち込んだということです。なお、期待されたサッカーのワールドカップですが、経済効果は限定的で、開催期間中の営業時間停止等むしろ生産・販売活動の下押し要因になったことは皆さんご記憶に新しいかと思います。次お願いします。

     小売売上げで、個人消費の動向ですけれども、これも鈍化しているのが顕著に表れています。一つは、まあいくつもありますけれども、食料インフレ等の物価上昇、これによる実質購買能力の低下と。それからもうひとつは、家計における借入負担の上昇があるのではないか等々も言われております。

      ということで、借入負担の上昇というのが次のスライドで、お願いします。折れ線のグラフ、これが債務比率、棒グラフが返済比率になりますけれども、2014年、世帯年収の実に45.8%相当の借金を抱えていると。あるいは、棒グラフにあります通り、世帯月収入の20%超がですね、借入金の元利金の返済に回っている状況。したがってクレジットによる購買というのが難しくなりつつある状況が見て取れるのかなというふうに思います。次お願いします。

     続いてインフレです。いくつか線がありますけれども、代表的なインフレ指数、拡大消費者物価指数は赤の太線になります。点線が政府のターゲットです。ご覧の通りですね、中銀目標圏の上限付近で推移して、9月には6.75%と3年ぶりの高い伸びを記録しています。干ばつ、猛暑の影響で飲食料品価格が高騰したほか、例えば電力料金の値上げ等もインフレ率の押し上げ要因になったかと思います。なお内訳を見るとですね、一番上の紫、これはサービスセクターを示す線なんですが、例年ずーっと高い数値で推移していまして、2014年も8.3%で終えました。構造的に物価上昇圧力の大きな要因がサービスセクターにあることがこれでも分かるかと思います。次お願いします。

     続いて金利および為替になります。景気低迷にもかかわらずですね、インフレの圧力が強いため、中銀は金融緩和に動くことができないどころかですね、逆に追加利上げを余儀なくされましたと。赤の折れ線、これが政策金利ですけれども、5月から9月までは金利をすえ置き、様子見の構えを見せたものの、申し上げた通り10月には0.25%、12月に0.5%と利上げを実施して高い水準で終わっているということです。

     一方為替の方もですね、強い下落の圧力にさらされておりまして、年央から一気にレアル安の方向に動きました。12月16日には対ドルで2.74まで下落しました。要因としては、低調な貿易収支、あるいはこれに起因する経常赤字の拡大と、あるいは財政悪化に伴うブラジル格付けの見通しの引き下げ、米国の利上げの観測、原油をはじめとする資源価格の下落といった外部環境を巡る不透明感等々が複雑にかみ合っているかとは思いますけれども。大きくレアル安で振れて、皆さんご存知の通り今日現在にいたってもこの傾向は変わっていないということです。次お願いします。

     ブラジルの財政収支。大統領選挙前の減税、公共事業の実施等により一段と悪化しておりまして、いわゆるプライマリー収支ですけれども、政府目標、GDP対比1.9%の黒字だったわけですけれども、黒字どころか0.6%の赤字に転落しましたと。ルセフ政権の財政運営への信任、これが大きく損なわれてですね、ブラジルの格付けに大きな影を落とすことになっているという状況にあるのかと思います。次お願いします。

     その政府財政を圧迫している要因のひとつが公的金融機関を通じた貸出です。色のついた折れ線グラフ、お分かりの通りですね、景気対策のためBNDESを中心とする公的金融機関のクレジット、ここ数年ずっと増大傾向にあります。市場金利を大きく下回るレートでの貸出、これを政策的に増大させてきていますので、12月には政府債務が対GDP比63%まで来たということです。

     このスライドはですね、ブラジルの格付け推移です。政府財政の一層の悪化見通しや政府債務の上昇等を受けて、格付け機関はソブリン格付け、ブラジルの格付けの見直しに動いています。3月、S&Pがブラジルの長期格付けを投資適格の最低水準、BBBマイナスへと引き下げました。ムーディーズについては、投資適格下から2番目のBaa2というところにとりあえずは維持しておりますものの、9月にはその見通しを安定的から弱含みに引き下げておりまして、ブラジルの財政運営、これまでになくですね、市場の厳しい目にさらされているという状況かなと思います。

     続いて失業率になりますが、民間の需要が伸びていない中で公的セクターが下支えしているとも言われておりまして、まあ低水準で推移しております。12月現在4.8%、これは水準としては歴史的な低水準でありまして、当然ルセフ政権はこれを政権の実績として喧伝しております。ただですね、若干補足しますと、これだけ経済が低迷しているのに失業率が低下し続けているという状況は、まあ裏を返せばですね、失業給付やあるいは様々な年金といった社会保障制度がどれほど厚いかということで、そのためにそもそも労働参加率が低下しているという側面があるのは見逃せないのかなというふうに思っています。次お願いします。

     これはブラジルの外準です。外貨準備高。2012年以降ほぼ同じ水準を維持しておりまして、それまでに見られたような大きな増加傾向はありませんが、引続き3700億ドルという高い水準にあり、これが、レアル安は今後見込まれますけれども、まあ市場ではレアル安に対する大きなバッファーとして見られておりまして、少なくとも現在のところ大きな資金流出等々へとつながるリスクはそれほど高くないというふうに見られている一つの理由であります。

     ここまでのところがですね、2014年をざっと駆け足で振り返ってきたということでございまして、2015年の展望になりますが。大接戦の大統領選挙、申し上げた通り政策の軌道修正を求める圧力が非常に強かったと。じゃあ第二次政権でどうするんだと、その方向性を占う意味で大きく市場の注目を集めたのが新経済スタッフの選任でした。まず顔ぶれをですね、簡単に見ていきたいと思います。

     写真と経歴が簡単にありますので後でお手元の資料でご参考いただきたいんですけれども、左からネルソン・バルボザ企画予算管理大臣。ジョアキン・レヴィ財務大臣、新任です。アレシャンドレ・トンビニ中銀総裁は留任されました。

     特にこの中で注目されたのはジョアキン・レヴィ氏の財務大臣への起用です。レヴィ氏は財政規律の重視派として知られたエコノミストでございまして、2003年から06年まで財務省の国庫局長として政府債務の削減に実際に大きな実績を上げられた方です。またその後もですね、リオデジャネイロ州の財務長官に就任されて、そこでも歳出削減に大ナタを振るい、リオデジャネイロ州の投資適格格付けに大きく貢献されたという貢献をされています。市場では英語でシザーハンズというらしいんですけれども、はさみの手という異名を持っていらっしゃって、そのはさみの手で大ナタを振るって支出を削減するという実績を持っていらっしゃる方です。同様にですね、バルボザ企画予算管理大臣、トンビニ中銀総裁についても市場での信任、それから期待は非常に高いものが寄せられているという状況です。

     新スタッフがどういった経済政策を打ち出してくるかということで、まだ2ヶ月ですけれども、かなり鮮明に方向性は見えてきていますので、いくつか振り返ってみたいと思います。

     レヴィ新財務大臣ですけれども、就任後の記者会見で、プライマリー収支の黒字目標を2015年はGDP対比で1.2%、2016年以降はは2%以上に置くと。それからもう一つは、財政運営、これを透明性を高めるんだと。ということを早速方針として発表されて、この2ヶ月間で、ここにいくつか置いていますけれども、様々な施策を打ち出しています。

     歳入の増加に向けた措置として、各種の新税の導入や税率の引き上げ、あるいは減税措置の終了と。歳出抑制に向けた措置としては公共事業の削減や失業保険給付等の見直しと。政府債務の抑制に向けた措置として政府系金融機関を通じた貸出を抑制する方策、等々の様々な方策を目白押しで新政権から出されています。従ってですね、2015年は第一次ルセフ政権の様々な政策の軌道修正を図る方向に政権は、とりあえず今のところは踏み出していると。その調整の年かということが言えるかと思います。もう一つ、さらに言えば、景気の後退局面での緊縮財政を打っているわけですので、短期的には国民に生活の痛みを強いることになること。それから、政権内にはですね、PT政権が実現した様々な社会的な成果をこれを当然維持したいと、そういういわゆる抵抗勢力も存在するでしょうから、そういうことを勘案するとですね、新経済スタッフによる政策の成否を占うキーとしては、どれだけ政策運営の自由度が確保されるかということなのではないかなというふうに思っております。次お願いします。

     ここからは、金融部会所属の各銀行による2015年の予測をですね、メインシナリオとリスクシナリオに分けてまとめてみました。各行が独自に想定するシナリオに基づく予想を集約したものですので、金融部会の統一見解というわけではございません。各行見通しの最大公約数的な見解というふうにとらえていただければよろしいかと思います。また、集計は1月末現在ですので、2月以降も色々動きがありますけれども、2月以降の動きは材料として織り込まれておりませんのでご容赦ください。

     メインシナリオの予想としては、GDPの成長率はマイナス0.4からプラス0.5と。インフレ率が6.5から7%。為替レートがドル2.65から2.85と。政策目標金利が12.5から12.75というところが最大公約数で出ております。ここにコメントがありますけれども、高水準のインフレ・金利、これが消費マインドを冷やす一方で、公共支出の抑制、IPI減税廃止等により鉱工業生産も伸び悩み、景気の低迷は継続すると。14年に引き続きほぼゼロ成長に終わると見ています。

     インフレについては、新政権による増税や水不足による公共料金の引き上げ等もあり、、ターゲット上限6.5%を超えて高止まり。為替については、レアル安要因として商品価格の下落や米国の利上げの開始と。レアル高要因としては、レヴィ財務相が主導する緊縮財政への高評価や、米国利上げ観測の後退等があげられ、まあ比較的小幅の動きという予想になっていますが、今日現在もうすでに2.85に近づいてきているのは皆さんご存知だと思います。なおですね、財政面の改善が顕著になれば、これが呼び水となり経済への信頼が戻り、投資の回復の兆しが現れるかもしれないというコメントをされた会員もいらっしゃいました。

     続きましてリスクシナリオですが、GDPの成長率についてはマイナス2%から良くてゼロと。インフレは6.2から7.1。為替レートは3を超える水準と。政策目標金利は一層上がって13から13.5%という予想が出ております。なお金利については10%という予想もありますけれども、高インフレによりさらなる金融引締めを予想する向きが多かった一方で、逆に大幅な消費落ち込みによりインフレも低下する局面になれば、まあ金利も下がってくるという予測もありましたので、ここに載せてあります。

     リスクシナリオでは、多くの部会員の方からですね、レヴィ財務相とルセフ大統領の関係悪化により財政改善策の実現性が後退する事態が懸念事象として指摘されています。このシナリオでは、ブラジル国債の格下げのリスクがより高まり、それによってレアルも1ドル3レアルを突き抜けて売られる展開でしょうと。加えてペトロブラス問題の泥沼化、ことによると長期化、政治問題化というのもあるかもしれません。反政府デモ活発化等の社会不安もファクターとして見逃せないと。

     先程も申し上げましたけれども、やはり新経済スタッフにどれだけ政策運営の自由度が任されるかということだとすればですね、ちょっとここは赤字で、これは私の方で付け加えましたが、例えば予兆、シグナルとしては政権支持率の低下とか、失業率の大幅反転上昇といったようなサインがあれば、これはそういった危険シグナルとして注意しなければいけないのではないかなと思う次第でございます。

     ここまでが2014年の回顧と2015年の展望ということで、マクロ経済についての発表でございました。続きまして2014年の銀行業界について、これはあまり面白いパートではありませんので、簡単に説明します。

     貸出残高ですけれども、一番下、合計の欄をご覧いただくとお分かりの通りですね、伸び率はあるものの、過去に比べるとずっと低い伸び率に終わっておりますと。個人、住宅、農業と各セクター別で伸び率が前年よりずっと落ちているわけですが、唯一前年と同じ伸び率を確保しているのがBNDESからの法人向け貸出ということで、これが政府債務増加の一要因になっていることはすでに申し上げた通りです。伸び率に鈍化は見られますけれども、貸出残高は増加を続けておりまして、対GDP比で見ると59%まで来ておりますと。次お願いします。ただ、この59%という数字が各国の基準に照らして突出して高いかというと、まあそれほど高くもないというのが次のスライドになります。

     次のグラフは不良債権比率を示しています。右上が個人向けの貸出の不良債権、左が法人向け、下が外国銀行、ブラジルの銀行、公的銀行ごとに分けています。個人向けについては全体に下がってきていますと。法人向けについても、まあそれほど大きく増加したという感じには見えませんけれども、若干気になるのが、一番下のグラフでPublicと書いてある公的金融機関のところ。最後の方を見るとちょっと延滞率が上がってきているのかなというのは若干気になる程度かなというふうに思っています。

     ただですね、ブラジルについては、全体的な不良債権の比率のその水準、あるいは銀行に課せられた自己資本比率の高さ等を考えると、銀行部門の健全性というのはブラジルの経済の強さとして常々指摘されている通りでありまして、少なくとも金融問題によって、不良債権で銀行がやられて、それが経済が混迷してしまうリスクというのは、例えばヨーロッパのような事態ですけれども、あまりないというふうに一般的には言われております。次お願いします。

     ここからは保険業界についてご説明させていただきます。ブラジルの保険監督庁であるSUSEP統計データによりますと、直近の2014年1月から11月の前年同期比での保険料収入の伸び率、前年は18.4%だったんですが、2014年は7.8%に大きく落ち込んでおりまして、経済成長が鈍化する中で保険のマーケットの成長も鈍化してきているという状況です。次お願いします。

     損害率、やはりSUSEPのデータになりますが、全般的な傾向としては損害率は悪化傾向にありまして、特に企業を対象とした火災新種保険・運送保険については損害率が7%前後悪化していますと。当地の保険業界は保険会社数が多いことも相まって、競争が激しく、保険事業の低い収益性を運用収益によりカバーしているのが実態だそうです。

     続きまして、今後の保険市場の将来性についてご説明させていただきますが、ブラジル経済の不透明さ、自動車新車販売の落ち込み等、個人消費の停滞等により、保険業界を巡る環境の先行きも厳しくなっておりますと。しかしながら大手再保険のSwiss Re社の調査によりますと、2013年のデータですが、ブラジル国民一人当たりの保険料水準は日米の約10分の1程度にすぎないということでありまして、中長期的には貧困層の富裕化等により今後も一定の成長が見込まれる、そういうマーケットであるということです。

     以上、金融部会からの発表でございました。どうもありがとうございました。

    司会

     どうもありがとうございました。それでは質問、もしありましたら、時間ちょっと押していますけれども。

    質問者

     2014年の貸出残高水準、非常に、10%下がっていると。で、次のページで貸出残高対GDP比率が上がっていると。これは。

    回答

     これはマイナス10%ということではなくてですね、前年はその前の年に比べて15%伸びたのが、2014年は10%の伸びだったので、増加率が前年に比べると落ちているという、そういう矢印なんです。その前の年は15%でしたけれど、10%の伸びだったと、そういうことです。

    質問者

     増加率は減っていますけれど、全体には増加しているということですか。分かりました。

    司会

     はい、どうもありがとうございました。では引き続きまして、2番バッターとしてコンサルタント部会の方から関根様にご発表をお願いいたします。

  • コンサルタント部会  関根実 部会長

    Pdfコンサルタント部会

     コンサルタント部会から昨年の回顧、今年の展望を報告させていただきます。コンサルタント部会は色々、コンサルティング、アドバイザリー業務の人たちの集まりなんですけれども、総じて昨年は低調でございました。今年もあまり期待できないんですけれども、まず直接投資のアドバイザリー業務。日本からの新規単独投資案件はほとんどが中断、塩漬けになりました。すでに取りやめたところもございます。

     M&A案件につきましては、これはゆっくりではありますけれども継続しております。まあブラジルの場合、特にANVISAとか医療関係の認可が取得が時間がかかるところについては、単独で進出するよりも既存のブラジル企業をM&Aで買い取ってしまうという動きが継続しております。

     それから監査法人が受けております税務相談、税務アドバイザリー、これは増加傾向にございます。日本からの進出企業もブラジルの不合理な税金を黙って払っているというばかりでなく、まあ訴訟も辞さずに戦うところは戦うという動きがございまので、皆様も税務の問題でお困りでしたら監査法人にご相談ください。

     次にリクルート業務ですけれども、まあ昨年の景気後退からさすがに増員する企業は減りまして、リクルート業務は人の入れ替えという今仕事になってきています。すなわち給与の高い人を切って、より安い人に入れ替えるというところで業務を継続しております。

     それから証券アドバイザリー業務。これは昨年エイケ・バチスタさんのOGXが破たんした、それからペトロブラスの汚職政治問題化ということで、ブラジルの証券市場は信用失墜しまして、その回復を待っているところでございます。

     今年の世界経済の見通し、年初にIMFが発表いたしましたんですけれども、この中でブラジルがどこの位置にあるかということを見てみたいと思います。

     IMF、世銀の見通しは毎年年初に出ますけれども、大概外れます。かなり希望的な数字が出てきていまして、これをむしろ下回るのが実態と見ておいた方がいいかと思います。全世界では3.5%の成長。まあアメリカの一人勝ちという感じで、3.6%。ユーロ圏が1.2%。日本はわずかに0.6%の予想です。

     エマージング・カントリーについては、合計で4.3%。まあ引き続き中国が、7%を割っておりますけれども、6.8%でトップです。続いてインドが急速に、昨年モディ政権に代わってから経済成長に力を入れておりまして、6.3%を見込んでいます。BRICSの中では南アが2.1%、ブラジルが0.3%。これも最近の当地の市場のエコノミストの見方はマイナス

    マイナス0.5%程度が主力になってきていまして、おそらく今年も昨年に続いて若干のマイナス成長が見込まれます。ロシアはウクライナ問題を抱えていますけれども、マイナス1.4%と。かつてBRICS、もはや死語になりましたけれども、まあ中国がダントツでそれにブラジルが追随していたんですけれども、ブラジルの第2番手の位置をインドに譲ったという現状でございます。

     改めて昔習った経済学で、GDPの計算、経済成長のフォーミュラですけれども、消費+投資+(輸出-輸入)、これでGDPの計算を各国やっているわけですけれども、消費につきましては雇用問題が出てきております。年初から、フォルクスワーゲン大量解雇に対する労働者のストライキというような雇用問題が発生している。加えてインフレ高進、金利が高騰ということで、どう見ても今年は消費は伸びそうもない。

     投資につきましても、ブラジルは元々資本がございませんので、外国からの投資に依存しております。アメリカが年央にも金利を上げるであろうと、引き締めに走りまして、まあ全世界的な景気停滞からブラジルにそうイージー・マネーは回って来ないと。一方公共投資ですけれども、レヴィ新財務大臣が緊縮財政を採り始めましたので、公共投資も望めないということで、投資も期待できない。

     最後に貿易部門なんですけれども、輸出はご存知の通り、ブラジルの輸出品目は鉄鉱石、大豆、コーヒー等、まあ一次産品、コモディティで、全世界的に原油安につられて単価が下がっているわけですね。単価が下がって数量が減るということで貿易収支も大幅な改善は見込めない。

     まあこれらを見ますと、どう見ても経済成長する要素が今年は望めないわけですね。従いまして、数年、去年マイナス、今年もマイナス、おそらく来年もマイナスあるいはゼロと。3年間ぐらいは調整、景気停滞と見ておいた方がよろしいかと思います。

     経済成長に必要な条件として、資本、労働力、生産性向上が挙げられますけれども、資本は専ら海外依存。労働力はまだブラジルありますけれども、労働生産性の問題は引き続きブラジルは抱えております。昨年の4月に英国の経済雑誌のエコノミストが、ブラジルの労働生産性は過去50年間全然上がっていないと。アジアの国の中国、韓国等生産性が急速に向上したところに対して、ブラジルの生産性は全く上がっていないと、大変厳しい分析が行われております。

     それから技術革新。これもブラジル独自の技術というのはあまりないので、経済成長力、よほど、まあインドのモディ政権のように本腰を入れてやらないと、このまま底這いの経済成長が続くという感じがします。

     低成長が続くとはいえ、我々何もしないわけにはいかないので、今後何をやったらいいかという一つのヒントをご報告したいと思うんですけれども、コンサルタント部会の

    中のメンバーのヤコンの山下さんが、今日皆さんにお配りしているように、ブラジルが色んな品目でトップ10に入っているリストをお配りしています。その中でいくつか代表的なものをご紹介したいと思います。

     まず鉱産物ですけれども、鉄鉱石の生産、ブラジルは中国、オーストラリアに続いて3番目。輸出はオーストラリアに次いで2番です。農牧産品につきましては、穀物生産、これは中国、アメリカ、インドに次いで4番目。砂糖きび・砂糖はナンバー1です。大豆、アメリカに次いで2番。コーヒー豆の生産・輸出、ご存知の通り世界一です。コーヒーの国内消費も伸びてきておりまして、アメリカに次いで2番。カカオビーン、これはアフリカの諸国が上に来まして、6番目におります。オレンジ生産はもちろん1位。綿花は5番目です。

     とうもろこし、アメリカ、中国に次いで3番目。生産ですね。輸出はアメリカ、アルゼンチンに次いで3番目。葉煙草の生産は中国に次いで2位です。牛肉の生産、アメリカに次いで2位。牛肉の輸出はオーストラリアに次いで2位です。

     牛原皮、世界一になりました。かつてはアメリカのシカゴが牛原皮の市場の中心だったんですけれども、今やサンパウロ市場が世界の中心になっております。牛乳は4番目。アメリカ、インド、ロシアに次いでおります。鶏肉はアメリカに次いで2番。豚肉は4番。アメリカ、ドイツ、スペインに次いでおります。

     次に工業製品ですけれども、まず食品関係。砂糖は生産・輸出ともナンバー1。オレンジジュースの生産・輸出、これもナンバー1。酪農製品でバター、10位です。これはヨーロッパ勢が強いです。マーガリンはロシアに次いで2番。チーズは6番です。

     ビールが年々伸びていまして、今やナンバー3。アメリカ、中国に次いでおります。蒸留酒の生産。ブラジルの場合ピンガですけれども、日本の焼酎に続いて2番目です。ノンアルコールのソフトドリンク、これも日本に次いで2番。ミネラルウォーターが4番です。エタノール生産はアメリカに次いで2番。

     素材関係ですと、粗鋼の生産は世界で9位。パルプはアメリカ、カナダ、日本に次いで4位です。セメント生産は5位。中国、インド、アメリカ、イランに次いでおります。

     輸送機・機械関係。ご存知の通り自動車は販売ではナンバー4、生産ではナンバー7ですね。防弾車の加工、これはもちろん世界一です。二輪車はアジアの方が上に来まして、中国、インド、インドネシア、タイに次いで5位です。航空機製造、エンブラエルですけれども、今やボーイング、エアバス、ボンバルディアに次いで世界で4番目の航空機製造会社になりました。

     ヘリコプターの民間の運航。これ毎日サンパウロ飛んでいますけれども、世界一だそうです。2番目がニューヨーク、3位が東京、リオが4位、ベロ(BH)がロンドンに次いで

    次いで6位ということで、ヘリコプタータクシーと言いますか、忙しく飛んでいるのはブラジルは断トツです。

     家電関係。冷蔵庫の生産、中国、インドに次いで3位。洗濯機、中国に次いで2位と。まあ人口の多い国が当然生産量が増えるわけですけれども。ルームエアコン、これもブラジルは伸びてきておりまして、中国、日本、アメリカに次いで4位です。

     衣料品、世界で5番目。化粧品は日本を最近抜きまして、アメリカに次いで2番目の市場です。

     医療関係。糖尿病の患者が世界で4番目に多いと。これも人口に比例しまして中国、インド、アメリカに次いでおります。美容整形、アメリカに次いで2番です。

     IT関係。携帯電話契約数、世界で6番です。インターネットのユーザーの数、これは中国、アメリカ、日本、インドに次いで5番目。Facebookユーザーの数、これは世界でアメリカに次いで2番。まあ昨年のバス代、地下鉄の料金の値上げの時に一般市民のデモがありましたけれども、Facebookで自然発生的に人が集まったと言われております。ゲームの販売、これはラテンアメリカの中ではもちろん1番です。

     金融関係ですけれども、中央銀行が世界中の市場で最もドルを売っているのがブラジル中銀だそうです。まあ現在のレアルも放っておけば1ドル3レアルになると言われていますけれども、中銀が介入して何とかレアルを強含みで保っていると。国債の利回り。先週の18日の10年物の利回りですけれども、ブラジルが12.6%。中国3.4、インド7.7、南アが7.5、経済制裁を受けているロシアが12.1、トルコ7.7、ギリシャが、今問題になっていますけれども、10.2と。言わば、戦争状態のロシアとか、経済破綻しているギリシャよりも高い金利を払っているということで、まあ先程のドル売りとか、国債の利回りからして、ブラジルのマーケットで一番今儲かる商売というのはおそらく金融だと思います。銀行関係の方は今年はほぼ左うちわで行けるんじゃないかと思っております。

     淡水資源、その他の部分ですけれども、世界中で一番ブラジルは水が多いと、まあアマゾン川のおかげなんですけれども、それなのに水不足と。サンパウロ、リオデジャネイロ水不足です。ブラジルの場合、水の再利用、汚水の再利用というのがまだできておりませんで、日本はアジアとか中東で経験があります。ドイツもこの分野は熱心で、先月こちらにミッションが、ベルリンの水道会社の方が来られていましたけれども、水の再利用のセミナーも開催を予定されております。日本の企業もブラジルの水道、水再利用、ここら辺にビジネスチャンスがあるのではないかと思います。

     最後に、雷の発生数。これもブラジル世界一だそうです。かつ大型で強烈な雷ということで、雷とビジネス、どうやって結びつけるかと。知恵の働かせどころかと思いますけども。

    以上、列記いたしましたのは、ブラジルの経済の底力、実力というものは非常に大きいということで、まあ現在問題になっておりますギリシャのように資源も市場も小さいというところと違って、長期的にこういう資源に恵まれたところでビジネスチャンスはまだまだあるのではないかと。ただし、ブラジルの先程列記したような品目はかなりもう開発されて、相当大きな資本を持って来ないと新規参入難しいと思います。従いまして、逆手にですね、ブラジルにまだないもの、例えば日本の最近盛んになってきております病人看護用のロボットとかですね、ブラジルにまだ出ていないようなもの、そういうニッチな市場にも目を向けて、大きい方を取るかニッチの方を取るかということになるかと思いますけれども、まあ今後2、3年続くと予想されます景気後退、何とか生き延びていけますように、私どもコンサルタント部会としましても会員の皆様の色々ご相談に乗らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

     以上でございます。ありがとうございました。

    司会

     どうもありがとうございました。それでは引き続きご質問があればお願いいたします。ないようでしたら、3番目、貿易部会の方よろしくお願いいたします。

  • 貿易部会  寺本将人 副部会長

    Pdf貿易部会

     皆さんこんにちは。本日は貿易部会長の岡が不在のためですね、副部会長としまして私寺本が発表させていただきます。ブラジル住友商事で経営企画を担当しております。今日はどうぞよろしくお願いします。

     では早速ですけれども、この2014年通期のブラジルの貿易動向についてご説明したいと思います。色々数字が多くてですね、ちょっとお聞きづらいプレゼンかもしれませんけれども、個別に商品ごと見て行くと色々意外な事実もございますので、お付き合いいただければと思います。

     まずこのグラフは半期ごとの貿易額の推移を表示しております。左の紺の棒グラフが輸出額、右の水色の棒グラフが輸入額で、黄色の折れ線グラフが貿易収支を表しております。この横の赤線は貿易収支の黒字ラインとなっています。

     ブラジルはですね、これまでご存知のように鉄鉱石や穀物などの一次産品の輸出の好調が続きましたので、2001年以来貿易収支は常に黒字をキープしてきた訳なんですけれども、2013年になりましてから急激に悪化しております。ただ2013年はですね、上期は赤字だったんですけれども、下期で若干持ち直しがありましたために、通期ではかろうじて23億ドルの黒字になっております。

     しかし一方でですね、2014年になりますと上期ではマイナス25億ドル、下期ではマイナス14億ドルの赤字となってしまいまして、通期でマイナス39億ドルの赤字となってしまいました。通期で貿易収支が赤字になりましたのは2000年以来14年ぶりとなっています。

     ただですね、為替の変動や価格の変動がございますので、貿易額の増減が必ずしも貿易量の増減ではない場合がございますので、ご留意いただきたいと思います。ご参考までにですね、2013年と2014年の期中の平均レートを表の中に記載しております。ちなみに2013年は平均で見ますと1ドルが2.17レアル。2014年は1ドル2.35レアルと約9%のレアル安になっております。ではこれから2013年と対比しながら詳細を見て行きたいと思います。

     ちょっとこれは数字の多いシートになっておりますけれども、まずは輸出動向につきまして商品別にご説明いたしたいと思います。

     それぞれ2014年の金額の増減率と数量の方の増減率をそれぞれ黒枠に書いておりますので、黒い枠内をご覧ください。一次産品は金額ベースで前年比で3.1%減。半製品になりますと4.8%減、工業製品は13.7%減という結果になっております。増減幅が大きい商品について簡単にご説明いたします。

     この赤枠で囲っております一番上の、鉄鉱石なんですけれども、鉄鉱石につきましては市場価格の下落が大きく影響しております。実はこの輸出の数量の方を見ていただきますと、輸出量自体は2013年の3.3億トンから、14年になりますと3.44億トンへですね、4.5%ほど数量自体は増加しております。ただ価格がですね、2013年の平均のトン当たり99米ドルから、2014年になりますとトン当たり75ドルに下落してしまいましたので、金額ベースでは前年比で20.5%と大きな下落になっておるものです。

     2番目のですね、この赤で囲っている原油なんですけれども、一部配布させていただいた資料に記載ミスがございますので、このスクリーンかもしくは差し替え版をご覧いただきたいんですけれども、原油もですね、市場価格は大きく下落しておりますけれども、ブラジルからの輸出はですね、金額ベースでは26.2%の増加となっております。内訳を見ますと、実は中国向けと米国向けではですね、原油の輸出というのは減少いたしましたけれども、インド向けでプラスの7.5億ドル、チリ向けでは10億ドル、ウルグアイ向けで9.4億ドルなどの増加がございまして、合計で34億ドル増加しております。実は原油の輸出量だけ見ますと36.3%の増加となっております。

     上から三つ目の粗糖なんですけれども、金額ベースで18.7%、数量ベースでは10.5%減少しております。原因といたしましては、近年ですね、世界的に粗糖の供給過剰状態が続いておりまして、市場価格自体が継続して下落している中で、ブラジルに関しましては干ばつの影響により砂糖キビの生産量が減少したこと。およびブラジルの国内でエタノールの需要の高まりが予想されたために、エタノールの生産に回されてしまう割合が増えたということで砂糖の生産量が減少したということが挙げられます。

     このページはですね、先程の輸出の中からブラジル関連の輸出の約半分を占めます一次産品を取りだしてその内訳をグラフにしております。先程ご説明いたしました通り、一次産品全体では2013年から2014年にかけまして金額ベースではマイナス34億6700万ドルで、率にして3.1%減少しておりますけれども、中身を見ますと鉄鉱石の輸出額は減少し、原油の輸出額は増加していることが確認いただけます。

     続きまして、ブラジルからの輸出相手先を見ていきたいと思います。輸出相手先の上位10ヶ国は表の通りですけれども、輸出相手国の第1位は中国で、2009年以降その地位を継続しております。

     中国向けの輸出品目はブラジルで最大産品となります大豆と鉄鉱石が7割強を占めております。ただしですね、2014年は中国向けの大豆、鉄鉱石、原油、粗糖、それぞれの輸出額がですね、いずれも減少しておりますため、前年比では11.8%減と大幅な減少となっております。

     2位のアメリカなんですけれども、航空機、鉄鋼半製品、コーヒー豆の輸出が増加したことによりまして、前年比で9.6%のプラスになっております。3位のアルゼンチン向けなんですけれども、乗用車・自動車関連部品が減少しまして、27.2%のマイナスとなっております。

     日本はですね、この表の上から5番目なんですけれども、日本については後ほどご説明いたします。

     それでこの右側のパイグラフなんですけれども、これは輸出先の地域別の構成比を表しております。輸出先の地域にあまり偏りがなく、バランスがとれていることがお分かりいただけるかと思います。

     続いてブラジルへの輸入を見て行きたいと思います。これもですね、金額と数量を分けておりますので、この黒い枠をご覧いただきたいと思います。輸入に関しましては、一次産品は金額ベースで前年比5.5%のマイナス。半製品は4.5%のマイナス。工業製品は4.3%のマイナスとなっております。ところがですね、この右側の数量の方の黒い枠をご覧いただきますと、それぞれですね、3.2%、12.1%、2.9%といずれも増加をしております。つまり価格の下落や、冒頭に申し上げましたレアル安などの影響によりまして、輸入量が増えてもドルベースでは減少するという結果になっているものです。

     では金額ベースで10%以上の変動があった商品を見て行きたいと思います。赤で囲みました一番上の塩化カリウムなんですが、塩化カリウムはご存知のように原料、肥料の原料として用いられるものです。ブラジルでの農業生産が拡大していることを背景にですね、数量ベースでは11.3%増加しております。しかし市場価格が著しく下落したために、金額ベースでは前年比12.9%減と大きく落ち込んでおります。

     工業製品では、この赤枠で囲っております乗用車、自動車・トラクター部品がそれぞれ15.5%、13.9%下落しております。これは取扱量そのものが同程度減少したことによるものです。

     続きましてブラジルへの輸入の相手国を見て行きたいと思います。国別に見ますと、輸入も中国がトップになっております。2011年までは米国が1位でしたけれども、2012年以降は中国がトップをキープしております。

     中国からの輸入額は前年比でほぼ同程度となっております。輸入品目は通信部品、半導体、機械部品等が多くを占めております。

     3位のアルゼンチンですけれども、これも乗用車、自動車関連部品の輸入が減少して全体で14%の減となっております。

     6位の韓国からの輸入ですけれども、これはですね、電子部品は増加する一方で、やはり乗用車、自動車関連部品が減少しております。

     日本はこの輸入の表で見ますと上から9番目に位置しております。日本につきましては後ほどご説明させていただきます。

     また右側のパイグラフになりますけれども、これは地域別の構成比ですけれども、輸出と同様に輸入につきましてもブラジルは地域にあまり偏りがなく、バランスがとれていることがお分かりいただけるかと思います。

     続きまして日本との貿易状況についてご説明いたしたいと思います。先程申しました通り、ブラジルにとりまして日本は輸出で5位、輸入では第9位の地位を占めております。この順番は前年比で変動はございません。

     左側の表がブラジルから日本への輸出です。全体で見ますと、この一番下の合計のところなんですけれども、全体では15.6%のマイナスで、67億ドルでした。内訳を見ますと、赤枠で括りました鉄鉱石、とうもろこしの輸出額の減少が非常に目立っております。鉄鉱石につきましては、先程ご説明いたしました市場価格の下落によりまして、日本への輸出額につきましても大きく減少しているものです。

     とうもろこしのこの74%近い大幅な減なんですけれども、この原因につきましては、日本は従来主に米国からとうもろこしは輸入しております。ところが2013年は米国を襲いました干ばつの影響によりまして、米国産のとうもろこしの価格が非常に高騰いたしましたために、日本はブラジルからの輸入に切り替えております。それが2014年にはですね、米国の生産状況が平常に戻りましたため、再度輸入先を米国に戻したということによりまして、こういう大幅な減になっております。

     右側の表が日本からの輸入になります。全体で見ますと、この表の一番右下にありますけれども、前年比では16.7%減、金額にいたしますと59億ドルとなっております。

     主な商品別に見てみますと、これも赤枠で括っています、自動車・トラクター部品、自動車エンジン部品などの落ち込みが大きくなっております。これはですね、やっぱりブラジル国内の自動車業界の不振を反映したものというふうになっております。

     続きましてブラジルへの対内直接投資についてご説明したいと思います。この左側のグラフなんですけれども、2011年の695億ドルをピークにいたしまして、2012年には605億ドル、2013年には493億ドルということで、外国からの直接投資は減少傾向が続いておりましたけれども、2014年は560億ドルということになりまして、水色の矢印にありますけれども、若干持ち直す傾向になっております。前年比で13.6%の増加となっております。

     右のこちらのグラフなんですけれども、対内直接投資を国別に見て行きたいと思います。オランダ、米国、ルクセンブルグ、スペインなどが上位を占めております。この表には中国が入っておりませんけれども、オランダ、ルクセンブルグ、スイス等を経由した間接投資を行なっているものと推測されております。

     間接投資につきましては、正確な資料がないのですけれども、2014年の中国からの投資額は2013年と同程度の40億ドル程度と言われておりますので、このリストにあてはめますとスペインと日本の間の第5位ぐらいなのではないかと推測されております。

     このスライドはブラジルへの直接投資の業種別の表となっております。先程申しました通り、全体では前年比で13・6%の増加となっております。この一番右下に書いてある数字です。2014年ですけれども、一番上の赤枠で囲っております農業・畜産・鉱業分野への投資額が43.7%と大きく減少しております。これは主にその下にあります石油・天然ガスの採掘への投資が大きく落ち込んだものになっております。

     その中でも金属・鉱物採掘業への投資額は大きく伸びておりますが、これはアングロ・アメリカンのですね、鉄鉱石プロジェクトへの投資額が前年比で3億ドル程度増えていることが一因と思われます。

     その下を見てみますと、工業は11.2%増加しております。その中でも特に基礎冶金業が59.9%伸びております。これはアルゼンチンの製鉄会社テルニウムが2.5億ドルでウジミナスの株式を10%取得したことが一因と考えられております。

     下の方を見まして、サービス業は39.5%と増加しております。この中でも金融・同補助サービスが61.4%増えておりますが、これはスペインのサンタンデール銀行がブラジルの同銀行の株式を13.65%追加取得したことが大きな原因となっております。また一番下の赤で囲っております電気・ガスの65.3%の増加は三井物産さんがジラウ水力発電所の20%の権益を取得されたことが一因になっている模様です。

     以上、貿易動向を申し上げてきましたけれども、2014年の貿易動向を総括してみたいと思います。

     上半期の終了時、この表の下の方に書いております通り、半年前のこの発表では2014年は貿易収支は通期で6億ドルの黒字になるのではないかと貿易部会では予想しておりました。しかし最終的には、輸出は前年比で171億ドル減少し、輸入が前年比で106億ドル減少して、貿易収支は39億ドルの赤字となっております。輸出入額ともにですね、前年比で減少しておりますけれども、輸出額の減少の方が大きかったのはやはり鉄鉱石をはじめとする資源価格の下落が主要因であったのだろうというふうに捉えられております。

     これが最後のシートになります。最後に2015年の見通しです。これは冒頭にお見せいたしました半期ごとの貿易額の推移表ですけれども、表の一番右側に今年1月の単月の実績を追記しております。1月単月の貿易収支は31億ドルの赤字となっておりまして、すでに結構な額になっております。主な要因は一次産品、工業製品の輸出減によるものです。ブラジル中央銀行の予想によりますと、2015年はですね、通期で45億ドルの黒字になるとされておりますけれども、コモディティショックがしばらくは続きましょうし、ブラジルの最大輸出先である中国の経済成長鈍化もですね、しばらくは続くと思われますので、本当に45億ドルの黒字が達成できるのかは慎重に見て行く必要があろうかと考えております。

     一方で、先程のご説明にもありましたけれども、現在レヴィ財務大臣を中心とした経済チームがですね、取り組んでいます財政健全化への試みがですね、まあ一時的には景気にはマイナスになるでしょうけれども、いわゆる痛みを伴う改革ということを通しまして、中長期的にはこの国の競争力強化につながるといったポジティブな面も、中長期的な観点からは同時に見て行く必要があると考えております。

     また開発商工省では輸出金融とか、税の還付制度の簡素化、中長期的になると思いますがFTAへの取り組み、そういったことを通しまして輸出促進に取り組む方向性と聞いておりますので、こうした動きにも期待していきたいと思っております。

     以上で貿易部会からの発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会

     ありがとうございました。何か質問のある方はよろしくお願いします。じゃあ一つ私の方から、57ページで中国の間接投資が出てこないというのは何か中国は戦略的に直接投資が出ないようにしているのか。

    回答者

     これは前任の丸紅さんにも相談させていただいたんですけれど、なぜ数字が出てこないのか今一つ良く分からないという実態がございまして、ここのですね、先程の表にありました、それぞれ個別の国ごとに書いてあるんですけれども、まあ多分中国はできる限りその、税メリットとか投資に有利な国経由という方針をとっているんだろうなという推測でしか今のところはございません。ただどうして中国がはっきりと統計に出てこないのか、分かりましたら、また機会を設けましてですね、皆さんと共有させていただきたいと思います。

    司会

     ありがとうございました。他に、じゃあないようでしたら次に移ります。ありがとうございました。じゃあ引き続き4番目の自動車部会の方から、近藤様にご発表お願いします。

  • 自動車部会  近藤剛史 部会長

    Pdf自動車部会

     こんにちは。高い所ですけれども、自動車部会の方からご報告をさせていただきます。14年の振り返りと15年の展望、再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネスということで、本題に入る前に、こちらにございますようにサンパウロのモーターショー、昨年ございましたので、こちらの振り返りから入りたいと思います。

     モーターショーは2年に1回、ブラジルとアルゼンチン交互で南米では行なわれております。昨年14年はですね、皆様ご存知の通りサンパウロで開催されました。10月に開催されました。会場はアニェンビ―で開催されましたけれども、過去最高入場者数となりまして75万6000人という大きい、大変期待が寄せられているということを認識させられるショーであったかと思います。

     市場としても世界第4位となったということですけれども、特に今回の来客の中で目立ったのは女性の参加でございます。75万人中24万人が女性であったということで、購買層に対する女性の割合が増えてきたということが要因の一つかなと思っています。

     それからですね、中国ブランド等の出展も増えまして、メーカー数、展示車ともに過去最高を記録しました。規模としてはニューヨークですとか、東京、北京等、グローバルレベルになってきたかなという感じがしております。

     展示の車両のトレンドとして目立ったのが、こちらにございますように、例えばホンダさんのHR-VをはじめとするコンパクトSUVですね。少しずつ市場が成熟していこうと、成熟と言いますか、車に対する動向が、見る目が高くなっていく中で少しセダン、ハッチバックからSUVの方にシフトする可能性を皆さん模索していると。

     それからAudiA3などの高級車エントリーモデルですね、下の三つがそれに当たりますけれども、少しずつ高級車のエントリーモデルから高級車へのシフトも期待されるというところで、皆さんモーターショーにそういった車を持ってきているという感じがします。次お願いします。

     もう一つの動向としましては、各社からハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池車などのまあエコカーが多数出展されました。日本企業はハイブリッドカー、水素燃料の電池車、こういったものを中心に技術の先進性を感じさせるというような評価もジャーナリストの中ではいただきました。

     以上、モーターショーを簡単に振り返らせていただきました。それでは本題でございます、14年の振り返りと15年の展望についてお話させていただきたいと思います。

     まず四輪業界の動向でございますけれども、14年の振り返り。まず販売台数でございます。皆様ご存知の通り、14年はですね、約350万台ということで前年比93%と2年連続で前年を下回る結果になりました。赤い折れ線ですね、輸入車の比率もですね、11年をピークに3年連続で減少傾向になっております。

     続きまして14年の月販の台数動向でございます。一番画面の右側、14年の12月はですね、IPI減税の引上げ、これが15年の1月から行われましたけれども、それの駆け込みで増えました。ところが全般的にですね、月販30万台を下回るレベルで非常に低迷が続きました。特に、ご存知の通りワールドカップの前後につきましては市場が冷え込んだというのはご存知の通りです。次お願いします。

     これも前回の自動車部会でも発表させていただきましたけれども、一般的に市場動向が悪くなると自動車会社各社はですね、フリート、レンタカーやタクシーですね、こういったフリートの方に車を売る傾向がございます。ご覧いただいた通り、一番左側の12年、13年の年間の数字と比較しまして、オレンジ色でハッチングしてあるところ、14年の月度動向はこれを大きく上回る形で、25~30%を、全体的に上回る形でフリート販売を増やしています。中でもですね、トップ争いを続けましたFIAT、Wagenにつきましては、かなり価格を下げてフリート販売で台数を維持すると。まあそれでも生産調整を行うレベルでございましたけれども、各社ともに台数を維持するために販売価格を下げて体力競争に入っているかと、こういった状況がうかがえるかと思います。

    続きまして、生産台数の方でございます。こちらもですね、下がっておりますけれども、こちらは販売台数を上回り対前年15%のダウン。上の黄色い矢印のところですね。15%のダウンとなっております。特に輸出の台数、その下の折れ線グラフで書いてありますけれども、輸出の台数が前年比6割ということで、ご存知の通り大きく落ち込んでおります。これにともないまして、昨年内だけで自動車業界全体で1万4000人ぐらいのレイオフがあったと。先程関根さんの方からもございましたけれども、今年に入ってさらにレイオフが続いているという状況でございます。その主な原因といたしまして次のページで。

     左側、カテゴリ別の輸出台数を見てみますと、乗用車が56%を占めておりますけれども、その主な輸出先でございます。右側、国別に見ますと、ブラジル製車両の82%を占めておりますアルゼンチン、こちらが大きく落としたというのが原因でございます。ちなみにその下にメーカー別の輸出台数を示しております。各社ともにですね、上からずーっと見てみますと、各社ともに対前年4割~5割というところで輸出を大きく落としているというのが分かるかと思います。たまたまトヨタが前年比伸ばしておりますのは、新しい車を導入して貿易バランスを取りながら、まあたまたまうまくいっただけでございます。

     続きまして中古車販売の方でございます。こちらで見ていただきたいのはですね、中古車販売というのは新車の3倍ぐらいございます。この傾向につきましては14年も同じくのびております。こういったところを見ますとですね、新車の動向につきましてはやはりまだ買い控えが、経済動向を見て買い控えがございますけれども、車に対するニーズはブラジルはまだまだ伸び盛りかなということが見て取れるかと思います。

     続きましてここから15年の展望でございます。先程から、金融部会の方から詳しく出していただいたので簡単にご説明しますけれども、経済指数の予測については大変厳しい状況であると思います。ここではブラジルの中央銀行が出している経済予想を出しておりますけれども、15年の実質経済予測は0.38%。16年の予測が1.8%となっておりますけれども、こちらも先程から皆様ご解説いただいている通り、政府のどういう施策が功を奏していくかというところにかかっているかと思います。

     なお電気代等の公共料金が値上がりしたり、先日は新しくガソリン税が復活するなど、それからインフレがまだ継続していきますと。こんな中で政策的にも引き締めの傾向にありますので、消費マインドが冷え込んで、まあ失業率、先程過去最低水準を保っているという話もありましたけれども、失業率の上昇やクレジットの引き締めによる消費の低下が見られるというふうに15年は予測しております。

     もう一つ、続きまして車の生産台数、販売の動向でございます。一番左側が14年の実績でございますけれども、14年の実績は昨年年央にいたしました自動車部会の予測がほぼぴったり当たってしまいましてですね、350万台という結果に終わりました。ちなみに輸出台数が33.5万台、生産台数は314.6万台でした。真ん中の15年の予想でございますけれども、ANFAVEAが出している公式のものと、それから自動車部会でお話をさせていただきました我々の予想と二つ出しております。

     ANFAVEAはですね、自動車工業会が下がるとは言いにくいので昨年と同じにしてありますけれども、我々自動車部会としてはまあいいい所330万台ぐらいの市場ではないかと見ております。それから輸出台数もですね、昨年4月からでしたかね、落ち込んだアルゼンチン向けの輸出が今後も先行き不透明ということで、ほぼ同じ台数。ということで結果的に生産台数につきましては販売台数と同様に昨年から落ち込んで、我々ば300万台と。ANFAVEAの自動車工業会の方は327万台という予測をしております。次お願いします。

     それからですね、景気刺激策として13年から導入されておりましたIPI、工業品税の減税につきましては、昨年の末でいったん終了して15年の1月から平常に戻っております。ご覧頂いた通り、一番下のブルーの線ですね。これが1.0リッター以下の車のIPIでございますけれども、全体のマーケットシェアとしましては4割を占めます。下の円グラフにございます通り、4割を占めるこの1.0リッター以下が、まあ税金の戻りとしましては非常に大きくて4%戻っていると。このことが多分15年も継続して大変厳しい市場になっていくのではないかという予測の元になっております。

     それと今後の緊縮財政を考えますと、また短期的なインセンティブを政府が打つということは考えにくいということをもって、厳しい状況が続くのではないかというふうに思われます。次お願いします。

     これは先程のIPI減税の戻し、これは12年から13年にかけても一度ございました。これを月別に見てみますと、上のグラフでは一旦急激に落ち込んだ後徐々に回復しておりますけれども、14年、15年、今回のIPIの戻しにつきましては回復力も弱いというふうに予測しまして、先程の台数の予測になっております。

     少しだけ中期展望を入れますと、まあ前回も言いましたBRADESCOが読んでいる数字が我々の自動車部会としては一番感覚に近いのかなと思いますけれども、16年の後半あるいは17年からまあ徐々に回復して、12年、過去最大であった380万台レベルへ戻してくれればいいなと。先程から言っています、中古車全体を見ました場合の、自動車に対する要望はまだ市場として強いと思いますので、経済動向次第でございますけれども、まだまだ伸びて行くということが中長期的には期待されます。

     続きまして、新政権の方向と業界への影響でございます。こちらも先程加藤さんの方から大変詳しくご説明いただきましたので、簡単に言いますけれども、自動車部会にとって一番影響力が大きいと思われるのが財務大臣と開発商工大臣でございます。いずれも、ジョアン・レヴィさんとアルマンド・モンテイロさんということで、新任の方が就かれました。今年はですね、レヴィさんの方は財政調整の年ということで、税金を増やしてインフレも一方で何とか目標に抑えたいと。それから為替の安定につきましては市場介入を限定的に行うと、まあ頻度を少し抑えるというような発言もございましたので、産業の発展、先進技術の導入、こういうことにつきましては強く方向性を打ち出しておりますけれども、実際の市場への影響ということではかなりネガティブに効くのではないかという予測をしております。

     続きまして、これは方向性でございますけれども、先程申しましたように今回打ち出している政策の中で自動車産業の競争力強化に影響すると思われる環境について、まず改善の方向で期待がされるものが税制体系の簡素化でございます。これはPIS/COFINSそれからICMSの簡素化あるいは一体化、こういったことで税金の体系が簡素化されるのではないかと。あともう一つ、輸出促進のためのインセンティブですね。昨年から一部特別払い戻し、Reintegraというのが始まりましたけれども、引き続き移転価格税制、これが大体いってこいぐらいだと思いますけれども、これを帳消しにする直接払い戻し税というのが導入されました。これが継続ないし拡大されるということを我々は期待をしております。

     もう一つが新自動車政策、Inovar-Autoにつきまして、さらなる現地化の要望が政府から出されております。幸いですね、為替動向としましては現地生産あるいは輸出という方向性にプラスになる為替だと考えますので、この自動車政策に基づく各社の動きというのは、今後自ら環境を改善する一つの方策になるかと思います。

     それから、続きまして財政の黒字化政策に伴う負担増でございますが、これは輸入車への増税、こちらパーセントも書いてありますけれども、5月から実施が予定されておりますと。それから先程も言いました燃料への増税、ガソリンの支持ですね、これが5月から再開されると。それからIPIの税率の引上げ、もう一つが電力会社への補助金打ち切りによる電気代の高騰。こういったことが産業構造的にも大変厳しい状況を生んでいくというふうに考えます。次お願いします。

     以上を受けてブラジルの競争力強化の課題ということなんですけれども、こちらまとめますとですね、昨年官民と連携して競争力強化への取り組みということで5項目を賢人会から日伯両首脳にご提出いただきました。ほとんどその内容に沿うものでございますけれども、1番、税制改革、2インフラの整備、港湾・道路等のインフラの整備ですね。それから三つ目が人材育成、エンジニアや熟練労働者など教育の訓練。

    それから4、裾野産業の育成、戦略的な育成策。5番、輸出を促進する政策、競争力強化と通商政策と。こういったことで、全く目新しいものはございませんけれども、こういったことが課題であるというふうに認識しています。この課題についてちょっと、一つずつ確認して参りたいと思います。

     まず一つ目が税制改革でございますけれども、こちらは利益に占める納税額の割合、それから支払いの回数や手続きにかかる時間などを中南米の各国と少し比較してみました。一つ目の総合的税率につきましては、ブラジルは69%ということで非常に高いと。それから、その右側ですね、支払い回数も年間9回ということで、3番目の年間の手続きに所用する時間ということでいきますと他の国に比べて10倍以上の時間コストがかかるということで、まあ皆様お感じのことだと思いますけれども、税手続きが非常に煩雑で困難だということです。納税のしやすさランキングということでは世界189の中で177位にランキングされているというふうに聞いています。

     続きまして、二つ目のインフラの整備でございますけれども、こちらも前回もご紹介させていただきました。一つ目が舗装道路の比率でございます。13%ということで、お隣のアルゼンチンの半分以下ということで、まあ感覚的に合わないところもあるかもしれませんけれども、これが実態でございます。それから2番目、道路・港湾等への投資。こちらも税金が高い割には中々公共投資としてこのインフラの整備にお金が回って来ないというのが現状でございます。ということを受けて三つ目。例えば海上輸送に係るコンテナ1台ごとの輸出コストですね、こちらもブラジルは非常に高うございます。まあこれは輸送会社さんの責任ではないと思いますけれども、こういうコストがかかっているということが自動車のコスト全体に響いてくるというふうに考えます。

     続きまして、三つ目でございます。こちらは前回と同じでございます。人材育成に関するデータですが、大学の進学率が左側、それから進学者に占めるエンジニアの比率、こちらは共にですね、日本あるいは中国、メキシコと比べても決してエンジニアが多くないというのが現状でございます。こういったことはですね、SENAIとか全国で提携した産業人材育成プログラムなどで対応しておりますけれども、全体数としてまだまだ不十分ではないかというふうに考えます。

     続きまして四つ目の裾野産業の育成でございます。これは各部会の皆様、ブラジルへ進出する中小企業の方々の誘致でも大変色々難しいという話を聞きますけれども、これはブラジルでのビジネスのしやすさということを他の国と比べたビジネス活動の安易度ランキングというのがございますのでそれを使ってみました。これも世界189の国の事例の中で第120位と。特にここでは事業の設立、建築の許認可、それから不動産登記、納税、貿易と、こういったものを参考にここには並べさせていただきましたけれども、

    総合的に120位ということで、大変順位が低いというのが分かります。まあ日本もかつて非常に参入しにくいと言われておりましたけれども、現在は29位。ちなみに1番はシンガポールだそうです。

     もう一つ、裾野産業の育成ということでは、自動車部品の場合でございますけれども、現調化の現状でございます。現地調達が進んでいる部品というのはプラスチックやプレス品、内装部品、いわゆる荷姿が大きくて材料から直接できるバルキー部品と呼ばれているものですね。それからその下が、現調化率が進みづらいというのがやはり高度技術を要する分野でございます。エンジン、トランスミッションに加え電子制御部品ですね。ECUなどのこういった高技術を要する製品が中々現地生産化ができないという状況になっております。まあ今後さらにInovar-Autoの生産工程の要件というものがございますので、徐々に現地生産が促進されていくと思いますけれども、やはりエンジニアの不足とコストが高いということで中々各社とも厳しい状況であるかと思います。

     五つ目、最後ですけれども、輸出を促進する政策ということですけれども、これも前回と同じ内容でございますが、低い国際競争力ということで、何とか高いコストを克服していく必要がある。労務費のコストは依然インフレプラスアルファで上がっていきますし、それから材料費、公共料金とも上がっております。それからインフラの遅れ、高い港湾・道路等の料金、それから人材育成の遅れ。こういったことが低い国際競争力ということで言えるかと思います。

     あともう一つが、やはり企業負担の多いビジネス制度、税制体系、それから実際の税負担、それからそういった低い競争力を補う一時的な方策の欠如、まあ不十分であるというところが課題かというふうに考えます。

     以上、課題を受けましてですね、副題にございます「どう頑張る日系ビジネス」ということなんですけれども、自動車部会の中でもお話しさせていただきましたが、我々日系メーカーとしては以上の四つの取組みが我々の取り組むべきことだろうということで話し合いをしました。1番がやはり高品質、高い顧客の満足度といった日本メーカーの強みの維持向上。二つ目が環境対応と企業イメージの向上。三つ目、競争力向上のためのコスト低減活動。四つ目が為替対応を踏まえた部品の現調化と輸出の促進と。こういったことを取り組んでいく必要があるというふうに思います。各社それぞれ取り組んでいる状況も踏まえてですね、一個一個説明させていただきます。

     一つ目が高い品質、顧客満足度といった日系メーカーの強みでございますけれども、これはですね、ブラジルで少し前から始まりましたJ.D.Powerの状況でございます。左側、車両所有者満足度調査で12年から始まりました調査では、トヨタ、ホンダ、日産、三菱、こういったところがですね、ずっと上位を占めているという状況でございます。

    特にですね、その右側、満足度に影響する項目といたしまして、車両の品質、信頼性、それから所有のコスト、それから車デザイン・内装等の魅力、販売店等のサービス。こういったところを見てみますとですね、まあ実は所有者の多くで車のデザインが気に入っていると、ここが満足度に大きく影響するというのは所詮2割でございまして、やはり車両自体の信頼性、それからコスト、販売店あるいはサービス、こういったことが車を使っていらっしゃるお客様の強い要望があるところだというふうに感じております。次お願いします。

     もう一つ、環境への対応ということですけれども、皆さんご存知の通り電力会社への補助が打ち切られてですね、電力エネルギーのコストが非常に上がるということが懸念されております。(1)はそもそも電力のエネルギー事情ですけれども、ブラジルの場合は70%以上が水力に頼っております。(2)で示す通り、水力発電の貯水量が全国平均で17%ということで、まあこの1、2年非常に下落しております。

     3番目、発電設備に対するコスト比較ですけれども、ちょっと数字が違っていましてですね、これメガキロワット当たりの金額でございますけれども、一番安いのが水力。これが不十分だということで、近年石油にとって代わって供給する必要が出てきているということでコスト高の原因になっております。ご存知の通り政府としては、風力、バイオマス、太陽光への補助も始めておりますけれども、まだパーセントとしては非常に小さいというのが現状でございます。

     (4)にございます通り電力コストにつきましては今年の年初から特に市場のフリー価格が倍以上になっているというところも見受けられます。各社とも対応に苦慮されているかと思いますけれども、これはコスト高の一因になると思います。次お願いします。

     環境への対応ということでもう一つ、これは先日発表されましたホンダさんの事例でございます。ホンダさんは非常に先見の明に富んでおりますので、Rio Grande do Sulで浮力発電の発電事業を始めております。そもそもですね、やっぱりCo2の削減ということで環境イメージを大事にして始めたというようにお聞きしておりますけれども、実際にはスマレ工場を全体的にカバーできる電力量を補い、さらに昨今のエネルギーコストの状況もあってですね、40%~45%のエネルギーコスト削減を実現しているというふうにお聞きしています。

     続きまして三つ目。コスト競争力向上のためのコスト低減活動ということで、これはトヨタの一事例でございますけれども、高騰する労務費の負担に対しまして、実は弊社、ソロカバ工場で今後生産能力を増強するに当たって期間従業員の採用を検討しております。三段目に書いてございます通り、14年の4月からサンベルナルドにございます工場で期間従業員の採用を開始し、まあこれは法律でですね、最大2年間の契約で上限が正社員の2割まで活用できるということで、こういった法律の下一番ネックとなりますユニオンとの交渉ですね、ここをうまく乗り越えて何とか実現にこぎつけました。

     続きましてもう一つですね、為替対応を踏まえた部品の現調化と輸出の促進、次のページでございます。こちらもですね、ホンダさんはすでにエンジンの現地生産を行なっております。他の自動車メーカーもほぼ大手は現地生産を開始しておりますけれども、弊社、トヨタも16年から現地生産を開始しますと。こういったことで、まあこれはたまたまエンジンの状況でございますけれども、トランスミッションや電子部品といった現地調達率の向上ということが競争力の維持、それから輸出への可能性ということを広げてくれるというふうに考えております。次お願いします。

     次も一つの事例でございますけれども、ブラジルコストが高いということでございますけれども、昨今の為替もございます。あるいは税の還付措置もございますので、やろうと思えばちょこちょこ始められるのかなということが実感でございます。トヨタもエティオスという小型車のですね、ウルグアイ、パラグアイへの輸出等昨年の11月から始めております。まだまだ為替変動を吸収できるだけのボリュームにはとてもなっておりませんけれども、今後やはり部品を現調化して製品の輸出を考えていくということが為替リスクをうまく乗り越えるためにどうしても必要なことかなというふうに思います。

     以上で内容は終わりますけれども、全体の総括といたしまして、まず課題に対する取り組みとしましては、これも先程の繰り返しになりますが、賢人会で日伯両首脳に提出しました5ヶ条の項目ですね、これをやっぱり今後とも、商工会の機能強化委員会でしっかり話をした上で大使館や領事館の皆様等ご協力をいただきながら政府に対して働きかけて行くということが必要かなと思います。また日系メーカーの競争力強化の取り組みとしましては、以上に述べた4項目、これをあきらめずにですね、一個一個取り組んでいくということが我々にとってできる最大のことかなというふうに考えます。

     以上、四輪の業界の動向を述べましたけれども、二輪業界につきましても、対応につきましては同じかと思いますが、市場の動向について簡単にレヴューをさせていただきます。

     まず生産・販売の推移でございますが、上期に引き続いてですね、経済環境等悪化して、二輪の方も14年の国内卸販売は143万台ということで前年比10%減りまして、3年連続前年割れとなりました。生産は152万台、前年比91%ということで非常に苦しんでいるという状況だそうです。

     それからこれを月販に見てみますと、四輪と同様にですね、年初は前年を上回っていたんですけれども、ワールドカップによるまあ稼働減、それから市場の冷えもございまして、通年では市場登録143万台ということで前年比94%ということで前年を下回りました。次お願いします。

     販売の支払い形態別に見ますと、特に一番下ですね、グリーンのところ。2011年以降支払いの不履行が急上昇しまして、ファイナンスの審査が年々厳しくなっております。この厳しさについては2014年も同様でございまして、全販売におけるローンの比率が減少してきたということで、今後コンソルシオについても加入権の販売の落ち込み、バイクの引き取り率が低下しているということもあって、全体の販売台数の減少につながっているということです。

     続きまして、これは二輪の中古車と新車の状況でございます。二輪の方もですね、中古車市場につきましてはまだ年々伸びております。二輪に対する市場の必要も変わらずあるということが言えるかと思います。

     簡単に走りましたけれども、以上で自動車部会の発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

    司会

     どうもありがとうございました。ちょっと時間が押してきましたので、質問はちょっと個別ということでよろしくお願いします。引き続きまして、5番目の電気電子部会の方について千野様の方からよろしくお願いいたします。

  • 電気電子部会  千野浩毅 副部会長

    Pdf電気電子部会

     はい、私は非常に早く終わると思います。始めまして。ソニーの千野と申します。本来であれば電子電気部会、部会長の村上さんの方からお話を差し上げる予定だったんですけれども、急きょご出張ということで私がピンチヒッターで今日お話をさせていただきます。ちなみに私は去年の10月にこちらに赴任してきましたので、今後ともよろしくお願いします。

     まず2014年の回顧ということなんですけれども、下の方に家電、情報通信、電子部品ということでそれぞれにコメントしてあるんですけれども、良いものもあれば悪いものもあるということで、かなりまだら模様ということで。AV機器といいますと、台数は大きく前年割れをし、しかもマーケットにたまった過剰在庫でもって値崩れが起きて、まあこれが収益性を非常に圧迫するというふうな非常に悪いサイクルに入っていった。

    反対に白物家電、これエアコンですとか電子レンジみたいなものというのは非常に好調なセールスが続いたと。これは全体のボリュームもそうですし、高いものが非常によく売れるということで、これは良いサイクルで商売ができたと。

     情報・通信関係ですね。携帯電話、これは全体で言うと総台数は横ばいだったんですけれども、スマートフォン、これが倍増するというふうな中で単価のアップがあったということで、全体として金額としてはアップしたと。PC、Tablet。これは世界的な傾向だと思うんですけれども、PCが減ってTabletが増えるというふうなトレンドでございまして、ただ全体としては、足した台数ではダウンと。電子部品として、他業種不振の影響で2%のダウンと、そういうふうな結果になっております。

     上に書いてありますのは、これ電気電子部会の中でアンケートをして、24社にアンケートを送ったんですけれども、16社から回答がありまして、改善、維持、悪化ということで、ちょっと私もびっくりしたんですけれども、思ったよりも業績が改善しているという会社さんが多かったということです。改善63%、悪化37%というふうな結果になっております。まあかなりまだら模様の中でも結構伸びているところをしっかりつかんで業績につなげたというふうな会社が結構多かったのかなということです。ちなみに弊社はですね、悪化の方でしたということで、ちょっと残念な結果でした。次お願いします。

     これがテレビの結果になります。14年のテレビですけれども、全体で見ますと前年比で98%ということで若干の減少というふうに見えるんですけれども、実はこれ中身をよく見ていくと、このTV-Plasmaと書いてあるところですね、これはプラズマTVというかなり、今あまり、世界中で売っているのは多分ブラジルぐらいじゃないかと思うんですけれども、他の国はもうほとんど液晶に取って代わられた中で、特に韓国勢がプラズマTVというのをワールドカップ商戦に向けて最後に世界中に残っている在庫を全部ここに集めてきて、バタいたというようなところが大きくて、ここが全体の台数を何とか押し上げているということがあるんですけれども、実際にこういうことをやったおかげで平均単価も下がったし、それから市場価格が非常に乱れて、過剰在庫に苦しむというふうな結果で、まあテレビ全体としては業界としてはあまり良い年ではなかったというふうに総括できるかと思います。

     それ以外のカテゴリなんですけれども、これは先程最初のコメントにも書きましたけれども、まあデジタルカメラですとかオーディオ、それからカーオーディオといったいわゆるAV製品といわれるもの、これについては軒並み不調であったということがある一方で、白物と言われている電子レンジ、エアコン、それからここにはないんですけれども冷蔵庫なんかもですね、結構、高い値段の高付加価値のものが非常によく売れたというふうに聞いておりますので、ここで結構明暗がはっきり分かれたというふうに中身を見ております。次お願いします。

     携帯電話です。これはですね、トラディショナル、まあ日本流に言うとガラケーというやつですね、ガラケーとスマホというので中身をこうやって分けてみますと、スマホの割合が非常に伸びたと。全体のパイは広がっていない訳ですけれども、こういった高いものが売れることで全体の平均単価として上がって、金額では27%アップというふうな結果になっております。

     PC、タブレット。これがですね、デスクトップ、ノートブックともにですね、まあ従来型のトラディショナルなパソコンと呼ばれるカテゴリ、これがかなり急激に落ちて、一方でタブレットは伸びたんですけれども、全体として見るとやはり数としてはダウンしているというふうな傾向になっています。

     2015年の展望ですけれども、これも14社さんの方から回答をいただきまして、改善72%10社さん、それから維持、それから悪化が1社。実は1社悪化と入れたのが私どもの会社なんですけれども。全般的に見ると、先程14年、厳しい環境の中でもそれなりに業績をきちっと伸ばせている会社というのが3分の2に上るという中でですね、2015年に関しても、ここに書いてあるんですけれども、景気の改善は期待できないだろうし、レアル安だろうし、金利は高い、インフレもひどいと。ペトロブラス問題というのは、これは1社さんの方から、決まりかけていた商談が何かとばっちりを食ってなくなっちゃった、そんなような話がここでコメントとして載っているんですけれども。あと水不足、電力不足ですとか、あるいは電気代の値上げの話なんかもあると思うんですけれども、まあそういったこともあって、全体としてはネガティブ要素が多いと。中長期にはですね、まだこの国というのはプロミッシングなところが非常にあるんだと思いながらもですね、短期的には厳しいだろうねと。

     一方でポジティブな要素として、リオのオリンピックで何か良いことないかなと。これも具体的にこれというのがあるわけでもないようなんですけれども、ただやっぱり、どちらかというと大事なのは、一番下に書いてある新規市場ですとか顧客開拓というところをしっかりやれば、まあそれなりに色んなところでチャンスが生まれるだろうということで、それは14年非常に業績をうまく維持できた会社さんが結構多かったという中でも実証されているところかなというふうに思います。

     15年、各社の経営課題とその対応ということですけれども、まあ景気は良くないという中でやっぱりきちっと守りを固めていくと。特に為替の状況も悪化していく中でやはり採算をきちっと維持して行かなきゃいけないですよねと。その中で経費の削減、コストダウン,それから設備投資の抑制、この辺非常にイロハに近いところですけれどもしっかりやらなきゃいかんだろうと。それから事業インフラ、これをきちっとやっていく。まあ、ひたすら耐えるんだと。

     で、成長へのキーワードということですね。「日本ブランド」を活かしたビジネスモデルの創出、新たな価値の創造と育成ということを書いたんですけれども、先程別の部会の方からも、日本の製品の高品位ですとか高付加価値、こういったものはやはりきちっと受け入れられているわけですので、まあそういったものを強みとして活かして、市場全体で言うと、全体の調子は悪いもののですね、やはりまだまだ未開拓のマーケットというのは一杯、セグメントとしてありますし。それから、先程の冷蔵庫じゃないんですけれども、高いものが売れるようなマーケット。やはりこれ、需要というのはどんどん高度化していくというのは我々も経験しているわけですので、そういったところに強みを発揮できるところはいくらでもあるだろうということで、まああまり悲観ばっかりしてないでこういうところをきっちりやっていけばチャンスはもらえるだろうというのがここで書かれていることです。企業買収とか、これもですね、社内にないものは外と色んなアライアンスをしてでもチャンスにつなげられるんじゃないかと、そういうふうなことだと思います。で、輸出の拡大ということで、こういったところを含めてやっていくんだということだと思います。

     最後、ブラジル政府への要望というのが、これは多分前回から何も変わっていないんじゃないかと思うんですけれども、まあ繰り返し出て来ることですけれども、複雑すぎる税制の改革ですとか、インフラの改善、投資の促進。それから、特に家電製品で顕著なんですけれども、税金を払わない輸入。これはアンオフィシャルな、グレーな輸入ですね。さっき、世界10以内のブラジルという中で、iPhone6の値段が世界で一番高いと書いてあったんですけれども、ここで正規輸入なり実際に物を作って売ろうとするとやはり世界で一番高くなってしまうという状況がある一方で、それに対してアンオフィシャルに、ilegalな形での輸入が行われるというふうなことがありまして、それが実際に全体のマーケットを乱してしまうと。そういったこともありますので、まあそういった所に対する取締り。それから安全規格の承認プロセス。これは、特に国内でせっかく作って売るに関しても、中々スピーディーなプロセスがないですとか、そういったことも含めて、これは今に始まったことではないと思うんですけれども、こういった要望が部会の中で出ましたということでございます。

     駆け足でしたけれども、以上でございます。

    司会

     どうもありがとうございました。ご質問のある方は。ないようでしたら、前半の部分を終わりまして、今からコーヒーブレイクということで、約15分ということで、3時20分からまた再開したいと思います。じゃあ3時20分ということでよろしくお願いします。

    (コーヒーブレイク)

  • 後半司会 寺本将人 企画戦略委員会副委員長

     時間が来ていますけれども、ちょっとラマーリョ次官殿がちょっと遅れているようですけれど、今来られました。ちょっと時間が押すかもしれないので、午後からの発表の方には先ほどお願いしましたけれども、できるだけ時間を見ていただいて短め、短めにしていただけると助かります。そうしましたら、時間も若干過ぎておりますので、後半の部を開始したいと思います。皆様、ご着席をお願いいたします。

     私、後半の司会を務めさせていただきます、企画戦略委員会副委員長の寺本と申します。住友商事で働いております。後半よろしくお願いいたします。

     まず本日は後半の冒頭に、本日の特別ゲストであるイヴァン・ラマーリョ開発商工省事務次官にご講演をいただくことになっています。事務次官のご略歴につきましては、先ほど村田会頭の方からご説明いただいておりますけれども、あらためまして事務局長の平田さんからご紹介いただければと思いますので、よろしくお願いします。

  • 基調講演者紹介 平田藤義 事務局長

     皆様こんにちは。冒頭に村田会頭の方から本日の基調講演のゲストについては十分経歴等々についてお話がありましたけれど、私の方からは約2分ぐらいですね、イヴァン副大臣のご功績について若干披露させていただきたいと思います。

     この方のお陰でですね、日本とブラジル間で貿易投資促進合同委員会が開設され、2009年2月から、最初は半年に1回、後に1年ごとにブラジリアと東京で会合をやっていこうということで、一番のご功績を私が称えたいと思いますのは、皆様が今、移転価格税制ということで、まだ現在も非常に国際標準でなく課題をたくさん残していますけれど、以前は、3、4年前はたいへんな問題でありました。我が会員の中からは、もうこれ以上このブラジルで操業できない、撤退を余儀なくされているという事態が発生しておりました。このお方のお陰で、我々は今現在の法律に至るまで連邦州税局に2回ほど足を運ばせていただき、色々、税法が発効する前に膝を交えて会合もやっていきました。

     その結果が今の、現在の移転価格税制に至っております。まだまだ、事前承認制度とか、一般的、国際的に認められている国際標準にはなっていないんですが、またですね、このたびイヴァンが再復帰をされまして、これから我々と共に政策対話のスキームを、中心人物となって、共同議長となって進めて行くわけであります。

     さらに、もうあと一つ、このイヴァンのご功績と言いますと、何と言ってもビジネスマンに対する商用マルチビザの発行でございます。この方がジルマ・ルセフ第一次政権以前までに事務次官として、副大臣として、東京の方にも2010年の11月26日に行かれました時に、ブラジルの外務省の担当官を同行されて、実はマルチ商用ビザに関しては日本政府に問題ありということがありまして、我々は2011年から一生懸命になって日本政府に対してもお願いしまして、当時の三輪大使にお願いし、当時の松本外務大臣にもお願いし、色んな方々にお願いした結果、2012年の1月1日をもってマルチ商用ビザが発行されたと。

     以上の2点以外にも、この方の時代に日伯社会保障協定も成立されることになりました。これも2012年の3月1日をもってなんですが、その間に至るまでのイヴァンのご功績というのは大変なものでした。今度また、この貿易収支の大赤字をですね、ブラジルの救世主として再度カムバックして、我々と政策対話を重ねながらずっとやって参るということになっておりまして、ぜひ皆さんと共に一生懸命やっていきたいと思っております。どうか一つよろしくお願いします。Ivan,muito obrigado.皆さん拍手をお願いします。Obrigado.ではイヴァンさん、よろしくお願いします。

  • 基調講演 イヴァン・ラマーリョ 開発商工省副大臣

    Pdf国家輸出計画-イヴァン・ラマーリョ副大臣プレゼン(日本語)

    Pdf国家輸出計画-イヴァン・ラマーリョ副大臣プレゼン(ポルトガル語)

    Pdf2014年度対ブラジル貿易国トップ10

     平田さんがそうおっしゃるのは、平田さんをはじめブラジル日本商工会議所とは長年のお付き合いをさせていただいているからです。

    まず、開発商工省に戻り、ブラジル日本商工会議所開催のシンポジウムに再び参加する機会をいただいて大変嬉しく思います。平田さんが先ほどおっしゃった通り、長年にわたってブラジルと日本の間で行われる貿易・投資の取引に参加させていただいており、とても光栄に思い、嬉しいことです。また、長年にわたり、ブラジルへの多くの日本企業による投資を見てきています。我々ブラジル人は、日本人の投資家に信頼されていることをとても光栄に思っていることをこの場を借りて皆様に申し上げます。

    長年ブラジルで行われている投資の多くの案件をフォローしています。その中でも、私はマナウス・フリーゾーン監督庁(SUFRAMA)の審議会メンバーであるため、マナウス地域における投資の案件もいくつかフォローしています。マナウスでも、多くの日本企業による投資をいただいています。そのため、今回のシンポジウムに再び参加させていただき、ご招待下さり御礼を申し上げます。今後ともブラジルで日本人投資家の皆様のご信頼とご参加の程よろしくお願い致します。

    我々ブラジル政府にとっては、ブラジルが日本企業の主な投資先であることは大きな光栄であります。また、日本は現在、投資分野以外に、ブラジルの最大貿易パートナーの一つであります。ブラジルの輸出量は日本にとって意義深く、ブラジルも日本から数多くの製品を輸入しています。2014年度は、ブラジルによる日本への輸出額が67億ドルでした。そして、ブラジルの輸入額が60億ドルでした。つまり、約130億ドルの取引が両国間で行われたということです。ブラジルにとっては、とても意義深い数字です。

    また、今年の冒頭に、ブラジルの新開発商工省大臣のアルマンド・モンテイロへの任命後、新たな輸出政策に取り組み始めました。ブラジルは昨年、貿易収支が赤字になり、輸出量が減少したため、今は新たな輸出政策の策定に取り組んでいます。この政策により、輸出復興と海外貿易の全体回復ができることを期待しています。

    本政策は、民間企業と協力関係をもって策定されています。常に多くの業界団体(Associações de classe)と会議をするようにしています。その中に、疑いなく多くの日本企業が参加しています。既にサンパウロ州工業連盟(FIESP)やブラジル全国工業連盟(CNI)、自動車製造会社を代表するブラジル自動車工業会(ANFAVEA)、そしてブラジルで活躍している多くの日本の電気電子工業を代表しているブラジル電気電子工業会と会合しています。常に簡単に我々政府の取り組みのスケジュールを共有し、企業や協会の代表者たちに要望や提言を求めるようにしています。

    続きまして、本政策の主な方針を簡単に皆様にお伝えしたいと思います。主に民間企業と協力し合いながら取り組んでいるものです。政策の主な目的は次の通りです。

    ・ブラジルの輸出業の多様化

    ・ブラジル製品の輸出先の多様化

    ・ブラジルの輸出製品生産地の多様化

    ブラジルは、現在、まだまだ一か所に集中した海外貿易を行っています。それは、製品の生産に限らず、輸出先に対しても同じです。例を挙げましょう。工業製品の場合、ブラジルに一番近い貿易対象との関わりが多いです。それがメルコスルです。世界の他地域にもブラジルの工業製品を輸出していくことを望んでいます。また、海外貿易にはブラジルの他州や他の地域により活発な参加をしてほしいと思います。

    皆様もブラジルについてよくご存じの通り、ブラジルは大陸規模の国であり、海外貿易がまだここ、特に南東部に集中しています。南部の海外貿易数値が少し向上しましたが、この多様化プロセスを拡大し、特に北部と北東部まで拡大することを望んでいます。また、まだ貿易関係の深まりが浅い国や海外の地域との貿易関係を強化していきたいです。そのためには、本政策のスケジュールには多数の国への訪問を予定しており、とても大胆なスケジュールを立てています。その訪問先のうちの一つが日本です。なぜなら、日本に対しても、ブラジルはまだ大幅にブラジルの海外貿易を多様化し、拡大できるという見込みがあります。

    我々にとても重要であるもう一つの点は、付加価値です。我々は、より高い付加価値の商品を輸出することを望んでいます。皆様もご存じの通り、ブラジルはまだ一次産品の輸出の方が多いです。特に鉄鉱石や大豆、原油の輸出が多いのですが、我々のポテンシャルはより高いと分かっています。

    特に、その点に関してはブラジルで活躍されている日本企業は、有意義な形でご協力いただけると思います。それは、ブラジルの輸出品目リストに、より高い付加価値を持ち、特により高い技術を用いた、より多くの工業製品を追加する形でご協力を期待しています。そのためには、開発・商工省に限らない貿易におけるマーケットインテリジェンス(inteligência comercial)や貿易振興といった取り組みを行っています。この取り組みは、海外貿易と関わっている政府のすべての部門と民間企業を巻き込んで行われています。

    従って、本日ご参加の皆様やブラジル日本商工会議所の皆様、そして他の協会にご参加されている皆様にお願いがあります。本政策の現段階は皆様から提案や提言を収集しています。ブラジルの海外貿易の拡大、多様化、そして簡素化が見込まれています。プロセスの簡素化も経営者の皆様が懸念されていると認識しています。特に手続きプロセスや物流における困難等がその中から挙げられるかと思います。

    ということで、皆様のご提案は本政策をより良きものに変えていくためのものであり、歓迎します。ただ、できるだけ早くご提案下さりますようにお願いします。本政策は開発商工大臣により既に公開されており、3月中に導入される見通しです。したがって、来月末ということになります。

    しかし、民間企業の参加を本政策の作成段階で終わってほしくありません。民間企業の経営者には、4年間の期間で実施する本政策の実行、モニタリングにも参加いただきたいのです。本政策の実施期間は2015年から2018年です。そして、疑いなくその期間中には改善がいくつか発生すると思いますので、その際は民間企業からも提言いただける提案により改善していけることを期待しています。次のスライドをお願いします。

    本政策の主な柱となるのは、この通りです。貿易振興、市場へのアクセス、我々の大きな懸念事項である貿易障壁。ブラジルは、特に農業製品や食料品においてはまだ厳しい貿易障壁という課題が残っている国の一つです。輸出の資金の貸付けと保証に対して特別に重視しています。ブラジルの輸出の資金貸付システムを改善したいと思います。

    貿易の簡素化もとても重要なテーマです。海外貿易の簡素化と手続き過程を効率化するために具体的な立案があります。そして輸出関連税制の課題もあります。税制は我々にとっても重要な点だと考えられます。これに関して、特に輸出品に課せられる税金額を下げるために取り組み続ける必要があると認識しています。そして、以前も話した通り、我々が大事に考えているのは、ブラジル輸出における民間企業との関係の透明性と輸出への参加です。

    皆様にプレゼンする内容はこれで以上です。本輸出政策についてまとめて言いますと、これは現在政府内で作成されており、大統領により来月3月中に導入される見通しです。そして繰り返してお願いしますが、ぜひ皆様からこの件に関してご提案をいただけたら幸いです。

    以前話した通り、日本とブラジル二カ国間の貿易から発生している金額は約130億に至っています。そして、数多くの企業が関わっています。従って、このプロセスの改善に繋がるご提案、特に手続きやオペレーションの簡素化におけるご提案があれば、たいへん歓迎致します。正式にブラジル日本商工会議所から立案を立てて頂き、現在本政策に取り組んでいるスタッフに伝えていただけたらと思います。

    最後に再び皆様から本シンポジウムに招待いただいたことに御礼を申し上げます。再び商工会議所開催の会合に参加できて嬉しく思います。では、皆様のご提案をお待ちしております。リマインドですが、我々は在ブラジリア開発商工省にいますので、ご遠慮なく直接でもブラジル日本商工会議所を通じてでもお問い合わせください。日本人の経営者や投資家の皆様を心から歓迎します。以上です。ご清聴ありがとうございました。

    司会

     ラマーリョ副大臣、ありがとうございました。では副大臣にご質問のある方は別途、後日ですね、直接お問い合わせいただければと思います。お時間の都合もありますので、次の発表に行きたいと思います。APEXからですね、ミシェレさん来ておられます。ミラノ万博につきましてご説明いただけるということですので、ミシェレさんよろしくお願いします。

  • 基調講演 ミシェレ・カンデローロ 国家輸出振興庁(APEX)

    Pdfミラノ国際万博2015(日本語)

    皆様こんにちは。ミシェレ・カンデローロと申します。ミラノ万博のエグゼクティブマネージャー(gerente executivo)のヴィニシウス・エストレーラ氏の代わりに今回参加させていただいています。ヴィニシウスさんは国家輸出振興庁(APEX)の新任会長の就任式に参加しており、残念ながら今回はこちらに出席できませんでした。就任式はちょうど今、ブラジリアで行われています。

    ブラジル日本商工会議所により出席者の皆様に我々のミラノ万博参加企画を紹介させていただく機会を下さり誠に御礼申し上げます。ミラノ万博は、世界最大規模のイベントの一つと言われ、2015年にブラジルが参加するイベントの中でも最重要なイベントの一つでもあります。次お願いします。

    名古屋でも国際博覧会が開催されたことがあるため、多くの皆様は万博がどういうものかご存知かと思います。国際博覧会が初めて開催された国はイギリスでした。1851年のことであり、当時の万博というのは、企業がそれぞれ生産している製品や技術、世界で最新のものを紹介するための場でした。現在は、人類にとって重要度の高い議題について討議するためのフォーラムに変化してきています。

    議題の例として、2015年度は次のスライドでもご覧になられている通り、「地球に食料を、生命にエネルギーを」です。2015年度のミラノ万博には2000万人の訪問客が予想されており、そのうち400万人は184日間の万博開催中に再度訪れることが予想されています。今年度の万博には145カ国が参加し、その一つがブラジルであり、国際機関が30団体、シビル・ソサエティから10団体、大手民間企業が5企業参加します。

    今回は初めて万博のデジタル版がリリースされます。万博の主催者は、万博のような大規模イベントはミラノまで足を運び184日間中に訪れる来訪客に限定するものではないと認識し、来訪客には討議に触れ合い、イベント開催中参加国が紹介している議題に深入りし、そして国際的な討議に参加してもらう大切さを理解しました。従って、万博の第1デジタル版に沿って、ブラジルもデジタル化して参加します。

     ブラジルは「ソリューションを通じて世界に食料を」というテーマで参加します。そして今回はイヴァン・ラマーリョさんもご参画下さっており、感謝しております。今回イヴァンさんは、APEXとともに14省が参加している省庁間実行委員会(comissão interministerial)の委員長を務めて下さっています。

    このテーマの作成、ブラジルが紹介するコンテンツの作成に関しては、イヴァンさんが委員会会長として管理されており、それとともにAPEXが主催しているミラノ万博ブラジル参加プロジェクトの準備を率いています。FIFAがW杯を主催しているように、万博も同じくそのイベントを主催している機関があります。その機関は Bureau International des Exposicions(博覧会国際事務局) であり、ブラジルをはじめ他の参加国はどういうテーマを取り入れて万博で展示すべきかを規定しています。

    ブラジルや他の参加国が紹介する内容は、次の3つの方針に基づきます。「対話(意見交換)を促進すること」、1200万~1400万人のイタリア人、600万~800万人の外国人訪問客(そのうちブラジル人50万人)が予想される万博で「外国人・現地住民の訪問客に教育的な経験をもたらすこと」、そして「エンタテインメントを提供すること」が求められます。訪問客には各参加国の文化、食文化に触れ合っていただき、教育的情報以外にエンタテインメントを味わっていただくことが大事です。

    APEXは、イメージ認識(pesquisa de imagem)における調査を、イタリアを中心に行い、結果として、イタリア人はブラジルを認識しており、アグロビジネスに関して潜在性を持つ国だと認識しているが、日常生活でブラジル産の製品がどういうものか分からないということが明らかになりました。ブラジル国産品と申し上げましたが、現在、ブラジルを輸出最大国の一つまで成長させた、ブラジルに進出しブラジルで生産している企業の製品も含みます。

    話を戻しますと、イタリア人はアグロビジネスの観点では潜在力が高い国と認識しているが、日常生活でブラジル国産品を見ていない(意識していない)ということです。我々にとってこれは大きな挑戦であり、国産品をアピールし、持続性があること、ブラジル生産でイノベーションと技術が高いということ、さらに食料品およびその管理の安全性があること、製品の健康性、十分に世界を供給するための量、品質がある製品を提供できるといった供給力があることをアピールする必要があります。その上、味が豊富な製品が様々あります。それも全て多くの研究、技術、民間企業の取り組みと関わり、一貫した公共政策および大学院(academia)による大きな投資があってこそのものです。次お願いします。

     省庁間実行委員会主催のイベントが6つあります。「対話(意見交換)を促進する」という方針に応じて、6カ月間中6回イベントを開催し、一つ目は「ブラジルにおける食料品生産の展望」であり、2番目が「気候変動と食生活」、「飢饉撲滅」、万博が最もブラジルに討議を期待している議題の一つです。続きまして、「水、エネルギーと食料品」、「食料品の生産プロセスおよび商業化」、そして「持続性がある生産システム」、以上の議題について討議します。ブラジルのパビリオンは、他の多くの国でも行われたように、国家公共建築コンクールによって決められました。優勝会社は「アトリエMarko Brajovic」と提携した「Studio Arthur Casas」であり、ブラジルのパビリオンの展示デザインを担当しています。続きをお願いいたします。

     ブラジルは恵まれた場所にパビリオンが設置されます。赤い矢印で印付けされており、訪問客の65%が通るメインゲートの近くに位置しています。訪問客はそのゲートから入ります。ブラジルのパビリオンは今回の万博の最大パビリオンの一つです。4133平方メートルの面積を用います。次お願いします。

     これがパビリオンの表面です。訪問客がブラジルパビリオンに入ると、この表が見れます。博覧会国際事務局は、面積の最低半分はárea verde、つまり建物の外部側に向けるようにと指示しました。ブラジルはその外部側を利用して国産植物・果実30種(cultivares nacionais)を紹介します。スターフルーツ、コーヒー、ピーヌス(ブラジル松の一種)、ブラキアリア、その他の植物を184日間中展示します。

    そのスペースに入った訪問客は、網の上を歩くこともできます。網は、ブラジルパビリオンの博物館学的なコンセプトです。アグロビジネスは網(ネット)のコンセプトに基づいて成りたちます。大学院研究や民間企業の投資、一貫した公共政策、つまりアグロビジネスの連鎖に参加するすべてのプレイヤーの活躍があるお蔭でアグロビジネスは成り立ち、その活躍が網としてパビリオンで催されています。つまり、そのプレイヤーのネットワークを物理的に網で表しているのです。

    網は幅13メートル、長さ110メートルのものです。訪問客はその網に上がったり、網の上で休んだりできます。そうすることで、訪問客に私たちのパビリオンに入り込んでもらうのです。網というコンセプトを通じて我々と交流するわけです。物理的にパビリオンの音響と照明を作用するのです。次お願いします。

     ここで皆様もご覧の通り、これが網です。この網は、「インタラクティブ・テーブル(mesas interativas)」と呼んでいるスペースでへこみがいくつかあり、そこで訪問客が遊べるゲームが用意され、ゲームすることで、アグロエネルギーや家庭的農業、大規模農業等についてある程度学んでいただくことができます。

    出席者200人の容量の講堂を用意します。その講堂では、元へ戻せる観客席を設置でき、美術展示会や演奏会等を開催することができますが、このようなイベントも開催できます。また、豊かなデザインでデコレーションされたレストランも準備しています。レストラン家具はブラジル産のもので、客席80人分を用いています。次のスライドお願いします。

     また、バーを用意します。ここには客席50人分が用意されます。コーヒー店もあります。このすべての施設では、ブラジルの食文化を代表するメニューが提供されます。これらの多くは日本料理をはじめイタリア料理、ドイツ料理等、他国の食文化の影響を受けた料理も提供しています。したがって、このような料理は、ブラジルが吸収し、新たな意味を生み出し、オリジナルと別なやり方で生産したものになります。

     また、ブラジルパビリオンやブラジルをテーマにした商品を販売する店舗も出します。続きまして、ブラジルに進出している企業がこのイベントに参加するメリットをいくつか挙げたいと思います。

     以前も話しました通り、万博は2015年度世界最重要なイベントです。今年ブラジルが参加する最も重要なイベントです。万博には2000万人の訪問客が予想されています。参加国145カ国で64パビリオンが用意されます。その中でブラジルは、、紹介する内容の意味深さのため、もっとも期待されている国の一つです。

    このイベントに参加下さる企業は、その企業のブランドをパビリオンの価値観と関連付けしてこの大きな展示会を利用していただくことが大事です。価値観といいますと、「持続性」、「生産の供給性」、「技術」、「イノベーション」、「食料品とその管理の安全性」のことです。この展示会はブラジルのパビリオンを訪問する最低250万人の訪問客へのブランド展示になります。それは1日当たりおよそ1万人~1万5000人の訪問客がブラジルのコンテンツと良い話を聞きにくるということです。

     ミラノ万博の前、つまり、前回の上海万博では、万博に関して毎日ニュース3万件以上が流されました。したがって、これは単なるミラノでの展示会ではなく、世界を対象にした展示会です。そして、今回の万博でご自分の会社のブランドを我々の価値観と関連付けしたいという企業には、実質経費が発生しないための恩典があります。ルアネー法(Lei Rouanet)に沿ったプロジェクトがあり、総額1100万レアルの奨励金調達が許可されています。つまり、今回のイベントに協賛企業として参加希望の企業は、この恩典を申請することができます。ご興味のある方々にスポンサーシッププランを簡単に紹介します。5月初旬に「ヴァロール・エコノミコ(Valor Econômico)」誌に特別付録を発行します。その内容は、ミラノ万博で紹介する成功事例(boas histórias)についてです。特に、ブラジル企業における成功事例(boas histórias)を掲載します。また、イタリアのメディアでも広告宣伝を行います。一般紙「ラ・レプッブリカ(La Repubblica)」に一面全部を用いる広告スペースが用意されます。

    先週金曜日の正午からインターネットにアップロードされている我々のウェブサイトがあります。ウェブサイト名は「Brasil na Expo(訳:ミラノ万博へのブラジル参加)」です。ウェブサイトでは、協賛企業の話を語り、料理のレシピなど掲載しています。さらに、ブラジルやその企業の紹介、組織概要、そしてミラノ万博で紹介するコンテンツも共有しています。社会ネットワークサービスのフェースブックやツイッター、インスタグラム、YouTube、LinkedIn等も利用します。その取り組みはブラジルに限定されます。

    また、別な広告活動がイタリアで行われます。内部と外部向けのプレストリップも行われます。内部向けのプレストリップというのは、ブラジルで事業を行っている協賛企業を取材するために外国人記者召集を行うことです。外部向けのプレストリップは、万博(でブラジルパビリオン)を取材するためにブラジル人記者を召集するということです。ここ数日中にある広報会社と提携します。その会社の万博参加目的は、協賛企業のためにターゲット層の調査を行い、ブラジルパビリオン内でそのターゲット層との接触・関係づくりの戦略計画を立案することです。

    万博開催期間中に、協賛企業は、イタリアをはじめ多くの国の人々にプレスリリースを通じて各々の成功事例を紹介することができます。プラチナカテゴリーのスポンサーには、「パビリオンの夜」、つまり「スポンサーの夜」を提供します。スポンサーは、招待客専用のイベント開催のためにパビリオンを一夜利用できます。

    万博の展示時間は、開催期間中は午前10時から午後11時まで、プラチナスポンサーのためには、招待客を心地よく接待できるために、ブラジルパビリオンを1日午後5時から11時までの時間帯を提供します。プラチナスポンサーには200枚、ゴールドスポンサーには100枚、シルバースポンサーには50枚の招待状が提供されます。招待状の対象者は協賛企業の顧客や提携会社、供給会社、取引先です。

    ブラジルパビリオンを回る食べ物の屋台が2台用意されます。したがって、食品会社が参加した場合、184日間の万博開催期間中にその屋台を通じて会社のブランドでその会社の食品を販売することができます。

    講堂でイベントを行う日も数日用意されます。協賛企業は、そのスペースを利用してショーやセミナー、講演など、ターゲット層の訪問客とコンタクトするための何らかのイベントを行うことができます。プラチナスポンサーには利用期間2日間、ゴールドスポンサーには1日間を提供します。次お願いします。

     レストランも同じように利用可能です。協業会社をディナーに招待したい場合、そのレストランを予約できます。プラチナスポンサーには飲食費すべてを含む利用期間2日間、ゴールドスポンサーには1日間を提供します。バー利用はプラチナスポンサーのみに同じ利用期間で提供します。

     ブラジルパビリオンの印付けに協賛企業のロゴマークを張り付けることができます。また、先ほどお伝えしました国産植物・果実の紹介会社になることもできます。たとえば、トマトのセッションでは、協賛企業のロゴマークを表示することができます。同じようにスターフルーツやコーヒー、ピーヌス、にんにくを紹介会社として協賛企業のロゴマークを表示することができます。

    協賛企業は景品を用意することもできます。パビリオンに限らず、万博は多くの重鎮が訪れる場所です。万博に参加している総括監督(comissários gerais)の方々もそれぞれの国では重鎮です。そして、パビリオンの関係者の間で相互訪問は慣習になっています。したがって、訪問客に贈与するためのブラジルやスポンサーのロゴマークと関係がある景品を用意することは大事です。次お願いします。

    企業やスポンサー会社のロゴマークを表示したスペースを用意し、それを協賛企業の社名を表示することで用意できます。たとえば、こちらのスポンサープログラムの対象外になっていますので、網に社名をつけるということは可能です。我々が提供しているスポンサープランの対象外ですので、網に社名を付けるためには、50万レアルの投資額が必要です。国産植物・果実のスペースで用意される舞台ですが、青色で印付けされている小さな舞台があります。10万レアルで訪問客にショーや何らかの披露が行われる舞台に協賛企業名を付けることができます。先ほどお見せしました講堂は50万レアルで名付けることができます。そして1階全部の金額は30万レアルです。

    また、2階全体に協賛企業名を付ける場合、30万レアルです。3階全体に名を付ける場合、30万ですが、会議室は10万レアルで付けることができます。

    最後に、協賛企業が受ける他の恩典を紹介します。パビリオンで開催される毎イベントの終わりに全スポンサーの社名が読み上げられ感謝を表明します。重鎮にはVIP景品が贈与されます。そして万博の建物内やウェブサイト、リリース、その他の普及活動等で協賛企業のロゴマークが表示されます。

    我々とともに、ミラノ万博に皆様のご参加をお待ちしております。ご清聴ありがとうございました。

    イヴァン・ラマーリョ副大臣

    ありがとうございます。ここで皆様のご清聴と発表したミシェレさんに一言御礼を申し上げたいと思います。そして一つ大事な点について改めて発言させていただきたいと思います。

    ミラノ万博でブラジルパビリオンの責任者である、省庁間実行委員会委員長として申し上げます。ミシェレさんは、ここに出席されている全企業を万博参加に招待しています。ブラジルパビリオンに参加したいすべての企業、協賛企業として参加したい企業がいれば、心から歓迎します。

    ここに出席している皆様の企業はすべてブラジル企業です。日本による出資を持ち、ブラジルに投資した日本人投資家の企業でありますが、ブラジルで生産しているということを理解していただきたいのです。したがって、皆様はブラジル企業として考えてもいいのです。ブラジル企業、ブラジル生産会社、ブラジル製品の企業、そしてブラジルサービス提供会社、つまり生産会社のみとしてではなく、銀行や他の事業サービス提供会社としてミラノ万博に招待されております。ブラジルで運営されている企業はブラジル企業として見なされるため、ミラノ万博で協賛企業として参加いただけたら心から嬉しく思います。

    詳細や連絡先は平田さんにお伝えしていますので、平田さんまでお問い合わせください。参加条件についてもいろいろ融通が利きますので、ご興味があり、いろいろ参加立案などについてAPEXの万博参加担当チームと相談を希望する方がいれば、いつでもお問い合わせください。必要なことがあれば、我々開発商工省までお問い合わせください。ありがとうございました。

    司会

     イヴァンさん、ミシェレさん、ありがとうございました。ではスペシャルゲストのパートは以上にいたしまして、部会からの報告に戻りたいと思います。それでは後半の部会のご発表、機械金属部会の渡辺部会長、後半第一番バッターということでよろしくお願いいたします。

  • 機械金属部会  渡辺健司 部会長

    Pdf機械金属部会

     ありがとうございます。今ご紹介いただきました機械金属部会の渡辺です。よろしくお願いします。今回、我々機械金属部会の方で準備している資料が三つございます。

     一つは通常やっています機械金属部会の業種・分野別のレポート。それと去年11月に行いました会員全会社へのアンケートというのがございました。それの発表をさせていただきたいと思っていたんですけれども、ちょっと時間が押しているもので、2番目に関しましては商工会議所のホームページの方にアクセスしてもらうと全部そこに載っていますので、これはかいつまんでお話しさせていただきたいと思います。

     それと3番目、ペトロブラス汚職疑惑ということで、機械金属部会の日系企業への影響がどのくらいあったかと。というのも、あまり定数的ではないんですけれども、ご紹介できたらなと。もちろんこれに関しましては、直接間接色んな業界に関係しております。まあ有形無形ございまして。一部、ということで、機械金属部会という限られたところではございますけれども、どんなインパクトがあったかというのを簡単にご説明したいと。

     機械金属部会には約8のセグメントがあります。鉄鋼、発電等まぜまして、潤滑油関係まで、それぞれのセグメントずつに各ペーパーで1枚にまとめております。

     全体概況というのがあるんですけれども、これに関しましてはすでにコンサルタント部会、金融部会等で十分説明していただいたと思いますので、かいつまんで言います。

     2014年の回顧ということですけれども、まあペトロブラス案件はですね、パイプの油井管、舶用ディーゼル、商談が激減しております。原油価格の下落、低下というのもありまして、ペトロブラスの新しい案件が軒並み中断。それと当然、ワールドカップとかですね、期待した要素もあったんですけれども、結局稼働日数の減少によってマイナス効果ということで、我々の機械金属部会全体としては非常に低調な年であったと。

     2015年の展望としましてはですね、それに輪をかけるような形ですけれども、水不足、電力危機ということがありまして、インフレがまた非常にここ1ヶ月進んでおります。それで政策金利がまた上がるんじゃないかと。等々の影響を受けまして商業活動が縮小していくんじゃないかということで、2015年に関しましては明るい報告ができないところなんですけれども、業種別に見て行きますとですね、明るい分野もございます。この辺をちょっとご紹介したいと。

     まず鉄鋼関係。2014年度の粗鋼生産量は3400万トンで、ほぼ横ばいです。そういう意味では、最悪という状況ではないんですけれども、まあまあの横ばいで。ただ鋼材輸入量が非常に増えております。これは中国、ロシア、韓国なんですけれども、特に中国が7割程度を占めていまして、中国からの鋼材が入っている。また輸出の方もですね、景気が良い北米に後押しされて伸びているという状況でございます。

     では15年度の方はどうなるかということなんですけれども、会員の報告をそのままここに書いてありますけれども、非常に厳しい1年となりますと。価格・品質共に競争力ある鋼材がアジアからブラジル、中南米諸国へ入ってきていること。2番目。ブラジル国内の自動車販売台数が落ち込む可能性が非常に高いということで、現在平均4ヶ月を超える鋼材在庫を抱えております。マーケットが下落傾向にあることから、在庫評価損を当面抱えることになると。

     また、いわゆるラバ・ジャットというか、ペトロブラス関連に関しまして、鉄鋼業界にとっては大きな痛手となるのは間違いないと。ペトロブラスに直接連動しているプロジェクトで使用されている鋼材、パイプ、海上リグ用の鋼材、の先行き動向が不明なのと、関係会社に付随してくる造船用、掘削用船の鋼材にも影響が出てくると。またですね、ペトロブラス関連のプロジェクトは同社メンバーから本件への影響はないという発言もありましたが、実際深海プレサルに関わる入札関連はストップしているというような状況で、2015年の展望としては非常に暗いという状況にございます。

     2番目の発電・社会インフラ、これは都市交通、鉄道等を含んでおります。2014年の回顧はですね、発電関連では水不足、電力代金の高騰。というのは既に去年から始まっていまして、それが電源の多様化というニーズを一面で拡大しております。2014年の電力オークションではバイオマス火力とですね、風力が案件を成約させております。実際に案件が動いているということです。加えて、ガス炊きの大型火力、GFCC、コンバインド・サイクルですね、の成約もありました。それと、小型に関しましてはですね、ディーゼル発電の設備の販売は2013年ベース並み、横ばいであったと。

     また、地下鉄のサンパウロ6号線をですね、8月に正式受注し、プロジェクト立上げを行ったという事例もございます。また、これも似たようなものですけれど、都市交通案件も具体化したんですけれども、工事中にレールが落下してですね、そこで中断、大幅遅延となったという事例ですが、2015年に至ればこれも案件の復活も出てくるだろうし、また発電関係でですね、水不足がさらに深刻化、電源多様化が加速されるというふうに思われまして、風力・バイオマス発電案件の増加を見込んでおります。ガスの大型火力についても同様です。

     電力事情の悪化を背景にですね、小型ディーゼルエンジン、発電セットの需要増も見込まれると。台数ベースでは8%~10%ぐらいを予想しております。まあそういう意味で、再生エネルギー、省エネ案件、小型分散型の案件がですね、増えるんじゃないかというふうに考えています。

     地下鉄の案件ですけれども、引き続きそういうインフラ改善のニーズはありますので、計画は出てくると。ただし、昨今の政府の、ジルマ第2次政権の緊縮財政方針もあるということで、遅れる可能性も危惧しております。

     3番目のプラント機械・造船関係なんですけれども、製鉄関係に関しましては新規投資案件すべて見合わせと。非常に厳しい年でありました。石油ガスに関連しましても、ペトロブラスの業績不振は改善されておりませんで、新規投資案件は実質凍結の状態。油井管の引合いも停止と。石油化学。新規投資活動は鈍化した状況が継続と。

     で、2015年はこれらの業界はどうなるかということなんですけれども、まあ資源価格の下落で明るい材料が乏しくてですね、改造・補修需要程度かと。今のは製鉄プラントですね。そして石油ガス、石油化学に関連しましてはご存知の通り各種案件の資金調達が非常に難しくなっております。大型プロジェクトの計画は凍結もしくは大幅な日程の遅延ということで、こちらも先はちょっと暗いと。

     製紙パルプ関係の2014年の回顧としましては、世界的パルプ需要は以前高く、各社設備投資を検討していたと。実際の受注もあると。2015年、今年になりますとですね、中国のパルプ需要も衰え、パルプの価格下落を予想します。各社の設備投資も飽和感が出始めているということで、黄色い信号が点滅しつつあると。

     造船に関しましては2014年はですね、ペトロブラス疑惑の影響で傭船会社、SETEBRASILという会社があるんですけれども、ペトロブラスから傭船契約をしてSETEBRASILが掘削船、ドリルシップを購入するというスキームをとっております。そこの会社がですね、28隻のドリルシップを発注しています。1台800億円としますと、2兆4000億円ですか、ぐらいになりましてですね、非常に膨大な契約をする予定なんですけれども正式な契約ができていないということで。そこのSETEBRASILからの入金が滞りまして、非常に事業に支障をきたしているという状況でした。それが今年になってですね、当然ながら造船会社が資金難を回避できるかどうかという出資スキームの構築を早期に行えるように努めているところなんですけれども、この辺が鍵になりまして、これがうまくいかなければブラジルの造船会社にとっては非常な痛手になって、まさに完全に、まあペトロブラスの投資計画の見直し等もありますので、お先真っ暗な状況が引き続き続くと。

     産業機械に関しましては、特にこれはセメント関係なんですけれども、景気減速によりましてブラジルのセメント各社は設備新増設計画をすべて延期しているということで、プロジェクトは進捗していないと。安定的にスペアパーツの受注を獲得した程度です。ブラジル以外の南米各国ではセメント生産設備の新増設計画が実行に移されているということで、ブラジル以外の地域の市場を頼りにしていると。この傾向は今年も続くと。南米全体のセメントの消費は拡大すると。で、ブラジルの設備投資は低迷するということで、ブラジル以外の南米各国の動きに期待して市場活動を行っていきたいというふうに考えております。

     建設機械。2014年の回顧としましてはですね、数字的には2013年度に比べて横ばい、0.4%の微増と。昨年は大統領選挙の年でありまして、景気対策の一環として農業開発省向けのテンダーがあったと。上期に3000台、下期に200台ということで、この3200台のテンダーが入札があったということでですね、建設機械の台数は変わっていないように見えますけれども、経済の停滞や金融機関の与信強化等でですね、建設機械の需要にとっては総じて厳しい環境であったと。それが今年になりますとですね、上期下期あわせて1万1000台ということで、昨年の25%減ということになります。景気の停滞が継続しまして、需要の調整局面に入ると見込まれて、こちらも昨年に比べますと非常に暗くなりつつあると。

     2014年末にラバ・ジャット作戦によりましてペトロブラス汚職に関わる国内大手建設会社からですね、多数の逮捕者が出ております。そういう影響もあってですね、ゼネコン向けの案件が低調になるという影響もありまして、回復基調が出てくるのは下期以降であろうという見方です。

     小型の建機ビジネスに関しましては、小型バックホールというのがあると聞いていまして、2014年の輸入統計全体ではですね、前年比135%伸張していると。販売も、台数ベースもですね、前年比180%と、非常に好調な業界、セクターがございました。じゃあ今年はということになりますと、労働賃金の上昇等によりまして、小型建機の増加トレンドは当分継続すると推測しているという状況です。

    農業機械ですけれども、小型ディーゼルエンジンビジネスについては昨年度は横ばいと。トラクタービジネスに関しては、農作物の収穫は良好であったけれども、市場価格が下落して15%ダウンと。今年、2015年の展望はということですけれども、小型エンジンに関しましては、電力事情の悪化というのがあって、小型の発電機セットが需要増が期待されるということで、今後増加するというふうに見ております。ただし小型の20馬力以下に関しましては、中国製が主流となっておりまして、日本の企業に対してはあまり影響はないというふうになっております。

    その次が、各種工作機、射出成型機ですが、電動工具等に関しましては、一桁の伸びと。今年以降はですね、2月からMinha Casa, Minha Vida という建築需要が出てくるということで二桁以上の伸びを想定しています。成型機に関しましてはですね、ブラジルの自動車生産台数は非常に悪かったと。前年に比べまして15%減ということであったんですけれども、先ほど自動車部会の方からも連絡ありましたけれども、そういう景気の良い部分もございました。現代自動車、それから日系の自動車会社については非常に攻勢がありました。そういうところに成型機の需要がかなりあって、受注もできたと。その傾向は今年も続くであろうと。現地生産比率の拡大とか、プラスチックの消費量は今後も増加する見込みということで、加えて日系の自動車会社は引き続き生産台数を伸ばすであろうということを見込んで、成型機ビジネスに商機ありというふうに踏んでおります。

    切削機械に関しましては、やはり自動車の販売が不振ということで、二桁の大幅な落ち込みがございました。今年はですね、まあ穏やかな上向きを見ているということです。ただ、こちらで工場を持っている会社と日本から輸入販売しているところと色々事情の差がございますので、ここら辺の数値については若干異なるところがございます。

     機械・計測機器。チェーンメーカーの発表によりますとですね、高機能商品を製紙、製菓業界を中心にPR活動した結果ですね、他社置換受注に成功したということで、まあ特定業界に営業活動を絞り込んでですね、そういう積極的な活動を行った結果、成功例ができたということで、今年もそういうふうな展開を拡大していきたいということです。ポンプ関係はですね、この数年来の中で一番厳しい年であったということで、O&G、オイル&ガス向けですね、石油・ガス向けのマーケットは土砂降り。アルコールなど産業向け公共事業向けも受注が減少していったと。今年はどうなるかということなんですけれども、昨年以上の厳しい事業が継続するというふうに認識しておりましてですね、まあブラジル工業全体の成長率が落ち込んでおりますので、そういう環境下の中で新しい営業活動を進める必要があると。

    それとホイスト・クレーンですね。工業成長率の落ち込みの中でFINAMEの融資金利が非常に上昇しているということで、金利負担が非常に大きくなって支払いを猶予しなければならないようなケースも出ているという発表もございました。

    潤滑油・ベアリング関係、軸受関係ですが、2014年としましてはやはり自動車・二輪向けに関しましてはワールドカップによる稼動日数減少や自動車・二輪販売の低迷という影響を直接受けていまして、売上に影響をきたしたと。産機OEM関連ではですね、第一次産業向け、まあ農業ですね、Vale等鉱山業界向け、特に厳しいビジネス環境だったということで、こちらも営業活動が低迷したということでうかがっております。2015年はどうなるかということなんですけれども、やはり自動車メーカー関連に関しましては引き続き在庫の調整、消費者需要が弱いということでですね、需要回復スピードは非常に穏やかというふうに見ております。

     以上が大体の14年の回顧と15年の展望ということなんですが、その後で「どう頑張る日系ビジネス」と。じゃあ今年はどうするんだろうという話し合いもあったんですが、それをちょっとまとめますとですね、何回も繰り返しておりますけれども、事業環境は在庫調整、消費者需要の低迷、設備計画の遅延、金利高で投資意欲が低下しています。その結果ですね、当然ブラジル経済の回復のスピードは穏やかになると見込まれる。その中でですね、まあどういうふうな活動方針等をとるかと。市場の拡大が限定的であることから、収益性の確保のためのコスト改善。同じ量の受注を受けても利益を出すんだという姿勢ですね。それと、数少ない案件をですね、着実に受注し続けると。中小規模案件の対応強化。他南米諸国、ペルー、コロンビア、チリの顧客の開拓という意見もございました。

     それと、今でこそですね、顧客の要望に迅速、柔軟に対応する日本人らしさを見せて、顧客の信頼を構築していこうというご意見もございました。それと、新しい事業の開拓。従来のビジネスフィールドに固執しない。コアになるソリューションビジネスに集中する。それと、生産性向上、品質向上、省エネ対応の自動化、これらのノウハウを積極的に提供していきたいと。それと、前払い金の金利コスト負担が非常にブラジルでは高くなっているということで、本年度より本社資金、日本からの資金を利用したファイナンスに切り替えるという企業もございました。

     以上が各セクターからのレポートをまとめた内容です。続きまして機械金属部会会員会社へのアンケート実施ということなんですけれども、これは去年の11月に行いまして、まあ今回ちょうど良い機会なので発表させていただこうと思って一応ペーパーにはまとめておりますが、結局いつごろブラジルに出てきて、人数がどのぐらいで、どこら辺に工場を作って、お客さんはどの辺でしょうかということを簡単にまとめたもので、時間をかけるよりも見ていただいた方が早いと思いますので、省略いたしますけれども、まあブラジル経済における今後の課題という中で、税制の複雑さ、労賃の高さ、移転価格税制等すでに皆さんからご指摘いただいているところですけれども、それに加えてですね、アンケートの中でですね、税務当局がかなり恣意的に違反認定を行うと。

    これがですね、裁判になれば長期化、敗訴も想定されるということで、まあ泣き寝入りの状態でやめてしまうと。税務当局の指示に従うと、で税金を払うという場合があり、これがですね、税務当局のこのようなやり方がですね、ブラジル事業の中においてですね、最大の潜在リスクじゃないかという指摘もございましたので、ご紹介しておきます。

    それとブラジル経済の見通しということで、今後2年間、および5年後のブラジル経済の見通しというアンケートをとりました。これはですね、まあ多分皆さんの想像する通りなんですけれども、この2年間はですね、良くも悪くもならない、悪くなる、足したのが80%です。ですのでこの2年間は我々の機械金属部会のメンバーはそのように見ていると。じゃあ5年後はどうだと。この辺は期待を含めましてですね、かなり良くなる、良くなる、二つを足すと約70%という数字になっていまして、5年後にはまた皆さん期待をしているという心持がよく出ていると思います。

     それで3番目、ペトロブラス汚職疑惑ということでペーパーに4枚にまとめました。5枚ですね。それを簡単に紹介させていただきます。

     国営企業のガバナンスはどうなっているんだということをですね、まず一番上に表しています。これは証券取引所とかですね、色々部門がありまして、そういうところがですね、かなり本来ですと詳しくそういう精査をしている活動行為に関しまして、そういう状況なんですけれども、昨年の4月ぐらいからですね、連邦警察の特別捜査、これラバ・ジャットと呼ばれている訳ですけれども、ペトロブラス石油公社の幹部をはじめ大手ゼネコン23社の捜査がの対象となって行なわれて、現在も行なわれていると。対象項目に関しましてはですね、カルテルの形成とか、経理管理の欠如とか、贈収賄とかありまして。この資料はですね、実は今年の1月21日に発行されました月刊誌EXAMEを抜粋したものです。これの日本語訳がですね、商工会議所事務局の方から和訳されたものが出ております。これはホームページにアクセスしていただければ詳しいところは読めると思います。

     その捜査の結果ですね、ブラジルの経済市場ではですね、1~4番。1、進行中公共プロジェクトの工事停止。2番、労働者の解雇。3番、新規プロジェクトの先送り。4番、投資家離れが起こって、今後の公共事業の推進に悪影響が出ていると。ラバ・ジャット作戦の行方の予測はもちろん難しいし、今回の会の目的じゃないんですけれども、官民の関係改善などがですね、期待される等ポジティブな局面も言われております。これはブラジルの従来の経済構造の改革、まあビジネスモラルの改善とかですね、その辺がポジティブな見方をすればですね、この辺が期待できるのではないかということになっています。

     その次のページ。ペトロブラス汚職疑惑で色んな質問がなされています。1番から9番。ラヴァ・ジャット作戦がブラジル経済にもたらす悪影響。それに対して有識者のコメントということでですね、なされているのが右に紹介しております。基礎項目だけご紹介したいと思います。

     1番。ラヴァ・ジャット作戦に伴い2015年度のブラジル経済は圧迫されるかと。コメント。ペトロブラスの存在感。年間投資額約700億レアイス。サプライチェーンを構成する企業数約6000社は軽視できない。年間投資額を10%削減すればGDPに0.5%のインパクトをもたらすと。GDPの0.5%というのはどれぐらいなんだということなんですけれども、手持ちの資料で2013年のブラジルのGDPは2兆2500億ドル。その0.5%といいますと1125億ドルになります。これを円に換算すると13兆円ということで、これは莫大な数字になりますので、このペトロブラス汚職疑惑というのの影響はもう打撃的と言うしかないなというふうに感じております。

     ではこれ、後で読んでいただいた方が分かると思いますので、その次のページもペトロブラスの概要です。つまりどれだけの投資をしてですね、中期計画の中でブラジル経済どれだけ影響しているかということを表しております。

     その次の、機械金属部会企業への影響ということで、鉄鋼から潤滑油まで間接・直接の影響を調べたものをここに書いております。これもですね、大体見ていただければ分かりますけれども、一番問題になるのはですね、間接的にはブラジルのビジネスチャンスが減少したというふうにみなされてですね、日本からの投資の減退が非常に心配されると。それとブラジル企業の労働者の解雇も多数もう発生しております。

     日本だけでなくてですね、ブラジル双方の経済に打撃になっていると。実は代金を回収できない例もすでに出ております。造船関係でも8億レアイスの支払い遅延。それとABMAQさんの方で調査したのも3億レアイスの不良債権化という数字も出ておりまして、かなり大きな悪影響が出ているということだけはちょっと指摘しながらですね。一番最後。24ページ目なんですけれども、結局、赤文字で書いてありますけれども、まあ早期の決着がブラジル経済の再スタートに不可欠。政治的リーダーシップによる企業支援というのを考えていただきたい。ジルマ大統領の所信表明演説が1月27日にございました。その中でも触れております。汚職に対する再発防止メカニズムを改善・導入すると同時にですね、犯罪者を厳しく処罰すべきと。しかしながら企業、官民を問わず、はブラジル経済の発展に不可欠であり、絶対に破壊してはならないと。まさにその通りだと思います。以上です。

    司会

     渡辺部会長ありがとうございました。質疑応答を行いたいところではありますけれども、ちょっと時間が押してしまいましたので、ご質問ある方はですね、機械金属部会に直接後日お問い合わせいただければと思います。続きまして食品部会の岡崎副部会長、よろしくお願いいたします。

  • 食品部会  岡崎徹 副部会長

    Pdf食品部会

     こんにちは。日清味の素アリメントスの岡崎です。本日は部会長の石井が不在ですので、私が代わりに発表させていただきます。早速本題の方に入らさせていただきます。

     本日はこの4点を中心にお話させていただきます。次お願いします。

     はじめに2014年の食品の市況ですが、外商、BtoCのマーケット。こちらは数量ベースで前年90%ぐらいだったのではないかと推定しております。インフレ分の値上げも反映した金額ベースでまあ前年並みというふうに読んでおります。食品という仕事柄、私非常に出張する機会が多くてですね、サンパウロにいるより他州にいる方が多いんですけれど、非常に昨年というよりは、全然、2013年の10月ごろからですかね、非常に荷動きが重くなってきたと。少し何かやばいなと。

    14年に入ってからも何とか5%6%ぐらいは維持をしていて、まあそのうち何とか良くなるんじゃないかと思っていたところ、ワールドカップを境にですね、非常にこう厳しい状況になったと。それまでは毎月月末になるとオーダーが集中してですね、どうやってものを作るかということを非常に苦労していたのが、数字が行かなくてですね、どうやって卸店にものを積み上げるかというようなぐらい、劇的に14年状況が変わったと。

     原因については他の部会でもお話があったと思いますので、非常にそういう環境の中で消費マインドが落ち込んだというようなことが原因であろうと。ただ日本でも非常に不況に強い業界であるということと、私6年ブラジルにいるんですが、非常にこう楽天的な国民性を考えると、こんなに急に業績が落ちるというふうには想像していなかったというところが本音のところです。

     一方、三つ目のところに書いてあります通り、調味料とかヤクルトさんですとか、例えば外食というようなところで非常に効果的な施策で前年を上回るというような業界も実際はカテゴリもあったということで、コモディティから加工度の高いものへという大きな流れは変わっていないんだろうなと。だからまあ不況という波は来たんだけれど、非常に食の欧米化が進んで加工度の高い食品へという流れとの相殺で勝ち組も中にはあったということです。あともう一つ、最後のところにある輸入酒類、あとは日本酒ブームだとか健康価値というようなことを反映したこういったブームですね。ここに乗った業界さんというのはまだまだ今後も注目、伸びて行くマーケットなんだろうなというふうに考えています。次お願いします。

     業界動向なんですが、ご存知の通り食品はBtoCがあったりBtoBがあったり、外食向けがあったり、輸入をして国内で販売する業界さん、メーカーさんがあったり、逆に原料、コーヒーのように輸出をする業界さんがあったり、非常に一言でまとめるのが難しかったので、一応全部簡単にご説明させていただきます。

     まずは酒類ですが、上期、ご報告の通りワールドカップ効果でビールは非常に好調であったと。また庶民がカシャッサを我慢する一方、Aクラスというのは不況の影響がないのか高級酒類である輸入ウィスキー、ウォッカ、スピリッツというところは堅調に推移したというふうに聞いています。次お願いします。

     また発酵飲料は本数ベースで7%増、金額ベースで二桁増、果汁飲料も10%増ということで好調に推移しました。粉末ジュースというのはこういう小さい粉末を1リットルぐらいの水に溶かすタイプのジュースなんですが、こちらの商品は私が知る限りいまだに一レアル以下で買える唯一の商品。我々の即席めんも昨年までは1レアルで買えたんですが、現状では多分1レアルで買える唯一の商品だろうと。これも112%と順調に推移したと。

     コーヒーについては店頭価格が30%上昇する局面もあったと聞いていますが、100%以上を確保したということです。次お願いします。

     調味料ですね。固形、粉末調味料はこちらもまた6%増ということで、ボリューム6%増ということで堅調に推移しています。また醤油、味噌、米など日本食の広がりにあわせ国内産、輸入とも好調でした。

     一方、我々の業界なんですが、即席めんについては先程もお話しした通り、食数ベースで前年を割りこんだと。これまで大体カテゴリが7~8%、まあ2013年までは毎年のように伸びていたのが、2014年は前年割れであったということです。ただ非常に、神風というか、2012年後半ぐらいから高止まりしていた小麦の価格が一気に下がったこともあって、利益の方では何とか予算ぐらいまでは行くのかなというふうに見込んでいます。次お願いします。

     輸入に関しては、これキッコーマンさんの情報なんですが、並行輸入品が減少して、大分フォローの風であったと。ただ引き続き通関トラブルが多く、インポーターを増やすなどの対応を強いられていると。先日サントリーさんにおうかがいしたんですが、何か焼酎がどうも輸入規制で止まっていると。ただこれは原因はよく分からないと。良く分からないんだけれど止められて全部、卸店さん、店頭、全部赤札を張られて、出荷しちゃだめよと。でも聞いても全然理由は教えてくれないというような、非常にこうまだまだ不透明な法律だとかルールだとか、そういうものがあって、中々簡単な話じゃないなということです。

     続いてBtoBのマーケットですね。業界の情報ですが、一つ目はココアバター。これの高騰によって代用油脂は非常に売上好調だと。食品香料も日系顧客向けが堅調であると。酵素製品ですね、これは食感を変えたりそういう機能のある食品ですね。これも新規顧客を開拓して売上増ということです。こういったビジネスはもう今日本では大きなボリュームを持つ商品で、多分ブラジルの食品の加工度が上がっていくに比例してこういった売上も当然増えて行くだろうということで、部会でも大変期待をしている分野です。

     種苗について。これ私はブラジルに来るまで知らなかったんですが、ブラジルはこの大農業国でありながら種苗はほとんど輸入をしているということで、こちらも非常に楽しみな、特に事業としては付加価値の高い商品の需要が上がっているという報告を聞いております。次お願いします。

     業界動向の最後、トピックですが、NHフーズさん、日本ハムさんが昨年国内販売許可を取得されたということが一つと、JTさんですね。JTさんが事業再開をされて、2015年から商工会議所の方のメンバーにもなられました。次お願いします。

     次に原料動向です。長期トレンドはここにも書いてあります通り上げ基調ではありますが、個別に見ていただくと、例えば、ちょっと次をめくってください。砂糖。こちらは安定局面に入っている。こういった原料もあります。次お願いします。

     乳相場ですね。あと小麦なんかもずっと高止まりしていたのが少し下がってきたというような原料もあります。次お願いします。

     コーヒーの方は天候によって、天候が悪くなると上がったりですね、雨が降るなんていう情報があると上がったりして非常に乱高下をしていて中々安定しないということで、先行きもちょっと非常に不安であるということを聞いております。次お願いします。

     燃料について、こちらもですね、ここに書いてございます通り、上げ基調。特に先程他の部会でもお話あったように渇水の影響で電気のスポット価格が上昇していると。この辺は非常に懸念材料です。次お願いします。

     渇水に関する情報をご紹介します。店舗を持たれている、例えば外食で店舗を持たれているようなお店では、水が足りなくてですね、各店水使用をチェックしたりですとか、手洗い場を閉鎖したり、給水車で水を買っているなんていうところもあるということで、非常にまあ影響出ていると。工場についてはですね、我々の工場もそうなんですが、ほとんどの工場さんは井戸を持っているので、特に生産への影響というのは限定的かなと。ただ、小さいサプライヤーさんとの取引もあるので、そういうサプライヤーさんが水不足のために供給できなくなったりというようなことを見越して、在庫を持ったりというような対応はしているところです。次お願いします。

     2015年の展望ということですが、ここに書いてございますように、今まで消費を牽引していたミドル層、ここの消費マインドというのが中々好転は急にしないであろうなというふうに見ています。それに加えて、レアル安、原燃のコスト上昇ということで、収益面の悪化ということも考えられると。

     そういった中で、じゃあどうするのというところなんですが、Cクラスの方は当然価格コンシャスでですね。ただ一方でおいしさとか、お子さんいらっしゃるご家庭では当然健康みたいなこととか安全だとかいうことを非常に気にされている消費者は増えてきたと。例えば外食、外で食べる機会なんかはどんどん増えていると。あとは日本食ブーム。サンパウロにいるとすごく感じると思うんですけれど、日本食ブーム、遅ればせながらやってきたと。

    こういったトレンドをどういうふうに捉えてですね、いかにそこに対応していくかというようなことが大きなポイントであろうと。我々非常に日本で不況というのは慣れていて、この10何年ずっと不況の中で売上を毎年毎年何とか積み上げてきたというような経験は持っているので、中々そのための原料が入らないとか、包材がないとかという問題いっぱいあるんですけれど、まあそういうことをしっかりやっていって年度の目標を達成したいなというのが部会の大きな方針です。次お願いします。

     二つ最後にトピックをご紹介します。ご存知の方も多いと思うんですが、昨年8月にですね、安倍総理の来伯を機に日本の農林水産省と伯国の農務省の主催により、農業・食品関係事業の発展に向けた両国官民での継続的な協議を行う場として「日伯農業・食料対話」というのが発足しました。食品部会としては第1回目の対話、こちらの方に参加させていただきました。引き続きですね、下の①②に書いてございます通り、テーマ別分科会への参画であるとか、第2回ですね、今年の年末に行なわれると言われています第2回の交渉案なんかに少し応援をさせていただければなというふうに思っています。

     最後の1枚。あと、日本食がユネスコの世界文化遺産なんかに登録をされたりとかいうことで、ブラジルでも少しずつ日本食が注目されてきたりしている。こういうことへの働きかけというのは、今すぐにはあまりビジネスに、特に我々は即席めんの事業なので、中々こうやってすぐに跳ね返って来るかというのはちょっと難しいかなとは思っているんですけれども、まあ長い目で見ればこういうことが食品業界の発展につながるのかなということで、こういったことも部会としてはサポート、参加をしていきたいなというふうに思っております。

     以上ちょっと駆け足でありますが、食品部会からの発表でした。ありがとうございました。

    司会

     岡崎副部会長どうもありがとうございました。本日はあと四つの部会からのご発表を予定しております。大分時間が押してきてしまいまして、誠に恐縮ですけれども、それぞれの部会のご発表をですね、予定よりも大体4分から5分程度詰めていただいてですね、簡潔にご発表いただけるようにご協力いただけますと大変ありがたく存じます。恐縮でございます。では続きまして、運輸サービス部会の森田部会長からよろしくお願いいたします。

  • 運輸サービス部会  森田透 部会長

              

    Pdf運輸サービス部会

     どうもお疲れ様です。それでは運輸サービス部会、発表させていただきます。我々はですね、物流、構内物流、機工、整備、海運、航空貨物、航空旅客、旅行、ホテル、通信、ITと非常に多岐にわたっておりますけれども、それぞれの業界別にご説明させていただきます。

     まず物流ですけれども、14年の回顧としまして、ワールドカップ以降の荷動きは鈍い上、さらに年末の荷動きを見てもあまりよろしくなかったということで、全体的に低調な厳しい1年だったということです。2015年の展望といたしましては、サントスの新規ターミナル、これが操業を開始して、ターミナル内での効率化が図られつつあると。さらにそれが効率化を図って行われることによってコスト的なものが低減されることを今期待していると。あとは電力不足による国内工業生産ですね、これが減少する可能性が出てきているということで、今後どのような、輸出入バランスですね、これに影響が出てくるか注視していく必要があるということです。我々の物流業界としては、昨年以上に厳しい年となるということで、今後減量経営ですね、こういったものをどう、どのタイミングで行うかというのが一つのタイミングになってくるかと思います。

     あと参考で海外引っ越しなんですけれども、ここにございます2012年、平均で約65日ぐらいかかっていたものが、昨年で約33日と約5割減ぐらいのリードタイムになっております。若干スムーズに動いているということですね。あとは、残念なことに、やはり輸出、帰任者の量の方が件数の方が逆に多くなっているという傾向があるそうです。次お願いします。

     次に我々物流業界の中で、機能強化委員会、この中での通関ワーキンググループの中で先日、税関、CNIと税関にお願いしてAEOのプレゼンテーションをやっていただいたんですけれども、これちょっと青ポチをクリックしていただけますか。これは細かく今説明しませんけれども、一応現在27カ国で、日本も約7カ国と協定を結んでいるという形で。今ブラジルは昨年14年からOEAのプログラムでFase-1としてパイロット企業5社をを選出して、輸出のテストを始めたと。Fase-2として輸入のテストを今年は開始する予定であるということですね。

    現在ウルグアイと相互協定の協議中ということになっています。対象企業としてはここにありますような、約6つの企業。これが行われることによって、日本ブラジル間の相互協定計画がもし締結されたとした場合は、ここにおられる日系企業等の輸出入通関ですね、こういったものに関してのリードタイム、こういったものが短縮することによって経済効果を期待することができるんではないだろうかと考えております。次お願いします。

     次に構内物流ですけれども、2014年の回顧といたしましては、ここもやはり鉄鋼関係非常に厳しいということで、協力構内での競争が激しいということで、結果、一部業者の撤退等も発生しているという厳しい状況でした。2015年に関しましてはやはり同じく、鉄鋼、継続して厳しい状況が続くと思われますので、やはり同様にコスト削減、これが非常に生き残るためには重要なポイントになってくるということで考えております。次お願いします。

     次、海運業界なんですけれども、海運業界としましてはブラジルの全体の動きの大勢を占めるアジアトレードの貿易量の増減を主に反映して、前年比で輸入が3%減、輸出が15%増という傾向になっています。不定期船に関しましては前年比約5%の伸びを見ておりますけれども、同輸送を補うケープサイズの傭船料ですね、これは一時的な山谷あっても全般的には船腹余剰感は解消されずに、市況は低迷が続いた。ちょっと青ポチで、これはデータなのでまた後で見て下さい。これはバックデータとして載せておりますので。

     あとインフラ面ではサントスの、先程も出ましたけれど新ターミナル、BTPターミナルとEmbraportターミナルですね。この二つの新しいターミナルが稼働しました。これによってインフラの改善が図られて、運航が安定してきたということですね。あと荷動きの停滞に伴い船腹供給の増加、本船の大型化は一段落したということです。海運企業全体では運賃が低迷してきたということで、荷主にとっては逆に良い傾向かもしれませんけれども、海運業界ではちょっと厳しい状態だったということですね。

     2015年の展望といたしまして、コンテナ船は景気の低迷、レアル安の影響を受けて輸入の停滞傾向は昨年に引き続きしばらく続く見込みであるということですね。不定期船に関しましても、ブラジルの鉄鉱輸出、これがどういうふうな形で動くか、いま豪州産等が非常に供給増が見込まれているということで、ブラジルからどのような形で動くか今後まだ不透明であると。

     あとインフラ面では港に於ける浚渫作業ですね、これによってコンテナ船等の大型化が前進することで効率化を期待されるということです。それとあとアルゼンチンの経済建て直しの見込みができないということで、今後どのような、需給ギャップですね、これがどうなるかということが一つの課題になると。それとあと、海運における競合環境ですね、これが引き続き厳しいと。2013年に進んだ本船大型化の一方で需要は2年にわたり伸び悩み、業界全体としては厳しい状況が今しばらくは続くということです。次お願いします。

     次に航空貨物業界ですけれども、輸入総数量は前年対比約4%減。それで輸出数量は前年対比1.0%ということで。ただこの統計がですね、昨年までは一律全空港取れていたんですけれども、ブラジルらしくINFRAEROが民営化された後同じレベルでの統計が取れなくなりまして、一応これは主要3都市、サンパウロ・マナウス・クリチバだけでの統計結果です。2015年の展望としましては、輸送リードタイム、やはり航空貨物は早いということで戦略的に航空貨物を利用する体制は維持されるものと考えております。こういったもので少しは同じ、横ばいですね、という形になるかと思います。

    それとあとさらなる空港の民営化の推進、これによってインフラの改善とリードタイムの短縮を期待していると。ただインフラが改善されても、あと税関とかANVISA、MAPA、こういったものの中の動きが変わらないと貨物は出て来ないということがございます。それと一応今民営化された空港がここに5ヶ所あります。あと新たに今年3ヶ所が民営化される予定になっています。次お願いします。

     航空旅客業界ですけれども、国内線は堅調に推移。旅客の伸びが座席の伸びを上回っていると。国際線も同様。空港インフラはグアルーリョス空港でご存知のようにTC-3 の国際線にほぼ集約されたと。業界動向として、VCP、ビラコッポス空港から新航路が就航していると。中にはAZUL、これがVCPからマイアミのOrlandoへのデイリー運行を開始しているということです。

     2015年の展望といたしましては、国内線、景気は低迷が懸念されますけれども、底堅い需要に支えられる見込みであると。国際線も景気低迷およびレアル下落における需要は停滞懸念が見られるということですね。業界動向としては、現在原油価格が落ちていますけれども、これが一時的にプラスのインパクトになるとは考えられますけれども、景気低迷によるレアル下落による今後の需要の冷え込み、これがどういうふうに影響するかですね、懸念されるということです。

     それと課題としましては、ずっと毎回出てきていますけれども、やはりインフラ、これが非常に大きな課題であるということで。空港だけじゃなくて、空港間とのアクセス、こういったものがやはり問題になって来るかと思います。次お願いします。

     次、旅行・ホテル業界ですけれども、14年としましては、国内線の旅客ですね、これが前年同期比約6.6%の増。国際旅客が5.7%の増。旅行業界としては、ワールドカップ期間中やはりビジネス客は大幅に減ったと。レジャーの国内は航空運賃、宿泊費が非常に高いということで逆に減少したと。逆にブラジル人が、やはり物がここは高いということで、買物を兼ねた海外旅行が非常に増加したと。ホテル業界に関しましては、稼働率は前年対比7.5%増ということで、2013年よりはちょっと落ちているということですね。

     15年の展望として、国内・国際線としましては、2月のカーニバル、4月、5月、連休ですね、こういったもので国内線の売り上げを期待しているということです。国際線は大体前年と同じレベルで予想はしていると。旅行業界は、ブラジル経済不調でビジネス客の減少を予想していると。国内線は旅費、物価高騰のために期待薄であると。海外旅行は、まあ海外買い物をかなり期待していましたけれども、現在非常にドルが高くなってきているということで、これがどういうふうに影響を受けるかと。あとはオリンピックの先駆けの視察団などの増加を期待しているということです。ホテル業界に関しては、上期は4%の稼働率増加が見込まれるということですね。

     旅行・ホテル関係での課題としては、これは前回も出てきておりますように、やはり観光査証、これが引き続きもう少し簡素化、それと期間の長期化というのか、そういったもので早く解決を望んで、人の動きを活発にしていただきたいということですね。次お願いします。

     次に通信業界ですけれども、携帯モバイル、14年の回顧としまして、急速に4Gおよびスマートフォンの普及が進展していると。4G契約は3倍以上になっていまして、677万台。スマートフォンについては約5500万台が売られたということですね。3Gから4Gに傾向が移ってきているということです。

     15年の展望としましては、スマートフォンの急速な普及にともなう写真とか動画のデータ通信が増加することから、4Gの普及はますます促進されるであろうということですね。あと、ここにありますように、全体的にはやはりスマートフォンというものでデータのボリュームがだんだん大きくなってくるということで、今後この業界というのは拡大していく方向になってくるかと思います。次お願いいたします。

     次が通信業界で、2014年の回顧としましては、Telefonica/VIVOが業界第4位のGVTを買収したと。それとあと、Claro、NetおよびEmbratelが合併を発表したということですね。それと3キャリアを分割買収するとの報道があって、今後どのようにキャリアが動いていくか方向を模索との報道ということですね。

     15年ですけれども、展望と課題ということで、通信業界の再編がやはり活発化されるであろうということですね。あとデータセンター等の市場が大きくなってくるであろうと。コモディティ化したICT要素ですね、メール、サーバー等が柔軟でかつコスト効果の高いクラウド型へシフトが推進されるであろうということです。それとあと、インターネットがビジネス基盤化する中、大都市中心以外での、郊外での、例えば郊外での工業団地等のインフラですね、こういったものの整備が必要になって来るであろうということです。それと高速化、安定化、低価格化が求められてくるであろうということですね。次お願いします。

     次にIT業界ですけれども、IT業界としまして開発環境の集約化・標準化等によって開発やテスト工程のコスト削減を実現し、ソフトウェアファクトリビジネスの需要が堅調であったと。コスト削減やコア業務への注力を背景としたBPOやITOといったアウトソーシングですね、これは需要が引き続き堅調だったということですね。あとワールドカップの影響によってITプロジェクトの進行が多少遅れ、ビジネスの影響はないと。あと、大統領選挙を見越したIT投資の抑制や様子見によってIT市場全体の成長はやや鈍化傾向であったと。

     2015年の展望と課題としまして、経済減速の中でもITは戦略ツールとして位置づけられて、企業のIT支出は前年比5.7%増の125ビリオン(US$125.3billion)になると予想しております。企業としては競争力維持強化のためERPやCRMといったアプリケーション/ソフトへの投資を期待していると。あとビッグデータやマスターデータマネジメントといった大量のデータ管理需要の高まりに期待をしていると。あとは優秀な人材の確保、顧客からのコスト削減要求への対応が課題であると。あとはやはり電力不足、これへの対応のためのITインフラの強化・拡充が急務であるということですね。あと、これらの資料の後に言葉の説明を入れていますので、後で見て下さい。次のページお願いします。

     一番最後に、副題としての「再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネス」ということで、我々運輸サービス部会としてやっとつながったところが出てきたんですけれども、ここに書いてありますように、今年の厳しいブラジル経済環境を乗り越えるために、日伯間の人の動きを活発化することにより、航空旅客が動き、ホテル利用がアップし、それにつれて物が動き、海運、物流につながり、資金が動き活性化につながると。そのやはり基本となるのは、ブラジル・日本の査証の簡素化、簡略化ですね。これが基本になると考えているということ。日伯修好120年を記念して、ぜひとも前向きに、ブラジル政府・日本政府間での動きを活発化していただき、日系企業を支えていただきたいということで、発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会

     森田部会長どうもありがとうございました。続きまして化学品部会、高橋部会長よろしくお願いいたします。

  • 化学品部会  高橋智 部会長

    Pdf化学品部会

     化学品部会の高橋です。14年の回顧と15年の展望ということで進めさせていただきます。次お願いします。

     こちらの会社様がですね、52社中28社、緑色で示しているところが回答を下さったところです。次お願いします。

     これで見ますと、ブラジルで創業された時期ですけれど、ピークが二つありまして、70年代と2000年以降。まあ特に2010年以降というところに一つピークがあるということでございます。次お願いします。

     38回答の事業分野ですけれども、化学品細かい所が非常に多いものですから、工業材料、消費財等々四つに分けまして、一応そこに書いてあるような分野ごとの回答をとりまとめてあります。次お願いします。

     会社さんはこういった会社さんになっておりまして、それでは次。化学品部会全体としては、14年の実績で見ますと、売上はやや、どちらかというと伸びたところが多くて、ですけどそれほど利益はついてこなかったという感じなんですね。15年をどう見ているかと申しますと、どちらかと言えばやや伸びるんじゃないかと。利益の方もですね、まあ伸びるかなという感じの、全体としてはそういう数字になっていますが、これだけでは良く分かりませんので次に分野別に進んでいきたいと思います。

     工業材料ですが、これは14年については、売上はどちらかといえばややアップした、でも利益はついてこなかったということで。プラスの要因ですけれども、これは各社さんの話によりますと新規の分野・顧客、ビジネス、市場参入、需要創出ということで、新規に新しいところを獲得したというところとか、金利等とか為替等のコスト改善策を実行したとか、スタッフのコストパフォーマンスが向上されたとかいうことがプラス要因ですね。マイナス要因は、工業材料ですので自動車関係のところが不振だったというのと、競争激化とそれから高金利、ドル高等で利益がついてこなかったというのが14年のことでございます。

     15年についてはですね、このグラフによれば、売上はまあ去年より伸びると言っているところが半分いかないわけですから、やはりぱっとしないわけで、かなり苦しんでいらっしゃる。しかし利益の方を見ると、利益の方はどうもちょっと伸びているのではないかということで。プラス要因は何ですかと聞きますと、品質の優位性であるとか、設備投資の効果が出たとか、買収シナジーとか、あるいは人員削減の効果であるとか、新車の生産開始とか、リスクヘッジ策とかということがありまして。こうやって見て参りますと大体プラス要因というのは各個別の企業さんの自助努力で、マイナス要因というのは大体このブラジルのコストに係るようなそういう全体的なことがマイナス要因だというようなご認識をされているところが多いと。ここのマイナス要因ですけれども、やはりレアル安による採算の悪化とか競争の激化とかですね、建築等も悪いとか、まあそういったことがあるということで、そうは言っても利益は伸びるというふうに見られています。次お願いします。

     次、消費財ですけれど、消費財の方は14年については売上・利益ともにまあ大体少し伸びているということなんですね。プラスの要因ですけれども、小売りが伸びたと。新ブランドの成長があったとか、代理店にたくさん買ってもらったとか、あと現地従業員が力を発揮してくれたというようなのもありますね。マイナス要因は、まあワールドカップ以降のもろもろの低迷ですね。それからANVISAの許可の遅れとか、アルゼンチン向けのビジネスがしぼんだとかいうのがあります。

     15年をどう見るかですけれど、15年は売上は良くなると、伸びて行くと。利益も伸びて来るというところが多くて、そこは新製品関連が定着する、販売促進される、新しいお得意さんを獲得したとか、新ブランドによる成長であるとかということで。マイナスの要因は、過剰在庫とか、ANVISAの待ち、材料費・人件費のアップ、PIS/COFINSの値上げなどというのがが書いてありました。次お願いします。

     次、農業・畜産ですけれども、農産物は作付面積も増加しまして、まあ円安になるものですから日本の本社筋の方としては円で入って来るお金は増えているわけですから、まあ良かったわけですけれども。マイナス要因はですね、干ばつ、それから技術的に遺伝子変換作物が大半を占めているものですから、主要な大豆とか綿とかそういうものが増えているんですけれども、新しい技術に対応できなければ具合が悪いということで。乾燥すると殺菌剤が出なかったということはあると。プラス要因はですね、15年の方ですけれども、まあ雨が降ってくれたらなということですが、実際はあまり降りませんで、今から雨が降ってももう最初の収穫、一作目は終わっていますからちょっとこれは遅かったんですけれども。15年の方は、ややちょっと利益の方はついてこないという見方です。これはやっぱり水不足と、顧客の与信環境とか、与信がまあ低下しているということですね。それと中国品との競争ということが挙げられておりました。次お願いします。

     石油製品ですけれども、こちらの方もですね、これはちょっと会社さんが2社なので、全般的な石油製品の傾向を反映しているかどうかは言えませんが、プラス要因はですね、新規販売先の獲得。マイナス要因はコスト高、人件費や原料費ですね。そういったことが挙げられておりました。

     続いて副題の方に移っていきたいと思います。

     「再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネス」ですけれども、これをまとめて体系化していきますと抽象的になりまして、業界の個性が消えてしまうんですね。そんなわけで、ちょっとあまり芸がないんですが、羅列したというところで生々しさを出そうかなと思っております。

     現状の認識としてはですね、非常に厳しい認識で、先程来ありますように経済の引き締めをやっているものですから、経済は当面やっぱり悪化するというような、皆さんそうやって見ているわけなんですね。ですから、今は消耗戦だと、我慢の時だということで、だからまあ、設備投資するにしてもですね、コスト削減とか生産効率アップのためのことをやりましょうと。そういうやれることをやり無理をしないという定石のようなことが書いてあるんですが、しかし各社とも競合相手も条件は同じなので、今地盤を固めてですね、事業を縮小してでもシェアだけはまず維持して、将来に備えてまず自分のところを守っていきましょうという考えのようでした。少し目線を変えるとですね、そうは言ってももっと全体のことを考えれば、ブラジルの産業全体がやはり競争力をつけることが大事なんだと。個別の会社さんじゃなくてね。次のページお願いします。

     次のページも同じことで、国際市場への販売というかブラジル全体の競争力をつけていくようなことを考えて行きたいというところがあったようです。あとはですね、市場に飛び込めば商機はつかめるとかですね、勝てる土俵を発掘するとか、品質・技術・組織力で差別化するとか、需要を創る、絶対競合会社には負けない、競合というのはここでは諸外国の競合相手のことを指しているんですが、という、精神的にがんばっていきたいというのがありました。しかしながら現地化が下手でマーケティングが下手で、戦略面が弱いと。ハングリー精神が欠けているんじゃないかなという、そういったご意見もあると。

     ここまでは工業材料でございまして、次に消費財の方に移っていきたいと思います。消費財ですけれども、これはですね、打って変わってかなり好況でして、例えばブラジルの化粧品市場がですね、過去10年間年間10%成長しているということで、不況下でもあまり影響を受けないので、活発な新商品の開発が続くので、この機会に事業をどんどん拡大していこうというようなところがありました。

     一方でブラジルの再生ということからいくと、やっぱり税制、高金利、為替、労務リスク等々がやっぱり何とか解決していかなきゃいけないと。その一つの方策としてはですね、現地法人の在り方を変えて代理店とかの役割をちょっと変えて行った方がいいんじゃないかと。そういうことで、ブラジルの様々なリスクを回避するということが一つビジネスモデルとしてアイデアがあるんじゃないかと、そういった取り組みをされているところですとかありましたね。次お願いします。

     消費財の続きですけれども、やはりですね、逆風はあるんですけれども、日本企業には新しい製品とかより良い素材とかユニークなテクノロジーとか、日系企業ならではの素材・コストダウンができるんだということで、ブラジルの人は新しいもの好きだから、そういう形で市場を刺激していけばいいんじゃないかと。それをやるに当たってはですね、日本の目線じゃなくてブラジルのニーズに合わせた、ブラジルに合わせたやり方で行ったらいいんじゃないですかというような、そういった考えがありましたね。

     次、農業関係行きたいと思います。農業関係ですが、農業自体も好調でして、農薬について申しますと数年前にアメリカを抜いてブラジルが世界一の農薬市場になって、去年はU$12billion分もあったわけですね。そうすると農薬メーカーさんはさぞかし良いだろうというふうに思われるでしょうけれど、実は農薬にはセグメントがありまして、セグメントというのは使える作物と、防除対策ですね、虫に効くとか草に効くとか色々そういうのがあるわけで、それで分かれているものですから、今伸びているのは基本、大豆なので、米とか綿とかやっていてもあまり別に嬉しくない訳です。大豆で良い薬を持っていたり、殺虫剤を持っていたらそれは嬉しいわけですね。ですけれどそうじゃない会社さんはそれほどでもないというところがあって、まあ基本はお天気商売ですので、雨が降れば病気が出て殺菌剤が売れて、乾燥すれば虫が出て殺虫剤が売れるというようなところなわけです。

     先程も申しましたが、新しい技術で遺伝子変換作物等も出まして、それがまあ大半ですので、そういった新技術で色々変化してくるというのと、ブラジルの場合にはアメリカ、ヨーロッパ、日本とかと違って1年間で2作3作できるわけです。そうすると病原菌も虫も一年間休むことなく次の畑次の畑とこう渡っていくものですけら、草や虫や菌の変遷が激しいんですね。ですから同じ資材を持ってきてもそこのポジショニングがやっぱりかなり違ってどんどん移り変わっていくので、まあそうした中で、そういった変化も含めてですね、どういった価値を提供していくかといったところが今後の農業関係のところのブラジルのやり方の難しさでもあり、それを克服して貢献していきたいというふうに考えているということでございます。次お願いします。

     次、石油製品。これで最後ですけれども、2015年厳しくならざるを得ないということで、まあブラジル経済良くなるためにはやはり労働者の保護政策とか税制とか、そういったものの競争力を改善していくべきであるということとかですね、高性能と価格競争力はやはり両方追っていきたいというようなことが書いてありました。

     以上、全般まとめますと、2015年はとにかくまあ厳しいと。でもそれをどうやってがんばるか、日系企業としてどうやってがんばるかというと、やはり新規開拓とかですね、日本ならではのもの、そういった分野を創出していくということで、ブラジルの経済の再生については他の部会さんでも言われているような構造的なものにやはり向かっていかなければならないんじゃないかということで、化学品部会はこんな感じで各社張り切ってまい進しているというところでございます。ありがとうございました。

    司会

     高橋部会長どうもありがとうございました。続きまして建設不動産部会の藤井部会長、よろしくお願いいたします。

  • 建設不動産部会  藤井健 部会長

    Pdf建設不動産部会

     はじめまして。ケミカルグラウトの藤井と申します。ケミカルグラウトは最近、日本では福島で氷の壁を作っていまして、ブラジルではニッチな部分をやっている会社でございます。それでは資料を説明させていただきます。よろしくお願いします。

     不動産部会は昨年の実績と今期の課題をアンケートいたしました。その結果です。建設部会は、これはゼネコン部会ですけれども、昨年ブラジルの経済の低迷と日系企業の投資の落ち込みで受注が伸びませんでした。今期は新事業にチャレンジしたいとのことです。一つはブラジルが直面している水と電気の不足問題から、日本の最新式の省エネを、建築技術を導入します。もう一つは簡単なプレハブ分野に参入すると。また営業面では非日系分野に新規顧客を求めたいと言っておりました。

     次に不動産部会ですけれども、昨年売買が非常に鈍化しまして、土地が動かず、マンションが売れ残り出しました。賃貸分野では昨年より地域のネットワークを作りましたので、地域限定ですけれども、日本と同じようなサービスが提供できるようになりました。あとプレハブ専門分野はターゲットを仮設から本設に切り替えまして、それと同時に日本式の対応を行なった結果、昨年は大型受注に成功いたしました。

     特殊技術分野は、選挙の影響でインフラ工事が中断しました。オリンピック会場周辺の下水道工事はCEDAEにお金が無くなりまして、中断しました。でもリオの地下鉄工事は突貫でやっていました。今期新分野としまして、土壌汚染対策とか、日本でも珍しい新工法を導入します。

     それでは具体的な話を。次お願いします。

     これは建設部門の新たな取り組みです。ブラジル戸田建設は日本の環境技術をブラジルに普及できるように力を入れていまして、これは写真は「TODA BUILDING AOYAMA 」です。環境最先端技術から一般的な技術まで50の環境配慮技術を効率よくブレンドしまして、従来の購入電力量を40%削減することにしました。その代表的な技術というのは、一つはダブルスキンカーテンウォール。もう一つは地中熱の利用です。詳細は割愛します。次お願いします。

     環境配慮技術をブラジルで普及する足掛かりとしまして、昨年11月にクリチバ市のPUC大学で環境セミナーを開催いたしました。「ブラジルと日本で実践される持続可能な建築とまちづくり」としたセミナーは、日本の建設業界を代表する隈研吾先生を呼びまして、建築関係者および学生、700人ぐらいが参加しました。ブラジルにおける環境配慮技術の可能性が大いに実感できたものとなったそうです。次お願いします。

     これが賃貸マンションの動向です。サンパウロとリオとも上昇がかなり鈍化いたしました。リオはここ数年冬場は賃料が停滞し夏場に大きく上昇する傾向にあったんですけれども、昨年はワールドカップが影響したのか7月まで上昇し8月以降低下。夏場になってもなお低下です。サンパウロは9月から11月まで連続して低下しています。2ヶ月連続で低下するのは2009年以来だそうです。

     あと土地の価格に関しましては、6ヶ月間据え置いております。これ実は、スターツさんから、世界の32都市の賃貸価格が書いてある本があります。これが必要な方がいましたらスターツさんに電話していただければお届けするそうです。よろしくお願いします。では次お願いします。

     次は近年好調なプレハブ業界です。現場の仮設事務所や倉庫を主力としてやって参りましたが、ブラジルの経済が停滞したためにですね、中止や延期が相次ぎまして、価格の競争の激化にも悩まされるようになりました。そこでNAGAWA社はより活況を見込める本設市場に参入しました。建設市場で比較的安価なプレハブを提供することで競争率を高めるようになりました。次お願いします。

     この安定した進出と短い工期を実現するための工夫、あとはお客様のニーズの対応、この辺は日本的なやり方で信頼が高まってきました。昨年は大きく受注を伸ばしました。最近では中古車販売店、あとは小規模の教会、教会もプレハブですね。あとセルジッペ州の国立大学の研修棟なども受注したそうです。現在営業部員を動員いたしまして、ブラジル企業、日系企業ともに営業を強化しているということです。

     次は特殊技術です。近年欧米や日本で問題になっている水が通りにくい土、粘性土層ですね、このVOC汚染の浄化方法としてアメリカ企業と共同開発をしましたBIOJETをブラジルに導入します。この粘性土汚染というのは、地下水を何度処理しましても粘性土に付着した汚染物がリバウンドしてしまう汚染のことなんです。従来の方法は鉄粉や酸化剤を注入して地下水を直接反応させていましたが、粘性土の中にしみ込んだものは汚染浄化ができませんでした。この工法は地盤に生息している微生物を活性させまして、粘性土の汚染物を微生物が浄化する手法をとっています。具体的には所定の深度で高圧水を使いまして土壌に切れ込みを入れ、それに微生物を充填する、そしてその微生物がそれを栄養素にしまして活性化するというものです。サンパウロの比較的赤土がターゲットです。また、ちなみにブラジルでは汚染を知らずに土地を購入した場合、日本と異なり買った者負けだそうです。ご注意ください。次お願いします。

     次は日本でも珍しい、水に溶けないセメント材です。これはブラジルのコンサルの先生に見ていただいたんですけれども、非常に驚かれました。どこで使うかと考えている最中です。海工事や河川工事に最適です。次お願いします。

     ブラジル基礎協会の展示会に日本の土木技術として初めて出展いたします。この協会は全てブラジルの大学の先生とコンサルの先生、ゼネコンを含まないブラジルの特殊土木企業だけであります。本来日本企業は会員になれません。そこはブラジルですが、アミーゴになって会員になりました。この展示会第8回です。関係者約5000名が訪れるそうです。サンパウロで6月23~25日に開催します。次お願いします。

     次は、なぜ道路に穴が開くのかをちょっと話をさせてもらいます。実はこれ写真、マジナル・チエテです。100キロで走れるところです。これ10月から12月の間に同じ個所が3回陥没しました。陥没理由というのは、下水道工事で下水管を埋め終わった後、地下6メートルに10立米の空洞が残りました。その処置ができなかったことに起因します。一回目の陥没は元請けが自ら空洞処理、バケツで地上からセメントミルクを流し込んだそうです。加圧もできていなければ何にもできません。2回目の陥没で日本企業が呼ばれまして、見積もり2万8000レアル。それを提出したんですが、連絡が途絶えました。1か月後、3回目の陥没です。もう役所が罰金の脅しをかけ、日本企業にやっと依頼が入りまして、1月に右側の成功しました。まあ結論としましては、技術も金もなくて、確実に最後まで見届ける施工管理も非常にない。まあゴルフ回りは十分ご注意ください。次回はチエテ川がなぜ臭いかにしたいと思います。

     最後です。まとめです。経済の低迷とともに、ブラジルの建設業界は汚職の風が吹いています。また、不動産の売れ行きも低迷し出しました。ブラジル特有のインフレと労働費の高騰、もう全て負の状況です。でもそこで、昨年見積もり競争で負けて受注できなかった工事の後始末をさせられた企業が数社いました。施主は残念ながらお金が余計にかかっていると思います。なぜかと言いますと、日本では考えられない、安く取って赤字になったら契約書をたてに逃げ出す企業。まあちなみに地下鉄4号線ももうすぐ逃げだすそうですけれど、これこそが日本で当たり前のことを行う建設不動産部会のビジネスチャンスだと思います。以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    司会

     藤井部会長どうもありがとうございました。続きまして本日最後の部会からの発表となります。繊維部会の横山部会長、よろしくお願いします。恐縮ですが、若干短縮バージョンでよろしくお願いします。申し訳ございません。

  • 繊維部会 横山眞一 部会長

    Pdf繊維部会

     繊維部会、横山です。最後の発表です。急ぎますので、もうしばらくご辛抱ください。次のスライドをお願いします。

     繊維部会の方はですね、原料の綿花、それから中間製品のテキスタイル、綿糸、それから最終製品のアパレルおよびその動向という形で分けて報告させていただきます。

     この最初のスライドは綿花の需給バランス。これを出しておりますが、左側の世界需給についてはですね、昨年過去最高の93%の在庫率ということで非常に高い水準の在庫を持って終了したと。さらに、この傾向は今年、2015年も続いております。数字としては若干生産が減少、若干消費が増えるという状況にはなっていますが、さらに在庫が増えて、最終的には約1年分、在庫率97%というのは要は1年間の消費の97%に相当するものが在庫として残っていると。そういうふうにご理解ください。ということで、非常に大きな過剰在庫を抱えたマーケットの状況になっているということです。

     右側の表ではブラジルの国内の需給予想を出しておりますが、2015年については11%減少の154万トンが予想されております。ただ、ブラジルの国内の消費が85万トンということで、基本的には国内消費分の供給については全く問題ないというふうに予想しております。ただし、量的には十分あるんですが、今年の綿についても非常に作柄が悪いという報告がたくさん出ております。その関係で特に品質面については当然のことながらどのような形になるかこれからの状況が懸念されております。次のスライドをお願いします。

     こちらは価格の方なんですが、綿花の価格については昨年の後半から大きく変わってきております。昨年年初から年半ばまでは80セント台を維持しておりましたが、最終的にはそれから下落に転じて月末では60セントということで、一番上の表で昨年2013年の年末および2014年年末、同時期の比較表をつけておりますが、年間で約28.8%、30%近い価格低下を記録した。ただしこれは先程言いました需給バランスのことを考えれば、ようやく当然あるべき水準までようやく調整がかかってきたというふうに理解しております。

     逆に先程言いましたように、非常に在庫過剰な状態、これが改善の方向に向かうのは2016年、再来年からというふうに、そういう形で進んでいくというふうに予想されていますので、基本的にはこの2015年に大きな綿花の価格的な上昇の要因というのは非常に少ないというふうに考えております。あとブラジルの国内相場につきましても、基本的にやはり1年間で約22%、まあ一番高い時期から言うともう少し大きいですが、最終年末には1.66レアル、これはper poundですけれど、の水準にダウン。ちなみにこの1.66という数字は今現在ブラジル政府が決めている最低価格の水準まで年末には落ちているということで、非常に低い水準で原料価格は推移しているということでご理解ください。次のスライドをお願いいたします。

     続きまして綿糸およびテキスタイルの方に移りますが、いわゆる原料以降の製品については今ブラジルの繊維業界では非常に輸出競争力が低いので、基本的には国内のマーケットをターゲットにしている。そのために輸入品との、当然のことながら競合あるいはそこら辺の住み分けというようなことが進められている状態にあります。

     この表は綿糸の輸出入をまとめたものですが、まあ近々の一番高い所から昨年2014年というのは大体3分の1程度まで数字が減っている。トレンドとしては輸出、輸入とも同じようなトレンドですが、ただし数量が全く違う。輸出についてはわずかの約500トン。それに対して昨年の輸入実績は約2万1000トンという状況になっています。ちなみに輸入相手国の1位は引き続きインドです。ただ昨年の統計から見ますと、特にアルゼンチンあるいは中国からの輸入というのがここに来てちょっと増えております。次のスライドをお願いします。

     こちらはテキスタイル関係の貿易収支と生産量を表したものですが、やはりテキスタイルについても、いわゆる輸出よりも輸入が超過している状態となっております。昨年1年間で輸入については約8%の増加。ただその中でもですね、特にいわゆる天然繊維である綿を使ったテキスタイルよりか、若干増加して、逆にいわゆる合繊関係、ポリエステル、ナイロンあたりを素材とした製品の輸入が増えてきております。特にこの綿糸、それからテキスタイルの国内市況について、生産についてはまだ具体的な統計数字は発表されておりませんが、今の様相では昨年若干の減少、あるいは一部部門では横並びがいい所じゃないかというふうに予想されております。ただし当然ながらも今年のコストアップ要因で採算的には非常に厳しいものになっていると。

     抜けておりましたが、綿糸の国内市況の方ちょっと説明させていただきますと、一番下にその価格推移が出ておりますが、昨年は前半、特にワールドカップが終わった後の8月までは非常に苦戦。その後に若干回復基調に乗ったという状況です。特に前半は原料が上がった関係で価格的にはコストの後追いで上がってはおりますが、その反面、半ばの6月8月は過剰な在庫を処理していくために相場は下落。それが完了した9月以降からようやくまあ上昇という形で、綿糸としては年間で約3%程度の価格の上昇というのが記録されております。

     次はアパレル、それから小売り関係の方に移りますが、先程も触れておりましたが、特にこのアパレル関係が一番そういう意味では輸入品との競合が厳しい、そういう部門でございます。特に昨年1年間の状況というのは、先程の綿糸のところでも出ましたように、非常に最初の、天候による、母の日のセールが非常に不調に終わったことから始まり、最終的なクリスマス、年末商戦も中々期待通りには売れなかったというようなことも含めて、年間を通じて非常に低調に推移した1年でありました。

     ただし、この状況の中でもやはり輸入品については引き続き増加を続けている。まあ重量ベースで12%、金額ベースで8%というふうになっておりますが、特にその中でも我々が注目する衣料品、アパレルについては、今までの年々の伸び率が昨年に限っては一桁台にまでちょっとペースダウンしておりますが、状況の悪い中でのさらに増加ということで非常に難しい状況となっている。

     特に、先程もちょっと出ていましたが、このアパレル部門についてはいわゆる重量の増加よりも金額もアップしているということで、今までのような簡単なシンプルなものの輸入から、次のさらに手の込んだ中級品以上のものについても輸入がどんどん入ってきているというのが現状でございます。特に輸入相手国につきましても、従来通りやはり中国が一番となっておりますが、ただ中国も人件費がどんどん上がってきているということで、特にそれ以外の東南アジア、あるいは他のアジア諸国、具体的にはベトナムあるいはインドネシア、インド、この辺りがまあどんどん増えてきているという状況です。

     これも参考までに、我々の業界の方の中でも生産をされている、いわゆる衣料用のファスナー。こちらの方の状況につきましてはやはり先程のように国内の生産が落ちているということで、逆にファスナーの輸入も同じように落ちているということで報告をいただいています。数字的には前年比約4%という数字になっておりますが、この傾向につきましては特に製品での輸入増加が増えているジーンズ関係、それから非常に販売の不調であったブーツ関係。特にアルゼンチン向けの輸出などが低下したということで、このような部分では減っていると。その反面婦人服分野を中心とした機能商品としてのコンシールファスナーというのは、機能商品というものについては実際に現在も増加している。さらに今後増加が期待されるというアイテムとなっています。

     結果として2015年についても輸入品の増加というのが基本的には、特にこのアパレル分野については依然継続されるというのが予想されています。ただ、特にこの2015年の為替動向によって、やはり輸入価格、輸入コスト自体が上がってきている、その部分についてはいわゆる国産品、我々がある程度輸入品とも対抗していけるその余地が若干広がって来るというふうにまあ理解をしております。そういう意味ではその部分がどのような形で我々のプラス要因として今年活用できるかということは非常に期待しております。次お願いいたします。

     簡単にそれぞれの分野に分かれて報告させていただきましたが、まとめとしては、この2014年につきましては、基本的に元々の期待に大きく反して非常に厳しい状況の1年となったというのが我々の業界の認識です。その内容、これは他の部門とも重複いたしますが、非常に経済の状況、あるいはワールドカップや大統領選挙などの影響によって小売りの販売が落ちた。あるいは水不足、電力不足、労働力の不足というようなことで、コストのアップ、さらに生産効率の低下というものを呼んでいると、そういうような部分が非常に大きかったというふうに報告を受けております。

     2015年の展望といたしましては、基本的にはやはり他の業界の報告にもありましたように、大きなプラス材料というのはあまり見られない一年。そういう意味では非常に辛抱の一年になるのかなというふうに考えております。我々の業界の中でも、今年の2015年の生産数量というのは良くて横ばい、あるいはどの程度低下するかというようなことが今もうすでに予想されているということで、とにかくこの足元の消費が弱く、消費動向が低下しているということがやはり一番大きい。

     この中で唯一、先程申しました、我々のように特に輸入品との競合という部分で色々この為替動向によってあるいは輸入品の数量が抑制される。あるいは我々の価格を上げて行くだけの伸び代が取れるというようなところでの力をですね、いかに活用していけるのかどうかということですが、まあ残念ながら消費者の動向がやはり、まあ安値志向の方にどうしても状況が悪いと走っていくということで、ここの部分もどれだけ享受できるか、非常に難しい展開になると予想しております。

     ただ我々としては、2016年以降の回復を期待して、いかにこの2015年を辛抱して耐え忍ぶか、これを我々の繊維業界として考えて行かなければならないと。その回復の準備のためには当然色々な企業努力、コストダウン、あるいは新しい市場の開拓、あるいは製品開発というものも当然必要となってまいります。ただその反面、足元、特にメーカー、ものづくりをする立場として、基本的にしっかり輸入品とも競合して戦える、やはり環境づくりというものを整えて行かないと、実際問題として我々の繊維業界、日系あるいはブラジル系に限らず、どんどん各年撤退あるいは縮小というのが進んでいるという中で、やはり先程言いましたような電力の供給、あるいはその価格、あるいは税金対策、労働法の見直し、それと今進められている経済政策をしっかり促進してもらって、2016年には間違いなく明るくなるんだという景気回復の期待感を出してもらうという、そういう心理的な部分というのも非常に大きいというふうに考えております。

     そういう意味では、繊維業界、各社の自助努力もさることながら、そういう形での今後の政府あるいは各役所でのそういう企業に対する、企業の競争力をつけるそういう動きをですね、期待しておる状況でございます。

     これをもって繊維部会の報告とさせていただきます。ありがとうございました。

    司会

     横山部会長どうもありがとうございました。以上を持ちまして各部会からの報告を終了いたします。後半につきましては時間が押してしまいまして、質疑応答の時間を取ることができずに、本当に申し訳ございませんでした。皆さん色々ご質問がおありかと思いますので、各部会にですね、直接お問い合わせいただければと思います。

     そうしましたら、続きまして佐野浩明在サンパウロ日本国首席領事に本日のご講評をいただきたいと思います。佐野首席領事、よろしくお願いいたします。

  • 講評 佐野浩明 在サンパウロ日本国総領事館首席領事

     在サンパウロ総領事館の佐野でございます。よろしくお願いいたします。本来であればですね、福嶌がこちらに立って講評するということが普通だと思ったんですけれども、ちょっと事情があって今日来れませんで、私が話をしますので、講評というより雑談という形で聞いていただければと思っております。

     本日は色々と勉強させていただきまして本当にどうもありがとうございました。これを聞けば本当にブラジルの経済とですね、日本とブラジルの経済関係がすぐ分かるという素晴らしいフォーラムだと思っております。

     実はちょっと、今日はですね、いわゆる、後退ですとか、低迷とか、それから再生、それからビジネスの困難とかですね、そういう話ばかりの中でこういう話をするのはどうかと思ったんですけれども、森田部会長がちらっと一言おっしゃられたので、それに合わせて一言申し上げたいのが、今年はいわゆる日伯修好120周年ということで、森田部会長は多分、踊ってばかりいないで仕事をやれよという意味でおっしゃったのかもしれないんですけれども、120周年ということで本当に商工会議所、企業の皆様方には色々ご協力いただきまして、これからあと年末まで続きますけれども、改めましてですね、この場を借りて感謝申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。

     色んな経済の状態は別にしまして、という言い方はちょっとおかしいんですけれども、日本とブラジルの関係というのはやはり、私も2年ぐらいになるんですけれども、本当にどんどんどんどん良くなってきていると。政治的な関係というのは非常に密接になってきていると。特に昨年の総理の訪問ですね。それから今年は、可能であれば、我々が期待しているのはやはりルセフ大統領の訪日。そして120周年ということなので、皇室のご訪問とかですね、そういうことを期待して、より密接な関係が進めば良いかなと思っています。

     そういう意味で、明るい話ばかりすると、お前そんな浮かれちゃだめだというようなお叱りを受けそうなんですけれども、やはり明るい見通し、明るい見方というのは少しあるというのはやはり重要だなと思いまして、一昨日ですか昨日ですか、エスタード・デ・サンパウロにジョアキン・レヴィ財務大臣のインタビュー記事が載っていましたけれども、何と言っていたかというと、経済は成長するということを信じることが重要だという、非常に重要な、やはり一言で申し上げていかに信頼感を作り上げるかということかと思います。これはやはり経済政策、財政政策異なる面はございますけれども、やはりアベノミクスの始まりの時、いかにこれから経済が成長するんだという期待感を盛り上げるという、そういう観点で同じなんだろうと思っています。

     ただ、一部の方おっしゃられたんですけれども、やはりレヴィ財務大臣、それから経済チームだけがですね、これをきちっと期待感を盛り上げて、なおかつ信頼感を確立してくれるかというと、必ずしもそうではないと思っています。やはり、レヴィ大臣もおっしゃっているんですけれども、財政政策それから税制ですね、それからもう一つは社会保障政策、いろんな広い分野にまたがると。したがってルセフ政権全体が果たしてきちっと説明できるかどうかということにかかっていると思いますので、そういう意味ではやはり今後の、いわゆるルセフ政権全体のいわゆるスクラムがどうなっていくかが重要だと思います。

     そういう観点からいきますとですね、やはり、色々なですね、今ルセフ政権支持率が下がってきて、弾劾とかそういう話も新聞記事で出るんですけれども、本当に経済政策がですね、信頼感をもっていけるというのは政治面が重要だろうと。あまり政治のことを色々言うとあれなんですけれども、社会面が安定しなくちゃいけないんだろうなと思っています。

     この前Veja誌にも書いてあったんですけれども、いわゆる弾劾、弾劾というのはどういうことかというと、いわゆる行政府の長が南米で追いやられる、つまり任期を待たずに退任するという場合にどういう要素が出て来るかというと、一つは経済の後退、もう一つはいわゆる汚職、そしてもう一つはですね、いわゆる国会で少数勢力しかないということです。この三つにプラスいわゆる社会的な色んな騒乱とかそういうものがあってですね、そういうことが良く起こると。

     ブラジルはどうかと言うと、今どういうことが考えられるかと言うと、最初の二つは当たっていますし、三つ目はどうかというと、与党の中に若干不協和音があって、この前の下院議長の投票のようにですね、ありますので、ちょっと若干だいじょうぶかなというところはあると。これに社会的な色んな騒乱みたいのがあるとどうなっていくかということなんですけれども、やはり水問題とかですね、そういうことにやはり注意していかないといけないだろうなというふうに思っているところです。

     暗い話ばかりじゃなくてですね、ちょっと長くなってしまったんですけれども、一言申し上げたかったのは、実は、またこれも浮かれて何を言っているんだと言われるかもしれないんですけれども、実は今回色んなその日本とブラジルの色んな政治の交流の中でですね、やはり我々としても頑張らなくちゃいけないなと思うのが、実はジャパンハウスの設立です。ジャパンハウスというのはちょっと見ると文化センターで、また浮かれて踊っているんだと思われるとあれなんですけれども、実はこのジャパンハウスはロンドンとロサンゼルスとそしてサンパウロ、3都市で作るということなんですが、実はサンパウロの意見ですごく、色々我々議論していたんですが、重要なのはですね、やはりこのジャパンハウスというのは何かと言うと、日本の良い所を売って行くということなんですね。だから文化だけじゃないんだよと。基本的に日本のテクノロジーであったり、それから色んなビジネスであったり、きちっと最先端を売っていくんだという要素をどんどん盛り込みましょうというようなことを我々話をしてですね、それからこちらの商工会議所の皆様にも色々、うちの政務関係者等に色々言っていただいて、そういうようなコンセプトができてきているということです。

     ジャパンハウスで売りたいのは多分、mais legal、mais eficiente、mais atraenteということで、やはりですね、より格好良くて、より効率的なもので、なおかつより魅力的なものというのを売っていきたいと。これは文化だけじゃなくて、色んなビジネスにつながるものとしてやりたいと思っています。

     今日も色んな事をお話されていたんですけれども、例えば新たな価値の創造と育成、日本ブランドを売るんだというようなお話。それからやはりですね、顧客に日本らしさを伝えると。それから、長い目で見てどうやって日本らしさを伝えて行くかということですとか、それから現地化というような問題も色々出てきたと思うんですけれども、ジャパンハウス全体のコンセプトというのは、やはり我々ブラジル人に直接売るということをどうするかということを考えてますので、今でも色んなブラジルの経済界であったりとか、それから文化関係者とも色々話をしているところなんです。そういう人たちにも入っていただいて、ジャパンハウスを使っていこうというふうに思っていますので、もちろん商工会、会頭をはじめですね、ぜひ色々ご意見を言っていただいてですね、作り上げて行きたいと思っているところです。

     ぜひですね、また外務省が変なことをやっているよというふうな見方をされることもあるんですけれども、ブラジルで重要なのはaproveiteなんですね。ちょっとあるんだから利用してやろうじゃないか、利用してもらえるようなものを作り上げたいと思っていますので、利用しやすいものをですね、ぜひ皆さん、我々にぶつけていただいて、良いものを作っていきたいと思っております。

     最後はこちらから一方的なお話になりましたけれども、今後ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

    司会

     佐野首席領事、どうもありがとうございました。続きまして小林和昭在ブラジル日本国大使館参事官よりコメントをいただきたいと思います。小林参事官、よろしくお願いいたします。

  • コメント 小林和昭 在ブラジル日本国大使館参事官

     在ブラジル日本国大使館で参事官をしております小林です。今日は貴重な情報を教えていただきましてありがとうございました。このような場を毎回、2月と8月に準備していただいている商工会議所には本当に感謝を申し上げたいと思います。

     今日の内容はある意味予想通り、マクロ経済不調、為替安、インフレ、水不足、ペトロブラス汚職、一次産品価格下落など、厳しい内容のものが多かったと思いますが、ただその中でも皆様から力強いコメントが端々に見られることができて、非常にその意見を聞いて元気づけられた気がします。本当に皆様の、日本企業の方々の強さというのを今日は感じたと思っております。

     私は普段ブラジリアにおりますが、ブラジリアは去年の選挙が終わり、カーニバルが終わってやっと政権の体制が全容が見えてきたという段階で、まあ相変わらずブラジルはそういうテンポで仕事なんだなというところを感じるところがありますが、やはりブラジリアでも、新政権ではやはり新経済チームの動きというのが一番注目されていて、皆様、ブラジリアでは比較的肯定的に受け取られている部分よく聞いております。

     ただこの経済チームの動きで、あまり目立っていないですけれども、私自身が変化として感じていることというのは、政府の関係者とのアポイントというのが非常に今取りやすくなっているというところにあります。これはルセフ大統領が当選後に、第二期ルセフ政権は対話を重視するということを繰り返しおっしゃっていて、それの実際に政権の中で浸透して、そういったことが実際に行なわれているということだと思います。また、経済が苦しくなってきていますので、ブラジル政府の中でも日本企業、日本政府に対する期待というのも大きくなっています。

     まあブラジル政府が普段はずっと強気なんですが、少し弱気になっているというところなのかなと思うところもございますが、こういった時は多分ブラジル政府との対話も非常に行ないやすい環境になっていると思います。まさに皆様が今たくさん抱えているビジネス環境の改善の要望というのを実現するには、ここから1、2年というのは非常にチャンスじゃないかと考えております。

     ちょうど時期を同じくして商工会議所の機能強化委員会が提言をまとめようとしているところでございますし、今日のシンポジウムでもたくさんの要望・提言をいただきました。大使館としてもそれらの実現に向けて一丸となって動いていきたいと考えております。

     日本は去年の総理訪伯で非常に良い流れ、二国間関係は良い流れができておりますので、そのフォローアップをしながらまさに皆様のビジネス環境整備が改善されるように、また今年可能性の高いルセフ大統領の訪日も最大限活かしながらそういった実現に向けて動いていきたいと思います。

     ブラジリアの大使館は、ブラジリアにいてサンパウロの情報は中々取りにくい状況もございますが、サンパウロの総領事館と連携しながら、企業の皆様との連携も一層強化していきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

    司会

     小林参事官、どうもありがとうございました。では最後になりますけれども、相原総務委員長より閉会の辞をいただきます。相原委員長、よろしくお願いします。

  • 閉会の辞 相原良彦 総務委員長

     皆様本日は長い時間ご清聴いただきまして誠にありがとうございました。これで本当に終わりなので、長い話にしたくないんですけれども、佐野首席領事様、それから小林参事官様、貴重なお話をありがとうございました。お陰をもちまして、無事プログラムすべて終了いたしました。このシンポジウムのために発表していただいた方、そして準備していただいた方、本当にありがとうございました。主催者を代表いたしまして、心より御礼申し上げます。

     それから今日発表していただいたパワーポイントの資料についてはすでに会議所のホームページに掲載してあります。そして今日の発表全文もですね、事務局にてテープ起こしをして、近いうちに会議所のサイトにアップいたしますので、それもぜひご覧いただいて活用していただけたらと思います。それではこれを持ちまして閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。

     

 

2014年下期の業種別部会長シンポジウム

2014年下期 業種別部会長シンポジューム日時:   2014年8月21日(木)

  • 司会 上野秀雄 総務委員長

    司会 岡省一郎企画戦略委員長/上野秀雄 総務委員長

    左は後半司会の岡省一郎企画戦力委員長/右は前半司会の上野秀雄総務委員長

    皆様こんにちは。時間が参りましたので開催させていただきたいと思います。
    皆様こんにちは。本日はお忙しい中、2014年下期業種別部会長シンポジュームに多数ご参加くださいまして誠にありがとうございます。本日はお陰様で、ただ今まだ集計中ですけど、約170名ほどの方々のご出席をいただいております。どうもありがとうございます。私は前半の司会を務めさせていただきます、総務委員長の上野です。また、後半の司会は企画戦略委員長の岡さんにお願いしております。

    最初に本日のご来賓をご紹介いたします。在サンパウロ日本国総領事、ブラジル日本商工会議所名誉顧問の福嶌教輝様にご出席いただいております。総領事ありがとうございます。総領事には部会発表の終了後、ご講評をいただく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。また、在ブラジル日本国大使館から参事官の小林和昭様にもご出席をいただいております。小林参事官にはプログラムの最後にコメントをいただく予定です。よろしくお願いいたします。

    それでは、はじめに藤井会頭よりご挨拶をお願いいたします。

  • ブラジル日本商工会議所 会頭 藤井晋介

    藤井晋介会頭

    皆さんこんにちは。藤井でございます。今日はかくも多数ご参加いただきまして誠にありがとうございます。また特に、先程ご紹介ございましたですけれども、お忙しい中、福嶌総領事、またブラジリアの方から小林参事官の方にはわざわざご出席賜りまして、誠にありがとうございます。心より感謝申し上げます。

    毎年恒例でですね、年に2回開いておりますこのシンポジュームでございますけれども、最近はですね、大統領選ももう間近に迫ったということで、先日のエドゥアルド・カンポス候補のですね、飛行機事故による悲惨な死というのを受けて、大統領選もまあもういっぺん各候補とも戦略を練り直すというところかと思いますけれども、特にですね、色んな報道を見ていましても、カンポスさんの死去によって新たに候補に出てきたマリーナさんの大変話題が多くて、まあ我々経済界の人物としては色々、マリーナさんが出て来るとですね、以前は産業界にとっては大変大きな激震になるんじゃないかというような不安の声が多かったわけですけれども、ここにきて色々ご本人のご発言や財界の方々のお話を聞いてもですね、大変良い、経済通のですね、ブレインの方をもっていらっしゃるので、思ったほどですね、それほど心配することはないんじゃないかといったところが色々報道に多くなされているところじゃないかと思います。

    まあその辺の大統領選につきましてはですね、まあ最後にですね、率直なところを福嶌総領事ないしは小林参事官の方からですね、お教えいただければ大変ありがたいなというふうに思っていますけれども、まあそういう大統領選が期近に迫ったということで、どっちかというと経済の方があまり取り上げられていないんですけれども、実感としましてはですね、私なんか思いますに、大統領選の陰には隠れるようにはなっているんですけれども、このところマクロ経済指標を見ましても、やはりずっとこう悪化が続いているということで、このまま行ったら本当にブラジルの経済はどうなっていくんだろうなというふうに大変心配しているという状況でございますので、まあ今日ですね、このシンポジウムで皆様方、経営の舵取りをなさっている方が多いと思うんですけれども、普段はあまりお付き合いのない他の業界の方々のですね、コメントなり分析なりを聞いていただいて、今後の経営のお役に立てていただければこんなに幸いなことはないと思っております。

    今日11部会の方々の方からプレゼンをいただきますけれども、それぞれに準備等大変だったと思いますけれども、何卒、ちょっと長い間でございますけれどもプレゼンテーションの方もよろしくお願い申し上げます。それではこれから1日よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

    司会
    藤井会頭どうもありがとうございました。さて、本日の業種別部会長シンポジュームですが、テーマは2014年上期の回顧と下期の展望です。副題としまして「どうする日伯関係 -ビジネス環境改善に向け、いま為すべきこと-」を設定いたしました。

    各部会長ならびに部会員の皆様にはこのテーマに沿って部会懇談会を開いて活発な討議をされ、本日の発表に備えられたことと思います。各部会長、部会の皆様のご尽力、ご協力につきまして厚く御礼申し上げます。

    本日は11の部会より発表していただきます。ほとんどの業種を網羅していて、いながらにしてブラジルビジネス最前線の様子や課題が見えて来ると思います。部会長の皆さんも張り切ってスタンバイされておられます。途中コーヒーブレイクを挟んで6時までの長い時間ですが、どうぞ最後までお聞きいただきますようお願い申し上げます。

    それでは最初のプレゼンテーションをお願いしたいと思います。トップバッターは金融部会です。酒井部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 金融部会 酒井浩一郎 部会長

    金融部会 酒井浩一郎部会長

    Pdf金融部会 酒井浩一郎部会長

    どうもありがとうございました。それでは張り切ってですね、やらさせていただきたいというふうに存じます。金融部会の酒井でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。

    では早速ですけども、金融部会より、今上野様からもご説明ございました2014年上期の回顧と下期の展望というテーマで、マクロ経済、それから銀行業界、保険業界についての発表をさせていただきたいというふうに思います。

    今年2月にも私このような席で、シンポジュームで2014年の展望ということでお話しさせていただきました。その時には、引き続き景気低迷が続くというご説明だったんですけども、今回ですね、金融部会の方でも色々な議論をさせていただいたんですが、やはり、今藤井様からもお話がございましたが、ブラジル経済を取り巻く環境は非常に厳しい状態が続いておりましてですね、まあ残念ながら今回も、非常にバラ色のメッセージを送るということは残念ながらできないということになろうかと考えております。ではスライドを。

    まず最初にですね、2014年の上期のブラジル経済を簡単に総括させていただきますスライドがこちらでございます。こちらでもまとめさせていただいてますが、まあ経済は低迷、インフレ率は高止まり、それから経済収支は大幅赤字のまま。それから先般Camaraの昼食会でもお話がございましたがS&P社が格下げをするなど、まあ非常に好ましくないニュースばかりが上期、目についてございます。

    そういった中で、一番上にございます、例えばGDPについてでございますが、その中の工業生産につきましては国内の設備投資の減ですとか、自動車販売、こちらの方も非常に厳しい状況。それからアルゼンチンの債務返済問題。通貨規制に伴う輸出減により工業生産が減少、といった状況がございます。また個人消費、頼みの綱と申しますか個人消費の方もですね、力強さというのを欠いておりまして、全体として経済は停滞していると言わざるを得ないのかなと考えております。

    インフレにつきましても、レアル安や、あとエネルギー価格の上昇等によるインフレ圧力に対しまして、その結果ですね、公共料金やガソリンの価格の凍結によりまして、かろうじて中銀目標の上限である6.5%近辺にとどめているという状況でございます。

    また金利につきましても、こちらやはりインフレ対策ということもございまして、11%まで引き上げられました。こういった景気の低迷感、インフレ対策のための、まあ高金利政策というんですかね、こちらを維持せざるを得ず、ブラジルにとっては全体的に非常に厳しい状況に陥っているということかと思います。次のスライドをお願いします。

    若干ちょっと個別にご説明させていただきたいと思います。まずGDPでございます。一番上に書いてございますが、2014年第1四半期は前年同時期1.9%になりました。ところが第2クォーターにつきましては、まあ期待されたワールドカップの開催がありましたが、その影響が逆に悪影響になっていまして、工業生産の大幅な落ち込みによりましてマイナス成長が見込まれていると言われております。まだ実績値が発表されておりませんが、前年同時期に対比で若干のマイナス、0.1%の、ただマイナス成長になったというのが見通しになってございます。

    貿易収支につきましては、まあ資源価格の低迷、ブラジルにとってはこれは非常に厳しいわけなんですけども、が影響いたしまして、マイナス1.6と書いてございますが、US$1.6billionでのマイナスということで、これは2013年上期も同様であったんですが赤字ということになってございます。

    それに伴いまして経常収支も、ちょっと見づらくて恐縮でございますがUS$43.3billionの赤字となっていまして、赤字の額が非常に大きなものになっております。次のスライドをお願いいたします。

    さらにもうちょっと細かくご説明させていただきたいと存じます。このグラフは工業生産の推移でございます。青い線が前年比なんですけども、見てお分かりの通り特にこの直近の、右の端の方ですね、グラフが大きく下に下がっているのがご理解いただけるかと思います。14年の3月以降、4ヶ月連続で前年実績を下回っている、ゼロより下になっておりまして、下回っているという状況になってございます。

    こちらはですね、特に6月はワールドカップの影響によりまして営業日が、日数が減ってしまいましたので、その影響もありまして対前年比6.9%減と、特に6月は大幅に落ち込みまして、これは2009年のリーマンショックの時の最悪の数字に匹敵するものとなってしまいました。この結果、上期全体、累計でも対前年比2.6%の減の工業生産ということになっております。

    それから業種別、セクター別にに見てみますと、全26セクターのうち、まあプラスのものは情報機器関連等の8セクターにとどまりまして、26のうち18セクターはマイナスとなっております。この後また詳しいご説明がありますけれども、特に落ち込みが激しかったのはやはり自動車等の輸送機器で、対前年比マイナス16.9%程度というふうに言われております。次のスライドをお願いいたします。

    続きまして小売売上高のグラフでございます。こちらはですね、いわゆる個人消費の伸び率の推移を示しておりますが、ご覧いただきますと、赤い矢印をつけさせていただいておりますが、右に向けてなだらかにですね、落ちておりまして、やはりこれも伸びが鈍化していると言わざるを得ないのかなというところでございます。

    これ、何で落ちて行くのかと、色んな理由あり得ると思うんですけども、やはり家計におけます借入率とか返済負担の増大、またクレジットの審査が厳しくなりまして伸び率の減少等が挙げられるかと思います。次のスライドをお願いいたします。

    このグラフは家計に占めます借入率の比率を示したものになってございます。上の方の線グラフと下の棒グラフがございまして、上の45.7と書いてありますのが、借入比率と言っていまして、月の給与に占めるある家庭の借金の累計、合計額というんですかね、それが毎月給与のうちの45.7%がまあ借金としてのしかかっていると。ただ下の方の棒グラフの21.4とございますが、これはその毎月の返済金ですね、給与に占める返済金の率、まあ元本と利息それぞれ色に分かれて書いてございますが、こういったものになってございます。要はこちらもですね、右肩上がりで上がっていると、これはあまり良いことではなくて、個人消費にとって良い話ではなくて、まあ3月末時点で45.7%、累計の借金がですね、借金の率が。それから、あとこういった借金の率が増えますとクレジットによる購買がやはり審査も厳しくなりますので、難しくなる状況というのがこれを見ても良く分かるということになろうかと思います。次のスライドをお願いします。

    続きましてインフレについてでございます。インフレの内訳、ちょっと若干細かい数字が並んでおりまして恐縮なんですが、右の方に赤丸がついてございますけれども、まずいわゆる全体を示すCPI、消費者物価指数ですね、こちらが6.5と書いてございますが、これは中銀ターゲット上限の6.5%ということでなってございます。

    それからあと、一番上の8.4というのが丸で囲まれてございますが、こちら紫色の線になって、まあ例年これ高いんですけれども、こちらはサービス業を示すものになっていまして、こちら例年、まあ見ていただきますとずっと高いわけですけども、やはり高い数値を維持しているということになっておりまして、まあこちらが構造的に物価上昇圧力の大きな要因になっていることが見えます。

    それからですね、今年に入りまして、青色の線、ちょっと下の方にございますけれども、赤で矢印もかけてありますけれども、青色の線のRegulated Price、これは何かと申しますと、例えばガソリン価格ですとか、まあいわゆる政府が価格をコントロールしていくものの価格が上昇しております。やはりこちらはですね、エネルギー価格の上昇ですとか、電力のスポット価格の上昇等が影響しているということでございます。次のスライドをお願いいたします。

    続きまして金利と為替についてでございます。金利につきましては、皆さんご存知の通り、2013年の4月以降ですね、まあインフレですとかレアル安の防止のために、段階的にですね、Selicを7.25から、今ですと11%、下の方にございますが、段階的に合計3.75%引き上げられてきております。

    また、最後横になってございますが、やはり景気への悪影響などを意識いたしまして、今年の2014年4月で引き上げをストップしています。従来レアル安の対策につきましては、金利の引き上げですとか、あと通貨のスワップによる介入で行なってきていますが、やはりこれ以上の金利の引き上げというのがまあ難しくなっておりますので、現在は通貨スワップによる介入というのがレアル安対策の主要な手段となっているということでございます。

    それから為替でございますね、為替につきましては1月に、赤丸でも書いてございますが、1ドル=2.426レアルをつけたんですけども、その後は継続的な介入によりまして今2.2レアル前後で安定しているということが見て取れます。では次のスライドをお願いいたします。

    続きましてプライマリー収支についてでございます。そもそもプライマリー収支とは何なのかということもあるかと思いますが、これは国のですね、財政支出の状況を示す指標であります。グラフを見ていただきますと、2011年以降ですね、黒字幅が段階的に、赤の矢印で示しています通り、低下していることが分かります。2014年は景気低迷に伴う税収の減ですとか、逆に景気刺激をするために伴う財政支出の出動によりまして、さらに悪化しまして、ここでは1.5となっていますが、1%台前半に落ち込むという見込みということになってございます。では次のスライドをお願いいたします。

    続きまして失業率でございます。見ていただきますと、ちょっと見づらいかもしれませんが、5%台ということで非常に低い水準を記録しております。まだこの記録上大幅な上昇はないんですけれども、やはり先程から申しております工業生産の低迷等によりまして、製造業の現場では求人が減少していたりとか、また一部ではレイオフなども始まっているということも言われておりまして、まあ今後はこの失業率も上昇していくことが予想されております。では次のスライドをお願いいたします。

    こちらですけども、経常収支と直接投資というふうに書いてございます。ちょっと見づらいんですけども青い線と赤い線がございまして、青い線が経常収支ですね。これは経常収支の赤字幅の実額を示しております。それから赤い線は直接投資、こちらは黒字幅を示しております。2013年のところでクロスしておりますけれども、直近のところでですね、資源価格が非常に低迷していることによりまして、ブラジルにとりましては貿易収支が悪化することになりました。

    それに伴いまして、当然なんですが経常収支の赤字幅が拡大いたしまして、直接投資を上回る状態になっております。ですからこのグラフでもお分かりの通りですね、まあそういう状況になっておりまして、その結果外貨準備高については大幅な経常赤字でも減少していないという状況でございます。

    この経常収支の赤字を埋めておりますのは、まず直接投資なんですけども、さらに足りない部分というのを国債や株式投資の証券投資で埋めているのが現状でございます。ただしこういった短期の投資資金につきましては、なにしろ逃げ足が速いと言いますか、状況によって逃げ足が速いと言われておりまして、今後ドルの金利上昇やそれに伴うレアル安によって国外に流れ出てしまう、還流してしまう可能性がありまして、これについては常に注意が必要であるということが言えます。次のスライドをお願いします。

    今のお話で出ましたこちらが外貨準備高でございます。外貨準備高というのは何を意味するかというと、まあ通貨当局が為替介入に使用する資金である以外にですね、通貨危機ですとか、他国に対して外貨建て債務の返済が困難になった場合に使用するまあ準備資産ということで、非常に大事なものなんですけども、外貨準備につきましてはご説明の通り経常赤字にも関わらず引き続き増加しておりまして、対外債務に対して115%ということでブラジルにおきましては十分な水準を維持しております。次のスライドをお願いいたします。

    ソブリン格付についてでございます。このソブリン格付というのは何なのかというところだと思うんですけれども、各国の中央銀行が発行する債券や債務に関わる返済能力やその返済の意思の高さを示していると言われております。これにつきまして、冒頭にもお話しさせていただきましたが、今年の3月にスタンダード&プアーズ社が、まあ景気低迷とか財政悪化を理由にブラジルの格付を1段階下げまして、BBBマイナス、投資適格級でまあ最も低いと言われているBBBマイナスになりました。ただし見通しにつきましてはネガティブから安定的に変更になっております。
    ここまでが上期の振り返りということになりますが、非常にちょっと厳しい状況、数字等が続いているということが言えるかと思います。次のスライドをお願いいたします。

    続きまして2014年下期の展望についてお話しさせていただきたいと思います。先程藤井様からもお話ございましたが、下期には大統領選挙も控えておりまして、そういった中、中々こういった状況ですと大きな動きというのは経済界では期待できませんで、上期の流れがそのまま継続していくのではないかというふうに思われます。また逆にですね、大統領選までは投資を控える動きが続くこともありまして、GDP成長率につきましては1%を下回る0.8%での着地が予想されています。

    続いてインフレにつきましてはですね、公共料金の凍結ですとかレアル高の誘導によりまして、まあインフレターゲット6.5%と申しましたが、そこに近い6.3%ぐらいでの着地を見込んでございます。

    また金利につきましては、先程からのご説明の通り景気の低迷下ですね、インフレの圧力がある中、まあ上下とも動かすことは厳しいと予想しておりまして、11%での予想となっております。

    為替につきましては、現在の中銀の介入によりまして安定しておりますが、マーケットでの予測では大体1ドル=2.35レアル近辺となっております。ただしこちらはまた大統領選の影響等でですね、どうなっていくのかは色んな要素がございますので注意が必要ということかと思います。

    それから財政につきましては、先程プライマリーバランスにおいても説明させていただきました通り、景気低迷に伴う税収の減や景気刺激策に伴う財政出動、これによりまして、またさらに悪化しまして、中銀のFocus予想では1.3%で着地見込みということになっております。

    労働市場につきましても、ご説明の通り失業率は歴史的に低い水準であったわけですけれども、これがやはり求人の減、レイオフにより反転して上昇が確実視されているということでございます。まあ失業の増加というのはその結果個人消費を冷やし、消費の冷え込みによりまして景気悪化、それからレイオフといった負のサイクルが心配されるというふうに言われております。

    経常収支につきましては、資源価格の上昇というのは中々見込めないため、昨年並みの赤字が予想されているということでございます。次のスライドをお願いいたします。
    こちらがですね、2015年以降の予想について金融部会各行よりコメントをいただいております。イタウさん、ブラデスコさん、みずほさん、三井住友さん、それから三菱東京UFJさん、そちらの方から見込みというかいただいておりまして、ちょっと細かい所は、ホームページでこれはご覧いただけますので。全体的な論調としましては、まあ残念ながら15年はインフレ対策のための引き締め気味の金融財政政策を採用、それに伴いまして大幅な景気回復は望み薄というものでですね、大統領選後の構造改革に期待するということかと思われます。次のスライドをお願いします。

    続きまして銀行業界の状況、その後保険業界の状況につきまして簡単にお話をさせていただきたいと思います。 まずこちら銀行業界の関連でございますが、こちら貸出残高の推移でございます。これ2014年5月のものになるんですけど、一番右に書いてございますが、前年の同時期16%に比べまして11%ということで、伸び率が鈍化しているということが言えます。法人・個人、細かくブレイクダウン、上の方に書いてあるんですけども、いずれも鈍化しているということが言えます。次のスライドをお願いいたします。

    こちらはその貸出残高の対GDP比率でございます。こちらですね、まあ右肩上がり、2003年以降ずっと右肩上がりになっておりますけれども、ちょっと右端のところを見ていただきますと14年7月末の数字はまあ13年とほぼ横ばいになっておりまして、これだけでちょっと判断するのはあれかもしれませんが、まあ貸出が鈍化しているのかなということが読み取れます。次のスライドをお願いします。

    こちらがですね、法人・個人別の不良債権の比率の統計でございます。緑のラインと赤いラインがございますが、緑のラインが15~90日の延滞、赤いラインが90日以上の延滞ということで不良債権比率ということになります。2013年まではですね、低下傾向だったんですけれども、ちょっと最後のところを見ていただきますとクッと上がってございます。この景気低迷のこういった中、あと失業率も上昇が見込まれる中、こういった不良債権比率も、良い意味じゃないんですけれども反転しているところがあるので注意が必要かというふうに考えております。次のスライドをお願いします。

    続きまして保険業界についてご説明させていただきます。こちらにつきましては前回のこのシンポジュームで、非常に良いということで、福嶌様からもちょっとお言葉いただいたんですが、やっぱり全体の景気の状況を踏まえまして、暗雲垂れこめ始めているというところが出てございます。

    まず最初のスライドでございますが、こちら保険料の推移でございます。これを見ていただきますと全体で一番右の上、9.6%の増ということになっているんですけれども、この後直近のデータがありまして、この9.6が多分7.8ぐらいになっていくだろうというのが直近出ておりまして、さらに色んな経済指標が出て来るところを見ると今後ともこの数字というのは注意が必要ということが言われております。次のスライドをお願いします。

    こちらが損害率ですね。保険料をお預かりしまして事故があってお支払いする時の率なんでございますけれども、一番上、自動車保険、一番大きなボリュームなんですけども、1.9%とございますけれども、ほぼ、一番下を見ていただけますと0.4%ということで、横ばいになっているということでございます。まあ当地、保険会社非常に数が多くございまして、競争の激しい中、保険会社もぎりぎりのところで競争を強いられているという状況かというふうに思います。次のスライドをお願いいたします。

    最後に、これはまだ成長の統計というのが出ていなくて、これはちょっと前のものになるんですけれども、まあ非常に、見ていただきますとお分かりの通りですね、バラ色のような、どんどん伸びている形になっているんですけれども、やはり今日私からご説明させていただきましたブラジル経済の不透明感とかですね、自動車販売、新車販売の停滞ですとか、個人消費の落ち込み、まあこういったもので保険業界を巡る環境の先行きは非常にやっぱり厳しいものになっているというのが直近の業界での見方ということになっております。非常にこれから、今までは良かったんですけれども、苦戦になるんじゃないかというのが、各、色んな情報交換の場では言われているというところでございます。

    すいません。冒頭の説明ということで、やや、マクロ経済ですとかこういった状況について個別に説明するとちょっとつまらないプレゼンになってしまいましたけれども、私のパートはこちらで終わりにさせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。

    司会
    酒井部会長どうもありがとうございました。若干時間ございますので、ご質問、あるいはコメント等おありの方いらっしゃいましたら挙手をもってお願いいたします。藤井会頭、お願いいたします。

    質問
    (※マイク音声がなく聞き取り不能)

    酒井部会長
    非常に高度な質問で、私も正直申しまして、にわか勉強してきてはいるんですけども、大統領選による、まあ皆さんもうすでに色んな勉強されていると思うんですけれども、何とも言えないというのが、色んなものが事前の勉強では言われておりまして、どうでしょうかその辺。ではちょっとすみません、副部会長会社のみずほ銀行の加藤様、よろしいでしょうか。

    加藤副部会長
    副部会長の加藤です。まさにご興味の一番ある点だと思いますが、非常に難しいと思います。一般的な話ということで、この点については特に部会で突っ込んだ議論もしていませんので、まああくまでも私の私見ということで受け取っていただきたいんですけれども、会頭のはじめのお言葉にもあったように、当初は相当マリーナさんに対しての懸念が強かった。

    これはつまりジルマとマリーナ、その間の選択というのは、これはもう最悪の選択なんじゃないかというふうに言われていまして、どちらを取ってみても証券市場にとっても資金の市場にとっても非常に悪影響を及ぼすだろうというのが大方の見方だったと思います。で、ここへ来て、多分それをですね、十分に意識した発言をしているので、両者ともですね、相当、経済への行方あるいはブラジルの格付維持に関するまあ配慮ということもあって、相当そこら辺の発言には注意をしているということなので、ちょっと見方は変わってきているのかなというところはあります。

    ただ、一つ言えるとするとですね、当初のジルマ対ネーベスさんなりカンポスさんという分かりやすい構図、どちらが勝てばブラジルの経済に悪影響、カンポスあるいはネーベス陣営が勝てばブラジルの経済に一般的には良い影響という、黒・白のはっきりとした対比の構造が崩れたので、あるいは崩れかけているんじゃないかと思いますので、その意味では、前であれば非常に資金の流入も悪影響になって、あるいは為替も良くないというふうに思っていたんですけれども、現在ではもうちょっと見てみないと分からないのかなというのが、これは正直なところです。こんなところでどうでしょうか、会頭。

    司会
    藤井会頭よろしいでしょうか。そうしましたらこれで金融部会さんの発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。もう一度拍手をお願いいたします。

    続きましてコンサルタント部会の発表に移らさせていただきます。関根部会長どうぞよろしくお願いいたします。

  • コンサルタント部会 関根実部会長

    コンサルタント部会 関根実部会長

    Pdfコンサルタント部会 関根実部会長

    コンサルタント部会は色んな職種の人の集まりなんですけども、ただ今ご紹介がありました通り、今年の上期は景気がスローダウンしまして、まあ全般的にそれぞれの職種で動きが鈍かったと。ブラジルへの直接投資ないしはM&Aアドバイザリー業務につきましては、案件そのものはありますんですけども、その成約のスピードが鈍ってきております。

    人材リクルート業におきましては、先のワールドカップサッカーでもって日本からのご出張の方の通訳というような特需的な仕事が入りましたですけれども、新規設立の会社が減っておりまして、既存の人材の入れ替えというようなところに仕事がとどまっているわけで、顧客数を広げないといけないということで、リクルート業につきましては日系のみならず純ブラジル系の企業にお客様を広げつつあるというところでございます。

    証券投資のアドバイザリー業務につきましては、今年の上期はブラジルのBOVESPAに新規上場する企業が一つもなかったと。年初から3月中旬まで株価が一貫して下げに準じまして、非常に不調に終わりました。3月中旬にようやく株価は底を打って、現在回復基調にあるというところでございます。

    で、どうしてまあこういう、ビジネス環境が悪化したのかということで、コンサルタント部会内でディスカッションしました。外部環境と内部環境とを分けた意見のすり合わせをこれからご報告申し上げます。次のスライドをお願いします。

    1991年にソビエト連邦が崩壊しまして、以降、グローバリゼーションということで世界のマーケットが一つになるであろうと。ちょうどIT技術、インターネットの普及で急速に進んできたわけですけども、今年に入りましてこのグローバル化に中断がかかったと。逆に経済のブロック化が世界で起きて、そのブロックの間でそれぞれ経済制裁を行なっているというのが今年の新しい特徴です。で、ロシアにおきましては、かつてのソビエト連邦の一部の国を巻き込んでユーラシアユニオンという関税同盟を作っております。ここら辺を背景にして現在ウクライナおよびクリミアで危機が起きているわけです。

    アジアにおきましては、中国が今や世界第2位の経済大国で、韓国をも巻き込んで東アジア、南アジアでもって覇権主義が露骨に出てきております。領土問題では日本とは尖閣諸島、フィリピンおよびベトナムの海域では領海問題のフリクションが起きているわけです。

    で、ブラジルはインドと共にこれらのブロックには属さないその他の大勢の諸国の中に属すると思いますけれども、このその他諸国のブロックにおきましても、中東におきましては現在ガザで戦争状態にあると。イラクの中では内乱が起きている。イランにおいては反グローバル化の動きの制裁として引き続き経済制裁が行われているわけです。

    今年のはじめにIMF、世銀が発表した今年の経済成長率の予想としましては、まあ全世界では3.2%、ブラジルについては2.3%という非常に楽観的な見通しを出しておったわけなんですけども、こういうあまり想定していなかった急転が世界の経済に変調をきたしているという、まあ悪い外部環境があります。次のスライドをお願いします。

    1944年以来、第2次大戦後の国際経済の秩序というのはIMF、世銀を中心にして行なってきました。アメリカおよび西ヨーロッパが中心になりまして、その後日本も加わって、IMF、世銀の下に欧州復興開発銀行、米州開銀、アジア開銀、これが戦後ほぼ70年間秩序を保ってきたわけです。

    ところが今年に入りまして、ワールドカップの直後、7月の中旬にフォルタレーザでBRICS5ヶ国の会議がもたれました。そこで中国が主導しましてBRICS開発銀行というものを新しく作るということが決まりました。その本部は上海に置くと。総裁はインドから選出するということが決まっております。

    中国はアジアにおきましてもアジアインフラ銀行という構想を出しておりまして、まあ戦後70年間続いたIMF・世銀体制に対しましてまあいわば挑戦状をたたきつけたということでございます。BRICSというのはかつてゴールドマンサックスが言い出したことで、海外の投資家から見ての新興国の中の大国を示すわけですけども、まあ中国はこれを逆手に取って、新興国の中のリーダーシップを取ってBRICSという、まあ自らの結束を固めようとしているわけです。次お願いします。

    次にブラジルの国内問題なんですけども、先程酒井さんから詳しい説明がありましたので簡単な説明にとどめたいと思いますけども、まあ図式化しますと、財政赤字、これが一番大きな問題でございます。先程もご紹介ありましたけども、プライマリー収支で1.9%、この達成がほぼ無理になってきていますけども、あまりこれを下げるわけにもいかないということで、ブラジル政府としては財政支出に直接影響のない国の銀行、BNDES、開発銀行、CAIXA ECONOMICA、貯蓄銀行を使って、政府系の銀行からの融資を増やしてまかなっていると。今回のワールドカップサッカーのサッカースタジアム、これもBNDESの融資でほとんどがまかなわれております。

    この財政赤字を埋めるために赤字国債の発行を余儀なくされているわけです。11%の現在金利で、まあインフレが6%としても実質金利5%ということで、まあBRICSの中でも断トツに高い金利を払っているわけですね。このインフレは先程もご紹介ありました通り、非常に抑えてようやく6.5%近辺の数字になっていると。で、現在言われていますのは、価格統制がかかっている電力料金でもって20%、ガソリン価格においては15%。来年は政権がどの党になってもこの調整が必要であろうと言われております。

    この財政赤字、インフレというブラジルの二つの大きな問題をどういうふうに何とか繕っているかというのが、このスライドの右下にAncora Cambialと書きましたですけども、Ancoraというのは英語のアンカー、船の碇という意味で、何とか国の経済指標を格好つけるために為替操作に頼っておると。具体的には中央銀行の先物市場への介入でスワップ操作を行ないまして、先物のドル売りレートを保証するので外資を導入しやすくしていると。

    まあそれが故に我々の生活実感から見て、どう見ても高めであるレアル為替レートが出ておるわけです。このスワップ残高がどんどん増えているということで、まあ先程ご紹介ありました通りブラジルの外貨準備というのは3700、3800億ドル、非常に良い数字で横ばい推移しておりますけども、このスワップの残高が徐々に増えているということは、外貨準備の中身自体はだんだん劣化しておるということでございます。次のスライドをお願いします。

    まあ外部要因、内部要因、非常に悪いんですけども、高いコストは払っておるとはいえ、一応ブラジルには外貨資金が入ってきていると。まあ我々ブラジルの中にいますとブラジルの悪い点ばかり目につくんですけども、改めて世界経済におけるブラジルのプレゼンスが比較的良いポジションにあるということを強調したいと思います。ちょっとおさらい的になりますけども、ブラジルの経済規模、GDPの規模は皆さんご存知の通り世界第7位です。次お願いします。

    人口規模でいきますとブラジルは第5位。次お願いします。
    面積で見ましてもブラジルは第5位と。世界の、195カ国今ありますけども、大国であることには間違いないわけです。次お願いします。
    国の工業生産力を示す代表的な産業として自動車産業について見ますと、ブラジルはご存知の通り世界第4位の販売マーケットです。次お願いします。

    生産台数では世界第7位ということで、販売が4位で生産が7位ということはまだまだブラジルの自動車産業は伸びる余地があると言えると思います。次お願いします。
    これは国連が発表しています人間開発指数、Human Development Indexというもので、一人当たりの国民所得、教育水準、健康・衛生状態、ここら辺をランク付けしたものなんですけども、まあ世界で人間として一番住みやすい環境の良いのはノルウェーと。オーストラリア、スイス、オランダと続いていますけども、日本は17番目です。BRICSを見ますとブラジルはロシアの次で81位に位置しています。インドは衛生状態が非常に悪いということもありまして135位と下の方に低迷しております。次お願いします。

    この表は国別の公共事業の汚職度ということで、ドイツのTransparency Intrenationalという機関が発行しているんですけども、公共事業を行なうに当たって一番クリーンな事業を行なっているのはニュージーランド。それからデンマーク、フィンランド、スウェーデンと北欧諸国が続きまして、日本はドイツとともに第14位、アメリカ24位。BRICSの中で見ますとブラジルは73位ということで南アフリカに次いでよろしいわけです。最悪なのはロシアで143位と。まあいかにあの国で公共事業に汚職が多いかという数字が出ております。次お願いします。

    BRICS5カ国の中で今見たような数字を1表にしますと、こういうふうに、ブラジルは非常に良いポジションにおります。GDP、人口の経済規模で中国に次いで第2位と。自動車生産につきましては3位。人間開発指数、汚職の度合、これは第2位ということで、まあ我々が実感しているほどブラジルの世界におけるポジションというのは悪くないということが言えます。次お願いします。

    前にもお話ししたことがあるんですけども、ここで改めてブラジルの政治・社会の安定性ということを繰り返したいと思うんですけども、既に始まっておりますけども、今年は総選挙で、ブラジルは直接選挙制の民主国家であると。そこら辺はロシアとか中国とは違って民主主義が一応確立しているということですね。

    それから三権分立ができていると。ブラジルにおいて最高裁の判事はMinistroと呼ばれていまして、大統領が任命しておるわけで、まあその点若干司法の独立性には疑問はあるという議論はあるんですけども、一応三権分立ができていると。それから税制につきましては間接税主体で、複雑かつ高率ではあるけど一応税制が安定していると。で、ブラジルは移住者の国ですので、移住者が定住するように基本的には相続税、贈与税をかけないと。不動産あるいは会社の株式持ち分で相続・贈与する限りは税金がかかっていないわけですね。

    それから労働者が安定しているということが特徴として言えます。ブラジルの労働法は我々がビジネスをするにあたって、まあ困っているわけですけども、労働者側から見てみれば過保護で非常に良い法律であると。1943年のバルガス大統領時代の労働法がいまだに有効なわけです。

    それからサッカーとサンバと。これがブラジル社会の安定に寄与している。まあ今回のCopa do Mundoで我々実感した通りですけども、これ悪い言葉で言いますとポピュリズム政策で、サッカーとサンバがブラジルの国民を平静化するのに利用されていると。

    もう一つ、大事な要素で、ここにはあえて書きにくいもので記載しなかったんですけども、ブラジルにおいては軍部の力が弱いということはブラジルの安定性に非常に寄与していると思います。85年に軍政から民政に移管されまして、軍部の力は弱くなっておりまして、今回タイで見られたような軍事クーデターが起きる心配はもうないわけです。次お願いします。

    最近20年間、BRICSの中で見ますとブラジルの平均成長率というのは年間3%程度にとどまっております。中国、インドに対しまして、まあその半分にも満たないということで、大国、大きな市場で、潜在成長力があることは間違いないので、いかにしてその潜在成長力を引き出していくかという方策なんですけども、過去12年間PT政権は所得の再配分という政策を採ってきております。

    これはこれで所得階層のD層E層という下の階級を中間層のC層に上げて消費マーケットを拡大したと。消費刺激策としては成功してきたわけですけども、まあ12年間もやってきて、そろそろ配分だけじゃなくて所得そのものを増加していくと、経済成長政策を採っていくべきではないかと。まあ成長あっての分配と言えると思います。

    そのためにはブラジルが従来採っている唯一の産業政策、国内の産業保護政策から重点産業を選び出して、成長政策を採っていくべきだろうと。そのためには教育、ブラジルは普及してきましたけども、今後のその教育の質の向上を行なって労働生産性を上げて、産業の高度化に対応できるようにしないと国際市場には出て行けないということです。次お願いします。

    具体的にはブラジルコストの削減をしていくということですけども、これはすでに当会議所におきましてもワーキンググループを作って個別に具体的なアクションを起こそうとしております。

    インフラ整備につきましてはもう説明することもないかと思います。で、非関税障壁、これを提言してほしいということですね。現在ブラジルの商工開発省はSISCOMEX、SISCOSERVというシステムを持っていまして、これ我々が日常事務負担で困っていることなんですけども、物あるいはサービスの輸出入に対しましてインボイス一件ずつデータを細かくインプットしなければならないというシステムが大変な負荷となっております。工業製品につきましては INMETROの事前登録が必要と。医療関係につきましてはANVISAの事前承認を取らないと新製品の生産・販売ができないという、非常に規制が強くなっております。

    それから税制改革。これは私ども税務処理の事務負担で頭を悩ませているところですけども、まあすでにブラジルの民間の経済学者の中でもこのどうしようもないブラジルの税制は簡素化しなきゃならないという税制改革案が出てきておりまして、まあブラジルの中でもようやくそういう方向が出てきた良い兆候かと思います。まあ国税、州税、市税と入り乱れているわけですけども、税制改革はまあ時間はかかるけれども、国税一本に絞っていこうという考え方です。

    それから労働形態の弾力化。まあ1943年以来の労働法を弾力化して、世界の趨勢であるパートタイマーも導入しての労働市場、弾力化していく必要があるということですね。
    それから政策金利の低下。為替市場の介入。これは金融市場への国の過度の介入を減らして、市場原理を生かしてもっと自由競争を行なわないと、まあリアリスティックな為替レートも出てこないと。金利の本当の低下もあり得ないということですね。

    で、ここら辺を総合しまして、PortuguesでDescentralização、英語でDecentralization、分権化がブラジルは必要であるということがブラジル自身から最近出てきております。ブラジル人自身もブラジルコストの削減を言い始めているということでございます。次お願いします。

    そこで、この下期のビジネス環境なんですけども、不確定要因としましてこの10月5日の総選挙。第1回の投票では大統領は決まらず、決選投票上位2者で行われそうですけども、大接戦が予想されておりまして、まあ選挙の結果を見極めるまでは生産者側は大きな投資は行なわないと。消費者側も不動産、耐久消費財の購入は様子見で控えるという状況で、ビジネスはスローダウンすることはやむを得ないかと思います。

    ブラジルの金融マーケットにおきましては、この選挙関連で政権交代を督促するような相場付きになっていくのではないかと思います。事実、ジルマ現大統領の支持率が上がると株が下がる、逆に支持率が下がると株が上げるというような動きが出てきておりまして、まあ株価に債券市場、為替市場も連動しております。

    ブラジルの選挙は世論調査機関としてIbope、Data Folhaという大きな調査機関がありまして、これの影響が非常に強くてですね、まあ今のところジルマ大統領がリードしていますけども、選挙間際までですね、段々差が縮まって選挙直前ではおそらくイーブンになるような予想が出るんじゃないかと思います。先ほどもご意見が出ましたですけども、結果を見るまでは中々予断を許さないというところですね。次のスライドをお願いします。

    以上、結論なんですけども、まあ世界的に見て、地政学リスク、今年のキーワードはこのGeopoliticsという、地政学ですけども、それはブラジルはない大きな大国であると。世界中195カ国のうちこれだけ大きなマーケットはそうはないということで、重要なマーケットであることには揺るぎがないわけですね。そこで我々コンサルタントとしても投資をぜひ勧めていきたいんですけども、まあ大きなマーケットには大きな投資がもちろん良いわけですけども、いきなり大きな投資から入れない場合は小規模投資、ニッチな投資から始めるべきかと。 
    ブラジルのマーケットは先ほど申し上げました通り、税制管理等で非常に事務コストがかかります。従って中規模の、まあ悪い言葉で言いますと中途半端な投資ができない市場ですね。まずは小規模でもいいから投資を始めて、長期的観点からこの重要なマーケットに前向きに進もうと。次お願いします。

    まあ最後にÂnimo!ということで、まあ元気を持って頑張っていきましょうと。ブラジルマーケット、見捨てたものではないので、明るい希望を持って投資を継続しましょうというのがコンサルタント部会からの提言として報告させていただきます。ありがとうございました。

    司会
    関根部会長どうもありがとうございました。若干時間押しているんですけれども、一つだけご質問受け付けたいと思いますが、質問あるいは意見ある方いらっしゃいますでしょうか。それではこれでコンサル部会さんの発表を終わらせていただきます。もう一度大きな拍手をお願いいたします。

    それでは3番目ですね、自動車部会の発表に移らさせていただきます。近藤部会長よろしくお願いいたします。

  • 自動車部会 近藤剛史部会長

    自動車部会 近藤剛史部会長

    Pdf自動車部会 近藤剛史部会長

    こんにちは。それでは自動車部会の方からご報告をさせていただきます。まず上半期の振り返りと下期の展望という本題に入る前に、先月安倍総理がお見えになりました。まず福嶌総領事はじめ小林参事官、それから大使館の皆様、領事館の皆様、大変お疲れ様でした。

    実は安倍総理の来伯に伴いまして経済界からもご同行していただきました。先日福嶌総領事の方からも詳細なご説明ございましたけれども、弊社の方からも、経団連の副会長ということで会長の内山田が同行して参りましたので、実は私も同行して回らせていただきました。次お願いします。

    ちょっとその状況だけご説明させていただきます。7月31日にリオの方で日伯賢人会議で事前のすり合わせをさせていただいて、翌日両首脳と日伯賢人会議のメンバーで経済に関する申し入れをさせていただきました。同じ内容をマウロ・ボルジェス経済開発大臣の方にもご提案させていただき、8月の2日、ご存知の通りサンパウロの方でビジネスフォーラムがあったと。ということで、ご覧の通り日伯賢人会議のメンバーで合意の上で日本からのご要望をさせていただいたということでございます。次お願いします。

    経団連副会長の内山田の方から提案させていただいた自動車に関する国際競争力強化に向けた取組みということで、このような5つの提案をさせていただきました。税制改革、インフラ整備、人材育成、裾野産業の育成と輸出を促進する政策ということでございます。これは後々、あとで我々のやはり対策になってくるのではないかと思いますので、先にご紹介させていただきたいと思います。まあ個別の企業でロビー活動をしていたことが、総理がお見えになって、経済界全体でこういう提案をしていただいたということが、まあ日頃我々個別のお願いをしていることがですね、公になって、我々としては大変助かったというふうに思っております。次お願いします。

    これは、実は同行させていただいた時にですね、大変貴重な体験をさせていただいたので、まあカメラマンのごとくあちこちに入り込んで写真を撮って参りました。一番目が経済開発大臣マウロ・ボルジェスさんへの面談の模様でございます。二つ目、右側がですね、両首脳、安倍総理とジルマ大統領、それから左側が日本賢人会、右側がブラジルのワイズマン・グループということで、立会いの下日本側から主にご説明をさせていただいたということでございます。

    3番目はサンパウロでのビジネスフォーラム。たまたまホンダさんがお見えにならなかったので弊社の写真が載っています、すみません。4番目は、もっとどうでもいいんですけれども、色々食事会とか参加させていただいて、機会がございましたので写真を撮らせていただきました。

    安倍総理に関しましては、一発で大ファンになりまして、大変品のある熱い方だなという感じがしました。ジルマ大統領は、写真をお願いしたら妙に接近してきてちょっとどきどきしたんですけど、後ろでこう少しエスコートしようと思ったらですね、手が届かなくてですね、こんな感じで無様な格好で写真を撮ってきました。こういう会に出さしていただきましたというご紹介だけでございます。次お願いします。

    それでは真面目に、上半期の振り返りと下期の展望ということで。まず四輪業界の動向の方からご説明させていただきます。

    まず最初に市場全体を振り返りたいと思いますけれども、ご覧いただきました通り、酒井さんと関根さんからももうご報告ございました通り、自動車業界はこの上期は大変厳しい状況でございます。上半期はですね、一番右側の中ほどに書いてあります166万台。年率に直しましても358.9万台ということで前年を大きく下回るペースでございます。輸入車、この下に赤いグラフで書いてありますけれども、輸入車の販売状況でございますが、まあ半期で30万台ということでこちらも年率に直しても1割以上低下ということで厳しい状況になっております。次お願いします。

    これは月販で見ますとこのようになっております。1月はまだ頑張っておったんですけども、これはIPIの減税戻し前の在庫が非常にたまっていまして、まあ各社値引きをしながら在庫をはいたという状況でしたけれども、2月以降はIPI減税の戻りの影響をもろに受けて、まあ通常レベルに戻ったというか、大きく下がりました。次お願いします。

    次にですね、これは販売台数の中身を少し見てみますと、これはフリートの比率でございます。フリートというのはレンタカーとかタクシー、企業向けの販売を言いますけども、黄色い下の棒グラフがフリートでございます。今年になってからどんどんフリートの比率が上がってきております。まあ一般的には我々の業界はですね、一般の販売が減ると、企業向けにですね、大きく値引きをしながら売って生産を支えるという状況になります。まあこの状況が大きく見られるかなという感じです。

    特にFiatさんとWagenさん、赤と黒の折れ線グラフはまあ特にフリートに力を入れているお会社で、これだけの比率になりますと多分、もしかしたら限界利益を割りながら身を削っているのかなと。まあちょっとここは予測ですので、もし議事録がございましたら割愛してください。大変厳しい状況だと思います。では次お願いします。

    もう一つがですね、支払形態でございます。先程酒井部会長の方からもご報告ございましたけれども、ここ4、5年ですね、真ん中の黄緑のローンのところがどんどん増えております。青いリースにつきましては、法人のリース、税額控除が廃止されましたので、2009年でしたかね、廃止されましたのでどんどん減って、その代わり個人向けローンが増えていると。

    金融部会さんの方の発表にもありました通り、貸し倒れが多く与信審査が厳しくなっているということもございますけれども、依然自動車販売ではローンが大きい割合を占めるという状況でございます。以上のことから、かなり無理して市場を維持しながら、個人顧客もローンを使いながら、ずいぶん市場が無理やり膨張しているかなという状況を我々は見ております。次お願いします。

    次に生産の方でございます。生産の方はですね、まあ国内販売と同様大きく下落しているわけですけども、右肩の矢印の中に書いてございます対前年83.3%ということで大きく下げております。その下、これは輸出なんですけども、折れ線グラフのところにありますけれども、輸出はですね、対前年65.6%ということで、さらに大きく落ち込んでおります。まあこちらはですね、輸出の75%を占めるアルゼンチン向けがご存知の通り、まあ半分近くなったりしているお会社もございますので、この影響で全体として国内販売よりも大きな落ち込みということになっております。次お願いします。

    これは先程申しました通り、右上、国別の輸出割合ですけれども、アルゼンチンが全体の75%と。で、その左側、乗用車が対前年59%と中でも一番大きく下げているという状況でございます。輸出相手のアルゼンチンの経済事情ですけども、もうすでにその道のプロの方から色々のご説明伺えると思いますので、我々素人ですからちょっとよく分かりませんが、まあGDPはマイナスと。外界準備高も減ってきて、大変最近新聞を賑わせておりますので不安ですが、我々まあ売れた分だけ作るだけでございますので、よく分かりません。ここはまあ、ちょっと飛ばします。次お願いします。

    下期の展望でございますけれども、この先もあまり良い傾向は予測しておりません。この表、左から二つ目、14年下期の予想を7月にANFAVEAが下方修正しまして、190万台と読んでおります。私どもが自動車部会の中でお話ししながら相談した数字でいきますと、もう少し下、まあ180万行けばいいところかなということで。年間はその右、ANFAVEAの381万という数字から訂正して356万という数字に直しておりますけれども、我々は350万いけばいいところかなというふうに予測して合意をしておる数字でございます。次よろしくお願いします。

    その一つの原因が、皆さんもご存知の通りですけども、ちょうど一番右側から最初の点線のあるところですが、14年の7月IPI減税の戻しの予定でございましたが、これが年末まで延期となりました。15年の1月から実施ということでございますので、まあ先程から出ている大統領選の行方にもよりますけれども、もしこれが予定通り実施されれば、15年以降、16年も厳しいんではないかというふうに読んでおります。下期の予想は以上ですけれども、次お願いします。

    少し、先を見た展望もちょっとご紹介させていただければと思っています。これは皆さんもご存知の通り、人口構成比率でございますけれども、一般的には生産年齢と呼ばれています15歳から65歳の人口構成は、一番左の1億4000万人の現状から、今後15年から20年間増え続けて1億5000万人ぐらいまでになるということで予測されています。自動車ユーザーもその下にございます通り、ほぼ同じ、またはそれ以上の比率で増えるということが見込まれております。次お願いします。

    今の人口構成でございますけども、各国と比較してもですね、グリーンのブラジルというのはご覧いただいた通り30年から35年ぐらいまで高い水準が続くと。一方赤の日本、それから青い中国ですらですね、2015年から徐々に減少傾向になっていくであろうと。ちょっとインドはいい加減にしてほしいぐらい上がっていきますけども、ブラジルも決してこの先20年ぐらいは悪い見通しではないというふうに予想されています。次お願いします。

    もう一つ、世帯所得別の分布でございます。上の赤いグラフ、左側の赤いところが貧困層。いわゆる月間480ドル以下、米ドルですね、480ドル以下の所得。青が低所得、1200ドル以下。中間層2400.それ以上が富裕層と言われていますけども、そのグラフの3段目、2003年から比べますと劇的に低所得者以上の所得層が増えております。先程から皆さんの発表でもございます通り、給料を下げられないと。インフレに伴って、まあユニオンが保護した給料が上がっていくということを前提にしますと、この所得層ということが大きくまた後退するということは考えづらいので、今後も同じく、市場としてはポテンシャルを持っているというふうに感じます。

    一般的には自動車はですね、最低650ドル、月給650ドルから徐々に車の購買層になると言われていますので、まあ青い線の左側から二つ目ぐらいですかね、その線以上になりますと購買層になって来てくれるのかなというふうに予測をしております。下のグラフは世帯の収入の伸びと自動車の販売台数がほぼ相関関係にあるということを示しています。一般的に日本車の場合はですね、先程の650ドルの約4、5倍の収入レンジから購買層だというふうに言われております。次お願いします。

    もう一つ指標を出しますが、人口1000人当たりの車両普及率でございます。まあ日米に比べてまだまだ低いレベルにございますので、今後ともポテンシャルがあるというふうに思います。次お願いします。

    これは全体の市場の伸びを出した指標を持ってきましたが、2030年には世界第5位ぐらいになるところまで全体市場がブラジルとしては伸びるんじゃないかという予想でございます。次お願いします。

    続きましてGDPの推移。これも皆さんの方がよくご存知ですけども、17年以降まあこれは急激回復というItauさんの予測でございます。次お願いします。

    この次、ブラデスコさんが出している自動車市場の推移が、我々自動車部会では一番自分達の感覚に近いかなということでお話しさせていただきました。2015年16年はまだ厳しい状況が多分続くと思いますが、2017年ぐらいから緩やかに回復していくのではないかという予測をしております。以上のような予測をしていますが、一方で我々がリスクと感じていることもございます。次お願いします。

    これも皆さんご存知の通りですけれども、供給過剰でございます。水色の方がANFAVEAが予想している需要、それからグリーンの方がすでに公表されている各社の生産能力増強を合算したものでございます。まあ大体来年以降ですね、30%超の生産能力過剰が見込まれております。

    以上のことをちょっと簡単にまとめますと、足元では大変厳しい状況ですけども、中長期的には市場の回復、安定成長に戻っていくと考えます。ただ全体として生産能力の余剰発生の可能性が非常に強いので、解決の方向としては国内需要の活性化、それから輸出拡大の促進ということが必要になって参ると、このように考えます。次お願いします。

    まず今後の課題として国内需要の活性化でございますけども、課題としてはもう皆さんご存知の通りで、車両価格が高い、車両保険が高いと、ごめんなさい、これは事実でございますので。それから3番目、高額な通行料、燃料費、維持費。それから4番、国内インフラの未整備ということが課題かなと思います。ちょっと参考資料を見ていただきます。

    まず高い車両価格と。これはちょっと適当なデータがなかったので、弊社のですね、地域別の車両価格を比べております。上がカローラ、下がカムリですけれども、青がトップグレード、赤がエントリーでございます。いずれもブラジルは、まあアルゼンチンもそうですけれども、日本、アメリカに比べてかなり高いということで、特にトップグレードの方がですね、どうしても比率的に高くなってしまう。これは別にぼろもうけしているわけではなくてですね、税法上色んなお金が乗ってきてこういう形になると。あるいはコストの中で非常に下げづらいものがあって、結果こうなっているということでございます。次お願いします。

    その一つの例が、これも皆さんご存知の通りだと思いますが、自動車の購入税でございます。一番右側の日本は合計で、車両本体に関しましては13%の税金が乗りますけれども、真ん中の黒枠のところですね、現地生産車の小型でいいますと38.6%。それから輸入完成車でいきますと117.6%が上乗せになるという状況でございます。次お願いします。

    その高い車両価格の一つ、維持費が高い、あるいは作るコストが高いということで説明していきますが、まず最初は車両の1台当たりの生産に使われる上下水道のコストでございます。これもちょっと弊社の内部資料ですので、数字は割愛させていただいておりますけども、やっぱりアメリカの5倍以上と。日本の20倍、30倍ぐらいになっております。次お願いします。

    次は労務コストでございますけれども、これも社内データで、直接作業員の年間給与を比較してみますと、こちらもですね、インドの4倍以上、中国の倍以上ということで、かなり厳しくなっております。まあブラジルは給料下げられないということが一つの大きな障壁だと思います。次お願いします。

    次は燃費でございますね。まあ上のグラフで見ていただきますように、日本よりも高いと。年間平均燃料費が先進国並みであると。それから下のグラフが年間の車両の保険料でございます。度々申し訳ございませんけれども、あの、弊社が調べたところでいきますと香港に比べて世界第2位のレベルでございます。よろしくお願いいたします。次のページお願いします。

    次は参考でございますが、駐車料金と通行料、まあこの辺も先進国並みということでご紹介させていただきます。次お願いします。

    それからインフラの点でいきますと、道路の舗装率ですね、これは皆さんもよくご存知の通りブラジルでは田舎に行きますとほとんど未整備のところが多いんですが、14%と。アルゼンチンの半分以下というのがまたびっくりするんですけれども、こういう状況でございます。ホンダのCITYさんですとかFITは町で非常に似合うスタイリッシュな形なんですけど、うちのEtiosなんかは田舎へ行きますとですね、埃だらけになっていると意外と格好良いなと思ったりしまして、舗装していないところも悪いことばっかりではないなとは思いますけども、未舗装というのはですね、やはり物流の上においても色んな障壁がございますので、まあこれはひとつ国内の市場活性化には当然必要なことかなと思います。

    続きまして、輸出拡大の促進についてちょっと簡単に述べさせていただきます。低い国際競争力というのは、先程の国内の販売と同じ高いコスト、インフラ整備ということなんですけれども、あともう一つ移転価格税制というのがございます。まあこの内容を一個一個ちょっと簡単にご説明させていただきます。

    先程コストのことはお話ししましたので、まずインフラの整備ということですけども、ご存知の通り港湾のキャパシティ不足。まあサントス港は今能増工事が進んでほぼ終わっておりますけども、まだまだ足りません。一旦バースの予約を変えるとですね、中々船が岸壁につけないという状況もございます。

    これは船舶の会社さんよくご存知かと思いますけれども。あと鉄道もですね、これも私も知りませんでしたが、路線ごとに線路の幅が違ってですね、乗せ換えのコストが必ずかかってくるということで、我々はまだ鉄道は車両輸送ではほとんど使っておりません。それから道路についても先程の舗装率が高い、低いということと、トラックの輸送コストが高いと。まあこれは一部組織による占有化で非常に参入が難しいということもございますけれども、弊社の例で行きますと、カローラをアルゼンチンまで送ると600ドル以上かかると。いばれることではないんですけども、世界第1位のレベルでございます。次お願いします。

    それからエンジニアですね。これは輸出に限った事ではございませんけれども、まず左側の大学の進学率、それから右側、そのうちエンジニアの比率、これはいずれも低いので、今後やっぱり産業として発展していくためにはこういったところのインフラおよび促進が必要かというふうに考えます。次お願いします。

    それからこれは移転価格税制でございます。これは皆さんもご存知だと思いますけれども、左側の製造原価に対して15%のみなし利益を乗せる必要がございます。この仮想の値段に対して実際にBの輸出価格を決めた時に、先程のみなし利益が得られていない場合、差額に対して34%の法人税がかかると。自動車産業の場合ですね、まあ5、6%の利益率でひいひい言いながら作っておりますので、例えばここで10%の差が出て3、4%の税金がかかるとですね、これは致命的な輸出競争力の欠如ということにならざるを得ません。次お願いします。

    以上を踏まえてですね、下記内容の継続的な是正提言が必要かということで、1番から5番まで書かせていただきました。この内容は先程お話ししました賢人会議からご提案いただいた協力強化への取組み項目とほぼ同じでございます。こういった項目をですね、官民連携させていただきながら、引き続き粘り強く提言していくことが大事かなと思います。

    ただ、一番最後に書きましたけども、我々企業としましては、何といっても自らコスト競争力をつけていくと、それから日本品質の徹底を推進していくということが大切かなと思います。幸いですね、自動車部会に属する完成車メーカーのホンダさんと弊社はブラジル市場の販売においてはお客様満足度ダントツのトップ争いをさせていただいております。

    こういった日本品質を徹底して推進することが大切かなということと、もう一つここに書いてございませんけども、やっぱり事業展開のスピードが必要かなと。まあこういった税制の見直し、それから自動車でいきますとInovar-Autoという規制もございます。こういったことへの迅速な対応ということが必要かなと思います。

    まあ弊社の場合でいきますと、地球の裏側でですね、グローバル生産のほんの2%を担っている弱小会社でございます。中々事業展開をする上で意思決定を日本側からもらえないというケースもありますけれども、やはり何とか早い事業展開をしながら環境に適応していくということが求められているかなというふうに考えます。

    以上で四輪を終わらせていただきますけども、追加で二輪の状況も簡単にちょっとご説明させていただきます。

    まずこれ生産・販売でございますけれども、四輪と同じくですね、今年の上期は大変厳しい状況でございます。ただ二輪の場合はですね、水色のグラフですね、12年13年もうすでに厳しい状況に入っておりますので、対前年の数字でいきますと四輪ほどではございませんけども依然厳しい状況が続いているということで、生産台数も対前年92%と、販売が89%という状況になっております。次お願いします。

    月別の月販を見ても同じでございます。まあ年初は各社の新モデルの効果がございまして前年を上回ったものの、ファイナンス環境の悪化、それからワールドカップによる稼働日の減少等で、上期累計は前年96%ということになっています。それから負債増加、金利の高止まりによって今後下期も厳しい予想をされているというふうに伺っております。次お願いします。

    ファイナンスの動向を見ましてもですね、二輪販売の支払い形態の状況はちょっと四輪と違いまして、現金が増えております。一番下のグリーンのローンはですね、与信審査が非常に厳しくなってきてどんどん減っておりますと。この与信審査の厳格化による台数の減少は全体の台数の減少にも響いているということでございます。以上、瑣末ではございますけれども、自動車部会からの発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    近藤部会長どうもありがとうございました。問題点、それから為すべき事ということをですね、まさに本日の副題に沿ってご提言をいただけたことと思います。何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。はい、ではもう一度大きな拍手を近藤部会長にお願いいたします。ありがとうございました。

    続きまして、機械金属部会です。相原部会長、お待たせしました。よろしくお願いいたします。

  • 機械金属部会 相原良彦部会長

    機械金属部会 相原良彦部会長

    Pdf機械金属部会 相原良彦部会長

    機械金属部会の相原です。よろしくお願いします。我々機械金属部会はですね、約70社ぐらいが入っていまして、そのうち20社からですね、いただいたレポートをまとめています。

    ここに書いていますように、業種分野が非常に多くて、まとめようが中々難しいんですけども、ただ言えるのは、どちらかというと上流部門と言うんですかね、自動車さんとか家電さんが下流といいますと、その下流の方が元気じゃないとどうしても上流は設備投資とか色んなものが出てこないということで、ちょっとあまり景気の良い話はできないんですけども、ただちょっと明るいニュースとしましては、弊社のことで恐縮なんですけど地下鉄を取れたことが唯一明るいかなと思っていますので、まあこれが次につながればと思っています。それでは機械金属部会の上期の回顧と下期の展望についてご説明いたします。次お願いします。

    鉄鋼部門ですけども、まず上期の回顧。ワールドカップの影響でですね、自動車とか家電、農業器具などの鋼材需要がですね、まあ一時的に低迷していると。ただ一方では輸入材は増加していると。第1クォーターはまあまま良かったんですけども、先程からちょっと話がありましたように、第2クォーター以降非常にちょっと悪かったという状況でございます。

    国内の粗鋼生産量ですけども、1670万トンということで、前年比1.5%減と。ただ一番最近の情報だとこれよりちょっと下がっているという状況です。それから鋼材の見掛消費量ですけども、これは1270万トンということで、前年比これまた2.3%減という状況でございます。

    それから鋼材輸出ですね。これにつきましても392万トンということで、前年比11.5%減ということになっております。これはブラジル国内向け供給が優先されたということで、輸出は減っていると。ただ第2クォーターに関しましてはちょっと増加傾向にあるということでございます。

    それから鋼材の輸入の方ですけども、200万トンということで、前年比18%増ということでございます。特に建材と自動車用のですね、メッキ材が伸びているということです。輸入国別でいうと中国が67.6%ということで断トツということになっております。次お願いします。

    下期の展望ですけども、まあ先程から出ていますように、自動車産業とかですね、建産機業界、さらに建築業界ともにですね、このあと今年も非常に厳しいという見方になっております。2014年度のGDPの成長率は前年比でプラス0.86%という予想でですね、さらにまあ下振れしていると。それは先程から話が出ていますけども、アルゼンチン、中国の景気の減速がその原因であると。大統領選挙後ですけども、これもまた緊縮的な経済政策が予想されてですね、前年比ほぼ横ばいか、あるいはまたは下回っていくんじゃないかなという感じがしております。

    国内粗鋼生産ですが、2014年度の予測としましては3450万トンということで、これは前年比プラス0.95%となっていますけども、これも最新予測だとちょっと下がるんじゃないかと思います。鋼材の見掛消費量ですけども、2670万トンということで、これもこの時点ではプラス1.14%ということですが、これもちょっと下がるんじゃないかと思っております。それから鋼材輸出。これは830万トンということで、前年比プラス1.14%でございます。鋼材輸入。これは360万トンということで、2.5%減になると、こういう展望をしております。

    次に電力及び社会インフラ関係ですけども、まず上期の回顧ですが、これもですね、ペトロブラスの石油ガス生産量は増えつつあるんですけれども、まあ業績自身がご存知のように低迷しているということですね。それから、自動車の生産は先程話がありましたけれども、も下降気味と。それとあと、ワールドカップ、期待していたんですけども、まあ全然ダメということで、プラス効果というのは本当に限定的でして、鉄鋼製品・電力の消費、それも全部は横ばいということで、ブラジル経済全体が引き続いて低迷だったということで、大型投資案件は軒並みまあ延期されてしまってですね、受注実績も低迷していると。

    水不足ですね、これはかなり出ましたので、これで火力の発電所とかですね、それが活気付くかなと思ったんですけども、実際は資金不足というようなこともありまして、中々入札が進まないと。ただ、これは弊社の話なんですけども、コンプレッサ関連では数件まあ受注ができたと。あと造船の方ですけども、2015年ぐらいから引き渡しが開始予定と。これも若干遅れ気味というのはございます。それから環境関連設備、汚染土壌の洗浄もですね、計画自身は散見されたんですけども、これもまたちょっと進展していないと。

    ただ、唯一元気なのが、エンブラエルというか航空機ですね、これだけが5~6%の拡大基調にありまして、これに関して関連する設備の受注があったということでございます。交通インフラ関係は先程言いましたけども、地下鉄案件がまあ受注できたということです。ただ、高速鉄道ですね、これはやはりそういった高速鉄道よりも身近な地下鉄とかですね、鉄道とか道路とかそういうものにやれという国民の声が高いので、政府自身は全然ギブアップしなくてやる気はあるんですけども、まあ中々進まないだろうと、こういう状況です。

    下期の展望ですけども、まああまり変わらないんですが、要は、マイナス要因としましては、まず大統領選を控えて、まあデモもあるだろうし、政治が不安定と。あと政治の空白期間があると。それとあと電気代の値上げでですね、インフレが加速される懸念があると。それからインフレ不満の解消のですね、まあ人気取り政策というのが優先されて、重要な公共投資とかそういうものは期待薄かなと。それとあと金利高め誘導でですね、経済活動はまあ低調が続くんじゃないかと。あと中国コモディティの需要減で輸出もちょっと減なんじゃないかと。あとアルゼンチンの経済危機と。

    ただプラス要因として挙げていますのが、ガソリン・ディーゼル価格の値上げでですね、プレサル開発がより加速されていって、ペトロブラス案件がちょっとでも活性化されないかなと。まあこれはずっと、1、2年見ているんですけども、まあ後半にかけてそうならないかなと。

    あとレアル安による貿易収支の改善でですね、農業とか基礎産業関連機器、これは鉄鉱石は除いているんですが、これが好調にならないかなと。あと電気代の値上げによる電気事業ですね、これの活性化を期待していると。あと、自動車生産ですね。まあすぐには回復は見込めないというお話はあったんですけども、まあ期待したいところだと。あと、造船・舶用機械ですね。それから製鉄関連。これは依然低迷が続くだろうと見ています。

    ただ、分散型発電設備の投資には期待しているところがございます。自動車関連ではですね、塗装組立ロボット関係の商談が続いているようで、これは継続を期待していますので、近藤さんよろしくお願いします。次お願いします。

    プラント機器の方ですけども、14年の上期の回顧としましては、まず紙パルプ業界ですけども、業界大手のKlabin社からですね、これもちょっと弊社絡みの、CBCの受注なんですけども、新設製紙プラントを受注したと。この業界だけちょっと割りと元気で、まあ設備投資意欲もあるので期待しています。

    それから石油・ガスは先程も言いましたけども、ペトロブラスの業績不振が改善されてませんで、新規投資はまあ実質凍結しているような状態と。ただ、数少ないFPSOの化工機案件には、まあ皆が群がってですね、競争が激化しているというような状況にあるということでございます。それから石油化学の方ですけども、米国シェールガスの影響でですね、割高な天然ガスがブラジルへの投資を敬遠させているということで、これまた新規投資計画は凍結しているような状態だということで、業界としては改造とか老朽化対策工事に専念しているという状況でございます。

    あと電力ですけども、まあ水不足ということで、あと政府の電源の多様化というニーズもありましてですね、我々としてはガス焚き大型火力ですね、GTCC、まあこれは苦戦はしているんですけども一方でバイオマス焚きの部分については実現化してきているということでございます。

    あと下期の展望ですが、紙パルプ業界としましては、製紙各社で具体的な設備投資計画が進んでいて、早ければ本年中にも大型投資が期待できるという状況にあるということでございます。石油・ガスの方は石油開発関連の、まあ上流側ですね、そちらの方には設備投資をしているわけですけども、ただ下流の方には引き続いて設備投資は活発化していない、低迷だろうというふうに予想しております。石油化学。これも引き続き新規投資活動は鈍化のままと。そういうことで、さっきも言いましたけど改造・拡大工事に対応していくということで、これに関する中小型のGTをですね、我々業界としてはラインアップに加えてですね、その部分を受注していこうというふうにしております。

    あと電力ですけども、水・ガスの供給事情から単発的ではありますけども今期のオークションにてガス焚き大型火力案件がまあ出てくるということで、多少そこは明るい傾向にあります。バイオマス焚きの方は依然後続案件が有りますので、ここには期待しているということでございます。次お願いします。

    次は建設機械の方ですけども、上期の回顧としまして、まず総需要台数ですけども、小形建機を除きまして2014年度上期の台数は8994台ということで、前年比プラス32%。これ、そうなっていますけど、実際はですね、インフラ関連による需要はあったんですけども、農業開発省向けのテンダー分の増分が3095台ありまして、それを除くとまあ実質的には5%減というような状況と。

    それからブラジル経済の停滞と大統領選挙を見据えた買控え、それからワールドカップ開催に起因する伸び悩みなどがそういう、伸びていない原因だというふうに見ております。小形建機につきましては、小形バックホーはですね、2014年の1月から6月の購入統計全体では前年比153%と伸長しております。Y社さんの販売もですね、台数ベースではほぼ倍増しているということでございます。

    下期の展望ですけども、まず総需要台数、これ小形建機を除いてですけど、2013年度が 15616台に対して15200台ということで、まあ3%の減ということです。それから住宅や農林業向け等、一部の需要は堅調に推移すると見込まれていますが、経済の停滞とか金利上昇、大統領選挙を意識した模様眺めと買控え等、全体的に厳しい環境が続くというふうに予想しております。

    小形建機の方ですが、労働賃金の上昇によってですね、逆にこれは機械化ニーズが進むということがあります。そういうことで小形建機自身の増加トレンドは当分続くというふうに予測しております。次お願いします。

    次に農業機械の方ですけども、2014年上期の回顧としまして、まずエンジンビジネスですけども、小型ディーゼルエンジン、2014年上期の販売、発電機セット含めてですね、依然低調でして、前年同期比で台数ベースで12%減と。金額ベースで9%減と。あと舶用ディーゼルエンジン。ペトロブラスの海上油田開発に関わる舶用案件は停滞していると。ただアマゾン川流域の舶用エンジン、これは依然堅調に推移しているという状況です。あと草刈り機とかコーヒー豆用の収穫用機器のガソリンエンジン、これについてもちょっと販売台数、今年に入って低下しているという状況です。

    それからトラクタービジネスですけども、昨年の販売が非常に良かったということで、その反動と。あと、2014年は豊作だったんですね。その反面、逆に豊作だったために市場価格が下落しているということで、まあ、買うお金がないというか、販売が低迷しているという状態です。ということで業界全体では前年比やはり18%の減と。Y社さんの販売も11%減と、こういう状況になっているということでございます。

    下期の展望。これもまたあまり明るくないんですけども、エンジンビジネスにつきまして小型エンジン販売、農作業機械向けはまあ前年比ほぼ横ばいというふうに予想しています。ライトタワー、発電機など建設用の需要が大きく減少しているということで、まあ年間ではやはり前年比10%減というふうに予想しております。あと20馬力以下の小さなブラジル製の単気筒エンジンの販売につきましては、地方への電化による市場縮小に加えてですね、中国製品がガンガン入ってきているということで、これも今後も低迷が続くというふうに予想をしております。 
    あと舶用エンジンですけども、さっき言いましたアマゾン川流域が好調なので、これに依然期待していると。あとガソリンエンジンにつきましては、OEM先さんの情報によりますと、まあアルゼンチンの状況とか、あるいはバブルの崩壊ということで、悲観的であると。ただ電気代が値上げされるということで、発電セットの需要がまあ見込まれるんじゃないかというふうに見ております。

    あとトラクタービジネスですけど、下期は季節要因の販売増も期待されるんですけども、年間ではやはり前年比8~10減だと、こういうふうに予想していると。次お願いします。
    各種切削工具と射出成型機関係ですけども、上期の回顧としまして、まず切削工具ですが、O社さんの回顧ですけども、前年比プラス4.2%と。ただし、5月までの販売は前期並みを維持していたんですけども、まあ6月に入りましてワールドカップの影響と自動車の生産が落ちたということで、大幅にダウンしているということで、通年では減少するというふうに予想をしていると。

    耐摩耗工具ですね。これは受注がないということで、全然ダメと。昨年好調の反動とですね、ワールドカップが終わって棒鋼需要が減少したということで、棒鋼を作るための耐磨耗工具が売れてないということでございます。あと鉱山工具ですね、これは前年比プラス50%と。これは為替が安定してきたということと、鉱山向け工具の販売、これが安定してきたということでございます。あとK社さんですけども、自動車がまあ減産しているということが大きく響きまして、前年比12%減と。

    ねじ切り工具の方ですが、国内・輸出全体で前年比7%減。国内が低迷していると。航空機、ナットメーカーさん向けがまあやや好調と。それからアメリカ市場向けが好転して輸出は6%増えていると。

    あと射出成型機の方ですけども、やはり自動車業界の停滞の中ですね、ちょっと日系メーカーさんから受注があったと喜んでおられましたけども、品質よりも価格志向のブラジルの中でやっぱり日本品質を求めてくださるので、我々やっぱり日系企業さんに期待したいというところがございます。

    下期の展望ですけども、切削工具の方ですが、O社さんの方ではまあ自動車の販売は前年並みでも、輸出がアルゼンチン経済の影響で減少と予想しております。生産が横ばいのため期待が薄いと。耐摩耗工具は建設用丸棒鋼の需要は今後も期待されると。あと建設工具。建設関連は引き続き好調を期待したいと。鉱山向けは為替の影響で厳しいと。あとK社さんの方は、前年比1~2割減と予想しております。

    あと、ねじ切り工具の方ですが、ワールドカップ、それから大統領選は市場にマイナスと予想されております。ということで2014年度も厳しいと。あとレアル安というのも消費減に動いてしまうんじゃないかと見ています。

    射出成型機ですが、燃費向上を目指してですね、部品の軽量化のためにプラスチック製品が自動車にはたくさん使われるようになってくるんですけども、そういうことで今後も増加するというふうに見ていますけども、まあ先程の話ですとすぐにはそういう設備投資には回らないということで、ちょっと時間がかかるんではないかというふうに思っております。次お願いします。

    次、機械部品と測定機器ですけども、まず上期の回顧としまして、チェーンの方ですけども、鉄鋼関連はメンテナンス用取替えの需要だけということで、新規投資はないということですね。あと製糖業界向けに大口引き合いがあって、これは下期に受注できるようにフォローしていると。あとモノレール17号線向けにかなりのチェーンの引き合いがあったんですけども、これまたご存知のように、不幸なレール落下の事故があったということで、プロジェクトが止まってしまっているということで、頓挫していると。

    ホイスト&クレーン、チェーンブロック関係ですけども、これも高性能を追求するメーカーさんですね、そこから引き合いはまあ増えていると。ただやはり、安かろう悪かろうというところには中々売れないと、こういうことでございます。

    軸受メーカーさんですけども、やはりこれも自動車生産の減速が影響して自動車、四輪ですね、それから二輪とも需要が急激に悪化していると。あと産業機械OEM向けにつきましては、農業機械向けが、先程の政府の投資促進策が功を発揮していまして、堅調を維持していると。鉱山向けはValeさん向けの投資がまあ低調ということで、依然低迷と。産業モーター向けはまあ堅調ということでございます。

    測定・計測機器ですが、測定工具は依然低調と。計測機器の方ですね、これは工場が自動化、先程労働力が高いということで工場自身も自動化をしようというところがございますので、そこについてはまあ売れているという状況ですね。あと、SENAIとかですね、教育機関向けの販売はまあ順調に行っていると。で、前年同期比はプラス6%ということで、まあ実質横ばいという状況でございます。

    14年の下期の展望ですけども、まずチェーンの方は食品包装、それから製糖、それから森林等、特定業界に営業を絞ってですね、保守用ビジネスを取り込んでいくと。かつ新規OEMを図る戦略で販売増を狙うということでございます。

    ホイスト&クレーン、チェーンブロックですが、まあ経済低迷の中とにかく我慢強く、先程言いましたけども、まあ良い品質の物を求めるお客をどんどん、そこをですね、売り込んでいくと、それを目指しています。

    軸受の方ですが、足元で景気減速をし続ける中、早期の回復は見込めないんですけども、まあ自動車向けについては、まあずっと低調でしょうね、しばらく。それから農機、産機のモーター向けの方につきましては、引き続き堅調に行くんじゃないかと見ています。あと周辺国への輸出増にも期待しているということで、これも期待であってその通り行くかどうかというのはちょっと疑問なところありますね。

    それから測定・計測機器ですが、停滞した経済・産業活動の回復を大いに期待しているんですけども、まあやはり先行き不透明と。あと生産能力の拡張、自動化ラインの構築などへの投資は継続されるということで、先程も言いましたけども計測機器関係ですね、自動化に必要な物については売れるんじゃないかというふうに見ているということでございます。次お願いします。

    潤滑油さんの方ですけども、上期の回顧としまして、ここはまた、1月から5月までの潤滑油の販売ですけども、前年比4%減ということで、低調ですと。特に自動車産業向けがですね、6%減と。これは6月を入れますとさらに下がるような状況ということでございます。ただ工業用に使われるものについては2%増というふうになっております。ただグリースにつきましては10%減ということでございます。ということで、工業分野だけが一部ちょっと堅調ということでございます。

    下期の展望ですけども、まあ消費回復の決め手に欠くということで、まあ全然良くならないという予測しかないということでございます。次お願いします。

    ということで、機械金属部会、本当にたくさんの業界がありましたけども、本当に景気の良い話があまり聞けなくて残念だったんですけども、まあ総括しますと、ここに書いていますけども、上期の回顧としまして、ワールドカップの肯定的な影響は一部のサービス産業だけに限定されて、営業時間の短縮、操業停止など、経済全体にはマイナス影響して、全く期待外れの低成長だったと。

    農業でまあ微増がありますけども、自動車産業の後退が大きく響いていると。あとアルゼンチン、中国経済の減速も影響していると。あと、牽引すべきペトロブラスがですね、まあ石油ガス生産量は多少増えていますけども、業績が依然低迷しているということで、投資が上流部門だけに限定されてしまって、下流を含めた大型プロジェクトの遅れが目立ったと。

    製鉄に関しましては、輸入鋼材に押されて収益が出ないということもあって、設備投資は依然低調だということで、まあ社会インフラ投資もですね、政府の発表、まあ結構派手だったんですけども、海外からの投資も鈍くてですね、動き出したケースはなかったと。ただ先程言いましたけど、唯一地下鉄案件だけが受注できたというのは今後の期待につながったんじゃないかと、こういうふうに見ております。

    14年下期の展望ですけども、これまた景気の良い話ができないんですけども、経済政策の方向性は大統領選挙後なんですけども、まあ先程から話が出てますけども、インフレ抑制とか、財政悪化対策、電力などエネルギー関連コストの上昇対策ですね。まあ共通項目で、次期政権がどこになろうとそういうところに重点を当てるということになるんですけど、やはり経済優先の政策にね、やってほしいと。その辺大いに期待したいと。ただ、先程から皆さん言われていますけど、急激な景気回復は見込めないという状況にあろうと見ております。

    あと、先程から話が出ていますブラジルコストが大きな理由でですね、ここに出てきている我々日系企業につきましても、製造業のコスト競争力は益々、まあ低下しているというふうな状況ということで、安価な中国製品との熾烈な競争に各社さんとも、まあ高品質製品に傾注するということで奮闘しているという状況でございます。

    ペトロブラスはですね、依然業績が伸びていないと。投資意欲は依然低く、関連プロジェクトの受注も低迷が続くと予想しています。農業関連は好調で将来の伸び代も十分あるんじゃないかと見ています。あと、降雨量不足による電力不足、電力料金の高騰を受けてですね、先程も言いましたけども、火力発電とかバイオマスを利用した発電プラント、こういうところにまあ期待しているということで。

    何か昨年も同じようなことを言ったと思うんですけど、ぜひ、暗くなっても仕方ないので、気分だけでも明るくと思っています。簡単でございますが、以上で発表を終わらせてもらいます。ありがとうございました。

    司会
    相原部会長どうもありがとうございました。ちょっと時間押していますので、前半最後の発表に移らさせていただきたいと思います。貿易部会の岡部会長より発表をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

  • 貿易部会 岡省一郎部会長

    貿易部会 岡省一郎部会長

    Pdf貿易部会 岡省一郎部会長

    貿易部会の岡でございます。よろしくお願いします。意外にここ暗くて字が読めなくて、一瞬どうしようかなと思ったんですが。これが終わりますとコーヒーブレイクですので、さくさくと済ませたいと思いますので、お付き合いください。よろしくお願いします。では最初のページお願いします。

    これはまず、半期ごとの貿易額の推移をかなり長期に亘って棒グラフにしております。棒グラフは紺色と水色の組み合わせになっておりますけれども、左の紺色が輸出額、水色が輸入額です。折れ線グラフ、これはですね、貿易収支です。つまり棒グラフの輸出入の差です。目盛がちょっと違いますので、そこはご注意ください。

    ブラジルはこれまで、鉄鉱石、穀物等の一次産品の輸出が好調だったこともあってですね、2001年以来安定して貿易収支は黒字でした。ただ2013年、昨年に入り、それ以降貿易収支が急速に悪化しております。2013年の上半期は、ここにもありますけれども、赤のゼロのラインを緑の線がくぐっておりますけども、31億ドルの赤字でした。

    で、2013年、昨年の下半期は56億ドルと持ち直しておりますけれども、多少のトリックもあってですね。ただ今年の上半期は再び25億ドルの赤字となっております。ただこれ、あくまで金額ベースですので、為替とか市場価格の変動の関係でですね、金額の増減が必ずしも量の増減とは一致していない面もありますので、それは今から多少解説は加えたいと思います。次のページをお願いします。

    前のページでは2006年以降のデータを見ていただきましたけど、ここからは昨年上期と今年の上期の比較を見ていただきます。まずは輸出動向、輸出の方です。商品別にご説明します。大きくは三つ、一つ目が一次産品。これは昨年同期比で3.3%増になっております。

    二番目が半製品。これはマイナス9.3%。それと最後、工業製品。これは11%の減少という結果です。それではこの中で特に増減幅が大きい商品について個別に見たいと思います。
    一つ目は大豆です。大豆の輸出額は上期、今年ですね、161億ドルで、昨年同期比で16.7%増えております。数量ベースでは、ここには出ておりませんけども約23%増えております。この要因としては中国の輸入が増えたこと、それとcompetitorである米国からの輸出が減ったこと、この二つが挙げられています。

    次がやはり代表的な輸出産品である鉄鉱石です。金額ベースで見ますと昨年比6.2%減少しています。ただし数量ベースでは1.45億トンから1.57億トンと、8%伸びております。輸出量が増えているのに輸出金額が落ちているというのは、鉄鉱石価格、1トン当たりがですね、大体125ドルぐらいから今足元95ドルぐらいに大きく下落している、この理由が、これが一つですね。

    この下落というのは主には中国の鉄鋼産業の不調が原因になっております。なお、ブラジルの鉄鉱石の生産そのものなんですけれども、これがあにはからんや好調でして、上期はですけれども、雨季にあまり雨が降らなかったことで生産量が落ちなかったということと、あとValeの新規鉱山拡張がありまして、上期は比較的順調に生産は行ったと。ただし、今年の下半期ですけれども、この価格下落の影響というのが広がりますので、どうしても生産を控える山が出てきます。そうなりますと輸出量、金額ともにですね、下期は落ち込むことが懸念されております。

    次に原油です。原油は金額ベースで28.6%増えています。数量ベースでも31%増加しております。これは原油輸出が好調だったというよりも、昨年同期の落ち込みがかなりあって、そこから回復したという見方が適切なようです。

    最後に半製品で、粗糖ですけれども、これは金額ベースで24.2%減少しています。数量ベースでも約11%減少しています。この粗糖の輸出が減少した理由というのは、どうも過去3年間世界的に供給過剰ということで、世界市場に在庫がたまっているということがまず理由としては挙げられるそうです。さらにはですね、世界の砂糖生産第4位のタイの生産が非常に好調だったと。過去最高だったと。あと、砂糖の世界最大の消費国インドの国内生産が好調であったこと。これが要因として挙げられています。

    ただ、あと、ここのリストには載っていませんけれども、ブラジルには牛肉、鶏肉、豚肉という、これはもう代表的な輸出産品がありますし、世界トップクラスですけれども、昨今のウクライナ問題でですね、欧米がロシアに対して経済制裁を課すということで、その対抗手段でロシアが逆に欧米からこの牛肉、鶏肉、豚肉なんかをですね、1年間控えると発表しました。このこともあって、ブラジルからの牛肉、鶏肉、豚肉の輸出はロシア向けを主体に今後、まあ政治的要因で増えるということが予想されています。次お願いします。

    これはブラジルから輸出されている輸出産品の内訳のグラフです。今の表を円グラフにしたものですけれども、前ページで大豆輸出が増加して鉄鉱石輸出が減少したと説明しましたけれども、その通り、13年上期、左側の円グラフと、14年上期、右側の円グラフではですね、大豆と鉄鉱石のポジションが1位2位がそれぞれ入れ替わっているということが確認いただけます。次のページお願いいたします。

    次はこの輸出のですね、相手国別、地域別のデータです。輸出相手上位10ヶ国はですね、この左の表の通りです。まず輸出相手国第1位はご存知の通り中国です。2009年以降中国がこの1位というポジションを継続しています。中国向け輸出品目はですね、主には大豆と鉄鉱石で、ほぼ8割を占めるそうですが、中国はブラジルの最大輸出品であるこの大豆と鉄鉱石の最大輸出相手先であるということで、まあきわめて重要な取引先であるということは言えると思います。

    次に2位のアメリカですが、アメリカ向けはですね、航空機と大豆の輸出が増加したことでですね、昨年同期比で11%増えております。3位はアルゼンチンです。アルゼンチン向けは乗用車、それと自動車関連部品の輸出が、まあ先程来のご説明の通りですね、輸出が減少していまして、アルゼンチン向け全体でも20%輸出額が減っております。アルゼンチン向けにつきましては、額ベースでいきますとやはり、期中で大きく変動している為替も影響しています。日本はここで5位に出ておりますけれども、詳細は後ほど別のスライドで説明させていただきます。

    右側の円グラフがですね、ブラジルからの輸出先を地域別に表しています。地球の反対側の中国・アジア向けが全体で、21+14、35%を占めております。次に中南米、EU、米国と続いて、まあ概ねブラジルのお客様というのはバランス良く世界中にあるなと、こういう印象でございます。

    次、ここからはブラジルへの輸入を見ます。輸入に関しましてはですね、一番最初にある一次産品、それと次の半製品、それと工業製品、ともに金額ベースで見ると微減、減少しています。量で見てもですね、実はいずれも減少しているということです。これは為替の平均レートが13年度上期1ドル=2レアルで見ていて、この14年度上期は1ドル=2.3レアルで見ていますので、大体ざくっと15%、為替もですね、落ちていると。この辺も影響しております。

    それと製品別で見ますとですね、塩化カリウム、それとナフサ、この二つが大きく動いてまして、他はあまり大きな、10%以上の動きというのはないんですけれども、塩化カリウム、肥料の原料ですけれども、これは金額ベースで昨年同期比24.7%と大きく落ち込んでいます。ただ数量ベースで見ると実は7%増えているという事実がありますので、この辺はちょっと要注意です。

    あと塩化カリウムの市場価格がやっぱり非常に落ちているというのがですね、量が増えて金額が落ちている理由だということです。あとナフサ、これは金額ベースでは15.2%、数量でも11%増ということで、ただこれは2013年の落ち込みからの回復というのが理由と言われています。

    次ですけども、次はブラジルへの輸入に関してやはり相手国別・地域別に見ています。左の表を見ていただけますと、国別に見ますと2011年までは米国が1位だったんですけども、2012年以降は中国がトップをキープしています。つまり2012年以降はですね、中国がブラジルにとって輸出先・輸入元双方で1位になっているということです。中国からの輸入品目はですね、通信部品、半導体、機械部品等が多くを占めていると。

    次に3位のアルゼンチンですけども、これは輸出・輸入双方なんですけれども、やはり乗用車・自動車関連部品のですね、取引が多いんですが、この減少で、やはり輸入でもですね、アルゼンチンからの輸入も20%全体で減っております。これもやはり期中における為替の大きな変動もですね、金額ベースでは影響しているということです。

    5位に韓国が入っておりまして、ただ韓国につきましてはですね、乗用車が減っています。で、鉄鋼製品が増えています。電子部品は昨年と同程度ということで、インダストリーによって若干ばらつきがあるようです。日本についてはまた後ほど別のスライドで説明します。

    右側の円グラフもですね、これは輸入元の地域別の構成比です。輸出と同様に地球の反対側の中国・アジアが合計で28%を占めていまして、続いてEU、中南米、米国、その他とですね、こちらも比較的バランス良く世界中とお付き合いしているなということが言えると思います。

    ここからはちょっとブラジルと日本の貿易の状況について説明させていただきます。ブラジルにとって日本はですね、輸出先としては5位、輸入元としては9位というランクになっています。なお輸入については昨年7位だったのが9位に下落しています。

    左側がまず輸出の表です。輸出量全体では今年の上半期は昨年の上半期と比べまして14.3%減の33億ドルとなっています。特にこの二つ、鶏肉とコーヒー豆の輸出減少が目立っています。その理由ですが、鶏肉に関しましては、中東が積極的に買って、それに伴って相場が上がってしまっているということ。日本国内にちょっと在庫が過剰であるということ。これが理由のようです。

    今新聞なんかでも報道されていますけども、日本では中国製の鶏肉の、まあ輸入鶏肉の問題がですね、これ製品、半製品含めて報道されていますけども、日本マクドナルド、あるいはファミリーマートなどはですね、鶏肉の輸入元をですね、中国と同じスペックの鶏肉を供給できるタイに移管するということを発表していますので、あの問題でブラジルの鶏肉が日本向けに大きく伸びるということはどうもなさそうということです。

    あとコーヒー豆ですけれども、ブラジルでの生産減、それと日本での在庫増、日本での市況軟調による買い控え、このあたりがですね、ブラジルからの輸出減の理由として挙げられています。ちなみに14年上期の日本のコーヒー豆の輸入量は、これはブラジルからだけに関わらずですけども、全体で4割減っているそうです。

    次に右の表ですが、これが輸入です。全体では14年上半期で昨年上半期と比べて11.6%減少しております。商品別ですけれども、ここに3つピックアップしましたが、自動車、トラクター部品、自動車エンジン部品などの減少はかなり目立っています。これはやはりブラジルの自動車販売の低迷が主因ということと、加えて一部ブランドでの、あるいは車種でのですね、輸入車への保護主義的な課税によって輸入が減っているということも要因として挙げられています。

    次にブラジルの対内直接投資のデータについて説明します。貿易部会はですね、その名前の通り貿易というものを主眼に置いた活動をしている部会ですけれども、まあ近年日系企業、我々の企業活動は単なる日本との輸出入、トレードだけではなくてですね、やはりこのブラジルに直接投資をして、国内完結型の、地産地消型のビジネスもかなり多くやっておりますので、そういう意味では貿易統計だけではなくてこういう投資統計というものにも注意を払っていかないかんというふうに考えております。

    左のグラフはですね、2010年から現在までの対内直接投資額の推移、バーグラフです。ご覧の通り一番多かったのが2011年で、ブラジル全体で695億ドルの投資があり、それが2012年が605億ドル、昨年は493億ドルと減少傾向ですけども、2014年上期はですね、今270億ドルぐらいでですね、ちょっと復調といいますか、まあ去年並みぐらいにとどまっているということです。

    右の表はですね、対内直接投資の業種別データです。ただこれ、一つ二つ非常に大きな投資がその年にありますとこのデータは大きく動きますので、いわゆる昨年と今年の動きだけを追いかけているのでは全体の傾向値というのはつかめないですけれども、まあその前提でちょっとお読みいただければと思います。2014年上半期はですね、この下の赤線のサービス業への投資が69.6%増ということで、昨年同期比でかなり大きく増加しています。

    一方で上の赤線、農業、畜産、それとマイニングへの投資はですね、32.1%減ということで大きく減っています。特にその内訳で石油・天然ガス採掘への投資がですね、昨年比で半分以下になっているというのは特筆すべき点かと思います。

    一方で金属鉱物採掘業への投資はですね、2倍以上になっています。これはですね、いくつかちょっと大きな案件があったためで、アングロアメリカのミナス・リオ鉄鉱山プロジェクトへの開発投資というのがあってですね、これが今年の上期に入っているものですから大きく影響していると言われています。ただ中期的に見ますと、鉱物資源、特に鉄鉱石への対内直接投資は2007年から11年にかけてのピーク時、この時に平均年間で44億ドル鉄鉱石への投資があったんですけども、2013年以降は大きく減少していまして、2014年もその当時の水準と比べますとまあ数分の1のレベルにとどまっております。

    サービス業の中ではですね、ここです、赤線を引いていますね、金融サービスへの投資額ですけども、これは去年の上期、今年の上期で比べますと4倍、非常に大きく増加しています。これは一つにはブラジルが金利がまた戻った、上がったことによって海外の銀行からの資本流入が増えているというのが一つ。それと、一つ大型案件としてサンタンデールがですね、資本増強で900ミリオンドルほどの資本注入をしたと、これが原因と言われています。

    次に保険・同補助サービスですけれども、2010年以前はですね、日系の損保さん、損保ジャパンさんや欧米系の保険会社によるブラジル保険会社の買収があってですね、また2011年以降はですね、医療保険分野への投資もあって、この分野での投資額は高い水準がキープされていましたけれども、今年は特筆すべき案件がなくて昨年比でマイナス81%ということで大きく減少しています。

    次は海外からのブラジルに対する直接投資をですね、国別に見たデータです。2014年上半期は、この左の表、上位オランダ、米国、スペイン、ポルトガルが4カ国入っておりますけれども、ここで一番ありそうな中国がトップ10にも入っておりません。中国は従来からですね、ブラジルの投資に有利であろうと言われているオランダとかルクセンブルク、あるいはスイス等を通じて投資を行なってきているケースが多いものですから、中国という名前で統計は出てこないんですけれども、色々調べたところではですね、2014年度上期の中国からの投資額は約10億ドル。ランキングでいいますと英国とチリの間、あの辺りに来ると言われています。

    右の折れ線グラフはですね、日本と米国と中国のブラジルへの直接投資の推移を2007年以降調べております。先程申しましたように中国は他国経由の投資が多いため、中国投資データというのが必ずしも正確ではないかもしれませんし、ちょっと集めるのに苦労しておりますけれども、一応ブラジル・中国企業委員会というホームページもあって、このカマラのような活動をしているところのデータを使っております。まあある程度は信頼できると思います。

    この赤線で示されているのが日本からの投資額です。一番大きかったのは2008年、11年、この二つポコポコと山がありますけれども、低い山と高い山、2008年は総額41億ドル日本から投資しています。主には新日鉄さんのウジミナス向けの増資ですとか、川重さん、あるいは伊藤忠さんの鉄鉱石、こういったものが含まれます。2011年はですね、これ過去最高で76億ドルの投資が日本からあったと。主な案件としてはキリンビールさん、あるいは同じく新日鉄住金さん、JFEさん、双日さんのニオブの鉱山ですとか、こういったものが含まれております。

    で、中国を見ますと、ものすごい山が飛び抜けてあるのが、2010年、360億ドルの投資をしています。この中には、相当額の農業、あるいは資源関係の投資があったと思われます。加えて自動車でのチェリーですとかJACといったところがですね、製造投資をしていると、ブラジルに参入してきたということがあります。その後中国はですね、ずーっと落ちているんですけれども、2011年が120億ドル、12年13年は40億ドルと大きく減って、今年の上期は10億ドル程度になっていると、こういうデータになっております。

    中国にとってはですね、ブラジルは今やライフラインですから、ここへの投資が本当にこんなに減っているのかなとちょっと不思議に、私自身調べながら思っているんですけれども、データ上はそういうことになっております。何かこう、そうじゃないよというデータがあればぜひ教えていただければと思います。

    中国からの投資額がこれだけ減っている要因として、一応中国側の説明はですね、ブラジルの複雑な税制等が参入の障壁となったからと、こういう解説になっておりますけど、そんなこと前から分かっとるやろということでですね、それだけではちょっと納得できないなと思っておりまして。もちろんその、法律が3年ぐらい前ですね、変わりまして、外資が例えば土地、農地なんか半分以上持てないというようなことが出ましたので、ああいうことの影響はもちろんあると思いますけれども。

    それともう一つの要因で中国側が挙げているのは、2010年、11年に大きく投資をした色んな案件が今オペレーションの段階に入ってですね、この立上げなりこれをしっかり経営していくことは大変なので、まずそこらをしっかり軌道に乗せる、このために新規投資は控えているという、どっかの会社でよく言われているような話をですね、中国側の説明になっております。

    最後のスライドです。これはまとめです。まとめとして、2014年通期の展望、見通しを見たいと思います。

    2014年度の通期ですけれども、ブラジル貿易協会というところの見通しではですね、輸出額が通年で昨年比マイナス5.8%。輸入額は昨年比マイナス5%。貿易収支はですね、かろうじて6億ドルの黒字ということで予想しています。全世界の貿易額はですね、2014年はドル金額ベースで約4.7%成長すると予測されてますので、ブラジルの輸出入がいずれも5~6%減少するという見込みはですね、やはり先程来各部会の発表にありました通り、ブラジルの経済の相対的な低迷、世界における相対的な低迷が表されているんだと思います。

    あと、10月に大統領選があります。この政治イベント、先日の不幸な出来事があって、どういう結果になるか良く見えませんので、やはり当面、企業のですね、対内直接投資活動もですね、活発にはなりにくいというのが妥当かと思っています。したがって下半期の投資統計もですね、それほど大きなものにはならないんじゃないかなという見通しです。

    まあそういう意味で、日本企業にとりましてはですね、もしブラジルの中長期の潜在力には変化がないと、ブラジル買いの状況には変わりはないという視点に立てば、前提に立てばですね、まあ今逆張りで買い時かもしれません。というようなことを私は会社には言っております。以上が貿易部会からの発表でございました。ありがとうございました。

    司会
    岡部会長どうもありがとうございました。以上で前半の発表を終わります。コーヒーブレイクに入りますが、大変申し訳ないんですが約10分間のコーヒーブレイクということで、3時40分にはまたご着席をいただきますようお願いいたします。どうもお疲れ様でございました。

    コーヒーブレイク

  • 司会 岡省一郎 企画戦略委員長

    司会 岡省一郎企画戦略委員長/上野秀雄 総務委員長

    それでは、先程再スタートと申しました時間をちょっと過ぎましたので、後半の部を開始させていただきたいと思います。皆様、着席よろしくお願いいたします。後半の司会を務めます、私企画戦略委員会委員長の岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

    それでは各部会からの報告に入りたいと思いますが、まず最初は電気電子部会の三浦部会長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

  • 電気電子部会 三浦修部会長

    電気電子部会 三浦修部会長

    Pdf電気電子部会 三浦修部会長

    ありがとうございます。電気電子部会、ソニーの三浦です。前回も前々回もですね、ちょっと愚痴みたいなプレゼンになったんですけれども、多分今回も同じような感じになるかなと、事前にちょっと申しておきます。はいお願いします。

    この14年2月、半年前にですね、16社の方からアンケートをもらいまして、まあ60何社部会にはあるんですけれど16社からいただきまして、その時は改善、維持、悪化と、まあ最初から悪化と書く人はまあ普通いないかなと思ったんですけども、まあほとんどの方が期待を込めて改善・維持ということで、この1月-6月を期待されてたんですけれども。

    今回ですね、14年8月にですね、今回は19社からいただいたんですが、最終的にはまあ悪化というのが8社の方から悪化だったと。で、改善が11社だったということで。これをもらった時は、私は悪化だったんですけれども、11社も改善があるのかと、非常に、個人的には非常にびっくりしたんですけどもね。しかし60何社のうち19社しかアンケートを出されていないということは、他の40社の方は多分悪化だから出されてないんじゃないかなというふうに勝手に想像しているんですけれども、まあ期待以下だったというのがですね、この1月ー6月の結果だったんじゃないかなというふうに思っています。

    そのピンクで囲んだところが悪化要因といいますか、なぜそんなことになったんだろうということなんですけども、やはりマーケットといいますか、市場が非常に不調だったということですね。前回ご覧に入れたかと思いますけれども、特にカメラ部門ですね、カメラ部門が月を追うごとにやはりスマートフォンのカメラに押されてしまいまして、前年比マイナス40%成長、どんどんどんどん縮んでいっているという状況でした。

    次のページにあるんですけど、まだ伸びているカテゴリーというとやはりワールドカップということで、テレビ需要ですね。テレビ、LCDテレビなんですけれども、薄型テレビですね、薄型テレビが伸びたことは間違いない。

    で、為替の悪化。為替、まあ現時点では2.25ぐらいで非常に安定していますけれども、やはり1月あたり2.4とかですね、2.35とかそういった、非常に、去年の2.0から比べましたらやはり悪化しましたので。その悪化、ほとんどのパーツがコンポーネントに関してマナウスでほとんど、マナウスとかサンパウロで色々組み立ててはいるんですけれども、現地化率が車と比べて非常に何と言いますか小さいので、ほとんどのパーツは、コンポーネントは輸入しているというのが現状です。

    それが2.0から2.35までですね、為替が振れてしまうと、15、まあ17%ぐらいですか、17%ぐらい値段を上げないと元が取れないという状況なんですけれども、これは電子製品といいますか電気製品といいますか、そういった宿命なんですけれども、性能は良くなっても絶対値段は上がらないという宿命がありましてですね、非常に今苦戦しているところはあります。

    そしてこれは、ワールドカップ期間中、電気小売はテレビだけに目が行き、他の機器へ目が向かなかったというふうに書いているんですけれども、ワールドカップ、別途またワールドカップ商戦に関してちょっとご説明いたしますけれども、4月5月あたりからやはりワールドカップ需要ということで、我々サプライヤーも非常に期待していましたし、小売も非常に期待していました。そのためにですね、テレビを中心にものすごく買いつけが起きたんですね。

    特に4月あたりから起きたんですけれども、その買い付け、もうほとんど、ブラジル特有の、問題といいますか特徴といいますか、プライスオリエンテッド、値段だけの話になってしまって非常に苦戦してしまっていると。日本メーカー特に苦戦してしまっているという状況でした。そんな中、やはり小売もですね、テレビしか目が向いていませんので、テレビを買ってしまうともう他のものが買えないよと。もう在庫はないのに買えないという、非常にですね、悲しい話がちょっと続いたという状況はありました。

    そんな中、ちょっと2点だけ、良い話だったということでアンケートの中に書いてあったんですけれども、自動車販売のIPI減税の継続でですね、やはり電気電子部会の中でも電気パーツを自動車産業のところに納めているところがありまして、やはりIPI減税が7月で終わるところが12月まで延長されたということで、それでまあ需要が維持されるだろうというふうに期待もあったんでしょうけれども、現実問題としては先程自動車部会からもありましたけれども、かなりやはり自動車の需要も非常にきついところに来ているんじゃないかなというふうに感じております。それと通信インフラの投資が継続しているので、これに関連する会社の方は、それはそういったビジネスはありましたよという答えが返ってきておりました。次お願いします。

    いくつか電気電子部会の中で、家庭で使う家庭電器なんですけれども、まず最初にテレビなんですけど、これが前年同期比、1月-6月のこれはマナウスでの生産です。生産の比較なんですけれども、まあ当然のことながらこれはテレビのカテゴリー、テレビなんですけど、一番左が、小さいところがもう、まあCRTといいまして、昔ながらのテレビですね、ブラウン管のテレビ、もうほとんど生産されなくなってきています。

    真ん中がプラズマテレビ、一番右端がLCD、LEDテレビ、通常薄型テレビなんですけれども、ここでの特徴が、このプラズマですね、プラズマテレビ、これ日本のメーカーは、弊社もそうなんですけれども、日本で一番プラズマテレビを作っておられた会社もですね、2年ほど前にプラズマテレビというのはお止めになっております。もう日本メーカーどこも作っておりません。それにもかかわらず、このプラズマテレビがですね、この半年間で前年比で4倍の数が作られています。

    プラズマテレビは同じサイズだと通常のLCDテレビと比べてですね、大体半値です。で、半値攻勢で完全にこの最後のプラズマ、世界でプラズマテレビが伸びているところはブラジルだけです。ブラジルだけでですね、色んなニュースを最近、1ヶ月前ですか、1ヶ月ぐらい前に来たニュースだと、これは全部韓国メーカーなんですけど、プラズマテレビはですね、韓国メーカーもこの11月には全てのプラズマテレビを終了するということで、もう最後の最後にですね、プラズマテレビをものすごい値段でブラジルに落としてきたという状況でしたね。

    で、クオリティを見ると、見た目はほとんど同じなんですけれども、実際店頭で見るともう全然違うんですけれども、やはり値段が半分だとこれは現地の人にとってはまあ非常に魅力的だったんだろうなということで、数はものすごく伸びています。次お願いします。

    これは同じ表なんですけど、どういった生産が行われたかと、これ1月~6月までなんですけどもね。上の赤い点線と赤い実線はこれはLCDテレビの前年のそれぞれの月にどれだけ生産されたかというところなんですけれども、この緑色ですね、プラズマテレビ、まあこれが非常に市場を乱してしまったということでですね、もう本当に困ったもんだなと思っている、まだ在庫は残っていますから現在進行形なんですけれども、非常にまあ嫌なことをやってくれているなというような状況です。次お願いします。

    これがそれ以外のですね、マナウスで生産された生産数です。例えば、下の方にですね、エアコンとかマイクロウェーブとか、マナウスだけではないところで生産されているのもありますので、まあこれが全ての市場というわけではございませんけれども、まあパーセンテージで見ますとですね、ざっと見てほとんどがマイナスです。ほとんどがマイナスで、下のエアコンとかマイクロウェーブオーブンとかは大体同じ、エアコンと電子レンジですね、そういったものは7%、6%とか伸びていますけれども、他はほとんどマイナスになっています。

    一番下のセルラーフォンもマイナスになっているんですけれども、セルラーフォンはマナウスでも作っていますけれども、一大生産地はサンパウロ州です。ですからマナウスでは、特に韓国メーカー2社が作っているんですけれども、そこではマイナスだったんですけれども、サンパウロでものすごくそれを上回るほど大きい生産をやっているという状況です。後ほどGfKという、マーケットでどれだけ売れたかという情報を扱っているデータがありますので、それでどれだけ売れているのかというのは後ほど紹介させていただきます。はい、次です。

    これがSales Quantityです。GfKと書いてますけど、GfKでどれだけ、この1月ですね、あるカテゴリー、上から三つは1月-6月、あるカテゴリーは1月-4月という、まあ若干期間にずれがあるんですけれども、はっきり言ってですね、テレビですね、上の方のプラズマテレビとLEDテレビ、これは前年同期比、非常にそれよりもものすごい数で売れていると。

    で、下の方のスマートフォンですね、スマートフォンが98%ですから、これも非常に売れていますねと。ゲームもですね、ハードウェアとソフトウェア、まあ非常に、非常にといいますか、前年よりも増えているんですけれども、まあ弊社もゲームやっているんですけれども、やはりゲームのゲーマーというのは新しいものを持ってこないと中々飛びつかない。で、うちでちょうど去年の11月にPlaystation4というのを導入したんですけど、現地で生産していません。していませんのでほとんどこの伸びは他社に持っていかれているというような状況ですね。やはり、やはりと言いますか、現地生産をしないとどうしようもないというのがこのブラジル、電気製品に関してはですね。

    例えば先程カローラとかカムリとかの他国との比較というのがありましたけれども、Playstation4はこれこないだの2月にも話したかもしれませんけど、Playstation4というのはアメリカでは、市場価格といいますか、お店では350ドルで売られているんですけれども、それをですね、まあ全く、我々は損しない、本当にブレーク、イーブンぐらいで、ディーラーさんも、まあディーラーさんは損して売るわけないですから、ディーラーさんは、電気屋さんはある程度の利益を取るというような試算でやると、値段がですね、このブラジルでは1850ドルになるんですね。そんな輸入して持ってこれる、持ってきて、まあ買う人もいるんですけど、何で買うんだろうとは思いますけれども。ですからやはり、もう生産しないことにはもうどうしようもないというのがですね、まあ電気機器の現状です。これが数です。

    これがValueなんですけど、これももう数とほとんど同期しているんですけれども、プラズマテレビとかLEDとかですね、スマートフォンとか、そういったものが非常に売れていると。売れたと、この1月-6月は売れたというのが現状でした。そうなると、じゃあこれだけ例えばLEDなんか去年に比べて売れたんだから、うちも良かったんじゃないのというふうに思われるかも知れませんけれども、本当にこれはもう値段だけ。

    値段だけといっては何ですけども、値段の勝負になってしまって、我々としてはもう、ものすごい値段を他社が、他社といっても韓国メーカーなんですけど、つけてしまっているためにですね、もう売らない方が得だというような状況になってしまっていてですね、これはまあ非常に歪んだ、何と言いますか、状況だったなと。まあ韓国メーカーがそれで利益が取れていればこれはたいしたもんだというふうに思うんですけれども、まああんな値段で取れるのかなというのがですね、弱いものの負け惜しみかもしれませんけれども、まあそれで自分達を慰めているというのが現状ですね。

    ですからテレビ自体は非常に1月-6月は伸びました。伸びましたけれども、やはり安い在庫がまだまだ残っていますし、これからもちょっと残っていくのじゃないかなと。で、かなりマーケットとしては、ワールドカップという非常に大きなイベントがあったために歪んでしまったというのが現状だと思います。次お願いします。

    で、ワールドカップなんですけれども、まあ弊社が、弊社がというか、スポンサーをしておりましたためにですね、非常にやはり、どうにかしてワールドカップを利用しなきゃいけないと。これは本社の期待度も非常に高かったわけなんですけどもね。それで前回もワールドカップどういうふうに思っていらっしゃいますか、というようなアンケートをとってまあ色々発表したんですけども、じゃあ今回、ワールドカップどんな状況だったんでしょうというとですね、テレビ需要は確かに盛り上がったんですけれども、5月末、これやはり先程のGfKというデータから見ると、5月末から6月中旬ぐらいの3週間くらいまでは非常に盛り上がったんですけれども、非常に遅く盛り上がってしまったなと。本当は4月ぐらいから盛り上がりを期待していたんですけれども、非常に遅かったなと。かつ非常に短かったなというのがですね、データから見て取れます。それと先程申しましたプラズマテレビの躍進ということでですね、最後の最後に、ああそういった手があったのかというような感じでしたね。

    それとやはり、私のプレゼンの前にもありましたけれども、工場稼働日数の減少、小売の営業時間の短縮ですね。まあほとんどのショッピングセンターはブラジル戦の1時間前ぐらいから閉まっているというような状況で、そういった時にお客さんが電気製品を買いに行くわけもないしですね、まあそういったところで影響がありましたと。最後、三つ目は先程も申しました、テレビだけに目が、小売の電気屋さんたちもテレビだけに目が向いてしまったというような状況でした。

    次が、これもアンケートからのコメントなんですけど、ワールドカップで混乱することが見えていたのでもう出張取りやめたと、それで経費が浮いたよという、まあ小さい話だけど、まあ良い話かなと思いました。そう言ってしまうと申し訳ないですね、せっかくアンケートをいただいた方に。

    スト、デモなどの混乱はなかったと。特に、ずっと去年のコンフェデレーションズカップから続いておりましたマニフェスタソンを非常に心配しました。非常に心配して、やはりワールドカップ期間中もそれぞれの都市でFIFAと一緒に色んなイベントが行われておりましてですね、そこにかなりマニフェスタソンが行われるんじゃないかというふうに心配していたんですけれども、それがほとんどなかったと。色々、話に聞くと、やはりオープニング、第1試合目の途中の道はちょっとはマニフェスタソンがあったんですけれども、それ以外はほとんど見られなかったというのはですね、これは非常に良い話だったんじゃないかなというふうに思います。はい、次お願いします。

    下期なんですけれども、これもですね、19社の方からアンケートをいただいて、まあ今回はちょっと現実を見つめられているのかなというふうに思ったんですけれども、ちょっと悪くなるだろうという、もう最初から思っていらっしゃる企業もですね、7社ぐらいあります。しかしながらまだまだ改善できる余地はあるんじゃないかなというふうに答えていただいたところも10社ほどありましてですね、まあこういった、何と言いますか、これからの6ヶ月間はこういったふうに考えられているという状況です。

    で、やはりなぜじゃあそう思うのというところなんですけれども、やはり、継続的な景気の悪化、為替リスクがあるよねと。大統領選以降どんな感じでレアルが動くのか。それとやはり金利の上昇ですね。金利はまあ11%、Selicで11%で高止まっていますけども、これからまあどんな動きをするのと。それとアルゼンチンの動向と。これは他の業界の皆様とほとんど同じかなというふうに思います。

    コメントとしては、中長期では悲観的ではないが、短期では厳しいねと。先程コンサルタント部会の方からありました、中長期はまあ非常に悲観的でない大国だけど、短期では厳しいよと。しかし駐在員というのは大体短期で来ていますのでね、中長期で良いと言われてもですね、中々うんというふうに納得するものじゃないなというふうに思いながら聞いているんですけれども。中長期で悲観的でないことは間違いないと思いますけど、じゃあこの中長期がいつから始まるのかというのをですね、ぜひとも知りたいところだなというふうに思いました。

    最後に、政府への要望と言いますか、これも前回も前々回も同じなんですけれども、これは全く同じです。複雑すぎる税制の改革とかですね、インフラ改善、反政府行動の沈静化。今沈静化しましたのでちょっとシャドーでやっていますけど、またいつ始まるか分かりませんので、まあこれは残しておいた方がいいかなと。

    税金を払わない輸入に対する厳格な取締り。まあこれは小さい電気製品がまあよくパラグアイからやってくるということ、これは特有の話かもしれませんけど。で、治安の改善ですね。治安はやはりかなり悪くなっているだろうなというふうに思います。まあ色んな、領事館からいただく安全情報、被害速報ですか、あれがもうかなり今年になって頻繁に入ってきていますので、またかというふうに非常に感じています。

    ちょっと余談ですけれども、この治安の改善に関してです。ちょうど1週間、10日ぐらい前ですか、10日ぐらい前に弊社に入ったニュースだと、例えば警察が色んなその、何と言いますか、通信を傍受しているみたいですね。まあそんなことも許されるのかどうかちょっと分からないですけど、傍受しているみたいで、うちの方にですね、誰か傍受した話だと、うちは今最近スマートフォンを作っているんですけれども、スマートフォンのトップエンドモデル、トップエンドのスマートフォン4ミリオンレアイス誰かがもってこいと、誰かに頼んでたよと。ギャング同士の通信なんですけれどもね、ああそれだけ有名になったかと、うれしい話だなと思った反面ですね、非常にやはりこの治安の、治安と言いますか、そういったことがもう計画的に犯罪として大きくなっているなと。

    これも、1ヶ月前ですか、もう2ヶ月ぐらい前ですかね、やはり韓国のS社のですね、工場にギャングが入って、まあ警察曰く80ミリオンレアイスとか言ってましたけれども、ものすごいセルラーフォンを盗んでいったという状況がありましたので、そういった治安というのはやっぱりこれから経済が悪くなるにしたがってですね、かなり厳しくなってくるんだろうなと、気をつけなきゃいけないんだろうなというふうに思いました。

    そうなるとやはり、先程トヨタさんからもコメントありましたけれども、まあ儲かる業界といったら保険業界なのかなと、うらやましい限りだなというふうに思ったということで、終了させていただきます。ありがとうございました。

    司会
    三浦部会長ありがとうございました。それではご質問のある方は。よろしいでしょうか。ではありがとうございました。次に化学品部会の友納部会長、よろしくお願いいたします。

  • 化学品部会 友納睦樹部会長

    化学品部会 友納睦樹部会長

    Pdf化学品部会 友納睦樹部会長

    皆さんこんにちは。富士フィルムの友納です。大変いつもながら熱のこもった三浦さんの後で非常にやりにくいんですけども、お手やわらかによろしくお願いします。大変お疲れだと思いますので、眠気を誘わないように手短にさせていただきたいと思います。

    富士フィルムがですね、なぜ化学品部会なのかということで、訝しく思われる方もあるかと思うんですが、私ども80年前にですね、ダイセル化学から分離独立して作られました純然たる化学の会社でございまして、まあ化学品部会関係でいいますと、色分野、印刷分野、それからもちろんデジタルプリントの材料ですとか、あと最近では電子材料、それから半導体の製造用材料、医薬品とか化粧品とか、そういったものも作っております。

    あとは、最近はですね、コンピューターのバックアップテープですとか、非破壊検査用のフィルム等も作っておりますので、ぜひご用命の方はですね、このあとの懇親会の方で一つ何卒よろしくお願いいたします。シンポジュームの発表にあたりですね、化学品の各社からアンケートを実施いたしまして、結果をまとめたものを発表させていただきます。次お願いします。

    化学品部会はですね、現在49社によって構成されております。上半期にはですね、京セラさんとそれから稲畑産業さんが新しく参加されました。アンケートは27社から38の回答をいただいております。回顧・展望のアンケートはですね、販売対象の事業ごとにいただいておりますので、ちょっと数が増えております。次お願いします。

    回答いただいた企業のブラジルでの創業年を見てみるとですね、このように1950年代、それから1970年代、それから2000年代、2010年代、このあたりにブラジルへの進出が集中しているということが分かりました。特にですね、2010年以降の4年間に7社が進出しております。次お願いします。

    ブラジルの国内の従業員数を見てみますと、従業員の数が10名以下という会社が7社、10名から50名までが4社、50名から100名までが11社、そして100名以上が5社となっております。次お願いします。

    ブラジルの国内に工場を持っている企業はですね、回答27社のうち12社でございます。この12社のうちですね、8社がサンパウロ州に工場を持っているということです。特に2011年以降4社が新しい工場を稼働しているということは、やはりブラジルの需要に対する期待が昨今非常に高まっているということではないかと思います。先程の貿易部会の発表の中でもですね、化学製品の直接投資が対前年で60%伸びているというような数字が出ておりましたけれども、この辺が反映されているのではないかと思います。次お願いします。

    主な販売対象先という観点で分類いたしますとこういうふうになります。複数回答としましたので、合計は回答会社の数よりも増えておりますけども、ご覧の通りですね、製造工場への材料用途での販売が圧倒的に多いということになっています。27社ですね。それからその次がですね、農業畜産漁業従事者への農薬や肥料や飼料等の販売、これが続いております。

    その他ですね、法人業務用ということで、印刷会社、それから医療、病院ですね、それからプリント材料、すいません、これは全て私どもの商品でございますが、3社ございまして。あとは一般消費者向けとして、医薬品、それから化粧品、それから文房具、接着剤、まあこういうものを販売されている会社が5社ございます。これも化学品部会の会員会社さんでいらっしゃいます。次お願いします。

    化学品部会の会員企業さんの取扱製品というのはですね、非常に多岐にわたっておりまして、最終的に使われている業界を分類してみたところこういうような状況になりました。回答27社のですね、うち半数を超える15社がですね、なんと自動車・オートバイの業界向けに材料や製品を販売しているということです。

    非常に大きなシェアを占めていると思います。次いで農業畜産漁業関連となります。日本では自動車に次いで、やはり日本企業が強いはずの電子機器産業向けにはですね、なんと2社しか販売していないというような非常に意外な結果でした。その他、食品、化粧品、医療・医薬、それから建築業界、それから製紙ですね、このような業界・市場向けにですね、様々な材料や製品を販売しているということだそうです。次お願いします。

    さて、2014年上期のですね、回顧と下期の展望ということについてご報告しますけれども、上期の実績、売上利益の対前年比較、それと下期を対上期で見た時の予測という形でまとめてあります。化学品部会全体で見るとですね、このように回答の半数が上期も下期も継続して増加という、こういう結果が出ております。

    まあ売上が減少するという回答がですね、下期は上期より減っております。代わりに不変が増えておりますけども、まあ上期の落ち込みがですね、下期にはやや回復するだろうと、そういう期待で書かれているものと思います。利益の点ではですね、上期は43%の会社が減少としていますけれども、下期は増加すると、または不変だというような回答が大きく増えておりまして、採算改善の期待が非常にうかがえるかと思います。次お願いします。

    最も大きく我々の業界に影響しております自動車・オートバイの業界の我々の動向を見てみますと、大体化学品部会全体の傾向と似たような感じになっております。自動車部会の発表でもですね、先程お話がありましたように、やはり上期が非常に悪かったと。上期が生産が非常に落ち込んだということでですね、自動車業界向けの材料の販売が大きく落ち込んだということのようです。ただその、下期はですね、回復を期待しているという意見が非常に多かったんですけれども、先程の発表ですとあまり下期もよくないということですので、期待はずれになるんではないかと、残念なことですけども思っております。次お願いします。

    次は農業畜産市場ですけれども、売上は上期・下期とも継続して増加するだろうと。ただ利益は下期は足踏みをするだろうというような結果が出ております。下期に売上減少が増えているのはですね、これは季節要因だということです。次お願いします。

    食品業界で見てみますと、上期はですね、国内の小売市場が低迷したと。それによって売上が非常に減少したと。また価格競争が激化してですね、利益も大きく減ったという回答がございました。下期はやはり新規市場とですね、新規の顧客開拓によって増加を見込んでいるということだそうです。次お願いします。

    大変うらやましい市場です。全て増加。化粧品業界というのは非常に好調のようで、うらやましい限りなんですけれども、ブラジルというのは化粧品という意味では世界第3位の市場規模でございまして、伸びしろはまだまだ大変大きいのではないかと思います。材料販売先としてですね、これから非常に期待できる市場ではないかと思います。我々も、富士フィルムでも化粧品作っているんですけれども、あまりこの資料は本社に見せたくないと思っております。こちらではまだやっておりませんので。次お願いします。

    医療・医薬市場関連の市場ですけれども、まあ下期には不変という回答がございましたけれども、まあ良い、非常に良い傾向のようです。これもすみません、弊社の話ばかりで恐縮ですけども、弊社ども、ブラジルではですね、医療というのは最大の事業でございまして、生活の水準の向上によってですね、病院設備の充実が非常に求められておりますので、これからまだまだ中長期的に伸びていく、非常に期待のできる市場ではないかと思います。これもまた全然関係ないんですけども、弊社の内視鏡を使ったですね、大腸がんの検診プロジェクトもですね、先日の共同声明に盛り込まれまして、大変感謝しております。すいません、関係ない話ばかりで。次お願いします。

    印刷業界でございます。これは景気後退による需要の減少、あるいは中国製材料との競合などがマイナス要因として出ているということでございます。先日ブラジルの印刷工業会、ABIGRAFで聞いたところによりますと、最近中国からの印刷物の輸入が非常に増えていると。これによってブラジル国内の印刷生産がですね、数パーセント減少しているというようなことがあるそうで、これはやはり高い税金とかですね、労働力が非常に高い、労働コストが高いというコスト高を回避するためにですね、ブラジルの出版社が直接中国の印刷会社に発注するという、そういうことが非常に増えているということだそうでございます。次お願いします。

    自動車・オートバイ業界に向けてですね、販売している材料・製品の事業について現状を整理すると大体こういうことになります。上期は自動車製造に生産調整が入って、一様に材料販売が不振だったと。特に非日系の自動車会社の状況が悪いと、これは明確な回答がございましたので念のためお伝えしておきます。下期は回復を期待しているというはかない期待があったようでございますけれども。

    もう一つはですね、上期はワールドカップによる取引先の稼働率の低下で販売が減少したが、下期は回復を期待する。というのは一方でですね、やはり人件費、現地調達材料のコスト、各種経費がインフレによって上昇して利益を圧迫していると。経費は上がるんだけれども、値上げは中々できないと。で、中国品を含む競合品との価格競争によってですね、販売価格がむしろ低下して利益を圧迫していると。あるいは顧客の支払いの遅延が非常に多発してきていると、増えていると。それから高金利の負担がですね、経営を圧迫していると。まあこういうようなマイナス要因が引き続き負担となっているようです。次お願いします。

    農業畜産漁業市場関連で見ますと、大豆など主要農産物市価の高止まりのおかげで生産が増加していると。鶏肉、鶏卵など畜産物市価も高止まりして非常にいい状況であると。農産物の作付面積も増加していると。非常にいい話がある一方でですね、やはり同じようにアジアからの安値品の輸入が増えて競争が激化していると。まあこれはどこの市場も同じ事情でございますね。あと、これは前回もありましたけど、サトウキビの関連企業は相変わらず低迷が続いているということだそうです。干ばつによって作物の病害発生が少ないと。本来ならいいことのはずなんですけれども、少ないと儲からないという、そういう業界だそうでございます。次お願いします。

    その他の業界で共通して報告されたことをまとめますと、やはりワールドカップの期間中は経済活動が停滞してですね、工場の稼働率ダウンによって減販となったけれども、下期は回復を期待する。としながらもですね、やはり中国製品との競争激化、これによって採算が非常に悪化してきていると。それから金利上昇によってですね、経営を圧迫していると。それから石化原料の高騰があるというような課題があるというような話が共通の話題として出て参りました。

    それでやはり、5番目ですけども、原料、光熱費、労働力、これは毎年上昇するけれども、競争によって販売価格値上げは中々難しいと。まあ非常に事業環境がですね、年々難しくなっているというような声が聞かれました。次お願いします。

    副題であります、「どうなる日伯関係-ビジネスの環境改善に向けて、いま為すべきこと」について、特に改善すべきと思う課題は何かということでですね、アンケートをとった結果、このような結果となりました。これは設問では選択形式にしまして、実は新しく設立する、商工会議所の方で設立されます機能強化委員会のですね、ワーキンググループの課題をですね、そのまま選択肢として使わせていただきました。このようにですね、圧倒的にですね、課税問題、これが非常に大きな課題だろうというふうに考える会社が多かったという結果でした。次お願いします。

    自由回答によりますとですね、まあ先程自動車部会の中でも移転価格の話が詳しくありましたけれども、移転価格税制、これを改善してほしい、大きな課題だと、非常に重要な課題だとして挙げる会社が5社ございました。このほかですね、舗装補修工事など道路整備が適切に為されないと、これはインフラのことですね。

    それから港湾インフラの充実が必要で、特に輸入の際の滞留・遅延が非常にひどいというようなこと。それから労働者の就業意欲が低い。労働力の底上げのために教育制度を改革する必要があるんじゃないかと。それから様々な登録、認証に費用と時間を要していると。まあ我々の、すいません、ここと関係ないんですけれども、貿易部会の下の医療機器の分科会の方でですね、ANVISAとの色々話し合いをやっておりますけど、そういうような、非常に難しい、不条理な規制・制度がたくさんあるというようなことですね。

    それから、社内でですね、これは8番目、非常に特異的な話だったんですが、社内でブラジルに対する期待度が非常に低いんだと。これはですね、今まで全くこういう話は出てこなかったんですけれども、この話が出た途端にですね、そうだそうだと、皆さん同じようなことを口々に言われまして。まあこれは意外にですね、多くの方が実は潜在的に感じておられる、あるいは長い間潜在的に感じておられてきたことじゃないかと思うんですけども、特に先日の安倍首相のですね、来訪以来ですね、経済ミッションとして各社たくさんの幹部の方がブラジルにいらっしゃいました。

    この機をですね、うまく利用して、社内でのブラジルに対する期待度をですね、上げるというのは今我々がやるべき仕事であってですね、ある意味では我々の使命じゃないかと、それはまた今それがチャンスなんじゃないかということでですね、ぜひ皆さんと一緒にですね、これを頑張っていきたいと思います。以上、簡単ではございますけれども化学品部会の発表でございます。皆さんお疲れのところありがとうございました。

    司会
    ご質問等あれば。多少時間戻しておりますので。よろしいですか。では友納部会長ありがとうございました。改めて拍手をお願いします。
    続きまして、運輸サービス部会、森田部会長お願いいたします。

  • 運輸サービス部会 森田透部会長

    運輸サービス部会 森田透部会長

    Pdf運輸サービス部会 森田透部会長

    運輸サービス部会の森田と申します。それでは発表をさせていただきます。次お願いします。

    我々運輸サービス部会ですけども、我々もかなり広範囲に業務が多岐に亘っておりまして、ここにありますように、物流、構内物流、機工、整備、海運、航空貨物、航空旅客、旅行、ホテル、通信、ITというふうな形にそれぞれなっておりますが、これにそって説明させていただきます。次お願いします。

    まず物流業界ですけども、2014年の上期の回顧ということでここに書いてありますけども、ワールドカップ開催に対するゼネスト、こういったものはまあ懸念がかなりあったんですけども、特に物流アクセスに対しての問題は、目立ったことは、支障は発生しなかったということですね。あとサントス港における新港湾ターミナル、これ二つ新しいターミナルができておりますけども、これで若干ターミナルでの混雑は緩やかになったと。緩和されているんじゃないかということは感じ取れる。ただし、まだですね、例えば貨物、通関が切れて、先程もお話がありましたけども、時間的に、例えば通関切れたらすぐ貨物が出るかというとそうではないんですね。貨物、通関切れても2日ぐらいやはりかかるというふうな形で、やはりまだ非常にそういった面では遅れている部分があるということですね。

    まず下期の展望ですけども、これロドアネル、外環状道路ですね、この南と東部分が完成しましたので、今後この地域の企業進出、それとあとはまあアクセスが若干良くなって、車の回転、こういった効率が若干良くなるんではないだろうかと。北部分はまだできておりませんけども、これで3分の2が完成したということですね。

    あと、内陸部から、それとインフラ関係に対しての問題なんですけど、サントスの港というのは農産物ですね、これが例えば6月7月とか非常に集中して、その輸出のための車両が大量に港の中に入るために、その道路状況、あそこはアクセス道路が一本しかないんですけども、そこに集中して混雑して、通常の貨物のハンドリングですね、こういったものが非常に遅れて、車が動かないというふうな混雑がすごくあるんですけども、それを緩和するためにサントス一極集中というものを北部・東北部の港にシフトする、こういった動きが今出てきてまして、その辺で緩和がなされるのではないだろうかということを考えております。

    それとですね、次に、あと引越しなんですけども、引越しに関しましては港湾・空港税関の手続きが一昨年見られたような税関とか港湾地区のストライキですね、これに対する極端な影響はなくなって、まあ治安はそれほどなくなってきているんですけども、ここにありますように、やはり航空貨物で貨物到着後44日、船便で54日というふうに、やはりまだ非常に時間がかかっているという状況です。

    総括といたしまして、今回ワールドカップの影響というのはほとんどなかったんですけども、ただ物価高、給与関連賃上げ要求、これがインフレ以上に行われてマイナス面が多いと。特に我々、物流の中でも通関とかフォワーダーとかあるんですけども、人件費というのはどんどんどんどん上がっていくわけなんですけども、ただ売値に関しましてはやはりマーケット的な形な、マーケットプライスの方で、あまり上げられないと。

    お客様に値上げを要望しても中々受け入れていただけないという部分がありましてですね、非常にその、インフレ吸収をするためには量が増えなきゃいけないというふうなところなんですけども、残念ながら、特に今年の場合はそれほど量的なものが伸びがないということで、まあ非常に苦しい状況ですね。こういったものが続いております。また下期においてもそういった状況がずっと続くのではないだろうかということで、非常に経営環境は苦しい状況であるということですね。次お願いします。

    次に構内物流の方なんですけども、これは製鉄所の構内でのハンドリングとか整備とか機工作業、こういったものなんですけども、ここも非常に厳しく、14年の上期に関しましては鉄鋼の国内需要、これがやっぱり自動車関係、こういったものの不振で、輸入鋼材等が増加しているということで、まあ製鉄所自身の出荷量、これも落ちてきておりまして、さらに非常にそういった意味で協力会社に対するコスト削減要求ですね、これが引き続きずっと続いてきているということです。

    それと、こういったものを傾向としてですね、下の方に鉄鋼メーカーの粗鋼生産量一覧というのがあるんですけども、これデータとしては13年のデータなんですけど、今年の初めにご説明した12年度のデータと比較した場合にですね、ブラジル企業としてGERDAUが12年が14位から16位、ウジミナスが40位から49位にシェアがダウンという形で、やはりそういったこともこういったものに反映されているような状況だと思います。

    下期ですけども、下期の展望といたしまして、製鉄所の協力会社に対するコスト削減要求ですね、これはある意味同じような、ずっと継続していくと。あと、同業他社、これは同業他社というのは地場、ブラジル企業なんですけども、そういったものとの競争も継続的に激化していくと。まあ今後として、製鉄所の協力会社として顧客製鉄所と同一のスタンスですね、それでコストの削減に向けて強力な取組をやっていくことが必須であろうという状況です。次お願いします。

    次は海運業界になります。上期としまして、ブラジル全体のコンテナの輸出入量は前年同期比微増という形ですね。そのうちアジアとのトレードはブラジルの対外貿易の中で比重が高まってきていると。あと、鉄鉱石を運ぶケープサイズの傭船料ですね、これが昨年は暴落しているんですけども、これが1万ドル以上高く推移してきていると。

    あと一方、パナマックスに関しましては、大豆等の出荷最盛期を終えた3月以降傭船料はじりじりと値を下げてきたということですね。それと先程物流の方でもご説明しましたけども、サントス港では2つの新港湾ターミナルですね、これが稼働しまして、若干コンテナターミナルでの混雑は緩和されると。お願いします。

    これが右岸にできたBTコンテナターミナルですね。去年の11月に稼動しております。ちょっと写真古いんですけども、今はもうちょっと貨物がたくさん見えますけども。もう一つお願いします。これがEMBRAPORTという、左岸にできた、対岸にできたターミナルですね。こういった、当初からコンテナターミナルとして設計されている、今のSantos Brasilというコンテナターミナルがありますけど、あれと同じようなレベル、それ以上の近代的な形のターミナルになっています。

    あと、サントス港の水深に関しまして、浚渫作業によって30cmほど水深を深くされているんですけども、ただ現状、コンテナ船というのは最大型が15000TEUという、TEUというのは20フィートコンテナ換算での単位なんですけども、20フィートコンテナが15000本積める船、これが今一番大きい船なんですけども、このレベルの本船は入港することはできないと。

    現在大体サントスに入ってくる船で一番最大船型が9000TEUというものですけども、ただこれもフルに積載している状態では入港することはできないので、足切りといって、他の港で一部荷物を下ろして、水深を上げて入ってくるという状態です。あと、コンテナ船の大型投入による供給増ですね、これが貨物の増加のペースを大きく上回るということで、供給増になってきて、競争環境が激化して運賃が下がってきたという状況が進んだということです。

    次に下期ですけども、コンテナトレードは通常であれば年後半に向けて荷動きの増加が見込まれる。通常10月、11月ですね、クリスマスにかけてやはり量の動きというのはかなり出てくるんですけども、今年はその辺があまり期待ができないと推測しているということですね。それとあとケープサイズ船の市況に関しましては、6月に入ってから下落傾向になっていると。で、年後半に向けて鉄鉱石の出荷量が増加してくれば、市況反発の可能性があるというところです。

    あと、サントス港においてさらなる浚渫作業、これが行われる予定ですけども、まあ従来同様時間が掛かる恐れがあって、あまり期待はできないなというところですね。で、貨物輸送需要の伸び率次第ではコンテナ船の配船調整等が行われる可能性があると。あと、年後半の需要期に向けてコンテナ運賃の修復を期待をしたいということですけども、これがまあ全体的にどんなふうになるかですね。

    総括としまして、まあコンテナ船の当該航路での需給バランスの乱れによって、業界の状況も厳しさを増し、今後傾向次第ではサービスの合理化が進む可能性があるということで、まあ今ウィークリーサービスでダイレクト船的なことが行われていますけども、その辺がなんらかの形で変化が出てくる可能性もあるということですね。次お願いします。

    次に航空貨物業界ですけども、上期としまして、輸出入総量、これは前年比7.8%減と、やっぱり全体の物の動きも減っていると。これは特に生産部材ですね、やっぱり自動車関係が一番影響しているんじゃないかと思いますけども、こういった面の輸入量が減少していると。 輸出総量は対前年比1.9%、まあ微増はしているということですね。

    下期展望ですけども、まあ量的なものはあまり期待はできない。それほど多くならないと思うんですけども、環境として8月よりグアルーリョスの空港のタリフ、これが値上がりしておりまして、他の空港も追随する可能性があるということで、今後物流コストの上昇が懸念されると。

    あと、空港の民営化が進み、インフラの改善とリードタイムの短縮を期待するということで、今ここにありますような、VC、ビラコッポスですね、それとグアルーリョス、ブラジリア、リオ、それとベロ・オリゾンテの各空港はINFRAEROが半民営化ですね、という形になっておりまして、確かに貨物のハンドリングスピード、こういったものは上がるようになっています。ただし、ハンドリング面が上がったとしても、やっぱり税関のリードタイムですね、これが短縮されない限りは全体のリードタイムの短縮にはつながらないという案件もございます。次お願いします。

    次は航空旅客業界ですけども、この辺は一番ワールドカップ関係のあれが一番大きいんですけども、国内線におきましては一応堅調だったと。で、ワールドカップ関係で運賃が非常に高騰したと。ただ一般旅客が、やはり運賃が高くなったということで敬遠したらしいんですけども、ただワールドカップ関係の需要で相殺状態で結果的にはまあちゃらちゃらだったということですね。運行状況として、ワールドカップ期間中に路線網が約30%拡大されたと。あとTAM、,GOLその他で期間中に約77200便の増便がなされたということで、まあ定時出発率90%を達成したということで、まあ目標を達成したということらしいです。

    国際線に関しましては、まあこれも堅調ということです。特にワールドカップ期間中に利用減が予想されておりましたけども、それほど大きな影響はなかったと。ただやはりビジネス客というのは減って、観光、まあワールドカップ関係、これで何とか支えてきたというふうなことです。

    それとあと空港インフラで、グアルーリョス空港ターミナル3ですね、これも皆さんご存知だと思いますけども、これがオープンしたということでございます。これTC-3の写真ですけども、こういった形で一応これまでのTC-1、TC-2とは違って、まあ一般的な国際空港のレベルにやっと近づいたということですね。お願いします。

    下期の展望ですけども、国内線に関しましては、総座席数はまあ減少するのではないかというふうなことなんですけども、ただ旅客数、これは増加すること、まあ特にビジネス客が戻ってくるということで、まあ需要は堅調予想。それとあと観光も増えるのではないかということですね。国際線に関しましては、グアルーリョスのターミナル3による機材の大型化等が計画されているということで、下期も堅調な需要を予想しているということです。

    空港インフラに関しましても、TC-3がオープンしたことによって利用航空会社が増加するということと、ボーディング・ブリッジ等の増設などによって旅客の利便性を図ることが見込まれているということですね。

    航空業界全体としては、これに基づいたような形での機材の大型化、増便の検討が進められているということです。課題としましては、やはり全て同じようなことなんですけども、空港=市内間のアクセスの改善が必要だということ、あと離発着効率の管理による便数の増加が必要だということですね。それとあと、国内線=国際線の乗継の利便性の向上というのが課題であるということです。次お願いします。

    次、旅行・ホテル業界ですけども、上期としまして、国内線の売上、これが前年同期比で7%増加と。国際線も同様に約2%ほど増加。旅行業界の売上としては、前年同期比約7%の増。特にインバウンド業務はワールドカップ関係で18%増加したということです。
    ホテル業界ですけども、ホテル業界としましてはビジネス客は減少しておりましたが、レジャー客、要はワールドカップの関係で、やはり前年同期比で約10%の増加になったと。あとワールドカップ開催都市の稼働率が大幅に増加したと。特にリオ等に関しましては、約98%という非常に高い稼働率を示したということです。

    その次に下期ですけども、国内・国際線ともワールドカップ終了に伴って、ビジネストリップですね、これがまた戻ってくるんじゃないかということで、回復の期待をしているということです。国内旅行、これも需要は継続するものと予想していると。ホテル業界に関しましてはビジネス客の、まあ戻りですね、それでの増大期待。ただ、傾向として大統領選がどのような影響が出るかというのは今のところ不明であるということです。

    課題におきましては、やはりインフラ整備、これは観光地のインフラ整備が必要。それとやっぱり治安の問題。それとあと、ブラジルは非常に物価が高いということですね。ワールドカップの時もやはりこういった問題が出てきましたけども、こういった課題がやはり残されているということです。次お願いします。

    特にここで、旅行・ホテル業界でのワールドカップ関連のトピックスということでここに整理しているんですけども、ワールドカップ開催期間中のホテル、輸送車両の高額販売、これが騒がれておりましたけども、実際には、開催地以外ですね、のホテルなどの稼働率、これは見込みを大幅に下回るなどの影響で通常・それ以下の料金となっていたようですけども、ただ、各12会場ですね、の開催地においてはホテル、レストラン、輸送車両の料金は異常と思われるほど高騰したということらしいです。

    あと、ワールドカップはブラジルのイメージに大変良い効果を与えたと。これ当初は非常に心配されていましたけど、結果としてはブラジル人の温かい人間性、ホスピタリティー、こういったものが評価された結果になったということです。

    それとあと、空港のインフラ問題、これも心配されておりましたセキュリティーの問題とか、こういったものは幸い大きなトラブルもなくまあ無事終了する事ができたということです。次お願いします。

    次、通信業界ですけども、上期の回顧としまして、ブラジルの通信面で米国依存を減らすための施策が相次ぎ実施されて、ブラジルはEUと、リスボンとフォルタレーザを結ぶ海底通信ケーブルの敷設で合意したということですね。これは米国依存でのやっぱり偏ったものを分散化していくという形のものです。

    それとあと、インターネットへの平等なアクセスと国内ユーザーのプライバシーを保障する「インターネット憲法」というのが上院で可決されたということです。これは詳しい内容はここにサイト(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3892)を書いてありますけども、ここで日本語でどういう内容かというのを見ることができますので、後で参照してください。

    あとブラジルの上期のモバイルブロードバンド接続数は1億6100万件ということで、ちょっと数字的にイメージがわかないんですけども、前年同期比51%とい大きな増加になっていると。過去12ヶ月間で5400万件の新規接続があって、特に4G接続ですね、これがワールドカップの影響で増加したということです。

    下期の展望としまして、4G設備の拡大によって4G加入者のさらなる増加が期待されると。モバイルデバイスの増加によってデータ通信全体の発展がさらに促進されると。一方で、やはり同じように技術者不足、人件費の高騰で、優秀なIT人材の確保が非常に困難な状況は引き続き継続するということです。次お願いします。

    通信業界におけるワールドカップ関連トピックスなんですけども、ワールドカップの開催エリア、会場については、WiFi、モバイル向けの通信のインフラの増強が行われて、各通信オペレータがANATELから出された要求に沿って十分な通信インフラを整備したことによって、世界記録となる膨大なトラフィックに対応できたということで、特に大きなトラブルはなかったということらしいです。

    あと、これは日本側としまして、8KスーパーハイビジョンによるパブリックビューイングにNTTさんのIP伝送技術を利用。ブラジル・日本間でのライブ伝送に成功したということです。これは2016年の夏季オリンピックですね、に向けての先行実験の位置づけとされたということですね。これは例えば日本代表キャンプ地のメディアセンターにおける中継にも同じようなIP伝送技術が利用されて、従来の衛星よりも高速かつ低遅延な中継ネットワークを実現することができたと。今回のワールドカップの実績を通じて、海外からIP伝送の可能性を新たに世界に提示することができたということです。次お願いします。

    最後ですけども、IT業界で、まず上期の回顧としまして、新規日系企業進出に関わる案件はまあ若干減少気味であったと。既存企業の規模拡大に伴う企業内ICT環境増強ニーズですね、これは継続してきていると。ワールドカップの影響でプロジェクト進行が遅延しましたけども、特にビジネスに影響は及ばなかったと。で、アウトソーシングサービス、ITOとかBPOですね、こういったものは比較的堅調に推移してきたと。

    下期の展望としまして、大統領選挙を見越したIT投資が抑制され、様子見が継続すると予想しているということです。それとあと、アウトソーシングサービスですね。この需要は引き続き期待できるであろうということです。

    IT業界内の再編や合従連衝の加速が行われるでしょうと。コモディティ化したICT要素、メールとか共有サーバーですね、これはより柔軟でコスト効果の高いクラウド型へシフトが進むと。ここでもやはり同じようにインフラ、やはり全てにインフラの問題というのは追随してくると。それとあと人材の確保の問題ですね、これはもう全ての業界について同じ問題となっております。次お願いします。

    最後なんですけども、昨年も下期にサントス港の視察を我々運輸サービス部会で実施しましたけども、また今年も10月24日に行なうように計画しておりますので、また案内は以後詳細を出しますので、ぜひとも参加してください。以上です。

    司会
    ありがとうございました。それでは質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
    ではどうもありがとうございました、改めまして。それでは続きまして繊維部会の横山部会長、よろしくお願いいたします。

  • 繊維部会 横山眞一部会長

    繊維部会 横山眞一部会長

    Pdf繊維部会 横山眞一部会長

    繊維部会の横山です。どうぞよろしくお願いします。お時間もあと残り少なくなって参りましたが、今しばらくお付き合いいただきたいと思います。特に皆さんになじみの薄い業界でもあり、またお仕事上の関係も薄い業界でもあります。少し皆様力を抜かれて気楽に聞いていただければと思います。どうぞ、お願いします。

    そうしましたら繊維部会の発表に移りますが、繊維部会の発表は使用原料の綿花から、最終製品の衣料品・縫製品までを順に市場の状況を発表させていただきます。1枚目のスライドをお願いします。

    まず綿花から申し上げますが、世界の綿花の状況というのは基本的には中国がその主導権と言いますかイニシアチブを持っているというのが今の現状です。まあその理由といいますのが、まあこれを見ていただければ分かるように、中国というのは世界で生産が一番、消費も一番、さらに輸入量についてもまあ世界で一番多いという状況になっております。

    このため、特にこの上半期につきましては、本来であれば、見ていただきますと分かりますように約2200万トンの季末在庫、これもほぼ現在までの史上最高の数字です。この数字にも関わらず、余剰の在庫を全て中国が輸入して自国内に備蓄してしまうというような形で、まあ相場自体は比較的堅調な、高い水準での動きとなりました。

    ただ、この5月以降ですね、中国がまあ今後その輸入政策、綿花政策を変更して、今後輸入量を減らしていくという予想が出たことによって、特に5月6月に国際相場は下落しております。結果的にはこの下半期、年初からこの6月末までで綿花の価格はおよそ10%下落しております。

    ちょっとご説明しておきたいのはですね、この綿花というのはちょっとややこしいことに、ちょうど年度が年をまたがり8月1日から始まって翌年の7月末で終わるということで、ちょうど先月に前年度の2013年/14年度が終了して、今月新しい今年度の14年/15年度が始まっているということでちょっとご理解ください。

    本年度の、この2014年/15年度の生産につきましても、見ていただければ分かるように、概ね生産が若干減少、消費は若干増ということですけれども、まあ基本的に、全体的な、ポジション的な大きな差はありません。逆に季末在庫についてはさらに、前年度の2200万トンから2300万トンへとさらに増加すると。我々の業界ではこの1年の季末在庫数量を消費量で割った、季末在庫率というのを一つの指標にしますが、これも前年度の93%から95%へという形でさらに増加していることになります。

    まあただ、今年度の予想では、中国自体の在庫は輸入がほぼ半減することによって、大きく変化はありません。その代わり、それ以外の他の世界中の地域での在庫が余ってくるということで、今後この下半期については6月末に下がった価格がさらにこの年末に向けて一段と下落するというふうに予想されています。まあ実際、直近、現時点では6月末よりもさらに、おおよそ20%近い下落を今記録しております。2枚目をお願いします。

    ちなみにブラジル国内の綿花についても報告しますと、ブラジルの綿花については昨年の2013年の生産が130万トン。ただしこれは、その前年、ここには記載しておりませんが、2012年から比べると約30%ほど収穫が減少しております。

    その大きな要因だったのが、先程もちょっと話が出ておりましたが、大豆やとうもろこしなどの他の作物の相場が非常に高かったということでそちらの方に植え付けが変わってしまったということと、昨年はそれまでに発生しなかった新たな害虫が発生したために、その影響で生産がさらにダウンするということが起こりました。

    今年につきましては、今のところ植付面積自体が増加、さらにこの害虫に対する対応策というものも徹底されて、およそ170万トンの水準まで、約30%の増産というものが予想されております。先程ちょっとお話が出ておりましたが、少なくとも棉作については今年は非常に、新たな種類の農薬をまた大量に使用しているというふうに聞いておりますので、その分では何らかのお役に立っているんじゃないかと思っております。

    ならびに、国内の綿花の値段につきましても、トレンド的には国際相場とある程度リンクしておりまして、若干実際には国際価格よりも高い水準で推移しておりますけれども、やはり同じように6月末には年初と比べて約10%のダウン。さらに、今年が豊作であることと、非常に国際価格が下落していることで、やはり中々輸出の方にも出にくいということを考慮すると、さらに年末にかけて値段的には下落していくというふうに予想しております。次お願いします。

    続きまして綿糸の方に移ります。綿糸につきましては、特にブラジルの輸出入については、輸出はわずか300トン、ほとんどゼロに等しい状況です。それに対して輸入綿糸が約11000トン、この2014年の上期に記録されております。まあこの水準はほぼ昨年の同時期と変わりません。その要因としてはこの前半の衣料品生産、繊維製品生産の数量が非常に落ち込んだということを反映していると思われます。ただ金額ベースにつきましては、おおよそ6%ほど減少しております。すなわち輸入の平均単価自体は下がってきているというのが現象として表れております。

    あと、ここにはちょっと資料が出ておりませんが、輸入先の国を見ておりますと、昨年まで増加しておりましたインド、これが今年の上期には減少。逆に目立って今増えてきているのが、よりまあ価格が安いと思われる中国、あるいはアルゼンチンからの輸入というのが今増えてきているということで報告されております。

    下期につきましては、基本的には、まあ輸出についてはほとんど大きな改善の見込みはありません。これについてはそれだけブラジルの製品の輸出競争力がないということなんですけれども。それに対して、輸入についてもやはりまだマーケット的に後半についても回復機運が薄いということ。それと国内の綿花あるいは綿糸についても非常に余剰在庫が残っているということで、おそらく輸入についても概ね前年と変わらない水準での推移に、以内に収まるというふうに予想されております。

    またブラジルの国内綿糸の市況についても、先程言いましたように、他の部会の方々も発表されておりますように、今年の前半についてはまあ非常に厳しい状況。特に生産数量が減退、販売数量も落ちるということで、各紡績メーカーが製品在庫を抱えるという状況でこの上半期を終了しております。

    先程言いましたように、原料コストについては逆に言えば上半期よりも低いコストが期待できるということと、まあブラジルの場合は特に繊維業界は年末商戦、クリスマスを中心にした年末商戦というのがやはり一番大きな販売機会ということで、これから生産が本格化していくということで、まあある程度のマーケットの好転というのは期待はしております。ただそれがどの程度、特に個人消費がどの程度戻ってくるかというのはこれから見ていかなきゃいけないところだと思っております。

    続きましてテキスタイルの分野についてですが、上期についてこれは輸入実績を出しておりますが、昨年比テキスタイルについても約10%ほど、これは重量ベースで10%、金額ベースで6%輸入が増加しております。トレンドとしてはより単価の高い天然繊維、綿あるいはウールのような天然繊維から合繊素材が増加しているというのがトレンドとなっております。ただ、ここでもやはり、数量の増加に対して金額の増加が低いということで、まあ輸入単価自体はやはり減少傾向になっております。

    国内生産につきましては、先程のように、国内経済の状況が悪い、あるいはワールドカップの影響ということで、またそれともう一つ、この上期、先ほどもありましたが電力コストが高騰したということを受けて、実際に工場の生産を落とす、あるいは止めるというような企業が、我々の業界では続出しております。まあその関係で生産数量自体については、やはりこの上期については前年に比べると相当減ったというふうに推定しております。

    続きましてアパレル、小売、それからファスナーなどの部品についてですけれども、上期の小売販売、特にアパレル品の小売販売については、昨年の年末商戦、クリスマス商戦というのが過去10年間で最低の水準からスタートしている関係で、年初からすでにもうバーゲンセールが始まってしいるというような状態で小売販売が始まってしまいました。3月ごろには次の冬物のコレクションに店頭変わりましたけれども、中々その後も期待通りには好転してこないという状況が続いております。

    特に小売について非常に問題であったのが、特に繊維製品の販売において、ブラジルにおいては先程言いました年末のクリスマス、これが一番のプレゼント需要が発生します。その次が5月第2土曜日の母の日。さらに続いて6月12日の恋人の日、いわゆるDia dos Namoradosというこの日がまあ特別なイベントに当たるわけですけども、残念ながらこの上期にありました2日間、母の日、これにつきましてはちょうどその前後にワールドカップの抗議のデモ、あるいは地下鉄、電車などの公共機関のストが発生したために、非常にこの売上が、前年比約5%以上落ち込んだ。

    さらに6月12日の恋人の日に至ってはちょうどその日がワールドカップのオープニングの開催日、第1試合とぶつかってしまうということで、これは前年比約8%売上ベースで減少したとデータが出ております。その関係でこの上期に期待していたこの二つのイベントが、まあ残念ながらワールドカップ関係で全く不本意な状況に終わってしまうということになりました。

    分野別で見ますと、特に衣料品、ジーンズ関係につきましては、まあ昨年から好調であったカラーデニム、これについては今年シーズンが変わって冬物になっても依然順調に推移しております。また、新しい流行の流れとして、プリントデニム、これが今マーケットで動き始めており、これからさらに好調に推移するんじゃないかと期待されております。その反面、今までのクラシックなブルージーンズというのはブラジルにおいてはどんどん減少傾向になっているということです。

    婦人服部門につきましては、今消費者のニーズが多様化しており、いわゆる今までのジーンズ中心のファッションからそれ以外のファッションにどんどん移行しているということで、この部門については割りと堅調に推移しております。

    特にファスナー関係につきましても従来のいわゆる金属のファスナーから、いわゆるコンシールファスナーと呼ばれるナイロン製のファスナーというものが今どんどん順調に、そういう衣料品に使われて、出ているというふうに報告を受けております。

    あとジャケット分野については、基本的に特に重衣料、あるいは合繊素材を中心とするものについては既に完全なる完成品を輸入するという形に変わりつつあり、この部分については残念ながら国内での生産分というのが非常に少なくなっています。また、昨年の在庫というのがある程度残ったために、この部分については輸入に関してもこの上期にはさほど数量的には入ってきていないということになっております。

    あと、2月の時にも報告いたしましたが、昨年は特にユニフォーム、政府、あるいは企業向けのユニフォーム製品というのが順調に出ておりましたが、これについては今年に入って非常に苦戦をしているというふうに聞いております。

    上半期の縫製品の全体の輸入、ここにありますように、全体として約9%増加しております。金額については7%ということで、やはり先程のテキスタイル、あるいは糸の状況と同じようにやはり全体的に平均単価というのは下がってきているということがここでもうかがえます。

    この上半期の輸入相手国を見てみますと、基本的にはやはり従来からこの下の青い部分に出ておりますのが、これ中国なんですけれども、実際中国とそれ以外の部分を黄色で示してあります。まあやはり中国からの輸入というのが全体の6割以上を占めているという状況の中で、ただこの上期については中国から輸入する部分の増加率というのが若干下降している。増えてはいますけれどそのペースは落ちてきていると。

    それに対してちょっと目立つのが、まだ数量的には少ないものの、東南アジアからではベトナム、これが前期比34%増。インドネシア、これが48%増。さらに南米地域では、まあ労務費が安いと言われているパラグアイあたりから輸入されているものが約25%増となっております。こういう地域の輸入がまあ伸びているということが一つの特徴となっております。次お願いします。

    これは中国からのファスナー輸入についての統計ですけれども、同じく同時期の中国からのファスナー輸入というのは、逆に今年の上期については前年同期比若干減少しております。パーセンテージにして約11%の減少です。

    この要因としては先程言いましたように今年の前半の衣料品の生産数量が低調に終わったということで、それまでの輸入品というのがそのまま滞留した形で在庫になって残ってしまっている。そのために新規の輸入の数量がまあ減ったというふうに予想されております。この部分につきましても、この衣料品全般についても、やはりこの下期の見通しというのは決してよくない、逆に言えばマーケット自体は中々回復が難しいものというふうに見込んでおります。次お願いします。

    簡単に今までの部分を、繊維業界の状況をまとめますと、やはりブラジルの繊維メーカー、これは紡績あるいはその先のテキスタイル、あるいは縫製品の業界を含めてですね、特に需要の低迷による生産の減少、販売の減少というものに直面しております。

    先程から資料にも出ていますように、残念ながら販売が低迷している非常に弱い環境の悪い中でも、輸入品については基本的には順調にその数量は増えてきている。ということはすなわち、国内のメーカーの生産をそれだけ阻害しているという状況になっています。
    この2014年の上期につきましては、ワールドカップという特別な要因もございましたけれども、ただ実際にはそれ以外にも基本的にはいわゆるブラジル国内の生産がですね、輸入品に対して競争力を持っていない、価格競争力がないということがやっぱり一番大きな原因となっています。

    ただブラジルについては皆様ご存知のように2億人の人口を今現在も抱え、その2億人の人口が消費するマーケットが我々の目の前に実際に存在する。その中で中々国内のメーカーがそのマーケットを死守できないというところに非常にまあ問題があるということです。

    特に今の現状を変えていくためにはですね、やはり、まあ既に他の部会の方々からもご報告があるように、このブラジルコストを少しでも是正していくことで国内産業、国内メーカーの価格競争力、少なくとも輸入品に対してもう少し、対等な土俵とまではいかなくても、それに近いところで勝負ができる、そういう環境が必要不可欠となっております。

    その内容としては色々な、課税負担、あるいは従業員を抱えるに当たって色々なことで出てくる労務コスト、それに不安定な電力コスト、エネルギーコストなども含まれておりますが、とにかくこの下期の見通しとしましては、先ほどからも言いましたように、基本的に国内経済の回復が残念ながら見込めない。さらにこの10月に行われる大統領選挙の影響というのが非常に懸念されているということで、特に国内市場のお客さんについてもその見通しがある程度はっきりするまでやはり買い付けを控える、抑制するというような形でどうも進みそうな予想です。

    まあそういう意味では、残念ながらこの下期については大きな期待はできないという中で、この下期を何とかしのぎきってですね、これからの、来年以降の繊維産業の回復につなげていくためにですね、やはりなんとしてでもこの環境を変えていく。

    さらにもう一つの方策としては、この輸入製品とのバッティングを避け、新たな別の、いわゆるブラジル国内でしか生産ができないもの、あるいは輸入品と競合しないものづくり、製品を展開する方向を探っていくことでですね、逆に輸入品とのすみわけをこれから進めていくということも必要になってくると考えております。

    基本的には毎年わが繊維部会というのは、皆様他の部会の方々が非常に状況が良い時についても中々厳しい状況が続いております。今回については、逆に、人の不幸を喜ぶわけではありませんが、他の業界の方々も非常に厳しい環境におかれているということで、正直少し、我々としては今までのようなあまり肩身の狭い思いをせずに済んでおります。

    最後に今回の副題についてですけれども、繊維部会といたしましては、すでに色んな部会の方々がもう報告されておりますけれども、色んな課題のある中でやはり、部会の中で相談、色々まあ意見を聞いた中で、一番重要視されておりますのがやはり労働問題となっております。

    特に、近年、我々の場合、一般の工場労働者からまあある一定のスキルを必要とする人材に至るまでですね、非常に人材の確保が困難になっている。この状況の中で、やはり企業が、あるいは工場が必要な労働力が十分に供給される状況、さらにそれに対して不必要なコストが発生しない、あるいはそれを、今あるコストを低減していけるような環境というのが必要になると考えております。

    さらにもう一つ、さらにハイレベルなスキルを必要とするような人材を育成するための、まあ教育制度、あるいはその設備というのを今後拡充していく、そういうことを進めてもらうということがやはり我々としては重要なことだというふうに、この2点の改善を今回の繊維部会からの一つの提案としたいと思っております。

    簡単ですが、繊維部会からの発表をこれで終わらせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。

    司会
    横山部会長ありがとうございました。時間が押しておりますのでそのまま次に行きます。次は建設不動産部会ですが、急きょ三上部会長が急用で欠席になられましたので、部会長の代理として奥地さんの方からよろしくお願いいたします。

  • 繊建設不動産部会 奥地正敏部会長代理

    建設不動産部会 奥地正敏部会長代理

    Pdf建設不動産部会 奥地正敏部会長代理

    はじめまして。戸田建設の奥地と申します。本来なら弊社の三上の方がですね、発表する予定だったんですけども、ちょっと急用になりまして、申し訳ございません。私の方で代行させていただきます。

    今日の朝、資料を渡されまして、お前これやっとけと言われましてですね、まああの、行き当たりばったりの会社なものですから、ちょっと困ったんですけども。私も8月の最初に来たばっかりでブラジルに関しては本当にど素人ですので、まあお聞き苦しい点多々あるかと思いますけども、よろしくお願いいたします。それでは報告の方に移らせていただきます。

    内容としましてはこのようにですね、まず部会メンバーの動向とですね、2番目として不動産市況の動向ですね。そして建設業界の動向。そして4番目に都市化と電力事情ということで、最後にまとめさせていただきます。それではお願いします。

    まずこの部会のメンバーですね、我々の部会メンバーにアンケートを取りました市況状況、このアンケートの結果ということでございます。

    まずは建設業界ということですけども、昨年に比べてやや下振れをしていると。新規の日系の企業の進出が減少しているというようなことがございます。今年の展望としましては、昨年同様の受注を確保できるかということになっているということでございます。
    次に不動産業界ということですけども、これは日系企業の増加による取扱量、まあ増加が継続をしているということでございます。賃貸物件のですね、相場が高止まりをしている状況ということでございますね。まあ引き続き今後も堅調に推移していくであろうというような予想でございます。

    次に特殊技術、これは設備とか環境技術というような会社さんでございますけども、まあ引き続き堅調な推移をしていると。まあ人手不足の傾向であるということで、今後も好調を維持するであろうというようなことでございます。

    最後にプラント設計ということで、実施計画の時期ズレ等によって現状は減ということになってますが、まあ今後の展望としては昨年同様以上のですね、受注を見込めるというようなことでございます。まあ我々の建設以外の部会メンバーの方はですね、まあかなり明るい展望を持たれているというような結果になっております。それでは次お願いします。

    これはサンパウロの近郊の工場用地の地価の動きということでございます。左側がメーター、平米単位、これレアルの単位で平米の単価ということで、右側がですね、9ヶ月の値上がり率ということでございます。まあ今年まで、半年前までですね、非常に値上がりをしていまして、地価ですね、まあ3年で2倍程度の上昇があったということでございますけども、今回はですね、調査の結果は、これまで比較的値上がり率の少なった地域ですね、これはサルトとかイトゥー、ソロカバですね、この辺の周辺に土地を求めるお客さんが多くなったということで、地価が上がってきたというような傾向が見られます。今後はサンパウロから100キロを超えました、このリメイラとかです。この辺の地域がまあ値上がって行くんだろうというふうに考えられているということでございます。次お願いします。

    これは不動産の方のですね、まず分譲マンションの販売状況ということでございます。これはサンパウロ市内の分譲マンションということでございますけども、まあ顕著なのはですね、この45平米以下の小さな案件の成約がですね、これが非常に激減していると、今年になってということでございますね。

    これは不動産不況ということではなくて、この右側の資料を見てもらいますとですね、より高級な広いマンションの方にですね、市況が移っていると、志向が移っているということかと思います。サンパウロ市の近郊の都市や、カンピーナスなどの都市のマンションの建設はラッシュに近い状況になっております。分譲マンションとしてはこういう状況ということでございます。それでは次をお願いします。

    これは、今度は賃貸マンションですね。賃貸マンションの賃料と物価の推移ということでございます。サンパウロの家賃の上昇率を示したのがこの左の図ですね。昨年度から上昇率が鈍ってきている状況ということになります。この中で、サンパウロ以外で、リオですね。まあリオの方の値上がりというのは非常にまだ続いているということで、まあ物価上昇率以上のですね、上昇をしているということが見受けられるということですね。次をお願いします。

    これは各都市のマンションの賃料の比較ということで、まあサンパウロがどれぐらいの位置にあるとかということですけども、まあかなりサンパウロの家賃上がっているということ皆さんご存知だと思いますけども、まあニューヨーク並みだということを言われていたんですけど、ちょっと落ち着きまして、まあ香港並みになったということでございますね。

    私も先週、8月になってからマンション探してましてですね、まあかなり非常に高いということで、探すの苦労したんですけども、私この前に神戸に単身赴任してまして、そこで賃貸マンションに入ったんですけども、まあ日本と比べてもサンパウロの家賃というのはやっぱり3割から4割高いなというような実感をしております。それでは次お願いします。
    これは建設業界の動向ということで、建設の物価指数ですね、これを表したものです。これは消費者物価指数と比べてですね、プラス1.5から2%でここ5年は推移しているということになります。まあ生産性の向上による付加価値がこの数字を代表しているということではないということかと思います。次お願いします。

    これは建設資材の価格の動向ということで、特に顕著なのは手間賃ですね、労働者の賃金ということで、まあここ5年間非常に激しい値上がりが続いているということです。建設材料の鉄骨とかセメントが落ち着いているのに比べて非常に労働者の賃金だけが上がっていると。まあこれは、労働者賃金というのは、税金ですね、税金がまた100%ぐらいかかるということで、非常に、建設資材にとってはですね、非常にネックになっているということかと思います。それじゃあ次お願いします。

    次に電力事情ということで見てみます。ブラジルの年間の発電量というのは大体550TWhということで、日本の大体60%程度ということでございます。ご覧の通りブラジルの電力消費はですね、まあサンパウロ、リオ等南東部が全体の半分を占めているということですね。そして南部のパラナ、リオ・グランデ・ド・スールを入れるとですね、まあ全体の70%が南部と南東部で消費をされているということで、かなり偏った電力消費になっているということでございます。次をお願いします。

    これは各国のですね、一人当たりのGDPと電力消費量を表したグラフでございます。これは、まあ一番高いのはアメリカですね。GDPも電力も高いということで、次のグループが日本、韓国、あるいはヨーロッパ系ということになるんですけども、まあブラジルの場合はですね、このようにあと10年間でですね、このようなGDPと電力消費、これはまあ上昇するであろうというふうな予測でございます。それでは次をお願いします。

    これは電力のですね、割合を示したものですね。このように、見ますとですね、これ私も驚いた数字なんですけども、全体の75%が水力発電でまかなわれているということですね。その他バイオマス等の再生可能エネルギーを入れるとですね、まあ全体の84.5%が再生可能エネルギーでまかなっているということでございます。世界的な傾向としましてはこの右上のようにですね、枯渇性エネルギー、いわゆる石油等での発電が90%を超えているということを考えればですね、ブラジルというのは非常にエコな国だなというふうに思いますね。それでは次お願いします。

    これは都市人口の増加と電力消費の予測ということですけども、都市人口ですね、最初のころはですね、まあ都市と農村部半分半分ということだったんですけども、まあ当然都市人口が増加をしているという傾向があります。それに従ってですね、電力消費が毎年5%ずつ増加しているというような状況です。

    右の図にありますように、2030年までにはですね、このような上昇率をたどるということで、電力消費が高まるにつれてですね、まあ今後日本のようにですね、省エネあるいはスマート化のですね、重要度が非常に高まってくるんであろうというふうに考えられます。それでは次お願いします。

    最後にまとめでございます。地価に関しましてはですね、サンパウロ周辺での土地価格高騰の勢いは弱まっているということですけども、まあまあ横ばいであろうということです。まあバブルの崩壊もなくてですね、まあ適当なところにソフトランディングできるような地価になっているんじゃないかというふうに考えられます。

    もう一つは建設の価格ですけども、これは主に労働者賃金の上昇によってですね、物価のインフレ率を上回るレベルで上昇を続けているということですね。これがブラジルに投資を呼び込む上ではですね、建設工事費の価格競争力を高めるような施策、税制改革が必要なんじゃないかというようなことでございます。

    最後に、都市化に伴う電力需要の増大ということでございますけども、これに関しては先程も申しましたように、省エネ化やエネルギーネットワーク整備等の日本の最新技術、これの導入の提案がですね、これから有効になって来るんであろうということと、まあ建築の許認可や技術指導のエンジニア就業の許可手続きの簡易化ですね、これがまあ必要になって来るんじゃないかというふうに考えているということでございます。

    以上で建設不動産部会の報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会
    奥地さんありがとうございました。来られたばかりの奥地さんに何か質問のある方いらっしゃれば、酷かとは思いますが、よろしいですか。では続きまして、最後になりますけど食品部会、西井部会長の方からお願いいたします。

  • 食品部会 西井孝明部会長

    食品部会 西井孝明部会長

    Pdf食品部会 西井孝明部会長

    皆さんお疲れ様です。最後になりましたので、もうしばらくお付き合いいただけたらと思います。8月から食品部会長を承っております味の素の西井です。よろしくお願いします。

    最後ということなので、上期の回顧のところについては相当これまでの皆さんのところとオーバーラップするところがあるので、ポイントだけ飛ばしていきたいと思います。こういう内容でお話をしたいと思います。次お願いします。

    上期の業界動向でさっきワールドカップの話が縷々出ておりますけれども、まあ一言で言うと食品部会の方はですね、大変期待していたと。各社色々特別なパッケージだとか色んな商品を用意して準備したんだけれども、かなりの部分残念な結果に終わってしまったということであります。

    これはまあ、スーパーが閉まっていたとか、それからお客さんがどんどん家に帰っちゃって、ビールとスナック、ポテトチップスしか食べなかったとか、レストランに行ってもバタタ・フリッタしか食べなかったとか、まあそんなことが影響しているんだろうというふうに思いますが。

    ポイントはですね、実はこのワールドカップというのはまあ空振りだったということには違いないんですが、この3番目の・に書いたですね、やっぱりインフレの影響を受けてこれを価格転嫁を食品業界も3月以降して参りましたけれども、かなりやっぱり今ちょっと踊り場に来ている傾向があるなというのが一般的な感じであります。

    当然その、ミドル層が増えてきて、消費マインドが旺盛で、非常に元気がある業界であることは間違いないんですが、この上期についてはちょっとやっぱり踊り場という感じが見えてきているということでありますが。

    一方で一番下のところの、ここが大事かなと思うんですけども、部会のメンバーの皆さんのお話の中でもですね、お酒でもやっぱり輸入酒類は良かったよと。それから日本食ブームに乗っかって、レストランが非常に日本食のメニューが増えてきているので、こういったところはチャンスがあって実際に業績も良かったよとか。それから商品によってはですね、健康価値の高いカテゴリーについては引き続き二桁以上大きく伸ばしているというようなことがあってですね、やっぱり総論で停滞感があっても、ブラジルのお客さんがよりいいものとか、より自分たちの生活レベルに合わしたものを欲しがっているなというのは間違いなくあるだろうということを考えております。次お願いします。

    ここからはそれぞれの部会ごとのポイントですけれども、今ほど言いましたようなことが入っているんですが、ビールはワールドカップで良かったと。ローカルスピリッツは減退してきています。でも一方輸入ウィスキーとスピリッツは二桁伸長を続けている。こんなことですよね。次お願いします。

    それから飲料についても、我々大きなコカコーラさんとかいませんのでちょっと分かりませんけれども、例えばヤクルトさんのような主要な発酵乳飲料、それから果汁飲料は非常に大きくマーケットを伸ばしていると。それから粉末ジュースの市場はですね、これはおそらくコモディティの方だと思うんです。安い飲料の方で、家に帰ってポテトチップスと一緒に飲んじゃったということで、我々も大変恩恵に被りましたけども、好調でございました。

    それからコーヒーは、まあトピックスは下のところですね。原料の高騰、これはちょっと後ほど触れますけれども、非常に極端に上がりましたので、これを値段に転嫁する動きをまあやらざるを得なかったということでですね、小売段階との非常にバトルがあって、買い控えが発生したと。まあこんなことです。次お願いします。

    手前みその調味料ですけども、市場全体は低調でありました。一方でですね、懸念されておりました、日本の食品メーカーさんが工場はまだ持っていないけれども例えば醤油を入れようとか、こういう調味料を入れて行こうということで出てきておられるんですけども、去年まではですね、為替の影響があったせいかもわかりませんが、並行輸入製品の価格が非常に安くて、正規代理店で入れている我々の商品よりも安いと、しかも通関が早く切れるということでですね、これは非常に何とかしてくれないかという要望を部会としても出させていただいたかと思うんですけども、これについてはですね、やっぱり為替の影響、それから規制が徹底してきたこともあってですね、落ち着いてきているということで、ビジネスチャンスが出てきているというようなことであります。

    それからラーメンについては、非常にこの国で大きなマーケットになっていますけど、させていただいていますけれども、小麦の原料の高止まりというのがですね、大きくコストに影響しております。次お願いします。

    今まではブラジル国内の食の話でしたが、輸出関係ということで、先程話にもありましたように、貿易部会の方から話もありましたように、かなり為替等色んな影響を受けますが、コーヒーについてはですね、ブラジルが実は世界の40%のコーヒーの産地でありまして、ここのちょっとした産地の動向がですね、国際相場に大きく影響するというのが、典型的な動きが今年の上半期に出ました。後ほど触れます。次お願いします。

    それから、食品なんですけど、食周辺のエスペシャリティーな商品群ということで、これも調子がいいよということで、ご紹介したいんですけども、ブラジルの皆さんものすごいチョコレート食べますよね。チョコレート大好きで消費量も多いんですけども、実は原料のココアバターというのが大高騰しています。もちろんこういう、天然物なんで、天候によってものすごく振れるのはいつもこれまであったんですけど、基本的にこういうチョコレートというのは世界中で伸びているんですよね。経済が成長してくるとみんな肉を食べに行っておいしくものを食べて行くのと同じように、お菓子もおいしいものを食べるんですよね。したがってココアバターが高騰しているというのは原料の影響だけじゃないんです。

    ところが日本の大きな、とある食油メーカーさんは、品質の高いこの、代用油というんですかね、ココアバターを使わなくても、大豆から加工して、原料は安価なんだけども付加価値の高い油をこの国で販売をされていて、これに大手のチョコレートメーカーがどんどんと置き換えていってくれていて、ものすごく需要が伸びている、こういうふうなことがあります。やはり日本の食品メーカーの裾野は広いですので、こういったいわゆる食品素材の高品質なものっていうものについても、この国ではまだまだチャンスがあるんじゃないのかなというふうに思います。

    それからその下の部分ですけども、実は食品のカテゴリーに入りますが、食品向けの香料、あるいは香粧品向け、先程化粧品ってありましたけど、ここの香料についてもですね、非常に日本のメーカーさん今がんばっておられます。

    ここについて言うと、特徴的な報告がありました。マルチナショナルに展開していらっしゃる、いわゆる世界的に有名なブランドを持っていらっしゃる香粧品については、非常にお客さんが元気だった。ところがブラジルローカルの化粧品メーカーさんについては、そうでもなかった。ちょっと需要が落ち込んじゃったというふうなことであります。

    ここでもですね、やっぱりトータルで見るとそこそこの伸びなんですけれども、ものすごく伸びている顧客とそれから、そうでもない顧客、ものすごく伸びているブランドとそうでもないブランドというのが、まあ混在しているということだと思うんです。従って、やっぱり食だけじゃなくて香粧品のところでもブラジルのお客さんはよりいいもの、より付加価値の高いもの、より美しくなりたいという要望に対して応えてくれる商品についてやっぱりDemandがあるなというふうに見えます。次お願いします。

    これは種の話であります。ご承知の大手の種苗メーカーさんが日本から来ておられますけども、情報をいただきましたが、やはり大変な農産国でありまして、農薬の需要も大きい、それから肥料の需要も大きい、おそらくフランスとここがものすごくそういう面では大きなマーケットになっているんだろうと思うんですが、そういった中でやはり日本の大手の種苗メーカーさんが持っていらっしゃる高い技術力に裏付けられたF1 Hybridのですね、いわゆる害虫だとか病害虫に強い品種ということだと思うんですね。こういったところをですね、積極的に使っていこうという農家さんが増えてきているというふうなことが報告をされています。

    従って、コモディティに目を向けるんじゃなくてですね、その大きなマーケットの中のスペシャリティーの領域に目を向けて行くことによって、我々の業界についてはまだチャンスがあるのかなというふうに回顧しております。次お願いします。

    トピックスですけども、今年の4月にニッポンハムさんのブラジル法人、NHフーズさんがサンパウロ事務所をオープンされまして、日本を代表する大きな食品メーカーがこの国でですね、ドメスティックなビジネスをやるためにビジネスを立ち上げるという、再度立ち上げるということですので期待していただければと思います。それから「すき家」さんも新しいお店が出ました。牛丼文化が浸透しつつあるというふうにおっしゃっていますので、ぜひご愛顧お願いいたします。次お願いします。

    原料の動向ですけれども、砂糖は今安定しています。先程来出た通りです。次お願いします。

    乳相場なんですけれど、これは食品の原料として非常に大きなインパクトを持っている原料でありますが、ここのところですね、いわゆるオセアニアを中心とする不足が発生したり、新興国を中心に需要がものすごく伸びたりして、価格が非常に高く上がってきておりまして、我々苦しめられておりましたけれども、このところですね、ようやく2014年に入って供給量の増大策が効いてきて、安定してきております。この領域についてはこのコストの安定とともに色んなことがまたできるようになるんじゃないのかなというふうに考えております。次お願いします。

    コーヒー豆です。一番下のところに、横軸のところに1年ごとの時期を書いています。一番右側の2014年1月1日からですけど、ニューヨーク相場とブラジル国内の生産者価格の相場を書かせていただいていますけど、6ヶ月間でですね、あれだけ値上がりをしております。実際にブラジルの産地がアラビカ種で受けた生産量の減量というのはほぼ10%ぐらいというふうに言われていますけど、その原料が少なくなったというようなことだけではなくて、相場で動きますので、こういう動きになっていて、ここについてはブラジル国内でインスタントコーヒーのビジネスをやる部分にも、それからExportで日本やそれ以外の国々に持っていく部分についてもですね、この後、この下半期のところもちょっとセンシティブな動きを注視していく必要があるのかなというふうに思います。次お願いします。

    原料のところのコメントのところでですね、これは飛ばして下さい、すいません。
    ブラジル国内の要因で、先程電気の話がありましたけども、3番目のところに書きましたけども、いわゆる水不足に由来しているんですが、エネルギーコストの高騰ということでですね、特にサンパウロ州を中心として電気のスポット価格がですね、急騰してきております。

    我々の食品メーカーの中で色々聞きますと、大手の工場で1年間、いわゆる年間単位で電気料金を契約していらっしゃるところの話を聞くと、大体ですね、メガワット当たり100~110、110~120、まあそのぐらいのところで大体1年間分の電力を契約されている方が多いと思うんですけども、今このスポット価格はですね、4月にピークを付けたのは800です。8倍。

    でこれ月別に見ますとものすごく動きます。大手は先程言いましたように1年間分の契約みたいなことを先物、先々で、例えば来年の契約を今頃やるとか、16年を抑えに入るとか、こういったことができますけども、やっぱり食品会社というのは大手ばっかりじゃありませんし、工場の規模もそんなに大きくない、価格も上限が決まっているということの中で言うとですね、インフラの中で電気の料金がこんなに上下する国っていうのは、ちょっと製造業、我々のような、ライト産業とは言え製造業にとってどういうインフラなのかなと。ぜひですね、日本にあるようなコジェネの機械をですね、安くブラジルに入れていただいてですね、工場の中で発電できるような、簡単に発電できるような機械をぜひ日本のメーカーさんが頑張って入れていただけると食品業界もですね、頑張れるんじゃないかなと思います。次お願いします。

    14年の下期の展望でありますけれども、先程来触れましたことは別にしましてですね、やはりですね、1番目のポイントです。消費マインドの低調さっていうのがしばらく継続するんじゃないかなというふうに思います。ワールドカップが空振りに終わった背景にはですね、やっぱり、いわゆる手前のところでお祭り騒ぎにできなかったというところがやっぱりあるんだと思うんですね。そういう部分があって裾野が広がらなかったということがあるんじゃないかと。この部分にはやっぱりインフレがじわじわ効いてきてて、お客さんの気持ちが冷えてきているというのがあるんじゃないかなと思っていまして、ここはちょっとやっぱり甘く見てはいけないかなというふうに思っております。あとはデモです。次お願いします。

    食品部会の方でですね、色々議論をさせていただきましたけれども、まあビジネス環境改善ということで先程来色々ご指摘がある、例えば税の問題、労務問題、色んな事についてはその通りでありますけども、まあポジティブにとらえればですね、来年日伯国交樹立120周年、その次にはリオ五輪があるということでですね、やっぱり裾野が広い日本の食文化をもつ食品会社がですね、より一層この国に進出しやすい環境整備にですね、部会としても尽力していきたいなというふうに考えております。

    当然一人じゃできませんし、8月の初めのですね、安倍総理のご来訪の際にもですね、大使館、総領事はじめですね、大変なチャンスを作っていただきまして、食品関係でいいますといわゆる食と医療の関係の分野の別のセミナー、それからスポーツ業界団体との接点を食とのつながりでもって考えるというような切り口で場を作っていただいたり。こういうエポックなことが起きる時にですね、やっぱり、クールジャパンじゃないですけども、日本の食の良さみたいなもの、新しさみたいなものですね、そんなことをですね、もうちょっとPRしていくことによって、ブラジルと良い関係になりながらビジネスチャンスを広げるということができるんじゃないのかなというふうに思っております。

    そういうふうなポジティブなことをしながら、2番目のですね、インフレ懸念が高まっておりますので、ここはやっぱり生産性を高めるということについてですね、やっぱりコスト競争力のある食品産業を実現するっていうふうな形の、地味ではありますけども大事な働きかけをしないと、これから増えるお客様のDemandについて応えられるような国内産業として食品産業がなっていくことができなくなるというふうに考えておりまして、このあたりをメインテーマにやっていきたいと思います。以上です。ありがとうございました。

    司会
    西井部会長ありがとうございました。多少は時間がありますが、何かご質問等ございますでしょうか。よろしいですか。はい。それではですね、以上を持ちまして各部会からの報告は終了となります。では続きまして福嶌在サンパウロ日本国総領事・ブラジル日本商工会議所名誉顧問に本日のご講評をいただきたいと思います。福嶌総領事よろしくお願いいたします。

  • 講評 福嶌教輝 在サンパウロ日本国総領事/ブラジル日本商工会議所名誉顧問

    講評 福嶌総領事

    皆さん長い間お疲れ様です。いつも私このシンポジウムに出させていただきまして、非常に素晴らしい発表で、日本政府の我々も非常に勉強させていただいている次第です。講評というのは本当におこがましいので、いずれにしましても11部会の発表を聞かせていただいて、今非常に厳しいと。

    ここ1、2年、あるいは数年ですね、厳しいけれどもしばらくすればまた安定した成長に戻るんではないかという期待を持ってですね、先程関根部会長も言われた通り、Ânimoということでですね、ぜひ頑張っていただきたい。そのためにもですね、日本政府としてもですね、今日いくつかの提言がありましたし、あるいは賢人会議でもここの提案がありましたけれども、こういった点をしっかりとですね、ブラジル側に伝えて行くということ。そしてまた、後でちょっと触れますけれども、日本政府としてもぜひ民間企業の皆様をですね、ご支援することをですね、さらに力強くやりたいということを講評に代えさせていただきながら、2点ほどちょっと触れさせていただきたいと思います。

    まず一つ目は、先程から話題になっておりましたけども、安倍総理の訪問に際しましては商工会議所、そしてここにおられる皆様に多大なるご支援をいただきご協力いただきましてありがとうございました。特にブラジリアでの日程、あるいはリオでも賢人会議ございましたし、そして、まあ私にとっては特にサンパウロでの経済セミナーですとか、あとSport for Tomorrowというところで食文化、その後食文化のイベント等ですね、いくつもの行事で皆様の非常なご協力をいただいたわけですけれども、先程友納部会長からもですね、中々日本ではブラジルのことに対する期待度が低いというお話がありましたけれども、実は私どももですね、外務省あるいは色んな関係省庁にもですね、ブラジル大事なんだと、そして今回の訪問に当たってもですね、色んなことを言っても中々ですね、東京の方もですね、んーそうなのかな、どうなのかなと。例えばもっとざっくばらんに言えば、簡単に、ロジですね、色んな動きについても、そんなことできるのかと、きっと色んな問題あるんじゃないかということで、まあ実は空港で車列事故がございましたけれども、ああいう事故はあったもののですね、全体にロジは非常にうまくいってですね、ああブラジルというのはちゃんとした国なんだなという認識を持った次第です。

    で、来た方々、色んな方に私接しました。特に総理ともですね、一緒に車、横に乗らせていただいて、ずいぶんの時間お話させていただいたり、昼食、夕食会もですね、前の方に座って総理にお話しながらですね、総理ご自身もですね、まあ29年前ブラジルに来られたわけですけれども、ブラジルについて改めてですね、ああすごいなというご認識を非常に持たれて、いくつも私の方にも質問されてですね、非常にブラジルに対する認識を新たにされたということで、逆に今ですね、私ども総領事館、それから大使館もですね、非常に忙しくなって、非常にそれはいいことだと思います。

    なぜならですね、日本に帰ってですね、外務省だけでなく官邸の方からですね、こういうことを調べろ、こういうことをやれ、こういうことはできないかということが、実は今一杯ですね、訓令という形で来ておりましてですね、これは非常にいいことだと思います。

    そういう意味でも、まあ先程友納さんおっしゃいましたけど、ぜひ、我々がやるべきはですね、この、鉄は熱いうちに打てということでですね、東京が今、ブラジルはやっぱりすごいなということを認識している時にここで我々がもっとメッセ―ジ、そしてもっと注文をつけてですね、そして動くということを皆様商工会議所と一緒にやることが大事だと思っていますので、よろしくお願いいたします。

    2点目は先程藤井会頭から選挙について総領事館、大使館から何かということなんですが、まあ私からですね、申すよりも、もう本当に皆さん非常にしっかり分析されておられるので、繰り返すこともないかと思います。

    先程の発表の中でいくつかお話があった通りで、やはり今回のカンポス大統領候補の事故死によってですね、一旦見通し等は白紙に戻って、今まさにマリーナ・シルバがですね、どういう形で票を伸ばしてくるか、これ一つにかかっていると思います。まあいずれにしましても今10月5日の選挙がですね、決選投票になる可能性は非常に高まったし、まあ決選投票になった場合、アエシオ・ネーベスの方がですね、もし残ればですね、まあシルバの方の票のいくつかがですね、ジルマの方に流れる形になって、まあジルマ大統領の方優勢というのはかなり確実なのかなと。

    他方で、もしですね、マリーナ・シルバの方が残ればですね、これはアエシオ・ネーベスの方の票がずっとシルバの方に流れてきますので、かなりの確率でマリーナ・シルバが勝つというようなことも言われていますが、いずれにしてもまだ1ヶ月半ございますので、様子は分かりません。

    他方で先程来やっぱりマリーナ・シルバに対する非常な、まあ良く分からない人と。私も色んなブラジルの方に聞いてもですね、彼女はとってもちょっと不思議な方だという表現ですね。ですから皆さんそういう意味でも不安ですし、かつ彼女自身環境問題とか森林とかそういう組合に関係していてですね、非常に、関心事項が一つ偏っているというふうにも聞いていますが、他方で藤井会頭ほかおっしゃったようにですね、非常なブレインがついていて、我々商工会議所がFIESPとも非常に仲良くしていましたが、FIESPの国際貿易部長だったジアネッチという方のお兄さんもですね、彼女のブレインで今しっかりついていてですね、その方にもお話聞いたんですけれども、いやいやもう全然大丈夫と、彼女は非常に企業とか経済界に対してしっかりとサポートする政権になるということを言っておられましたけれども。

    彼女が勝つ場合はですね、アエシオ・ネーベスのPSDB側もですね、しっかりとサポートするわけですから、そういう形でですね、経済に対してもしっかりした動き、というものが出ることを我々も期待していますが、ただ、まあこれも先程来出ていますけども、このブラジルですね、しっかりとした構造改革がなければですね、短期的には大きくは変わらないのは大統領が誰になっても同じなので、我々としてもよくブラジル政府、ぜひ日本政府としてですね、何度も何度も言いながらですね、関係を作っていきながら、ブラジルがよくなることを期待しながら、皆様と一緒に協力させていただきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いしますという言葉に代えまして講評にさせていただきたいと思います。どうも、失礼いたしました。

    司会
    福嶌総領事ありがとうございました。それでは続きまして、小林和昭在ブラジル日本国大使館参事官よりコメントを頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

  • コメント 小林和昭 在ブラジル日本国大使館参事官

    コメント 小林和昭 在ブラジル日本国大使館参事官

    在ブラジル大使館で経済担当の参事官をしております小林と申します。本日は発表お疲れ様でした。非常に、福嶌総領事もおっしゃっていましたが、ブラジリアで経済から遠い身でいる私としては本当に大変に勉強になりました。ありがとうございました。

    まず一つ目として、安倍総理の訪伯に関してブラジリアでも皆様のご協力をいただいて、成功に結び付けることができたということで、感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

    ルセーフ大統領は経済人とは全く会わないというのが6月ぐらいに大使館の中で言われていた、各国大使館から情報をつかんだところの通説でした。その情報を得て、皆様経済ミッションの方をどうやってブラジル政府の方に会わせるかということで色々と頭をひねり色々とやっておりましたが、結果としてはこれは杞憂でした。

    ブラジル政府の関係者の方々は日本企業に対する信頼というのは非常に大きなものを持っている。今回総理訪伯を終わって、大使館の大使をはじめとして全員が痛感しているのは、皆様の活動がまさにブラジルに貢献していて、それはPT政権であるブラジル、現在のルセーフ政権でもかなり高い評価を受けているということが分かったということです。これが再確認できたというのは本当に大きかったです。

    さらにこの総理訪伯を終えて今ブラジル政府の関係者の方々、日本に対する反応が全く変わっております。日本からのアポイントというのが非常に入りやすくなっています。ここから年末ぐらいまではそういう状況、まあ選挙がありますからいつでもという形にはならないと思いますけど、この状況はしばらく続くと思いますので、まさに鉄は熱いうちに打てではないですけれども、今がまさに色々と働きかけるチャンスということです。この中で、今日のテーマでもありましたけども、ビジネス環境改善に向け、いま為すべき事は何か、これは大使館としても今現在勉強して検討しているところですので、皆様からの情報がありましたらぜひ教えていただければありがたいと思います。

    この総理訪伯が終わった後、ボルジェス開発商工大臣が9月に日本に訪問するということが決定しました。これ、ボルジェス大臣は以前から日本に行きたいと言っていたんですけれども、選挙の直前ということで無理だろうと言われていたんですけども、今回の安倍総理の訪伯を機に日本に行くことが完全に許可が出たということを聞いております。

    9月の9日10日で日伯経済合同委員会、9月10日11日で日伯貿易投資促進産業協力委員会、これは経済産業省と開発商工省の政策対話の場ですけど、この二つが行われて、双方にボルジェス大臣が出ることになっています。まさにここにおいてブラジルのビジネス環境整備に向け何をなすべきかというのを、どうメッセージを伝えて行くかというのは重要になってくると思いますので、今後皆様とまた情報交換をしながらここを詰めて行きたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

    ブラジリアとサンパウロは1000キロ離れておりますので、中々皆様とこうやって情報交換できる機会というのは少ないですけれども、大使館のメンバーもできるだけサンパウロに足を運びたいと思いますし、ブラジリア、実はワールドカップで一番空港がきれいになったのはブラジリアの空港じゃないかと思って、ブラジリアの空港はかなり便利になっておりますので、ぜひ皆様も政府要人にまあアポイントを取るなり、そういった色々な活動の中でブラジリアを訪問していただければと思っております。また引き続きよろしくお願いいたします。あいさつに代えさせていただきます。

    司会
    小林参事官ありがとうございました。ではこれで最後の最後締めくくりになりますけども、上野総務委員長より閉会の辞をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

  • 閉会の辞 上野秀雄 総務委員長

    上野秀雄 総務委員長

    皆様、本日は長時間ご清聴いただきましてありがとうございました。また福嶌総領事にはただ今ですね、非常に温かい励ましのこもったですね、日本政府としてもバックアップするよという、大変温かいご講評を賜りまして、誠にありがとうございました。

    また小林参事官からもですね、まさに今日伯関係強化に向けて非常にチャンスであるという非常に有益なコメントを頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。

    おかげをもちまして、無事全てのプログラムが終了しました。発表いただきました各部会長、部会の皆様、それからこのシンポにご準備にご苦労いただきました事務局の皆様はじめ、本日ご出席いただきました会員各位に主催者を代表しまして心より御礼申し上げます。

    本日の発表に使用されましたスライドはですね、既に当会議所のサイトに掲載しております。また本日の発表されました全文をですね、事務局にてテープ起こしをして、近いうちに同じく会議所のサイトにアップいたしますので、そちらもぜひご覧いただきまして、今後のお仕事に活用いただければと思います。それではこれをもちまして閉会といたします。どうも皆さん本日はありがとうございました。

 

Pdf全プレゼンテーション

 

2014年上期の業種別部会長シンポジウム

(2014年2月20日13:00~/場所:Tivoli São Paulo Mofarrej)

 

発表順序:

       

前半の司会: 上野秀雄(うえの ひでお)総務委員長

13:00~13:05

挨拶 

藤井晋介

会頭

 
         

13:05~13:40

基調講演: 第一回日伯ICTラウンドテーブルへ向けて
           高地圭輔 (たかち けいすけ) 総務省情報通信国際戦略局国際経済課長 

         

13:40~14:05

①金融部会

酒井浩一郎(さかい こういちろう)

部会長

(東京海上)

14:05~14:30

②コンサルタント部会

関根実(せきね みのる)

部会長

(個人会員)

14:30~14:55

③自動車部会 

近藤剛史(こんどう こうじ)

部会長

(トヨタ)

14:55~15:20

④機械金属部会

相原良彦(あいはら よしひこ)

部会長

(三菱重工)

15:20~15:45

⑤電気電子部会   

三浦修(みうら おさむ)

部会長

(ソニー)

xxxx  コーヒーブレイク (15分) xxxx

後半の司会: 井上徹哉(いのうえ てつや)企画戦略委員会 副委員長

16:00~16:20

⑥貿易部会 

伊吹洋二(いぶき ようじ)

部会長

(丸紅)

16:20~16:40

⑦化学品部会 

友納睦樹(とものう むつき)

部会長

(FUJIFILM)

16:40~16:55

⑧繊維部会 

上野秀雄(うえの ひでお)

部会長

(クラシキ)

16:55~17:10

⑨建設不動産部会 

三上悟(みかみ さとし)

部会長

(戸田建設)

17:10~17:25

⑩食品部会 

山口修一(やまぐち しゅういち)

部会長

(不二製油)

17:25~17:45

⑪運輸サービス部会 

森田透(もりた とおる)

部会長

(山九)

         

17:45~17:50

講評

福嶌教輝(ふくしま のりてる) 在サンパウロ日本国総領事/ブラジル日本商工会議所名誉顧問

     

17:50~17:55

コメント

小林和昭(こばやし かずあき)在ブラジル日本国大使館参事官

         

17:55~18:00

閉会の辞

上野秀雄 総務委員長

   

 

  • 司会 上野秀雄 総務委員長

    司会 上野秀雄 総務委員長

     皆さんこんにちは。本日はお忙しい中、業種別部会長シ ンポジュームにご参加をくださいまして、誠にありがとうございます。お陰様で本日は約140 名のご出席をいただいております。私は前半の司会を務めさせていただきます総務委員長の上 野でございます。よろしくお願いいたします。また後半の司会は井上・企画戦略副委員長にお 願いしております。よろしくお願いいたします。

     最初にですね、本日のご来賓を紹介させていただきます 。本日は部会発表の前に基調講演がございます。テーマは「第1回日伯ICTラウンドテーブルへ 向けて」です。ご講演をいただきます総務省情報通信国際戦略局国際経済課長の高地圭輔様を ご紹介いたします。高地様、どうぞよろしくお願いいたします。

     続きまして、本日は在サンパウロ日本国総領事、ブラジ ル日本商工会議所名誉顧問の福嶌教輝様にご出席いただいております。福嶌総領事様には部会発表 の終了後ご講評をいただく予定です。総領事様、どうぞよろしくお願いいたします。

     また、在ブラジル日本国大使館参事官の小林和昭様にも ご出席をいただいております。小林参事官にもプログラムの最後にコメントをいただく予定で す。よろしくお願いいたします。
     それではまず始めに、藤井会頭よりご挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたし ます。

  • ブラジル日本商工会議所 会頭 藤井晋介

    ブラジル日本商工会議所 会頭 藤井晋介

     どうも皆様こんにちは。商工会議所の藤井でございます 。まず始めにですね、先程ご紹介がありましたけれども、今日、お忙しい中ですね、東京から お出でいただきました高地課長、それから福嶌総領事、それから小林参事官の方にはですね、 当シンポジュームにご出席くださいまして厚く御礼を申し上げたいと思います。

     また今日は、こう眺めてみますと、ほとんど会場も一杯 に近いということでございまして、やはりこれも本シンポジュームのですね、クォリティの高 さ、それから皆さんの関心の高さということを物語っているのかなというふうに感じておりま す。

     さて、少しですね、最近のブラジルの情勢をですね、見 てみたいと思いますけれども、社会面では、皆さんご存知の通り、昨年6月から大規模なデモ が頻発いたしました。これはですね、一向に改善しない公共サービスですとか、政治腐敗に対 してですね、近年急拡大した中間所得層の不満や怒りが爆発したものだというふうに思われま す。

     この中間層というのはですね、調べてみますと、過去10 年程度でですね、何と5000万人近くも増えているんですね。そして今年にはですね、この中間 所得層の人口が、全人口の約59%を占めるに至るというふうに予想されております。

     で、今年もですね、この新中間層が中心となって、ワー ルドカップ前、また大統領選前にはですね、大規模なデモを繰り広げるという可能性もあるん じゃないかと思っております。

     政治面ではですね、その大統領選がいよいよ今年の10月 に行なわれます。今のところジルマ現職大統領が優勢というふうに報じられておりますけれど も、まあこれもですね、最後まで予断を許さないというふうに思います。ただし、まあ誰が勝 利しようといえど、我々の関心の方は新しい政府がどういった政治経済運営を展開していって くれるかということかと思います。

     経済面ではですね、昨年のGDP成長率、これはわずか 2.3%ぐらいに留まったというふうに見られておりますけれども、まあかつての高成長を支えた コモディティ輸出も減速しておりますし、その次にですね、政府が躍起となった消費主導型の 成長モデルもここに来て限界に達しているというふうに見えます。

     過去10年ですね、ブラジルの単位労働コストの推移を見 てみますと、その上昇率というのは他国に比べて突出しております。すなわちですね、賃金上 昇の一方で生産性が全く追いついていなくて、競争力が低下してしまうという、いわばですね 、中所得国の罠にですね、このブラジルというのは陥りつつあるんじゃないかというふうに私 は見ております。
     抜本的なですね、そこで構造改革の必要性というのは広く認知されていながらも、着手が遅 れているという状態かと思います。

     しかし、こういった低成長下でも、中間層の拡大によっ て消費者市場の拡大は順調に続いておりまして、今後もですね、志向が高度化、多様化、そし てより高品質の機能やサービスのニーズは増大していくのは間違いないと思います。

    まあこういった市場がですね、ここにいる我々にとっても 一つの狙い目ではないかというふうに思っております。

    このようにですね、社会不安の背景にあるとも言える中間 層の拡大、それから選挙の鍵を握る中間層の動向、消費を拡大させる中間層、そして、この国 のですね、競争力を低下させる中所得国の罠と。まあこういったことを考えていると、ブラジ ルや我々にとって今年のキーワードというのはですね、ミドルクラス、Classe Mediaではない かというふうに私は思っております。

     社会も政治も経済も、このClasse Media とどう向き合 うかによってですね、成否が決まりそうな気もいたします。まあそんなことを考えながら今日 のシンポジュームの発表をお聞きいただくというのも大変興味深いものではないかと思います 。私自身も大変楽しみにしておりますので、皆さんどうぞよろしくお願いいたします。ありが とうございました。

    司会
     藤井会頭どうもありがとうございました。それでは早速、基調講演に移らさせていただきた いと思います。皆様の関心が大変高い日伯間のICT分野における相互協力の今後の展開などに ついて総務省情報通信国際戦略局国際経済課、高地課長様にご講演をいただきます。高地様、 どうぞよろしくお願いをいたします。

  • 基調講演「第1回日伯ICTラウンドテーブルへ向けて」
    総務省情報通信国際戦略局国際経済課長 高地圭輔

    総務省情報通信国際戦略局国際経済課長 高地 圭輔

    Pdf基調講演 第一回日伯ICTラウンドテーブルへ向けて

     どうも皆さんこんにちは。ただ今ご紹介に預かりました 総務省の高地と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

     まあ、今後の日伯間の協力関係というにはですね、若干 特定分野の話になってくるわけではございますけれども、私どももブラジルという国の戦略的 な重要性に鑑みまして、今後も情報通信分野のですね、協力関係を拡大していきたいというこ とで、このタイトルにあるような第1回の日伯ICTラウンドテーブルというものを立ち上げてで すね、皆さんとご協力をさせていただきながら両国の経済的な絆を強めていきたいというふう に思っているところでございます。ではよろしいでしょうか。

     資料の方をご覧いただきますと、2ページ目に地デジの 地図がついております。この地図ですが、まあ世界にはですね、実は地上デジタル放送という のは方式が4つありまして、北米、それからヨーロッパ、中国、日本という4つの方式がござい ます。ご覧いただきますと、南米はほとんどですね、オレンジ色に塗られているわけでござい ますけども、これが日本で開発されましたISDB-Tという放送方式になります。

     一番最初にですね、南米の中でも採用を行なったのがこ こブラジルということでございます。私どもとしては、この地デジで作った協力関係をベース により幅広いICTの分野に拡大していきたいと、そういうような基本的な考え方を持っており ます。

     ブラジルがですね、一番最初に採用を行ないまして、そ の後、まあペルーをはじめとする南米の他の国々、そして現在では、アフリカにボツワナとい う国がありますけれども、こちらダイヤモンドとか石炭が出る大変な資源国なんですけれども 、日本方式を採用していると。
     さらにアジアではですね、フィリピン、それからスリランカが今日本方式の採用の検討の最 終的な段階にございます。このほか、モルディブとかですね、アジアにも採用国があると。
     それから中米を見ていただきますと、まあ小さい国ばかりですけれども、今まさにですね、 去年であればグァテマラ、それからホンジュラスが日本方式の採用を決定しております。残っ ておりますのが、エルサルバドルとかニカラグアといった国々ですけども、こういうところも 間もなく日本方式を決めるのではないかという状況になっております。

     この、私どものですね、情報通信国際戦略局の私国際経 済課というところにいるんですけれども、元々の仕事はこの地デジの日本方式の展開をすると いうことになっておりまして、ここが今回の話の出発点になっているわけでございます。

     次のページをご覧いただきますと、すみません、資料の 方は字が若干潰れているんですけども、こちらの方が見やすいかもしれないと思うんですが、 先程簡単にご説明したようにですね、地デジの日本方式の展開というものをこれまで行なって きた過程で、私ども、その採択国、まあ相手国側の政府との間ではですね、非常に強い関係が 築けてきているのではないかなというふうに思っております。

     特にブラジルであればブラジルの通信省という省庁がこ の放送分野を監督しているわけでございますけれども、こちらとは年に1回ですね、作業部会 というようなものを開きまして、まあこのデジタル放送の分野の両国の協力とか、あるいはブ ラジルの中でですね、普及拡大していくための課題であるとか、まあそういったことについて 議論を重ねてきております。

     16カ国で6.1億人ほどの人口があるわけですが、こうい う規模のですね、市場というとちょっと生々しい話になりますけれども、サイズの母集団がで すね、地デジの日本方式というものに、まあ関わっていると言いますか、見ているということ になる訳でございます。
     次のステップとしましてですね、地デジで培った協力関係を拡大していくということで、ま あ関連市場への進出というふうに書いてあります。送信システムであるとか放送コンテンツで あるとかソリューションという言葉が並んでおります。

     まず送信システムに関しましてはですね、まあ今までの 状況を見せていただきますと、日本の企業もかなりやれているのではないかなというふうに考 えております。まあ元々この南米とか中米という地域は北米の影響の強い地域でありますし、 また、まあ旧宗主国と言いますか、ヨーロッパとも非常につながりが深いということで、まあ 送信機メーカーで言いますとHarrisさんとかですね、Rohde & Schwarzさんとか、そういうよ うな企業が中心的な役割を果たしてきたわけでございますけれども、そこへ日本企業もこの地 デジの日本方式というものをきっかけに出て行っていただいているということではないかなと 思っております。

     それから放送のコンテンツの分野ですけれども、これは 中々、まあ言葉も違いますし文化も違うので難しいところがあるんですけれども、特に、この 日本方式の特徴の一つとしてデータ放送というものが可能であるということがあります。日本 では2001年の放送開始以来ですね、データ放送というものに取り組んできておりまして、色ん なノウハウの蓄積がございます。こういったものを、この南米でもですね、ある程度活かして 何か協力ができるのではないかというふうに思っているところでございます。

     また、データ放送絡み、あるいはワンセグという、これ も日本方式の最大の特徴の一つなんですけれども、携帯電話でテレビがまあ受信できるという 特徴がございますので、その特徴を例えば防災の分野に活かしていくとかですね、そういうこ とが現に日本では行なわれていると。例えば2011年の震災の際はですね、まあ電力の供給が途 切れたような地域であっても信頼度の高い情報が入手できるということがございました。

     そういう地デジの方式の特徴を活かしながら関連のソリ ューションにつなげていくということもできるのではないかなというふうに思っておるところ です。今後の展開というのが一番、右側にございますけれども、まあ地デジのその協力関係を ICT分野全体へ拡大していきたいということでございます。

     例えばでございますけれども、教育分野にICTを適用す ることで、まあ分かりやすい話としては遠隔教育みたいなものが考えられると思いますし、こ のほか、ITS、高度な交通システムにITを活用するといったことであるとか、あるいは食料品 、まあ農産物のトレーサビリティーの問題とかですね、それから地デジに関わらない防災の ICTというものへのニーズも高まっているのではないかなというふうに思っています。

     こういう社会的課題の解決にICTを活かしていくという ことについてですね、まあ私ども政府間で話をしている限り非常に、まあニーズが高いという ふうに感じておるところでございまして、地デジ日本方式を採択あるいは検討している国々と の間でですね、まあこういった地デジに限らない分野での協力関係を作っていこうというふう に今話をしているというところでございます。

     当然、そういうことをやることで相手国政府の様々な政 策的な課題というものの解決に役に立つという面もあろうかと思います。私どもこれをやって いくためにですね、色んなリソースを投入していこうというふうに思っております。一つは、 戦略的なODAの活用というふうに書かせていただいていますが、これは政府全体でもですね、 インフラ輸出という文脈で色んな議論が進んでおりますので、私どももそういう場に参加して 考えて参りたいと。

     それから、積極的なトップセールスというふうに書いて ありますけれども、まあ現政権、非常にですね、海外に出かけて日本の様々な技術であるとか 、商品サービスであるとか、そういったものを売り込むということに積極的でございます。私 どもの総務省もですね、まあ政務が非常に高い頻度で海外に出かけまして、様々な働きかけを 行なっております。そういうような活動を通じましてですね、民間の方々との協力関係をベー スに、また日本が世界に出て行こうというふうな流れを強化していきたいというように考えて おります。

     これはもう釈迦に説法以外の何物でもないと思うんです けれども、ブラジルという国に目を向けますとですね、非常に経済規模が大きいというところ がまあ大きな魅力かなと思っております。まあ最近、最近に限らないんですけれども、民間の 方々、日本から非常に近いということもありまして、またここにありますように成長余力があ るといいますか、経済の成長率を見るとASEAN諸国、平均で大体5.5%ぐらい過去8年ぐらいの間 成長を続けております。

     経済規模としては、ミャンマーはちょっと統計がないの で除いているんですが、全体で2.27兆ドルぐらいあるということです。これに対しまして、ブ ラジル1カ国でですね、一国で2.25兆ドルで、成長率も最近ちょっとマクロ経済の調子は非常 に落ちているということですが、まあ過去のトレンドを見ますとかなり高い成長率を維持して きたということがございます。

     まあこのような事情を考慮いたしまして、また私どもが 地デジの関係で培ってきた協力関係というものをベースに何か仕掛けて行きたいというふうな 思いがあるわけでございます。

     まあちょっと余談になりますけれども、真ん中にペルー 、チリ、コロンビアというのを並べていまして、こちらも非常にですね、自由主義経済といい ますか市場原理の導入に積極的ですし、また高い成長率を持っている。3カ国合わせれば相当 な経済規模があるということで、南米に関して言いますと、私ども、この3カ国もですね、ま あ準重点国といいますか、そういうふうに位置づけて取り組みを強化していきたいというふう に考えているところでございます。

     今申し上げたようなことをちょっと字で書いてございま すが、大きな方針としてはですね、日本の方式、これは地デジの日本方式ですが、これを採用 した国に対する支援というものを行ないながら、ICTでの協力拡大を模索すると。ブラジルで あれば、先程の冒頭のお話にございました通り、やはり中間層の拡大というのが一つ大きな特 徴になっております。彼らが抱える社会的課題の解決のためにICTをより活用していく余地は 非常に大きいのではないかというふうに思っております。まあこういった分野でですね、具体 的なプロジェクトといったようなものをできれば作っていきたいなと思っております。

     下の赤いところに書かせていただいてますけれども、ブ ラジルで成功事例を創出し南米諸国へ展開というような絵を描けるのかなというふうに思って おります。我々の立場からすると、地デジの日本方式の南米への展開の一つの大きな要因はで すね、やはり日本方式をまずブラジルが採用したと。で、ブラジルが採用し、両国が協力して 、それを他の国々に広げることによって、まあ今や10カ国でですね、採用が広がっていると、 そういう形が作れているというように思われる訳でございまして、まあこのようなパターンで ですね、他の国も攻められるのではないかというふうに期待をしております。

     こちらは昨年の7月に総務省の新藤総務大臣がブラジル を訪問いたしまして、ブラジルの通信省のベルナルド通信大臣との間で会談を行ないました。 その中で基本的な方向性について合意した事項を簡単に書いております。左上から見ていただ きますと、これは今ずっと申し上げているような基本的な方向性の話で、これに合意したと。 それから、ブラジルではですね、今デジタル放送に関しましては人口カバー率で50%を超えた ぐらいのところでございます。

     まあまだまだ道は長いわけでございますけれども、ただ 来年にですね、アナログの放送をまあ止めると。これはいっぺんにもちろん全部止めるわけで はなくて、段階的に停止をしていくというような線を引いておられるんですけども、来年から 具体的な取組みを始めるということで、非常に、まあこの時期ですね、日本がアナログ放送を 停止したと、そのやり方についてですね、高い関心を示されておられます。

     その下にございますのが、防災のICT、遠隔教育、医療 といったような、これも日本方式のデータ放送の機能というものを使うことでかなりのところ までの取組みは可能でありますので、まあこういったようなことも一緒にやっていきたいとい うことでございます。

     それからICTを活用した農業とかインフラ管理とか、海 洋資源探査とか、あるいは次世代の放送技術が並んでいますけれども、まあこういう先端的な IT技術に関しますその研究開発面での協力とかですね、そういったことも話題になりまして、 協力関係を強化しましょうということで合意を得ております。

     最後に、次世代の放送技術をですね、ここブラジルの大 きなスポーツイベントでありますワールドカップ、これはもう今年開催ですが、それから2年 後のオリンピックにおいて、まあ日本サイドとしてはその技術というものをデモンストレーシ ョンしたいと。ブラジル側も基本的にはそういった活動を行なっていくことに異存はないとい うことでございますし、まあ最後に日本に来てくれなんていう話も出たわけでございます。

     この会談のアウトプットをいかに具体化していくかとい うのが、本日のタイトルになっています日伯ICTラウンドテーブルというふうに位置づけてお ります。

     ちょっと細かい字で線表みたいなものが書いてあります が、上からかいつまんでご説明しますと、左上に2006年、ブラジルによる地デジの日本方式の 採用というのがございます。それから2013年の7月、これは今ご説明した大臣間の会談の話で ございます。それを踏まえましてですね、我々としては今年の、ちょっと資料の修正が追い付 いていなくて申し訳ないんですが、4月の下旬、具体的に言いますと4月の22日を候補にしてお りますけれども、日伯のICTラウンドテーブルをサンパウロで開催したいというふうに思って おります。

     これを、一つのきっかけといいますか、相互のマッチン グの場として活用しつつですね、真ん中に縦書きで書いてありますが、日伯ICT共同プロジェ クトというものが書いてございますけれども、こういうようなものも立ち上げたいと。さらに 来年度以降もですね、このラウンドテーブルを継続いたしまして、中々一回こっきりでは何か 生み出すというのは難しいと思いますし、また、一発ホームランみたいなものも望みにくいと 思いますので、少なくとも何年かはこのラウンドテーブルを継続することで、両方のその理解 を深めつつですね、新しいビジネスを生み出せるような場として行きたいというふうに我々と しては思っております。

     これは概要でございますが、ここも修正が漏れておりま すが、日程に関しましては4月の22日の火曜日を考えております。まあどういったことをテー マとして取り上げるかというのは、今回の出張でも私どもここへ来る前にブラジリアに参りま して、その前はクリチバ市の方へお伺いしたりして、色々意見交換をさせていただいたところ なんですけれども、まあそういったことを踏まえてですね、もう少し絞り込んでいきたいとい うふうに思っています。現時点で想定しているものとしては、次世代の放送技術であるとか、 あるいはブロードバンドの技術、それからセキュリティとか、まあ交通に関わる話だと思いま すがモバイルペイメント、それから地理空間情報のようなものですね、こういったようなもの も考えられるのではないかなと思っております。

     出席者として想定しておりますのが、日本側としては、 まあざくっと、総務省、それからJICAさん、JETROさん、それから民間企業さんということを 書かせていただいております。これはテーマとも当然関わってくるお話ですし、また皆様の関 心度合によっても変わってくるということだろうと思いますけども、このようなことを書かせ ていただいています。

     それからブラジル側はですね、通信省さん、それから規 制機関ですが、国家通信庁、ANATELという組織がございます。また、まあクリチバ市のような ですね、地方政府。それからテレブラスとかですね、サンパウロの工業連盟ですね、ブラジル 工業連盟というよりも。それから放送通信事業者であったり、また研究機関というような方々 の参加を想定しております。

     このラウンドテーブルをやって何を決めて行きたいかと いうことなんですが、一つは先ほど申し上げたような、プロジェクトをまあ何とか育てていき たいということがございます。これに対する支援措置というものも用意していきたいというふ うに思っております。で、このICTラウンドテーブルを定例的に開催したいというふうに思っ ております。こういったことがひとまずアウトプットになり得るのかなというふうに思ってお ります。
     で、ざくっと、このラウンドテーブルの性格というかですね、そういったものを絵にしてみ たものがこのスライドでございます。

     左上にブラジルの様々な課題を並べております。インフ ラであるとか、医療教育、セキュリティ、それからまあ色々な物流面での課題とかですね、そ ういったものが挙げられると思います。それからブラジルの、私どものカウンターパートであ る通信省さんの関心事としては、デジタル放送の関連、これはアナログをどういうふうに止め て行くかみたいなことも含めましてございます。 それからデータセンターといったような、クラウドコンピューティングとかビッグデータに関 わるような話。それから光ファイバー網、これはブロードバンドを何とか高速化したいという 話だと思いますが。あるいはラストワンマイルというようなキーワードもございましたけれど も、こういったことに関心があると。さらにセキュリティとか、あとは本当のそのソリューシ ョンの世界ですね、こういったものも関心を示されたということでございます。

     それからですね、そこへ日本企業さん、様々なバックグ ラウンドあるいはこれまでのビジネスの実績をお持ちだと思うんですけれども、そういったも のをまあぶつけてみたいというように思っております。

     私どもとしては、通信省だけではですね、これは中々具 体的なプロジェクトが組みにくい面もあるかなというふうに感じておりまして、まあ公的な性 格の強い企業さんであるとか、あるいは地方自治体であるとか、そういった方々にも参加いた だいて、意見交換をしたいというふうに思っております。

     ラウンドテーブルの、中の方に書いてあるのは先程ちょ っと申し上げたような話でございますけれども、光ファイバーの関連の話であるとか、モバイ ルペイメントとか交通網の改善の関係であるとか、データ放送機能を活用した教育分野の取組 みであるとか、まあこういったようなことが具体的な取組みといいますか、議論を深めて行く テーマの候補として考えられるのではないかなと思っております。

     できれば双方の、まあニーズと、それから供給の方をで すね、すり合わせまして、日伯の共同プロジェクトというものを作っていきたいと。さらにそ れを事業化するということまで進めて行きたいというふうに考えているところです。

     具体的にどんなものが出てくるかというのは、これは当 然これからやってみてですね、あるいはこのラウンドテーブルというものを挟んで色々な話が 行われるのではないかというふうに期待しているんですけれども、私どもとしては、これ鶏、 卵の問題もですね、そこここで見受けられるところもありますので、何かお手伝い、単に場を 用意する以上のお手伝いができるのではないかということで検討をしております。

     具体的に言いますと、一つは財政面での支援といいます か、総務省もですね、これまで地デジの展開を行なうに当たりまして採択国で実証実験という ものを行なっております。具体的には国営放送さんみたいなところに送信機を持って行きまし て、実際に電波を出して、それをさらにデータ放送みたいなことを行なってですね、活用して みると。それをきっかけに採択国の具体的な放送の開始というものが加速されると。こういう 目的の実験を重ねてきたわけでございますけれども、このICTの分野の協力を考えて行くにあ たってもですね、何かそういう種になるような支援を行ないたいということで検討しておりま す。

     ブラジルの通信省と話をしたところ、まあ彼らもあまり 大きな予算はないんだけれども、なにがしかの、具体的にはFuntelという名前をおっしゃって いましたけども、そういうファンドがあるということで、お付き合いいただけるのではないか なというふうに思っております。

     また官民連携支援ということで、これは、ここに参りま す前にJICAさんと相談をさせていただきまして、彼らにこういうPublic Private Partnership の事業を推進するためのフェーズ調査のスキームがあるということで、仮にブラジル側のです ね、例えば地方自治体というような方々が関わってくるような形でございますと、こちらの JICAさんのスキームというものも考えていくことができるのかなというふうな感触を得ている ところでございます。

     また、まあブラジル側と話すとですね、まあ何か買わさ れるだけではというようなことは特に、政府間の対話ではよく話題になるところでありまして 、技術移転であるとか人材育成の支援というものも非常に彼らとしては重要視している面でご ざいます。私どもとしても、招へいであるとか、あるいは専門家の紹介、派遣であるとか、人 材育成のプログラムといったものを開発して提供するというようなことを、まあ特に見込みが ありそうなものについては積極的に進めて行きたいというふうに思っているところでございま す。

     現時点では、今申し上げたような、枠組みしか決まって いないんですけれども、この枠組みをまず第1回のラウンドテーブルでしっかり固めながら、 ラウンドテーブルをはさんで官民が一体となって協力関係を強化していくことでですね、先に つなげていきたいなというふうに考えております。

     本日ご出席の皆様、もしご関心がありましたらですね、 ぜひこのラウンドテーブルの方にご参加いただきたいというふうに考えておりますし、また日 程とかアジェンダ、場所といったような詳細が固まりましたら、できればこの商工会議所を通 じましてまた情報提供をさせていただきまして、ご検討をいただきたいというふうに思ってお りますので、何卒どうぞよろしくお願いいたします。

     最後はまあ、4月に再びお会いしましょう、ということ で、4月22日に開催を予定しておりますので、ぜひご検討賜ればというふうに思っております 。どうもありがとうございます。

    司会  高地様どうもありがとうございました。それでは4月のまたのご来伯を心よりお待ち申し上 げております。皆様もう一度大きな拍手をお願いいたします。  さて、本日の業種別部会長シンポジュームですが、テーマは「2013年の回顧と2014年の展望 」です。副題としまして、「どうしたブラジル経済~ワールドカップと総選挙のインパクト」 を設定いたしました。各部会長ならびに部会員の皆様にはこのテーマに沿って部会懇談会を行 ない、活発な討議をされて本日の発表に備えていただいたことと思います。各部会長、部会の 皆様のご尽力とご協力に対しまして厚く御礼を申し上げます。

     本日は11の部会より発表していただきます。ほとんどの 業種を網羅していまして、ここにいながらにしてブラジルのビジネスの最前線の様子や課題が 見えて来ると思います。午後6時までの大変長い時間ですが、どうぞ最後までお聞きいただき ますようにお願いを申しあげます。

     それでは最初にプレゼンテーションをお願いいたします 。トップバッターは金融部会です。酒井部会長、よろしくお願いいたします。

  • 金融部会 酒井浩一郎 部会長

    金融部会 酒井浩一郎 部会長

    Pdf金融部会

     皆様こんにちは。金融部会、東京海上の酒井でございま す。冒頭を務めさせていただきますが何卒ひとつよろしくお願い申し上げます。

     それでは早速でございますが、金融部会の方より2013年の回顧と2014年の展望というテーマ で、マクロ経済、銀行業界、保険業界についての発表をいたします。昨年8月のシンポジュー ムでもこのような機会がございましたが、その時には2013年上期の回顧としてブラジルの変調 をお伝えしたわけでございますが、今回これからのご説明の後、やはり13年の全体の回顧、そ れから14年の展望につきましても、あまり明るい、すばらしいメッセージというのはお伝えで きないのかなというのが全体的な状況でございます。

     まず2013年のブラジル経済を簡単に総括いたしますと、このスライドでまとめてございます 。経済活動は一部セクターの工業生産が牽引したものの、個人消費が減速いたしまして、まあ 全体としては停滞気味。

     インフレは、当初、食品インフレと言うんですかね、これが続きまして、まあ終息したんで すが、その後輸入インフレ、通貨の変動によりまして輸入インフレ等もありまして高止まり。 それから金利につきましても、インフレ対策もあり、年末には10%まで引き上げられておりま す。

     また景気対策に伴う財政支出が政府財政を圧迫いたしまして、これがレアル安の進行の原因 となりました。まあ政治面でも、皆様ご存知の通り、昨年6月の全国的なデモといった不安定 要因も発生いたしまして、全体としましては2013年はブラジルにとって厳しい1年であったと 言えるのではないかと思います。

     こうした2013年のブラジル経済を、過去数年分のデータをまとめてみたものがこのスライド でございます。時間の関係で全てのところをご説明することはできませんが、いくつかの点に つきまして触れてみたいと思います。

     まずGDPの成長率でございます。先程藤井会頭からもお話ございましたが、まあまだ確定値 ではないんですけれども、前年の0.9%より改善はしたものの、2013年度の成長率は2.3%の程度 の見込みということになっておりまして、年初の見込み、すなわち3%台の成長には大きく届き ませんでした。

     そのほか、経常収支は、これは79.6USD/Biでございますが、赤字幅が拡大してございます。 またインフレの進行に伴いまして、政策目標金利であるSelicは年末までに10%まで引き上げら れるといった点などは、厳しい1年であったことを如実に数字も物語っていると言えます。

     さてここからは少々個別に見て行きたいと思います。このグラフはですね、GDPの成長率と 工業生産高の推移になっております。工業生産につきましては、政府の景気対策としての製造 業設備投資資金貸出プログラムでございますPSIや、低所得者等の住宅取得促進、IPI減税延長 等が効果を上げまして、まあ主にトラックですとか農機、自動車といったようなものが牽引を いたしました。

     全体としましては、資本財が対前年比13%と大幅に増加したのですが、その一方、消費財の 低迷をその資本財の方がカバーをしたという形になってございます。その結果、トータルとし ましては、まあ1.3%の増加と12年のマイナス成長から、ここにちょっと書いてございますが、 プラスに回帰いたしましたということでございます。

     続きましてこちらのスライド、小売売上高となっていますが、個人消費の伸び率の推移を示 してございます。ご覧いただきますと、中間層の拡大により5%ぐらいの伸びは確保できている ものの、まあ明らかに、ちょっと矢印で書かせていただきましたが、鈍化傾向にあるのが分か ります。原因としましては、一つは後ほどでも触れますが食品インフレ等の物価上昇による実 質購買能力の低下、もう一つは家計における借入比率の増大というのが挙げられると思われま す。

     このグラフは家計に占める借入比率ということで、サラリーに対する返済負担率を示してご ざいます。継続的に右肩上がりになっておりまして、13年では45.4%まで達しております。家 計に占める借入の割合が大きくなり、借入返済、金利支払いが相当家計に負担をかけている、 まあクレジットによる購入が難しくなりつつある状況が見て取れます。

     続きまして、インフレと金利政策についてでございますが、2013年上半期は食品価格の上昇 をきっかけにインフレが進行したため、ブラジル中央銀行は2013年4月にそれまでの投資消費 促進のための金利政策を転換いたしまして、利上げに転じております。

     その後食品価格の上昇に伴うインフレは鎮静化したのですが、年央には急速なレアル安によ るインフレ圧力が新たに加わりまして、ブラジル中銀としましてはSelic、すなわち金利の引 き上げを断続的に継続しまして、結局1年間で7.25%から10%まで2.75%の引き上げを行なうこと になりました。

     そして景気低迷の金利引き上げという苦渋の政策が一方功を奏しまして、まあ物価指数は、 ここには書いてございませんが、5.91%ということで、前年5.8%ぐらいなんですけども、その 並みの水準で着地をさせることができたということが言えます。

     続きましてインフレについてでございます。この内訳についてなんですが、全体を示すCPI は、消費者物価指数は5.9%程度となってございますが、一方サービス業を示すこの一番上の数 字でございますが、この紫の線でございますが、これは例年ずっと高い位置を占めてございま して、こちらはサービス業を示すものになってございます。8.7%ということで、構造的に物価 上昇圧力の大きな原因になっているということが見て取れます。

     続きましては財政でございます。工業生産、先程ご説明させていただきました、そこでも触 れさせていただきましたが、政府の景気対策、まあすなわちこれは政府金融と減税についてな んですけれども、政府金融につきましては社会経済開発銀行、BNDESと言われますが、こちら への国庫からの拠出金の増加、また減税は政府の歳入減という形で財政に悪影響を及ぼしてご ざいます。

    その結果、国の財政を示す、このプライマリー収支というものでございますが、こちらは1.9% 、ここですね、1.9%の黒字ということで、この2009年、この時はリーマンショックの年でござ いますが、それを下回る、それ並みの低い水準に留まっているということでございます。来年 はさらに、というところもここちょっと出てございますが、そういった状況でございます。

     こちらのグラフでございますが、政府債務・公的金融機関向け拠出ということで、こちらの グラフでこの色のついた部分はBNDESを含みます公的金融機関への政府からの拠出金の推移で ございます。ブラジル政府は過去数年、景気対策のためにBNDESや他の公的金融機関を通じた 拠出金の拡大、すなわち最終的には民間への貸し出し拡大を実施しており、2013年もその傾向 は続いております。

     公的金融機関を通じた貸出拡大は政府からの拠出金増大につながりますので、この赤の折れ 線グラフが示します政府の対GDP比の債務比率なんですが、これ58%ぐらいということで高止ま りをしているということが言えます。

     続きましてソブリン格付ということでございますが、政府債務の高止まりや景気低迷を受け まして、昨年の6月にS&Pがブラジルのソブリン格付のアウトルックを安定的から弱含みに下げ ております。また昨年、同じく10月にはムーディーズもアウトルックを強含みから安定的に引 き下げました。

     このソブリン格付というのは何なのかと言いますと、各国の中央銀行が発行する債券や債務 に関わる返済能力ですとか、まあ返済意思の高さを表すとされていますけれども、今回のアウ トルックの引き下げはまさしくブラジルの低成長と財政悪化を問題したためと考えられます。 格付見通しの変更から実際の変更までには通常2年程度かかると言われておりますけども、S&P によりますと、まあ財政悪化が加速する場合格付変更を前倒しする可能性もあるとのコメント もございまして、プライマリーの推移については今後も注意が必要と思われます。

     お手元の資料ある方、ちょっと前に戻らせていただきます。為替についてのご説明でござい ますが、先程、4枚ほど前のスライドに戻らせていただきますが、為替レート、これにつきま しては、まあ昨年の中からですね、一気にレアル安が進みまして、8月22日でございましたが 、一時1ドル=2.4454レアルというところまで下落しました。

     複数の要因が考えられますけども、まあ低調な貿易収支による経済収支の赤字拡大ですとか 、先程もご説明させていただきましたが、国の財政悪化に伴う格付のアウトルック引き下げ、 格付会社によるアウトルックの引き下げ、あと米国による金融緩和の縮小の決定に伴いまして 世界的な資金の流れの変化、すなわち新興国、我々新興国コモディティから先進国への回帰等 がレアル安に影響したと思われます。

     レアル安に対しまして政府、中央銀行は政策金利を上げ、市場介入をし、海外からの債券投 資に関わる金融取扱税の撤廃等によりまして抵抗しましたが、結局ですね、非公式な想定レン ジ、為替の想定レンジの上限とされております1.23レアルを超える水準までレアル安が進んだ ということが言えます。

     また戻りまして、失業率というスライドになります。こちら失業率なんですが、非常に景気 低迷で民間需要が伸びないんですけれども、まあブラジルの場合皆さんご存知の通りでござい ますが、公的セクターがこの雇用の部分は下支えしておりまして、年平均5.6%ぐらいというま あ非常に、歴史的にと言ってもいいかもしれませんが、低い水準を維持しているということが 言えます。

     今までご説明した内容、2013年についてのまとめでございますが、2012年の0.9%に比べまし てGDPは2.3%程度と改善した一方で、ここに書いてございますがレアル安に伴いましてインフ レ圧力が拡大したと。で、対抗策のために、利上げですね、政策金利を引き上げまして、それ によりまして投資が低迷をするという形になりまして、そのことによりプライマリーバランス が悪化しまして政府債務が増加。それにより格下げリスクと信用不安が拡大し、それがまたレ アル安を招くと。こういったサイクルに入っておりまして、まさしく負のサイクルにはまった 2013年と言えるのかなというのが総括でございます。

     続きまして2014年の展望を見て行きたいと思います。2014年はレアル安進行、金利引き上げ 、景気停滞継続といった負のサイクルからは結局抜け出せませんが、まあ鈍化は見られるもの の、中間層の拡大、冒頭にもちょっとございましたけども、に伴い、成長する個人消費に支え られまして、低飛行ながらもプラスの成長を続けるというふうに見てございます。

     まずGDPについてでございますが、最新のブラジル中央銀行のフォーカス、すなわちアナリ ストの予想によりますと、2014年の成長率は1.79%と、2.3%であった昨年2013年を下回る予想 となっております。また今年は2013年に資本財の消費を後押しした減税効果ははげ落ちる一方 、為替安、インフレ回避のための利上げ、それに伴う投資不足等がマイナス影響を及ぼすもの と考えております。他方、個人消費につきましては、先程も述べましたように、伸びは鈍化す るものの引き続き中間層を中心とした堅調な動きが予想されております。

     続きましてインフレについてでございますが、こちらも引き続きレアル安に伴うインフレ圧 力や、構造的なサービス業のインフレ圧力によりまして、ブラジル中央銀行の目標レンジであ る4.5%、±2%と言われていますが、その上限である6%近辺のところでの水準を予想しておりま す。

     あと金利につきましては、すでに今年に入りましてさらに1月15日に0.5%引き上げられまし て、現在10.5%となっておりますが、引き続き高い水準での率が予想される、引き続き高いイ ンフレが予想されることからさらなる引き上げが予想されております。

     また財政につきましては、今年は大統領選挙の年ということもありまして、まあややもする と色んな意味での、ばらまきと言っていいのか、まあ財政出動が行われることが予想されます ので、財政支出はまあ増加しまして、それによりましてプライマリー収支が対GDP比で1.9%と 、まあ昨年も低水準であったんですけども、さらに下回る可能性が高いと予想しております。 その結果、格付会社が問題しております財政悪化に対する歯止め策につきましては、15年、ち ょっと先の話になりますが、新大統領の就任を待って、ということが必要になるかと思ってお ります。

     また為替につきましては13年の回顧でもご紹介しましたが、景気低迷、財政悪化に伴う信用 不安や、米国金融の緩和縮小がレアル安に触れさせる要因になるため弱含みを予想しておりま す。また後ほど述べますが、最近ございましたアルゼンチンに端を発します新興国通貨不安の 高まりがブラジルの信用不安をさらに煽る可能性があると考えております。

     また失業率につきましては、こちらは引き続き低水準で推移するものと予想してございます 。ただし、景気低迷、投資不足を受けて、今後は緩やかに失業率の上昇が始まるのではないか と考えております。

     それ以外にも色々な要因があると思うんですけれども、まあ考えられるプラス要因としまし ては、米国を中心としました先進国の経済の回復、これがブラジル経済にも輸出等の拡大での 影響があるかどうか。マイナス要因としましては、やはり先程も述べましたアルゼンチン問題 に端を発する新興国の通貨不安のブラジルへの悪影響等が考えられます。

     ただしですね、この新興国の通貨不安につきましては、まあブラジルも財政悪化を問題視さ れ、格付のアウトルックを下げられるなどの状況にあるので、まあ余波を受ける可能性は否定 はできないと思います。ただし、ここに示させていただきましたが、同じ新興国でもブラジル はですね、アルゼンチンやトルコに比較しますと、まあ経常収支は赤字であるものの、外貨準 備高が潤沢にございまして、こうした点が市場の評価を受ければまあ資金の大幅な流出等大き な問題は回避できるのではないかと見てございます。

     さて、前回同様、主要な経済指標につきましての予想、これを金融部会各行に提出していた だきまして、記載させていただきました。ちょっと細かい数字で恐縮でございます。各項の詳 細説明は時間の関係で控えさせていただきますが、全体を通じますと、GDPの成長率の予想は まあ1%台から2%前半程度。インフレは6%前後、まあ現在と同じようなレベル。金利はもう一段 の引き上げといったようなところがこの全体の傾向から読めて参ります。

     また、今回このシンポジュームのですね、副題にもございます、ワールドカップと総選挙の インパクトということでございまして、金融部会につきましてもこの点について議論の上、各 行からのコメントをいただきました。こちらも詳細説明は控えさせていただきますが、まあ全 体的に見てみますと、ワールドカップはサービス業や観光産業でプラスにはなるものの、一方 他の業界におきましては営業日数減少等のマイナス影響もあり、総じて一過性のイベントであ りまして、経済への影響は軽微という意見が多いようです。

     また大統領選につきましては、財政支出が増えるため、景気にはプラスになるんですけれど も、財政の悪化をもたらすというマイナスの影響もあり得るということが各行の総括でござい ます。

     続きまして、マクロ経済のパートは終わりまして、銀行業界、その後保険業界の状況につき まして簡単にご説明させていただきます。

     まず銀行業界についてでございますが、貸出残高につきましては個人向け、法人向け共に増 加しておりますが、伸び率を見ていただきますと、昨年と比較していただきますといずれも鈍 化しているということでございます。ただしBNDES、政府系の金融機関からの貸出については 16%ということで、引き続き大きく伸びているということが言えます。

     このグラフは銀行貸出残高の対GDP比率になります。こちらも最後ここらへんでちょっと鈍 化は見られるもののですね、貸出残高は増加を続けてございまして、対GDP比で55%ぐらいの伸 びで来ております。

     この55%というのはどうなのかというところでございまして、これは他の国の水準と比較し てみますとブラジルはこのぐらい、中庸ぐらいになってございまして、まあ必ずしも突出して 高い水準ではない。国によりましては100%を大きく超えている国なんかもあるんですけども、 まあそういうレベルであるということが見て取れます。 まああまり大きくこれがなりますと、ちょっと経済が膨らんでいるんではないかといったよう なことになるんですけども、そういった意味では国際的に見ても中ぐらいの位置を占めている ということが言えます。

     このグラフは不良債権の比率を民間金融機関と公的金融機関に分けて見たものになります。 こちらが民間のものになりますけども、民間では低下傾向が明らかでございまして、まあ不良 債権問題が落ち着いてきていることを示しているということが言えます。一方、ローンの審査 が厳しくなっているというような現場での意見、私も聞いたことがあるんですけれども、こう いったこともあると個人消費の鈍化につながる可能性もあるのかなと思ったりしております。

     続きまして保険業界の市場動向について簡単にご説明申し上げます。ブラジルの保険監督庁 であるSUSEPの統計データによるんですけれども、ちょっとまだ12月までの数字は出てござい ませんで、11月までの11ヶ月間の比較でございますが、全種目合計で18.4%増ということにな っておりまして、まあ経済成長が鈍化する中でも保険マーケットは引き続き堅調に推移してい る状況でございます。

     損害率につきましては、これも運送保険で前年より損害率が悪化しておりますが、全体では 前年同期比でほぼ横ばいという状況が言えると思います。前回三浦様からもコメントいただき ましたが、若干運送保険の方がですね、悪化しているということがあるようでございます。全 体として見ますと、保険業界としましては成長率とあと収益性も意識した形での保険引き受け 業務を行なっているのかなということが言えるのかと思います。

     最後になりますが、今後の保険業界の成長予測をご報告させていただきます。ブラジル経済 は、まあ安定的な低成長ということになるかと思うんですけれども、保険業界につきましては 、ここ数年の自動車の新車販売の増加などに伴いまして自動車保険を中心とした保険の契約者 数が増えていることもありまして、今後とも10%台での成長を見込んでおります。私も保険業 界におりますが、まだまだ保険普及率も他の先進国に比べますと低いということもございまし て、こういった伸びが期待できるのかなというふうに思っております。

     すいません。非常に時間の制約もありまして駆け足にな ってしまいましたが、以上で金融部会からの報告にさせていただきたいと思います。ご清聴あ りがとうございました。

    司会
     酒井部会長、どうもありがとうございました。マクロ状況は厳しいですけど、非常に、保険 業界だけは二桁増でたいへん景気のいいお話を最後に。そうしましたら、特にご質問がありま したら挙手をお願いいたします。よろしいですか。じゃあどうもありがとうございました。

     続きましてコンサルタント部会の発表に移らさせていた だきます。関根部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • コンサルタント部会 関根実 部会長

    コンサルタント部会 関根実 部会長

    Pdfコンサルタント部会

     皆さんこんにちは。コンサルタント部会は、公認会計士 、証券アナリスト、リクルーター、それから経営コンサルタントと、まあ専門職の人たちのグ ループなんですけども、前期を回顧いたしますと、やはり昨年の後半から新しい話が減ってき ております。リクルーターにつきましては、まあ件数こそ減っておりませんですけども、お客 様のニーズがマネージャークラスからより下の給料の安い人たちへシフトするというようなリ ストラの動きも出ておりまして、まあ全体的には取り扱い金額が減っていると。

     まあこれらは、今金融部会からご報告ありました通り、 ブラジルの基本的なファンダメンタルが悪くなっているが故なんですけれども、マクロ的な数 字は今ご紹介がありましたので、金融部会につきましては、まあ外資の流入、主に国際収支面 でもって認識統一するための議論を行ないましたので、これから発表させていただきます。

     このグラフは昨年中の主な国の株式指数の変動率です。 先進国が概して昨年は成績が良くて、一番良かったのはアベノミクス効果が出ました日本で、 52.4%も株価が上がりました。で、一番成績が悪かったのが我々のブラジルのBOVESPAでマイナ ス15.5%ということです。

     これまでブラジルはBRICSの雄ということで言われてき ましたですけれども、このBRICSと言いますのは2001年の年末にゴールドマンサックスが新興 国への投資を勧誘するために作った新しい言葉で、ブラジル、ロシア、インド、チャイナ、こ の4カ国の頭文字を取って最初BRICsと言っていましたんですけども、後に南アフリカが加わり まして、このBRICSブームというのがまあ約10年間続いた訳です。

     ところが昨年の5月にアメリカが金融緩和を徐々に引き 締めるという示唆が出まして、今度はモルガン・スタンレーがネガティブな意味で新興国の、 今度は劣等生を五つ選んだ訳ですね。Fragile5とか、あるいは頭文字を取ってBIITSと言われ ていますけれども、トルコ、ブラジル、インド、インドネシア、それからサウス・アフリカと 。これに先月騒ぎを起こしましたアルゼンチンが加わっていますけれども、今度はネガティブ な意味でモルガン・スタンレーはこれらの新興国への投資は要注意であると。

     今月の11日に新しい米国の連銀議長のイエレン議長が国 会で証言された時にですね、一番注意を要するのはトルコであると、次にブラジルであるとい うことで、非常に今アメリカの評価は落ちております。

     先月の24日にブラジル中銀は国際収支の統計値を発表し ておりますけれども、この数字がそうなんですが、昨年中にブラジルから流出した外資はネッ トで123億ドルであると。意外に小さい数字なんです。これが2002年の130億ドル以来の多額の 流出であると。2002年と言いますのは、ルーラ政権、第1期の前の年の選挙の年でして、1ドル が4レアルまで瞬間的に上がって、大量に外資が出た年です。

     この表がブラジル中銀が発表した数字なんですけれども 、真ん中の2013年を見ていただきますと、貿易収支がわずか26億ドルのプラス。実体はプラス 、若干はマイナスではなかったかと言われております。

     問題は貿易外収支。サービスおよび所得なんですけれど も、これがマイナスの840億ドルという大量の赤字を計上しまして、これを合計したものが経 常収支になるわけですけれども、マイナスの814億ドルと、2001年以降では最大の赤字を計上 した訳です。

     従来からブラジルの場合は経常収支は赤字基調でして、 それを外資の流入で資本収支のプラスで埋めるという構造なんですけれども、昨年の場合は資 本収支が738億ドル。前年比38億ドルプラスということで、私はこの数字非常に意外な結果だ と。実感としてはブラジルから外資が出たんじゃないかと思っていた訳ですけれども、このプ ラスの結果が出ているんですね。

     で、中身を見ますと、直接投資が横ばいです。で、その 他投資というのはこれは貿易金融のシッパーズユーザンスと、まあ主に短期の民間企業なんで すけども、これは大きくマイナス195億ドルと減っております。逆に増えましたのが証券投資 、258億ドル。これ中身はほとんど外国人投資家の債券投資なんですけども、何故これがこん なに増えたのかということをこれから検証したいと思います。

     総合で、国際収支としてはマイナス59億ドルと。マイナ スではありますけれども、まあまあ、昨年の大きな変動に対しては良い結果の国際収支が出て おります。ブラジル中銀は外貨準備高を二つの概念で公表しておりまして、一つはLiquidez、 Liquidityというものと、もう一つはCaixa、Cash。まあこの差は中央銀行が民間銀行に対しま して期限付きで出しております短期の融資を入れるか入れないかという違いなんですけども、 厳密に即使えるキャッシュベースの外貨準備の方を捉えておいた方がより安全かと思います。

     ブラジル中央銀行が他の中央銀行に比べまして活発に行 っている取引で、スワップという取引があります。スワップといいますのはドルの先物の売り なんですけども、中央銀行はこの数字をなるべく公表したくないようで、国際収支の統計を見 ても出てきておりません。で、財政収支のレポートが別途出ましたですけども、その最後にス ワップ残高がレアルベースで1754億レアルとこっそりと書いてあります。これを昨年の年末レ ートで引き直しますと、749億ドルにも上ります。これは外貨準備の20%に相当します。

     このスワップ取引といいますのは中央銀行がInterbank Marketでもって先物を売っていると。で、民間銀行はそれに対して直物で売ると。短期資金が 3ヶ月、6ヶ月、1年、で、この短期資金がブラジルに期限付きで流入すると。民間銀行はバッ クには外国からの投資家、ファンドを中心とする投資家が控えている訳ですけれども、まあそ れらの短期資金を積極的に取っていると。言いかえれば、そういう短期の、不安定な資金を、 ブラジル中央銀行が為替レートを先物で保証することによって外貨準備を積み上げているとい うことなんですね。

     このスワップ取引自体は決して悪いことではないんです けども、まあブラジル中銀がトリプルBの格付けを維持するために、外貨準備を非常に無理し て取り上げていると。一方、外国からのファンド等の投資家にとってみれば、まあ現在のマー ケット水準で行きますと市場金利が10.5から11%。で、ドルの調達コストは1.5から2%というこ とで、まあざっくりと9%近い利鞘が稼げるということで、まあファンドにとっては非常におい しい商売な訳です。

     ですからこのスワップ取引というのがなくなることはな いんですけども、中央銀行が一方でそれに対して高い金利を、まあ国債を発行して払っている と。現時点で10.5%ですけども、最終的にその高いコストのつけは国民に回って来るという意 味で問題があると言えると思います。

     BRICSブームにブラジルは乗ってきた訳ですけども、 2007年にアメリカでサブプライム住宅ローンの債務問題が発生しました。で、翌2008年にリー マンショックというのが起きました。アメリカの連邦準備銀行が量的緩和を、慌てまして始め たわけです。市場にある国債を買い上げるということで始めたんですけども、結果論ですけど もこれをやり過ぎたと。で、やり過ぎた資金が中国、ブラジルはじめ新興国に流入した訳です ね。

     5年経過しまして、アメリカの住宅債務問題もようやく 整理できたところで、昨年の5月、前連銀議長のバーナンキ議長が徐々にアメリカは流動性を 縮小していくということを示唆、示唆しただけで、大きな動きが去年の5月から8月にかけて起 こった訳です。

     同時に中国経済が減速してきて、まあ8%成長から7%台に 移ってきたと。この二つのアメリカと中国の要因が重なりまして、新興国から先進国への資金 の逆流というのが起き、結果的にBRICSが終わったという訳ですね。

     ブラジルについて見ますと、ちょうどルーラ政権の2期 。1期が2003年の初め、2期の終わりが2010年末ですけども、この8年間は非常に好調であった と。まあ結果論ですけども、ルーラ大統領という人は非常にラッキーな人だったと言える訳で す。

     新興国の市場というのが非常に大きくなっておりまして 、グローバル化で一つのマーケットになっておりますけども、その中で新興国債券が占める割 合というのが急膨張いたしました。20年前の93年時点では新興国の債券、合計で4220億ドル程 度だったんですけども、現在ではこれが10兆ドルも超えていると。加えて金融、エンジニアリ ングの発達で債券とか株価のIndex Fundもできておりまして、まあ一つのグローバルマーケッ トの中で毎日のように2大経済国のアメリカ、および中国の経済指標で一喜一憂して、リスク オン、リスクオフと、ボラティリティが大きなマーケットになってきている。その影響をブラ ジルも直接受けている訳です。

     これから、今年の展望なんですけども、世界銀行とか IMFとか非常に楽観的な数字を今年は出しております。これは世界銀行が先月初めに発表した 数字ですけども、2014年、真ん中の欄のところを見ていただきますと、全世界で3.2%の成長。 で、これをリードするのはアメリカ、日本、EUの先進国。日本はアベノミクスが一時的にはげ 落ちて1.7から1.4に減るかもしれないと。EUはマイナスがプラスに転じるであろうと。

     新興国につきましては全体的に5.3%と、引き続き成長を 続けるであろうと。で、これをリードするのは中国、インド。ブラジルはロシアとともに従来 通り、安定的ではありますけども2%そこそこの低成長であると。まあこれでも我々から見ると 世銀の予想はやや楽観的ではないかと思います。

     先月の23日にアルゼンチン中銀が突如、一時的に外国為 替取引を停止しまして、また新興国問題が再度注目を浴びた訳ですけども、ブラジルは今年の 初め2週間にPetrobrasとBNDESが大きな起債をしております。Petrobrasはユーロ市場で38億ユ ーロ。応札が120億ドルもあったということで大変人気を集めまして、4年、7年、11年、まあ こういう金利で発行しております。まあイタリアの10年国債3.82に比べますと11年の4.8、や や高いですけども、そこそこ良い結果だったと思います。BNDESについても応札が多く、人気 を博しました。

     今年の我々のビジネス環境とそれに対してどう対応する かということなんですけども、まあ不確定要因が多い。政治的には10月の総選挙。PT、PMDBの 連立与党が勝つという予想が大勢ですけども、議席数は減ってその政治力は低下するのではな いかと。

     その前に6月から7月にかけてワールドカップサッカーが ある訳ですけども、これも先程から出ています通り、大混乱に陥るとかいうことがありますと 、選挙に対してマイナス要因になるのではないかと。金利につきましては先ほど、ブラジル中 銀がスワップをやるがために高金利を維持せざるを得ないということで、高金利。それから為 替についてはレアル安。この基調は変わらないであろうと。

     こういう不確定要因が多い情勢下では、まず対応として 、投資は直接投資も証券投資も控えざるを得ないだろうと。で、高金利が予想されますので、 資金調達コストを抑えるためにキャッシュフローの管理強化をやって、まあきめ細かな資金繰 りが必要になってくるであろうということです。

     最後にコンサルタント部会からの提言としてなんですけ ども、ブラジルらしい成長をすべきであると。先程申し上げました通り、グローバルマーケッ トになっておりまして、マーケットが非常に神経質でリスクオン、リスクオフの変化が激しい もので、まあブラジルで言いますDinheiro Facil、Easy Moneyはもうブラジルには来ないと認 識すべきかと思います。

     最近11年間PT政権は国民所得の再配分という、政治的に 平等分野に重点施策を置いてきました。その結果、先程もご紹介ありました通り、D層E層の低 所得層がC層に上がってきて消費力を底上げするという結果は大変な功績だった訳です。一方 で成長政策の方は置き去りにされております。中国がとった政策とまるっきり逆なんですね。 中国についてはインフラおよび輸出振興への前向きな投資で成長を遂げてきたと。これに対し てブラジルは中間層を増やして内需を刺激するということをやってきた訳ですけども、中国が これから内需を刺激するという政策転換を図ろうとしております。

     で、ブラジルは、あまり出てきておりませんけども、む しろ消費は抑えて、インフラ、輸出振興への前向きな投資をすべきではないかと。それらの分 野は従来から言われています通り、公共交通の整備、道路・港湾・電力等のインフラ整備です ね。加えて一般市民が要求しています病院とか学校、公共住宅の補助と。いくらでも投資のチ ャンスはあって、ここら辺の分野に我々もどう参画していくかというのが課題かと思います。

     外資の無駄遣いと、ちょっと左の一番下に書いてありま すけども、海外旅行が昨年の場合、ブラジル人が海外に出て使った金額が250億ドルと中銀が 公表しております。一方、外国人がブラジルに来て落としていった金額がそれの4分の1の70億 ドルしかないと。180億ドルが昨年の旅行収支のマイナス結果です。

     以上がコンサルタント部会の中での検討結果のご報告な んですけども、最後にこのÂnimoというのを入れましょうという意見が出まして、Ânimoと言い ますのは和訳しますと元気を出して頑張ろうという意味なんですけども、まあ今までの、黙っ ていても入ってきた外資はもうブラジルには来ないと。元のブラジルに戻ったんだと。基本に 戻って元気を出して頑張ろうというのが私どもコンサルタント部会の結論でございます。ご清 聴ありがとうございました。

    司会
     関根部会長、どうもありがとうございました。コンサル部会さんの発表に対してご質問のあ る方いらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。
     続きまして自動車部会のプレゼンに移らさせていただきます。近藤部会長、どうぞよろしく お願いいたします。

     

     

  • 自動車部会(近藤剛史部会長) 代理 伊藤氏(トヨタ・ド・ブラジル社)

    自動車部会(近藤剛史部会長) 代理 伊藤氏( トヨタ・ド・ブラジル社)

    Pdf自動車部会

     皆様どうも、こんにちは。自動車部会の方からご報告さ せていただきます。私、トヨタの伊藤と申します。社長の近藤の命を受けて今日は報告をさせ ていただきたいと思います。
     自動車部会につきましても、他の部会と同じテーマで13年のレビューと14年の展望という格 好でご報告させていただきます。

     最初に四輪業界の動向についてご報告させていただきま す。  まずこのグラフでございますけれども、ここ11年間のですね、四輪自動車の市場の動きを示 してございます。見ていただければ分かりますけれども、ずっと成長してきた訳でございます けれども、まあ400万台に近づいてきておりましたけれども、昨年、13年に関しては元々の予 測の393万6000という数字があったんですけれども、それを下回る376万7000台ということで、 10年ぶりでございますけれども、前年を割り込むというような実績になりました。

     続きまして13年の振り返りということで、少し中身につ いて見て行きたいなというふうに思います。13年はですね、IPI、税金の動きにかなり影響を 受けた年でございました。元々IPIの減税措置につきましては12年の末で終了して、当初は 2013年に段階的に通常税率に戻ると、そういう予定になっておりまして、第一段階として1月 の税率戻し、これが実施されました。ここの部分ですね。13年、1回目の税率戻しがあったと ころでございますが、その1回目の税率戻しがありまして、その結果どういうふうになったか と申し上げますと、まあ2月3月の部分、前年を割り込むという格好で市場が低迷するという結 果になりました。

     業界全体の在庫もですね、その結果増える格好になりま して、まあ業界として政府の方にお願いして、このIPIの減税戻しを少しサスペンドしてくれ ないかという話をした結果、この上がっていく予定だったものがまあ13年の末まで維持すると いうことが決まりまして、3月の31日にそれが公示されたというのが昨年、13年の出来事でご ざいました。

     その結果月別の販売台数の推移がどうなったかというと 、このグラフでございます。2月、3月、先程申し上げたように前年を割り込むような数字にな りまして、一旦戻ったんでございますけれども、その後やはり、まあストップしたと、サスペ ンドしたということで4月、5月は回復しましたが、クレジット等の引き締めが影響もございま してその後は低迷すると。前年を下回るような格好になりました。その結果、一番最初に申し 上げましたけれども、自動車の総市場は376万7000ということで10年振りに前年を割り込むと いう結果になりました。

     続きましてこれ、参考でございますけれども、四輪車の 支払いの形態を表したグラフでございます。ローン支払いがこの5年間拡大傾向にありまして 、昨年は53%ということで2%増えました。逆にキャッシュでの支払いは2ポイント減るという格 好になりました。  続きまして、韓国車がどのような販売の推移をしているかというのを少しご報告させていた だきたいと思います。

     2013年はHyundaiは販売を大きく伸ばしまして、また工 場に3直の体制を導入しました。逆にKIAでございますけれども、これは新自動車政策の影響を 受けて減るという格好になりました。

     続きまして四輪の生産、それから輸出台数の推移につい てご報告させていただきます。生産につきましては前年比110%と過去最高を記録しました。輸 出に関しては、まあレアル安、先程からご報告があったと思いますけどもレアル安の影響を受 けまして、前年比124と回復する格好になりました。それから輸入については、まあ前年の台 数を下回るというような格好になりました。

     続きまして、カテゴリー別に輸出の状況を少し報告させ ていただきたいと思います。輸出に関しては2013年は主に乗用車の伸び、前年比128%というこ とで、ここの伸びが牽引いたしまして、輸出は全体でも127%ということで拡大しました。メー カー別に見ますとVolkswagen、GM、Fiat、Ford、Renaultという格好で上位5社になってござい ますけども、輸出が伸びているという状況でございました。

     四輪の最後にですね、2014年の予測でございますけれど も、我々の業界、ANFAVEAが予測してございますけれども、国内の市場、それから輸出、それ から生産台数、いずれにつきましても、まあ微増であるというような予測をしてございます。 いろんな要因ございますけれども、一つはIPIの税率が戻って来ると。それから安全装備、エ アバッグとかABSの装置が完全義務化になるというようなこともございまして、14年、そうい った要因等々も考えました上で、まあ業界としては微増というような数字を示唆してございま す。

     続きまして二輪の業界動向についてご報告させていただ きます。
     まず最初に二輪の販売に大きな影響を与えるファイナンスの動向から見て行きたいとお見ま す。

     こちらが二輪販売の支払形態でございますけれども、11 年の後半以降支払い不履行が急上昇したということから、ファイナンスの審査が厳しくなりま した。その結果ファイナンス販売が伸び悩み、ファイナンスの比率は急速に減ってきたという 状況になっています。この審査の厳しさについては13年も変化がなかった、予兆がなかったと いうことで、まあこれは9月までの実績が出ているようですけれども、全販売におけるローン 比率の減少が続いているという状況でございます。

     続きまして二輪車の生産・販売の動向でございます。先 程触れましたように、ファイナンスの審査の厳しさは引き続き続いておりまして、13年の国内 の卸販売実績は159万台ということになりました。前年比98%ということで前年割れをする格好 になりました。また低調な販売状況を反映しまして、生産は167万台。前年比99%とこちらも若 干ですが前年を割る格好になってございます。輸出に関してはほぼ横ばいという実績でござい ました。

     続きまして二輪の月別の販売推移でございますが、これ は登録ベースの数字でございます。2013年の前半の大幅な落ち込みが大きくて、後半にかけて は、まあ前年レベルまで回復をしたんでございますけども、通年では152万台。前年比93%と前 年を下回る結果に終わりました。

     最後に自動車の部品業界の動向でございます。こちらの グラフでございますが、こちらはSindipecas、部品製造社協会発行の部品の売上高の推移でご ざいます。2013年の売上高は839億レアルということで前年比103%の実績となりました。
     自動車部会の発表は以上で終わらせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました 。

    司会
     伊藤様どうもありがとうございました。ちょっと時間が、多少早めにまとめていただきまし たので、お時間がございます。ご質問のある方いらっしゃいましたら手を挙げていただいて、 お願いいたします。よろしいですか。ではどうもありがとうございました。

     続きまして、4番手ですね。機械金属部会の発表に移ら させていただきます。相原部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

     

     

  • 機械金属部会 相原良彦 部会長

    機械金属部会 相原良彦 部会長

    Pdf機械金属部会

     三菱重工の相原です。それでは機械金属部会の発表をし たいと思います。まず業種分野別はここに書いてありますように、8分野に分けております。 それではまず1番目の鉄鋼、鋼板関係についてご説明いたします。

     まず2013年の回顧ですけども、概況としましては国内粗 鋼生産量は3420万トンということで、前年比1.4%の減。鋼材見掛消費量につきましては2640万 トンということで、前年比プラス4.36%。ワールドカップの関連で特需に期待したんですけど も、結局ブラジル経済の回復基調は依然弱くてですね、生産量は減少と。ただ、見掛消費量は 微増しているという状態でございました。

     鋼材輸出ですが、810万トンということで、前年比マイ ナス17%。ブラジル国内向け供給が優先され、輸出数量は減少傾向となったということでござ います。鋼材輸入ですが、370万トンということで、これは前年比ほぼ横ばいと。鉄鋼製品100 品目のですね、輸入税率が従来水準に戻される等あったんですけども、下工程製品を中心に、 まあ前年比横ばいで推移したと、こういう状態でございます。

     次に2014年上期の展望ですけども、国内粗鋼生産量は 2014年の予測としまして3500万トンということでプラス2.3%。鋼材見掛消費量、これ2014年で すけども、予測としまして2750万トンということで、前年比プラス4%。で、2014年度のGDP成 長率は前年比でプラス1.99%と予想していると。10月の大統領選を前に景気対策をまあ優先さ せるという可能性もありまして、さらなるインフレ上昇ですね、先程もありましたけど6%とい うような懸念は残っているということでございます。

     鋼材輸出ですけども、2014年度の予測としましては800 万トンということで横ばい。鋼材輸入につきましては、380万トンということで、プラス3%。 で、ブラジル政府の国内鉄鋼メーカーの保護政策ですね、これは依然大きな変更はないと思わ れまして、まあ輸入は微増というふうに予想しております。

     次に電力および社会インフラ関係ですけども、まず2013 年度の回顧としまして、経済の牽引役であったPetrobrasの業績が依然不振なまま続いており まして、まあ鉄鋼製品、電力消費、横ばいでですね、ブラジル経済全体が低迷しているという ことで投資案件も軒並み延期されて、まあ受注は低迷してしまったと。ただ、造船等への投資 にはまあ積極的なんですけども、プラント機器への投資はまだ不十分という状態でした。

     あと、水不足による電力危機にも関わらずですね、ガス 火力というのはガス供給問題とやはりPetrobrasの資金不足のために入札はまあ遅れ気味だと いうことでございます。それからインフラ関係の大型プロジェクトもですね、入札の遅れが目 立っていると。例の高速鉄道関係も、応札条件ですね、これが改善されないまま、1年以上の 延期が決定されたと。汚染土壌の洗浄、環境設備の導入計画もまあ具体的な進展がなかったと いう状況でございました。

     2014年の上期の展望ですけども、やはり景気の早期回復 ですね、これは見込めなくて、Petrobrasの投資案件の遅れがやはり懸念されると。唯一プレ サル開発に関する案件だけにはまあ期待していると。あとレアル安による貿易収支改善でです ね、農業・基礎産業関連 の設備投資増にもちょっと期待するところがあると。あと地下鉄とか港湾、空港などですね、 身近なインフラ案件の速やかな推進と、あと中間層の個人消費の拡大がですね、それが設備投 資の復活の鍵になってくればなというふうに考えております。

     あと、発電・環境案件ともにですね、引き続いてちょっ と低迷がまだ続くのではないかというふうに予想しております。ただ、分散型発電設備の建設 は堅調じゃないかと見ております。あと社会インフラ関係ですけども、高速鉄道についてはま あこの10月の大統領選後にですね、動き出すんじゃないかなと思っております。あと、サンパ ウロの地下鉄線とか、空港運営事業権でですね、一部進展するんじゃないかと。こういうこと が2014年の上期ということでございます。

     引き続きましてプラント機器関係ですが、2013年の回顧 としましては、まず紙パルプ業界ですね。これは業界大手の優先株発行による増資を原資とし た新設製紙プラント設備への投資が本格化してきたと。ただ投資実現はちょっと今年に持ち越 されたと。あと石油化学業界ですが、割高な天然ガス価格にまあ嫌気をさしてですね、各社と も投資計画が延期されて、あるいは中止の動きがまあ顕著だったと。

     あと鉄鋼・非鉄業界ですけども、依然、ずっと業界の操 業度の低下でですね、新規設備の引き合いはまあほとんどなかったと。既設の改造・保守関連 の引き合い程度でまあ閑散な商いという状態であったと。後半、ただ、製鉄会社の利益が回復 基調にはなってきたんですけども、まだ設備投資復活にはほど遠いんじゃないかという状況だ ということでございます。

     次に2014年上期の展望ですけども、まず紙パルプ業界は 、まあレアル安がですね、パルプ輸出の追い風模様ということで、製紙各社でですね、設備投 資計画作業が実施されておりまして、まあ早ければ本年中にもですね、大型投資が期待できる という状況でございます。石油化学業界ですが、Petrobrasの採算がやはり厳しいということ から石油開発のですね、上流側を除きまして新規投資はやはり遅れる予想をしております。と いうことで、既存設備の改造・拡大工事にまあ傾注するということになるかと思っております 。

     あと鉄鋼・非鉄業界ですが、これも世界的にですね、や はり中国を中心に供給能力が過剰ということもありまして、依然2014年も引き続いて大型の新 規設備の引き合いはないんじゃないかというふうに見ております。

     次に建設機械ですけども、2013年の回顧としまして、ま ずは総需要台数ですが、2013年、1万3425台ということで、前年比、これはプラス29.3%。イン フラ関連による需要はあったんですけども、このうちの農業開発省向テンダー分の増、3042台 を除きますとほとんど前年比横ばいというのが2013年の状況でした。

     あと小形建機ですが、小形バックホーにつきましては、 輸入統計全体では前年比マイナス21%と低調であったんですけども、この会社さんでは調子が 良かったということで、前年比プラス33%ということでございます。

     2014年の上期の展望ですけども、まず総需要台数としま しては2014年の予測は1万3300台ということで、ほぼ横ばいと。住宅とか農林業向け等、一部 の需要は堅調に推移すると見込まれるんですけども、やはりブラジル経済の停滞や金利上昇等 、全体的には厳しい環境になるというふうに予想しております。あと小形建機ですけども、ま あワールドカップ等に向けての建設・整備需要の増大によってですね、年間20%の伸びを期待 しているという状況でございます。

     次に農業機械の方ですけども、まず2013年の回顧ですが 、エンジンビジネス。まず小形ディーゼルエンジンにつきましては2013年の販売としましては 好調でですね、前年同期比で台数ベースでプラス8%、金額ベースではプラス9%。舶用ディーゼ ルエンジン関係では、Petrobrasの油田開発関連の新規造船向けはほとんどなかったんですけ ども、まあアマゾン川流域のですね、船舶エンジン、これは堅調に推移したという状況でござ います。

     あとトラクタービジネスですけども、全般的な農産物の 豊作とですね、まあ2008年から開始されています小規模農家への低金利融資政策が継続されて ですね、2013年度の販売は前年同期比でプラス11%。ただ、政府の価格上限コントロールによ って1台当りの採算は非常に厳しいという状況ということでございます。

     2014年上期の展望ですけども、まずエンジンビジネスは 小型エンジン販売は農作業機やライトタワーなどのOEM向け、それから自社製造の発電機セッ トの販売が好調で、台数ベースで2013年比でプラス15%と予想しております。あと20馬力以下 のブラジル製単気筒エンジンの販売は、地方への電化による市場自身の縮小に加えてですね、 あと中国製品ですね、この流入によって今後も低迷が続くと予想しております。

     舶用エンジンにつきましては、やはりPetrobrasの投資 活発化が鍵になるということです。まだちょっと時間がかかるんじゃないかと見ております。 あと病院・商業施設・工場用の発電機用のディーゼルエンジンについてもちょっと先が見えな いのかなというふうに考えております。あとトラクタービジネスですけども、低金利融資政策 がまあ継続されるということで、小形トラクターの販売は好調を維持するというふうに期待し ているという状況でございます。

     次に各種切削工具および射出成型機なんですけども、 2013年の回顧としましては、まず切削工具ですけども、自動車業界、まあ好調、多少他の業界 と比べると好調ということで、前年比プラス20.4%と。ただしレアル安による輸入原価増とあ とインフレによって諸経費アップでまあ損益的には苦しいということでございます。

    あと耐摩耗工具につきましては前年比これもプラス11%。 理由としましては、まあ重要顧客さんからの特需があったということでございます。あと鉱山 工具につきましては前年比マイナス11.5%ということで、この原因につきましてはレアル安に よる価格高騰とですね、あと鉱山というか、金属が資源価格そのものの低下が原因だというこ とでございます。

     ねじ切り工具ですが、12年度売上が過去最高レベルだっ たということもありまして、それに比べて13年度は前年比マイナス11%と。輸出では、日本向 け製品の供給停止もあったということで、レアル安にも関わらずマイナス9%と。あと国内向け につきましては、在庫過多もあって前年比はマイナス13%と。それから射出成型機ですけども 、自動車業界さんの好調によって引き合い自身は増加したんですけども、まあ品質よりも価格 志向の市場ということで中々難しいという状況ということでございます。

     2014年の上期の展望ですけども、まず切削工具につきま しては、自動車の販売は前年並みでもですね、輸出がアルゼンチン経済の影響で減少すると予 想。ということで、生産自身が、先程もありましたけども、横這いということで、ちょっと期 待薄だということでございます。耐摩耗工具は建設用丸棒鋼の需要は今後も期待されると。建 設工具。建設関連は引続き好調を期待しています。鉱山向けはまあ為替の影響で厳しいという ふうに見ております。

     ねじ切り工具の方ですけども、ワールドカップ、あと大 統領選は一応市場にマイナスというふうに予想しております。ということで2014年もまあ厳し いと。あとレアル安も消費減に動くので、ちょっと調子悪いんじゃないかなというふうに見て おります。あと射出成型機ですけども、日系自動車会社さん向けにですね、中心にですね、何 件か受注の見込みと。 で、品質はもとより、まあ当然なんですけども価格とアフターサービ スについても非常にまあ高い要求があるので、それを満たすということが大切だなというふう に考えているということでございます。

     引き続きまして機械部品と測定機器ですけども、2013年 の回顧としまして、まずチェーン関係ですけども、製糖業界向けスポット受注もありまして前 年比206%の増加ということで、ただこのスポット受注の特需を除けばまあプラス18%の微増と いうことでございます。 これは代理店経由のアフターマーケットが中心で売上を上げているということでございます。 ホイスト&クレーン、それとチェーンブロックの方ですけども、まあワールドカップとオリン ピックの景気に期待したんですけども、終始低調だったと。あともう一つは中国製品との競争 が大きな試練だと。軸受ですけども、自動車向けは堅調だったんですけども、二輪車向けは先 程もありましたけども、依然低調でまあ回復の見込みはないのかなというふうに見ております 。

     農機の方ですね。これはまあ堅調。鉱山向けはですね、 Vale等の投資が低調ということもありまして、依然低迷したと。産業モーター向けはまあ堅調 だったと。あとアフターマーケットは、先程もありましたけども安値の中国製品の輸入に歯止 めかからず、調子良くなかったと。あと測定機器関係ですけども、まあSENAIなど教育機関向 けの販売が堅調に推移したということで、目標自身は未達だったんですけども、前年比に対し てはプラス6%ということだったということでございます。

     2014年上期の展望ですけども、まずチェーンにつきまし ては食品包装、製糖、森林等、特定業界に営業を絞ってですね、保守用ビジネスを取り込んで 、かつ新規OEMを図る戦略でまあ販売増を狙うと。ホイスト&クレーン、チェーンブロックで すけども、まあ品質重視の顧客をですね、ターゲットに、あと販売パートナーとの連携で受注 拡大を目指していこうと。軸受の方ですけども、自動車向けは堅調に推移するんですけども、 二輪車向けはまあ回復が期待薄であると。あと客先プロジェクトの延期もあるということです ね。好調の農機にここは期待するしかないかなということでございます。

    あとレアル安でですね、輸出を伸ばしたいと。それから アフターサービスはですね、円安メリットを活かして日本からの輸入品の販売増を狙っている ということでございます。それから測定機器につきましては前年比プラス10%超の販売目標を 立てておるということで、日系自動車メーカーさん向けの工場拡張、あと新設に期待している ということでございます。

     次に潤滑油・金属加工油関係ですけども、まず2013年の 回顧ですけども、潤滑油につきましては市場全体としましては前年比プラス4%ということで、 自動車用、工業用ともに安定的な需要が継続していると。ベースオイル市場では国産化されて いない高品質ベースオイルのグループⅡ・Ⅲの比率がですね、20%から27%に上昇したというこ とで、まあ潤滑油がより高品質化しているという状況だったということですね。

     それから金属加工油ですが、これも前年比プラス12%と 。ここも自動車販売が堅調に推移したんですけども、良かったんですけども、主要客先である 自動車部品製造業での生産がまあ増加したと、こういうことでちょっとプラスになっていると いうことでした。

     次に14年上期の展望ですけども、まず潤滑油の方ですが 、自動車分野の好調さが維持されればですね、潤滑油全体需要も押上げられると。で、ワール ドカップと総選挙により消費が上向くことは潤滑油需要にとってもプラス要因だと。全体では 、まあそうは言ってもGDP伸長率なみの需要増が見込まれるというふうに潤滑油の方では見て います。

     金属加工油の方ですが、自動車関連企業の生産は、例の 頻発するデモとかですね、ワールドカップの影響でまあ生産がちょっと落ち気味になったりす ることもあるということで、まあ現状維持と予想しております。ただ、やはりなお日系自動車 メーカーさんの新エンジン工場の稼働がまあ予想されるということで、そこをどう対応するか というのがまあ鍵になっているなということでございます。

     それを全部総括しまして、機械金属部会全体の2013年の 回顧としまして、ワールドカップ、オリンピックの2大イベントによる経済成長をまあ期待し たんですけども、結局工業関連は期待はずれの低成長だったと。建設業と農業および自動車関 連で微増はあるんだけども、依然低迷していたと。中国経済の減速も影響し、GDP成長率は 1.9%止まりだったと。

     まあ最近はデモ頻発の影響もあり、個人消費にも陰りが あり、設備投資意欲も依然落ち込んだままだと。ブラジル経済を牽引すべきPetrobrasも業績 悪化により大型プロジェクトの遅れが目立ったと。また社会インフラ投資についても政府のま あ派手な発表はあったんですけども、実際の投資が動き出したケースは少なく、需要喚起に結 びつかなかったと。こういうのがまあ2013年の回顧ということでございます。

     2014年上期の展望なんですけども、まあブラジル経済が 依然V字回復する見込みはあまりなく、低成長が継続するものと推測され、概ね各社さん共に ですね、2013年並みと予測しております。特に製造業のコスト競争力は益々低下してきまして 、安価な中国品との熾烈な競争に如何に勝ち抜いていくかに、まあ各社さん必死になって努力 しているという状況でございます。

     それからPetrobrasですね、業績悪化がこのまま継続し て、設備投資への意欲はまあ依然低くてですね、関連プロジェクトの受注も低迷が続く可能性 がある。一方で、最近のデモで、身近な社会インフラへの投資ですね、これについてはちょっ と早くしろというようなことで実現が加速される可能性もあるんじゃないかと見ております。

     あと造船関係ですね、いよいよ、まあ重工もそうなんで すが、日本からの技術協力がいよいよ本格化してきていまして、これがブラジルの海底油田の 開発をどんどん加速していけばですね、これがまあ全体の景気底上げにつながればなというふ うに思っているということでございます。

     以上で機械金属部会の報告を終わります。ご清聴ありが とうございました。

    司会
     相原部会長どうもありがとうございました。ご質問ございませんでしょうか。時間は十分に ございますので、よろしいですか。はい、じゃあどうも相原さんありがとうございました。

     続きまして、前半最後のプレゼンテーションです。電気 電子部会、三浦部会長よろしくお願いいたします。

     

     

  • 電気電子部会 三浦修 部会長

    電気電子部会 三浦修 部会長

    Pdf電気電子部会

     電気電子部会、ソニーの三浦です。よろしくお願いしま す。

     まず最初にですね、去年、2013年1月から12月まで1年間 の主要製品の生産量ということで、電気製品に関しての生産量なんですけど、電気製品、大き く分けて生産地が二つありまして、オーディオビジュアル製品、そういったものに関してはマ ナウスですね。あとコンピューターに関してはサンパウロ州。で、セルラーフォンに関しては サンパウロ州とマナウスというふうに両方で生産しております、メインにですね。

     これはマナウスのフリーゾーンの資料です。1月から12 月まで。12月が若干、最終数字が出てきてなかったみたいでアジャストメントなんですけれど も。これから言えるのは、このピンク色がマイナスなんですけれども、色んな製品書いてあり ますけども、まあ総じてですね、弊社が扱っているカテゴリーはほとんどマイナスだというよ うな訳ですね。

     非常に残念なんですけども、例えばテレビで言いますと ですね、この2番目にありますプラズマテレビという、まあ普通のブラウン管からLCDに今移っ ているんですが、このプラズマテレビが44万1000台、2012年に作られまして、去年がその倍、 100万台近く作られていると。このプラズマテレビというのは、まあ日本のメーカーはほとん ど止めることを決定したわけなんですけども、ほとんどが韓国メーカーが作っていまして、世 界中でこのプラズマが伸びているというのはまあブラジルぐらいかなということでですね、非 常に今、困ったことなんですけども、非常に伸びています。

     従って今、何と言いますか、店頭に行きましてもですね 、大きいプラズマテレビ、プラズマテレビとLCDテレビ、あまり分からないんですけど、見た 眼は、非常に安い値段で出てきています。非常に韓国メーカー、このブラジルというのを最後 のプラズマテレビの牙城と思っている節があるなというふうに思っています。

     で、一番下にセルラーフォン、マナウスだけの数字です からマイナスになっていますけども、全体的にはものすごく伸びています。通常いろんな電気 製品がありますけれども、やはり一番伸びているカテゴリーというのが、2013年ではですね、 このセルラーフォンの中でもスマートフォンですね。スマートフォンがやはり年率、何と言い ますか、前年同月対比で大体毎月80%以上、80%から90%、数でですね、非常に伸びているとい うことで、かなりスマートフォンがメインのカテゴリーになってきています。

     後はですね、この、やっぱり顕著に分かるのがこのデジ タルカメラです。デジタルカメラ、デジカメですね。デジカメがやはりこの2013年に極端に減 っています。まあ生産は40%減っています。全てがスマートフォンに移ってきているというの が現状です。ですからまあ電機メーカーにとってはですね、コンシューマーを対象にしている 電機メーカーにとっては、何で食べて行こうかというところが非常に、何と言いますか、苦し い状況だと思っています。

     これは生産ですから、この生産がですね、非常に伸びて いるから良いというものでもないんですね、ブラジルは。ブラジルはかなり電気製品に関して は外からコンポーネント、パーツを輸入しまして、そこで組み立てています。で、組み立てる 時に全てブラジルコストがかかってしまいますので、生産が伸びてもですね、国内で売れなか ったらもうどうしようもなくなってしまうと。 それをReexport、輸出すればいいんじゃないかと思われるかもしれませんけども、ブラジルか ら電気製品を輸出するなんていうのはちょっと夢物語でですね、もう半値にしたって他の国は 、中国、マレーシア、これは弊社も同じなんですけれども、中国とかマレーシアの工場から買 った方がまだ安いということで、例えば弊社のメキシコの販売会社に半値で出しますよと言っ たって、そんなのいりませんよというような状況でですね、生産が多いからといって安心して はいけないというのがですね、電気業界の、何と言いますかね、見方じゃないかなというふう に思っています。

     これは、GFKという、店頭のシェアを調べている会社が あるんですけども、これは4月から12月までの実際の店頭から売れた数ですね。これは売れた 数を示しています。じゃあ何が売れているんだと、実際の数ですね、これは全ての店頭を網羅 している訳ではないですから、まあある程度インディケーションと思って見ていただければい いかなというふうに思うんですけれども、ひとつやっぱり一番伸びているのがですね、この、 やはりスマートフォンですね。数的にはもう倍行っています。この8ヶ月ですか、8ヶ月の前年 対比で倍をいっているというような状況ですね。

     後は先程の生産量と同じなんですけれども、こういった 例えば、このDSCというのはデジタルカメラなんですけども、デジタルカメラとかですね、あ と何でしょうね、例えばPCですね。コンピューターとか、こういったものが非常にやはり、デ ジタルカメラはスマートフォンに取って代わられ、ノートブックはタブレットとかですね、そ ういったものに取って代わられということで、まあ非常に、何と言いますか、2013年というの はかなり大きく変わった年だったんじゃないのかなというふうに思います。

     このテレビに関してはですね、これはまあ全部一緒にし てあるんですけれども、15%ぐらいの伸びです。実際の売りの伸びです。売りの伸びなんです けども、先程申しましたけども、やはり輸出できない以上ですね、作った以上売らなきゃいけ ないということで、非常に後半戦ですね、まあ11月ぐらいからかなり値段のたたき合い、日本 メーカー同士はほとんどやってないんですけども、値段のたたき合いはやってないんですけれ ども、やはり他の国の会社とですね、値段の叩き合いがまだ続いているというような状況です ね。

     これが販売額です。先程の販売数をまあ額で表したんで すけども、やはりまあこのスマートフォン、これがやはりこの中心になっています。この、も うビジネスの中心が本当にスマートフォンになっているなとつくづく感じています。で、テレ ビに関してもですね、これはプラズマは非常に安いと言いましたけれども、やはり去年ですね 、かなり顕著になってきたのが、大型、まあ50インチ以上ですか、50インチ以上の大型テレビ がかなりポーションが大きくなってきているかなというような状況です。まあこれからワール ドカップがありますけれども、まあそれに向かってですね、もっと増えてくれればいいかなと 思っています。

     もう一つですね、去年非常にまあ顕著だったのが、 Black Fridayと、まあ聞かれたと思いますけども、11月の一番最後の金曜日ですね、4年前に アメリカからこのコンセプトを輸入しましてですね、大々的に、まあ4年前は小さく始めたみ たいなんですけども、去年11月末がですね、やはりBlack Friday、前年比大体売上でですね、 2倍以上ですね、217%アップですから2倍以上増えていると。ここの11月の、11月前年対比でも ですね、非常に、31%伸びているということで、このBlack Fridayというのがこのブラジルで ですね、かなり確固的な、何と言いますかそのセールス期間になってしまったかな、去年から というふうに感じています。

     通常Black Friday、まあ色んなメーカーさんでですね、 余った製品とかそういったものを小売に渡してまあこれではいて下さいよというようなものが まあ元々の始まりだったと思うんですけども、今はもう安いものはないかと、安くしてくれと いうようなことで9月ぐらいからビジネスが、交渉が始まるんですけれども、何で安くしなき ゃいけないんだというような交渉でですね、まあ弊社はほとんど安くはしなかったんですけれ ども、これ、小売のですね、お客様、まあいろんなハイパーマーケットとかいろんなディーラ ーさんいらっしゃいますけども、もう何のためにやっているのか彼らも分からないような状況 になってましてですね、ものすごい値下げしています。

     で、後でですね、うちに来まして、ソニーさん、安くし たからちょっとCompensateしてよと。そんなの約束もしていないのに、あなたたちのポケット でやったんでしょというような話がまあずっと続いているんですけれども、ものすごく意味が ないんですけどもね。意味があるのはお客さんだけで、お客さんにとってはものすごく意味の あるBlack Fridayかなというふうに思っていまして、このBlack Fridayのおかげでですね、今 まではクリスマス前、まあ15日から24日までの1週間とかですね、こういったものが非常に我 々としてはそれに向かってクリスマス商戦というのは伸びるだろうというような感じでいろん な計画、交渉なんかもしていた訳なんですけども、もう去年から本当にこのBlack Fridayが一 つの大きな商戦になっているなというのはつくづく感じまして、そのシーズナリティーという のが変わってきたなと。

     そのために今年の、というか去年の2013年のクリスマス というのはですね、非常に振るわなかったですね。振るわなくて非常に期待外れに終わってし まったと。期待外れに終わってしまって、今度1月になるとまたまたディーラーさん、お客さ んはsaldãoといって、何と言いますか投げ売りみたいなのをやり始めますので、そういうこと をやるとなったらですね、お客さんの思うツボでですね、クリスマス前に買うはずがないとい うことで、ちょっといろんな、何と言いますか、今週もお客さんと色々話したんですけども、 Black Friday来年もやるのというふうに、うちはやらないよと、来年もあなたやるんですかと いうふうな質問をするとですね、他がやっているからやらざるを得ないと。他がやっていると みんなそっちに行っちゃうんで、自分たちもやりたくはないけどやらざるを得ないという、非 常に何かおかしな状況になっているなというふうに感じました。

     来年も続くと思いますので、日本人の皆さんあまりブラ ジルで電気製品を買うということはないと思うんですけど、まあテレビだけはここで買わない とテレビは映りませんので、買われる場合はこれを利用された方が、Black Fridayを利用され た方が非常にお得で買えるかなというふうに思います。

     2013年の回顧なんですけれども、アンケート、電気電子 部会で出しまして、まあ16通返ってきたんですけれども、青いのがですね、非常にこういった おかげで良かったと。このピンクで囲っているのがこのおかげでちょっとさんざんだったと。 で黄色がまあ何とも言えないなというふうに色づけしてみたんですけれども、まあ白物販売に 関しては先程車でもありましたけども、IPIのインセンティブがまだ続いているということで 、非常に、まだまだ良かったかなというようなコメントはありました。通信インフラに関して もですね、投資は微増だが、下落傾向だけれども微増だったということでした。

     で、やはりこのピンクで囲っていますけれども、レアル 安による利益悪化ですね、値段に反映できずと。このコンシューマー製品の、電気製品のまあ 宿命なんですけれども、どんなに為替が悪くなっても値上げができないというですね、非常に 過酷な宿命を負っていましてですね、まあそのおかげでですね、まあ利益が悪化している。ま あこれは弊社の例なんですけれども、まあ非常にレアル安というのはこたえているなという気 がしています、気がしていますというか、こたえています。

     で、景気悪化ですね。やはり色んな、スマートフォン意 外はあまり伸びていません。伸びていませんというか、落ち込んでいるものもありますので、 それに関してはやはり悪化しているなということと、金利の上昇、まあこれもほとんど全産業 に共通することだと思うんですけれども、金利の上昇によってほとんどが分割払いで買う人た ちにとってみればですね、一回に払う金額、その分割払いの分が大きくなってしまいますので 、そういったことでやはりちょっと買わなくなってきていると。

     で、人件費の高騰。これももう言い尽くされています状 況で、まあ非常に、2013年を回顧してみると、あまり大したというか、良い話はなかったなと いうようなコメントが多かったです。そのコメントの割には業績のこの数字は改善というのが 多いので、ちょっとおっしゃっていることと数字がちょっと合わないなとふと疑問に思ってし まったんですけれども。

     で、2014年の展望でもですね、これ全部赤だったんです ね。全部ピンクでですね、まあ不調な経済が継続するだろうと。で人件費の増大で利益は圧迫 するだろうと。通貨安はもっと続くだろう、2.5から2.6、それぐらいになるでしょうと。で、 金利の上昇による収益への圧迫と消費の落ち込み、まあ当然のことながら起きるでしょうと。

     で、オポチュニティーと思われていた、オポチュニティ ーと思って弊社もオフィシャルスポンサーをしている訳なんですけども、ワールドカップはビ ジネスにはネガティブに作用すると。

     まあ、本当にこう言われるとその通りなので私も悲しく なるんですけど、期間中のデモは必ず起きるだろうと、これは。で輸送の混乱も必ず起きるで あろうと、配送のですね。で、期間中ほとんど仕事しないでしょうから生産はダウン、効率は 低下するだろうと。まあデモが起きればショッピングセンターは閉まりますので、お客さんも 行かなくなるしと。  で、期間中ですね、ホテルは上がるわ、航空券は上がるわ、どれぐらい上がるのかちょっと 分からないですけれども。まあそういったことで、ワールドカップはビジネスにはネガティブ に働くだろうというのがですね、この間この、何と言いますか、電気電子部会で一緒にですね 、事前ミーティングをやった時のですね、皆さんのコメントでですね、まあそうだろうなと。

     この件に関してはワールドカップという話がありました ので、弊社でも色々ワールドカップに準備しているんですけども、何かないのかと、今年、オ ポチュニティーはと。で、ワールドカップだけじゃないんですけれども、2014年に関しては何 かないのかといういうようなことを今話しているんですけれども、ほとんど、もうリスクだけ しかないと。リスクだけしかなくて、オポチュニティー何だろうと。誰からも出てこなかった ので私が考えたのがですね、一つだけオポチュニティーがあるとしたらブラジルのセレソンの あのチームが優勝すればですね、これはすごいことになるんじゃないかなと。

     みんなは、何と言いますか、お金のことは全て忘れて、 いろんなものに使ってくれるんじゃないかなというふうに思っているんですけれども。それが 逆に、下の方のトーナメントで負けてしまったらですね、これワールドカップ続くのかなと、 もう大統領も絶対再選されないだろうということでですね、オポチュニティーなのかリスクな のか分かりませんけれども、非常に来年に関してですね、もう今年になりましたけども、今年 に関して何かいい話があったら非常に乗りたいんですけれども、中々見つけられないというの が電気電子部会でのまあ話でした。

     それにも関わらず皆さん改善するというふうにですね、 言っているのはこれは私も改善してほしいという願いを込めてここに一つ入れているんですけ れども、非常に希望的観測でですね、皆さんやっぱり改善してほしいと。最初から悪化するな んてやっぱり言えませんので、やはり皆さん改善してほしいというふうに思われてまして、私 も本当に改善してほしいなと思っているんですけれども、もう2ヶ月経ちましたけれども、ま あほとんど何も変わっていないというのが今、現状ですね。

     最後にこれ、前回もお見せしたんですけれども、まあ政 府への要望ということで、まあ前回と全く同じと。このフレーズが何年続くかちょっと分から ないですけれども。複雑すぎる税制の改革ということで非常にこれ日々頭を悩ましているとこ ろですと。でインフラの改善と投資の促進ということで、まあマナウスからいろいろやっぱり 運んでくるとロジスティックスの問題とかですね、道の問題とか、色々やっぱり困っています 。で反政府行動の鎮静化。やはりマニフェスタソンが必ず起きると思いますので、これはもう それがあるということを前提に色々準備をしなきゃいけないかなというふうに思っています。

     で、税金を払わない輸入に対する厳格な取り締まりとい うのは、まあこの間も言いましたけども、隣の国からですね、色んな税金を払わない商品が色 々小物を中心にですね、色々入ってきていまして、我々一生懸命税金を払っているんですけれ ども、まあ税金を払っていない人たちがまあのうのうと隣で生きているというのが非常に許せ ないなとまあ非常に思っています。

     それと治安の改善といいますか、これは全ての皆さんに も当てはまることだと思うんですけども、治安、これがない限りですね、やはり経済というの もまあ、うまい具合にといいますか、発展していかないんじゃないかなというふうに思ってい ます。これが電気電子部会の総括といいますか、発表です。ありがとうございました。

    司会
     どうも、三浦部会長、大変熱いプレゼンテーションをどうもありがとうございました。ご質 問ある方いらっしゃいませんでしょうか。よろしいですか。はい、じゃあどうもありがとうご ざいました。

     これで前半のプレゼンテーションが終了いたしました。 ここでコーヒーブレイクをですね、15分行ないたいと思いますので、3時40分にまたご着席の 方をお願いいたします。どうもありがとうございました。

    コーヒーブレイク

     

     

  • 後半の司会 井上徹哉 企画戦略委員会副委員長

    後半の司会 井上徹哉 企画戦略委員会副委員 長<

     それでは時間になりましたので、後半の部を開始させて いただきたいと思います。皆様着席の方よろしくお願いいたします。はい。それでは開始させ ていただきます。

     私、企画戦略委員会副委員長を務めさせていただいてお ります、JETROの井上でございます。本日は林委員長ご不在ということで、私が代理で後半の 司会をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

     それでは早速ではございますけれども、各部会からの報 告に入りたいと思います。それではまず始めに貿易部会の報告でございます。それでは伊吹部 会長、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 貿易部会 伊吹洋二 部会長

    貿易部会 伊吹洋二 部会長

    Pdf貿易部会

     どうもこんにちは。丸紅の伊吹です。貿易部会長を務め させていただいております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。毎回同じような内容で ちょっと、またかという感じで受け止められるかもしれませんが、お許しください。

     まず半期ごとの貿易額の推移をご覧いただきます。左の 青の棒グラフが輸出額ですね。右の赤の棒グラフが輸入額で、黄色の折れ線グラフが貿易収支 となっております。グラフ左の目盛が輸出入額、右の目盛が貿易収支の金額で、単位はそれぞ れ100万ドルとなっています。

     ブラジルはこれまで鉄鉱石、穀物の一次産品の輸出の好 調が続いてきたため、2001年以来安定して貿易収支は黒字となっておりましたが、2013年に入 ってから貿易収支が急速に悪化しまして、13年上期ではマイナス31億ドルの赤字に転落しまし た。下半期は何とか57億ドルの黒字となりまして、通期では26億ドルの黒字を確保しておりま すが、昨年までと比べて黒字幅は大幅に縮小する結果となっております。これから2012年の通 期との対比でさらに詳細を見て行きたいと思っています。

     まずは輸出動向でございますが、商品別にご説明いたし ます。最初に一次産品ですけれども、鉄鉱石は数量3億3000万トンでほぼ横ばい。金額は325億 ドルで前年比微増となっております。大豆、こちらは豊作で、輸出数量4300万トン。前年の 3300万トンから約1000万トン増加しておりまして、金額も228億ドルと前年から31%という伸び になっております。

     一方で落ち込みが目立ちますのが原油でございます。輸 出数量は1億4700万バレルと前年の2億1200万バレルから30%減。金額は130億ドルと前年比36% という減になっております。これは原油生産設備のメンテナンスのための減産に加えまして、 特に、本年前半に国内の燃料需要が急増しまして輸出に回せなくなったものです。これをカバ ーしましたのが、工業製品のうち石油掘削用の海上プラットフォームの輸出でですね、前年比 5倍以上と大幅に伸びております。

     ただ実は、これはですね、国外の石油掘削企業にプラッ トフォームを売った形にしているだけでですね、実際にはブラジル国内で石油開発に使われて おりまして、便宜的に輸出にカウントされているものだけだそうです。これで多分、13年黒字 化を達成させるひとつの方策だったのかもしれません。

     次のページは輸出の約半分を占める一次産品の内訳をグ ラフにしております。ご覧の通り12年から13年にかけまして、原油が大幅に減少しているのが 一目瞭然です。その構成比は前年の18%から今年は11%と大きくシェアを減らしております。代 わりまして大豆が輸出品目のナンバー2に繰り上がっておりまして、金額も原油のほぼ倍近く にまで伸びております。

     続いて輸出を相手国別に見てみます。輸出相手国上位10 ヶ国は表の通りでありまして、輸出相手国第1位の中国は2009年以降その地位を継続していま す。中国向け輸出品目としては、大豆と鉄鉱石が実に8割を占めておりますが、このうち大豆 が前年比43%と大きく増えたことで、全体でも前年比12%と伸びております。

     2位のアメリカは前年比8%減少していますが、これは原 油輸出が38%減と大きく落ち込んだためです。3位のアルゼンチンは乗用車が大きく伸びて、9% 増となっております。4位オランダ、15%増、および下の方の10位にパナマがございますけれど も、前年比11倍の大幅増となっておりますが、これは今お話しした通り石油掘削の海上プラッ トフォームを便宜的に輸出にカウントしているものが大きく増えたということが原因だと思わ れます。5位日本は横ばいで、その他に増減の多い所はドイツの10%減はコーヒーや大豆かすの 減少によるものです。

     右のグラフは地域別の構成比をグラフにしたものですが 、ご覧の通り輸出先にあまり隔たりはなく、バランスがとれているということが見て取れるか と思います。

     続いて輸入動向です。商品別では原油や天然ガス、燃料 油といったエネルギー関連商品が大きく増加しています。これは原油の輸出が減少した原因と しても述べましたが、今年前半に国内の燃料需要が大きく増加したためです。燃料需要の増加 は12年の干ばつによる主力電源のダム水位が下がりまして、通常運転していない火力発電のフ ル稼働を余儀なくされたというもののためです。そのほかには輸入車規制によって自動車生産 高が過去最高を記録したことから、工業製品のうち自動車部品の輸入が大きく増加し、反対に 乗用車輸入は減少しております。

     同様に輸入を相手国別に見て行きたいと思います。輸入 相手国上位10ヶ国は表の通りです。11年までは米国が1位でしたが、12年以降は中国がトップ になっています。中国からの輸入増加は半導体や電子部品の増加によるものです。米国からの 輸入はガソリンと発電モーターが大きく増加しています。その他増減の多い所は、ナイジェリ アからは原油が増加、日本は自動車が減少、インドからは燃料が増加しています。右のグラフ は地域別の構成比をグラフにしたものですが、輸出先と同様にあまり隔たりのないバランスの とれた構成になっていると思います。

     次に対内直接投資についてご説明いたします。左のグラ フは半期ごとの直接投資額の推移です。通年で見ますと2010年は526億ドル。2011年が695億ド ル、12年が減りまして605億ドル、で13年はさらに減りまして、今493億ドルとなっております 。11年をピークに減少傾向が続いております。

     右の表でさらに国別の投資額を記載しておりますが、ご 注意いただきたいのは、この数値は直接投資ベースになりますので、低税率国を経由した間接 投資の場合などはその当該経由国の投資額となりまして、必ずしも実態に即さない形になって いるということです。つまりオランダ、ルクセンブルグ、スイスなど上位の国には低税率国が 多くなっており、税制優遇を狙いとしたSPCやファンドなどを通した投資であると推測されま す。

     中国が上位に入っていないのも、第3国経由の間接投資 を行なっているためと思われます。この中国の数字がですね、これまで発表できていなかった んですけれども、中々判明しなかったんですが、米国のシンクタンクの試算によりますと2013 年は約40億ドル、過去5年間合計では300億ドル程度の投資が中国から実施されたというふうに 見積もられております。従いまして、2013年では中国が実態としては第4位のポジションに相 当することになります。主な投資先は石油関連のようです。

     なお日本の投資先を業種別に見ますと、自動車6億ドル 、輸送機4億ドル弱、ゴム・プラスチック製品が2億ドル、機械2億ドル、保険2億ドルが上位と なっています。

     次のスライドは直接投資の業種別の表になります。大型 投資の有無で増減が決まってしまう面もありますけれども、2013年は特に石油・天然ガス採掘 業を中心とした一次産品への投資が大きく増加しております。表の一番上の農業・畜産・鉱業 の部分になります。一方工業分野への投資は32%減、サービス業への投資は24%減と、いずれも 全体として減少しております。

     次に対日貿易についてご説明いたします。前述の通りブ ラジルにとって日本は輸出で5位、輸入では7位の地位を占めております。左側が輸出ですが、 全体では12年、13年とも80億ドルで横ばいになっています。主要輸出品である鉄鉱石は微増。 鶏肉は横ばい。昨年から主要輸出品に登場したトウモロコシは引き続き増加しています。以前 はアメリカからの輸入が多かったんですけれども、アメリカの干ばつでブラジルのトウモロコ シが見直されたという背景がございます。

     一方でコーヒーやアルミ、合金鉄は減少しています。7 位の大豆、9位の大豆かすはそれぞれ増加幅が大きくなっております。10位のところに航空機 が出てきていますが、これはエンブラエルの輸出の数字がここに反映されています。13年、 JAL向けに3機、フジドリームエアラインズ向けに1機の合計4機がここの数字に反映されており ます。

     次に右側が輸入になりますけれども、全体では77億ドル から71億ドルへ6億ドル、8%の減少となっています。まず乗用車の落ち込みが大きくなってい るのが目立ちますが、これは先に商品別輸入のところでご説明した通り、輸入車規制で全体的 に乗用車輸入が減少した流れと合致します。一方自動車生産高が過去最高を記録し、ブラジル 全体では自動車部品の輸入が増えているにもかかわらず、日本からの部品輸入はむしろ減少し ています。これは日本のメーカーさんの現地生産において、日本ではなく第3国からの部品調 達が増えているからではないかと想像しております。

     また、表の中では一番下のその他に占められている、さ らに細かい商品群の減少額も大きくなってきております。なお対日貿易収支は輸入の減少によ りまして、前年の2億ドルから9億ドルへの黒字幅が広がってきております。

     最後にまとめとしまして、13年の貿易動向を総括します と、13年は年初から赤字が続きまして、上半期トータル31億ドルの赤字に転落しました。これ は国内の燃料需要の増加と石油の減産によってエネルギー関連収支が大幅に悪化したことが原 因です。

     国内燃料需要の増加は12年の干ばつの影響で、主要電源 である水力発電のダム水位が大きく低下したため、12年10月から非常用電源である火力発電を フル稼働させる事態となったためです。天然ガス発電所のフル稼働で月4億ドル、重油炊き発 電所のフル稼働で月7億ドル、合計で11億ドルの燃料が余分に必要となるので、これで上半期 だけで70億ドル近い影響があったことになります。

     一方13年はじめよりPetrobrasが生産設備メインテナン スのために減産を続けたため、燃料輸入が増加する一方で原油輸出が減少しまして、エネルギ ー関連収支が大幅に悪化したというわけです。ただ下半期に入ってからはダム水位が回復し、 火力発電の運転を停止したこと、原油生産も回復してきたことから持ち直しまして、通期では 何とか黒字に転換したという結論となりました。ただ先に輸出額の方でも述べましたが、ブラ ジル国内で使用されているプラットフォームを便宜的に計上したということだけなのかなとい うふうに思っております。

     ここで最初にお見せした半期ごとの貿易額の推移表に戻 ります。表の一番右側に今年1月単月の実績を追加しました。ご覧の通り先月、1月の単月貿易 収支は41億ドルの赤字となっています。1月の貿易収支としてはですね、過去最大の赤字を記 録しました。原因は工業製品や農産物の輸出減少ということですが、これを見る限りではまだ 、13年が黒字に戻ったとはいえ、黒字基調に戻ったとは言えないと思っております。

     今年の貿易収支の見通しにつきまして政府は当初生産設 備メインテナンスの終了によりまして原油増産に転じることからエネルギー関連収支の好転が 見込めるとしていました。しかし皆様ご存知の通り今年の1月来の猛暑・干ばつは相当なもの で、ダム水位は電力危機の起きた2001年以来の水準に低下しております。スポット市場の電力 代金が過去最高値を付け、火力発電所は2月から再度フル稼働の状況となっておりますので、 今年も燃料輸入額は高止まりとなる可能性が高く、厳しい収支が続くと見ております。

     ちなみにですね、電力代金、水力が動いている時はです ね、kw/h当たり20レアルぐらいの数字なんですけども、現在800という非常に高い過去最高の 数字を付けているようです。

     前回の発表ではPetrobras次第だろうなと、13年の貿易 収支のことは申し上げましたけれども、ワールドカップ、選挙へ向けてですね、どうなるのか というのはもうPetrobrasよりもブラジルの天気次第なのかなというふうに感じております。 この干ばつが続くとやはり大変なことになってしまうんじゃないかと思って非常に心配してお りますが、火力発電をお持ちの地場の会社の方たちはある程度安心した経営ができるのかなと 逆に思っております。以上で貿易部会からの発表とさせていただきます。

    司会
     ありがとうございました。それではご質問のある方いらっしゃいましたら挙手をお願いいた します。よろしいでしょうか。それでは伊吹部会長どうもありがとうございました。
     それでは続きまして化学品部会、友納部会長よろしくお願いいたします。

     

     

  • 化学品部会 友納睦樹 部会長

    化学品部会 友納睦樹 部会長

    Pdf化学品部会

     よろしくお願いします。ただ今ご紹介にあずかりました 、FUJIFILMの友納と申します。1月より化学品部会の部会長を務めさせていただくことになり ましたけども、サンパウロには2年半おりますが、実はこのシンポジウムに出させていただい たのは初めてでございまして、大変不慣れでございますけれども、色々とふさわしくない点も あるかと思いますが、ご一緒いただければと思います。

     化学品部会は46社の会員によって構成されておりまして 、いずれも化学の技術によって作られた様々な原材料、製品等を様々な市場分野あるいは業界 に販売しております。自動車ですとか電機ですとかそういったような明確な市場分野あるいは 業界を定義することはできません。また一方で金融ですとか商社の方のようにですね、マクロ 経済を見ながら仕事をしているわけではございませんので、少々今日のプレゼンについては大 分散漫な点もあるかと思いますが、申し上げたいと思います。

     FUJIFILMは化学品会社というふうに言いますと非常に不 思議に思われる方もいらっしゃるかと思うんですが、私どもは87年にダイセル化学から分離独 立いたしまして、まあ化学の会社でございまして、移動分野、印刷分野のケミカル、化成品で すね、最近では電子材料ですとか半導体製造用の材料、あるいは医薬品ですとか化粧品等々も 手掛けております。

     化学品部会の部会長は2年の任期でございまして、社名 のABC順で担当することになっております。で、プリンシパルの会社が25社あるんですけれど も、これ一回りするのに50年かかるわけでございまして、50年に一度の部会長に当たりまして 私は幸せなのか不幸なのかよく分かりませんけれども、まあいずれにしても新しい血と新しい アイデアをですね、今後入れて行くということで、今後は1年に短縮するということをですね 、ぜひ部会の中で提案していきたいと思っています。相談せずに私勝手にここで言っています けれども。

     今回のシンポジウムに当たりましては、過去の例になら いまして会員各社にアンケートを実施いたしまして、定性的ではございますけども、その結果 をまとめたものをここで発表させていただきます。業界とその市場分野が非常に散漫で少々退 屈かもしれませんけれども、お付き合いいただければと思います。皆様大体、大分お疲れで、 眠気も誘わないようにですね、手短に進めたいと思います。

     これがですね、アンケートが48社に実施いたしまして、 28社から31回答いただきました。事業内容ごとに回答をお願いいたしましたので一部の会社か ら複数回答をいただいております。

     回答を得た会社のうちですね、約3分の1がこの3年間に ブラジルで創業しているということが分かりました。日本の多くの化学会社でブラジルの市場 に対する期待が非常に高まっているということが言えるんじゃないかと思います。

     この31の回答についてですね、分類を試みてみました。 これ非常に難しいんですけども、この4つのカテゴリーに分けてみました。

     まず工業材料ですけれども、合成樹脂、合成繊維、樹脂 フィルム、ファイバー、中間体、着色剤等々、まあこういうようなものをですね、様々な工業 生産の原材料として様々な業界に販売しているということでございます。主たる取引先として はですね、自動車、電子機器、食品、化粧品、医薬品、薬品、製紙、建築材料等々と、様々な 業界に販売をしております。

     消費財。これ9回答ございますけれども、化粧品、一般 医薬品、香料・香粧品、瞬間接着剤、筆記具・文房具、医療用フィルム、印刷用刷版、印刷用 インキ等々、こういうようなものがございます。私事ながら医療用フィルムと刷版、これは私 どもFUJIFILMでございます。

     農業・畜産についてはですね、農薬、飼料添加物。石油 製品については潤滑油等々ということでございます。

     印刷用のインキは去年は工業材料の方に入っていたんで すけれども、印刷の業界というのは98%が10人未満の小さな零細業者でございますので、今回 分類を変更しまして消費財の方に入れました。

     品目の定義、あるいは分類の線引きが非常に難しくてで すね、若干無理がございますけども、その点ご理解いただけると思います。

     この分類に会員会社の名前を入れてみるとこういうふう になります。工業材料の方はですね、このように原材料を作っている会社がございます。それ から消費財となるとですね、このように様々な、ちょっとその化学品会社らしからぬ名前が並 んでおりますけれども、こういう会社でございます。それからこれが農業畜産。それからこち らが石油製品でございます。

     2013年の回顧とですね、2014年の展望に関しまして、売 上と利益それぞれについて、2013年から見た2012年との実績の比較と。それから2014年の見通 しについてうかがったものをまとめたものがこちらでございます。これ化学品部会全体の合計 でございます。

     2013年の前年比の実績。これは売上で見ますと増加57% ですが、減少が21と、これが非常に増えております。ところが来年はですね、増加が71だと、 で減少の方も減っていると。利益を見てみますと、2012年から2013年で減少が非常に増えてい ると。まあこの辺りはレアル安の影響も出ているんじゃないかと思いますけれども、非常に減 少が多かったと。増加は非常に少なかったと。来年はですね、まあ不変が多いながらも減少は 減っている、まあ増加するということを期待しているということじゃないかと思います。こち らの隅にございますのは、2013年の実績が2012年に対して予測通りであったかどうかというも のをアンケートした結果でございます。

     これを工業材料分野だけで見てみますと、大体全体と同 じような傾向と言えると思います。

     これは消費財製品を取りだしてみたものですけども、先 ほどとちょっと違うのはですね、まず顕著なのは、2013年を2012年に対して減少したという会 社が一社もなかったと。しかも来年もですね、減少するであろうという会社は全くない、非常 に増加という、売上が増えるという点でですね、他の分野とは違っていると言えると思います 。利益はですね、やはりかなりの会社が、半分近い会社が減少したと言っていると。ところが 来年はですね、増加するであろうと、非常に期待をしているということだと思います。

     農業畜産関係ですけども、これは2013年についてはです ね、きれいに三分しております。来年はやはり増えるだろうということだそうです。利益もで すね、やはり減少したというところが半分近くあるんですけども、まあ来年は増加というより も不変だろうと。ちょっとペシミスティックな結果が出ております。

     石油製品。これは2社しかないのであまり、意味がある かどうかという話もありますが、2社ともですね、対前年で増加していると、来年も増加する であろうと。利益はですね、まあ来年は1社は増加、1社は不変という結果でございました。

     数字の背景についてアンケート回答を整理したものをご 説明します。まず第一にですね、景気減退によって販売の伸びは鈍化しているものの、市場は 拡大していて、増販を期待していると、こういう見方が大方でした。これは13年の回顧と14年 の展望を一緒にしていますけども、基本的には同じような傾向でしたので、あえて分けること は致しませんでした。

     2番目はですね、やはりレアル安の進行によってUSドル 建、ユーロ建輸入製品・材料のコストが上昇して利益を非常に圧迫していると。それから3番 目に人件費、現地調達材料コスト、各種経費がですね、インフレによって上昇して利益を圧迫 していると。それから高金利の負担が経営を圧迫していると。こういった声が非常に多くござ いました。

     それから、特に工業材料ではですね、アジア等からの安 価品、廉価品の輸入が非常に増えて価格競争が非常に激化してですね、採算が悪化していると いう報告が多数ございました。で、レアル安とインフレによるコスト高に対してですね、この 競争によって販売価格に転嫁することが非常に難しいということのようでございます。

     その他、回答がありました背景を列挙いたしました。ま あこちらはそれぞれ、それほど大きな、まあ共通の意見というわけではございませんけれども 、いくつか出た内容を列挙して参りました。国内産業が疲弊して投資を抑制しているため販売 が減っていると。あるいは好調な自動車業界向の原材料売上が伸びていると。先ほど好調では ないというお話もありましたけれども、あるいはローカルコンテンツの問題で日本製の、日本 製といいますか現地で生産しているですね、原材料を使っていただいているということかもし れませんけれども、いずれにしても原材料売上伸びていると。

     それから低調な二輪業界向の原材料売上が減っていると 。それから円安によって価格競争力が上昇したという声もございました。それからこれも複数 あったんですが、売掛金の焦げ付きが増えていると。それから専門知識を持つ有能な人材の確 保が難しい。高関税によって国内産品に対して価格競争力が低いと。それから法規制が事前通 知なく変更されて、輸入通関で長期間滞貨するケースがあると。ANVISAの審査に極めて時間を 要して、新製品の発売が中々できないと。まあ13、14、15というのはですね、これは根本的な 問題で、皆さんご苦労されているのではないかと思います。

     農業・畜産だけはですね、全体とちょっと傾向が違いま して、別にスライドを作りました。まず農産物の作付面積が増加していると。それから主要農 産物の価格が高止まりしている。経済成長、人口増によって食肉需要が増加している。それか ら健康志向によってですね、鶏肉の消費が増加している。それから円安によって欧米製競合品 に対して価格競争力が上昇していると。

     こういうプラス要因がある一方でですね、綿は価格低迷 によって作付面積が低下している。サトウキビ産業は低迷していると。それから品種改良によ ってですね、選択性除草剤の需要が減少していると。これは工業製品と同じですけども、アジ アからの安値品の輸入が増えてですね、競争が激化していると。こういったマイナス要因があ るということでございました。

     で、副題の方でですね、どうしたブラジル経済―ワール ドカップと総選挙のインパクトというお題に対してですね、別にアンケートをいたしました結 果をですね、簡単にまとめましたので最後にご報告したいと思います。

     まず、回答27社いただいた中でですね、ワールドカップ による事業へのインパクトはほとんどないというのが44%。それから総選挙によるインパクト はほとんどないというのが63%と、ほとんど半分の会社がですね、インパクトはないという回 答でした。

     ワールドカップの方はですね、これは皆さんのそれぞれ の部会とそれほど大きな違いはないんじゃないかと思んですけども、まず取引先の工場の稼動 日数が減って売上が減少すると。それから交通の混乱による物流等業務への支障を懸念してい る。航空券、ホテル高騰でですね、出張に支障があると。それからスタジアムですとかホテル ですとか、そういう建築関連でですね、出荷増を想定したんだけれども予想外に出ないと。 それからこれは私、FUJIFILM関係なんですけども、印刷物やサイングラフィーの需要が高まっ てインクの販売が増加していると。これ私のところだけ何か増加して申し訳ないんですけども 。ワールドカップサッカーによる電気製品、特にテレビの需要増大による原材料の販売増とい うのがあるのではないかという話でございました。 それから、最後ですね、国外からの来訪者が増えることで食糧および防疫の需要が高まり、農 薬、家庭用殺虫剤有効成分ですとか、衛生薬、養鶏・卵用の飼料添加物の販売増が見込めるん じゃないかという意見がございました。

     あとは総選挙の事業へのインパクトでございますけれど も、選挙前はですね、現政府によるばらまき政策や貧困層への優遇で個人消費の拡大につなが って事業に好影響があるのではないかと。それから交通・通信等インフラへの公共投資によっ て雇用が創出されるのではないかと。選挙後はですね、一方で財政緊縮に変わって、ブラジル 経済が停滞して需要減退の悪循環に陥るのではないかという懸念があると。 それから新政府発足後のですね、経済政策、特に税制や為替市場の統制の如何で事業経営に影 響を受ける可能性があるだろうと。これも申し訳ないんですけども、選挙に向けて、印刷物お よびサイングラフィーの需要が高まってインクの販売が増加すると。弊社と東洋インキさんだ けがこういう意見だったんですけども、プラスの要因がございます。大統領選挙の前はですね 、あと、医療関連製品の公共入札が凍結されるため売上が急減すると。こういうような影響も ございます。

     以上簡単ではございますけれども、化学品部会からの発 表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会
     ありがとうございました。それではご質問のある方、挙手をお願いいたします。よろしいで しょうか。それでは友納部会長どうもありがとうございました。  それでは続きまして、繊維部会からのご報告をお願いいたします。上野部会長よろしくお願 いいたします。

     

     

  • 繊維部会 上野秀雄 部会長

    繊維部会 上野秀雄 部会長

    Pdf繊維部会

     それでは繊維部会から発表させていただきます。繊維は 川の流れにたとえますと、原料の川上、それから織物とかニットとかいういわゆるテキスタイ ルの川中、それからアパレルとかアクセサリー、小売の川下というふうに区分されますが、流 れに沿ってご説明して最後にまとめを申し上げます。

     まず最初に綿花についてです。近年の世界の綿花需給、 ならびに相場の行方は中国次第になっています。世界第1位の綿産国である中国は、自国の消 費量をほぼ賄う生産量を持ちながら、国内の綿花農家を保護するため、国策として大量の綿花 を輸入し、在庫を積み上げてきました。 そのため、2013年のニューヨーク定期綿花相場は季末在庫が記録的な高水準にあるにもかかわ らず、80セントから90セント/ポンドと堅調に推移しました。中国政府は昨年備蓄在庫を大量 に放出しましたが、その価格はニューヨーク相場よりも3割以上も高く設定されており、ニュ ーヨーク定期相場を下支えしました。

     2014年度は中国、ブラジル、オーストラリアが在庫を増 やし、世界の綿花季末在庫は昨年比9.5%増加する見込みです。世界の季末在庫量を消費量で割 った在庫率は、昨年の84%から89%へとアップします。中国の在庫は全世界の実に、これですね 、6割を占めておりまして、今や国際綿花相場は中国の国策如何に委ねられていると言えます 。

     次にブラジルの国内の綿花について述べます。ブラジル は中国、インド、米国、パキスタンに次ぐ世界第5位の綿花生産国です。2013年度は植付面積 の減少やバイーア州での虫害、虫の害ですね、の影響で、生産が前年比30%も減り、特に上級 綿では供給不足が起こりました。ブラジル国内の綿花相場は下げ局面が少なく、2013年度は一 貫してジリ高の相場推移となりました。

     2014年は綿花栽培の中心であるマット・グロッソとバイ ーア州で昨年よりも20%植付面積が増え、ブラジル全体の綿花生産量は25%増加する見通しです 。まあ最近の降雨不足とか虫害による減産、品質の低下が心配されていますが、おおむね順調 にいき、6月の末ごろには新綿が出始めると見込んでいます。

     続きまして綿糸について申し上げます。2013年の綿糸の 輸出は、レアル安の影響で2年連続して増加したものの、数量はわずかで、国際競争力を喪失 した定番綿糸の輸出は実質ゼロの状況です。一方、綿糸の輸入は、レアル安と国内の綿糸市況 が勢いに欠けたことから、前年より若干減りました。

     2014年も輸出は当面復活の見込みはなく、輸入もレアル 安基調が続くと見られますので、国内綿糸相場がよほど高騰しない限りは昨年並みに留まると 予想されます。

     次にブラジル国内の綿糸市況について申し上げます。 2013年上期は消費の減速、アパレルやテキスタイルメーカーの在庫増、製品輸入の増加などに より、軟調に推移しました。下期に入ってユーザーの在庫調整が進むとともに綿糸市況も堅調 に転じました。オープンエンド糸も競合する輸入糸がレアル安で頭打ちとなる中、販売を伸ば しました。しかし、原綿相場が高止まりする中、市況は価格転嫁できるほどの力強さはなく、 紡績にとって採算的には大変厳しい市場環境でした。

     2014年の展望ですが、業界再編の動きがさらに加速する と思われます。賃加工請負の地場資本紡績との競争激化、アパレルメーカーの縫製部門のアウ トソーシング化、染色業者によるテキスタイル外販事業進出など、各分野で既存業者の整理・ 淘汰が加速すると思われます。

     ワールドカップ、総選挙の期間中、マーケットがスロー ダウンすると予測され、景気の先行き不透明感もあって、小売・アパレルが早い段階から必要 以上に過度に在庫調整、発注抑制を行なう懸念があります。しかしながら、ワールドカップと 選挙はマーケットを活性化させるチャンスでもあります。新たな商品を販売促進していく動き が業界に求められていると考えます。

     続きましてテキスタイルについて申し上げます。2013年 の織物あるいはニットといったテキスタイルの輸入量は前年比2.7%の増となりました。綿やウ ールといった天然素材は高値の影響で減りましたが、合繊織物の輸入が二桁増で伸びました。 婦人服のトレンドが合繊にシフトしたのと、ブラジル国内に合繊織物を製造できるメーカーが 少ないことが理由です。昨年1月から11月の織物生産は前年同期比1.8%減少でしたが、小売り 段階の販売量は3.4%の増加です。アパレルや小売チェーン店などは織物を輸入して縫製するよ りは製品輸入を選択する傾向が強くなっています。

     2014年も輸入増・生産減の傾向は続くと予想されます。 少々のレアル切り下げやセーフガード強化ではこの傾向は止められないと考えています。テキ スタイル分野の国内生産の減少は化合繊原料メーカーをも直撃しており、ブラジルで唯一、ビ スコースレーヨンのファイバーやフィラメント、紡績糸を生産していた大手メーカーが昨年末 に工場を閉鎖し、この分野から撤退しました。

     続きまして小売、それからアパレル、アパレル付属です ね、アクセサリーについて申し上げます。2013年、ブラジルの経済成長率は2.3%となりました が、実感的にはマイナス成長ではないかと思われるような年でした。上期は消費が鈍いうえに 暖冬で秋冬物が不振。抗議デモの頻発がさらに消費の足を引っ張りました。小売商戦は母の日 は不発、6月末まで暖かい日が続き、在庫処分のバーゲンは例年より2週間早めて実施されまし た。

     7月末になって今度は記録的な寒波が到来して冬物在庫 は処分できましたが、春物は立ち上がりが遅れ苦戦しました。そのため11月末のブラック・フ ライデーからバーゲンが始まってしまい、クリスマス商戦はこの10年で一番悪い状況でした。 インフレによる家計圧迫や債務過剰により、消費者の衣料品に対する低価格指向が顕著となり ました。

     アパレル業界も市場の低迷で苦戦しました。鉱工業生産 指数は11月までの累計で低調であった前年をさらに下回っており、依然として回復の兆しが見 えない厳しい環境が続きました。低価格の量販店のみならず、高級ブランドチェーン店までも がコストダウンのため仕入先を国内から海外に移転し始め、縫製工場によっては仕事が激減し てしまった所もありました。

     アパレルを分野別に見ますと、婦人服分野は比較的堅調 な販売となりました。ジーンズ以外のファッションに消費者の関心が広がり、トレンドが多様 化しました。ジーンズ業界は、ベーシックなインディゴデニムの販売はかんばしくありません でしたが、オレンジ色などカラーデニムが流行り、その生産を増やした業者は販売を伸ばしま した。また、上期に好調であったシルバーの金属ファスナーの流行は下期も継続し、前年を大 きく上回る販売となりました。

     ユニフォームメーカーはサービス業向けの需要の増大に より比較的堅調な一年となりました。靴については、一昨年の暖冬による在庫過多により、年 初の生産が伸びず、期中の追加注文も振るわずに販売は減少しました。在庫調整が一巡した11 月になり、ようやく注文が活発化し回復の兆しが見えました。ブーツ類などで金属ファスナー を装飾として使用するモデルが流行しており、販売の増加が見込まれます。

     続きまして縫製品全体に関する輸出入についてご説明い たします。2013年の縫製品全体の輸入は前年比数量で5.7%増、金額、ドルベースでは8.5%の増 加でした。レアル安においてもこれだけ増えているということは、ブラジルの繊維産業の国際 競争力の低下を裏付けていると思います。

     輸入衣料は中国が依然として6割を占めており、その重 要性は変わりませんが、中国が前年比金額ベースで107%と比較的堅調な伸びであったのに対し 、バングラディシュ、ベトナムなど東南アジア、南アジアからの輸入が112%増と急増しており まして、これらの国への縫製地シフトがうかがえます。一方、中国からのファスナーの輸入で すが、前年比119%と大幅に増えましたが、これは2012年度の在庫過剰による輸入減少の反動で す。

     2014年も輸入衣料の増加は続くと見込まれます。ブラジ ルに生産拠点を持たない、Forever21やH&Mといったグローバルなファストファッションブラン ドのブラジル進出も見込まれていて、縫製品輸入に拍車がかかるものと予想します。昨年同様 、中国のみならず、バングラ、ベトナムほか東南アジア、南アジア諸国からの輸入が増えるで しょう。

     ジーンズの輸入品も増加しますが、レディス・ジーンズ ではブラジルのジーンズがよその国にない特殊なシルエットやスタイルであることから、ZARA などに見られるように次第に国産ジーンズにシフトしていくものと思われます。まあこれは非 常に、シルエットというか、いわゆるお尻の部分が大きくてですね、非常にサイズバリエーシ ョンが多岐にわたるということで、中々海外から入りにくいということがあると思います。

     2014年は3月のカーニバル、6月7月のワールドカップ、 10月の総選挙と、1年が慌ただしく過ぎるでしょう。マーケットがスローダウンし、多数のア パレルメーカー、小売チェーン店が今年は厳しい年になると予想しています。

     最後に繊維部会としてのまとめを申し上げさせていただ きます。これまで見てきましたように、ブラジルの繊維産業の現状を申しますと、原料である 綿花を除いて、川上の合繊メーカーや紡績、川中のテキスタイルメーカー、川下のアパレルメ ーカーや縫製工業のいずれの製造部門も需要の低迷、生産減に苦しんでいます。一方で、分野 ごとのばらつきはありますが、小売部門は景気後退といっても需要は伸びていて、そのギャッ プは輸入衣料など輸入縫製品が埋めています。

     この資料にございますように、2002年から2013年まで、 過去11年間でFOBベースの輸入衣料は1億1000万ドルから23億7600万ドルと実に22倍に増えてい ます。WTO上限の高い輸入関税を課しているにもかかわらずこんなにも輸入が増えているのは 、ブラジルの繊維製造業が国際競争力を喪失している証と言えます。

     これは、いわゆるブラジルコストによる価格競争力の低 下が大きな要因であることは間違いありませんが、繊維産業自体のイノベーションの遅れも大 きな問題です。繊維製品を作るためには、原料のほかに高性能な繊維機械、染料や各種助剤な どのケミカル、テキスタイルデザインとかアパレルデザイン、パターンナー、あるいは品質管 理などの人材など、ハード面、ソフト面ともに様々なものが必要です。一部の有力大手アパレ ルはこれらを自前で完備し、積極的な投資も継続していますが、古い製造設備で昔からの汎用 商品に甘んじている繊維製造業が過半であると思います。

     トレンドの商品や合繊関係、高機能製品などは、国内で 作ろうにも原料や中間材も含めて生産背景がない、手っ取り早く輸入に頼るしかない、という ことになります。前回のシンポジュームでも申し上げましたが、国内繊維製造業の力をつけて 、内需のみならず輸出もできうるような国際競争力を得るための施策が急務であると考えます 。

     最後に本日の副題であります、ワールドカップ、総選挙 のインパクトについて、部会で協議した結果を報告いたします。

     選挙については経済や景気にどう影響していくのか、大 変気になる問題ですが、これらの分析はコンサルタント部会など専門の皆様のご発表にありま したので、それにお任せします。まあかつては選挙の年はですね、運動員のTシャツがたくさ ん売れて、そういう特需がありましたけども、最近はそういった直接的なインパクトはあまり ありません。

     一方、ワールドカップですけれども、期間中、特にブラ ジル戦がある日は、生産現場や小売店頭などほとんど休業もしくは開店休業になるため、生産 減・販売減といったマイナス面があります。まあしかし、レプリカ・ユニフォームや関連グッ ズなど繊維製品の直接的な需要の増加が期待されます。また、市場が活性化され消費の拡大が 大いに期待されます。ブラジルがワールドカップで優勝して、消費回復の起爆剤になることを 切に祈りまして、繊維部会からの発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございま した。

    司会
     ありがとうございました。それではご質問のある方、挙手をお願いいたします。よろしいで しょうか。それでは上野部会長ありがとうございました。
     それでは続きまして建設不動産部会、三上部会長よりご報告いただきます。よろしくお願い いたします。

     

     

  • 建設不動産部会 三上悟 部会長

    建設不動産部会 三上悟 部会長

    Pdf建設不動産部会

     お疲れ様です。建設不動産部会の三上です。よろしくお 願いします。  今日はですね、順番としては部会内の現状認識と取り巻く環境ということで、商工会議所建 設不動産部会のお話です。次に不動産市況の動向ということで、主にサンパウロ州、サンパウ ロ市周辺ですね、のお話をします。それから3番目は建設業界の現状ということで、これはブ ラジル全体のお話をしたいというふうに思います。よろしくお使いください。

     最初に、部会内のアンケートと、それから討議をしまし た。非常に皆さんの発表と趣旨の違うことを言い出しますので、申し訳ありませんが。建設に つきましてはですね、大体10%以上の受注増ということで、非常に好調な1年ということであり ました。これは主に自動車産業様のお引き合いが多かった。 サプライヤーさんのお引き合いが多かったということであります。それに対して、非日系です ね、非日系のヨーロッパ系、アメリカ系の案件はですね、ほとんど計画凍結・延期、多かった です。ということで今年、おそらく、今打ち合わせとかも結構進んでいますので、建設自体は 今年も微増だろうというふうに読んでいます。

     次に不動産。これは主に皆様の仲介、アパートの仲介が ほとんどの今状況ですので、取扱量は進出企業が増えているということですから、当然取扱量 が多くなるし、今年も多いだろうというふうに読んでいます。ただですね、非常に利鞘が少な い、と泣いておりましてですね。儲けない。赤字が続きそうだということなんで、経営自体を 変えて行かなくちゃいけないのかなと。つまり自身でアパートを買って運用していく、貸して いくみたいなことを考えなくちゃいけない時期かもしれないというのが部会内の話になります 。

     それから特殊技術。これは止水だとかそういう建築土木 の特殊技術ですけど、今年も絶好調ですね。3倍増と言ってくれと言っていましたので言いま すけど、昨年、一昨年よりも3倍増。機械を入れたのに人手が足りないということを報告があ りました。で、今年も好調でしょうということです。

     それから今年部会に来ていただいて討議に加わってもら った方に建材の小売のご商売の方がいらっしゃいまして、これがどうだったかというと、10月 以降が販売がものすごい増えた、これまでにないような販売でしたというご報告がございまし た。これはですね、9月ですかね、10月ですかね、ブラジルで言うC・D、低所得者向けの10年 ローンのカードが出た、どうもそれらしい、ということがあって、驚くべき販売増にありまし たと。で、今年も好調続きそうですというお話がありました。

     ここでですね、今年の展望の中にワールドカップはどう なのというお話をするんですが、僕たちほとんどワールドカップは無関係。スタジアムの建設 にも関係していないし、何も関係もないんですが、唯一、何日間休むんだろう、作業員ですね 、それだけが心配なんです。あまり休んでほしくないなと。早く負けると問題だし、優勝する とどこまで騒いでいるんだろうというのがありますので、それだけがここで心配ということに なります。

     次にサンパウロ州、あるいはカンピーナス辺りの不動産 の市況の状況ということでこの表を出しました。大体サンパウロから100キロ、150キロの辺り 。ご覧になって分かると思います。この数字が平米当たりのReaisですね。これが1年間の上昇 率。ですからおおむね30%は上がっている。ですから私、サンパウロに来て3年経ちましたけど 、大体倍、超したかなという感じです。

     で、最近とみに値上がり率が高いような気がしているん ですけども、この辺というのがですね、あるいはまあ、100キロ圏内というのは日系企業さん が主に進出する場所に今なっています。ですから進出した途端にぽーんと上がるのが今この周 辺の相場になっています。トヨタさんには申し訳ないんですが、エンジン工場を決めましたと 言ったら倍になりました、こういうのがこの辺の、造成をまだしていないところの更地の値段 。今トウモロコシ畑かもしれませんし、何を植えているか分からないんですが、とにかくその 辺、造成をしていない値段です。ここでご報告をしたいと思っていました。先ほど言いました ように、進出される方がまだ続きそうなので、この価格はまだ続きそうですということは、不 動産屋さんも明確に答えていただいていました。ということです。

     次にサンパウロ市内に入ります。これは分譲マンション のお話です。分譲マンションにつきましては、2012年がすごく低調でしたよ。統計でいくと 2013年は戻ってきましたね。サンパウロ市は年に3万戸の売買がありますねというのがこの数 字です。

     ところが私が実際に不動産屋さんに行ってヒアリングを かけたら、ちょっと様子が違うんですね。何が違うかというと、2011年あるいは12年辺りまで は、個人のお客さんがマンションを契約をして、それが一杯になると建てます。日本とは全然 違うやり方ですね、というやり方をしてきたのが通例。ところが去年辺りから、契約がなくて も作っちゃいますというのが増えているそうです。

     ということはですね、個人の契約からディベロッパーあ るいは建設会社ですね、もう自分たちで買っちゃった格好にして建てる、建物を建てる、ある いはそれで契約をしましたよという数字がどうもここに入っているんじゃないかなと思います 。ですから見た感じもそんなに増えているという感じはしないので、この契約のあり方は今、 サンパウロ市、あるいはブラジルかもしれません、個人の需要がちょっと低調かもしれないと いう流れにあるかもしれないなというのがこの表の読み方だと思います。

     で、前回もご報告しました。2008年と2013年を比べると 、1ベッド、2ベッドの割合が倍になりました、ということですね。要は小さな部屋の、小さな 部屋じゃないですね、小さな一戸に大きく変化をしました、ということです。これも一般的に 言えば核家族化の進行ということだろうと思います。都市化に立ってきたなというふうに言え ると思います。

     あるいはもう一つ言えるのは、離婚率が大きくなったか らかなというのもその要因かもしれません。これで影響を受けているのはですね、ご家族を連 れてきている駐在員の方々。実は3部屋4部屋の物件が増えていないんですね、実際いま。中 々薄い状態、数がないという状態が続いているということがここでも分かると思います。

     これが今度は家賃ですね。賃貸。賃貸はですね、破竹の 勢いで伸びていたのがぐーっと収まってきています。赤がリオデジャネイロ、青がサンパウロ です。物価上昇率と同じぐらいかなというところまで今下がってきておりましてですね、ここ で記事にはできなかったんですけど、リオデジャネイロですね。2013年で、冬場、実は値下が りした期間が3ヶ月あったという報告がありました。これまで冬場の横ばいというのはあった んだそうですけど、初めて、ここのところですね、値下がりが起きたということで、賃貸につ いても横ばいになるかもしれないなというムードがあります。

     ただし、賃貸とか売買の専門の雑誌なんかを見ますと、 全く違うことを書いています。まだ20、30の値上がりをしますよ、底を見せていませんという ふうに書いていますので、投資を呼ぼうと思っているのかなという気もします。ですからいず れにしても潮目は変わってきているんだろうなということが言えると思います。

     これはいつもの不動産市況の状況ですが、サンパウロ、 いつも高い高いと言っていますけど、まあ見慣れてしまった数字なんですけど、サンパウロは ただ部屋としては大きいので、一概にやたら高いというふうにも言いにくいなというふうには 思っています。これはカマラのホームページにも載っていますので、ご参考にしていただけれ ばと思います。

     今度はブラジル全体のお話、建設業界のお話です。建設 物価はどうなのかと言いますと、8.1%。去年8.1%の上昇でした。実は2012年の終わりにですね 、僕はセメントが上がるよ、鉄骨が上がるよ、10%上がるんじゃないでしょうかというふうに 予想しましたが、実は8.1%で収まっておりました。これはですね、鉄骨がここのところ横ばい です。セメントがちょっと上がりました。鉄筋棒もかなり落ち着いてはいます。上がっている のはこれですね、労働者の賃金。去年も8.99%上がっていますので、建設業の建設価格という のは労働者賃金に引っ張られているということがここで一目瞭然になると思います。

     セメントについてお話します。去年までセメントが大体 建設市況のバロメーターかなということでお話していました。去年は大体7000万トンになった だろうと思います。去年のデータが9月までしかまだまとまっていませんので、その時点では 前年に比べて2.36%の量が増えています。ですから、まあ停滞していると言った方がいいと思 いますね、建設業界。で、11年12年で結構な伸びを示しています。さかのぼって言いますと、 ワールドカップのスタジアムの効果が少しは出ているのかなと、今になって思っています。

     こういうことが何で言えるかといいますと、実は今回鋼 材のお話をしたいと思っています。鋼材は先程、機械金属部会の相原部会長からお話がありま した。データはこれ同じですね。2013年、去年の鋼材の国内販売量は約2300万トン。伸びで 5.4%伸びています。前年比ですね。ここにきてポーンとこう上がっているんですね。これ別に 鉄が下がったから増えた訳じゃなくて、これこそが多分ワールドカップの鉄骨だろうというふ うに思います。

     ジルマ大統領が、ワールドカップをやると鉄骨800万ト ン消費量が増えるはずだと言ったそうですが、100万トンぐらいは増えたのかなという気はし ますが、その効果はここであると思います。で、鉄、あるいは鋼材というのはですね、その国 のインフラのレベル、あるいは投資の大きさを示すというふうに言われていますので、ちょっ と各国ごとどんな状況かなというふうに思います。

     こちらが鋼材が一人当たり何キロ消費しているかという 数字ですね。こちらはセメントが年間どれぐらい、何キロ、一人当たり消費しているかという 表になります。中国はですね、どう見ても割に合わないので、除外したいと思います。日本だ とかドイツだとかいうこの辺は、鋼材は一人当たり500キロ。アメリカで300キロ。あるいは新 興国のベトナムだとかで140とか、インドネシアは低いんですけどね。ブラジル、メキシコは ほぼ一緒、130、140キロですと。

     かたやセメントはどうかと言いますと、ブラジルは結構 な消費量を示しています。日本が340、ドイツが333、遜色ない数字ですけど、文化的にブラジ ルというのは壁という壁全部モルタルを塗りますので、すごいセメントの消費量のはずなんで すね。日本と比べたらはるかにブラジルの方のセメントが、多く壁を塗るんですね、使われて いると思います。

     ですからインフラに使っているかというと、一概に言え ませんから、おそらく、どれぐらいですかね、半分ぐらいになっちゃうのかなという気がしま す。ですから、とりあえず鋼材だけ言いますと、ブラジルの133というのはまだまだ伸び代が ありますよということが言えると思います。鋼材の割合を大小で並べるとこういうことですよ ということになります。

     で、一通りお話をしました。今お話した、土地は、周辺 は土地は上がっています。土地の上昇はかなり横ばいに近くなっていますよ。新築件数は停滞 していますよ。潮目が変わるかもしれませんというのが注目です。

     これ、懸案事項をまとめておきました。ワールドカップ はそんなに影響ないんですけど、選挙など、と書きましたけども、我々建設業界にとって選挙 で市長さんが変わるのは、行政業務滞留がすごいんですね。担当者が変わるだけでもすごいん です。

     何かというと、着工許可、まあ環境だとか建築だとか消 防ありますけど、とにかく止まってしまう。先が読めない、ということがあります。ですから 簡易化、スピードアップを何とかしなきゃいかんのでしょうというふうに書かせてもらいまし た。

     もう一つ、さっき言いましたように、鉄骨がまだまだ使 えるでしょうと言うんだけど、使えていない理由というのはおそらく税金と関税なんだろうと 思っていますね。で、投資をすればできるんでしょうという話なのか、鉄が安くなるとインフ ラがやりやすくなるんでしょうね、もういたちごっこみたいな話なんですけど、僕たちができ るのは鉄骨価格が下げれるような法改正ができればおそらく鉄骨はどーんと伸びて行くなとい うふうに感じています。ですから僕たちの部会としての取組もしないといけないなというふう な思いでここに書かさせてもらいました。。ということで、今回の部会の発表を終わらせても らいたいと思います。ありがとうございました。

    司会
     どうもありがとうございました。それではご質問のある方、挙手をお願いいたします。よろ しいでしょうか。それでは三上部会長どうもありがとうございました。  それでは続きまして食品部会からのご報告をお願いいたします。山口部会長よろしくお願い いたします。

     

     

  • 食品部会 山口修一 部会長

    食品部会 山口修一 部会長

    Pdf食品部会

     食品部会の報告を不二製油の山口がさせていただきます 。それではまず目次の方ですけども、食品関係の方は会社の性格といいますか、製品も含めま して異なりますので、各社の状況を各社ごとで説明させていただきます。それとあと原料動向 につきまして、主だった原料につきまして昨年および来年の動向を説明させていただきます。 次お願いします。

     それでは次2ページにわたりますスライドにおきまして 、2013年度の回顧を説明させていただきます。

     まず調味料製造関係ですけれども、2013年、数量におき まして7%増加しております。その背景としましては、地道なセールス活動と25年のキャンペー ンを打たれました。そういった背景がございます。

     続きまして乳酸飲料ですけども、乳酸飲料関係も数量に おきまして6%伸びております。主要製品の値上げはされましたけども、ここの会社の特徴でご ざいます宅配販売の活動におきまして成果を出しておられます。

     続きましてインスタントコーヒーの販売ですけども、レ アル安におきまして販売数量というのは伸びましたけども、昨年豊作で相場が下がりましたの で金額的には5%強のマイナスとなっております。

     続きまして弊社の製菓用油脂でございますけども、この 製菓油脂と申しますのはチョコレート用の油の代替脂でございまして、現在ココアバターが高 騰しておりますので、弊社、ココアバターの代替脂が数量にして2倍に増えたということでご ざいます。

     続きまして清酒関係。2013年度は目標達成できました。 その内容としましては、日本食材が牽引しました。ただ市場的には低価格品が参入しておりま して、採算的に厳しい状況が出てきております。次お願いします。

     続きまして醤油関係でございますけども、数量的には約 20%増加しております。その背景としまして、工業用での拡販、製品が伸びたということです けども、二次店の販売不足を感じておられるようです。

     続きまして代表的な即席めんの販売ですけども、数量に おきまして5%から6%増加しております。ここでY世代と書きましたけども、Y世代と申しますの はまあ現在の年にしますと23歳から37歳。この世代の親が今家庭におきましてインスタントラ ーメンをよく食べるようになったということでございます。それとあと新興市場での成長が牽 引しております。

     続きまして添加物。ここにつきましては前年と変わらず 、市場で大きな変動はございません。

     続きまして種関係でございますけども、売上は7.2%伸び ております。その背景としまして種子の市場が大きく伸びております。種子と申しましても中 身が変わっておりまして、野菜関係でなくて草花関係の種が今現在ブラジルで大きく伸びてい るということらしいです。ただし採算的にはバイオメジャーがブラジルにも入ってきておりま すので、採算的にはちょっと厳しくなってきているという状況でございます。

     続きまして香料関係。香料関係も売上に着きまして16% 伸ばされています。その背景としましては、多国籍の企業に対しまして、特に食品向けですけ ど、香料関係の需要が伸びております。ただし、レアル安とかインフレ等で採算的には厳しい 状況になっております。次お願いします。

     続きまして、2014年上期の展望ということでご説明させ ていただきます。同じ分野ですけども、まず調味料関係。2014年上期も昨年同様二桁以上の伸 びを期待されております。その背景にありましては、リテール向けの営業活動、あるいは新製 品の導入等をされて昨年同様伸びを確保したいということでございます。

     続きまして乳酸飲料関係ですけども、この会社も発酵乳 製品の方を製品で5%伸ばしていきますと。その背景におきましては、販売組織力の強化および 育成。それにあと地方販売、まあ東北部だとか中西部での販売を伸ばされるということを目標 にされております。

     続きましてインスタントコーヒー。ここは先程も申し上 げましたように、レアル安で輸出関係好調ではございますけども、やはり今年も生産が非常に 多いということがございまして、価格競争が激しくなるので採算的には多少厳しいかなという ことが予想されます。

     続きまして製菓用油脂ですけども、ここもココアバター の高騰ということは今年も続くであろうということで、やはり2桁の成長を期待しております 。

     続きまして清酒関係でございますけども、ここも目標達 成におきまして全力で臨むということで、その背景としましては営業力の強化とか、あとコス トの削減で利益も確保していくということを目指しておられます。

     続きまして醤油ですけれども、ここも同じく数量的に約 2倍の増加を期待されています。市場を見ますと最近、価格が二極化しているということで、 まあ一つではグルメ層が増えているということがございますけども、この会社さんにおきまし ては高級志向のターゲットで数量を伸ばしていくということと、あと海外にあります拠点を利 用されまして工業用を伸ばしていくということでございます。

     続きまして即席めんでございますけども、数量は5、6% の増。その内容としましては新しい東北部だとか中西部での数量を伸ばしていかれるというこ とですけども、やはり原料であります小麦粉の価格が上がっておりますので、採算的には多少 厳しいということは予想されます。

     続きまして添加物。数量増ですけども、ここは展示会等 に出されまして、数量の販売を期待されているということでございます。

     続きまして種子関係。ここも数量を7%ほど伸ばすという ことを期待されております。中身は先程申し上げましたように草花関係の種が伸びております ので、そういったものを主体に伸ばしていかれるということでございます。

     続きまして香料関係でございますけども、香料関係も対 前年と同じ伸びを期待されております。その中身としましては国内の消費の拡大を期待されて いるということと、ただ先程も申し上げましたように収益的にはかなり厳しい状況が続いてい るということがあります。次お願いします。

     このグラフは今説明申し上げましたように、主要の製品 の昨年の伸びをグラフ化したものでございます。右2本の黄色いグラフは国内総生産と国内の 小売の合計を示したものですけども、ともに2%、平均しましたら大体伸びているのが全体です けども、食品関係の製品におきましては、まあ多少でこぼこはございますけども、調味料関係 、乳酸飲料、即席めんと申しますのは5%を超える大きな伸びをしております。次お願いします 。

     続きまして、輸出の動向をまとめてみました。この上の グラフは為替の推移を示したものですけども、これは割愛します。ここに書いていますコーヒ ー、調味料、飼料、ジュース、ここらの製品につきましては皆様の製品と同じようにレアル安 の傾向を受けまして、数量のアップおよび採算性の改善というものが見られております。次お 願いします。

     次のスライドから原料関係につきましてその動向をご説 明いたします。まず砂糖でございます。このグラフは2007年から現在に至るまでの価格の動向 でございます。グラフにもございますけども、サンパウロの市場価格とインターナショナルの 価格を示しております。2009年から2011年にかけまして高値かつ乱高下を続けて参りましたけ ども、2012年、若干安定したかなというような感じがございますが、傾向にございます。ただ しまあ国内外とも豊富な供給に支えられまして、投機筋の動きも沈静化しまして、相場は最近 安定化していると。ここ1年安定化しているということが言えると思います。次お願いします 。

     続きまして乳製品の原料でございますけども、2010年か ら高値圏の相場が続いておりましたけども、2012年、やや安定した感じはございます。ただし 去年、2013年、一大供給地域でございますオセアニアが干ばつで不作がありましたので、高騰 した感じがございます。次お願いします。

     続きましてブラジルの代表的な製品でございますコーヒ ーの相場でございますけども、上の二つのグラフはニューヨークの価格と国内相場の価格です 。2012年以降ブラジルの豊作によりまして、価格は下落傾向にはございます。ただしブラジル の2014年・2015年クロップも増産傾向にございますので、2013年も価格は下落傾向にございま したけども、2014年に入りましてアラビカの産地での干ばつがございまして、多少値上げの傾 向が見られる状況でございます。次お願いします。

     このスライドで原材料の、原料関係の全体をまとめたも のでございます。近年におきます世界的な相場は高騰しておりますけども、その要因としまし てはこの四つが挙げられるかと思います。この4項目につきましてはもう2、3年言われて久し い訳ですけども、やはり新興国の消費が大きく伸びたこととか、あるいは食品以外、エタノー ル関係なんかに原料が使われる、あるいは投機関係で対象とされるというようなところが主だ った原因かと思います。

     一般的に供給量の増加等によりまして、一昨年より相場 は鎮静化しつつございますけども、これは特に砂糖でございますけども、商品によってばらつ きがございます。特に乳製品、先程ご説明いたしましたように、不作に加えまして中国等の需 要が増えておりますので、タイトな状況で値上がりは続いております。次お願いします。

     続きまして原料関係の国内。ブラジル国内の要因でござ いますけども、ここも皆さんの製品と同じく、賃金の上昇、インフレ等によりましてコスト高 は継続しております。ブラジルからの輸出品につきましては、原料に関しまして国際需要が一 段落したことによりまして、国内価格も下落しております。例えばコーヒー等が挙げられるか と思います。

     一方、ブラジルが輸入している原料につきましては差別 的な関税がございまして、メルコスール以外からの輸入されるものにつきまして、例えば小麦 だとか、あるいは乳製品等につきましては下落しにくい。要するに高値を維持する傾向にある かと思います。つまりブラジルの国内の原料につきましては商品ごとによって若干ばらつきが ございますけども、原料高は続くであろうということが想定されます。次お願いします。

     続きまして、このスライドにおきまして2013年度の回顧 ということでまとめてみました。まず国内市場はほぼ前年並みでございまして、悪くはござい ませんでしたけども、大きな盛り上がりに欠ける1年であったということが言えるかと思いま す。

     輸出関連の製品につきましては、先程から申し上げてお りますように、レアル安によりましてまあ数量および採算が大きく改善しております。原料相 場は反転しますも、レアル安によりましてインフレの影響、および失業率の低下等におきまし て労働需要の逼迫、および収益環境が苦しい状況にありますことから、採算的には厳しい状況 にあります。

     続きまして2014年上期の展望ということでまとめてみま した。まず国内需要の大きな落ち込みはないと思われます。まあ特に食品関係は消耗財でござ いますので、大きな落ち込みはないと思われますが、インフレとか賃金の調整等によりまして 、コストアップのために採算の悪化というのは懸念されます。

     次に輸出品につきましてはレアル安がまだ追い風になり まして、数量的には伸びると思いますけども、ただ新興国、特に中国とかそういったものとの 競争が激しくなりまして、ブラジルコストが中々外には通用しないというような状況も見られ るかと思います。

     続きまして、税制優遇措置を受けている企業もたくさん ございますけども、還付が思うように任せませんで、キャッシュフローの改善に寄与していな いケースが多々見られます。そういった意味で、税制の優遇措置あるんですけども、中々それ が活用されていないというのが、今年もそういった傾向が見られるということでございます。

     最後になりますが、副題としましてワールドカップ杯と 総選挙のインパクト、食品関係の、まあ総論ですけども、意見をまとめてみました。

     一般的には、総体的にはプラスの影響は少ないのではな いかと。ワールドカップも総選挙も。まあ一部の会社では消費の増加というのは期待されます けども、総体的には限定的であろうと。

     特に総選挙での影響は期待が薄いであろうと。もちろん 総選挙までの経済は落とすわけにいきませんので、それなりの需要は期待できるかと思います 。会社ごとによりましては開催のメリットを最大限に利用したいということは言えるかと思い ます。

     ただしマイナス面としまして、まあ他の部会の方からも 説明ございましたけども、人の往来が増えるにあたりまして物流体制の混乱とか、あるいはさ らなるレアル安というようなことから、経費がアップする懸念が指摘されておりました。

     簡単ではございますけども、食品部会の発表を終わらせ ていただきます。ご清聴ありがとうございました。

    司会
     ありがとうございました。それではご質問のある方、挙手をお願いいたします。よろしいで しょうか。それでは山口部会長、どうもありがとうございました。  それでは最後に運輸サービス部会からの報告です。森田部会長よろしくお願いいたします。

     

     

  • 運輸サービス部会 森田透 部会長

    運輸サービス部会 森田透 部会長

    Pdf運輸サービス部会

     運輸サービス部会の山九の森田と申します。最後の発表 なので、お疲れだと思いますけども、お付き合いください。トリということですけども、決し て引退表明ではなく、ただ単純に資料の提出が遅れたために一番最後になりましたので、よろ しくお願いします。

     それではですね、我々運輸サービス部会ですけども、こ こにございますようにちょっと多種にわたっておりまして、物流、構内物流、機工、整備、海 運、航空貨物、旅客航空、旅行、ホテル、通信、ITと、この順番で一応説明させていただきま す

     それでは最初に物流業界ですけども、まず13年の回顧で すけども、サントス港の新規コンテナターミナル、Embra Port、BT Terminalというこの二つ がオープンしております。これによってまあ能力アップになると。それと、港湾近代化の動き に対して港湾労働者、トラッカーが反発、ストが頻発ということですけども、この港湾労働者 なんですけども、これは港湾近代化法、暫定措置法の595というもので、港湾ターミナルが通 常これまで沖仲仕組合ですね、こういうものを利用していたんですけども、まあ直接雇用が可 能になったということで、それに対する、OGMOと言います、港湾組合ですね、これが反発して ストを行なったと。

     それと、トラッカーというのはですね、今サントスに行 かれた場合、皆さんご存知だと思いますけども、もう本当に朽ち果てたようなトレーラー、ト ラクターですね、これが走っております。これは無犯罪証明が取れない運転手が運行している もので、空コンだけをハンドリングできる、実コンは、要するに貨物が入っているコンテナは ハンドリングできない。空になったコンテナだけをハンドリングできるというトラッカーがい るわけなんですけども、これがやはり近代化に伴って、港湾ターミナルがやはり、非常に安全 性の問題でもやはり、見ていただくと分かると思うんですが非常にガタガタの車で、こんな車 走れるの、というものでコンテナを曳いているんですけども、そういったものを拒否したと。 それに対してトラッカーが、まあ既得権の妨害だということで、ターミナルを一時閉鎖したり した、そうした妨害を行なって、まあ一時貨物が滞留したと。そういったことが起こっていま す。

     それとあと、去年ですね、PIS/COFINS、この課税計算 方法、これが去年の10月に改正されております。これは結果としては税額が若干下がっており ます。下がっておりますけども、このプログラムが非常に、計算プログラムというのが非常に 複雑で、この制定されて即当日これが実行されるという形で、各、我々通関業者なんかもそう なんですけども、こういった計算プログラムを改修しないといけないと。これがやっぱり簡単 には改修できない部分がありまして、これにやはり数日かかっていると。そういったことで一 時、瞬間的ですけども、輸入業務に支障をきたしているということが起こっております。

     それと次に2014年の展望ですけども、まあ去年こういっ た新しいターミナルができておりますけども、ただ後背地に対するアクセスですね、こういっ たターミナルに対するアクセス、これに対してはまだ完全にインフラの整備ができていないと 。逆にこの、ボリュームが増えたことにおいて逆に停滞が起こるということも懸念されます。

     それとあと、ターミナルが増えたということにおいて、 まあ競争原理ですね。今ターミナルが、去年までは4ヶ所、今6ヶ所に増えておりますけども、 こういった事で高い港湾料金、これが少しでも下がるという競争原理で下がってくれればいい なという期待を持っております。

     それとあと、どの部会でも出ておりますけども、ワール ドカップの時期、この時にやっぱり抗議運動等こういったものがあることに対して、直接的と いいますか、間接的にそういった物流動線に対しての影響が出ることにおいて、貨物のハンド リング、デリバリー、そういったものに対しての支障が出るんじゃないかという心配をしてお ります。

     それとあとは、まあご存知のように自動車IPI関連の減 税が今年の上期に終了しますので、それに伴い、まあ輸入量が減少するんではないかというよ うなちょっと懸念を持っております。

     それとあと、次にこの海外引っ越しですけども、海外引 っ越しに関しましてはこのグラフにありますように、2012年10月から12月の間にサントス港に 到着いたしました引っ越し貨物、これが各ご家庭・ご自宅に配送されるまでの平均リードタイ ムが約、ここで94日ということだったんですけども、2013年7月から9月までの間、この到着分 では平均が55日ですね、という形で短縮されて、良い方向には向かっております。

     それで物流業界の総括としましては、まあ一昨年末の運 転手の労働法改定、それと昨年末のディーゼルオイルの値上げ等によるコストアップですね、 この傾向が継続するということと、やはりどの業界でも挙がっておりますように、人材に関し てプロフェッショナル、この確保が非常に難しい状況、これが継続していくということになり ます。

     次に構内物流。これは製鉄所構内でのハンドリング等を 行なっている部門ですけども、2013年の回顧といたしまして、ここにございますようにブラジ ル製鉄業界の国際価格競争力がないということで、協力会社に対してのコスト削減要求、およ び同業者との競争が激化したというところで、非常に厳しい1年でした。

     2014年の展望といたしましては、製鉄所の協力会社に対 するコスト削減要求、これは引き続き継続されると。さらにやはり同業他社との競争も継続的 に激化すると予想されております。反面、選挙によっても、大統領選挙ですね、これによって の公共投資等の伸び、こういったもので建設部門等の鋼材の使用、こういったものが増えるこ とによっての販売増が期待されていると。まあこれに対しての作業ボリュームのアップという ことですね、こういったものを期待しているということです。総括としては、製鉄所の協力会 社として、顧客製鉄所と同スタンスでのコスト削減に向けての強力な取組をやっていくことが 今後必須であるというふうなことになっています。

     次に海運業界です。海運業界ですが、2013年の回顧とし て、輸出量は前年比約3.1%の減。輸入量は前年比約3.6%の増加となっております。で、輸出入 全体におきまして、対アジアへの輸出割合ですね、これが約22%、輸入割合は46%となっており ます。

     物流業界でも説明がありましたように、サントス港に新 しい新コンテナターミナルが運営を開始したことによって、サントス港全体でのコンテナの取 扱量、これが約30%増加しております、またこのターミナル増加と同時に、コンテナ船の大型 化傾向ですね、これが進んでいますけども、これは世界的な傾向なんですけども、ただブラジ ルの場合は港湾の水深の問題でまだ大型船をフルに受け入れられる態勢が整っていないという ことでまだ効率化がなされていないという部分です。

     ちなみにサントス港で推進が13.5メートルぐらいですの で、TEU、コンテナ積載本数ですね、20フィートコンテナで5000コンテナですね、5000TEUと言 いますけども、から8000ぐらいの大型船、今は小さい船なんですけども、その程度しか入らな いと。8000ぐらいの船型でも足切りと言いまして、他の港で一部コンテナを下して水深を上げ て、それで入って来るという形になります。

     今一般的に、世界的に、中国とか、ヨーロッパ、北米航 路で一番大きいのは1万8000という非常に大きい船が動いていますけども、まだブラジルは小 さい船で来るということで、やはりそういうことで運賃関係もそれで高い傾向にはなるという ことですね。

     次に2014年の展望ですけども、コンテナ貨物の輸出入は 2013年を若干上回るものと期待しております。港湾それとインフラ関係におきましては、港湾 の浚渫作業、新規ターミナルの第2フェーズが稼働ということで、まあフレキシビリティーが これよりも増大して、2014年以降ですね、荷動き増加傾向にも対応できるものと期待している ということです。

     総括といたしまして、サントス港を中心に、船舶大型化 、それを受け入れるターミナル設備や港湾整備が進められる一方、今後増加していく輸出貨物 の取り扱いを効果的に行なうべく、港湾アクセスですね、これを含めた周辺施設の改善が急務 であるということを考えております。

     次に航空貨物業界です。航空貨物業界ですけども、2013 年回顧としてワールドカップ需要に伴う輸入増、これは期待しておりましたが、一部家電を除 いて目に見えるような物流増はありませんでした。2014年の展望としましては、やはりこのワ ールドカップに関しましても需要はそれほど、期待するものはあまりないんじゃないかという 予想をしています。まあ物流は横ばいの見通しということを立てています。

     また空港に関しまして、ご存じのように民営化が進んで おります。民営化された空港、ここにありますように、VCP、カンピーナスのビラッコポス、 グアルーリョス空港、ブラジリア、リオ、ベロですね。これらが民営化されております。民営 化されたことによりましてINFRAEROの、空港公団倉庫ですね、これは輸出入貨物をハンドリン グするところですけども、この、まあレイアウトとかシステム改善、これが行われておりまし て、貨物のハンドリングのリードタイム、例えば航空機が着いて貨物が通関に来て出るまでの リードタイムですけども、これがやはり短縮が図られてきていると。

     ただし、そこはハード的なことでありまして、実際その 輸入通関という部分ですね、税関の対応スピード、これは今変わっておりませんので、まあこ の辺の税関側のシステムも改善されないと全体的なリードタイムの短縮には繋がらないと。ま あ通常輸入通関の場合グリーンサインが出れば、1日とかそういった形で貨物が搬出できます ので、その分は非常に速くなってきていると。ただやはり、書類検査とか、現品検査、そうい ったものがある場合は多少時間がやはりかかる。それは時間が今のところあまり変わらないと いうところですね。

     それとあと、参考といたしまして、航空貨物の空港別の 取り扱いですけども、ここにありますように2013年はVCP、ビラコッポス空港ですね、これで ブラジル全国での貨物の35%の取り扱い。グアルーリョス空港で約29%と、この二つの空港でブ ラジル国内の64%の取り扱いを占めているという、まあ参考です。

     次に航空旅客業界ですね。これは2013年の回顧としまし て、国内線におきましては提供座席数、これは減少しておりますけども、旅客数は前年を超え て引続き好調で、旅客単価、これが2010年以降燃料費とか税金等のアップを価格に反映して毎 年約8%程度上昇しているということです。また、新規の乗り入れ、増便などの効果などもあり まして旅客数は堅調に推移していると。あと空港におきましては、効率的に離発着ができるよ うに、ここにありますように、フライトオペレーションですね、空港の、この管制機能の強化 改善が図られまして、前年比約3.6%の発着便数の増加を行なう事ができたという事です。

     次に国際線ですけども、国際線におきましては皆さんご 存知のように、中東の航空会社、これの新規乗り入れ、今確か3社あると思いますけども、こ ういったものの乗り入れ。それとあと北米路線の増便。こういったものがありまして、旅客数 は堅調に推移しているということです。

     次に2014年の展望ですけども、国内線におきましては特 に今年はワールドカップの期間中に約1500便が増便される計画で、まあ旅客単価もワールドカ ップ効果により前年比9から10%程上昇するという見込みを持っています。

     国際線におきましては旅客数が伸び悩む懸念材料がある と。それはワールドカップの海外からの流動が不透明であるということ。これは前のワールド カップ、ドイツ、南アフリカ、両大会においても、旅客数ですね、これがやっぱり減少したと いう実績があるためです。それとまたこの期間、ワールドカップが行われている期間につきま しては、ビジネス客ですね、この流動が止まるということが予想されていると。

     それとあと空港のインフラですけども、これに目を向け ますと、現在グアルーリョスの第3ターミナル、これが今建設されてワールドカップまで間に 合うかどうか分かりませんけども、これが完成すると約20%の便数の増加が期待されると。で 、同時にサービス面の向上も期待はしていると。

     ただ、ハードができただけで、ワールドカップの時に間 に合ったとしても、そのソフト面、例えばBaggageのハンドリングとかそういったものが完全 にできない可能性がありますので、まあどこまで期待できるかですね、これはもうその時にな ってみないと分からないかと思います。また、あと各航空会社での空港のインフラの改善、こ れに伴って機体の大型化や増便が今後計画されているということです。

     今後の航空旅客業界で検討される課題としましては、こ こにあるように、空港から市内間のアクセスの改善、それと国内線・国際線の乗り継ぎの便利 性の向上というものが今後の課題であるということになっております。

     次に旅行業界です。これが一番今年、ワールドカップが 開催されるということで、まあ非常に注目される部分だとは思うんですけども、旅行業界で13 年の回顧としまして、12年比で国内線売上の9%の増加、国際線の売上13%の増加ということで 、非常に堅調な伸びを示しております。この背景といたしましては主にビジネス客による売上 が伸びたということがあります。やはり各企業、進出がずっと進んでいる、こういったことの 影響。やはりそれとビジネスチャンス、そういったものでのビジネス客が増えているというこ とですね。で、これとやっぱり同じように、ホテルにおきましてもビジネス客の増加、これに 伴って前年比21%と非常に好調に伸びたということです。

     次に2014年の展望ですけども、ワールドカップ期間中に おきましては国内線・国際線のビジネス客の利用、これが大幅に下がるものと予想していると 。ホテルに関しましても、まあワールドカップの開催地での稼働率は上がる傾向にありますけ ども、まあビジネス客が低下していくということは予想しておりますので、全体としてどうい うふうになるか、まあある一時的なピーク的なことになるかもしれませんけども、この辺はど ういうふうになるかですね。

     あと総括としまして、旅行業界としてはビジネス客が継 続的に増加していることによって、まあ旅行関連は全て好調であると。で、ワールドカップの 一時的な影響もありますけども、この傾向は継続するものと予想しているということで、まあ 非常に今後期待できるということです。

     次にワールドカップ関連のトピックスとしてちょっとま とめてみました。まず最初にエアライン、ホテル共にレジャー旅行利用ですね、これが増加し ますけども、反面ビジネス旅行客が7割ほど減少すると予想されていると。あと次にワールド カップ関係で国として200万人の雇用創出計画があると。これは色んなアテンドとかそういっ たものですけども、ただこれら人材の教育、トレーニング、こういったものがまあワールドカ ップ開催までに間に合うかどうかが懸念されているということです。

     それとあと、また皆様が一番心配しております、観戦す るための移動、このための旅客運賃なんですけども、これがやはり高騰される事が予想されて いると。ただエアラインによって、まあLCCのグループですね、AzulとかOceanですね、そうい ったLCC、格安のところは上限を999レアルとして設定しているようですけども、他のメインキ ャリア、TAMとかGolですね、こういったものは上限設定がないということで、まあどこまで価 格が上がるか心配されるところです。

     またこの期間中に約1973便の増便が計画されていると。 ただ、増便はされますけども、この増便に対して空港のインフラ、および周辺のインフラです ね、周辺設備のインフラ、これが対応できるかどうかがまあ非常に心配されるところであると 。

     あと、主に増便されるルートとしましては、フォルタレ ーザ-サンパウロ、リオ-ビラッコポス、リオ-アルゼンチン、ブラジリア-サンパウロとい う主要なルートが増便が行われるということです。

     ホテルに関しましては、FIFAが開催地のホテルをずっと ブロックしておりましたが、これが一部各開催地で2割から5割ぐらいの客室が一般にリリース されたということになっておりますけども、まあこれら料金設定、まだ今のところ現状は不明 であるということです。一応これがトピックスというところです。

     次に通信業界ですけども、13年の回顧といたしまして、 やはりブラジル、依然と通信インフラの設備投資が進んでなくて、悪い回線の状態が継続して おり改善がなされていないと。やはり携帯なんかでも中々つながりにくい。インターネットの 回線なんかにおいてもやはりスピードが遅いと、そういった状況は中々脱却できない状況が続 いています。

     2014年の展望といたしましては、まあブラジルの国内の 4キャリア、これの再編が進むものと考えられていると。それとあと、スマートフォン、これ も販売が増加しているということ等裏付けがありますけども、この利用の高まりによってり、 よりリッチなデーターサービスへのニーズが拡大するための各種アプリケーションですね、こ ういったものの導入が多くなるのではないかと予想されているということです。

     総括といたしましては、やはりこのインフラに尽きる訳 なんですけども、通信インフラの投資、これが鈍化しているということで中々改善が図られな いんじゃないかということで、脆弱なインフラ環境の改善が見られないと考えていますと。

     次にワールドカップ関連トピックスということでまとめ ておりますけども、ワールドカップの開催エリアおよび会場においては、まあWi-Fi等の通信 インフラの増強が行われる予定ですけども、それに対して各キャリアの設備投資、これが進ん でいないということで、ワールドカップを機にブラジルのインフラの脆弱さ、これが露呈され る可能性が大いにあるという心配がございます。

     次に、やっと最後になりましたけども、IT業界というこ とで、2013年の回顧といたしまして、やはりこれもITインフラ関係で工場建設案件、オフィス 新設案件などで需要が増大しております。ただ反面、既存企業におきましてはIT投資の抑制が 見られると。で、成長は若干鈍化してきたと。ただ、SPEDとか関連システムの導入対応などが 引き続き増加しており、まあアウトソーシングのサービスなんかについても需要は増加傾向で あったということです。

     その次に2014年の展望ですけども、ワールドカップ、オ リンピックに向けたITのインフラ投資拡大ですね、これの期待が高まっておりまして、特に政 府系や製造業からの積極的なIT投資が見込まれているということです。あと、統合型業務ソフ ト、ERPの導入案件の増加、それとSPEDとかこれに対してのE-Socialの対応増加。これが継続 していくと。それとアウトソーシングサービスの需要も引き続き堅調に増加傾向になるものと 予想されると。総括としましては、まあここでも何度も出るようなITインフラの充実、これが やはり必須であると。それと優秀なIT人材ですね、この確保、これが非常に今後の大きな課題 となっているということです。

     以上、これをもちまして運輸サービス部会の発表を終わ らせていただきます、ありがとうございました。

    司会
     ありがとうございました。それではご質問のある方、挙手をお願いします。よろしいでしょ うか。それでは森田部会長、どうもありがとうございました。

     以上をもちまして各部会からの報告を終了いたします。 それでは続きまして、福嶌教輝在サンパウロ日本国総領事、ブラジル日本商工会議所名誉顧問 に本日のご講評をいただきたいと思います。福嶌総領事、よろしくお願いいたします。

     

     

  • 講評 福嶌教輝 在サンパウロ日本国総領事/ブラジル日本商工会議所名誉顧問

     皆さんお疲れだと思います。ごく簡単に、講評というの も本当におこがましく、このように現場の生の声を聞かせていただきまして、特に私これ3回 目、参加させていただいたんですけれども、いつも、例えば戸田建設の三上社長とか名調子を 聞かせていただいて非常に楽しく参加させていただいております。ありがとうございます。

     2点だけ簡単に、期待・希望を込めましてコメントをさ せていただきます。  一つは、まあ今日の副題が「どうしたブラジル」ということで、昨年のシンポジウムもこの 大統領選挙までは不透明だとか低成長が続くといった、まあかなり皆さん不安なコメントある いは評価がありましたけれども、他方で今日はいくつか、保険業界さんだとか建設不動産部会 さんだとかとても好調だという話もありましたし、それから化学品部会さんなんかはアンケー トでもここ2、3年で進出された企業さんが実は3分の1もあったんだというようなお話もありま した。

     やはりですね、短期的にはブラジル、非常に厳しいかも しれませんけども、中長期的にはきっとすばらしいブラジルになるんだろうということでです ね、皆さん期待して進出されて、そしてまた活動されているということで、今日最初に藤井会 頭も中産階級がキーワードだということでしたけれども、ぜひ我々それを期待してですね、こ のブラジルが変わっていくことを、そして良くなっていくこと、さらに良くなることを期待し たいというのが1点目でございます。

     そして2点目は、今年の展望ということで、ワールドカ ップとそれから大統領選挙。これは私いちいち述べませんけども、まあある意味では不安定要 因、ある意味ではチャンスというようなことかもしれませんけども、個人的にはもう一つです ね、非常にもっとポジティブにですね、今年起こってほしいのは、ぜひ日本から安倍総理がで すね、このブラジルに来てですね、日伯関係がさらに強化されること、ただまあこれはまだま だ東京の方で色々考えておりますし、それからブラジル今年大統領選挙ということでですね、 この見通しもないと中々総理もお越しいただけないかと思いますが、昨年は3人の大臣がお越 しいただいた訳ですから、今年はさらなる大臣、そして総理にもお越しいただいてですね、日 伯がさらに強固になって、そして民間の方々に何かお役に立てればと思っておりますので、そ ういう二つの期待を込めまして簡単ですが講評にさせていただきます。どうもありがとうござ いました。

    司会
     福嶌総領事、どうもありがとうございました。それでは続きまして、小林和昭・在ブラジル 日本国大使館参事官よりコメントをいただきたいと思います。小林参事官、よろしくお願いい たします。

  • コメント 小林和昭 在ブラジル日本国大使館参事官

    コメント 小林和昭 在ブラジル日本国大使館 参事官

     在ブラジル日本国大使館の小林と申します。ちょっとカ ゼをひいておりまして、ちょっと声がおかしい状況になっておりますけども、ご容赦ください 。

     普段は私、大使館ということでブラジリアに勤務してお りまして、中々企業の方の生の声を聞く機会がないということで、今回このような場に呼んで いただいて、お話を聞かせていただいて、本当にありがとうございました。皆様の本当に臨場 感のある話を聞くことができて、またいくつかの業界からは、まあ日本もしくはブラジルでし ょうか、政府への要望というのもいくつか出していただきました。

     これは私ブラジリアの方でもそれが解決できるべく色々 と作業を進めて行きたいと思っております。まあ色々な問題、それぞれ中々解決は難しいもの も多いと思いますけれども、日本とブラジルの中では色々な政策対話等もありますので、その 中でしっかりと対応していきたいと思っております。

     最後に一つ、宣伝というか話をちょっとさせていただき たいのは、来週月曜日ですけど、官民合同会議というのが開かれることになっております。現 在商工会議所の平田事務局長の協力も得ながら調整をしておりますけれども、今回の官民合同 会議には東京から山田中南米局長も出席されます。

     またブラジルには国内に8つの公館がございまして、ブ ラジリア、サンパウロ、リオデジャネイロ、クリチバ、マナウス、ポルトアレグレ、レシフェ 、ベレン、この各公館からそれぞれ代表者が来てブラジル全体のことを議論できるという場で もございますので、ぜひ、まだ出席の回答をされていなくて出席されたいと思っている方はぜ ひご連絡いただければと思います。

     なお付け加えますと、当館の三輪大使ですけれども、約 4年弱の任期を終えまして、今月、2月26日に帰国することになっておりまして、まさに最後の 、晴れの舞台というかそういうところとなっておりますので、三輪大使の最後の言葉というと ちょっと変な感じになりますけれども、それをお聞きになりたい方も出席いただければと思い ます。何かちょっと変なふうになってしまいました。カゼのせいかもしれませんけれども、申 し訳ございません。以上、私からコメントというか、何かちょっとおかしな形になりましたけ れども、本当に今日はありがとうございました。

    司会
     小林参事官、どうもありがとうございました。それでは続きまして本日最後のプログラムで ございます。上野総務委員長より閉会の辞をお願いいたします。上野委員長よろしくお願いい たします。

  • 閉会の辞 上野秀雄 総務委員長

     皆様本日は長い時間ご清聴いただきまして、本当にあり がとうございました。また福嶌総領事にはですね、期待とそれから力強い励ましのこもったご 講評をいただきまして、誠にありがとうございました。小林参事官にはカゼの中ブラジリアか ら、おしてお越しいただいて、官民のですね、協力ということに対する非常に前向きなコメン トを頂戴しまして、本当にありがとうございました。

     おかげをもちまして、これで無事すべてのプログラムが 終了しました。発表いただいた各部会長の皆様、部会の皆様、会員各位に厚く御礼を申し上げ ます。またこの準備にご苦労いただいた事務局の皆さん、本当にありがとうございました。

     今日の発表に使われましたこのパワーポイントのスライ ドですが、これは既に会議所のホームページに掲載されています。また本日の発表の、全ての 文章というか全文をですね、テープ起こしを事務局の方でいたしまして、いずれ会議所のサイ トにアップする予定でございます。アップする時はまたメール等で皆様にご連絡をいたします ので、そちらの方もですね、ぜひご覧いただきまして、ビジネスにご活用いただければと思い ます。

     それではこれをもちまして閉会とさせていただきます。 本日はどうも大変ありがとうございました。

    司会
     それでは終了でございます。このままですね、懇親会に参加される方は会場を出られました ところで飲み物を用意しております。どうぞよろしくお願いします。それではどうもありがと うございました。

 

Pdf全プレゼンテーション

 

 

2013年下期の業種別部会長シンポジウム

  • 司会 上野秀雄 総務委員長

    2013-08 司会 上野秀雄 総務委員長

    皆様こんにちは。本日はお忙しい中業種別部会長シンポジウムにご参加くださいまして、誠にありがとうございます。おかげさまで、今日はですね、申し込みベース160名の方にご出席をいただいております。私は前半の司会を務めさせていただきます、総務委員長の上野でございます。また後半の司会は大谷副総務委員長にお願いをしております。どうぞよろしくお願いいたします。

    また本日は来賓といたしまして、在サンパウロ日本国総領事、ブラジル日本商工会議所名誉顧問の福嶌教輝様にご出席をいただいております。総領事ありがとうございます。福嶌総領事にはプログラムの最後にご講評をいただく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

    この業種別部会長シンポジウムは当商工会議所の様々な活動の中でメインイベントの一つであります。2月と8月の年2回開催しています。

    当商工会議所の活動方針の一つに「日伯関係の強化・拡大への寄与」があります。そのために、ビジネス環境改善のために必要な提言・要請を日伯両国政府に行なっていくことを重点施策の一つとしています。このシンポジウムはこうした活動方針、重点施策を進めていくための貴重なプレゼンテーションと議論の場であり、本日のテーマ「2013年上期の回顧と下期の展望」に副題としまして「どうなるブラジル経済~持続的成長に向けて」を加えさせていただきました。

    各部会長ならびに部会員の皆様にはこのテーマに沿って部会懇談会を行なって、活発な意見交換をされて、本日の発表に備えていただいたことと思います。各部会長、部会の皆様のご努力とご協力につきまして、厚く御礼を申し上げます。

    本日は11の部会より発表していただきます。ほとんどの業種を網羅していまして、ここにですね、いながらにして、ブラジルビジネスの最前線の様子や課題が見えてくると思います。午後6時まで、非常に長い時間ですけれども、どうか皆さん最後までお聞きいただけますようお願いを申し上げます。

    それでは発表の方に移らさせていただきたいと思います。まず最初にプレゼンテーションをお願いいたしますのは金融部会でございます。山崎金融部会長、準備よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。皆さん拍手をもってお願いいたします。

     

     

  • 金融部会 山崎展生 部会長

    2013-08 金融部会 山崎展生 部会長

    金融部会

    皆さんこんにちは。金融部会、ブラデスコ銀行の山崎です。聞こえますでしょうか。金融部会からマクロ経済、銀行業界、それから保険業界について発表いたします。

    まあ早いものでブラジルに来て5年が経過して、金融部会の発表も何度かさせていただいたんですけども、基本的にはこれまで、今日より明日は明るい日という方向で発表してきました。で今回、副題でですね、どうなるブラジル経済~持続的成長に向けて、というタイトルをいただいてですね、発表するんですけれども、まあ今回はですね、あまり明るいメッセージはお伝えできないのではないかというふうに思っています。

    まあしかしながらですね、今までもあまり当たっていないんでですね、今回も外れたらいいなと、まあ個人的には思っています。それでは。

    まず2013年上期のブラジル経済を総括すると、経済停滞が継続、インフレ、レアル安が進行、政治面でも不安定要因が発生したというふうに言えると思います。2013年の下期および2014年の展望としては、今後は省略して今後の展望としていうふうに申し上げますけれども、景気停滞は継続、レアル安は進行、でインフレは一段落、財政支出の拡大で、選挙を控えて今後15ヶ月間は先行き不透明というふうに予想します。それでは個別に見ていきたいと思います。

    まずGDP成長率です。2013年第1四半期のGDP成長率は前年同期比対比で1.9%、前期比対比で0.55%の結果になりました。前年同期比の値が高いのは、2012年第1四半期はトラック環境規制導入によるトラック生産の急激な落ち込み、南部干ばつによる農業生産の減少などによって非常に低い成長率だったことの反動というふうに言えると思います。

    内容を見ますと、BNDES融資に支えられたトラック、農機などのセクターが設備投資を牽引し、IPI減税の延長に支えられた自動車セクターもまずまず好調であり、政府による景気下支えを窺うことができます。他方で小売はインフレ進行による実質所得の減少に伴って減速をしてきています。

    加えて6月のデモの影響で先行き不透明感が拡大し、足許消費者信頼感、企業信頼感ともに落ち込んでおり、まあ本日確認したいんですけれども、実際の企業活動、消費行動でも投資・消費を遅らせる、あるいは止めるという動きが出てきているというふうに聞きます。

    一方で今が悲観のピークであって、これから回復していくのではないかという意見もございます。

    左上のグラフは工業生産の推移です。2013年に入って低い水準にあるものの、ようやく前年比マイナスの水準を脱しつつあるというふうに言えると思います。

    右上のグラフですけれども、こちらは12ヶ月累計の小売売上げです。赤が自動車・オートバイ・建築資材を含まない狭義の小売、緑が含む広義の小売ですけれども、こちらを見てもこれまで成長を下支えしてきた消費がですね、減速していることを見ることができます。

    今後の展望としましては、引き続き弱い海外需要、設備投資不足に伴う生産性の低迷、道路・鉄道・港湾などのインフラ、それから熟練した的確な労働力の欠如。で、消費の主役であった中間層もまあ消費は打ち止めで、それで中間層への新規参入も減少という中間層効果の剥落などの阻害要因によってですね、景気停滞は継続するというふうに予想します。

    ブラジル中銀が8月9日に発表したフォーカス予想ですね、GDP成長率の市場予想平均は2013年2.2%、2014年2.52%という結果でした。

    次にインフレです。今年2月の部会長シンポジウムの時からの一つの大きな変化は、インフレ懸念が徐々に現実のものになってきて、経済活動、経済政策、政治に影響を及ぼしていることです。2012年上期のインフレ率は12ヶ月累計のIPCA指数6.7%と、政府の目標上限値6.5%を上回って、当然目標値4.5%を大きく上回る水準でした。

    先程見たように、インフレ進行に伴う実質所得の減少はこれまで成長ドライバーであった個人消費を減速させています。またブラジル中銀はインフレ懸念の高まりを受け、それまでの投資・消費促進のための低金利政策から2013年4月に利上げに転じました。

    通貨政策でもこれまでのレアル安誘導政策を転換し、過度のレアル安による輸入インフレを防止すべく、各種外為市場に対する規制を撤廃、で市場介入も盛んに行なっています。さらにインフレ懸念の高まりと時期を同じくしてジルマ政権の支持率も下降に転じ、先日のデモは公共交通機関の料金値上げが原因だったということは記憶に新しい所かと思います。

    今回のインフレ進行は食品価格の上昇が引き金になりましたけれども、左下のグラフ、これは食品のインフレ率を示しています。年初に大きく上昇した後ピークアウトして、徐々に鎮静化に向かっております。

    食品価格のインフレサイクルは改善しているというふうに言えるかと思います。
    右下のグラフはサービス部門と財部門のインフレ率の推移ですけれども、食品価格の影響で赤の財部門インフレ率が上昇する一方、緑のサービス部門のインフレ率は引き続き高い水準ですけれども横ばいになってきています。

    今後の展望としては、まあ景気の低迷、実質所得減少に伴ってサービス部門のインフレが安定化、でインフレは一段落していくものというふうに予測しますけれども、足許のレアル安の影響もあって予断を許さないところです。レアル安が輸入インフレを生んで、インフレに対応するために利上げを余儀なくされて、で、さらに投資が低迷するという景気下降サイクルに入っていかないかということが懸念されます。市場予想平均では2013年、5.75%、2014年、5.85%でした。

    次に財政です。左上のグラフ、こちらはGDP比のプライマリー収支です。景気対策のための政府支出が増大、歳入減少に伴いましてご覧の通りプライマリー収支の黒字幅は縮小してきています。政府は様々な操作で数字合わせをしていますけれども、まあその過程で州政府の資金調達の容認など、まあ財政規律が緩和されているということが懸念材料です。

    2013年6月に米国の格付け会社スタンダード&プアーズがブラジルの長期格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた時にも財政状況を注視していました。財政懸念は格付け会社の見通し変更などを通じて市場が評価するブラジル・リスクの指標、CDSスプレッドにも影響を与えています。2013年6月末時点で187、8月16日時点では208と、2012年末に比べて非常に悪化しています。

    ちなみに6月末時点で他国の比較を行ないますと、中国119、メキシコ132、ロシア196、イタリア280、アルゼンチンは2671というふうになっておりまして、ブラジルはアルゼンチン以外のどの国よりも2012年末対比の悪化率という意味では悪くなっております。

    今後の展望としましては、金融政策がインフレのために緊縮的にならざるを得ない中、2014年には選挙もあるために財政政策に力点が置かれてくるというふうに考えています。ところが、選挙対策としての即効性を求めて、本来必要なインフラ整備などの投資よりもですね、補助金などになる可能性が大きく、生産性の向上を通じてブラジルの成長に長期的に寄与するものとは言えなさそうです。財政規律緩和とそれに伴う財政悪化、こちらは将来のインフレ懸念を強めます。

    次に労働市場です。2013年の6月の失業率は6.0%と、前年の水準と比べてもほぼ変わりがなく、表面上は堅調に推移をしております。右上のグラフは失業率の推移ですけれども、こちらも歴史的に見てまだまだ低い水準にあるということが分かります。しかしながら新規雇用創出の月間平均は2012年上期の8万7000人から2013年上期には5万3000人に低下しています。

    その内訳はこの左下のグラフにありますように、2013年に入ってから灰色の棒グラフで示されている民間セクターは前年比横ばい、あるいは若干マイナスであるのに対して、黒の棒グラフで示されている公的セクター雇用が高水準で増加して、まあ公的セクターがし下支えしているということが分かります。

    まあ先日ですね、連邦警察にRNEの書き換え手続き行った時に、受付業務を外部委託を始めたということでですね、大勢のいかにも慣れていない受付担当者の人がですね、しかも2人1組で受付業務をしていました。これも一つの例かもしれません。

    右下のグラフ、こちらですけれども、こちらは赤で示した名目と黒で示した実質の平均所得の推移です。インフレの影響で名目と実質の乖離が大きくなってきているということに加えましてですね、レベル自体も低下しておりまして、まあ景気停滞がじわじわと労働市場に影響を及ぼしているということを示しています。

    今後の展望としましては、選挙もありますので、当面失業率は低い水準で推移するものというふうに予測します。しかしながらインフレの影響もあって、個人消費はこれまでのような力強さはないのではないかというふうに考えております。

    次は政治の動きです。2012年6月に公共交通機関の運賃値上げをきっかけにですね、主要都市で大規模な市民デモが頻発しました。この10年間に全体の生活水準は向上したものの、きちんと果実を受け取れていないというふうに考える、まあ不満感、あるいは閉塞感が足許の経済減速を背景に表面化したのではないかというふうに考えています。

    左上のグラフ、こちらですけれども、ジルマ大統領の支持率の推移です。インフレ懸念の発生と同じくしてですね、低下し始めていた赤い線、この赤い線の支持の割合というのはデモ後に急低下をしております。その下落幅、速度は、大統領弾劾を受けたコーロル大統領に匹敵すると言うふうに言われております。

    今後の展望としましては、これまで無風と考えられていた2014年の大統領選挙にアラームが鳴ったということによりまして、ジルマ政権に危機感が生じて、選挙をにらんでインフレ終息、あるいは失業率の維持に重点を置いた経済運営をすることになると予想します。

    次に金利です。このグラフは金利・為替レートの推移ですけれども、インフレ懸念の高まりに対応しまして、赤で示した政策目標金利Selicレートは2013年4月から利上げサイクルに入りました。2013年6月末は8%、2013年7月からは8.5%になっています。

    今後の展望としましては、インフレ懸念、レアル安の進行に対応して金利引き上げを継続するものと予想します。問題はいつ、どのくらいということですけれども、市場予想の平均は2013年末9.37%、2014年末9.38%でありまして、8月10月11月の残り3回のCOPOM会議で利上げサイクルが終わるというふうに予想するエコノミストが多いというふうにうかがえます。

    次に為替レートです。2013年の3月の8日ですね、こちらの1ドル=1.9525レアルを当面のレアル最高値としまして、その後はブラジル中銀による利上げ、あるいは市場介入で、あるいは外為関連の規制の撤廃にも関わらずレアル安が進行、8月16日には1ドル=2.3562レアルというふうに2009年3月以来の安値をつけています。

    為替レートは金融政策、それから需給、外部要因を含むファンダメンタルズによって動くと言われていますけれども、まず金融政策については先程見たようにブラジル中銀は利上げサイクルに入っておりまして、これはレアル高の要因です。で、需給要因である国際収支を見てみますと、2013年6月の貿易収支は31億ドルの赤字になっています。2012年の47億ドルに上る石油関連輸入の計上漏れというものをですね、2013年頭に計上したとはいえ、大変低い水準になっています。

    これは中国経済の減速に伴って鉄鉱石をはじめとした商品価格が弱含んでいることに加えましてですね、石油生産能力の落ち込みによって石油輸出が減少していること、またレアル安にも関わらず工業製品の輸出不振と輸入品の拡大が続いているということが背景にあります。低調な貿易収支を反映しまして、2013年6月の経常収支は435億ドルの赤字と、赤字幅が拡大しています。

    右上のグラフ、こちらですね、こちらは貿易収支の推移ですけれども、赤で示しました12ヶ月累計の貿易収支が大きく落ち込んできていることが分かります。

    左下のグラフ、こちらが経常収支の推移ですけれども、国際収支の今後の展望としましてはですね、低調な貿易収支を背景にして経常収支赤字はGDPの3%を超える水準になってくるのではないかというふうに予想されています。

    右下のグラフ、こちらはですね、経常収支赤字と対内直接投資を並べて示したものですけれども、これまでは赤の棒グラフで示された経常収支赤字をですね、青の棒グラフで示されたまあ安定資金である直接投資がカバーできる水準であったものが、今後はカバーしきれない水準になるというふうに予想されています。で、こちらもレアル安要因になっています。経常収支の市場予想平均は2013年767億ドルの赤字、2014年795億ドルの赤字です。

    国内ファンダメンタルズの方を見てみますと、これまで概観してきた低成長の継続、財政への悪化懸念、というようなものはですね、2014年の大統領選挙の不透明化という要因もありまして、外国人投資家によるブラジルへの投資の長期・短期の投資を抑制する方向に働くと考えられます。こちらはレアル安要因です。

    海外のファンダメンタルズからは、米国経済の復調とそれに伴う米国の金融緩和縮小観測は中国の経済の減速もありまして、資金の大きな流れをエマージング・マーケットあるいは商品からですね、先進国へというふうに変化させてきています。これはドル高、ひいてはレアル安の要因です。

    これらを総合しまして、市場予想平均の為替レートは2013年末1ドル=2.27レアル、2014年末1ドル=2.33レアルというふうになっています。

    では2002年のようなですね、まあ大幅なレアルの、まあ暴落というかですね、レアルの大幅安。例えば1ドル=3レアルを大きく超えるような水準になる可能性があるかということなんですけれども、こちら2013年6月の外貨準備高は3711億ドルということで高水準であり、2002年当時と比較してもですね、債務は長期化してきています。

    そういった意味では対外債務に懸念がある状態にはなりにくく、また2014年のですね、大統領候補というふうに言われている人たちは当時のルーラ候補に比べて当選後の政策の予測可能性が高いということで、当時のような一種のパニック状況にはならないのではないかというふうに考えています。

    ではマクロ経済のまとめとしましてですね、今回新しい試みなんですけれども、各行の主要指標の予想について代読をさせていただきます。

    まずイタウ銀行です。こちらは8月9日時点の予測です。GDP成長率、2013年2.1、2014年1.7。インフレ率、2013年5.9、2014年5.8。為替レート、2013年2.3、2014年2.4。政策目標金利、2013年9.75、2014年9.75。まあ数字で行くとGDP成長率が1.7ということで比較的、2014年ですね、比較的低めに読んでいらっしゃるのが特徴的かなというふうに思います。

    コメントは、経営者と消費者の信頼感の悪化が2013年後半の景気を押し下げよう。2014年にかけては失業率が上昇し低成長が継続しよう。反循環的な財政政策発動の余地は限られる、インフレについては景気減速によって抑制される可能性があるものの、中銀は警戒感を緩めず、2014年も金利は高止まりしよう。鉄鉱石と原油の価格低下、外貨準備の伸び悩みがレアル安に働こう、ということです。

    ブラデスコ銀行です。GDP成長率は2013年2.3、2014年2.5。インフレ率、2013年5.9、2014年5.6。為替レート、2013年2.25、2014年2.35。政策目標金利、2013年9.5、2014年9.5。まあ今まで述べてきたようなことを背景に出てきている数字です。非常に中心的な数字かなというふうに思います。

    コメントとしましては、成長率は低水準で推移するが、2014年は選挙をにらんだ政府支出の拡大により若干の回復を見込む。インフレは景気停滞、実質所得減少に伴うサービス部門インフレ安定化を中心に、2014年には若干沈静化。為替は需給からレアル安傾向も、内外金利差あり極端なレアル安は一過性。金利は年内に引上げ完了してインフレ抑制、2014年には据え置き。

    次はみずほ銀行です。GDP成長率、2013年2.0、2014年1.8。インフレ率、2013年5.79、2014年5.67。為替レート、2013年2.3、2014年2.4。政策目標金利、2013年9.75、2014年8.5。まあ数字で言いますと、政策目標金利がですね、下がっているというふうに予測されているのは一行だけなので特徴的かなというふうに思います。

    コメントとしましては、企業・消費者マインド低下により2013年下期にかけ成長減速。レアル安に伴う輸入インフレの影響が大きく、インフレ率は高止まり。QE3縮小等の国際要因に加え、経常赤字・財政基礎収支低迷など独自要因も。年内は輸入インフレ抑制の観点から金利引き上げ以外の選択肢なし。

    次は三井住友銀行です。GDP成長率、2013年2.1、2014年2.5。インフレ率、2013年5.8、2014年6.0。為替レート、2013年2.4、2014年2.25。政策目標金利、2013年9.25、2014年9.25。こちらは数字で行きますと為替レートがですね、2014年の方がレアル高になるというふうに予測されているところが特徴的かなというふうに思います。

    反政府デモに象徴されるように、ブラジルの非効率性や構造的な高インフレ体質により消費主導の経済成長モデルが疲弊している。来年の大統領選に向けてインフレ抑制を重視すると思われるが、利上げの影響が投資主導の回復を抑制し、低成長が続く見通し。経常収支の悪化や米緩和縮小への不透明感がレアル安圧力として残るが、米金融政策が見通せる状況となれば投資対象としての潜在力が見直される可能性もあるだろうと。まあここが為替レートがレアル高の理由かというふうに思います。

    最後に三菱東京UFJ銀行です。GDP成長率、2013年2.3、2014年3.0。インフレ率、2013年6.2、2014年6.0。為替レート、2013年2.25、2014年2.35。政策目標金利、2013年10、2014年10。ということで、数字で特徴的だなと思うのは、まあ政策目標金利、一番高くまで利上げされるであろうというふうに考えていらっしゃって、なおかつ2014年は3%の成長ということで高い成長率を予想されているというところが特徴的かなというふうに思います。

    コメントですが、個人消費および投資の伸びで全体的に回復基調は強まる。但し、2014年予想レンジは2.0%-3.5%とリスクは下方向にある。労働市場が引き続き堅調な事、また、レアル安進行を背景に、サービスを中心にインフレは高止まり。2013年末にかけ、米国での金融緩和政策の出口戦略が開始されることを視野にレアルはじり安。2014年予想中心レンジは2.30-2.45。インフレ圧力、期待低減を図るため、中銀は今年中にあと3回、各0.5%の利上げを実施、ということです。

    続きましてですね、簡単に銀行業界についてお話をしたいと思います。貸出残高は個人向け、法人向けともに増加しておりますけれども、伸び率で見ますとですね、こちらとこちらですけども、国内全体を覆う不透明感によりましていずれも伸び率は低下しています。

    で、こちら、左上のグラフにあります通り、融資残高の対GDP比率は55%まで伸びてきておりますけれども、こちら右上のグラフ、民間金融機関は5.7%の伸びに留まっているのに対し、政府系の金融機関が29.3%と大きく融資を伸ばしておりまして、ここでも政府によって下支えをされているということが明らかです。左下のグラフ、こちらは銀行全体の不良債権比率で、右下のグラフ、こちらは政府と民間にそれを分けたものですけれども、まあ低下傾向が明らかであるということで、まあ不良債権問題も落ち着いてきてたということを示しています。

    続きまして保険業界についてご説明させていただきます。ブラジルの補完監督庁であるSUSEPの統計データによりますと、2013年1-5月の前年同期比での保険料収入の伸び率は19.5%になりまして、こちらは経済成長が鈍化する中でも保険マーケットは引き続き堅調に推移している状況です。下期も基本的には本伸びを維持して順調に成長していくものと推定されます。

    これは前回のシンポジウムでも申し上げましたけれども、保険マーケットは経済成長に大きな影響を受けるんですが、ブラジルの場合には保険の普及率がまだ低いということからこの普及率向上も成長の要因になっていると言えます。

    損害率につきましては、前年同期比でほぼ横ばいというふうになっておりまして、各社によって違いはありますけれども業界全体としては収益性も意識した形で保険引き受けを行なっていることが分かります。

    最後、トピックスとしましてですね、先程6月の大きなデモ活動がブラジル全土に拡大したことは先程申し上げた通りですけれども、ブラジルにおけるデモと損害保険ということでこの機会をお借りしてご案内をさせていただきます。

    まず、デモの際の暴動によって行なわれた各種の破壊による損害を保険でカバーするためには、一般的に暴動・ストライキ担保の特別カバーが必要になります。また、もし特別カバーを付帯していても、暴動によるガラスの破損であったり、商品の略奪などは支払い対象とならない点などに注意が必要です。

    まあ皆様、入っていらっしゃるですね、ご契約内容の詳細をよくご存じない場合には、暴動への備えと合わせましてぜひこの機会に保険内容をご確認いただき、場合によってはですね、取り扱い保険会社、ブローカーにご相談いただくことをお勧めいたします。
    どうもご清聴ありがとうございました。

    司会
    山崎金融部会長どうもありがとうございました。1、2点質問を受け付けたいと思います。ご質問ある方は挙手をお願いいたします。特にご質問がないようですので、次の発表に移らさせていただきます。山崎さんどうもありがとうございました。
    2番目はコンサルタント部会です。コンサルタント部会長、関根実様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • コンサルタント部会 関根実 部会長

    2013-08 コンサルタント部会 関根実 部会長

    コンサルタント部会

    コンサルタント部会は、公認会計士、弁護士、人材リクルーター、それから経営コンサルタントとまあ専門職のグループでございますけれども、今年に入りまして明らかにビジネス環境はやや悪くなってきております。

    その背景につきまして、まあ私どもグループ内で討議いたしました結果、結論から申し上げますと新興国の中ではまだブラジルは政治・社会が安定しておると、で経済につきましては、従来のような高度成長というのは無理ですけれども、今後も比較的定率ではありますけれども安定成長ができる国であるというところで認識が一致いたしました。以下細かく説明させていただきます。

    まずこの上期のビジネス環境の変化ということなんですけれども、国内要因と海外要因と分けて考えますと、国内要因は今金融部会から発表のありました通り、インフレ金利が徐々に上がってきていると、実質所得とインフレ率との乖離が出てきまして一般市民の不満が高まってきております。

    これは最近見られますように21年ぶりの大規模な街頭デモに顕著に表れております。外部要因といたしましては、今年の2月あたりから、新興国から先進国へ金が逆流しているという動きがあります。これは毎日我々が見ているレアルの切り下げでもって如実に表れております。

    まず国内要因の社会的な現象として最近2つの大きなデモがありました。6月の第3週に連日デモが大規模に行なわれまして、特に20日の時点では大都市合計で130万人に上る大きなデモになりました。これは92年のコーロル大統領のImpeachment、弾劾要求の一般市民デモ以来実に21年ぶりの大きなデモでございました。

    従いまして今回のデモ、若者中心ですけれども、かかる大きなデモに参加する人たちは初めての経験と。これを制止する軍警の機動隊も初めての経験ということで、まあお互いに不慣れなデモだったわけですね。で、起きなくてもいいような衝突が起きたと。まあ我々から見ますと、機動隊が過剰反応しまして、催涙ガス弾とかゴム弾を使って、出なくてもいいけが人を出しました。

    で、ブラジルのメディア、特にテレビカメラは非常に現場に近づいて、まあ血を流したような場面も世界的に流しまして、まあこれが理由に日本で、例えばNHKテレビのニュースを見た私どものお客様が、6月末に出張して来られるはずだったものを延期されたというような、短期的には明らかにマイナスの要因であったわけです。

    もう一つ、7月の11日にゼネストという大きな動きがありました。これは6月の一般市民のデモに触発されまして、5つの労組がゼネストを組んだわけですけれども、まあ自分たちの組合としての存在感を示すためということで、規模的には全都市あわせて10万人程度で小規模なものにとどまりました。

    デモ隊の要求としましては、労働時間を40時間に短縮せよと。INSSの年金制度、これを改善せよと。それからtercerizaçãoと言われています派遣労働制度を廃止せよと。あまり一般市民の支持を受けられないような要求でありましたので、ゼネストはどちらかと言うと失敗と。デモも低調に終わりました。

    一部の報道といたしましては、ブラジルにもアラブの春が来たかと、ブラジルも火がついて炎上していると、まあ過激な一部のテレビカメラを見て言っているわけですけれども、現在起きていますエジプトのデモ、その前のトルコの反政府デモとは基本的には違うということを整理したいと思います。

    まずこれらのデモはブラジルでは反体制、反政府の運動には至っていないということですね。で、特定の政党および労働組合主導のデモでもないと。 Movimento Passe Livreといっています、公共交通料金を無料にせよという学生を中心とした運動、これが自然発生的に大きくなりまして、まあ今はやりのソーシャル・ネットワークの主にフェイスブックを通じて急速に、想定以上の大きなデモになったわけです。

    彼らの要求は元々このサンパウロのバスおよび地下鉄の3.0から3.2への値上げ撤回要求だったわけですけれども、さらに公共サービスで教育および医療の改善要求というのが加わって参りました。

    で、ちょうど来年6月のワールドカップ・サッカーの前で、1年前で、コンフェデレーション・カップの開催中でありましたんですけども、特にベロ・オリゾンテで見られましたんですが、サッカーにそれだけ国の金を使うならばその予算を好況サービスに回して教育・医療を改善せよという、まあごもっともな意見だったわけですけれども、まあ普段からサッカー気違いのブラジル人が自らサッカー気違いではないということを言い始めたのはブラジルとしては初めてで、画期的な現象だと言えると思います。

    さらにこのデモ隊の中には政治家の汚職についての不満というのが出ておりました。ちょうど今行なわれていますけれども、Mensalão、毎月公金からお小遣いをもらっていた国会議員たちが、最高裁で有罪判決を受けていながら実際には中々処罰されないということへの不満、ここら辺が出ております。

    で、今回のデモの中心は中産階級のCクラスの人たちが元々自然発生的に出てきたものなんですけれども、それに路上生活者の商店略奪者、それからリオにおきましてはファベーラの住民も加わったということで、デモに参加した人たちの中でそれぞれ思いが違う、多様化しております。

    ちょうど今週の週刊誌Vejaに大きく報道されておりますけれども、ブラック・ブロックという元々ドイツで発生した無政府主義の破壊主義者たちの行動が報道されています。これらがリオの州知事公邸襲撃とか、それから銀行店舗襲撃とかやっているそうで、これも新しいブラジルの動きで要注意だと思います。

    このデモの結果、先程の山崎さんのご説明にもありました通り、ジルマ大統領の支持率が50%台から30%台へ一挙に20%も低下しております。

    今回のこのデモの主催者であります中間層のCクラスがどういう経過をたどってきているかというのをグラフにしてみました。これはFundação Getúlio Vargasが公表している数字をグラフにしたんですけれども、92年の、20年前の時点ではこの中間層、真ん中の赤い部分ですけれども、ちょうど国民の3分の1、33%で、Dクラス、Eクラスと言われています低所得者層がほぼ人口の3分の2を占めておりました。

    でAクラス、Bクラスの富裕層はわずか5%ということで、典型的なピラミッド構造だったわけですね。それがまあ約20年経ちまして、2011年時点ですけれども、このCクラスが55%と、国民の過半数が中産階級に入ってきたわけです。逆にこのDクラス、Eクラスの低所得者層が全体の3分の1の33%に減ってきたと。ブラジルの経済成長に伴いましてA、Bの富裕層も若干ではありますけれども増えております。

    この政府のCクラスの定義といいますのは、世帯の所得が月間で裁定給与の4倍超から10倍までと。Fundação Getúlio Vargasが発表している数値ですと、1734レアルから7475レアルと、これはかなり幅がありますけれども、このCクラスが実に最近7年間で4000万人も増えたという事実があります。

    4000万人といいますと、まあこの我々のサンパウロ州の人口と匹敵します。また隣のアルゼンチンの人口も一国で4000万人と。従いまして、最近7年間で経済人口が4000万人も増えたと。アルゼンチンの人口に匹敵するということはやはり消費マーケットがそれだけ急に拡大したという裏付けだと思います。

    今回の市民デモは、短期的にはブラジルから金が流れ出す、ちょうどエイケ・バチスタグループのスキャンダルもありまして、ブラジルからかなり外資が出て行ったわけですけれども、長期的に見ればむしろいいことなのかもしれないと。民政移管から28年経過しまして、民主化の歴史の通過点であるということが言えるのではないかと。

    当会議所の平田事務局長が先日ドイツ会議所のドイツ人の方と意見交換されたお話を伺ったんですけれども、まあドイツ人の見方もブラジル人もようやく目が覚めたと、これは歴史の通過点であるというお話だったそうですけれども、全く同感でございます。

    ちなみに日本でもこういう大学生を中心とした大きな街頭デモというのが、1968年から69年にかけて全共闘学生運動というのがありました。ちょうど私もその時大学生で、長い間大学が封鎖されたわけですけれども、まあここら辺の動きと現在のブラジルの動きの一致点と相違点というのを並べてみますと、大学生を中心とした若者が社会の矛盾に目覚めてきたと。

    具体的には大学を出てもこれといった中々いい職にはつけないということがブラジルでも明らかになってきたわけです。社会に対する不信、政治不信、既成政党から若者が離れ始めたということですね。当時の日本の学生運動との大きな違いは、ブラジルにも全学連というのがあるんですけれども、当時の日本ほどの組織はなく脆弱なものです。

    それからブラジル人の性格的な面なんですけれども、ブラジル人は中々物事を最後まで徹底的にやらないという点がありますよね。まあ日本の学生は1年半も大学の中に閉じこもっていたわけですけれども、まあブラジル人は中々そこまではできないでしょうということです。

    来年の10月に4年ごとの総選挙を控えております。選挙前にはデモがまた再発するであるんでしょうけれども、まあ結果的にはPTが第1党になると予想されますけれども、今回のデモで現政権の支持率が低下しておりまして、で、Mensalãoの汚職政治家たちの処遇がどうなるかということが一つのポイントだと思います。

    それから、PTの前の政権を担っておりましたPSDBがどの程度巻き返せるかと。総裁が今年、アエシオ・ネーベスさんに替わりまして、まあ若返って巻き戻しを図るわけですけれども、まあマイナス要因としましては現在出ていますサンパウロ州の、当時のPSDBが州政府を管理した時の地下鉄の車両のスキャンダルと、ここら辺が問題になっております。

    最終的には現在PTと連立政権を担っておりますPMDBが鍵を持っているかと思います。今回の市民デモでもって、対する要求で、ジルマ大統領は回答で、やや想定外だったんですけれども、政治改革ということを言い出しました。

    ところが、副大統領もPMDBなわけですけれども、ミシェル・テーメル副大統領は政治改革なんてことについては全然聞いていなかったということが報道で明らかになっていまして、PMDBが必ずしもPTと一枚岩ではもはやないということで、次の選挙でPMDBが引き続きPTと連立政権を組むのか、あるいは元の仲間のPSDBに近寄っていくのかというのがキーポイントかと思います。

    総まとめといたしましては、ブラジルは一応三権分立が確率されている直接選挙制の民主国家です。85年の軍政から民政へ移管しまして28年経過と。現憲法の88年憲法からは25年経過していまして、BRICSの中では一番政治・社会が安定しております。

    ロシアあるいは中国のような中央集権的な政治でもないですし、インドのような社会階層問題もない、サウス・アフリカのような人種問題もないという意味では、BRICSの中では最も投資適格であると。ただし経済成長は従来のような高い成長は望めず、まあ今年もせいぜい2%行くか行かないかと、先進国並みの成長になっていくのではないかと思います。

    もう一つ外部要因の、海外要因なんですけれども、新興国のリスクということが言われております。これは新興国の金融危機が全世界に波及するかということなんですけれども、今年の5月に米国連銀のバーナンキ理事長がQE3と言われています量的緩和第3弾をそろそろやめていこうということを示唆したわけですけれども、これをきっかけに新興国からアメリカ・日本への資金還流と言うのが起きております。

    この資金還流がかつてのメキシコの82年の債務危機、あるいは94年の通貨危機、あるいは97年のタイをはじめとしましたアジアの通貨危機のような大きな危機になるだろうかということが言われているわけですけれども、当時のG7、G8から世界はかなり変わってきていますね。今やG20になっておりまして、世界の政治バランスの中で中国、ブラジル、ロシア、インド、ここら辺の発言力が強まっておりますので、かつてのような大混乱には至らずに国際的な協力が出て来るんではないかと期待されます。

    新興国の外貨準備というのも非常に高水準に達しまして、現在、先程もご説明あった通り3700億ドル台の外貨準備をブラジルは持っております。2007年からブラジルは純債務国から純債権国に変わったわけですけれども、昨年3700億ドル台に達してからはコンスタントにこの3700億台をキープしていると。ブラジル中銀はかなり透明度が高くて、毎日外貨準備を発表しています。昨日の外貨準備も3739億と出ておりました。

    一方で、マーケットでは、ロイター電なんかはブラジル中央銀行は今年に入ってから少なくとも300億ドルはドル売り介入をしていると。これが事実とすると、3700億ドル台の外貨準備は大体3500億ドル台に減ってしかるべきなんですけれども、何故か中央銀行の発表は横ばいで変わってないですね。

    まあブラジル中央銀行の数字を信じるとすれば、一応これはブラジルの現在の輸入額の1年半分の水準です。同じBRICSのインドは輸入の半年分を欠けるような準備高しかないというのに比べるとブラジルの優位がはっきりと出ております。

    ブラジルは過去11年間PTでやってきたわけですけれども、どちらかというとBRICSブームにうまく波に乗ってラッキーだったんではないかということが言えると思います。特に中国が高度成長を遂げておりましたので、ブラジルの今や最大の輸出相手国である中国が大量にブラジルから鉄鉱石、大豆はじめ一次産品を買い上げてくれたわけですけれども、中国自体が経済減速にもう入ってきております。

    従いましてコモディティ価格も世界的に低下していると。量および価格が低下していくので、ブラジルはこのまま放っておくと先程のご報告の通り貿易収支も赤字になりかねないということで、今後は自助努力を要するところでございます。

    今までブラジルは国内産業保護のために色々規制を行なっているわけですけれども、これを緩和して、ブラジルの民間企業の競争力をつけて、やっぱり国際市場に打って出ていかなきゃならないだろうと。いつまでもブラジルの市場の規模だけを強調していても外資は中々入って来ないであろうと。まあ今だにブラジルの一つのリスクとしては、公営企業が強すぎると。例えば石油精製部門ではペトロブラスの独占。金融におきましても、先程もご説明の通り、BNDESをはじめ国の銀行が牛耳っているというようなマーケットです。

    具体的には何をすべきかと言いますと、ブラジルコストを低減していくということです。
    初めにインフラの整備と。港湾、道路、鉄道、ロジスティックを改善していかないといかんと。諸規制の緩和。我々から言いますと特に輸入手続きを緩和してほしいと。日本から新しい会社が来られますと、Radarと言われます貿易管理制度に入らなきゃならないんですけれども、これを中々許可してくれないと。まあ明らかに非関税障壁の一つだと言えると思います。

    それから税制の簡素化。ブラジル国税庁は一生懸命システムをIT化していまして、ますますオンラインで報告させる情報量が増えております。で一向に60を超える税金の種類は減らないと。まあ税務のために各社大変な人とお金を費やしていると。まあここら辺の簡素化が必要であると。

    最後に労働の自由化ということなんですけれども、中々外国人、資本および技術を持って来る人たちに対してビザ、外国人登録をスムーズにやってくれないと。
    まあ近隣諸国の単純労働者の人たちとは別に、資本および技術を持って来る人は優先扱いをしてほしいということですね。それから、これから景気が減速していきますと失業問題が当然出て来るわけですけれども、失業問題緩和のためにも、あまりにも今労働組合が強いんですけれども、パートタイマー制度も採用していって失業問題を緩和するべきではないかと。

    結論として申し上げますと、まあブラジルはローカル・ルールが多すぎるわけですけれども、これを簡素化して、国際標準に近づけて、数多い高いハードルを低くして競争力を高めないと、たとえ低い経済成長といえどもブラジルは続けることはできないのではないかと。以上がコンサルタント部会の結論でございます。
    どうもありがとうございました。

    司会
    関根部会長どうもありがとうございました。時間内におさめていただきましてありがとうございます。何かご質問ございませんでしょうか。非常に今日の副題にそってですね、ブラジル経済、持続的・安定的成長に向けての色んな提言を結論でまとめていただいて、非常に有意義なプレゼンテーションであったと思います。どうもありがとうございました。

    続きまして自動車部会に移ります。自動車部会、武田川部会長様、発表準備の方よろしくお願いいたします。

     

     

  • 自動車部会 武田川雅博 部会長

    2013-08 自動車部会 武田川雅博 部会長

    自動車部会

    皆さんこんにちは。経済・政治とアカデミックなお話が続いた後は車屋が登壇します。前回、2月のシンポジウムで私の代わりにですね、弊社の営業である岡本がプレゼンをしまして、大変な好評を博したと伺いまして、まあ口下手な私がやるよりはまたそれにならってですね、今日は岡本の方から自動車部会のご報告をさせていただきます。

    ただその前に何か言わないとですね、肩書もありませんので、申し上げますと、大変に今の関根様のですね、特に後半のお話、同感でございまして。安定的低成長、インフレがあり高金利があり、レアルが安くなって、それが全て経常収支の悪化から来ているのであろうということであると、結局はファンダメンタルズが整わない限りは中々景気の不透明感というのは拭い去れないよね、というのは車屋の実感です。

    で、安定的な低成長という意味は、自動車のマーケットで言うと過去の10年で100万台から360万台ということで、3倍以上に大きくなっています。毎年ダブルデジットでの成長率です。ただしこれから2020年までに、倍までにはなりませんけれども、多分一桁ぐらいの成長では行くであろうという期待がしてあります。先程山崎様が言われた、自動車業界というのは常に政府の補助を頼っておりますもので、そういったところもあります。

    業界だけの話をすれば、自動車の保有台数というのがありまして、この国はすでに3500万台の自動車が走っています。ちなみに1億2000万人の日本では7000万台です。3500万台という数字が、5年ごとに車を替えていただくだけで、700万台の需要が出ます。現在は350~60万台。つまり所得層が下に広がって、どんどん車を買える人が増えてモータリゼーションがという時期はもう既に過ぎていて、今現在買っていただいている人たちが買い替えていくだけでもかなりの需要が見込まれる。

    かなりの需要というのは、400万台、500万台になったところで日本を抜いて、ブラジルの市場というのは、自動車だけでいいますと中国、アメリカに次いで3番目の大市場になるということでございます。それから考えても、まあ今までのような二桁での成長は期待できなくても、一桁一桁で安定的にという成長であれば、我々は投資環境は整っているというふうには考えます。

    しかしながら、よくよく色々なことを、商売を広げようとすると、この国の社会的なインフラ、社会資本、また人間のインフラと言いますか、教育と言いますか、そういうものはどうも国のサイズを考えるとディケイド単位で我慢しなきゃならないかなと、10年20年30年、という感じがするのも、まあ私こちらに来ましてまだ2年半ですけれども、大変実感しております。ですから、どこまで期待するかということだと思うんですね。

    まあここ掘れワンワンでね、コモディティでどっと儲けたつい数年前までを、またそれがというふうについつい思いがちですが、まあ他所よりはいいと、BRICS、新興国を含めた他所よりはまあいいかなというぐらいで出稼ぎをやっていきたいと思っておるのが実際の気持ちです。じゃあプレゼンも見栄えも上手い岡本の方からご報告をさせていただきます。

    (岡本氏)
    ありがとうございます。ホンダサウスアメリカの岡本と申します。よろしくお願いいたします。僭越ではございますけれども、私の方から2013年の上期の実績、ならびに下期への展望ということで自動車部会のレポートをお話しさせていただきます。

    本日ご用意しておりますアジェンダ、このようになっております。四輪車、二輪車、部品業界、それから最後にまとめとしまして下期の展望をお話しさせていただきます。まず四輪業界からです。

    2013年の前半に起こったこととしまして、政府の施策でありますIPI、工業税ですね、これにつきまして変化がございましたのでお話しさせていただきます。こちらのスライドは前回、2月のシンポジウムの時にお話しさせていただいた内容でございます。

    その時お話しさせていただいた内容なんですけれども、IPI減税、2012年の年末に終了し、その後2013年には段階的に元の税率まで戻っていくということでお話しをいたしました。それで実際に1月にはその減税の率が戻りまして、数%戻ったということが実施されております。次お願いします。

    それを反映しましての自動車販売状況の振り返りでございます。1月から3月の販売状況をまとめております。税率が上がりました。それを受けましての1月から3月の販売動向ですが、ご覧いただきますように急激に販売が減速しております。前年割れも起こしております。これを受けて一方で、業界の在庫を見てみますと、急激に増加していることがご覧いただけるかと思います。

    これを受けまして、ANFAVEA、自動車工業会ですけれども、政府の方に陳情をしております。IPIの減税戻しをやめて下さいということでお話しをし、これを受けて政府の方は段階的な引き上げをサスペンドしました。これが3月の末に決まっております。

    こちらにありますのは、私どもが販売をしております1リッターから2リッター、この車、FSVなんですけれども、こちらの例でお話しをしております。2012年までは5.5%まで、元々の11%の減税からIPIから落としました。これが1月に段階的な上昇ということで7%まで戻っております。本来の計画でありましたらこれが段階的に11%に戻る予定でありましたけれども、今のままで行きますと、こういった減少を受けまして7%で年末まで行くということになっております。

    こちらが、そういった状況を受けましての月別の販売台数状況でございます。先程触れましたように、1月から3月でいきますと、税率の戻りがありまして、ペースとしては非常に急減しております。前年割れも起こしました。しかしながら4月に税制がサスペンドになった以降でございますけれども、販売動向としましては非常に改善しております。

    中ほどのグラフ、青い線が市場の前年比、こちらの方からも前年割れが改善されたということがご覧いただけるかと思います。一方でオレンジ色の線で、こちらの方は輸入車ですね、輸入車の前年比を表しております。輸入車につきましては、IPIの増税、それからご承知の通りブラジル・メキシコの自動車協定の見直しなどがございました。よって成長ペースが非常に鈍化しているということがご覧いただけるかと思います。

    以上をまとめますと、上半期の四輪の販売台数でございますけれども、180万台、前年比105%で推移しております。
    続いてご参考に、四輪車の支払いの形態別で販売比率をご紹介しております。後で出て参りますが、二輪車の販売比率と全く異なっております。特徴的なものはですね、先進国と比べまして現金での支払い比率が非常に安定的に多く、約4割を占めております。それからローンとリースですね、これを合わせた比率につきましては大きな変化はございませんが、一般顧客を対象にしましてローンの割合が非常に増えていっているというところが四輪車の特徴になります。

    続いて四輪車の方の生産と輸出をまとめております。ご覧いただきますように、トラック・バス、それから乗用車セグメントでも非常に拡大しております。前年同期比で約18%の伸びを示しております。グラフの中ほどにあります紫の線なんですけれども、こちらが輸出台数を示しております。昨年までは前年比でマイナス成長だったのですけれども、昨今のレアル安を受けまして、今年の上半期でいきますと18%増という形になっております。

    先程、販売でいきますと前年比105%で推移しているというお話をさせていただきました。これと生産との、18%増とのギャップでございますけれども、この伸びている輸出台数、それから冒頭に触れました業界の方で在庫が非常に多くなっている事象がございます。この二つが、この二つの数字の乖離の要因かなというふうに見ております。

    ちょっと見えづらくて恐縮ですが、もう少し輸出の内容をかみくだいて見ております。上の方ですね、カテゴリーで見ておりますと、ご覧いただきますように乗用車で126%と大きく輸出が伸びております。下の方、こちは企業別でまとめてみました。ビッグ4のうち、フィアットが大きく台数を伸ばしております。これらに鑑みますと、特にアルゼンチン向けの小型車が伸びており、それが輸出の増を牽引しているのではないかというふうに推測しております。

    四輪の最後になりますけれども、こちらに、ANFAVEAですね、自動車工業会の方から発表しております2013年の予測をまとめております。こちらにご覧いただけますように、前年比でいきますと3%から4%ということで、微増するというふうに予測しております。現時点でいきますと市場動向は前年を超えておりますけれども、ご紹介しましたようにIPIの動向によりまして、非常に販売が大きく動いております。

    よって結論としましては今後も注視する必要があるというふうに考えております。ちなみにですね、カッコ内でございますが、弊社の予測を入れております。業界の数値よりももう少し厳しい見方をしております。今後もですね、下期に厳しい状況が続きまして、業界内の在庫がもう少し増えるような事象になった場合は、その状況をふまえまして業界の方からさらにIPI減税に関するような陳情が出るのではないかというふうに見ております。

    続いて二輪車動向です。まずは二輪車の方、非常にファイナンスが販売に大きな影響を与えます。よってまずは支払い形態別に販売比率を見ております。ご承知のように2012年以降ですけれども、支払いの不履行が非常に多く発生しまして、それ以降与信の審査が非常に厳しくなっております。ご覧いただけますようにそれ以降はローン比率が非常に大きく下がってきています。2013年の上半期なんですけれども、こちらも今までの傾向とは大きく変わりはございません。与信審査は非常に厳しいというところで、ローンの減少傾向については歯止めがかかっていないという状況です。

    続いて生産と販売の状況です。中ほどのブルーのバーですね、赤い点が販売台数、ブルーの棒グラフで生産を出しています。販売に関しては与信緩和の兆候は見えていません。厳しい市場環境が続いておりまして、前年比、やはり1割減ですね、1割減で推移しております。生産台数につきましても、この鈍い販売状況を反映しまして、同じく前年比で90%、1割減で推移しているというのが状況です。輸出につきましてはほぼ横ばいで推移しております。

    この状況を同様に月別で見ております。後ろにあります薄いブルーが前年の月度別の販売台数、手前のブルーが今年の月別となっております。で、オレンジ色で前年比を出しております。ご覧いただけますように非常に苦しい状況が続いております。2013年の後半なんですけれども、この与信の審査の状況についてはあまり大きく状況は変わらないだろうというふうに見ております。よって厳しい状況が続き、年間通しましても150万台。これは前年の1割減となりますが、150万程度で市場は推移するのではないかというふうに見ております。

    部品業界につきまして簡単に触れさせていただきます。すいません、数字の方が半年ベースのものが取れませんので、前回と同様に2012年の実績の紹介となります。こちらはですね、2011年比でいきますと前年比96%ということで、微減となっております。乗用車市場につきましては実績好調に推移したのですけれども、部品単価の高いバス・トラックの方で販売が鈍化しておりますので、これが部品売上高に影響したものというふうに見ております。

    最後になりますけれども、2013年の下期、展望ということでまとめております。先程来ありますように、経済状況でございますけれども、金利につきましては引き上げ状況が続くでしょうというふうに見ております。為替動向でございますが、本日2.4を超えました。このレアル安傾向につきましてはこのまま継続するのではないかというふうに見ております。

    またGDPの成長率ですけれども、政府の予測は下方修正されております。それに加えまして、エコノミストからの予測につきましても低下傾向が続いております。まあこういった形でですね、自動車業界をめぐる環境につきましては引き続き厳しい状況が続くだろうというふうに見ております。

    四輪市場でございますが、足許、業界の在庫なんですけれども、高どまっております。現時点で35日分の在庫があるという状況になっております。足許の販売状況につきましても、各社非常に大きなインセンティブを出しておりまして、値引きによりまして販売が継続している、維持しているという状況でございます。前年の6月以降はですね、販売の実績は非常に高く、2013年の下期が前年の実績を超えてくるというのはかなり困難な状況かなというふうに見ておりまして、まあ通年通しましてやっと前年微増となる見込みというふうに見ております。

    二輪市場におきましては、まあ繰り返しになりますけれども、与信緩和の予兆は見えておりません。ローン販売の期待は非常に薄いというのが状況でございます。下期につきましても上半期と同様にこの低調な販売動向は続くというふうに見ております。

    まとめますと、現在の経済状況の不透明さ、非常に増しておりますので、四輪車・二輪車とも2013年下期は非常に厳しい販売状況が予想されるというふうに考えております。
    以上、簡単ではございますが、自動車部会の発表でした。どうもありがとうございます。

    司会
    岡本さんどうもありがとうございました。自動車部会に関しましてご質問ございませんでしょうか。そうしましたら、若干プログラムよりも時間早めに進行しております。続きまして、機械金属部会、相原部会長よろしくお願いいたします。

     

     

  • 機械金属部会 相原良彦 部会長

    2013-08 機械金属部会 相原良彦 部会長

    機械金属部会

    皆さんこんにちは。三菱重工の相原です。今、岡本様の発表は華やかな発表なんですけれども、今から発表するこの業界、ちょっと景気が悪いので、まあ明るく発表したいと思います。

    機械金属部会の上期の回顧と下期の展望ですけれども、ここに書いてありますように業種がですね、かなり広範囲に広がっていますけれども、総じて言いますと、ちょっと自動車業界だけに引っ張られたところがまあ景気が良くて、主なその、社会インフラ関係ですね、これは政治が悪いのか、あるいはまたペトロブラスさんの景気が悪いのか、総じてちょっと中々プロジェクトが加速していないということもありまして、あまり良くないというような感じです。それでは個々の業界についてご説明申し上げます。

    まず鉄鋼関係ですけれども、上期の回顧ですが、概況としましては国内の粗鋼生産量は上期が1697万トンということで、前年比2.2%の減。鋼材見掛消費量が、上期は1300万トンということで、これまた前年比0.4%の減というふうになっております。ブラジル経済の、先程からお話しがありますけれども、回復基調が弱いということで、生産量は減少と。で、見掛消費量は横ばいということになっております。

    次に輸出関係ですけれども、上期の実績としまして444万トン。これまた前年比14.4%の減と。それから半製品につきましては281万トンということで、26%の減。鋼板類は96万トンということで、17%の減です。条鋼類に関しましては60万トンということで、これまた24%減っているという状況です。

    輸入につきましては、上期168万トンということで、14.6%の減と。これは主要鉄鋼製品の関税引上げの影響もあってこう減っているということです。ただですね、本統計に入って来ない間接的な鉄鋼製品としての輸入ですね、これについてはまあ250万ということで、前年比14%の増というふうになっております。

    次に下期の展望ですけれども、まず国内の粗鋼生産量ですね。2013年度の予測としましては3450万トンということで、一応下期ちょっと取り戻して横ばいの数字になるのではないかと見ております。鋼材見掛消費量の予測ですけれども、これも2610万トンということで、最終的には前年比の横ばいというふうに見ております。

    次に輸出関係ですけれども、890万トンということで、トータル的には8.8%前年比から落ちると。で、主力のスラブの輸出ですね、これの減少がちょっと著しいということで懸念しているという状況です。

    次に輸入ですけれども、輸入につきましても310万トンということで、17%の減と。まあ政府の保護政策とレアル安によってですね、まあ減少するというふうに予測しております。ただ、国内ですね、今言いましたけれどももっと政府が頑張っていただいて、建設関係が伸びてですね、それに伴って建機、それからインフラ関係ですね、需要がどんどん伸びて来るということに期待をしております。それから先程自動車業界の話にありましたけれども、ブラジル政府の減税処置がまだ続いてですね、この好調を維持してくれるということに期待しております。

    次に電力および社会インフラ関係についてご説明いたします。まず上期ですが、概況としましては経済の牽引役である、やはりPetrobrasさんですね、これが大型投資案件が軒並み遅れておりまして、まあ全体的に低調に推移していると。ただ、Petrobrasさんの投資の中でも上流関係ですね。オンショア関係には計画はまあ進んでいるわけなんですけれども。その意味では造船関係、その辺の部門の投資には積極的なんですけれども、いわゆる陸上部門ですね、化学プラントとか肥料プラント、そういったものに関してのプロジェクトがまあ遅れているという状況です。

    あと電力関係ですけれども、まあ水不足による電力危機にも関わらずですね、やっぱりガスの供給の問題がありまして、ガス火力発電プラントが進んでいないと。これもやっぱりPetrobrasさんがあまり儲けていないということにまあつながっているかと思います。

    それからインフラ関係ですけれども、これまた大型プロジェクトの入札がまあ遅れていまして、つい最近発表されましたけれども、8月16日に予定されていた高速鉄道の入札もまあ1年以上延ばすということも発表されたという状況です。

    それから汚染土壌の洗浄とかですね、それからゴミ焼却関係など環境設備の導入計画についても、これまたちょっと具体的な進展がないというような状況でございます。

    下期の展望ですけれども、まあ先程から話がありますように、6月のデモ騒動の影響もありまして、まあ短期間での経済のV字回復はまあ見込めないということで。さらにPetrobrasさんの業績の悪化による大型投資案件の遅れも懸念されると。まあしかしPetrobrasさんはやはりブラジル経済を引っ張っていく牽引役なので、そこには期待しているところは大きいということでございます。

    あとインフラ関係ですけれども、まあ今回のデモでも、高速鉄道はさておいて、地下鉄とかですね、あるいは道路とかそういったものに対するインフラは早くやれというような要求だったと思いますので、その辺の建設プロジェクトについては、まあ速やかに、あるいは加速されるんじゃないかというふうに期待しているということですね。あとブラジル政府の経済政策によって、まあ中間層の個人消費の拡大がどんどん伸びてくれれば、それがやはり設備投資につながってくるというふうになると。まあその辺が鍵と見ております。

    それから発電・環境関係ですね、既にもうフィージビリティー・スタディーとか全部終わっているんですけれども、やはりそれを実行するという実行力がちょっとあまりないというようなところがありまして、中々最終決定して、早くやろうというようなことになっていないというのがちょっと懸念しているというところでございます。

    ただ、先程も言いましたけれども、都市交通関係、道路、それから空港の拡張などこういう社会インフラ関係はですね、まあどんどん進んでいくだろうと。まあサンパウロの地下鉄関係ですね、これも入札が一回延びたりした案件もございましたけれども、これも10月末くらいにまた入札があるというような話もありますので、まあこれも加速してやってくれるんじゃないかなと。あと空港関係では、運営事業権ですかね、リオとかベロ・オリゾンチで事業権、これなんかも次にどんどん進展していくんじゃないかと、そういうふうに期待しているというところが社会インフラ関係ですね。

    次にプラント機器関係ですけれども、まず紙パルプ業界ですけれども、まあこの業界は総じて国際競争力のある業界なんですけれども、やはりレアル安によるドル建債務というのがかなりありまして、それの評価損をまあ数百億円単位で計上しているけども、昨年同期と比べて、業界の大手さんの第2四半期の決算はまあ好転しているということで、計画している設備投資、これは多少遅れはあるんですけれども、引き続いて継続してやってくれているという状況ということです。

    あと石油化学業界。先程もちょっと話しましたけども、割高な天然ガス価格にまあ嫌気をさしてですね、まあ各社ともに投資計画を延期する、あるいはまあ中止しているというような形でございます。

    それから鉄鋼・非鉄業界なんですけれども、これはもう昨年来ずっと不況が続いていまして、やっぱり今年度も操業度が低下している、しかも儲けていないということで、製鉄所の設備投資案件は軒並みもう凍結されているというような厳しい状況でございます。

    下期の方の展望ですけれども、紙パルプ業界につきましては、製紙各社さんは来年以降のですね、設備投資に向けて計画作業をちゃんとやっておりまして、今年中、年内は無理でも、来年には間違いなくやっていくんじゃないかというふうに見ております。

    あと、石油化学業界ですけれども、やはり先程も言いましたけれども、Petrobrasさんの予算が厳しいということから、石油開発ですね、さっき言いましたオンショアの方を除きまして、やっぱり陸上関係の新規投資というのはまあ延期されて、すぐには回復していかないとただPetrobrasさんが北東部で2ヶ所計画されておられる新設の精油所ですね、このプロジェクトがまあ動き出すということを期待しているという状況です。

    鉄鋼・非鉄業界は、まあご存知のように世界的に、特に中国関係が過剰な設備を持っていますので、どうしても供給能力は過剰ということで、これまたちょっと今年度内に景気が良くなるというふうにはちょっと思えないというのがまあこの業界の状態です。

    次に建設機械ですけれども、上期の回顧としましては、まず総需要台数。これが1Qが2479台ということで、昨年比と比べまして12.8%の増と。で、2Q。4月単月ですけれども1049台ということで、まあ全体的には緩やかな需要の回復が見られると。ただ、昨年度の落込みが大きすぎたこととですね、農業開発省向けのテンダーの影響もあって、昨年同期に対してプラス12.8%となっているということで、まあこの数値から受けるよりはそんなに伸びていないというのが印象ですね。

    あと小形建機の方ですが、小形はバックホーにつきましては、輸入統計全体では前年比25%減ということで低調になっております。

    下期の展望ですけれども、総需要台数が2012年実績が1万383台に対しまして、13年度の予測としましては1万3200台ということで、27.1%の増を見込んでおります。特にインフラ関連による需要に加えまして、農業開発省向けテンダーによってですね、総需要はまあ伸びるというふうに予測しております。

    それからあと小形建機関係ですが、まあW杯ほかに向けて、まあブラジル中で建設たくさんやっていますので、そこの関係でですね、年間では下期はがんばって、まあ20%ぐらいは年間を通せば伸びるんじゃないかと。そういうふうに期待しているということでございます。

    次に農業機械の方ですけれども、上期の回顧。まずエンジンビジネス関係ですけれども、上期の販売としましては、まあこれは発電機セットを含んでおりますが、全般的にはまあ好調でして、前年同期比で台数、金額ベースともに11%の増と、こういう状況でございます。

    それからトラクタービジネスの方ですけれども、全般的な農産物の豊作と、2008年から開始されました小規模農家への低金利融資政策ですね、それの継続によって、今年度上期の販売はですね、昨年に比べて19%伸びていると。まあしかしながらこの、政府の価格上限コントロールですかね、これのために中々儲けていないというようなレポートをちょっとされております。

    下期の展望ですけれども、エンジンビジネスにつきましては、下期の小型エンジン販売は上期並みを想定していまして、特に20馬力以下のブラジル製単気筒エンジンの販売はですね、地方への電化による市場縮小に加えまして、まあここでもそうなんですけど安価な中国製エンジンの流入によってですね、非常に厳しくなっているということですね。

    あと、トラクタービジネス。さっき言いました低金利融資政策が今後も継続されるということで、小形トラクターの販売はまあ好調をこのまま維持してくれるということを期待しておりまして、前年比15%から20%の増というふうに見ております。

    引き続きまして、各種切削工具関係ですけれども、上期の回顧としまして、まず切削工具。これは先程の自動車業界さんの好調に支えられまして、前年同期比14%の増と。ただし予測よりは下回っています。耐摩耗工具も受注は半減しているということでございます。

    あと鉱山工具関係。これは前年並みの受注ということで、総じて建設関係は好調と。ここも、鉱山工具関係は価格競争が厳しいという状況でございます。あと、ねじ切り工具関係ですけれども、輸出が日本向け製品の供給停止ということもありまして、レアル安だったんですけれどもまあ4%減と。あと国内向けも前年同期比16%減ということでちょっと不調ということでございます。あと、プラスチック成型品関係ですけれども、トラック部品の回復によりまして前年同期比として30%の増と。あと一般消費者向セラミック関係ですね。これは10%の増ということになっております。

    下期ですが、切削工具、季節的な要因も含めまして、上期実績に比べて10%の増加と予測しております。しかしまあ楽観状況ではないということでございます。耐摩耗工具は建設用の丸棒鋼の需要は今後も期待されるということでございます。あと、ねじ切り工具の方ですが、受注が好転してきておりまして、納期確保を確実にしてですね、受注を予定通り確保していくということを目指しているということでございます。

    あとプラスチック成型品等ですけれども、トラック部品の需要がこのまま継続すると予想しておりまして、新規製品も含めて前年比20%のプラスという見込みをしております。あと一般消費者向セラミック関係ですが、これも通年で10%の増というふうに見ております。

    次は機械部品および測定機器ですが、まず上期の回顧としまして、チェーン関係ですね。これは製糖業界向けのスポット受注がありまして、この会社さんでは前年比332%ということで、これは特別な特需ということで、この特需を除けばほぼ前年と比べたら横ばいということでございます。

    それからホイスト&クレーンとチェーンブロック、いわゆる釣り具関係ですね、これも前年比20から25%減と。この部門でもですね、やはり中国製品ががんがん入ってきて、まあ日本製品がちょっと押されているという状況ということでございます。あと軸受ですね、ベアリング関係ですけれども、ここでもやはり自動車向けは堅調だったんですけれども、2輪車向けは先程お話ありましたようにちょっと販売が伸びていないということがありまして、やはりベアリングもまあ低調と。

    ただ農機関係は堅調ということなんですけれども、鉱山向け、あるいはVale等の投資が低調ということで、鉱山向けについては依然低迷しているという状況でございます。あとアフターマーケットですけれども、やっぱりこれまた安値の中国製品の輸入に歯止めがきいていないということで、まあ苦戦しているという状況でございます。

    次、測定機器ですけれども、SENAIとかで教育機関向けの販売という、まあ堅調に推移していますけども、全体としては、目標は未達なんですけれども前年同期比としては4%増えているという状況でございます。

    下期の展望ですが、まずチェーンの方ですが、食品包装、それから製糖、それから森林等特定業界の補修需要の取り込みとですね、新規OEM攻略による販売増加を狙って何とか少しでも目標を達成したいということです。それからホイスト&クレーン、チェーンブロックですけれども、これは中国勢の安値と対抗してたんじゃ話にならないということで、価格よりですね、品質を重視するような顧客を特にターゲットにして何とか受注を確保していきたいという戦略を練ってやっている状況です。

    次に軸受ですけれども、自動車向けはまあ引き続き堅調に推移するということを期待しておりまして、ただ二輪車はまあ何とか回復してくれればなと思うんですけど、ちょっとまだ時間がかかりそうですね。それから農機はこのまま好調に行けるということを期待しています。

    あと産業機械関係、これはもうやはり回復に期待するしかないという状況です。あと、アフターマーケットとしましては、代理店の在庫ももう高止まりしているということで、まあ先程言いましたけども、ここも中国製がどんどん入ってきているということで、これはこの業界に限らないと思うんですけれども、我々日本勢としてはやっぱり競争力を高める工夫をしていかなきゃならないと思っております。

    測定機器ですけれども、ここも自動車業界さんの投資を期待しておりまして、まあいつもいつも自動車だけじゃ困るので、この業界でもですね、医療機器とか製薬会社とか、そういうところのお客さんを開拓して多様化を進めて、何とか受注を確保していこうというようにしようということでございます。

    次に潤滑油・金属加工油関係ですけれども、上期の回顧の回顧としましては、まず潤滑油ですが、市場全体としては前年比プラス5%ということで、全分野でプラス伸長が見られます。とりわけ特に、何度も出ますけれども、自動車分野がプラス6%ということで好調と。あと自動車用燃料も好調でして、ガソリン+エタノールの消費量も前年比プラス7%ということでございます。あと、金属加工油。これも前年比プラス14%ということですけれども、やはり自動車販売が堅調に推移したということで、主要客先であります自動車部品製造業での生産が増加したということでございます。

    次、下期の展望ですけれども、まず潤滑油につきまして。このまま自動車分野の好調さがまあ維持されればですね、潤滑油全体需要も押上げられたままで行けるんじゃないかと見ております。ただ、さっきから何べんも出ていますデモ等の影響によりまして、景気全体がまあ失速しますとどうしても工業用潤滑油全体の市場もまあシュリンクしてしまうという、このことに関しては非常に懸念しているということでございます。

    あと金属加工油ですが、これは前年比プラス10%を見込んでおります。これも自動車関連企業の生産は好調に推移しているということですけれども、まあ2輪車はちょっとまだ低調と。それから、繰り返しになりますけれども、頻発するデモの影響が懸念されるけども、新規獲得に努めて目標達成を目指したいということでございます。

    以上で各業界の個々のまとめを発表しましたけれども、機械金属部会全体としまして、まず上期の回顧ですけれども、多少景気はまあ回復基調にありますけれども、依然ヨーロッパをはじめ世界経済は低迷しておりまして、特に中国経済の減速によりブラジル経済もGDP成長率2%行けばいいというぐらいなので。さらに最近のデモなどの影響もありまして、個人消費にも陰りがあるということで、設備投資意欲が依然落ち込んでいると。

    ブラジル経済を牽引すべきPetrobrasも業績が悪化しているということで、予算削減が行われて、プロジェクトの遅れがまあ非常に目立ったと。また社会インフラ投資につきましても、政府の発表は派手に行われたんですけども、実際の投資が動き出したケースというのは、まあ先程も言いましたような理由でまあ遅れていると、あるいは少なかったということで、いずれも需要喚起にはつながらなかったと。ただ、自動車関連業界だけが、政府のおかげですかね、伸びているということで、まあ予想はもっと伸びると思っていたんですけれども、まあ前年比としては増加と。こういうふうになったのが上期の回顧と。

    下期も結局あまり変わらないんですけれども、ブラジル経済がV字回復する見込みはまあほとんどないんじゃないかなということで、このまま低成長が継続するものと推測されると。概ね、この機械金属部会の各社さん共に2012年度並み、あるいは2011年度レベルへの回復を予測しています。

    特に製造業のコスト競争力ですね、さっき中国との話で出ましたけれども、やはりブラジルコストということもありまして競争力がますます低下しておりましてですね、中国品との熾烈な競争にまあどうやって勝っていくかということに心を砕いているという状況です。

    それからPetrobrasの業績悪化でですね、その設備投資が活発になる可能性は依然低いということで、この関係の受注もまあ低迷する可能性があると。それと、また繰り返しになりますけれども、最近のデモにより、社会インフラ投資計画ですね、この実現が、まあ一部、先程言いましたけれども、地下鉄とか道路とかですね、あの辺のところは本当に加速してくれるし、しなければどうにもならないと思っていますけれども、まあそこだけが期待ですね。あと最後に造船関係なんですけれども、すでに、まあ私は三菱重工なんですけども、すでに川重さんとか石播さん関係出られていますけれども、やっと重工も出られる状態になりつつあるということでですね、何とかこのブラジル経済を盛り上げていきたいと思っております。

    簡単ですけど、以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    相原部会長どうもありがとうございました。非常に多業種多分野にわたる部会をまとめていただきまして、ご苦労様でございました。質問ございませんでしょうか。はい。じゃあどうもご苦労様でございました。

    前半の最後のプレゼンテーションです。電気電子部会の三浦部会長、発表の方をよろしくお願いいたします。

     

     

  • 電気電子部会 三浦修 部会長

    2013-08 電気電子部会 三浦修 部会長

    電気電子部会

    はじめまして。Sonyブラジルの三浦です。2回目の赴任、1年半経ちました。去年、今年、これから、まあ今日が初めての発表なんですけれども、まあ1年半やってきましてですね、かなり厳しいなというのが電気電子部会の、何と言いますか総括になると思うんですけれども、最初のページお願いします。

    この数字はですね、dataと書いてありますけれども、マナウスのSuframaから上がってきているそれぞれのカテゴリーの生産状況です。電気電子部会と言いましても、例えば我々のようにマナウスで95%生産して売っている業種とかですね、一緒に白物をサンパウロ近辺で作っていたり、もしくは部品を輸入してここで販売したり、もしくは電話会社への設備を納入されたりしているような、色んな会社がありますけれども、まあ一番分かりやすいというか、弊社みたいなですね、マナウスで作って売っているというのが一番分かりやすいのかなと思いまして、一つの例として出しております。

    この中でですね、それぞれのカテゴリー、まあ上の方から、CRTというのは昔の、何と言いいますか、カラーテレビですね、重いテレビなんですけれども、それがいよいよ、まあ無くなってきていると。生産がほとんど、これが50万台ですから。例えばサンパウロ市内とかではもうほとんどこの近年、通常の昔のテレビは見えなくなって、LCDとかLEDとかそういったテレビになっていますけれども、まだ生産しています。多分もう今年ぐらいで生産は終わるんじゃないかなというふうに思います。

    それに代わってですね、プラズマテレビ、LCD TVというのが、まあ550万台。この1月から6月にかけて550万台生産されております。この数は去年とほとんど変わりません。

    次にホームシアター。テレビの横と後ろにつけてですね、映画みたいに楽しみましょうという機械なんですけれども、まだまだこれは非常に小さい数ですね。

    あとDVDプレーヤー、Blu-Rayプレーヤー、これが去年と比べて生産は落ちてきているんですけれども、わけませんでしたがBlu-Rayプレーヤーというのが数的には非常に大きく伸びてきております。しかしBlu-Rayプレーヤーもですね、DVDプレーヤーと同じく、非常に価格のですね、エロージョンといいますか、低下が激しくて、もう泣きたくなるような値段で売っているというのが実情です。

    次がデジタル・スティール・カメラですね。これは次のページでもちょっとお話ししますけれども、生産がまあ徐々に落ちて、徐々にといいますか急激に落ちてきております。で、売上も急激に落ちてきております。それがデジタル・スティール・カメラです。

    あとはですね、オーディオ。非常にラテン、特にブラジルという国の、特にノルデスチなんですけれども、大きな音で音楽を楽しむというのが非常に、何と言いますかここの国民性でですね、そこはまだまだ伸びています。世界的にはオーディオの需要と言うのは非常に減っているんですけれども、南米特にブラジルでは非常に伸びております。

    カーオーディオ。これは自動車業界の、まあ何と言いますか、非常に伸びているということに起因しているのかもしれませんけれども、まだ前年維持という状況です。

    まあ弊社は作っておりませんけれども、マイクロウェーブオーブンとかですね、エアコンとか、こういったのも非常に、特にエアコンのSplitですね、これは非常に大きい伸びを、この生産の伸びを示しております。次のページお願いします。

    これはですね、町の電器屋から実際に売れた数字、まあ我々がですね、この下に書いてありますGfkというところから買っているデータなのでですね、ちょっと白物はなくてオーディオビジュアルだけに限られるんですけれど、まあjust exampleとして見ていただきたいんですけど、非常にこれ、ピンク色で書いてパーセンテージ囲っていますけど、前年比割れです。非常に苦しんでおります。

    デジタル・スティール・カメラですね、これまだ生産が20%減で販売は12%減なんですけれども、これは本当にもう、何と言いますか、血の雨を降らせながら、値段を下げながら、やっぱりどうにかして売っていかなきゃいけないということでこういった数字が、まあ現状維持できていますけれども、12%でとどまっておりますけれども、かなり落ちてきています。

    DVD/Blu-Rayプレーヤーは、これは非常に値段が下がっているということでですね、現状維持です。

    あとオーディオ、ホームシアターとかですね、こういったノートブック。このノートブック、まあPCなんですけれども、このPCがやはりタブレットとか、あとはスマートフォンとか、そういったものに代わってしまって、かなり苦戦しております。

    で、テレビ。テレビはまあ前年に比べて9%上がっています。これは1月‐6月なんですけれども、これは6月のコンフェデレーションカップがあったから伸びたんじゃないのかなと思いたいんですけれども、全くそうじゃなくてですね、値段がやはり、どのメーカーもと言いますか、韓国メーカーを中心に非常に在庫、もう去年の末から、去年の12月の売上というのが、やはり電機業界かなり期待したわりには全く予想通り行きませんで、それで在庫が残ってしまって、これが1月から6月にかけて、まだコンフェデレーションカップ中もそうでしたけれども、非常に値段を下げながらとにかく売り切るという状況が続いているということで、9%アップになっていますけれどもまあそういう状況です。

    次はMobile Phoneなんですけれども、セルラー・フォンですね、携帯に関しては全体では下がっているんですけれども、そこの一つ下の欄のSmartという、スマートフォンですね。まあ1年前はこのスマートフォンのシェアと言いますか、27ミリオンに対して6しかなかったわけなんですけれども、これが今年の半期ですね、1月-6月にかけて、25に対して10ということで、もう40%近く増えております。

    かなり、やはりスマートフォンといえどもですね、まあ非常に安いスマートフォンから、まあ299からですね、2000超えるスマートフォンまであって、まあこれは非常に下の方が伸びているわけなんですけれども、この5月にまた突然、まあ突然来るのがよくあるんですけれども、ブラジル、ご承知のようにと言いますか、スマートフォンのリテールプライス1500以下に関して10%から15%のインセンティブがつきまして、1500以下で売っているものに関しては、例えば1300で売ってもですね、税金がその分だけ免除されるというようなルールが今適用されておりまして、非常に1500以下が買い時になっています。いかんせん、まあそういったモデルも我々持っているんですけれども、上の方を売っていこうとしている我々にとってはですね、まあ非常に、何と言いますか、ネガティブなインパクトでしかないと。

    かつ、デジタルカメラですね。デジタルカメラをがんがん売っていかなきゃならない状況の中でこういった、カメラもほとんどのスマートフォンというのはカメラ機能がついていまして、あるスマートフォンなんて通常のカメラよりいい機能がついていますから、そういったところにインセンティブがつけられてしまってですね、デジタルカメラにとってみればもう踏んだり蹴ったりというような状況です。

    ですから今非常に伸びているのはこのスマートフォンのセグメントです。これがもう本当に、どのカテゴリーにとりましてもですね、まあスマートフォンとタブレットというのが今非常に伸びているカテゴリーになっています。はい、お願いします。

    まあ我々の電機電子部会ですか、50何社あるんですけれども、今回17社からアンケートをいただきました。17社からアンケートをいただいてですね、前半どうでしたかというところで聞いたところですね、17のうち9社が改善しましたということで、アンケートをもらった中では非常に5割以上改善しているとということでびっくりしたんですけれども、多分改善されていないところはアンケートを出されていないんだろうなと、まあ自分のところも見ながら、考えながらですね。そう考えると、かなり私は苦しいんじゃないかなというふうに思っています。

    で、青とピンクで分けましたけれども、青がですね、まあ非常によかった理由でですね、やはり自動車関連へのインセンティブのおかげで自動車メーカー様への納入が大成功だったというところが非常に大きく伸びています。もう一つはやはり今スマートフォンの、先程言いましたけど、スマートフォン、電話というのが非常にブームになっています。それぞれのオペレーターがですね、かなり拡張をやっていますので、そういった所への、ネットワーク関連への投資拡大があって、そこへ納入できたというのが改善の理由だったということでした。

    全然良くなかった、もしくは維持ですね、そういったところはですね、やはり経済拡大の期待外れと。去年が0.9%で経済成長終わって、今年はまあ2.9%、3%ぐらいというふうに1月は言われていたわけなんですけれども、月を追うごとにそのパーセンテージがどんどんどんどん下がって、多分今年も2%割るぐらいなんじゃないかなというふうに思いますけれども、そういった状況の中でのですね、demandというのが非常に盛り上がっていません。

    この上の青い部分と全く同じことなんですけれども、やはり自動車とか白物へのIPIのインセンティブ、減税のおかげでですね、これはまあ弊社と言っていいかもしれませんけれども、自動車関連ほとんど全く作っておりませんし、白物も作っていないと。そういったところですと、お客様のポケットは一つですから、我々の方に回って来るお金が少なくなってきているんじゃないのかなというふうな気がしております。

    それと、6月のManifestaçãoですね。6月、やはり、コンフェデレーションカップの時はですね、ほとんど毎日Manifestaçãoがありまして、色んな我々のお客様、ディーラーですね、電器屋さんにインタビューしてみますと、やはり早く店を閉めなきゃいけないとかですね、5時以降はショッピングセンターをクローズしなきゃいけないとか、そういった状況がありまして、大体平均で20%ぐらいの売上が落ちたと。6月はですね、売上が落ちたという状況です。これもかなり影響してきています。

    で、もちろん、最後ですね、レアル安ですね。今日まあ2.4超えてしまって、ちょっと早く2.4なりすぎたかなというふうに個人的には思っているんですけれども、いかにマナウスで作っているといえども、例えばテレビの例でいいますと、現地化が中々できておりませんで、大体テレビで90%はコンポーネントを輸入しています。

    まあ85%から90%。それが全て一気に、何と言いますか、レアル安にインパクトかかってきています。かかります。ご存知のように電機業界、電子業界というのはほとんど値上げができないという状況です。値上げをしようと思ってもですね、やはり、特にここでは韓国メーカー強いんですけれども、韓国メーカーさん、全く値上げしません。そういった中でですね、やはり在庫を持っちゃいけないと。というか在庫を残してしまうと先々もっと値下げしなきゃいけないということで、かなり厳しい戦いが今続けられております。これがまあ2013年上期の状況です。次お願いします。

    下期の展望なんですけれども、これは17アンケートが戻ってきた中で、12は改善すると。これはものすごく希望的、まあ私も含めてなんですけれども、希望的観測が入っている。まあ改善してほしいというところが入っているんじゃないのかなというふうに思います。どういったところに期待するのかというとですね、来年の6月からワールドカップが始まりますので、それに関する需要拡大。まあ特にテレビですね。テレビが大きく増えるんじゃないのかなとというふうに期待しております。

    ちなみに今年のコンフェデレーションカップは、全く期待外れというか、予定通り期待外れに終わりました。ただ一つだけ、ほとんど誰も、まあここにもブラジル人の方いらっしゃっていますけれども、コンフェデレーションカップに関してはほとんど知らないと、ほとんど興味ないというふうな人たちが、始まる前まではほとんどそうだったんですけれども、まあ弊社がスポンサーしていますから、まあ色々、何と言いますか、インタビューなんかをしているんですけれども、ほとんど興味なかった。

    それがやはり、準決勝を勝ってですね、決勝を勝ったということによって、来年ブラジルが優勝するかもしれないということで、まあ一挙に、何と言いますか、ブラジル人の心は非常に、まあ弊社の従業員に聞いてもそうなんですけれども、非常に盛り上がってですね、来年優勝するんだったら大きいテレビでワールドカップを見たいなと思う人が出て来るんじゃないのかなというふうに期待しているんですけどね。そういったまあ期待も非常に大きく入っているということです。

    それからセルラーフォンといいますか、スマートフォンが非常にやっぱり増えておりますので、まあそういったところへのネットワーク関連での拡大期待というところが大きいと思います。

    ネガティブの部分に関しては、継続する不調な経済ですね。まああまり状況はほとんど変わっていないということと、自動車・白物販売税制のインセンティブがいつまで続くのかなという不安ですね。先程のプレゼンで、12月末で終わるかもしれないという話がまあ出ましたけれども、まあ、ある一部の電機業界にとってみれば、もうそうなってほしいなとつくづく思っているんですけれども。

    それと、やはりインフレを上回る人件費増大による収益の圧迫というのがこれは議題として出ました。ちなみに、直近の例なんですけれども、マナウスとサンパウロそれぞれ、まあ我々入っているのか入っていないのか分かりませんけど、ユニオンの方からですね、やはりサラリーアップという話が毎年出まして、今年マナウスの方が7月にそういった話し合いが行われました。

    で、7月に行なわれて、通常ですとまあそんなに揉めないでですね、すんなりでもないんですけど、去年も8%ですか、おととしも7%ぐらい上がったんですけど、今年はもうかなり揉めましてですね。

    ユニオンから提示された数字が、一番最初に提示された数字が17.5%アップということでもう、聞いた瞬間ですね、あほかと。もうこれは閉めた方が、会社を閉めた方がですね、もうこれいいやというふうに思ったんですけれども、それでもかなり揉めたみたいでですね、最終的には、まあ電機業界といいますか、電子ですか8.5%で収まったようなんですけれども、この8.5%というのもこれもかなり大きな数字で。

    サンパウロが11月ですから、まあどういった話になるのか戦々恐々としているんですけれども、まあ非常に利益的には厳しい、ものすごく厳しい中そういったところ、本当にこういった、半永久的にですね、給料が上がっていくということがあり得るのかというとですね、もう非常に、まあ、何のために仕事しているんだろうというふうにつくづくですね、疑問に思ってしまうんですけれども。

    それから通貨安による、まあ先程も申しましたけれども、値上げできないと。中々値上げできない。これ、2.4になって、最終、この年末には2.7まで行くかもしれないという話が出ていますけれども、これになって、これでも値上げできないというわけにはいかないですから、値上げせざるを得ないでしょうけれども、かなりもう厳しくなってきています。

    それとまあ、金利が上昇しているという、これはもう話は出ました。それにまた、反政府活動による消費の落ち込みですね。これはずっと引き続き、まあ続くでしょうということです。

    最後なんですけれども、政府、これはまあブラジル政府への要望と。まあ皆さん同じことをおっしゃっているので、まあ新しくもない話なんですけれども、やはり複雑すぎる税制の改革ですね。まあ、税金関連に関してそれぞれの会社で何十人もの人が従事されていると思うんですけれども、そのコストを考えるともういよいよ、まあ非常に頭が痛い問題だなというふうに思います。

    それと、インフラ改善と投資の促進ですね。1年半前に日本の方から、東京から、いよいよワールドカップがあってオリンピックもあって、どんどんどんどん投資も進むから、いよいよブラジル伸びるからまた行って来いと言われて来たわけなんですけれども、ほとんどインフラ投資は行なわれていないなというのが実感です。例えばこれもまあ、あれなんですけれども、例えばマナウス。

    一番最近行ったのが5月、6月だったかな、行くと、行くごとにですね、マナウスの弊社の工場の近くの道の穴が増えてましてですね。もうこれ、トラックがガタガタしながら行っている状況を見て、かつ、夜あそこで運転するとですね、危なくてしょうがないというのがうちのマナウスの従業員の言葉で、本当にあれに落ちたら車が壊れてしまうような状況でですね。これ、マナウスで生産、させておきながらという言い方も失礼かもしれませんけれども、マナウスぐらいちゃんとしてよと、しっかり頑張るからというのがですね、我々の気持ちなんですけれども、かなりやはりきつい状況になっています。

    で、反政府行動の鎮静化ですね。反政府行動といいますかManifestaçãoですね。今日も会社出る時、今会社はMarginalの近くなんですけど、Marginalで花火がどんどーんと上がって、花火というか爆竹の音がしていまして、あれ今からもう、昼間からサッカーやっているのかなと思ったら、ManifestaçãoがMarginalで始まったみたいでですね、また今日もManifestaçãoかと。来年のワールドカップもどうせManifestaçãoがあるでしょうから、そういったのを、まあ中々避けられないかもしれませんけれども、いかにしてですね、うまい具合にやってほしいなというのは心から思っております。

    それから、税金を払わない輸入に対する厳格な取り締まりですね。税金に関してこれだけ複雑な税金を、まあ我々どうにかしてがんばってやっているわけなんですけれども、それと並行してですね、やはりもう、おおっぴらにといいますか、横流れ品がパラグアイから、まあ小物に関して、電気製品が中心なんですけれどもね、小物に関して、カメラとかですね、電話とか横流れ品がどんどんどんどん入ってきております。

    これは1月のですね、ミーティングでも私の方ではサンパウロの産業の代表の人に質問したんですけれども、政府代表の人に質問したんですけれども。どうにかしてくれないかと。これだけちゃんとですね、税制に関してちゃんとやって、コストをかけてやっているのに、やっていない人はどんどんどんどん持って来るというような状況は、まあ引き続き続いているなという状況ですね。

    それと治安の改善。これもまあ言い尽くされたあれだと思うんですけれども、治安の改善ですね。これもまあ、例を言った方が分かりやすいのであれなんですけれども、例えば2012年1年間にですね、我々、弊社なんですけれども、弊社のコンテナ、まあマナウスから運んできてサンパウロに持ってきて、サンパウロからまたデリバリーしているわけなんですけれども、それで大体ですね、まあ40件強のハイジャックが起きています。

    これがほとんど、2011年、2012年、ほとんど変わっていません。で、色んなやり方を変えて、今年はですね、非常にimproveしているんですけれども、常にそれに関してですね、何と言いますか、セキュリティーのコストがかかってしまうということですね。

    セキュリティーのコストが常にアップ、例えばコンテナに常に発信機を入れて我々運んでいるんですけれども、そういったコストがかかってしまうというのと、やはり1回、1年間起きてしまうと、次の年ですね、保険ですね、輸送保険が上がってしまうと。

    一番最初のプレゼンでですね、輸送保険の今年の1-6月、非常に、5%去年に比べてアップしたというか、ビジネスが良かったという数字が出ていましてですね、なるほどと。もうあれを見て、他の保険は全部ビジネス下がっているのに、輸送保険だけですね、ビジネスが好調だというのを見て、何か、あれは誰が払っているのか知りませんけれども、我々もその一部なんだろうなと思いながらですね、それを見ていたんですけれども。この治安の改善はですね、どうにか、本当に、まあ言い尽くされているんですけれども、どうにか政府としてやっていただきたいなと。まあこれは言い続けたいなと。この6つぐらいは言い続けなきゃいけないだろうなというふうに思っております。以上です。

    司会
    三浦部会長、たいへん熱のこもったプレゼンテーション、語っていただきました。たいへんありがとうございました。ただ今の電気電子部会の発表に対してご質問あります方は挙手をお願いいたします。それではこれにて前半の部を終わらせていただきます。若干時間早めに進行しておりますが、ここでコーヒーブレイクをですね、15分、3時25分から後半の部を始めたいと思います。3時25分までコーヒーブレイクということでお願いいたします。どうもありがとうございました。

     

     

  • (後半の部)司会 大谷隆明 総務副委員長

    2013-08 司会 大谷隆明 総務副委員長

    後半の部の司会を務めさせていただきます、総務副委員長の大谷です。どうかよろしくお願いいたします。

    それでは早速ですが、後半、貿易部会の発表からお願いしたいと思います。伊吹部会長、よろしくお願いいたします。

     

  • 貿易部会 伊吹洋二 部会長

    2013-08 貿易部会 伊吹洋二 部会長

    貿易部会

    皆さんこんにちは。貿易部会長の丸紅ブラジルの伊吹です。どうぞよろしくお願いいたします。発表の前に一点お知らせがございます。このたび、テルモさん、島津製作所さんのご発案でですね、貿易部会の下にメディカルの分科会を設立いたしました。

    日本の医療機器の当地への導入、中々その許認可等の問題で厳しい部分がございますそうで、その、ブラジル側のハードルが、高いハードルをですね、なんとか、一つの声にして大きくしてブラジル政府と対峙していこうというのが今回、設立の趣旨でございます。大勢の方に既にご参画いただいておられますけども、関係のおありの方、是非こちらのほうの分科会にもご参加いただきたいと思います。どうぞご活用ください。

    では、本題に入りまして、2013年上半期のブラジルの経済動向について発表いたしたいと思います。

    まず、半期ごとの貿易額の推移をご覧いただきます。左の青の棒グラフが輸出額です。右の赤の棒グラフが輸入額で、黄色の折れ線グラフが貿易収支になります。グラフの左側の目盛、これが輸出入額の数字です。で右側の目盛が貿易収支の数字を表しております。

    ブラジルは鉄鉱石、穀物などの一次産品の輸出の好調が続いていたためですね、2000年来、安定して貿易収支は黒字となっていましたが、今年に入ってから貿易収支が急速に悪化し、2013年、上半期では31億ドルの赤字に転落しました。2012年に発生した燃料輸入を2013年に計上するという、その貿易統計上の期ずれの影響が、まあさきほど47億ドルという話がありましたけれど、約50億ドルあるというふうに言われていますが、後ほどこの背景を検証することにいたしたいと思います。

    では、2012年、上半期との対比でさらに詳細を見ていきたいと思います。まず、輸出動向につきまして、商品別にご説明いたします。最初に一次産品ですが、主要輸出品である鉄鉱石は数量、金額ともほぼ横ばいという状況です。大豆は、豊作による数量増が寄与し、前年比15.7%という数字で伸びております。

    一方で落ち込みが目立ちますのが原油です。前年比ほぼ半減という数字になっています。この減少額、52億ドルで、これだけで輸出額全体の減少額、いま上に表示しました28億ドルを大きく上回る落ち込みとなっています。原油のこの輸出の減が輸出全体の不振の原因と言ってよいと思います。

    これは原油生産設備のメンテナンスのための減産に加えまして、国内の燃料需要の増加で輸出余力が減少しているもので、工業製品中の燃料輸出も前年比39.8%と大きく減少しています。

    半製品、工業製品は全体的に微減となっております。輸出の約半分を占める主力の一次産品の内訳を次のページでグラフにしてみたいと思います。

    ご覧の通り、12年上期から13年上期にかけまして原油が大幅に減少しているのがお分かりいただけると思います。その輸出額は104億ドルから53億ドルに、構成比としては前年の19%から、今年は10%とほぼ半減しています。

    2007年、2008年にプレサル油田発見が相次いだ頃には、近い将来ブラジルは大産油国になると宣伝され、2015年ごろまでに日量300万バレル程度まで増産が見込まれると言われたんですが、実際には増産計画は計画通りに進んでおりませんで、産油量、2011年の平均日量210万バレル、2012年は日量206万バレル、13年に入ってからは200万バレルを切るという水準に低下してきているようです。

    続いて、輸出を相手国別に見てみます。輸出相手、上位10ヶ国はこの表の通りですけれども、輸出相手国第1位の中国は2009年来その地位を継続しています。中国向けの輸出品目は大豆、それから鉄鉱石が8割を占めますが、このうち大豆が前年比25%と大きく減ったことで、全体でも前年比8.5%という伸びとなっています。鉄鉱石はほぼ横ばいの状況です。

    2位のアメリカは、前年比16.5%と大幅に減少していますが、これは原油輸出が58%減と大きく落ち込んだためです。3位のアルゼンチンは乗用車や自動車部品が伸びて5.5%増。4位のオランダ向けは横ばい。5位日本はトウモロコシの増加で7.7%増となっています。

    そのほかに増減の大きなところでは、ドイツで16%減になっていますが、これはコーヒーや大豆かすの減少によるものというふうに統計上なっております。韓国の31.5%、これはトウモロコシの大幅増。イタリアの11%減、こちらは鉄鉱石やコーヒーの減少によるものです。

    右側のグラフを見ていただくとですね、地域別の構成比が出ているんですけれども、ご覧の通り輸出先にあまり隔たりはなくですね、バランスがとれているということが見て取れると思います。

    続いて輸入動向です。商品別に見ますと、1番上の資本財、それから2番目の原材料・中間財、それから消費財、そして燃料・潤滑油と、いずれのカテゴリーも増加しております。総額では1101億ドルが1175億ドル、74億ドルの増加となっています。

    次に輸入を相手国別に見ていきたいと思います。輸入相手上位10ヶ国は表の通りです。11年までは米国が1位のポジションでしたが、12年以降は中国からの輸入がトップになっています。

    中国からの輸入増加は半導体や電子部品の増加が主なものです。米国からの輸入はガソリンが大きく増加しています。3位はアルゼンチンからは貨物トラックや乗用車が増加しています。

    そのほかの主な増減では、韓国は半導体や電子部品の増加。ナイジェリアからは原油が減少。インドからは燃料が増加。日本の19.5%というマイナスは、乗用車の減少が主な要因のようです。右側のグラフは地域別構成比ですけれども、輸出先と同様に、あまり隔たりのないバランスのとれた構成となっています。

    続きまして、対内直接投資についてご説明いたします。左側グラフは半期ごとの直接投資額の推移です。通年で見ますと、2010年が526億ドル、2011年が695億ドルと伸びておりましたが、2012年に605億ドルと下がりました。ご覧の通り減少傾向にあります。で、13年上期、前年同期比では約20%の減少となっています。

    右の表でさらに国別の投資額を記載してありますけれども、ご注意いただきたいのは、この数値は直接投資ベースになりますので、低税率国を経由した間接投資の場合などはその当該経由国の投資額となりまして、必ずしも実態が表記されている形になっていないということがございます。

    即ち、オランダ、ルクセンブルグ、スイスなど、上位の国には低税率国が多くなっており、税制優遇を狙いとしたSPCやファンドなどを通した投資であると推測されます。また、中国がこの国の中には入っておりません。始終報道されている中国のブラジルへの進出度合いからですね、見て、先の第三国経由の間接投資を行っている可能性が非常に高く、実態としては上位に入っているというふうに考えられます。

    次のスライドは直接投資の業種別の表になります。半期の数字なので、一概には言えないんですけれども、大きく減少しておりますのが基礎冶金業、73.9%、金属鉱物採掘業の70.9%、食品の60.5%、医薬品・薬剤の47%、といったあたりが大きくへこんでおります。

    次に対日貿易についてご説明いたします。前述の通り、ブラジルにとって日本は輸出で5位、輸入では第8位の地位を占めております。左が輸出ですが、全体では36億ドルから38億ドルへ2億ドル、8%の増加となりました。増加の要因は、昨年上期にはほとんどなかったトウモロコシが今年は既に4億ドル以上輸出されているというところです。そのほかでは、最大輸出品目である鉄鉱石は微減ですが、鶏肉やコーヒー豆は増加しています。

    次に右側が輸入になりますが、全体では42億ドルから34億ドルへ8億ドルのマイナス、19.5%の減少となっています。乗用車のほか、エンジン部品やベアリングの落ち込みもありますが、表の中では「その他」にまとめられているもっと細かい商品群の減少幅が大きくなっております。なお、対日貿易収支は輸入の減少によりまして、前年上期の6億ドルの赤字から5億ドルの黒字という転換をしております。

    最後にまとめといたしまして、13年通期の展望を述べさせていただきます。先のご説明の通りですね、13年上期半期では31億ドルの赤字、さらに7月単月ではですね、19億ドルの赤字となりましたので、7月末でですね、50億ドルの赤字というのが現状です。ブラジル貿易協会の見通しでは、2013年は通期で20億ドルの赤字になると予想しております。その原因として、大豆、トウモロコシがですね、米国での豊作の影響から今後価格が下落する傾向になりそうだということ。一方で、輸入は先に見た通り、全てのカテゴリーで増加傾向にあることも影響しています。しかし、最大の要因はなんといってもエネルギー関連収支の大幅悪化です。この点についてもうちょっとだけ深くご説明したいと思います。

    最初にお見せした半期ごとの貿易額の推移に戻りますが、過去の推移を見ますとですね、この13年上期の落ち込みの前にも10年上半期、それから12年の上半期と貿易収支の落ち込みが目立つ時期があることが分かります。これらの時期には共通して干ばつによる水不足が起こっております。

    ブラジルの発電なんですけども、発電能力の7割が水力、3割が火力となっていますが、燃料代を要する火力は通常は運転されていません。平常時の発電量の9割は水力によってまかなわれています。しかし、これら干ばつの時期には水不足を補うため、天然ガス、それから石炭炊きの火力発電所を稼動させていたため、発電燃料の需要が増加して輸入が急増し、それが貿易収支を圧迫していたというふうに推測されます。

    特に昨年の旱魃は深刻で、ダムの水位が30%という危機的な水準にまで落ち込みました。政府は12年10月から最も燃料費のかさむ重油炊きを含めた全ての火力発電をフル稼働させました。ちなみに天然ガス発電をフル稼働させますと、月4億ドルの燃料費がかかります。重油炊きですと月7億ドル。合計で11億ドルの輸入が増えるわけです。これが8ヶ月続いたためですね、今期、今年上半期では88億ドルという大きな影響があったことになります。

    これに加えまして、先程から好調とお話のですね、自動車の販売増加に伴うガソリンの需要も大幅に増加していることもエネルギー収支の悪化の一因となっているわけです。またこのところ、ペトロブラスが生産設備メンテナンスのため原産を続けており、原油生産量そのものの減少が続けていることも影響しております。

    つまり、今年の貿易動向の今後はですね、ダム水位が回復しまして燃料消費が減少するのか、ペトロブラスの原油生産が回復するのか、この2点にかかっていると言えると思います。燃料消費については、火力発電フル稼働の効果もあってですね、このところ急速にダムの水位が回復してきているため7月に重油炊き発電を停止しています。

    つまり、上半期よりは燃料消費が減少しておるわけです。原油生産については、今年6月の生産量が1年3ヶ月ぶりに前年同月比プラスに転じまして、転じたという報道がなされていることが一点ございまして、もう一点、鉄鉱石の価格が4ヶ月ぶりに急騰しまして、今140ドルレベルになっています。

    こういう2つの要因もございまして、2013年、貿易赤字転落は避けられるのではないかなというふうに個人的には思っています。8月の1日から10日間に6億ドルの貿易黒字を記録したとの報道もなされておりますことは、その証左ではないでしょうか。国を代表するペトロブラスに大いに期待したいということで貿易部会からの発表を締めくくりたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

    司会
    伊吹部会長ありがとうござました。それでは、何かご質問ございますでしょうか。ご質問のある方は挙手をお願いいたします。

    はい。それでは次の化学品部会の発表に移りたいと思います。藤下部会長、よろしくお願いいたします。

     

     

  • 化学品部会 藤下温雄 部会長

    2013-08 化学品部会 藤下温雄 部会長

    化学品部会

    化学品部会の藤下と申します。化学品部会の本年上半期の回顧と下半期の展望について報告させていただきます。

    化学品部会は業種がたいへん多岐にわたっておりまして、商品はもちろんばらばら、原料も販売先もばらばらですので、業界としての傾向を把握するのが非常に困難なためにですね、部会としての回顧と展望を発表するに際し毎回会員各社にアンケートをお願いしておりまして、その結果を発表することで化学品部会の回顧と展望としております。

    アンケートは日本語でアンケート可能な44社に対して行なっておりまして、今回はうち24社より27の回答をいただきました。1社が2業種やっておられまして、別な1社が3業種やっておられますので、27の回答となったものです。業種としては19業種になりました。

    アンケートの結果ではですね、上期の売上につきまして27回答中、増収が12回答、不変が5回答、減少8回答。1社が会社清算中で、もう1社が駐在員事務所のため回答不可ということで、増加と不変を合わせますと63%です。利益に関しましては増加が9回答、不変5回答、減少11回答で、減少が増加より多い結果となりました。

    下期の展望でも売上に関しましては、増加予測は13回答、不変予測は7回答、減収予測が5回答で、増加と不変合わせますと74%。利益に関しましては増加予測が9回答、減益予測が6回答になりました。

    これだけでは業界の傾向が理解できないと思いますので、今回のアンケートではこの27回答19業種を5分野に分けました。化学品というのは原料もばらばら、製品はもちろんばらばらですが原料はばらばら、販売先もばらばらで非常に多岐な分野に利用されておりますので、はたしてこの分類方法が良いのかどうか分かりませんが、ある程度市場別の傾向がつかめるのではないかと思います。

    まず工業材料分野では、樹脂用着色剤、ロジン・誘導体、合成樹脂、ポリウレンタン、水処理薬品、化学品全般、粘着テープ、合成樹脂・合成繊維、印刷インキ、ナイロン樹脂、おのおの1社ずつで10社10業種の回答がありました。

    次に石油製品分野では潤滑油の製造販売が2社で、1業種。

    農業・畜産分野では、肥料が1社、農薬が4社、飼料添加物が1社、合計6社、3業種の回答がございました。

    一般消費財分野では、カメラ・医療機器が1社、一般医薬品が1社、文房具2社、家庭用防疫薬1社で、合計5社4業種の回答がございました。

    商社分野では4社から回答をいただきました。それでは分野別に集計結果を見ていきたいと思います。

    まず上期の回顧では、売上に関しましては増加が5回答、不変1回答、減少4回答で、増加・不変合わせますと60%。利益では増加2回答、不変2回答、減少6回答で、増加と不変合わして40%になりました。

    下期の展望では、売上で増加が6回答、不変3回答、減少1回答。増加と不変合わせて90%。利益では増加3回答、不変4回答、減少は3回答で、増加と不変合わせて70%となりました。

    次に石油製品分野ですけれども、上期の売上では増加2回答、不変0回答、減収0回答です。増収と不変合わせて100%。利益では増加1回答、不変1回答。増加と不変合わせるとやっぱり100%でした。

    下期の展望では、売上で増加1回答、不変1回答。増加と不変合わせて100%。利益では増加0回答、不変2回答で、やはり増加と不変合わせると100%になりました。

    次に農業・畜産分野ですけど、1社がまあ会社清算中で回答不可ということですけれども、上期の売上では増加が1回答、不変が2回答、減収2回答で、増収・不変合わせて50%。利益では増加2回答、不変1回答、減少2回答で、増加と不変合わせてやはり50%でした。

    下期の展望では、売上で増加2回答、不変0回答、減少3回答で、増加と不変合わせて33%。利益では増加2回答、不変0回答、減少が3回答で、増加と不変合わせるとやはり33%となりました。

    次に一般消費財ですけれども、上期の売上では増加2回答、不変2回答、減少1回答で、増加と不変合わせて80%。利益では増加2回答、不変1回答、減少2回答で、増加と不変合わせて60%。

    下期の展望では、売上で増加2回答、不変3回答、減少0回答で、増加と不変合わせて100%。利益では増加2回答、不変3回答、減少0回答で、増加と不変合わせると100%となりました。

    最後に商社分野ですけど、1社は駐在員事務所のためアンケート回答不可ということなんですけど、上期の売上では増加が2回答、不変0回答、減少1回答、増加と不変合わせますと50%。利益でも増加2回答、不変0回答、減少1回答で、増加と不変合わせるとやはり50%になりました。

    下期の展望では、売上で増加2回答、不変0回答、減少1回答で、増加と不変合わせて50%。利益では増加2回答、不変1回答、減少0回答で、増加と不変合わせて100%になりました。

    それでは総括いたしますと、上期の回顧では、工業材料分野、石油生産分野、一般消費財分野が売上・利益とも比較的好調。商社分野はまずまず。農業・畜産分野は会社によって好不調が分かれる結果となりました。

    下期の展望では、工業材料分野、石油製品分野、一般消費財分野、商社分野が売上・利益とも比較的好調。農業・畜産分野がやはり見方が分かれるという結果となりました。

    それではちょっと駆け足でですね、各分野別のアンケート結果を見ていきたいと思います。

    まず樹脂用着色剤のメーカーさんですけど、上期は減収減益だったとのことです。ブラジル経済の停滞、ドル高による原材料の高騰、値上げの交渉難航、人員解雇による人件費の上昇などがマイナス要因だったと。下期は売上・利益とも増加の見込み。人員削減効果、値上げ交渉の成功、効果、一部既存顧客の販売拡大などがプラス要因で、マイナス要因はドル高傾向の継続と、それからブラジル経済の停滞の継続とのことです。

    それからロジンおよび誘導体。上期は減収減益。要因としては原料価格が不安定、それからブラジル経済が悪化したと。下期は同じく減収減益の見込みで、引き続き原料価格は不安定、それから今の政府の経済政策では好転が見込めないと。

    それから、化学品全般をやられている会社ですけども、上期は売上・利益ともに不変だったとのことです。新規案件の増加、市場ニーズの多様化・高度化などがプラス要因で、マイナス要因はレアル安とのことでした。下期は売上・利益ともに不変の見込みで、公共投資が増える、新規案件が増えるなどがプラス要因。マイナス要因はレアル安だそうです。

    それから自動車用のウレタンフォームを作っている会社さんがございまして、上期は売上・利益ともに増加。生産品種を増加したことがプラス要因。マイナス要因はレアル安による原料費のアップだったとのことです。下期は売上・利益ともに不変の見込み。プラス要因、マイナス要因特にないとのことです。

    それから水処理薬品をやっておられる会社さんがございまして、上期は増収だったけど減益だったそうです。プラス要因としては物価上昇に応じた値上げの実施。マイナス要因としては工場の移転に伴う原材料費の輸送費の増加などだったそうです。下期は売上・利益ともに増加の見込み。プラス要因としては新しいRO膜の水処理薬品の拡販。マイナス要因としては引き続き原材料輸送費の増加、競争激化とのことです。

    それから、化学品全般の輸入販売をやっている会社さんがございまして、減収減益だったとのことです。消費市場の成長鈍化、関税引き上げによる輸入品のシェア減少がマイナス要因だったそうです。下期は売上・利益ともに増加の予定。マーケティングを強化することでプラス要因として、マイナス要因は消費市場の成長鈍化の継続などとのことです。

    粘着テープなど製造販売されている会社ですけれども、売上・利益ともに増加ということで、自動車向けが多いとのことでプラス要因は自動車生産台数の増加、新規モデル向けなどで、マイナス要因としては人件費の増加、レアル安だそうです。下期は増収で利益は減少の見込みということです。プラス要因は新規車種の立ち上がり、マイナス要因として減価償却費の、おそらく増加だと思います、増加による利益減、その他移転経費の計上などを挙げておられます。

    それから合成樹脂・合成繊維の販売をやられている会社さんですけど、上期は増収で利益は不変だったとのことです。プラス要因は新規開発、新規技術製品の需要の増加。マイナス要因としては為替、競争激化に伴う市場価格の低下。下期は売上・利益ともに不変。プラス要因は新規開発。マイナス要因としては為替による価格競争力の低下とのことです。

    それからあと、印刷インキの販売をされている会社さんございまして、上期は増収増益だったそうです。プラス要因としては新規顧客獲得、円安による日本品のコストのダウン。マイナス要因としてはブラジルの印刷業界の低迷ですね、去年対比良くないということと、あとドル高、レアル安、輸入品のコストアップを挙げておられます。下期は増収増益で、プラス要因としては販売の拡大、マイナス要因はブラジルの印刷業界の対前年比のダウン、それから選挙が今年はないということを挙げられています。

    それからナイロン樹脂の販売をやられている会社がございまして、上期は減収減益で、プラス要因としては品質と技術の優位性によるシェアの維持、ブラジル以外での販売増。マイナス要因としては高関税などの保護主義政策、景気減速などを挙げられております。

    下期は売上は増加、利益は不変とのことです。プラス要因としては品質と技術の優位性による販売増、ブラジル以外での販売増、取扱い商品の拡大。マイナス要因としては引き続き高関税などの保護主義政策、景気減速などを挙げておられます。

    それから石油製品分野の潤滑油のメーカーさんですけれども、2社ございまして、上期は2社とも増収、利益は1社が増加で不変が1社でした。販売量が拡大したこと、新規顧客を獲得したことなどがプラス要因で、レアル安がマイナスの要因だったそうです。下期は1社が売上増加、1社が不変、利益は2社ともに不変とのことです。プラス要因としては新規販売のスタート、引き続き新規需要の獲得などを挙げられておられまして、マイナス要因としてはレアル安による輸入コストの上昇などを挙げておられます。

    それから農業・畜産分野の農薬のメーカーさんですけど、4社ございまして、上期は増収1社、不変2社、減収1社。利益は増加2社、不変1社、減少1社でした。プラス要因はブラジル農業の農薬市場の拡大、円安、大豆作付面積の増加などで、マイナス要因としては綿価格の低下による綿作付面積の減少、ジェネリック商品との価格競争などだそうです。

    下期は、売上は増加が1社、減少3社で、利益も増加1社、減少3社でした。プラス要因としては引き続きブラジル農業の農薬市場の拡大、大豆の好調などで、マイナス要因は需要期でないということ、それから多雨による植え付けの遅れなどを挙げておられます。

    次ですけど、飼料添加物のメーカーさんがございまして、上期は減収減益だったとのことです。マイナス要因として欧米各社との競合などを挙げておられます。下期は増収増益の予測で、プラス要因としては鶏肉、卵市場の安定、円安。マイナス要因はさらなる競争激化ということです。

    それから、カメラ・医療機器のメーカーさんがございまして、上期は売上は不変、利益は増加だったとのことです。下期は売上は不変、利益は減少の見込みと。プラス要因としては医療・印刷市場の拡大、合理化による販管費の圧縮。マイナス要因としては市場競争の激化、レアル安などを挙げておられます。

    それから一般用医薬品を製造販売されている会社さんございまして、上期は増収増益だったとのことです。主要都市顧客への営業強化、購買層の増加などがプラス要因で、マイナス要因はデモなどの不安定要素、諸コストの高騰だったそうです。下期も引き続き増収増益の見込みとのことです。プラス要因として新製品の上市、マイナス要因としてデモなどの不安定要素、コストの上昇を挙げておられます。

    それから文房具の製造販売されているメーカーさんが2社ございまして、上期は売上は1社が不変、1社が減少、利益は2社ともに減益だったそうです。マイナス要因としては人件費・材料費の値上がり、ストなどを挙げておられます。下期は1社さんが売上増加で1社さんが不変。利益は2社ともに不変とのことです。
    プラス要因としては新学期セール、マイナス要因として市場の見通しの不安、為替の変動などを挙げておられます。

    それから家庭用防疫薬。殺虫剤ですけど製造販売されているメーカーさんございまして、上期は売上・利益ともに増加だったとのことです。プラス要因としては高温による害虫の多発生、殺虫剤メーカーの在庫一掃、マイナス要因は中国製品との競合。下期は売上は増加、利益は不変。プラス要因は特定顧客の操業の正常化、マイナス要因はジェネリック商品との競合の継続、それから冷夏のリスクなどとのことです。

    最後に商社分野ですけど、4社から回答をいただきまして、上期はですね、1社さんが駐在員事務所のために売上・利益はないとのことで、売上は2社増収、1社減収だったそうです。利益も同じく2社増益で1社減益。プラス要因としては円安による日本品の競争力向上、余剰玉増、マーケットシェアのアップ、レアル安などで、マイナス要因としては経済成長の鈍化、仕入先の事故、需要低迷などだったそうです。

    下期は2社が増収増益、1社が売上・利益ともに不変を見込んでおられます。プラス要因は引き続き余剰玉増、マーケットシェアのアップ、新規取引の開始、仕入先の復活、顧客の在庫減などを挙げておられまして、マイナス要因としては金利の上昇を挙げておられます。

    以上がざっと見た業種別のアンケートに対する回答でございますけれども、最後にですね、副題としていただきました「どうなるブラジル経済・持続的成長に向けて」に関しても同じくアンケートを行ないましたので、それに対する回答をですね、ご紹介させていただきます。

    回答が非常に多岐にわたっておりますので、非常に簡略し、種類分けを行ないました。必ずしも回答者の方の意図が100%反映されていないかもしれませんので、ご容赦お願いしたいと思います。

    まず、ブラジル経済の全般の見通しに関する回答ですけど、急速な経済回復は期待できず停滞継続、ブラジルレアルの対米レート安の進行、デモやストライキの増加とそれに伴う輸入手続きの遅延・デリバリーの遅延、と非常に悲観的な回答ばかりでした。

    それから、全般的な事項での、一般的な事項でのブラジル政府に対する要望では、先程もご紹介ありましたけれども、皆さんほとんど同じで、税制改革の実行、官公庁の組織見直し。

    それから2番目として現在のブラジル政府のまずい経済政策の変更。中銀のデフレ政策と財務省のインフレ政策とばらばらの政策。それから複雑な税構造の簡素化。インフレ抑制。急速なレアル安の回避。保護主義的な政策の変更。インフラへの公共投資。行政許認可の遅延の改善。労働法の改善、人件費の高騰の回避。治安の改善。輸入に関する法規制の変更。ブラジル移転価格税制の簡素化。それから物流インフラの改善、などの回答がありました。

    それから、自分の会社のですね、仕事に関する回答も若干ございましたのでご紹介させていただきますと、ある会社さんは政府が決定する製品価格の上昇率と一般商品の価格上昇率とのアンバランス。おそらくその会社さんの製品だけが政府の価格統制を受けているんだと思いますけど。それから、主要顧客である製油所の建設の推進。農薬の登録審査時間の短縮化、ブラジルの顧客が飼料添加物を直接輸入するための証明書の発行、非農業用殺虫剤分野における製品登録制度不備の改善などの回答がございました。

    以上が化学品部会で行ないましたアンケートの回答でございます。これにて化学品部会からの報告を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    藤下部会長、多業種にわたる化学品の動向のご説明、本当にありがとうございました。それでは、何かご質問ございますでしょうか。ご質問のある方は挙手をお願いいたします。なければ、次に運輸サービス部会からの発表に移りたいと思います。森田部会長よろしくお願いいたします。

     

     

  • 運輸サービス部会 森田透 部会長

    2013-08 運輸サービス部会 森田透 部会長

    運輸サービス部会

    どうも。運輸サービス部会、山九の森田です。よろしくお願いいたします。それでは、まず我々サービス運輸部会なんですけども、非常に我々も多種にわたっておりまして、陸上の物流、構内物流ですね、それと空の航空貨物、あとは海の海運、航空は旅客関係、それと陸、海、スカイ、全てを含めた旅行・ホテル、通信というそれぞれの業界に分かれております。一応これで、それぞれの業界別に説明をさせていただきたいと思います。

    まずですね、上期の回顧として、まずはじめに物流業界。物流業界全体ですけども、これまで平穏でした港湾関係、これに関しまして港湾労働者が、新規に開設するサントスでのコンテナターミナルができてるんですけども、これにおいてMP595、あの暫定法ですね、の港湾近代化法、これを適用してターミナル内のオペレータ、これを直接労働者として雇用するということに対しまして、港湾労働者、OGMOという組合があるんですけども、そこが労働既得権の侵害として反発して、まあ現在トレンドになっています反発デモを行いましてそのターミナルのブロックしたりしましてですね、貨物の搬出入に影響を与えていると。

    それとあと、まあこういったものと、あとここありますように運転手労働法改正・インフラ未整備によりということもありますけども、これも港湾のインフラがやはり経済の伸びに追従して改善が追いついてないということで、港湾の後背地におけます車両関係の渋滞ですね、これが非常に激しくて回転率が悪いと。

    まあ、ここで仕事しているトラッカー等が一日ほぼ6時間、8時間、10時間という形で車で待たされるわけですね。そういったことに対してのまあ労働条件の改善要求等も含めて、やはり、一時ターミナルをブロックするとか、トラッカーのそういったストですね、これがかなり頻発しております。そういったことにおきまして、貨物の搬出入、これが一時滞るというような事象が起こってましてですね、非常に効率が悪くなっております。

    それと昨年改正されました運転手組合の、運転手の労働法ですね、これが今年の労働法等にも、改定にも反映されまして、要は、まあ給与ですね、そういった面での待遇面でコストアップ、これが行われるということで、非常に輸送関係についてのコストがアップすると。それとあと、インフラが逆にこういった問題で、まあ、非常に効率が悪くなるということのダブルパンチで物流コストが非常に上がってきているということが起こっております。

    ただ、それと、次にですね、引越し貨物関係なんですけども、これも税関の処理関係、通関処理ですね、この時間が通常より、これまでよりも若干20日ほど長くなっているということで、期間が非常に長くなって皆様が貨物引取りまでに非常に時間がかかっているという実態が今起こっております。

    それと、まあこういった非常にあまりよろしくない状況がいっぱいあるんですけども、ただその反面、荷動きとしましては、我々物流業界の中では自動車関係、これが非常に活発であるということで、まあ自動車関係の荷動き、これが非常に動きが活発であるということが我々にとってのプラスサイドであったということですね。

    次に構内物流ですけども、これも構内物流に関しましては、主に、主要顧客というのがまあ鉄鋼関係においてなんですけども、ここも、これまで発表がございましたように、13年の1月から5月までの粗鋼生産量、これが前年比のマイナス3.1%という形になっておりまして、減少していると。ただ、ブラジル国内の鉄鋼製品価格につきましては、まあ国際価格というのは減少傾向しているんですけども、ただ国内においては国の色んな施策の下に価格は逆に上がっているということで、鉄の販売が極めて悪くなっていると。

    そういった背景で製鉄業本業だけでは非常に利益は悪いということで、まあ、鉄鉱部門、原料関係ですね、こっちの方で逆に支えられているようなことがありまして、我々構内物流での作業をやっている業者に対しては、非常にその、コストダウンという要求が製鉄メーカーから非常に強く出されているということで、非常に厳しい経営環境になっているということがございます。

    次に航空貨物業界ですけども、航空貨物におきましてはここにありますように国内と国際、その輸出・輸入ですね、という形でちょっと整理してるんですけども、国内の航空貨物、これは国内需要がやはり伸びているという傾向なのか、約11%ほどの量の増加を示しています。

    逆に輸入に関しましては、国際航空貨物の輸入に関しましては、ほとんど変化、0.8%ぐらの微増ということで、あまり伸びていないと。ただ、そういった伸びていないということで、まあ、航空貨物のスペース状況ですね、それと、皆さん一番問題とされる運賃ですけども、これはほとんど横ばい状態で変動がなかったということですね。で、輸出につきましては、これも為替の影響か分かりませんけども、約13%ほど前年比からダウンしております。

    あと、ちょっと参考のために挙げているんですけども、ここにグァルーリョス空港とヴィラコポス空港、これはブラジルの国内でこの2つの空港でブラジルの大体55%ぐらいの航空貨物の取り扱いをしています。

    この中で、グァルーリョスが約32%、ヴィラコポスが23%ぐらいを占めているんですけども、ただ、このグァルーリョスの方は国内の貨物取り扱い、これが多いんで、この国内を外しますと輸出入に関してはグァルーリョスとヴィラコポスでほぼ同じ取扱量レベルですね。ただここで傾向として見られますのは、まあ両空港とも去年に比べて、若干ですけども、5%、0.8%とかこういった形の数字で、取扱量は昨年に比べてちょっと減少傾向になっております。

    次は海の海運なんですけども、海運業界につきましては、13年上期のコンテナの輸出入量、これは前年同期比で約1.9%の微増ということになっています。輸出入全体に占める輸入量の割合が大体54%ということで、輸入超過の傾向はこれまでと変わりはないということですね。輸入量については前年同期比で約4.2%の増加と比較的高い伸びを示しているということです。

    一方輸出については、前年同期比で約0.7%の微増ということになっています。またこのコンテナ船のブラジル航路ですけども、これ、船型が大型化されるということで、供給サイドの伸び、需給のバランスで供給側の方がかなり伸びておりまして、需給のギャップが拡大傾向となるということで、まあ運賃、これ皆様一番関心があるところだと思いますけども、これが低水準で推移しているということですね。

    あと、次に不定期船ですけども、ブラジルから、まあ輸出がメインなんですけども、大豆、トウモロコシの輸出量が増加基調で推移しているということですね。これ、コットンとこれらが増えてまして前年同期比で約10%の大きな伸びを示しているということです。ただしこれ、供給サイドの増加が大きくて、これも運賃市況は低水準という、船舶が余ってきているという傾向にはなっているみたいです。で、業界としては非常に厳しい状況となっているということです。

    次に航空業界ですけども、これは旅客がメインですけども、国内線に関しましては上期、前年同期で約0.5%の微増ということです。提供客席数は前年比約6.4%増となってまして、まあマーケットとの変動には影響を与えない状況であったということですね。それと、まあ皆さんご存知のように、LCCのキャリアが4.5%程度の増加を示しているということです。あと、国際線に関しましては、前年比約5.4%の増加。特に北米間の航路、路線が増加傾向にあるということです。

    それとあと懸念事項としての、空港のインフラですね、に関しまして、空港公団のINFRAERO、これが民営化されまして、それに伴い、まあ若干ですけども、空港内ですね、施設の改善。これはトイレとか、無料スポットの設置とかそういったものが行われています。それとグァルーリョス空港におきましては約2400台駐車が可能な駐車場が今増設されているという状況です。

    次に旅行・ホテル業界。これは唯一非常に動きが活発なところなんですけども、これはコンフェデレーションカップが今年6月に行なわれましたが、これにおけますブラジル経済に与えた経済効果としてのインパクトが約7億4000万レアル。うち旅行業への直接収益はこの半分の3億5200万レアルですね。

    ということで、12年の旅行収益の約2倍を示したということらしいです。ということで非常にこういったイベントがもたらす経済効果がすごいということが言えるということですね。同時にこのコンフェデレーションカップの開催期間中、サンパウロの各空港の利用客も増加を示したということです。

    ブラジル全体としまして、経済の低成長に関してはこの旅行業にはほとんど影響がないと。逆にビジネス関係で出張等の、出張者ですね、これらの方の動きが非常に増加しておりまして、まあビジネス旅行市場の過熱によって前年比で約13%の増加をしていると。反面、レジャー関係も、若干ですけども、8.6%と拡大はしているということで、ビジネス市場、これが非常に勢いが高いということらしいですね。

    次にホテルに関しましては、まあ当初このコンフェデでまあ非常に稼働率の伸びを見込んでいたということなんですけども、逆に稼働率は前年と比較しましたら6%の減少であったということです。これは非常に、まあ今回のManifestaçãoとかそういったものも多少は影響しているものとは思いますね。

    次に空港関係で、移動の関係で、現在54ヶ所の国際都市からサンパウロに直接運航便が入っているということで、まあこういった背景でもビジネス客が増加しているということです。

    次に通信・IT関係ですけども、通信関係に関しましては、通信媒体の利用者数、これはインターネットが約1%増、ブロードバンド関係が0.1%の微増。携帯電話については普及率が約9%増加しているという状況です。あと携帯電話のモバイルブローードバンド、3Gですね、これが約1.2%の微増にとどまっていると。ブラジル全体の4分の1程度しか普及をしていないということですね。

    この背景にはやはりここに書いてますように、欧米経済危機の影響もあって、それら親会社はほとんどヨーロッパのメーカーですけども、オペレーターが思い切った設備投資、そういったものができないということで、やはりインフラが整備されていないということで3Gとか4Gのエリア拡大が進んでいないのいうのが現状みたいです。

    次にIT業界ですけども、IT業界に関しましては、これは順調に、これまで年平均約8.3%程度の市場のシェアを見せているということです。特に最近は、公共簿記、SPEDと言いますけども、この関連システム、この導入対応に各社が追われているという状況らしいです。ブラジルのIT業界については、中南米で約50%の市場シェアを持つに至っておりまして、ITサービスの2010年からの成長率は、まあ先程も申しましたように8.3%と高いシェアを占めていると。伸びを示しているということですね。

    その他IT関係では、BPO、ITOと呼ばれます、まあ業務プロセスとかIT業務のアウトソーシング、こういったものが需要が高まってきているという傾向であるということです。
    それでは下期の展望に移ります。

    下期の展望、まずはじめに物流業界ですけども、ここの物流業界におきましては、皆様ご存知だと思いますけども、サントス港にこの下半期に新しい近代的なコンテナターミナル、ここにありますブラジル・ポートですね、それとエンブラ・ポートというこの二つの新しいコンテナターミナルができています。

    これまでサントス港にはサントス・ブラジル、リブラ、テコンジ、4つのコンテナターミナルがありましたけども、新たに二つができることによって、まあ6ターミナルになるということで、これが、2つができることによって、完全稼働すれば、これまでサントスの取り扱いが約50%ほどキャパシティが上がるということで、まあこれに伴い、競争原理で、コスト面・サービス面ですね、これらの改善が生じればということを期待しております。

    ただし、これらターミナルができても、依然としてサントス港の後背地ですね、この後背地の道路といったものに関してはまだ整備が全くなされていないということで、逆にボリュームを上げることによって渋滞等そういったものが激しくなるのではないかという逆の懸念も考えられます。

    その他、今年は、下期におきましては、まあこれトレンドになっているのがストとかそういったものですね。税関のストとかはあまり考えられませんけれども、港湾労働者とかこういったものが色んな形でボイコットをやるとかいうことは出て来るかと思いますので、この辺が若干不安材料としてあるということですね。

    例えば先週金曜日、昨日ですか、農林省の職員が農林省内での組織改正みたいなことに対してボイコットするということで、昨日確か止まっています。こういったものが止まるとちょっと貨物の搬出に非常に影響が出るんですけども、まあこういったことが若干、今後トレンドとして起こってきたら怖いなということはございます。

    それとあと、最後にあります運転手の賃金アップですね。これも先程もご説明しましたように、まあ労働組合で新しい労働法に基づいたもので、ベネフィットとかその辺の改正が行われてコストが上がると。それとただ、逆にトレードオフの関係で、その、インフラが整備されていないために、回転率が悪いために、コストが上がって来ると。ただお客様からはやはりコストダウンを要求されるということで、非常にこの辺が苦しい状況になってくるかと思います。

    その次、物流、構内物流ですけども、これに関しましてはやはり鉄が非常に状況が悪いということで、まあ粗鋼生産は大幅な増加は期待できないと。これも鉄鋼業界の方で生産量に関してはあまり数字が公表されていないんですけども、まあ一応予想としては2.5%ぐらい伸びないとだめなんじゃないかということを言われているんですけども、ただ、こういう背景の中で、構内物流に関しては非常にその、外注施策、厳しいものが出てきて、経営環境としてはもう相変わらず厳しい状況がずっと続いて来るであろうということを言われています。

    次に航空貨物の業界ですけども、航空貨物の業界、下期としましては、まあ年末商戦に向けて家電等の動きが活発になるのではないだろうかと。それとあとさらに来年のワールドカップですね、これに対してのまあ準備のための需要、こういったものが増えることによってまあ増加傾向が見られるのではないかと。ただそういったことによって、まあスペースの問題とか、運賃、この辺に注意が必要になるんではないだろうかということですね。

    それとやはり、スト、デモ、こういったものが起こることによって、まあ貨物の遅延、こういったことが考えられますので、前広に検討していくことが必要ではないかということです。

    その次が海運ですけども、海運関係に関しましては、コンテナ船が現在のレアル安が続く前提とした場合、コーヒー、穀物といった主要品目ですね、これの輸出増が期待されると。また輸入品目については緩やかな伸びながらも引き続き安定した輸入が継続するものと考えられるということと、一方で船型の大型化が継続しておりまして、需給関係から運賃水準は当面厳しい情勢が続きそうであるということですね。

    あと不定期船に関しましては、ブラジルからの鉄鉱石の輸出量が例年を上回る水準となってきているということで。あと大豆、トウモロコシ、こういったものの食料の輸出、これが堅調と見込まれることによって、まあ各船型ともに需要が強まっていくということで、今後は緩やかな運賃市況は上昇するものと考えられているということです。

    それとあと、先程もありましたよね、港湾で説明しましたのは新規のターミナルですね、これが運営が開始されるということです。

    次の旅客の航空ですけども、国内線は引き続き旺盛な需要が継続するものと予想されていると。国際線においては、まあ為替変動が旅客数の増減に影響することが懸念されると。それと同時に、最近米国からの便数ですね、これが増加傾向にあって、約27%、これが全て米国向けになっているということで、ここら辺が増加する予定があるということですね。

    それとあと、空港インフラに関しましては、グァルーリョス空港第3ターミナルがワールドカップの前までには竣工予定だということです。

    次に旅行・ホテル業界ですけども、これもサンパウロへの直行便の増加ということで、ビジネス客、これが増加をしていることから、前年の旅行収益に対して約8から10%の売上の伸びを見込んでいるということです。ブラジルは現在ビジネス旅行のグローバルランキングで第8位にランクされておりまして、今後2年間でイタリア、フランス、イギリスを上回ると言われているということですね。

    それとこの企業経営者らの新ビジネス発掘や、市場調査機関の関連のビジネス旅行、こういったものが増えるものと予想しているということです。

    あと、まあレジャーに関しましては色々課題が残されているということで、まあワールドカップ、それと2016年のオリンピックに向け、ホテルの客数、飛行機の供給制約はそのままであるということと、まあこれを増やしていくために逆に今度、最後にありますような、観光査証問題ですね。これらが観光客を増やす上においても非常に重要になってくるということです。

    次に通信業界ですけども、まず通信業界では、開始された4Gサービス、これのエリア拡大が望まれますけども、これまで同様やはりインフラの部分が非常に遅れていることで、これがどこまでいけるかということですね。

    あとIT業界では、引き続きさっきのSPED、公共簿記関係、これらのシステム導入が増加すると。で、公共オフィス、新規案件やアウトソーシングの需要が今後増加するものと予想されていると。まあしかし課題としましては、技術者不足、人件費の高騰、こういったものがネックとなって、まあインフラも依然、まあ軟弱だということから、中々こういったサービスを提供する環境も難しいという状況は続くということですね。

    こういったことが全体なんですけども、ここで我々の部会として一応整理しましたもので、今後のブラジル経済の持続成長のためには、港湾、空港、鉄道、道路、通信等すべての社会のインフラの計画的な投資の実施が不可欠になると考えると。で、インフラ整備による効率化とブラジルコストの低減がまあここの国際競争力をつけるためには非常に重要でないかということで、まあ今後、やはりインフラ、計画的なインフラへの投資が必要ではないかということが挙げられています。

    最後にこういったインフラをまあ我々の目で見て確かめようということで、我々の部会の方で来月の27日ですけども、サントスの港湾ですね、施設を海から、スクーナーをチャーターしまして見学しようという計画を今立てております。詳しくは事務局の方からご案内させていただきますけども、皆さん参加よろしくお願いいたします。以上で発表を終わらせていただきます。

    司会
    森田部会長ありがとうございました。何かご質問のある方いらっしゃいますでしょうか。いらっしゃいましたら挙手をお願いしたいんですが。それでは次に繊維部会からの発表に移らさせていただきます。上野部会長、よろしくお願いいたします。

     

     

  • 繊維部会 上野秀雄 部会長

    2013-08 繊維部会 上野秀雄 部会長

    繊維部会

    それでは、団結をモットーとする繊維部会から発表させていただきます。繊維部会ですね、川上の綿花、綿糸の部門、それから川中のいわゆる織物、編み物と言われているテキスタイル部門、それから川下のアパレルあるいは付属部門と大きく3つになっております。順番に説明をして参ります。

    まず一番最初に綿花についてですが、上期の回顧。まず国際綿花ですが、この資料は7月の米農務省発表の世界綿花需給予想でございます。

    綿花の年度というのは7月末が季末になります。季末のキというのは季節の季という字、の末ですね。ご覧のように今季は約80%の高い在庫率、この在庫率というのは世界の在庫量を消費量で割ったものなんですけれども、こういう高い在庫量にも関わらず、ニューヨークの綿花相場は80セント/ポンド台と堅調に推移しました。

    これは競合作物の大豆相場が比較的高値安定で推移したことと、中国がですね、国内の綿作農家を保護するために、国策として備蓄を非常にその増やしていると。世界の在庫の中で、この中国のですね、在庫が突出しているということがご覧いただけるかと思います。

    次に国内の綿花なんですが、こちらはブラジル国内の綿花の需給予測です。CONABという国家配給公社が7月に出したものです。2011年から12年度は生産は前年に続いて大量で、輸出も過去最高を記録しました。一方でブラジル国内の消費量は3ヶ年連続の90万トン割れと非常に低迷しました。合繊原料の使用の増加、それから縫製品輸入の増加が原因と思われます。

    ブラジルの綿花相場、こちらESALQというんですけれども、昨年度はポンドあたり1レアル50セントから1レアル70セント台で比較的安定して推移をいたしましたが、2013年の上期は品質の上級綿がですね、非常にタイトになったことから、3月には2レアル20セント近辺まで相場が上昇しまして、まあ新綿の収穫が遅れたということもあって、現在2レアル5セントから2レアル10セント。まあ最近は2レアル26セント、27セントというところで非常に高止まりしております。

    続きまして下期の展望なんですが、国際綿花は来季は需給ポジションがさらに緩和されて、季末の在庫率ですね、これは86%に達する見通しです。最大の焦点は、中国の相場介入の行方でありまして、輸入の減少が予想されていますが、それでも中国は年間消費量の1.5倍の備蓄在庫を抱える見通しで、これが世界の相場を下支えしますので、ニューヨークの定期相場はポンドあたり80セント、90セントの間で推移すると予測されています。

    国内の綿花ですけれども、2012年-13年度は綿作の面積が昨年より約30%減少して、生産量も32%減少する見通しです。マット・グロッソ州は1月に異常な雨の量で、植え付けが遅れたため、収穫も遅れています。またバイーア州では、新種の虫の害ですね、これが非常に多発しまして、大減産となるそうです。輸出も大きく減る見込みなので、2013年内は綿花供給にはゆとりがあると予想しておりますが、2014年の初頭から上級品質の綿花を中心に逼迫してくると思われます。

    続きまして綿糸について発表いたします。上期の回顧。こちらは綿糸貿易、ABIT、ブラジル繊維協会が出している資料でございます。上期の輸出は約400トンで、数量ベースでは前年同期比6.3%増と、レアル安を背景に増加しましたが、金額ベースでは7%の減でした。現在の為替水準でもブラジルコストによる競争力の低下で、定番綿糸の輸出は実質ゼロと言えます。

    ちょっと数字が小さくて分かりにくいんですけれど、まあかつてこれぐらいあった輸出というのが年々減って、非常に少ない状況になっております。続きまして上期の綿糸の輸入ですが、こちらは1万1000トン強と前年比約50%増加した。国内の綿糸相場の上昇により、輸入綿糸に割安感が出たためと思われます。

    続きまして国内の綿糸の市況です。第1四半期は、綿花相場の上昇に応じて、ある程度の価格の転嫁ができました。これはコーマ糸とカード糸という、まあちょっと糸の種類による違いですけれども、ほぼ同じ動きを表しています。しかしながら、第2四半期に入りましてですね、景気の減速感が鮮明になってきまして、アパレルメーカー、テキスタイルメーカーが当座の必要分のみの調達に絞ったためにですね、紡績の在庫が増加して、相場は若干軟調に転じました。

    オープンエンド糸、これは空気製紡機というのを使った革新的な糸なんですけど、オープンエンド糸は原料価格が半年で約30%も上昇しましたが、糸の価格転嫁は12%にとどまり、苦戦しました。暖冬の影響による冬物衣料の店頭販売不振が響きました。ナタル商戦に次いで重要な販売機会である5月の母の日、6月の恋人の日、いずれも不発に終わりました。過剰債務を抱えた消費者の繊維製品に対する購買意欲減退、全国的な抗議デモによる小売店の営業時間短縮なども不振の原因として指摘されております。

    下期の展望ですが、綿糸の貿易は輸出は競争力の喪失により当面復活の見込みはございません。また下期の綿糸の輸入ですが、国内の綿糸需給に逼迫感が見られないことから、輸入綿糸は昨年並みの数量、金額に落ち着くものと思われます。

    国内綿糸の下期の見通しですが、7月下旬にまあ遅れていた寒波がやっと到来しまして、冬物の在庫消化が進んでおります。8月以降春夏ものの生産が最盛期を迎えるため、綿糸市況も堅調に推移するものと期待しています。

    新綿の収穫が進む綿花相場の行方と、個人消費が年末の、まあナタル商戦に向けてどう盛り上がっていくのかがポイントになります。オープンエンド糸も価格メリットを訴求して下期の販売拡大を見込んでおります。

    続きまして川中部門のテキスタイル、これは織物、編み物について発表いたします。上期の回顧。テキスタイルの貿易ですが、上期は輸出輸入ともに前年同期比で数量は微増、金額は横ばいでした。輸入ではファッショントレンドの変化を反映して、綿織物と毛織物は大きく減少しましたが、合繊織物が増加しました。販売面ではデニムとユニフォーム向けは昨年同期を上回りましたが、ファッション分野は消費低迷の影響で前年同期を下回りました。

    テキスタイルの鉱工業生産指数は、上期累計で前年同期比3.9%のマイナスでした。長年のアパレル輸入の増加から国内のテキスタイル消費量が減少していること、景気の低迷、天候要因などでユーザーが在庫調整に動いていることが原因と思われます。

    下期の展望ですが、ドル高や中国のコスト上昇によりテキスタイルの輸入は減少すると思われます。冬物の在庫調整が進むとともに、個人消費が活発化すれば、国内のテキスタイル生産と販売にも弾みがつくものと期待しています。

    次にですね、川下分野です。アパレルおよびアクセサリー、これは縫製付属と言われているファスナーとかボタンとかですね、の分野についてご報告いたします。上期の回顧。上半期のアパレル製品の鉱工業生産指数は、低調だった前年よりもさらに2.35%下回り、依然として回復の兆しが見えない厳しい事業環境でした。

    アパレル衣料品の輸入ですが、輸出は上期累計7200万ドルで前年同期比2.4%金額ベースで増えました。一方のアパレル輸入は上期累計12億1200万ドルで、6%の増加でございました。輸入衣料の動きとしてですね、まあ目立ちましたのは、中国からの輸入は横ばいであったのに、中国以外の国からの輸入が増えております。例えばバングラディシュ、これが金額ベースで前年同期比23%増。インド、これが17%増。ベトナム、22%増。というふうになっております。

    それからこちらのファスナーの中国からの輸入のグラフですが、中国からの輸入が6月末現在で昨年同期比127%と大幅に増加しました。これは昨年の在庫調整によりメーカーの在庫が適正化されたため、再度増加に転じたものと思われます。

    次にですね、比較的元気の良いジーンズの業界について申し上げます。ジーンズ業界はこの上半期も昨年下期に続いて積極的な発注状況が続いています。ジーンズ市場全体では昨年を上回る動きを見せています。しかしジーンズの生産集積地であるサンパウロ市ブラス地区の販売状況はかんばしくなく、楽観視できる状況ではありません。

    ジーンズのトレンドとしまして、今年はゴールドではなくですね、シルバー色の金属ファスナーが流行しているそうです。まだお持ちでない方はぜひお早目にお買い求めください。その際ですね、ジーンズのファスナー、ちょっとよく見ていただいて、必ずですね、YKKと刻印があるものをぜひお選びいただければ品質は大丈夫でございます。

    それからですね、婦人服分野。これも堅調でございまして、消費者の嗜好の多様化によりジーンズ以外のファッションに幅が広がっていることから、国内に残る、まあドレスとかスカートとか、いわゆるModaと言われる衣料品生産は堅調に推移しております。婦人服分野の販売は昨年を上回る好調を維持しました。

    こちらもですね、当繊維部会にSanyotexさんいらっしゃいますが、婦人服の製造小売りにも近年進出されております。Alameda LorenaとAugustaの交差点の近く、それとShopping Vila Olimpiaとサンパウロ市内に2店舗直営店をお持ちでございます。ブランド名がHIRONDELLEというブランドです。ぜひ奥様にお買い求めをいただければと思います。

    最後に靴の分野なんですが、昨年まで流行していました、サンダルにファスナーを使うというものは終わりまして、また暖冬のために昨年販売が低調だったブーツが、市場在庫が高止まりしていて、生産が減少しました。高さが低いショートブーツが流行ったために靴分野へのファスナーの販売というのは厳しいものになりました。

    アパレル付属の下期の展望ですが、アパレル輸入は今後も、まあ中国以外の東南アジア諸国に増加が予想されます。そのためブラジル国内のアパレル生産の増加は下期も期待薄と言えます。ファスナーにおいては堅調な動きをしている婦人服と、在庫調整が一巡しつつある靴の分野に販売増を期待しています。

    最後にまとめとしまして、繊維部会からの要望を、持続的成長に向けてということで申し上げます。

    ブラジルの繊維製造業は165万人の雇用を担っております。私ども繊維部会のメンバー企業も皆ブラジル進出40年から60年の社歴がございまして、市場への製品の安定供給、雇用の維持、納税その他でブラジル連邦や州、地域社会に貢献し、日伯間の関係強化にそれなりに努力してきたという自負がございます。

    しかし、近年におけるブラジルの経済発展は、消費市場の拡大という面での恩恵は確かに大きなものがありますが、負の側面、すなわちコストの上昇、国際競争力の低下、輸入品の市場席巻という、日本の繊維産業がかつて歩いてきた道をたどっているように思えてなりません。

    ブラジル政府は繊維製品に対しWTOルール上限の非常に高い関税をかけていて、国内産業を保護しています。しかしそれでも、アパレル輸入というものはですね、非常な勢いで増え続けてきました。こちらの衣料輸入実績ですが、2002年から2012年までの10年間で金額ベース、実に20倍に増えております。

    このような、高率な関税ですね、着るものですね、衣類に対しては35%という関税が現在かかっていると思います。そのような高率の関税にもかかわらず、こんなに外から入って来るというのは、いかにブラジルコストが高いかということの証だと思います。

    このままでは繊維製造業、特に川上の紡績、川中のテキスタイル部門はますます疲弊し、マーケットからの退出を余儀なくされてしまいます。

    そこで本日は、繊維部会からの要望としまして、次の2点を日伯両政府と業界関係団体の皆様にお願いしたいと思います。

    一つは、国内繊維産業の輸出競争力を高めるための施策の立案と実行です。大きな国内市場があるのに国際競争力がないということは、海外から攻められる、あるいはアパレルメーカーやメガ・ストアの海外生産によって空洞化が進むのは自明の理でございます。産業としてのインフラが存続している今のうちに、業界として輸出再興に取り組み、パイを広げるべきであると考えます。例えばそのための税制恩典や、経済特区など、従来の保護主義から一歩踏み込んだ攻めの政策を検討していただきたいと思います。

    二つ目は、教育の充実による労働力の質の向上です。今ブラジルの紡績工場や織布工場、縫製工場などの生産現場では従業員の定着率の悪化に悩んでいます。人を補充しても試用期間の3ヶ月ももたずに多くの若年者が辞めていってしまいます。募集や面接、入退社の事務をこなすために、労務課員を増員しなければならないという笑えない現実があります。

    導入教育や訓練を担当する指導員はあまりの人の出入りの多さに辟易しております。これらの企業が負担する無駄な労力とコストは非常に大きいものがございます。従業員を教育・育成して、技能を向上させ、毎年の賃上げに見合う生産性の向上を図らなければ企業は生き残れません。

    SENAIと連携して実習や研修にも力を入れておりますが、実習生の多くも途中で辞めてしまうのが現状です。極端な労働者保護の前時代的労働法にも大いに問題がありますが、ブラジルの基礎教育をもっと充実して、人材の底上げを図っていただきたいと切に願います。

    豊富な資源に恵まれたブラジルが持続的成長を遂げるためには、人的資源の開発が不可欠であり、その根幹は教育にかかっていると思います。
    以上で発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会
    上野部会長ありがとうございました。ご質問のある方いらっしゃいますでしょうか。なければ、ありがとうございました。では次に移らせていただきます。建設不動産部会の三上部会長、よろしくお願いいたします。

     

     

  • 建設不動産部会 三上悟 部会長

    2013-08 建設不動産部会 三上悟 部会長

    建設不動産部会

    ちょうど5時過ぎまして、ご苦労さまでございます。建設不動産部会、どうなるブラジル経済-持続的成長に向けてという重い副題、胸に秘めておきたいとは思いますが、ちょっとだけお伝えいたします。

    今日はですね、以下の4点についてご報告します。

    これが建設不動産部会、アンケートの結果になります。アンケート数がいつものことですけども少ないので、ざっくりとまとめています。上半期はどうだったかということで、これについては2012年とほぼ同じというアンケート結果です。

    下期はどうなるだろうかということで、若干、下向きを予測しております。それから、特殊な技術をお持ちの会社はですね、従業員の数が足りないというぐらいの非常な活況を持続しております。今期も持続するだろうということになっています。

    それから特記に書かせていただきました。まず資機材について。鉄骨、鉄筋、あるいはセメント関係ですね、若干インフレ傾向にあるのかもしれないということで、後で資料でご説明したいと思います。

    あと、皆様に期待しております設備投資についてはやや下降気味だろうということで予測しています。

    ほか、不動産関係でですね、新築マンション、これは現状はやや減少傾向。それから不動産につきましては、取引はやや活発化してきています。それから値上がり傾向、これが今非常に鎮静化している、一服している状況です。次お願いします。

    まずはじめに建設業において日本とブラジルはどんな感じなんだろうというのがこのページです。GDP比でいいますとブラジルは日本の約40%。それから真ん中の段です。労働者数、就業者数というのが日本の60%ぐらい。建設労働者についてもまったく同じ比率で60%ぐらいということですから、60%の働く人々で40%の生産ですから、これから生産性は向上していくんだろうというふうに捉えた方がいいと思います。

    下の段は分野別のGDP比といいますか、経済活動の結果の欄です。2011年と2012年の違いがありますが。日本の建設業、ピンク色ですね、それから不動産業。これに対してブラジルが少ないことがお分かりだと思います。我々の業界、これから発展していけるんだろうと大いに期待していいのかなというふうに思っています。

    これはですね、建設業界ですね、現状と展望ということで、建設投資の伸びを表したグラフと表になります。最近5.7、5.8%の伸びがあります。しかしながら伸びがですね、2011年、2012年とやや下降気味。今年もおそらくこの程度というふうに読んでおります。次のページお願いします。

    今度はですね、先程の貿易部会の方、伊吹部会長からご説明がありました、海外からの投資についての表となります。2010年、11年、12年。2013年は細かなデータがまとまりませんので、言葉で書いております。先程、全体でこの投資が20%減っていますというご説明が伊吹部会長からございました。

    特に私どもが期待しているのが工業分野でありますけども、ここがなんと50%、今年上半期減少しております。で、サービス分野の方に流れているのではないかなというアナウンスも聞かれています。ということで我々の建設業にとりましては、この辺の投資が減るということは非常な打撃になる可能性があるというふうに今思っています。

    続いてですね、この表が、これからさあどう見て行きましょうかということで、細かいお話に入っていきます。これはいつものセメントの消費量、ブラジル内のセメントの消費量の表とグラフになります。上の表で注目ください。レシフェを中心とするところがずっと好調をキープしています。ということが一つあります。他は一昨年よりも下がり気味、一桁台に伸びが入ってきているというふうに思います。

    それから左下のグラフですね。全体としては昨年度も、6.7%ですかね、伸びているということで。色んなデータがありますが、例えば先程の投資が減っていきそうだとかありますが、セメントの量の伸びが6.7%を維持しているということは、インフラの仕事がそれなりに進んでいるんだろうと。遅れているとはいえ、それなりに進んでいるのじゃないかななというふうに想定しております。

    それから右側の円グラフですね、先程言いました、北東部が非常な伸びを見せています。それからリオデジャネイロ、サンパウロ中心の南東部が約半分、それだけの経済規模を持っているということを示しています。

    今度は建設資材関係に注目していきたいと思います。建設物価、今年がどういう動きをしているかということで表を作っています。2013年に入りまして、非常に高めの数字を記録しております。この黄色い部分がですね、いつも建設労働者の賃上げの時期なのでちょっと高めに出ますけども、今年は6月までにすでに5%を超えています。ひょっとすると今年は10%近く、年末でですね、上がるのではないかなという危惧を持っています。何でこの10%近く上がるのかなということで、次の表をお願いします。

    この赤いのがですね、すいません、資材のところに、これ労務賃ですね、人件費を入れてしまいました。これを除きますとですね、非常に優秀な、ありがたい傾向であったんですけど、ちょっと帰ってきました。10月から鉄骨と鉄筋が約10%の値上げをするよというアナウンスが今されています。

    で、この辺をですね、今年も何回かアナウンスはありました。実際上がっていないというのが実態なんですが、どうも今回は、まあ10%までは行かなくても多少上がる傾向があるんじゃないかというふうに思っています。そのほかの軽油なんかも上がっていますので、どうも今年は年末に向けて上がっていく可能性が非常に高いというふうに思っています。皆様には大変ご迷惑をかけるので心苦しいんですが、こういう報告をさせてもらいます。

    次のページのですね、これが、今度は人件費です。人件費が今年サンパウロ地区で8.99%。おそらく7%程度だと思っていたんですが、非常に高くなりました。リオデジャネイロ州は9%を超えたという話なんですが、非常な伸びでした。で、ここ、2010年を100としまして、大体126、125、その辺の伸びになります。これまでずっと1ないし1.5%、消費者物価よりも高い時でしたが、今年はちょっと大きく伸びたということになります。

    参考にですね、ここに労働者の平均賃金というのがブラジル中央銀行から出ています。ちょっと載せてみました。そしたら平均賃金というのが消費者物価指数よりも伸びが低いという意外な結果がありまして、まあこれから分析しますけど、デモの一因になっているのかもしれないなというのが実は、勝手に思っていました。ですが、平均は上がっていないけど、データとしては、例えば建設労働者は上がっている。最低賃金は上がっているという状況になります。

    ここからマンション関係のご説明をします。サンパウロとリオデジャネイロというのがものすごい勢いで上がっておりました。30%台、20%台。今年に入りまして、大体月1%程度の伸びということで、年換算10から12程度に収まりそうです。去年よりももっと下がりそうという予想がされます。ですからこのカーブもですね、サンパウロは青ですけど、ようやく沈静化してきたかなというのが窺えると思います。

    同じくですね、マンション系の話をしますと、左側のこの折れ線ですね、これは第1四半期の集計の比較です。マンションを買いますという成約した件数。ですから、マンションを契約しました、これから建物を作りましょうという話になります。

    先程マンションは下降気味と言いましたが、ようやく上昇気味に移ってきたので、これから着工件数が増える可能性は大きいと思います。それから上の方の赤はですね、賃貸を含めたマンションの契約数ですね。ですからマンションの需要も増えつつある、回復しつつあると言えると思います。右側の表は平均のマンションの値段です。買う時の値段です。ちなみに一番近い所52万1000、2300万から2400万ぐらいですかね、平均するとこれぐらいというところです。

    注目してほしいのはですね、真ん中の表です。何かと言いますと、一世帯とか一戸あたりの平均の床面積を表しています。どんどんどんどん減っていって、去年ちょっと上がりましたが、この5年でサイズは3分の2になりました。狭くなりました。新築ですね。価格は1.5倍になりましたということで、サンパウロの特徴がこの辺に出ているのかなというふうに思います。

    これはいつもスターツさんの協力で都市の比較をしています。先程言いましたように、サンパウロにつきましては大分鎮静化しています。ホームページに載せますのでご覧になってください。

    良い所、悪い所様々あるんですけど、海外からの投資も減りつつあるということで、私ども建設不動産の人間がどこに目を向けて行こうかということでまとめてみました。

    ブラジルの緩い成長をするだろうということに対して、都市はどんどん拡大してきます。新しい都市計画についても色んな話題が出てきました。都市化につきましては、サービス分野が拡大していく、医療・教育施設の拡充あるいは高度化が進んでいくんだろうと。それから都市化が進んでいきますと、周辺が開発されるとともに、中心部はどうなるかということで、周辺部の開発、既存施設の改修ですね、高度利用。あるいは地下工事の特殊な技術、これ実は今もうすでに非常に活況を呈していますが、こういうものが出て来る。ますます出て来ると思います。

    で、いよいよインフラの整備をしなくちゃいけない。これはもう必須の仕事で出て来ると思います。それから今あらたな都市計画というのがブラジルの中で始まってきました。環境・省エネルギーをキーワードとしています。これからの我々の仕事というのは、この辺に注目しつつ、内需の方に目を向けて進めていかなくてはならないというふうに思っています。以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    質問者
    ●(マイク不使用のため聞き取り不能)
    回答
    そうですね。例えば地下の特殊技術。既存の、もちろん含みますね。例えばクリチバ辺りのお話をしますとね、地下鉄の仕事をする時に、安いのでオープン価格でしましょうという、何十年も前から話をしていて、結局土地がうまく手に入らないという話になってきて、いよいよ、お金はかかるけども。都市化というのは多分そういうことになると思います。
    質問者
    ブラジルにそういう技術はないんですか。
    回答
    あります。もちろんありますけど。
    質問者
    あるような気がして、日本、これは日本のことを言っているわけではないわけですね。
    回答
    これからもうブラジルに目を向けて、持っている技術はどんどん持ちこんできて、参画したいなという意味合いです。

    司会
    他にご質問のある方いらっしゃいますでしょうか。では三上部会長、ありがとうございました。最後に食品部会から、山口部会長、よろしくお願いいたします。

     

     

  • 食品部会 山口修一 部会長

    2013-08 食品部会 山口修一 部会長

    食品部会

    はじめまして。私、今年食品部会の会長を務めさせていただきます南米不二製油の山口修一と申します。まだブラジル不慣れですけれども、よろしくお願いいたします。それでは食品部会の発表をさせていただきます。

    内容としましては、食品部会、これも各社いろいろ性格が違いますので、各社の動向ということで説明させていただきます。それとあと、原料動向、まとめ、それとあと、ブラジルの経済の維持成長に向けてということでは、PIS、COFINSの免税ということでちょっと触れさせていただきたいと思います。

    まず、上期の回顧でございますけども、各社ごと、調味料関係、製造関係でございますけども、上期、売り上げで8%伸びております。競合他社が多い中にありまして、まあ、主力製品が好調であったことから8%伸びたということでございます。

    それともちろん、ブラジル市場で大きく根を生やされています乳酸飲料関係の製品でございますけども、ここも宅配関係の販売、そういったもので着実に成果を出してございまして、数量につきましては7.2%、上期に伸ばしておられます。

    コーヒー関係、ここは皆様も説明にございましたレアル安ということで、輸出が主体になりますけども、このレアル安の恩恵を受けまして数量で8.7%増やしておられます。

    次の製菓用油脂関係でございますけども、これは私どもが担当やっております製菓用油脂、チョコレート用の油でございますけども、今現在主原料でございますココアバターが値段が上がっておりまして、弊社のココアバター代用脂というものが値段を上げて、成果を上げてきております。

    続きまして清酒関係。ここは環境的に、6月のデモだとか、あるいは飲酒運転の厳しさ、そういったものが影響しまして、環境自体はレストラン等での消費というのは若干陰り気味ではございますけども、目標はほぼ達成できております。

    続きまして、醤油関係。ここの生産と申しますのは、海外ということになりますけども、高級品や特需というそういった市場をまとめて上げまして、数量的には10%伸ばしております。

    続きまして、これもまたブラジル市場のでは大きな製品の一つになっております、即席めん。これも世帯当りの数量が増えていると。これは私、食品部会に出て面白いなと思ったんですけれども、今現在の、30代、40代の親と申しますのは、まあ、加工食品、たとえばインスタントラーメンだとか、そういったもので育ってきた方が親となりまして、家族一世帯あたりのその消費と、要するに子供が食べるとか、子供に食べさせるとか、そういったことがチャンスが増えておりまして、世帯当りの数量が増えているということなどもございまして、数量的には4%から5%伸びております。

    続きまして果実ピューレでございますけれども、ここにおきましては、競争、他社との競争。これはブラジル以外の国でのピューレ、そういったものが入っておりまして、競争が激しくなっておりまして、まあ数量、採算的には厳しいということでございます。続きまして、種子関係。ここもあの、バイオメジャーが競合他社となります関係で、価格の競争、そういったものがございまして、売上は8.8%減少しております。

    それで最後、外食関係でございますけども、ここもあの、今年、昨年に比べまして環境がずいぶん改善されております。まあ震災によります、その輸入規制というものが去年ございましたけども、今年その規制が解除されたとか、あるいは港でコンテナが滞っておりましたけども、そういったものが解除になって、物がブラジルに入ってきやすくなったと。そういった環境の下で売上が20%今年伸びました。

    それでは続きまして下期の展望でございますけども、これは上期の勢いをそのまま持ってこれるのではないかなということを期待しております。と申しますのは、上期、まあ消費の量が伸びたということもございまして、下期をこの勢いは続くものと期待しております。

    調味料関係。これも先ほど言いましたように、販売領域の拡大、そういったものを期待しまして、前年比二桁の伸びを期待しております。

    乳酸飲料につきましても、先ほど言いましたように宅配とか、あるいは販売地域の拡大と、そういったものを目指しまして、対前年比4%の数量アップを期待しております。コーヒー関係でございますけども、先ほど申し上げましたように、レアル安、これは下期も必ずや続くであろうということから、輸出関係の好調に引っ張られて上期の好調を維持することを期待しております。

    続きまして製菓用油脂でございますけども、先ほど言いましたようにココアバターの値段というものがずっと上がっておりますので、ココアバター代用脂というものの販売というのは今後も好調を維持するであろうと期待しております。

    続きまして清酒関係でございますけども、ここも販売活動、あるいはコストダウン、そういったものを目指していきまして、目標達成に努力したいということでございます。続きまして醤油関係でございますけども、先ほど言いましたように、これは海外からの輸入にございますけども、特殊な用途、あるいは新しい市場というものを狙いまして、新規市場の開拓を進める中で目標を達して、予算を達成していきたいということでございます。

    続きまして、即席めん。先ほど申し上げましたように、新しい工場、北東部に新しく工場を建設されましたけれども、そこからの供給と、安定供給というものをさせまして、数量を伸ばしていくということでございます。

    果実ピューレおよび種子。ここにつきましては、新規市場の開拓、あるいは新製品といったものを開発する中で予算を達成していきたいということ。

    および外食関係でございますけども、ここはあの、年末商戦を期待しまして、対前年でアップしていきたいということを考えております。

    このグラフは品目別の動向と上期の製品群での対前年の比較をしたものでございます。主だった製品をグラフ化しておりますけども、調味料、コーヒー、乳製品、ジュース、即席めん、こういったものというのは5%から10%、昨年に比べてアップしました。

    特にあの、200ccのジュース、これは34%の伸びを示しておりますけども、まあ要因といたしましては学校給食、これはブラジルの給食が炭酸飲料を禁止されたというようなことでございまして、りんごジュースの需要が学校給食で伸びたということがございまして、大きく伸びました。および粉末ジュースも18%伸びておりますけども、皆さんからの説明でもございましたように中間層での消費、そういったものが増えまして、同じく粉末ジュースの伸びが大きなものがございます。

    まあ皆さんからの説明でもございましたように、国内の消費の伸びと申しますのは大体7%前後かなと。それに引っ張られまして食品関係の伸びが増えているということでございます。

    続きまして、輸出動向ということで説明させていただきます。まず、このグラフは対ドルでレアルの変動を示したものでございます。ここ数ヶ月レアル安が続いておりまして、対前年に比べますとレアル安ということは間違いありません。その恩恵をこうむりまして、コーヒー、これにつきましては輸出関係が大きく伸ばしました。

    それとあと、調味料関係、飼料関係。これは採算的には輸出関係改善されましたけども、やはり中国勢、他の国の進出、ブラジルにおける販売、そういったものが脅威となっておりまして、なかなか数量的に、あるいは思ったほど採算は上がってきていないということが言えるかと思います。

    果実ピューレ。これも先ほど言いましたように、やはり他社からの競合、競争が激しくなっておりまして、厳しい状況にあります。それとジュースでございますけども、ここのジュースと申しますものは輸出のジュースでございますので、先ほど言いましたように、国内のジュースとは違いまして、日本向けの輸出になりますけども、日本市場での市場飽和というようなことがございまして、需要が多少伸び悩んでいるということでございます。

    ここから原料関係の動向をご説明いたします。まず砂糖の相場でございます。これは2007年から国内の相場、オンリーインターナショナル、国際の相場ということでプロットしております。緑がこれ、ブラジルの相場、赤いドットが国際相場でございます。
    砂糖に関しましては、2011年高値以降、下落傾向でございます。国内外の価格差も減ってきているというのが現在でございます。次お願いします。

    このグラフは乳製品でございます。このグラフも2007年からプロットしたものでございまして、ご覧のように2011年高値をつけて、若干下がり気味ではございましたけども、ここまた1、2年原料が上がってきているということでございます。

    まあ後でもご紹介しますけども、この乳製品に関しましては非常に強気であると。つまり需要がアップしているということと、およびヨーロッパ関係での生産量が減っているというような要因で、将来も乳製品の相場は強気、高いであろうということが予想されます。次お願いします。

    続きましてコーヒーでございます。コーヒーにつきましてはご覧のように2011年、やはり同じくピークをつけた後、下落基調でございます。内容としましては、ブラジルが大豊作であったこと、そういったことがございまして、コーヒーの価格というのはどんどん下がってきておりまして、2011年以前の高騰する前の価格まで戻ってきているというのが現状でございます。次お願いします。

    それでは原料動向をここでまとめさせていただきますけども、短期的に見ますと先程申し上げましたように若干下がったような感じもしますが、長期的な見方をやりますと、ここに書いてございますように、やはり新興国での需要のアップ、および食品関係のエタノール、そういったものへの転換、あるいは世界的な異常気象と、そういった要素がございまして、相対的には原料、食品原料、アップするという基調が強いかと思います。次お願いします。

    続きまして、これはブラジル国内の原料の動向についてご説明いたします。ブラジル国内におきましては、皆さんからの説明にもございましたように、賃金の上昇、あるいはインフレと、そういったものがございまして、コスト高ということは言えるかと思います。

    まあ輸出品に関しましては、国際需要が一段落、まあ最たる例が、中国なんかが若干経済が上昇が鈍化しておりますけども、そういった影響を受けまして、輸出品に関しましては一段落したかなと見ております。輸入品につきましては、これも皆さんから説明がございます、メルコスール域内での、保護と言いますか、高い関税に守られまして、輸入製品に関しましてはなかなか下がって来ないということが予想されます。次お願いします。

    それでは上期のまとめということをさせていただきます。2013年上期の回顧でございますけども、国内は安定した消費の需要アップに伴いまして、食品関係の各社も数量を伸ばしております。もちろんその中にありましては、各社のご努力、新しい製品を開発する、あるいは新しい市場に出て行くと、そういった努力をする中で上期数量を伸ばして参りました。

    輸出関係につきましては、先程から申し上げておりますように、レアル安、これに大きく要因しまして、輸出関係は大きく伸ばしました。原料相場でございますけども、やはりレアル安は、プラスではございますけども、ブラジル国内のインフレ、こういったもので採算は厳しいものであろうということをまとめました。次お願いします。

    続きまして2013年下期のまとめです。まあ相対的には上期の勢いをそのまま持って来るであろうと思いますけども、やはり下期におきましては賃金の調整等、そういったコストアップも十分想定されますので、採算的には若干悪化するであろうということを想定しております。

    輸出につきましては、レアル安で順調に推移するであろうと思いますけども、やはり海外との競争ということで、ブラジルコストの克服、そういったものが必要になってくるであろうと考えております。その中にありまして、やはりブランド力の強化、あるいは販売戦略の再構築、コストダウン、そういったものを継続検討して、下期、数量アップ、あるいは 安定した売上アップというものにつなげていきたいと考えております。次お願いします。

    最後になりますが、トピックスとしまして、食品関係としましてはPIS、COFINSの免税ということを挙げさせていただきました。これは皆様の業界でも同様だと思いますけども、実際このPIS、COFINSの免税と申しますのは2011年11月にスタートしまして、今年3月無期限延長されました。

    かつ、7月に大統領から承認を受けまして、現在法制化されたはずでございます。対象製品としましては、重要な輸出品、および基本食品ということで、まあ基本食品と申しましてもかなり幅が広うございまして、コーヒー、砂糖、油、バター、小麦粉、チーズ、肉、魚など、結構幅広い対象品がございます。

    メリットとしましては、もちろん価格に反映しまして、拡販、これが大きなメリットであると考えておりますけども、実際現実に目を向けてみますと確実に履行されていないと、これが大きな問題かと思います。現金で戻るはずのこの免税も、まあクレジットで戻ってきたり、あるいはこの還付手続きというものが非常に煩雑であるということから、時間がかかっているというようなことがございます。

    そういった問題点を受けまして、要望といたしましては、この逆になりますけども、還付手続きの簡素化、および確実なこの還付の履行。その中にありまして、クレジットで還ってくるものにつきましてはその用途を広げるというようなことをやっていただきたいと考えております。

    非常に簡単ではございますけども、食品関係の発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    山口部会長ありがとうございました。質問ございますでしょうか。なければ、以上で11部会からのプレゼンが終了いたしました。皆様、あらためてプレゼンターの皆様に拍手をお願いいたします。

    それではですね、ここで福嶌総領事の方にご講評を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

     

     

  • 講評 福嶌教輝 在サンパウロ日本国総領事/ブラジル日本商工会議所名誉顧問

    2013-08 講評 福嶌教輝 在サンパウロ日本国総領事

    皆さん、5時間にわたりまして本当にお疲れ様でございます。私、まあ、ここ8ヶ国目の勤務なんですが、色んなところで商工会議所、出させていただいておりますが、こんなに活発に、11部会、貴重なご説明をいただいて、本当に印象深く感銘しているところでございます。

    そして、私が、皆様本当にご苦労されている中で、講評するなんていうのはおこがましいんですけれども、いずれにしましても今日の副題、「どうなるブラジル経済」という副題でございましたが、お聞きしておりますと、やはり、このブラジルの経済、安定的低成長というお言葉がございましたけれども、なかなかこのインフレですとか、レアル安ですとか、なかなか改善しないロジスティックの問題等々で、本当に皆様、まあ業界によっては順調に行っている、あるいは非常にうまく二桁の伸びというのもあるかもしれませんが、全体に非常に厳しいという中、特に今年は、山崎部会長からもありましたけども、6月のこのデモでですね、今後、大統領の選挙来年10月ございますが、そこまで15ヶ月にわたってですね、不透明な状況が続くといったような分析もございました。

    私もこちらで、色んな有識者の方にですね、まあ東京の方も非常に心配してですね、どうなるんだブラジル、ということでですね、6月、7月、いろんな人に聞いてもですね、まあいずれにしても、皆さん、今日あった分析の通り、色々な分析がございましたが、まあ、色んな方、ブラジルにおられる方はこの6月のデモは良いことなんだと、ポジティブだと。いずれにしてもこれによってブラジルが良い方向に向かうように、加速化されるだろうということなんですが、逆に言えばですね、これによって、もし、来年もですね、同じような状況ですと、加速化どころかですね、皆の不満がまた爆発する。

    あるいはですね、そもそも構造的に問題があって、なかなか改善できないということがはっきりとするわけで、そういう意味では外国の皆さん、投資家、あるいは外国の企業の方もですね、また失望する、というような状況も生まれるかもしれません。

    ただ、まあ、そうなかなか悲観せずにですね、ぜひ、このポテンシャルのあるブラジルにですね、希望を持っていきたいと思っております。

    他方でですね、6月のジウマ大統領の訪日がキャンセルになったりですね、7月に、本当でしたらJBICの奥田総裁もこちらにこられるというのもですね、キャンセルになったり、非常にちょっと残念なこともあったわけですが、他方で今日本からですね、たくさんの方がこのブラジルにお越しただいております。

    例えばですね、5月には茂木経済大臣がたくさんの経済ミッションを連れて、一緒になってですね、こちらに来られましたし、新藤総務大臣もお越しになられました。そしてまあ、もう報道でもご存知かと思いますけれども、後2週間ちょうどでですね、岸田外務大臣もこのブラジルにやって来られます。

    そのようにですね、たくさんの閣僚が今年、このブラジルにやって来ますし、それから、昨日まではですね、ここに三重県の、一番若い知事で、鈴木知事というのも来られていましたが、今年は三重、岩手、愛知等ですね、5県の知事がこちらに来られましたし、多数の国会議員の方も今月ですね、こちらに来られます。

    というわけでですね、今、日本の人はですね、まあ来年のワールドカップ、あるいはオリンピックも含めてですね、たくさんの人がこちらに来られますし、それから、例えば報道関係者でもですね、こちら今日日経新聞の宮本さんおられますけども、日経新聞他、NHK、共同、時事、読売、朝日がございますが、毎日新聞もこの秋からですね、こちらに支局を移されます。というようにですね、このブラジルの報道、ブラジルについてのことというのは日本でどんどんと関心を持って見られます。

    そういう意味でも、ぜひですね、このブラジル、色々問題あるかもしれませんが、日本ではですね、色んな意味でブラジルのことが発信され、ブラジルに対する関心、興味がですね、どんどん出ている次第です。

    ですから、最近も、たくさん、例えばホンダのですね、あのホンダさん今日おられます、すみません。新工場を開かれるということや、あるいは、サントリーさんとか石川島播磨さんが戻ってこられましたし、あるいはJTBさんとかみずほ銀行さんもですね、新しく本格参入されるということもありましたし、本当に良いニュースが続いている中でですね、ぜひこの、今日、どうなるブラジル経済ということで少し、なかなか低成長だという評価でしたが、希望を持って、我々、ぜひ日本政府の方もですね、こちらに今日JETRO、JICAさんおられますが、一緒になってですね、ぜひ一緒になって、官民一体サポートさせていきますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

    このような講評で申し訳ございませんけれども、これからもぜひ色々、商工会議所と政府一体になってやりますので、ご指導よろしくお願いいたします。以上、ありがとうございました。

     

     

  • 閉会の辞 上野秀雄総務委員長

    2013-08 司会 上野秀雄 総務委員長

    本日は長時間ご静聴いただきまして誠にありがとうございました。また、福嶌総領事にはですね、ただいま、あの、悲観せずに希望を持とうというふうな温かい励ましのこもったご講評を賜りまして、誠にありがとうございました。

    おかげをもちまして、本日全てのプログラムが無事に終了しました。発表いただいた部会長、部会の皆様、シンポジウムの準備にご苦労いただきました事務局の皆様はじめ、会員の皆様に主催者を代表しまして心より御礼を申し上げます。

    本日のですね、このシンポジウムの内容は、この後ですね、事務局の方でテープに録音していますそのテープ起こしをして、いずれ会議所のホームページにサイトアップいたしますので、その準備ができましたら事務局からメールでご案内をいたします。そちらの方もぜひご覧いただいて、今後のビジネスの参考にしていただければと思います。

    それでは、これをもって閉会とさせていただきます。なお、懇談会カクテルパーティーにお申込みいただいた皆様はこの後まもなく、先程コーヒーブレイクした会場ですね、あの「SALA PARANÁ」で始まりますので、そちらの方に集まりください。それでは、どうも、本日は大変ありがとうございました。

 

全プレゼンテーション

2013年上期の業種別部会長シンポジウム

  • 司会 上野秀雄 総務委員長

    皆さん、こんにちは。時間になりましたので始めたいと思います。本日は2012年の回顧と2013年の展望というテーマで、業種別部会長シンポジウムにお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私は前半の司会を務めさせていただきます、総務委員会の上野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

    それでは早速ですが、まず近藤正樹会頭の方からご挨拶をよろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 挨拶 近藤正樹 ブラジル日本商工会議所会頭

    皆様こんにちは。Boa Tarde. 本日は恒例のシンポジウムに多数ご参集いただきまして誠にありがとうございます。そして、福嶌総領事はじめ総領事館の皆様、政府関係者の皆様、ご多忙の中ご臨席賜り厚く御礼申し上げます。

    先程司会の方からご説明ありましたように、本シンポジウムは会議所のメインイベントの一つであり、2月と8月、年2回開催しております。全部で11の部会があり、部会によっては本シンポジウムが活動の大きな柱と言ってもよろしいかと思います。本シンポジウム、本日に向けてですね、それぞれの部会では会議を行い、万全の態勢で、準備万端、満を持して本日に臨んでおります。部会長の皆様、大丈夫ですね、期待できる内容になるものと思います。

    このシンポジウムの良い所はですね、ブラジル経済の全般と同時に各業界、産業の実体の動向ですかね、それも最新の状況で把握できるということであります。最近、日本、海外の方からですね、ブラジルは大丈夫かと、最近スローダウンしているけどブラジルの経済は大丈夫かという問い合わせが結構ございます。それに対して皆さんはどういうふうに回答されていますか?

    多くの方がですね、まあ大丈夫だろうという形で回答されていると思いますけども、まあその根拠といたしましては、2008年のリーマンの時もですね、同じような状況があったんですけども、これから見事に回復しているということ。そしてまあ政権が安定をしているということで、多くの刺激策を含め、施策を打ち出していると。

    インフレなき成長を目指してですね、まあしっかりとした舵取りがされていると。それからまあもちろん金融システムが非常に盤石であり、外貨準備率も安定して増えていると。さらに自動車販売もですね、ずっと伸びておりまして、昨年も380万台ですか、増えていると。

    さらには失業率ですね、これはまあどういう統計かというのは非常に難しいんですけども、政府発表によりますと5%を割って、過去最低レベルに達していると。内需は底堅いということでですね、これからもイベントがあり発展するだろうという形だと思うんですね。

    ただ、私も同じようなことを言っているんですけども、100%中々確信できないなと言う部分が少しございます。といいますのも、足下では、GDPですか、昨年はまあ1%前後。今年につきましてもですね、予想の度に下方修正、まあ3%前後ですか、になっております。さらには工業生産、指数もですね、低下しておりますし、一部業界では世界の構造不況の影響もあり、若干減益、赤字転落の会社もございますし、また投資も見直し・凍結、さらには延期というところも出ております。

    中長期戦略といたしましても、まあ労働生産性が上がっていないとかですね、基盤インフラ整備、これもですね、計画はあるんですけど進んでいない部分があるということ。それからまた、あと技術者がですね、まあ養成していない、等々ですね、色々懸念材料があるということだと思うんですね。

    従いまして、まあこういうのを乗り越えてですね、やっていくということでありますけども、本日はまさしくこの産業別、業界別でございますので、それぞれ温度差があり、濃淡があり、おそらく産業構造で、まだら模様と言いますかね、跛行状況で進んでいくと思いますけども、今日はまさしくその辺のヒントが得られるものと確信しております。本日のシンポジウムが皆様の経営計画策定、戦略策定に少しでもお役に立つことができればというふうに思っています。

    最後になりましたが、本日、担当であります総務委員会、それから企画戦略委員会、そして部会、そして事務局の皆様のご尽力と会員各位のご協力に対して御礼を申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会
    近藤会頭ありがとうございました。それではまず最初に金融部会の山崎部会長より発表をお願いいたします。

     

     

     

  • 金融部会 山崎展生 部会長

    金融部会 山崎展生 部会長

    皆さんこんにちは。金融部会、ブラデスコ銀行の山崎でございます。金融部会からはまずマクロ経済、為替・金利動向、銀行業界、保険業界について発表いたします。次のスライドをお願いします。

    まず、2012年のブラジル経済の動きについて概観いたします。
    2012年のブラジル経済を総括すると、様々な逆風の中、それに対応して打ち出した政策努力は結実せず、堅調な個人消費にも関わらず低成長が続くという結果になっていると思われます。

    まず世界から見ますと、欧州では債務危機が継続しまして、輸出減少に加えて世界経済の先行き不透明感を高め、ブラジルの企業家に投資を手控えさせました。また中国では中国経済の大幅減速観測に伴いまして、コモディティ価格が低下、鉄鉱石をはじめとしたブラジルの輸出が減少しました。また米国では経済自体は底堅く推移しましたが、財政の崖問題などの政治要因があり、こちらも世界経済の先行き不透明感を高めました。また、加えてアルゼンチンの外貨不足は、同国がブラジル工業製品の大口輸入者であったこともあり、ブラジルの工業製品輸出に打撃を与えました。

    またブラジル国内では2010年の景気過熱を受けて2011年前半に採用されたマクロプルデンシャル政策、それと金利引き上げは不良債権増加という副作用を生みました。また一過性の逆風として、GDPを0.4%引き下げたと言われている南部の干ばつによる農業生産の減少、それとトラック・バス等の生産販売の急激な落ち込みを引き起こしたディーゼル車に対する環境規制導入がありました。3ページ先のスライドをお願いします。

    こちらのスライドの左上のグラフはトラック等製造の推移です。2012年の初めに大幅に下落した後で若干回復していますが、まだまだ低いレベルにあります。元のスライドに戻ってください。

    またブラジル政府はこのような逆風に対して様々な政策を打ち出しました。金利面では政策金利Selicを史上最低の7.25%まで引き下げて、政府の介入によって銀行スプレッドも引き下げまして、貸出金利を低下させました。

    また信用面ではBNDES、ブラジル銀行、CAIXAなどの国営銀行を通じて信用拡大を図りました。財政面では自動車、白物家電のIPI減免などの景気刺激策を採りました。
    為替面では2012年初と比べて20%を超えるレアル安を演出しまして、国内生産と工業生産のギャップを埋めていた輸入から国内生産へのシフトを促しました。また産業面では輸入関税率の引き上げ、国内生産誘導のためのIPI課税強化など国内産業保護色の強い政策を施行しました。

    しかし、2011年後半から始まった金利引き下げの効果が具体化するには一般に1年程度かかるというふうに言われておりまして、またレアル安も輸入から国内生産へのシフトに時間がかかっておりまして、まだ十分な政策効果が出ているとは言えません。もう一回3ページ先のスライドをお願いします。

    こちらで、右上のグラフはブラジル工業生産の推移ですけれども、横ばい・微減の傾向が続いておりまして、各種政策に関わらず反転の兆しが見えていないことが分かると思います。一方で雇用環境は引き続き逼迫しまして、低失業率が継続して実質賃金も上昇傾向にありました。これらの要因に支えられまして個人消費は堅調に推移しました。

    右下のグラフは失業率の低下が継続していること、左下のグラフは2012年は約9%の成長と個人消費が堅調であったことがうかがえます。戻ってください。
    しかしながら、労働コストの上昇、レアル安の副作用、政府介入への懸念といった新しい構造要因が出てきております。次のスライドをお願いします。

    次に主要なマクロ経済指標についてかいつまんでご説明いたします。2012年のGDP成長率は約1.0%で着地すると予想されています。年初に予想されていた3.3%を大きく下回っておりまして、ブラジル政府は成長率引き上げのため様々な政策を打ち出してきました。一人当たりのGDPはレアル安の影響で2011年の12696ドルよりは低下するものの、引き続き1万ドルの大台を超えると予想されています。

    国際収支に目を転じますと、レアル安による輸入から国内生産へのシフトに時間がかかる中、世界経済の減速、特に中国経済の減速によるコモディティ価格の下落によりまして、2012年の貿易収支は194億ドルの黒字を計上するに留まりました。サービス・所得収支のマイナスを主要因として、2012年の経常収支は542億ドルの赤字となりましたが、国内の外国企業の利益縮小、あるいはレアル安による送金メリットの減少といった要因によりまして、サービスと所得収支のマイナスは減少しています。

    542億ドルに上る経常収支の赤字は653億ドルの直接投資によりファイナンスされておりまして、ポテンシャルの高い地域として引き続きブラジルが日系企業含め企業の直接投資の対象となっていることを示しています。その結果、外貨準備は3780億ドルの水準まで積み上がっています。

    また市場が評価するブラジルリスクの指標、CDSスプレッドは2012年末108と改善しまして、例えば中国72、メキシコ96、ロシア133、南アフリカ146、イタリア267といった水準と比較してもまずまずの水準と言えると思います。足下では122になっております。
    2012年のインフレ率はIPCA指数5.84%と政府のインフレ目標範囲内に収まっております。2012年の失業率は4.6%と非常に引き続き低い水準にありまして、個人消費を底支えすると言えますが、一方で労働コストの上昇も懸念されております。

    株価につきましては3月13日に68394の高値をつけた後、まあ上下がございましてですね、年末にはこちらの通り60952となりました。以降、足下はちょっとペトロブラス等のですね、業績懸念もありまして、57903まで低下いたしております。次のスライドをお願いします。

    続いて金利・為替動向についてご説明いたします。金利は右軸、赤のグラフでお示しいたしておりますが、景気刺激のために政策金利は2011年8月末より利下げサイクルに入りまして、現在史上最低水準である7.25%まで低下しています。

    左軸、青のグラフでお示しいたしております為替レートですが、ブラジル政府は各種の外為市場に対する規制の導入、それから市場介入によりまして為替レートをコントロールしようとしておりまして、一定の成果を上げています。2012年はほぼ1ドル2.00レアルから2.10レアルの範囲内で推移してきました。2ページ先のスライドをお願いします。

    それでは2013年のブラジル経済の展望についてお話しいたします。2013年の世界経済を展望すると、米国は経済活動自体は底堅く推移しておりまして、また財政の崖などの政治要因もほぼ回避できる見込みでありまして、2013年2.3%程度の成長を予想しています。

    欧州は債務国問題も一定の道筋が示されまして、最悪期はほぼ脱したかというところかと思われます。2013年はマイナス成長からほぼゼロ成長への改善を予想しています。中国は国営企業の重視など資源分配の非効率によりまして、若干のスローダウンはあると思われますが、一定の成長が続くと思われます。2013年は7.6%程度の成長を予想しています。しかしながら成長の鈍化に伴いまして、コモディティ相場のブームの再来は考えにくいものと思っております。次のスライドをお願いします。

    2012年、政府は様々な投資消費の刺激策を実施してきました。左上のグラフは実質金利の推移です。足下1.5%まで低下してきています。右上のグラフは銀行貸出金利の推移です。政府介入もありまして、大幅に低下をしています。左下のグラフは実質為替レートです。2009年半ばの水準まで回復してきたことが分かります。右下のグラフは財政収支です。プライマリー収支が縮小しまして、景気刺激型の財政運営をしてきたことを示しています。前のスライドに戻ってください。

    2013年のブラジルマクロ経済を展望しますと、成長面では2012年の政府施策の効果が本格化すると考えられます。既にその兆しが出てきております。2ページ先のスライドをお願いします。

    こちらは景気循環の観点から見たグラフです。景気循環の観点から見ますと、右上のグラフは工業部門の在庫の推移です。2011年末に比べまして在庫レベルがぐっと低下しています。左下のグラフですけれども、こちらは工業部門の設備稼働率の推移です。2011年末に比べてやはり高い水準に戻ってきています。つまり、2012年、ブラジル政府の各種の景気刺激策を受けて、企業はまず在庫を縮小する方向に動いたということ。そして在庫圧縮が一段落して生産回復へ向かっているということを示しています。

    右下のグラフは生産したものを出荷するため梱包材として必要な段ボールの生産の推移です。工業生産の先行指標として利用されていますが、過去数年を見ても高い水準になってきています。これらの動きを反映しまして、工業部門の信頼度指数、左上のグラフは上向きのトレンドになってきています。成長回復の兆しを示していると言えると思います。次のスライドをお願いします。

    また貿易の観点からは、左上のグラフはブラジル工業生産と販売のグラフです。赤が販売、黒が生産ですね。2011年から両者のギャップ、生産と販売のギャップが拡大しておりますけども、このギャップを埋めていたのがレアル高を追い風にした輸入の拡大です。

    まあ見えるか見えないか非常に微妙なほどなんですけども、まあ見えない時はぜひ心の目でぐっと見ていただきたいんですが、グラフの右端の所ですね、少しギャップが小さくなっているのがお分かりいただけると思います。また右上のグラフはですね、ブラジルの輸入の推移です。グラフの右端、やはり下降トレンドになっていることがお分かりいただけると思います。

    これら二つのグラフは政府のレアル安誘導によりまして輸入から国内生産へのシフトが始まりつつあることを示しています。これまでの様々な政策の結果ですね、ブラジル経済が回復トレンドに乗りつつあることがお分かりいただけるかと思います。3ページ前のスライドに戻ってください。

    また世界経済の観点から見ますと、国外要因ですね、世界経済は先程お話しした通り高い成長は期待できませんが、まあ若干回復すると期待されておりまして、また2012年にですね、世界を覆っていた不透明感は減少していると言えます。そういう意味では国外要因はブラジル経済にとってマイナスから中立に変わってきたというふうに言えると思います。
    懸念点といたしましてはですね、まああちらを立てればこちらが立たずといった新しい構造要因が顕在化していることです。

    第一に失業率の低下、実質賃金の増加というのは強い消費を維持するためには必要ですが、生産性向上に結び付かない労働コストの上昇を招きまして、建設など労働集約型産業におけるボトルネックになっています。

    第二に輸入から国内生産へのシフトを促したレアル安の誘導は輸入資本財価格、あるいはエネルギー価格の上昇を招きまして、設備投資、インフレに悪影響を与えています。
    第三にペトロブラス、ヴァーレなどの政府系の大企業、あるいは電力セクター、金融セクターへの政府介入は、国内産業の保護、工業部門のコスト削減などを目的としていましたけども、外国人投資家の投資意欲の減退、あるいはサービス部門のGDP引き下げという副作用を生んでいます。

    ブラジル政府はこれまでの介入主義的な施策の副作用というものを認識しておりまして、近時の談話ではですね、よりマーケット追随型の政策運営を示唆、まあ政策スタンスに微調整を加えているということがうかがわれます。

    総合しましてですね、成長面では、まあ2013年のGDP成長率、3.0%程度を予想しております。また為替面では国内産業を保護するため一定以上のレアル高を望まない、また急激な為替変動も望まないという基本方針は変わっていないんですけども、足下のインフレを警戒しまして、望ましいレアル為替水準を若干レアル高方面にシフトをしております。1ドル1.95~2.05レアルといった狭いボックス圏を志向していると考えております。

    続きまして、金利面では政策効果を確認すべく2013年一杯は低金利を継続するというふうにまあ年初見られておりましたけども、最近の要人発言ではですね、まあ経済成長の兆しもある程度見えてきたと、これからはインフレに目配りだということでですね、2013年半ば辺りでの金利引き上げへの転換というものを示唆する発言も出てきております。3ページ先のスライドをお願いします。

    下のグラフはインフレ率の推移ですけども、インフレは2012年の食品のインフレの大きな要因であった大幅なレアル安が続くことが予想しにくいこと、あるいは最低賃金の上昇率は2012年より2013年の方が小さいこと、あとは、まだ財政によるコストを引き下げする余地があること、あるいは先程申し上げました金利引き上げの可能性もあること、といったことを視野に入れまして、まあ若干高めですけれども当面コントローラブルというふうに考えています。元のスライドに戻ってください。

    今後のリスクとしましては、欧州等そういった世界経済での問題の再燃、あるいは設備投資の回復の遅れ、それに加えまして、先ほど申し上げました新しい構造要因がより顕在化することが考えられます。4ページ先へ進んでください。

    ここからは業界の方に移ります。続いて2012年の銀行業界について簡単にお話しいたします。貸出残高は法人向け、個人向けともに増加しておりますが、伸び率で見ますと個人向け貸金は不良債権問題もありまして10%の伸びに留まっております。また法人向けの貸金は国内産業全体を覆う不透明感によりまして15%の伸びに留まっております。次のスライドをお願いします。

    左上のグラフの通り、融資残高の対GDP比率は50%程度でありまして、諸外国に比べてまだ小さく、今後も政府系金融機関の融資拡大、低金利効果などによって一定水準での拡大が見込まれております。

    次に貸出金の質でございますが、右上のグラフ、銀行全体の不良債権比率でございます。特に個人向け融資が高い水準になっておりますけれども、増加傾向から横ばい傾向にまあトレンドが変化したということが見て取れるかと思います。これは不良債権問題も一段落してきたということを示しております。

    下のグラフでございますが、こちらはブラジルの金融機関のBIS自己資本比率の推移です。足下16.4%と非常に高い水準であり、先程の政府介入によるスプレッドの引き下げに伴う収益の、まあ減少、あるいは不良債権問題などの諸困難にも関わらず、ブラジルの金融機関の健全性には問題がないということが言えると思います。ちなみに日本の金融機関のBIS自己資本比率の値は14.2%です。

    また、その他に日系の動きとしましてはですね、2011年に三菱東京UFJ銀行がブラジルの子会社に4億ドルの増資、あるいは2012年にみずほ銀行がドイツ系のWestLB do Brasilを買収しまして、2013年4月以降に進出見込みという動きが出てきております。ポテンシャルの高いブラジル市場への日系・外資系企業の参入で事業の拡大が続く流れに移行しておりまして、両行ともホールセールバンキングを展開するというふうに聞いております。次のスライドをお願いします。

    続きまして保険業界についてご説明させていただきます。ブラジルの保険監督庁であるSUSEPの統計データによりますと、2012年11月の前年同期比での保険料収入の伸び率は13.6%となりまして、経済成長が鈍化する中でも保険マーケットは引き続き堅調に推移している状況です。種目別に見ましても11~14%で推移しております。

    保険マーケットは経済成長に大きな影響を受けますけれども、ブラジルの場合は保険の普及率がまだ低いことからこの普及率向上も成長の大きな要因になっております。次のスライドをお願いします。

    損害率につきましては前年同期比でほぼ横ばいという状況です。一方で保険会社の収益では資産運用が大きな割合を占めておりますので、2012年の金利低下は資産運用収益に大きなマイナスとなっています。次のスライドをお願いします。

    これは2015年までの保険料の予想です。今後とも保険マーケットは拡大していくものと予想されております。
    以上、金融部会からの報告をこちらで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

    司会
    山崎部会長どうもありがとうございました。若干時間もございますのでただ今の金融部会の発表に関しましてご質問ある方いらっしゃいますでしょうか。特にないようでしたので、そうしましたら次はコンサルタント部会、タシマ部会長代理様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • コンサルタント部会 タシマ・パウラ 部会長代理

    コンサルタント部会 タシマ・パウラ 部会長代理

    こんにちは。コンサルタント部会のPwCのダイレクター、パウラ・タシマと申します。よろしくお願いいたします。本日はコンサルタント部会の部会長、澤田様が出張のため今日参加できないということで、代わりまして私の方で発表させていただきたいと思います。

    よろしくお願いいたします。皆様はもうお気づきだと思いますが、私はあまり日本語が得意じゃないアルゼンチンの日系3世です。アルゼンチン人がブラジルの商工会議所でプレゼンをやること自体は完全にアウェイな状態なので、多少言葉が分かりにくいかと思いますが、お許し下さると思いますのでよろしくお願いいたします。

    コンサルタント部会でございますが、このシンポジウムでは2012年の回顧と2013年の展望というテーマということになりますが、この部会ではその時々の部会の議論の中で出てきたトピックをテーマとして取り上げてご紹介させていただきますので、ご了承いただければと思います。

    今回は、今後の日本の企業のブラジルにおける活動のご参考になればということで、PwCが毎年ダボス会議に合わせて実施しており、その会議で発表させていただきました世界CEO調査というものをご紹介させていただきます。資料なども、今回はPwC独自で実施している調査になりますので、弊社でまとめさせていただいた資料をご紹介させていただきますので、何らかのご参考になれば幸いです。

    発表内容ですけども、まずPwC世界CEO意識調査のいくつかの結果をシェアしたいと思います。ちょっとお時間がございましたら、コンサルタントとしてブラジル市場のポテンシャリティのいくつかの我々の分析データをちょっとご紹介させていただきたいと思います。

    まずPwC世界CEO意識調査ですが、毎年、今年は16年目なんですが、ダボス会議のWorld International Forumで紹介させていただいているものです。今年は68ヶ国を対象にして、CEO様が1330名参加して下さった調査の結果です。

    まず基本的に、CEO様たちに自社のビジネスと今後の経済成長の見通しに関しまして非常に自信があるという回答はどういう割合になったかという結果ですけども、今年は36%のCEO様が非常に自信がありますという回答になりました。2年前に比べるとちょっと数値が落ちているんですけども、2009年に比べますと上回っているということが見られます。これはグローバルの結果です。もうちょっと細かいリージョン別の内容を紹介します。

    例えば事業成長の経済および政策に係る阻害要因に関しまして、4つに懸念事項が分かれまして、経済成長を巡る不透明性、財政赤字の政府の対応、過剰規制度、資本市場の安定性ということを問い合わせすると、特にラテンアメリカの回答をご覧になりますと、グローバルの回答に比べますと割合は少ないという結果になりました。まあメッセージとしては、やはりグローバルの結果を合わせると、また地域別で分析をしますと、ラテンアメリカはまだそこまでは懸念として思いませんということが見られます。

    次も事業成長のビジネス上の阻害要因なんですが、それも4つに分かれまして、まず税負担、重要なスキルの確保、エネルギーおよび原材料のコスト、消費者の購買パターンということをお問い合わせしますと、一番最後のラテンアメリカのCEO様の回答をご覧になりますと、グローバルに比べますとまた割合が少ないという結果になりました。

    次のスライドは国別の成長率の予想の質問ですが、注目するポイントが、左下の結果を見ますとEU諸国の成長率は1%以下という予想になっています。他の国も概ねそれ以上は成長しませんという結果になりましたが、右上をご覧になりますとインドネシアとブラジルの成長率が他に比べますと非常に大きく、さらに、例えば中国に比べますと、成長率自体はブラジル、インドネシアより大きいのですが、違いというのは、ブラジルとインドネシアは成長を予想されているんですけども、成長は今後とも伸びるという予想だったと。それがこの結果のポイントだと思います。

    最後に、これは自分のロケーションを除いて海外でもっとも自社のビジネスに影響のあるロケーションはどこですかとお問い合わせをした時に、第1位が中国になって、第2位がアメリカなんですが、第3位がブラジルになりました。第3位がブラジルになったということは、やはりグローバルのCEO様がどれだけブラジルのマーケットというか、ビジネスが影響力があるという結果です。

    続きまして、先程はPwCの調査の結果の紹介でしたが、次は我々コンサルタントとしての結果の分析で、色々なデータを分析した上で、まあ同時に予想が合っているということです。まずブラジルの市場ですが、政治、マクロ経済、社会・経済は全て安定性があるのでこれからも成長されるのではないかということですね。ポイントデータをご覧になりますと、この先2015年まではGDP、インフレ、為替も安定性を予想されているんじゃないかと思います。

    ブラジルの成長ということを考えますと、まあ今まで南東地域がさすがに注目をされていますけども、ブラジル全体をご覧になりますと、特に北東のエリアがこれから一番伸びるんじゃないかという予想があります。下の表のデータをご覧になりますと、GDPの割合はまだ12.5%なんですけども、人口の割合が非常に大きくて、マーケットの伸びる可能性は高いのではないかということになります。

    この表はインフラの投資の予想なんですが、ちょっとアップデートされていない表なんですけども、トレンドとしてこの先もそういう形で動くんじゃないかと我々は思っていますけども、インフラ部門はまあこれから皆様がご存知の通りにスポーツイベントがブラジルで行われる予定なので、非常にそのインフラ、ロジスティックとかの事業には非常に影響があるのではないかと。

    社会的な分析をしますと、2011年から2020年の見込みなんですけども、高所得に向かっているエコノミッククラスの動きが、まあ下から上に登って来るということは、消費者市場の影響がビジネスに非常に影響があるんじゃないかと。
    次は業界別で分析、まあ我々PwCの分析ですので、まあオートの業界をご覧になりますと、グローバル的にブラジルのポジションが本当に10位の中に入っておりますので、それは生産と売上もトップに入っておりますので、これからもさらに伸びて来るんじゃないかということです。

    オートの市場の伸びなんですけども、これが6.5%、2020年まで予想されています。生産量、販売量ですね。これはオートのプロダクションとキャパシティユーティリゼーションのパーセンテージで、まあ2020年までは同様に伸びてくるんじゃないかということです。

    医薬の業界の予測なんですけど、それも非常にブラジルのマーケットでもこれから伸びるんじゃないかなということが予想されていますが、2007年から2009年に15.4%の伸びが確認できますので、これからも成長力があるんじゃないかと。

    医薬のマーケット自体を分析しますと、例えばアメリカと比べますとブラジルのマーケットはまだそこまでさすがに成長しておらず、これから統合とか合併とかそういう案件が増えてくるんじゃないかと思います。

    これはこれからの医薬のペネトレーションの予測なんですけど、特に先ほど申し上げた通りに北東部のエリアの伸びがこれから注目されるんじゃないかなと思います。

    まあこのコンサルタント部会の今日紹介させていただいたデータは、さすがにこれから我々もブラジルの経済、ビジネスが伸びてくるとすごく思っておりますので、皆様のブラジルの活動の成長とともに、私たちコンサルタントとしてサポートしながら一緒に成長したいとすごく思っています。以上です。

    司会
    タシマさんどうもありがとうございました。非常に時間が余っておりますので、ぜひとも、ご質問がある方がいらっしゃいましたら挙手をお願いいたします。そうしましたらまた後ほどにでもですね、また質問を受け付けるコーナーを作りますので、そうしましたら次、続きまして自動車部会、岡本部会長代理様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 自動車部会 岡本紀子 部会長代理

    自動車部会 岡本紀子 部会長代理

     

    皆様はじめまして。ホンダ・サウス・アメリカにおります岡本と申します。本日は会長の武田川がですね、所用がありまして欠席させていただきます。私、四輪営業と広報を担当しておりますので、本日は代わりに説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

    本日の自動車部会のレポート、こういったメニューでご説明させていただきます。まず四輪業界動向からでございます。2012年の販売ならびに生産につきましての説明の前に、昨年はブラジル政府の方から施策関連、結構出ておりますので、Inovar-AutoそれからIPI減税につきまして、お時間を頂戴しまして説明させていただきたいと思います。

    まずInovar-Autoの中身に入ります前に、その背景となります四輪車の販売動向につきまして説明させていただきます。こちら、2012年の中身につきましては別途詳細を後で説明させていただきますが、こちらの方、輸入車比率についてご覧いただきますと、2004年から2011年まで急拡大しております。2011年を見ていただきますとほぼ全体の2割というふうに大きな成長を遂げております。この傾向に対しましてブラジル政府の方ですけれども、政策を発動しまして、輸入車の販売低下を図っているといったことが起きております。

    続きまして具体的なブラジル新自動車政策につきましてご説明いたします。先程申し上げましたような背景を受けまして、昨年の10月にInovar-Autoが発令しております。このInovar-Autoでございますが、ここに書いておりますように、自動車産業に関わるイノベーション、科学技術、すそ野産業振興プログラムとして発動されました。

    この新政策によりまして、ブラジル政府でございますけども、今までの輸入車を制限することによって国産車を保護するというアプローチから一歩進めて、国内産業の強化をめざして、国内生産、それから付加価値技術、研究開発への投資を促進する、そういった政策を打ち出すことによって国産化を図る、促進していくというふうな形にシフトしております。

    続きましてInovar-Autoの詳細につきましてご説明いたします。特徴でございますけれども、ここにありますように、輸入車・国産車に関わらず、一旦ですね、一律でIPI30%という追加税を課します。それを前提に、政府からの提示条件を満たせばそのIPI追加税、30%を免税。こちらにつきましては期日が2013年から17年でございますけれども、その免税。加えて輸入車枠を付与するといった形になっております。

    グラフの方、下の方につきましては既に進出しているメーカーの例を書いておりますが、政府の要件でございますけれども、下記の四つの主な要件がございます。このうち指定工程履行は必ず満たさなければいけない必須条件として提示されております。残りの三つのうちに2要件を満たさないとIPI追加税の減税ができないという形になっております。加えて輸入枠がございますが、こちらもこの要件を満たさなければいけないという状況になっております。

    この輸入枠でございますけれども、一律4800台の枠が提示されます。加えまして、まだ詳細の計算方法などは政府の方と調整中ではございますが、現調部品ですね、内作コストを含む現調部品のバリューがIPIの30%分を超える場合にさらに4800台、合わせまして都合9600台の輸入車枠まではもらえるという形になっております。

    まとめますと、追加免税策としまして国内産業強化につながる項目を提示しております。輸入車枠なんですけれども、今回提示されてはいますが、輸入関税に関わる35%というのにつきましては継続して課税となります。よって価格等収益面で輸入車には不利という状況は継続されております。

    このですね、Inovar-Autoの報道を受けまして、新規でブラジルで生産をするというふうなメーカーが増えてきております。すでに正式に発表しているメーカーですけれども、ドイツのメーカー、BMWが中米初となります四輪工場をサンタカタリーナ州に着工するということを発表しております。こちらの方は2014年に稼働予定になっております。加えてドイツの高級車メーカーAudi、それからBenzにつきましても、まあ生産開始を検討しているのではないかと、そういった形の報道は続いております。

    ご参考までに自動車の総生産能力なんですけれども、2013年から3年後、オリンピックのあります2016年を比較してみますと、約150万台増加、2016年には640万台レベルになるのではないかというふうに見られております。

    続きまして次のトピックですね、IPI減税につきましてお話しさせていただきます。IPI減税につきましては昨年の5月末に政府の方から施行されました。こちらの方にパーセンテージの変更内容が書かれております、この減税処置でございますが、当初は8月末で終了する予定でございましたが、その後2度の延長を経まして昨年12月末に終了しております。

    この戻りでございますけども、まあすでに1月から戻りは開始しておりますが、段階的に通常税率までに戻る予定になっております。まず第一段階としまして、1月には1.5%~2%程度の戻し、それから次には4月に同様に1.5%~2%の戻し、エンジンキャパシティとスペックによって異なりますが、そういった段階を経て7月からには通常税率に戻ります。自動車業界としましては、7月以降どういった反動が起きるのか、この市場の反動減ですね、この辺を見ていく必要があるというふうに認識しております。

    以上、政府施策につきましてご説明させていただきました。続きまして2012年月別販売実績につきまして説明させていただきます。

    こちらのグラフでございますが、横に2011年から2012年まで月別の販売動向を示しております。棒グラフで月別を示しております。ご覧いただきますと、昨年の5月程度までは非常に低水準で推移しておりましたけども、5月にIPI減税が出ました後は非常に急回復を遂げておりまして、6月には35万台、それから8月には42万台と過去最大の月度販売記録を更新しております。

    グラフの中ほどでございますけども、折れ線グラフで青い線につきましては市場全体の前年比、それからオレンジ色の線でございますけどもこちらは輸入車販売における前年比を示しております。ブルーの方、市場全体でございますが、先程と重複しますけども、年前半はちょっと低調に進んでおりましたけども、IPI後は成長軌道に戻したというのがご確認いただけるかと存じます。

    一方、輸入車の方でございますが、11年年末に先程触れました政府からの輸入車へのIPI増税が出されました。また加えて昨年ですと、ブラジル・メキシコ間のFTA見直しといったものがございまして、これによりまして成長が著しくストップしたという形になっております。

    こちらの方が販売実績を年別に見ております。こちら2012年の実績でございますが、IPI減税後の戻しがございまして、年間を見ますと前年比プラス5%、結果的には380万台ということで、過去最高を記録する年となっております。

    こちら、ご参考に四輪車の方の支払い形態別の販売比率を振り返っております。後ほど見ていただきます二輪の販売比率とかなり違うということがご覧いただけるかと思いますが、契約は大きく変わっておりませんで、現金での購買お客様が4割、こちらは諸外国とは大きな違いかと思います。非常にブラジルの特徴かと思います。ローンとリースを足しました比率につきましては安定しておりますが、一般顧客を中心にローンの比率が拡大しているといったのが昨年の傾向になっております。

    続きまして、こちらは四輪車の生産台数ならびに輸出入台数の推移となっています。歴年カレンダーでお見せしております。棒グラフの方が生産台数となっております。乗用車・軽乗用車の方ですけれども、こちらはIPI減税によりまして需要が創出され、乗用車生産は前年並みとなっておりますが、一方でさっきのプレゼンテーションにもございましたけども、バス・トラックといった台数が非常に大きく前年割れをしております。都合で総生産台数では前年比割れ、98%となっております。

    輸入車のトレンドにつきまして緑で書いておりますが、先程触れましたので割愛させていただきます。紫色の線、こちらになっておりますが、こちらが輸出台数でございます。昨年はレアル安傾向にはあったのですけども、ブラジルコストなどから影響する競争力の不十分さということで輸出減のトレンドが明確になっております。こちら顕著になっているのがお分かりいただけるかと存じます。

    四輪の最後になりますが、2013年を展望する上でANFAVEAの国内販売台数、国内市場の予測を掲げてみました。ANFAVEAの予測でいきますと、2013年、国内市場、1.5%と微増を予測しております。ただですね、先程触れましたIPI減税の戻りがございますので、こちらにつきましては引き続き注視していきたいというのが自動車業界のスタンスとなっております。

    続いて二輪と部品につきまして、簡単で恐縮ですが触れさせていただきます。まず二輪の方からです。こちらのグラフでございますけれども、赤折れ線グラフで国内市場の卸販売台数、紫色の棒グラフで生産台数、下の緑の折れ線グラフでブラジルからの輸出台数のトレンドを歴年で追っております。ご覧いただけますように、残念ながら昨年の販売ですね、非常に急低迷しております。

    こちらでございますけれども、ファイナンス販売におけます与信の厳格化のためですね、大きく前年を割り、前年比87%、163万台に留まる結果となりました。生産もこちらの販売低迷を反映しまして、大きく前年割れの結果となっておりまして、10%減の169万台に留まっております。輸出につきましては、台数は少ないものの前年比50%増程度となっておりまして、こちらはブラジルからアルゼンチン向け、アルゼンチンならびに周辺国向けの輸出が拡大したためとなっております。

    こちらは二輪車におけます支払い形態別の販売動向になっております。こちら大きく四輪と異なりまして非常に傾向が変化しております。2004年以降ですね、リーマンショックまで、こちらのグリーンのところですけれども、ローンでの販売が急拡大して参りました。

    若干その後上下はございましたけれども、昨年まではこの急拡大してきたファイナンスが二輪車販売を下支えしておりました。よって、この動向が二輪の全体の販売へ非常に大きな影響を与えるという状況でございます。そういった状況なのですけども、昨年は先程触れましたように支払い不履行が上昇しまして、与信の審査が非常に厳しくなっております。従いましてファイナンス比率が急減速する形となりました。

    二輪の最後でございますけども、月別の販売推移をご覧いただきます。薄いブルーが昨年の販売台数、手前の濃いブルーが今年の月別販売台数となっております。非常に顕著に前年割れとなっているのがご覧いただけるかと存じます。販売の鈍化傾向が顕著になっております。この傾向でございますけども残念ながら、2013年、今年も前半は同様な傾向が続くのではないかというふうに見ておりまして、今年後半からの回復が期待されるところでございます。

    最後になりますけども、簡単に部品業界の昨年の販売実績につきましてご説明いたします。こちら部品製造協会Sindipeçasからの情報でございますが、昨年乗用車販売については顕著に推移しておりますので、伸びているのですけれども、部品単価の高いバス・トラックがそれぞれ39%、25%程度売上が落ちております。そうしまして全体の部品売上高としましては前年比4%割れの878億レアルの見通しとなっております。

    以上、簡単ですけれども自動車業界からの説明を終了させていただきます。本日ですね、会長職からは私岡本とそれからブラジルの四輪営業を担当しております豊田が参加しております。二人とも懇親会まで参加させていただきますので何かご質問等がございましたらお気兼ねなくお申し付けいただければと思います。どうもありがとうございました。

    司会
    岡本さんどうもありがとうございました。ご質問、自動車関連、はい、藤井さん、よろしくお願いします。マイクの方お願いいたします。

    質問者
    ありがとうございました。一つ質問させてください。生産能力が今後3年間でほとんど年率10%伸びてですね、3年のうちに、わずか3年のうちに150万台増えるというお話でございましたけれども、その3年後にはですね、それだけ増えた暁には国内の販売、輸出、輸入というのはどういう数字になるというふうに想定されているんでしょうか。

    回答
    今今の傾向でございますけれども、生産につきましては10%伸びていきますが、まあベストシナリオとしては販売台数もそれなりに伸びていくのがベストシナリオと見ておりますものの、実際の販売動向を見てみますとほぼGDPの成長率と同等程度、5%から6%程度で伸びていくのが非常に確実な見方ではないかと思っております。ひるがえして言いますと、非常に競争ですね、自動車業界における競争が厳しくなり、それから収益面での競争も厳しくなるというふうに見ております。

    質問者
    ということは、その暁には稼働率が落ちるということですか、それとも輸出を増やすということなんでしょうか、それとも輸入が減るということなんでしょうか。トレンドとしてはどういうふうに見られていますか。

    回答
    はい。ベストシナリオとしては輸出も増え、稼働率キープということになるかと存じますけども、中々今の時点では稼働率をキープできるかというのは各社の動向によるかと思います。

    質問者
    慎重なご回答をありがとうございます。

    回答
    ありがとうございます。広報も担当しておりますので。

    司会
    どうもありがとうございました。他にご質問いかがでしょうか。はい。

    質問者
    販売に関しての質問なんですけれども、2012年、国内で380万台、輸出で42万台という数字だったと思うんですけれども、輸出というのはメインにどこ向けに輸出されているのかということとですね、私電機業界に所属しているんですけれども、やはりブラジルのコスト高で我々電機業界の製品なども完全に輸出できるような状況ではないと。他の国に比べてものすごく高いので。ブラジルで製造される車というのはそれだけ価格競争力があるのかどうか、率直な回答をいただければと思います。

    回答
    はい。まず最初のご質問の輸出先でございますけども、メルコスールがございますので、第一の輸出先はアルゼンチンになるかと存じます。それから周辺国のメルコスールがございますが、次の第二の出荷国はメキシコというふうに理解をしております。すいません、手元に具体的なパーセンテージがございませんので、必要に応じてまた別途回答させていただきます。

    それから競争力でございますけども、まあ私どもの例で申し上げますと、やはり非常にブラジルコストなどが高いということがございまして、先日の自動車部会でも話題になったんですが、現調を上げようとして投資しても返って輸入をしたものの方が安いですとか、まあそういったジレンマを抱えながらも何とか政府からの施策にミートしていきながらやっていかなければならないと。その中でいかにコスト競争力を出していくかというところが今後各メーカーの中での競合、競い合っていく点になっていくというふうに認識しております。

    質問者
    電機業界でもメルコスールあるんですけれども、常にアルゼンチンとブラジルというのは、まああってなきがごとき契約で、全く、何と言いますか、電気製品に関してはアルゼンチンに輸出できないというような状況なんですけれども、車はまだ続いているということなんでしょうか。

    回答
    厳しい状況が続いております輸入制限ですとか、最近は緩和されておりますけども、やはり一時は非常に大きな輸入制限がかかっておりました。ただ先程ご質問いただきました、どの国が一番大きな相手国かといいますと、やはり南米域内のアルゼンチンが一番現在では大きな輸出相手となります。

    質問者
    ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございます。他にいかがでしょうか。はい、よろしくお願いします。

    質問者
    大和証券の横道と申します。どうもありがとうございます。日本のメーカーさんのことについて教えていただきたいんですけども、ちょっと私の認識が間違っていたらごめんなさい。去年のデータを調べてみたところですね、日本のメーカーさん4社さん全てシェアを伸ばしている、マーケットシェアを、のように思うんですけども、この要因について教えて下さい。あともう一つ、今年のですね、日本メーカーさんの見通しについて教えていただけますか。

    回答
    かしこまりました。去年の例でいきますと2012年、2011年比較となります。2011年と申しますと、まだ震災ならびにタイの洪水の影響がございまして、弊社の台数で申し上げましても非常に低いレベルにございましたので、その分各日系企業の数字につきましてはポジティブ、他の欧州メーカー様と比べましてポジティブに出ているかと存じます。それが一要因かと思います。日系企業トータルでございますが、すいません、弊社の数字はひそかに持っているんですけども、他社様の数字を持っておりませんで、トータルの数字は、すいません、持ち合わせてございません。

    質問者
    ありがとうございます。

    司会
    はい。

    質問者
    新自動車政策、Inovar-Autoの内容について始めて伺ったんですけれども、その中で指定工程の17工程中6工程というのが13年からございますけども、現状の工程がどこまでありましてですね、逆にその、6工程とか7工程とかに伸ばしていくのがですね、どの程度の難しさがあるのか、ちょっと自動車業界にいないもので、その工程というのはどういう、例えば5工程だったらどういうところまでなのかという情報をお伺いしたいのと、それからもう一点、燃料ラベリングという工程が、その4番目の工程があったと思うんですが、これが何なのかさっぱり分からないのでご説明いただけるとありがたいです。

    回答
    かしこまりました。指定工程ですね、例えば一番大きく取り上げられていますのがエンジンの生産になります。すでに長く進出している業界ですと、まあ私どももそうですけども、すでにこの8工程、例えばエンジン生産、プラスチックインジェクション、それから金型、ある程度の金型投資ですね。

    すいません、ちょっと今手元にあるんですが、後ほどお話しさせていただきますけども、こういったものが入っています。よって、工程的にはすでに進出されているメーカー様であれば、長い歴史を持たれているメーカー様であればほぼ間違いなくクリアしているかなと。ただ、年式が浅くこれからどんどん拡大して行こうというところのメーカー様でいきますと、ちょっとまたハードルが高くなるという部分もあるかというふうに思います。

    例えばやはり、投資でいきますとエンジン投資、非常にお金がかかるんですけども、そちらの部分を一緒に投資されていらっしゃらない場合はそこを早めて投資しなければいけないというような足かせになってくるというふうに認識しております。

    よろしいでしょうか。で、燃料ラベリングでございますが、こちらの方は会社単位でのアチーブメントになるんですけども、理解しやすい説明でいきますと、よく北米でありますCAFÉというのがありますが、企業体燃費、燃費率ですね。ですから例えば台当たり平均で何グラムまでの燃費に抑えなければいけないというような計算というふうにご認識いただければ良いと思います。
    後ほど詳細を、資料をお持ちいたします。

    司会
    伊吹さんよろしいですか。

    質問者
    ありがとうございます。

    司会
    じゃあ特にございませんようでしたら、岡本さん、多数の質問に回答いただきましてどうもありがとうございました。続きまして機械金属部会、西岡部会長、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 機械金属部会 西岡信之 部会長

    機械金属部会 西岡信之 部会長

    機械金属部会の三菱重工の西岡でございます。機械金属部会、今までの発表と違って業種が非常に多くございまして、それぞれの業種を簡単にご説明していきたいと思います。

    業種としてはですね、ここに書いてある10個なんですけども、今回から4番目の造船を加えました。一つ従って前回より増えています。鉄鋼、それから電力および社会インフラ、プラント機器、造船、建設機械、産業用圧縮機、農業機械、各種切削工具、それから機械部品・計測機器、潤滑油・金属加工油、こういう順でご説明をしていきたいと思っています。

    まず鉄鋼ですけれども、2012年、国内粗鋼の生産量としては3480万トン、11年比でマイナス1.1%。それから見掛の消費量としては2520万トン。前年比プラス0.5%、ほぼ変わらないと、こういう状況でした。生産そのものはですね、やはり世界経済の減速等によりまあ減少してしまったということです。それから輸出の方につきましては970万トンということで、前年比マイナス10%、大きく落ち込みました。

    内容といたしましては、半製品が664万トン、鋼板類が194万トン、条鋼類が97万トン、二次製品が18万トン。輸入につきましては380万トン。これは大体11年と同等ということでございます。内容的には、鋼板類が203万トン、条鋼類が124万トン、二次製品が50万トンとなっております。

    続いて13年、今年の展望ですけども、国内粗鋼の生産としては3600万トンを予想しております。前年比、12年比でプラス3%。それから見掛消費量の予測といたしましては2630万トン、前年比、12年比で4%増と。輸出につきましては1000万トンを予測しておりまして、去年より若干増えて、まあ11年レベルかなというところです。

    輸入につきましては、13年の予測として310万トン。これはかなり減るということで、まあ政府が今関税を高くしたり、あるいは色んな保護政策を採っておりますので、これによって輸入が減ってくれるということを、まあある意味期待をしております。全般的には、まあブラジル政府の経済政策とそれから国内産業の保護で需要回復に期待をしているというところでございます。

    ここにちょっと書いてないんですけども、前回もちょっと申し上げたんですが、部品の形でですね、輸入される鉄鋼というのが非常に多くてですね、まあ12年で言いますと486万トンありまして、若干11年よりは減っているんですけども、まあ500万トンレベルという、粗鋼生産に比べていただきますと非常に大きいということがお分かりいただけると思うんですが、この形を変えた鉄鋼の輸入というのが非常に大きな問題になっているということでございます。

    続きまして電力、それから社会インフラですけども、12年ですが、ペトロブラスの大型投資が継続されておりまして、経済の牽引役・原動力としての波及効果は大きいと。ただまあ、ご存知のように上流部門、プレサルの開発に偏っておりまして、まあ造船等への投資というのは非常に積極的ですけども、プラント機器、まあいわゆる下流側ですね、精油所とかあるいは化学製品、こういったところへの投資は不十分と。まあ皆さんご存知のように、今現在は原油を輸出して製品のガソリン・ディーゼルオイルを輸入していると、まあこういう状態になっています。ですからまあ下流側への投資がまだ不十分という状況です。

    電力につきましては、これも皆さんご存知だと思うんですけども、今水不足で、電力危機というとちょっと政府に怒られるかもしれませんけども、まあかなり危機的な状況にはなっていると。現実にはかなり効率の悪いディーゼルエンジン発電とかですね、そういうところまでまあフル稼働して賄っているという状況なんですけども、それにも関わらずガス火力はガスの供給問題と風力発電との価格差ですね、これによってまあかなり苦しい状況になっていると。入札はほぼ停止してしまったということです。

    インフラ関係の大型プロジェクトにつきましては、まあ入札が軒並み遅れておりまして、高速鉄道は昨年12月の13日に入札が公示されたんですけども、入札条件が改善されておりませんで、各国共に今静観という状況です。それからサンパウロのメトロ等、都市交通案件においては遅れが目立ったという状況でした。

    今年の展望ですけども、やはりペトロブラスの業績悪化というのが尾を引いておりまして、まあ大型投資の資金を借り入れで賄うというような状況になっておりまして、計画案件の予算削減、それから遅れ、こういったところが今年かなり出て来るのではないかというふうに予測をしております。ただ、とはいってもやはり、ブラジル全体の中の投資としてはやはり割合が大きいので、引き続き国内経済の牽引役として期待をしております。

    ガス火力につきましては、まあやっぱり風力との価格差の問題がありまして、電力オークションのスキームの変更がないとちょっとガス火力としての応札は出ないのかなと思っております。そもそも電力オークションそのものがですね、今年本当にやるのかという問題があってですね、非常に厳しい状況がガス火力については続くだろうというふうに見ております。

    それから社会インフラ関係ですけども、高速鉄道については入札条件の改善が無ければおそらく前進しないだろうと。まあこれは入札者がいないということが一回やっておりますので、まあ二度はさすがにやらないだろうと思っておりますので、どこかでおそらくブラジル政府は入札条件を変えるかあるいは入札そのものをキャンセルして形を変えるかしてくるのではないかと思っていますけれども、今現在は静観という状況です。

    その他の都市交通、道路、空港、こういった社会インフラ関係は、さすがに今年は進むだろうというふうに見ていまして、現実にサンパウロの地下鉄等では若干前進が見られて、おそらく今年中には何件か入札が出て来るというふうに見ております。

    次にプラント機器関係ですけども、まず昨年ですが、紙パルプ業界。この業界は国際競争力が非常にありまして、元気のある業界です。まあ輸出は世界経済の減速によって落ち込んでしまったんですけども、国内需要に支えられまして各社とも設備投資に、遅れはあるもののかなり活発に設備投資が進んだと。

    それから石油化学業界につきましては、先程申し上げましたペトロブラスの業績悪化、それから建設費用の大幅予算超過、こういったところで、製油所等の設備投資に遅れが顕著に出て参りました。

    鉄鋼・非鉄業界ですが、これは先程も鉄鋼のところでご説明しましたように、業界の操業度、これがまあ大体今70%ぐらいに落ちておりますので、製鉄所案件というのが軒並み中止、あるいは延期という状況になっております。

    それからエタノールにつきましては、設備投資そのものが前年比30%減と急減をいたしまして、まあこの業界は今非常に景気が悪いということでございます。

    今年の展望ですけども、まず紙パルプ業界につきましては、既に受注しておりますバイオマスのボイラー、こういったところが今年着工する、あるいは完成をして稼働するというような状況になって参ります。まあ去年期待をしていた大型回収ボイラー2件、あるいは3件ぐらいが今年出てくるのではないかというふうに期待をしておりまして、まあ大型の受注を期待をしております。

    石油化学業界につきましては、まあペトロブラスの状況というのはおそらく今年もそんなに大きくは改善されないだろうということで、まあ予算が非常に厳しいと。商談が進まない、あるいは価格競争が激化してくるということで、まあこの業界については非常に厳しい状況が続きそうだということでございます。

    それから鉄鋼・非鉄業界につきましても、まあ世界的な供給能力の過剰というのは相変わらず続くわけで、まあ13年、先程も鉄鋼のところで若干、1%とか2%の伸びを期待するというお話ございましたけども、まあ大きな設備投資に動くということはやっぱり期待薄だろうということで、この業界での受注というのも中々厳しいだろうと、今年は厳しい状況がやはり続くというふうに見ております。

    エタノールについても同様でございまして、まあ業界の状況はおそらく昨年同様の、様子が変わらないということで期待薄というふうに見ております。

    今回から追加しました造船ですけども、12年にはまあかなりの動きがございまして、まずペルナンブコ州、ここでは6月にI社がアトランチコ・スル造船所という造船所と造船技術の支援契約を締結しております。12月にはステップ・バイ・ステップで技師を造船所に送り込み始めまして、今現在30人超えということになっております。

    それからバイア州では、5月にK社さんが、E社と書いていますが、EEP、ESTALEIRO ENSEADA DO PARAGUAÇUという会社と技術支援の契約を結びまして、さらに出資契約を締結して、7月に頭金を入金したと。同時に造船所の建設工事を始めております。それからリオ・グランデ・ド・スル州ではM社が、これは別のE社ですけど、別の造船所との資本参加を含む技術協力の交渉を開始しております。

    さらに、下に造船技術協力と書いてありますが、これはブラジル政府、窓口としてSENAIになりますけども、ここから日本政府、窓口JICAに造船技術協力の依頼がございまして、機械金属部会の造船分科会として協力をしております。

    今年の展望ですけども、まずペルナンブコ州についてはI社によるEASへの技術協力が継続をされます。同時に経営参加についても検討をしていくということだそうです。それからバイア州につきましては、9月以降にEEPの技術者を日本に受け入れて研修を実施いたします。

    それから、来年になりますけども、K社さんの技術者をブラジルに派遣して、年末には造船所が完工する予定だということです。リオ・グランデ・ド・スル州につきましては、年内の交渉合意を目指して社内交渉を継続しているという状況です。造船の技術協力につきましては、まあ日本政府で予算措置が出来次第、一番最初におそらくペルナンブコ州から技術協力を開始するということになろうかと思います。

    それから一番下にロジハブと書いてございます。これは、火曜日ですね、NHKで大きく報道されましたので、ちょっとこれを詳しくご説明したいと思うんですけども、2月の18日に研究組合の設立が正式に認可されまして、これからペトロブラスへの売り込みを図っていこうというものでございます。

    これはプレサルの地図なんですけども、ここにあるのがカンポス・ベイシンと言われているやつですね。それからこっちがサントス・ベイシン。まあ、これが100キロですので、見ていただけば大体お分かりだと思うんですが、カンポス・ベイシンの方が大体100キロから150キロ陸からありまして、まあロジといいますか、人を今はヘリコプターで運んで、物資を船で運んでいると、こういう状況です。

    往復で300キロ以下なのでヘリコプターで運べると。ところがこれが、これから開発が始まりますサントス・ベイシンになりますと、大体200キロから300キロございまして、陸からですね、往復でまあ600キロというと実はヘリコプターでは運べない。燃料補給ができませんので、ヘリコプターでは一回では運べないということになります。

    したがってじゃあどうするのかということなんですが、一つの方法がですね、こういうふうに中間に浮体のハブを設けまして、ここまで高速船で人も物も運搬しようと。で、このハブからそれぞれ、油を取っているFPSOとかリグとかこういったところにヘリコプターで人は運ぶ。物は船で運ぶと。こういうやり方も一つあるだろうということで、この、まあロジハブと呼んでいますけど、これを開発しようというのがまあ先日報道されたこのJ-DeEP(ジェイ・ディープ)という技術研究組合の目的でございます。

    メンバーとしてはここに書いてございますように、IHIさん、それからジャパン マリンユナイテッド、川重さん、それから三井造船さん、三菱重工、それから海上技術安全研究所、海事協会、日本郵船、こういったところがメンバーになっております。

    組合設立の目的につきましては、まあロジハブ方式の開発ということで、実現に必要な技術の研究開発、それから市場開拓、こういったところをやろうと。で実用化の方向性、何を目指すかですけども、まあ大型浮体、それから高速船、それから着桟施設、こういったところを開発して、まあ最適な輸送、あるいは経済性の評価、安全性評価、こういったところをやって売り込みを図ろうということでございます。

    報道でもございましたけども、こういうオフショアと呼ばれる分野はですね、日本は非常に遅れていまして、韓国・中国にかなり遅れをとっているというのが現状でございまして。まあそれは逆に言うと日本の造船メーカーがオフショアやらないで船ばかり造っていたということなんですけど、これから伸びていくオフショアにぜひ出ていこうと。そのターゲットとしてまずこれをやろうということでございます。

    唯一その、メガフロートというのを日本で作った実績がございまして、これは羽田の空港拡張をターゲットとしてやったんですけども、大型の浮体の作った実績があるという意味ではそれがまあ日本の唯一の進んだ点かな、セールスポイントかなというふうに思っています。いずれにせよ今年中には、これをですね、ペトロブラスに売り込んでいくということになります。

    それでは次に建設機械ですけども、12年につきましては、総需要台数といたしまして第1クォーターが2198台、一昨年2011年の第1クォーター比でマイナス21%。第2クォーターが2807台、同じく1クォーター比でプラス1%。第3クォーターが2677台、同じく1クォーター比でマイナス4%。第4クォーターが2701台、同じく1クォーター比でマイナス3%。まあトータルで、一番下に書いてございますが、2011年比でマイナス7%とあまり良い成績ではなかったということでございます。

    全体的には農業・林業向けというのがまあ比較的好調でしたけども、公共工事、それからプロジェクト等の遅延により総需要が減退してしまったと。なお鉱山用の建設機械については、これは一昨年以来堅調に推移をしているという状況でございました。

    続いて今年の展望でございますけども、一昨年が11214台、昨年12年が10383台、今年の予測としては12400台ということで、まあ約2000台の増加、2011年比でプラス11%という台数を見込んでおります。この2000台の増加のほとんどが農業省のビッグプロジェクトの台数でございますので、大体予測としてはほぼ堅いだろうというふうには見ております。

    中身は、まあ農業・林業分野が引続き堅調に推移をするというふうに見ておりまして、昨年あまり良くなかったインフラ関連の需要、こういったところがまあさすがに社会インフラ関係のプロジェクトが進んで来るだろうということで、この辺も伸びてくる、従ってトータルの総需要は回復するというふうに予測をしております

    続いて産業用圧縮機でございますけども、昨年、まず小型圧縮機について、全体的に売上は一昨年、11年並みでございました。食品業界につきましては、飲料業界の設備投資が堅調に進みましたけども、11年程には伸びなかったと。鶏肉、こちらについては、主として日本なんですけど、価格安等により鶏肉業界の設備投資がかなり控えられたという状況でございました。

    ぺトケミ業界につきましては、ペトロブラスのプレサル案件が本格的に稼働しまして、プラットフォームの計画等が順次進んでおります。飲料業界の伸びを受けましてCO2の製造設備、冷却設備の受注が好調でございました。大型圧縮機につきましては、陸上案件、いわゆるオンショア案件につきましてはペトロブラスのプロジェクトの遅れによりまして既に受注した案件なんかにも遅れ、あるいはキャンセルの可能性なんかが出てきてしまったと。オフショア、プレサル案件ですね、こちらはGE等々他メーカーとの競争が厳しくなりまして、まあ未受注、受注ができなかったというのが昨年の実績でございました。

    今年の展望でございますけども、小型圧縮機につきましては売上は昨年、つまり12年並みということを予測をしております。食品業界につきましては、まあ飲料業界では相変わらず設備投資が継続されるだろうと。まあただ参入社が増えておりますので競争は激化してくると。それから鶏肉産業につきましては回復基調にありまして、現実に1月2月、かなり引き合いも出ておりまして、今年は投資の回復を期待しております。

    ペトケミ業界につきましては、プレサル案件で予定案件を失注いたしまして、ちょっと売上が落ちそうだなというところでございます。それ以外のケミカル業界では先程のガス圧縮装置、あるいはチラー、こういったところの受注に期待をしていると。大型圧縮機につきましては、陸上案件についてはペトロブラスの予算引締めにより厳しい状況が続くだろうと見ております。

    それからプレサル案件、オフショアにつきましては、ペトロブラス以外からの受注、まあシェルとかそういうところですね、からの受注を目指しているんですけども、やはりこれはプレサル全般にですね、高い国産率というのが要求されておりますので、大体65から70%ですね、これへの対応というのが大きなキーになってくるというのが今年の予想でございます。

    続いて農業機械でございますけれども、昨年、エンジンビジネスにつきましては台数でプラス9%、金額でプラス5%と、まあほぼ11年並みと。内容的には国産の、国産と言う意味はブラジルで製造している北東部向けの単気筒エンジンの販売が回復をいたしまして、米作用の多気筒エンジンの販売も2010年並みに回復をしたと。

    それからトラクタービジネスにつきましては11年比で台数でプラス1%とほぼ同レベルになっております。トラクターにつきましては、まあ小規模農家支援策というのがありまして、低利融資が受けられるわけですけども、これも大分長い間やっておりますので、まあ小型トラクターというのはほぼ農家に行き渡ったのかなという感じがございます。小型建機のビジネスにつきましては11年比で台数でマイナス1%、ほぼ同レベルということでございます。

    それから13年、今年の展望につきましては、エンジンビジネスでは、すいません下期と書いてありますが、2013年ですけども、今年のエンジン販売は景気回復を前提といたしまして、発電機向けを中心にまあ若干回復をするんではないかという期待をしております。ただ単気筒エンジンにつきましては中国製の安いエンジンが入ってきておりますので、まあ中々厳しい状況が続くんではないかと考えております。

    トラクタービジネスにつきましては、今年の販売は昨年とほぼ同じレベルを予測しております。小型建機ビジネスにつきましては、さすがに来年に迫ったワールドカップに向けていよいよ工事も始まるだろうということで、20%程度の伸びを期待をしております。

    次に各種切削工具ですけども、まず昨年の切削工具につきましては、まあ先程自動車部会の方から発表がありましたけども、トラック・大型車の減、それから二輪車の減、こういったところが大きく来まして、2011年並み、あるいは2011年比で減少したという会社さんが多うございました。

    耐摩耗工具、鉱山用工具のみがまあ堅調に推移をしたというところでございます。ねじ切り工具につきましてはアメリカでの販売好調が国内向けの不振をカバーしまして11年比でプラス7%と進捗をいたしました。それからプラスチック成型品、これは車に使うやつですけども、産業用のプラスチック成型品はやはり大型トラックの減が響きましてマイナス20%と。それから一般消費者向けのセラミック、これは11年比でプラス20%と伸びたということでございます。

    今年、13年でございますが、切削工具につきましては政府の景気対策によって景気が回復することをまあ期待を込めてですね、11年並みから25ないし30%の増加を期待しております。耐摩耗工具、それから鉱山用工具、これらはまあ堅調に推移するんではないかと。耐摩耗工具は若干減少を予測しています。

    それからねじ切り工具につきましては、アメリカ向けの輸出はまあ昨年並み、国内販売は回復ということでプラス7%の伸びを期待しております。プラスチック成型品につきましては、産業用プラスチック成型品は、まあトラックの戻りを期待いたしましてプラス25%。一般消費者向けセラミックはプラス15%を期待しています。

    次に機械部品・計測器具ですが、チェーン、これは11年比でプラス17%の伸び。まあ代理店経由のアフターマーケット向けの販売と、在庫を置いての本格的な在庫販売の開始で増加をいたしました。軸受につきましては、自動車向けは堅調でございましたけども、まあ先程自動車部会から発表ありましたように、二輪車向けが、二輪車の製造台数が非常に落ち込みましたのでこれにより売上が減少をしております。

    農機・産業モータ、これらは11年とほぼ同レベルで堅調に推移をいたしました。メンテナンス用はかなり低迷をいたしまして、価格も低下してきたと。それから計測器具につきましては、まあ前半は良かったんですが年の後半に失速いたしまして、結果的に11年比でマイナス2%。SENAIなんかの教育機関向けでは健闘をしたという状況でした。

    13年の展望ですけども、チェーンにつきましては製鉄、食品包装等特定業界の補修用ですね、取り換え用の需要の取り込みと、それから新しい顧客の攻略でさらなる販売台数を見込んでおります。軸受につきましては、自動車向けは堅調に推移すると見ておりますけれども、二輪車の製造が中々回復をしないんではないかということでこれは期待薄と。

    農機・産業モータ向けは横ばい、あるいは年後半から少し上向いてくるかなというふうに予測しております。メンテナンス用は相変わらず低迷、価格も厳しいという状況が続くだろうと。計測器具につきましては、自動車業界の着実な投資を見込んで13年は若干の好転を期待しております。

    最後に潤滑油・金属加工油ですが、12年につきましては、まず潤滑油は市場全体としては11年比プラス3%とほぼ前年並みをキープ。分野別には大型ディーゼル用がプラス7%の伸び、自動車・バイク用がプラス3%、駆動系が±0、工業向けが±0、グリースがマイナス1%、まあこういった伸びになっております。金属加工油につきましては11年度比マイナス10%と落ち込みました。これは主要顧客であります自動車部品製造業で、自動車販売は伸びたものの生産量が減少したために販売量が減ったということでございます。

    13年につきましては、潤滑油で、やはりバイクの需要低迷というのがマイナス要因でございますけども、自動車販売の好調が継続するということを前提として全体としてGDP並み、プラス3%の伸びを予測しております。金属加工油につきましては昨年比プラス10%を期待しております。これはまあ自動車の生産増加が計画されていますけども、まあ大きな伸びは期待できないということと、まあそういう意味では自動車向けは現状維持。ただ新しい顧客を開拓してそちらへの販売を伸ばしていこうということでございます。

    それでは機械金属の部会全体としてでございますけども、まず昨年につきましては世界経済の低迷、特に中国経済の減速によりまして、ブラジル経済もGDPの成長率が1%と低迷をいたしました。特に製造業は成長率がマイナスになりまして、機械金属分野での失速というのが非常に顕著であったというふうに思います。これは、まあ先程からちょっと話に出ていますけども、やはりブラジルコストによる競争力の無さ、これが大きな原因になっていると。一方でペトロブラスの業績悪化によりまして、大規模な投資の遅れ、予算削減が行われまして、プラント機器等の受注遅れ・失注がかなり目立ちました。

    また社会インフラ投資についても、まあ政府の発表というのは非常に派手に、PAC2だなんだかんだと非常に派手に行われるんですけども、実際の投資が動き出したケースというのはまあほとんどなかったと。したがって、いわゆる機械金属業界への操業度の寄与というのがあまりなかったという状況でございました。ただ、日本造船界のブラジル進出が本格化したというのがまあ良いニュースだったかなというふうに思います。

    今年につきましては、まあブラジル経済が急成長するという可能性はほとんどないだろうと。したがって低成長、先程から3%という数字が出ていますけども、その程度の成長が継続するものと推測をしております。したがって概ね各社共に昨年並み、あるいは良くて、まあ12年が落ち込んでそれをカバーして11年レベルへの回復、こういったところを各社ともにを予測をしております。さらにペトロブラスの業績悪化によりまして、ペトロブラスの設備投資が更に活発になるという可能性もあまりないのかなと思っておりまして、まあペトロブラス向けの受注が低迷する可能性がかなりあると。

    さすがにただ政府による社会インフラ投資というのは、まあ計画の実現性というのがブラジル経済全体にとっても活性化の大きなポイントになると思いますけども、この分野ではさすがに色々今年は進むだろうというふうに見ておりまして、まあ都市交通その他で大型受注の可能性がございます。さらに造船関係では去年始まった技術協力等が本格化して、その成果が具体的に出てくるのではないかというふうに期待をしております。
    以上でございます。ありがとうございました。

    司会
    西岡部会長どうもありがとうございました。質問ございますでしょうか。じゃあ特にありませんでしたら、前半の最後ですね、電気電子部会の篠原部会長、よろしくお願いいたします。あの、時間は決して押しておりませんが、貯金は5分だけでございますので、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 電気電子部会 篠原一宇 部会長

    電気電子部会 篠原一宇 部会長

    皆さんこんにちは。電気電子部会の篠原です。よろしくお願いいたします。電気電子部会はですね、家電、電子部品、通信、電力、産業精密機器、輸入販売等のセクターで構成されております。本日の発表の内容はですね、この順序で進めさせていただきます。

    2012年の回顧でございますけども、たくさんの回答をいただきましてありがとうございました。私はちょうどリオに出張が入っていたものですから、検討会に参加できなくて大変申し訳なかったです。

    家電の販売はですね、昨年度は数量ベースで約5%の伸びがありました。年末の流通からの情報を分析しました結果、やはり前年比5%から7%であったと、伸びがですね、ということでございますから、その数字は一致しているんじゃないかなというふうに思います。年末の在庫も正常レベルであったということで、需要と供給のバランスが一応取れたレベルで越年したということが言えると思います。

    販売はそういうことなんですが、一方為替がですね、やはり2011年と比較しますと平均して16.7%、2012年は切り下がっておりますよね。そういったコストアップの要因で収益は低下したということでございます。ご存知の通り、電気製品の材料の現調率はですね、低くございまして、その為替の変動の要素を売価で吸収することは非常に厳しい市場でございます。

    設備関連の市場はですね、政府のインフラ投資の減少および延期とか、または工業分野の低調等の影響を受けております。景気刺激策として白物家電にですね、IPIの減税が去年ございまして、年初からですけども、これはやはり2012年のトピックスと言えるというふうに思います。雇用のすそ野の比較的に広い白物がですね、減税の対象になったということで、その白物の需要が大きく去年は伸びておりますので、また後ほど詳細を説明させていただきます。

    アンケートの調査の結果をですね、円グラフでちょっとまとめておりますが、販売実績は前年比拡大されたと回答された企業数がですね、7割を超えておりますね。人員はそう、維持と増員は変わっておりませんけれども、前年の調査では増員が53%でしたので、やはり状況は厳しくなっているかなというふうに思いますね。それから投資に関しましても、現状維持の会社様が増えて、2011年には24%という数字が32%だったんですね。だから投資は減少したのかなというふうに思います。次お願いします。

    家電製品の販売データを紹介させていただきますが、データのソースは、オーディオ・ビデオの場合国内生産がですね、まあマナウスに集中しておりますので、フリーゾーンの管理局のデータをいただきましたので、まあ精度は、上の方のデジタルAVの数字はかなり精度が高いというふうに言えます。白物と白物小物と、小物と白物に関してはですね、それぞれの主力メーカーの提供によるデータでございます。

    まずテレビですけども、2012年にですね、1500万台の大台に乗るかというふうに見ていたんですけども、前年比横ばいの1436万という数字で終わっております。この中にはですね、無くなりつつあるCRTのテレビがおそらく50万台ほど含まれていると思います。テレビでは最近、LEDのパネルのテレビがもうすでに60%に近くなっているということですね。

    それからデジカメの伸びが止まっておりますね。減少しておりますね。これはかなり、カメラ、スマートフォンの影響が強いというふうに思われます。ポータブル商品、小物ですけども、これはやはり輸入品がかなり多く含まれておりまして、間違いなく中国からの輸入比率が高いわけですけども、需要そのものは堅調に伸びております。

    ここに書いております、下の方、白物なんですが、白物、ここに書いてある品目すべてにですね、IPIの恩恵、減税がありました。といったことでですね、冷蔵庫は初めて700万台の大台に乗せておりますね。それから洗濯機の飛躍が著しくですね、20%も伸びておりますね。オートの伸びがセミオートを上回っておりますので、かなり所得のレベルが上がっている影響がこういったところに出ているというふうに言えると思います。

    電子レンジですが、一番下にあるのが電子レンジなんですけども、この他にですね、中国から2010年に120万台、11年に140万台、昨年は180万台という輸入品がですね、この数字の中に含まれております。電子レンジの場合ですと、まあ単価が低いという要素もありますけども、IPIの高い税金があってもですね、それから国内の、ご存知のようにロジコストが非常に高いものですから、そういう条件がございましてもマナウスで生産する競争力は十分ではないということでございます。次お願いします。

    携帯でございますが、本当に大きな市場になっておりまして、それもスマートフォンがですね、最近倍々増の販売を示しております。聞くところによりますと既に6000万台の市場になっておりましてですね、この勢いで行きますと2013年もかなり伸びるというふうに思われます。まあこのタイプは旅行者の持ち帰りも非常に多いですよね。

    パソコン市場ですが、トータルの台数は横ばいになっておりますけども、間違いなくタブレットが伸びて、デスクトップが減り、この分野ではですね、税制に関して州と州の間でのADIと申します憲法違反の税務訴訟が存在してですね、特にアマゾナス州とサンパウロ州の間では生産維持あるいは企業誘致面で火花を散らしているのが実態でございます。次お願いします。

    これは冷蔵庫のですね、かなり商品の構成が変わっていると申しますか、10年ほど前は1ドアの商品が非常に多かった、大半を占めていたということでございますけれども、現在はそれが3分の1に落ちておりますし、それから2ドア以上で、青いのがですね、自動霜取りなんですね。ですから自動霜取りタイプの冷蔵庫がすごく増えてきたということでございます。次いいですか。

    これはですね、転んでいるのは男性なんです、女性でなく。冷蔵庫は元々、自動霜取りがない場合は氷が付いてしまって、とにかく週末になりますとですね、旦那さんが霜を取る役割をですね、金槌とかドライバーで取ったものなんですけども、氷がこぼれ落ちて滑ってケガをするというようなことがよくあったものです。ただこういったタイプの冷蔵庫がまだ3分の1ほど市場に出ているということなんですけども、やはり、省エネとかですね、自動霜取りとかそういったタイプの冷蔵庫が増えているということは非常に喜ばしいことじゃないかなというふうに思います。次お願いします。

    テレビですね。テレビはご存知の通り、デジタル化が行われて、本当にサンパウロの市内でもテレビの映りというのは昔は悪かったですよね。ビルとビルの谷間でテレビ、本当に影が映ったり、きれいな画面が見られなかったんですけども、ブラジルでは2007年からデジタル放送が始まってですね、画面が非常にきれいに映るようになっておりますね。

    テレビ番組でですね、一番人気が高いのは、ご存知の通りグローボ局のですね、夜のノベーラですね、9時の連続ドラマですね。それで上位全てグローボさんの番組なんですけども、5番目くらいにこの上にありますBig Brotherが位置づけされております。今週のですね、火曜日でしたか、パレドンと申します、要するに投票によるメンバーの振り落としにはですね、8000万回投票が行われたということですから、本当に驚きですよね。あまり細かいことは申し上げませんけども、多数の視聴者を取り込む新しいテレビ局のビジネスモデルがこのBig Brotherにあるというふうに思います。

    それからテレビそのものはですね、受信のみでなく、接続してですね、ビデオ、音楽、フォトアルバム等をですね、家族で一緒に楽しむというようなことが、そういう機能を持つことが可能になってきたということでございますね。携帯で旅行で撮った写真を皆で見るとか、飛行場の待ち時間でグーグルあるいはYoutubeから好きな音楽を選曲して、ダウンロードして、そして皆で楽しむというようなことができるようになっております。本当に便利ですね。次。

    レギュレーションに関してちょっと申し上げたいと思うんですが、色々表を準備しておりますので、この時点ではINMETRO、ANVISA、そういった輸入に関する申請の時間のかかる問題についてちょっとコメントさせていただきたいと思うんです。

    先日ですね、リオのINMETROに、あまりにもライセンスの取得に時間がかかるので、ひどいものになりますと1年とかですね、まあ出かけて幹部の方とお話しをさせていただいたんですが、要するにINMETROの中では今まで承認のプロセスがハンド作業だったんですね。ハンド作業というのは色々審査して、最終的に責任者がサインをしないといけないんです。ペーパーで回っていたんですよ。

    それが最近はですね、最近というか年末にかけてですね、オーケストラというシステムですね、で自動化しましたと。それで全部それに載せましたと。ですから60日ほどかかっていた審査期間がまあ平均して15日に下げることができましたという説明があったんですけども、まああれですね、私が訪問した後もまだ下りていないILがございまして、とにかくやはりそういった承認期間のスピードアップですね。これはぜひ体制の確立をしてもらいたいというふうに思います。

    余談になりますけどリオはポン・デ・アスーカルの近くにですね、小さな、静かなところにバール・レストランテ・ウルカというのがございます。ウルカというのはポン・デ・アスーカルの近くですよね。このウルカはお勧めです。その2、3軒隣のところに歌手のロベルト・カルロスさんが住んでいるマンションがございます。次お願いします。

    IPIの恩恵でございますけども、まあ冷蔵庫の場合従来の税率が15%であったものが5%に下がっておりました。ですから10%安く買えるという状況が去年続いたわけです。ところがこの2月に、問題はこの2月に7.5%、それから7月に10%にまた、15%まで行きませんけども戻るというようなことに今なっております。

    なっておりますが、おそらくですね、まあメーカーサイドとしましては、要するに必需性の観点からですね、冷蔵庫というのは元々、洗濯機、オートに20%ありますよね、より5ポイントも低い必需性を認めた税率であったものを7月に同じ10%にするのはおかしいというふうなことを政府に申し上げて、2月、6月レベルの税率は維持してほしいという話になると思います。同じようなことが、このガスコンロでもですね、必需性から見ると4%を4に戻すのではなく、0を維持するべきではないかという話になるんですけどね。

    まあここで税制改革というふうにタイトルをさせていただきましたけども、確かに昨年度の上院決議の13号というのは非常にインパクトのある決議でして、州と州の取引が現在12%、まあほぼ12%なんですけど、地域によって違いますけどね、それを4%に下げるということと、その4%に下げるという意味は、例えばリオで輸入してサンパウロの方に輸入品を出荷した場合は今12%で出荷できるのを4%にしなさいという変更なんですよね。だからリオから12%で出して、本当はですね、3%ほどしかリオ州に納めていないというケースがあるんですよね。だからその12と3%と9%は今までは恩典として存在したと。そういうことが要するにポート戦争によるこの決議書でできなくなったということですね。

    従いまして、まあその延長では輸入品か現地で生産されている製品かという定義の条件としましては、ローカルコンテンツは60%以上でないと輸入完成品と同じような4%の適用をしますという制度なんですね。それにはですね、要するに類似品とか、マナウスで生産されている、また他の地域で生産されています、まあコンピューター関係もそうですね、PPBという生産基本プロセスのついている商品はローカルコンテンツの高い低いは関係なしに対象外ですよという制度になっております。

    色々問題はあるんですが、最も問題なのはですね、一番下に書いてございます、その、INVOICEにですね、伝票に載っています取引額のどれほどが金額で輸入されていますという、その輸入の比率といいますか、金額ですね、いわば間接製品ですと私のコストはいくらですということをINVOICEに記入しなくちゃいけないというふうになっているんですね。あの制度では。

    それはですね、当然あれじゃないですか、まあインポーターの方にしましても、売る方のコストをディスクロージャーするという義務は当然ないわけですから、ですからそれに対する反発がずいぶん出まして、一応4月30日まではその記入のオブリゲーションはサスペンドされるという状態で今走っているわけですね。

    ですから、おそらく、昨日も商工会議所の日伯法務委員会の中で月例会があったんですけど、やはりこの決議13号に関する討議が一番盛んに行われたと。ですから今年4月の末まで、あるいは今年年間ですね、一番揉めそうな、かなりコースを取られるといいますか、という要素になるということを含めまして、税制改革というふうに書いております。

    この問題はですね、今後どうなるかと言いますと、今まではポート戦争で完成品を他の州から消費地に流す、流すといったら言葉が良くないですが、そういうふうな行為を抑えるための4%の設定であったわけですけども、今検討されていますのは全て4%にしようと、生産品をですね、そういう検討が行われています。ただ今までの投資に対する影響とかございますから、それは即ではなく8年から12年かけて12%を4まで下げようというような検討がされています。おそらく今年の一番大きなですね、まあ揉め事といいますか、政府間、州間の調整事項になるというふうに思います。

    移転価格税制に関しましてはですね、まあこれは皆さん非常にフォローされている法令だというふうに思いますが、昨年の12715で改正された内容というのはですね、マージン率が生産の場合60%とか、転売の場合20%とかいう前の税率よりは大きく改善されたということは言えるんでございますけども、やはりあれですね、この、率を固定してですね、40とか30とか20とかいう形で二重課税的に課税されますと非常に負担の大きなものになりますね。

    家電関係では特にカメラが40%というふうになっているんです。カメラで40%のマージンをとれた期間というのはほんのわずかの期間でございましたから、少なくてもこの40%のところからですね、その他の20%に変えていただかないとですね。これはちょっと業界でもそういう動きをとっているんですけども。

    まあそれとですね、こういうその固定のマージン、20%にしてもですね、やはり電気製品というものはモデルチェンジとか、それからリードタイムが長いとかですね、そういった問題を、でそのマージン20%をキープする、クリアするというようなことは本当に現実的ではございませんので、やっぱりそれはカテゴリー別といいますか、為替の要素もありますし、もうちょっとフレキシブルな対応が必要だというふうに思います。

    家電関係の固形廃棄物の処理法はですね、ごく最近、2月のカーニバルの週に細則といいますか、一般公開の公示がございまして、プロポーザルを提示しないといけないということになったんですが、まず電気製品のですね、定義がはっきりしてなかったんですけども、今回は要するに110ボルトから210ボルトの間の電気を使用する製品はすべて対象になるということでございます。

    それとですね、問題はターゲット、量的目標。まあターゲットを設定しますとですね、どういう問題が起こるかといいますと、まあここでは17%というふうに書いていまして、5年後に例えば私どもの作っています冷蔵庫の17%がですね、廃棄されるかというととても考えられないですよね。だから、ターゲットの設定というのは、すでにタイヤ業界さんがですね、ターゲットの設定をされたために中古のタイヤの価格が上昇したという笑えないような実例があるわけですよね。ですからそういうことを含めてこの問題には対処しないといけないと。

    要するに消費者、それから流通、メーカーともにですね、必要以上な費用をこのために負担しなくちゃいけないというようなことは避けるべきじゃないかなというふうに思っております。

    まあ皆さんのお話にもございましたけども、まあ2013年はですね、オリンピックとか、ワールドカップとか、インフラの投資の加速、まあ3%前後の経済の成長を期待してですね、皆様のアンケートもですね、拡大が76%という意見をいただいております。経営課題も、まあ色々ございますけども、新規ビジネスとかブランドに対する投資の拡大とかですね、BtoBへのビジネスのシフトとか、そういったことでですね、経営の対応をされるということですので、お互いに頑張りましょう。

    司会
    どうもありがとうございました。どうもお疲れ様でした。そうしましたらコーヒーブレイクですね、3時30分から後半の部を開始したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

    (コーヒーブレイク)

     

     

     

  • 司会 林 企画戦略委員長

    それでは後半の部を開始させていただきたいと思います。後半の部の司会を務めさせていただきます、企画戦略委員長の林です。よろしくお願いいたします。

    それでは部会の発表の前にですね、一つ、この後半の部が終わりました後、カクテルパーティーを予定しております。場所はですね、皆様の後ろのドアを出られてすぐ最初の右の部屋であるBrecheret、こちらで行われます。皆さん振るってご参加いただけますようよろしくお願いします。それでは後半の部、まず最初に貿易部会の発表から行いたいと思います。伊吹部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 貿易部会 伊吹洋二 部会長

    貿易部会 伊吹洋二 部会長

    貿易部会 伊吹洋二 部会長

    貿易部会長の丸紅ブラジル、伊吹でございます。皆様本日はよろしくお願いいたします。では早速ですが2012年のブラジルの貿易動向について発表させていただきます。

    まず半期ごとの貿易額の推移をご覧いただきます。左の青の棒グラフが輸出額ですね。右の赤の棒グラフが輸入額で、黄色の折れ線グラフ、これが貿易収支になっております。グラフ左の目盛が輸出入額、右の目盛が貿易収支というふうになっています。リーマンショック直後の09年上半期台、輸出輸入とも増加が続いていましたが、2012年上期で輸出・輸入いずれも前11年下半期を下回り、12年下半期ではまた微増に転じています。以下、2011年との対比でさらに詳細を見ていきたいと思っております。

    これより輸出入の取引形態ごとに、それぞれ違った角度からご説明させていただきます。まずは輸出総額です。2011年、2560億ドルから12年は2426億ドルと5.3%の減少となっております。カテゴリー別に見ますと、一次産品が1225億ドルから1135億ドルへ7.4%のダウン。半製品が360億ドルから330億ドルへ8.3%のダウン。工業製品が923億ドルから907億ドルへ1.7%ダウンと、いずれも減少となっております。景気の冷え込みの要素が目立ち、レアル安の影響があまり見られない結果となったようです。

    次に商品別で主な項目についてご説明いたします。まずは一次産品ですが、鉄鉱石が25.9%減と落ち込みが目立ちます。金額にして108億ドルの減少となっています。鉄鉱石の落ち込みが輸出額全体の落ち込み、135億ドルの大部分を占めているというふうに言えます。鉄鉱石の輸出数量全体は3億3100万トンから3億2700万トンと1.3%の微減にとどまっていますので、市況下落の影響を受けた格好となっています。国別では最大の輸出先である中国が25%減、2位の日本向けは32%減というのを記録しています。

    また原油につきましても、前年比6%減と減少しています。2007、2008年にプレサル油田発見が相次いだころには近い将来ブラジルは大産油国になると宣伝されておりましたけども、2015年ごろまでは日量300万バレル程度まで増産が見込まれると言われたものですが、実際には増産計画は遅々として進んでおりませんで、2012年の産油量は日量200万バレルと前年の210万から減少してしまいました。

    一次産品の中では唯一大豆が前年同月比6.9%増加しておりますが、この要因は最大の輸出先、中国向けが9.8%増加したことによります。

    次に工業製品ですが、全体では1.7%減とわずかにダウンしております。乗用車・自動車・トラクター部品の減少が目立ちます。一方、燃料や航空機は二桁成長を見せるなど好調な製品も存在します。

    続いて相手国別輸出額についてご説明いたします。輸出相手国上位10ヶ国は表の通りでありますが、輸出相手国第1位の中国は2009年以降その地位を継続していますが、前述の通り鉄鉱石が大きく落ち込んだ影響で12年は前年比7%減少する結果となっております。

    2位のアメリカは前年比3.5%の微増。シェアは、11年は10%だったんですけども、11%に増加しております。3位のアルゼンチンは20.7%減。これは同国の打ち出した輸入規制施策もあり、乗用車、自動車部品、自動車エンジン、大型貨物自動車、鉄鉱石などの主要品目が軒並み減少した結果です。また日本も16%減少となっておりますが、後ほど対日貿易という括りでご説明いたします。

    そのほかに増減の大きなところでは、ドイツの19.5%ダウン、これはコーヒーや鉄鉱石の減少によるものです。またインドの74.3%アップ、主に原油の増加によるもので、11年、17億ドルから、12年、34億ドルと17億ドルの増加となっています。インド向け増加額全体の7割を原油が占めています。

    このスライドはですね、全輸出総額における地域別シェアを示しております。緑色の表記の中国を含むアジア向け金額が31.1%。ピンクの中南米・カリブが20.8%。黄色のEU諸国が20.1%で、この3地域で全体の7割を占めており、この構図は近年大きく変わっておりません。その次に来るのが11.1%、ブルーの米国であり、ブラジルの米国への依存割合はさほど高くないことが見て取れると思います。

    シェアの割合は変化してきているものの、ブラジルの輸出先は様々な地域に分かれておりまして、バランスが取れた状況となっているということがこのパイグラフよりお分かりいただけると思います。

    アジア向け、これは鉄鉱石と大豆で過半を占めております。国別では中国が圧倒的に多く、続いて日本、韓国、インドといった辺りが上位に参ります。中南米・カリブは乗用車や自動車部品、鉄鉱石、原油、食肉など多様です。

    国別ではアルゼンチン向けが最も多く、続いてベネズエラ、チリ、メキシコが上位となっています。EUは大豆かす、大豆、鉄鉱石、原油、コーヒーといったブラジルの主要輸出品が上位になります。国別ではオランダ、ドイツ、イタリア、英国、フランスといった順になっております。東欧の大幅減はロシア向け砂糖輸出の落ち込みによるものです。

    次に輸入についてご説明いたします。輸入総額は11年、2262億ドルから、12年は2231億ドルと1.4%の微減となりました。輸出の方は輸入よりも大きく減少したため、貿易収支が悪化する結果となっています。カテゴリー別では資本財は1.5%増の486億ドル、原料・中間財が2.2%減の998億ドル、消費財が1.8%減の394億ドルとなっております。

    同様に輸入を商品別に見ますと、まず目立つのが耐久消費財の中の乗用車で、前年比18.4%、金額にして23億ドルの減少となっております。また鉱産品も前年比11.5%、24億ドルの減少で、このうち原油が141億ドルから134億ドルへ4億ドル減。石炭が43億ドルから30億ドルへ13億ドル減となっています。

    次に輸入を相手国別に見てみたいと思います。輸入相手上位10ヶ国は表の通りでございます。11年までは米国が1位でしたが、今年初めて中国が342億ドルと米国の324億ドルを上回りました。

    中国からの輸入増加は主に携帯電話部品やパソコン部品の増加によるものです。米国からの輸入は燃料が大きく増えたものの石炭やガソリンの減少額がこれを上回り、全体では4.7%の減となりました。3位のアルゼンチンは貨物トラックの輸入が多く増加したものの、乗用車、小麦、ナフサ等が減少し、全体では2.7%の微減となっています。

    その他の主な増減は、ドイツ、韓国の減少は主に乗用車輸入減によるもので、輸入車に対する関税引き上げの影響を受けたものですが、逆に18.4%と上昇が目立つ9位のメキシコは乗用車が大きく増加したもので、これはメルコスール内の特恵関税によりメルコスール域外からの輸入品に対し相対的に有利となった結果です。

    では地域別シェアについてご説明いたします。緑で表記のアジアの輸入が地域別では最も多く31%、その後にピンクのEUが21%、黄色の中南米・カリブが17%、米国が15%と続きます。アジアからの輸入商品は多様ですが、中国からの携帯電話部品やパソコン部品、日本・韓国からの自動車や自動車部品などが中心になります。欧州はドイツ、イタリア、フランス、英国いずれも医薬品や自動車部品が上位です。中南米・カリブはアルゼンチンとメキシコからの乗用車や貨物トラックが最も多く、続いてボリビアからの天然ガスやアルゼンチンからの小麦も上位に来ます。

    次に対内直接投資についてご説明いたします。左のグラフ、こちらはですね、半期ごとの直接投資額の推移です。12年上半期で大きく落ち込んでおりますが、12年下半期では盛り返しています。通期では11年695億ドルから12年605億ドルと12.9%の減少となっています。

    右の表では国別の投資額を記載しておりますけれども、ご注意いただきたいのは、この数字は直接投資ベースになりますので、低税率国を経由した間接投資の場合はその当該経由地の投資額となります。必ずしも実態に即さない形になっているということでございます。

    すなわち、オランダ、ルクセンブルグ、スイス、バージン諸島など上位の国には低税率国が多くなっておりまして、税制優遇を狙いとしたSPCやファンドなどを通した投資であると推測されます。

    また中国がこの10ヶ国の中に入っておりません。これは中国も今申し上げたような第三国経由の間接投資を行っている可能性が高く、今の中国のブラジルへの進出具合からいっても実態としては上位に入ってきているというふうに考えられます。また国ごとの投資企業や投資分野のブレイクダウンは公表されておりませんで、具体的な投資の中身は確認できておりません。

    なお日本は80.5%減と大幅な減額となっておりますが、これは前年に大型の買収案件があった反動だと思われます。具体的にはですね、キリンさんがスキンカリオールの買収をされたのが2011年になりますので、そことの比較で大きな差が出ているものです。

    次のスライドは直接投資の業種別の表になります。ブラジルで最も強みのあるとされてきた資源関連への投資はこのところ大きく減少していることが見て取れます。一方、工業分野の食品や医薬品は大きく増加しております。またサービス業分野でも金融や保険、不動産増加が目立つ業界が多くなってきております。

    次に12年度の対日貿易についてご説明いたします。ブラジルにとって日本は輸出で5位、輸入で7位と相応の地位を占めております。左側が輸出ですが、全体では95億ドルから80億ドルへ15億ドル、16%の落ち込みとなりました。

    品目では鉄鉱石が突出して大きく、構成比4割近くを占めておりますが、2011年から12年は鉄鉱石の減少分だけで14億ドルの落ち込みと、ほぼ輸出額、輸出金額の減少と等しくなってきております。

    他の主要品目では12%を占めるチキン、7%のコーヒーもそれぞれ27%、16%のダウンとなっております。一方、とうもろこしでございますが、2011比では4倍近くに激増しております。これは米国で56年ぶりとも言われる大干ばつによりトウモロコシが凶作となったため、これをブラジル産トウモロコシで代替した結果がここに出ております。

    次に右が輸入になりますが、全体としては79億ドルから77億ドルへ1.7%の減少となっています。品目では自動車・トラクター部品が構成比8.8%でトップ、前年比でも14%伸びています。昨年トップの乗用車は17.3%減少し、構成比6.9%に落ち込んでいます。

    次の圧延機およびそれらの部品ですが、15000%以上と非常に大きな伸び率になっておりますが、これは前年実績がほとんどなかったためでございます。また輸入ではその他の品目が構成比で言いますと56.7%と大きくなっていますが、これは細分化された品目が細かく並んでいるものです。なお対日貿易黒字は2011年の16億ドルから2012年は2億ドルとですね、大きく減少しております。

    ではまとめに入らせていただきます。2011年は輸出は前年比27%増の2560億ドル、輸入は25%増の2262億ドルで、輸出入ともに過去最高額となっておりました。これに対しまして2012年は輸出が前年比5%減の2426億ドル、輸入は1%減の2231億ドルで、貿易黒字は298億ドルから194億ドルに35%減、金額にして104億ドルと悪化し、131億ドルの貿易黒字であった2002年以来10年ぶりの低水準となりました。主要産品である鉄鉱石の輸出額の減少が108億ドルなので、貿易黒字の悪化はほぼそのまま鉄鉱石輸出の落ち込みと見ることもできます。

    さらに2013年に入ってからも、1月単月でですね、40億ドルの貿易赤字、過去最大の赤字を記録しています。燃料の輸入が前年同月3億ドルから11億ドルへ8億ドル増加し、ガソリン輸入が前年同月2億ドルから5億ドルへ3億ドル増加するなど輸入が急増していることが原因です。さらに2月に入ってからも、10日間ですが、7億ドルの赤字となっております。これらは実際には12年中に輸入した燃料を13年に計上しているという特殊要因があるようなんですが、3月までは貿易赤字が続くというふうに予想されておりまして、引き続き注視が必要と思われます。

    また対内直接投資については過去最高の前年度から陰りが見え、13%のマイナスとなりました。対日貿易につきましては輸出は16%の減少、輸入は2%の減少で、貿易黒字は2億ドルとほぼ輸出入が均衡する水準となっております。

    以上の結果を見ますと、今後に向けてあまり好材料はないような印象を受けたかもしれませんが、半期ごとに見た場合では貿易収支、対内投資、直接投資とも2012年の上期に急激に落ち込んだものの下期では回復傾向を見せておりますので、13年の好転の兆しも見て取れる動きかなというふうにも思います。

    特に昨年後半に一時トン当たりまあ80ドル台まで下落した鉄鉱石価格もこのところ急激に上昇し、トン当たりまあ150、160億ドル程度まで回復しておりますし、また大豆についてもですね、今年は過去最高の豊作になるというふうに予想されていますので、ともに貿易収支は好転の材料と言えるのではないかと思います。

    また、やや落ち込んだとは言いましても、6億ドルという直接投資流入額は、世界の中でも米国が15億ドル、中国が12億ドル、7億ドル香港、に続く4位となっておりまして、まだ世界の中でも最も有望な投資先の一つと目されていることは間違いないと思ってよいと思います。以上で貿易部会からの発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    伊吹さんありがとうございました。それでは何かご質問ございますでしょぅか。はい、それでは次の化学品部会の発表に移りたいと思います。藤下部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 化学品部会 藤下温雄 部会長

    化学品部会 藤下温雄 部会長

    化学品部会の藤下と申します。化学品部会の2012年の回顧と2013年の展望を発表させていただきます。化学品部会では部会の回顧と展望を発表するに際しまして、毎回会員各社にアンケートを行っております。その結果をここで皆さんにご報告させていただくと、そういうことにしております。

    現在化学品部会の会員数は62社ですけれども、日本語でアンケート・回答をいただける44社に対してアンケートを行いまして、うち22社から25の回答をいただきました。うち一社が2業種、もう一社が3業種をやっておられますので全部で25の回答となったもので、業種としては20業種となりました。

    アンケートの結果ですけれども、2012年の売上につきましては25回答中、増収が15回答、不変が4回答、減少4回答。2社が2012年からの事業開始ということで2011年との比較ができないということで、比較可能な会社のうち増加と不変を合わせますと82%が売上の増加と不変、利益に関しましては増加が12回答、不変5回答、減少6回答。そのうち2社は13年からの事業開始のため比較不可ということなので、増加と不変あわせて74%となる結果となりました。

    2013年の展望でも売上に関しましては、増加予測が20回答、不変予測は1回答、減収予測が4回答で、増加と不変と合わせますと84%。利益に関しましては増加予測が14回答、不変予測が7回答、減益予測が4回答で、増加と不変合わせますと同じく84%になりました。

    これだけではちょっと業界の傾向が中々把握できないと思いますので、今回のアンケート、結果を見まして、この25回答20業種を5つの需要分野に分けまして、結果を見てみました。皆さんご存知の通り化学品というのは非常に色んなものに使われておりますので、はたしてこういう分け方が良いのかどうか分かりませんけども、ある程度傾向をつかむのに参考になると思いますので、あえて需要分野に分けてみました。

    まず工業材料分野ですけども、内容は樹脂用着色剤、ロジンおよび誘導体、潤滑油、合成樹脂、自動車用ポリウレンタン、水処理薬品、化学品全般、粘着テープ、架橋ポリウレタンフォーム、接着剤、ナイロン樹脂、の業種がおのおの1社ずつありまして、合計で11社11業種の回答がありました。

    次に農業・畜産分野では、農薬が4社、飼料添加物が1社、合計5社、2業種の回答がございました。次に医療・化粧品・香料分野では、医薬が1社、化粧品が1社、香料が1社、計3社の回答がございました。

    次に一般消費財分野ですけど、カメラ・医療機器を製造販売されている会社が1社、それから文具が1社、家庭用防疫薬が1社、合計3社3業種の回答がございました。
    最後に商社分野ですけど3社から回答がございました。

    次に分野別の結果を見ていきたいと思います。
    まず工業材料分野では、2012年の回顧は1社がちょっと比較ができないので回答不可ということでしたが、その他は売上では増加が6回答、不変が3回答、減少1回答で、増加と不変回答を合わせますと82%。利益では増加が6回答、不変3回答、減少1回答で、増加と不変合わせると同じく82%になりました。

    2013年の展望ですが、売上で増加予測が11回答、不変0回答、減少0回答で、100%が増加。利益でも増加が8回答、不変が3回答、減少が0で、増加・不変合わせて100%となりました。

    次に農業・畜産分野では、2012年、売上では増加4回答、不変0回答、減収1回答で、増収と不変合わせて80%。利益では増加2回答、不変1回答、減少2回答で、増加と不変合わせて60%でした。

    今年の展望では、売上で増加2回答、不変0回答、減少3回答で、増加と不変合わせて40%。利益では増加1回答、不変1回答、減少が3回答で、増加と不変合わせると40%とやや悲観的な結果となりました。

    次に医薬・化粧品・香料ですが、2012年の売上では増加が3回答、不変0回答、減収0回答で、増収と不変合わせて100%。利益では増加2回答、不変0回答、減少1回答で、増加と不変合わせて67%となりました。

    今年の展望では、売上は増加が3回答、不変0回答、減少0回答で、増加と不変合わせて100%。利益では増加2回答、不変1回答、減少0で、増加と不変合わせると100%と非常に好調な業界と言えると思います。

    次に一般消費財ですが、2012年の売上では増加1回答、不変1回答、減少1回答で、増加と不変合わせて67%。利益では同じく増加1回答、不変1回答、減少1回答で、増加と不変合わせて67%となりました。

    2013年の展望では、売上で増加2回答、不変1回答、減少0回答で、増加と不変合わせて100%。利益では増加1回答、不変2回答、減少0回答で、増加と不変合わせると同じく100%となりました。

    最後に商社ですけども、2012年の売上では1社が2012年に進出されたということで2011年との比較不可ということでしたが、その2社のうち売上増加が1回答、不変0回答、減少1回答で、増加と不変合わせて半分ですね、50%。利益でも増加1回答、減少1回答で、同じく半分で50%となりました。

    今年の展望では、売上で増加2回答、不変1回答、減少0回答で、増加と不変合わせて、売上では100%。利益では増加2回答、不変0回答、減少1回答で、増加と不変合わせると67%になりました。

    総括ですが、2012年の回顧では、工業材料分野、農業・畜産分野、医薬・化粧品・香料分野が売上・利益とも比較的好調。一般消費財分野と商社は会社によって好不調が分かれているという結果になったと思います。

    2013年の展望では、工業材料分野、医薬・化粧品・香料分野、一般消費財分野、商社分野が売上・利益とも比較的好調。農業・畜産分野は会社によって見方が分かれているという結果だと思います。

    それでは最後にですね、各業種別の回答を駆け足でご紹介します。
    まず工業材料分野ですけど、樹脂用着色剤1社、12年の回顧では増収増益。ドル高による輸入品の流入の抑制、新機械による新市場の開発、人件費削減と日伯年金協定による法人人件費の削減、遊休地の有効活用など。で、米国の回復の遅れ、それからブラジル経済が不調、消費ダウンなんかがマイナス要因だったとのことです。

    それから今年の展望としては、売上増加で利益不変との見込みとのことです。プラス要因としては、新市場の開発の推進、ブラジル経済・米国経済の回復の期待、マイナス要因としては、欧州経済の回復の遅れ、ドル高による輸入材料の値上がり、人件費のアップなどがマイナス要因として考えられるとのことです。

    次に同じく工業材料分野のロジンおよびその誘導体ですけども、昨年の回顧は増収増益だったと。市場の成長と原料価格が年初比較的低かったことで、マイナス要因としてはレアル高による、顧客が作っている製品の輸入が増加していること、それから需要業界の寡占化が進んでいるということだそうです。

    それから今年の展望では増収増益の見込みで、新製品の販売開始、それから原料価格が安定、それからマイナス要因としては景気のさらなる後退、レアル高による顧客の製造製品の輸入増などの可能性があるのがマイナスの要因だそうです。

    次に潤滑油ですけども、昨年の回顧としては増収増益でした。プラス要因は、旧来品の切り換え、新規需要の獲得など。

    それから今年の展望としては増収増益の予測で、引き続き旧来品からの切り換え、新規需要の獲得を推進されるということで、マイナス要因は特にないということです。

    それから、合成樹脂の輸入販売をやっておられる会社ですけども、去年の回顧としては売上・利益ともに不変だったとのことです。プラス要因としては、新規案件の増加、市場の成長、それからマイナス要因としてはレアル安、需要の減退だったそうです。

    今年の展望としては、売上・利益とも増加見込み。販売活動の強化、新規案件の増加などがプラス要因。マイナス要因は需要減退の可能性とレアル高とのことです。

    それから、自動車用のウレタンを製造されている会社ですけども、去年の回顧としては、去年から製造を開始されたためですね、一昨年と比較できない、それから今年の展望としては売上・利益とも増加の予定で、販売品種を増加させること、それからマイナス要因としては原料コストがアップする可能性があるということですね。

    それから、水処理薬品をやっておられる会社ですけれども、昨年は増収だったけども減益だったそうです。プラス要因としては、着実な値上げの実施、それから食品、飲料工場などの新規顧客開拓、マイナス要因としてはレアル安による原料価格の上昇、それから本社工場が移転されたそうでそれに伴う経費の増加、などだったそうです。

    今年の展望は売上利益とも増加の予測で、引き続き値上げを継続する、それから食品、飲料工場での新しい顧客の獲得、それからマイナス要因としてはレアル安による原料価格の上昇などとのことです。

    それから、化学品全般をやっておられる会社がございまして、去年の回顧としては売上・利益ともに不変だったとのことです。プラス要因は食品・包装材向けの販売拡大、マイナス要因としては欧州経済の影響によるブラジル経済の低成長と、それから自動車産業が予想以下の低調、などだったそうです。

    それから今年の展望としては、売上利益ともに増加の予測。ブラジル経済の復調、販売製品の拡大、現地法人設立へのマーケティングの強化などで、マイナス要因は関税引き下げによる輸入製品のシェアダウン、IPI減税停止に伴う自動車産業の成長の鈍化などだそうです。

    それから、粘着テープをやっておられる会社がございまして、去年の回顧としては増収増益で、プラス要因は自動車業界向けが好調だったこと。マイナス要因としては人件費が増加したことだそうです。今年は売上増加で利益は不変。生産工場を建設されまして、売上は拡大予定。それから欧米系自動車メーカーからの受注。マイナス要因は特にないそうです。

    それから、架橋ポリウレタンフォームを作っておられる会社ですけれども、昨年は増収増益だったそうです。プラス要因としては販売の新規事業の拡大による固定費の吸収と生産効率の改善、それからマイナス要因としては原料高と競争の拡大だったそうです。

    今年は売上利益ともに増加の予定で、増資による借入金の解消、新規事業の拡大、マイナス要因としてはレアル高による輸入メリットの低下と国内原料の値上がりとのことです。

    それから、接着剤・シールを製造販売されている会社がございまして、昨年は売上利益ともに不変。中国品が競合品だそうですけども、ドル高が有利に展開したり、自動車の販売台数が増加したことがプラス要因。マイナス要因としては人件費、物価の上昇、それから税関のストライキによる物流の停滞などがマイナス要因だったそうです。

    今年の展望としては増収増益の見込みと。経済成長率の予想が3.8%であること。それから自動車がさらに増産する可能性があると見ておられるのがプラス要因で、マイナス要因としては輸入原料が増えると課税されること、それからレアルの変動、電力不足などを挙げておられます。

    それからナイロン樹脂を販売されている会社がございまして、昨年の回顧は増収増益で、プラス要因としては消費拡大に需要の増加、品質と技術の優位性、シェアアップなどで、マイナス要因は関税の引き上げ、景気の減速などだったそうです。

    それから2013年の展望としては、売上は増加、利益は不変の見込みとのことです。消費拡大に需要の増加、品質と技術の優位性、シェアアップなどがプラス要因で、マイナス要因としてはブラジルコスト、高関税などの保護主義政策、それから国内の製造業がかなり疲弊していると見られていることがマイナス要因とのことです。

    次に、今度は農業・畜産分野の、農薬4社があるんですけども、去年の回顧としては4社より回答をいただきましたが、増収が3社、不変が0、減収が1社、利益は増益が2社、不変0、減益が2社でした。プラス要因としては新規農薬取り扱い開始、大豆価格の好況と栽培面積の拡大、他社がやっているジェネリック商品の上市の遅れ、レアル安による現地経費の低下などを挙げておられまして、マイナス要因としては競争激化による価格の下落、それから綿価格が非常に低下しているとのことで綿の作付面積が減少していること。

    それから非選択性の除草剤耐性稲が普及しつつある。要するに、私もよくわからないんですけども今までは稲にあれする除草剤というのは非常に限られていたんでそうですけども、品種改良によってですね、色んな安い除草剤なんかにも耐え得る品種が開発されたことによって、非常に農薬の価格もダウンして非常に競争が激しくなっていると。それからジャガイモ農家の収益の低下、天候不順による農業生産の不調、オレンジ価格の下落、それから日本の本社の供給不足などを挙げておられます。

    今年の展望としては、売上が増加予測が2社、減少2社で、利益は増加予測1社と減少3社でした。プラス要因としては、新製品の上市、大豆価格が引き続き好調で栽培面積が拡大する可能性があると。それから他社のジェネリック商品の上市が遅れていること。それからレアル安による現地経費の低下などを挙げておられます。マイナス要因としては綿栽培面積の減少と遺伝子組み換え綿の普及、同じく非選択性除草剤耐性稲の普及、オレンジ価格の低迷などを挙げておられます。

    同じく農業・畜産分野で飼料添加物、1社ございまして、去年は売上は増加で利益は不変だったとのことです。プラス要因としては国内・輸出需要に対応した鶏肉・卵の生産量の増加、価格の高止まり。それからマイナス要因としては円高の継続、日本品の欧米品に対する優位性の低下などを挙げておられます。今年は増収で、利益は変わらないと見られているそうです。プラス要因としては鶏肉・卵市場のさらなる成長とレアル安による現地経費の低下、マイナス要因は競争激化の中での価格対応とのことです。

    それから医薬・化粧品・香料分野で、一般用医薬品を扱っている会社があるんですけど、去年は増収増益だったとのことです。主要都市顧客の営業強化、広告などによるPRの結果による購買層の拡大がプラス要因で、マイナス要因はANVISA、国家衛生監督局のストによる登録審査の遅れ、それから原料・人件費などの高騰だったそうです。今年の展望としては引き続き増収増益の見込みと。新製品の上市、それから都市の顧客に対する営業強化、広告などがプラス要因で、マイナス要因はコストの高騰を挙げておられます。

    それから高級化粧品。昨年は増収で減益だったとのことです。プラス要因としては新ブランド投入による売上増。外資系の化粧品系列店で順調な販売、Eコマースの売上快調。マイナス要因としては欧州メーカーの新ブランドによる競争激化、既存化粧品店での販売の苦戦などを挙げておられます。今年の展望としては増収で、利益は不変だろうと。プラス要因としては新ブランドの順調な販売、マイナス要因は前年から継続している既存化粧品店での販売の苦戦だそうです。

    それから香料1社。昨年は増収増益だったとのことです。プラス要因としては親会社からの製造移管による売上増などを挙げておられ、マイナス要因としては新工場での収益実現に中々時間がかかっていることなどを挙げておられます。それから今年の展望としては増収増益の予測。顧客との関係強化、そろそろ過去の投資が回収時期に来ている。それからマイナス要因としてはブラジル・アルゼンチン経済の鈍化による受注減、競争激化などを挙げておられます。

    それから一般消費財分野ですけども、カメラ・医療機器を扱っておられる会社、製造販売されている会社がございまして、去年は増収増益だったとのことです。プラス要因としては好景気による市場拡大、価格の引き上げ、合理化による販管費の圧縮、マイナス要因としてはレアル安の進行、ユーロ安によるヨーロッパ品の価格競争力のアップ。今年の展望としては引き続き増収増益の見込み。プラス要因は引き続き市場が拡大、金利も下がって需要が拡大するであろうというふうに見られているそうです。マイナス要因は市場競争の激化ということです。

    それから、一般消費財分野の文房具。昨年は売上不変で利益は減少だったとのことです。プラス要因は特になく、マイナス要因は為替の変動による原価の上昇などだそうです。それから今年は売上利益ともに不変の見込みと。プラス要因はあまりなく、マイナス要因としては人件費・材料費のアップと。

    それから、次ですけども、一般消費財分野の家庭用防疫薬。去年は売上減少、利益は不変だったとのことです。プラス要因としてはレアル安による現地経費の低下、マイナス要因としては冷夏、多雨による消費者の殺虫剤使用の低下などを挙げておられます。今年は売上は増加で利益は不変の見込みとのことです。プラス要因としては、流通在庫が一掃されること、それからレアル安による現地経費の低下などを挙げておられ、マイナス要因は、引き続きジェネリック商品との競合だそうです。

    最後に商社ですけども、昨年分については2社から回答をいただきまして、1社は増収、1社は減収だったとのことです。利益も同じく1社増益で1社減益でした。プラス要因としては、市況の堅調、新規取引の開始などで、マイナス要因としては取り扱い数量が減ったこと、それから新規取引が中々始まらなかったこと、コスト増などを挙げておられます。

    今年の展望としては、増収2社、不変1社で、利益は2社増益、1社が減益を見込んでおられます。取引数量が拡大、新規取引の増大、円安による収益改善などをプラス要因として挙げておられ、マイナス要因としては市況の軟調、為替の不安定化、コストアップなどを挙げておられます。

    以上が化学品部会のアンケートの結果でございます。これにて化学品部会の発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    どうもありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。はい。なければですね、次、運輸サービス部会、森田部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 運輸サービス部会 森田透 部会長

    運輸サービス部会 森田透 部会長

    運輸サービス部会の山九の森田と申します。よろしくお願いいたします。それではこれから、2012年の回顧から発表させていただきます。

    まず全体概要としてご説明いたしますけども、我々かなり多岐にわたっておりまして、まず初めは物流業界全般として、貨物の動きは鈍化傾向、しかし物流インフラはパンパンな状態であったということですね。次に構内物流、機工、整備業界、これは製鉄部門、高コストに対しての影響で外注施策が非常に厳しくなってきているということです。次に航空業界。旅客はほぼ横ばい、航空貨物は減少傾向であったと。次に海運業界ですけども、まあコンテナ船、輸出入は微増。ばら積み船は微増ということです。次お願いします。

    次、旅行・ホテル業界。これは全体的に客室稼働率は低下。日本以外からの来伯は微増、日本からは横ばいということですね。通信・IT業界。これは携帯電話の加入者数は人口を超え、今後微増の傾向であろうと。IT業界はクラウドサービス等の増加傾向が見られるんじゃないかということですね。これが全般的なところですけども、これから各業界ごとに個別に詳細を説明させていただきます。

    まず物流業界ですけども、2012年は9月に輸入製品の約4%ほどにあたる製品の輸入税が25%ほどアップされました。これによっての駆け込み需要、まあ輸入ですね、これが前半なされまして、そのため後半より一時的に輸入が減少するというふうな傾向となっております。それとあと、アルゼンチンの輸入の事前審査制度、こういったものが行われまして、輸出ですね、これが若干減少してきたということで、我々のフォワーダー業界に関しましては非常に全体的には荷動きが鈍化した、あまり元気のない年であったということですね。

    それとまた、まあ皆さんご存知のように、5月末に国税庁、税関、これが給与インフレ調整率の要求でストに入りまして、これが12月までずっと続いたわけですけども、12月18日にやっとまあ政府提示額のインフレ調整率15.8%を受け入れ、まあ今後3年間で段階的に調整を行うという形になったんですけども、まだ当初彼らが要求している30.19%ですか、これはまだ勝ち取っておりませんので、まあ今後どうなるか若干不安材料があるということですね。

    それとあと、良い方向のものとしてはRADAR取得方法の変更というのがございます。これは、これまでは非常にRADARを取るためにはまあ多岐にわたる書類の準備、それと申請して取得までの非常に時間がかかるというようなものだったんですけども、これが10月より新しい運用則が出まして、ある程度提出書類等が簡素化されると。それと運用則上で、まあ提出してから審査まで結論を出すのに10日間というような形で短縮が図られている。まあ実際はそこまでまだ短くはなっておりませんけども、まあ傾向としてはこれまでよりは若干簡単になってきたということですね。

    まあこういったことで、これまでこのRADARもSimplificado、Ordinarioという二つの種類があったんですけども、これがちょっと名称が変わりまして、Limitado、Ilimitadoという形になっております。でまあこの辺が、まだ完全にこれが動いて、まあ新しく10月以降申請しているやつについてはこのLimitado、Ilimitadoになっているんですけれども、これの取り方がですね、まだきちんとなっていない部分があるかと思います。あと、引っ越しに関しまして、全体的に増加傾向であるということです。次お願いします。

    次に物流関係。構内物流、機工、整備作業ですけども、これはやはり仕事をしている中での鉄鋼メーカーの収益性が悪化しているということ。そういった面でのまあ彼らの合理化施策の中で外注としての入っている部分、この合理化施策が協力に推進されていって、まあ非常に厳しい経営環境が続いていったというところです。

    次、航空業界ですけれども、まず旅客の方なんですけども、航空旅客に関しましては国内線は昨年より少し緩やかな6.8%程度の伸びとなっていると。中には運賃の安いLCC、これはAZULとかTRIPとかAVIANCAですね、これらシェアがこれまで11%程度のシェアだったんですけども、彼らが非常にシェアを伸ばして25%まで伸ばしていると。で、旅客数から見ますと、5年前と比較しますと約8割ぐらいの大幅な伸びとなっている状況ということです。これら低運賃のLCCの参入によるもので旅客数が非常に伸びたということですね。

    国際線に関しましては、これも緩やかな伸びで前年比約3.2%の伸びということで、旅客数に関しましても5年前と比較して約50%増と、まあある一定ラインまで上り詰めておりまして、座席の使用率、これが79%とほぼ満席な状態が続いたという状況ということです。
    その次に航空貨物ですけども、これはINFRAEROからのデータなんですけども、ここにありますように国内・国際、すべて前年比減少ということで、まあ輸入に関しては15%減少、輸出に関しては26%の大幅減少というふうな傾向になっております。

    次、海運業界ですけども、コンテナ船に関しまして、これも輸出入に占める輸入の割合は53%と輸入超が継続していますけども、まあ一昨年までアジア出しを中心に大幅な伸びを示してきました輸入はレアル高の影響もあって2%程度の伸びに留まっていると。輸出が逆に3%程度と伸びてきて、これまでの輸入の顕著な伸びが抑制されて、まあ輸出が輸入の枠を上回った傾向になっていると。

    で、特にアジア向けの輸出ですね、これが増大して、これまで首位だった欧州向けを上回って地域別首位となっているということですね。あと不定期船ですけども、これは非常に中国経済の影響をもろに受けるものなんですけども、というのは主要貨物というのが鉄鉱石ということで、まあ中国の経済減速もあり、昨年微増に留まるという傾向となっております。

    次に旅行・ホテル業界。まずホテルですけども、通年で平均稼働率が約、前年に比較しますと3.7%ほどダウンしております。ただし下期になりまして、客室稼働率ですね、これが70%程度と良好な推移を示してきたということです。

    次に旅行ですけども、旅行業界については来伯者数が前年比2.4%の増加。国内線、飛行機の利用客の前年比も約6.6%の増加。観光収入も1.4%の伸びという形になっています。これはブラジル人の特にC層の購買力が上がったという影響で、国内および海外旅行ですね、これが顕著な伸びを示してきているということです。また、まあブラジル経済の伸びが注目されてきている影響で、やはり観光客、それとあとビジネス客ですね、こういったものが増加してきていると。

    ただ反面、日本からのブラジルに対する観光客に関しましては、やはりブラジルの物価高とか治安、あと観光査証ですね、これらの必要性などによってまあ横ばい状況が続いていると。ただし一点、日本向けに関しましては、去年の末にあったトヨタカップのコリンチャンスですね、これで大量のコリンチャーノが日本に旅行しておりますので、この結果、震災以降、観光客数ですね、これを大きく取り戻したということです。

    次に通信・IT業界ですけども、通信業界に関しましてまず携帯電話の加入者数、これが2億617万台となって、まあ前年比2%程度の微増と。これは人口を超えているのでもうそろそろこの辺が頭打ちかということを言われております。

    またスマートフォン等が利用が増えたということで、まあプリペイドがこれまで多かったんですけども、これが逆に減少傾向になってきていると。それとあと3Gの加入者数ですね、これが6594万台という形で、この場合、3Gの場合はやはりポストペイドですね、これが契約が増えてきているという傾向です。それとあとブロードバンドユーザー、これが2012年9月末で1万9000台ということで、約7%の増となっているということです。このブロードバンドについてはやはり今後増加していく傾向になると。

    あと、第4世代、4Gですね、これは通信大手の4社、ここにありますOi、Claro、VIVO、TIMですね、この4社がそれぞれの入札において対応エリアを落札したと。あと最後にTelefonica、これがすべて、まあ携帯、インターネット、それとケーブルテレビですね、これらを全てVIVOブランドで統一、また公衆電話もVIVOブランドに変更してきているということです。

    次にIT業界ですけども、これはまあこれまで通りやはりクラウドサービスですね、それとサーバーの仮想化と、企業内のSNS、これらの利用の拡大が傾向的に続いてきていると。ただ、問題点といいますか、やはりIT技術者、こういった確保の難しさ、困難、こういったことがやはりこの業界でも顕著に表れてきているということです。

    これが一応2012年の回顧ということで、次に13年の展望をご説明いたします。
    まず13年の全体概要なんですけども、物流業界全般としまして、空港・港のインフラ整備が始まる。まあこれまで始まって、これが一部終了してくるということですね。構内物流、機工、整備業界、これに関しては厳しさは継続。航空業界、旅客は横ばい、貨物は増加予想と。

    海運業界に関しましては、コンテナ船、輸出が伸び、輸入は緩やかな伸びであろうと。ばら積み船は輸出増を期待していますということです。次に旅行・ホテル業界。来伯客の増加を予想。通信、IT業界。これは同様にクラウドサービスへの移行加速、4Gサービスが開始されるということです。

    では次、個別にご説明をしていきます。
    まず物流業界ですけども、これはこれまでも発表でございましたけども、まあ自動車、家電関係のIPI減税、これが7月までで打ち切られるということで、まあこの辺の、前半はボリュームが上がるかもしれませんけども、その後の動きが少し落ちるけども、まあ逆に新規の進出企業、日系等を含めましてですね、これらの荷動きもかなり頻発になってくるんじゃないかということで、ある程度荷動きは去年に比べて回復するんじゃないかという予想を立てております。

    あとアルゼンチン等の輸出に関しては若干持ち直すんじゃないかということですね。それとあと、インフラにおきまして、空港・港湾、道路関係のインフラ整備の遅れが懸念されていますけども、まあ港湾に関しましては、皆様ご存知だと思いますけども、2013年下期ぐらいまでには新規のターミナル、これ今建設中ですけども、ほぼ完成しておりますけども、ここが一応稼働するということで、多少は期待できるかと。ただターミナルの後背地、後背地というのは道路のアクセスですね、これがまだ完全に改善されていない部分があるかと思いますので、まあどこまで改善されるかですね、この辺はちょっと心配なところがあります。

    あともう一つ心配な事項として、ご存知だと思いますけどもトラック運転手の休息に関する新しい法令、これが実際に完全施行されますと運転手の労働時間の規制によって、何が起こるかと言うとやっぱりコストが上がるということで、まあ輸送能力の低減、および運賃が非常に高騰していくという可能性がある。これはまあ車建て、混載、こういったものですべてかなりの率で上がる可能性がありますので、これがまあ産業界への大きなコストへのインパクトを与えることが懸念されるということになります。あと引っ越しにつきましては、まあ今年は大体全体的に20%程度の大幅な伸びを期待しているというところです。

    次に構内物流、機工、整備業界ですけども、これはやはり鉄鋼製品の輸出競争力の低下、あとこれに関して輸入製品に対してどれだけ政府が輸入規制、これを敷いていくかですね。まあこういったものに関して製鉄所、鉄鋼関係の動向が決まってくるかと思うんですけども、それによって外注施策にも影響が出てくるんじゃないかということで、まあ今後とも厳しい経営環境は続くものと予想しております。

    次に航空業界ですけども、まず旅客ですけども、旅客の予測としましては2013年は12年とほぼ同様な横ばい傾向が続くものと考えられます。国内はまあ5%程度、LCC等の進出の拡大によって上がるんじゃないかということなんですけども、まあ価格競争等が激しくなって、また再編等ですね、こういったものが起こる可能性も考えられると。

    あと国際線ですけども、国際線につきましては国外のキャリアの新規参入、および米系キャリアの増便等、これが予定されておりますけども、これによって空港の利用時間のスペースの感覚の問題が出まして、まあ利用時間が早朝とか午後などですね、ちょっと利用がしにくい時間帯にある程度制約が出てくるような傾向があるかもしれないということですね。それとあと航空貨物、これはINFRAEROの予測によりますと輸出入全体で12%ほど貨物取扱量は伸びるという予想を立てています。

    次に海運業界ですけども、まずコンテナ船ですけども、コンテナ船は国内消費の好調さに加えて、まあ為替の大幅な変動がない限り、まあ全体としては堅調に推移するものと思われています。特にあと輸出の伸び、これが農作物関係が現在コンテナ化されてきている部分がありますので、これらがまあ取扱量の増加の期待値を込めているというところですね。

    それとあと不定期船に関しましては、これもまあ中国の鉄鋼生産量、これに関わってどのように動くかということですけども、まあ一応期待、輸出増加を期待をしていると。あと港湾関係で、先程もご説明しましたように、特にサントス港の新設ターミナルですね、これが下期には開業されるということで、混雑解消を期待をしているというところです。

    次に旅行・ホテル業界。まずホテルに関しましては6月にコンフェデレーションカップ、これが行われますので、その関連イベント、こういったもので観光客とか報道陣の来伯が増加することを期待して予想しているということですね。ただし各主要都市のホテルのベッド数、この不足傾向はまだ継続していると、してくるであろうということですね。

    その次、旅行の方ですけども、旅行としましてはコンフェデレーションカップに関して参加チームが少ないということで、まあ期待薄であるというふうな予想を立てていると。旅行者数は国内・国際線とも今後増加を予想していくということですね。日本からの、まあこういった進出企業の増加によって、ビジネスでの日伯間の旅行者の増加を見込んでいると。ブラジルから日本への観光客は12年を上回ることはあまりないであろうということですね。

    それと、こういった、特に日本とブラジルの間での観光客およびビジネス、こういったものにおいて非常に足かせとなっているのが、その、査証問題ですね、これがやはり一つのネックになっているということで、まあ今後ブラジル政府側に日本政府として申し入れをするだけではなくて、まあ日本側としても官民一体となった、査証のまあ簡易化ですね、こういったものの改善を要求していくことが今後必要ではないかということを感じているということです。

    次に通信、IT業界ですけども、通信業界としてはコンフェデレーションカップに向けて、主要6都市ですね、これで4Gのサービスが開始されます。あと、これまでもNotaFiscal、納税伝票ですね、こういったものを全てDANFEといった形で電子化されましたけども、さらにINSS、これが一応電子化プロジェクトが始まったということで、これが開始されます。その次にIT業界としてクラウドサービスへの移行が加速されると。あと企業内SNSツールの拡大ですね、ということで、こういったものにおいてITのインフラ設備投資が増加していく傾向にあるだろうということです。

    課題と問題点については、まあ技術者の不足、人件費の高騰というものは継続していくと。あと、このIT、通信関係すべてにおいてそうなんですけども、やはり電力不足、これによる停電対策ですね、これが非常に重要なものになってくるということで、都市型サービスから地方型への移行が移るというふうなことが考えられるということです。
    これが運輸サービス部会での発表となります。ありがとうございます。

    司会
    ありがとうございました。それでは何かご質問ございますでしょうか。伊吹さん、どうぞ。

    質問者
    先程コンテナターミナルがあったんですが、どこに造られたのかがちょっと分からないんですが。

    回答
    サントスはここ右岸、左岸と二つあって、ここに今Libraターミナル、サントス・ブラジル、TECONDI、Rodrimarと4つのコンテナターミナルがあるんですね、現状。今作られているのがここに、ブラジルポートという新しいコンテナターミナルですね、あと対岸のこの辺りですかね、ここにBTターミナルという二つが今作られています。

    で今、こっちのAlemoaというターミナルがあるんですが、ここがブラジルポートというところなんですけども、ここが今年の下期中には、もうガントリークレーンとか全部乗っていますので、あと、そうですね、数ヶ月で稼働するかと思います。でこっちがまだ護岸工事をやっている段階で、多分下期か来年の頭には稼働するかと思います。能力的には約、現状、サントス港の能力の約倍、50%増しですね、ぐらいの能力増になるということを聞いております。

    司会
    他に何かご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。なければ次の繊維部会、よろしくお願いします。金屋部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 繊維部会 金屋悦二 部会長

    繊維部会 金屋悦二 部会長

    ダイワボウの金屋でございます。繊維部会の2012年の回顧とそれから2013年の展望についてご報告をしたいと思います。

    昨年の上期の報告でですね、我々の業界も含めて、ブラジルでの国内加工工業のですね、国際競争力の低下ということについてご報告して、非常に厳しい状況にあるんだということをお話しさせていただきました。我々の業界なんですけども、昨年の下期に入ってから、ようやくに我々業界での在庫削減とですね、それからまあ政府がやっていただいている為替相場のレアル安の誘導による輸入品の抑制という効果もございまして、繊維市況ですね、ようやくに回復の基調に入ってきまして、需要の回復に合わせて、まあ念願の値上げも実現して、下期の末にかけてようやくに普通の商売ができるような状態になってきたということでございます。

    まあブラジルの政府もですね、国内加工工業の競争力の強化というのが喫緊の課題というふうに認識してですね、まあ色々な手を打っていただいております。

    我々の繊維業界について言いますと、昨年の8月からですね、まあ売上比の1%の新しい税は作るんですけども、給与の20%に相当するINSSの免除というふうな減税策も導入をしてもらっています。為替の安値への誘導ですとかですね、まあこういった減税策という、保護策ですね、これがまあ良い面も悪い面もあるということで、いつまでも続くというふうには我々も考えてはございません。

    ただし、まあそういうふうな後押しを受けてですね、我々の業界も改革する時間的余裕をいただいたということで、これらの政策の後押しを受けながらですね、できるだけ早く、まあ当面この1、2年、3年の間にですね、競争力を強化していかないといけないなというふうに考えてございます。

    政府もこの2013年の1月の末からですね、電力代の低減と、電力単価の引き下げということもやってもらっていますので、まあ残された税制の改革とか、税率の問題等についてですね、もっともっと踏み込んで対策を採っていただければ、まあ少しでも良い環境になってくるのではないかというふうには思っています。

    ではその繊維業界の各社が担当しております分野別の状況についてご報告をしたいと思います。

    これは国際綿花の状況でございます。2012年度、まあ2011年度はですね、非常に原綿の相場が異常な高騰をしまして、非常に厳しい状況になったわけですけども、まあそういう反動もございまして2012年度はまあ生産の増加とそれから消費の減ということで、期末在庫ですね、まあ期末在庫というのはその綿作の終わりの総在庫率なんですけども、これが67%まで大幅に増加をしたということがございました。

    一番この上の表の右端に在庫率というふうに書いてございますが、これは期末の在庫数量が消費のですね、どのくらいのパーセントになるかというものを示した数字です。まあ67%というのは非常に高い水準の在庫率になるわけですけども、一般的にこのくらいの在庫になってくると本当は相場が下がって来るはずなんですけども、実は昨年ですね、皆さんもご存知のように米国の大干ばつがございまして、穀類の価格が相当高騰しました。

    綿花だけが安くなるという感じを綿作農家が受けてですね、まあ安売りは差し控えたということがございまして、まあ相場はですね、そんなに高くもなく安くもなく、ポンド70セント台で踏みとどまって年間比較的安定した水準を維持したということでございます。

    これが2013年の状況なんですけども、まあ穀類の価格が高騰したということで、綿花からですね、穀類への転作が進むということで、約7%ぐらいの減産が見込まれています。ただし世界的な経済の低迷もございまして、消費の方も約3%ぐらい落ち込むだろうという見込みでございます。まあそういうこともございまして、生産が消費をですね、まだ上回っている状況が続いていますので、2013年の期末の在庫もですね、これは2012年よりも増えて約77%ぐらいまで増えるんじゃないかというふうに言われています。

    特に中国の期末在庫なんですけども、まあかなりの備蓄を持っておりまして、このままいきますと1年間の消費量に相当する期末在庫になるというふうに予想されてですね、中国の輸入が2012年度の半分ぐらいまでに落ちるんじゃないかというふうに見られております。まあそういうこともございまして、綿花そのものはですね、需給が相当緩やかになって来るだろうということで、大幅な相場の上昇はないだろうというふうに見られております。次お願いします。

    ニューヨーク定期の国際原綿とほとんど連動して動くような格好の国内原綿なんですけども、こちらにつきましてもですね、2012年はかなり安定した相場で推移をいたしました。この下の欄の方はESALQといってブラジルの綿花相場の推移を示したものです。2012年の1月31日に1.73と、これレアル/ポンドなんですけども、これがずっと年間を通してですね、ほとんど1.7から1.6ぐらいの水準で安定して推移をしてきているということでございます。

    ただし2012年の綿作はですね、まあ生育途中のセッカですね、乾燥と、それから収穫期の長雨によってですね、そういう異常気象の影響で生産量はかなり減産という格好になりました。またそういう異常気象のために生育の不良を起こしまして、品質も低下したということで、良い綿ですね、我々が使うような良質の綿花が不足をしまして、2012年度の年末から2013年、今年の年始にかけて綿花相場が今ちょっと急騰しています。1月の18日時点で1.8まで上がっているということです。直近でいいますと今1.86ぐらいまで上がってきていますので、まあこれが直近の原綿での懸念材料になっているというところでございます。

    2013年のブラジル国内の作付なんですけども、これは国際綿花と同じようにですね、やっぱり穀類への転作が相当進んでいます。植え付け面積が30%ぐらい減るんじゃないかというふうに言われています。ただし、やはり供給量がまだ消費を上回っている状況にあるということ、それから先程国際原綿でも申し上げましたが、世界的に需給が相当緩いということで、ブラジルからの輸出も昨年比半減するんじゃないかというふうに見られています。結果、需給はそんなにタイトな状態にならないというふうに予想されて相場は大きく変動しないというふうに思われております。

    次に国内の綿糸の状況です。2012年ですね、昨年の上期の報告でも申し上げましたんですけども、過剰な在庫を相当抱えた、それから高い原綿代の高コストの在庫であったということで、基調ですね、粗赤の状態でスタートせざるを得なかったということがございました。こういうことで、下期にかけて各社ですね、在庫の削減努力をしたということでございます。それからようやっと輸入品の抑制効果も少しずつ出てきてですね、アパレルの糸の購入の再開も始まってきたということで、下期に入ってから以降ですね、需給バランスが改善して相場はようやっと回復基調に入ったということでございます。

    綿糸につきましては、その製造方法によってリング糸と空紡糸、まあオープンエンド糸とそういう二種類があるわけですけども、このグラフを見ていただきましても分かりますように、まあ4月5月6月というところから販売価格が徐々に改善をしてきているということでございます。で、ようやっとリング糸については、下期以降に入ってから収支が改善して、何とか利が取れるような状況に今なってきているというところでございます。

    ただ、オープンエンド糸ですね、これ通常は、このグラフからも分かるように、一番下がオープンエンドの糸なんですけども、このカード糸から1レアルからその前後の下をずっと追っていくような価格展開を過去やってきたんですけども、昨年についてはですね、これが回復が遅れまして、1.5から2レアイス下をくぐっているということで、オープンエンド糸については非常に苦しい状況が続きました。

    このグラフからも分かるように、まあ11月12月、12月に入ってちょっと販売単価が落ち込んでいるというところがございますけども、これは年末にかけてですね、まあナタルの商戦、そこら辺がちょっと低調だったということもあって、まあ在庫の絞り込みが始まったということで、販売数量、それから売値ともに落ち込んでしまったという結果でございます。

    ただ2013年、まあ1月の結果から見ますと、この反動がありまして、数量的にも回復はしてきております。ただしその売上の単価がですね、一番高い所まで戻るかというと、今のところはまだ戻りきっていないという状況にはなっております。まあ縫製品、輸入縫製品のですね、動向に大きく左右はされるんですけども、現在の為替の水準がこのまま続くということで、衣料の消費ですね、これが比較的堅調に推移すれば、輸入綿糸の影響はそれほど大きくございませんので、2013年の糸の需要はですね、ほぼ2012年並みか、ちょっと良いくらいか、まあその程度のことが予想されております。では次に行きます。

    これは綿糸の輸出入についてのグラフです。まあレアルが安いということで、昨年より14%ですね、数量ベースで、輸出は増えたように見えるんですけども、この数量というのはもう全然微々たるもので、実質輸出はないと、定番品については輸出されていないというふうに見た方がいいと思っています。

    まあ輸入もですね、前年比でいいますと数量ベースで30%、金額ベースで43%ほどダウンしているということで、まあ綿糸の輸出入に対してはですね、もうブラジルの糸は国際競争力がかなり低下をしておりまして、定番品の輸出は実質ゼロ。それから輸入品についてもですね、それほどの量的な輸入が入ってきていないということで、我々の脅威になるような水準には至らないというふうに考えてございます。では次お願いします。

    次に薄地織物、それから合繊の関係です。同じようにレアル安と、それからそれによる輸入の抑制策によってですね、生地の輸入は減少しています。生地の輸入は減少はしているんですけども、製品の輸入が増加傾向にあるということで、その影響で国内の織物生産は低下をしております。またそれによって業績も低迷しているというのが現状でございます。

    これは合繊糸についても同じようなことが言えて、ブラジルの国際競争力は年々低下しているという実態が見て取れます。2013年度もまあ同じような状況が続くというふうに予想されて、まあ国内の景気回復というのが一日も早く成るように期待されているところです。では次お願いします。

    次が服地の小売販売ということでございます。2012年度はですね、消費の冷え込みが続いて、まあクリスマスの商戦も低調だったということで、衣料品店、小売店ですね、これは昨年比のマイナスのところが多かったというふうに言われています。特に紳士物のスーツですね、それからスラックス、そういった市場が急速に冷え込んで、まあサンパウロのですね、有名なこういったメーカー数社がですね、縫製工場を止めたと、閉めたというふうなことも聞いています。

    ただその中でも婦人服、それから既製服分野はですね、比較的堅調に推移をしております。アパレル関係、これもですね、輸入品との競合で非常に苦戦をしておってですね、2~3割ぐらい売上減、また生産減ということになっております。

    2013年の展望なんですけども、まあレアル安が続くと、それから、皆さんもご存知のように中国での人件費をメインとしたコストアップ、そういうこともあって、生地それから既製服ともにですね、輸入のコストが上がるだろうというふうに予想されておりまして、その影響もあってブラジルへの輸入が減るんではないかということで期待をしている状況でございます。

    次がファスナーの販売です。2012年、何回も申し上げるような輸入の抑制策にもかかわらずですね、製品輸入が増加していると。その影響で中国からの輸入のファスナーはですね、昨年比75%まで減っているというふうに報告があります。その中で、先程の小売と同じ状況なんですけども、婦人服は堅調な動きを見せていると。で、それ用のファスナーの販売は昨年並みで推移をすることができたと。

    またそれから流行のブーツ向けの金属ファスナー、これも比較的好調に推移をしたという状況です。2013年はですね、GDPの成長率の改善からですね、衣料品の購買意欲が活発になると、まあそういう期待を込めてですね、見ているわけですけども、依然としてその製品輸入はですね、増加をするだろうというふうに考えられることから、国内でまあ製造、それから販売するというメーカーにとっては厳しい状況が続くんじゃないかというふうに考えられております。

    以上が各分野の状況の概略ですけれども、共通しているのはですね、最終製品での輸入、これが我々の市場を蚕食しているということでございます。全体のですね、繊維の消費量の約4分の1が、数量ベースでですね、約4分の1くらいが輸入品によって占められているというふうに、これは我々の繊維工業界での公式なデータではそうなっています。

    ただし実感としてはですね、もっともっと大きいんじゃないかと。いわゆるそのアンダーグラウンドでですね、横から上から下から一杯入ってきているというのが実情ですので。我々の実感としてはまだまだ製品輸入、多いんじゃないかというふうに考えています。

    で、まあ我々繊維業界というのはですね、いわゆる国内の原綿を使って、それを紡績して糸にして、それを編んで、または織って、生地にして、それを染色してですね、それを裁断・縫製して最終の製品を作ると。まあ川上から川下まで一貫した加工工業をやっているわけですけども、そういう状況の中にですね、最終製品でどんどん入ってくるということはですね、もう加工工業そのものを全否定しているような感じになるので、相当厳しい状況になってきているというのが今の本当の姿だというふうに思っています。

    まあ高い人件費、高い電力費、それから高い税金、複雑な税制、まあこの辺のいわゆるブラジルコストというところですね、これをとにかく早期に解決してほしいというのが我々の業界の切なる願いでもございます。

    で、国際競争力をですね、とにかくつけていかないと、中国、最近は中国だけではなくですね、ミャンマーとかバングラディシュとかそういう人件費の安いところの製品輸入が急増しておりますので、そことの競争に勝ち抜くためにもですね、やはり我々の企業努力だけではなしにですね、ぜひ、今言ったブラジルコストの削減というところまでですね、踏み込んでいただければなというふうに思っています。

    まあ今、幸い電力費の値下げまで踏み込んでもらっています。まあ大統領が発表した数字までには中々行ってないのが現実なんですけども、それでもまあ一歩前進しているというところで、そういった後押しを受けながらですね、我々業界としても企業努力を傾注してですね、できるだけ早く国際競争力を強化していかなければならないというふうに思っております。以上で繊維部会の発表を終わります。

    司会
    ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。なければ次、建設不動産部会、三上部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 建設不動産部会 三上悟 部会長

    建設不動産部会 三上悟 部会長

    お疲れ様です。建設不動産部会、三上です。よろしくお願いします。今日はですね、書いてあります、1番から5番、建設不動産部会自体の現状と展望、それからそれを受けてのブラジル建設業界の現状、それからどう見るべきかということ。4番目に税制の改正、これは減税をしますという発表がありました。建設にとっては珍しいんですが、皆様にとっては安くなる話のはずのお話を少しだけさせてもらいます。それから最後は恒例の家賃について話したいと思います。よろしくお願いします。

    初めに、体に似合わず小さい字ですいませんね、これは見づらいと思いますが、これは建設不動産部会、40社ございまして、メインとしているところが16社です。業態別はですね、いわゆるゼネコンと言われる、半分の50%の8社です。この中にですね、土地の手当てから施工から販売までという住宅開発、ディベロッパー型ですね、が半分の4社あります。

    設備会社あるいはプラントの設計施工、それから不動産が2社、それから資材・家具販売が2社、特殊技術が1社ということになっています。メインとするところが16社中ですね、去年設備・プラントの会社様がここで2社、それから不動産1社、新規に入ってもらいましたので、だいぶ活性化できたかなというふうに思っています。今期はもっと増やしていこうというふうに思っています。

    下の方にですね、昨年の回顧と展望、今年ですね、で課題というふうにまとめました。
    話としまして ゼネコン型の会社にとっては昨年はですね、非常に好調な年でした。20%を超える受注増というふうになっています。利益の方はですね、あまりお話はしたくないんですけど、やや減収のはずです。利益率は下がっています。競争が結構激しかったかなというふうに思います。ほかにあの、特殊設備といいました、土木系の会社ですけども、知名度が非常に上がりまして、下半期、年末から非常な伸びを見せているというご報告を受けております。

    それから今年はさあどうでしょうということで、急に話を今年の話にします。ゼネコン系はですね、非常に不安を抱えた年になるだろうというふうに見ています。これは課題のところにも書いていますけども、いま労務者、技術者がもうほとんどいないという状態、これ以上できないんじゃないのという、そこまで逼迫しております。こういうことが非常に原因で不安な様相をしています。それから不動産、あるいは特殊技術の会社さん、これは非常に好調に推移するだろう。それからプラント会社さん、これはプラント設計施工ですけども、ペトロブラスとも関係がありますが、予定の案件が果たして実施できるかどうか、ここも予断を許さないだろうというふうに見ています。

    課題の欄に、先程言った以外に、労務者それから技術者不足ですけども、資機材の納期の遅れ、あるいは機械の不足、これが最近目立ってきています。もう一度書いておきました。良い方ですね。知名度の向上に非常に成功している会社があります。受注増に大きく貢献しているようです。これがこれからの我々のポイントなのかもしれないというふうに思いまして、課題に挙げさせてもらいました。

    次にブラジルの建設投資という表をつけました。これ、去年の数字がまだよく分からないんですね。一昨年の数字で恐縮です。2千億レアルを突破しましたという状況です。伸びはまあ5%から6%程度かな、GDPに対しては6%に向かって進んでいますね、ということでいかにも順調に伸びているような数字です。

    ここであえて日本の話をここに載せました。日本の建設投資額です。去年43兆2000億、一昨年が41兆、約40兆円ですね、それに対して、円換算しましたけど、一昨年で9兆5000億、約4分の1、もっと小さいかな、ぐらいのところです。パーセントで言いますと、ブラジルが先程、6%弱ですね、日本はここの数字でGDPに対して8%あります。ということは、GDPだけ、日本だけという比較が非常に少ないんですが、建設投資が非常にまだまだ少ないだろうということが一つあると思います。

    それがここに書いております。2%という数字を挙げました。建設投資の中でインフラ投資、まあ社会整備資本とも言うんでしょうけども、これ2~3なんですね、今。これブラジルの数字です。日本は先程、建設投資だけで8%、実際に4~5近くあるということです。ですからこの辺でブラジルの建設投資、あるいはインフラ投資というレベルがおそらく低いんであろうというふうに思います。

    特に日本はですね、先程40兆円と言いましたけど、ここ15年で半分になっています。80兆円が40兆。という状況ですから、もっと日本が箱物をやると日本の建設投資はもうちょっと上がるんだろうという気がしますけど、日本のレベルにもまだ追いついていない、パーセントでね、ということで非常に、多分その辺がネックなんだろうというふうに思っています。

    もう一つ、ここに字で書いていますけども、輸送コストに建設費の21%、これが本当か嘘かは分かりませんが、実際本に載っている数字です。おそらくは建設工事の直接工事の中で総コストに換算すると多分2割ぐらいは輸送費という格好に括られるだろうという表現だと思いますけど、要するに輸送コストにものすごく比率が高いコストになっているということが言えると思います。ですからこの面でも、インフラの整備、これは当然港湾から鉄道から道路から、この辺が相当に遅れているし、危機的な状況だろうというふうに思います。ということでこの表を挙げておきました。

    それでは今、概要ですが物価がどうなっているんでしょうかと。建設物価、それから消費者物価ですね、ここに並べておきました。表にしたのがこれです。

    ブラジルの建設物価は高いですねというふうにいつも言われていますけども、これを見ますと、上昇率というのかな、大体物価とリンクしているだろうというふうに思います。ただ皆さんのお話にもありましたように、オリンピックだとか、ワールドカップだとか、この辺ありますので、これから非常な上がる予想は後からの表に出て参ります。
    ということで、ここから人と物の値段をグラフで見てみます。

    これはまず建設労働者の最低賃金ということで、去年が979ですね、979レアル、月に、これが最低賃金です。これも年々上昇しています。7%、9%、8%。でこれが、これも物価とやってみるとどうかというのがこれなんですね。ですから建設労働者賃金というのも、物価よりもちょっと上がっているけども、それほど急騰しているわけではないと。ここ数年はそういうふうに見れると思います。ということは、多分物はそんなに上がっていないんだろうというふうに予想されると思います。

    今度は人の中で、労働者の数ですね、先程足りないと言いました。次の表です。
    これは実はここ3年、去年までの労働者の増加の、増加した人の数ですね。2010年、20万台、2011年、14万台ですかね。去年がガクンと減って7万台。去年1年間で建設労働者が7万増えました。7万人です。去年発表でですね、300万人労働者が突破したようですよという報告をしましたが、増加率に直しますとわずか2%の増加。足りない足りないと言われている労働者の数が、増え方がいよいよ減ってきていると。これは非常にここでも良くない状況が見て取れるかと思います。

    次は今度、物の方のお話をします。7ページです。これはいつも出していますセメントの消費量ですね。これは全国平均で去年7.59%消費が増えましたという数字です。一昨年は9%近いですね。ですからここ、順調に規模が大きくなっているということが言えると思います。

    特に注目してもらいたいのがですね、ここすいません、南西部ではなく南東部です、すいません、これは間違いです。北東部の伸びがちょっと大きいですね。レシフェ中心に、ペルナンブコですかね、あの辺相当開発が進んでいるんだなと。コンサルタント部会のお話でもあの辺が注目ですねという話がありましたけど、ここでもそういう数字が出ています。ですから全体的に伸びているし、特に南東部ですね、サンパウロ、それからリオ中心は全体の半分のおそらく工事量をこなしているんだろうというのがこの表で見て取れると思います。次の表お願いします。
    今年、鉄の資料をようやく見つけましてですね、ここに挙げました。先程西岡部会長から鉄製品は去年2520万トンぐらいというお話がありました。これは去年のを捕まえきれないで一昨年、まあちょっと資料によって違うと思いますけども、まあ2100万トンかな、市場に出ているだろうと。そのうち建築は370万トン、建設ですね、に回っているものと思われます。パーセントにしますと16%ぐらいですかね、が建設に回っている。

    で建設の使用料も徐々に徐々に伸びています。これをちょっと分析しますとですね、おそらく、今港湾が結構整備が進んでいるという状況で、おそらく港湾の方の鉄骨に回っている分がかなり伸びているんじゃないかなというふうな気がします。あとは町を見ていただいて、おそらく鉄骨で作っている建物がちょこちょこ見えだしたということで、注目すべきは、鉄骨造というふうに言いますね、専門的に言うと、がこれから日の目を見るかもしれないということで、これからの状況に要注意かなというふうに思っています。

    今度、資材の方の全体の流れですね。去年も言いました、非常に最近わりと安定している、値上がりも少ない状況がずっと続いてきたんですけど、去年の暮れに、石油がまず上がりましたね、それから間もなく鉄骨が6%値上げという情報が入っています。

    林部会長そうですよね、間違いなく上がると、私も言われましたので。で鉄骨が上がるとおそらくは、この右と左の欄があります、鉄筋、それからここに鋼板と書いています。鋼板は屋根とか外壁とかブラジルではよく使いますので、この辺にどんな影響が来るんだろうかなということで、ちょっと心配の種というところです。次お願いします。

    ここから家賃のお話をさせていただきます。土地もお話ししようと思いましたが、土地の情報があまりパッとしたものがございませんで、あまり良い加減なことも言えないなと思って、家賃だけにします。

    この表はですね、縦軸に主要7都市、サンパウロ、リオデジャネイロをはじめ主要7都市が縦に見て下さい。で、都市によってどれぐらい上がったかという表になります。前年比はここですね。これが2008年基準でどうだったかというふうなグラフです。

    2008年基準だとサンパウロが、どれぐらいですかね、2.5倍ですか、リオは3倍に近いという状況。で上の表を見ていただければ分かると思いますけども、サンパウロ、一昨年が30%近いですよね、去年が15%の値上がりがありました。リオはもっとすごい値上がりがしていました。ということですが、まあ、15%になって落ち着いたというのかどうか分かりませんが、おそらくは多少は落ち着いたんじゃないかなというふうな気がします。

    これがですね、去年も出していました、サンパウロはじめバンコック、デュッセルドルフ、ニューヨーク、為替の件もありますけど、円でいいますとここの今年の、去年の暮ですね、2ベッドルームぐらいの賃貸だとニューヨークとあまり変わらないんじゃないという恐ろしい数字が出てきましたので、非常に高いだろうと皆さん思っているでしょうが、いよいよ本当に高いなという感じがしています。でこれが落ち着くかどうか分かりませんが、下がることはまずないんだろうというふうな気はしています。

    ということで、駆け足になってしまいましたけど、これはもうすでにホームページに載っているという、何かさっきメールが来ていましたので、細かい数字が多くてちょっと申し訳ないんですが、もう一度ホームページで確認していただいて、問い合わせはいつでもお受けしたいと思います。

    我々非常に問題にしているのはとにかく労働者の不足、技術者の不足、これがもう一番ネックになると思います。我々も仕事はいっぱいやりたいところではありますけど、冒頭に言いました今年の予測が去年並みだろうと言ったのは、去年以上にできないんじゃないという実はそういう不安で申したつもりです。

    以上で報告を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それではご質問ございますでしょうか。ございませんでしたら、本日最後の発表になります、食品部会、天野部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 食品部会 天野一郎 部会長

    食品部会 天野一郎 部会長

    どうも皆さんお疲れ様です。いよいよ最後です。毎度のことなんですけど、食品部会は非常に単純でですね、簡単ですので、皆さんの疲れた頭をですね、ほぐすように簡単に流していっていきたいと思います。そういうつもりで聞いてください。お願いします。

    最初にですね、2012年の回顧と2013年の展望ということを部会各社の動向でお話しします。それから、それだけだと本当にこの持ち時間の20分があまりにも早く終わっては申し訳ないので、業界の最新トピックとしてですね、ゴミの問題ですね。それから人の健康に色々塩分ですとか糖分で太るとかいう話があってですね、これが非常に食品業界に影響を及ぼしていますので、これはANVISAの24号決議というものなんですけど、これについてお話ししてなんとか時間をつぶしたいと思っています。じゃあよろしくお願いします。
    2012年の回顧ということで、我々ここで11社載っているんですけども、それぞれの報告から表にまとめました。

    まず調味料。これは数量が9%増。競争がまあ激化して色々入ってきているけれどもマーケティングがうまくいって9%増になっていると。

    乳酸飲料。数量で8.3%。まあこれは先程から色々報告があったと思いますけども、まあ国内の堅調な一般消費に支えられていると。

    インスタントコーヒーの輸出。これは昨年並みであり、欧州が回復基調で、為替がですね、安くなっているのも追い風であると。

    菓子用の油。減収減益。安値の競合原料に押され苦戦をしていると。
    清酒ですけども、これは目標を達成できたと。競争激化も販売強化で克服していると。
    醤油ですけども、数量が40%減ということは、これ、昨年は福島の原子力発電所の問題で日本から入ってこなかったということで、アメリカとか他でできたものがブラジルにたくさん入っていたんですけども、それがもう収まって入って来るようになったので減量になったという報告です。

    コーヒーですね。国内は全国の平均以上で、輸出も計画通りだったと。国内消費が伸びていると。収穫量も順調であるということです。果実ピューレ。これは目標未達ですが、為替が安くなったので輸出で増益と。

    即席めんですね。これは数量12%増。新興市場、まあ先程から言っています東北伯ですね、これで伸びているということだそうです。種子は売上が8.8%減。まあ競争の激化と。
    外食はですね、日本の輸入食材を使っているんですけども、規制の影響で入ってこなかったので売ることができなかったということで売上減と。

    今年の展望ですけども、調味料の製造は前年比二桁以上を目指したいと。既存製品の堅実な伸びと新製品の開発と。乳酸飲料。これは前年比4%の増を見込むと。特にまあ地方での拡販、まあ特に東北伯なんかですけども、注力していきたいと。インスタントコーヒーの輸出。これは順調であろうと。需要は回復基調だが、収益は依然厳しいということです。

    菓子用の油。これは増収期待で、高付加価値商品を作るということです。
    清酒に対しては、目標達成に全力を挙げるということなんですけども、非常に飲酒運転の規制、Lei Secaですね、これが非常に厳しいので先行きが不透明だと。

    醤油は、特にないけども、日本食以外のチャンネルを開拓したいということだそうです。
    コーヒーですね。特にないけれども、グルメコーヒー、まあ最近やっぱり非常に、その先程からCクラスの人の需要が伸びているということで、まあグルメコーヒーの需要にも応えたいと。

    果実ピューレ。これは特にありませんが、オーガニック製品の商品化に着手していると。
    即席めん。特にないということですけども、業界全体で3%程度の伸長。地域戦略の強化、多分これはやっぱり東北伯のことだと思いますけども。種子は売上5%増。営業開発力の強化。外食は売上15%増。輸入規制で失った顧客をですね、取り戻すように頑張るということです。

    それぞれの伸長率をグラフにしましたけども、調味料、それからジュース、それから乳酸飲料、ジュース、栄養ドリンク、即席めんというこの辺りはですね、国内のその一般消費ですね、の伸びに大体それよりまあ行ったり来たりということで、まあ全体的に、食品は軽いもんですから、まあ浮いているような感じなんですが、まあ全体の投資とかですね、色々なものを入れると全体のGDPは1%を切るという状況ですけども、ありがたいことにその一般消費は8%を超えているということで、それに助けられているというのが状況です。

    それから輸出の動向、これも為替レート次第ということなんですけども、まあ為替もですね、昔みたいに1.5にならんだろうということで、インスタントコーヒー、調味料、飼料、果実ピューレ、ジュース、それぞれ採算が改善するという見通しです。

    それで、ここで、固形廃棄物法というのが、ルーラ大統領が辞める前に残していってくれたんですけども、結局食品というのは包装材がなければ売ることができませんので、消費された後のその包装材がですね、ゴミとして巷に散るので、それをどうかしなきゃいけないということで、固形廃棄物法に対応をどうするかということが非常に重要な問題になっています。

    まあ全体の、電機メーカーさんなんかも、バッテリーのこととかですね、当然あるんですけども、我々の場合は包装材が環境にダメージを与えると。食料品、衛生用品、化粧品ということで、食品部会の企業はここに含まれるわけですけども、なにせ小さいものがたくさん出るものですから、それを一つの企業で自分で売った物を全部戻せということはこれはちょっとできないと。

    で、どうしたらいいかということで、やっているわけなんですけども、その中でパラナ州がですね、一番、まあ我々の受けているところ進んでいるということなんですが、企業がですね、その、NPOの法人に出資というかお金を払うと、そのNPOの法人がですね、リサイクルの施設とか、それからその運用を行うということで、それを、まあ例えばクリチーバなどで実際に行うということで、実際にこれがうまく回っているようなんですね。

    ところがもっと大きいサンパウロはですね、まだそういう形が決まっていないと。それで我々の食品関係の場合は、食品工業会というのがあるんですけども、そこでどういうふうにやっていくかということをまとめて、一応案は出して、プロジェクトとして出しているんですけども、それがどういう形でですね、認可されていくかということはまだはっきりしていません。これは一応来年のワールドカップの12都市はきれいにしたいということで、その12都市だけは何とかしようということで、政府の方で号令をかけているわけですけども、まあまだ混沌としているところがあります。

    その、ブラジル食品工業会ですね。これの取り組みでは、2番目のですね、包装資材のリサイクル促進のための分別回収ポストの設置、リサイクル組合の育成、それから補助などを企画しているわけです。それで、プロジェクトのスタートに色々ワークショップを設けて具体的な方策について検討を開始して、金額とかですね、そういう、ここが面白いんですけど、全体の金額なんかは決めてそれの分配も決めてですね、こういうことでやろうということをやっているんですけども、具体的にじゃあどういうふうに回収してどういうふうに分別してというようなところがですね、まだはっきりしていません。

    次にですね、ANVISA、これのですね、決議24号というのがあるんですけども、特にまあ子供たちが、肥満ですね、ヨーロッパとかアメリカで肥満で困っているというところから、まあブラジルも実際に肥満の子もいるんで、そういう健康をですね、食品の方から守っていこうという趣旨で出た法令です。

    これは糖分、塩分、飽和脂肪酸、それとトランス脂肪酸ですね、これを規制しています。規制の対象のその糖分というのは100グラム中15グラム以下、または100ミリリットル中7.5グラム以下ということで、まあ飲み物はですね、糖分を減らせと。で、固形分はですね、15グラムということになっています。それから塩分は100グラムまたは100ミリリットルに対して400ミリグラム以下。飽和脂肪酸は100グラムあたり5グラム、または100ミリリットル中7.5グラム。それからトランス脂肪酸は100グラムまたは100ミリリットルに対して0.6グラムということです。

    この基準をですね、こういう食品についてはTVコマーシャルあるいは広告の印刷物に多量消費の健康へのリスクを明記しなければならないと。これを書くとですね、企業イメージを損なって、マーケティングが非常に難しいということで、各企業とも対応を迫られていると。

    どういうことかと言うとですね、糖分は肥満・虫歯のリスク、それから塩分は高血圧・心臓病のリスク、それから飽和脂肪酸は糖尿病・心臓病のリスク、それからトランス脂肪酸は心臓病のリスクということで。飽和脂肪酸というのは固まっている方の油です。

    このANVISAの24号に対する現在までの流れはですね、各食品メーカーは同法に適合するべく原料および製造方法の見直しなど対策を余儀なくされたと。ただその一方、食品工業会ではですね、ANVISAが広告宣伝行為を規制する法的根拠はないということでですね、我々も参加しているんですけども、裁判にかけてですね、第1審では我々が勝っています。しかし、まあANVISAもそこで黙っているわけではないんで、上告していますので、上級審でどうなるか、それは不透明なので、まあ大概の会社はこれがもう施行されたということで対応しているというのが実情です。

    では最後にまとめとしてですね、GDPが、2012年ですね、GDPがまあ低いということですけども、国内消費市場はですね、結局その、アベノミクスじゃないですけども、毎年給料は上がっていくんですね。給料はインフレプラス、生産性が上がるか上がらないかに関わらずプラスアルファで上がっていきますので、消費は確実に支えられると。それから、そういうことで国内消費はまあ好調だということです。それから原料高・インフレの高進がコストを圧迫していると。輸出にとっては為替相場が追い風で、海外需要も回復傾向であると。

    2013年ですね。国内消費は引き続き活発であろうと。ただ資源価格の下落とかですね、設備投資の鈍化が雇用に悪影響を与えるということになってきますと、一般消費についても悪影響を与えるということになるのではないかという懸念があると。それから輸出については為替相場の反転で復活するも、政府の通貨政策が一貫せず不安が残ると。それからまあコストアップのインフレへどういうふうに対処したらいいかということが問題であるということです。

    以上です。どうもお疲れ様でした。

    司会
    ご苦労様でございました。何かご質問ございますでしょうか。なければここでですね、福嶌総領事の方からご講評を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

     

     

     

  • 講評 福嶌教輝 在サンパウロ日本国総領事/ブラジル日本商工会議所名誉顧問

    総領事館の福嶌でございます。現場で皆さんこんなにご苦労されているのに、今日お話しいただいたことについて私が講評するのは大変おこがましいと思っておりますが、お時間をいただいて3点ばかり講評と言う形でまとめさせていただきたいと思います。

    まず一つ目でございますけれども、今本当にお聞きして、まずマクロといいますか、全体像的に皆様のお話しされているのを聞いておりますと、やはり昨年、2012年というのは非常に厳しかったと。まあ逆風がたくさんあった中でも何とか消費に支えられて顕著な動きをされた会社もおられるかと思いますけども、たくさんの業界、非常に厳しかったというふうに伺った次第です。

    ただ、皆さんどうも13年については何とか持ち直すんではないかと、最初の金融部会の方でもご説明ありましたけども、まあスピードは遅いけれども、回復の準備が一応整ってきているんではないかと。ただやはり様々な構造的な要因が阻害するんではないか。いわゆるブラジルコストを含めて大変ではないかというような、まあ皆さん懸念を持ちながらも13年に期待されているのかなということを感じさせていただきました。

    そういう中でもやはり、コンサル部会の方からお話のあったように、この、事業の成長に最も重要な国ということで中国、アメリカに次いでブラジルを第3番目に挙げていると。私も他の色んな文献でも見まして、やはり色んな問題あるけれどもブラジルというのは期待できるんではないかという意味でも、先程ありました、他でも、例えば直接投資が600億ドルを超える世界4位であるという意味でもですね、顕著にやはりブラジルには投資が来ているんだなと。そして皆様も、新しい進出企業どんどんこちらに来られておりますけども、期待を持たれているのだなと。

    そしてまた特に、先程もありましたけれども、ワールドカップですとかオリンピック、そういったところでの期待、あるいは、サンパウロとか南部についてはもう大分進出されていますけど、これから東北部、これに対しても期待されているといったようなお話があったかと思います。

    そういう意味で、全体像的には私どもも13年以降何とか持ち直してくれたらなと、本当に期待しているところですが、他方、2番目に、業種別にお話しを伺っておりますと、やはり中々業種によっては厳しいと。少しずつでも回復しているけれどもまだまだだというのが大半のお声だったのかなと思っております。2012年では、本当に厳しかったけれども、13年は、おそらく大きくは伸びないというのがほとんどの皆さんの、まあ一部の業種を除いて、非常に好調な業種もございますけども、2013年は大体2011年のレベルに少し戻るのかなというようなお話が多かったのかなと思います。

    その中でも、やはりあの、まあ外的要因もありますけどもブラジルコスト、あるいはお聞きしていて非常に感銘を受けましたのは、やはり競争が非常にどんどん厳しくなっている。これはアメリカ、ヨーロッパ、あるいは中国、韓国といったのが進出企業として、あるいは輸入品として、非常にどんどんと皆様の業態の中で競争が激しくなって苦労されているというお話を伺った次第でございます。

    しかしながら、伺っていますと、順調に伸びておられる、あるいは10%、二桁の増も期待されるような業界もあるのかなというように思いました。特に最初のころにありました保険、こういった分野は非常にまだまだ伸びる余地があるですとか、医薬品、化粧品というのは好調だとか、あるいは先程天野さんからもありましたけども、調味料ですとか即席めんといった食品分野、あるいは通信・ITインフラですとか、航空貨物、あるいは今後オリンピック等に期待する旅行、こういった分野がまあ順調ですし、それから大変厳しい中の繊維部会からもご報告ありましたけども、金屋部会長からありましたけども、まあ去年は非常に厳しかったけれども少しは良い兆しが見えてきたということの明るいニュースもありました.

    さらに西岡社長の方からもJ-DeEPといったですね、新しい、まあ希望の持てるプロジェクトが発表されたということで、これも良いニュースですし、それからまあ都市交通などの大型受注がこれから出て来るんではないかといったようなお話もありまして、まあ2013年、まあ大変厳しいとは思いますけれども、色々希望の持てる年になればなということを思った次第でございます。

    そして、最後でございますけれども、3点目といたしまして、まあ平田事務局長がいつもご報告されていますけれども、商工会議所のメンバーがもう今や340数社を超えて、先週行われた商工会の会合でも3社新しく加入されましたけれども、ここ1年ちょっとでも20数社、30近くのですね、新しいメンバーが増えたと聞いております。もう340いくつというのは史上最高でございますし、日系企業数も今200数社ということで、かつての215社という一番の史上最高の数にもう届こうとしているということで、進出企業がますます入ってこられていると。

    ただまあ、ジェトロさんとか他とお話ししていますと、大きな企業、大企業の方はほぼ一巡してお入りになってきているけれども、これからは中小企業の方がどんどん入ってこないといけないと。ただ、そういう意味ではまだまだ日本の中小企業の方々はブラジルと聞くとですね、今様々なお話ありましたけども、問題が多いのではないかということで足踏みをされているとも伺っております。

    そういう意味で、実は例えば来週ですね、JICAさんが中小企業、中小企業といってもユニチャームのような大きな会社も入っているんですけども、17社ぐらいがですね、来られて、こちらでいろんな調査をされるということをされるんですけれども、ぜひですね、こういう中小企業の方々もですね、どんどんとこちらに入って来られるのをですね、我々、JICAさん、ジェトロさん、JBICさんともにですね、オールジャパンでお助けできるものはですね、させていただきたいし、皆さんとともにですね、商工会議所の皆様とも力を合わせたいと思っている次第です。

    そういう意味でも、経済合同委員会というのが毎年行われていますけれども、これも活発になってきていると伺っております。それから先々週ですかね、FIESPとの会合も商工会議所おやりいただいて、FIESPの方もですね、これからも継続してああいう、あれは全体像をさっと眺めただけでございますので、テーマごとで会合を開きたいということで、もうすでに次のテーマについても商工会の方にですね、打診があるようでございますので、FIESPとの色んな交流を続けてですね、先程繊維部会の方からもぜひこのブラジルコストを何とかというのはですね、やはり日本だけではですね、ブラジル政府に色んな形で言ってもですね、厳しいものもありますので、他の色んな、FIESPとかあるいは他の商工会ともですね、一緒になって物申していきたいと思います。

    あるいは今年の初めに新年会でブラジリアから大使の三輪が参りましたけども、あの時にも申しましたが、今年はぜひですね、ジルマ大統領の訪日というのを実現してですね、そういった機会、あるいは日本もですね、自民党政権になりまして、これから閣僚の方々もですね、ぜひブラジルにもですね、お越しいただいて、特にまあゴールデンウィークといった機会など、あるいは年内にですね、色んな形で日本の政治家の方も来ていただいて、そういった時に皆様のお声も反映してですね、ブラジル政府の方にですね、色んな形で、ブラジルコスト、あるいは日本の実情、日本の意欲をですね、示しながら、日伯間の経済交流をさらに深めたいと思っておりますので、また皆様との色んなこういった形での意見交換をさせていただけたらと思っております。

    以上、講評といいますか、3点ばかり、皆様のお話を聞きまして伺った内容をまとめさせていただきました。今日は本当にありがとうございます。お疲れ様でございました。

    司会
    どうもありがとうございました。それでは上野総務委員長より閉会の辞をお願いしたいと思います。

     

     

     

  • 閉会の辞 上野秀雄 総務委員長

    上野秀雄 総務委員長

    福嶌総領事、どうも大変励ましのこもったですね、ご講評をいただきまして、本当にありがとうございました。皆さん長い時間ご清聴いただきましてありがとうございました。本日の発表に非常に尽力いただきました各部会長、それから部会の皆様に心より厚く御礼を申し上げます。

    次回の業種別部会長シンポジウムは8月の20日を予定しております。全員参加で、チャレンジする、開かれたシンポジウムをめざして、事務局と一緒になって準備を進めていきたいと思っておりますので、このシンポジウムに関するご意見とかご要望等、何でも結構ですので、もしございましたら会議所事務局の方へメール等いただければと思っております。それでは本日は本当にありがとうございました。失礼いたします。

    司会
    それでは先程ご案内申し上げましたように、この後カクテルパーティーがございます。出てすぐ右のですね、部屋でございますので、皆様ふるってご参加ください。なお参加費は一人60レアイスとなっておりますのでよろしくお願いいたします。

    (以上、シンポジウム終了)

     

     

     

 

全プレゼンテーション

 

 

 

2012年下期の業種別部会長シンポジウム

  • 司会 小西輝久 総務委員会副委員長

    それでは、定刻を過ぎていることもありまして、ただ今より業種別部会長シンポジ ウムを始めさせていただきます。皆様におかれましては、本日、お忙しい中にもかか わらずご参加いただきましてたいへんありがとうございます。

    手元の資料で144名様のご参加ということで、たいへん盛大な会を催すことがで きまして、ご参加いただきまして本当にありがとうございます。私は本日のプログラ ム前半の司会を担当させていただきます、総務委員会副委員長の小西でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。

    本日は在サンパウロ総領事館より小林首席領事、それから在ブラジル日本大使館 より山下一等書記官にご参加いただいております。あわせて御礼申し上げます。それ ではまず最初に、本日のアジェンダを簡単にご確認させていただければと思います。 冒頭、当会議所近藤会頭よりご挨拶いただきます。それに続きまして、大使館の政務 班長でいらっしゃいます木下様より基調講演を頂戴いたします。

    テーマはルセフ政権と今後の政治動向ということでございます。今年はブラジル で統一地方選挙が行われることもありますので、大変興味深いお話を頂戴できるので はないかと楽しみにさせていただいております。その後、11の部会よりそれぞれ本年 上期の回顧と下期の展望ということでご発表いただきます。

    途中ではコーヒーブレイクを入れながら進行させていただきます。最後に領事館 から講評、大使館からコメントを頂戴いたしたく存じます。その後、会議所企画戦略 委員会の澤田委員長より閉会の言葉をいただきまして、6時シャープに終了することを 目指して参りたいと思います。それでは早速ですが、会頭ご挨拶に移らせていただき ます。近藤会頭、どうぞよろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 開催挨拶  ブラジル日本商工会議所 近藤正樹会頭

    小林サンパウロ首席領事、在ブラジル日本国大使館の山下一等書記官はじめ政府関 係者の皆様、ご多用の中ご臨席を賜り厚く御礼申し上げます。
    本シンポジウムは会議所のメインイベントの一つであり、2月と8月、年2回開催して おります。全部で11の部会があり、それぞれの部会はこのシンポジウムに向け、万全 の準備をして本日に臨んでおります。部会の活動の中で大きな柱と言ってもよろしい かと思います。

     

    このシンポジウムの良いところは、ブラジルのマクロ経済はもちろん、各業界、 産業の実態の動向、しかもホットな最新の状況を一度に把握できるということであり ます。特に今、世界経済の減速の影響がどれくらいあるのか、そしてブラジルの景気 回復はいつになるのか。今年後半なのか、来年なのか、とても関心のあるところでご ざいます。

    ブラジルの今年のGDP成長率、予想が出るたびに下方修正されています。昨年の 2.7%をすでに下回っております。また工業生産、新規雇用に関しましてもあまり芳し くない数字が出ておりますし、第2四半期の業績も減益・赤字の会社が多々出ています 。さらに業界によりましては投資計画を凍結・先送りというニュースもあります。た だ一方で、政府は減税・利下げを、次々と景気刺激策を打っております。その効果も 、一部ですけども、小売・自動車などの業界で出つつあります。

    また政府は8月に大型インフラ投資計画も発表いたしました。このように産業、 業界によりですね、濃淡があり、景気の波行状態があるとは思いますが、まさにこの 辺りですね、本日ご確認といいますか、色々ヒントがあるものと思います。

    また本日は木下様より基調講演をお願いしております。ブラジルはまあ課題が山 積しております。将来は政府の舵取り次第になっております。政権動向はとても重要 で、皆さんの興味あるところではないでしょうか。このシンポジウムは、全ての業種 と言いますか、ありとあらゆるものを網羅しておりますので、シンポジウムと言うよ りは、どちらかと言うと発表会のようになっておりますけれども、皆さんご遠慮なさ れずにですね、質問・コメント等をどんどん頂ければと思います。本シンポジウムが 皆様の経営戦略の一助になれば幸甚でございます。

    最後になりましたけれども、担当の総務委員会、企画戦略委員会、そして部会な らびに事務局の皆さんのご尽力と会員各位のご協力に対して御礼を申し上げ、私のご 挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会:
    近藤会頭、どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、在ブラジル 日本大使館政務班長でいらっしゃいます木下様に基調講演をお願い致します。木下様 、お願い申しあげます。

     

     

     

  • 基調講演 在ブラジル日本国大使館 木下義貴 政務班長

    基調講演

    日本大使館の木下と申します。政務班というところでブラジルの政治とか、環境と か、まあ外交も含めて、あと在日ブラジル人なども含めてやっております。本日はサ ンパウロにおいてこのようなシンポジウムにお招きいただきましてありがとうござい ます。大変光栄に思っております。

    ここにいらっしゃる皆様におかれましては、ブラジルの経済の制度とか政策につ いては皆さん新聞等で色々フォローされていると思うんですけども、政治ということ におきましては、つまり内政とか外交においてはですね、必ずしも慣れ親しんでいら っしゃらない方もいらっしゃると思いますので、本日はこの機会を利用させていただ いて、ブラジルの、まあ内政中心になりますけども、ちょっとご紹介をしたいと思い ます。

    つまりですね、毎日毎日ブラジルの新聞の1面2面3面ぐらいを読まれている方に とってはちょっとベーシックな話題が多いかもしれませんけれどもお許しいただきた いと思います。またちょっと、下の方に書いてございますけれども、役人的ではござ いますけれども、本日の発表内容につきましては個人的な見解であって、外務省ある いは在ブラジル日本大使館の見解を表したものではございませんので、ご了解いただ きたいと思います。では次お願いします。

    今日、短い時間の中なんですけれども、三つのテーマについてざっとお話をして いきたいと思います。まず、ルセーフ政権が発足して1年8カ月ぐらいになりますけれ ども、それを振り返った上で、今年の10月に行われます地方選挙、これは市長と市議 会選挙ですけれども、それに簡単に触れた上で、三つ目、2014年の大統領選挙と今後 の政治動向ということで、ご紹介というか、少し私の考え方を述べさせていただきた いというふうに思います。
    まずルセーフ政権の1年半ということでございますが、まずルセーフ政権がどのよう に誕生したかということをご説明をいたします。ブラジルでは2010年の10月に大統領 選挙が行われました。ここの選挙制度は50%の投票数を得られない場合は決選投票に 行くということになっておりまして、2010年10月の選挙の時も第1回の投票では決まら ず、上位を取ったルセーフ候補とジョゼ・セーラ候補というのが決選投票に至りまし た。10月31日に決選投票が行われて、ルセーフ候補が56%の得票率で勝利したという ことになっています。

    その右側にブラジルの地図がありますけども、ちょっとかなりざくっとした地図 ではございますが、赤の州がルセーフ大統領が勝利したところ、青の地図がセーラ候 補が勝利した所です。見ていただくと分かる通り、ルセーフ大統領、まあルーラ大統 領が応援したわけですけども、北東部、あるいは東北伯を中心に勝利していることが 良く分かります。また、同じく連邦議会選挙が行われましたけれども、これでも与党 、まあ与党連合ですけれども、与党連合が憲法改正に必要な5分の3を確保していると いう大圧勝をしています。

    憲法改正につきましては、ブラジルの場合は憲法修正というのは結構簡単にでき るんですが、憲法改正になると結構大変な労力が必要なものですから、それができる だけの大圧勝をしています。

    一つ、疑問というか、問題になるのが、2010年の大統領選挙でルセーフ大統領が 勝利したのか、あるいはそれを支援したルーラ大統領が勝利したのかということを考 えたいと思うんですけれども、この2010年の10月ぐらい、まだルーラ大統領の最終期 で、ルーラ大統領は約80%の支持率があります。その中で必死にルセーフ大統領はル ーラ大統領の横に立って選挙活動をしていたわけなんですけれども、必ずしもルセー フ大統領が今まで表立って有名だったということもありませんので、私としては国民 はルーラ政権、政策の継続を選択したということであり、必ずしもルセーフ個人が勝 ったということではなく、これはルーラ大統領の勝利だと言えるのではないかという ふうに思っております。次お願いします。

    ルセーフ大統領について若干ご紹介をしておきたいと思います。3つの写真を付 けておきました。一番皆様から向かって左が今ですね。真ん中が文官長時代。一番右 の方がゲリラ時代の写真です。ミナス・ジェライスのベロ・オリゾンテに生まれて、 ルセーフという名前はブルガリアの名前です。カンピーナス大学で経済を勉強してい ます。この頃にBNDESのコウチーニョ総裁なんかとお知り合いになっていて、いわゆる オーソドックスでなくて開発主義派の信仰をしております。

    また60年代にはゲリラ組織に参加していて、拘禁・拷問された経験を持つという ふうに言われております。拷問された後、出てからですけれども、リオ・グランデ・ ド・スール州で鉱山エネルギー長官に就きまして、そこでルーラ大統領に見つけられ て鉱山エネルギー大臣になります。

    ルーラ大統領が2005年に日本に来られて時にルセーフは鉱山エネルギー大臣とし てご訪問していますが、私その時に小泉総理の通訳をさせていただいたんですけれど も、非常にルセーフ、当時の鉱山エネルギー大臣ですけれども、非常に怖いなという イメージがやっぱりありました。眼光が強いというか鋭いというか、人をこうにらみ ながら話すようなところがあるので、非常に怖いなという印象を持っています。

    鉱山エネルギー大臣の後に文官長に、ルーラ政権の下で文官長になっています。 ご存知の通り、成長開発計画、PACの母というふうに言われていまして、あと政治的に 言うとですね、労働者党PTには99年に入党しておりまして、PTの中ではそれほど幹部 でもなくて、まあ新参者ということであります。また、選挙経験は2010年の大統領選 挙までありませんので、大統領になった時は政治家でもない人がうまく国を取り仕切 っていけるのかというようなことは報道等でも疑問視されたこともあります。では次 お願いします。

    今までは、略歴等を見ていただければ分かることなんですけれども、これからち ょっとルセーフ大統領の性格的な所をご紹介したいと思います。

    非常に、ルーラ大統領と比べてというのはあれなんですけれども、極めて仕事熱 心な方で、朝早くから夜遅くまで官邸で勤務されています。一応勤務時間は朝9時から 夜の21時までということで、昼も夜も官邸で食べるというふうに言われております。 あと、非常に細かいことまでこだわって、全て決済をするということのようです。な ので、普通であればですね、まあ大統領ですから、補佐官がこれ決済してくださいと 言ったものは、ほとんど見ないで決済するようなものもですね、ルセーフ大統領に限 っては全て見ないと気が済まないというような性格のようです。あと、説明は Powerpointを好まれるようです。また常に具体的な目標の設定とか、期限の設定とか 結果追求を怠らないというふうな感じで、必ず、プロセスではなくて、結果主義、成 果主義を求めているようです。

    また閣僚に対して、下にも書きましたけれども、閣僚は補佐官的存在で、閣僚に 対して徹底的に詰めるというか怒るというかという側面があります。一度新聞記者か ら聞いたことがありますけれども、農務大臣との会議の時にまったく会話の話題がず れて、農務大臣にブラジルの米の生産量はどれぐらいなんだと聞いたら、農務大臣が ちょっと今手元にございませんと言ったらそこでルセーフ大統領が切れて、あなたは ブラジルの農業をやっているんじゃないのと。米の生産量ぐらい知らなくて農務大臣 なんかできるわけないじゃないというふうに怒って、出直していらっしゃいというふ うに言ったということを聞きましたけれども、まあそういうのは多分日常茶飯事にあ るんじゃないかというふうに思います。

    あと、毎日、大統領府の日程なんかを見ていると分かりますけれども、まあ3、4 名の閣僚と会議を集中的にしています。また、ルーラ大統領と比べてプレスへの露出 は低下しています。あと人ともあまり会わないということです。人とあまり会わない というのは、ちょっと私たちも、大臣とか色々来られると、会っていただけないので なかなか困っているところでありますけれども。

    あと民間企業の皆様もですね、本社、日本から社長とか来られるとルセーフ大統 領のアポを申し入れたりされることもあると思いますが、まあもちろんルセーフ大統 領にとって良いことがあればそれはすぐ会ってくれるのかもしれませんけれども、な かなか表敬とか、今後の大きな話をしたいと言っても会っていただけないというのが 現状かと思いますので、逆に皆様の中で、社長等が来られた時にですね、ルセーフ大 統領に表敬が叶っているということであればですね、数件お伺いしていますけれども 、拍手を送りたいというふうに思います。次お願いします。

    ルセーフ政権の基本的な政策ですけれども、まあブラジルの発展という一言に尽 きると思いますが、基本的にはルーラ前政権の政策を継承しています。具体的に、社 会政策、これは貧困撲滅ですけれども、に重点を置きつつ、2014年のワールドカップ 、あるいは2016年のオリンピックに向けた安定した経済成長、雇用の創出、インフラ 抑制を目指しています。

    まあ具体的な政策として、Brasil Sem Miseriaとか、先程申し上げたPAC、ある いは産業政策でBrasil Maior、税制の見直し、これはPISとかCOFINSとかまあIPIなん かもそうかもしれませんけれども、税制の見直し、あるいは人材育成ということで今 Ciencia Sem Fronteiras、あるいは科学技術イノベーションなどへの重点を置きつつ 国家運営を進めております。次お願いします。

    ここからちょっと振り返るということをしたいと思いますけれども、簡単に申し 上げると、まあルーラ前政権の政策を踏襲して堅実な政権運営をしているというふう に考えております。ただし2011年、去年の6月に、非常に大きな権力を持っていたパロ ッシ文官長というのが汚職疑惑で辞任をしまして、その後1カ月に一人、あるいは1カ 月に二人ぐらいのペースで閣僚がバンバンと辞任をしています。

    まあ日本だったらですね、パロッシ文官長、つまり官房長官にあたると思うんで すけれども、汚職があったりしたらですね、大統領というか総理ですね、任命責任な んかが必ず問われると思うんですが、この国ではそういうふうにはならず、だからル セーフ大統領にとっては危機ではなく、逆に汚職は許さない、だからすぐ辞めさせた ということでイメージアップが図られて、この時期は非常にルセーフ大統領の支持率 が上がった時期であります。

    また、ここに今写真を載せている8人については、ほぼルーラ政権からの引き継 ぎの大臣でしたので、まあ少しルーラカラー、という言葉が正しいのか知りませんけ れども、を排除できたということ。あるいはそれの代わりとしてですね、ルセーフ大 統領がずっと、就任の挨拶から言っていた、専門的な人、いわゆる政治家ではなくて 、非常に専門能力のある人を起用したいと言っていたのが少しずつ叶ってきたかなと いうふうに思います。

    あと、先程ちょっと申しましたけども、やっぱりルセーフ大統領というのは政治 家じゃないので、議会対策をどうするかということがありましたけれども、まあ就任 当時は良かったんですが、その後国家陸運庁、ANTTと言いますが、の長官人事に見ら れるように、これは与党の第2政党であるPMDBというのが反対したというものなんです けれども、与党からもちょっと協力を得られなかった。こういう事案に見られるよう に議会の対策、あるいは、よく新聞なんかが言っているのは対話なんですけれども、 大統領と議員とかですね、大統領と政党が対話していないと、だからなかなか協力が 得られないということで、対話が疎かとして与野党から批判を受けたこともあります 。あと最後に、今日はあまり経済の話はしようとは思っていないんですけども、経済 は減速傾向にあります。2010年7.5%の成長率、2011年2.7%、2012年の予測、これは 先週の数字ですけれども、1.81%となっております。次お願いします。

    外交ですが、外交については引き続きブラジルはおそらく多くの国にとって重要 なグローバルパートナーということなんだと思いますし、日本にとっても極めて重要 な、中南米の大国ではなく、グローバルのパートナーとして位置づけられております 。ただし、ルセーフ大統領というのは、今まで文官長とか鉱山エネルギー大臣をやっ ていた関係で、国内問題については非常に関心が高いんですが、外交への関心は比較 的薄いのかなというふうに思っています。

    特に外交儀礼、外交セレモニーみたいなものについては全く関心がなくて、外遊 する時なんかも、じゃあ私が行って何がもらえるの、何があるのというような、結果 あるいは中身重視の考え方をされている方です。外遊についてもルーラ大統領に比べ て激減はしています。まあ多分、大統領になる前に健康問題がありましたのでそうい う影響もあるのかもしれません。ちなみにルーラは第1期の1年半で48回、ルセーフ大 統領は27回となっています。

    人権問題に対しては、自分も拷問された経験がありますので、少し政策が変化し て、かなりこまめにご覧になっているようです。日本との関係でいうと、2010年の11 月、これは大統領にもう選ばれているんですが、日本とEUでいつも、毎年ですね、国 連に対して北朝鮮の人権決議というのを提出しているんですが、この時まではずっと ブラジルは棄権票だったんですが、この2010年の11月からは賛成票に変わっています 。

    あと外交でいうと、先程もちょっと申しましたけれども、科学技術イノベーショ ンが大好きで、これまでブラジルと協力文書とかを結んだ国の中で科学技術イノベー ションの協力文書がない国はありません。

    あと、パラグアイの大統領弾劾というのがついこの間ありましたけれども、リオ +20をリオデジャネイロでやっている最中にありましたけれども、これについては少し 、まあパラグアイのimpedimento、これをブラジルは批判して、それに南米の多くの国 はルセーフ大統領の意見に従ったわけですけれども、これは若干、ブラジル外務省の 話なんかを聞きますと、ブラジル外務省はもう少しソフトランディングさせたかった と。ルセーフ大統領が最初にちょっと発言したためにちょっとラジカルな方向に行っ てしまったかなというような発言はしております。次お願いします。

    このような内政・外交、あるいは経済政策ももちろん含めてですけれども、を以 て、今支持率はどうかと言いますと、62%が良いと思っている。30%が普通だと思っ ている。7%が悪いというふうに今判断をしています。まあ多少、2012年の4月に比べ ると2ポイントぐらい下がっていますけれども、右にカルドーゾ大統領、ルーラ大統領 の支持率がそれぞれありますけれども、それに比べると極めて高い支持率なのではな いかなというふうに思いますし、まあ注目していただきたいのは、ルセーフ政権が悪 いと考えている国民は少ないということです。また、ルセーフ大統領個人の、政権で はなくて個人の支持率はちなみに、本年の4月時点で約70%あります。次お願いします 。

    これはルーラ政権との比較ということで支持率を書きましたけれども、ルーラ政 権を良いと思っていた人、38とか55という数字がありますが、今ルセーフ政権を良い と思っている人は64ということですので、ルセーフ政権の支持率というのはルーラ政 権の支持率よりも高いということが言えると思います。次お願いします。

    一番最初に、ルセーフ大統領についてはルーラ大統領の支援があって当選したと 、まあルーラ大統領の勝利だと考えていると。あるいは、政治の経験がないのでマス メディアなんかはルーラ大統領が院政を敷くんじゃないかという話も政権の当初はあ りましたが、少しだけルーラ大統領との関係についてご説明しておきたいと思います 。

    いずれにしてもルーラ大統領というのはルセーフ大統領にとっては恩人であるこ とは間違いありませんし、ルーラ大統領に対して義理とか仁義とかそういうものをち ゃんとしているということには間違いありません。ただし、ルセーフ政権が発足して からですね、かなり独自色が見えてきているのかなという感じはしています。

    つまり、議会対策というのはルーラ大統領とかPT、労働者党が全て担っていると いうことですし、先程申しましたように閣僚辞任の結果ルーラ・カラーというのをか なり排除しました。また今メディアで騒がれているカショエイラ事件とかですね、メ ンサロンというものでも、まあルーラ大統領とはちょっと距離を置いて自分には影響 がないように、まあ実際影響はないんだと思うんですけれども、影響がないようにと いうことをやっています。

    つまり、ルーラ大統領への相談とか説明はしつつ、ルーラ大統領からアドバイス は得つつもですね、自分なりの政権を確立しつつあるんじゃないかというふうに見て おります。これは先程も申し上げた通り、大臣に専門家を起用するとかですね、ある いは、これが自分なりの政権ということにつながるのかどうか分かりませんが、今、 大統領、副大統領を含め閣僚というのはこの国40人おりますけれども、彼女が花開い たリオ・グランデ・ド・スール州の閣僚と言うのが今9名おります。40人のうち9名な ので、ちなみにサンパウロは10人ですけれども、かなり自分の回りの人たちで非常に テクニカルな人たちを起用しているのかなというふうに見ております。次お願いしま す。

    今年10月に行われる地方選挙についてご説明をしたいと思いますが、その前に少 し、今の政界の構図だけご説明をしておきたいと思います。

    ちょっと複雑なんですけれども、一番左の方にPTという、ここからこっちが与党 、でこっちからこっちが野党です。上に行けば行くほど左になります。下に行くと右 派になります。ちょっと見てほしいのはここのPTですね、労働者党。あと副大統領を 持っているPMDB。最大野党であるPSDB。あとサンパウロ市長のカサビ市長が新しく作 ったPSD。あともう一つ、後から出てくるんですけれどもこのPSB、ブラジル社会党で すね。この辺だけちょっと覚えておいていただければと思います。

    ちなみにカサビ・サンパウロ市長は新しいPSDというのを結成しましたけれども 、一応インディペンデントという言い方をしていますが、実は与党寄りの考え方をし ています。つまりルセーフ大統領を応援するような形になっています。次お願いしま す。

    今年の選挙ですけれども、10月7日に第1回投票があります。これは4年に1回で 、ブラジリア、Distrito Federalを除く全ての州で約5500。ブラジリアというのは市 がありませんので、そのブラジリアを除く5560ぐらいの市長と市議会選挙が行われま す。過半数に行かない場合には10月28日に決選投票が行われます。次お願いします。

    では各市民がどのようなことを思って投票するかということですけれども、あな たの都市で一番の問題は、次期市長に優先でやってほしいことはというというと、大 体医療とか、教育とかですね、そういうことが出てきますので、ちょっとやっぱり国 政とは違って地元に密着した視点での選挙になるということがこういう世論調査の結 果から言えるのではないかと思います。次お願いします。

    それで、まあ皆さんサンパウロの市長がどなたになってもそんなに影響はないん じゃないかなとは思うんですが、ただ大統領の選挙とか州知事選にどのような影響が あるのかということについては、大統領選挙の中間選挙的な位置づけであって、色々 政治的な駆け引きもありますし、ですからルセーフ大統領とかテメル副大統領は私た ちは選挙キャンペーンに関与しないという立場を採っています。

    他方ですね、このあとちょっと触れますけれども、サンパウロとかベロ・オリゾ ンテの市長選というのは政治的には非常に面白くて、ルセーフ大統領も陰で応援する 、あるいは堂々と応援するということに最終的にはなると思います。

    あと、まあこれは結果論なんですけれども、与党、特にPMDBが優勢の状況であっ て、与党各党が大きく敗北しない限りは国政にはほとんど影響はないのではないかと いうふうに思っています。ちなみにさっき5000ぐらいの都市だというふうに申しまし たけれども、PMDB、第2政党ですね国会では、が1200ぐらいの首長ポストを持っていて 、次PSDB。野党第1党ですけれどもまあ780ぐらい。PTが550ぐらいの首長職を持ってい るということです。

    それではちょっとサンパウロを見ていただきたいと思いますけれども、サンパウ ロについては、たくさん候補がおりますけれども、基本的にはセーラ元サンパウロ州 知事・元サンパウロ市長というのが、まあ大統領候補でもあって多彩な政治経験もご ざいますので、かなり強い候補者であります。これは国政から見ると今野党の候補で す。でルーラ大統領が推薦したPTのアダッジ前教育相というのが頑張っています。

    あとTVアナウンサーなんかを務めたルソマノという下院議員、あとPMDBからシャ リタという下院議員が主要な候補者として名前が挙げられています。今、支持率はで すね、これよりちょっと新しい数字ももう一つあるんですけれども、セーラ候補が約 30%、ルソマノ下院議員が26%、アダッジ6%、シャリタ7%というふうになっていま す。次お願いします。

    ちょっとここからは分析なんですけれども、セーラ候補については非常に30%と いう支持率は高いんですが、拒絶率も高いのが現状で、37%の人はセーラには投票し ないというふうに言っているというような調査の結果があります。また、ルーラ大統 領と2回ぐらい大統領選を戦っていますので、ルーラ大統領の政敵のイメージが強い。 先程ですね、カサビ市長、PSDは与党寄りという話をしましたが、セーラがサンパウロ 市長をやっていた時にカサビが副市長をやっていた関係で、サンパウロ市においては カサビ市長がセーラ候補を支持することを決定しています。これが吉と出るか凶と出 るかというのはちょっとよく分かりません。

    アダッジ候補、これはルーラが応援しているPTの候補ですけれども、知名度が低 いことがちょっと今難点です。市民に聞いても45%の市民しかアダッジ候補という名 前を知りません。一方で99%の市民、94%の市民は、セーラ、ルソマノというのをそ れぞれ知っているというのはかなり強いんじゃないかなと思います。

    ただし、今日から政見放送が始まります。政見放送が始まると、貧しい人も含め てテレビを見ますので、アダッジ候補の横にルーラとか、まあルセーフが出るかどう かは分かりませんけれども、大統領が出てくると、そこでかなりの支持率の盛り返し はあると思います。今後どこまで支持率が伸びるかというのは注目点です。それと同 時に、40%のサンパウロ市民はルーラの候補に投票するというふうに述べています。

    あとルソマノ、これはさっきTVアナウンサーと言った候補ですけれども、政権放 送の時間がセーラ、アダッジはそれぞれ7分以上持っていますが、毎日7分以上の枠を 持っているんですけれども、ルソマノというのは2分程度しかございません。また、ほ とんど宗教票であり、連立政党もほとんどないので、これ以上支持率が伸びることは おそらくないと思います。あるいは、今後支持率というのは下がっていくんじゃない かというふうに思っています。

    あり得るシナリオというのは、セーラ対アダッジが2回目の決選投票に行くとい うような分析をしております。今後この政見放送等を通じてアダッジ候補がどこまで 支持率を伸ばせるかが鍵なんですけれども、ちょっと選挙までもう2カ月を切っており ますので、今の段階ではセーラ候補が優勢なのではないかというふうに見ております が、まあ何しろ選挙というのは水ものなのでどうなるかは分かりませんが、現状では セーラが強いんじゃないかなというふうに思っております。次お願いします。

    ベロ・オリゾンテについては、ルセーフ大統領の出身地ということもあり、また 伝統的に今、国政でいうと野党のPSDBが強いものですから、また面白いところであり ます。2008年以降PTとPSDB、これはお互いライバルなんですけども、協力関係にあり ます。具体的にどういうことかと言うと、今の開発商工大臣のフェルナンド・ピメン テルがベロ・オリゾンテの市長だった時にアエシオ・ネーヴェスという州知事と協力 関係にあって、現市長のPSBのこのラセルダというのを支持しました。

    ただし今回の選挙に向けてルセーフ大統領、つまりPTは、このPSBのラセルダ市 長の再選を支持せずアナニアスという独自候補を立てました。つまりこれはどういう ことかと言うと、まあ今までここで協力関係にあったんですけれども、PSDBとの距離 も置く、あるいはPSB、これは与党関係にありますが、とも距離を置くというふうに今 なっています。

    ちなみに世論調査はラセルダ、今44%、アナニアス27%ということですが、アナ ニアスについてはルーラではなくルセーフ大統領の推薦ですので、今後また政見放送 等で少し数字が変わるかもしれません。2014年の大統領選に向けてこのベロ・オリゾ ンテについては何が面白いかと言いますと、このラセルダというのが勝った場合には 先程申し上げたアエシオ・ネーヴェス州知事の基盤が強化されます。

    またペルナンブコの州知事である、あるいはPSBの党首なんですけれども、エド ゥアルド・カンポスという方の基盤が強化されます。アナニアスが勝つ場合にはルセ ーフ大統領の基盤が強化されます。このカンポスですけれども、今、2014年のルセー フ大統領の副大統領候補と言われていまして、ただしここで今関係を少し、まあ地域 的ではありますけれども切っていますので、今後副大統領、つまりPTにとって仲間と なるのか、それともライバルとなるのかということは注目点だと思います。

    ちょっと時間もないのでスピードアップしていきますが。最後にですね、2014年 の大統領選挙と今後の政治動向ということで、今後どうなっていくのかということを ちょっと見てみたいと思います。

    2014年の大統領選挙ですけれども、まあ基本的にはルセーフ大統領が再選を目指 して頑張るんじゃないかというふうに思います。ルーラ大統領については、多分出た いという気持ちはあると思いますけれども、現在の健康状況に鑑み、まあ声も出ない とかですね、まだ杖で歩いているとか、そういう健康状態に鑑みると2014年の大統領 選挙に出馬することはもしかしたら困難かなというふうに思っています。

    その対抗馬が今野党のネーヴェス前ミナス・ジェライス州知事です。先程申し上 げたペルナンブコのカンポス州知事というのが、まあふらふらしているというか、こ っちの方につくのか、あるいはルセーフ大統領に代わって与党候補となるのか、ある いは独自に立候補するのかというのはちょっと分かりませんが、いずれにしてもこの カンポスというのは若手政治家では非常に注目されている州知事であります。次お願 いします。

    ルセーフ大統領についてはまあ先程ご説明しましたけれども、ネーヴェス前ミナ ス・ジェライス州知事だけちょっとご紹介します。ベロ・オリゾンテに生まれて、もう 若くしてですね。おじいさんがタンクレード・ネーヴェスという元大統領で、1985年 の民政移管後の初めての文民大統領なんですが、大統領就任式の前日に病気で亡くな ったということがあって、若干こう非常にカリスマティックな、歴史上も捉えられて いて、それのお孫さんなんです。2001年と2002年にはもうすでに下院議長も務めてい て、現在上院議員です。ミナス州知事の時には非常に絶大な人気がありましたけれど も、全国的にアエシオ・ネーヴェスって知っていますかという世論調査の結果はそれ ほど高くはありません。

    まあbon vivantというか、非常に良い生活をする人として有名で、週末はほとん どリオにいるとかですね、まあ奥さんも2回ぐらい替えていて、彼女も毎月のように替 えているというのが週刊誌に出ていたりしますけれども、そういう感じの方です。ま あ州知事としては非常に行政能力も高かったんですが、ミナスの関係者とかに聞くと 、まあ長期的展望に欠けていてですね、一国の指導者としては未熟かなというような 意見も聞かれます。ただしこれも、まあ生まれながらの政治家ですので、野党ではあ りますけれどもルーラ大統領との関係は良好です。

    ではどうなるのかと、今の時点で言うことは時期尚早でございますけれども、基 本的には現段階ではルセーフ大統領の再選が高いというふうに考えております。これ は先程申し上げたような、個人の支持率70%とか、政権の支持率60%とか、非常に高 い支持率があるのと、あと強いライバルがやはりいないということが大きく挙げられ ると思います。ただこれにはですね、国民が実感する経済とか雇用状況が悪くならな いことが条件になりますし、先程申し上げたような、健康問題を少しルセーフ大統領 というのは抱えている可能性がございますので、その辺は懸念材料です。

    で、ルセーフ大統領の再選に向けては、もう既にチームが結成されておりまして 、同じミナス出身のピメンテル開発商工大臣、ベルナルド通信大臣、メルカダンテ教 育大臣、バディリャ保健大臣、ホフマン文官長というチームが組まれておりまして、 今毎日のように会議をやっていると、地方選を含めてですけれども会議をやっている というふうに聞いております。この4人については、ルセーフ大統領が政治的な経験が ございませんので、政治的な話を聞くときには必ずここがアドバイザーとして、この4 人については話を聞いているということを言われています。ちょっとこれは飛ばして 次に行きます。

    今後の政治動向ですけれども、今の金融緩和とか投資拡大等によって、安定的な 経済成長と貧困対策強化の両立というのは国民的コンセンサスがございますので、こ れについては政権が代わってもまあニュアンス程度が変わるぐらいで、ほとんどこの 政策自体は変わらないと思いますし、それが証拠にですね、コーロル政権の自由化以 降同路線の政治が20年以上続いていますので、ここはほとんど変わることはないんじ ゃないかというふうに思います。

    またルセーフ政権については貧困層から富裕層まで幅広い支持を得ているという ことです。世論調査等を見てもですね、全階層でルセーフ支持が最大ですし、あとボ ルサ・ファミリアなんかも今拡大方向にあってですね、非常に、貧困層についてはル ーラ政権、ルセーフ政権で最良の時代というふうに言われています。ただし一つ頭に 入れておかなくてはいけませんし、それが結構大きいんですけれども、欧州の経済危 機の影響とかですね、今借金漬けなんていう言葉がブラジルでありますけれども、こ ういういわゆる借金漬けになっているということが今後ブラジルの経済にどういうふ うに影響していくかというのは留意の必要があると思います。

    いわゆる政治中心に考えた場合、現時点ではルセーフ政権にレイムダックの兆し はありませんので、高い支持率をキープしています。今メンサロンの裁判が進んでお りますけれども、これも国政への影響というのはきわめて限定的であると思っており ます。つまりルセーフ政権というのはこのメンサロン事件にほとんど関わっていませ んし、逆にルーラ大統領については少し、ルーラ大統領の時代に起こった事件ですの で、あるかもしれませんが、ルセーフ政権に影響を及ぼすことはないというふうに思 っています。

    まあ先程申し上げた通り、2014年にルセーフ大統領再選、ちょっと一応クエスチ ョンマークをつけさせていただきましたけれども、になった場合でもですね、まあ今 後の政策の大きな転換はないと思われます。メンサロンで今公判にかかっている人た ちというのは、労働者党の中で左派の主流派なんですが、これがもしかしたら弱体化 するかもしれません。そうするとルセーフ大統領の、ルセーフ政権というのはますま す、今PT内で影響力を持っているこの辺が弱体化すると、少しずつ保守化をしていく 可能性はあります。

    今後欧州経済危機の影響とかですね、今後の経済成長というのはやはり一番注目 して行かないといけないところだというふうに思っております。また構造改革、どん どんどんどん今外国から投資とか入ってきていますが、構造改革が進まないと今後経 済成長も進まないと思いますので、この構造改革、まあ税制とか社会保障とか労働法 とか、そういうものが進んでいくのかというのも注目していかないと、今後のブラジ ルの経済成長につながっていかないんじゃないかなというふうに思います。また、ま あちょっとここは非常にあいまいとした書き方ですけれども、長期政権となるとやは り死角がどうしても出てくるものですから、死角がないかということは一つ見ていく 必要があるのかなというふうに思います。

    最後のスライドですけれども、ルセーフ政権が続くにしろ、あるいは今の野党の 勝つにしろ、まあブラジル自身の強さという、こういったポイントがあってですね。 さらに政治構造自体は、まあ政権党が有利な構造に今なっておりますし、そうすると 勝ち馬に乗る傾向があるので政権は非常に安定していますし、ブラジルで政党が多い と言われるんですけれども、ただ多いのは多いんですが、実は政権交代可能な2大政党 制というのを実現しています。つまりPTとPSDBで基本的にやっていますので、そこは まあいつでも交代可能ですし、今のPTより左の党が政権を取ることはあり得ないと思 いますので、そこらへんは非常にまた政治の安定の要素だと思います。

    また、ちょっとこれはクエスチョンマークをつけさせていただきましたけれども 、まあ汚職等も少しずつ改善しつつあるのかなというふうに思いますので、基本的に ブラジルというのは、政治的に見るとですね、中期的には安定傾向にあるのかなとい うふうに判断しているところであります。以上です。どうもありがとうございました 。

    司会
    木下様どうもありがとうございました。時節がらもありまして大変興味深く拝聴さ せていただきました。それでは、若干時間が押しておりますこともありまして、早速 各部会からの報告に移らせていただければと思います。トップバッターは金融部会の 遠藤部会長にお願い申し上げます。

     

     

     

  • 金融部会   遠藤秀憲 部会長

    金融部会

    それでは今ご紹介に預かりました金融部会、南米安田の遠藤でございます。それで は金融部会より、マクロ経済、それから為替・金利の動向、銀行業界、保険業界につ いて簡単に発表させていただきます。それでは次のスライドをお願いします。

    まず本年上期のブラジル経済の動きについてでございます。国内経済を見ますと 、昨年、2011年半ば、ブラジル政府はマクロ経済の政策目標をこれまでのインフレコ ントロールから成長ならびに国内産業重視というものに転換をいたしました。具体的 には金利の引き下げ、それからIOF導入等のレアル高対策、ならびに各種の国内産業保 護政策を導入しました。

    しかしながら、ここにもありますが、金利の引き下げ効果が具体化するには一般 的にはまあ9カ月ないし12カ月かかると言われており、またレアル安の誘導も輸入から 国内生産への転換に時間がかかっており、現状ではまだ十分な政策効果が出ていると いうふうには中々申しづらいという状況かと思います。

    また、世界経済全般から見ますと、中国経済の減速によってコモディティ価格が 低下。鉄鉱石をはじめとする輸出も減少いたしました。またですね、昨年の夏以来の 欧州危機のよって、輸出の減少に加え世界経済の先行き不透明感が強まり、ブラジル の企業家には投資を大分と手控えさせたという結果になっております。またアルゼン チンの外貨不足、これが同国がブラジルの工業製品の大口輸入者であったということ もあり、ブラジルの工業製品の輸出には打撃を与えた結果となっております。

    また個別の産業を見てみますと、ミクロ要因ということで挙げましたが、農業分 野では南部の干ばつによる生産減少。これはブラジルのGDPを約0.4%引き下げたという ふうに言われております。また産業機器分野では本年度よりEuro5というディーゼル車 に対する環境規制が導入、これによってご承知の通りトラック・バスの生産ならびに 販売が急激に落ち込んだと。それから自動車分野では、自動車ローンのまあ不良債権 拡大、この問題によって貸す側融資姿勢が保守化し、自動車の販売ならびに生産の落 ち込みが発生をいたしました。

    総括しますと、そこのタイトルにございます通り、本年度上期のブラジル経済は 政策効果が見えない中、国内外の悪材料が、まあ言い方はちょっとあれですが、てん こ盛りで、経済が停滞した状況であったというふうに言えると思います。それでは次 のスライドをお願いします。

    こちらが主要なマクロ経済指標についてです。簡単にかいつまんでご説明を申し 上げます。本年第1四半期のGDPの成長率ですが、前年同期比対比で0.8%。また前期比 対比で0.2%ということで、今後の下期の回復を織り込んでも本年は1.8%程度。先程 木下さんから1.81%とございましたが、まあこの程度の着地となるというふうに市場 では予想をされております。これは年初に予想されていた3.3%という見込みを大きく 下回る現状でございまして、ブラジル政府は相当な危機感を持っており、成長率引き 上げのためにはあらゆる方策を検討しているというふうに言われております。

    また、国際収支に目を転じますと、第1四半期は輸出の伸びに歯止めがかからず 、レアル安に転じた第2四半期以降は世界経済の減速、特に中国経済の減速によるコモ ディティ価格の下落、これにより貿易取引が縮小。上期の貿易収支は71億ドルの黒字 を計上するに留まりました。

    本年通年でも173億ドル程度の黒字というふうに予想をされております。一方、 配当金の送金、リース料の支払い、観光収入のマイナス、こういったものを主要因と しまして、本年上期の経常収支は253億ドルの赤字と前年同期比ほぼ横ばいとの結果に なりました。リース料の支払いは石油開発関連の機器のリースを中心として増加した ものの、配当送金、観光収入はブラジル企業の業績の悪化、それから第2四半期のレア ル安を受けて非常に鈍化をしております。本年通年では605億ドルの赤字をまあ予想を しております。

    また本年上期253億ドルに上る経常収支の赤字、これはですね、297億ドルの直接 投資によってファイナンスされ、足元の成長率は鈍化しているものの、世界経済の中 では数少ない成長地域として引き続きブラジルが日系企業をはじめとする企業の直接 投資の対象となっているということを示しております。

    本年通年では前年比111億ドル少ないものの、約555億ドルの直接投資の流入が予 想されており、この直接投資で経常収支の赤字が緩和される構造というものは今年も 継続する見込みでございます。その結果、外貨の準備高は本年6月3739億ドルの水準ま で積み上がっております。

    市場が評価しておりますブラジルリスクの指標でありますCDSのスプレッド、こ れは6月末に153と若干改善しました。他国は、中国が121、メキシコ136、韓国123、ロ シア230、イタリア484、アルゼンチン1230、これらの国と比較してもまずまずの水準 ではないかと思います。さらに足下では8月に128とさらに改善をしております。

    本年上期のインフレ率はIPCA指数4.92%と、世界経済ならびに国内経済の停滞を 受けて極めて安定しており、本年度通年でも5.12%。一応政府のインフレ目標範囲内で はないかというふうに予想されております。

    また、5月の失業率ですが、5.8%と引き続き低い水準にあり、個人消費を底支え すると考えられております。しかしながら反面、労働コストの上昇という懸念もござ います。

    最後に株価についてですが、株価については年初来じわじわと回復を続けており ましたものの、3月13日に68933の高値をつけた後、3月の初めからの政府のレアル安誘 導の強化とほぼ時期を同じくして下落。6月5日には指数で52481の安値をつけ、1ドル が2.00レアルアから2.10レアルへの水準というレアル相場の安定に伴い値を戻し、足 下の先週末では約57250ぐらいまで回復をしております。

    結果としては、急速なレアル安を嫌った外国人投資家がいろんな意味の影響を発 揮したのかなということがうかがえる数字となっております。それでは次のスライド をお願いします。

    続いて金利ならびに為替の動向について簡単にご説明を申し上げます。金利は右 側の軸、グラフとしては赤のグラフでお示しをしております。景気刺激のために政策 金利は、ご承知の通り昨年8月末より利下げのサイクルに入りました。現在は史上最低 水準であります8.00%まで低下をしております。国内景気の低迷を受け、市場は金利 の引き下げが継続されるというふうに見込んでおり、本年末には市場平均で7.29%とい うのが単純な予想になっております。

    本年5月に、これまでブラジルの政策金利の加減要因と考えられていましたポウ パンサ預金の金利の決定方法を変更したことにより、技術的にはさらに引き下げ余地 が生まれているという現状でございます。ブラジル政府としましては、金利の引き下 げは消費それからならびに投資を刺激して、経済成長をもたらすと。さらに同時に過 度のレアル高を、これを是正する、この二つのメリットがあるというふうに考えてお ります。従いまして、経済が回復せず、インフレ率が目標上限以下であるという前提 条件がある場合においては、さらなる引き下げを続けるというふうにマーケットでは 受け止められております。

    次に左の軸、青いグラフでお示ししておりますのが為替レートの推移でございま す。こちらはブラジル経済の減速、コモディティ価格の下落を主因としたブラジルの 交易条件の悪化、ならびに、先程申し上げましたが、貿易収支の縮小、経常収支の赤 字の拡大、それから対内直接投資の減少、国内金利の低下と、こういったようなファ ンダメンタルズの要因からしてもレアル安になる要因が増加をしております。

    このようなファンダメンタルズの要因に加えて、ブラジル政府は各種の、ご承知 の通り各種外為の市場に対する規制を導入し、市場の介入を行っており、為替レート をまあ一定の幅でコントロールしようとし、実際にこれは成果を上げているというふ うに見られております。

    大きな流れとしましては、昨年7月の各種ポジションの規制、およびデリバティ ブへのIOFの課税、それから8月末の金利の引き下げというものがレアル高のまさに転 換点になりました。この結果として、その後2012年、再度レアル高が進んだことによ って、2012年3月には長期輸出の前貸しの禁止、その後解除したものの、対内借入の IOFの対象期間を2年から5年への延長と、こういったような規制を導入し、今のところ 足下は、多少の上下動はあるもののほぼ1ドル=2.00レアルから2.10レアルの範囲内で まあ推移をしているということが見てとれます。

    この水準ですが、ブラジル政府にとっては国内製造業を重視すると、こういう観 点から、まさに1ドル2.00レアルから2.10レアルの水準が非常に望ましいというふうに 考えており、この水準から乖離する場合にはまあ為替の介入等、一定の範囲に収める 手立てをかなり取るだろうというふうに言われております。はいそれでは次のスライ ドをお願い致します。

    続きまして、本年上期の銀行業界の指標の推移について簡単にお話をさせていた だきます。初めに貸金の残高でございます。これは法人向け、個人向けともに増加は しておりますが、前年同期比の伸び率で見た場合には、個人向け貸金は特に自動車ロ ーンにおける不良債権増加、これに伴う融資姿勢の変更の影響もあって伸び率が13%と いうふうに、前年比で低下をしております。また、法人向けの貸金は欧州の経済危機 、ならびに国内経済の低迷などによる国内産業全般を覆う不透明感、こういったもの により18%の伸びに留まっております。

    また、経営主体別に見ると、国営銀行の前年同期比の伸び率が27.1%であったの に対し、民間銀行は11.2%に留まっており、結果として国営銀行のシェアが高まってい るということ。ならびに、民間銀行は不良債権比率の増加に伴って、かなり慎重な融 資姿勢の継続を余儀なくされているということが見てとれるかと思います。ちなみに 本年6月の融資残高全体の対GDPの比率、先程借金漬けというお話ございましたが、こ れは50.6%になっております。次のスライドをお願い致します。

    こちらが貸出スプレッドの推移ならびに貸出金の質を示した各種の指標でござい ます。まず左上のグラフでございますが、これは個人ローンのレートと預金金利を比 較したものでございます。昨年後半に利下げのサイクルに入りましたが、その結果預 金金利、こちらはすぐに低下したものの、貸出金利は中々低下しないというギャップ が生じておりました。

    この結果、皆様ご承知の通り、政府は、大統領も含めてですね、銀行に対してか なりのスプレッド引き下げの窓口指導を強化し、その結果銀行スプレッドも急速に低 下いたしました。現在も政府は銀行に対してかなり強いプレッシャーを引き続きかけ ているというふうに言われております。

    右の上のグラフでございますが、こちらは銀行全体の不良債権の比率でございま す。こちらは2011年に入ってから、まあ言葉が良いかどうかはあれですが、一貫して 不良債権比率は拡大しておりますが、その内容を分解したものが左の下のグラフでご ざいます。これは個人向け融資のうち特に自動車ローン、下側ですね、の不良債権比 率が大きく増加しているということが見て取れようかと思います。

    ブラジルの大手行では既に100%を超える引当を行っており、健全性には特に影響 はないということでございますが、融資姿勢ということに関していきますと引き続き 厳格な姿勢が継続するのではないかというふうに考えられております。なお、本年6月 の全体の不良債権比率は5.8%ということで、5月の5.9%に対して0.1ポイントですけれ ども低下。ならびに自動車ローンの不良債権の比率も6.0%とこれも5月の6.1%に比較し て0.1%低下をしております。

    また右のグラフにあるように、自動車ローンの月間の不良債権の増加額、これは 、足下ですね、急速に低下しており、新規発生がかなり抑えられているということを 示しており、今申し上げました6月の不良債権比率の低下が一時的なものであるのか、 もしくは不良債権の増加の傾向が転換点を迎えたのかという点が今後注目をされると ころかなというふうに思います。それでは次のスライドをお願い致します。

    以上を踏まえてですね、今年度下期のブラジル経済の展望についてお話をさせて いただきます。まずは本年下期の世界経済全体ですが、ここを展望しますと、まず初 めに中国です。中国につきましては、これまでよりは減速はするものの、7.8%程度の 成長率で安定成長をするであろうというふうに言われております。これに伴い商品価 格が安定し、世界のインフレ率には好影響を与えるのではないかというふうに考えら れております。

    次に米国経済です。米国はマクロ経済の各指標、これは底堅く比較的安定してお り、経済活動自体は底堅く推移をしております。しかしながらご承知の通り、今年の 秋に大統領選挙がございますので、こういった政治要因がリスクというふうに見られ ております。

    それから欧州ですが、欧州は経済危機回避に向けて今関係諸国がまさに交渉作業 をしている段階でございます。解決策を何とか見出そうという方向感はまさにその通 りでございますが、実際の実現可能性とういうことに関してはかなり難しい点もあり 、当面はボラティリティの高い状態が続くのではないかというふうに考えられており ます。

    以上を踏まえて、下期のブラジル経済でございます。まずですね、政府は成長並 びに国内産業重視、この経済政策を継続をしていくであろうと。したがって投資なら びに消費の刺激のために政府ができることは何でも行うというものというふうに考え られております。

    その結果、政策金利の引き下げは今後も継続し、まあ今月末に7.5%になるので はないかという予想もありますし、マーケットの年末の市場平均金利は、先程申し上 げましたが7.29%ということになっており、逆に言いますと7%まで下がるというふう に見るエコノミストの方がかなりいるということを示しております。

    金融緩和の効果は実際に消費にはもう出てきており、投資への波及効果、これが 期待される状況でございます。銀行スプレッドの引き下げ、それからBNDESを含む公的 な金融機関を中心とした融資の拡大等々、金融緩和の効果を強化する対策も逐次とら れております。

    また、財政政策という面では、自動車ならびに白物家電のIPIの引き下げ、これ が実施され、この結果、例えば自動車の在庫水準は従来40日を超えていたものが3週間 強、24日程度に低下するなど、売り上げの拡大、在庫水準の適正化の効果が出てきて おり、今後は生産の回復ならびに拡大につながることが大いに期待されております。

    また、インフレ率ですが、景気低迷の影響もあり、安定推移の見込みでございま す。失業率が依然低水準な中、実質賃金のまあ引き上げ効果ももたらし、消費にも好 影響を与えるのではないかということが期待されております。またレアル安の影響で すが、輸入品の国内生産への代替と、これを通じて国内産業を長期的には活発化させ るというふうに期待されております。

    加えて、ブラジル経済の構造改革、これについても諸政策が講じられるものとい うふうに大いに期待されております。例えば公務員の年金改革というのは既に実施を されましたが、他に労働コストの削減ならびに電力コスト、それからインフラ投資の 拡大というものがさらに行われることが期待をされます。特にインフラ面では先日、 鉄道、道路、空港等の大型投資のパッケージ、これが既に公表されており、今後の投 資の促進が期待されている状況でございます。

    上期にですね、問題になった個別産業分野について申しますと、農業の生産は回 復、逆に、ご承知の通り米国の不作、これによる穀物価格の急騰によってむしろ逆に インフレ要因、もしくはインフレリスクを警戒すべき状況になっております。また、 自動車ローン、これの不良債権の処理は一巡し、新規の不良債権の発生が低下してき たということで、今後一定のペースで融資は行われていくものと考えられております 。

    以上を総合しますと、本年の下期、ブラジル経済は政策効果が実現され、上期の 一過性の要因が解消されることによって、上期よりは回復するであろうと。ただ引き 続き世界経済の状況に影響されて、ボラティリティが高い状態が続くものというふう に考えられております。以上がですね、銀行業界ならびに経済の状況でございます。

    次に、簡単にですね、保険業界の状況についてご説明をさせていただきます。ブ ラジルの保険監督庁でございますSUSEPの統計データによりますと、本年1月から6月ま での保険料収入の伸び、ですからマーケット全体の伸びが12.3%ということで、前年 同期比12.0%に比べてもまだまだ引き続き堅調に推移をしているという状況でござい ます。また種目別に見ましても、こちらにある通りですね、11%から14%程度と比較 的順調な拡大を見せております。次のスライドをお願い致します。

    こちらが損害率、損害の発生状況でございますが、全体としましては前年同期比 で改善が図られているものの、最大種目であります自動車保険、これにつきましては 損害率が悪化しており、自動車保険ウェイトが高い保険会社にとっては収益に影響が 出始めております。逆に言いますと、保険料の引き上げもなされております。次のス ライドをお願い致します。

    以上を踏まえますとですね、損害率につきましては中々予想が立ちにくいところ ではございますが、保険料収入というものにつきましては下期も引き続き堅調に推移 していくものと予想されており、市場も今後も拡大するものというふうに見ておりま す。

    最後にですね、シンポジウムではいつも簡単に触れさせていただいておりますが 、ブラジル国内の再保険規制というものについてもう一度ご説明をさせていただきま す。2011年4月から再保険の規制というものが変更・強化され、そのまま今年も引き続 き変化のない状況が続いております。

    ご承知の通り、再保険というのは保険会社が他の保険会社にさらに保険をかける という仕組みでございまして、これをすることで自ら持っている保険の引き受けの能 力を補完・拡大し、さらに大型のまあ案件を引き受ける能力を持つということでござ います。で、多くの国ではですね、基本的に保険会社が世界中の再保険マーケットか ら自由にこのキャパシティを買うことができる状態でございますが、ブラジルにおい ては国内のまあマーケット保護という観点で以下の二つの規制がございます。

    一つはブラジル国内の再保険会社と40%の再保険の取引をしなければならないと いうもの。二点目は同じ同一グループ会社間の再保険取引、海外も含む再保険の取引 については20%までしかできないということでございまして、この結果ですね、ブラ ジル国内の有力再保険会社が再保険の保険料の水準を決定するということになり、結 果それが元請けの保険料の価格形成に影響を与え、それぞれの保険会社が持っている 各グループでの引き受けキャパシティ、こういったものの活用が中々難しく、大規模 物件の再保険の手配について一部、まあ支障というかですね、難しさ、困難さが出て いるというのが現状でございます。

    本件につきましても、引き続き今後の展開を注意していきたいというふうに思っ ております。以上を持ちまして、金融部会の方の報告とさせていただきます。ご清聴 本当にありがとうございました。

    司会
    遠藤様どうもありがとうございました。本来でありますれば、冒頭会頭からもござ いました通りで、ご質問、コメント等を頂戴したいところではございますが、若干時 間の関係で次に進めさせていただければと思います。後ほどまとめてご質問、コメン ト等頂戴できればと思いますのでよろしくお願い申し上げます。それでは、コンサル タント部会にお願い申し上げます。澤田部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • コンサルタント部会      澤田吉啓 部会長

    コンサルタント部会

    コンサルタント部会の澤田でございます。よろしくお願いいたします。できるだけ 時間を取り戻すように努力したいと思います。コンサルタント部会でございますが、 このシンポジウム全体を通している、上期の回顧と下期の展望というテーマから、 2011年の2月のシンポジウムからだったかと思いますけれども、この部会は若干はずれ まして、その時々のコンサルタント部会の議論の中で出てきたトピック的なテーマを 取り上げて紹介させていただくということでさせていただいておりますので、ご了承 いただければと思います。それでは最初のページをお願いします。

    今回はですね、今後の日本企業の皆様のブラジルにおける活動のご参考にならな いかなということで、中国企業の投資動向というものをご紹介させていただきたいと 思います。中々資料がなくてですね、若干ちょっと、公表しているデータも若干古う ございますけれども、まあ何らかの参考になれば幸いでございます。使っております のは3種類のブラジル政府のデータと、中国ブラジル企業家委員会というところが出し ている資料から関連データを抜き出しまして、ご紹介させていただきます。

    まずブラジル商工開発省の投資促進政策を担っているRENAIという部局が発表し ている2種類の資料ですが、これは投資を行う企業が記者発表などを通じて公表したデ ータに基づくもので、個別の案件の投資金額と、どの地域への投資なのかというのが 分かるデータになります。

    ただこのデータの欠点といたしましては、公表された通り投資が実行されたかど うかは検証できないということと、公表された金額がまあ一度に実行されるとは限ら ず、場合により数年に分散される可能性もあるということでございます。

    一方、その後にご紹介する中央銀行のデータは、実際に投資が実行されて、中央 銀行にそれが登録されたデータに基づいており、間違いなく投資が行われたことは確 認できるのですが、こちらは中国一国のトータル金額しか発表されておりませんので 、どのような内容でどの地域に投資されたかは分かりません。また、そのデータをご 紹介する際にも申し上げますが、第3国経由の投資は中国のデータの中には反映されな いという欠点がございます。

    次、投資件数でございますが、このデータの下の出所が書いてありますデータで ございますが、一貫して2003年から2011年3月までの期間について発表された投資案件 について見ているものでございます。これは部門別の投資の件数ですけれども、件数 の多い上位10部門をグラフにしたものでございます。特にオートバイ、電気電子部門 が多く、共に20件弱に達しております。次に多いのが金属・採掘・加工部門で11件。 そして自動車部門が7件と続いております。次お願いします。

    こちらは投資金額での上位10部門を見たものですが、金属・採掘・加工部門が圧 倒的に多く、この部門への投資金額は200億ドルに達しております。件数では8番目と 少なかった石油・ガス・石炭部門が金額では第2位で、100億ドル弱の投資が見られま す。同じく件数では1件しかなかった電力部門が第3位、自動車部門は件数でも金額で も第4番目の投資部門というふうになっております。次お願いします。

    まあご参考までにそれ以外の、上位10部門に入らなかった投資されている部門と いたしましては、ここにありますように化学品、プラスチック、消費財、金融向けサ ービスといった部門への投資も見られます。

    投資件数では、総トータルでこの期間中で86件の投資がございまして、金額では 371億ドルとなっております。ちなみに、同じ期間で日本の投資はどうであったかとい いますと、152件、金額で418億ドルと、件数、金額とも日本が中国を上回っておりま す。次お願いします。

    この図はブラジルを5地域に分類した場合、どの地域に対して投資が行われたか を示しております。投資金額全体に占める各地域の割合で示しておりますが、ここに ありますパーセンテージの数字を全部足しましても92%にしかなっておりませんで、 100%じゃないかというご指摘をいただくかもしれませんが、発表されている中の8% 相当はどこの地域に投資するかというのが明確になっていないというのがあるためで ございます。

    サンパウロ、リオ、ミナス、エスピリト・サント州で構成される南東部への投資 、これが全体の7割弱を占めることが分かります。また、南東部と中西部、南東部と北 東部にまたがる複数地域への投資案件もあることがわかります。北部は基本的にパラ ー州とマナウスへの投資となりますが、日本との違いで注目すべきは北東部への投資 が見られることです。これは日本では見られない特徴と言えるかと思います。もちろ ん日本の投資が北東部に過去全くなかったという意味ではありませんが、少なくとも この期間中には、公表された投資は日本の場合は見られなかったということでござい ます。次お願いいたします。

    主な投資の受け入れ州でございますけれども、その投資割合を示したものですが 、日本企業は南東部への投資というと圧倒的にサンパウロ州が多いかと思いますが、 中国の場合は南東部といっても実際にはリオデジャネイロが1番であり、2番もサンパ ウロ、リオ、エスピリト・サントにまたがる、複数州にまたがる投資というふうにな っております。

    リオ州は石油・ガス、薬品分野が主で、3州にまたがるものは中国の石油企業 SINOPECによるスペインの石油企業REPSOLへの資本参加が含まれていると考えられます 。ちなみに3位はエスピリト・サント州、4位はミナス・ジェライス州であって、日本 と違いましてサンパウロ州は主要な投資対象の州とはなっておりません。

    それでは地域別にどのような部門の投資があるのかを見ていきたいと思います。 まず南東部ですが、金属・採掘・加工部門と石油・ガス・石炭部門への投資で同地域 全体の94%を占めております。ほぼこの二つの部門のみと言っても過言ではないくら いですが、次にシェア4%で自動車部門、そしてわずかシェア1%に過ぎませんが、工 業用機械機器部門がそれに続いております。

    北部ですが、ここも金属・採掘・加工部門が約7割のシェアを占めております。 これはパラー州での鉱山開発と見られます。次に二輪部門が2割、電気電子部門が1割 を占めております。これはアマゾナス州マナウスへの投資と見られます。そのアマゾ ナス州での投資ですが、2003年から2010年の期間において、2006年まではほとんど意 味のある投資が行われてこなかったことがこのグラフから分かりますが、それが2007 年以降に増え始め、翌年に集中的な投資が行われ、それ以降も一貫して投資が増加す る傾向にあることが分かります。

    それではアマゾナス州でどのような部門かということでございますが、二輪部門 、これが6割を占めているというのが特徴となっております。次いで電気電子部門が約 3割、自動車部門が7%と続きます。二輪部門への投資がいつの時点で行われたかにつ いては、これらの資料では明らかになっておりませんが、別資料で後ほどご紹介する 具体的な投資案件で、少なくとも2011年は発表が見られませんので、実行はそれ以前 であるということが言えます。先程のグラフで投資が急増している2008年あたりでは ないかというふうに推測されます。定かではございません。

    北東部ですが、金属・採掘・加工部門が全体の76%を占めております。そのほか 食品、たばこ部門が15%と続いております。この2部門で北東部への投資の9割を占め ます。まあそのほかここにあるような部門への投資もわずかではございますがござい ます。南部ですが、電力部門への投資が単独で9割を占めております。それ以外ではご くごくわずか、消費財部門、電気電子部門への投資が見られます。

    ここからはまた別の資料を出所としておりますけれども、2011年通年ですね、こ の1年間での具体的な投資案件を公表ベースで抜き出してみたものでございます。まず 北部ですが、この年に1件の投資が見られました。車載用DVDプレーヤー・ラジオが搭 載されたナビの生産というものでございます。場所はもちろんマナウスでございます 。この年日本企業によるマナウスへの投資というのは計15件が見られておりまして、 たいへん活発だったと言ってよいかと思います。金額でも中国の530万ドルに対しまし て、日本からは1億4600万ドルが投資されたようでございます。

    北東部ですが、いずれも新設で3件の投資プロジェクトが発表されております。 内容としましては、電動バイクと家電の工業団地造成、それから500ヘクタールの工業 団地の造成、大豆の搾油など加工工場と肥料工場の建設という案件でございまして、 金額の総計は29億8000万ドルに上ります。2011年に限定して見ると、中国の投資は金 額ではこの地域に集中していると言えまして、全体の約7割に相当いたします。

    ちなみに先程も申し上げましたように、日本のこの地域に対する投資実績は2011 年はございません。南東部でございますが、北東部ほどの金額的な大型案件はありま せんが、件数としてはかなりあったということが分かります。具体的には、クレーン ・ローラーショベル等の生産のための工業団地造成、あるいは鉄鉱石の試掘、技術協 力に基づく鉄道車両製造基地の建設と近代化等々ここにある通りでございます。

    それで、ちょっと先程のスライドが目いっぱいで入らなかったものですから、一 部こちらの方に、下の方に書かせていただいておりますが、南東部への日本の投資で すけれども、中国の6件に対しまして日本は13件、金額で中国の11億4400万ドルに対し まして36億8600万ドルと、やはりこの年も日本の投資の中心は南東部であるというこ とが分かります。最後に複数の地域にまたがる案件といたしまして、ここにあります 28の市町村で52カ所の販売代理店の整備と、バルエリ市に部品ストック倉庫の建設と いう自動車関係の案件がございますが、その後の報道ぶりからすると実際これは動い ていない可能性もございます。それで、南部が抜けておりますけれども、実は南部に つきましては中国の投資案件はこの年ありませんでした。ちなみに日本は2件、3億ド ル強の投資があったようでございます。

    中国の公表ベースの投資金額を全て積み上げますと、42億6730万ドルに上ります 。一方日本の公表ベースの投資金額は総額で41億7400万ドルですので、中国が金額で わずかに上回るものとなっております。しかしながら、先程申し上げました中央銀行 への届け出ベースでございますけれども、2011年は中国はわずかに1億7900万ドルしか 投資をしていないことになっております。先程の41億ドルからすると大きな開きがご ざいます。

    まあその要因を推定いたしますと、中国本国ではない第3国経由の投資がかなり の割合を占めることが考えられるということ。さらには、発表はしたけれどもまあ実 際には投資は実行されなかったですとか、あるいは計画変更がその後行われた。また は、まだ実行されていないけど今後に伸びているとか、あるいは複数年にわたって分 割しているというようなことも考えられるかと思います。

    一方日本の場合は中国とは全く逆で、届け出ベースの方が、ここにありますよう に75億ドルと、発表ベースの41億ドルよりは多いというのが特徴的でございます。発 表ベースの数字というのは届け出ベースの6割にも満たないというものになっておりま す。これも逆に日本の特徴ということが言えるかもしれません。

    これはご参考までにお付けしましたが、Conselho Empresarial Brasil-China、 ブラジル中国企業家協会とでも訳すんでしょうか、という組織が発表した資料の中に ある1枚でございますけれども、世界に対する2005年から2010年の間の中国の投資金額 を表したものでございます。これを見ますと、アメリカを除く南北アメリカ、このア メリカ大陸ですね、ここへの投資金額というのは約62億ドルございまして、決して少 ない投資ではないということがこれからは見て取ることができます。

    最後でございますけれども、同じ、先程申し上げました中国企業家委員会の資料 によりますと、中南米への投資、この2年間の投資を100といたしまして、どこの国に 主に投資が行われているかというのをまとめたのがこの表でございます。

    2010年はブラジル、アルゼンチンということがほぼ全てといっていいぐらい、99 %ですね、ブラジルが62.7%を占めるという状況でございますが、2011年になります とここにペルーが加わってまいりまして、ブラジル・ペルー・アルゼンチンといった ところが主な投資先ということになっております。まあコスタリカにつきましても、 わずか3%でございますが、投資が見られます。ちょっと早口で大変失礼いたしました けれども、以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    澤田様どうもありがとうございました。時間調整をいただきましてありがとうござ いました。それでは引き続きまして自動車部会に移らせていただきます。久保部会長 代理、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 自動車部会   久保晶 部会長代理

    自動車部会

    紹介にあずかりました久保でございます。今日これからの説明の内容ですけれども 、四輪車、二輪車、部品業界という順番でご説明いたします。

    最初に四輪業界の動向でございます。上半期におきまして二つの大きな政策変更 が四輪業界に影響を与えております。まずその第一でございますけれども、メキシコ とのFTAの改定でございます。急増するメキシコからの完成車輸入に対しましてブラジ ル政府がメキシコとのFTAの改正を要求し、交渉を重ねました結果3月に合意に至って います。で3月から発効されております。

    主な内容は輸入規制、メキシコからブラジルへの輸入規制で、前年比3割減です 。それから部品の現調率におきましては、現状30%のメキシコの現調率が義務付けら れておりますけれども、それが16年以降は40%までというふうな内容になっています 。これは3年間の今予定になっておりまして、これがブラジルの自動車業界の戦略に非 常に大きな影響を与えております。

    続きましてIPIの減税でございます。こちらは皆様ご存知かと思うんですけれど も、5月、今年上半期まで自動車の販売あまり伸びておりませんでした。まあ一般経済 の停滞というのを含めて、影響もあるんですけれども、自動車業界も伸びが緩んでお りまして、まあブラジル自工会の陳情などもありまして、雇用確保とメーカーの一部 負担というのを条件に5月21日に刺激策が実行されております。

    内容は以下のようになりまして、まあIPIの税率が5.5から約7%、逆にメーカー の負担の方としまして小売価格の1.5から2.6%の値下げということで、まあ消費者に とりましては7から大体10%近くの値引きと、を引き出しております。これは今月末ま での予定になっておりますが、延長するかしないかというのは、マスコミを非常に騒 がせておりますけれども、まだはっきりしておりません。

    それらを受けました四輪の販売台数の状況でございます。これは2010年までは非 常に順調に成長しておったんですけれども、11年にやや伸びが鈍化しまして、今年の 上半期は171.702万台ということで、前年同期比でいいますと約99%ということになり ます。単純に倍しますと、343万台ということで、前年割れなんていうことも想定され るんですけれども、先程のまあIPIの減税導入後、市場ちょっと戻っております。次お 願いします。

    これが昨年からの月度別の販売台数でございます。これが、棒グラフが販売台数 で、ちょうど1年ぐらい前から、これ対前年100%という線でございます、青いのが前 年比ですけれども、ちょうど1年ぐらい前から前年割れがほとんどという状況でござい ました。ただ先程ご報告しましたIPIの減税後、6月には市場急回復しまして、まあ確 実な状況という位置づけになります。オレンジが輸入車の前年比でございます。こち らは昨年末のIPIの増税が新たに発表されて継続しているということ、それから先 程のメキシコからの輸入が減っているということがありまして、減少傾向にございま す。

    それを踏まえた在庫でございますけれども、今年年初から、これ台数でございま す、先程も説明ございましたけれども、ピーク時には40万台ほどの在庫がございまし た。日数にしましても43日ほどということでございましたが、IPI減税後は台数・ 日数とも減少する傾向でございます。

    続きましてブラジルの特徴でございます1リッター車の販売状況でございます。 かつては7割強あったんですけれども、どんどんどんどん減っております。大きくはや はり1リッター未満の特別減税が終わったということ、それから消費者の方がより、1 リッター超の排気量を望んできたということもありまして、まあ昨年からは5割を割っ ているというような傾向でございます。

    続きまして、四輪車を買っていただくお客様の支払い形態でございますけれども 、下からリース・ローンとございます。リース・ローンを入れますと大体50から60% ぐらいで推移をしておりますが、特に近年ローンの方の比率が高まっております。

    これは自動車だけではございませんで、クレジット、要はローンの全体金額でご ざいます。これはブラジルのGDPの約半分に相当するというような勢いでどんどん ローン販売が拡大しています。うち、この部分は自動車ローンでございまして、自動 車ローンも全体ほどではございませんがやっぱり着実に増えてきているというのが見 て取れます。

    反面ですね、先程もありましたけれども、支払い不履行、これが昨年でいいます と、額でいうところ、それから率でいうと5%ということで最高になり、6月には6%を まーくことで、5月よりは落ちているんですけれどもやはり高い数字にあることは間違 いございません。で、昨年まで、例を出しますと、頭金ゼロ、支払い回数は60から84 回ということが大体主流でございましたけれども、今サンプルで見ますと、大体頭金 が4割、支払い回数は40カ月ということで、合格率も大分落ちてきているというような 状況でございます。

    続きまして生産でございます。生産もやはり国内販売の動向等に似ておりますけ れども、10年までは伸びてきて、11年に鈍化し、今年も上半期は落ちておりましたけ れども、先程のIPI減税等の刺激策の影響もあり、今年は何とか102%、前年比102 %ぐらいで行く予定でございます。

    ということを総評しまして、四輪車の今年の見通しでございますけれども、国内 の販売ということでいいますと373万台ということで、103.8%。これは過去最高には なります。輸出は伸び悩んでおります。生産はまあ販売に準じて微増と、102%という ようなことで、上期は相当落ち込みましたけれども下期は回復傾向ということで、通 年では若干のプラスというような見通しを今立てております。

    続きまして二輪でございます。これは高さですけれども、濃い方が二輪の生産、 ここの数字が通年の販売台数でございます。こちらから水色の方が上半期の生産台数 と販売台数です。ご覧になっていただくと分かるように、今年は販売が前年比87%、 生産も約90%ということで、まあ四輪同様に落ち込んでおります。

    これも二輪のお客様の支払い形態別でございます。こちらは、まあコンソルシオ というのが多数を占めておったんですけれども、近年、やはりこちらもローン、ファ イナンスが増えてきておりました。ところが四輪同様、ファイナンスの引き締めとい うそういう状況になっておりまして、今年の上半期でいいますとローンの比率が下が ってきているというような同じような状況になっています。

    月度別に見ますと、やはり3月ぐらいから改善・値上がりを繰り返しておりまし て、ちょっと6月に至っては77%ということでここはファイナンスの引き締めの影響が 相当出ているというふうに見ています。ちなみに通年の予想でございますけれども、 昨年が205万台に対して、今年は180万台ということで、二輪は突然値上がりをするん じゃないかというふうに業界では、自工会では見ております。

    最後に部品業界でございます。簡単でございますけれども、昨年、一昨年までの 数字でございます。まあ10年は輸出が伸びたということで、かなり伸びましたけれど も、11年はやはり鈍化しています。それでも900億レアルという過去最高の売上という ことで、伸びているのは伸びているという状況でございます。

    以上、簡単ではございますが、説明といたします。どうもありがとうございまし た。

    司会
    久保様どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、次にコマを進め させていただきます。機械金属部会、西岡部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 機械金属部会     西岡信之 部会長

    機械金属部会

    機械金属部会の西岡でございます。それでは機械金属部会、まあいろんな業種がご ざいますので、ここに書いてございますように、鉄鋼、電力、プラント機器、建設機 械、産業用圧縮機、農業機械、各種切削工具、機械部品、潤滑油、こういった分野に 分けてお話をさせていただきたいと思います。

    まず鉄鋼ですが、上期の回顧といたしまして。国内の粗鋼生産量ですが、上期は 1739万トン、これ前年同期比でマイナス2.5%。一方国内の販売量といたしましては上 期で1109万トン、前年同期比でプラス1.8%。したがって上期の生産はまあ経済活動の 減速等により減少しまして、販売量の方は逆にちょっと増えていると、まあこんな状 況でした。

    その中で輸出について見ますと、6月までがなくて1月から5月の統計になります けれども、439万トン、これは前年同期比でマイナス5.2%と減少しております。中身 ですけれども、半製品が363万トンと大体8割ぐらいを占めています。で鋼板類が65万 トン、条鋼類が40万トン、二次製品が6万トンと。まあしたがって輸出というのは、鉄 鉱石から少し形を変えたスラブとかインゴットとかまあ半製品がほとんどという構成 になっています。

    輸入の方につきましても、やはり1月から5月の統計ですが、161万とこれは前同 期比でプラス14.2%とかなり増加をしております。中身の方は鋼板類が86万トン、条鋼 類が52万トン、2次製品が21万トン。つまりブラジルの構造というのが、鉄鉱石とか 半製品とか、まあ原料を輸出して、逆に鋼板類とか製品、加工度の高いものを輸入し ていると、まあこういう構造になっております。

    それでは下期の展望でございますが、国内の粗鋼生産量としては、現時点の予測 では 3600万トン。まあこれは過去最高の去年の3520万トンから増加はしているんです けれども、まあ年初は実は3750万トンという予測をしていましたので、これからかな り減少しているということになっています。

    輸出につきましては、まあ鋼塊、スラブですね、それから半製品の輸出、これは 引続き高水準で推移すると見ております。一方、鋼板類、製品類といったところは、 まあ欧州危機等の影響で横這いあるいは減少していくものというふうに見ています。

    輸入につきましては、昨年並みの水準で推移するか、あるいは、まあ景気の具合 によりますけれども若干減ることもあり得ると、まあこんなふうに見ております。ま あ希望を込めてですね、ブラジル政府の国内産業保護とレアル安で下期の需要回復に 期待するというのが鉄鋼の状況でございます。

    続きまして電力と社会インフラでございます。上期につきましては、ペトロブラ スの大型投資が継続されまして、経済のけん引役、原動力としてまあ波及効果が大で ございました。ただ、プレサル等の上流部門に偏っておりまして、まあ造船なんかの 投資には積極的なんですけども、プラント機器への投資としてはまだ不十分という状 況です。

    それから、電力関係では昨年ペトロブラスが2016年までガス供給を保証しないと いう発表を行っておりまして、ガス火力の入札はほぼ停止をしております。送電関係 についても、需要は低迷をいたしました。それからインフラ関係ですけれども、大型 プロジェクトは入札が遅れておりまして、まあ高速鉄道も昨年スキームを変更してか ら上期では進展はございませんでした。サンパウロメトロはまあ工事を再開しており ます。

    下期の展望でございますけれども、ペトロブラスの大型投資は、まあご存知のよ うに計画に対して実施率がかなり低いということになっておりますけれども、まあ額 そのものが大きいので、引続き国内経済の牽引役としての期待が大ということでござ います。

    それからブラジルの造船所への日本の造船メーカーの協力が具体化してまいりま す。まあこれによって、今色々トラブルが起きている造船が本格化して船ができてく れれば、舶用機械の需要が増えてくるのではないかというふうに期待をしております 。

    それからガス火力については、A-5電力オークションでガス火力の応札の見込み がありませんので、全体には低調というふうに予測をしております。それから送電関 係でも低迷が継続するものと予測をしております。

    高速鉄道は上下分離での入札が年内に発照する見込みでございまして、その他の 都市交通、それから道路、交通拡張等の社会インフラ関係もまあ進展する見込みでご ざいます。まあこれは先程近藤会頭の挨拶の中でも触れられていました、まあ8月15日 にジルマ大統領が発表した大きな額のインフラ整備というものが進んでいくものと期 待をしております。

    続いてプラント機器でございますが、上期の回顧といたしましては、まず紙パル プ業界。この業界はかなり国際競争力のある業界でございまして、まあ新興国の需要 拡大に支えられまして各社とも設備投資を進めてまいりました。

    石油化学業界につきましては、まあペトロブラスの設備投資は相変わらずなんで すが、まあ意欲があっても遅れが顕著と。それから鉄鋼・非鉄業界、この業界につい ては先程の鉄鋼でも触れましたけれども、まあ国際競争力が低下しているということ で、ブラジルでの製鉄所案件、これは軒並み中止または延期になっております。

    それからエタノールにつきましては、これも砂糖価格の影響で生産コストがまあ 上昇して、競争力が低下しております。したがって設備投資には動いていませんでし た。セメント業界につきましては、ワールドカップ、オリンピックに向けての設備投 資を積極的に行ってまいりました。

    続いて下期の展望ですが、紙パルプ業界につきましては今後10年で生産力は約倍 増する見込みで、大型ソーダ回収ボイラー等の案件が出てきております。石油化学業 界につきましては、まあペトロブラス向けの商談は今後も好調な見込みでございまし て、ペトコーク焚ボイラー等の具体化が期待をされております。

    鉄鋼・非鉄業界、こちらについては、世界的には供給能力の過剰ということと、 まあ競争力の減退ということで、下期での好転は期待できないものと考えております 。エタノールにつきましては、まあ業界の競争力向上のためにBNDESの融資枠というの が拡大してあるんですけれども、まあ先程申し上げたように生産コストが上昇してお りますので、こちらについてはやはり期待薄かなと。それからセメント業界について は、あいかわらず好調で、まあ排熱発電設備等の販売拡大が期待されております。

    続いて建設機械です。上期につきましては、総需要台数が第1クォーターで2198 台、これは、一昨年ですね、2010年比でマイナス4%。2011年比、昨年比でいきますと 、マイナス14%ぐらいになります。それから第2クォーター、これはまだ第2クォーター 全部が出ておりませんけれども、4月5月の統計で1698台。これもやはり前年同期比で いうとやはり減少傾向になっております。したがって、6月を入れて、第2クォーター は、見込みでいいますとマイナス20%ぐらい昨年比で減少するものと見ております。

    全体といたしましては、まあ経済全体が停滞したということに加えまして、公共 工事あるいはその社会プロジェクトの遅延によりまして総需要は減退をいたしました 。また、先程から二輪四輪で話が出ておりますけれども、銀行の融資姿勢も厳しくな っております。したがって全体として減ったと。ただまあ鉱山用の建設機械について はこれは堅調に推移をいたしました。

    続いて下期の展望でございますが、総需要台数としては、12年トータルで1万400 台というふうに見られておりまして、昨年の11214台に比べて8%の減少となる見込みで ございます。まあ中長期にはワールドカップ、オリンピックをにらんだインフラ関係 工事による需要増が期待されておりますけれども、目先、年内は需要の減退が継続す るものと予想をしております。

    産業用圧縮機です。上期につきましては、食品業界では上期で前年同期比マイナ ス30%という結果になりました。これはビール、清涼飲料水等の飲料業界の設備投資そ のものは堅調なんですけれども、まあ昨年ほどには伸びなかったとそれから鶏肉につ きましては、日本市場でのだぶつき、それから為替の影響によりまして、鶏肉産業の 設備投資というのはまあ大手の企業のみで、まあ鶏肉・牛肉・豚肉いずれも苦しい状 況でございました。

    ぺトケミ業界につきましては、昨年比プラス30%ということで、ようやくペトロ ブラスのプレサル案件がまあ動き始めまして、プラットフォーム計画が進んで重要が 出てきたという状況でございます。飲料業界の伸びを受けまして、CO2の製造装置、そ れから冷却設備、この辺の受注が好調でございました。

    下期につきましては、食品業界についてまあ昨年同期比でプラス30%、これはか なり期待を込めてですけれども、予想をしております。これは飲料業界では引続き設 備投資案件があり、継続した引合いがございますので、まあ昨年よりは伸びるだろう と。それから鶏肉業界、それから牛肉・豚肉業界、これらはいずれも大手のみの設備 投資でございますので、いずれも低調と。でこれ以外の業界に期待をして販売をかけ ていきたいということでございます。

    ペトケミ業界につきましては、昨年比プラス20%を予想しております。これはま あプレサル案件がかなり上期で出ましたけれども、まあ2012年としてはほぼそれで終 わっておりまして、まあ年内の受注というのはあまりないと。逆に引き渡しが年内に 来るというような状況でございます。それ以外のケミカル業界ではガス圧縮機の受注 に期待をしております。

    続いて農業機械です。まずエンジンビジネスにつきましては、昨年比台数でプラ ス3%、金額がプラス4%とほぼ同じようなレベル。農業用の4輪車向け多気筒エンジンの 販売が伸びましたけれども、一方で単気筒エンジン販売というのが昨年同様に低迷を いたしました。

    トラクタービジネスにつきましては、昨年比マイナス1%、これは台数レベルでご ざいますが、とほぼ同レベルでございます。小規模の農家支援策というのが継続され てはおりますけれども、小型トラクターにつきましてはほぼ農家に行き渡ったという 感じがございます。小型建機のビジネスにつきましては、昨年比マイナス5%、台数ベ ースでございます。

    下期につきましては、まずエンジンビジネスですが、下期のエンジン販売は農業 用4輪車向け多気筒エンジン等の好調維持で若干の回復を期待しております。一方で単 気筒エンジン販売につきましては、これは安価な安い中国製エンジンの流入がありま して、低迷が継続するものと予想しております。トラクタービジネスにつきましては 、下期の小型トラクター販売が昨年とほぼ同じレベルという予測をしております。小 型建機ビジネスについては、下期は若干の伸びを期待しております。

    それから各種切削工具その他でございますが、まず上期につきましては、切削工 具については2月までは堅調でございましたけれども、それ以降はまあ自動車販売の伸 び悩みによりまして、上期全体としては昨年同期に比べて低迷をいたしました。ただ 耐摩耗工具、それから鉱山用工具については堅調に推移をいたしました。ねじ切り工 具につきましては、これはアメリカへの輸出をしておりまして、アメリカでの販売好 調によりまして輸出が昨年同期比プラス70%と進捗をいたしました。セラミック部品等 につきましては、一般消費者向けは昨年比でプラス20%。ただしプラスチック成型品、 これは自動車向けが主体ですけれども、マイナス13%、縮小でございました。

    下期につきましては、切削工具では自動車販売の大幅な伸びが期待薄でございま して、上期よりも好転するものの大きな改善は期待できないものと予測をしておりま す。耐摩耗工具、鉱山用工具、これらは堅調を維持するものと予測をしております。 それからねじ切り工具につきましては、輸出が更に伸びまして、国内販売も上期から 若干は回復するものと予測をしております。セラミック部品等につきましては、一般 消費者向は下期も増加するものと見ておりますけれども、増加率は上期に比べて下が るものと予測をしております。

    次に機械部品・計測器具でございます。上期につきましては、チェーンでは2011 年比でプラス20%。これはまあ食品包装機械展示会への出展等により知名度がアップし て販売が好調だったと。軸受につきましては、自動車・二輪車向けはメーカーの生産 が減少したため売上が減少しております。農機・産業モータ向けは昨年と同レベルで 堅調に推移をしております。ただしメンテナンス用というのが大幅に減少をいたしま した。計測器具につきましては、まあ上期の中で波はあったものの、結果的にほぼ昨 年同期と同じレベルというふうになりました。

    下期の展望ですが、チェーンにつきましては本格的な在庫販売の開始、北東部等 の代理店強化、特定業界への売込み強化、こういったところで更に伸びるものと予想 しております。軸受につきましては、下期での自動車販売の好転、および日系自動車 メーカーの現地生産開始等で、下期では売上増を期待、まあ予測といいますか期待を しております。農機・産業モーター向けはまあ横這い。メンテナンス用は低迷が継続 するものと見ております。計測器具につきましては、レアル安での輸出環境好転等に より下期では増加するものと予測をしております。

    次に潤滑油と金属加工油ですが、上期の回顧につきましては、潤滑油では市場全 体としては昨年同期比プラス4%で堅調に推移しております。ただし、その中の工業向 けでは昨年同期比マイナス2%と落ち込んでおります。またベースオイル生産につきま しても、在庫調整等がありましてマイナス8%と低下をいたしました。金属加工油につ きましては、昨年同期比でマイナス10%。主要なお客様であります自動車部品製造業で 自動車の販売低迷により生産量が減少して、金属加工油の販売量が減少をいたしまし た。

    続いて下期の展望につきましては、潤滑油では自動車バイク用等、これらは経済 動向次第でございますが、ほぼ同レベルを予測しております。工業用潤滑油について は大きな伸びが期待できません。高機能ベースオイルの輸入についても減少を予測し ております。金属加工油につきましては、2012年の通年予測としてマイナス5ないしマ イナス10%を予測しております。下期にも自動車生産の大幅な増加は期待できませんの で、下期は概ね昨年同レベルという予測をしております。

    以上が各部門別の回顧と予測でございまして、機械金属部会全体として見た回顧 と展望をご報告いたします。

    まず上期につきましては、自動車等の一般消費者向けの製品の販売が低迷したた めに、これらへの部品・材料供給が低迷ないしは減少をいたしました。これは主とし て、先程から話に出ている欧州財政危機による世界経済低迷、それからレアル高、こ ういったものが効いたものと考えております。

    一方で、遅れていたペトロブラスの大規模投資、それから社会インフラ投資、こ れらが本格化しつつありまして、まあ好調なパルプ業界の投資もあって、一部ではご ざいますけれども大型設備の投資案件が動き始めました。また、日本造船界のブラジ ル進出が本格化しつつなったということでございます。

    それから下期の展望でございますが、政府・中銀が金利を下げて、レアル安への 誘導を行って国内産業の保護を強めておりますけれども、まあ内需の大幅な伸びとい うのはやはり期待できないのではないかというふうに見ておりまして、農産品の価格 上昇が内需に良い影響を与える可能性がある一方で、まあ国際的な景気減速が内需に マイナスの影響を与える可能性もありまして、予断を許さないものと考えております 。

    一方で、社会インフラ関係・プラント機器関係では、遅れてきた案件で実現する ものが出てまいりまして、これらではまあ下期に大型受注の可能性があると考えてお ります。また、造船関係での進出が本格化してくるというふうに考えております。以 上で機械金属部会の報告を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました 。

    司会
    西岡様どうもありがとうございました。それでは続きまして、電気電子部会にお願 い致します。篠原部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 電気電子部会        篠原一宇 部会長

    電気電子部会

    皆さんこんにちは。電気電子部会の篠原です。

    本日の発表内容でございますけれども、上期の回顧と下期の展望に、業界のお話 を若干追加させていただきたいというふうに思います。次お願いします。

    電気電子部会はですね、約30社の登録会社様がございまして、アンケートでこの 上期の回顧についてお願いしましたところ、大半の方から回答をいただけまして、な おかつですね、事前の準備会議にもご参加いただいて非常に貴重な情報等をいただき まして本当にありがとうございました。

    業種が、電気電子部会の中でも様々でございまして、それをまとめるのは非常に 難しいんでございますけれども、こういった方たちになっておりまして、かなり、赤 色が強い、要するにまあポジチブ要素、それから青い色のポジチブ、赤のちょっと、 まあネガチブとは言いませんけども、そういう観点で見ますと、色のバランスからい くと上期はかなり、まあ低迷とは申しませんけれども、伸び悩みがあったと。まあマ クロ経済色々とすでにご説明がありましたけども、そういう要素でですね、市場はか なり、今までのピッチの伸び方にかなりブレーキがかかったということが言えるんじ ゃないかなというふうに思います。

    市況の主な要因としましては、電気関係もですね、IPI税、要するに消費の刺激 策、まあ白物は昨年度からIPI税率を10%ダウンして消費を伸ばし雇用の維持を図ると いう政策がございまして、まあ8月末に切れるんですが、それがやはり需要を維持した と。それを政府として、そういう恩恵を出す必要性があったということでですね、市 場は数量的にはかなり維持できたというような結果が出ております。

    それから、やはり中国製品で低価格の商品がかなり出回りまして、これは完成品 および、中間財といいますか材料にも起こることなんですけれども、そういうデータ が、MDIC、通産省の方でございまして、その内容を見ましても、かなりこの上期はボ リュームが急増していると、前年比ですね、そういうことが見られます。

    それからですね、主には、為替の変動がやはりコストアップになりまして、まあ 電気製品はご存知の通りそのコストアップを売価に転嫁するというのが非常に難しい 要素がございまして、転嫁どころかですね、プライスエロージョンが引き続き起こる というような類のですね、品目を我々は取り扱っているという要素がございます。ま あ販売の実績・業績評価の面では、通信インフラの分野、これはやはり市場が拡大し ているということがございます。

    それと、企業努力で国内のパートナーを見つけられて、事業の拡大をやられてい るというメーカーさんがございます。ということで、上期は、回答いただきましたア ンケートの結果としまして、販売の実績は67%が拡大していると。まあ人員はですね 、ほぼ、増員と維持が同じような感じですね。投資はですね、維持が67%で拡大が33 %。昨年度と比べるとやはり、拡大という回答を出された会社の比率が減っていると いうことが言えると思います。次お願いします。

    まずマナウス製品の生産状況をご説明いたします。これはSUFRAMAから出ており ます1月から6月までの生産実績。まあ生産と需要と同じような見方をしていただけれ ばいいと思うんですが。テレビでございますけれども、テレビはご存知の通り薄型に 移行しておりまして、ブラウン管テレビというのが去年は、これは1-6ですけれども、 去年もですね、需要はブラウン管というのはすでに270万台レベルぐらいに落ちており まして、それがですね、今年はおそらく100万ぐらい、100万を切るぐらいの数になる と思います。

    それに比較しまして薄型の方はですね、去年は1130万台ほどで、今年は1400万で 、テレビの2012年の総台数は1500万ぐらいの数になるであろうということですね。昨 年の1400万に比べて100万台ほど増えるという見通しが立っております。

    それから、下の方に電子レンジとエアコンというのがございますね。電子レンジ も中国からの輸入がかなり増えておりまして、これは伸び悩み。それからエアコンで ございますが、エアコンは昨年度の末にですね、中国からすごい量の完成品が入りま して、これが何と40%に下がっておりますね。

    まあそういうことが起こりまして、南の商品に対してはIPIを下げてボリューム を稼ぐといいますか増やすという政策がとられたわけですけども、逆にマナウスのこ の二つのアイテムはIPIと輸入税を上げてですね、中国からの輸入に対抗するという政 策がとられまして、その税率が上がるのが9月1日からなんですね。ですからこの効果 は、効果といいますか、下期は若干改善される要素としてあります。まあ売上の金額 等々はよろしいですね。雇用は同じようなレベルで推移しております。次お願いしま す。

    次は白物関係なんですけれども、先程のマナウスはエレクトロニクス商品が主体 ですね。白物はほとんどマナウス以外といいますか、南部の方で生産されております 。まあブラジルの白物はですね、日本の冷蔵庫と洗濯機とエアコンの3品目にプラスし てブラジルの場合はガスレンジの需要が非常に大きいという要素があります。まあ冷 蔵庫は大体年間600万台の需要なんですね。上期は12%伸びたという数字。これは、IPI の率のところがずれておりますけれども、冷蔵庫は元々15%のIPIなんですね。それが 5%に今下がっていると、8月の末まで、ということなんです。

    洗濯機はですね、この数字はオートマチックの台数上げで、年間需要は約600万 台です。オートとセミオートを入れますと。ブラジルの洗濯機の600万台というのは、 これは、出張などをして色んな方とお話をしますと、今電気製品であなたはどういう ものを買う予定をされていますかという質問を女性にしますと、かなり洗濯機が欲し いという方がおられるんですね。ブラジルとインドの比較をしますと、インドはあれ だけ人口が多いんですけれども、洗濯機の需要というのはブラジルの50%です。

    まあこのIPI税に関しまして、ちょっと下に書いておりますけれども、これ税金 の交渉をする時にですね、政府と業界とそれから最近は労働組合が入っておりまして 、労働組合から、そういうその恩恵を与えるのはいいんだけれども、とにかく国産部 品を、強制的にですね、この恩恵に対する条件として、ローカルコンテンツを上げる ようなプロポーザルが出ておりますね。ですからかなり話はややこしいということな んです。次お願いします。

    変わった写真が出てきましたけれども、これはあくまでも業界、要するにメーカ ー協会の資料をちょっと私もらってきまして、ブラジルの、要するに、これは白物で すから、ブラジルの白物はどういった努力をして、省エネとか製品開発をしてきたと いうちょっとお話をさせていただきますと。まず、洗濯機から行きましょうか。

    洗濯機ですね、この写真に近い洗濯機がですね、皆さんご存知かどうか知りませ んけど、南のポマローデというサンタカタリーナの町がありまして、ポマローデはブ ラジルで最もその、ドイツの文化がですね、根付いている、ドイツ語がかなり通じる 町がございます。その隣にチンボーという小さな町があるんですが、そのチンボーに ですね、Mieleという白物のメーカーがあるんですよ。で私は、ドイツのMieleかと思 ってその会社を訪問することにしたんですけれども、といいますのは、スティーブ・ ジョブス、アップルのスティーブ・ジョブズが若いころ、最も世界でデザインの素晴 らしい会社はドイツのミレだということで、そういうことが本に書いてあったので私 はミレを訪問したんですね。そうしますと、そのミレ会社の入り口のところにですね 、これに近い、写真といいますか、物がちゃんと置いてあったんです。これ以上です ね、鎖をつけて何かそのごっついあれなんですよね。1951年に作られたブラジルの、 ブラジル開発の洗濯機がありました。そのMiele社はですね、現在はフロントロードの 立派な洗濯機を作られているんです。この写真より立派な洗濯機を作られているんで すね。

    まあそういうことで、とにかく、大学の技術とかいうことも活用されてブラジル で立派な白物製品の開発をされておられます。そして、ブラジルの白物のメーカーと いうのはですね、やはり高い電気代のブラジル、それから家庭製品が、電気消費量の 約4分の1が家庭で使われているわけですね。だからその家庭で使われている電気の消 費の内訳というのは、80年代ではですね、3分の1が冷蔵庫、3分の1が照明関係、それ から3分の1がシャワー。今は当然その構成は変わっているかもしれませんけれども。

    ですからそういった電気製品の省エネが進みますとですね、冷蔵庫の場合はもう すでに80年代から半減しているという数字が出ています。そうしますとですね、電気 消費、家電の消費が半減することで全国の消費量の二桁、10%以上の省エネができると いう要素を持っていますので、例えば電気会社がですね、売り上げの1%を省エネに充 当しなくちゃいけないと、それは冷蔵庫の買い替えとかですね、そういうことを含め て省エネのプログラムを推進しなくちゃいけないという要素から、ちょっとこのお話 をさせていただきました。次お願いします。

    まあテレビは省エネというよりは、これもずいぶん古い写真ですよね、まあはっ きりしていますのは、CRTが薄型になって、29インチのCRTというのは大体40キロ近い んです、重さが。32インチですと8キロを切りますので、皆さんもショッピングセンタ ーに行かれたらよくあるじゃないですか最近、テレビをかついで車に持っていくとい うような、そういう事態になっておりますね。まあテレビの使い方が、基本的にです ね、まあ端末とは申しませんけれども、色々な、スマートテレビとしての使い方です ね、というふうに変わってきているということですね。次お願いします。

    それから、通信分野で、下の方にapagãoと書きましたけれども、日本でいるじゃ ないですか、招き猫、招き猫はこうしているんですけれども、ブラジルの場合はまあ 電気代が高い、それから送電にすごくロスがあると。送電のブラジルのロスは15%で 、世界の平均の倍と言われているんですけれども、その中にやはり盗電もあると。で すから、マナウスとか地方に行かれますと、電線にガットという、ガットというのが ここの盗電の意味なんですが、ガットは猫なんですね。まあそういうことがですね、 通信はすごく伸びておりまして、民営化されてすでに14年になるんですけれども、販 売は4倍ほど上がっているんですかね、14年ほどで。それに対して投資がやはりついて いっていない。

    テレビのことをもう一度お話しますけれど、要するに、2億5600万ですか、のサ ブスクライバー、要するに携帯の使用者に対してですね、まあ日本とかヨーロッパで は1本のアンテナにつながれている携帯の数というのは約500本と言われていますけれ ども、ブラジルの場合はそれは5000本だと、10倍だというようなことでですね、ひと 月ほど前ですか、オペレーターがペナルティで営業をストップされたということが起 こった内容の記事がですね、Exameに載っておりましたので紹介させていただきました 。次お願いします。

    簡単に、リバースロジですが、要するに、2010年にですね、固形物廃棄処理法が 出まして、11年に細則が出まして、現在どうなっているかと申し上げますと、5つのテ ーマに分かれておりまして、その内容というのは家電であり、ランプであり、梱包材 であり、潤油、オイル、もう一つありましたね、そういうグループで細かいスキーム に関して検討されているということですね。

    ですから、その中でひとつ面白いなと思いましたのは、ランプの関連のテーマグ ループではですね、新しい税金を設けて、要するにランプを購入される方にはリバー スロジのコストをオンしてですね、販売するという結論がそのグループから出ており ます。それが通るかどうかは別としてですね。まあ他のグループは色々検討しており ますけれども、やはり消費者様とですね、それから流通、メーカーのそれぞれの責任 と負担のところで折り合いがまだ中々つかないというのが現状でございます。

    サンパウロ州も家電関係ではサンジョゼ・ドス・カンポスとソロカバの二つの町 をパイロットプランの町として設定してですね、リバースロジをやってみようという イニシアチブが、まあこれは案として出ておりますけども、実際にそうなるかどうか ははっきりしておりません。次お願いします。

    GINGA、GINGAと申しますのは、カポエイラの動き、こう右に行くか左に行くかと いう相手を惑わすような、ある程度ブラジルの北部の文化を象徴していると思うんで すけれども、要するにデジタルテレビ化されまして、要するに双方向性ミドルウェア を強制的に搭載すべきだというのが政府の指導でございます。

    デジタルテレビは現在のカバー率が大体46%ほどなんですよ、全国で。まあおそ らくインストールベースで8000万台ぐらいのテレビがあるかと思いますけれども、デ ジタルテレビにはそのチューナーですね、ビルトインのチューナーあるいはセットト ップボックスを付けないと見れないんですけれども、まあ大体今までメーカーが生産 してきました累積生産台数と言うのは大体2000万台なんですね、この上期で。それと 、そのカバー率が46%ということで、まだまだ、まあ2016年に完全にアナログがなく なるわけですけれども、政府の焦りもこの中にございまして、早く全てのテレビに、 まあデジタルテレビのチューナーに関しては既に今年から100%マナウスで作られてい るテレビにはチューナーが付いているんですけれども、プラスそのGINGAを付けよとい うことになっておりまして、このGINGAに関しましてはその、テレビですか、T-safeと かですね、それとかT-learningとか、そのTを色々付けてですね、GINGAを色々活用し なさいという指導が入っております。次お願いします。

    要するに下期は、上期の赤っぽい資料から少し、各社様が、ほとんどの回答にも ございますように、ほとんどの会社様が下期は販売は拡大を見込めるというデータを いただきました。まあワールドカップとかオリンピックとかですね、大きなイベント ももうかなり動き始める気配でございますので、ビジネスチャンスを生かして事業の 拡大を図る努力が必要じゃないかなというふうに思います。次お願いします。

    もう終わりですね。とにかく家電商品というのは今、家族の絆を高めるとかいう 要素も持っておりますので、一緒にテレビを囲んで団らんするとか、料理を一緒に楽 しむとか、アミーゴスを呼んで目と目でお話するとかいうことを、まあそういった生 活環境、生活レベルの貢献に役立てればですね、非常にメーカーとしてはありがたい なというふうに思います。どうもご清聴ありがとうございました。

    司会
    篠原様どうもありがとうございました。それでは、これまでの前半の範囲の中でご 質問ですとか、コメントですとか、頂戴できればと思いますが、ご参加の皆様からい かがでしょうか。かしこまりました。それではこれで一応前半とさせていただきます 。残る6部会の皆様にはコーヒーブレイクの後プレゼンテーションをお続けいただきた いと思います。後半の開始は当初予定通りの午後4時スタートということでお願いした いと思います。どうもありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします 。

    (コーヒーブレイク)

     

     

     

  • 司会 澤田吉啓 企画戦略委員会委員長

    皆様、時間通りお戻りいただきまして誠にありがとうございます。大変司会進行と しては助かります。後半司会進行をさせていただきます、企画戦略委員会の澤田でご ざいます。引き続きましてよろしくお願いいたします。それでは早速でございますが 、後半は6部会から発表いただきます。最初でございますけれども、貿易部会でござい ますが、伊吹部会長様からお願いいたします。

     

     

     

  • 貿易部会 伊吹洋二 部会長

    貿易部会

    今年4月から貿易部会長を務めさせていただいております、丸紅の伊吹と申します 。よろしくお願いいたします。では早速ですが、12年上半期、ブラジルの貿易動向に ついて発表させていただきたいと思います。

    まず上半期の貿易額の推移をご覧いただきます。左の青の棒グラフが輸出額、右 の紫の棒グラフが輸入額で、折れ線グラフが貿易収支になります。グラフ左の目盛が 輸出入額、右の目盛が貿易収支の額となっております。リーマンショック直後、09年 の上半期以来輸出入とも増加が続いておりましたが、2012年上半期では輸出・輸入い ずれも前2011年下半期をこの段階で下回っております。ただし、前年同期であるここ の11年上半期、こちらの12年上半期と比べますと、輸出は減少、輸入は増加するとい う結果になっています。以下、前年同期比ということでですね、さらに詳細を見てい きたいと思います。

    これより輸出・輸入の取引形態ごとにそれぞれ違った角度からご説明させていた だきます。まずは輸出に関してですが、12年上半期の輸出総額、1172億ドルは、前年 の1183億ドルから0.9%の減少となっております。カテゴリ別に見ますと、表に記載の 通り、一次産品が562億ドルから558億ドルへ0.6%のダウン。半製品が162億ドルから 152億ドルへ5.8%のダウン。工業製品が434億ドルから433億ドルへと0.2%のダウンと いずれも減少しています。景気の冷え込みの要素が目立ちまして、レアル安の影響が あまり見られない結果となったと言えます。

    次に商品別で主な項目についてご説明差し上げます。

    まずは第一次産品ですが、こちらの鉄鉱石の落ち込み、19.1%が目立っておりま す。最大の輸出国である中国が前年同月比20.4%減を記録しております。2位の日本向 けも同23.4%減となっております。次に大豆の輸出ですけれども、前年同期比33.5% 増となっております。その要因は、最大の輸出先の中国向けが前年同月比45.5%を記 録したことによります。やはり最大の輸出国である中国の動向が大きく影響している ことがここで裏付けられます。次に工業製品ですが、こちらの段に参ります、0.2%と わずかにダウンしております。自動車・トラクター部品の減少が目立ちますが、一方 で燃料や航空機は二桁成長を見せるなど、好調な製品も存在します。

    それでは、輸出の最後にですね、相手国別輸出額についてご説明いたします。輸 出相手上位10カ国はこの表の通りでありますが、輸出相手国第1位の中国は2009年以降 その地位を継続しております。シェアも年々増えておりまして、11年上半期には16.9 %だったシェアが、今季はここに18.1%まで増加しております。

    2位のアメリカですが、順には変わっていませんが、シェアは11年度上半期9.9% から、ご覧の通り11.7%まで増加しております。金額も前年同月比17.4%増の137億ド ルです。主に原油輸出が伸びたものです。一方3位のアルゼンチンですが、同国の打ち 出した輸入規制施策もあり、自動車部品や大型貨物自動車の二桁の減少が目立ちまし た。また、日本も13%の減少となっておりますが、後ほど対日貿易というくくりでご 説明いたします。

    そのほかに増減の大きなところは、ドイツの18.7%ダウン。これはコーヒーや鉄 鉱石の減少によるもの。インド、97.9%アップ。これは原油の増加のようです。ベネ ズエラの31.8%アップは肉、牛肉関係、鶏肉製品の増加によるものです。

    このスライドは全輸出総額における地域別シェアを示しております。緑色の表記 の中国を含むアジア向け金額が30.6%。ピンク色の中南米・カリブが20.8%。黄色で 表しておりますEU諸国が20.4%となり、全体のおよそ7割を占めています。この構図は 近年大きく変わっておりません。

    そして次に来るのが、11.8%のブルーの米国でありまして、ブラジルの米国への 依存割合は決して高くないことがここで読み取れると思います。シェアの割合は変化 しているものの、ブラジルの輸出先はこのように地域に分かれておりまして、バラン スが取れた状況になっていることがこのパイグラフよりお分かりいただけると思いま す。

    アジア向けは鉄鉱石と大豆で過半を占めておりまして、他には原油や鶏肉も上位 を占めます。中南米・カリブは鉄鉱石や原油、燃料のほか、航空機、鉄鋼製品、食肉 など多様です。EUは鉄鉱石、大豆、原油、コーヒーといったブラジルの主要輸出品が 上位に並びます。東欧の大幅減はロシア向け砂糖輸出の落ち込みによるものです。

    次に輸入についてご説明いたします。12年上半期の輸入総額は1101億ドル。前年 度1053億ドルから4.6%の増でした。輸出が減少し輸入が増加したため貿易収支が減少 する結果となっております。カテゴリ別では、資本財が5.6%増の240億ドル。原料・ 中間財が0.4%増の481億ドル。消費財が5.1%増の192億ドルとなっています。

    輸入を商品別に見ますと、目立ちますのが、この一番下なんですけれども、燃料 および潤滑油の14.6%増、24億ドルの増加となっています。一方で減少要因としては、 耐久消費財で、乗用車にて4億ドルほどの減少となっています。乗用車の7.1%の減少 が耐久消費財全体のマイナスの要因ともなっています。一部輸入車に対する工業製品 税の35%引き上げの影響が出ておるようです。

    次に輸入を相手国別に見てみたいと思います。輸入相手国上位10カ国は表の通り です。若干先程の輸出国とは違った入り込みがあるようですけれども、11年上半期ま では米国が1位でしたが、今期初めて中国が161億ドルと、米国の160億ドルをわずかな がら上回っております。

    中国からの輸入増加の主な項目としては、携帯電話部品、パソコン、パソコン部 品などが挙げられます。米国からの輸入をけん引しているのは燃料です。3位のアルゼ ンチンは7.8%のマイナスとなっており、自動車や小麦の減少が目立ち、4位のドイツ と僅差になってきました。韓国の減少は自動車輸入減が主な原因です。ナイジェリア の減少分は原油の輸入減に起因しています。40.7%と飛躍的に伸びている8位のメキシ コですが、主に自動車の増加です。9位フランスはヘリコプターの増加、10位インドは 燃料の増加によりそれぞれ大きく伸びています。

    では、次に輸出同様に地域別シェアについてご説明いたします。緑で表記のアジ アからの輸入が地域別では最も多く31%。その後ピンクのEUが21。次に黄色の中南米 ・カリブが17。米国が15と続きます。アジアからの輸入商品は多様ですが、半導体や 自動車、自動車部品、機械部品、燃料等が中心になります。欧州は医薬品や自動車、 自動車部品などです。中南米・カリブはアルゼンチンとメキシコからの自動車が最も 多く、続いてボリビアからの天然ガスや、アルゼンチン、ベネズエラからのナフタも 上位に来ます。

    次に対内直接投資についてご説明いたします。左側のグラフですけれども、半期 ごとに見ますと、12年上半期は前年同期比および前期と比べても実績は下がっており ます。金額は11年が322億ドルから5億ドルダウンしまして、270億ドルとなっています 。すいません、ちょっと数字が間違っていますね。日本も66.7%減の大幅減となってお ります。

    右の表では各国別の投資額を記載しておりますが、ご注意いただきたいのは、こ の数字は先程もお話ありました通り直接投資ベースになりますので、低税率国を経由 した間接投資の場合などはその当該経由国の投資額となり、必ずしも実態に即さない 形になっているという点です。すなわち、オランダ、ルクセンブルグ、ヴァージン諸 島など、上位の国には低税率国が多くなっております。オランダ、スイスなどは税制 優遇を狙いとしたSPCやファンドなどを通した投資であると推測されます。

    ご覧頂いている通り中国がこのリストの上位には入っておりません。これは中国 が第三国経由の間接投資を行っている可能性が高く、今の中国のブラジルへの進出具 合からいっても、実態としては上位に入っているというふうに考えられると思います 。

    国ごとの投資企業や投資分野のブレークダウンはないため、具体的な投資の中身 は確認できませんが、例えばここでチリが、去年はなかったんですけれども、入って おります。5.5倍もの増加になっておるんですけれども、これはLANとTAMの経営統合に よるものではないかというふうに推測されます。

    次のスライドは、直接投資の業種別の表になります。ブラジルで最も強みのある とされてきた、ここの一番上の農業・畜産・鉱業については最近は投資がそれほど行 われていないことが確認できます。最も大きな落ち込みは43%ダウンのサービス業へ の投資です。実体で777億ドルのダウンです。その中でも最も顕著な分野は55%、151 億ドルダウンの電気・ガスとなっております。

    一方、投資が増えている分野は、10億ドル増の食品です。2倍以上の伸びとなっ ております。こちらのラインですね。11億ドル増の医薬品では、次のラインなんです けれども、何と12倍と大きく増加しております。医薬品の伸びには今年5月に発表され た武田薬品による中堅製薬会社マルチラブ社の買収、約200億円も寄与しているかと思 われます。

    次に12年度対日貿易についてご説明いたします。まず左側が輸出品目を表してお ります。鉄鉱石がダントツで、構成比約40%を占めており、このダウンで4億ドルの落 ち込みとなっております。次が13%を占めるチキン、7%のコーヒーですが、それぞれ 28%、13%のダウンとなっております。全体では41億ドルから36億ドルへ13%の落ち 込みです。

    右側が輸入品目を表しております。圧延機およびそれら部品、この一番上のライ ンですね、ここがトップで伸び率なんと7万%強です。次に構成比7.7%の自動車・トラ クター部品が7.9%の伸びとなっています。全体としては40億ドルから42億ドルは2億ド ルの増、5.8%の増加となっています12年上期は輸出36億ドル、輸入42億ドルで、ブラ ジル側の貿易赤字となっていますが、11年上期は輸出41億ドル、輸入40億ドルで黒字 となっていました。

    では総括のまとめに入らせていただきます。11年度の総括で書いた記載なんです けれども、輸出が26.8%、輸入が24.5%、輸出入とも過去最大の大幅増でしたが、12年 度上期、前年同期比対比で輸出は0.9%減、輸入が4.6%増で輸入増加幅が大きく、貿易 収支は45%悪化しております。対内直接投資は過去最高の前年度から陰りが見えており 、12年度上期は16%のマイナスとなっております。対日貿易は輸出13%の減少、輸入は 5.8%の増加となっております。

    12年下半期の見通しですが、簡単に触れますと、踊り場に来ていると言われてい る経済を、現在行われているSelicの引き下げ、減税等各種景気刺激策がどこまで影響 を与えるかが最初の関心事項かと思われます。また、一時は1.5レアルまで行った対ド ルレートは2.05レアルを挟むまでに安くなりましたが、これが輸入を抑制し、輸出を 活性化するものになるかも見極めが必要になるというふうに思われます。貿易黒字額 は12年上期は71億ドルで、前年同月比45%のダウンをしております。通期でも40%のダ ウン、となると中央銀行が予想しております。

    日本とブラジル、補完関係にある国同士であり、ブラジルの日本におけるプレゼ ンスを高め、逆に日本のブラジルにおけるプレゼンスも高め、さらなる関係強化を図 り、その結果の実現を切に望みつつ貿易部会のプレゼンを終わらせていただきたいと 思います。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    伊吹部会長ありがとうございました。それでは続きまして、化学品部会、藤下部会 長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 化学品部会 藤下温雄 部会長

    化学品部会

    化学品部会の藤下と申します。化学品部会の2012年上期の回顧と下期の展望につい て発表させていただきます。化学品部会では本回顧と展望を発表するに際しまして、 毎回会員各社にお願いいたしまして、各社の動向についてのアンケートをお願いして おります。化学品部会の現在の会員数は55社ですけれども、そのうち日本語でアンケ ートを依頼できるのが39社ありまして、39社にお願いしてうち20社から22の回答をい ただきました。うち一つの会社が3業種を事業をやっておられますので22の回答になっ たもので、業種としては18業種あります。

    2012年上期の売り上げにつきまして、22回答中増収15回答、不変3回答、減少3回 答。1社が本年から事業開始したためにちょっと比較ができないということで、増加を 不変を合わせますと82%、利益に関しましては増加9回答、不変4回答、減少8回答。や はり1社が今年からの事業開始なので回答ができないということで、増加と減少がほぼ 拮抗する結果となりました。

    本年の下期の展望に関しまして、まず売上ですが、増加予測が14回答、不変予測 は3回答、減収予測が5回答で、増加と不変と合わせますと77%。利益に関しましては増 加予測は12回答、不変予測が4回答、減益予測が6回答で、増加と不変を合わせますと 73%となりました。

    これだけでは業界の傾向が理解できないと思いますので、今回のアンケートでは この22回答18業種を4分野に分けまして、結果を見てみました。化学品というのは非常 に多岐の分野に使用されておりますので、はたしてこのような分類方法がよろしいの かどうか分かりませんが、これである程度の傾向はつかめるのではないかと思ってお ります。

    まず工業材料分野、これは非常に範囲が広いわけですけれども、樹脂用着色剤、 ロジンおよび誘導体、潤滑油、合成樹脂、自動車用ポリウレンタン、水処理薬品、化 学製品全般、架橋ポリウレタンフォーム、接着剤およびシール剤、印刷インキ、おの おの1社ずつ合計10社10回答がございました。

    次に農業・畜産分野では、農薬が3社、飼料添加物が1社、合計4社で2業種の回答 がございました。

    一般消費財分野では、一般医薬品が1社、高級化粧品が1社、写真・デジカメ1社 、文房具2社、家庭用防疫薬1社、合計6社5業種の回答がございました。

    商社の分野では、2社から回答がございました。

    それでは分野別にちょっと集計結果を見ていきたいと思います。

    .工業材料分野では、2012年の上期の回顧は、売上では増加7回答、不変2回答、 減少0回答、増加と不変を合わせますと100%。利益では増加5回答、不変2回答、減少2 回答で、増加と不変を合わせて70%となりました。

    下期の展望では売上で増加予測6回答、不変2回答、減少2回答で増加と不変合わ せて80%となり、利益では増加5回答、不変3回答、減少2回答で増加と不変合わせて同 じく80%となりました。

    次に農業・畜産分野では、上期の売上では増加2回答、不変1回答、減収1回答で 、増収と不変合わせて75%。利益では増加0回答、不変2回答、減少2回答で、増加と不 変合わせて50%でした。

    12年下期の展望では、売上で増加2回答、不変0回答、減少2回答で、増加と不変 合わせて50%。利益では増加2回答、不変0回答、減少が2回答で、増加と不変合わせる とやはり50%となりました。

    次に一般消費財ですが、上期の売上では増加5回答、不変0回答、減少1回答で、 増加と不変合わせて83%。利益では増加3回答、不変0回答、減少3回答で、増加と不変 合わせて50%となりました。

    下期の展望では売上で増加4回答、不変1回答、減少1回答で、増加と不変合わせ て67%。利益では増加3回答、不変1回答、減少2回答で、増加・不変合わせると同じく 67%となりました。

    最後に商社ですけど、上期は増加1回答、不変0回答、減少1回答で、増加と不変 合わせて50%。利益でも増加1回答、減少1回答で、やはり増加が50%。

    下期の展望では、売上で増加2回答、不変0回答、減少0回答で、増加と不変合わ せて100%。利益でも同じく、2社とも増加という回答でした。

    総括いたしますと、上期の回顧では、工業材料分野、一般消費財分野が売上・利 益とも比較的好調。農業・畜産分野はまずまずの結果。商社は会社によって好不調が 分かれる結果だと思います。

    下期の展望では、工業材料分野、一般消費財分野が売上・利益とも比較的好調な 見通しで、農業・畜産分野はちょっと見方が分かれると、そういう結果になりました 。これがアンケートの集計結果です。

    それではご参考までに、各社から出ましたアンケートの結果につきまして急ぎ足 で業種別に見ていきたいと思います。

    まず工業材料分野の樹脂用着色剤、1社ですけど、回顧は増収増益でした。プラ ス要因として、ドル高による輸入品の流入の抑制、新機械による新市場の開発、値上 げ交渉努力、人員削減効果。で、欧州の経済危機、アメリカの景気回復の遅れ、ブラ ジル経済の失速などがマイナス要因だったと。

    下期の展望としては、売上利益ともに減少の見込みということです。プラス要因 としては、安定したドル高傾向、新規導入機械による市場の開発。マイナス要因とし ては、欧州経済の危機の継続、それから米国経済の回復の遅れ、ブラジル経済の失速 などが挙げられるそうです。

    次にロジンおよびその誘導体ですけども、1社ですけど、上期の回顧としては増 収増益でした。プラス要因としては、2大需要分野の一つである塗料・接着剤分野が堅 調だったこと、また原料価格は年初下降気味だったことで、マイナス要因としてはも う一つの大きな需要分野である製紙業界が不調だったということです。

    下期の予想としては減収減益の予測で、マイナス要因としては製紙業界の不調に 加えて塗料・接着剤業界も不調になる可能性があるということ、また原料価格の下落 が止まって逆に上昇傾向になってきたという、この二つが挙げられます。

    続いて潤滑油ですけど、上期の回顧としては増収増益だったそうです。プラス要 因は、ユーザーに対する販売奨励策が効果を上げていることと、それから旧来品から の切り換えが促進できていることということだそうです。

    それから下期の展望としては、引き続き増収増益の見込みで、プラス要因として は引き続き販売奨励、それから旧来品からの切り換えを促進していくと。マイナス要 因は特にないそうです。

    続きまして、合成樹脂の輸入販売をやっておられる会社さんですけども、上期の 回顧としては利益・売上ともに不変だったそうです。プラス要因としては、新規案件 の増加、市場の成長で、マイナス要因はレアル安、顧客の信用不安などだったそうで す。

    下期の展望は、売上利益ともに引き続き不変だそうです。プラス要因として引き 続き新規案件の増加、参入事業の増加などで、マイナス要因はレアル安、顧客の信用 不安、需要の減退などの心配だそうです。

    それから自動車用ポリウレタンフォームを作っておられる会社ですけども、この 会社は今年から始めたのでちょっと比較はできないということで、回顧はあれなんで すけども、下期の展望としてはですね、今の販売の状況が続くんだろうということだ そうです。

    それから、水処理薬品を製造されている会社さんですけれども、上期の回顧は増 収だったが減益だったそうです。プラス要因としては、値上げの効果、それから販売 代理店を通じて食品、飲料工場や製糖工場などの新規顧客開拓で、マイナス要因は原 料価格の上昇、石油化学コンビナートでの競争の激化、販売管理費の増加などだった そうです。

    下期は売上利益とも増加の予測とのことです。プラス要因としては、上期と同じ で、値上げの実施、食品、飲料工場、製糖工場での新規顧客の開拓。マイナス要因と しては、レアル安による原材料価格の上昇、石油コンビナートでの競争激化などだそ うです。

    それから、化学品全般の輸入販売をやっておられる会社ですけれども、上期は増 収増益だったそうです。新しく農薬などの新規用品の取り扱いを開始されてですね、 それから食品包装市場向けの製品などの新規商品が比較的予想通りの好調だったとい うことで、マイナス要因としては、ヨーロッパ経済の低調、それからまあブラジルの 自動車産業の不調とのことです。

    下期の展望としては、売上利益ともに引き続き増加の予測とのことです。プラス 要因としては、新規取り扱いの農薬その他の季節的要因、それから自動車産業がおそ らく復調するだろうということで、マイナス要因としてはヨーロッパ経済の動向で、 ブラジル経済に対する影響だそうです。

    それから、架橋ポリオレフインフォームを作っておられる会社ですけれども、上 期は増収減益だったそうです。プラス要因は新しい用途の開発、それから新しい製品 の立ち上げ。マイナス要因としては、レアル安による為替差損、それから自動車産業 の販売の減退、原料の輸入コストアップなどだそうです。

    下期は売上利益ともに増加の予測で、プラス要因は新規商品の、取り扱い商品の 拡大、それからマイナス要因としては国内需要減退の恐れということです。

    それから、接着剤・シール剤を作っておられる会社さんですけれども、上期は売 上利益ともに不変で、プラス要因は販売促進活動の結果、自動車市場向け販売の拡大 。マイナス要因としては、原料・材料の値上がり、それからコンシューマーの商品買 い控えなどを挙げておられます。

    下期の展望としては、増収で利益は変わらない予測とのことです。プラス要因は 販売キャンペーン活動の実施、新商品の市場投入、自動車の新工場の立ち上がりなど 。マイナス要因としては、景気低迷、為替問題、海外輸出環境などの悪化を挙げてお られます。

    印刷インキの輸入販売をやられている会社さんですけれども、上期は増収増益。 プラス要因として品質の差別化、ラインアップの増加などで、マイナス要因は円高に よるコストアップ、ユーロ安による欧州品、競合品の低価格攻勢などということです 。

    下期の展望としては、引き続き売上利益ともに増加の予測で、プラス要因として は引き続き品質の差別化、ラインアップの増加。マイナス要因としては円高によるコ ストアップ、ユーロ安による欧州品の低価格攻勢などを挙げておられます。

    農業畜産分野に移りまして、農薬を作っておられる会社、3社さんございますが 、3社のうち増収が1社、不変が1社、減収が1社、利益は不変2社、減益1社でした。プ ラス要因としてはブラジル農業・農薬市場の拡大、農産物価格の好況の継続、農産物 作付面積の増加などを挙げておられます。マイナス面として、綿価格の低下による綿 作付面積の減少、円高、レアル安による輸入原価の高騰。要するに、作物によって面 積が増大しているものと減少しているものがあるんだそうです。

    下期は、売上が増加1社、減少2社でした。プラス要因としては、要するに好況な 作物のブラジル農業・農薬市場の拡大、それから新農薬製品の上市、好調な大豆面積 の拡大、それからジェネリック製品の上市が遅れていること、農薬対象病害の登録拡 大。マイナス要因としては、不調な綿、オレンジの作付の面積減と価格下落、それか ら円高などを挙げておられました。

    同じく農業畜産分野で飼料添加物1社ですけれども、上期は増収減益だったとの ことです。プラス要因としては国内および輸出需要に対応した鶏肉・卵の生産量が増 加したこと。それからマイナス要因には、レアル安による輸入原価の高騰、円高によ る日本品の欧米品に対する優位性の低下だそうです。

    下期は増収増益の見込みということです。プラス要因としては鶏肉・卵市場のさ らなる成長で、マイナス要因としては競争の激化だそうです。

    続きまして一般消費財分野に移りまして、一般用医薬品を作っているメーカーさ んですけれども、増収増益だったとのことです。プラス要因としては購買層の拡大、 販売促進活動の成功。マイナス要因は、ANVISAという国家衛生監督局というのがある んですけども、ここに新しい医薬品を売る場合は登録しないといけないんだそうです けど、その登録審査の遅れだったそうです。

    下期も引き続き増収増益の見込み。引き続き需要は好調、それから拡販活動を継 続するということで、マイナス要因としては原料、物流費の高騰による経費増、 ANVISAの審査の遅延だそうです。

    同じく消費財分野で高級化粧品。上期は増収減益だったそうです。プラス要因と しては2つの新ブランド投入による売上増。マイナス要因としては、新ブランド直営店 2店をオープンしたことによる経費増。

    下期は同じく増収減益の見込みとのことです。プラス要因としては2つの新ブラ ンドの投入で売上増が期待される。マイナス要因はまた新たに新ブランド直営店のさ らなる3店をオープンするための経費増とのことです。

    それから同じく一般消費財分野の写真・デジカメ。増収増益だったとのことです 。プラス要因は好景気による市場拡大および、レアル安による原価上昇の価格への転 嫁で、マイナス要因はレアル安の進行、ユーロ安による欧州品の価格競争力のアップ とそれから市場の競争の激化だそうです。

    下期も引き続き増収増益の予測とのことです。引き続き市場が拡大するであろう と。それから市中金利がさらに低下して需要が拡大する見通しで、マイナス要因とし ては競争が激化することだそうです。

    一般消費財分野の文房具ですけど、2社ともに売上は増加で、利益は1社増益で1 社減益だったそうです。プラス要因は新学期セールスの好調と市場の拡大。マイナス 要因は為替の変動による原価の上昇と人件費、材料費のアップだったとのことです。

    下期は売上利益ともに、1社は不変、もう1社は減少の見込みとのことです。プラ ス要因としては特になく、マイナス要因として欧州、中国などの景気の影響によるブ ラジル経済の鈍化、人件費、材料費などのアップ、それから為替などを挙げておられ ます。

    同じく一般消費財分野の家庭用防疫薬。上期の回顧としては売上利益ともに減少 だったとのことです。プラス要因は特になく、マイナス要因としては冷夏、多雨によ る消費者の殺虫剤使用の低下と、流通在庫の増加、レアル安による輸入原価の高騰、 それから中国製のジェネリック商品などとの競合だったそうです。

    下期は売上利益ともに増加の予測で、プラス要因としては、流通在庫が一掃され たこと、それから製品ポートフォリオを拡大されるということですね。マイナス要因 は、引き続きジェネリック商品との競合の継続だそうです。

    最後に商社ですけど、上期の回顧としては1社減収減益、1社増収増益だったとの ことです。プラス要因としては、市況の堅調と新規取引の開始、レアル安などで、マ イナス要因としては取引数量の減少、新規取引開始の遅延などを挙げておられます。

    下期の展望としては、2社ともに増収増益を見込んでおられます。プラス要因は 取引数量の増大、新規取引の増大で、マイナス要因としては市況の軟調、為替の不安 定化などを挙げておられます。

    以上駆け足で各業種のアンケート結果について報告させていただきました。以上 が化学品部会からの報告です。どうもご清聴ありがとうございました。

    司会
    藤下部会長どうもありがとうございました。それでは続きまして、運輸サービス部 会、森田部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 運輸サービス部会 森田透 部会長

    運輸サービス部会

    運輸サービス部会の森田です。よろしくお願いします。運輸サービス部会、ここは 約6業種、物流業界全般、それと構内物流、機工、整備作業、航空業界、海運業界、そ れと旅行・ホテル、通信・IT業界というこの6分野で一応ご説明させていただきたいと 思います。

    まずサマリーとして物流業界全般ということで、大体今までの皆様のご説明お聞 きしている通り、上期に関しましては貨物の動きは鈍化傾向と。けれども物流インフ ラはパンパンであるという状況ですね。

    構内物流、機工、整備業界。これは鉄の構内という中での構内作業なんですけど も、ここは粗鋼生産の減少等に伴って、構内物流・設備保全作業が減少傾向にあった と。

    その次、航空業界ですけども、旅客はほぼ横ばい、貨物も減少傾向であると。

    その次、海運業界ですけども、コンテナ船、之に関しましては輸出が約7%の増加 と、で輸入は4%の増という形になっております。

    次にばら積み船ですけども、船腹増加による運賃が低下傾向であるということで すね。それと次に旅行・ホテル業界ですね。客室稼働率が約3.4%ほど低下していると 。ただしルームレートが上がって実質的には利益も上昇していると、まあ非常にいい 傾向ですね。

    その次、通信・IT業界。これは携帯電話の加入者数の増加があるということです ね。まあ伸びていると。IT業界は好調、ただし人材の確保が難しいという状況です。 では次お願いいたします。

    まずここで個別にそれぞれの業界を若干細かくご説明していきたいと思いますの で。まずは物流業界の上期の回顧ですけども、物流業界は大体その時の時代、景気を 反映するバロメーター的な動きを示していますけれども、本年も大体3月までは大体通 年と同じような傾向で動いていましたけれども、その後やはり貨物量、これが落ち込 んできているという状況ですね。

    ただし、給与レベル、特に業界の中での給与レベル、これはもう全体の業種に言 えると思うんですけれども、非常に人件費が高騰してきていると。これによってコス ト高を招くということと、まあ人材の流出、でその品質を維持するためにやはり給与 を上げていって引き留めなきゃいけないとかそういったことが起こっておりまして、 そういったものが非常に収益性を圧迫すると。とくにこうやってサービス業ですので 、これを中々価格転嫁にできない部分が非常にあるということで、非常に苦しい状況 です。

    それとあと、空港・港ともインフラ改善せずということで、これはもうご存知の ように、ブラジルはいつも、貨物の量に対してインフラが中々追従してこないという ことで、このへんの問題が非常に、相変わらず継続しているというところですね。

    それとあと、Maré Vermelhaというこれ言葉がありますけれども、これは今年の3 月19日より税関が貨物の通関検査において、通常現品検査というのは大体輸入申告の 20%から10%ぐらいが現品検査となるんですけども、その割合を5割に高めたと。この5 割に高めたという根底的な理由は、中国からの貨物をよく監視するという目的でやっ ております。その結果、まあ我々日系企業においても、やはりその確率的に5割という 形の現品検査が出てくるということで、これで非常に貨物の、現品検査をするとリー ドタイムが長くなるというようなことで、若干貨物が滞貨してきていると。

    それと、また輪をかけて、税関職員の順法闘争ですね。これはスローワークとい う形で、5月の30日からですか、現在も継続しておりますけども、こういったものが始 まりまして、まあ輸入通関、こういったものに遅れをきたしている状況であると。こ れとあと、上の方の貨物インフラですね、このインフラがやはりパンパンの状態です 。さらにこういったことが起こって、もうどうしようもない状態が続いているという ところです。

    次に構内物流、機工、整備業界ですけれども、これはまあ鉄鋼関係のコスト競争 力、これが非常に現在、ブラジル、低下しているということで、我々、製鉄所構内に おける保全業務とかをやっているわけなんですけども、やはりコスト切り詰めという ところでそういった部分の契約に非常に厳しさを増してきているということで、先方 客先からもその、コストの削減提案、こういったものを常に要求されてきているとい うふうな状況です。次お願いします。

    次に航空業界ですけれども、航空業界に関しましては、旅客ですけれども、まず 国内線。これは上期の伸びが7.3%とそれほど伸びてはいないと。そのほか新しいキャ リアとしてAZUL、TRIPといったLCC、格安料金ですね、これがシェアをアップしつつあ り、 TAM、GOL、まあこれは非常に高い航空券を売っていますけれども、彼らがやはり 3%ダウンしているという状況らしいです。その次、国際線ですけれども、これがまあ 前年比1.2%と、ほぼ横ばい状況ということです。

    貨物につきましては、国内はほぼ横ばい。これは特に、貨物の場合国際線の落ち 込みが激しく、ヨーロッパ、アメリカとも好調であった輸入が激減してきまして、キ ャリアによっては貨物便のキャンセルですね、こういったものが目立つようになって きております。また輸出に関しては、まあ激減して、去年よりもさらに25%から30%ほ ど取り扱いが落ちてきておりまして、これも今後非常に危機的な状況ではないかとい うような形ですね。じゃあ次お願いいたします。

    海運業界ですけれども、まずコンテナ船。コンテナ船につきましては、アジアか らの輸入を中心に大幅な伸びを示してきた輸入数量ですけども、まあ国内景気の停滞 感、あとレアル安もあり、減少傾向が見られるようになってきています。一方輸出の 方では、前年比同期で約7%の増加ということになっております。で、ここまで見られ た輸入の伸びですけれども、輸出の伸びが上回るという傾向、これまでと逆転傾向で すね、というものが見られております。

    次に不定期船ですけども、これは鉄鉱石等ばら物貨物ですけども、輸出を中心と するばら積み、不定期船は、積み地の豪雨被害とか、天候の問題とか、中国の買い付 けが低下しているというようなことがありまして、非常に低下して、運賃に影響をも たらして、バルク運賃が非常に低迷している状況が続いているというところ。まあ船 腹が大きくなりすぎたという状況ですね。次お願いします。

    次ですけども、旅行・ホテル業界。これは先程ご説明しましたように、前年同期 で客室の稼働率は3.4%ほどダウンしているけども、平均ルームレート、これが237レア ルと約17%アップしているということで、まあ実質利益は13%アップしたと、まあ非常 にちょっとよろしい状況みたいです。皆様この辺はちょっとね、非常にブラジルはホ テル代等も高いので皆さん苦労されていると思うんですけども、まあ実態はこういう ことがあったということですね。次お願いします。

    次、通信・ITなんですけども、これは非常にちょっと難しい、説明がしがたいと ころがあるんですけども、まず携帯電話の加入者数。これが2億561万台ということで 、加入者の伸びが2012年6月時点で前年に比較して約17.7%、18%ですね、の伸びを示し ていると。あと、2011年末までに約19%ほど伸びたということなんですけども、まあこ れと比較すると若干伸びが鈍化している傾向にはあると。あと、プリペイドに関しま しては81%と、昨年82.34%という数字から若干落ち込んでいるということですね。

    それとあと3Gの加入者、これが約5875万台ですね、ということで、これもシェア が約22%増加しているということです。あとは、ブロードバンドのユーザー数、これも 1726万台という形で推移していると。

    それとあと、新たに第4世代の、4Gですね、これもよく理解できない部分なんで すけども、これのOi、Claro、VIVO、TIMがそれぞれ対応エリアを落札したということ らしいです。あとTelefonicaが提供する固定電話サービスおよび携帯電話サービス、 インターネットサービス、ケーブルテレビサービスをVIVOブランドで統一して販売と 。および公衆電話もVIVOブランドで販売を行うということです。

    続いてIT業界に関しまして、IT投資の継続が続いていると。特にサーバーの仮想 化、それと業務アプリケーション、およびITインフラ、それとセキュリティ分野の伸 びが目立っているということですね。じゃあ次お願いいたします。

    次は下期の展望ということで、全体のサマリーとしまして、物流業界全般といた しましては、空港・港のインフラの整備が始まると。これはワールドカップ、オリン ピック等に備えての対応だと思います。

    その次、構内物流、機工、整備作業。これは政府の国内産業優遇施策ですね、こ ういったものでマーケットが伸びることを期待していると、それにつれて作業増を期 待するということですね。

    航空業界に関しては、まあ旅客は横ばい、貨物は景気に左右されると。

    海運業界。これに関しましては、コンテナ船。上期比較で輸出は若干増、輸入は 上期並みであろうと。

    ばら積み船は相変わらず運賃が低迷し、扱い量は昨年並みであろうということで すね。旅行・ホテル業界。来伯客の増加を予想していると。

    通信・IT業界は通信、IT業界の伸びを期待ということになっております。次お願 いいたします。

    まず個別のところからご説明しますけれども、物流の全般としまして、空港・港 のインフラ整備ということで、これはまあ皆さんご存知と思いますけれども、グアル ーリョス空港の第三滑走路ですね、これの建設が開始されたということ。それとあと サントス港でコンテナターミナル、これが右岸と左岸、それぞれ一カ所ずつに建設中 で、稼働が大体2013年の後半からまあ14年にかけてということで、これが本格稼働す ると今のサントスのコンテナ扱い量が約倍増するというレベルになります。

    まあここで我々が期待するのは、それに伴って、今コンテナターミナル4カ所あ りますので、これが6カ所に増えるということで、高い港湾料金が下がればいいなとい う淡い期待を持っていますけども、非常に難しそうであるというところですね。それ とあと、人材不足ですね、こういったものもまだ継続していくということ。

    それとあと税関のスト、これは残念ながらまだ、本日も継続しております。今は 、例えばサントス港に限っては月曜日と金曜日は通常通りに稼働して、火水木、これ はストになるということで、検査等は行いますけれども許可は出さないということで 貨物が非常に停滞しております。

    で、サントス港にあるCYCAペース、Container Freight Stationですね、こうい ったところではもう一部、貨物がはけないものですから、貨物のコンテナの受け入れ を拒否したりしているところもございます。

    あとこの税関だけではなくてですね、先程ANVISAのスローワーク、それと農林省 ですね、これは一応ストは終わりましたけども、政府からの指示でストはやっていま せんけども、やはりスローワークを行っていて、まあアジアから来る貨物については 全量梱包検査をしないと貨物を搬出できませんので、これが行われると非常に貨物も 搬出に時間がかかるという状況ですね。

    それと、あと空港に関しましてもスローワークがずっと続いているということで 、例えば空港から内陸保税倉庫に転送する作業等も1週間以上かかってしまうというこ とで、まあ非常に今かなりクリチカルな部分になってきております。で、今予測とし ていつまでこれが続くというのはちょっと今のところ何とも言えない状況です。

    その次ですけども、Guerra dos Portosが終止符とありますけども、これは皆さ んご存知のように、ブラジルは輸入する際に流通サービス税、ICMS、これを支払いま すけども、これが今州ごとにそれぞれインセンティブを出したりしていまして、特に Vitoria等でFUNDAPと言われるような、ICMSの支払いをやる場合のファイナンスをつけ るようなものですね、これがあったんですけども、これが一応今の予定としては来年 、13年の1月1日から輸入に関するICMS、これが4%に一律統一されるということになり ますので、これまで各州で与えていたインセンティブがなくなってくるということで 、この辺がどういうふうに物流に変わってくるかですね。

    一つ心配はまた、サントスに貨物がまとまって流れてくる、またボリュームが増 えてきてまたパンパンになってくるというちょっと悪循環も出てくるかもしれません 。

    その次に構内物流、機工、整備業界ですけども、これは一応14年のワールドカッ プ、16年のオリンピックに向けてのインフラ整備の需要ですね、これでやはり鉄鋼製 品、これが伸びてくるのであろうということで、まあ作業拡大を見込んでおります。 ただし、コスト低減の要求については一層強まってきている状況であるということで すね。次お願いします。

    航空業界ですけども、航空業界は旅客の予約状況、これは現在のところ横ばいで あるということです。あと貨物につきましては、まあこれからクリスマス商戦等が活 発化します。それとこの税関のスト等も含めて、まあ緊急貨物ですね、そういったも のが今後需要としてまだ増えてくる可能性、駆け込み等が出て来るのではないかと。

    あと、クリスマスがどれくらいの商戦になるかですね、この辺によってもボリュ ームの増加がどのように動いていくかがかかってくるかと思います。あと輸出につい ては、まあレアル安になってきているということで、今後輸出貨物がどこまで伸びる かというところですね。伸びることを期待していきたいということです。

    次に海運ですけども、まずコンテナ船。これは国内の需要は好調に動いているん ですけども、まあ輸入の大幅な増加は望めないだろうということで、上期並みの推移 を予想しています。

    輸出はやはりレアル安ということで、これにおける恩恵で若干増加を予想してい ると。あと不定期船関係の鉱石物ですけども、これを中心としたばら積みの不定期船 については、まあ中国等の買い付けがどのように推移するかですね、この辺で今後動 きが決まってくるだろうと。まあ予想としてはほぼ昨年並みであろうということです ね。

    あと港湾に関しましては、今ご説明しましたように、港湾のインフラの改善、そ れと税関のストライキの影響で今後は混雑状態が継続する見込みであるということで 、まあ船側としては、例えばターミナルがパンパンになって荷役、全部貨物を下せな いというふうな状況も出てくる可能性もあるということで、非常にちょっと危惧して いる状況です。次をお願いいたします。

    旅行・ホテル業界ですけども、一応ワールドカップ、オリンピック等を控えてホ テル業界はこの政府のガイドラインに基づいてホスピタリティー研修ですね、こうい ったプログラムの取り組みを開始しているということです。こういった一連の関連の 関係者の動きがまあこれから、徐々に目立って来ておりますので、下期は客先の増加 を期待しているということです。お願いします。

    次、最後に通信・IT関係ですけども、企業通信は専用線から、これが非常に難し いんでちょっとなかなかご説明できないんですけども、FR、MPLSへの進化を遂げてき たと。最近はIASサービスが次の主流になる方向感がブラジルも見えてきたということ です。今後、10メガIASサービスが急激に普及していくことが想定されるということら しいです。

    あと4Gに関する動きですけども、ブラジル政府は固定ケーブルブロードバンドの 代わりにLTEで全国のブロードバンド化を継続しているということで、落札したキャリ アは2013年12月末までに人口50万人以上の都市は全てLTEでカバーし、16年末までに人 口1万人以上の都市を全てカバーしなければならないと。各社下期からこれに対する投 資が予想されているということです。

    次にIT業界ですけども、2012年の下期に関しては、Cloud Computing関係ですね 、サーバーのバーチャル化、SNS、これはソーシャルネットワークサービスツールの利 用、例えばFacebookとかTwitter、こういったものの活用が企業内で進むということを 期待していると。また一部の企業はプライベートのCloud Computingの導入が進むと業 界は期待しているということです。

    最近、社員が私物のスマートフォンとかタブレットを業務に活用することを意味 するBYODという、Bring Your Own Deveiceという、今年、何というかITのトレンドと いう形で皆さんそういった媒体を使って情報の交換をしているということで、各企業 はそういったものを使われて、情報漏洩ですね、これに対する、何というか、投資と いうものが今後必要になってくるということで、その辺が活発化するのではないだろ うかということですね。

    で、あとIT業界には、やはり、これはどこでも言えることですけども、人件費、 これが非常に高騰して、それと人材ですね、要するに技術者、こういったものが不足 してくるということです。ちょっとこのIT部門については丸読みしましたけれども、 ちょっとよく中身が、非常に難しい内容で分かりませんけども、一応こういうことで 我々の運輸サービス業界の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました 。

    司会
    森田部会長ありがとうございました。それでは続きまして、繊維部会でございます が、金屋部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 繊維部会 金屋悦二 部会長

    繊維部会

    繊維部会の金屋でございます。繊維部会の2012年上期の回顧と、それから下期の展 望ということで発表させていただきます。繊維部会、綿紡績6社、それから衣料用の服 地販売の1社、それから衣料用付属の販売1社、計8社で構成をされておりますが、いず れもブラジルに設営してからまあ40年50年という古い歴史を持つ老舗の企業ではござ います。

    昨年なんですけども、これが異常な原料の高騰がございました。まあニューヨー ク定期で言いますと、まあ南北戦争以来の高値と言いますから、非常に異常な高値だ ったわけですけども、こういう原料の高値とですね、相場の高騰と、それからレアル 高による製品の輸入の急増ということで、まあこういったダブルパンチを受けてです ね、特に紡績6社なんですけれども、創業以来最悪のですね、非常に厳しい決算を強い られたという年でございました。

    そういった昨年度の市況、マーケットの低迷ということの反動もございまして、 今年の年初からようやくに紡績の糸の市場に動きが出てきまして、販売量の回復とと もにですね、何とか販売価格の改善も進めまして、この上期の末にはようやく出血を 止めることができるようなところまで来たというのが現状でございます。しかしなが ら、川下の小売りの段階はですね、依然非常に厳しい状況が続いておりまして、昨年 比でいいますとまあ2割から3割くらいのですね、売上減という状況が続いてございま す。

    まあ今年に入って、先程申し上げた原綿相場がまあ比較的低位で安定していると いうこと。それから政府がレアル安の誘導をしておりまして、これが輸入品の抑制効 果を上げていると。そういう追い風はあるもののですね、一方その国内の個人消費が 非常に落ち込んだままの状態になっていると。それから、暖冬ですね、今年は暖かい 冬で、冬物の衣料があまり売れなかったということがございます。

    それからこういったレアルの為替の水準でもまだまだ縫製加工品の輸入が増えて いるという逆風も吹いておってですね、下半期の需要はまだ弱含みに推移するんじゃ ないかというふうに予想されまして、しばらくはですね、我慢と忍耐の時期が続くと いうふうに思われます。

    まあこれがざっとこの2012年の上期と下期の流れなんですけども、もう少し我々 の業界のことを細かくご報告をさせていただきたいというふうに思います。大きく分 けるとですね、原料、一番の元になる原料、それからそれを加工する紡績の綿糸、そ れから製品の販売というふうに三つに分かれるわけですけども、それぞれについてで すね、各メンバー会社が担当してまとめましたので、それについて報告をしたいと思 います。次お願いします。

    まず原料。これは国内原綿と国際原綿というふうに二つに分かれるわけですけれ ども。国内原綿なんですけれども、この表は2011年、それから2012年の綿花の生産状 況、それから原綿の相場ですね、ブラジルではESALQというんですけども、その相場の 推移を示したものです。上期なんですけども、これはまあ今申し上げたような、綿糸 のマーケットがちょっと悪かったものですから、綿花の動きも悪いということで、輸 出主導ということで動いております。

    下期に入って、まあ今年の新綿ですね、これが出始めたんですけども、生育期の 干ばつ、それから収穫前の長雨ということがございまして、昨年比で言いますと15か ら20%ぐらいの減収が予想されております。また、品質的にも若干問題があるんじゃな いかというふうな懸念がございます。

    まあそういった状況にはあるんですけども、綿花の需給の逼迫感はそんなに強く はなくて、原綿相場のESALQ、これも当面低水準で推移するんじゃないかというふうに は予想されます。現在のESALQ相場がですね、1ポンドあたり大体1.6レアルというふう な水準で行ったり来たりしているんですけども、まあこのぐらいの原綿相場ですと綿 作農家の利益が薄いというふうに言われております。

    で、最近ですね、やはり干ばつの影響もあって、穀類の値段が急騰しているとい う状況もありまして、来年の綿の作付はですね、今年に比べて2割から3割くらい他の 穀物類にシフトするんじゃないかというふうに言われています。まあ来年度の綿花価 格についてこういった不安材料を残しているという状況にございます。次お願いしま す。

    これがもう一つの括りの国際原綿ということで、世界の綿花需給を表した数字で ございます。上期は中国の買いポジションの動向によって相場は大きく変動いたしま した。ただし十分期末在庫がですね、前期で約340万トンくらいの増加が見込まれると いうことがありまして、この潤沢な在庫を抱えて相場は低水準で推移したということ でございます。

    今年度につきましても、世界の綿花の生産量は消費を約100万トン上回るという 水準を予想されておりまして、また欧州の経済危機の影響もございまして、需要が急 激に回復するというのは期待薄の状態にあるということから、下期以降の綿花の相場 も弱含みに推移するのではないかというふうに言われております。まあ国内綿花の状 況と同じようにですね、皆さんご存知のように米国の干ばつによって穀物の価格が急 騰しております。

    まあ来年の作付はですね、やはり綿花から穀物類へのシフトが進むということで 、大幅に綿花の生産高が減るんじゃないかというふうに言われております。これもひ とつ綿花の相場を押し上げる大きな懸念材料になっています。次お願いします。

    続きまして紡績の綿糸についてなんですけども、これは国内綿糸とそれから綿糸 の貿易というふうな二つの括りで示していきたいと思います。国内綿糸なんですけど も、上期は、今申し上げましたように、年初、紡績の各社は非常に大きな過剰の在庫 を抱えながら、採算割れの綿糸相場の中厳しいスタートを余儀なくされたという状況 がございます。

    月が進むにつれて、まあ綿糸需要は回復を見せて、それからそれにつれてですね 、販売価格の方も改善が進んで、まあ上期の末にはリングの糸についてはようやくま あ出血を出さずに済むような価格相場になってきたということです。しかしながら、 もう一方の空紡糸という糸があるんですけども、これについては相場は低い水準のま まに推移して、残念ながら未だにまだ採算割れの状態から脱しきれていないという状 況にございます。

    この図は綿糸価格の推移を表したものです。代表的なリングの30、空紡の24番と いうふうな代表番糸の推移を示したものです。2012年の1月からですね、リングの糸に ついては価格改定が進み、まあ大体年初比ですね、26%ぐらいのアップまで持ってこれ たという状況がございますが、その緑色の空紡糸についてはですね、横ばいから若干 下がるぐらいの非常に悪い状況にございます。ただ空紡糸についてはですね、下期以 降冬物の衣料の糸手当ての時期に入ります。空紡の糸というのはメインが冬物の衣料 用途が主ですので、これからの糸の需要の増にですね、期待をしたいというふうに考 えてございます。次お願いします。

    続いてもう一つの括りの綿糸の貿易なんですけども、これは綿糸の輸出、それか ら輸入の実績を示したものです。綿糸の輸出についてはですね、ブラジルコスト、そ れからレアル高によってですね、完全にもう国際競争力を喪失した状態になっていま す。定番綿糸ではですね、現状ほぼゼロという状況にありまして、まあ当面この綿糸 の輸出というのは考えられないというふうな状況にございます。

    衣料の小売販売の伸びはですね、昨年を下回っておって、縫製衣料品の輸入増加 もあって国内綿糸の需要の逼迫感は強く、綿糸の輸入は上期と同様の低水準で推移す るんじゃないかというふうに見られております。ただその為替の水準によっては、輸 入復活の懸念は払拭できないというふうな状況にございます。次お願いします。

    続いて薄地織物、それから合繊関係です。これは薄地織物および合繊糸の輸入実 績の推移を表したものです。レアル安の影響で薄地織物、それから合繊ともに減少は しております。ただし一方、国内景気の低迷で織物生産・販売ともにこれも減少して いるという状況がございます。

    現在のレアル安相場ですね、それから輸入抑制策等の対策で輸入はある程度今度 とも抑制され、年度後半からは生産回復するんじゃないかというふうに期待をしたい ところなんですが、消費の低迷はしばらく続くというふうに考えられますので、まあ 回復は年度後半にずれ込むんじゃないかというふうな見方をしております。次お願い します。

    続いて紳士・婦人服地の販売ということです。図は織物、それから縫製品の輸入 の実績を示したものです。上期は個人消費が冷え込んだままの状態が続いて、そこに まあ先程も申し上げましたように暖冬で冬物の衣料の販売が不振に終わったというこ とで、小売り段階ではですね、10から25%落としたところが非常に多いということで、 まあ小売の段階ではですね、コストダウンを目指すということで、縫製の完成品の輸 入というふうに向かいまして、輸入が増加しております。2年間で約倍の数量まで伸び ているという状況にございます。まあ上期の生地の輸入はですね、5.4%減少しました けども、既製服の輸入量、約30%増えているというふうな状況にございます。

    で、下期の動向なんですけども、消費の回復にはまあ今しばらく時間がかかるん じゃないかというふうに思われております。暑いクリスマスになってですね、消費が 伸びて、回復するというその期待をしたいんですけども、まあ回復するのは早くても 来年からというふうになるんじゃないかというふうに考えられております。次お願い します。

    これは輸入の同じく、衣料品の輸入実績を示したグラフです。まあこれも見ても 分かるようにですね、輸入がこの近年急激に増加をしているということが見て取れま す。アパレルの工業生産指数はですね、15カ月連続で前年割れとなって、まあ厳しい 状況が引き続き続いております。中国をメインとした衣料品の輸入が急増して、付属 であるファスナーの輸入は約6割ほど大幅減となっているという状況にございます。ジ ーンズの販売も低調に推移しており、まあ大手では在庫調整が進んできているものの 、中小ではまだまだその慎重な姿勢を維持しておって、生産回復はまあ下期以降、来 年にずれ込むんじゃないかというふうに考えられております。

    下期はですね、人件費の高騰を始め、高いブラジルコストがあり、まあ縫製完成 品の輸入を増加させておりですね、お客さんは、国内の生産への影響は年々大きくな ってきているというのが実態でございます。

    以上が繊維業界の各分野の報告なんですけども、共通して言えることは、その、 縫製完成品の輸入圧力で国内の繊維加工工業は今後とも大きな影響を受けると、厳し い状況が続くという認識でございます。まあ、毎年高騰する人件費、それから高い電 力費、それから高い税金とそれから複雑な税制というものに起因した、いわゆるブラ ジルコスト、高いブラジルコストに早急にメスを入れてですね、国際競争力を取り戻 さない限りはですね、ブラジルで加工工業そのものが成り立たなくなっているんじゃ ないかと。そういうふうな状況になりつつあるんじゃないかというふうな認識をして います。

    まあこれは繊維工業だけの問題ではなくてですね、加工工業そのもの、全てに共 通して言えることだと私は思っているので、まあ業界の皆さんと一致してですね、も っともっと声を上げてそういったブラジルコストに早いとこメスを入れていかなけれ ばならないなというふうに思っております。以上で発表を終わります。ありがとうご ざいました。

    司会
    金屋部会長様ありがとうございました。それでは建設不動産部会、三上部会長様お 願いいたします。

     

     

     

  • 建設不動産部会 三上悟 部会長

    建設不動産部会

    建設不動産部会、三上でございます。私を含めて部会の発表はあと二つです。もう 少しだけご辛抱をお願いしたいと思います。

    まず建設分野では、上半期、昨年同様、日本企業や日系企業の皆様のおかげで好 調を維持しております。おそらく年内は大丈夫だろうというふうに思っています。そ の中で、欧米企業は昨年の後半から建設投資、延期、凍結が相次いでいます。非常に 低調に推移しています。一方、不動産、あるいは住宅関連産業というのは、やや好調 から横ばいという状況で推移しています。年内同じような状況が続くだろうというふ うに思っています。

    これはですね、さっきも言いましたように、ヨーロッパの影響、それから集合住 宅の着工件数が中々回復を見せてこないということが大きいと思います。それから大 きな話題のワールドカップ、それからオリンピック用のインフラ整備、これについて は私どもはそれほど大きな影響を感じるまでには至っておりません。インフラ整備に ついては、色んな計画がありますが、中々実施されていないということですけども、8 月の大統領の投資計画の発表でどんな影響があるか、これは相当注意する必要がある と思っています。

    建設業界、特に建設業界においては、皆様の建設投資に頼っているところです。 従いまして、これまでの発表で上半期が低調だということは、おそらく我々は来年大 きな影響があるのではないかと心配しております。よろしくお願いしたいと思います 。ここから数字で現在の動向を示していきたいと思います。はい、お願いします。

    これはブラジル全体、ブラジル全国ですね、主要都市の住宅販売の状況。2009年 から2012年、1月から4月の集計になります。ご覧の通りですね、2010年がピークだっ たんだなというのがお分かりかと思います。2010年を1にして、2009年は全体で53%、 去年が77%。今年が大体去年と同じような傾向ですから、大体ピークであろう2010年の 75%程度の集合住宅の契約、売上だろうというふうに思います。施工。さっきも言いま したけれども、施工は契約してから建物を作りますから、大体1年遅れでピークが来る ということですから、おそらく去年がピークで、今年から停滞に入って来るんだろう というのがこれで分かるかと思います。

    次に表の2です。これは今度はサンパウロ圏内だけに絞りました。これもですね 、2010年を基準としますと、今年2012年、成約件数が62%に減っています。それから完 工の数字も68%に減っています。それに比べて、売り出し件数というのが184%なので、 完工が減りつつなお売れ残りが増えたと、こういうことが言えると思います。全国的 な傾向とほぼ一致しているんだろうというふうに思います。

    今、ごく一部ですけど集合住宅の様子を見ました。次に建設全体の活況度を示す だろう数字をお見せします。まず上の欄がですね、全国のセメントの消費量。セメン トですから土木・建築、あるいは色んなものに使われますけど、土木・建築含めその 全体の活況度示すんだろうというふうに思います。

    各地区の1月から4月、2010年から2012年、1月から4月ですね、を見ますと、まん べんなく消費が増えている。大体120%増、2年間で20%増えていますということですか ら、ブラジル全体の建設不動産というのは堅調に伸びているんだろうと。ということ ですから、今のインフラ整備の状況でこれだけ伸びていると、ということはこれから インフラが本気で始まったらどういうことになるのかなと、逆に心配になっていると いうのが本音のところです。

    それから表の3-2、これは今度は建設に携わる労働者の数の推移。ちょっと比較 のしかたを変えましたけども、増加率の方で表現しています。2010年が1月から4月ま でで16万6000人増えました。2011年は9万7000人。2012年、今年ですね、14万6000人。 ですからこれも2010年あたりをピークにちょっと減っているかもしれないというふう に思います。ですから、建設に携わる人はそれほど伸びていないと。セメントは確実 に伸びているということがここの表で分かると思います。ですから我々の商売として は、省力化、工業化がやはりやっていかないと大変なことになるというのが分かると 思います。

    ちなみにですね、表にはありませんけども、ブラジルの建設労働者数というのが 先日300万人を超えました。この数字は、おそらく統計に入っていない人もいるので、 4、500万になったんじゃないかと思います。日本はですね、先月かな、500万人を切り ました。ですから、労働者の業界で見ると市場はほぼ日本と同じぐらいの市場になっ たんだろうというふうに思います。

    次に建設物価の方に移ります。この表をご覧ください。表の4の方は公式のデー タです。これは公式に発表されています。表の5の方は、こういう中々うまい表がない ので、当社の集計している数字を使っています。ちょっと間違いがあるかもしれませ ん。ご了承ください。

    ここ4年でですね、上の表ですね、労務費が40%上昇しました。材料費は11%。他 というのは、事務職だとか機材だとかその辺をひっくるめていますけども、33%の上昇 。合計で27%の上昇です。4年で27%、建設の物価は上昇していますので、年平均そうす ると大体6%。物価が大体5%ぐらいずつ伸びていますので、ちょっと上回って値上がり をしているということです。

    表5の方はですね、資材の値上がりを示しています。ある時期ドンと上がったの もあるんですけども、今年になりましてコンクリートが上がりました。それから鉄筋 材料、それから屋根鋼板、非常に安値で推移していましたが、今年になってやや強含 みになっています。というのがこれで分かると思います。ここの右端に物価指数は書 いておきました。賃金の方はトータルをするとこれぐらいの上昇率になっているとい うことが分かると思います。

    建設全般のお話はこういう状況ですよということで、次は前回からお出ししまし たサンパウロの賃貸状況、スターツさんの森口さんから提供をいただきました。これ が先月の状況、サンパウロの50平米、15万1500円という数字がありますね、これが現 状。安い所で15万1500円。単位は円です。次お願いします。

    これは実は2月にお見せしました。同じく左上で見ますと14万7000円。というこ とで、あまり上がっていないのかなと思いますが、実は為替が42円でしたね、2011年 の末。戻していただけますか。これが、今39円で計算しています。39円で計算しても 上がっていますので、実は10%ほどサンパウロは値上がりをしております。半年で10% 。ですから年を通すと2割近くやっぱり上がるんじゃないかなというふうに思っていま す。ちなみに去年はですね、27%ぐらい上がったんですかね。ですから去年よりはだい ぶ落ち着いてはいるだろうというふうに思います。

    それから、表には中々できない土地の価格についてちょっとだけお話をさせてい ただきます。よく土地のご紹介もしているんですけども、サンパウロ100キロ圏内で3 年で2倍になっています。何%ではなくて3年でほぼ2倍。サンパウロ、100キロ離れると やや落ち着いて、150キロ離れるともっと落ち着いているということですから、大体 150キロ圏内あたりまでは相当な値上がりを覚悟してくださいというふうに言えると思 います。

    最後に、今後の課題ですけども、今ブラジル全体でですね、実は離職率が上がっ ているということが言われています。それはブラジル人であれ日系人であれ、離職率 が上がっていると。どうしても高い給与に流れるというのが必然というふうに考えざ るを得ません。

    ですから我々の課題、一番の課題はですね、どうしても日本企業の皆さんとお付 き合いするのに日系の方々の力が必要です。ですから、日系人の待遇の見直し、ある いは企業としてできること、人材育成ですね、をすること、それから資格の問題があ ります。日本とブラジルの建築に関係する資格、これを検討していって提案できれば なというふうに思っています。これから部会で検討を進めて、形にしていきたいとい うふうに思っています。以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    三上部会長様ありがとうございました。それでは最後の部会になります。食品部会 、天野部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 食品部会 天野一郎 部会長

    食品部会

    皆さんこんにちは。いよいよ最後ですので、食品ですから軽く流していこうと思い ます。我々の部会は15社ありましてですね、これが一般消費者の方に販売する形態、 それからそういう形態に原料を供給する形態、それからブラジルで生産したものを輸 出する形態、それからまあ例えば日本で作ったものを輸入して販売する形態というこ とで、色々ありまして、またこれがそれぞれ分かれていればいいんですけども、1社で 全部やっていたりですね、色々しますので、一応ここでは各社さんの一番のメインの 製品をですね、中心にしてお話して、最後にまとめさせていただくというようなこと にしたいと思います。次お願いします。

    まずそういうことで、各社さんの代表的な製品ということで、調味料の製造の会 社さんはですね、2012年の上期が数量で5%増。ただし他社との競争が激化しています と。それから、乳酸飲料ですね。これが数量で6.8%増。まあ地道に活動してきて、ま あ何とか増やしていると。それからコーヒーの販売がですね、数量で4.5%減。これは ですね、まあコーヒーの生産国なんですけども、国内の価格が国外の価格より高いと いうことでですね、まあ経済的に恵まれてきたということでコーヒーもよく飲まれる と。しかも質のいいものに向かっているということもあるんでしょうけども、まあ国 内価格が高いので減少したと。

    それからお菓子用の油ですね、これはチョコレート用の油なんですけども、原料 が安い方に移ってきているので減っていると。それから、お酒ですね、これは新規の 販売網を開拓してですね、目標は達成できたと。それから、お醤油ですけども、これ は特に、特需といいますか、日本から入りにくいと、通関を切りにくいというような ことで売上伸張しているということです。

    それから果実のピューレですけども、これは輸出されているんですが、為替が 1.5ぐらいから2になったということで停滞に歯止めがかかったと。それから、即席め んですね。これは北東部とかですね、レシフェとかその北の方の新興市場を開拓した ことによって数量は7%増であると。それから香料の業界では、今まで北米で作ってい たものをブラジルで製造するようにしたということで売上増になったと。

    それから種子ですね。種ですけども、堅調な市場の成長に支えられて売上8.8% 増ということです。それから外食はですね、これはサントスで中々、先程出てきまし たけども、ストライキとか、それから福島の第一原発の放射能の関係の検査とかです ね、そういうようなことで中々通関が切れなくて、入ってこないので、60%減というこ とです。

    それで、各社の代表的な製品の2012年下期の展望は、調味料に関しては前年比二 桁以上を目指すと。なおかつ現在の製品以外にですね、新しい色々な製品を投入して 売上増を目指しているということです。乳酸飲料に関しましては、先程と同じですけ ども、北東とか新しい市場を拡販して、前年比5%増を目指すと。コーヒーの販売に関 しては、一応できたものは全て売れるということなんですが、収益的には非常に厳し いと。

    それからお菓子用の、チョコレート用の油は、需要増がありますけども、相場が どうなるかということで収益に影響されると。それから清酒ですけども、ICMの代行の 支払いとかそういうシステムになっていった場合にどのようにマーケットに影響する かその辺が分からないので、しかしその目標達成に全力を挙げたいと。醤油関係はマ ーケティングの強化、特に地方の強化で目標を達成したいということです。

    果物ピューレの業界では、新市場、まあ特に中国ですね、今日本に向けて出して おられたようなんですけども、中国の市場を拡大したいと。それから即席めんに関し ては、成長地域による顧客ターゲットの絞り込みで4%前後の成長を目指したいと。香 料は、特にないんですが、ブラジルの市場に非常に興味を持っておられると。

    種子に関しては、商権の問題が何かおありになって減少するような話でした。そ れから外食に関しては、同じようにまだ続けて通関が切れないということで厳しい状 況であるということです。

    次にですね、品目別に対前年度を見ますと、まあ色々クレジットの問題、我々食 品は非常に安いものですから、クレジットをつけてですね、買う方がおられないので 、全体的にその国内総生産よりは上向いていると。国内の小売の合計からいくとです ね、まあ一部上回っているものもあるし、目標まで行っていないものもあると。まあ 全体的に見ると、その、非常に軽いものであるから、あまりクレジットの問題の影響 は受けていないようだということです。次お願いします。

    それから輸出関係では、結局ドルレートがですね、2.0に安定、最近しています ので、コーヒーに関係してはですね、国内の相場が先程ご紹介しましたように高いも のですから、通貨が2.0でもあまり活かせないと。それから調味料、飼料、果実ピュー レ、それからジュース関係、これはですね、全て為替の恩恵を被って、一服、あるい は少し良くなったというようなことになっているようです。次お願いします。

    先程、コーヒーが国際相場に比べて高いということなんですけども、食品は原料 に砂糖を使っているところが多いんですけれども、砂糖もですね、国際相場に比べて 高く推移していると。08年ぐらいはまあ何かかなり国際相場あたりでいっていたみた いですけれども、その後乖離しているということで、原料高で最終的に利益の圧迫要 因になっているということです。

    それから、牛乳をですね、原料にしているところでは、やはりこれも国際相場に 比べて国内価格が高いんですけども、ここに書いてある全粉というのはスーパーで売 っているパッケージになっているものですから、下の数字とは直接は比較できないん ですけども、実際問題その、メルコスールの中では無税で輸入できるんですけども、 ヨーロッパとかオセアニアから入れるとですね、税金とそれから、昔ヨーロッパでダ ンピングというか、安く出していましたので、ダンピングに対する課税と、全部入れ ると30%ぐらい輸入にかかることになって、結局国内の牛乳の値段というのが国際相場 から見て30%高止まりしてしまうというような形です。次お願いします。

    コーヒーの相場です。コーヒーはここで見ていただくように、2010年までは赤の 方が、国際相場の方が高かったんですけども、その辺りから逆転して国内相場の方が 高くなっているということで、輸出とかそういう問題に非常に難しい面があるという ことです。最後に全部まとめて、次お願いします。

    世界的に、まあ先程から出ていましたけども、大豆とかトウモロコシとかみんな 去年に比べてずいぶん、5割近く高くなっているんですけども、それが食品業界の収益 性を圧迫するようになっているわけですけれども、まあそれについて、経済新興国の 食品消費、まあ特に中国なんかの、拡大している。それからエタノール需要によって 、トウモロコシなんかは最近エタノールにするなという話もありますけども、そうい うことの需給感。それからアメリカの干ばつですか、そういう異常気象。それから、 まあはっきりわかりませんけど、鉄鉱石とか安くなってきている。そうすると穀物な んかのコモディティの方に流れてくるんじゃないかというようなことで、原料が非常 に高い形になっています。次お願いします。

    それから、ブラジル国内で製造するにあたってですね、やっぱり、インフレは収 まってきているということですけれども、インフレマインドはしっかり根付いていま して、1年経ったら賃金は必ず上昇すると。それから先程の家賃もですね、1年経った ら必ず上がると。こういうインフレマインドが抜けきっていませんので、その賃金上 昇ですね、それから、まあ食品関係は内需はおかげさまでちゃんといっていますもの ですから、内需の増加とそれからレアル安による輸出で国内需給が逼迫すると。それ から、差別的関税によりメルコスール域外からの輸入を制限しており国際相場の影響 は限定的、というのは、これは主に牛乳です。次お願いします。

    まとめとしまして、上期、全ての商品をまとめますと、全般的に国内市場は良好 であると。一部に頭打ち傾向が見られるものの、各企業の努力でこれをカバー。原料 相場は反転するも、市場の特殊性により十分な恩恵を受けていない。為替相場は追い 風となるも、国際的競争の激化で安心できない。

    それから下期の展望で、国内需要の大きな落ち込みはないと思われるが、昨年と 比較して厳しい状況になるであろう。輸出については為替相場の反転が追い風となる も、新興輸出国との競争は激化し、ブラジルコストの克服が課題と。それからブラン ド力の強化、販売戦略の再策定、コストダウンの継続的取組が必要とされる。それか ら、企業の対応出来ることには限界があり、上位レベルでの対応が求められる場面も 。これは特にその、日本からの食品輸入に関して何とかしてほしいというご意見があ りました。以上です。どうもご清聴ありがとうございました。

    司会
    天野部会長ありがとうございました。それではこれで全11部会の発表が全て終わり ました。ご参加の皆様の中でご質問あるいはご意見等ございましたら承りたいと思い ますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは若干時間も来てお りますので、では発表のセッションはここで終わりとさせていただきます。それでは 講評につきまして、在サンパウロ日本国総領事館の小林総領事代理よりいただきたい と思います。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 講評      小林雅彦 総領事代理 在サンパウロ日本 国総領事館

    皆さんこんばんは。こんにちはですけど、まだ。とてもお疲れだと思うんですけど も、もうちょっとだけお付き合いいただきたいと思います。せっかく商工会議所の方 から頼まれましたので、ちょっと私なりの、まあ講評というか、普段考えているよう なことも踏まえてお話ししてみたいと思います。

    この部会長シンポジウムにつきましては、大変貴重な情報をいただける、まあ経 済の血が流れているサンパウロならではの情報がいただけるということで、各部会の 方ですね、この直前に開かれております部会の方をはじめ、部会長シンポジウムにも 大使館ならびに総領事館でも参加をさせていただいていまして、これはまあ、かなり 詳しくですね、本省の方にも報告をいたしまして、まあ各関係先の方にも伝えていた だくというようなことをやっています。

    それから本日は木下書記官が政治の話をしましたけれども、まあそういうことも ですね、部会長シンポジウムの場だけではなくて、昼食会の場でも何回かやったこと もありますし、ぜひお声をかけていただければ大使館、総領事館の方ではいつでも出 席してお話をする用意があるので、ぜひお声をかけていただきたいというふうに思い ます。

    私の今日のお話は、ブラジルで皆さん企業活動をされるわけですけど、まあ色々 先程、あまり振るわないという経済のお話もありましたけど、基本的にポジティブな ことをまず二つほど申し上げて、それから現状、今後どうなっていくのかという、私 なりにちょっと申し上げてみたいと思います。

    一つは、あまりですね、こういう話をされる機会がないというか、あまり聞いた ことがないと思うんですけど、一つはブラジルは非常に安定した民主的な勢力である ということでございまして、まあ木下書記官の話とも若干ダブりますけど。64年に軍 事クーデターがあって21年間軍政が続いたんですけど、まあ85年に民政移管というこ とで、ポルトガル語ではRedemocratizaçãoと言って、再民主化という、民主制にまた 戻ったという表現をしますけど、そこで再民主化が始まってですね、そこから現在に 至ってほぼ30年ぐらい経っているわけですけども、まあ民主主義が非常に安定してい ると私どもは分析しています。

    さっき木下も申しましたけど、85年に、これは間接選挙だったんですけども、タ ンクレード・ネーヴェスさんという、ミナスのアエシオのお祖父ちゃんですけども、 彼だったんですけども就任前に亡くなっちゃったんですね。そこでまあサルネイさん という今の上院議長が出てきて5年間やったわけですけども、その後コーロルさんとい うのが直接選挙で出てきて、この人が出てきた時は本当に救世主が現れたみたいな、 42歳ぐらいだったと思いますけども、でこの方がブラジル憲政史上初めての impeachmentというのがあって、impeachmentで、5月ごろきっかけがあったんですけど 、そこから年末には辞任してしまうというようなことがあって、まあかなり混乱しま したけど、まあ民主主義は非常に、現在に至るまで色んな乱気流ありましたけども、 根付いている。

    ということで、特に民主主義を考える時にやはり、日本は民主主義国ですからあ まり感じないと思いますけど、例えば比較をしてみたらいいと思うんですね。まあ中 国しかり、色んな国がありますけど、まあ投資先として安定しているというのは非常 に大事なことだったと思います。

    それと、まあ木下も申しましたけど、国内に宗教的な対立とか民族的な対立がな いですね。それともう一個大事なことは、周りにも全然脅威がないですよね。まあ日 本だと、どこからミサイルが飛んでくるか分からないとかですね、色々あって、大変 気を遣っていますけど、ブラジルにおいては周りからそういうことはほとんどないと 思います。まあアルゼンチンとの軍拡競争というのは一時あると言われたこともあり ますけど、それも今では全く、メルコスールというまあ同盟を通じて解消しておりま すし。

    あとはまあブラジルは市場経済とかですね、平和主義ということで、まあ日本と 同じ価値を共有する民主主義国ということで、そこのところは我々も十分評価した方 がいいのではないかというふうに思います。それからまあBRICS、BRICSと言いますけ ど、核兵器を持っていないのはブラジルだけだと思いますね。

    そういう意味でも、ブラジルはもう1998年にNPT条約、核拡散防止条約、これと CTBTという、包括的核実験禁止条約というんですかね、これにも批准しておりまして 、その意味でもアルゼンチンとの競争はもうなくなっているということで、非常に民 主主義が安定していると。

    それから2点目はやはり、これはどこでも皆さん共通の認識ですけども、やはり マクロ経済が非常に安定しているということで、まあ94年のカルドーゾ大統領のレア ルプランということで導入されて、大体もう20年近いですけど、まあ非常に安定した ということで。あとは資源の問題とか、まあ非常に親日国であるというような問題が あって、これもブラジルの大きなポジティブな要素だと思いますけど、まあこれはこ の場では言いませんけども、そういうことを考えるとやはり大きな成長のスタートに 立っているというか、そういう土台がもうできているというふうに認識していいので はないかと思います。

    そういうことを前提にですね、色々、先程からのご報告を見ていますと、まあ必 ずしも経済が大きく飛躍するような兆候を見せていないということで、まあ我々も色 々情報を集めていまして、色んな経済学者とか政治学者に話を聞きに行っているわけ ですけど、その中でちょっと、一番しっくり行くなと思った説明があったのでちょっ とご報告します。

    これはある政治学者の方のコメントですけど、まあ近年のブラジルを考える時に 、やっぱりカルドーゾ政権の8年、それからルーラ政権の8年、これは非常にうまくい ったということで、カルドーゾさんがマクロ経済を安定させたということがあって、 その後ルーラさんは所得の再配分ということでされて、まあ色んな議論はありますけ れど、この16年というのはまあ一つのパッケージとして考えるべきであって、今その パッケージの時代が終わっていて、一つのまあ行き詰まりが生じているというのがま あその方の意見で。

    色んな、確かに、対症療法的な施策が採られていますけど、まあ金利を下げたり してそれがレアル安になっても中々輸出が伸びていかないとか、経済成長も低下傾向 にあるとか、そういうことに現れていると思いますけど、やはり、さっきからも色々 お話がありましたけども、まあブラジルコストと言われる問題を解決しないといけな いということで。

    一つは公共部門ですよね、これの大きな支出があって、まあこれは人件費でほと んど半分以上を占めているのではないかと言われてますけど、まあこの問題を解決し ないといけないし、あとまあ汚職の問題もあるし、色んなまあ構造的な問題があるの で、これをまずきちっとしないといけないということだと思います。で、そのことに 関して先週報道がありまして、非常に面白いなと思って見ていたんですけども。

    一つはVejaがですね、報道したんですけど、インフラを整備するのに民間の活力 を入れるという話で、まあ港湾とか空港とか、あるいは鉄道、それから道路ですか、 これは民間でやるんだということでまあ打ち上げたわけですけど、それを先週土曜日 に、前の週の土曜日にVeja誌は発売されるんですけど、来週政府がこんなインフラの 整備計画を発表するよということで。

    私はちょっとびっくりしたんですけど、まあVeja誌はかなり政府を批判する傾向 があるというか、まあジャーナリズムとしてね、それは当然のことだと思うんですけ ど、この記事に関してはですね、べた褒めなんですね。まさに、ジルマ政権は正しい 方向へのまあ偉大な一歩を踏み出したというようなことが書いてあって、まあそうだ ったら本当に、このまま順調にいけば本当に万々歳だと思いますけど、ちょっとVeja としてはほめすぎかなみたいな感想を私は持ったんですけど、まあそういう報道が一 つありました。

    それから、それを追っかける形でイギリスのエコノミストがやっぱりブラジルの 現況について記事を出したんですけど、これはエスタード・デ・サンパウロが引用し てまして、それを私読んだんですけど、まあこっちの方はですね、タイトルが「The moment of truth for Mrs. Gilma」と、これはまあジルマさんにとっての真実の時と いうことで、今あなた決断しないとあなたの真価が問われますよという意味だと思う んですけど。

    まあここで、例えばさっき人件費の話をしましたけど、これはまあ、政府支出と いうのは50%、でエコノミスト誌によれば50%が社会保障、年金、15%が給与ということ で、まあ大変大きな割合を占めているわけですけど、これを何とかしないといけませ んよと。

    かたや、連邦の労働者の今50%がストライキをやっていまして、ニュースでやっ ていますけど、まあ大学の先生なんか全部ストライキに入っちゃっているわけで、こ れをジルマさん本気でやる気があるんですかというのがエコノミスト誌のまあ問いか けだったわけですけど、今後どうなっていくのかというのは色んな政治の状況によっ ても変わってきます。

    木下書記官が言いましたけど、まあPT等の与党の内部でまあ中道派が増えて来る というような可能性も増えて来るんじゃないかという指摘がありましたけど、まあ逆 にですね、現在メンサロンという、PT、かつての大統領候補も含めて被告になってい るわけですけど、この方々がまあ最高裁でどのような判決を得るかによっても色々変 わってくると思います。

    まあ私の立場なのであまり内政、干渉するようなことは言えないと思うんですけ ど、まあそういう意味でメンサロンの裁判というのは今後のジルマ政権とも深く関わ ってくると思いますので、まあ皆さん是非注目されたらいかがかと思います。ちょっ と長くなりましたけど、以上で私のお話を終わらせていただきます。ありがとうござ いました。

    司会
    小林様ありがとうございました。それでは在ブラジル日本国大使館の山下一等書記 官から一言コメントをいただければと思います。

     

     

     

  • コメント         山下智也 一等書 記官 在ブラジル日本国大使館

    ブラジル日本大使館の経済班におります山下と申します。私はまだブラジルに着任 しましてから1カ月半程度で、サンパウロに来るのも今回が初めてということでござい まして、文字通りまだ右も左も分からない状態でございますので、今小林首席が総括 された後に改めて申し上げられるような付加価値的なことは特にないんですが、ブラ ジル大使館としても、私自身は財務省からの出向でございまして、大使館の方も経済 班は特に今年、来年とまあどんどん陣容を増やしておりまして、拡大する傾向にあり まして、まあ政府としてもブラジル経済をしっかり見るということに力を入れようと いう意向の表れかと思います。

    ただ、ブラジル経済をしっかり見ろと言いましても、ご承知の通り我々普段ブラ ジリアという極めて特殊な環境の中に生活しておりまして、経済といいますか企業の 生の活動の状況の息吹というものは全く感じられない環境の中に生活しておりますの で、こういった機会に参加させていただきまして、ブラジルで活躍されておられます 日本企業の皆様の生の声といいますか、貴重な情報をお聞かせいただく機会を早い段 階で与えられましたことに、非常に感謝申し上げます。

    と同時に、こういった場で色々貴重な情報をお聞かせいただきますとともに、今 回色々な方のプレゼン等でも出ました各種の規制とか、あるいは税制等といったよう な、日本の企業がブラジルで円滑な活動を行っていく上で障害となるようなことは多 々あろうかと思われます。今後もそういうことは多々起こり得るであろうと考えます し、そういった側面で、政府として政府間、大使館を含めた外交の交渉において解決 できること、あるいはしなければならないこと等も多々あろうかと思いますので、今 後とも忌憚のないご要望と現場の声をお聞かせいただいて、政府ないしは大使館と日 本企業の皆様とのインタラクティブな関係を構築できればというふうに考えておりま す。

    最後に、私の担当とは直接関係ない事柄でございますけれども、冒頭の木下書記 官のプレゼンでも少し出ました「国境なき科学」ですか、Ciencia sem Fronteiraとい うブラジル政府のプロジェクトですけども、ご承知の通りこのプロジェクトは5年間で 10万人の留学生を送り出すというブラジル政府の奨励金事業ということでございます が、これに関しまして日本政府とブラジル政府との間で、2013年の4月から留学生を派 遣するということで協力文書が署名されたということで、奇しくも今日から文部科学 省の幹部とあと日本の大学の関係者等がブラジルに来ておりまして、日本の大学のPR のために訪れているというように聞いております。

    ただこれはブラジル側としましては、ブラジル人にアカデミックな知識なり、あ るいは学位なりを得てもらいたいということを単に考えているわけでなくして、その 先のですね、特定分野の技術でありますとか、あるいはもっと実務的な能力をもった 人材を育成したいということをまあ考えていまして、そういう意味では、派遣先のそ の企業でのインターンシップ等をまあ受け入れてほしいというようなことも考えてお りまして、日本側としてはそういったプログラムを利用した留学生が帰国した後に、 ブラジルで活躍される日本の企業において優秀な現地スタッフをリクルートする際の 一助となるようなものにしたいというふうに考えておりますので、こういったプログ ラムが今後ブラジルにおいて現地スタッフを採用する際の、何と言いますか、活用に 関して前向きに検討いただければ幸いかなというふうに考えております。

    本件に関しましては、当館の大使の三輪の方から本日、本件に関するレセプショ ンを開催するということになっていまして、本日お越しいただいた方々の中にもレセ プションに参加いただける方もいらっしゃるというふうに伺っておりますので、そう いった場でも本件に関して詳細が説明されるかと思いますし、また本件に関して直接 大使館の方にお問い合わせいただければ担当者の方から詳細の方はご説明させていた だきますので、今後とも前向きにこういったことも視野に入れていただければ幸いか なというふうに申し上げまして、私の方のあいさつとさせていただきたいと思います 。どうもありがとうございました。

    司会
    山下様ありがとうございました。それでは閉会にあたりまして、実業を抱える中で 非常に興味深いプレゼンを、多分かなりご苦労されてご準備いただいたと思います各 部会長の皆様に、よろしければもう一度拍手をいただければと思います。ありがとう ございました。それではこれを持ちまして、2012年下期の業種別部会長シンポジウム を終了させていただきます。なおこの後カクテルパーティーがございまして、お申込 みいただいている皆様、この後ご参加いただけますので、よろしくお願いいたします 。今日は5時間9分にわたりまして大変お疲れ様でございました。それでは閉会といた します。

     

     

     

  • 閉会挨拶 澤田吉啓 企画戦略委員長

    ありがとうございました。本日は170名近い参 加をいただきまして、また最後までご出席いただきまして、総務委員会および企画戦 略委員会を代表いたしまして改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。

    また各部会長の皆様におかれましては、実業を 抱える中でですね、短期間でご準備をしていただき、発表していただきまして誠にあ りがとうございました。たいへんお疲れ様でございました。

    また、商工会議所の方ではこのシンポジウムの みならずですね、今年も各部会や委員会の方で様々なイベントやセミナー、あるいは 研究会等を開催してまいりますので、本日のようにですね、ぜひ皆様こちらの方にも 積極的にご参加いただければたいへんありがたく思います。

    最後になりますが、本日たいへん興味深いお話 をいただきました田中先生の方からお話がありましたけれども、今後そういうアンケ ートということでですね、またぜひ皆様方にご協力をいただきたいと思っております ので、その点お願いいたしまして本日の業種別部会長シンポジウムを終了させていた だきます。どうもありがとうございました。

     

 

全プレゼンテーション

 

 

 

2012年上期の業種別部会長シンポジウム

  • 司会 伊藤友久総務委員長


    皆様、そろそろ時間になりましたので、ブラジル日本商工会議所2012年上期の業種別部会長シンポジウムを開催させていただきます。

    本日はお忙しい中ご参会いただきましてありがとうございます。最新の情報でも、本日、163名以上の方に参会いただいているということで、史上最高の参加者人数となっております。本日、お忙しい中、国際公共政策研究センター理事長田中様、在サンパウロ日本国総領事館総領事大部様、在ブラジル日本国大使館参事官荒木様、ご出席本当にありがとうございます。

    改めて御礼を申し上げさせていただきます。私は本日の司会を務めさせていただきます、伊藤です。慣れない司会でいろいろ不手際もあると思いますけれども、本日はよろしくお願いいたします。

    本日のプログラムはお手元にあります通り、まず商工会議所の近藤会頭より挨拶いただき、その後、特別ゲストであります国際公共政策研究センター理事長であります田中直毅様より基調講演。

    そしてその後業種別部会長による発表とさせていただきます。途中15分のブレイクを含みまして、最終的には18時30分までに閉会を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。それでは近藤会頭よろしくお願いします。

     

     

     

  • 開催挨拶  近藤正樹会頭

    Boa tarde. Boa tarde a todas. 本日は恒例の業種別部会長シンポジウムに多数ご参集いただき誠にありがとうございます。

    大部サンパウロ総領事、在ブラジル日本国大使館荒木参事官はじめ政府関係者の皆様、ご多用の中ご臨席を賜り厚く御礼申し上げます。本シンポジウムは会議所のメインイベントであり、2月と8月、年2回開催しております。

    全部で11の部会があり、それぞれの部会はこのシンポジウムに備え十分な分析、検討、整理を行い、満を持して本日に臨んでおります。部会活動の大きな柱と言ってもよろしいかと思います。

    マクロ経済はもちろん、各業界ごとのまとまった動向が発表されますので、ブラジル経済全般をざっと一覧、マスターできる絶好の機会となっております。今回のテーマは「2011年の回顧と2012年の展望」。副題として「景気減速が日本・ブラジルの経済関係に与える影響および日本政府への要望」という興味深い内容でございます。世界経済減速はブラジルそして日本の実体経済にどのようなインパクトを与えるかに関しても何らかのヒントがあるものと思いますし、また日本政府への要望に関しましても官民一体となって行っていくべきことに関し、実際できること、できないことも含め優先順位が整理されていくものと思います。

    一方、先程司会の方からお話がありましたように、今回は国際公共政策研究センターの田中理事長に世界経済の動向に関して基調講演をお願いしております。世界はグローバルにつながっており、瞬時に資金・情報が動きます。ブラジルは内需が旺盛でGDPも2015年には世界5位との予想もありますし、確かに自律的な面が強くなっておりますが、やはり世界の流れの影響から逃れることはできません。

    ぜひ世界経済のホットな動向を抑えていきたく、田中理事長のご講演をとても楽しみにしております。さて、会議所といたしましては日本のプレゼンスを高めていくことを一つの目標としております。ブラジルは世界から注目度が高く、その分競争も激しく、タフな市場ではありますが、ここで通用しなければ他の国でもうまくいきません。

    ブラジルを将来の、そして長期のパートナーとして位置付けて、強い意志で取り組んでいく所存でございます。環境・インフラ・資源・防災関連など、官民一体となってオールジャパンで取り組んでいくものにも挑戦していきたく、引き続き皆様のご指導とご協力をお願い申し上げます。

    各企業の皆様におかれましては、本シンポジウムが各社の経営戦略の策定の際お役に立つことができれば、幸甚に存じます。最後になりますが、本シンポジウムの担当であります総務委員会、企画戦略委員会、そして部会、および事務局の皆様のご尽力と会員各位のご協力に対して御礼を申し上げます。私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    近藤会頭ありがとうございました。続きまして国際公共政策研究センター理事長であります田中直毅様より「世界経済の動向およびブラジル経済の景気動向調査協力願い」というテーマでご講演をお願いいたします。

    ちなみに国際公共政策研究センターとは、21世紀において日本が果たすべき役割を民間の立場から支援すべく、公共政策課題、特に外交・安全保障・環境・日本国内構造改革などの問題に関する調査研究・政策提言を行っている組織です。それでは田中様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 基調講演   国際公共政策研究センター(CIPPS)  田中直毅理事長

    ユーロ危機によって日本の政策の焦点が絞り込みが始まったと思っております。今年総選挙がある可能性が非常に高いんですが、税と社会保障の一体改革というふうに呼ばれているもの、特に消費税増税の議論は、解散の前か、解散後の新しい議会において今年中に一歩進めるものと私は予測・理解しております。

    なぜ日本において、まあ長年言われてきました財政赤字の封じ込め策というもの、まあ今回第一歩に過ぎませんけども、これが動き出したかといえば、ユーロの情勢がさすがにわが国にも大きな影響を与えたというのが私の理解でございます。

    ユーロ危機が始まりまして、色んな段階がございますけれども、国債の価格、主権国家が発行しています国債の値段が突然変わり始めるというゲームを、まあ我々は日々観察したわけであります。

    このゲームが始まる前と、始まった後では、まったくゲームの性格が違います。ユーロ圏にあるそれぞれの国が出しています国債の量、これはGDP比で見てもいろいろでございますけれども、途中まではご存知のようにこのユーロ加盟17ヶ国の国債の利回りはほとんど変わらなかったわけです。

    強気も弱気もありましたけども、ある幅の中で取引が終始していました。ところがギリシャの債務危機をきっかけといたしまして、ゲームの性格が変わってしまいました。主に投資家が三つの層に分かれました。

    第一の層は、もはや債務危機は、これはもう相当なところまで行くと考えた投資家は、例えばポルトガルの、例えばスペインの、あるいはイタリアの国債を先物で売りたてます。下がったところで買い戻して利益を上げるというのが、こういうマーケットを通じた国債価格の下落状況であります。

    二番目の投資家層は、こうした動きが始まってしまったのに対して、しまったと思うわけですが、損切りは早い方がいいというので、損失を最小にするために、持っている国債を、損が現実化するんですけども、売ると。これに入ります。ここは損害が小さいということになります。

    しかし投資家の中には、簡単には売れない、損がリアライズ、現実化するということになりますと、色んな不都合が起きるところがあります。とりわけ金融機関がそうでございまして、簡単には売りに出られないところがあります。売り始めたら、これは石を持ち上げて離すようなものですから、自分の足の甲を痛めるということが明らかになるわけですからこれは中々売れない。

    それから個人投資家の一部も当然、値下がりを始めたので困ったなとは思っていますけども、もう一度満期まで持てば何とかなるだろうということで持っています。しかしそのうちに、現在のギリシャのPrivate Sector Involvementと言われるように、まあごめんなさいと、100の価値で償還するはずだったんだけど、100はできないと。これを例えば40にすると、60は消えてなくなるわけでございますが、まあそういう情勢が今起きようとしています。

    で、投資家層の中でおおざっぱに言って三つに分かれる過程を見た以上、日本においてもしこれが起きたら、JGBが大幅に売りたてられるようなことが起きれば、日本においても同じ事が起き得ます。

    1920年代に日本がもう一度、第一次世界大戦の時に金本位制から離れましたので、もう一度世界の、1920年代の世界は金本位制に戻る形でグローバルな金融秩序を作り上げようと、日本もその中に入らなければ日本は国際社会の流れに一人遅れることになるということになって、この国際的な金本位制に戻る動きが、日本のビジネスの中でもそういう主張をする人がいましたし、それから当時の浜口雄幸とか井上準之助はもうそれをやらなければ国際的なレジームの外側に日本は立ってしまうという、まあこういう認識で金本位制に復帰しようといたしました。

    その時に、どのレートで円は国際社会に復帰するのかということを巡って大きな対立がありました。このプロセスの中で円は、かつての旧平価では戻れないんじゃないかという考え方がビジネスの間で次第に広がってまいります。

    そうしますと、個々のビジネスは自分の仕事を守るために、例えば外貨建ての債務を負ってますから、外貨建ての債務を持ったまま円が急落するということになりますと、外貨建て債務の重荷はあまりにも大きくなりすぎます。

    したがってビジネスを維持しようと思えばドルを早めに手当てせざるを得なかったわけです。この早めにドルを手当てするという、まあビジネスにおいてはごく普通の行為でありますけども、これが大手商社、大手銀行によるドル買いというふうに言われました。

    円を売ってドル買いをするという議論が出てまいりますと、当時の雰囲気ですから、すでに色んな人が殺され始めているわけですが、例えば三井の団琢磨が殺されたというのもまあそうした流れの中であります。日本が軍国主義に転換してしまった前に日本のベスト・アンド・ブライテストといわれる人が殆んどというか、ことごとくと言っていいほど殺される時代になったわけであります。

    浜口雄幸、井上準之助、団琢磨、そして高橋是清、その他挙げればきりがありませんけども、いずれも日本と国際社会との間合いというものを十分に知った上で、いかにして国際社会の中でわが国のあり方を決めようかということに悩んでこられた、そして果断に動いた人たちが片っ端から殺されたわけです。

    殺されるともうサーベルが恐ろしくて、軍部に対して物事が言えなくなるという時代を迎えたわけです。きっかけは何だったかということを今になって考えますと、円売りドル買いという状況を生み出したことが、国際社会への復帰はもちろん重要だったわけですが、この亀裂を国内において封じ込めることに失敗したというのが私は大きいと思っています。

    今回、もしわが国がJGBで大幅に値崩れする、現在、例えば、まあギリシャはちょっと極端ですけれども、例えばイタリア並みに売られたといたしますと、これはJGBにとってはただ事ではありません。現在これだけ借金が多くても、日本が少なくともクライシスを避けられているのは、国債の流通利回りが1%程度だからであります。

    これがもし現在のイタリア、一時7%まで流通利回りがなりました。まあ現在は7%は行っていませんけども、例えばまあ6%前後というようなのがしばらく続くというふうに予想されておりますけれども、もし日本が6%の利回りまで国債価格が急落したといたしますと、これはたいへんなことになります。

    今年、今作っています予算から3年か4年考えますと、新発債で40兆円が出ます。どう考えても40兆円で続ける。で、借換え債、満期になった国債の借り換えがですね、これも毎年120兆から130兆出ます。そうすると毎年160兆の国債を発行します。

    で、利回りが今1%ですから、その新しい国債を、借り換え債を含めて、出してもですね、それが問題なく、財政当局にとってはまあ受け入れられる利払いでございますが、もしこれがイタリア並みの6%になったとしますと、プラス5%余分に金利を払わなければいけないわけです。で、新発債と借換え債で160兆円出ますから、1%上がるのが1.6兆円その年利払いが出ます。

    これに、もし6%増えるということになれば、5%分増えるということになれば、8兆円増えます。でその次の年もまた8兆円増えるわけですね。新発債と借換え債で160兆、170兆行きますから。そうしますと、この、毎年8兆円ずつ増えてくるということがもし起きるとすると、と考えると、これはたいへんなことだということになります。

    消費税をいくら上げてもそれは利払い比の拡大につながってしまうということになるわけでして、これは、ヨーロッパの危機は他人事ではないということにわが国ではやっと議論が収斂し始めているというふうに私は思っています。

    まあ私はそういうふうに、まあ狼少年ではありません、もしこの問題を封じ込められなかった時にはたいへんなことが起きるということはもう言わざるを得ませんし、今私どものCIPPSで本を皆で、研究員ともどもまとめておりますが、この中ではこの問題をそのひとつとして取り上げて、どうしてもこれは封じ込めなければいけない問題だというふうに考えております。

    イタリアはちなみに、これだけ国債が売り込まれましたけども、プライマリー・バランス、プライマリー・バランスというのは政策経費に使う部門、国債の元本償還と利払いを除きました政策経費に使う支出を基本的には税金でまかなっています。プライマリー・バランスは赤字じゃないんです、イタリアは。

    わが国は今年から数年間22兆円程度の赤字が続く。これは今野田内閣が国会に発表したデータであります。これから、残念ながら、4月から始まる年度から始まって3ヶ年ぐらいはですね、今の情勢を前提にしますと22兆円のプライマリー・バランスの赤字があります。

    22兆円というのはどのくらいかというと、まあざっとですね、消費税率を10%引き上げるということにつながる金額であります。まあ逆に言えば、消費税率を10%引き上げればプライマリー・バランスはこの赤字が消えます。

    で、赤字が消えれば、問題を封じ込めることができる。要するに日本の財政と経済との関係に大きな破綻が出てくることはないということになるわけであります。で、この10%、今の5%の消費税率からプラス10%、15%までもっていくというのは、これは税と社会保障の一体改革と言われているように、消費税をお願いする以上福祉の面で余分の手当てをしなければいけないんではないかというのがまだ、政治家の頭に残っていますので、社会保障の話を引き合いに出していますけども、本当は社会保障の話はその先なんですね。

    プライマリー・バランスの赤字を封じ込めまして、その先に高齢社会化にともなう問題を議論する。ということは今の、色んな細かい計算とか相互関係とか、例えば税金、消費税率を引き上げた時に経済経営はどうなるのか言い始めると、まあ色んなパターンがありますので、その話はちょっとまあ、大学の経済学の講義ならばそういう議論も細かくやってですね、それで学生さんをテストするというのも教師の仕事ですけれども、まあ非常に雑に機械的な計算をしますとですね、5%の消費税率から15%にするまでは、これは一旦緩急をなからしめるための策なんです。

    で、そこから先に、15%から例えば20%の消費税率、さらに5%上げるという時に初めて、社会、21世紀の新しい社会に対応した仕組みを作るということにつながるというものであります。わが国でこの議論はどのくらい組ませるかというところに来ているわけですが、ヨーロッパ情勢からいくとですね、今年中にさらに議論は、私は、日本で問題の絞込みが始まると思います。

    今ヨーロッパで起きていますことは、ドイツが果たしてこのユーロ圏を維持するために本気になるのかどうかということであります。とにもかくにも現在ユーロが成り立っていますのは、ドイツが踏み込んだからであります。どうやって踏み込んだかというと、Bundesbank、ドイツの中央銀行を使いまして、ECB、欧州中央銀行におよそ50兆円の貸し出しを行いました。

    で、連邦政府が貸し出した場合には連邦政府のバランスシートにそのまま出て来るんですけれども、Bundesbankは、その昔は、すなわちマルクを使っていた時にはですね、これはもうまがうことなき中央銀行だったわけですが、欧州中銀を作りましたのでBundesbankの役割というのは小さくなったはず、事実小さくなったんです。

    しかし依然としてドイツの銀行の貸し出し資産の査定その他はやっているわけです。で、Bundesbankとドイツの連邦政府との関係はですね、まあ言うならば、連邦政府にとってオフ・バランス、バランスシートの外側にある実体であります。

    でBundesbankが実証の貸し出しを50兆円にやったんですけれども、これはBundesbankだけで決められるかというとですね、当然ですがメルケル首相に報告あるいは承認をもらっていると考えるべきでしょう。だって、ECBに50兆円を貸し出して、ユーロ圏が崩壊した場合に、この50兆円というのはじゃあどうなるんだと。誰がこれ返してくれるんだということになりますから、最終的にはドイツの納税者の負担だということになります。

    で、50兆円がECBに行きまして、ECBからギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリー、最近はフランスにまでこのお金が行っております。それでやっともっている。今年は世界で色んな選挙がありまして、まあ例えばサルコジさんはフランスで大統領再選されるかどうか、まあ大きな疑問符がついておりますけども、もうサルコジさんが出てくるか出てこないかはユーロとの関係ではもう関係ないんですね。

    Bundesbank、あるいはもっと言えばドイツ連邦政府が行ったこのECBへの貸し出しの問題をどう取扱うかということになっているわけです。ミュンヘンにIfo研究所というのがありまして、このIfoインスティトゥートの所長のシンという人がですね、ついにこの話を書いたんです。

    で、書いたからドイツの、皆が知ったわけじゃないんですが、まあ政策問題に関心のある人は分かったわけです。なーんだ、と。Bundesbankはそこまで踏み込まないとユーロというのは持たないのかと。これ、保証ですから、この保証というのはあちこちで破綻が起きた時にはですね、最終的な帳尻はドイツの納税者に回ってきます。

    もうサルコジが再選されるかどうかはもうどうでもいいでしょう、おそらく。とりあえずユーロのことからいけば。要するにドイツ連邦政府の中で、あるいは議会との関係でですね、どうするんだと。ユーロをどうするんだと。こんなことがまだ続けられるのかという議論が私はやっぱり始まると思うんです、ドイツで。で、メルケル首相がどう答弁するのか、まあ与野党間でですね、これはあまりギクシャクやるとユーロが本当に崩壊しちゃうかもしれないから、この話はそーっとしていこうという類の話ができるかどうか。

    あるいはそういうことを、もっと逆に、ポジティブに、何が何でもユーロは守るというふうに与野党間の合意ができるかどうかという議論になっています。このドイツ情勢の議論はですね、我々ヨーロッパの金融情勢を展望する上で、私ドイツ語ができないんで、ドイツ語ができる経済学者にはですね、とにかくドイツをフォローしてくれと言っているんですけれども、まあそういう情勢であります。

    そういう中で、私は可能性として、ギリシャの切開手術もやろうというようになるかもしれません。それはドラクマの復活を認めるということです。ドラクマをどうやって復活させるのか。オレンジからジュースを作っちゃったわけですね。ドラクマその他色んな通貨からユーロをいうのを作った。今度はユーロから離してもう一度昔のドラクマに戻すわけですから、ジュースからオレンジに戻す話です。これはそんな簡単な話ではありません。誰が考えてもジュースがもう一度果実になるわけではない。仕様がない、それは取り替えるより仕様がないですね。

    で、ジュースをオレンジにしますといって別のオレンジを与えて、これでまあオレンジになりましたと。この取り替えをやるためにはですね、預金封鎖をしなければいけない。ギリシャで預金封鎖をします。

    それで1ユーロを2ドラクマと、例えばそういう形で新しいドラクマの紙幣を配ることになります。これによって何が起こるかというとですね、ギリシャに対しては観光旅行がいっぱい増えるわけであります。

    最初の段階では今までユーロで表示されたのがそのままドラクマに表示が変わるだけですから、1ユーロは2ドラクマですから、ギリシャ旅行がですね、最初の段階、インフレがまだ立ち上がってくる前ですから、いい旅行ができるわけですから、いっぱいギリシャに人が来る。で、これはまあ、昔の経済学者はこういうのを機会輸出と言ったんですけども、いっぺんに為替レートを下げてそれでもって経済活動を立ち上げる。それはまあ観光客が来れば経済活動が立ち上がってきますので、その立ち上がってきた経済活動を通じて税収が増える。

    このプロセスをまあギリシャで産む以外にない。だけども、それをやるためにちょっとした細工がいるんですね。預金封鎖なんていうのはですね、一体いつの話だということなんですけれども、これが出る可能性もあります。

    ですから、例えばそういう議論がドイツで、この保証の問題がこれから少なくとも議論される。あるいはギリシャを切開して外すという話が出てまいりますから、冒頭申し上げましたわが国におけるこのJGBを、国債の急落を避けるための措置というのが不可欠という議論に入っていくんだと思います。

    で、野田内閣は与野党協議でとにかく増税を決めてもらって、その後解散にもっていきたいと、まあ話し合い解散ということですが、この可能性はどうも、まあ正直ですね、日本から来たんだからそのくらいちょっと言っとけと言われれば、まあ私の予想はですね、話し合い解散の可能性は小さくなったと思います。

    ということはどういうことかというと、まあ今年、予算のうちですね、増税法案、予算関連法案等は揉めに揉めて決まらない、結果として総選挙が行われる。しかし総選挙の後上がってきた議員はもうこの話から目をそらすことはできませんので、総選挙が終った後、その後どういう政党の連携ができるのかはまだ、もう誰も分からない話になってきているんですけども、しかし方向ははっきりしています。

    もう増税を、JGBの急落を防ぐため、やらざるを得ない。なぜかというと、もう、昨年の東日本の大震災で絆という言葉がずっと広がりまして、やっぱり我々は、日本列島に住むものとして絆の重要性を議論しました。

    しかし、実際にJGBが急落したら、さっき言った三層に分かれますから、投資家で。結果として儲ける人まで出てくるわけで仕様がない、マーケットというのはそういうものです。今の国債、JGBの市場はですね、強気もある、弱気もある、でも流通利回り1%前後してですね、この範囲でまあ皆同じ中で、仲間で取引しているんです。

    強気弱気はまた次の局面で変わってくる。でもその前に、でもこれが、流通利回りが5%になる、価格が急落する過程というのはですね、ものすごいドラマ、ものすごいゲームが始まるんですね。このゲームが始まったら、さっき言ったようにもう絆どころの話じゃないです。

    日本社会の分断が起きる。で、これが起きるとですね、たぶん私はもうそんなことを起してしまうと一世代は社会の絆は絶たれると考えた方がいいんじゃないかと。あんなこと、あんな情勢でも儲けたやつがいるという話はですね、この日本社会を本当におかしくすると思います。

    一度、政府の能力も含め、あるいはそういう中でマーケットとガバメントとの間の亀裂、あるいはマーケットの中における亀裂を見せ付けられると、その後の日本人は、マーケットってそんなに良いものなのかと言い始めた時にですね、そうした連鎖の声を封じこめる手段は我々は多分なくすと思います。

    政府の無能力に対する批判、それからおよそ経済を論ずるまあ私どものような職業の者が、まあいいんです、我々のような職業はまあどうでもいいんだけど、でもそれは無傷ではいられません。言論というものの品質に関わって、要するにろくなもんじゃねえと、経済を議論するやつっていうのはろくなもんじゃないと。

    で、日銀にどんどん日銀貨幣を刷らせてそれでデフレ脱却をすれば日本経済はうまくいくという、まあシンプル・マインディッドと言うんですが、まあ要するにそれだけまだ大学で講義している人が日本の大学の経済学の教師のですね、ざっと見積もって4人に3人ですね、そういう議論をやっているんです。

    でそれをやったらどうなるのかといったら、さっき言った話になります。もし日本銀行がそれをやりだしたらですね、世界は、あるいは日本の中の一番聡い投資家は、ついに日本政府はまっとうな手段で国債の返済をすることをあきらめたと見ます。ゲームの質は変わります。

    まあ、それでも我が日銀はさすがにそんな浅慮な人はあまりいない、日銀の中には。だから日本銀行はぎりぎりそんなことはしませんけれども、大学の先生の過半はそれを言っているわけですからね。まあいいんですけど、大学の先生が失職してもそれはいいんだけども、問題は日本の言論の質というのはこの程度かということになると、パブリック・ディシジョン・メイキングというこのプロセスに大きな傷が残ります。

    でこれを修復することは本当に難しくなるんじゃないかと私は思っておりまして、まあそういうことでわが国の議論は今年相当絞り込まれると思いますので、まあ逆に言えばユーロの危機はまだ続くと、残念ながら続くと。その中で日本での議論の絞込みが起きるというのが私の予測であります。

    で、今日実は皆様方に提案という形で、ブラジルの経済情勢を分析するアンケート用紙を商工会議所を中継ステーションとしてお願いできないかということなんです。これはどういうことかと言うと、ブラジルを始めエマージング・エコノミーの問題が世界経済の中でご存知のようにウェイトがものすごく高くなってきています。

    2008年のリーマンブラザーズ破綻の後、世界的な金融萎縮が起きましたけれども、これはまあヨーロッパ、そして、元々はアメリカから始まるサブプライムローンの話なんですが、このサブプライムローンを合成して証券化して、これが世界中に出回っていって、まあヨーロッパの銀行がこれをいっぱいゲップが出るほど買い込んでいたというところから話は始まるんですが、結果としてこの、先進工業国に問題がやってきます。

    この時中国が、2年間にわたって4兆元という金額ですから、まあ50数兆円ですね日本円にすれば。先程BundesbankがECBに貸したのも50兆円、中国が政府支出を一気に増やしたというのもですね、まあ50兆円、50数兆円ですから、今もう世界を動かすというか、いざという時にはもう50兆円の議論になっちゃっているんですけども、中国がまあ50兆円を出しました。

    ところがこれによってですね、中国は経済経路が変わってしまいました。今、この2年ほど、要するにこれが議論が始まったというか行われたのが2008年の暮れからなんですが、2009年に入ると中国の人たちは国進民退という、国有企業が前に出て民有企業は退くという国進民退という形になりました。

    2年間にわたって50数兆円の金をばらまく時に、民間企業にそのままお金をつける手段というのは中国はない。入札において公開入札するような仕方はできない。結局国有企業を通じてできることは限度がありますから、橋をかけたり、ダムを作ったり、鉄道を延ばしたり、そして工業団地を作ったり、そしてまあ中国の自治体政府が色んな思惑で、この、高いビルディング、商業用ビルディングはじめを作ると、もうそういうものにしかお金が行かない。

    で、それは中国の持続的な成長を難しくするという面が明らかになりました。で、この、まあブラジルの場合も多かれ少なかれ言えると思いますが、中国においてこの、経済統計というのは難しいんですね。信頼できるものというのは本当に少ない。

    例えば在庫統計というものは中国ではろくなものが無い。民間企業のことを分かっていないんです、中国政府は。なぜかというと、中国という国には統計法というのがないんです。統計法というのは、統計を作るためだけに調査をする、しかしそのデータ、その資料が国税とかそういうところに回ることはないと。だから統計の調査にご協力くださいということを決めているのが統計法。

    市民社会を前提とした国には統計というのはそういう位置付けを得ている。ところが中国では統計法がない。そうするとですね、どういう手段で、例えば在庫、民間企業にある在庫をどうやって調べるか。調べられないんです。

    それは、いや調べられるだろう、聞いて回ればいいじゃないかと、統計員が行ってもですね、本当のことを書かないんですね。そりゃ利益に関わる話だし、お前さんのところそんなに積み上げたその製品在庫があるんかいと、じゃあこれまではどうだったんだ、売上との関係はどうなっているんだと色々言われちゃかなわないと思うから協力しませんから。中国の経済とGDP統計ってありますけれども、在庫統計というのはもうあてずっぽで作っているんですね。

    それは私が今から10年ほど前ですね、中国の国家統計局の局長に会った時に、どう考えても中国経済の在庫循環をあなたが作っている統計では解明できないと言ったら、それはそうだと、あれは出鱈目だと言ったんです。統計局長が。

    その、まあ、後日談を言わせていただくとですね、この統計局長は上海のGDPを小さくするために、なめたんですね。なぜそんなことが必要だったかというとですね、胡錦濤政権において上海を抑えるというのはものすごく重要だったんですね。

    要するに上海ばかりが発展するというのは良くないので、上海を抑えようと、でもっと中西部とか経済発展が行かないところにリソースを回すというのが胡錦濤の政策でしたから、上海はその経済成長率を低く見せたかった、投資を続けるために。

    それで統計局長にですね、まあここから先は色々な話があるんですが、まあ言うならば、ちょっと細工してよと言ったんですね。で、対価を要求したかどうかは分からないですが、結果として、まあ、美人の女性が彼の周りにウロウロするようになってですね、で彼が解任した時は不倫罪というので、奥さんがいるのに他の女性を連れ歩いたという、まあ何かそういう。実際はですね、上海が統計局長に鼻薬を効かせたと、それが美女だったということらしいんですが。

    私は、彼は非常に素直な人で、私に教えてくれたくらいですからね、その不倫罪を惜しんだんですけれども、まあそのようにですね、中国の経済統計というのは使えないんですね。そこで我々は中国における在庫循環を取り出すためにですね、日本から中国に進出して事業活動をやっておられる企業にお願いしてアンケートを行いました。

    これはですね、同じことをブラジルでやってもらおうと思って配っているんですが、こういう、中国の場合はですね、これで見ていただくとお分かりかと思いますが、この統計、日本から中国に進出して中国で生産活動や販売活動をやる拠点における責任者の人に答えてもらうんですでども、これは何ら企業機密に関わることを聞いてはおりません。

    最初のところでですね、何を聞いているかというと、先月と今月との景況感で、どう思いますか、大いに改善している、やや改善している、変わらない、やや悪化している、等々に丸を打っていただくわけです。

    ですからこれは、その、仕事をされている責任者の人がですね、まあ自分が仕事をしている限り上りのエレベーターだなと、あるいは下りのエレベーターだと、あるいは止まっているね、ということについて印を付けていただくわけですね。

    でその次に中国でやったのはですね、これはブラジルの場合ですけれども、ところで国内要因はこの景況感にどういう影響を与えていますか。欧米要因はどうですか。あるいは日本の要因はどうでしょうね、というのをこう聞いているわけです。で、これで何に反応しているか、何が影響をもって、これもチェックしていただくわけですから、これも企業機密めいたものは一切ございません。

    その後、売上高予想を聞き、あるいは売上高が前の月に比べてというのと、前年同月に比べてどうですかというのを聞いております。それから、事業にとってインプット・プライスに関わるところを聞いていまして、購入する資材や原料の値段は上がると思いますか、変わらないと思いますか、下がると思いますかということを聞いています。

    それから在庫はどうでしょう。減ってますか、増えてますかという、これも感じた所にチェックを入れていただくわけです。で、これは中国に行っている企業の方にお願いしていますので、中国はなんせ共産党一党支配ですから、スパイ罪とか何とかという、国家反逆罪とかですね、まあややこしいといいますか、そんなものに引っかかったらビジネスの方はたいへんですから。

    でもこれに答えてもらう分にはですね、中国の機密を漏らす話でも何でもないんですね。そのビジネスの方が、自分はビジネスをしていて、投入費用はどんどん高くなるけれども、他方で出荷価格に乗っけることは難しいなという、例えばそういうことを聞いているわけでありますし、今月は前の月に比べて売上は増えそうだと、あるいは前年同月に比べてどうなのかということを聞いていますし。

    でお宅の事業所の利益はいくらですか、なんていう話は、そんな無粋なことは一切聞いていませんので、企業機密には何ら触れないわけです。じゃあこういうデータを集めることによって何が出来るかというのをちょっと、例えばこういうことが出てくるんですね。

    去年の4月から中国について行いましたけれども、3月11日の大震災によってサプライチェーン・マネージメントがいくつかで齟齬をきたしました。ルネサス・エレクトロニクスという、まあ自動車向け半導体を中心に作っておられたところが大きな影響を、茨城県の工場が影響を受けました。

    これはまあ津波の影響ではなくて、震災によってクリーンルームに問題が起きたんですけれども、これは、ルネサス・エレクトロニクスというのは元々ですね、三菱電機と日立が一緒になられたところにNECが参加されましたから、これはもう本当に大きな、サプライチェーンで言えばですね、本当に中枢的なところだったわけですが、そこが駄目になると自動車が、ご存知のように作れなくなったわけですね。

    でこのサプライチェーン・マネージメントの破綻によってですね、4月、5月は中国のビジネスで日本から出ておられる拠点でですね、まあルネサスだけじゃなくて他のもありましたので、サプライチェーンの混乱によって状況が悪化したんです。で、それはまあ明らかだったんですが、6月をご覧になってください。

    6月には、両側にピンク色が出ていますけども、ほんの少しですが大幅に改善したと言っておられるところとですね、このプロの人たちが、もうよう分からんという人も一部出たわけですね。これはどういうことかと言うと、日本のサプライチェーンが一挙に立ち上がってきたんですよ、6月にかけて。

    で、その影響でプラスが出たところはですね、もう日本がものすごい勢いで、その、復活しましたので、部材が中国に着いたんですね。だから、状況は改善したと答えられているところもあるし、錯綜したところもあるわけですね。もう作れないと言われていたのが作れる、あるいは逆のことも出る。まあ情報が交錯してですね、一体わが生産拠点は増産体制を取っていいのかどうかというのを困られた時もある。

    で、これは6月にこういうデータが出ているわけですが、それ以降ですね、悪化しているという声は小さくなるんですが、この、秋にかけて、今度は悪化しているというのが増えてくるわけですね。これは中国における、まあ経済情勢をですね、写し取っていると言っていいわけです。

    これは気象図で言うと等圧線なんですね。まあ日本列島周辺で言えばですね、ヒマラヤ山系ですごい大気流が発生しています。あるいはシベリアの高気圧があります。太平洋には低気圧があります。で、等高線というのを書きますね。で、観測地点をある程度稠密にすればですね、我々は気象図、今の、現在ただ今の気象図というのが書けるわけです。何ミリバールというのがずっと書けますから。これがいわば等圧線に相当するものです。

    中国でこれに相当する等圧線を手にしていると自負される予測機関はそんなにはないんです。わからない。中国の話というのは、もう本当に、さっき言ったように在庫統計そのものがありませんし、ミクロのデータというのは中国政府は持っていませんから。アクセスできませんから。企業情報にアクセスできないんです。

    統計法も無い国だから。だから、在庫が分からないのに等圧線なんか書けないでしょう。でもこの、こういう調査をお願いして、ちなみに中国で今協力をいただいているのは60弱の拠点でこれをいただいています。

    まあ今年ちょっと増やして、徐々に増やしていこうと思っていますけれども、まあ80とかそのくらいまで行くとですね、もうちょっと良いかなと思っていますが、60弱でもですね、こういういわば等圧線は出ました。

    こういう調査はさらに、何かもっとわかる事があるのかということは次のを見てください。これはですね、横軸と縦軸に取っていますのは、横軸に取っているのは先程のように、色で見たようにやや悪化しているというのは青く出るわけですが、縦の方はですね、この景況感に大きな影響を与えるのは何ですかというもののうち、ここは中国の国内要因というのを取っているわけですね。

    で中国の国内要因が非常に影響しているというのが一番上のところで、やや影響しているというものが広い幅になっていますから、それだけそういう回答をされる方が多いということであります。

    これを見ていただきますと、中国要因が景況感に大きく影響しているというところではですね、悪化しているというところがもう圧倒的に多いわけです。で、中国の影響が全くないというところはですね、例えば沿岸の輸出拠点ですと、所詮作った製品は中国に行っていませんから、ヨーロッパなりアメリカなり他のところに行っているわけですから、中国要因の影響はまったくないと言っておられるところはですね、全部悪いと言っている。

    それは輸出環境がまあ無茶苦茶崩れちゃったということを、この一番最後の全く影響がないと言っておられるところは。で、あまり影響がないというところでもですね、悪化していますし、まあこれがですね、ここまではクロス統計で取れるわけであります。

    で、まあ我々はですね、中国を例に今主催させていただいていますけれども、もうちょっとやりたいと思っているわけです。何かと言うと、等圧線で気象図を作りましても、それは現在ただ今は西高東低の気圧配置になって、太平洋岸ではお日様が出て、日本海岸ではいっぱい雪が降っていますという、現実と等高線とは対応していますので、これはこれでいいんです。

    しかし、明日はどうなるのか、3日後はどうなるのかというのは、等圧線だけからはですね、ご存知のように予測はできないんです。それはそうやって予測できるかというと、等圧線を作っています変数があるわけですね、主要な変数。例えばシベリア高気圧とか、ヒマラヤ山系から上がってくる大量の上昇気流とか、太平洋岸にある、太平洋上にある低気圧の塊と、これが変数です。その変数がどういう形でこれまで推移しているか、で推移してきたのに対して結果として等圧線の変化がどういう形で生まれたのかという関係を調べるわけです。

    で、変数として何を選ぶか、しかもそれは次々と変わりますから、さかのぼったデータを変数として取りますね。で変数間のパラメーターの推計をやるわけです。そうしたモデリングを通じて予測ということができるわけです。

    で、中国経済の予測を、まああてずっぽでやっている人はいますけども、今申し上げたようなモデリングを通じてやっているのは、まあ私は無いと思っています。在庫統計もないところでですね、経済予測なんてできないんです。ビジネスサイクルというのは全く分からない国ですから。

    まあ、分からないというか、外からは観察できない国。で、皆さんの協力を得ると等圧線ができることまで分かったと。等圧線ができたら、その等圧線の変化の、これまでの変化を変数として取って、変数間のパラメーターを推計するモデルを取って予測を行います。

    一つこの予測の事例を、これを見ていただきますと、今中国について、さっき言いました在庫とか景況感とか色々答えていただいていますので、それを通じて中国経済のディフィージョン・インデックスを独自に作成いたします。そうすると、それにどういう影響が出てくるのかを、中国の変数は使えませんので、外の変数を使う。

    例えばハンセン指数の中でですね、中国経済に一番大きな影響、中国系企業で上場しているものの指数がありますので、このハンセンH株指数というのを取って、それで推計を行うとですね、推計は逐次推計で毎月やるんですけれども、6月までぐらいはですね、大体幅が同じところ推計で行くんですが、7月の推計からは抉るような形、8月はさらに抉るようになっていきます。

    先行きについて。これ9月10月11月ずっとやるんですけれども、これで見ていただいてもですね、大きな変化が夏に起きていることが分かります。夏のデータまでを取ると、先行きについて、中国経済の景況感と言いますか、ディフィージョンインデックスが下の方にふれる可能性があるというのをこれは拾っています。

    でこれは先程言いました、等圧線を通じてこの足元を固めた後、そこに影響を与えている変数で、変数といっても数字ですから、最終的には、信頼できるものを使わなければいけない。で、中国で使える、信頼できる、まあ物価統計って使えるでしょうという人もいますけど、まあ使わない方がいいですね。おかしくなっちゃうんです、中国がなめてると考えた方がいいんですね、変な動きをします。まあ比較的使えるのはですね、輸出統計は両側でチェックしている、輸入国の方と両方でチェックしていますから、輸出統計はまあ辛くも使えるかもしれない。

    それから電力消費はですね、これはやっぱり、発電所の数はそんなでもないですし、まあ足し上げるが簡単なので、そんなには操作できないので、電力消費はまあ使えるかなと思っていますけども、それ以外の色んな異質的な、異質なものを足し上げるようなのは今の中国では何も使えない。

    で、それを使ってですね、我々は予測しようとしています。でブラジルはですね、中国経済とブラジル経済は地殻で言えば重なり合っている部分がものすごく強いんですね、それはまあご存知のように、原料炭、まあ石炭とかですね、鉄鉱石とか、まあ穀物とかというのはもう、中国の経済プレートとブラジルの経済プレートは重なっていますし、それからバラ積み船の海運市況を決めるものは、このブラジルと中国を結ぶ航路の繁閑によって決まるんですね。ものすごく大きな影響を受けます。

    中国とヨーロッパを1としますと、中国とブラジルは距離で2.5倍になりますので、この2.5倍の長い距離で商売が盛んになりますと、船舶は一挙に不足いたします。逆にここで商売が縮こまりますと船舶過剰が一挙に表面化する。

    今そういう意味でバラ積み船の、まあノルディック海運指数というのがものすごく動くんですけども、一番大きいのは中国プレートとブラジルプレートの重なりのところを拾い上げるとですね、海運市況の推計は、これは比較的簡単だというふうに思っていまして。じゃあブラジルでどうやったら等圧線が作れるのかといいますとですね、これはまあ皆様方のお知恵を借りなければいけないわけですが、私の見るところですね、今までブラジル経済の足下どうなっているのかの等圧線は、ブラジル政府も多分できていないのではないかというふうに、まあ違うかもしれませんがそう思っています。

    で、もしこの商工会議所の皆様にご協力をいただければですね、最初のアンケート用紙を見ていただくと分かると思いますけれども、これ、例えば事業所長の方にですね、すいません月一回このチェックだけ入れて下さい、それをメールで送ってくださいというお願いをするんですが、それが集まるとですね、等圧線が書けると思います。

    等圧線ができたらもちろんご協力していただいた方にはこの等圧線はお返ししますし、これを、まあ中国は去年の4月から始めました。もし例えば皆様のご賛同が得られてブラジルについて今年は4月から、中国から1年遅れて4月から発足できるということになりますと、多分今年の4月から年末ぐらいの間にですね、ある程度のデータが集まりますので、等圧線に近いイメージは持っていただけると思います。

    さらにその後1年先になると、中国経済プレートもまだ色んな変化をいたしますが、それとブラジル経済との関係は取れるというふうに思いますし、あるいはアメリカとかヨーロッパにつなぐ場合は経済データをもう少し使えますので、要するに発表されている経済データを変数として選んで、それとの間でパラメーターの推計を続けるという作業ができますので、まあブラジル経済の先行きについての予測ということについてもそれなりのものは作れるのではないかと期待しています。

    でも、これはやってみなければ分からないので、今日申し上げて、よしそれなら、この程度の話なら別にたいした負担でもないから引受けてやろうとお答えいただいて、1年経って、何だ何にも出ないじゃないかと、あいついかさま言っていたなと言われる可能性もゼロではないんですが、まあ多分だいじょうぶだと思います。

    今までも、これまではですね、日米の、日米経済については経済統計だけを使ってアンケートはゼロ、日本の統計とアメリカの統計は、例えば生産指数とか、卸売り物価とか、それからまあ金利ですね、これはは毎日取れますし、為替レートも取れますし、それからマネタリーサーベイという金融に関わる指標も取れますので、これはもう発表されているものだけですが、日米経済統合モデルで日米経済の先行きについてはもう相当なものを手にすでにしていますので、もう10年以上前に。多分ブラジルについてもですね、できるのではないかと思います。

    で、これまでもですね、じゃあそんなに良いものなら10年前に日米経済をやったならなぜそれをやらなかったんだと、今までやらなかったんだということなんですが、それほどエマージング・エコノミーに対しての関心が高くなったことはないんです。

    しかもやっぱりよく分からない、在庫統計がわからない国のビジネスサイクルはとてもじゃないが予測できないと。そしてまあ先進国経済とのデカップリング、先進国経済が駄目になってもエマージング・エコノミーはうまくいくという、思ったときもあるけれども、話は簡単じゃないというところまで来たんですね。

    で中国について協力してやろうという今事業所、事業所数でいって60弱なんですが、これはもう少し増やせますが、じゃあなぜ協力してやろうというふうに皆さんが言われたかというと、やっぱりこの程度の負担で何の企業機密にも、コンプライアンスにも、あるいは相手の国、共産党にいちゃもんつけられることもない。

    ちなみに私は中国共産党の政策スタッフにこれを説明に行ってですね、中国経済やっているけど、これはアメリカのCIAがやるのと全然違うよと、誰かを、国の機密を売れとか言って誰かを脅したり、あるいは金を払ったりしてやっているんじゃないんですよ、何の文句もないでしょうと言ったら、中国共産党の経済スタッフがですね、何の文句もありません、でも等圧線が出たら私どもにも教えてくださいと言うから、まあそれはいいですよと、あなたたちどうも手立てがないみたいだから等圧線は教えてあげましょうと言っていますけれども、まあ要するに中国でもそれはないんですね。

    多分、どうももっていないらしい。で、やっとここまで来ました。で、ぜひですね、年2回勉強会の集約をやっておられ、非常に積極的な活動を商工会議所の中でやっておられますので、ぜひこのご賛同いただければですね、今日賛同するよと、このぐらいの、一ヶ月に一度のこの位の労なら取ってやるよというふうにご回答を事務局の方にしていただければ、私どもで、これは毎月同じ質問表と、少し変えるところもあるんですけれども、いずれにせよもう全然手間取らせません。

    で、本当に思った通りのところ、そこで違う話にされちゃうとデータがゆがんできますので、これ誰にも機密は何もありません。無いはずですから、思ったところに印をつけていただかなければ。逆なところにつけてやれとかそれは困るんですけども、それはいわば鏡がゆがむのと同じですね。鏡がゆがめばその、本当はスリムにしなければいけない腹をですね、少しはスマートに見えるというゆがみがあったんでは中々自己努力は続きませんので、鏡はいつも磨いてなきゃいけない。

    磨いてなきゃいけないというのは、素直に印をつけていただくということだけが条件なんですが、それをしていただければですね、もちろん等圧線に関わる情報が集約できた段階でですね、すぐ調査協力者の方にはお知らせするという手順になろうかと思います。もしご質問がありましたらですね、この後コーヒーブレイクの時に時間もあるそうですから、その時にお寄せくださればと思います。どうもありがとうございました。

    司会
    田中様、たいへんありがとうございます。ちょっと時間が押していますけれども、もし何かご質問ありましたら挙手をお願いいたします。

    それでは、アンケートに対するご説明いろいろありましたけれども、このアンケート、商工会議所の方でもフォローさせていただきますので、もしご賛同いただける場合は連絡をお願いいたします。

    欧州経済とか、それから日本の増税とか、いろいろためになる説明をありがとうございました。それでは各業種の部会長もしくは部会長代理による発表を続けさせていただきます。先程も申し上げましたけれども、時間は厳守でよろしくお願いいたします。決して短くしろとは言いませんが、長くするのはご勘弁をお願いします。では金融部会、遠藤部会長よろしくお願いします。

     

     

     

  • 金融部会   遠藤秀憲 部会長

    金融部会

    今ご紹介にあずかりました南米安田の遠藤でございます。それでは時間もあれなので、簡単に金融部会の方からマクロ経済、それから為替・金利動向、そして銀行業界ならびに保険業界について簡単にご報告をさせていただきます。

    まず昨年、2011年のブラジル経済の動きについて概観させていただきます。今田中先生の方からもご説明ありましたが、世界金融危機の影響でマイナス成長となりました2009年の反動から、2010年は7.5%という非常に高い経済成長を記録し、2011年初めはブラジル経済過熱気味。それからインフレ懸念が非常に広がっておりました。

    これを受けてですね、政府は金利の引き上げ、それから引当強化を通じた個人向け貸出金利の抑制策等、旺盛な個人消費というものを何とかソフトランディングさせたいと、インフレ懸念を抑える政策を採ってまいりました。

    一方、諸外国、つまり先進国が低金利政策を継続する中で、ブラジルだけが高金利ということで、ブラジル資産に対する魅力が結果的に高まり、ブラジルへの資金流入、それからレアル高が継続したという状況でございます。このレアル高は、輸入品との競合激化、それから輸出競争力の低下ということを通じてですね、国内製造業の投資意欲、これを減退させ、結果として個人消費の一定の沈静化、それから年初からの、これはブラジル特有かもしれませんが、主要閣僚のスキャンダルと、こういったこともあり、公共投資の停滞もあって、GDPの成長率を引き下げ、御承知の通り昨年第3四半期のGDPの成長率はゼロと、ゼロ成長にまで低下する結果となりました。

    一方、昨年半ば、欧州の経済不安が深刻化した結果、国内経済への波及を警戒したブラジル政府は、世界経済停滞によるインフレ圧力が低下したことを理由に、マクロの経済政策目標というものを、これまでのインフレコントロールからむしろ成長、つまり国内産業重視というものに転換をしました。

    具体的には金利の引き下げ、それから金融取引税の導入をはじめとしたレアル高の対策、それから一部の個人向けの金融に対する引当率低減等の貸出の抑制策の緩和、それから御承知の通り国産化比率、この基準を満たさない自動車等へのIPIの上乗せ課税、それからレアル高に苦しむ特定の業種向けの社会保険料の控除・免除などの国内産業保護政策を相次いで導入したわけでございます。

    その結果、レアルの為替レートはご承知のとおり急落しまして、ブラジル中銀の介入等もあり、結果としてほぼ政府の望む水準であります、1ドルが1.7レアルから1.9レアルの水準で推移してまいりました。

    一言で総括するとですね、昨年のブラジル経済は、前半は金融引締めによってインフレ懸念を何とか押さえ込み、後半はマクロの政策目標をインフレ重視からむしろ成長、国内産業の重視というものに変化させて、為替レートの水準を是正し、金利を引き下げ、そして国内産業保護により世界経済停滞の中で何とか成長への布石を打ってきたと。まあこういうふうにブレーキといわばアクセルをうまく使い分けたマクロな経済運営を実施した年であったというふうに私どもとしては見ております。それでは次のスライドをお願いします。

    こちらがですね、主要なマクロの経済指標についてかいつまんでご説明をさせていただきます。2011年、昨年のGDP成長率は3.0%、これで着地するというふうにエコノミストの方々は予想されております。

    ブラジルの場合、輸出がGDPに占める割合、これは15%程度であるために、この減速は欧州の経済危機によるというものよりも、昨年行われた、昨年前半の金融引締め、これが奏効した結果というふうに見ております。

    一人あたりのGDPは2010年に1万ドルの大台を突破し、2011年にはまあレアル安というものにも関わらず1万2514ドルというふうに予想をされております。全体的な所得水準の向上は、ご承知の通り中流階級の拡大を促し、日本企業が得意としておりますより良いサービス、より良い商品への需要を高めているものというように期待をされております。

    次に国際収支、こちらに目を転じますと、コモディティ価格の上昇を主要因とした輸出の好調、それから国内景気減速による輸入のスローダウンということにより、貿易収支は298億ドルの黒字を計上しております。

    一方、利益配当金の送金、それから観光収入のマイナス、こういったものを主要因として経常収支は526億ドルの赤字と、赤字幅が拡大してきております。しかしながら、対GDP比で見てみると、昨年2011年は、年間を通じて見ると2.20%であったものが、年末2.16%と、ほぼ横ばいでございまして、経済全体に占めるインパクトはさほど拡大していないと言うことができようかと思います。

    526億ドルに上る経常収支は667億ドルの直接投資により結果的にファイナンスされておりまして、数少ない成長地域としてブラジルが企業の直接投資の対象になっていることをこれは示していると考えております。日系企業においてもですね、新規参入、それから設備拡大の両面で多くの直接投資がなされております。

    その結果、外貨準備高は3520億ドルの水準まで積みあがり、ブラジルの、この国の経済に対する各方面の信頼を担保している状態にあります。信頼の一例としましては、昨年欧州経済不安が高まっていた最中でありますが、6月にムーディーズはブラジルの格付けを1ノッチ引き上げております。市場が評価しておりますブラジルリスクの指標、いわゆるCDSのスプレッドは、2010年末に161.9と若干上昇しているものの、他の国、例えば中国が148.9、メキシコ153.2、韓国170、ロシア275.1、アルゼンチン919.6、などと比較してもまあまずまずの水準にあるのかなというふうに思います。

    ちなみに現在足下では140.0というふうに改善しているという数値が出ております。また、インフレ指数ですが、IPCAの指数、これが6.5%と政府のインフレ目標上限ぎりぎりで着地をいたしました。

    しかしながら9月をピークに沈静化の傾向が観察され、前半の金融引締めの効果、それから世界経済停滞の影響があったものというふうに見ております。一方、失業率でございますが、4.7%と歴史的に非常に低い水準にございまして、国内消費を底堅く支えており、一方で潜在的なインフレ圧力にもなっているという状況にございます。

    最後に株価でございますが、ずっとじり安が続いておりましたけれども、昨年7月の欧州経済危機の深刻化を契機として急落。8月8日にはBovespaが47793まで下落をいたしました。その後国内の産業重視の政策転換が行われた結果、反発し、年央は56754まで回復をしております。それでは次のスライドをお願いいたします。

    こちらがですね、金利ならびに為替の動向についてでございます。金利は右の軸、赤のグラフでございます。前半はご承知の通りインフレ懸念を抑えるために金利が引き上げられ、ピーク時では12.5%となりました。

    後半は、国内産業重視ということで、金利の引き下げが進み、年末で11.0。現在、市場はですね、今後、今年度、2012年末までには一桁の金利、多分9.5%程度まで引き下げをするだろうというふうにエコノミストは見ております。他方、左の軸、青のグラフですね、こちらで為替レートを示しておりますが、2011前半にあたってはレアルがレアル高のトレンドと。

    それから7月最終週に発表された為替デリバティブへのIOF課税を契機に1ドル=1.5341レアル、これを最高値としてまあ反転し、8月31日の皆様もこれはご記憶にあると思いますが、サプライジングな金利の引き下げによって急落。9月22日には1ドル=1.9012レアルまで一気にレアル安が進んでおります。その後ですね、上下動の激しいボラティリティの高い状態ではあるものの、大きく見ると1ドル=1.7レアルから1.9レアルのボックス圏の中で推移している様子が見て取れます。

    昨年9月の為替レートの急落の理由としては、一般的な要因として欧州経済不安ならびに米国の経済停滞によって投資家のリスク回避が高まり、いわゆる株式などの資産価格全体が下落、サプライサイドの限界のあるコモディティにおいてもコモディティ通貨の下落という形で現れ、ブラジルの特殊要因としては、サプライジングな利下げによって政策目標をインフレターゲットというものから、むしろ国内の成長、レアル安に変更したということを、マーケットがショックを受けながらも認知したということではないかというふうに挙げられております。

    また一連のIOF課税の強化などレアル高の対策の中で為替相場の動向を決定付ける為替デリバティブ市場へのIOFの課税表明が、ブラジル政府の強いレアル安への期待というか意思、これを市場参加者に印象付けたというふうに評価をされております。

    ブラジル政府にとってはですね、国内製造業をどうしても重視する関係上、1ドル=1.8レアル程度の水準が望ましいというふうに言われており、その水準から大きく離れそうな場合には為替介入等をし、一定の範囲内に収めていく意向があるというふうに言われております。それでは次のスライドをお願いいたします。

    ここから業界動向ということで、初めに昨年の銀行業界について簡単にお話を申し上げます。貸金の残高でございますが、法人向け、個人向けともに全体の量は増加しておりますが、伸び率で見た場合には、個人向けの貸金は政府の個人向け貸金抑制策というのの影響もあって、去年末より15%の伸びに留まっております。

    法人向けにつきましても、欧州の経済危機、それからレアルの為替高、こういうものによる競争力低下などによって国内産業全般の不透明感が高まり、18%の伸びに留まっております。一方でクレジット、これの絶対水準ですが、引き続きGDP50%を切る水準にあり、政府の金融政策転換にともない今後も一定の水準で拡大が続くものというふうに見込まれております。

    あとですね、不動産の融資というものがあります。一方でバブルではないかという声があるんですが、不動産融資についてもですね、拡大はしているものの、GDP比で見ますとですね、4.9%の水準に収まっており、先進諸国に比べた場合にはまだまだ非常に低い水準にございます。

    昨今特にこのサンパウロ、もしくはリオ・デ・ジャネイロ等のですね、大都市圏において、不動産価格の高騰というものが実際観測されておりますし、皆さんも実感されているかと思いますが、この不動産融資の残高を見る限りにおいては、いわゆる信用バブルという状態ではなく、いずれかの時点でですね、不動産価格が下落し、まあ投資家が損失を被るという可能性はございますが、いわゆる日本や米国のような、不動産価格の下落が金融機関を通じて経済全体に波及するというふうな事態にはならないものというふうに見ております。それでは次のスライドをお願いいたします。

    ちょっと小さくて恐縮なんですが、貸出金の質についてのご説明になります。期間の長期化、それから特に個人向け融資におけるスプレッドの上昇、それから不良債権比率の若干の拡大が観測されております。

    しかしながらですね、今現在ブラジルの大手行はすでに100%を超える引当を十分に行っており、銀行の金融機関そのものの健全性には影響はないということでございます。しかしながら、引き続き厳格な融資規制というものは当面継続するものというふうに考えられております。なお法人向けにつきましては、期間、それからスプレッド、不良債権比率ともにほぼ横ばいの状態で推移していることが見てとれるかと思います。それでは次のスライドをお願いいたします。

    以上、これまで申し上げてきたことをまとめまして、本年、2012年のブラジル経済の展望ということについて簡単にまとめさせていただきました。まず初めにですね、世界経済どうなるのかと、先程田中先生のお話もありましたけども、私どもとしてはまず欧州はどうなるか。

    欧州は欧州経済危機の深刻化回避に向けてですね、現在ドイツはじめ関係諸国が交渉作業をしている最中であり、今後それなりの一定の道筋が示されるものというふうに大いに期待をしております。

    次に米国ですが、米国ではマクロ経済の各種指標は回復をしてきているということを示しており、米国がリセッション入りする懸念そのものは薄らいでいるのではないかというふうに見ております。

    それから次に、先程お話もありました中国でございますが、これまでに比べると若干低めではあるものの、8%程度の成長率は確保でき、また、ご承知の通り政権交代の時期でもあるためにですね、経済成長を維持していくため金融の緩和措置を採る可能性もあるのではないかというふうに見られております。まあ以上を踏まえてですね、世界経済全体からすると、昨年2011年に比べれば、懸念材料、懸念点それから不透明感が多少は薄らいでいくというふうに考えております。

    それでは、それを受けて本年2012年のブラジル経済はどうなるのであろうかということでございます。昨年中盤からですね、政府は成長もしくは国内産業重視ということで経済政策を転換しましたが、この経済政策が継続して、本年12年末には政策金利は多分、先程申し上げましたが9.5%の一桁台で収まるだろうというふうに予測をされております。

    またですね、貸金抑制策の緩和というもので国内消費ならびに設備投資を刺激して、GDPの成長率は3.3%程度ではないかというふうに予想されております。工業部門に関して言いますと、2014年ワールドカップへの準備が本格化。また今年はブラジル国内で統一地方選挙の年であるために公共投資が増加。

    一方、この政府の国内産業重視の方針を反映して、BNDESとかブラジル銀行等の国営銀行の融資実行額も増加するものというふうに見込まれております。他方で、最低賃金、ご承知の通り545レアルから625レアルと14.6%調整がされ、これにともない中・低所得者層、この部分の所得を引き上げることになります。で、先程もご説明しましたが、歴史的に非常に低い水準の失業率、こういうものとも相まって、個人消費については引続き堅調に推移するものというふうに見込まれております。

    インフレについてですが、インフレについては堅調な国内消費、それから金融緩和政策などのインフレ上昇要因と欧州危機による世界経済減速というインフレの抑制要因、この両者のバランスの中でブラジル中銀そのものは非常に微妙な舵取りを余儀なくされるものというふうに考えられておりますが、民間の予測では、コアターゲットの4.5%以内はきついだろうけれども、5.3%程度のインフレということで、昨年、2011年よりは安定した水準になるものというふうに予想されております。

    直接投資についてですが、ブラジルの成長性を評価し流入は継続するものの、先進国経済の本格的な回復が見えない中で、2011年に比べると全体量としては減少するものというふうに見られております。経常収支の引き続きの赤字幅の拡大、これもあってですね、レアルの水準は1ドル=1.7から1.8レアル程度というふうに予想をされております。

    財政全体はですね、諸外国に比べますと健全というふうに言えますが、先程のお話にも出ていましたプライマリーの黒字幅、これは最低賃金の調整、公共投資の拡大により縮小する見込みでありまして、インフレ率のコントロールと相まってこの部分がブラジルの課題というふうに言えるものと思います。

    一方ですね、ブラジルの金融機関全般に関して言いますと、欧州諸国の国債などの国外資産をほとんど持っていないこと、それから国内資金というものはその大層を国内預金よりまかなっているということ、まあこの辺を考えますと引続き健全な財務状況を維持して、金融機関経由での欧州経済危機の飛び火というものは可能性は低いものというふうに考えております。以上を総合しましてですね、本年2012年のブラジル経済は緩やかな回復軌道をたどるのではないかというふうに見ております。それでは次のスライドをお願いいたします。

    最後にですね、保険業界につきまして簡単にご報告を申し上げます。ブラジルの保険統計データ、これは監督官庁でございますSUSEPが毎月統計を公表しております。これまでですね、保険業界はこのデータを元に今回の業種別シンポジウムのデータを作成してきたのですが、実は昨年の8月以降ですね、このSUSEPの公表データの更新が止まってしまいました。

    システムトラブルらしいんですけども。で、困っちゃったものですから、今回は保険業界連合会、CNSegというところの、ちょっと古いんですが2010年までのデータを使いまして簡単にご説明を申し上げたいと思います。

    このCNSegのデータはですね、昨年までご説明しておりました、伝統的な自動車保険、それから火災保険、運送保険などのいわゆる損害保険の分野だけではなくて、ブラジル国内で急激に拡大しております健康保険ですとか年金事業などの統計データも入っております。こちらのグラフはですね、それらの保険全部を含めた保険料収入がこの10年間でどれぐらいに伸びたかというものを示しておりますが、市場規模が見ての通り約6倍弱に膨らんでいる状態になっております。それでは次のスライドをお願いします。

    こちらがですね、その内訳の数字でございまして、保険種目ごとの動向を示したものでございます。ご覧いただいて、お分かりの通りですね、伝統的な自動車保険というようなSeguros Geraisと呼ばれているような保険、損害保険の分野も伸びてはいるものの、それ以上に、いわゆる健康保険ですとか年金事業といった分野の伸びがですね、非常に著しいのが見て取れると思います。

    まさにブラジルの中間層の急激な拡大がこうした分野の拡大につながっているものというふうに思われます。2011年度、まだ統計データがないもののですね、各社の決算コメントを見ていましても、非常に順調に保険料収入伸びているというコメントがなされております。で、2012年はどうなるかと言うと、CNsegの予測では、これら業界全体を見てですね、12.8%程度の伸びを予想しておりまして、今年も市場は引続き拡大の傾向が続くものというふうに予想されております。次のスライドをお願いいたします。

    最後にですね、トピックスということで、昨年のシンポジウムでもご報告を申し上げましたが、ブラジルの再保険マーケットというものについての規制があるということを簡単にご報告を申し上げます。本件はですね、昨年ご報告申し上げた状況と特に変化はございません。現状どうなっているかについて簡単に申し上げます。

    再保険というと何かというご質問もあるかと思いますが、いわゆる再保険というものはですね、保険会社が他の会社にですね、自ら保険をかけるという仕組みでございまして、これをすることで自らの引受けの能力をまあ補完したり拡大したり、それからもしくは自分が引受けたリスクというものを他に分散をして平準化するという仕組みでございます。

    多くの国ではですね、基本的に保険会社が自由な再保険取引をして、世界中の再保険会社を活用するという仕組みになっております。ブラジルではですね、いわゆるこの元請の保険会社と再保険会社が同じ会社で営業できないという仕組みになっておりまして、なおかつ2008年までIRBという半官半民の再保険公社、これが再保険マーケットを独占しておりました。

    その結果としてですね、引受けの条件、それから保険料がいくらになるのかといったことにまでですね、このIRBの意向が大きく影響していたという事実がございます。しかしながら2008年にですね、再保険市場を段階的に自由化するということを政府が決めてですね、IRB以外の再保険会社と直接取引きをすることが可能になり、現在このブラジルではですね、いわゆるブラジル国内で営業している国内資本の再保険会社、それから海外の会社だけれども認可を受けている会社をあわせてですね、現在98社が当局に登録をされております。

    しかし、昨年4月にですね、再びその再保険に関する規制が強化をされました。それは一つ、どういうことかと言いますと、IRBを含む国内の再保険会社に40%出さないといけないということが義務付けられたということ。

    それからもう一つは、一つの金融コングロマリット、一つの、ですから保険会社のグループの中で子供から親もしくは兄弟の会社に再保険取引を行う場合には上限が20%になるということが決められました。

    結果的にですね、この規制によって、何が起きたかというと、国内再保険会社の出再をまず行わなければならないということでIRBの発言権がもう一回増してきているということですね。それからもう一つは、ブラジルで事業をしております世界的な保険会社が親会社に再保険を出す上限が20%に制約された結果として、世界的なキャパシティを十分に活用することができなくなってしまったということになっております。

    この結果として、じゃあブラジルの国内にローカルの再保険会社を作ろうという動きはですね、実は加速されておりまして、1年前、2010年年末には6社でありましたローカルの再保険会社は、実は昨年末10社に増えているという状況でございます。

    ご承知の通りですね、ブラジルは14年のワールドカップ、それから16年のオリンピックに向けて、大規模なプロジェクトが数多く、まあ実行、もしくは予定されておりまして、競争条件を制限するような部分、それから大きなキャパシティの不足、まあこれによる保険料率の上昇といった部分のマイナスがですね、懸念されるところでありまして、このまあ、規制といいますか、これについては引続き展開を注視していく必要があるかなというふうに私どもとしては見ております。若干ちょっと駆け足になりましたが、以上が金融部会の報告でございます。どうもご清聴ありがとうございました。

    司会
    遠藤さんありがとうございます。本来ならば質問をお願いするところですけれども、今回は前半とりあえずまとめて発表していただきまして、その後にまとめて質問をお願いするということで進めたいと思います。では続きましてコンサルタント部会、都築様、よろしくお願いします。

     

     

     

  • コンサルタント部会      都築慎一 部会長

    コンサルタント部会

    皆様こんにちは。コンサルタント部会長の都築と申します。ご承知の方も多いかと思うんでございますけれども、我々コンサルタント部会は特にテーマは決まっておりませんので、まあ専門家の集団なのでですね、その時にふさわしいテーマでコメントをしてほしいというふうに言われております。

    で、今回はですね、ここにございますように、最近のブラジルにおけるM&Aおよび日本からのM&Aや投資の際の留意点、ということでお話させていただきたいと思います。特に昨年の8月では、投資をする際の注意点ということについてこのシンポジウムでお話させていただきました。

    ということで今回はM&Aに関するお話ということでいたします。それで、コンサルタント部会はM&Aの専門集団ということではございませんので、私もですね、コンサルタント部会の皆さんの意見をまとめさせていただいているということでご承知していただきたいと思います。次のページお願いします。

    まず、M&Aと。Mはmergersで、Aはacquisition。日本語で言いますと合併および買収ということになるんですが、ご承知のように外国からの投資も増えており、経済活動も活発にですね、今のお話にもございましたように進んでいるということで、では買収、M&Aの方はどうなっているんだろうかということなんですが、ここにございますように、数字としては一番これ、発表されている数字をまとめたもので、まずここに件数が書いてございます。

    で、2011年の後半についてはまだ統計がですね、ちょっと出てなかったので、前期の数でまとめていますが、一言で言ってしまいますと2010年が少し多かったんですけれども、ここ数年はStable、つまり安定した状態で続いているということで、特にですね、ここ数年大幅に買収や合併が増えているというふうになっているというわけではないということが言えるかと思います。

    ただですね、金額、というか、もう少し金額的にですね、年ごとの動きを見てみますと、ここに時系列で2007年から11年が書いてございますけれども、今度はこれ金額ベースで書いてございます。金額ベースと国別で、後でまたご説明しますけども、ここで見ていただくと分かるように、傾向というのがちょっと取りにくい。大体まあ、2008年と2010年が金額で突出したということでですね、特にまあ、お分かりになられるように、買収の案件が、金額が大きいと当然そこで突出するということであって、傾向としてはですね、数で見ていくと先程申し上げたようにそんなに増えているのではないんだなということが分かるかと思います。

    ここでですね、ちょっとお詫び申し上げないといけないんですが、ここに2010年のブラジルでの主な買収取引で発表されているものを2ページにわたってですね、書いております。これは国内企業とそれから外資系、外国からの買収だとか、主なものだけでございます。

    これ以外に当然たくさんあるんですけれどもそんなものを書いています。ただ、今申し上げたように、ちょっとお詫びしないといけないのは、中にはですね、買収だけじゃなくてジョイント・ベンチャーおよび合併というケースもございまして、皆様の方には商工会議所のホームページを通じてこのスライドをですね、修正したものを発表させていただきたいと思いますので、ここでは、上の方に取得企業、被買収企業と書いてございますが、すべてこの通りであるというわけではないので、その辺のところはお詫び訂正させていただきます。

    特に金額が大きいので、2010年で目立つのは、シェルがCOSANというところをですね、これは資本参加だと思うんですけども買収しております。同じようにシェルはその後2011年にCOSANとジョイント・ベンチャーでエタノールの関連するRaizenというやはり大きなジョイント・ベンチャーを立ち上げて、この分野でですね、リーディングカンパニーになろうというふうな形で動いておられます。

    次のページお願いします。さらに2011年では一応こんなような名前が挙がっております。特にTAM、ご存知のように航空会社ですけれども、TAMとLANは、LAN Chileは、これは買収ではなくて合併だということです。

    それからElavonというのとCredicardというのがございますが、これはですね、Elavonというところがですね、外国系企業と思いますけれども、Credicard、Citiが株主ですけども、このCredicardとジョイント・ベンチャーを行ったということで、買収したというわけではございません。これも修正してお届けしたいと思います。次のページお願いします。

    2011年の主要な買収取引では、ここにおられるかもしれませんけれども、日本スティールさんの、日系企業では名前も挙がっておられます。それから、国内系企業ですね、この辺も大きく上がっています。金額で大きいのは、ジェニジミ(Genzyme)というんですかね、真ん中ら辺にございます、世界的な大きな企業ですけれども、これがSanoti-Aventisというフランス系の会社を買収して、ワールドワイドで買収しています。その結果ブラジルの子会社もGenzymeが取得したというふうな形でたいへん大きな金額となっております。次のページお願いします。

    これは、残りのですね、やはり我々日系企業としてはたいへん日本でも話題になりました、キリンさんがですね、Schincariolを買収ということで、日系企業の名前もここに大きく出てきております。それから、やはり大きな金額としてはですね、GoogleがMotorola Mobility、これを世界中で買収しまして、そのためブラジルでもですね、MotorolaがGoogleの、Motorolaの一部ですけれども、その子会社がGoogleの傘下に入ったということです。

    それから最後にあるSodexoという、一番下にございますけれども、これはフランス系の食品の会社で、これがブラジルのPurasというところを買収としています。それから2番目、反対になりましたけども、2番目にございますSkypeとMicrosoftというのがございますけども、これは反対でございまして、これも修正させていただきますけどもMicrosoftがSkypeをですね、買収しているということでお詫び申し上げます。

    次のページお願いします。これが2011年の残りの方ですが、Sonyさんがですね、Sony EricssonのEricsson側の株を全部取得されて、ブラジルの方では100%になられていると。それから、下から主なものでですね、金額は発表されていないんですが、カナダのMagnaという自動車のパーツメーカーさんが、ブラジルでやはり大きくオートパーツを生産されておられるThyssenKruppというオートパーツの会社を昨年末に買収をされておられるというのがございます。

    それから、その下にございますPortobelloというのがございますけども、これはセラミックの会社でタイルとかを作っている大手なんですけれども、これとやはり大手のEliane、これは床とかそういうところのやはり同じくセラミックの大手なんですけれども、Portobelloというのは資本を公開している会社で、現在証券取引委員会の審査中ということですけれども、昨年末に発表して、この2社が合併しますと、相当なシェアをですね、とるということになります。

    というわけで、ちょっとこれがデータなんですけれども、どういう傾向にあるのかというのを次のページにまとめました。特にですね、外国からの買収だけではなく、ブラジルの内国企業間の取引も非常に活発であるということが言えるかと思います。

    同様に、海外それから国内の投資ファンドによる投資が件数別で非常に増大しており、件数でいきますと40%以上を占めるなど、非常に活発であるということです。それからブラジルの、まあ日本もそうですけれども、特徴としては、いわゆる敵対買収、TOB等をかけるとかいうのはあまりないということで、友好的な買収が多いと。

    日本と同じように、投資ファンドのやり方としては、聞いておりますのは、例えば50%とか、マイノリティーという形で株主として入るにも関わらず、経営は現経営陣にお願いしていると。そして1年か2年ぐらいしてですね、いろいろ問題あれば株主総会でですね、いろいろ問題を指摘して、経営陣に代わってもらう。

    もしくは、100%取得に動くというふうな形で投資ファンドはやっているという、まあ日本もそういうことがあるのかと思いますけども、同じようなやり方で動いているということです。それから、特にあの、特徴として、データの収集なんですが、ファミリー系支配による企業というのが結構、ご存知のように多いので、中小企業では信頼できる数値データの入手が難しい場合もあるということで、買収取引、つまり我々はあなたの会社を買いたいんですというふうなプロポーザルを出す時に、相手からの数値をですね、取得して、それによってですね、いろいろ買収価格等も決まってくるわけですけど、その場合の数字が非常に出にくいと、他国と比べて、そういう特徴があるというふうに言われています。

    特に買収件数のベースによる上位3業種というのを見てみますと、2011年では情報産業に関する投資が買収件数で非常に多かったと。それから、ごめんなさい、買収だけじゃなくて合併もそうですね、含めまして。

    2番目に化学や石油化学。これはペトロブラスの海底油田、プレサルというのに関連した事柄が非常に多かったということです。3番目が食品関係ということで、食品は今までも安定的に買収件数の上位を占めていますけど、今回1、2位が業界には情報産業と化学石油の下に甘んじるというふうな形になったということです。先程ちょっとお見せしましたけれども、国別の今度は状態を見てみますと、ブラジル投資を拡大しているのは、上にも書いてございますスペインや中国による増加が顕著であるというふうになっています。

    特にその他の中には国内の、国内間企業のやつが入っておりまして、これからもお分かりになられるように半分以上はまあ国内のあれであると。ただし、後の国はですね、特にどこの国が非常に大きいというわけではないんですけれど、2010年を見ていただくと分かるように、中国がやっぱり今後増えていくであろうということはですね、出てきております。

    これをもう少し今度は、円グラフで見たやつでございます。これも、国内の、左側が内国系企業になっておりますが、後のところはですね、結構皆で仲良く同じくらいの大きさで分けているという感じがするんですけれども、久々に、日系企業はやはりブラジルに関心を示してきているということがですね、はっきり分かるような数字も出てきております。この後ですね、2011年、発表されているものだけですけれども、日系企業および中国系企業がどんな企業が買収等合併等をしているのか発表させていただきたいというふうに思います。では次お願いします。

    次、どんな分野かということで、先程は件数から見た分野。次は、今度は年に応じてですね、どの辺の分野に集中的なM&Aが起きているんだろうかというのを示したグラフでございます。ざっと言いますと、2010年は金融、エネルギー、資源、通信業界が目立つということですね。

    特に先程申し上げた投資ファンドと、ブラジルはインフラ関係に非常に、今後伸びていくということが言われておりまして、この辺の分野にですね、積極的に今後もですね、M&Aが行われるだろうというふうに言われております。資源等につきましては、中国系企業がですね、やはり盛んにM&Aをかけてくるであろうということですね。次のページお願いします。

    駆け足で、時間も無いので進めさせていただきます。日本や韓国、今度は中国の動向について紹介させていただきます。特にこの辺の資料につきましては、PricewaterhouseCoopers社の多大なご協力をいただいておりますので、ここでちょっとそのことを申し伝えさせていただきます。

    日本、韓国、中国、香港のブラジル投資の比較表が次にございます。まあ時間もないので、2011年のところを見ていただきますと、先程申し上げたように、件数で見ましても中国系企業がですね、投資件数が8件、日系企業も10件ということで、特に中国に、変な言い方ですけれども負けているというわけではないということで、まあ逆に言えばアジアの、勝負を皆さんは積極的にかけてきているんだなということでございます。

    では次に2011年の日本企業で株式投資に主なブラジル投資がどんな内容があったのかというのもですね、ここに発表されていることから企業名も含めて一覧表にさせていただいております。

    では次お願いします。まあ一応だいたいこんなようなところがですね、発表されているところですけれども、さらに発表されていないものもいくつかあるであろうというふうに思います。次に、中国系の発表されている投資の一覧表でございます。ここに書いてございます、最後のですね、Sinopecグループというのがですね、石油と天然ガス、こちらの方の方面に入ってきているということで、金額も71億ドル、30億ドルとやはり相当大きな投資をかけてきているということが分かります。

    それから同じく中国系企業は、先程申し上げたように資源の獲得ということで、Wuhanというところが鉄鉱石の方でMMX Sudesteとか、ミナスにある外国系企業から株式を取得しております。次は韓国系企業でございます。韓国系企業はそんなに大きなのはないんですけれども、特に通信サービスの分野でSK NetworkさんがMMX Mineracao Metalicos、金属・鉱業の方にですね、出資しているという面白いデータがありますけども、金額は非常に大きな、6億9800万ドルという金額になっております。

    今まではデータをですね、簡単にご紹介したんですけれども、まああの特に、部会の中でですね、M&Aにおける留意点、特にご意見いただいた、先程ご紹介させていただきましたPricewaterhouseCoopersさんのご意見等を参考にさせていただいていますけれども、まず株式取得では国内株主からの取得というのががあると、それから国外株主間で国外での譲渡に基づいてブラジルの子会社もそのある会社の傘下に入るという二つのことがあります。

    それから、もちろんですけれど国内株主間での合併であるとか売買というのがあります。で、ブラジルの場合はこの株式の取得以外に資産の譲渡というやり方もあるわけですけども、資産の譲渡という形でですね、あまりないのは、そこに書いてございますように、資産のみを取得して新会社を設立しても同じ場所で事業を継続して行っている限りは旧譲渡者の納税未払い負担や労働法上の偶発負債に対して法律により新会社は連帯責任を負うというのがございます。

    よってですね、前の会社のいろいろな、まあダーティーなところをですね、これは前の経営者が負担したらいいと、私はだから新しい会社きれいな会社にするために資産だけ買いましょうというやり方で事業を引き継いでも、ブラジルの場合には税法上こういう縛りがありまして、新しい取得者がやはり前の納税者のいろいろなライアビリティ、雇金税支の責任を負いなさいという法律になっていますので、資産譲渡について、株式取得の代わりに資産譲渡でこのへんを逃れるということができないというのがブラジルでのM&Aにおける留意点というふうに言われております。

    それから、同様、そういうことを含めまして、税務・労務の法規が非常に複雑だということで、まあ多くの企業が100%守っていないと、守りきれないということも多いということですね。

    よって、そこでですね、買収監査というのが非常に重要になってくると。つまり会社の貸借対照表には載っていないんですけれども、載っていない、そういう目に見えない隠れ負債があるんじゃないかというので、買収監査の時にこの辺を良く調べるというのが重要であろうということと、それから、場合によっては買収候補先から法外な価格がぶつけられてくると。日本から考えるとどうしてこんな価格をですね、ふっかけてくるんだろうという、そういうのもあるんですけれども、これについては、ブラジルの場合にはもちろん会社によって違うわけですけれども、相手がファミリー系企業だったりする場合にはこういうのは交渉の一つであるんだと、つまり値段もですね、最初からフェアな値段を出すというのは作戦のうちに入っていないんだということでですね、それを日本的に考えてフェアじゃないともっていくべきではないというのがやはり皆さんの意見でした。

    それから、やはり日本の企業文化に起因する問題だと思うんですけれども、M&Aの決定までの時間が長くかかりすぎる場合があるということですね。例えば、買収監査でも平行してですね、法的な買収監査と、それから会計上の買収監査とかをですね、どんどんやっていかないと、いろいろな情報をその都度相手先にぶつけていると、ブラジル側の法人等はですね、日本は何か一つ決めるのに一つ聞いてまた本社に持っていってですね、それでまた時間がかかって、次にこういう情報を出してくださいとか、そういうことでズルズルズルズルなると。

    例えば、一例として挙げるのが、まあ車をですね、一台買いたいと、相手から。そうするとまず価格はいくらですかと。次にその車がですね、あまり故障がないのか調べたいと。

    次に今度はこっちを調べたいということで、いつまで経っても車を買うのかどうか分からない、じゃあ他の会社にですね、売りましょうと。こういう傾向が、日系企業の場合には非常に、慎重すぎるのか文化なのかわかりませんけれども、ある傾向がありますということで、価格の交渉に逆に時間を使うということについてはブラジルでも結構行われているそうです。

    1年でも2年でも交渉しているというところもあるらしいです。したがって、その辺では問題はないんだけども、その決定に時間を使うというのではいろいろブラジル側と日本側の間でですね、理解が違うということが起きるということですね。

    それから、やはりこれもご意見だったんですけれども、M&Aで大事なのは、あまりブラジルの場合ミクロに入り過ぎないようにして、細かいところをですね、あまりコンプライアンス、コンプライアンスとやっていくとですね、逆にその、何のためにじゃあM&Aをやるんだろうかということで、分からなくなってくると。

    つまり、一番何が大事なのかという大きなところを見て判断をしていくというふうにしていかないと、やはりM&Aのメリットというのはなかなか取れないのかなという話でございました。まあ、というわけで、M&Aに関しまして、中々お話できない部分もございます。というわけで、今回ご協力いただいたコンサルタント部会員の皆さんの名前を出させていただいてですね、ここで改めて御礼申し上げたいと思います。時間になりましたのでこの辺でお終いにさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    都築さん、どうも興味深いトピックスについてありがとうございました。続きまして自動車部会、末部会長代行よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 自動車部会   末一義 部会長代理

    自動車部会

    皆様こんにちは。Honda South Americaの末と申します。本年度ですね、トヨタさんから部会長会社のバトンタッチを受けまして、本来であれば私どもの代表の武田川の方でプレゼンをしなければならないんですが、あいにく国外出張に今出ておりまして、私の方で代行を務めさせていただきます。

    2011年のレビューと2012年の展望ということで、こちらの方ですね、まずは四輪車。販売、生産・輸出、輸入ライセンス、メキシコとのFTA。それから二輪車。販売、生産・輸出。部品ということで、目標15分でお話をさせていただきたいと思います。

    それではまず四輪業界動向からご説明いたします。こちらがですね、歴年の推移でございまして、昨年、ANFAVEA、こちらの自工会の予測した数字に対しまして、若干下回ると、前年比3.4%増と。拡大ペースの方は鈍化したんですが、過去の最高、販売については更新を続けております。

    続きまして、こちらが月度販売台数の推移でございます。3月にですね、ちょっと前年割れを起している所があるんですが、これはですね、実は前の年がIPI、工業製品税の減税の期限ということがありまして、その前の年が駆け込み需要があったもので前年比に対して割込んでいるだけで、大きな変化はございません。で、年後半の方からクレジットの引き締めで乗用車の拡大ペースが鈍化して、まあ結果的にですね、通年では前年同等レベルとなっております。

    で、今話の出ましたIPI減税、IPIの今度は増税ですね、こちらに大きな変化が出ております。これは、保護主義ということでも取れるんですが、9月15日にですね、ブラジル政府から増税をしますよという発表がありまして、まあ結果は、最高裁の決定を受けてですね、実際発効したのは12月16日と。したがいまして、昨年度の実績ということでは大きな影響は出ておりません。

    ただ内容的にはですね、非常に、30%増税ということで、大きなものがあると思います。まあただ、適用除外ということで、まあこちらの条件を満たす国産車、それからメルコスール現調率65%以上の車というところはですね、適用を除外しますと。さらにメルコスール・メキシコからの輸入車についても適用を除外しますということで、国内もしくは域内の産業保護というふうに解釈することができます。で、今年がその影響が出てまいりまして、韓国車さん、それから中国車さんについてはですね、完成車ビジネスが中心ですので、今後こういったところに影響が出るのではないかというふうに見ております。

    こちらが生産・輸出台数の推移でございます。生産についてはほぼ前年並みというところですね。でトレンドといたしましては、輸出が減って、輸入が増えていると。この輸入が増えているところは、先程もちょっと出ましたように、韓国車さんが低価格車、それから付加価値の高い車を中心にですね、急激に伸びてきているということがあります。まあ輸出が減っている、輸入が増えているというトレンドもですね、こういうところで見て取ることができます。

    続いてその内訳になります。まあブラジル自動車の市場ということでは、乗用車におきまして、まあ1リットル車というのが象徴的な存在でありまして、10年前にはですね、こちら、7割あったんですね。それが昨年ついに5割を切ったというところがですね、象徴的なところでございます。これは皆さんの購買力が上がったということもございます。

    それからやっぱりクレジットが低価格車ほど付きにくいと、こういった状況もございまして、ついに5割を割ったと。で、このトレンドはですね、今後も続くのではないかというふうに見ております。

    こちらがですね、支払い形態別の内訳になります。まあ2009年の法改正以降、ローンとリースというところがですね、金利が同率になったと。それから法人登録が必要ということでそこの比率は大きく変化したんですが、まあローンとリースを合わせて5割を超えるレベルということで言うと、そんなに大きなトレンドの変化はございません。

    こちらが小売と在庫の状況でございます。こちらも象徴的でございまして、国産車については市場は伸びているんですが、前年を割りましたと。その分ですね、輸入車の方は3割のアップということになっております。

    それからこちらは、まあ景気減速のひとつのバロメーターであるんですが、在庫日数がですね、これが2010年末の在庫に対して、総計でいいますと10日近く在庫が増えております。ですから、まあ今後、各社ちょっと生産調整の局面というのもあり得るんではないかと、こういったところも予測しております。

    それから、全体で3割アップいたしました輸入小売台数の内訳でございます。こちらはまあ世界的にですね、全世界的に攻勢をかけているHYUNDAIさん、こちらが3年連続で輸入車トップと。さらに、ついに10万台というところで大台を越えました。

    でその韓国のHYUNDAIとKIAを合計した販売推移です。両社ともまあ単に安いだけではなくて、付加価値を上げて台数を増やしていまして、HYUNDAIの方が6位、それからKIAが11位と。さらに今年については、HYUNDAIの15万台工場、こちらの方が稼動を始めますので、さらにまあ攻勢をかけてくるというふうに見ております。

    こちらが四輪、ANFAVEA、ブラジル自工会の方の市場予測でございます。国内市場につきましては、まあほぼ横ばい。まあ2010年までは二桁成長だったんですが、ほぼGDP並みの5%程度の安定成長が続くというふうに見ております。一方で輸出の方は、まあレアルがやはり高めの傾向、それからブラジルコストによる元々のコストの高さからやっぱり競争力が落ちているということで、10%近いダウンと。生産台数については、ほぼ横ばいと。ただ、台数についてはさらに記録を更新するだろうというふうに見ております。

    で、ほぼ横ばいという予測の中で、一方で各社さんですね、これは発表されている数字を元に作成した表なんですが、非常に積極的な投資が計画されております。2010年から2014年の3年間で約130万台の能力が増強されるということで、まあ今後も競争が激化するものというふうに見ております。

    それから、こちらもですね、まあ保護主義的な傾向というふうに見ることができるんですが、輸入ライセンスの発給問題というものが発生しております。そもそもでいいますと、これはブラジルとアルゼンチン間の問題なんですが、アルゼンチンの政府の方で2010年、輸入ライセンスの対象品目に自動車を追加しました。

    さらに、まあ発給を前年比8割までしか認めないとこういった公表を行っております。さらにまあこういった、輸入許可の義務付けを拡大すると。こういったことに対しまして、昨年5月にブラジルがまあ報復措置ということでアルゼンチン製自動車の輸入ライセンスの発給を変更いたしました。

    それまではですね、自動承認でだいたいもう10日もあれば出ていたものが、ブラジルの開発商工省の認可制ということになりまして、最大60日と、6倍もかかるようになっております。まあこれに対しまして、昨年日伯貿易投資促進合同委員会におきまして経済産業省岡田審議官様よりブラジル政府に対して輸入ライセンスの発給遅延に対する善処を申し入れていただいたと、こういう経過がございます。

    で、まあ今後の課題ということで、ブラジルの開発商工省に発給要望リストを提出するんですけど、中々発給状況は安定せずということで、まあアルゼンチンで完成車を組み立ててこっちへ持ってくるというそういったオペレーションに対して多大な影響が継続をしております。

    それからこちら、アルゼンチン製だけでなくて、日本など他国製の輸入車両も対象ということで、非常にオペレーションの効率が悪化をしております。それから、アルゼンチンに対して更なる事前申告の拡大要求など、報復が泥沼化しておりまして、まあ今後のブラジル・アルゼンチンのそういったビジネスに影を落としておりますので、早急な改善を期待しております。

    それからもう一つ、それからもう一つ、こちらはつい最近こちらの新聞、有力紙Valorを中心に発表された中身なんですが、メキシコとの間で自動車FTAの破棄というのをブラジルを行うといったこういった記事が掲載をされました。

    で、翌日にですね、ピメンテル開発商工相の方で、まあ来週から協議を開始して短期間内に協定の内容を変更する、こういった発表がありました。まあ多少トーンが和らいだと。一方的に破棄という状況は免れると。それからまた、これはちょっとメルコスールとの関係もございまして、一方的に協定が破棄されるということはないんですが、まあ今後変化の可能性はありますと。

    メキシコ・ブラジル間の自動車FTAというのは我々自動車業界にとって非常に重要なスキームでございます。まあ両国間による十分な協議を経て、納得できる変更内容に合意・継続されることを我々としては期待しております。以上が四輪の状況でございます。

    続きまして、二輪業界について概況を説明いたします。こちらの方は生産と卸販売の推移でございます。こちらはABRACICLOという、二輪自工会ですね、で販売実績ということでは204万台、生産実績214万台ということでですね、まあやっと右肩上がりに戻ってまいりましたと。

    やっとですね、リーマンショック前のレベルに戻ってきたということでございます。ただ、まあこちらの緑の線を見ていただければ分かるように、四輪と同様にやっぱりちょっと前半レアル高がございまして、輸出については横ばいになっているという状況でございます。

    こちらは二輪の月度別の登録推移です。月度別に見ると、6月までは高い数字だったんですね。まあ3月ちょっとへこんでいますが、これは、昨年は3月にカーニバルがありまして、稼動日数が少なかったという影響ですので、こちらはトレンドには大きな影響はございません。ただ、四輪同様に7月以降前年比の伸びが鈍化をしております。背景にはファイナンスの与信状況が厳しくなったというふうに見ております。この傾向は今年になっても続いております。

    続きまして、支払い形態別の販売推移でございます。ファイナンスということで、約半分を占めておるんですが、金利、インフレ、それからローン引き締めが販売に影響を与えていると。で、3クオーターまでは比率が拡大しているんですが、4クオーター以降、まあ今年に入ってもですね、やはりこのファイナンスのところの引き締めがちょっと厳しいというふうに見ております。

    続きまして、まあこれは二輪の特性なんですが、地域別の登録の推移を追いかけております。まあ全体としましては先程申し上げましたように2008年の金融危機以前のレベルにもうほぼ戻っております。ただ、この薄いブルーのところ、こちらがサンパウロを含む南東部なんですが、まあ一応拡大傾向にはあるものの、この2008年のレベルには戻ってないんですね。

    代わって、この南東部を抜いて伸びてきているのが北東部、さらに北部ですね。これは従来平均所得の低いエリアということだったんですが、まあコンソルシオというブラジル独特の割賦方法、ならびにファイナンスの広がりを受けて、非常にこう北部、北東部が力をつけていると。まあこういったところから、まだまだ拡大の余地があるというふうに見ております。

    最後になりましたが、部品業界の動向についてお話をさせていただきます。こちらはSindipecasという部品売上高のデータとなります。2010年は輸出台数が増えましたことによって、前年に対して大幅な伸びになったんですが、2011年については、まあ前半のレアル高というところが大きく影響しまして、輸出の方が伸びませんでした。

    というところで、全体ではまあこちらも約4%の伸びに留まっております。ただ売上の方は900億レアルを超えまして、史上最高を記録と、こういった状況になっております。以上が自動車部会の方で四輪、二輪、部品の動向でございました。皆様ご清聴ありがとうございました。

    司会
    末様、タイムマネージメントご協力たいへんありがとうございました。続きまして、電気電子部会、篠原様、部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 電気電子部会     篠原一宇 部会長

    電気電子部会

    Boa Tarde. 電気電子部会のPanasonicの篠原です。よろしくお願いします。まず、シンポジウムの開催準備に向けてご協力いただきました部会のメンバーの皆様へ御礼を申し上げたいと思います。

    昨年から今年にかけてですね、人事の異動等で副部会長が空席となりまして、今回Epsonさんと村田さんとNECさんとSonyさんにお願いして、ちょっと体制固めをさせていただきました。体制固めが一応できまして、今日の発表は昨年度の回顧とですね、それから事業環境の変化、それと12年の展望、プラス、三分の一ぐらいの時間を遣わさせていただきまして、ブラジルの全国電気電子製品メーカー協会でありますEletros協会の紹介をさせていただきたいというふうに思います。

    字が細かくて分かりにくいかもしれませんが、約20社からですね、回答をいただきまして、16社さんが販売の伸び、または維持を達成されております。人員の方もですね、19社さんが増員または維持と回答され、まあ市場で人材不足が見られるのは70年代以降起こらなかったことじゃないかというふうに思います。

    投資に関しましても、6社さんが2011年度に投資をされておりますので、投資意欲は旺盛であると言えるのではないでしょうか。市況はどうであったかと申しますと、コンシューマー商品を中心にCクラスの拡大が需要の伸びを反映しておりまして、ボリュームは拡大しておりますが、価格の下落は終わりを知らず、まだ続きそうです。

    震災の影響または欧州経済危機による景気後退が顕在化し、特に第3四半期からはですね、販売がスローダウンをしておりましたが、現在は政府の政策等によりですね、かなり正常化されていると思います。通信インフラ・ファクトリーオートメーションの設備関連事業はたいへん良かったと伺いました。

    まあマイナス要因を言いますと、輸入税の税率の引き下げ、固定費の上昇、震災の影響による生産・販売減、統合によるスリム化、市場減速と競争激化による価格下落、人材確保の難しさ、古い労働法の悪影響等が挙げられておりました。次お願いします。

    この表はブラジルの家電商品の需要規模でございますが、例えばテレビ、一番上の線はテレビなんですね、を例に挙げますと、ハイパーインフレでたいへんでした80年代と比較しますとですね、80年代はテレビの事業というのは年間200万台だったんです。

    それが現在は1400万台のレベルまで上がっておりまして、約7倍の市場規模になっているということなんですね。いかに高インフレが国民の生活に大きな影響を与えていたかということを物語っているというふうに思います。洗濯機もですね、600万台のレベルまで上がっておりまして、当然今は共稼ぎとかが増えて、そういった社会構造の変化の中で生活に潤いをもたらす家電商品が貴重がられているということが言えるというふうに思います。

    次にですね、商品の技術革新について若干触れさせていただきたいと思うんですが、テレビに関しましてはですね、重たい厚いあのCRTテレビの率がですね、急速に減ってですね、薄型に変わっていっているということですね。

    同時に、テレビもですね、スマートモデルと言いますか、スマートテレビに変わって行っているという傾向がございます。これは当然、地デジの導入が行われましたので、それがこういったスマートテレビへの市場の変化という形で現れてきております。したがいまして、おそらく2012にはCRTテレビはほぼゼロになるという傾向がでております。

    携帯の方に移りますとですね、実は去年、ブラジルで携帯電話を作っておられた、特に普及型の携帯が、中国から非常に安い携帯が入りましてですね、ブラジルで作っている携帯が三分の一、四分の一になったというようなことがございました。まあこのトレンドはですね、世界のトレンドをここで使用させていただいているんですが、まあそういったことでですね、携帯に関しましても、まあブラジルでもハイエンドか普及品かと、ローエンドかという商品を見ますとですね、必ずしも普及品だけこの市場で戦えるかいうと、この携帯の例を見ましてもですね、非常にその辺をうまく落ち着いていかなくちゃいけないということが言えると思います。次お願いします。

    白い表が出てきましたけども、これは日本とブラジルの冷蔵庫の歴史の比較をちょっとさせていただいたんですが、要するに日本ではですね、80年代にすでにその、全盛期といいますか、かなりの技術革新とか、1ドアから2ドアになり、マルチ・ドアになり、発展していったと。

    まあ省エネに対してもそうですし、非常にですね、ノンフロンガス、そういったことも積極的に日本では導入していったということなんですね。それに対しましてブラジルでは、白物、冷蔵庫等はですね、まず壊れなかったらいいと。

    それから錆びなかったらいいというようなですね、投資型の消費が、そういった期間が非常に長く続いたわけなんですね。そういったことでですね、新しい日本の技術の冷蔵庫の導入も意味があるんじゃないかということですね。この表は私どもの会社のPRになりますので、コピーはまずカットしておいてください。次お願いします。

    この表はですね、2012年の展望でございまして、市場の成長は鈍化するものの、Cクラス層のさらなる拡大で個人消費は堅調に推移することが期待されています。2014年のワールドカップ、16年のオリンピック開催に向けたインフラ投資、大型政府の入札関連ビジネスに伸びが期待されます。

    今年は市長選挙でございますので、特に年内のタイムテーブルはですね、影響を受けることが予想されます。選挙立候補者はですね、祭りごとにアピールできない等がございます。コスト面では、人件費がますます高騰しますので、加工工業の需要は厳しさを増します。

    環境面ではリバースロジ、要するに固形廃棄物法の細則がテーマグループ検討から実行に移される段階に来ておりますので注視することが必要と思われます。販売予想には80%を超す成長・維持の見通しが出ております。各社様とも投資の体制固めを進められているように思います。ここで電気電子部会の発表を終らせていただき、家電メーカーでありますEletrosの紹介をさせていただこうと思います。

    Eletros、皆様方にはまだなじみのない協会の名前だと思いますけれども、ブラジル国内で家電を生産している工業会なんですね。政府への陳情、企画、税制変更、またはそういった役割がですね、この協会の重要な役割と言えます。簡単にですね、この活動内容を紹介させていただきたいと思います。次お願いします。

    この表は、白物の家電のメーカー、15社が入っておりまして、赤いインクが日本の資本が入っている会社というふうにご理解ください。まあ取扱商品は下に書いています白物商品ですね。次お願いします。

    オーディオ・ビデオ関係の会社はこの通りなんですが、特にマナウスに工場を持っております。次お願いします。

    ポータブル、白物小物のメーカーが6社ございますけれども、このほかにですね、国内で約15社ほど、まだISO9000と14000とかですね、そういった手続きというか、規模に達していないようなメーカーさんがございましてですね、そういったメーカーさんが力をつけることによって、またこの協会にも入っていただくような規模に育っていくんじゃないかなというふうに期待しております。次お願いします。

    Eletrosは、会社を見ますと28社ほどで、まあ売上金額はおそらく44ビリオン・レアイス、直接雇用が約9万人というふうに見ているんですが、工場の数ですね、50ヶ所にございます。まあマナウスがオーディオ・ビデオ、南部が白物ということなんですが、かなり地方にもですね、非常にその、優良会社と言いますか、例えばフォルタレーザにESMALTECというガス配給の会社、まあグループの会社の配下に白物を作っているメーカーという非常に、白物の場合はそのボリュームの関連でですね、フレート代が非常に高くつくということがございまして、地方でもですね、そういった生産活動が、ある条件、まあ経営の環境として存在するということなんですね。

    まあ拠点はこういうことなんですけども、かなり、やはり東北伯の経済発展と需要が伸びているという要素もございまして、販売店にしましても、ベレンのヤマダさんとかですね、東北伯のMaquina de Vendasとか、ピアウイ州というまああの、所得レベルの低い州があるんですけども、そこにでもマテウスという、まあ25年ほどでですね、5000名規模の1ビリオン・カンパニーというふうに成長している、非常に魅力のある会社がですね、東北伯にはございますので、ぜひ皆さんも機会がございましたらそういった地域を見られたらいいんじゃないかなというふうに思います。次お願いします。

    Eletrosで把握していますその家電製品の数字、小さくて見づらいと思うんですが、まずテレビとかオーディオ関係ですね、マナウスで生産されている数量、このデータはですね、かなり精度は高いです。Suframaのフリーゾーンの管理局もございますので。小物もかなり精度は高いと言えます。ただ白物になりますとこれはデータが、いろいろな競争の観点とかコンプライアンスとかいろいろございまして、この数字は若干推定に近いというデータでございます。次お願いします。

    それからですね、まあ最後になりましたけれども、協会、Eletros協会として政府へのどういった提案、あるいはネゴシエーション含めてですね、やっているかという内容をちょっと書いてみたんですけども、2年ほど前にですね、市場がかなり冷え込んだ時に、IPIの税制を、下げるいろいろなアプローチがございまして、それは確かに1年間ほど高いIPI税を下げてもらってですね、市場の需要といいますかデマンドを維持したということで、今回もですね、12月から3月まで一応、IPIは白物に関しまして10%低いレベルでですね、税金が適用されているということでございまして、協会としましてはやはり耐久消費財としても税率が高いということで、継続を、つまり今の10%低い税率の継続をお願いしています。

    それから、二つ目にマナウスの恩典に関しましても、マナウスは、皆さんご存知かどうか知りませんけれども、リオネグロ川に大橋をかけちゃったんですよね。これでたいへんアマゾナス州としてはお金を使ったということがございまして、なおかつ、マナウスでもワールドカップの試合が行われるんですよ。そうするとスタジアムも作らなきゃいけない。

    スタジアム、プラスやはり交通の便利を図るためのモノレールの建設の案もありまして、お金が州政府としては要りますので、その分ですね、恩典地域、優遇策として恩典を与えているんだけれども、その、州の税収をできるだけ増やすために今の恩典を減らしたいというアプローチがございまして、まあ私どもとしてはやはり輸入品等の競争の見極め、マナウスで作るべきか、輸入すべきかというような点で、州政府との話し合いを続けているということなんです。

    次ちょっと、簡単にGINGAという、テレビに双方向性のミドルウェアを強制的に政府としては付けなさいと、早く付けなさいと、全テレビにそれを適用する義務を持たせますと、それが恩典の条件です、というような今話し合いがされています。

    それができればいいんですが、コストが高くなりますし、ソフトウェアのロイヤルティーを国外に払わなくちゃいけないというような問題もありますので、まあ市場の原理に沿ったですね、市場の要望に沿ったレベルのGINGAの適用が一番適当ではないかという主張をメーカー側としてはさせていただいております。

    それから港湾物流インフラ。とにかくブラジルのロジコストはですね、おそらく、世界一とは言いませんけど、世界でも最も高い物流コストじゃないかと思うんですね。これは為替の要素は当然ございますし、シンガポールからサントスまでのコンテナの運送費がですね、マナウスからサントスまでのコンテナ輸送費よりも安い、まあほぼ同額ですね。それからリオ・チントという鉱山の運送をですね、直接サントスに運ばずに、パラナ川からラプラタ経由で海に出しているというような国内の物流コストが高いことによる問題がございます。

    なおかつですね、特に通関関係ではですね、税務署の体制、または農林省、ブラジルのMinsterio de Agriculturaの職員の通関の体制がですね、非常に弱い。弱いというか、おそらく必要な要員の半分くらいのですね、例えばマナウスであれば連邦の監査員というのは100名ほど必要なんですね、それを50名弱でやっている。

    これはいろいろお願いしても中々解決しないというようなことをですね、政府側にはお願いしていますし。最後に不正取引、これは後に書くダンピングとかコピーとか模造品に関することなんですけれども、まあこれは非常に法的にもですね、アタックしにくい要素はあるんですけども、我々としては言いつづけていかなきゃいけないと。

    常にですね、商工大臣の方とかですね、いろいろそのことに関するお願いをしているんですけども、協会の方でも定款とかプロシージャーを見直してですね、常に厳しいスタンスでこの問題には取り組もうというふうにしております。

    私のプレゼンはこれで終らせていただきますけども、今日は東京の方から私の友人がですね、その友人というのはいろいろそのメーカーさんの、まあエネルギー関係を供給されている会社に勤めておられるんですけども、日本では本当に明るい話がないというか、暗い話が多いというようメールをいただいたので、いや今日は私は午後シンポジウムで発表させていただくんですけれども、ブラジルの電子電気部会は明るい話題といいますか、明るい案件をたくさん持っていますよというふうにですね、回答しようというふうに思っております。今日は長時間ご清聴いただきましてありがとうございました。

    司会
    篠原さんありがとうございます。続きましては前半の最後になります、機械金属部会、西岡部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 機械金属部会        西岡信之 部会長

    機械金属部会

    こんにちは、機械金属部会部会長の三菱重工ブラジルの西岡でございます。それでは機械金属部会の2011年の回顧と2012年の展望ということで報告をさせていただきます。

    我々機械金属部会、非常に業種が広きにわたっておりまして、各業種ごとに分けてご説明をしたいと思います。ここに書いてございますように、1番鉄鋼、2番電力及び社会インフラ、3番プラント機器、4番建設機械、5番産業用圧縮機、農業機械、それから各種工具・計測機器と潤滑油と、こういうふうに8つに分けてご報告をしたいと思います。

    それではまず鉄鋼関係ですけれども、2011年につきましては、国内粗鋼生産量が上期で1770万トン、前年比プラス6.2%。これが第3クオーターでは889万トン、前年比プラス8.2%。2011年の通年予想といたしましては、3526万トンと、上期は好調だったんですけれども、下期でやや減速をいたしました。

    輸出につきましては1000万トンを超えまして、前年から比べてかなり増加をいたしました。これはCSAのスラブ製鉄所が本格稼動いたしまして、北米向けの鋼塊、半製品が輸出を牽引したためでございます。それから輸入につきましては、予想が360万トンということで、前年比マイナス37.9%。まあ減っているんですけども、ただ加工製品の輸入予想がかなり増えておりまして、500万トン前後と無視できない量になっています。

    それから今年の展望ですけども、国内粗鋼の生産といたしましては、3750万トンということで、過去最高の去年から6%増加する見込みでございます。輸出につきましては、鋼塊・半製品の輸出は引続き高水準で推移するものと考えております。ただ鋼板製品類につきましては欧州危機等の影響で横ばい乃至は減少と予想しております。それから輸入につきましては2011年の水準で推移する、あるいは若干減るものと予想しております。全体的には自動車分野等の需要が堅調に推移する見込みでございますし、インフラ向けも増加する見込みでございます。

    続きまして電力および社会インフラでございます。2011年の回顧でございますが、ペトロブラス等の大型投資が継続され、経済の牽引役・原動力となって、波及効果が非常に大きいと。ただしプレサル等の上流部門に偏っておりまして、造船等への投資には積極的ですけども、プラント機器等への投資がまだ不十分というふうになっております。

    電力関係につきましては、2011年に電力オークションそのものは実施されたんですが、ペトロブラスが2016年までガス供給を保証しないという発表をいたしまして、ガス火力での入札がほぼ停止をしてしまいました。インフラ関係につきましては、大型プロジェクトの入札が遅れておりまして、例えば高速鉄道では7月に流札となってスキームを変更するという予定になっております。

    サンパウロメトロにつきましては工事を再開いたしました。2012年の展望でございますが、ペトロブラスの大型投資、まあこれは計画に対する実施率が70%前後と低くなっているんですけれども、まあ額としては大きいので、引き続き国内経済の牽引役として期待をされております。

    ただ造船関係での遅れが拡大しておりまして、プレサル開発が遅れるおそれが出ておりますけれども、まあ舶用機械の拡販に期待をしております。ガス火力につきましてはA-3電力オークションでは応札が無いものと考えておりますけれども、A-5では、年末に行われますA-5では出て来る可能性がありまして、まあ期待をしておりますけれども、全体的には低調だろうと予測をしております。

    高速鉄道につきましては上下分離での入札が一応年内に発照される見込みでございますが、まあその確度についてはまだ不透明な部分もございます。その他の都市交通、道路、空港拡張等の社会インフラ関係につきましては、まあ選挙もございますので、発注されていくだろうというふうに見ております。

    続きましてプラント機器関係でございます。2011年の回顧でございますが、まず紙パルプ業界でございますが、この業界はまあ国際競争力がありますので、2010年から設備投資が回復してきておりまして、2012年決着の大型商談が出てきておりました。

    石油化学業界につきましては、ペトロブラスの設備投資が相変わらず好調で、まあ他社さんを含めてかなり意欲的に進められました。鉄鋼・非鉄業界ですけれども、製鉄所の老朽設備更新、それから省エネ対策が計画されましたが、具体化が遅れておりました。

    エタノール業界につきましては、砂糖価格の高騰によりまして国際競争力が低下しておりまして、設備投資には動いておりませんでした。セメント業界につきましては、ワールドカップ、オリンピックに向けての設備投資を積極的に行ってまいりました。今年、2012年の展望ですが、まず紙パルプ業界につきましては、今年、2012年に大型商談が決着する見込みです。

    ただ世界的な景気後退リスク、先程から申し上げられておりますけども、ここに要注意ということでございます。石油化学業界につきましては、ペトロブラス案件はペトコーク焚ボイラ等好調に推移いたしまして、Braskemも国内投資を増加させる予定でございます。

    鉄鋼・非鉄業界につきましては、まあ世界的には供給能力過剰という傾向にありまして、生産能力増強よりも生産効率向上のための投資が出るものというふうに予想しております。

    エタノール業界につきましては、業界の競争力向上のためにBNDESが4ビリオン・レアルの融資枠を決定しておりますので、これに期待をしております。セメント業界につきましては、排熱発電設備の販売拡大を期待しております。

    続きまして、建設機械でございます。2011年の回顧ですが、総需要台数、これは第1クオーターで2782台、第2クオーターで3052台、第3クオーター2862台、第4クオーター2518台。2011年の合計で11214台と、2010年に比べまして4%の伸びをいたしました。

    全体的には、公共工事それからプロジェクトの遅延によりまして、需要の伸びが年後半で鈍化したという傾向でございます。年初にはGDPの成長5%、プラス公共工事伸び5%、トータル10%の伸びという予測をしてまいりましたが、予測ほどには伸びなかったというのが実体でございました。今年の展望でございますが、総需要台数、これは予想として1万1800台という予想でございます。

    すいません、皆さんのお手元の資料は11.8万というふうに書いてあると思いますけども、千のミスプリでございます。訂正をお願いいたします。まあ2010年比では大体9%の伸びというふうに、まあ少しずつ伸びているという予想をしております。全体的にはまあ、急激な需要増というのは期待できないんですけれども、中長期ではやはりインフラ関連工事がありますので需要増を期待しております。

    続きまして産業用圧縮機ですけれども、2011年の回顧でございますが、食品業界につきましては2010年比でマイナス20%。飲料業界の設備投資が堅調でしたけれども、2010年程には伸びなかったと。鶏肉産業の設備投資、まあそのものは堅調なんですけど、牛肉・豚肉産業については苦しい状況が続いているということでございます。

    ぺトケミ業界でございますが、2010年比でマイナス40%、大きく落ち込みました。これはペトロブラスのプレサル案件で漸く需要が動き始めたものの、まだ売上にはなっていないという状況でございます。

    飲料業界の伸びを受けまして、まあCO2の製造設備、冷却設備の受注がやや好調でしたけれども、まあ落ち込みをカバーできなかったということでございます。2012年の展望でございますが、食品業界については2011年比でプラス20%を予想しています。まあつまり2010年に戻るということですね。飲料業界では引続き設備投資案件があり、まあ継続した引合いがございます。

    鶏肉産業につきましては引続き好調で、自動化機械・冷却設備の投資に期待をしております。また牛肉・豚肉業界ではまあ輸出がわずかながら復調しておりますので、冷蔵庫設備に期待をしております。ペトケミ業界につきましては、2011年比でプラス30%、つまり2010年には戻らないというふうに予測をしております。まあペトロブラスのプレサル案件での受注活動が本格化いたしまして、売上はようやく2012年以降にかけてという状況です。それ以外のケミカル業界では、ガス圧縮装置の受注に期待をしております。

    続きまして農業機械でございます。2011年の、まずエンジンビジネスですが、これは2010年比で、台数で参りますと29%、金額でマイナス21%の落ち込みでございました。米作用作業機向け多気筒エンジンと単気筒エンジンの販売が大きく落ち込んだのが原因でございます。

    トラクタービジネスにつきましては、2010年比でマイナス5%の落ち込みでございました。これは小規模農家支援策、Mais Alimentosによりまして、小型トラクターの販売は昨年まで活況を呈してまいりましたが、これもまあだいたい一巡してきたということです。すいません、皆さんのお手元の資料、トラクタービジネスのところ、2011年比というふうになっていると思います。

    すいません、2010年比が正解でございます。訂正をお願いいたします。小型建機ビジネスですが、これは小型バックホーの輸入が前年比で2倍になっております。続いて2012年の展望でございますが、まずエンジンビジネスにつきましては、エンジン販売はまあ若干の回復を期待しておりますけども、単気筒エンジン販売は地方の電化による市場縮小、それから安価な中国製エンジンの流入によりまして低迷を予測しております。

    トラクタービジネスにつきましては、昨年7月1日よりMais Alimentosに代わる新たな融資制度が導入されておりますが、まあ先程申し上げましたように小型トラクター販売はだいたい一巡しておりますので、若干減少を予測しております。小型建機ビジネスにつきましては、都市部での、まあインフラ投資によりまして需要の伸びを期待しております。

    続きまして、各種工具・計測機器でございます。2011年の、まず切削工具でございますが、市場としては好調で販売も伸びたんですが、日本での震災、タイでの洪水で供給不足に陥りまして、シェアを落としたメーカーもございました。

    チェーン・軸受につきましては、上期は好調でしたが、下期はレアル高の影響、日系自動車メーカーの減産等によりまして、まあ製造業の後退により販売は失速をいたしました。計測機器につきましては、販売が2010年比でプラス14%と伸びております。これは教育機関向けと輸出が牽引をいたしました。

    それから2012年の展望でございますが、まず切削工具につきましては、自動車販売の伸びが期待されまして、市場としては伸びるものと予測をしております。ただまあ欧州危機等の影響もあり、まだ不透明な状況でございます。

    チェーン・軸受につきましては、市場としては下降局面が続く可能性が高いものと見ております。軸受では年央からの回復を期待し、チェーンではローカル化による販売拡大を期待しております。計測機器につきましては、日系企業及び中韓メーカーが非常に、ラッシュと言えるほど工場建設を予定しておりますので、市場環境としては良好というふうに見ております。

    続きまして、潤滑油・金属加工油でございます。2011年につきましては、まず潤滑油は市場全体としては同期比でプラス7%で堅調に需要が伸びております。ベースオイルが不足して各社が輸入する状況になっております。金属加工油につきましては、第1クオーターでは前年同期比でプラス6%の伸びでしたが、第2クオーターでは金利上昇の影響もあり、最終的には通年でマイナス1%の販売数量となっております。

    それから2012年の展望でございますが、潤滑油につきましてはディーゼルエンジンオイル、ガソリンエンジンオイル、工業用潤滑油等の主力製品で引続き堅調な伸びが期待できるものと見ております。金属加工油につきましては、自動車関連では2011年に比べて大きな伸びは期待できずにまあ現状維持となるものというふうに見ておりますけれども、二輪での回復が期待されますので、合計でまあプラス5乃至6%の伸びを期待しております。

    以上が8つに分けた業種ごとの報告でございまして、最後に部会全体としての報告でございます。まず2011年でございますが、2010年の経済情勢から各製品共に順調に販売・生産が伸びてきて、上期第1クオーターはその勢いが維持され、各製品共に伸びました。

    ただ第2クオーターに入って伸びが鈍化し、下期はそのまま減速が継続されてまいりました。従って、2011年トータルとしては、年初に予想していた程には伸びない結果となりました。まあこれは高金利政策等の消費抑制、レアル高、欧州財政危機等が効いたものと思われます。

    2012年の展望でございますが、政府が金利政策を転換いたしまして、まあ内需拡大に向けて金利を下げてきていること、それから国内産業の保護を強めてきていること、そういったことから内需は横這いか上向くものと予想しております。

    ただ一方で、世界的な景気減速により中国向け輸出が減少する可能性がありますので、まあ予断を許さないというふうに考えております。社会インフラ関係、それからプラント機器関係では、これまで計画・入札段階にあったものがまあいよいよ具体化して、発注になるものがありますので、これらでは大型受注の可能性があるというふうに見ております。以上でご報告を終ります。ありがとうございました。

    司会
    西岡さん、たいへんありがとうございます。おかげさまで少し時間を短縮できました。ではこれで15分間のコーヒーブレイクに入りたいと思います。

    後半のパートはですね、16時30分からのスタートとさせていただきますので、よろしくお願いします。また、後半の司会は澤田企画戦略委員長にお願いいたします。では、16時30分ということでお願いします。

    (コーヒーブレイク)

     

     

     

  • 司会 澤田吉啓 企画戦略委員長

    それでは後半に入らせていただきます。企画戦略委員会の澤田でございます。よろしくお願いいたします。後半は6部会からご報告をいただきます。

    申し訳ございませんが、若干ちょっと時間が押している関係がございますので、発表いただきます各部会長様には心持短めを心がけていただければたいへん助かります。よろしくお願い申し上げます。それでは最初でございますが、貿易部会、伊藤部会長の方からよろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 貿易部会 伊藤友久 部会長

    貿易部会

    貿易部会から発表させていただきます。2011年の貿易動向について簡単に説明させていただきます。最初に2011年の貿易額の総括ですが、輸出におきましては2010年の2019億ドルから26.8%増の2560億ドル。

    輸入におきましては1818億ドルから24.5%増の2262億ドルとなりました。輸出入ともに過去最高の金額となっています。その結果、黄色い折れ線グラフで示しております貿易収支につきましても、47.9%増の298億ドルという結果になっております。

    次に半期ごとの推移を見ていただきます。2011年下半期の貿易額は、半期ベースとしては輸出入ともに過去最高額となりました。このグラフを見ていただくと分かると思うのですが、リーマンショック移行、2009年上半期をボトムにブラジルの貿易額は少なくとも2011年末までは順調に回復していることが見て取れると思います。

    では、これより輸出、輸入の取引形態ごとに説明させていただきます。まずは輸出に関してですが、2011年の輸出総額は前年度比26.8%増の2560億ドルとなりましたが、カテゴリー別で見ても、この表に記載の通り、全てのカテゴリーで増加になっています。特に一次産品が36.1%増の1225億ドル。半製品が27.7%増の360億ドルと大幅な増加となりました。

    なお、一次産品が輸出総額に占める比率につきましては、2007年度から32.1%、36.9%、40.4%、44.6%、47.8%と年々増加傾向にあります。
    次に商品別について見てみます。まず一次産品ですが、この表の通り、鉄鉱石、原油、大豆の輸出額が大幅に増加して、輸出額の増加を牽引しています。工業製品については、自動車、航空機、製糖といった製品はいずれも微減となっています。一次産品が好調で、工業製品が頭打ちという結果は、レアル高等に見舞われているブラジル産業界の現状を表しているものかと思われます。

    それでは、輸出の最後に相手国別について見てみます。輸出相手国上位10ヶ国は表の通りです。まず注目すべきは、2009年から輸出相手国第1位となった中国です。全体の伸び率をさらに超える伸び率となり、輸出全体の17.3%となる443億ドルとなりました。

    品目としては、鉄鉱石および大豆が大きな伸びを示しています。次に2位のアメリカですが、前年度比33.7%増の258億ドルとなりました。米国向け品目としては原油が大きな伸びを示しています。3位のアルゼンチンは22.6%増加で227億ドルとなっています。

    日本も32.7%の増加となっていますが、のちほど対日貿易という括りでご説明させていただきます。こちらのパイグラフは全輸出総額における地域別シェアを示しています。中国を含むアジア向けの金額が30%、EU諸国が21%、中南米・カリブが22%となり、全体の7割強を占めています。

    この構図は昨年度から大きく変わっていません。そして、次に来るのが米国であり、ブラジルの米国への依存度の割合は高くないことが見て取れます。なお傾向として米国のシェアは2008年度は14%であったものが、現在の10.1%まで減少している一方で、アジア向けは2008年の18.9%から30%までシェアを伸ばしたということになっています.シェアの割合は変化していますが、ブラジルの輸出先は様々な地域に分かれており、バランスが取れた状況となっていることがこのパイグラフからお分かりいただけると思います。

    では、輸入について説明させていただきます。2011年の輸入総額は前年比24.5%増加で2262億ドルでしたが、こちらも全てのカテゴリーで増加を記録しています。カテゴリー別では、資本財が16.8%増の479億ドル。原料・中間財が21.5%増の1021億ドル。消費財が27.5%増の401億ドルとなっています。

    輸入を商品別に見てみますと、金額シェアの5割弱を占める原料および中間財の伸び率は21.5%となる一方、消費財は27.5%と堅調な伸びを示しています。耐久消費財では乗用車と燃料および潤滑油の増加率が目立ちます。特に前者については中国・韓国車の輸入の急増と、その対策として出てきたIPI増税に対する駆け込み需要も重なったと見られています。旺盛な個人消費、レアル高による輸入商品への依存は引続き続いていると見られます。

    次に輸入を相手国別に見てみたいと思います。輸入相手の上位10ヶ国はこの表の通りです。すべての相手国に対して増加という結果になっています。1位はあいかわらず米国であり、25.6%増の340億ドル。2位も変わらず中国ですが、28.1%増の328億ドルとなり、1位米国との差は12億ドル程度と迫っています。

    3位のアルゼンチンは17.1%増の169億ドルです。また2011年でもっとも注目すべきポイントとしては、ナイジェリアからの輸入総額が41.7%の伸び率で、84億ドルとなり、日本を上回って6位となっています。またインドも前年比43.3%増の61億ドルとなっています。ちなみにナイジェリアからは原油の輸入が主であり、インドからも石油製品の輸入が伸びているということになります。

    輸出と同様に地域別にパイグラフで示したものです。順位としてはアジアが1位。EUが2位。あと中南米、米国と続き、全体的に地域バランスが取れていることが分かると思います。これらの順位は昨年と同じです。ただこの中で、先程も申しましたアフリカの伸び率が36.6%と目立っています。

    次に対内直接投資について説明させていただきます。2010年に前年比66.1%増加の526億ドルとなった対内直接投資額ですが、11年も堅調な伸びで、32.2%増の695億ドルを記録いたしました。

    右の表では各国別の投資額を記載しておりますが、ご注意いただきたいのは、コンサル部会でも話が出ましたけれども、この数値は直接投資ベースになります。オランダのような低税率国を経由した間接投資の場合等はその経由国の投資額となりますので、必ずしも投資国の実態を表したものではありません。

    中国が上位に入っておりませんが、これは第三国経由の間接投資を行っている可能性、またさらに、中国の投資はマイナーな出資が多いという形態が見て取れます。ただし、残念ながら正確なデータがなく、推測の域を出ていません。次お願いします。

    次のスライドは直接投資の業種別のものになります。ブラジルで最も強みのある資源関連業種、農業、畜産、工業の伸び率が大幅に減っています。一方で、キリンによるSchincariolへの投資でも注目された飲料部門、食品などの分野への投資は大きく伸びています。サービス業も通信などを中心に倍以上の伸びを示しました。

    なお、ブラジル中央銀行が詳細を開示していないため、投資先等の正確な名前・詳細は不明となっています。また、資料が無いので裏づけが取れてはいませんが、最近の投資の傾向としては、グリーンフィールドへの投資というよりは、M&Aといった出来合いのものを買収する傾向が増えているのではないかというふうに見られています。

    次に対日貿易という点について話をいたします。2011年度の対日貿易は、左側、輸出は前年比32.7%増の95億ドル。右側、輸入が12.7%増の79億ドルとなり、全体の傾向と同様に輸出入ともに増加となりました。

    引き続き一次産品を中心として輸出が旺盛であったことから、2011年はブラジル側にとっての貿易黒字となりました。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出が3.7%、輸入は3.5%で、国別のスライドでお分かりの通り、輸出においては順位に変動はありませんでしたが、輸入においてはナイジェリアに抜かれ、昨年6位から7位に順位を落とす結果となりました。

    ちなみに日本は2010年度に韓国に抜かれ5位から6位に転落し、今回さらにナイジェリアにも抜かれ7位に転落したということになります。最期に、直接投資額については日本からの投資額が大幅に伸びるなど、例年にない結果を残した1年と言えます。

    キリンが発表したようなM&Aなど新しい動きも出てこようとしています。当然ながら、低税率国を通した間接投資等も考えられるため、一概には言えない部分がありますが、ブラジルでの日本進出企業の増加、日本人駐在員数の増加にあわせるように、ブラジルに関心を寄せる日本企業が増えた証のひとつであると見て取れます。

    最期に2011年のトピックスをまとめてみますと、一つ、輸出入ともに増加して過去最高額を記録したこと。二つ目、貿易収支も改善をしたこと。三つ目、新興国を中心として資源・食料の需要増加により一次産品の輸出総額が大きく伸び、その比率が増加していること。輸入先として日本の順位が7位に下落したこと。大きくはこの四点が言えるのではないかと思います。

    そして、2012年の見通しについて簡単に触れますと、ブラジルの経済の好調ぶりは11年中央の欧州不安の顕著化によって踊り場にいる状況に入り、今年の経済成長率も色んな見方があるものの3~5%前後と見られており、貿易につきましても、一次産品への影響も含めて不透明さが増していることが見て取れます。昨年後半から打ち出しているブラジル政府の景気刺激策が効を奏し経済が回復に向かうのか、あるいは欧州発信の不透明感がさらに影響を強めていくのか、十分注意していく必要があると思います。

    さらに気になる点は、政府が保護主義の姿勢を強めつつあることです。11年の自動車のIPI引き下げにつきましては、レアル高とそれによる輸入車の増加という背景がありました。12年に入ってもアルゼンチンの保護主義政策の強化によってブラジルが対抗処置を検討するという話も出てきております。

    これは自動車部会からの発表の通りです。その結果、効果は限定的かもしれませんが、機運としては必ずしも貿易に携わるものとして、必ずしも好ましいものではないと思われます。しかしながら、ブラジルに対する世界の注目度は減ることはないかと思われます。それは昨年の対内直接投資額の増加にも見られる通りです。

    日本企業のみならず、欧米、さらにはアジア企業も引続きブラジルへの関心を高めるものと見ることができます。毎回申し上げておりますが、日本とブラジルは補完関係にある国同士であり、ブラジルの日本におけるプレゼンスを高め、逆に日本のブラジルにおけるプレゼンスを高め、さらなる関係の強化、そしてその結果の実現を切に望みつつ、貿易部会からの発表を終らさせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。ちょっと前半と同様に、とりあえず各部会よりご報告いただきまして、時間を見ながら場合によって質疑を入れさせていただくという形で進めさせていただきますので、申し訳ございませんがご了承いただければと思います。それでは化学品部会、藤下部会長様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 化学品部会 藤下温雄 部会長

    化学品部会

    化学品部会の藤下と申します。化学品部会の2011年の回顧と2012年の展望を報告させていただきます。化学品部会では業界の回顧と展望を発表するに際し、会員各社にアンケートをお願いしておりまして、その結果を発表することとしております。

    化学品部会の会員数は55社ですが、アンケートの依頼は39社に対して行われており、今回は19社より、うち1社は3業種やっておられますので3回答をいただきましたので、計21回答。これを業種に分けますと16業種の回答をいただきました。

    まずアンケートの全体の結果を見ますと、2011年の売上につきましては、21回答中、増加が18回答、不変が1回答、減少が2回答で、増加と不変をあわせますと76%。利益に関しましては増加15回答、不変1回答、減少5回答であり、増加と不変をあわせますと同じく76%となりました。

    2012年の展望でも、売上に関しましては、増加予測が14回答、不変予測が5回答、減少予測が2回答で、増加と不変をあわせますと90%。利益に関しましては、増加予測が10回答、不変予測が6回答、減少予測が5回答で、増加と不変予測をあわせますと76%となりました。

    全体の結果だけでは業界の傾向が分からないと思いますので、今回のアンケートではこの21回答16業種を5分野に分けまして、結果を見てみました。化学品というのは非常に多岐の分野に使用されておりますので、果たしてこの分類方法が良いのか分かりませんが、ある程度の市場別の傾向はつかめるのではないかと思います。

    まず、工業材料分野ですが、タイヤ、樹脂着色剤、ロジンおよび誘導体、合成樹脂、水処理薬品、石油化学製品、シール・接着剤、印刷インキ、おのおの1社ずつ、合計8社8業種の回答がありました。

    それで、アンケートの結果といたしまして、売上では増加6回答、不変0回答、減少2回答で、増加と不変回答をあわせまして75%。利益では増加4回答、不変0回答、減少4回答となり、増加と不変回答をあわせて50%になりました。2012年の展望では、売上で増加予測5回答、不変2回答、減少1回答で、増加と不変とあわせて75%となり、利益では増加5回答、不変2回答、減少1回答で、増加と不変をあわせて75%となりました。

    次に、農業・畜産分野ですが、農薬が3社、飼料添加物が1社、合計4社2業種の回答がありました。結果としまして、2011年の売上では増加4回答、不変0回答、減少0回答で、増収と不変回答をあわせて100%。利益でも増加4回答、不変0回答、減少0回答で、増加・不変あわせて100%でした。

    2012年の展望では、売上で増加2回答、不変1回答、減少1回答で、増加と不変をあわせて75%。利益では増加1回答、不変1回答、減少は2回答で、増加と不変とあわせると50%になりました。

    次に、医薬・化粧品分野ですが、一般用医薬品が1社、化粧品が1社、合計2社2業種の回答がございました。結果は、2011年の売上では増加2回答、不変・減少それぞれ0回答で、増収が100%。利益でも増加が2回答、不変・減少0回答ですね。増加100%でした。2012年の展望では、売上で増加2回答、不変・減少0回答。増加が100%。利益ではちょっと分かれまして、増加1回答、減少が1回答と回答が二分されました。

    次に、一般消費財分野ですけど、これは写真・デジカメ1社、文房具2社、家庭用防疫薬1社、合計4社3業種の回答がありました。2011年の売上では増加3回答、不変1回答、減少0回答で、増加と不変とあわせて100%。

    利益では増加3回答、不変1回答、減少0回答で、増加と不変とあわせて同じく100%となりました。2012年の展望としましては、売上で増加2回答、不変2回答、減少0回答で、増加と不変をあわせて同じく100%。利益では増加1回答、不変2回答、減少1回答で、増加・不変とあわせると75%になりました。

    最後に化学品貿易ですが、化学品貿易では3社の商社から回答がありました。2011年の売上では増加3回答、不変・減少ともに0で、増加は100%。利益でも増加が3回答、不変・減少0回答で、増加が100%でした。2012年の展望では、売上で同じく増加が3回答、不変・減少ともに0で、増加が100%。利益では増加が2回答、不変が1回答、減少0回答で、同じく増加と不変とあわせると100%になります。

    ちょっと細かいもので申し訳ないんですけども、今までお話したことを総括しますと、分野別に分けましたアンケートの結果を総括いたしますと、2011年の回顧では農業・畜産分野、医薬・化粧品分野、化学品貿易分野が売上・利益とも絶好調。一般消費財分野がそれに次いで好調。工業材料分野は業種により苦戦中という結果と思われます。

    2012年の展望では、引き続き医薬・化粧品分野、化学品貿易分野が売上では絶好調。利益では若干の不安があり、またそれに次いで、農業・畜産分野、一般消費財分野が好調を維持。工業材料分野は業種によって引続き苦戦中、こういう展望だと思われます。

    最後にですね、各分野別の回答を、ちょっご多いので駆け足でご紹介させていただきます。

    まずタイヤのメーカーさんですけども、2011年の回顧としては増収・減益でした。プラス要因としては、マーケットの拡大による車両販売の増加。マイナス要因は海外からの安い輸入製品との競争激化、これは中国とのことですけど。それから2012年は増収・増益の予測で、プラス要因としては引続きマーケットが拡大する予想で、マイナス要因としてはやはり引き続き安い輸入品との価格競争ということだそうです。

    次に同じ工業分野の樹脂用着色剤メーカーさんですけども、2011年の回顧としては減収・減益だったそうです。プラス要因としては、国内市場は安定していたそうですが、欧米経済の低迷による需要減、レアル高による顧客の販売不振、同業他社との販売競争激化がマイナス要因だったそうです。

    2012年の展望としては売上不変、利益は増加の見込みとのことです。プラスの要因としては、新機械の導入、人員削減の効果、それからマイナス要因としては景気の低迷、レアル高、それから引続き同業他社との競争激化と、こういうことだそうです。

    それから工業材料分野でロジンおよびその誘導体、これ1社ですけど、2011年の回顧としては増収・増益。プラス要因は、年の前半に原料が上がっていて、後半で下降したので、原料価格が上昇したので売上増となり、年後半は逆に下降となったのでこれは利益増に貢献したとのことです。2012年の展望としては、減収・増益の予測で、原料価格は引続き下落の見通しのため増益の見込みで、マイナス要因としては国内の景気の低迷の可能性があるとこういうことだそうです。

    それから、工業材料分野の合成樹脂の輸入販売。2011年の回顧としては増収・増益だったとのことです。プラス要因は市場の拡大、新製品、新顧客の開発、レアル高などを挙げられておられます。マイナス要因としてはインフレによる経費の増加。それから2012年の展望としては、売上不変で増益との予測とのことです。プラス要因は引続き市場の拡大。マイナス要因は欧米の経済危機の影響による需要減退、レアル安、インフレによる経費の増加などとのことです。

    それから工業材料分野の水処理薬品。2011年の回顧は増収・増益で、プラス要因は着実な売上の実施、食品、飲料工場など新規顧客の開拓だったとのことです。マイナス要因は石油化学コンビナートでの競争激化だったとのことです。

    2012年の展望としては、売上、利益ともに増加の予定で、プラス要因としては値上げ交渉の継続、それから食品・飲料工場への拡販、それからRO膜洗浄薬品市場での新規開拓とのことです。マイナス要因としては引き続き石油化学コンビナートでの競争激化、それからレアル安による原料価格の上昇などとのことです。

    それから、工業材料分野の石油化学製品の輸入販売。2011年の回顧としては増収・増益とのこと。プラス要因は2010年に新オフィスを立ち上げて以来順調に推移しているとのことです。2012年の展望としては、売上・利益とも増加の予測とのことです。プラス要因は引続き取り扱い商品の拡大で、マイナス要因は特に無いとのことです。

    それから次に同じく工業材料分野のシール材・接着剤。2011年の回顧としては減収・減益だったとのことです。プラス要因は特に無く、マイナス要因としてブラジル経済の減速、原料価格などの上昇を挙げておられます。今年の展望としては増収で利益は不変の予測とのことです。プラス要因としてはブラジル経済の復調の見込み、マイナス要因で為替の変動、インフレなどを挙げておられます。

    それから工業材料分野の最後ですけれども、印刷インキの輸入販売。2011年は増収・減益だったとのことです。プラス要因は、2010年7月に輸入販売を開始されたそうですけど、以来販売が順調に拡大したためとのことです。

    マイナス要因としては円高・レアル安の影響で日本からの輸入品の利益が減少したとのことです。今年の展望としては、売上・利益ともに増加の見込み。プラス要因としてはアメリカ、中国、インドなど日本以外からの輸入を開始したこと。それからマイナス要因としては円高・レアル安で輸入のコストが上がって利益増加があまり期待できないことだそうです。

    それから次に農業畜産分野で、農薬のメーカーさんが3社ございますので、それをまとめて報告させていただきますと、去年の回顧としては3会員ともに増収・増益だったとのことです。プラス要因としては、農産物作付面積の増加、大豆、オレンジ、特に綿だそうですけど。あと農産物価格の上昇。

    それからマイナス要因としては、中国製違法商品との競合。特に水稲用の除草剤。これは、違法商品というのは要するにブラジルでは使用を認めていない農薬をですね、隣の、規制の緩いパラグアイとかウルグアイに輸入して、そこから密輸で陸送してブラジルに持ってきている密輸が結構あるんだそうです。それから2012年の展望としては、売上・利益ともに3会員のうち1社増加、1社不変、1社減少でした。プラスとしては、引き続き作付け面積は拡大するであろうと。農産物価格も安定しているだろうと。マイナス要因としては引続き中国品、中国の違法商品との競合。あとジェネリック品の新規市場参入。円高。それから登録規制などとのことです。

    それから農業畜産分野で飼料添加物。これ1社さんございまして、去年の回顧としては増収・減益とのことです。プラス要因は販売量の増加、マイナス要因は販売価格の低下とのことです。今年の展望としては増収・減益の予測で、プラス要因は販売数量のさらなる増加、マイナス要因は販売価格のさらなる低下とのことでした。

    それから医療・化粧品分野で、1社、一般用の医薬品をやっておられるメーカーさんがございまして、去年の回顧としては増収・増益。プラス要因としては購買層の拡大、それから販売促進活動の成功。マイナス要因としては原料・人件費などの高騰により利益が思ったほど上がらなかったと。それから今年の展望としては、増収・増益の予測だそうです。プラス要因は、引き続き市場が拡大するであろうと。それからマイナス要因としてはまあ経費のアップ、特にマナウスの人件費のアップを挙げておられました。

    同じく医療・化粧品分野の化粧品ですけど、1社さんございまして、去年は増収・増益だったと。プラス要因としては、欧米メーカーにはないカテゴリーでの販売増。それから既存品の売上も順調だったとのことです。

    マイナス要因としては、レアル高によって海外で化粧品を買う人が増えて、ブラジル国内の高級化粧品の客数が減ったそうです。それから来年の展望としては、引き続き増収・増益の見込みで、プラス要因としては新ブランドの導入。それから5月から新しい外貨化粧品チェーン店がブラジルに参入するので、販売増が期待できると。それからマイナス要因としては、新ブランド導入のためのコスト増による利益の減少を挙げておられます。

    それから次に一般消費財分野の写真・デジカメでございますけど、これ1社さんございまして、昨年の回顧としては増収・増益だったとのことです。プラス要因としてはブラジル国内の景気の上昇、マイナス要因はレアルの大幅下落とのことです。今年の展望としては引続き増収・増益の予測で、プラス要因としては引き続きブラジル国内の景気の上昇、マイナス要因としてはレアルのレートの低迷だそうです。

    それから一般消費財分野で、文房具のメーカーさんが2社ございまして、去年の回顧としては2社ともに増収・減益だったとのことです。プラス要因は市場の好況拡大、レアル高、コスト削減努力などで、マイナス要因としては人件費・材料費のアップを挙げておられます。今年の展望としては、売上は1社増加1社不変。利益は1社不変1社減少。プラス要因としてはメディアを活用した販売促進の効果。マイナス要因としては景気の後退、人件費・材料費などのアップ、レアル安、輸入ライセンスの発給遅れなどということです。

    それから同じく一般消費財分野で、家庭防疫薬。これ1社さんございまして、これは要するに家庭で使う防疫薬、要するに虫を殺す薬品の原料を納入されているメーカーさんですけれども、去年の回顧としては売上・利益ともに不変だったとのことです。

    プラス要因としては、デング熱の流行の継続、新規顧客に対する販売増、マイナス要因としては顧客の再編、ジェネリック商品との競合だったとのことです。今年の展望としては売上・利益ともに引き続き不変の予測とのことです。プラス要因としてはデング熱の流行の継続、マイナス要因としてはジェネリック商品との競合だそうです。

    それから、最後に化学品貿易ですけど、これは商社3社さんから回答を得まして、昨年は3社ともに増収・増益。プラス要因としては、内需拡大、レアル高による輸入増、取り扱い商品の拡大。マイナス要因としては、内需拡大とレアル高による輸出の減少、それから海外マーケットの不調などを挙げておられます。

    今年の展望としては、3社ともに引続き増収。利益は2社が増加、1社が不変と記載されております。プラス要因は引続き輸入の拡大、それから日系およびアジア企業のブラジル進出、取り扱い商品の拡大。マイナス要因としては、輸出の減少継続、韓国・中国などライバルの出現、景気回復の遅れ、経費の増加による利益の減少などを挙げておられます。

    以上が、ざっと見ました業種別のアンケートの結果でございます。で、最後にですね、今度のアンケートで副題の「景気減速が日伯経済関係に与える影響」についても、2社さんから回答をいただきましたので、ここでご披露して私の報告を終りたいと思います。

    回答のひとつは、当地の保護主義は主に国内企業の既得権益を守る為のものとなっており、国内企業の国際競争力の向上に寄与しているとは思えない。当地での生産品を輸出出来る状態となれば投資機会は大きく増えると感じている。これはまあブラジル政府に対する要望だと思います。

    それから回答の2としては、景気減速と円高で日本企業は苦しんでいる。さらに増税するようなことは絶対に避けるべきである。むしろ、韓国の様に政府の為替介入による円高の阻止を実施すること、法人税カットなどで景気を浮揚してもらいたい。この二つの回答がありましたのでここでご披露させていただきます。以上で化学品部会からの報告を終ります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それでは運輸サービス部会、岐部部会長様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 運輸サービス部会  岐部ルイス 部会長

    運輸サービス部会

    運輸サービス部会の岐部と申します。よろしくお願いいたします。物流業界の話をさせていただくときに必ず出てくるのが、インフラが悪い、改善されないということですが、空港・港湾とも若干の改善の兆しが見えてきたのではないかと思っています。しかしこの発表でも何回も出てきますが、人材不足は深刻な問題となってきております。

    物流業界はたいへん厳しい一年ではありましたが、当部会の一つであるサービス業界は航空旅客業界、旅行業界とも絶好調の一年でありました。そして通信・IT業界もここブラジルでの発展は皆様が肌で感じておられる通り、好調に推移してきました。それでは物流業界全般、航空業界、海運業界、ホテル旅行業界、通信・IT業界の順を追って報告して参ります。

    先程からの続きになりますが、空港・港とも混雑はあいかわらずで、特にターミナル会社は常識を逸した料金体系に値上をしております。ここでは陸上運送は貨物量の増加に車両が不足していると書いていますが、運転手も需要に供給が間に合わず、運賃の上昇傾向が続いております。給与レベルの高騰は物流業界も同じであり、人材の確保がたいへん難しい状況にあります。

    次は航空業界です。さて、皆様もグアルーリョス、コンゴーニャス空港で感じられる通り、航空旅客業界は絶好調の一言です。国内線・国際線ともとても高い率で伸びています。貨物の輸入は依然好調に推移しており、スペース不足、空港インフラの悪さにはあいかわらずフォワーダーも苦労しております。輸出は伸び悩んでおります。東日本震災とタイの洪水は、船便から航空便への切り替えで、ここブラジル向けにも影響を及ぼし、貨物量が増加しております。

    次は海運業界です。海運業界の昨年を振り返りますと、中間層の増大による消費意欲の増大に比例する形で輸入は大幅に増えました。全トレード対象で12%増、アジアからの輸入に限って言えば19%の大幅な増加となりました。一方で輸出はレアル高もあって横ばいに推移しました。ブラジルの鉄鉱石の輸出は前年比4%増という結果になりました。

    旅行・ホテル業界は2011年はたいへん良い結果でした。特にビジネス旅行者の増加、国際会議、多数のイベントが目白押しの状況で、ホテルの稼働率は78.7%とたいへん良い結果となっております。航空旅客が国内・国際とも二桁の伸長を見せているのは、旅行者が増えたということもありますが、やはりブラジルの好景気がビジネスマンを呼び、ビジネス旅行者の増加が旅行業界・ホテル業界の好調を支えているとも言えます。

    続きまして通信業界についてですが、2011年12月末現在、携帯電話の加入者数は2億422万台になりました。加入者の伸びは2011年12月末時点で12ヶ月の伸びが3928万台です。約19%伸びています。

    ブラジルの人口を超えても増加傾向にあります。プリペイドは2010年末が82.34%、2011年末が81.81%と減り、ポストペイドが若干増加しました。3Gの加入者数は2011年12月末現在で4000万台になりました。3Gの携帯電話全体におけるシェアは16.5%です。スマートフォンなどを利用したネットアクセスが増えることによって、さらにポストペイドの契約が増えると考えられます。国家電気通信局のANATELはMVNOの参入を認可しました。現在保険会社のポルト・セグーロとSeastar社が準備中です。

    年内サービスインする予定になっています。PNBLですが、全国ブロードバンド化計画の実施が昨年10月末から全国約350都市で開始されました。下り回線速度が1メガbpsのインターネット回線が月額35レアルで利用可能になりました。通信省は2014年までに全国で契約が可能になると発表をしています。次にIT業界ですが、IT投資の継続が続いています。特にサーバーの仮想化、業務アプリケーション、ITインフラ、セキュリティの分野が目立っております。

    さて、2012年の展望ですが、当部会はいつも通り、好調の二つに大別されます。いつも通りは物流業界全般、特に一次産品を除いた輸出輸入のバランスは変わらず、インフラの悪さがさらに顕著になっていくものと見ています。ただ今年サントス港では新規のターミナルが開業する予定ですので多少は期待できるのではないかと見ています。もう一方の、好調さを続ける旅行業界、ホテル業界、そして通信・IT業界は今年も相応の伸びが期待できる状況であることは間違いないと思います。では、各業種を順番に説明していきます。

    物流業界全般は、空港・港・道路鉄道関係のインフラ改善を期待することはいつも通りですが、人材不足と人件費の値上があり、物流コストがアップするのに対して、高騰する全般的なコストを削減する動きが出てくるのではないかと見ております。また今度、さらに中国製品の輸入が増えるようであればブラジル政府は何らかの規制に踏み切ることも予測されます。

    航空業界、2012年の展望はたいへん明るいと見られております。特にブラジル人のアメリカのビザ取得が緩和される動きがあり、これが実現すれば一気に増えると見られています。ただ貨物の場合は震災、タイの洪水の影響もあり、輸入はあいかわらず好調に推移すると見られていますが、ブラジル工業製品の輸出は横ばいであると考えられます。トピックスは、Lan ChileとTAMのアライアンスですが、どうなるか興味があるところです。

    続きまして海運業界ですが、コンテナ船の輸入に関しましては、国内消費の旺盛な需要から顕著な拡大を予想します。一方で輸出は為替の問題と欧州の景気動向から大きな伸びは見込めず、横ばいと予想します。

    ブラジル出しの鉄鉱石に関しては中国の買い付け量次第ですが、ほぼ前年並みか若干増加を予想しています。長く問題になっていたサントス港の港湾ターミナルの問題ですが、新規に二つのターミナルが2012年末に開業する予定になっており、これにより状況の改善が期待されております。

    続きまして旅行・ホテル業界ですが、ブラジル経済の好調さによるビジネス旅行者の増加に加え、個々期待されているビッグイベントの効果として、事前準備のためにブラジルに来ている関係者も増加傾向になっています。ホテル業界としては、増える旅行者に対するサービスアップの一環として、人材の育成に業界として取り組み始めています。

    今年の期待することとして、やはり、グアルーリョス空港の新ターミナルがありますが、期待のほどはいかなるものかは未知の状況です。今後気になる点は、先週にも報道されましたが、Infraeroがグアルーリョス、ビラコッポス、ブラジリア空港の運営権の競売を実施したことです。

    最後に通信・IT業界ですが、まず通信業界から報告します。携帯電話の番号は今までの8桁から、9桁に変更する予定になっています。7月29日からサンパウロの市外局番の011から変更する予定になっています。既存の電話番号は現在の8桁の数字の前に数字の9番が追加される予定になっています。

    次にIT業界ですが、今年こそブラジル国内でApple社のipadタブレットが生産する予定です。ブラジル国内生産により30%程度価格が下がると予想されています。そのほかに、Cloud Computing、サーバーのバーチャル化、SNSツールの利用、例えばTwitter、Facebook、こういったものの活用が企業内に進むであろうと期待しています。

    Cloud Computingの例ですが、大手のUOLがMicrosoft社のOffice365を提供する予定になっています。先程別の業界でも人材不足について述べましたが、同じく通信・IT業界も専門家の確保が厳しくなります。以上、運輸サービス部会の発表を終ります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それでは次に参りたいと思います。繊維部会、岡田部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 繊維部会  岡田幸平 部会長

    繊維部会

    こんにちは。繊維部会の発表を行います。前回の発表の時には、原綿相場と綿糸相場ということに特化して発表いたしましたが、今回は8つのテーマを8社で報告していただいた報告書通りに発表させてもらおうと思っております。

    なお、今日のオーバーヘッドに出てくる内容は今ホームページの中に入っていますけども、それに本来の各社から出てきた報告を今後取り替えていただきますので、私の方では今日は回顧と展望について口頭で説明させていただきます。グラフとか表は画面の方に出させていただきます。それではお願いします。

    まず最初は国際原綿です。2011年の回顧。2011年7月末の世界季末綿花在庫率が、40%を切るという極めて逼迫した需給ポジションを背景に、2011年上期には未曾有の綿花暴騰相場が現出した。

    年初から上昇を続けたNY定期は、3月4日の期近物引値で140年の商品取引史上最高値の215.15セント/ポンドを記録した。中国を中心とした綿花輸入国の狼狽買いと投機筋の介入が、この高騰相場を下支えしたが、製品市況の崩壊から綿糸価格は急落し、紡績は操業縮小や既契約原綿のキャンセルに転じた。

    この結果2011年下期にはNY定期相場は反落し、7月には期近物が100セント/ポンド前後で推移し、さらに年末には91.80セント/ポンドの水準に至った。2011年は、まさに綿花相場史上類を見ない歴史的な変動の一年となりました。

    さて、2012年の展望ですが、今季2011年、12年の世界綿花生産量は前年度比6.5%増加、世界綿花消費量は前年度比4%減少、さらに世界季末在庫は前年度比約30%増加が予想されている。

    大幅な需給バランスの緩和、綿糸市況の回復遅れ、BRICs、新興諸国の経済成長減速などを考慮すると、綿花相場を押し上げる材料は乏しいと言える。

    しかし、大豆やとうもろこしなどの競合作物相場や原油価格が高止まりしており、綿花相場も投機筋からの買いに支えられ95セント/ポンド前後の統計的には高値水準を維持しています。今後EUユーロ危機が世界経済に及ぼす影響など懸念材料も多く、実需面だけから綿花相場動向を予測することは危険ではあるが、基本的には相場は弱含み推移と見るのが妥当である。

    次に国内綿花。2011年の回顧。一昨年にポンド=2.91レアルで引けた綿花相場、国内はESALQです、は2011年に入り、新綿入荷、7月頃までの原綿不足が見込まれる中、NY相場が世界綿花需給の逼迫感の高まり、投機マネーの流出で連日高騰。その影響もあって、ESALQは3月15日のポンド=4.01レアルの史上最高値まで大暴騰した。

    その後新綿の増産が確実となる発表、NY相場の値崩れ等で相場は反転。7月の1.58の大暴落と相場の乱高下が起きた。綿花生産量は190万トンと前年度より大幅に増産したが、量・品質面不足で紡績はその対応に苦慮。綿花生産者の売り控えもあって相場は高値で推移しました。2012年の展望ですが、綿花生産量は昨年並みの190万トン前後が見込まれている。

    古綿は十分な量があるが、量・品質面不足が相場を強くしています。国内相場はもはやNY相場に連動していると見てよいが、2012年期末在庫が72万トンとあまりにも大きな数量で、この綿花の需給バランスで見ると相場は弱含みを予想されるが、投機マネーの動向、綿花生産者の資金的ゆとりの売り控え等で不透明な相場が推移すると予測されています。さてそれでは、国内綿糸の方をお願いします。

    2011年の回顧。2011年の綿糸相場は、第1四半期は綿花の暴騰に対応した値上げを実施し利益を確保したものの、4月以降、市況は激変し年末まで回復の兆しすらないまま2012年を迎えた。

    紡績各社は、マーケットの冷え込みと中国をはじめとしたアジア諸国からの製品または生地の輸入品増加による需要減退で過剰在庫を抱え、売値がコスト以下になっても、販売量確保のため更なる値下げ競争を展開する異常事態が下半期を通して継続した。2011年12月の糸値は、2年前2009年末の糸値とほぼ同水準となったが、しかし、原料の綿花相場は2009年末と2011年末の比較では2011年末が22%も高くなっている。ある程度連動していた綿花相場と綿糸相場の関係が大きく崩れた。

    綿糸におけるコスト構造が変更を余儀なくされた激動の年となった。2012年の展望です。2011年末に、ブラジル政府は国内繊維産業の保護を目的とした、繊維衣料製品に対する特別関税を導入し、輸入税の引き上げを検討していることを発表した。すでに原案は作成済みで、今後WTOとの交渉を進め、3月末をめどに導入することを目指しているというものだ。

    実施に至るまでには紆余曲折があり、予定どおりに進むかは予断を許さないが、実施となれば繊維製品輸入に対するけん制となり、衣料品生産の国内回帰による綿糸需要の回復につながるのではと期待を寄せている。

    今年に入り綿糸需要は回復基調となったが、持続した本格的回復かどうかはまだ見極めが必要である。さらに、大きくコスト割れした価格の回復にはさらに時間を要すると推測される。ただ、在庫に関しては紡績から縫製まで各工程を通し、昨年後半ほどの過剰感は薄れている。

    安定した利益を確保し業界として生き残るため、一層のコストダウンをはじめとした自助努力と、業界が一体となって政府に働きかけ繊維産業を維持していくための環境作りを推し進める厳しい1年となるだろう。次お願いします。

    次は空紡糸、いわゆるオープンエンド糸です。2011年の回顧。2010年末から高騰を続けた原綿相場が3月には一転暴落に転じた。原料高に連動した糸値の高騰にユーザーが付いてこれず需要が停滞した事に加え、原料安から糸値の下落を期待した買い控えが起こり、また縫製加工品の輸入急増もあった事で、糸需要は大幅に減退した。

    紡績各社は大量の製品在庫を抱え、減産体制を続けたが、在庫処分での値崩れもあり、糸市場は年末まで回復の兆しを見ることは出来なかった。特に空紡糸が使用される冬物衣料は、安い輸入品に市場を蚕食され、年初から減産を余儀なくされた最悪の年となった。

    2012年の展望。ここにきて、政府は漸く繊維業界の窮状に気付き、輸入抑制に手を打つ事になった。空紡糸の主力用途の冬物衣料については、小売段階での在庫も減ってきており、輸入品の圧力が減ってくれば実需の回復に繋がってくると期待している。

    昨年は一人紡績だけが大赤字の状況にあったが、2012年も同じ状態が続くのであれば、ブラジルでの繊維加工業は成り立たない事態となる。これからも業界が一致して政府に働きかける姿勢を強めていかなければならない。2012年は、繊維業界にとって生き残りをかけた勝負の年になる。次お願いします。

    次は綿糸の貿易です。2011年の綿糸輸出は672トン、前年比マイナス50%。綿糸輸入は3万1193トン、前年比マイナス56%で共に大幅減少となった。綿糸輸出はレアル高により国際競争力を喪失、定番綿糸の輸出は実質ゼロといえる。

    綿糸輸入は国内綿糸需要が極度に悪化した為、前年比半減以下に落ち込んだ。繊維製品全体、まあ原料を除く、の輸出は、殆どの品目が数量ベースで減少。輸入は数量ベースでは微減だが、金額ベースでは前年比24.3%増となった。要因は素材相場の上昇によるものである。

    なお、2011年度の製品輸入は統計には表れていないが、上半期に大量の冬物衣料が違法に輸入されたのではないかと業界関係者は指摘している。2012年の展望。綿糸輸出はレアル高による国際競争力喪失により当面復活の見込みはない。綿糸輸入はブラジル国内綿糸相場が回復、需給が逼迫すれば、2011年度比増勢に転じる可能性がある。次お願いします。

    次は薄地織物。2011年の回顧。織物輸入は引続き増加、国内産を輸入生地に置き換える傾向は続いているが、全体的な需要減で、10年の大幅な増加には至っていない。顕著な動きとして、先染格子柄の輸入が増加した。生産統計は未発表だが、需要の減少で国内生産は対前年比減少と推測される。原綿価格の高騰を織物価格へ転嫁したが、許容限度を超え、アパレルの生産減となった。

    製品輸入の増加で、国内縫製が減少。公共投資の停滞でユニフォーム需要が減少。2012年の展望。輸入品対策として非正規輸入の取り締まり強化・輸入許可審査の厳格化などが始められており、効果が発揮されると期待している。ブラジル経済の回復、賃金のアップ、金利のダウンやインフラ投資の再開による需要増も期待しております。

    次に紳士、婦人服地小口販売市場の動向。2011年の回顧。昨年は2010年の高成長を誰もが続くと期待していたが、綿の高騰や中国等の消費拡大からの全素材の値上がりで市場がストップ状態で年が始まった。

    冬物商戦も母の日までに寒くならず期待はずれとなり、春夏物も年末まで涼しく苦戦、クリスマス商戦も盛り上がりなく終わってしまった。1年を通して、市場の動きが悪く不透明な年だった。

    市場動向。綿の値上がりは上半期には生地、縫製品へのコストアップとなり、小売屋に高値で並ぶことになった。店頭価格の値上がりと冷夏とで下半期の夏物の動きは非常に悪かった。ユニフォーム、婦人服は堅調に推移したが、紳士服は今年更に動きが悪くなり、価格競争が激化した。小売業界。天候には恵まれなかった年だったが、繊維業界の中では一番の成長株で、今年も10%前後の売上げを伸ばした所が多い。

    チェーン店も多店舗化に力を入れた。また、コストダウンをする為に仕入れ先を国内から海外縫製に切り替えて行くところが多くなった。アパレル。1年を通して苦戦、冬物、夏物共に小売からの追加注文が入らず生産、売上げ共に5%-10%のマイナス。特に中級以下の価格滞は中国製品に市場を奪われた。縫製工場の中には、国内の生産を諦め、自ら製品輸入を始めた所も現れた。

    輸入業界。2011年の生地の輸入量は前年比3.3%アップ、既製服が41.2%アップだった。上半期にレアル高が続き、既製服輸入業者の増加に拍車をかけた。生地輸入業者は縫製業界と共に苦戦しました。2012年の展望。高価格の綿製品が一巡して、市場から一掃され、綿製品の動きが良くなるように期待します。今年約70件のショッピングセンターがブラジルにオープンする予定です。ブラジルの国内消費はまだまだ伸びると期待しております。

    それでは最後になりますが、ファスナー業界。2011年の回顧。衣料の輸入品は大幅に伸び、通年で前年比60ポイント上昇となった。依然、中国からの輸入が全体の6割を占めており、伸び率は前年比61ポイントの増加と輸入衣料増加の牽引役となっている。

    その他、バングラディシュ、対前年166%、インド、151%増、ペルー、184%増、と輸入が増加しております。ファスナーの販売に関して、主力のジーンズ分野においては、顧客の強気の販売予想から前倒し生産が行われ、年初から5月までは堅調な販売が続いた。しかし、6月の恋人の日のプレゼント需要も、期待されたほど伸びなかったため、市場の在庫が高まり、コットンなど原材料価格の高止まりによる顧客の生産抑制傾向も重なり、市況は下降線を辿った。

    また、11月に入っても、気温が例年通りに上がらないことで夏物の販売が遅れ、回復が期待されたクリスマス商戦においても期待ほどの販売には至らず、在庫削減のため年明け早々セールが開始されており、全体として厳しい一年となった。

    靴分野では、昨年、サンダルへ飾りとして使用されるファスナーの傾向があったが、今年はそのブームが続かず、一部顧客を残してサンダルへのファスナー使いは大きく減少した。

    2012年の展望。欧州債務危機の影響を受け、ブラジルの経済成長は減速傾向にあり、輸入衣料の増大が国内衣料生産の発展を妨げており、強く懸念される。しかし、中間所得層が増加するブラジルの内需市場は継続して拡大を続けると見られ、ブラジル政府による安価な輸入衣料への対策とあいまって、12年に向けて期待される材料はある。

    店頭在庫の調整に関して年明け早々繰上げで行われているが、特に主力のジーンズ分野に関しては、暫くは時間がかかる見込みだが、在庫の調整後一挙に動く可能性もあり、今後在庫の消化具合を見極めていく必要がある。10年より減少したものの、11年も引き続き見られたサンダルへのファスナーの飾り使いが 更に減少するものと見られ、顧客のコレクション情報を適宜つかむなどして対応していく。以上、繊維部会の発表を終ります。

    司会
    ありがとうございました。それでは建設不動産部会、三上部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 建設不動産部会 三上悟 部会長

    建設不動産部会

    建設不動産部会、ブラジル戸田建設の三上と申します。よろしくお願いします。はじめに2011年の回顧ということで、上半期はですね、一昨年同様、皆様日本企業の建設が継続しました。欧米系の工場建設の受注も好調でした。

    下半期に入りますと、ユーロ圏の危機が露になり、そのために一部欧米系の会社で建設が延期・凍結、一部出ております。好調な受注にやや影を落としたという結果になりました。日系企業は工場建設が継続され、全体としては非常に活況な一年と言えると思います。この活況ということの裏付けとしては、いろんな方面の検証は必要でありますが、ブラジル国内の建築資材の販売、これが一昨年比2.9%上昇して、1080億レアイス。過去最高の2008年を上回り、過去最高になりました。会員各社の状況は、過去最高を記録する会社が多く、リーマンショックを乗り越えたというような事態と言えると思います。

    一方、大サンパウロ圏というところの集合住宅の着工件数、着工件数ですから、今年仕事を、新築を始めたという件数は、実は一昨年に比べて1割ほど減少しております。ですから集合住宅関連の仕事を柱とする会員の会社は、仕事の減少、それから競争の激化、こういうことで経営が非常に厳しくなっております。

    それから逆に、専門技術を柱とする会社、これは著しい伸びを見せているということで、業態によってややばらつきが出た一年となりました。共通する問題ということになりますと、エンジニアの不足、労働力の不足、それから資材・機材の供給遅れ、ますます顕著になり、工期の確保が非常に難しくなってきたということと、人件費を始めとする建設物価の高騰、これが各社の経営に影響を与えつつあるという回顧になると思います。

    建設・不動産の状況ということで、まず表の1番をご覧下さい。これはですね、販売を中心とした、集合住宅の販売戸数ですね、各年11月だけを切ってみました。そうしますと、右側の新築物件数、ですから大体完成した数のうち売り出しになっているものというふうに捉えてもらっていいと思います。

    概ね4000戸ですね、4000戸ですけどもやや微増ということが言えると思います。だいたい2006年以降はですね、売り出し件数というのは月に1万戸から1万8000戸ぐらいのところで推移しています。

    これはこれとして、次にですね、ブラジル全国の7主要都市、ブラジリアは入っていないんですが、表2を見ていただきます。2010年、2011年、比率を見ていただいただけでも相当な好調がうかがえると思います。活況を呈しています。特にフォルタレーザと、色はつけていませんけども、フォルタレーザの活況はものすごいものと思いますが、注目したいのは、まずはリオ・デ・ジャネイロですね。2010年、2011年と急激な伸びを見せております。

    続いてサンパウロ。サンパウロも順調に戸数が増えてきていると。販売戸数ですねこれは。おそらく投資の中心はリオとサンパウロ周辺の大都市圏に投資されているというのがこれでお分かりかというふうに思います。

    一方ですね、資料はございません、先程言いましたように着工の方は1割ほど落ち込んでおります。これはですね、昨年の暮れは皆様にちょっと工期についてはかなりご迷惑をおかけしました。これはものすごい労働者不足が顕著でした。何とか凌ぎきったことは凌ぎきったんですが、この集合住宅の繁忙というのが非常に影響しています。

    現在着工数が1割減っているということは、注目すべきは今年これが回復するのか否かということの考え方です。もしかすると今年は反動があるだろうという見方も多くあります。としますと、再び労働者不足が起きるのではないかという可能性が出てくると思います。

    加えて工場用地について言いますと、サンパウロ周辺、これもまた高騰を続けています。正直に言いますと、大規模な土地はもう手に入らない状況というのが言えると思います。我々も非常に苦労しているところです。ですからこれから進出をめざす、あるいは新しいところを見つけようとする思いをする時には、的確な判断と、早い動きですね、さきほどのコンサルタント部会の方でもお話があったように、ぐずぐずしていると非常にまずいことになるというのが最近の傾向だと思います。

    ここでちょっと話題を変えまして、皆様の住んでいらっしゃる主にサンパウロの駐在員向け、アパートの案件ですね、高い値段を他の都市と比較してみます。表の3です。これは左側にサンパウロ、それからバンコック、ドイツ・デュッセルドルフ、ニューヨークと比較をしました。

    これは1月から新会員になりましたスターツ様のご協力を得ております。ありがとうございます。まずサンパウロ。サンパウロはですね、皆様おそらくお住まいになっている方が多いと思います。一番高いのはParaiso、Jardim Paulista、非常に高いです。それからそのパウリスタの向かい側、BelaVista、これが続いて高い。Vinte e tresを越えてVilaMarianaに行くと相当下がるということが見て取れると思います。

    ちなみにこれ、1レアル=42円、大体今の値段で換算しております。単位は1000円です。昨年の今ごろは多分49円とか50円という時代ですから、去年はこれより2割ぐらい高かった感覚があると思いますが、今はこの程度と言えると思います。それでもバンコック、デュッセルドルフの、下手をすると倍以上ということが言えると思います。ニューヨークに追いつけ追い越せという状況が続いているというふうに言えると思います。

    つい、多分先週の金曜日ですかね、新聞にここ1年のアパートの単価の上昇率というのが出ていました。1年でサンパウロは26.4%。リオは32.9%も上がったということで、サンパウロよりリオの方が、大体1.1倍から1.2倍ぐらい高いので、リオはニューヨークにほぼ匹敵する値段ということが言える。

    で、これがこれから下がるのかといいますと、それほど下がらないんだろうと思っています。というのは、高いところの空室はなかなかないというのが今も現状で続いております。ですから新築物件でもなかなかサンパウロでもParaisoとかBelaVistaは少ないですから、そう簡単に値段は下がらないんじゃないかなというふうに見ています。よくご検討のほどと言うほかないなと思っています。

    続きまして、建設物価、建設単価ですね、いつも高い高いと私どもがしかられております。皆様にしかられております。見方としましてですね、今どういう状況下にあるかと言いますと、表がないんですが、ブラジルの建設労働者数というのは去年300万人を超えました。

    女性は20万人を超えたという報告がされています。で、今日本がどういう状況か、日本と比べて見ますと、日本は昨年ついに労働者数が500万人を切ったんだそうです。499万人。ブラジルが300万人。日本が500万人と。日本は下がりつづけている、でブラジルはだいたい年に30万人増えています。ですから、4、5年するとですね、日本とブラジルの建設業界で働く労働者数というのはだいたい同じぐらいになるんじゃないかなということで、大体同規模、ある意味同規模というふうに考えられると思います。

    あと女性の労働者数というのが、日本は実は67万人今います。ですからブラジルの倍以上。ブラジルもこれからどんどん増えるんだろうというふうなことが言えると思います。

    ここで表の4、これはですね、ブラジルの集合住宅、鉄筋コンクリート8階建て、内装なし、低所得者層向け、大体は公共の建物、の平米単価です。ここで注目していただきたいのは、材料費というのはそんなに上がってはいない。2008年比ですけども。労務費が年に5%以上、10%近く毎年上がっていると。で合計しますと大体毎年5%以上の上昇を続けているということが見て取れると思います。

    で、2011年の合計の平米単価というのは930レアイスと出てきます。会員の皆様にもしかられたんですが、これを出すと建築は安くできるんだろうと、誤解の無いように言っといてくれということで、これにはですね、税金も含まれていない、それから内装も無い、本当に空っぽみたいな建物なので、通常この倍近い値段がしますよということだけは付け加えたいと思います。

    先程言いましたように、特に労務費の向上というのは、昨年9.5%の賃金上昇率、インフレの倍以上の数字になっています。倍近いですね。ですから、これだけ上げてもエンジニア・労働者不足がまだまだ続くということで、この傾向は2012年も続くんだろうというふうに思います。ですから我々建設部会ですね、ますます工業化、それから省力化、機械化、これを進めていかなければと。日本に近い状況になってきたということが言えると思います。

    表として、最後ですけれども、建築資材の動向ということで、先程材料費はそんなに上がっていませんと言いました。2008年8月ですからリーマンショックの前を基準として表に上げました。

    まずセメント・コンクリートというのが去年、一昨年暮れに相当暴騰したと。元々高いんですが、暴騰したということで、非常に高値、高止まりですね、している。それから先程言いましたように建設賃金は毎年上昇を続けている。

    これに比べて、鉄骨以外の製品、鉄筋棒あるいは屋根鉄板外壁ですね、この辺は下落しているということが分かると思います。ですから一概に材料費は上がっているということではないというふうに捉えていただきたいと思います。

    ということで、2012年、今年はといいますと、先程言ったように集合住宅の着工に注目する必要はありますが、反動はある程度来る可能性は高いと思います。それからご存知の通り、ワールドカップ、オリンピックに向けてインフラ整備がかなり進むんだろうということがあります。加えて日本の企業の皆様、欧米の企業の皆様、非常に手堅く進出傾向が続いています。ということで、労働者不足あるいはエンジニア不足が最大の課題です。今我々、ここの商工会議所に入っている建設不動産部会の会員は、日本から4社、日系8社、ブラジルの会社1社となっています。

    コスト競争にこだわるならば、日本の企業の皆様に対してはですね、翻訳業務やらいろいろコストの増がかかります。多くの労力がかかる、ということは一応ここでお話をさせていただきたいと思います。我々はではどうしようかということですが、まず我々としては、この、数がまだ少ないので、州を越えた連携を強めていこうと。それと、あとは人材不足のこの折でですね、何とか人材確保をしていこうということを思っております。

    これは商工会議所のアンケートの結果でもいろいろ出ております。これからやることはたくさんあると思います。日系の良いところ、品質、安全、工期の確保を確かなものにしていきたいというふうに思っています。最後に今年は環境プラス20ということで、昨年はジェトロ様の環境ミッションに参加させていただきました。今年も積極的に取り組んで、建設不動産部会として、CO2削減ほか環境保全への取り組みの強化を進めていきたいと思っています。以上でございます。ご清聴ありがとうございます。

    司会
    ありがとうございました。それでは最後のプレゼンになりますが、食品部会、部会長代行の石嶋様、よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 食品部会 石嶋勇 部会長代理

    食品部会

    皆様こんにちは。このたび食品部会の発表を務めさせていただきます、ブラジルヤクルト商工の石嶋と申します。部会長、副部会長ともに出張のため、代役を務めさせていただきます。お聞き苦しいかと思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。まず今回の発表の内容についてですが、最初に、2011年のトピックとして固形廃棄物法につきましてご紹介したいと思います。その後に販売、部会各社様の動向に原料動向、そしてまとめと続いてまいります。

    まず最初に、固形廃棄物規制に関する紹介をいたします。国家固形廃棄物法は一昨年、2010年8月20日に時のルーラ大統領の署名をもって公布されました。その趣旨はと申しますと、固形廃棄物を生成する製品を製造販売する企業はその処理について責任をもつこと、つまり販売した製品が消費された後どう処分されるかまで送り手側の企業が責任をもつということです。しかしそれで具体的にどう責任をもつかと申しますと、それについては皆さん企業側で立案し当局に提出してくださいということになっております。

    次に、どんな分野の産業が対象になっているのかということですが、まず製品そのものが環境にダメージを与えるものといたしまして、車両用潤滑油、食用油、潤滑油フィルター、バッテリー、電池、電気電子製品、ランプ類、タイヤ。

    この辺は時節柄ある程度の回収システムがすでに用意されていると思われますが、問題となるのは、下の段ですね、製品そのものでなく、入れ物や包装資材が環境にダメージを与えるものとされる製品ということです。これには、食品、飲料、衛生用品、香水、化粧品、清掃用品、農薬、車両用潤滑油などが該当します。我々食品部会に所属しております企業はこちらに分類されるわけです。さてそこで次のページに参ります。

    ただいまご説明いたしました固形廃棄物法の問題点です。そもそもですね、これらの廃棄物をどうやって回収するかということになりますとですね、お金を払って専門業者に頼むか、あるいは自社の社員に回収させるかのどちらかしかないわけですが、ちょっと考えれば分かりますように、専属の業者を雇ってお客さんを一軒一軒まわって回収するなどそれこそ膨大な費用がかかります。

    また、自社の社員にさせるという方法もありますが、今度は労働問題にも発展します。また、ものは食品ですから、衛生面でも今度は別の官庁から摘発される可能性もあるでしょう。つまり結論としてはですね、どこか、例えば業界団体ですとか、同業他社であるとか、同一地域に本拠を有する会社ですとか、あるいはNPO法人などと組んで回収のための共同プロジェクトを立ち上げるというのが現実的な落としどころではないかと思われるわけです。

    で、基本的にはですね、すったもんだありましたが、このページにありますように個々の企業や業界団体を通じて、または直接に具体的に廃棄物の監視を行うNPO団体の活動に賛同し、これに協賛金を出資することをもってその会社の逆物流プロジェクトとするというアイデアに落ち着きつつあるわけです。

    このNPO団体が何をするかと申しますとですね、まず廃棄物の回収目標、2000何年までに何%とかいう目標を立てまして、その計画に従ってごみ回収業者と契約いたします。ブラジルではカタドールと言っておりますが、ごみをですね、素材ごとに分類して、再生業者にこれを販売して生活の糧としている人たちなんですが、この人たちを組織して、契約をいたしまして、各企業から協賛金として集めた資金で彼らの資金を安定させるとともに、教育訓練体制を整えて、より効率的かつ大規模な回収活動を可能にすると、こういうスキームであります。

    まあ話はたいへんきれいなんですけども、ただしですね、サンパウロ州でもめていることがありまして、どういう割り振りで資金を協賛するのかというので現在もめております。まあ少しでも少なく払おうという駆け引きというわけなんですけども、特にですね、サンパウロ州の場合規模が大きゅうございますので、もしこれがうまくいけばですね、国家スタンダードで定着する予定だったんですけども、ちょっともめていましてですね、今雲行きが怪しい段階です。

    まあどうなるか分からないんですけども、私ども食品部会内でもですね、皆で知恵を出し合いながらより良い方法を模索していきたいと思っております。ご関心を共有する企業の皆様、あるいは情報をお持ちの企業の皆様、ぜひ情報提供いただければ幸いに思っております。続きましてシンポジウムの本体に戻りまして部会各社の動向について発表させていただきます。

    まず2011年の回顧からです。2011年はいろいろ波乱はありましたものの、一言で言えば良い年でした。ただし、各社様のご報告、結果の分析やそれに対するコメント等を拝見しますと、好況の波にうまく乗って順調に売り上げを伸ばされたというより、むしろ、後に述べますように原料価格の高止まり、賃金水準の大幅上昇、競争激化などのマイナス要因にもかかわらず、各社様そこに至るまでのご努力というものが見えてまいるような気がいたします。表の一番上から順にまいります。

    調味料製造会社様。2011年度は数量にして7%の売り上げ増がありました。要因としては末端営業活動の強化を挙げておられます。

    乳酸飲料製造会社。2011年は数量にして8.5%増加しました。要因として地道な営業活動の成果を挙げています。

    添加物販売会社様。2011年は現状維持。ただし客先からの値上げ要求のために利益が切迫しているとのご報告です。

    コーヒー販売会社様。数量にして2.3%増加しました。ただし後半に来て主要販売先である欧州地区での需要が急減し、スローダウンを余儀なくされたとご報告がありました。

    菓子用油販売会社様。2011年は減収となりました。市場価格の暴落を挙げておられます。

    清酒メーカー様。増収増益です。社員一丸となった取り組みが結実したものであると分析されています。

    醤油販売会社様。売上伸張です。震災後の放射能問題で日本産並行輸入品の通関がストップしたことによる特需の恩恵と分析されておられます。次ページにまいります。

    果実ピューレ製造販売会社様。減収減益とのご報告でした。為替要因を挙げておられます。

    即席めん製造会社様。数量にして8%増加しました。北部・北東部・中西部の構成比率アップを挙げておられます。

    種子販売会社様。2011年は売上約78%増加とのことです。要因として市場規模の拡大を挙げておられます。

    最後に外食店経営会社様。2011年の売上げは伸び悩みとのご報告でした。日本産食品の輸入規制の影響を挙げておられます。

    続きまして2012年の展望について述べさせていただきます。皆様ご承知のように欧州の問題は引き続き尾を引くものと思われますが、ここ何年か、特にリーマン以降のブラジル経済は特に大きな問題はなく乗り切ってまいりましたので、そういった要因に対する信頼もあり、各社とも特に大きなご心配はなされていないようですが、一方、ある程度の減速は避けられないものとも考えておられるようにお見受けしております。このため、各社様ともそれぞれのカラーに合わせて、販売量あるいは収益の確保を目指しているようです。表にまいります。

    調味料製造会社様。2012年の展望としては前年比二桁以上を目指すと述べられています。戦略としては既存製品の堅実な伸びに加え新製品へのチャレンジを挙げておられます。

    乳酸飲料製造会社。2012年は前年比4%強の増加を見ています。戦略としては、サルバドール、ベロ・オリゾンチ、クリチーバ等の地方への拡販に注力することを挙げています。

    添加物販売会社様。2012年は現状維持ですが、国内市場への参入をめざしておられます。

    コーヒー販売会社様。2012年は予断を許さないとのことです。その理由としてインド、ベトナム等新興国の台頭による価格競争の激化を挙げておられます。

    菓子用油販売会社様。2012年は変わらずとのことです。ただし製品群のバラエティ強化を希望しておられます。

    清酒メーカー様は2012年は市場の混乱を懸念されております。理由は、未成年者の飲酒による規制強化、流通税前払い制度の導入、それに輸入品増加による競争激化を挙げておられます。

    醤油販売会社様。2011年の回顧でも述べていらっしゃいましたが、いわゆる特需の継続について注視していきたいとのことです。戦略として代理店制度の見直しや、地方での市場予測とマーケティングを挙げておられます。次ページにまいります。

    果実ピューレ製造販売会社様。2012年は通貨危機の影響に欧州向け輸出工場で苦戦されているとの報告をいただきました。戦略としては米国等の新市場開拓を挙げられています。

    即席めん製造会社様。2012年も北部・北東部や中西部の地方での成長は継続すると予想されています。戦略としては北東部向けに低価格帯商品を、サンパウロ都市圏などの成熟市場には高価格帯商品をというような顧客ターゲットの絞り込みを挙げておられます。

    種子販売会社様。2012年は減少予想です。販売体制の再構築を計画されているとのことです。

    外食店経営会社様。2012年に入っても日本食と積んだコンテナがサントス港に停滞しているようです。戦略としてはメニューの見直しや、広告宣伝の強化を考えておられるとのことでした。次ページ。

    2011年度におけます、部会員企業様の取り扱われる品目別数量の伸び率のグラフです。特に競争の激しかった粉末ジュース以外はだいたい5~10%の伸びとなっています。ジュース、これはですね、200ミリリットルのブリックパックですが、これが20%と突出しておりますけれども、これは学校などでですね、炭酸飲料の持ち込み・販売が一部制限されたことにより子供向けの需要が増加したものによるところが大きいと思われます。次のページで輸出の動向について説明させていただきます。

    上の方に簡単に為替相場のグラフを載せました。2009年から11年の中ごろまでは1.5レアルのラインに近づくように推移しておりましたが、8月9月ごろから2レアルに近い水準まで上がるようになりました。その後、また年をまたぎまして、このグラフには載っておりませんが、再び1.7レアル台に下がってきております。これらの状況を踏まえて各社様為替動向に関しては非常に敏感になってきております。また、先にも申し上げましたように、欧州向けの需要が落ち込んでおりますので、そちらもまたマイナス材料となっているようです。

    続きまして主要な原料動向について述べさせていただきます。前回シンポジウムで発表いたしましたような相場の高騰こそ収まりましたが、依然として高い水準にあり、我々の収益を脅かしております。砂糖の相場が2009年から11年にかけて非常に大きく変動しましたが、昨年末よりほぼ一定の価格に落ち着いてきております。ただし、水準としては、2007、8年の3倍もの高い値となってきております。

    次に牛乳です。牛乳は夏になると乳牛の乳量が増えて価格が安くなり、冬場になると高くなるという季節性の商品ですが、2011年は谷がなく一方的に上がり続けるという異常な状態でした。しかしこれも昨年8月にピークをつけた後は通常のサイクルに戻りつつあります。といいながら、昨年末からまた今年にかけてですね、相場の反転等ありまして、国外のものと国内のものと、価格の逆転現象が生じて相場の混乱が生じております。

    最後にコーヒーですが、これもまた同じようなグラフですね。2010年に急上昇、ピークをつけた後落ち着いたものの高止まりという、まあ良く似た経過です。ただ依然として波の上下が結構激しく、かなり不安定な相場となっております。

    次のページに原料相場動向の要因について分析しています。これは半年前の発表とほとんど同じですので、詳しい説明は控えさせていただきますが、ただ1点、昨年末の欧州通貨危機以降、多少投機圧力が緩和されたようであることを付け加えておきます。

    最後にまとめです。2011年の回顧。全般的に国内市場は良好でした。一部に頭打ちの傾向が見られましたものの、各企業様のご努力でこれを十分にカバーされました。原料相場は引き続き高値圏にあります。また行き過ぎた賃金調整の結果、コストを一段と圧迫しています。輸出ではレアル高が一段落してほっと一息という感じでしたが、欧州通貨危機による需要の減退で打撃を受けています。

    次に2012年上期の展望です。国内市場につきましては各社様とも需要の大きな落ち込みは想定されていないようですが、競争が一層激しさを増すことについては共通して認識されているようです。

    輸出につきましてはレアル高回帰により再び厳しい局面が続くであろうと予測されています。また新興輸出国の参入による競争も激化し、いわゆるブラジルコストの存在が重くのしかかってくるであろうと認識されております。このような中、各社様ともブランド力の強化、販売戦略の再策定、コストダウンの継続的取組が必要であるとの認識で一致しております。

    また、最後に付け加えさせていただきましたが、4番として、冒頭にも申し上げました固形廃棄物の問題にも共通するのですが、一企業の対応にはおのずから限界がありますので、より上位レベルでの対応が求められる局面がこれからは増えてくるものと思われます。

    これに関連してある輸出メーカー様から問題提起をいただきました。ブラジルから日本に商品を輸出する場合、商品によりましては日本とアジア諸国との間にはすでにFTAが締結されておりますことから、関税等で著しく不利な条件での競争を余儀なくされているとも伺っておりますので、ぜひとも現状を調査していただきたいと思う次第であります。それでは、以上をもちまして私からの発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。これで全11部会のプレゼンが終わりました。申し訳ありませんが、若干ちょっと時間を越えておりますけれども、年に2回のせっかくの機会でございますので、一件だけになるかもしれませんが、もしこれだけはご質問されたい等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、次にですね、大部総領事様の方からご講評をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 講評      大部一秋 在サンパウロ日本国総領事/ブラジル日本商工会議所名誉顧問

    どうもこんばんは。恒例によりまして、講評という偉そうなあれは、これだけ並み居る大先輩の前でおこがましいんですが、コメントのようなものを少し述べさせていただければ、5点ぐらいあります。

    最初に、いつもいつもこういう形で上半期、下半期と、まあ私も3年間参加していますが、たいへんな各部会の議論と色々な分析、さらに提言まで含めた形でこういうシンポジウムが商工会議所で開催されるということに対して本当に御礼を申し上げますし、年々、毎年盛会になっているということで、敬意を表したいと思います。

    まあ今回、163名以上というたいへんな参加があり、また日本から田中先生が、あえてカマラのこのシンポジウムの日程にあわせて来られているということもあり、前回、以前述べましたけれども、サンパウロだけのもうシンポジウムではなくなっていると。まあ世界の方から注目されるという意味でのシンポジウムになっているというのが、こういう形で裏付けされたような形になったのかなということで、非常に喜んでおります。

    2点目として、まあ全体として、日伯の経済、まあブラジルの経済は好調を維持しているし、2012年も維持する見通しであるというような印象を受けました。まあ2011年3%、2012年3.3%のGDPということで、推移は落ちますけれども、好調は、ずっとお話を聞いていると維持しているということを感じました。

    それは基本にあると思います。2009年はリーマンショックの後の影響、またどのように立ち直るかに焦点が集中し、まあ日立の西岡さんの非常にうまい、天気図で言いますと暴風雨か雨、もしくは雨ないしまた曇りというような形で現れておりましたけども、一様にリーマンショックが焦点でありました。

    2010年はまあ7.5%の成長でありましたので、ある意味でイケイケドンドンのような形で、今でも忘れられませんが、2010年の下半期のこのシンポジウムの、まあ結論というんですが、全業種増益増収というような形でほぼ総括されるような状況ではありました。この時の、まあ2010年がそういう状況で、ある意味で2009年リーマンショックの後の影響、2010年は右肩上がりで7.5%ということで、まあ単純と言えば単純な様相だったと思います。

    2011年は今、政策的には前年はインフレ懸念から始まって、後半の欧州の経済危機ということにうまくマクロ経済的にはコントロールできた、対応できたということで、75%ぐらい好調で、残りのまあ25%ぐらいが不透明な状況が出てきていると、まあ若干懸念もあるというような形で整理されたのかなというふうに思いますし。

    したがって3点目には、状況は単純な様相から、若干複雑な様相へ推移してきているということ。まあ、ということであるからきめ細かな対応が必要になってきているのかなというふうに感じました。ブラジル政府の政策、為替、金利、税体系、関税。それから競争相手の問題。中国、韓国。それからアルゼンチンやメキシコとの貿易の関係での政策の変化といった、色々な面でのきめ細かな対応が必要になってくる状況に、不透明感が若干出てきているということにあわせてそういう対応が必要になってくるんではないかというふうに思います。従って官と民の連携がより一層必要になるような状況が出てくることになったなという印象を持ちました。

    4点目は小さな話ですが、若干全体の感じを、まあ印象的にとらえるのにお天気図がよかったなと。まあ新幹線、モノレールもありましたけど、天気図でやると晴れのち曇りとか、晴れとか、暴風雨とか、一時曇りとかいうのがあると少し分かりやすいかなという感じをもちました。

    5点目として、まあ欧州の金融経済危機、それから中国の状況、またアラブの春というような情勢、それから円高、為替、米国の経済、まあ色々な形で世界経済の環境がどういうふうになっているかが直接日伯の経済関係、ブラジルの経済に響いてくる状況になっておりますので、このサンパウロのカマラが、商工会議所がより一層グローバルな視点で分析なりその把握なりに方向に行くことが非常に大事かなというふうに感じた次第です。本当に今日はたいへんな勉強をさせていただいて、貴重なお話をお伺いすることができまして、ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。それでは本日、ブラジル日本大使館の方から荒木参事官にお出でいただいておりますので、一言コメントをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • コメント         荒木要 参事官 ブラジル日本国大使館

    ブラジリアの大使館から参りました総括をやっております参事官の荒木でございます。今日はありがとうございました。コメントと題されておりますけれども、私は単に御礼のご挨拶という形をさせていただきたいと思います。

    今回非常に、初めて参加したわけですけれども、11の部会から非常に多岐にわたるお話を伺いまして、たいへん参考になりました。一言で申し上げると面白かったいう記憶がございます。私8月にブラジリアに、パリから参ったんですけれども、パリではOECD代表部というところにおりまして、OECDというのはご存知の通り、先進国クラブという形で欧米の国が集まって経済状況とか話しているんですけれども、その中で見てみますと、まあブラジルは本当にきらきら輝いていて、またブラジルの人もオブザーバーとして参加しているんですけれども、その経済状況等を分析するに、本当に停滞気味のヨーロッパ、当時はまだ8月だったので通貨危機はそれほどでもなかったんですけれども、そういう状況から見ると、もう羨ましい存在であって、8月に私このブラジルに参りまして、まあブラジリアではございますけれども実際に来てみると、本当にすばらしい経済状況でございまして、その経済状況が今回11の部会の発表の中にうかがい知りましたデータとともに勉強になりました。

    たいへん参考になりました。各部会の発表を通じてですね、各業界に共通なブラジル市場のこの特性、また問題点、現状というのを理解することができましたし、それぞれ各個別業界に固有の話も伺えてたいへん良かったと思っております。

    ブラジルはですね、まあ色々な問題もございます。その問題点について我々官民で一体として何かできないかと常に考えておりまして、そういう観点もありまして今回ブラジリアから私を含め6名の担当官が今回参加させていただいて皆様の話をたいへん興味深く伺いました。

    日本を見ますとですね、電気電子部会の篠原部会長のお話にもありました暗い話ばっかりでございますが、震災の復興に向けて頑張っているところでございます。ブラジルから、ブラジルはまさに今の日本の産業のですね、新たな一つの新天地というところで、ブラジルから日本に向けて良いメッセージが出せたらなと、政府としても大使館といたしましても皆様の活動に向けて何かできないかと。

    我々としてもビジネスチャンスを見つけていきたいと、その機会の一つとして今回シンポジウムに参加させていただいて色々勉強させていただきました。明日は官民合同会議ということで、今回参加いただいた部会長の方々の一部の方にまたプレゼンをしていただきまして、官民一体として何ができるかということをさらに詳細に議論していきたいと思いますが、またご指導ご鞭撻いただければと思います。今日はどうもたいへんにありがとうございました。

     

     

     

  • 閉会挨拶 澤田吉啓 企画戦略委員長

    ありがとうございました。本日は170名近い参加をいただきまして、また最後までご出席いただきまして、総務委員会および企画戦略委員会を代表いたしまして改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。

    また各部会長の皆様におかれましては、実業を抱える中でですね、短期間でご準備をしていただき、発表していただきまして誠にありがとうございました。たいへんお疲れ様でございました。

    また、商工会議所の方ではこのシンポジウムのみならずですね、今年も各部会や委員会の方で様々なイベントやセミナー、あるいは研究会等を開催してまいりますので、本日のようにですね、ぜひ皆様こちらの方にも積極的にご参加いただければたいへんありがたく思います。

    最後になりますが、本日たいへん興味深いお話をいただきました田中先生の方からお話がありましたけれども、今後そういうアンケートということでですね、またぜひ皆様方にご協力をいただきたいと思っておりますので、その点お願いいたしまして本日の業種別部会長シンポジウムを終了させていただきます。どうもありがとうございました。

     

     

     

 

 

全プレゼンテーション

 

 

 

2011年下期の業種別部会長シンポジウム

業種別部会テーマ: 「2011年上期の回顧と下期の展望」

  • 司会 伊藤 友久 総務委員長

    それでは定刻になりましので、これからブラジル日本商工会議所2011年下期業種別部会長シンポジウムを始めさせていただきます。皆さん本日はご多忙の中、ご出席大変ありがとうございます。特に、在ブラジル・サンパウロ日本国総領事館総領事、大部様、ご参加たいへんありがとうございます。

    本日全部で11部会より発表させていただきますが、私は前半の司会を担当させていただきます総務委員長の伊藤と申します。よろしくお願いいたします。後半は隣に座っております、企画戦略委員長の澤田さんにお願いいたします。よろしくお願いいたします。ではまず始めに近藤会頭より開催にあたりご挨拶をさせていただきます。会頭よろしくお願いします。

     

     

     

  • 開会挨拶  近藤正樹  会頭

    Boa tarde a todas. こんにちは。本日は会議所恒例の業種別部会長シンポジウムにご多数ご参集いただき誠にありがとうございます。また大部サンパウロ総領事様、ご多用の中たいへんありがとうございます。

    このシンポジウムは会議所のメインイベントの一つでございまして、毎年2月と8月に開催しております。会議所には、先程司会の方からご案内ありました通り11の部会があり、それぞれの部会はこのシンポジウムに向け事前に懇談会を開催し、データを集め、分析・検討を加えですね、満を持して本日に臨んでおります。

    マクロ経済を始め、取り巻く環境、さらには各業界ごとのまとまった資料・動向等が発表されますので、トレンド、そして流れを整理するには絶好の機会かと思います。

    またご存知の通り8月2日にはブラジル政府が新産業振興策「Plano Brasil Maior」を発表しております。この評価につきましても若干のコメントがあるものと思いますし、また昨今の世界の経済ですね、特に欧米経済の影響はブラジルにどのようなものがあるのかということに関しましても何らかのヒントがあるものと思いますので、とても興味深い内容になるものと期待しております。

    会議所ではブラジルにおける日本のプレゼンスを高めていくということを一つの目標としております。その意味でも最近の日本企業のブラジルへの積極的な取り組みをとても心強く感じております。今年に入り約20社の日本企業が工場新規建設、ライン増設、販売会社設立、M&A等、ブラジル進出、参入、業容拡大を表明しております。資源関連だけでなくですね、ブラジルの内情に合った投資意欲も増えております。

    ぜひこの流れにドライブをかけると同時にですね、インフラ・資源関連など大型案件につきましては官民一体となって取り組んでいきたく、引き続き皆様のご指導ご協力をお願い申し上げる次第です。

    本シンポジウムが各社の経営戦略の立案、見直しをされる上でお役に立つことができれば幸甚に存じます。最後にこのシンポジウムの担当であります総務委員会そして企画戦略委員会、そして業種別部会ならびに事務局の皆様のご尽力と会員各位のご協力に対して御礼を申し上げご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    近藤会頭ありがとうございました。それでは今回のテーマであります「2011年上期の回顧と下期の展望」について各部会より発表させていただきます。現在世界の政治経済の先行きが不透明さを増している中、非常にチャレンジングなテーマだと思いますが、各発表者の皆さんよろしくお願いします。

    また本日は18時半を終了の目標とさせていただいておりますので、発表者の皆様におかれましては時間厳守ということでよろしくお願いいたします。それでは1番バッターとしまして金融部会、小西部会長様よろしくお願いします。

     

     

     

  • 金融部会  小西輝久 部会長

    金融部会

    伊藤委員長どうもありがとうございます。本日先頭バッターを務めさせていただきます小西でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

    金融部会からの発表内容につきましては、前回のシンポジウムであります本年2月の開催の時からマクロ経済に関わる総括についても発表の中に含むようにというご指示をいただいております。

    今回も基本的に4つのテーマ、すなわちまずマクロ経済について、2番目に為替を中心としますマーケット動向につきまして、3番目に銀行業界の動向につきまして、そして4番目に保険業界の動向につきましてそれぞれ上期の回顧および下期の展望について発表させていただきます。まず最初にマクロ経済につきまして上期を振り返らせていただきます。

    本年上期のブラジル経済を一言で申し上げますと、昨年に続いて堅調な成長が続いた一方で、年初の時点で期待されていた水準には届かず、問題点も顕在化したということになると思います。前回2月のシンポジウムの席におきましては、発表の中で、経済成長率の見込みとしてまあ4~5%ぐらいが可能ではなかろうかという点とともに、課題としまして特に3点挙げさせていただきました。

    まず1点目に個人消費の問題です。すなわち過熱感の出てきた個人消費をいかにソフトランディングをさせていくかという点です。2番目には為替レートです。行き過ぎたレアル高に伴います経常収支の悪化ですとか、乃至は国内産業、特に製造業の競争力の低下の問題です。

    そして3番目に財政支出の悪化です。こうしました問題点は現在でもそっくりそのまま残っておりまして、結果としまして経済成長率の見込みが年初の時点に比べるとやや低下してきております。

    マクロ経済の指標につきまして要約させていただきます。スライドをご参照ください。この表では左側に過去5年間の主な指標の推移をまとめまして、右側の2つの欄ですね、こちらに直近時点と前年同期を比べてございます。まず一番上の行、GDP成長率をご覧下さい。

    本年第1四半期の経済成長率は前年同期比でプラス4.2%となりました。ただこの点につきましても年初の時点での政府の目標値が5%でしたので、今のところこれを下回る水準で推移しております。

    と申し上げながら、現在でも経済成長率の見込みに対する下向きの圧力が続いておりまして、マーケットでの予想としまして最近では年間で4%、すいません数字がちょっと小さいんですが、3.94%という、4%を下回る数字が出てきております。これは、先週金曜日に新たに発表されました最新の予測値ではさらに低い数字、3.84%というところが今年1年の成長率の予測値になっています。続いて国際収支を見てみます。

    まず最初に貿易収支をご覧下さい。貿易収支につきましてはまず輸出サイドはコモディティの価格が高止まりしておりますので輸出額自体は順調に伸びております。ただ反対側に、レアル高を原因としまして工業製品の輸出が減少しております。

    この結果としまして、輸出高に占める一次産品の比率、一次産品に対する依存率ですね、これがほぼ50%に近いところまで高くなっております。さらに経常収支をご覧いただきますと、まあ輸入が増加してしまったことなどを背景に上期に240億ドルの赤字を計上しております。この数字自体は2008年に経常赤字に転落して以来、時間が経過するに伴って赤字幅が増加しているという状況でございます。

    次に下から2行目の株価の推移をご覧下さい。BOVESPA指数は年初70,000前後から今年をスタートいたしましたけれども、足元では、これは金曜日の数字ですが、年初以来25%ほど下げております。かなり大きく下げております。今年に入ってからの動きを振り返ってみますと、金融引締めなどの影響から3月ごろからジリジリと下げに転じまして、さらに8月に入って一段の下押しがございました。

    この主な要因としましては、ヨーロッパでのソブリンリスクの高まりですとか、米国の格下げですとか、そういった世界的な株価の下落、これを反映したものというふうに考えられます。ただ、下げ幅が大きいこと自体非常に気にはなるんですが、BOVESPAの指数につきましてはブラジル固有の特徴を考慮に入れるべきだというふうに考えております。

    すなわち、ガリバーのような企業が2社、ペトロブラスとヴァーレですけれども、この2社だけで時価総額が全体の4分の1以上を占めますので、この2つの株価の動きが全体の動きを引きずるということになります。

    特にこの、今年7月以降ですが、世界的な不透明感が高まったために資源株が大きく下げてございます。これはブラジル以外を含めてそういう状況にございます。このために、この2社が大きい比率を占めるBOVESPAの下げ幅が他国に比べると大きくならざるを得なかったというふうに分析できるものと考えております。

    次にインフレ率と政策金利、Selicについて見てみます。ご存知の通り、物価の誘導としまして政府の目標は標準4.5%、それから上下に2%ずつの幅を許容するという目標を置いてございます。ただ現実には物価指数でありますIPCAがこの上限であります6.5%を上回る水準で推移しております。

    スライドにお示ししております数字、6.71%、これはこの6月までの過去12ヶ月の累計でございます。これも先週金曜日に新たに発表になりました数字、この7月までの12月の累計ではついに7%を上回りまして7.1%という高水準になっております。

    こういったインフレの圧力に対しまして、中銀としては金融引締め策を継続しておりまして、今年に入ってからも1月から7月までの間、5回にわたって利上げを行いまして合計1.75%、現時点ではSelicは12.5%に達しています。

    これと併せまして、金融引締めのもう一つの施策としまして、個人消費向けのクレジットについて、量、ボリュームですね、量を抑制するといった政策もとっておりまして、これも効果を表すようになってきております。これを反映しまして、今後のインフレ率の推移としては、現状よりは落着いていくというふうに見ております。

    最初のスライドに戻らせていただきます。以上の点を踏まえまして上期におけますマクロ経済の動向をまとめてみたいと思います。まず一つは、インフレですとか個人消費のバブルに対する懸念から政府は金融引締めを行っております。この中に先程申しました通り個人向けのクレジットの抑制が含まれておりますので、この結果としまして消費の拡大ペースはやや鈍ってきております。

    この結果として内需主導型であるブラジルの経済成長率も年初の予想からは若干後退しております。もう一つの金融引締め策としまして利上げが続いてきております。この影響としましてレアルが為替マーケットで買われておりまして、工業製品の輸出競争力が失われるといった状況が現時点でも続いております。

    それでは次に為替の動向について触れさせていただきます。このグラフではドル・レアルの為替レートと、政策金利であるSelicにつきまして過去3年間の推移をお示ししております。左側の縦軸が為替レート、右側の縦軸が金利水準です。本年上期というのは、この右側の部分になりますが、ご覧の通り比較的狭いレンジの中での動きになっておりますけれども、トレンドとしては右下がり、すなわちドル高が進んだということが言えます。

    ご存知の通り先進国では景気の停滞が続いておりますけれども、その景気対策として流動性が各国で大量に供給されております。こうした流動性がこのブラジルの高金利につられる形でどんどん国内に入ってくるという状況が続きまして、年初時点のドル・レアルレート、1.7前後の水準から4月にはいったん1.6を割込むところまで強くなりまして、さらに、これはすいません7月の頭までのグラフなんですけれども、7月に入って以降ですね、米国の債務上限問題によりましてドルが一段安となりましたものですから、一時は1.55を超えるところまでレアル高となりました。

    ちょっと余談になりますが、ご存知の通りブラジルでは為替レートをお話します時にもまあ金利水準との比較を考えなきゃいけないことになるんですけれども、実は先々週サルバドールで日伯経済合同委員会が開かれました時にも金融について簡単に発言させていただく機会がありました。

    その時に申し上げました点としては、インフレ対策としての利上げ、これはまあ理解できるわけですけども、これほどまで全体金利水準が高いと長期投資、特に設備を対象とした長期投資に対しての意欲がどうしても削がれるということを申し上げました。

    確かにそうは申し上げたんですが、この日伯経済合同委員会がサンパウロ地元の某日本語新聞で取り上げられましてですね、その記事の中で、高金利政策に対して小西というやつが非難したと、まあ不満を表明したということをお書きいただきましてですね、中々ちょっとつらい思いをしたので。もし今日のこのシンポジウムが記事になるようでしたら、高金利政策に伴う問題点を指摘したぐらいの、お手柔らかにご表現いただければありがたいと思います。

    さて為替にお話を戻させていただきます。こうしましたレアル高の動きの中で、当然ですが政府としては様々に対策を打ってまいりました。昨年末ですけれども、海外からブラジルの国内に入ってくるですとか株式に対する投資について金融取引税、IOFを導入いたしました。

    これに続きまして今年の3月には短期の外貨債務に対してIOFの利率を6%に引き上げました。で何に対してこのIOF、6%を適用するかという対象ですけれども、当初期間1年以内の短期の債務を対象としておりましたけれども、その後期間2年までの債務を対象とするというふうに対象を拡大しております。

    さらに今年の7月になりまして、先物市場でのドル売りポジションに対してIOFを新たに導入いたしました。足元、直近ではレアルは米ドルに対しまして1.6前後の水準にありますけども、これはすなわち先程の7月の水準に比べればややレアルが弱含んでいるという状況ではございます。

    で、何でこうなったかというところを考えてみるんですが、もちろん一方ではIOFの導入などの政府の対策があるわけですけれども、レアルが若干弱含んだ要因としては、こういった政府の努力というよりは外部要因によるものだというふうに考えております。

    すなわち米国の債務上限問題とそれから国債の格下げ、それから欧州のソブリンリスクの高まり、こういった世界的な動きに引きずられたものだというふうに考えております。このレアル高につきましては、10日ほど前だったと思いますが、先々週の金曜日ですね、当商工会議所の月例の昼食会の席におきましてゲストスピーカーとして貿易審議会のエミリオ・フィリョ局長がお話をされたので、ご出席された方は覚えていらっしゃる方もたくさんいらっしゃると思います。

    非常に歯切れのよいコメントがございましてですね、まあ政府がこのようにして色々なレアル高対策を打っているように見えるけれども、いずれも本質的な解決にはなっておらず、いずれ来たるべき日に抜本的な対策としての金利の引き下げ、これができる日が来るまでの、対症療法と言っては何ですが、場つなぎ的な施策をとっているに過ぎないというご発言がございました。これはまさにご指摘の通りだというふうに承った次第でございます。

    次に銀行業界についてご説明させていただきます。まずスライドの上側のテーブル、これは貸出残高をまとめさせていただいたものでございます。本年度上期の貸出残高、右端の欄でございます、をご覧いただきますと、個人それから法人ともに前年に比べてそれぞれ7%、6%ということで上昇してございます。

    ただし注目点としましては、前年同期比、前年同期の伸び率が個人では8%、法人では8%でしたから、伸び率自体は前年に比べると鈍ってきているということがご覧いただけると思います。この背景として考えてみますと、先程の通りですが、中銀が景気の過熱感に対しての対策として個人消費をソフトランディングに向かわせるために個人向けの無担保クレジットを抑制しているということがございます。

    具体的には銀行が個人向けに貸し出しをしました場合に要求される自己資本比率ですとか、それから一般引当率、これを昨年12月に引き上げております。中銀の規制として引き上げております。こうしたことが伸び率の鈍化に繋がっているというふうに考えております。それから次に下側のテーブルをご覧下さい。これは延滞率のテーブルでございます。

    個人向けにつきましてはちょっとこの表からはご覧いただきにくいんですけれども、この延滞率自体も今年の3月をボトムとしましてその後徐々に高くなってきております。この背景ですが、色々考え方ある中で一つ重要なポイントとして考えられますのは、無担保の個人向けのクレジットについて先程の通り量的な規制が強くなっております。

    こうした中で、追加の借り入れがしにくいという状況が起こっておりますので、金繰り上やや厳しくなって延滞率が増えているというふうに見られております。法人につきましても、これは表でご覧いただけます通り、延滞率が若干ではございますが上がってきております。

    これらから考えられます点は、それぞれの市中銀行の融資姿勢がやや厳しいものになってきているということでございます。一方でクレジットの絶対数というか、国全体の合計について考えてみますと、これはブラジルではGDPに対して50%未満という状況でございます。

    この一つの大きな要因としては、住宅ローンのマーケットがブラジルでは未発達であるということは考えるべき点ではありますけれども、それを考え合わせてなお、中国ですとか先進国ですとかに比べると低い水準にございます。従いまして貸出残高が伸びるといいながらこのスケールがある程度の範囲である限りにおいてはバブルにつながるようなものではないというふうに考えております。特にその、個人向け貸出の抑制施策がとられたということはソフトランディングに向けての適切な施策だというふうに考えております。

    それでは、以上を踏まえまして、今まで申し上げましたことを踏まえて下期のブラジル経済および金融を展望したいと思います。総論としましては個人向けクレジットの引き締め策のために消費拡大のペースはやや落ちてきまして、年間の経済成長率は3%台半ばからせいぜい後半にとどまるというふうに考えております。

    また、個人消費の伸びが鈍化するに伴いまして、インフレも徐々に落着いてくるものと考えております。そういった中で政策金利としては現在の12.5%を当面は維持できるものというふうに考えております。一部には年内にも利下げがあるんじゃないかという観測があるということは承知しておりますけれども、果して利下げを許容するほどまでにインフレが収まってくるだろうかというところについてはいささか疑問が残るのではないかというふうに考えております。

    他方で、留意すべき点としましては、外部的な不確実性の高まりでございます。しつこいようですが欧州のソブリンリスク、米国の格下げ、あと中東の政治情勢。こういった世界の動きの中で、まあブラジル経済自体は非常に、国内、内需主導型ではありますけれども、そうはいっても海外からの影響を遮断できるものでは決してありませんので、そういった意味で、例えば銀行業界につきまして申し上げますと、リスク回避といった動きが強まるとしますれば、例えば中小銀行の資金繰りに影響を与えるといった事態もまったく考えられないというわけではございません。

    ただ、今後の見通しとしましては、少なくとも現時点ではまだ2008年のリーマンショックの時のような流動性危機が起こっているわけではございませんし、かつリーマンショックが起こりました時にもブラジル中銀は積極的に市場に対して流動性を供給しましたので、そういったことによって深刻な問題を回避し得ましたので、今回さらに事態が悪化するようなことがあったとしても政府の舵取り次第で何とか対処ができるものだというふうに考えております。

    為替相場の展望ですけれども、一方で対米ドル1.5を例えば試すようなレアル高というのも考えにくいとは思っておりますけれども、先進国の景気回復が遅れておりますので、現在のような内外金利格差、これは今後も続かざるを得ないというふうに考えております。この結果としまして、レアルが弱い方に動く要因もいささか少ないと思いまして、以上まとめますと為替レートとしては1.6から1.65程度の水準で高止まりするものというふうに考えております。

    それでは4番目の点、保険業界についてご説明させていただきます。まず一番下の行、合計の行をご覧下さい。本年1月から5月までの伸び率12.7%というところでございまして、これは昨年、2010年の伸び率も12.8%でしたので引き続き堅調に伸びてございます。特に上から2行目の火災保険ですが、これは実に20%以上の伸びを示しておりまして非常に著しい成長を遂げております。

    前回のシンポジウムでもお話させていただきましたけれども、ブラジルの保険市場の規模は円に換算しますと3兆円程度ということでして、これは日本の大手保険会社1社程度の規模でしかございません。この点は人口規模などを考えますと市場の開拓余地がまだまだあるということでございまして、今年の下期を含めて今後も保険市場の拡大が続くものというふうに考えております。またこの点は前回のシンポジウムで簡単に触れさせていただきましたが、再保険市場での規制の強化につきまして足元の動きをご説明申し上げます。

    従来はブラジルではIRBと申します再保険公社、元々公社でした、が再保険マーケットを独占しておりました。この会社はその後半官半民となりまして、2008年には再保険市場がようやく開放されるに至りました。それ以降海外の保険会社ですとか、再保険会社がブラジルの再保険マーケットに参入してまいりまして、現在では90社の再保険会社が当局に登録しております。

    まあ当然の結果としまして政府系の再保険会社でありますIRBの保険収入は激減することになりました。こうした再保険マーケットの開放によりまして、日系の保険会社を始めとしますブラジルで保険事業を行う外資系保険会社の本社がブラジルで再保険業務を行えるように当局に登録しているわけでございます。その目的としましては、親会社ですとか子会社を含むグループの各社がお互いに協力することによりまして幅広い保険サービスをマーケットに対して提供しているということでございます。

    ところが昨年末、12月になりまして、突然再保険に関する規制を強化する通達が出されました。当初の予定では本年1月からその中身が適用される予定だったんですが、主に2点、一つはブラジル国内の再保険会社へ出再することを義務とする点、それからもう一つはグループ会社の間での再保険取引を禁止するというものでございました。

    こうした規制の強化が行われますと、再保険の開放によって可能になっていた保険サービスの提供ができなくなりますので、業界にとっては大問題でございます。これを受けまして業界では抗議活動を行ってまいりまして、規制の強化は延期こそされたんですけども結局本年4月より、この※1の通りですが、主に2点、一つはIRBを含む国内の再保険会社に対して40%出再することが義務になりました。

    またもう一点としてグループ会社の間での再保険取引、これは20%までに制限するという規制がすでに始まってございます。こういった影響のため、今後につきましては2番の通りなんですけれども、企業物件の巨額のリスクを引受けることですとか、ないしは保険料率が上がったりとかいった形の影響が懸念されておりまして、今後の展開が非常に注視されるところでございます。以上を持ちまして金融部会からのご報告とさせていただきます。どうもご静聴ありがとうございました。

    司会:
    ただいまの発表に対しまして何かご質問ありましたら、挙手、それから所属、お名前とともにお願いいたします。何かご質問ありますでしょうか。特にございませんようですので、小西さんありがとうございました。続きましてはコンサルタント部会、都築部会長よりお願いいたします。

     

     

     

  • コンサルタント部会  都築慎一  部会長

    コンサルタント部会

    皆さんこんにちは。コンサルタント部会の都築と申します。よろしくお願いいたします。

    早速なんですが、コンサルタント部会はご存知のようにサービス業で、特に業界の動向というのは非常にないものですから、それぞれの、契約といいますか、お客様との話し合いでサービス等を実施しているということになりますので、申し訳ないんですが、上記の回顧と下期の展望というテーマではなくでですね、会員皆様のコンセンサスを得まして、今回の第2回目はブラジルに新規投資をされる企業でですね、こういうところに行っているコンサルタントから色々勉強させていただいた留意点、注意点等についてこのシンポジウムで簡単にご説明差し上げたいと思います。

    それから、先程も会頭からちょっとお話がございましたが、今月の初めにジウマ政権の方から発表になりましたBrasil Maior Plan、Plano Brasil Maiorというかなり色々な施策が盛り込まれたプランがございまして、これについて説明をさせていただくということにしておりますので、二つ抱えてありますので、ちょっと長くなりますがよろしくお願いいたします。

    まずはこのBrasil Maior Planというのから始めます。まず関連法律なんですが、8月2日に政府の方からMedida Provisoria、暫定法の540と541というのを出しまして、これにMaior Planというのが全部載っています。540は主に税制恩典のことについて書いてございまして、今日の報告の中ではこの540の内容についてご興味がおありになられる方も多いと思うのでご説明したいと思います。

    まずこのPlano Maiorの期間なんですが、計画は、一応目標と、それから具体的な数値目標も掲げていますが、計画期間は今年の8月から2014年末までというのを計画の期間としております。そして、目的では国内、国外市場での内国製造業の競争力を高める、同時に労働雇用者増加の機会を増やすということを謳っています。

    これはご存知のように、ブラジルは今非常にBooming Countryということで内外からの投資が増えているわけですけれども、他国と比べた場合に技術力は推移しているだろうかということを考えますと、決して、国内製造業を含めて技術の蓄積とか研究開発という面ではいつも開発途上国の中で2番目に属するというところから脱皮できないという状況が続いていると。これを何とかしたいというのが感じられる計画になっています。

    手段としましてはここに書いてございますように、税制恩典、それから政府からのBNDES銀行を通じた融資の拡大、それから輸入品等に対するダンピングやモニタリング、相殺関税を含めた取り締まりを強化するということで、多少保護政策というのが暫定措置法の特徴になっています。

    で、主要な政策を次に書きましたけれども、1番、投資税コストの軽減及び輸出品のコスト軽減。これはPlano Maiorの中に書いたものを日本語にしたんですけれども、具体的にはもう少しちょっと違う面があるんですが、まあ表向きはこういう形のスローガンになっています。

    2番目が投資及び輸出への融資拡大と審査の簡素化。次に、技術開発利用手段の増大。それから、関連法規の改正を通じた技術開発への投資を誘導させる政策。それから、零細小企業への税法上の支援。これはもうすでに発表されて、いわゆる零細企業のですね、登録ができる税務上の恩典がある、こういうような零細企業への登録の売上高の幅を上げたことで登録企業が大幅に増えることになりました。

    それから6番の一定の国内産業の育成保護、これは後でまたご説明いたします。7番が生産過程における付加価値と技術の蓄積を目指した特別制度の創設。これは自動車業界を主に指して、国内技術の蓄積を目指すような政策を取るつもりであるということを謳っています。それから8番、政府による国産品調達優先策の法規の施行細則公布。これは、25%まではですね、政府が買い上げる時にですね、国内産業を優先して買いますと。外資系はその外という、25%の枠というのが実はあったんですけれども、これも細則をして保護をするというのを明確にしています。

    この中でひとつ面白いというか、我々の興味があるのが出てきたのは、投資をする場合にEx-Tarifarioというのがございまして、要するに国産品に同じようなものがないような場合には輸入税をゼロ%とか2%とかに下げて構わないという、機械等の輸入に関してまあ輸入税の減免措置があったわけですけども、今回の計画の中では、特に中古品等の機械等を持ってきた場合に、仮に国産品がなくてもEx-Tarifarioを使って輸入税を減免するということは中止するというふうに出ています。

    ですから他の国で余っている機械等をブラジルに持ってきてやるという形でEx-Tarifarioを使える場合が今まであったんですけれども、これがなくなるというちょっとネガティブな話になっています。

    次が、このBrasil Maiorプランで出てくる税制恩典を要約したいと思います。先程輸出業者に対するですね、融資の方はちょっとここでは申し上げませんが、輸出がご存知のように為替のレートが非常に国内通貨高になっている関係上なかなか難しいと、国際競争力がなくなってきているという状況の中で、輸出業者を助成するという政策がとられました。

    具体的には、ここに書いてございますようにREINTEGRAという名前を付けまして、工業品の製造者の輸出については輸入部品が一定限度内で使用されていることを条件に輸出売上高の3%までの金額を還付するというふうになります。2012年末までの輸出が対象であると。還付割合は輸出業者の事業により異なることとして、政府の政令で決定すると。つまりこれから出る細則によって決まってきますというふうになっています。

    この還付はですね、現金または他の税金の支払いに充当させるクレジット等のいずれかの選択を通じて行われると。つまりどちらでも受ける方の側の選択が可能ですというふうになっています。具体的には、今申し上げたように政令が出ませんので、こういう政策を行いますということが発表されただけですけれども、近々に細則が出てくるものと思われます。

    次に、売上高に関するPIS・COFINSという税金が、日本の消費税にあたるものがございます。これは、ブラジルは産業ごとに色々政府が介入しまして税率等を変えているんですけれども、特にこの製造やサービス提供に使用される固定資産取得に係るPIS・COFINSについては今後一括の仕入れ控除をするということができるようになっています。

    PIS・COFINSというのについてはですね、今まで減価償却に応じて、買うときにはご存知のようにPIS・COFINSがついて、価格の中に入ってくるわけですけれども、これを仕入れ控除する時には今までその固定資産の減価償却に合わせた形で一括してそれをクレジットとして使うということはできなかったんですけれども、今後それを一括控除するというふうに変わっています。

    とりあえず急に明日からというふうにはできないので、ここに書いてございますように、2012年7月以降の取得について上記の措置をとると。それまでは移行措置としてですね、少しずつ少しずつ期間を短くするような形で控除ができるというふうになっています。ちなみにICMS等につきましては4年間で控除するということになっていましてこれは変わりません。

    それから機械等に係るIPIが仮にあった場合に、IPIというのはコストになって、これはその一括控除の対象というのにはなりません。それから次に、国産タブレットPCの小売段階での売上に係るPIS・COFINSをゼロ課税とするというのが時限立法の形で出ています。それから、港湾施設等についての、これも特別なのでご興味のある方は実際に細則が出てから見られるとよろしいかと思います。

    それから、前回の2月のシンポジウムで発表させていただきました、政府の税制改革ということの中で、輸出競争力をつけるために政府は社会保険料企業負担分を軽くすることを考えているということを申し上げたんですが、その後この政策につきましては2月から紆余曲折がございまして、5月にはマンテガ大蔵大臣から財源確保する考えを表明すると。つまりこの考え方は継続しますと。

    ただしこの財源を別のところからとらない限りできないので、どこからこの財源をとるのかと、別の税金をアップすると。で我々や民間の方からの話では例の小切手税、金融取引税、これを復活させるような形でしたらいいんじゃないかという案があったんですけれども、結局その後変わりまして、ここに書いてございますように、とりあえず対象を衣料品それから履物、家具、ソフトウェア―プログラム製作に限ってですね、これらの産業の行っているうちの輸出品、この部分について、労務費の製造原価に占める割合が非常に高いので、ここについては競争力がなくなっているということを考えてですね、緊急支援するというふうになっています。

    よって期間は2012年の12月31日までというふうに決めまして、上記企業のINSSの企業負担分について、現在は企業は役員報酬や給与の20%を企業負担分として社会保険料を払うわけですけれども、これを今度変えまして、これらの産業については売上高の1.5%の金額に直しますと。ただし輸出は除く売上高。

    それからソフトウェア―についての製作については2.5%というのを出しています。これらの業界以外のところは今まで通り役員報酬の20%をですね、社会保険料として、企業負担分として払うということは変わっていませんが、これはとりあえず試験的に行うということで、これがうまくいけば他の業界にも回っていくというふうな感じです。それから輸入品に関してもPIS・COFINSの税率を1.5%アップするというふうになっています。

    次に自動車業界のIPIの変更というのが行われていまして、ここに書いてございますように2016年7月31日までの減税の適用可能ということで、輸入車両についても適用すると。ただし政府の通達する条件、今後通達する条件に従うことというふうになっています。でこれを満足する場合にはですね、IPIの減税を行いますよということで、技術を、国内技術を開発させるような制度を何とか呼び込みたいと。

    こういうふうな、それから国産品の調達比率を上げさせたいと、こういうのが全部条件に含まれるということになっています。当面の措置としてはですね、同じ日付で出たDecretoというのを通じまして、トラック、トレーラーとかバスなどに与えられているIPI減税を延長しています。煙草についてはちょっと省略します。

    次にSUDENE、SUDAM地域。東北伯やアマゾン地域の方ですけれども、これらのところでプロジェクトを遂行する企業はですね、現在のところ2013年までは法人税の減免が75%で期間10年というのがあります。これは変わらないんですが、これに新たにひとつ制限を加えまして。政府が出しているデジタル・インクルゾンというプログラマというのがございますけれども、この中に、このプログラマに合致したデジタル技術に基づく機器等の製造者には特に100%の法人税免除をいたしますよということです。すでに現在75%の恩恵を受けてデジタル機器の製造を行っている、同地域でですね、企業については2011年8月から、つまり今月からさらに10年間期間延長して75%の減免を差し上げますということです。

    これらの法律の効力については、多くの項目が細則待ちということになっています。これをちょっとここに書いてございます。

    次、時間もないので、日系企業の新規ブラジル投資に関する留意点ということについて述べさせていただきます。先程もお話がございましたけれども、ブラジルに進出してくる日系企業、現在のところこのような数字が出ています。これはジェトロサンパウロ事務所さんの方からの資料をお借りしていますけれども、ここに書いてございますように、実際の数字はさらにこれより多いということが予想されますので、実際にこの数字かどうかはちょっと申し訳ないんですが確認はできておりません。

    ただ傾向としましては20社ぐらい、去年から10で、また今年も同じぐらいの会社が出てきているんではないかというふうに見られています。で、M&Aについて見てみますと、会社名はここで全部発表されているものなんでございますけれども、今回のシンポジウムでは目的が違いますのでここには名前を出しておりませんけれども、2008年から少しずつ少しずつ増えておりまして、色々な分野にですね、買収が行われているということが分かります。

    それからさらにこれ以外に商社さんが主導されて資源等のですね、獲得を目指すブラジルとの企業の合弁事業もエタノール生産等ですでに数社進行中。それから鉄鉱石なんかの採掘もある商社さんがこちらとの合弁でされておられるということもございます。こういうような背景の中で、我々M&Aをやっておられるコンサルタントの方等もございますので、注意点というのについて色々話が出てきましたので、これについてもご紹介したいと思います。

    買収に関するブラジルでの注意点というのを簡単に述べますと、まず二つに分かれるんですが、買収では資産を取得するのか、それとも株式を取得するのかというのが税務関係から見た場合出てきます。これをだからどっちなのかはっきりして考えると。2番目に直接投資として行うのか、もしくはブラジルに設立した持ち株会社を通じた形で投資するのかという問題がございます。この場合はここに書いてございますように、投資ののれんの償却の問題が出てきます。

    日本から直接投資をした場合には、仮にこちらのですね、実算価格よりも大きな金額で払った場合には、この差額が一体何から発生したのかというのを国際会計基準では分けて考えると。一体何のため出てきたんだろうか、例えば棚卸資産の時価評価のために出てきた、もしくは土地の時価評価から出てきた、もしくは無形資産としてクライアントリストが非常に価値があるために出てきた、そして最後に、よく訳がわからないんだけれども残った金額というのがグッドウィルと言われるのれんというふうになっています。

    日本の税法では、このグッドウィルの償却についてはできますけれども、ある程度の制限を加えています。それからブラジルでも同じように制限は加えているんですが、ブラジルは税法上は今みたいに分ける事なく、純資産を超えた金額は全部グッドウィルと、税法上ですけれども、というふうになって、これを償却できることができるようになっています。

    したがって節税対策という意味では日本よりもブラジルの持ち株会社を作って投資を行い、そこで持ち株社で出てきたのれんを償却すると、全部、そういうやり方がメリットがあるということが言えます。それから注意点としては過小資本規制に対して注意するということが言われています。

    それから、ローンで資金を手当てするという場合には720日以内の外貨建て貸付にはIOF6%が課税されるという大きな税金がございますので注意が必要と。それから買収先が税制恩典を受けている場合には将来コアビジネスの変更などに制限がなされていることがあるので注意ということもございます。

    これは、例えば現在やっているコアビジネス以外にさらに増やすならいいんですけど、変えてしまうというふうな時には税制恩典を今度はつかえなくなるような場合もあるので気をつけないといけないですよということです。さらに税務上の欠損金が相手にある場合、これは一般的には株主が変わると使えなくなりますので、この辺も気をつけないといけないということですね。

    次。移転価格税制をクリアーして事業が成り立つのかのシミュレーションをきちんと行うと。ご存知のように極めて特殊な税法ですので、非常にビジネスが難しいということもあり得るわけで、先に事前にスタディーしておくことが必要と。それからブラジルの内国企業にはファミリー経営も多く、総合製造原価計算制度を持たない企業も多いと。

    またキャッシュフロー計算書などの存在しないところも多いと。税務、労務の偶発損失等をですね、Due Diligenceで調べるだけでは十分ではなくて、財務諸表の損益計算書上の損益やEBITADA数値等によく注意すると。そのための資料というのが中々ないと。特に今後出る利益率等についてですね、ブラジルの場合は信用できるかどうかよく気をつけないといけませんよと。

    理由は、この総合製造原価計算制度をとっていないところが多いんですね。税務上の原価計算で行っているために会計上の原価がはっきりしていないというところが多いということです。それから最後に、相手の会社の経営上の文化やフィロソフィーに対するDue Diligenceも大切と。

    つまり、会社を買うということは、そこに働いている人たちも買うわけでして、その場合やはり経営上の日本の文化を持ち込むときにやっぱりカルチャーショック等も起き得るわけで、この辺ですね、日本の会社が買うに値するような文化があるのかどうなのか、そうじゃないと買った後非常に労務問題等で苦しむということがあるので、この辺のDue Diligenceも大切ですよということです。この辺の色々な情報提供は、プライスウォーターさん、それから我々デロイト、それからウエノ・コンサルティング、これらの皆さんから情報提供をいただきました。

    次に、一般的に挙げられるブラジル投資の進出時の問題点というのをご報告いたします。まず、外国からの投資、現地法人設立手続きが複雑で、日数を要すると。それから税制が複雑であると。次、労働法が硬直的である。だから外国人の労働許可に日数を要すると。また労働許可を得て入国したところで、外国人登録に日数を要し、外国人が中々社長、役員に就任できないと、それまでに時間がかかるというふうな問題が起きています。

    それから、非関税的な複雑な輸入手続き。例えば新規設立会社のRADARシステムへの参入が制限的で日数を要すると。それからインフラストラクチャーが未整備というふうな、このような色々な問題が挙げられました。

    で、一番コンサルタントとして感じていることは、これらの問題をクリアしたところで、日本から投資する企業は本社でブラジルの進出の工程表を作成すると。ただし、まず工程表の予定通りに事が運ばないので、予定通りの事務所設営であるとか工場建設ができないというのが通常であるという問題点が皆さんから出されました。

    その理由というのは、ブラジルと日本の文化の違いにあるのではないかと。特に、許認可を出す連邦、州や市の公的部門にせよ、建設、原材料供給者の民間部門にせよ、時間・納期の観念が日本と全く異なり、予定通りに進まないということがあるかもしれません。

    で、この辺は非常に難しいんですが、まあ何年何月何日にですね、販売あるいは生産開始をするためにいつ現地法人を設立すれば良いのかとかですね、逆算していくような発想でもって計画を日本の方はお作りになられるんですけれども、必ずこういうふうにはうまくいかないということが多いということなので、どうしても時間的に余裕を持って対処していくことというのが大切であるというのが皆さんからの意見として出されました。特にこの辺の情報は関根コンサルタントからの情報を中心にお話させていただいています。

    次に、ちょっと時間が延びていますが、人事採用の留意点手短にまとめさせていただきます。まず起きている問題というのが、ここにございます人件費の高騰、好景気によって専門職が非常に不足していると。

    一例として、データはauthent人材コンサルティングさんから提供を受けましたが、秘書の場合、ポルトガル語は当たり前ですけれども、さらにバイリンガルの、日本語、英語ができると。バイリンガルじゃないですね、3ヶ国語できるという場合、2005年ですと大体4000~5000の給与だったのが、2011年では5000~6000に上がっていると。5年間で25%以上の給与相場上昇と。まあこれは一例であって、技術者なんかもこれ以上に上がっているということです。

    というわけで、人件費の占める割合というのがやはりかなり高いので、気をつけないとここら辺は難しい問題が出てくると。次に出てきたのが、人事採用の留意点ですが、履歴書に誤りがないか確認すること。給与が労働手帳に記録されている金額とマッチするかチェックすること。それから債務の支払い返済に困っていないかチェックすることというふうに細かいサジェスチョンがauthentさんの方からございました。

    これは実際にこういうことで問題が起きているからということだそうです。さらに、日本から来られると技術職の大卒教育レベルが日本と比べると一般的に低いので、日本から来られる方はびっくりすると。で採用する時に給与は非常に高いのに内容が伴っていないということもあるみたいなので、事前にですね、専門知識についてよくチェックするということが必要であると。特に、残念なんですが、卒業するその大学のレベルによってやっぱりレベル格差も相当大きいということがありますということでした。以上、駆け足ですけれども、ブラジルで新しくビジネスをする時に我々が見聞いたしました事柄についてご説明申し上げました。どうもご静聴ありがとうございました。

    司会:
    都築さんどうもありがとうございます。たいへん我々にとって興味深い内容だったと思います。なにかご質問ありますでしょうか。では若干、ブラジルタイムといいますか、5分だけビハインドですので、次、自動車部会中西部会長様、ご発表お願いします。

     

     

     

  • 自動車部会   中西俊一 部会長

    自動車部会

    それではですね、自動車部会を代表して私の方からシンポジウムの発表をさせていただきます。今日はこういう項目においてやらせていただきます。

    まず四輪業界の動向ですけども、この表ですけれども、棒グラフで1月から6月までの販売台数について示しております。乗用車・商業車が青、薄いオレンジ色がトラック・バスとなっておりまして、オレンジ色の折れ線がトラック・バスの前年同期比、同月比ですね。それから乗用車・商業車の前年同期比がブルーの折れ線となっております。

    2011年はですね、堅調な経済に支えられておりまして、この3月を除いては各月前年同期を上回っております。上半期の販売台数実績は174万台ということで、まあ前年比110%となっております。

    3月はですね、去年の3月がIPI減税、乗用車のIPI減税の最終月だったためにかなり市場が高くなりましたので、その影響で3月は割れております。そのIPI減税ですけれども、乗用車につきましては今申し上げました通り昨年の3月末で終って4月からは従前のですね、率に戻っております。商用車とトラック・バスにつきましては、先程都築さんからお話ありましたけども、政府が12年12月末まで減税を延長するということを発表しております。

    これはですね、四輪車の年別の販売数の推移です。2001年から示しておりますけれども、まあ昨年が351万台ということで史上最高でした。今年も、ANFAVEA、自工会が発表しておりますけれども、2月の予測、6月の予測と二つ書いておりますけども、まあ369万台ということで総数は変わっておりません。引き続き調子がいいということは全体としては言えます。

    ただ、ただというか、輸入の販売台数なんですけれども、2月には73万台と予測していましたけれども、6月に上方修正しまして85万台と。まあここら辺もですね、Brasil Maiorなんかの一つの要因になっているのかなというふうに思っております。

    次に、これは四輪車の生産・輸入台数の推移です。まあ生産につきましても、ANFAVEAの予測では過去最高の368万台というふうになっております。ただ輸入について、先に申しました通り上方修正されておりますので、輸出はそのままステイしていますから、輸出入差は拡大を予測しております。

    これは需要構造の一つとして、1L車の販売比率を見ておりますけれども、1L車の比率は01年をピークに年々減少しております。まあ、やはりあの、昨今ですね、経済も好調だということで、まあ基本的にはブラジルのお客様はよりパワーを求めますので、まあ懐も暖かくなったということでより高排気量のですね、車に移行しているという状況でございます。

    これが四輪車の支払い形態で、現金、コンソルシオ、頼母子講ですね、それからリース、ローンというふうに分けて見ておりますけれども、まあ08年末に金融取引税が引き下げられたためにですね、ローンの比率が高まってきておりましたけれども、今年4月にその税金がまた引き上げられたためにですね、今後の動向はやや不透明という状況でございます。

    これは四輪メーカーの投資計画です。2月に発表させていただいたものから赤い丸で示してあるところが新しい情報で、まあVolksWagen、Renault Nissanグループ、それからHyundai、それから中国勢ではCheryに引続きましてJACがですね、サンパウロ州での新工場を発表しております。引き続き韓国勢、中国勢が元気がいいという状況になっています。

    その韓国車なんですけれども、先程申しましたように全体としてはまあ110ぐらい今年市場が伸びておりますので、1-6では、それに比べるとちょっと落ちていますけれども、まあ何分にも昨年ですね、かなりジャンプ、アップしましたので、まあ引き続き好調には推移して来ているということは言えると思います。まあ我々にとってもたいへん脅威であります。

    この現象、2月には全然なかったことなんですけれども、まあ最近起こったこととしてトピック的に挙げさせていただきました。インポートライセンスの発給問題ということで、まあ経緯としましては、このインポートライセンスというのは我々がアルゼンチンで作った完成車をブラジルに輸入するに当ってのインポートライセンスの発給問題です。経緯としましては昨年の12月10日にですね、アルゼンチン政府が輸入ライセンス制の対象品目に自動車を加えるとともに、2011年輸入ライセンスの発給を2010年実績の8割までしか認めないと公表しました。

    で今年2月にはさらにですね、ライセンスの対象400製品から農業製品、家電製品など約600製品に義務付けを拡大したと。かつ慢性的な発給遅延がアルゼンチン側で発生したと。それに対して5月にブラジル政府が報復措置として、アルゼンチン製の自動車の輸入ライセンス発給につき、それまで自動承認、最大10日で承認されていたんですけれども、ブラジルの開発商工省の認可制とすると。

    で、かつそのリードタイムはWTOで許されている最大60日までとするというふうになりました。それに対してですね、日本の政府も非常に協力して頑張っていただきましてですね、先日サルバドールで行われました8月8日の日伯貿易投資促進合同委員会でですね、岡田審議官よりブラジル政府に対して善処を申し入れていただいております。

    まあ課題としましてはですね、アルゼンチン製だけでなく日本製、他国製輸入車も対象になっていると。それから、現在、週1回ですね、我々自工会を通じて開発商工省へ発給要望リストを提出しておりますけれども、まあ安定的な発給がこれまで必ずしも行われておらず、まあ私の会社としまして言わせていただくと、まあ在庫がたまったりしてですね、中々お客様に約束した納期を守れないとかですね、まあそのような状況も発生しております。

    ただですね、岡田審議官から申し入れていただいたおかげで、最近、まあ順調というんですかね、ひところの停滞はなくなりまして、かなり良い方向になりつつあります。ただあの、ただただばっかりであれなんですけども、アルゼンチンが10月末の大統領選までですね、まあ非常にこの貿易赤字に困っておりますので、保護主義的な動きが出ないとも限らないと。そうなってくるとまたブラジルもどう反応するか分からないというところで、非常に何というか、ちょっと心配しているというかそういう状況であります。

    ここまで話すと、先程の小西さんの話ではないですけれども、中西は伯亜両政府を批判しているなんていうふうに、あの、思われるとちょっと困ってしまうんですけれども、これしゃべるのやめようかなとさっき途中で思ったんですけれども、まああの、真摯な気持ちでですね、我々やっぱり企業としては、メルコスール協定というのは投資の大前提として考えておるものですから、まあ両政府にはぜひともですね、スムースな運用をお願いしたいなというふうに考えております。そのようにご理解ください。お願いします。

    次に二輪車の動向ですけれども、これがホンダさんにご協力いただいて作ったものですけれども、生産と販売の推移です。このブルーのものが生産で、濃いブルー、棒グラフですけれども濃いものが年別で、薄いブルーが1-6月を2007年から取り上げてもらっています。で折れ線の緑のやつが輸出の台数で、それぞれ濃いものが年別、薄いものが1-6ですね。これ、まあピンクというんですかね、の方は国内の市場を同様に表しております。

    まあ上半期はですね、二輪市場103万台、生産108万台、輸出は3万台ということで、前年をそれぞれ大きく上回っております。堅調なファイナンス販売を背景に、08年、この水準までですね、二輪車市場いったん落ち込んでいましたけれども、回復しているという状況ではあります。

    これは月別の推移ですけれども、まあ3月を除いて前年を上回っておりまして、今後の引き締め政策が懸念材料けれども今後も緩やかな拡大傾向が続くというふうに予測されております。

    これは支払い形態別ですけれども、与信の引き締めが2008年9月にあり、大幅な販売減少、二輪として、先程申し上げましたように要因になったんですけれども、まあ最近はファイナンスも緩やかに拡大基調でローンの比率も上昇しているということでございます。

    最後にですね、部品業界ですけれども、まあやはり四輪二輪とも生産・輸出台数増加に伴って、昨年大きくジャンプアップしたけれども、売上が、それを上回るというふうに今年も予想されております。大変簡単ですけれども私からの報告は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

    司会:
    中西さん、率直なコメントありがとうございます。誰かご質問ございますでしょうか。多分中西さんですから率直にお答えいただけると思います。ありがとうございます。では続きまして、電気電子部会、筒井副部会長様よりお願いいたします。

     

     

     

  • 電気電子部会   筒井隆司   副部会長

    電気電子部会

    皆さんこんにちは。今回は三好部会長がご出張中ですので、私の方で代わりにご説明申し上げます。

    今日は3点ほどについてお話をさせていただきたいと思っております。まずは本年の市場の推移と展望ですね。それから家電流通の動きと懸念。それから3番目といたしまして、製造事業環境の変化と展望という点につきましてお話を申し上げたいと思います。

    まず最初にですね、これは電気電子部会で約30数社メンバー会員がおりますけれども、皆さんにアンケートいたしましてですね、今年の前半どうでしたかという問い合わせをいたしました結果をまとめたものでございます。

    まず市況・外部要因としまして、やはりインフレ対策、政府からの高金利政策・クレジット抑制策等がですね、まあ若干伸びつつある市場の中でそれにブレーキをかけた部分があるのではないかというご指摘がありました。

    それから、私どもの産業というのはやはり日本製の部品、特に電子部品にですね、依存している部分が大変多くございまして、3・11の東日本大震災の影響を受けましてかなりその生産・販売に対して影響があったという状況が続いております。

    これはセカンドハーフに参りましてかなり影響は和らいでまいりますけれども、当初ですね、4月5月の段階ではいつごろ回復するのか全く先が見えないという状況もあったかのように聞いております。また一部の輸入部品の不足が売上に影響してですね、我々も大手の量販店の皆さんとお話をする際に、いつになったらどれぐらい商品が戻ってくるという確約をするのが中々難しいという状況の中で、まあ韓国勢、中国勢との戦いに非常に不利な展開が若干ありました。

    また、後で詳しくご説明申し上げますけれども、流通の寡占化、これが欧米・日本にとどまらずにですね、ここでもものすごい勢いで進んでおります。まあこういうところとどうやって、うまく売上を伸ばしながらですね、なおかつ彼等の依存率をあまり上げないようにしていくかというところが今回のお話のテーマの一つとして持ち上げたいと思います。

    売上の実績と評価に関しましてですけれども、下のグラフを見ながらご説明申し上げたいと思います。まず販売実績ですけれども、まあ色々申し上げながらもですね、このブラジルの好景気に支えられて売上は結構伸びたというところが多くあります。その一方ですね、人員の変化なんですけれども、ちょっとこの矢印の指しているところが違ってこっちの方なんですけれども、人員の変化に関してはあまりその増加というふうには至っておりません。

    現状維持もしくは若干増というところでですね、今の景気に乗っかって大幅増というところまでは中々行っていないと。皆さんやはり慎重に考えておられる部分が多いかと思います。それから拡大投資、投資に関してもですね、まだ現状維持というところで、中々これはあの、ブラジルのマーケット自体が日本から遠いものですから、また税制も複雑でですね、色々と説明を要するものですから、まあよく分からないからちょっと様子を見ようかというところが実際は多いのではないかというふうに考えております。

    まあこのような状況の中でですね、売上と評価に戻りますと、好業績を残した企業とそうでない企業の二つに分かれております。前半好業績を残せた企業の方としましては、まあ基本的に消費全体が好調であったと。それからやはり営業活動をですね、かなり強化をして、変化していく販路に対して積極果敢に好条件を出していって取り込んだというところが売上を伸ばしていると思います。

    それからあの、これはおそらくシステム系のところですけれども、ソリューションビジネス、いわゆるターンキーと言いますか、商品だけもしくは機械だけを売って終りじゃなくて、それをどうやって運用・メンテナンスしていくかというところのそのソリューションビジネスに入っていって、商品の販売以降に色々その付随する契約をもって収益率を上げていったという頼もしい例も何件かレポートされております。

    また他社との協業等というところで、これは、一社でやっぱりやっておりますと中々その、買い叩かれますので、やはりコンソーシアムを組んで、例えば球場全体をオペレーションするようなアライアンスを組むと。ソニーの例でいいますと、古河電工さんなんかと色々とそのアライアンスの話をさせていただいておりますけれども、まあそういうやり方があるんじゃないかなということが好業績につながっているという原因になっていると思います。

    一方で業績に中々その苦労したというところはですね、やはり固定費がもう上昇して止まらないと、それから地震の影響もあって売上が下がったというそのダブルパンチで、結果的にそのフィックスコストが高騰してですね、事業自体見直しをせざるを得なかったというところがあったかと思います。

    それからあの、やはり、寡占化が進んでおりますので、マーケット全体の中でのその価格競争、特に韓国勢等ですね、価格競争に打ち勝たなければいけないものですから、売上は上がっているんだけれども収益性がいまいち追いつかないというところで、下手をすると売上だけ伸びてあまり魅力のないマーケットにしてしまう可能性がありますので、日本企業としましてはそこのところでですね、きちんとその収益性を確保できる売り方というものを考えていかないと付加価値がつかないというふうな理解をしております。

    我々の業界は一般のお客さんを相手にしている場合が多いものでございますから、いわゆるそのCクラスといいますか、新しい購買力をつけている層がどういうふうに伸びていくのかというのが非常に気になるところでございます。

    これは所得階層別に、左は世帯収入の伸び率を比較したものとですね、それから我々のAV・IT家電、オーディオビジュアル、ITですね、この業界におけるそのCクラス、もしくは所得階層別に占める売上の比率を、まあこういうデータがあること自体非常に私はブラジルというのは優秀な国だと思うんですけども、見た場合にですね、この黄色いところ、これがいわゆるCクラスというところでございます。

    この人口が約1億人おりまして、どんどん伸びていると。DクラスからCクラスに入ってくる人、それからCクラスの中でもC1、C2という比較的その所得の高い、月の収入でいきますと3000ドル近辺のところにいる人たち、こういう人たちが今非常に購買力をつけているということでございます。

    でこの人たちが今すでに全体の3分の1近くを占めているんですけれども、さらにですね、これがどんどん伸びていくということが予測されておりますし、この方々というのはですね、いわゆるAクラスと違いまして、一旦買って壊れたり、使い勝手が悪かったら困っちゃうんですね。ということでですね、ある意味ステータスシンボル的に信頼できるブランドのもの、それからサービス体制が整っているもの、それから持っていて人から羨ましがられるもの、こういうものに興味をお持ちの方が多いようです。

    ということで我々もですね、AクラスBクラスに関してはもう積極果敢な攻撃を仕掛けてきましたけれども、やはりCクラスの中でステータスシンボルとして我々の商品を買っていただけるお客さんに焦点を定めて利益のあるビジネスをしていくというところがある一方で、韓国勢はここをかなり戦略的に抑えておりますので、そこからそのAクラス、Bクラスに上がってくるんですね。

    で韓国メーカーはどんどんブランドイメージを上げていってAクラスを狙って行く中で、日本メーカーがCクラスを狙っていっていいんだろうかというそのパラドックスがありますけれども、そこはそこできちんと見極めながらですね、1億人いるという市場はこれは、単なる一億人全部同じ人じゃありませんので、その中でどうセグメントをつけてですね、我々が収益性もそれから売上の伸びも期待できるセグメントを狙っていくかというところがこれからの戦略戦術の見せ所だと思っております。

    ここから先はちょっと、門外不出のデータをまとめて出しておりますので、ちょっと後でノイズが出るかもしれませんけれども、あえて家電、電気電子の方でですね、まあデータというのは基本的に開示してこそ付加価値を産むものであって、まあ研究開発等のデータ以外はですね、これはむしろ共有して議論した方がいいんじゃないかという姿勢でですね、いろんなデータを開示しています。

    これはマナウスで作りました、作っておりますその電子機器類とですね、それからカンピーナスとかサンパウロを含めた品物を作っているもののデータを全て集めたものです。

    ちょっとあの、大きな誤解がありましてですね、この一番下のところのこの白物ですけども、これは年間の1月から6月までの生産の台数ベースの数字ですけれども、6ヶ月で2000台しか電子レンジを作っていないわけがありませんで、これは1000台の、単位が、ここは実数ベース、こっちは1000台単位でご理解をいただきたいと思います。

    ということで、電子レンジで行きますと200万台、去年作りましたと。今年の1月-6月同時期では193万台作りましたと、こういう理解をしていただきたいと思います。そういう訂正を踏まえてですね、ちょっとご説明申し上げますと、まず電気電子のところの家電製品ですね、いわゆるホームオーディオ、日本でいうそのステレオシステムというところですけれども、これはほとんど伸びていないというのが実態なんですが、一方でこのカテゴリーというのは全世界で今ものすごい勢いで縮小しております。

    もう年間15%、20%縮小しているのは当たり前というところでございまして、むしろ台数ベースでもって維持しているというのは非常にこの頼もしい状況ですし、半年間で5000万台作っているというのはかなり大きなマーケットで、弊社にとりましてもブラジルというのは世界でも1位2位を争う大きなマーケットになっております。

    それから小さめのオーディオシステム、これはまだ、まあ格好はいいんですけれども非常に音のボリュームが小さいものですからブラジル向けの商品としてはまだ一つ成熟していないと。それからホームシアターですね、これは、まあ液晶テレビがどんどん伸びているんですけれども、それに加えてですね、もうちょっと映画館と同じような音で楽しみたいというお客様がいますので、平均単価は下がっておりますけれども、比較的マーケットとしては大きく成長しております。

    ということでオーディオ全般としましては16%増。それからカーオーディオに至りましては、先程中西さんからのお話もありましたけれども、車の販売が伸びておりますので、それに見合ってですね。こちらの車は純正の部品、純正のカーステが少ないものですから、まだまだ穴があいていると、その穴を狙って今商売を進めているところでございます。

    ブラウン管テレビは大幅に削減されましてですね、全体で64%減。それを補う液晶テレビがどんどん伸びているということで、23%増と。これはあの、23%しか伸びてないのという見方もあるんですけれども、去年はワールドカップがございました。

    ワールドカップ向けの商材というのは全て6月までに生産を完了しております。去年はばんばんばんばんエアーで送ってですね、空輸しないと間に合わないというその、素晴らしい商売をさせていただきましたけれども、それを上回る23%増というのがこの素晴らしいマーケットだと思っております。

    ということでテレビ全体としましては6ヶ月間で440万台ということですけれども、大幅に薄型テレビに移行しているという状況がご理解いただけると思います。DVDのマーケットもですね、比較的大きな台数を作っておりますけれども、Blue-Rayと併せてですね、全体で27%増というふうになっております。Blue-Rayもようやく画質の高精彩さに理解を示していただいてですね、ようやく全体の10%ぐらいになってまいりました。

    これはしばらく、導入してからしばらくはですね、数%、2%、3%の数字で推移しておりましたので、そういう意味では非常に大きな成長が期待されるというところでございます。ぜひ皆さんもBlue-Rayをお買いいただきたいと思っております。

    その後ですね、ビデオカメラ、これはいわゆるカムコーダーという部分ですね、これはわずか4万5000台。これは若干増えておりますけれどもまだまだマーケットは小さいところなんですけども、Digital Still Cameraに関しましてはこれは非常に世界でも有数のマーケットに育っております。

    最近のデジタルカメラというのは動画も記録できましてですね、よく皆さんコンサートなんかに行かれますと、こうやって手を伸ばしてですね、写真を撮っている姿があると思いますけれども、撮った後もカメラを下ろしていない方々、この方々は動画を撮っているんですね。

    日本でデジカメを持ち込んでこんなことをやっているとすぐに没収されるんですけれども、この国はまだ撮っておれるのでまあここは非常に良いマーケットかなということで我々も一生懸命販売しておりまして、今弊社にとりましてはデジカメというのは世界で3番目の大きなマーケットになっております。ということでカメラ全体で40%の増となっております。

    その下ですね、先程も申しました1000台単位で表示してありますけれども、マイクロウェーブオーブン、電子レンジですね、これが若干下がって参りまして、まあ過程普及率が上がってきたんだと思いますけれども、ほぼまあ一周したと。

    それに対して、新しい機能をつけました洗濯機、それから冷蔵庫ですね、これはまだ25%、8%の台数ベースの伸びで増えておりますけれども、今回パナソニックさんが作られた新しいその家電工場というのもですね、かなり高機能で付加価値の高い商品を作られているということですので、やはり日本メーカーというのはそういう、そのブランドイメージに合ったしっかりしたものを作る一方でですね、CクラスDクラスに向けても比較的求めやすい商品を買っていただくという、その自分達の立ち位置というものをしっかりと理解しながら売っていかないとですね、単なる韓国勢の後追いになってはいけないというふうに考えております。

    で先程小西社長の方からですね、いわゆるその個人の遅延、まあ支払いといいますか、クレジットに対する支払いが遅れているというデータがございましたけども、我々も家電業界の中でですね、かなりここのところは懸念を持っております。

    これはIBGEという、まあTendenciasという特別なデータを取っているところと契約をしまして色々細かく見ているんですけども、こと我々の業界におけるデフォルトに関しましてはですね、今までずっと14~5%で推移していたものが、この最近、直近ですね、6月後半から7月にかけてどうも支払いが滞っている人が22%近くいるようだと。

    これはあの、この後で借り替え等ですね、こっちの電気屋さんというのは基本的に電気屋さんでなくてですね、高利貸しがたまたま電気製品を扱っているということが実態なので、返せなくなったらその商品を取り上げるんじゃなくて、またその返しやすいようなパッケージを組んでさらに買ってもらうというその、追い貸しをする人たちが多いものですから、中々これが実態が掴めないのが事実でございます。

    まあそういう中でこの、率が上がりながらもですね、なおかつ売上が伸びているというところで、我々もちょっとその、薄氷を踏む思いで進んでいる部分が若干ございます。ということを申し上げて、いわゆる、今度は後半戦ですね。下期の展望というところに話を移して行きたいと思います。

    全体的な市況でございますけれども、レアル高ドル安による輸入品で例えば中国製、もしくは韓国製、韓国ウォンというのは非常にやっぱりまだ安いものですから、この辺の部材とか中国製の製品が大量に流れ込んでくる恐れがあるというふうに懸念を持っています。

    中国メーカーも、先程中西社長のお話にありましたその、自動車だけじゃなくてですね、だんだんやはりその家電の方にも進出してくることが懸念されております。あとやはり加熱するインフレ経済下でございますので、まあ消費の拡大はいいんですけれども、取りっぱぐれにならないようにですね、しっかりとそのディーラーさんとの与信というものを見直していく必要があるだろうと。

    それから高金利政策が続いて、今実勢のですね、いわゆるその消費者が量販店からものを買ったときの年間の金利というのは35%から45%ぐらいと想定されております。まあとんでもない金利でございます。こういう金利を払って買っていたお客さんが、海外に行ってですね、例えばプレイステーションですとか、デジカメとかそういうものを見るとですね、何でこんなに安いんだろうというふうに思うのは当然であります。

    ということで今、マイアミとかダラスから帰ってくるブラジル人のお客さんというのは、マトリョーシカというロシアの人形をご存知だと思いますけど、開けても開けても中から人形が出てくるということと同じで、マトリョーシカ・ラゲッジというんですかね、大きな鞄の中に小さい鞄を入れて、小さい鞄の中にまたショルダーバッグが入っているというふうに一つの鞄の中に三つぐらい鞄を隠し持ってですね、帰ってくる時はもうとんでもない量の荷物を持ち帰るということが今大変流行っています。

    特に2010年度ですね、2009年度に比べましてパスポートの発行数が34%増加しておりますので、ますます海外から持ち込んでくることも多いと思うんですね。そういう中でお客さんに対してですね、ちゃんと中で税金を払って買うことのメリットも感じていただかなきゃいけないと。それに対してはどういうそのサービスとか、メンテナンスをすればいいんだというところが我々の一つの挑戦でございます。

    それから下期の販売予測ですけれども、先程申しましたように、震災の影響、これはもうほとんどないと思っております。これはあの、まあ驚くべき復興のスピードでありまして、まあ実際にその復興はしてないんですけれども、ソーシングを変えたりとかですね、他の工場で作ってもらったり、でそのところから資材を仕入れてということで補っていると。その補いがほぼ完了したといっても差し支えないかと思います。

    それから新製品の投入や販売対策の建て直しを実施して販売増を予想するというところで、各社ですね、やはり販売に対する投資というのはかなり手厚く人員も配置していくというふうに考えております。

    それから、積極的な拡売策を実施して市場の再活性化に向けて下期挽回を見込むと。これは先程申しました中々その前半苦労した企業の方々ですけれども、やはりその、本社からのプレッシャーが非常に強いんですね。今ブラジルはBoomingエコノミーといわれていますので、全体的に良いみたいだけどお前のところどうして下がっているのという非常に強いプレッシャーを感じて、もう本当に休む暇ないと、東京からの出張者がやんや来るというような状況になっておられるようです。

    サッカーのワールドカップが2014年に開かれますけれども、それに向けてですね、いわゆる地デジ関連のビジネスを含む、まあインフラが計画通りに進むことを予測してですね、我々も新しい提案というのを政府にしていくべきだと思っております。

    まあ地デジというのは、あくまでその、アナログ信号が2016年に停波されますので、その後にですね、より短い帯域を有効に使おうということだけでございまして、これ自体は決してその、画質が良くなるわけでもないし、他の新しいアプリケーションというものを一緒に組み合わせてなんぼの世界なものですから、まあ地デジみたいな機能を利用しながらですね、副放送というんでしょうか、補完的な放送を行うとか、もしくはその、ジンガといいますけれども、いわゆるそのメタデータをくっつけてですね、これを教育に活用しようとか、色々な試みを考えております。まあそういうその提案型のビジネスを日本企業の方から持っていきたいと思っております。

    ということで、下期の販売予測は全体に比べて約60%が拡大というところですけども、若干縮小するというふうな危惧を持っておられるメーカーの方もおられます。で経営課題としましては、先程申し上げたその、コストがやはり上がっておりますので、売上が上がるのに比べてですね、コストが上がらないように、まあうまくバランスをとるというそのコストダウンと、人材の確保と育成。その中での営業力の強化。

    それからあの、今までは欧米で作ったものをブラジルに持ってきて売るというパターンの会社が多かったんですけども、やはりここに来て市場のニーズにマッチした商品作りをしていかないとやはり韓国勢や中国勢と値段で負けていくのではやっていられないということがございます。

    あとは取扱い製品の開発強化ですね。これは、やはりブラジルはものを作っておりますので、せっかくエンジニアを置いて作る以上はこちらから本社に対する提案をしていかないといけないということを話し合っているところでございます。まあIT等の設備投資をしていくこと。新規販路を開拓していく。

    特にここはEコマースがですね、我々の業界でも非常によく伸びておりまして、他の国と比べても遜色ないと。欧米と比べてもその売上の比率としては非常に高いEコマースの商売の実態がございます。まあこういうところで売りやすい商品をですね、どんどん開発して売っていこうというのが今回の趣旨でございます。

    ここから二つほどですね、物議をかもすかもしれない議題に触れたいと思います。一つは小売業界の合従連衡ということでございます。今まではですね、他の国に比べますと、まあ地方の中小量販チェーンといいますか小売店チェーンが群雄割拠しておりまして、日本の戦国時代のような様相を呈しておりました。

    これは依存率を分散する意味でもですね、非常に利益の取れるおいしい商売をしていたんですけれども、2009年の後半からまあ昨今にかけてですね、ものすごい勢いで合従連衡が進んでおります。ここに映っておりますこういうブランドがですね、一緒になって一つの法人を作りまして、これが全部で約890店舗、売上高約7.2ビリオンレアルということで、全体のAV・IT市場の12%程度を占めるというふうにご理解いただきたいと思います。

    Pao de Acucarグループが合併しましたCasasBahia、PontoFrio、その他CBD、Extraですね、こういうところが何と45%を一社で占めると、1300店舗まで持っていくというとてつもない売上規模を誇ってまいります。MagazineLuizaが今度MaiaとBauを合併しまして750店舗、約10%。まあこの辺になってきますとほとんどアメリカのBestBuyとかドイツのMediaMarktですとか、日本のヤマダですね、こういった規模の量販店と同じ寡占状況になってきます。

    こうなるとメーカーというのは非常に弱いもので、このまま依存率を持っていくと、もうCasasBahiaとかPao de Acucarからいらないと言われたら基本的には商売は成り立たないというふうになってまいります。

    まあ弊社の場合を例にとりますと、この半分以下で何とか依存率を抑えておりますけれども、やはりこれから彼等がどんどん伸びていくとですね、どんどん依存率が高まってしまうということで、彼等の買い取る量に対して評価をするんではなくて、買い取った後一体彼等が何をしてくれるんだというところに、その、彼等に対するリーダーマージンの価値をですね、見出していくような。買い付け量よりも、彼等がお客さんにしてくれるサービスの内容ですとか、商品の説明ですとか、展示ですとか、そういうその質的な変化に対してきちっと取り組んでいくような、プログラムを作り変えていくというようなことをしていかないとですね、大きなマーケットで全く儲からないというふうなマーケットに成り下がってしまいます。

    この辺りがやはりその、60年から100年かけてですね、色々辛酸をなめてきた日本メーカーの成すべきミッションかなと考えている一方で、韓国メーカー等はですね、これはもうとにかくジャブジャブとお金をつけてですね、とにかく要求されるものは全部出すと。それ以上に出すということで、まああの、札っぴらで顔をひっぱたくという話がありますけれども、それに近いようなまあ攻め方をしております。

    まあそれが良い悪いは別としてですね、そういうことをするメーカーに対して勝って行かなきゃいけないということがありますので、我々としても色々な仕掛けをしていきたいと思っております。その、若干、内容ですけれども、過度の価格競争に対してですね、やはりその、取引法人の分散化というのをやっております。これは、直営店を持つこともありますし、先程申し上げたEコマースで効率よく商売をしていくということも考えられると思います。マージン要求の激化に対してはやはり量から質への取引条件の見直しをしていくというところですね。

    それから、激安自社ブランド製品の導入。これはアメリカ東部のですね、BestBuyが自社ブランドを導入したりするんですけれども、結局やはり彼等は量販店に過ぎませんので、いわゆる本当の意味での商品開発というのはできなくてですね、実際撤退しているケースがほとんどでございます。まあこういう無駄な抵抗はやめてですね、ちゃんとしたブランド物をしっかり売っていただくというところに早く気がついていただくための、その、仕掛けをですね、ディーラーなどを含めてやっていかなきゃと思っております。

    それから、収益性を補完できるサービス事業の開発とありますけれども、現在BestBuyの売上というのはとんでもない金額を誇っておりますけれども、実際のその収益性という面から見るとサービスからの収益がほとんどでございます。家電製品を売って上がる収益というのは全て固定費の回収に使われてしまっております。

    まあそういうことを考えてですね、ディーラーさんにもある程度そのサービス収入というものをちゃんと取っていただく、我々もそれに沿ってですね、商品の販売以外にですね、メンテナンスサービスをしたりとか、新しい接続の可能性を提案したりとかいうことで、新しい収益源となる事業を展開していきたいということで、弊社の例でいきますと、その、プレイステーションネットワークというものを全世界で1億人以上のお客さんを作ってやっていますけども、まあハッカーにやられてですね、大変なご迷惑をかけたりとかするわけですね。

    新しい事業というのはそれなりにリスクを伴いますので、積極果敢にですね、勇気をもって取り組んでやっていくという中でいろんな勉強をしていくんだろうというふうに考えております。

    それからあの、ここは非常にセンシティブな部分なんですけれども、家電の製造事業環境と変化の展望というところで、今環境が大きく変わっております。今、ゾナ・フランカ、マナウスのですね、そのいわゆるフリーゾーンで我々家電事業というのは白物とコンピューター以外は展開しておりますけれども、ここは元々その、辺境開発といいますか、アマゾナス州の辺境を開発して、まあその麻薬カルテルとかですね、それから外部からの侵入に対して守るという、その、軍事施設をですね、国境警備部隊を支援していくような経済活動を根付かせるというような趣旨が元々あったと思います。

    同時にこれは昔天然ゴムの産業が、欧米の産業がいっぱいあったところですので、これをテイクオーバーするという部分もあったと思いますけれども、まあ70年近辺にですね、いろんなその軍事政権下でできた構想ですので、まあ当時アマゾンの奥でですね、家電製品を作って海外に輸出して利益を出すようなそういう国際競争力を持たせるような仕組みというのはほとんどなかったというふうに認識をしております。

    まあちなみに今サンパウロからマナウスというのは直行距離で2700キロ、実際のその海路とか陸路を使いますと4000キロございます。4000キロ離れたところでですね、ものを作って持ってくるというのはですね、これはもうほとんど、例えば日本のマーケットに対してまあ中国の奥地とかですね、それからモンゴルでものを作って持ってくるようなものですから、全くその意味をなさないわけですね。ここら辺のその経済原理というものがこれからどういうふうになっていくのかというのが一つの課題かと思います。

    まあそうは言いながらもですね、最近はその、環境保護、それからその、原住民のですね、生活権利と、先住権というものも重視されておりますので中々業界だけでですね、どうこうできる問題ではございません。また家電、空調機、バイク、化学品等に税の特恵が沢山供与されておりますので、この税の恩典を全部なげうってですね、本当にサンパウロに来て商売になるかというと今の時点ではならないのが実際です。

    まあそういうことで、色々あるんですけども、簡単にまとめますと、経済合理性がないところで本当に作りつづけていいんだろうかと。それからITとの境界線というのがこれがどんどんなくなってきますので、マナウス以外で作っていいIT製品と一般の家電製品との境界をどこに設けるんだという非常にその曖昧な部分が出てまいります。

    それから、下に出ておりますけれども大規模投資の案件が次々とサンパウロとかミナス・ジェライスで出てきてますので、そういうその案件をですね、指をくわえて見ていていいのかというところがこれからの政府の悩みどころだと思います。ということで変化点を三つほど挙げさせていただきました。

    まず一つはですね、この急成長期にアマゾンのインフラが全然その成長をサポートしていないという実態がございます。これは、市場に対するアクセスの遠さ、それからその、陸路で持ってくる場合の治安の悪さ。先週も私どものトラックが襲われて、警備にあたっていた人間とその銃撃されましてですね、二人ほど今負傷して病院に入っておりますけれども、そういう件が去年だけで19件ございます。ソニーの19件というのはサムスン、LGの半分以下でございます。それほど大きな治安問題に発展している中でですね、運送しておりますので、非常に厄介な治安状況だと思います。

    賃金・物流費の高騰も中々、ここで得た利益をですね、回収できないという状況にもなっていく理由だと思っています。それから、他の州からするとアマゾナス州だけが非常に大きな恩典を与える機会を独占しているのはおかしいんじゃないかということで、ずいぶん物議をかもしたんですけれども、今のところ法律上は2023年までこの税特権をマナウスが独占するということが法律上確約されているようです。

    変化点2番目としましてですね、サンパウロ州を中心とする大規模投資案件、これは皆さんご存知の通りFoxconnという組み立ての会社がですね、何と12ビリオンダラーですから約1兆円ですよね、1兆円近くを投資して従業員10万人、それから、ここ140万人と書いてありますがこれはちょっと間違いで、実際40万人ですね、40万人の人が暮すような大きなインテリジェント・シティーを作ってあげるよと。

    それに向けてマナウスだけじゃなくて、マナウスと同じような特恵をですね、特恵税制をサンパウロ周辺でも出してくださいという交渉を今しております。テリー・ゴウという会長がFoxconnにおりますけども、テリー・ゴウさんに聞きましたら、元々7月に来る予定だったのが今9月の下旬にですね、ブラジルを訪問して、ジルマ大統領ともう直に交渉すると、非常に意気込んでおります。

    まああの、こういう業界の人たちを敵に回すのではなくてですね、彼等の交渉力にうまく入り込んでいってですね、隙があれば一緒にそういう条件を取って、マナウスでのその製造事業をやりながらですね、それ以外の新しいところでも投資をしていくというふうな戦略をとりたいと思っております。

    変化点の3番目ですけれども、上で申しました通りですね、いわゆるその家電製品の進化とIT化ではですね、いわゆるコンピューターと家電の境というのをどんどん今減らしていっていると思います。まあ各社で売り出しておりますインターネットテレビ、これはパソコンなのか、もしくはパソコンの機能をもったテレビなのか、もしくはテレビの画面をもったパソコンなのかと。まあ非常に難しい問題でございます。

    それからPCモニター。よくモニターありますよね。モニターにUSBのジャックがたくさんついていますけれども、ここに地デジとかデジタルチューナーを差すとですね、これはテレビになるんですね。それにまたコンテンツを乗っけたものを差しますとこれはビデオになるんですね。でそういうものを本当にマナウスで作っていては儲からないので、サンパウロで作っている人たちだけが特恵を得ていいんだろうかということがございます。

    それからカーステレオもですね、今はDVDが搭載されているものですとか、それからGPS機能で自分がどこにいるかというのが分かるような機能もありますけれども、これもいずれインターネットとの接続可能性がどんどん高まってきますので、車の中でインターネットを楽しむということが可能になってまいります。

    もしくはiPodの商品というのは元々家電製品ではなくてパソコンではないのかということもありますので、この辺の境界線が下がってくるというような大きな変化点が三つ出てまいりました。そういう中で今のところ政府はですね、それは全部マナウスでやってくださいということを言い切れずに、まあじりじりとサンパウロでの条件を小出しにしているというところで、今水面下でですね、色々な交渉が進んでいると思います。

    まあそういう中で我々はブラジルの製造業を担うメーカーとして、さらにマナウスでの投資を加速するのか、それともここでサンパウロの生産にかけるのか、この大きな分かれ目に来ているというところが現状でございます。以上駆け足で早口で大変恐縮でございますけれども、また後ほどですね、懇親会等の場を利用してご質問等ありましたらお話させていただきたいと思います。ありがとうございました。

    司会:
    筒井さんどうも、内容の濃いかつ分かりやすいご説明ありがとうございました。何かご質問ありますでしょうか。そうしましたら前半部分最後になりますけども、機械金属部会、西岡部会長よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 機械金属部会   西岡信之 部会長

    機械金属部会

    今年から機械金属部会の部会長を仰せつかりました西岡と申します。えー、三菱重工の西岡でございまして、前任者は日立の西岡が非常に名物男だったんですけど、私はきわめて地味な人間ですので、よろしくお願いいたします。

    それでは2011年上期の回顧と、それから下期の展望ということで、一応今年の前半に従ってですね、各業種別に分けてご報告をしたいと思います。一応鋼板、鉄鋼ですね、それから電力および社会インフラ、プラント機器、建設機械、それから産業用の圧縮機、農業機械、各種工具・計測機器、潤滑油と。一応この8項目に分けてご説明をいたします。

    まず鉄鋼ですけれども、上期につきましては国内粗鋼生産量が第1クォーターで前年同期比6.2%増、量にして50万トン増えたと。第2クォーターが前年同期比9.9%増、約80万トン増えたということで、上期全体としては前年同期比8.2%伸びました。

    したがってまあ上期としてはですね、在庫調整が一段落して需要が底固いという見方をしています。その中で輸出につきましては第1クォーターで280万トン、前年同期比で30%を超える増加がございました。

    まあこれは特殊要因で、CSAのスラブ製鉄所が本格稼動いたしまして、北米向けのスラブ、半製品の輸出が増加したという要因です。問題は輸入でございまして、昨年の、特に後半ですね、月間40万トンから50万トンというすさまじい量が輸入されたわけですが、これは上期になってだいぶ減りまして、月間20万トンのレベルまで減少をしております。

    続いて下期ですけども、下期の展望につきましては、国内粗鋼生産、これは今年の全体として3940万トンという予測を立てております。これは去年が過去最高で3293万トンでございましたので、これを大きく更新する見込みです。

    輸出につきましては、スラブ、半製品の輸出は上期に続きまして引き続き高水準で推移するものと考えています。ただ鋼板の製品類ですね、これは先程からちょっと問題になっておりますレアル高の影響で減少するだろうと見ています。

    ただ輸入につきましては、上期の月間20万トンのレベルで今後も推移するという見込みでございます。であの、鉄鋼の中で、まあここの数字に出てこない、非常に問題というか影響が大きいのが、鋼材二次加工製品という形で輸入が増加していると。

    まあつまり鉄という形ではなくて部品という形で鉄が入ってきていると。これが今、今年の予測で450万トンから510万トン程度と。ですからまあ、製鉄所二ヶ所分ぐらいの量で輸入される見込みですので、この辺の影響が非常に大きいというふうに考えています。

    それでは引続き、2番目の電力と社会インフラでございます。上期の回顧といたしましては、まずペトロブラスの大型投資、これはまあよく皆さんご存知だと思いますけれども、これが継続されていますので、まあ経済の牽引役・原動力として大きな波及効果があると。

    ただ、この大型投資の中身を見ますとプレサルの上流部門に偏っておりまして、まあFPSO等の生産部門という意味では好調ですけれども、下流の方のプラント機器とうへの投資がまだ大きく出ていないという状態でございます。それから電力につきましては、一応A-3オークションが今年実施されまして、すでにもう発表になっております。まあ一応そういう意味では、電力の開発という意味で進んでいるんですけれども、過去のオークションで落札した発電設備というのが中々実際に建設されないという遅れが深刻になってきております。

    それから、まあPAC2なんかにあります大型プロジェクト、これがまあ次々と入札が行われているわけですけれども、例えば高速鉄道は7月に入札となりまして、今後スキームを変更するというようなまあ色々問題は出ていると。

    で下期の展望でございますけれども、まずペトロブラスの大型投資。これは若干見直されましたけれども、引き続き国内経済の牽引役としてまあ大きな期待がされると。それからFPSOの商談等も継続される見込みでございます。

    で、先程申し上げましたA-3の電力オークションは先週発表になりまして、これはペトロブラスとMPXが落札をしております。あの、A-5の方ですね。で年末あるいは来年の初めにA-5の電力オークションが発表されるという見込みでございます。

    それから高速鉄道につきましては、上下分離、機械ものと土木の分離という形での入札が一応年内に、まあ年末ぐらいになると思いますけども、に発照されるということで政府から話がされております。その他の地下鉄、モノレールなんかのまあ都市交通、それから道路、空港拡張、まあこういった社会インフラ関係もおそらく下期には発注されていくだろうというふうに見ております。

    続いて紙パルプ、それから石油化学、エタノール等のプラント機器でございますが、上期につきまして、まず紙パルプ業界。ここは設備投資が回復しまして、大型ソーダ回収ボイラ、それからバイオマスボイラ、こういったところの発注が出ております。

    それから石油化学業界につきましては、まあ好調な業績に支えられまして、かなり意欲的に設備投資を行っておりますけども、大型案件が中々、一度入札にかかっても繰り延べとかまあそんなケースが多々出ております。それから鉄鋼・非鉄業界でございますけれども、ValeのAlpa製鉄所等の設備投資が計画されました。エタノール業界につきましては、業界再編が進んでいる状況で、中々具体的な設備投資は出てきていないというのが上期の状態でした。

    続いて下期でございますが、紙パルプ業界につきましては、まあ業界としては復活しつつあると。ただまあ、上期で大体出たものが下期にその勢いで出来るとはちょっと思えませんで、まあちょっと下期では大型商談は出ないかなという状況です。

    それから石油化学業界につきましては、ペトロブラスの案件としてペトコーク焚ボイラとか、あるいは舶用機械とかこういったところが色々出てくるだろうというふうに期待します。鉄鋼非鉄業界につきましては、新規製鉄所以外での大型投資というのは中々期待薄なんですけども、まあ一部にコスト低減のためのパーク投資というのも期待できるというふうに見ています。それからエタノール業界につきましては、これは再編が進展中なので、まあ中々先行きが見通せないという状況でございます。

    続いて建設機械でございますけれども、上期につきましては、ブラジル全体の需要として第1クォーターで2782台、これが前年同期比で21%増。第2クォーターが3052台で前年同期比2%増と。まあ先程から話に出ていますように、ジウマ政権のインフレ抑制のための金融引締めによりまして、第1クォーターの大きな伸びが第2クォーターで鈍ってきたという状況でございました。

    下期につきましては、今年の年間総需要台数11万7千台と見ておりまして、前年比でまあ8%の伸びと。今後金融引締めが継続されるという見込みでございますので、下期の伸びは5%程度で、当初今年の初めぐらいには10%ぐらい伸びるかなと見ていたものが、やっぱりトータルでまあ8%ということで、その年初の予測は下回るという見込みでございます。

    産業用圧縮機につきましては、まず上期でございますが、食品業界向けは上期で前年同期比10%伸びました。これはまあビール、清涼飲料水等の飲料業界の設備投資が堅調だったということ。

    一方牛肉、豚肉産業の伸びというのは昨年よりはあまりなくて横ばいの状態。それから鶏肉産業につきましても国内・輸出ともにまあ堅調といいますか、大体同じような調子できていると。それからペトケミ業界につきましては上期の伸びは無かったということで、まあ先程のペトロブラスのプレサル案件ですね、これで少し話が実際に動き出したかなぐらいの感じでございました。

    まあ陸上プラントが少し出てきたというのが上期の状況でございました。で下期につきましては、食品業界につきましては下期は前年比、まあ伸びがないという見方をしています。これはまあ、飲料業界では各社共に設備投資がほぼ一巡したという影響でございます。

    それから、BRFの完全一社化によりまして鶏肉業界の再編が起きるものというふうに予測をしています。で、まあ欧州メーカーが非常に安いユーロを武器にプラント市場に進出してくる可能性がございまして、まあこれが一つの脅威になっていると。それからペトケミ業界につきましても、下期はまあ前年と同じということで、まあプレサル案件が本格化してくると思いますけども、それ以外のまあケミカル業界の動きが鈍いということで、ほとんど伸びがないという見方をしております。

    それから次に小型ディーゼルエンジンを含みます農業機械でございますけれども、まず上期につきましてはエンジンビジネスそのものが上期で19%の落ち込みがございました。これは米作用産業機器向けの多気筒エンジンと単気筒エンジンの販売が大きく落ち込んだ影響でございます。

    トラクターにつきましては、上期でやはり17%の落ち込みということで、これは小規模の農家を支援するマイス・アリメントスという、まあ75馬力以下のトラクターに対する低金利融資が、これによって昨年までは小型トラクターが非常に売れていたわけですけども、これがまあ一巡して、上期はかなり落ち込んだということでございます。

    で下期につきましては、まずエンジンにつきましては、下期は上期よりも若干は回復するのではないかと期待しておりまして、これはまあ発電機セットのレンタル会社等からの発注が踊り場を迎えるものの、上期よりは回復するだろうと。ただまあ安い中国製のエンジンの流入というのがあって、少しこの辺が心配点というところです。

    トラクタービジネスにつきましては、7月から先程の低金利融資政策に代わるものとして新しい融資政策が導入されておりますけれども、なんと言ってもまあ一応トラクターが一巡しているということもありまして、まあ下期の販売は上期並みかなという予測でございます。

    続きまして切削工具を含みます各種工具、それから計測機器でございますけれども、まず上期の切削工具ですが、市場としては好調だったんですが、先程ちょっと電気の方で話に出ました、日本の工場がやっぱり震災被害を受けたメーカーがございまして、ここでは供給不足でシェアが落としてしまったと。まあ被害がなかったメーカーでは販売は好調でございました。

    それから精密切削工具につきましては、国内需要それから、まあここからアメリカ向けに輸出をされているんですけれども、両方とも好調で販売は前年同期比10%増ということで、ブラジルでの生産体制を強化しつつございます。

    それから計測機器につきましては、販売はプラス23%ということで、特に教育機関向けと輸出が好調でございました。で下期につきましては、まず切削工具は市場としてはまあ伸びておりまして、日本側の工場の震災被害も回復しますので、一応前年同期比で15~20%の増加を期待しております。

    ただ原材料のタングステンの原料供給不安というのがございまして、この辺が影響する可能性がございます。精密切削工具につきましては、生産数量は過去最高となる見込みで、売上は前年同期比8%増を予想しております。

    計測機器につきましては、日系企業それから中韓メーカー等が工場をかなり建設中でございますので、こういったところに売り込みをするということでかなり伸びるというふうに見ております。

    次に潤滑油と金属加工油でございますが、上期につきましてはまず潤滑油は市場全体としては前年同期比5%の堅調な伸びをしたと。ただまあ、ベースオイル、ペトロブラスが供給しているベースオイルが不足をして、各社が輸入するような状況になっていると。それから金属加工油につきましては前年同期比5%増ということで、ここでもやはり第1クォーターはプラス6%だったんですけれども、第2クォーターでその伸びが鈍化していったという状況でございました。

    下期につきましては、潤滑油はエンジンオイル、それから工業用の潤滑油等、まあこれらが引続き堅調な伸びをするだろうと見ております金属加工油につきましては、下期、前年同期比で5ないし6%。まあ上期同様の伸びということを期待しておりますけども、まあ下振れする可能性があるというところでございます。

    以上でそれぞれの分野別にご説明をしましたけども、機械金属部会全体として見ますと、まず上期につきましては、まあ去年の後半から加熱ともいえる経済状況がございまして、各製品とも順調に販売・生産とも伸びてきたわけです。

    で上期の第1クォーターはその勢いが維持されて、まあ非常に調子が良かったと。ただ第2クォーターに入って伸びが鈍化してきたというのが大体各分野共通の、まあ傾向かなと。したがって上期トータルとしては、まあ今年の初めに予想していたほどには伸びないという結果に終ったというのが上期の回顧でございます。

    当然この原因というのが、高金利政策の消費抑制にあるというふうに見ております。下期につきましては、今のその高金利政策、それから消費抑制策に変化がないと思われますので、まあ下期のトレンドというのは大体上期の第2クォーターとほぼイコールになるのかなというふうに見ています。

    まあただ、社会インフラ関係それからプラント機器ではまあこれまで計画段階にあったものがいよいよ具体化して、入札にかかって発注に結びつくものが出てくるというふうに見ていますので、これらの分野では大型受注の可能性があるというふうに見ております。以上でございます。どうもご静聴ありがとうございました。

    司会:
    西岡様、多岐にわたる業界、分かりやすく簡潔にありがとうございました。では何かご質問はありますでしょうか。なければここで、ちょっと15分を切っていますけども、コーヒーブレイクにさせていただきます。後半はですね、16時20分からのスタートになりますので、よろしくお願いします。

     

     

     

  • 司会   澤田吉啓    企画戦略委員長

    それでは後半に入らせていただきます。前半は伊藤総務委員長に司会進行をしていただきましたけれども、後半からは企画戦略委員会の澤田でございますが、私の方で司会進行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

    前半ちょっと、まだお見えでいらっしゃいませんでしたので、ご紹介できませんでしたので、今ちょっとご紹介をさせていただきたいと思いますけれども、在ブラジル日本国大使館から一等書記官の金子様がお見えになっていらっしゃいますので、ご紹介させていただきます。

    金子様には最後、この後半部分の発表が終った後にご講評をいただきたいというふうに考えております。それでは早速後半に参りたいと思いますが、まず貿易部会でございますが、伊藤総務委員長が実は貿易部会長でもいらっしゃいますので、伊藤貿易部会長の方からよろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 貿易部会   伊藤友久 部会長

    貿易部会

    では貿易部会から発表させていただきます。2011年度上半期ブラジル貿易動向ということで、説明させていただきます。最初に2011年上半期の貿易額の総括ですけれども、輸出におきましては2010年1-6月期の892億ドルから33%増の1183億ドル。

    輸入におきましては、813億ドルから30%増の1053億ドルとなりまして、輸出入ともに過去最高額となっております。この結果、貿易収支は64%増の130億ドルという結果になりました。

    ただしこの金額は2009年1-6月期の139億ドルを下回る水準でありまして、過去10年間では5番目に低い水準となっています。ではこれから輸出入の取引ごとに違った角度から説明させていただきます。

    まずは輸出に関してですが、先程申し上げました通り、2011年度上半期の輸出総額は2008年下期の金融危機からの回復傾向が続き、前年同期比33%増の1183億ドルとなりました。カテゴリー別で見ても、表に記載の通り全てのカテゴリーで増加になっています。

    特に一次産品が45%増の562億ドル。半製品が31%増の162億ドルと大幅な増加になりました。その一方で工業製品は20%増にとどまり、全体の伸び率を下回る結果となっています。

    なお、一次産品が輸出総額に占める比率につきましては、先程もちょっと紹介がありましたけども、2007年から32%、翌2008年は37%、翌年は40%、さらに次の年は45%と年々増加傾向にありますが、この上半期ではその割合が48%に上昇しております。すなわち輸出に占めます一次産品の割合が拡大傾向にあり、この傾向が続いているということが言えると思います。

    次に商品別で主な項目について述べさせていただきます。まずは第一次産品ですが、この表の通り鉄鉱石の輸出額が大幅に増加し、輸出総額を牽引しています。このほか、コーヒーの輸出額が前年同期比で83%と大きく伸びているというのも特徴かと思います。

    また、工業製品ですが、ブラジルの輸出の主力であります航空機が前年に引続いて減少し、前年同期比で14%減となっています。さらに、下の方にありますが、乗用車。乗用車についても、8%の減少となっています。

    それでは輸出の相手国別について見てみます。輸出相手国上位10ヶ国はこの表の通りですけども、まず注目すべきは2009年度から輸出相手国第1位となった中国です。全体の伸び率をさらに超える伸び率となっており、そのシェアも前年の15%からさらに拡大し、17%を占めるに至っております。ますますブラジルの輸出が中国依存を深めているということが分かると思います。

    中国向けの商品としては、鉄鉱石がトップで86億ドル。伸び率では前年同期比で約2倍に増加しています。このほか、伸び率が著しかった品目としては、8位ではありますが鶏肉で約2倍。10位の鋳鉄・銑鉄がやはり前年同期比で約4倍の増加を見せています。

    次に2位のアメリカについてですが、鉄鋼半製品が前年同期比で約6倍と大きく拡大し、石油に次ぐ最大の輸出品目となっています。金額では、コーヒー豆が鉄鋼半製品に匹敵する約7億ドルの輸出となっています。また輸出品目としては第9位でありますが、土木機械の輸出も前年同期との比較におきましては約3倍の増加が見られます。

    3位のアルゼンチンは、輸出主要品目としては乗用車、自動車部品、鉄鉱石などですが、輸出品目順位の6位の燃料油は2.3倍の増加となっています。日本につきましては、後ほど対日貿易として触れさせていただきますが、順位としては6位で、前年と変化はございません。

    このスライドは、全輸出総額における地域別のシェアを表しています。中国を含むアジア向けのシェアが29%、EUが22%、中南米・カリブが22%となり、全体の7割を占めることになります。この3地域について前年のシェアと比較してみますと、アジアとEUのシェアがそれぞれ1ポイントずつ増加し、中南米・カリブが2ポイントシェアを落とすという結果になっております。

    そして次に来るのが米国ですけれども、ブラジルの米国への依存度はわずか10%に過ぎません。その傾向を見ますと、米国のシェアは2008年は14%であったものが、10%まで減少している一方で、アジア向けは2008年の19%から29%までシェアを伸ばしているということになります。

    こちらからは輸入になります。2010年度の輸入総額は前年比42%という大幅な増加でしたが、この上半期では30%増と若干勢いが鈍化した傾向があります。ともあれ、30%の増加というのは依然高い伸び率ですし、輸出同様に全てのカテゴリーで増加を記録しています。

    カテゴリー別では最も大きなシェアを占めるのは原料・中間財ですが、伸び率では最もシェアの低い燃料・潤滑油で、前年同期比で4割の増加が見られます。消費財も183億ドルと輸入全体の伸び率を上回る拡大が見られています。

    次に商品別について見ます。元々シェアが大きいのは化学品・薬品ですが、伸び率で見れば輸入総額が3割伸びている中で、このアイテムについて見れば2割に留まっています。

    一方で特筆すべきは耐久消費財の中の自動車の伸びです。実に前年同期比で47%も増加しております。台数では17万7000台が輸入されております。この結果、新車登録台数に占める輸入車の割合は2010年で18.8%であったものが、この2011年1-6月期では22.4%を占めるに至っております。

    こちらは輸入の相手国別です。輸入相手国上位10ヶ国はこの表の通りであり、2010年通年に引続いて、この上半期も全ての相手国に対して増加という結果になっています。1位はあいかわらず米国であり、ほぼ全体の伸び率に比例する30%増の157億ドルを記録しております。

    米国からの主要輸入品としては石炭がトップで、前年同期比77%と大きく拡大しています。さらに航空機用モーター、タービン類、燃料油、医薬品などというのが主な項目となっています。2位も変わらず中国ですが、伸び率は全体の伸びを上回る37%の増加となっています。

    米国と中国の差は年々縮まっておりますが、この上半期でもその傾向が続いていることが分かります。中国からの主な輸入品としては、送受信機、データ処理機器、電話機向けプリント回線などですが、輸入品目としては第6位の携帯電話向けトランスミッター、レシーバー機器が前年同期比で172%と大きく伸びています。

    また、8位のエアコンも80%と大きな増加を示しています。3位のアルゼンチンからの輸入品目は、乗用車、小麦、貨物車などですが、貨物車は上位10品目の中では唯一、対前年同期比で13%のマイナスを記録しています。

    こちらは、輸出同様に地域別にシェアについて示したものです。輸入になると米国の割合は輸出に比べて5%程度増加しますが、地域別のシェア順位は輸出と変わらずで、アジアが1番、EUが2番、あと中南米・カリブ、そして米国と続くということで、全体的に地域バランスは取れていることが示されています。

    ただし、先程のスライドでご説明いたしました通り、中国からの輸入総額が大幅な増加傾向にあり、アジアからの輸入シェアは31%となっており、これは2008年以降徐々にアジアからのシェアも増えていることを示しています。

    次に外国からのブラジルへの直接投資についてご説明いたします。左側グラフの通り、貿易総額と同様に2009年に大幅に減少した直接投資も、2010年度は前年比66.1%増加いたしましたが、この上半期では前年同期比で77%増となり、引き続き好調に推移していることが見て取れます。

    この額は2009年の年間の投資額である317億ドルをすでに上半期で上回るものとなっており、ブラジルに対する各国の投資額が非常に増えているということが読み取れます。

    右の表で各国別に投資額を記載しておりますが、ご注意いただきたいのは、この数値は直接投資ベースになりますので、低税率国を経由した間接投資の場合はその経由国の投資額となることです。すなわち、必ずしも実態に即さない形になっています。例えばよく新聞紙上等で話題になります中国はこの表には出ていませんが、順番としては22位。額としても1.4億ドルに過ぎませんでした。

    しかしながら、今ご説明した通り、実際の中国からの投資は第三国を経由して行われているというふうに推測されており、これが中国がこの上位ランクに入って来ない理由と考えられます。この表の中で特筆すべきものは、日本からの投資です。

    2010年通年で約25億ドルという数字ですので、本年度上期でその数字に近いところまで来ています。現状、日本からの投資は前年上期の勢いをそのまま保っているように見えます。この結果、国別順位でも前年の7位から、上半期で日本は4位に浮上しています。

    こちらは、直接投資の業種別の目標になります。2010年通年ではブラジルで最も強みのある資源関連事業、農業、畜産、工業が295%の増加となっておりましたが、石油・天然ガス採掘を中心に依然好調ではあるものの、他の部門もそれを上回る伸びを示したところが複数出てきております。

    部門全体のこれらのエネルギー関連等の占める割合も、前年の35%から13%に縮小し、比較的目立たない感じがしてきています。投資分野で最大のシェアを占めたのはサービス業ですが、こちらは対前年同期比で218%の増加を記録しました。投資額全体の6割近いシェアを占めています。

    特に通信業への投資や電気・ガス関連への投資が多くなったことが分かりました。工業部門ですが、業種別で見ますと、非鉄金属、製鉄業等の基礎冶金、自動車関連への投資が増加していることが分かります。一方、コークス、石油派生品、バイオ燃料等化学品は前年同期と比較してそれぞれマイナスになっています。

    次に対日貿易という点について触れさせていただきます。2010年度の対日貿易は、左側、輸出が前年同期比43%増の41億ドル。右側、輸入が25%増の40億ドルとなり、全体の傾向と同様に輸出入ともに増加となりました。また、2007年から連続3年間続いていた貿易赤字は2010年に黒字転換しましたが、この上半期でもその傾向を引き継いでおり、1億3000万ドルの黒字となっています。

    ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出が3.5%、輸入が3.8%で、2010年とほぼ変わっておりません。90年代以降について最もシェアが高かった頃を調べて見ますと、輸出では91年に8.1%、輸入では90年に7.2%を記録していますので、この数字から比べますと、今のこの水準というのは決して高くないことが分かります。

    国別のスライドでご説明の通り、輸出において順位は変動ありませんでしたが、輸入においては2010年に韓国に抜かれ、さらにこの上半期ではナイジェリアにも抜かれ、日本の順位は7位まで下がっています。ちなみにナイジェリアからの輸入は原油と思われますので、ある程度スポット的な要素ではあるとは考えられます。

    最後に2011年上半期のトピックスをまとめますと、輸出額も輸入額もともに前年同様に増加したこと。貿易収支は悪化傾向から上半期では若干の好転をしていますが、2005年から3年間にわたって毎年400億ドル台の貿易黒字を計上していたことを考えれば、高い水準にあるとは言えないと思います。

    新興国を中心として資源・食料の需要増加により、一次産品の輸出総額が大きく伸び、その比率が増加しているということも最近の特徴といえます。輸入先として、乗用車を中心とする韓国からの輸入総額増加に加え、ナイジェリアにも抜かれて、日本の順位がさらに下落したこともこの上半期のトピックスとして言えると思います。

    また、2011年下半期の見通しについては、ご覧の通り気がつく点をまとめてみました。これまで説明しました通り、世界の好調な一次産品需要や、国内の旺盛な消費に支えられ、ブラジルの貿易額は順調に回復・増加しており、さらなる増加が見込まれると思います。しかしながら、レアル高による輸出企業の競争力低下や、オリンピック、ワールドカップに向けての国内インフラ整備のためさらなる輸入増加が見込まれ、貿易黒字減少傾向については歯止めがかからないと予想されます。

    ブラジルへの外国からの直接投資についても、引き続き好調に推移することが見込まれます。これは、日本企業の投資という側面でも同様と見ております。ジウマ政権発足以降7ヶ月あまりで早くも複数の重要閣僚が交代になり、また最近の世界の政治経済の先行き不透明感が増す中で、ブラジルがその影響をどう受けるのかというネガティブな面もありますが、当面貿易および投資の面で我々のビジネスチャンスは引続き大いにある、そして拡大していると思いますので、俗に言われるブラジルコストに屈せず、皆様のさらなるご活躍を祈念して、私のプレゼンテーションを終らせていただきます。どうもご静聴ありがとうございました。

    司会:
    伊藤部会長ありがとうございました。何かご意見ご質問等ございますでしょうか。結構時間が厳しいものですから、それでは先に行かせていただきます。また懇親会も後ほどございますので、ご利用いただければと思います。それでは次、化学品部会でございますが、大澤部会長様の方からお願いいたします。

     

     

     

  • 化学品部会   大澤巌 部会長

    化学品部会
    レポート

    化学品部会長を務めておりますダイカラー・ド・ブラジルの大澤です。よろしくお願いいたします。

    それでは早速化学品部会、会員からのアンケート結果をご報告申し上げます。化学品部会、会員数は54社ですが、アンケートの依頼は38社に対して行いまして、16社より、うち1会員より3分野につき回答を得ました。全部で13分野18回答となります。

    筆記具分野が2会員より、農薬原体分野は3会員より、また商社・化学品分野からは2会員より回答を得ています。化学品分野は多岐にわたる分野の会員が加入されておりますので、素材産業分野、それと消費物資産業分野ですね、それと商社と、この三つに大別いたしました。

    素材産業分野には架橋ポリオレフィン発泡体、スポンジをご想像ください、そして樹脂用着色剤、接着剤、農薬原体、生松脂より精製されますロジン・テレビン油の5分野、7回答が含まれております。

    消費物資産業分野には、一般医薬品、家庭防疫薬、化粧品、飼料添加物、写真・デジタルカメラ、種子、接着剤、農薬の製剤、そして筆記具、9分野10回答が含まれております。接着剤分野と農薬分野は両分野に含まれております。そして商社・化学品分野は2回答を得ております。では次お願いします。

    これは化学品部会全体のアンケートの取りまとめです。2011年上期、回顧。この売上につきましては18回答中、増収が15回答、不変3回答、減収ゼロ回答で、増収と不変合わせますと100%。利益に関しましては、増益13回答、不変ゼロ回答、減益5回答であり、増益・不変合わせて72%となります。

    2011年下期の展望でも、売上に関しましては増収予測が12回答、不変予測が4回答、減収予測2回答ということで、増収と不変あわせますと89%。利益に関しましては、増益予測が14回答、不変予測が2回答、減益予測が2回答で、増益と不変合わせますと89%となります。次お願いいたします。

    次は大別分野の素材産業分野での回答をまとめたものです。素材産業分野、7回答で、2011年上期売上では増収が6回答、不変1回答、減収回答ゼロ。増収と不変回答を合わせまして100%。利益では、増益4回答、不変ゼロ回答、減益3回答。増益と不変合わせて57%。2011年下期展望におきましては、売上予測では増収予測4回答、不変1回答、減収2回答。増収・不変合わせて71%。利益予測では、増益が6回答、不変予測が1回答、減益予測ゼロ回答。増益・不変合わせて100%となります。次お願いいたします。

    次、消費物資分野ですけども、10回答行っておりますが、11年上期売上におきましては増収8回答、不変2回答、減収ゼロ回答。増益・不変合わせて100%。利益では、増益8回答、不変ゼロ回答、減益2回答となりまして、増益・不変合わせますと80%となります。

    2011年下期の展望ですが、売上予測で、増収予測が6回答、不変予測が4回答、減収予測がゼロ回答。増収・不変合わせて100%。利益予測では、増益が4回答、不変予測が2回答、減益予測2回答。増益と不変予測合わせると80%という結果になります。次お願いします。

    次、商社分野は2回答のみですが、2011年上期では増収1回答、不変1回答。利益では増益1回答、減益1回答と分かれました。2011年下期展望では、売上・利益とも2会員とも増収・増益予測です。

    以上ですけれども、総括としまして2011年上期は消費物資産業、素材産業この両分野ともに2010年上期よりも好調に推移している会員が多く、また下期も好調さを持続できると見ている会員が多数です。商社分野では上期は好調・不調に分かれましたが、下期は好調予測です。では次お願いします。

    それでは各分野からの回答を駆け足でご紹介いたします。まず最初に写真・デジタルカメラですが、2011年上期回顧、増収増益でした。プラス要因は、医療費支出増加による市場の拡大と、シェアアップによる医療事業での伸長。またデジタルカメラ市場拡大に伴う、デジタルカメラの販売増加です。マイナス要因は、競争激化による販売価格のダウンを挙げられております。

    下期の展望ですが、増収増益予測です。プラス要因は写真関連およびデジタルカメラ製品の需要期であることから販売増が期待できることと、医療事業の伸長です。マイナス要因は、競争激化による販売価格ダウンと、原材料と価格高騰によるコストアップです。次お願いいたします。

    次は筆記具。2社からの回答を得ております。11年上期回顧。2会員からの回答ですが、両社ともに増収増益でした。プラス要因は、雇用情勢の改善、教育投資の増加、予想以上の年初の需要高、レアル高による原価安。

    マイナス要因は景気の減速傾向と労務費のアップです。11年下期の展望ですが、1会員が増収、1会員が不変の予測です。プラス要因はプロモーション活動による売上増加。また下期需要高という業界傾向の寄与もあります。そして継続的なレアル高です。マイナス要因は景気の減速と労務費のアップということです。では次お願いします。

    化粧品。化粧品の中でも高級化粧品になりますが、2011年上期の回顧としましては増収増益でした。プラス要因はレアル高による原価安、欧米系競合他社にない分野での売上が伸びたこと。マイナス要因はドル安で海外免税店での購入者が増加、高級化粧品の客数が減ったことを挙げておられます。

    11年下期の展望ですが、増収増益予測です。プラス要因は年末商戦による売上の増加。マイナス要因は上期と同じくドル安の影響による高級化粧品の客数減少を挙げておられます。次お願いいたします。

    一般用医薬品、外用薬ですが、2011年上期増収増益でした。プラス要因は市場の拡大、シェアの拡大、各州で行った販促プロモーション活動の効果。マイナス要因は厚生省による新製品への審査・承認の遅れです。

    11年下期の展望ですが、増収増益予測で、プラス要因は好調さの継続。マイナス要因は上期と同じく厚生省による新製品への審査・承認の遅れです。次お願いいたします。

    家庭防疫薬ですが、2011年上期は増収増益で、プラス要因は新規顧客の開拓と国内生産の増加です。マイナス要因はジェネリック品との競合です。11年下期の展望は、売上・利益とも横ばいの予測です。プラス要因は国内生産の増加。マイナス要因は、顧客在庫の増加、また気候不順による販売の減少、そしてジェネリック品との競合継続を指摘しておられます。次お願いいたします。

    次、農薬の原体販売ですが、これはあの、高濃度の有効成分である農薬原料の商いです。2011年上期の回顧ですが、3会員より回答を得ておりますが、3会員ともに増収増益でした。

    プラス要因は農作物国際価格の高騰、農産物作付け面積の増加、特に綿です。そして販売品目の増加。マイナス要因は、事務所賃料、人件費等の経費アップ、それからジェネリック品、また中国製の違法品との競合。レアル高による輸出作物の利益低下です。

    11年下期の展望ですが、3会員ともに増収増益を予測しております。プラス要因は農作物価格高値堅調、農産物作付け面積の増加、特に綿。そして綿向け販売の堅調さ。それと農薬の場合販売時期が下期に集中しますので、これも大きく寄与しております。

    マイナス要因はレアル高の急激な進行、また、米をはじめとする一部農産物価格の低下、そして中国製違法品との競合、レアル高による輸出作物の利益低下、これを挙げておられます。次お願いします。

    次はこの原料を使って製剤化した分野、農薬の製剤販売分野ですが、11年上期の回顧、増収増益で、プラス要因は、農作物国際価格の高騰、農薬市場の拡大、綿向け取引の拡大、それと財務収益の増加です。

    マイナス要因は、インフレによる経費の増加、人件費増加を挙げておられます。2011年下期の展望ですが、増収増益予測で、プラス要因は農薬使用シーズンのピークが下期にあるということ、農作物国際価格の高値が、高値高騰ですね、高騰が継続、そして農薬市場の一層の拡大。

    マイナス要因は為替レートへのまあ懸念、それとインフレによる経費・人件費の増加、それから綿花先物価格の動向に対する不安要素、この点を挙げておられます。次お願いいたします。

    次、野菜、花の種の分野ですが、2011年上期の回顧、増収増益でした。プラス要因は、新商材の好調な販売、既存商品の市場シェアのアップ、高利益商品の販売増加です。

    マイナス要因は、主力製品の品薄、新商品の品質クレームが起きました。2011年下期の展望ですが、増収減益の予測で、プラス要因は主力商品玉葱種子の安定販売、また安定した為替による利益の確保、新商材の販売増加。マイナス要因は一般管理費の増加、試験農場費用の増加を挙げておられます。次お願いします。

    次は鶏用の飼料添加物分野ですが、2011年上期の回顧は、売上は不変、利益は減少でした。プラス要因は新規顧客の開拓。マイナス要因は競合品との競争激化による販売価格の低下です。11年下期の展望、売上は不変、利益は減少の予測です。

    プラス要因としては特にありませんが、マイナス要因は競合品との競争激化による販売価格のさらなる低下を挙げておられます。次お願いいたします。

    接着剤分野です。2011年上期の回顧、売上は不変、利益は減少でした。プラス要因は、欧米系自動車メーカーの生産販売台数が維持されたこと。マイナス要因は、人件費等の経費の上昇と東日本大震災による日系自動車メーカーの休業です。

    2011年下期の展望ですが、売上・利益ともに不変の予測です。プラス要因は社内の改善活動による効果が期待されることと、経費の削減、コストダウンです。マイナス要因は原材料費の値上がりということを指摘しておられます。次お願いします。

    樹脂用着色剤。2011年上期の回顧ですが、増収減益でした。プラス要因はレアル高による原材料費の安定。マイナス要因は、競合他社との競争激化による顧客との値上交渉の困難さ。またレアル高による輸入品増加による顧客への悪影響。それから高金利政策による顧客の在庫圧縮、また新規開発品の停滞。そして経費全体のアップが挙げられます。

    11年下期の展望ですが、減収増益の予測です。プラス要因としては人員削減、その他コストダウンによる経費の減少。上期在庫圧縮への反動を期待しています。マイナス要因は上期と同じく、競争激化による値上げ交渉の難しさ、輸入品増加の悪影響、そして高金利政策です。次お願いいたします。

    架橋ポリオレフィン発泡体分野ですが、上期の回顧、増収増益です。プラス要因は製造コストの改善、ブラジル市場の需要拡大、新規事業の立ち上がり。マイナス要因は人件費のアップ、原材料のコストアップです。11年下期の展望ですが、増収増益予測です。プラス要因は営業拡大による売上の増加、新規事業の拡大。マイナス要因は原材料コストのアップ傾向、人件費の高騰、またレアル高による競合輸入品の増加です。次お願いいたします。

    生松脂からロジン・テレビン油を製造販売しておりますが、この分野、上期は増収減益でした。プラス要因は特に指摘ありませんが、マイナス要因は原料価格の高騰に値上が追いつかなかったことです。

    下期の展望ですが、減収増益の予測です。プラス要因は原料価格の下降傾向ですが、原料価格と製品価格の下降にタイムラグがあるため減収増益という予測をしております。マイナス要因は特に指摘されておりません。

    最後に商社分野、2会員から得ておりますが、上期回顧、売上は増収1回答不変1回答、利益では増益1回答減益1回答の結果です。プラス要因は石油化学品をはじめとする全般的に市況が堅調であったこと、需要拡大です。

    マイナス要因としては人件費の増加、レアル高による輸出不振、東日本大震災のため日本の内需増加によるブラジルへの輸出減少を挙げておられます。下期展望は2会員とも増収増益回答です。

    プラス要因は新規ビジネスの開拓、既存ビジネスの伸長、さらなる市況上昇と堅調な需要、および東日本大震災からの日本の回復を挙げております。マイナス要因は、ブラジルの内需過熱による輸出向け数量の減少を指摘しておられます。以上で化学品部会からの報告を終ります。どうもありがとうございました。

    司会:
    大澤部会長ありがとうございました。それでは何かご質問ご意見等ございましたら。よろしゅうございますか。化学品部会は13分野ということで、たぶんこの部会の中で一番多くの分野を抱えていらっしゃるところで、取りまとめ大変だったかと思いますけれども、大変お疲れ様でございました。それでは次に参りたいと思います。運輸サービス部会でございますが、岐部部会長様の方からご報告いただきます。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 運輸サービス部会  岐部ルイス 部会長

    運輸サービス部会

    運輸サービス部会の岐部と申します。よろしくお願いします。

    まず最初に、前回の報告の際に、大統領が替わると大きなストライキがあると私発表しましたが、今回のジウマ大統領にはこのジンクスは当てはまらなかったようです。まあ一部郵便でストライキが発生しましたが、大きな混乱もなく収束いたしました。

    さて当部会の報告ですが、内容的には前回とほぼ変わりません。ブラジル経済の好調さに支えられた人、物の動きが顕著に表れてきておりますが、物流業界全体から見た場合はたして皆様が感じられておられるような好調さと一致するかと言えば、必ずしもそうではないという現象が出てきております。

    ワールドカップ、オリンピックを控えて、それなりのインフラ整備が始まろうとしていますが、この画面に記載されていますように依然として空港、港湾インフラは貨物量の増加に追いつかない現状があります。それでは物流業界全般、航空業界、海運業界、ホテル旅行業界、通信・IT業界の順を追って報告して参ります。

    先ほども言いましたが、物流業界は依然インフラの悪さに悩まされております。グァルーリョス空港はすでに一杯の状況が続いており、この満杯状況を嫌った荷主の皆様がもう一つの国際空港であるビラコッポスに到着貨物をシフトしていますが、当然コスト高の一因になっております。

    港の混雑は依然同じ状況が続いておりますが、事故発生件数の増加を招いております。ただ車両待機エリアが整備され、若干の改善が見られているのが明るいニュースです。経済が好調ということは、港、空港だけでなく、国内でも物が沢山動いているということですが、この、物がすごく動いているということはそれを運ぶ手段であるトラックとその運転手が間に合わないという状況が運賃の上昇を招いています。いわゆる運転手不足は物流業界は深刻で、人材の確保による給与の高騰は物の動きとは別に収益性を悪化させてきております。

    次に航空業界の実態ですが、皆様グァルーリョス空港やコンゴーニャスにおいて肌で感じられておられる通り、国内線も国際線も大変需要が増えております。ただ、旅客とは別に、貨物の動向はレアル高による輸入品は増加傾向が続いているものの、輸出は大変苦戦しております。

    次に海運業界ですが、コンテナ貨物の輸入は旺盛な国内消費とレアル高に支えられて大幅増加です。前年同期比で全体として17%強の伸びになりました。特にアジアからの輸入増が顕著で、20%程度の伸びがあったと思われます。

    一方で輸出は為替高の影響で、仕向け地を問わず約横ばいとなりました。ばら積み鉄鉱石は、最大向け地の中国の買い控え傾向もあり、前年比にて若干増にとどまりました。一方で船舶増加による需給のインバランスもあり、運賃マーケットは軟化しました。コンテナ船ではサントス港を中心とした不十分な港湾インフラの影響で、船の滞船、混雑という状況は相変わらず続いております。

    次はホテル・旅行業界です。観光庁のデータによると2011年の上期国内到着便は3794万人。2010年の同じ時期を20.7%上回っています。国外到着便は436万人です。2010年と同じ時期を18.9%上回っています。ブラジル経済が好調で、ホテル業界もその恩恵を蒙っています。

    上期の客室稼働率は70%でした。平均ルームレートは200レアル90センターボでした。この平均ルームレートは、地域によって7.1%から26.7%アップでした。ところでサンパウロ市では上期の稼働率は69.3%で、昨年と同じ時期に比べると4.61%のアップでした。

    続きまして通信・IT業界についてですが、2011年6月末現在、携帯電話の加入者数は2億1734万台になりました。加入者の伸びは、2011年6月末現時点で12ヶ月の伸び率が17.4%と、2010年末時点の12ヶ月の伸びが16.7%であったことと比べると、また増加傾向にあります。

    プリペイド方式は、2009年末が82.55%、2010年末が82.3%なのが、2011年6月末現時点で81.85%、順次減少してきております。というと、ポストペイドの率が若干増加してきています。それから、スマートフォンの普及によるモバイルブロードバンドユーザー数が増えてきています。

    3Gの加入者数は2011年6月末現在で2662万台になりました。次にIT業界ですが、上期は新規または追加投資が三つの分野で目立っています。まず第一にサーバーのバーチャル化。二番目に税制対応の業務アプリケーションの開発。で三番目に新規ビジネス向けのIT投資環境の整備があります。次にイーコマースの売上ですが、上期は84億レアルでした。昨年とほぼ同じ売上でしたが、2011年は26%伸びると業界は期待しています。

    さて2011年の下期の展望ですが、物流業界は先程説明しましたインフラの整備が追いつかない状況下での取り扱いが続き、貨物事故、盗難の発生は課題として残ったままであると見ております。

    航空業界の旅客は今後も増えつづけるものと思われますが、貨物についてはレアル高が続くと輸出貨物に与える影響は深刻なものになると予測をしております。海運業界、ホテル業界、IT通信業界の順に説明していきます。

    まず物流業界ですが、この8月開始予定のグァルーリョス空港の第三滑走路、駐車場の拡張工事が始まれば、改善への兆しが見えてくると思います。物流業界で一番気にしていることは、やはり業界の人材不足で、深刻化していることから、トラック料金、倉庫料金の値上が避けられない状況下にあるということです。

    さらに通関を取扱っている業者は、レアル高による輸入製品の増加、特に中国製品はブラジル国内企業に与える影響も大きく、当局のさらなる規制により通関自体の煩雑化、遅延といった影響が今後出ないことを願っています。さらに新規進出企業もたくさん日本から来られると聞いておりますが、RADARの申請に時間を要するようになったことを付け加えておきます。

    航空業界は先程も申しましたように、旅客は好調、貨物は輸入は好調、しかし日本からの輸入に関しては依然震災の影響が続くものと見ております。航空インフラ整備ですが、先週の新聞にも報道されましたが、Anacの調査によると、遅れる空港のランキングでグァルーリョス空港が上位でした。25%以上の出発が遅れるそうです。で、ほぼ時間通りに出発する空港はビラコッポスと報道されていました。

    次に、フライトが遅れる原因のもう一つの理由として、旅客の手荷物にもあると聞いております。確か昨年末、Anacは手荷物の合計の長さと高さが115cmのボリュームまで、重さが5キロまでの規格が決められていますので、それを超えると再度手続きが必要になってきますので、その分フライトが遅れると説明を聞いています。次に、輸出は横ばいかと期待されていますが、レアルの増加要因によるところが大きく、予測は立てられないのが本音です。

    続きまして海運業界です。ブラジル内需の堅調さと為替状況からコンテナ貨物の輸入は堅調に増加傾向で推移するものと予想しています。輸出は輸入に比べると荷物量は安定的、若干の増加するものと予想しています。

    ばら積み鉄鉱石の状況も現状が続くと見て、前年比若干増加。運賃マーケットは老齢船の撤退などで穏やかな回復を期待しています。港湾インフラではサントス港の二つの新規ターミナルの開業が2012年下期と2013年に予定されているが、それまで需給逼迫、それに起因する混乱が続く見通しです。

    次はホテル旅行業界です。観光庁の予測によると、中間層の旅行者の需要拡大の増加によって2011年末の国内到着便は7500万人と予想しています。国外到着便は890万人を予定しています。

    先程ブラジルの空港の出発について報告しましたが、到着便も問題があります。皆様もすでに経験されていると思いますが、いろんな問題の組み合わせが原因で、ピーク時の時、飛行機から降りてから荷物を引き取るまで大体1時間半かかると聞いています。

    グァルーリョス空港の受託手荷物預かり所は1985年にターミナルをオープニングした時と同じ物を利用しているそうです。さて2014年のサッカーワールドカップ、2016年のリオオリンピックを控えて、すでにイベントに関連した宿泊が目立ち、下期はさらに増えることを期待しています。先月末でしたが、各国の関係者がワールドカップ関連で、予選組み合わせ抽選会がリオ・デ・ジャネイロで行われました。

    最後に通信・IT業界ですが、まず通信業界から説明します。下期もスマートフォン販売は高い伸び率が期待されています。特にiPhone、アンドロイド端末経由でモバイルブロードバンドの活用が増える見込みです。

    次に、通信会社のOi社は4世代のLTEのテストを開始すると発表しています。2014年のワールドカップまでにサービス開始する予定になっています。次にIT業界ですが、年内に約9社のメーカーがブラジル国内でTablet型端末の生産をすると発表されています。先程の説明にもありましたが、ブラジルのMaiorPlanの課税ゼロにより、大体30%程度の価格が下がると予測されています。

    そのほかに、CloudComputing、サーバーのバーチャル化、SNSツールの利用、例えばFacebook、Twitterといったものの活用が企業内に進むだろうと期待しています。それ以外にApple社が一般ユーザー向けに無料のCloudサービス、iCloudを年末までに提供すると発表しています。

    Cloud型にすると、ユーザーはデバイスを変えても、端末を変えても、データセンターに保存している、例えば自分で購入した音楽を聞くことができるようになります。Apple社が参入することで、おそらくCloudサービスの普及が加速します。先程別の業界でも人材不足について述べましたが、同じく通信・IT業界も専門家の確保が厳しくなります。

    今回当発表の作成にご協力していただいた企業の皆様の名前を記載していただきました。以上運輸サービス部会の報告を終ります。ご静聴ありがとうございました。

    司会:
    岐部部会長ありがとうございました。それでは何かご意見ご質問等ございましたら。よろしゅうございますか。はい。それでは最後にまたお時間ができましたらそこでも皆さんにご質問等していただければと思いますので、先に進めさせていただきます。それでは次に繊維部会の方から、岡田部会長様よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 繊維部会  岡田幸平 部会長

    繊維部会

    繊維部会2011年上期の回顧と下期の展望について発表します。繊維部会はダイワ・ド・ブラジルをはじめ綿紡績とオープンエンドをやっている会社。それからクラシキのように綿紡績と羊毛紡績。日清紡、綿紡績。オーミも綿紡績。東洋紡は綿紡績と綿の織布をもっています。

    それからユニチカは綿紡績。サンヨーテックスは紳士服地と婦人服地の輸入販売。それからYKK・ド・ブラジルはファスナーとボタンと、それから後の建設部会に関係しますアルミサッシですね。それをやられております。

    以上、8社中6社がですね、綿紡績を主たる事業としております。部会の各社から上期の回顧と下期の展望について中身の濃い報告書をいただいておりますけども、まあ時間の関係もありますので今日は2011年の綿紡績の非常に厳しい状況を中心に報告させていただきます。

    このグラフですけども、ブラジルの綿花、これは原綿ともいいますけど、綿花の相場はエザルキ。それ以外は日経新聞の商品相場の数値を、2010年の3月を、ここを1としまして、指数化して表しております。

    この中で、今なお上昇を続けていますのは金だけですね。最近原油については去年の3月と同じレベル。それからまたもうちょっと下まで行っていると思います。で、農産品になりますトウモロコシ、コーヒーは約2倍のレベルまで行って、そこから1割2割下降しています。

    で、ここで説明したいのは、原綿関係ですね。ブラジルの原綿、それからニューヨークの定期相場、これがですね、今年の3月4月まで約2.7倍まで高騰して、その後去年の3月のレベル近くまで大暴落をしております。ほとんどの商品相場というのは今年の3月ぐらいが大体ピークになって、あとまあ下落していますけども、このような大きな下落をしているのは綿花だけでございます。

    それでは、国内の綿糸販売について2011年の上期の回顧をします。ちょっと字が小さいので後ろの方は見えないと思いますが、書いてある通りに読んでいきますので、ご心配なく。

    2011年上期の国内綿糸市場は、第1四半期こそ、30%強の値上げが通り、堅調に推移しました。しかし、第2四半期に入り、市況は激変し、綿糸相場は35%強も暴落したと。紡績各社は、大幅な赤字転落を余儀なくされています。

    相場下落の理由として、次の3点が考えられています。一つは、綿花相場の高騰と暴落による綿糸市場の混乱。ブラジルの綿花相場は2011年3月15日に、史上最高値4.01R$/Lbを記録しました。7月にはそれが1.58 R$/Lbまで暴落しました。ニューヨークの定期綿花相場は、4月に2.10US$/Lbの南北戦争以来の高値を記録しました。

    7月には、1.36まで暴落してしまいました。そこでユーザーの買い控えにより、紡績各社の綿糸在庫が膨れ、綿糸相場の下落に歯止めが掛らぬ状況が続いております。紡績各社の在庫の原綿は、高値水準のままであり、現在の綿糸相場では、赤字販売となり、危機的状況に直面しています。空紡糸、オープンエンド糸ですけども、についても、綿紡糸同様、年初糸値アップは実現しましたが、その後安値中国製品に押され、需要が落込み、減産または生産ストップ等厳しい状況となっております。

    2番目として繊維製品の販売不振。最終消費者が自己のクレジット状況・消費行動を冷静に見直しつつあり、繊維製品に対する需要に陰りが出ている。繊維の小売業界は、寒さが遅れた為に、5月まで売上を伸ばせず苦戦しました。6月には昨年同月比40%以上伸びました。

    冬物は寒さが長く続いたため、店頭販売は好調だった。しかし、春物の店頭投入が遅れ、小売店やアパレルの在庫が増加しています。アパレルは、糸、生地の値上げで、製品価格の値上げを余儀なくされ、受注が減り、かつ、輸入製品との価格競争では苦戦しています。

    衣料の輸入は、昨対、57%増、既成服の輸入は38%増加しています。分野別では、紳士服はあまり良くありません。婦人服、ユニフォーム市場は、拡大傾向が続いております。ジーンズ分野では、販売が見込みを下回り、市中在庫が増加し、第2四半期以降、ジーンズに使われているファスナー販売に陰りが見え始めました。

    婦人服分野では、トレンドがニットから、先染め格子柄織物製品に変わり、コンシールファスナーの販売が昨年に続き好調を維持しました。また、ファスナーを使用したサンダルブーツの流行もあり、靴分野のファスナーは好調に推移しています。ユニフォーム分野の厚地織物は、インフラ関連工事が減りました関係で若干減少していますが、商業とかサービス向けのユニフォームの薄地織物については、昨年並みを維持しております。

    それから、レアル高に伴う、輸入綿糸、輸入製品との競合。レアルは、2006年の2.2R$/US$から1.6R$/US$までレアル高が進行し、2006年には2万トン超あった綿糸の輸出は、今年は309トン。5年間で35分の1、もうほぼゼロになってしまいました。

    綿糸の輸入は毎年倍増していますが、主たる輸入国であるインドの綿糸輸出規制があり、昨対半減しましたが、その後インド国内での在庫増により、ブラジルへの安値オファーが出てきまして、市場をかく乱しつつあります。これは、インドでも綿花不足による綿糸生産が落ち込みましたので、輸出を禁止されました。

    今年の3月まで。で4月以降それがどっとたまっていまして、輸出に回りまして、安値で投売りの状態になっております。長期的・構造的なレアル高傾向により、量販店チェーン、SPAや大手アパレルが、中国をはじめアジアでの海外生産・調達を増やしています。

    これまで比較的ブラジル国産品の牙城であった綿カットソーやジーンズまで海外生産・調達の比率が増加しております。我々紡績の主要ユーザーは、比較的国産比率の高いカットソーメーカーでありますが、小売市場での輸入製品との競合に晒されており、現在のレアル高は、ブラジル国内で操業する繊維製造業にとり死活問題であります。

    それでは2011年上期の原綿価格の推移と原糸販売価格の推移と想定されるコストの推移をグラフにしました。2010年3月、ここですね、ここを1としています。これは原綿、先程見ていただきました綿花相場の動きですね。これがそれによるコストを見ています。

    このコストを1とした時にその原糸の売値が1に対してどれだけだったかというのをこのグリーンのグラフにしています。ですから、去年までは、原綿はどんどん上がっていきましたけども、コストはそんなに上がっていません。といいますのは、原綿を紡績会社は2ヶ月ほど在庫で持っています。で、2ヶ月前の原綿を使って糸を作っていますから、すぐにはコストアップにはなりません。

    この間、約2ヶ月ずつぐらいのタイムラグがあります。ですから、上がっていった時には、コストは遅れて上がってきました。で、売上については、うまく値上ができた時は、例えばここですね、それから今年のここですね、大幅な利益が生み出されています。

    しかしあまりにも急激な原綿の値下がりがありましたので、ここで原綿の在庫を持っていますので、コストはすぐには下がらない、遅れて下がってきますので、それに今回は糸の売値の方が早く早く下げろという圧力が強くなりましたので、急激に原綿の下がりを見て糸値も下がってしまったというということで、今年の4月から先というのは赤字ということになっております。この赤字幅が、まあ、それぞれの会社のコストだとか原綿の在庫によって違いますけども、大幅に出ていまして、これが今の我々の業界を苦しめております。

    それでは2011年下期の展望についてお話します。2011年下期は何とか市況が底打ちさせ、価格転嫁を図る一方、原綿コストの入替えをすすめ、早期の赤字脱却と収益力の回復が切望されています。その為には、次の3点が重要なポイントであると考えています。

    一つは、過剰在庫の削減。紡績・ユーザーともに高値の糸在庫を抱えており、今後夏物の糸手当てが進む中で早期の在庫削減が必要です。原綿については、不透明な要素も多いが、大幅な需給緩和から相場は弱含みで推移されると思われ、上期の高コスト原綿からの入替えをしつつ、綿糸相場の回復を図らねばなりません。

    綿花相場は、主要綿産国の増産予想、綿糸市況低迷による世界的な紡績の回復遅れから弱含みが予想されています。アメリカのテキサス綿の旱魃の影響、原綿の大ユーザーである中国の手薄になった備蓄綿の補充時期など。

    ブラジル国内原綿も一部地域の雨不足による減産や品質不良綿の増加、また寒波による収穫の遅れ等の影響から綿花相場は今不透明な状況になっておりまして、1.6R$/Lbを割込んだエザルキが現在、1.9R$/Lbを超えて続伸をしております。

    いったん下がったものがまた一寸上がってきております。綿糸相場は、インド綿糸の安値オファーの影響や綿糸在庫が多いということと、原綿価格の下落・高騰等の相反する情報により今は混迷を続けております。

    二番目としては、価格転嫁ですけども、原綿相場が弱含みの中、価格転嫁あるいは維持は非常に困難が伴います。原綿相場が安定した時点で綿糸相場もしかるべきところに収斂されるという見方もあるが、前述した業界の販売低迷や輸入との競合等もあり、紡績の適正な利ザヤを確保した綿糸相場へ持っていけるかどうか予断を許しません。

    夏物の本格生産に入る下期の早い段階で一段の価格転嫁が必要であり、紡績各社の協調が不可欠であります。例年ニット製品の生産時期と販売時期は、半年のギャップがあり、真冬の今は真夏の糸から編・織の最盛期で、糸の生産は10月には来年の冬物へ切替わります。

    6月には夏物の生産が活発になり、綿糸の販売が伸びるはずでしたが、7月になっても原糸の購入の勢いがつかない状況です。織物については、インフラ関連工事が再度加速し、ユニフォームの需要は回復し、衣料は原料価格の低下を受けて、生地値が下がり、クリスマス商戦も含めて販売量の増加が期待されています。ファスナーの分野では、サンダルブーツへのファスナー使いの流行が縮小する傾向があり、好調さを維持できないと見ております。

    最後に、業界としての陳情ですけれども、何かとまとまりの悪いABIT、ブラジル繊維工業会でありますけども、ブラジルの繊維は今170万人の雇用を守っております。インド輸入糸に対するアンチダンピング提訴や、アジアからの輸入製品増加に対する何らかのガード、あるいは国内繊維産業へのインセンチーボの連邦政府への陳情など、リーダーシップを発揮してやるべき仕事はたくさんあります。

    綿花相場の形成システム、エザルキと、それにもたれた取引習慣にも何らかのメスを入れるべきでありましょう。繊維部会もABITの一員として、課題の解決に今後取組んでいきます。以上で発表を終ります。ご静聴ありがとうございました。

    司会:
    岡田部会長ありがとうございました。今ご報告があった通り、レアル高の影響ということでの安い輸入品が入ってくるということが、まあひとつこの業界が厳しいということのお話だったかと思いますけれども、何かご質問ご意見等ございましたら。はい、それでは次に参りたいと思います。次は建設不動産部会で、部会長代理の大滝様の方からお願いいたします。

     

     

     

  • 建設不動産部会  大滝守 部会長代理

    建設不動産部会
    レポート

    20110823大滝

    建設不動産部会、部会長代理を務めますホス建設の大滝と申します。よろしくお願いいたします。

    2011年の上期の回顧ですが、日系建設業界では昨年と同様、日本企業の工場建設が継続されまして、また日系企業以外の工場建設の受注があるなど、各社とも活況でありました。

    地盤改良や止水、特殊基礎の工事につきましても、受注する機会が増えてきたそうです。問題としましては、エンジニア・職人の不足、資材・設備メーカーの供給が遅れる現象が顕著となりまして、工程に支障が出ているなど、労務・資材の不足は人件費や建設物価の高騰が各社の採算に影響している点であります。

    ブラジル全体の建設業界では、住宅関連、公共事業関連は好調でありまして、下半期もこの状態が続く予測をしております。ブラジル政府が進めるPACでは、土地の収用が裁判等で進まず、停滞しているようです。2014年サッカーワールドカップのスタジアムの工事も動きを見せていますので、建設業界は好景気と言えます。

    表の1は建設労働者数の推移ですが、去年と比較しますと労働者の増加のペースは少しゆっくりしていますが、増加の傾向であります。本年7月の速報では、全体300万人が建設業に正規登録したとありました。また、最近2年間では女性の進出が増えておりますが、女性労働者は現在で17万人が正規登録されており、地域によっては30%の比率を占める建設現場があるとの報告です。

    まあ最近の傾向でも、女性エンジニアは現場に出ることを嫌いませんが、男子エンジニアの方がまあ現場を嫌がるという傾向がありまして、ここでも男子の草食化が現れております。女性のエンジニアが配置された場合は何卒よろしくお願いいたします。

    サンパウロ州の建設労働者の賃金上昇ですが、本年は9.75%と5月に決定されまして、5年間連続で国のインフレ率の2倍近い上昇率となっております。この賃金水準・建設会社の負担金額は他の国と比較しても高額となっておりまして、今後、技能の訓練や建設工事の機械化を進め、生産の向上をはかることが課題となっております。

    次に、表2は建設資材の価格の推移ですが、2011年上半期におきましては、昨年以上に値上がりを示しております。特に建物の仕上げ材、設備資材の価格上昇が大きくなっておりまして、ブラジル建材協会の発表によれば、昨年後半から着工された建物について今仕上げ段階に入っていることが原因と見られております。

    また、資材とは別に、2016年まで9000件の公共工事が想定されまして、建設機械の需要が現状よりも70%増加する予定で、建設機械は2010年では7万件、2015年の予測では12万件に需要が増加されるのではないかと予測されております。

    次に、表3は建設工事量の動向を示すセメントの販売量の昨年との比較であります。ブラジル全地域では平均8%以上の増加率を示しております。セメントメーカーは設備増大を進めておりまして、現在の60万トン能力から、2015年には100万トンの生産能力にする予定だそうです。

    サッシ業界では、アパートの建設工事の遅れが目立ちまして、そのため施工費用の増大や次の工事の遅れで、受注に影響を受けているようです。またサンパウロ市内では、アパートの着工件数が昨年と比較しまして20%落ちまして、今後とも受注が厳しい1年となっているそうであります。

    家具業界ですが、メーカー同士の競争が激しくて、採算が厳しい状況であります。最近ではサッカー場の椅子の取り替え工事があり、ワールドカップを前にした商売が出現しているということも聞きました。

    次に表4ですが、不動産関係、住宅建設の各都市の発売件数です。2011年上期と2010年の比較を示しております。サンパウロ、ポルト・アレグレ市は去年よりは落ち込みましたが、フォルタレーザ、東北伯等では急激な伸びを見せております。

    政府が進める大衆住宅政策につきましては、最低賃金の3倍収入の世帯まで普及させるものですが、最近の土地価格、建設物価の上昇で、政府の設定価格では供給ができないまま停滞していました。6月になりまして価格が調整され、再開されましたが、今後とも土地価格の上昇等で供給は少なくなると予測されております。

    銀行によるポウパンサ住宅融資は、去年は560億レアルでしたが、2011年上期では370億レアルで、今年は850億レアルになると予測されています。
    オフィスビルの建設投資は前年比80%の増加で、460億レアルの投資規模といわれております。

    特にリオ・デ・ジャネイロはビルの販売価格がニューヨークと並んで上昇しておりまして、またオフィスビルの着工申請が前年と比べて60倍となっているようです。ショッピングセンターを含めた商業施設・ビルの投資は、昨年上期760億レアルが本年は1300億レアルに増大しております。

    工場用地の土地価格は上昇が継続しておりまして、サンパウロ市から100~150キロ圏内でも安価な土地が少なくなっておりまして、地方都市によってはインセンティブを出すなど企業誘致が熱心で、特に中国系・韓国系の工場進出計画もあり、今後土地の上昇傾向は強まると思います。

    2011年下期の展望ですが、日系建設業界では、昨年、今年に受注した工事の完工を目指した繁忙な時期となりますが、今後とも建設案件は発生するため、一層の受注努力を考えております。

    ブラジル建設業全体としましては、好景気はしばらく続くと思いますが、アメリカ・ヨーロッパ経済の影響を受け、来年、2012年には停滞もあり得るとの見方もあります。また、来年は市長・市議会議員の選挙が行われるため、まあ前兆としまして市内の公共工事が増加しそうであります。

    ニュースとしましては、建設現場では今でも多くの廃材を出しておりますが、政府は規制を強化しておりまして、「建設廃材リサイクル法」の検討を進めております。

    その影響で工事費のコストアップにつながりそうであります。しかしながら、日系建設業界としましては、技術力・安全管理を向上させる努力につとめ、自然環境保全や省エネ、CO2の軽減等に積極的に取り組みたいと考えております。ご静聴どうもありがとうございます。

    司会:
    大滝様ありがとうございました。何かご質問ご意見等ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、最後になりますけれども、食品部会の方で天野部会長様からご報告いただきます。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 食品部会  天野一郎 部会長

    食品部会

    どうもこんにちは。食品部会の天野です。食品というのは軽いし、簡単ですし、澤田司会にあわせてですね、予定の時間の6時5分に終るように努力いたしますので、皆さんご安心ください。

    題目としてはですね、特に今回の3月11日の大震災と大津波で東京電力の福島第一原子力発電所がまあ事故を起しまして、それで日本の農産物、あるいは食品業界にですね、放射性物質の拡散ということで、多大な影響を及ぼしまして、各国で日本の食品の輸入規制ということがありましたので、まあブラジルではどういうふうになったかということについて触れたいと思います。

    それから部会各社の動向、それから、原料ですね、先ほどから色々コーヒーとか出ていましたけども、まあその辺りが非常に高くなっているということで、原料の動向。それから全体のまとめということでお話していきたいと思います。

    大震災でですね、まあ結局福島第一の炉心のメルトダウン、それから水素爆発ということで、世界を震撼させて、その影響でですね、ブラジルでも4月1日にですね、ANVISAが日本の食品の輸入規制、放射性物質がついてないかどうかというような証明書をつけるようにということで、規制が発表されました。

    それからですね、その、全てについて規制するというわけじゃなくて、現実に、その、福島に近い12都県というところのものについては放射性物質の付着がないという証明をするようにという形になりました。

    で、実際問題としてはですね、この4月から6月の間は皆様もご存知のように、リベルダージにですね、日本食がないと。やっと見つけると韓国か中国のものであるというような状況が続いたわけでありますけれども、ここに、在伯日本大使館の皆様はじめ、政府関係の方のご努力によりまして、日本当局の発行した英文の産地証明、あるいは放射性検査の証明をポルトガル語にですね、まあここでは英文は通じないものですから、英文あるいは日本語は通じないものですから、ポルトガル語に翻訳してそれを提出すれば通関ができるというふうにしていただいたものですから、今週末か来週の初めに震災後の最初のプロットが日本から入ってくるそうです。

    ですから、来週からはですね、我々も日本食が食べられるようになるという非常にありがたい話だと思います。

    その12都県というのはですね、夏なので南西の風というんですかね、南の方、福島、宮城、山形、それから栃木、群馬、茨城、新潟、長野、山梨、埼玉、千葉、東京と12都県になります。で、これのですね、12都県の生産物については放射線の検査が必要であると。

    で放射線の検査をした結果、コーデックス、コーデックスという規格は世界的な食品に関する規格なんですけども、コーデックスで放射性ヨウ素がキログラムあたり100ベクレル以下、それからセシウムが1000ベクレル以下というふうに決まっているわけですけども、これを満たしていれば証明書を都道府県が発行して、それでその英語のものをポルトガル語に翻訳して、通関できるというスキームができています。

    それからですね、12都県以外はその生産地が12都県以外だということの証明をつければ、それをポルトガル語に翻訳して通関ができるということです。

    で、この翻訳人はですね、一応事前にANVISAに登録するんですけども、日本大使館を通じて翻訳人を登録します。ちなみに当社でももう登録は済んでおります。まあ具体的にこんなような形のものにですね、一番右の下の方に判子がありますけども、あれが県の証明の判子になってこういう形の証明書ができると。

    この発行された証明書をポルトガル語に書き換えてですね、そうするとブラジルの方にですね、そのさっきの右の下にあった判子が全部一覧がありますので、これなら大丈夫だということで通関できるという仕組みになっています。
    次に部会各社の動向ですけれども、まあ色々、高金利でたいへんなんですけども、まあ食品をですね、ローンを組んで買ってくれる人もいないし、分割払いということもないので、おしなべて各社好調です。

    調味料製造関係に関しては、売上は14%増。下期はですね、前年比二桁以上を目指すと。それから乳酸飲料に関しては、数量9%増。前年比、下期については5%増を目指すと。食品添加物の販売。徐々に販売増であると。下期は現状維持であろうと。コーヒー販売に関しては、順調であると。

    下期は昨年を大きく上回ると。それから清酒に関しては増収増益であるけれども、色々競争が激化して下期は苦戦するだろうと。醤油に関しては順調に伸張していますけども、その反動の懸念をしています。それから果実ピューレに関しては数量がアップするも、輸出で苦戦。国内は良いんですけれども、輸出はまあどうしてもレアルが高いということで、輸出の場合は苦戦のようです。

    それから即席めんに関しては北東部で、北部、北東部で伸張していると。下期3%前後の成長を見込んでいると。それから香料に関して、22%超の増加と。下期は若干厳しいのではないかと。外食関係では、輸入規制でダメージがあったと。下期については、輸入が始まるので、明るい展望であるということです。

    それから、品目別にですね、まあほとんどのもの皆それなりに伸びているんですけども、一番向かって左が調味料、それから粉末スープ、粉末ジュース、乳酸飲料、ジュース、果実ピューレ、即席めん、香料ということで、最大40%から、低くても5%近い伸長を見せているということです。

    それから輸出のことに関しましては、各社ともまあレアル高ということで、コーヒー、比較的厳しい状況。調味料、拡大めざすも苦しい。飼料、採算は依然不透明。果実ピューレ、苦戦中。国内販売の強化。ジュース、コストダウンも限界ではないかということで、輸出関係は皆さん苦労されているようです。

    それから原料の動向ですけれども、これは先程出てきたのとほとんど同じ形で、今年の3月ぐらいがピークになっているんですけども。これは砂糖です。

    それからこれは牛乳の相場です。これもずっと上がってきています。それからこれはコーヒーの相場です。これもずっと上がってきています。原料の動向として、相場高騰の要因は、ブラジルとか中国をはじめとした経済新興国で生活水準が向上して、食品消費が拡大したと。

    それから、石油代替燃料となるエタノール需要の増加が砂糖やトウモロコシなど穀物の価格を下支えしていると。それからあとは生産の問題として、異常気象と。それから、まあ世界的に流動資金が非常に余っているということで、投機マネーのコモディティ市場への流入ということですね。

    で、まとめといたしまして、上期の回顧は、全般的に国内市場は引き続き順調な拡大を続けていると。ただし、原料相場が収益を脅かしていると。それからレアル高による輸出環境の悪化。それから一部に日本製品輸入制限措置による影響。

    これが下期になりまして、まあ不透明要因はあるものの国内は好調維持するであろうと。それから輸出についてはですね、為替トレンドは引き続き1.6というような形になるということで逆風であると。

    まあこういう形の状況を生かして経営基盤の強化を行っていきたいというのが各社の状況です。大体2分ぐらい超過しましたけども、これで終ります。ありがとうございました。

    司会:
    どうも天野部会長ありがとうございました。それでは今の天野部会長のご報告に対しまして何かご質問等ございましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。さすがに百戦錬磨の部会長様、副部会長様で、司会の時間進行までご心配いただきまして、滞りなく予定通り全11部会のご報告が終わりました。

    皆様におかれましては、今日午後からこの夕方の時間まで、一貫してご出席をいただきまして、誠にありがとうございました。

    それではここで、在ブラジル日本国大使館の金子一等書記官様にご講評をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

     

     

     

  • 講評 金子 創  一等書記官   在ブラジル日本国大使館

     

    私の方も司会の議事進行を妨げないようにですね、簡潔にご挨拶申し上げたいと思います。まずはですね、先日、8月の8日でございましたか、日伯の貿易投資委員会、サルバドールの方で開催されたということでございまして、近藤会頭をはじめですね、商工会の皆様には大変お世話になったと。

    特にサルバドールという、私もまだ行ったことはないんですけれど、ちょっと離れた場所ということで、非常にそのロジとかですね、そういった面で不安があったというふうに伺っておりますが、おかげさまで非常に良い会議ができたということで、大使の三輪、また経産省の審議官の岡田の方から皆様に感謝を伝えてほしいというふうに仰せつかっておりますので、この場を借りて、私で申し訳ございませんが、感謝の意を述べさせていただきたいというふうに思っております。

    またその会議の場で、一つはその、例のビザの話、また移転価格税制ですか、こちらの方についてですね、ご指摘をしていただいたと伺っております。おかげさまでブラジル側にも日本側の強い思いというのが伝わったというふうに伺っております。重ねて感謝をいたす次第でございます。

    この貿投委については、また半年後と伺っておりますが、開催されるということでございまして、引き続き皆様のご協力をいただけると大変ありがたいなと。ひいては日伯関係のさらなる強化というふうにつながればというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

    私事ですが、6月の22日にですね、当地に赴任いたしまして、ちょうど2ヶ月経ちました。私は元々は総務省の情報通信担当ということで、前任の臼田から引継ぎを受け、引き続きその、地上デジタル放送とか通信の関係を担当することになっております。

    皆様に色々と教えていただきたいことが一杯ありまして、今後ともお付き合いをよろしくお願いしたいというふうに考えております。

    一つその、こちらに来ての感想というか、雑感になりますけど、ブラジリア、まあご承知の方も多いと思いますけど、郊外というかですね、ちょっとセントロから外れたところにフェイラ・デ・パラグアイというのがありまして、色んなその雑貨とかですね、良く言うまあコントラバンドと言うんですかね、密輸品だとかそういうものが安く売られているので、割と庶民が週末に行くところがございまして。

    まあそういうフェイラ・デ・パラグアイと、ご承知の通りパラグアイだと模造品とかそういう、あまり良い意味で使われていないようですけど、実は私、10年ほど前、2000年前後にかけて実はパラグアイに住んだことがありまして、まあ色々とその、ラテンアメリカの苦労というのをちょっとは、まあ10年ぐらい前に味わってですね、横でブラジルをこう見ていて、ブラジルへたまに行くと、パラグアイから行くと非常にブラジルって何か素晴らしい国だなというふうに思って今回赴任してきたわけですけど、正直言ってですね、すごい期待があったんですが、非常にその、まさかと思ったんですけど、例えば手続き一つとっても色々とその、私の身分証の発行とか、非常に時間がかかったと。

    まあ3週間ぐらいかかったということで、パラグアイの時はそんなにかからなかったのに何でブラジル、あの時の感触だとブラジルはもっと素晴らしい国で、こんなに時間かかるなんて信じられないということが色々多々ありまして。

    そういった意味で非常にその、あの別に政府を批判しているわけじゃなくて私の個人的感想になるんですけど、ちょっとですね、ここもやっぱりこういうところが大変なんだなと改めて実感している次第で、何が言いたいかというとですね、まあ皆様のご苦労、色々と商売の上でですね、ご苦労が多いのかなというふうに感じている次第です。

    日本はやっぱりその、我々役人もそうですけど、割と連携プレーとかですね、そっちの方は、個人プレーはまあ置いておくとしても連携プレーはそれなりに自信を持ってできるということで、やっぱりこういう商工会の活動を通して横の連携を強化していただいてですね、ぜひともブラジルに進出している皆様がですね、こうハッピーな時間が過せることが多くなるよう、この商工会のこういった活動をぜひ積極的にやっていき、またこういう場を通じて色々と皆様のご相談とかですね、お悩みについてですね、もちろんその、ブラジリアですけど、日本大使館、またはサンパウロ総領事館の方にですね、色々とご相談していただいて、少しでも皆様のビジネスがですね、まあハッピーになるようお手伝いできたら幸いかなというふうに思っておりますので、引き続きご支援、また色々とご迷惑かけることあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

     

     

     

  • 閉会の辞   澤田吉啓   企画戦略委員長

    司会:
    金子様、ありがとうございました。まあ既に商工会議所の方からメールでご案内を差し上げておりますけれども、本日各部会長様からご報告いただきましたプレゼンの資料ですね、こちらは商工会議所のホームページの方にすでにアップされておりますので、今日お聞きになられて、もしよろしければまたお戻りになられてそれをご活用いただければというふうに思います。

    それから、今日は本当に大勢の皆さんにお越しいただきまして、一部の皆様につきましては、大変申し訳なかったんですが、ちょっとテーブル付きじゃない席ということでですね、大変窮屈な形になりまして申し訳ございませんでした。

    先程平田事務局長様の方から、次回はさらに大きな会場でやりますということをおっしゃっておられましたので、これに懲りずですね、ぜひまた次回も皆様のご参加をお願いしたいと思います。

    また今回ご出席いただいた中で、商工会議所の会員ではまだいらっしゃらない方々というのは実は5名程度しかご参加いただいておりませんで、ぜひですね、次回の時には、多分皆様のお仕事の関係で携わっておられる方々で、会員になっておられない方いらっしゃると思いますので、ぜひこういう機会にですね、そういった方々にもお声をかけていただいて、こういったところにご出席いただければ大変ありがたいと思います。

    それではこの後懇親会がございますので、今日、申し訳ありませんでしたけれどもあまり質疑の時間が取れませんでしたけれども、ぜひ各部会長様を囲んでですね、さらに種々ご議論をいただければと思います。

    本日は最後までずっとお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。それではこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

     

     

     

 

 

 

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